JP2018146048A - 歯付きベルト、ベルト伝達装置、電動ステアリング装置、歯付きベルト製造方法、及び歯付きベルト製造装置 - Google Patents

歯付きベルト、ベルト伝達装置、電動ステアリング装置、歯付きベルト製造方法、及び歯付きベルト製造装置 Download PDF

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昌宏 吉田
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Abstract

【課題】ベルト張力が減少する領域でベルトの背面側への弛み変形を抑えることで、歯飛びを発生し難くすることが可能な歯付きベルト、ベルト伝達装置、電動ステアリング装置、歯付きベルト製造方法、及び歯付きベルト製造装置を提供する。
【解決手段】歯付きベルトは、環状の心線と、2個のプーリそれぞれに設けられたプーリ側外歯に噛合する、心線に対して径方向内側に設けられたベルト側内歯と、を有しており、2個のプーリに巻き掛けられる。2個のプーリへの巻き掛け時における心線に対する外周側部位は、周方向に引張残留応力が付与されている部位である。また、巻き掛け時における心線に対する内周側部位は、周方向に圧縮残留応力が付与されている部位である。
【選択図】図10

Description

本発明は、歯付きベルト、ベルト伝達装置、電動ステアリング装置、歯付きベルト製造方法、及び歯付きベルト製造装置に関する。
従来、2個のプーリに巻き掛けられる環状の歯付きベルトが知られている(例えば、特許文献1参照)。この歯付きベルトは、ベルト長手方向に一定ピッチで設けられたベルト側内歯を有している。また、各プーリは、歯付きベルトのベルト側内歯に噛合するプーリ側外歯を有している。ベルト側内歯と2個のプーリそれぞれのプーリ側外歯とが噛合した状態で一方のプーリ(例えば駆動プーリ)が回転すると、その回転が歯付きベルトを介して他方のプーリ(例えば従動プーリ)に伝達される。従って、一方のプーリ側に作用した動力を歯付きベルトを介して他方のプーリに伝達することができる。
特開昭61−112842号公報
一般的に、環状の歯付きベルトは、自然状態で円形に形成される部材である。かかる歯付きベルトには、2個のプーリに巻き掛けられている状態で所定のベルト張力が付与される。また、かかる歯付きベルトには、2個のプーリの何れかに噛合する噛合領域と、2個のプーリの何れにも噛合しない非噛合領域と、が存在する。噛合領域は、2個のプーリそれぞれに対応して一箇所ずつ設けられる。また、非噛合領域は、2個のプーリの間において一方のプーリを基準にして上り側と下り側との2箇所設けられる。
上記した歯付きベルトに所定のベルト張力が付与されている状態で駆動プーリにトルクが入力されると、その歯付きベルトの2箇所の非噛合領域のうち、一方(具体的には、その駆動プーリに対して上り側に位置する非噛合領域)のベルト張力が増加し、他方(具体的には、その駆動プーリに対して下り側に位置する非噛合領域)のベルト張力が減少する。このベルト張力が減少した他方の非噛合領域では、ベルトの自然状態(すなわち、円形)に戻ろうとする力及び遠心力により、ベルトが背面側(すなわち、径方向外側)に弛むように変形する。かかる変形が生じると、その変形が生じないときに比べて、歯付きベルトとプーリ(具体的には、従動プーリ)との掛かり始めの位置での歯同士の離間量が大きくなる。この変形後は、歯付きベルトとプーリとが、歯同士の離間量が大きくなっていた部位で噛み合おうとする際に、互いに噛み合う歯が一歯ずれる歯飛びが生ずるおそれがある。
また、上記した歯付きベルトが電動パワーステアリング装置に搭載されている場合、転舵シャフトがストッパ部材に当接する位置までステアリング操作が行われたときなどは、プーリに加わるトルクが時間的に急変することがある。この場合は、歯付きベルトの慣性力により、歯付きベルトとプーリとの歯同士が離間している領域で歯付きベルトとプーリとの位相ずれが顕著となるので、上記の歯飛びが生じ易くなる。このように歯飛びが生ずると、2個のプーリ間における動力伝達が適切に行われなくなり、電動パワーステアリング装置の制御に支障が出てしまう。
本発明は、トルク急変時などにベルト張力が減少する領域でベルトの背面側への弛み変形を抑えることで、歯飛びの発生を抑えることが可能な歯付きベルト、ベルト伝達装置、電動ステアリング装置、歯付きベルト製造方法、及び歯付きベルト製造装置を提供することを目的とする。
本発明に係る歯付きベルトは、環状の心線と、2個のプーリそれぞれに設けられたプーリ側外歯に噛合する、前記心線に対して径方向内側に設けられたベルト側内歯と、を有し、前記2個の前記プーリに巻き掛けられる歯付きベルトであって、前記2個の前記プーリへの巻き掛け時における前記心線に対する外周側部位は、周方向に引張残留応力が付与されている部位であり、前記巻き掛け時における前記心線に対する内周側部位は、周方向に圧縮残留応力が付与されている部位である。
この構成によれば、歯付きベルトが2個のプーリに噛合している場合において、一方のプーリへのトルク入力により歯付きベルトのベルト張力が減少すると、そのベルト張力が減少した箇所で外周側の周長が縮まりかつ内周側の周長が伸ばされるように変形が生じる。この変形は、ベルト歯面側に弛むように行われる。この場合、歯付きベルトとプーリとの掛かり始めの位置での歯同士の離間量が小さくなる。従って、歯付きベルトの残留応力によって、ベルト張力が減少する領域で背面側に弛むような変形が生ずるのを抑えることができる。このため、歯飛びの発生を抑えることができる。
本発明の一実施形態に係る歯付きベルト及びベルト伝達装置を含む電動ステアリング装置の全体構成図である。 本実施形態の歯付きベルト及びベルト伝達装置を含む電動ステアリング装置の要部断面図である。 本実施形態の歯付きベルトの斜視図である。 本実施形態の歯付きベルトの拡大断面図である。 本実施形態の歯付きベルトを含むベルト伝達装置の斜視図である。 本実施形態の歯付きベルトを含むベルト伝達装置を模式的に表した図である。 本実施形態の第1例に係るベルト製造装置の斜視図である。 第1例のベルト製造装置によりベルトを製造する際の拡大断面図である。 第1例のベルト製造装置によりベルトを製造する際に実行される一例のフローチャートである。 第1例のベルト製造装置によりベルトを製造する最終工程で径方向表裏を反転させる動作を説明するための図である。 本実施形態の第2例に係るベルト製造装置の構成図である。 第2例のベルト製造装置によりベルトを製造する際の拡大断面図である。 第2例のベルト製造装置によりベルトを製造する際に実行される一例のフローチャートである。 変形例のベルト製造装置によりベルトを製造する際の拡大断面図である。
以下、歯付きベルト、ベルト伝達装置、電動ステアリング装置、歯付きベルト製造方法、及び歯付きベルト製造装置を具体化した一実施形態について、図面を参照して説明する。
(1.歯付きベルトを含むベルト伝達装置、及び、そのベルト伝達装置を含む電動ステアリング装置の構成)
まず、電動ステアリング装置及びベルト伝達装置の構成について説明する。本実施形態の電動ステアリング装置1は、転舵シャフトをその転舵シャフトの延びる軸方向に沿って移動させることにより、その転舵シャフトの両端それぞれに連結されている転舵輪を転舵させる装置である。
電動ステアリング装置1は、図1に示す如く、ステアリングシャフト10を有している。ステアリングシャフト10の一端には、車両運転者による回転操作可能なステアリングホイール11が連結されている。ステアリングシャフト10の他端には、ラックアンドピニオン機構を構成するピニオン12が形成されている。ステアリングシャフト10は、車体に固定されたハウジング20に回転可能に保持されており、ステアリングホイール11の回転に伴って回転する。
電動ステアリング装置1は、図1及び図2に示す如く、車幅方向に延在する転舵シャフト13を備えている。転舵シャフト13の何れか一端に偏った箇所には、上記ピニオン12と共にラックアンドピニオン機構を構成するラック14が形成されている。ステアリングシャフト10のピニオン12と転舵シャフト13のラック14とは、互いに噛合している。ステアリングシャフト10は、車両運転者の回転操作によってステアリングホイール11に加わったトルクを転舵シャフト13に伝達する。ステアリングシャフト10の回転は、上記のラックアンドピニオン機構により転舵シャフト13の軸方向Aへの直線移動に変換される。転舵シャフト13は、ステアリングシャフト10の回転に伴って車幅方向すなわち軸方向Aに移動する。
転舵シャフト13の両端部には、ボールジョイント15を介してタイロッド16が揺動可能に連結されている。タイロッド16には、ナックルアーム17を介して転舵輪18が連結されている。転舵輪18は、転舵シャフト13の軸方向Aへの移動により転舵される。この転舵輪18の転舵により車両は左右に操舵される。
電動ステアリング装置1は、ボールネジ機構30と、電動モータ40と、ベルト伝達装置50と、を備えている。電動ステアリング装置1は、電動モータ40を駆動源として車両運転者がステアリングホイール11を回転操作するときの操舵トルクを補助することが可能である。すなわち、電動ステアリング装置1は、転舵シャフト13に転舵輪18の転舵を補助する補助力を付与すべく、電動モータ40の発生したアシスト回転トルクを、ベルト伝達装置50を介してギヤ装置としてのボールネジ機構30に伝達すると共に、そのボールネジ機構30によって転舵シャフト13を軸方向Aに直線移動させる力に変換する。電動ステアリング装置1は、いわゆるラックパラレル型のステアリング装置である。
ボールネジ機構30は、ボールネジ部31と、ボールネジナット32と、を有している。ボールネジ部31は、転舵シャフト13の外周面に螺旋状に複数回巻かれて形成されたネジ溝としての外周溝である。ボールネジナット32は、円筒状に形成された軸方向Aに延在する円筒部材であって、転舵シャフト13と同軸に配置されている。ボールネジナット32は、その内周面に螺旋状に複数回巻かれて形成されたネジ溝としての内周溝を有している。
ボールネジ部31の外周溝とボールネジナット32の内周溝とは、径方向に対向配置されており、両溝間で複数の転動ボール33が転動可能に配列された転動路34を形成する。ボールネジ部31の外周溝とボールネジナット32の内周溝とは、ボールネジナット32に設けられるデフレクタ(図示せず)により無限循環される複数の転動ボール33を介して螺合している。
転舵シャフト13は、軸方向Aへ移動可能にハウジング20に挿通されてそのハウジング20に保持されている。ハウジング20は、略筒状に形成された軸方向Aに延在する部材であって、転舵シャフト13を軸方向Aに移動可能に覆っている。ハウジング20は、転舵シャフト13の外径に比して僅かに大きな内径を有する小径部21と、小径部21の内径に比して大きな内径を有する大径部22と、を有している。小径部21には、ステアリングシャフト10が挿通されるステアリングシャフト挿通部23が連結されている。大径部22には、ボールネジ機構30が収容されると共に、ベルト伝達装置50が収容される。大径部22は、ボールネジナット32を回転可能に覆っている。尚、ハウジング20は、大径部22がボールネジ機構30のボールネジナット32とベルト伝達装置50とを収容可能に軸方向Aに接離可能であってよい。
電動ステアリング装置1は、トルクセンサ41と、電子制御ユニット(以下、ECUと称す。)42と、を有している。トルクセンサ41は、ステアリングシャフト10に配設されており、ステアリングシャフト10の捩れ量に応じた信号を出力する。電動モータ40及びECU42は、ハウジング20の大径部22近傍に固定されるケース25に収容されている。電動モータ40は、その出力軸が転舵シャフト13の軸方向Aに対して平行となるように配置されている。ECU42には、トルクセンサ41が電気的に接続されていると共に、電動モータ40が電気的に接続されている。
トルクセンサ41の出力信号は、ECU42に供給される。ECU42は、トルクセンサ41から入力される信号に基づいてステアリングホイール11に加わるトルクを検出すると共に、その検出トルクに基づいて電動モータ40によるアシスト回転トルクを設定して電動モータ40の出力を制御する。電動モータ40は、ECU42からの指令に従ってアシスト回転トルクを発生する。電動モータ40により発生されたアシスト回転トルクは、ベルト伝達装置50に伝達される。
ベルト伝達装置50は、入力側が電動モータ40の出力軸に接続されていると共に、出力側がボールネジナット32の外周側に接続された構造を有している。具体的には、ベルト伝達装置50は、2個のプーリ51,52と、ベルト53と、を有している。2個のプーリ51,52はそれぞれ、外歯を有する歯付きプーリである。ベルト53は、帯状かつ環状に形成された環状部材であって、内歯を有する歯付きベルトである。ベルト53は、撓むことが可能なゴム部材により形成されている。
プーリ51は、電動モータ40の出力軸が挿通される貫通孔を有しており、その電動モータ40の出力軸に取り付け固定されている。プーリ52は、ボールネジ機構30のボールネジナット32が挿通される貫通孔を有している。プーリ52は、ボールネジナット32の軸方向Aの一端側に取り付け固定されている。以下、プーリ51を駆動プーリ51と、プーリ52を従動プーリ52と、それぞれ称す。従動プーリ52の外径は、駆動プーリ51の外径に比して小さい。
ベルト53は、その内歯を駆動プーリ51の外歯に噛合させると共に従動プーリ52の外歯に噛合させた状態で駆動プーリ51と従動プーリ52とに巻き掛けられている。この2個のプーリ51,52へのベルト53の巻き掛けは、例えば、それらのプーリ51,52の軸間距離を狭めた状態でベルト53の内歯をそれらのプーリ51,52それぞれの外歯に噛合させた後にその軸間距離を所望の距離に広げることにより実現されればよい。ベルト53が、所望の離間距離だけ離れている2個のプーリ51,52に巻き掛けられているとき、そのベルト53には常態で所定の張力が付与される。
ベルト伝達装置50は、電動モータ40の出力軸の回転を駆動プーリ51、ベルト53、及び従動プーリ52を介してボールネジナット32に減速して伝達する駆動力伝達機構である。ベルト53は、駆動プーリ51の回転を従動プーリ52へ滑りなく伝達する。電動モータ40からベルト伝達装置50にアシスト回転トルクが伝達されると、従動プーリ52に一体化されたボールネジナット32が回転駆動されて、複数の転動ボール33を介して転舵シャフト13が軸方向Aに移動される。
電動ステアリング装置1は、ハウジング20の大径部22とボールネジ機構30のボールネジナット32との間に介在する軸受70を備えている。軸受70は、円環状の外輪部71と、円環状の内輪部72と、外輪部71の内周面と内輪部72の外周面との間に形成される円環状の転動路内に配置される複数の玉73と、を有している。軸受70は、ボールネジナット32の軸方向Aの他端側において大径部22の内周面とボールネジナット32の外周面との間に配置されている。軸受70は、ボールネジナット32をハウジング20の大径部22に対して回転可能に支持する。軸受70は、ボールベアリングなどにより構成された、例えば複列アンギュラ玉軸受である。
外輪部71は、ハウジング20の大径部22の内径と略同じ外径を有している。外輪部71は、その外周面がハウジング20の大径部22の内周面に接するように大径部22の径方向内方に配置されており、大径部22に対して固定されている。内輪部72は、ボールネジナット32の外径と略同じ内径を有している。内輪部72は、その内周面がボールネジナット32の外周面に接するようにボールネジナット32の径方向外方に配置されており、ボールネジナット32に対して固定されている。内輪部72は、ボールネジナット32の回転に伴って一体で回転する。玉73は、内輪部72の回転に伴って外輪部71に支持されながら転動路に沿って転動する。
また、ハウジング20は、転舵シャフト13が軸方向Aに所定ストロークを超えて移動するのを規制するストッパ部を有している。ストッパ部は、ハウジング20の円筒内面から径方向内方に延びた円環部位である。ストッパ部の軸中心には、転舵シャフト13が貫通する貫通孔が形成されている。
(2.電動ステアリング装置及びベルト伝達装置の作用)
次に、電動ステアリング装置1及びベルト伝達装置50の作用について説明する。上記の電動ステアリング装置1において、ステアリングホイール11が回転操作されると、その操舵トルクがステアリングシャフト10に伝達され、ピニオン12とラック14とからなるラックアンドピニオン機構を介して転舵シャフト13が軸方向Aに移動される。
ステアリングシャフト10に伝達された操舵トルクは、トルクセンサ41を用いてECU42に検出される。ECU42は、操舵トルク及び電動モータ40の回転位置などに基づいて電動モータ40の出力制御を行う。電動モータ40は、ECU42からの指令に従ってアシスト回転トルクを発生する。電動モータ40にてアシスト回転トルクが発生されると、その回転トルクがベルト伝達装置50の駆動プーリ51からベルト53を介して従動プーリ52へ伝達される。この回転トルクは、従動プーリ52からその従動プーリ52に一体化されたボールネジ機構30のボールネジナット32に伝達されて、転舵シャフト13を軸方向Aに移動させる駆動力に変換される。
転舵シャフト13が軸方向Aに移動されると、ボールジョイント15、タイロッド16、及びナックルアーム17を介して転舵輪18の向きが変更される。従って、電動ステアリング装置1によれば、ステアリングシャフト10への操舵トルクに応じた電動モータ40によるアシスト回転トルクを転舵シャフト13に付与して、その転舵シャフト13を軸方向Aに移動させることができるので、運転者がステアリングホイール11を操作する際に必要な操舵力を軽減することができる。
(3.歯付きベルトの構成)
次に、歯付きベルトであるベルト53の構成について説明する。ベルト53は、図3に示す如く、帯状かつ環状に形成されている。ベルト53は、図4に示す如く、心線80と、背ゴム層81と、歯ゴム層82と、歯布83と、を有している。ベルト53は、背ゴム層81と歯ゴム層82とからなるベルト本体に心線80を埋設した構造を有している。
心線80は、環状に形成された芯部材である。心線80は、例えば螺旋状に形成されている。心線80は、例えば樹脂や金属,グラスファイバーなどを材料にして形成されている。背ゴム層81は、心線80に対して外周側に配置される外周側部位である。歯ゴム層82は、心線80に対して内周側に配置される内周側部位である。背ゴム層81及び歯ゴム層82はそれぞれ、可撓性を有し、例えば、天然ゴムやスチレンブタジエンゴム,ポリウレタンゴムなどのゴムを材料にして形成されている。歯布83は、後述する内歯85の耐久性確保や製造金型との分離容易化などのため、歯ゴム層82の表面(すなわち、内周側)に貼着されている。歯布83は、シート状に形成されており、例えば、ナイロン製やウレタン製の糸で編み込まれている。尚、背ゴム層81の表面(すなわち、外周側)に帆布が貼着されていてもよい。
尚、背ゴム層81及び歯ゴム層82は、ゴム成分に、硫黄成分を供給する配合剤を含む種々の配合剤が配合されて混練された未加硫のゴム組成物を、加熱及び加圧して硫黄による架橋(すなわち、加硫)を行ったゴム組成物により形成されていてよい。また、背ゴム層81及び歯ゴム層82は、互いに別配合のゴム組成物により形成されていてもよく、また、互いに同じ配合のゴム組成物により形成されていてもよい。
ベルト53は、内歯85を有している。内歯85は、歯ゴム層82における歯布83が貼着される表面に例えば断面が台形状となるように形成されている。内歯85は、心線80に対して径方向内側に設けられた、径方向内方へ突出する部位である。内歯85は、歯部85aと、歯底部85bと、を有している。歯部85aは、周方向に沿って所定角度ごとに設けられており、ベルト53において複数設けられている。歯底部85bは、2つの歯部85aの間に設けられており、それら2つの歯部85aを繋げている。内歯85は、図5に示す如く、駆動プーリ51の外周縁に周方向に並んで複数設けられた外歯51a、及び、従動プーリ52の外周縁に周方向に並んで複数設けられた外歯52aに噛合する。
ベルト53の背ゴム層81は、ベルト53が駆動プーリ51及び従動プーリ52に巻き掛けられている時において心線80に対して外周側に位置する外周側部位である。背ゴム層81は、ベルト53が2個のプーリ51,52に巻き掛けられている時において周長がベルト53の製造時のものに比べて長くなるように形成されている。背ゴム層81は、そのベルト巻き掛け状態において周方向に引張残留応力が付与されている部位である。
歯ゴム層82は、ベルト53が駆動プーリ51及び従動プーリ52に巻き掛けられている時において心線80に対して内周側に位置する内周側部位である。歯ゴム層82は、ベルト53が2個のプーリ51,52に巻き掛けられている時において周長がベルト53の製造時のものに比べて短くなるように形成されている。歯ゴム層82は、そのベルト巻き掛け状態において周方向に圧縮残留応力が付与されている部位である。
上記のベルト53において、駆動プーリ51及び従動プーリ52への巻き掛け状態では、心線80に対する外周側部位である背ゴム層81に周方向に引張残留応力が付与されていると共に、心線80に対する内周側部位である歯ゴム層82に周方向に圧縮残留応力が付与されている。かかる構造においては、ベルト53が駆動プーリ51及び従動プーリ52に巻き掛けられている時、ベルト53の背ゴム層81に周長を縮める力が作用していると共に、ベルト53の歯ゴム層82に周長を伸ばす力が作用している。
ベルト53が2個のプーリ51,52に巻き掛けられている状態では、そのベルト53にベルト張力Tが付与されている。このベルト張力Tは、常態或いは初期状態において所定のベルト張力T0となるように設定されている。この所定のベルト張力T0は、上記した背ゴム層81の周長を縮める力と歯ゴム層82の周長を伸ばす力とが作用していてもそれらの力の影響を受けずにベルト53のプーリ51,52への巻き掛け状態が維持されるようにすなわちその弛み量が最小限に抑えられるように設定されている。
また、ベルト53が2個のプーリ51,52に巻き掛けられている時、そのベルト53には、図6に示す如く、2個のプーリ51,52の何れかに噛合する噛合領域53aと、2個のプーリ51,52の何れにも噛合しない非噛合領域53bと、が存在する。噛合領域53aは、2個のプーリ51,52それぞれに対応して一箇所ずつ設けられたものであり、駆動プーリ51に噛合する噛合領域53a−1と、従動プーリ52に噛合する噛合領域53a−2と、である。非噛合領域53bは、2個のプーリ51,52の間において駆動プーリ51を基準にして上り側と下り側との2箇所設けられたものであり、駆動プーリ51に対して上り側に位置する非噛合領域53b−1と、駆動プーリ51に対して下り側に位置する非噛合領域53b−2と、である。
ベルト53に所定のベルト張力T0が付与されている状態から電動モータ40の回転によって駆動プーリ51にトルクが入力されると、2箇所の非噛合領域53bのうち駆動プーリ51に対する上り側の非噛合領域53b−1のベルト張力Tが増加し、駆動プーリ51に対する下り側の非噛合領域53b−2のベルト張力Tが減少する。また、転舵シャフト13がハウジング20のストッパ部に当接する位置までステアリング操作が行われたときなどは、プーリ51,52に加わるトルクが時間的に急変することがある。この場合は、ベルト53の慣性力により、ベルト53とプーリ51,52との歯同士が離間している領域でベルト53とプーリ51,52との位相ずれが顕著となるので、非噛合領域53b−2のベルト張力Tが減少する。
このようにベルト張力Tが減少した非噛合領域53b−2では、そのベルト張力Tの減少に伴って、背ゴム層81における周方向への引張残留応力によりその背ゴム層81の周長を縮める力、及び、歯ゴム層82における周方向への圧縮残留応力によりその歯ゴム層82の周長を伸ばす力が顕在化する。すなわち、ベルト張力Tが減少した非噛合領域53b−2において外周側の背ゴム層81の周長が縮まりかつ内周側の歯ゴム層82の周長が伸ばされるようにベルト53が変形する。
ベルト張力Tが減少した非噛合領域53b−2では、歯ゴム層82の周長が伸ばされてその歯ゴム層82がベルト背面側(すなわち径方向外側)に向けて弛んで膨らもうとしても、背ゴム層81の周長が縮まってその背ゴム層81がその歯ゴム層82の変形を阻止する。一方、歯ゴム層82がベルト歯面側(すなわち、径方向内側)に向けて弛んで膨らもうとする際は、背ゴム層81がその歯ゴム層82の変形を阻止することが困難である。従って、ベルト53のベルト張力Tが減少した非噛合領域53b−2における変形は、ベルト歯面側に弛むように行われる。
ベルト53のベルト張力Tが減少した非噛合領域53b−2が歯面側に変形すると、その変形が生じないときに比べて、ベルト53とプーリ51,52(特に、従動プーリ52)との掛かり始めの位置での歯同士の離間量が小さくなる。歯同士の離間量が小さくなれば、その歯同士が噛み合おうとする際に互いに噛み合う歯が一歯ずれる歯飛びが起き難くなる。従って、ベルト53の構造によれば、背ゴム層81及び歯ゴム層82の残留応力によって、ベルト張力Tの減少時にそのベルト53のベルト張力減少領域(すなわち、非噛合領域53b−2)で背面側に弛むような変形が生ずるのを抑えることができる。このため、歯飛びの発生を抑えることができる。
また、上記のベルト53は、ベルト伝達装置50の一部である。すなわち、ベルト伝達装置50は、ベルト53と、そのベルト53が巻き掛けられる2個のプーリ51,52と、を備える。かかるベルト伝達装置50によれば、ベルト53の歯飛びが発生し難いので、駆動プーリ51からベルト53を介した従動プーリ52への回転伝達を歯飛びの発生を抑えつつ適切に行うことができる。
また、上記のベルト伝達装置50は、電動ステアリング装置1の一部である。すなわち、電動ステアリング装置1は、ベルト伝達装置50と、回転する電動モータ40と、電動モータ40の回転がベルト伝達装置50を介して伝達されるボールネジ機構30と、を備える。かかる電動ステアリング装置1によれば、ベルト伝達装置50が上記の回転伝達を歯飛びの発生を抑えつつ適切に行うので、電動モータ40からベルト伝達装置50を介したボールネジ機構30への回転伝達を歯飛びの発生を抑えつつ適切に行うことができる。このため、車両運転者の操舵トルクを補助するアシスト回転トルクを適切にボールネジ機構30に付与することができる。
(4.歯付きベルトを製造する方法及び装置の構成)
次に、上記したベルト53の製造方法及び製造装置の構成について説明する。
(4−1.第1例に係るベルト製造方法及びベルト製造装置の構成)
第1例のベルト製造装置100は、ベルト53を製造する装置である。ベルト製造装置100は、図7に示す如く、2つの金型110,120と、加硫装置130と、を備えている。金型110は、ベルト53を製造するうえでその外周側を支持する外周側金型である。金型120は、ベルト53を製造するうえでその内周側を支持する内周側金型である。以下、金型110を外周側金型110と、金型120を内周側金型120と、それぞれ称す。
外周側金型110は、円筒状・円環状に形成されている。外周側金型110は、略円形の内周面111と、その内周面から径方向内方へ突出する内歯112と、を有している。内歯112は、ベルト53の内歯85に対応する金型内歯である。
内周側金型120は、外周側金型110に対して径方向内側に配置されている。内周側金型120は、全体として円筒状・円環状に形成されている。内周側金型120の外周面121は、外周側金型110の内周面111に径方向で対向している。内周側金型120は、周方向に複数(図7においては3個)に分割されている。内周側金型120は、径方向に位置移動可能に形成されている。内周側金型120は、径方向外側への位置移動により、外周側金型110との間でベルト53の材料を挟み込むことが可能である。内周側金型120は、また、その径方向内方から径方向外方にかけて熱風などが通過できるように、隙間が開いた多孔質材などにより或いはメッシュ状に形成されている。内周側金型120は、耐熱材料により形成されている。
加硫装置130は、ベルト53を構成する材料としての未加硫のゴム組成物を加熱して加硫を行う装置である。加硫装置130は、内周側金型120に対して径方向内方に配設されている。加硫装置130は、内周側金型120の径方向内方において熱風を送り出すことが可能である。加硫装置130から送られた熱風は、内周側金型120の径方向内側からその内周側金型120を通して内周側金型120の径方向外方にある未加硫のゴム組成物に向けて送り込まれる。加硫装置130は、外周側金型110と内周側金型120とにより径方向で挟み込まれたベルト53の材料に対して加硫を行う。
ベルト製造装置100を用いてベルト53を製造するうえでは、まず、図8に示す如く、心線80、背ゴム層81に対応する未加硫の環状の第1ゴム部材81a、歯ゴム層82に対応する未加硫の環状の第2ゴム部材82a、及び歯布83が、外周側金型110と内周側金型120とにより径方向で挟み込まれる。以下、これらの心線80と第1ゴム部材81aと第2ゴム部材82aと歯布83とからなる部材全体を未加硫成形体140と称す。
具体的には、図9に示すルーチン中のステップS100にて、外周側金型110の内歯112が形成された内周側に、シート状の歯布83、心線80、第2ゴム部材82a、及び第1ゴム部材81aがその順に貼り付けられる。すなわち、外周側金型110の内周側に歯布83が貼り付けられ、その歯布83の内周側に心線80が貼り付けられ、その心線80の内周側に第2ゴム部材82aが貼り付けられ、その第2ゴム部材82aの内周側に第1ゴム部材81aが貼り付けられる。そしてその後、ステップS110にて、内周側金型120が径方向外側へ位置移動されることにより、未加硫成形体140が外周側金型110と内周側金型120とにより径方向で挟み込まれる。この挟み込みは、所定圧力で加圧されるように行われる。
上記の如く未加硫成形体140が外周側金型110と内周側金型120とにより径方向で挟み込まれた状態で、ステップS120にて、加硫装置130による加硫が行われる。かかる加硫は、所定温度で加熱されるように行われる。また、これらの加圧及び加熱は、所定成形時間だけ継続して行われる。尚、上記の所定圧力は、例えば○○MPa〜△△MPaである。上記の所定温度は、例えば○○℃〜△△℃である。上記の所定成形時間は、例えば○○分〜△△分である。
未加硫成形体140が金型110,120により径方向で挟まれた状態で加硫装置130による加硫が行われると、未加硫成形体140のゴム部材81a,82aの加硫が進行する。この加硫進行によって、それらのゴム部材81a,82aが一体化しかつ心線80と複合化される。これにより、環状のベルト形成部材141が成形されて硬化される。このベルト形成部材141は、図10に示す如く、ベルト53の背ゴム層81が心線80に対して径方向内側に配置されかつベルト53の歯ゴム層82が心線80に対して径方向外側に配置されたものであって、製造すべきベルト53の径方向表裏を反転させたものである。また、ベルト形成部材141は、歯ゴム層82すなわち内歯85の表面に配設される歯布83を含む。
上記の加硫が行われることでベルト形成部材141の成形が完了すると、加硫装置130による加硫が停止されて、内周側金型120が径方向内側へ位置移動される。その後、ステップS130にて、そのベルト形成部材141が取り出されて脱型される。そして、ステップS140にて、そのベルト形成部材141の径方向表裏が反転される。かかる反転が行われると、図10に示す如く、背ゴム層81が心線80に対して径方向外側に配置されかつ歯ゴム層82が心線80に対して径方向内側に配置されたベルト53が形成される。このベルト53は、加硫により成形されるベルト形成部材141の径方向表裏を反転させたものである。このため、ベルト53は、背ゴム層81に周方向への引張残留応力が付与されかつ歯ゴム層82に周方向への圧縮残留応力が付与されたものとなる。このベルト53は、その形成後、ベルト伝達装置50の一部としてプーリ51,52に巻き掛けられる。
尚、上記したベルト形成部材141の反転は、そのベルト形成部材141の成形完了直後にベルト53の製造工場で行われるものであってもよいし、また、ベルト53がプーリ51,52に巻き掛けられる直前にベルト伝達装置50や電動ステアリング装置1の製造工場で行われるものであってもよい。
このように、ベルト製造装置100すなわちそのベルト製造装置100によるベルト53の製造方法によれば、心線80に対する外周側部位である背ゴム層81に周方向への引張残留応力が付与されかつ心線80に対する内周側部位である歯ゴム層82に周方向への圧縮残留応力が付与されたベルト53を製造することができる。
(4−2.第2例に係るベルト製造方法及びベルト製造装置の構成)
第2例のベルト製造装置200は、ベルト53を製造する装置である。ベルト製造装置200は、図11に示す如く、2つの金型210,220と、加硫装置230と、回転装置240と、を備えている。金型210は、ベルト53を製造するうえでその内周側を支持する内周側金型である。金型220は、ベルト53を製造するうえでその外周側を支持する外周側金型である。以下、金型210を内周側金型210と、金型220を外周側金型220と、それぞれ称す。
内周側金型210は、全体として凹状或いは逆弓状に形成された板部材である。内周側金型210は、凹面211と、その凹面211から外方と突出する外歯212と、を有している。凹面211は、略円弧状に形成されている。凹面211は、ベルト53の所望湾曲方向とは逆方向に湾曲している。外歯212は、ベルト53の内歯85に対応する金型外歯である。
外周側金型220は、内周側金型210に対して径方向外側に配置されている。外周側金型220は、全体として凸状或いは弓状に形成された板部材である。外周側金型220の凸面221は、内周側金型210の凹面211に径方向で対向している。外周側金型220は、径方向に位置移動可能に形成されている。外周側金型220は、径方向内側への位置移動により、内周側金型210との間でベルト53の材料(すなわち、未加硫成形体140)を挟み込むことが可能である。外周側金型220は、また、その径方向外方から径方向内方にかけて熱風などが通過できるように、隙間が開いた多孔質材などにより或いはメッシュ状に形成されている。外周側金型220は、耐熱材料により形成されている。
加硫装置230は、ベルト53を構成する材料としての未加硫のゴム組成物を加熱して加硫を行う装置である。加硫装置230は、外周側金型220に対して径方向外方に配設されている。加硫装置230は、外周側金型220の径方向外方において熱風を送り出すことが可能である。加硫装置230から送られた熱風は、外周側金型220の径方向外側からその外周側金型220を通して外周側金型220の径方向内方にある未加硫のゴム組成物に向けて送り込まれる。加硫装置230は、内周側金型210と外周側金型220とにより径方向で挟み込まれた未加硫成形体140に対して加硫を行う。
内周側金型210及び外周側金型220は、ベルト53を製造するうえで未加硫成形体140の周方向一部を挟み込むための金型である。加硫装置230は、ベルト53を製造するうえで、金型210,220により挟み込まれた未加硫成形体140の周方向一部に対して加硫を行うためのものである。尚、加硫装置230による加硫は、未加硫成形体140全体或いはその加硫を行うべき周方向一部を囲うケースの中で行われるものであってもよく、また、金型210,220を用いた型加熱により行われるものであってもよい。また、この加硫は、内周側金型210と外周側金型220とにより未加硫成形体140の周方向一部が挟み込まれた後、その外周側金型220が径方向外側への位置移動によってその未加硫成形体140から外された後に行われるものであってもよい。
回転装置240は、回転可能な複数(図11においては5個)のローラ241を有している。ローラ241は、内周側金型210に対して相対位置が維持されるように支持されている。ローラ241には、モータなどの動力装置(図示せず)が連結されている。ローラ241は、動力装置による回転動力の伝達により一方向に回転駆動される。尚、複数のローラ241のすべてが回転駆動される必要はなく、その一部のローラ241が回転駆動されるものであってよい。
ローラ241には、心線80と第1ゴム部材81aと第2ゴム部材82aと歯布83とからなる未加硫成形体140が巻き掛けられる。未加硫成形体140は、ローラ241に巻か掛けられた状態でそのローラ241の回転駆動により回転する。ローラ241の回転駆動は、金型210,220により挟み込まれるすなわち加硫装置230により加硫が行われる未加硫成形体140の周方向一部が周方向に所定ピッチずつずれるように行われる。尚、この所定ピッチは、例えば、第2ゴム部材82a側の内歯85間のピッチに相当する量やそのピッチの所定正数倍であってよい。
ベルト製造装置200を用いてベルト53を製造するうえでは、まず、図12に示す如く、心線80、背ゴム層81に対応する未加硫の環状の第1ゴム部材81a、歯ゴム層82に対応する未加硫の環状の第2ゴム部材82a、及び歯布83が周方向一部において、内周側金型210と外周側金型220とにより径方向で挟み込まれる。
具体的には、図13に示すルーチン中のステップS200にて、シート状の歯布83、心線80、第2ゴム部材82a、及び第1ゴム部材81aが、回転装置240のローラ241に巻き掛けられると共に、その周方向一部がその順に内周側金型210の外歯212が形成された外周側に貼り付けられる。すなわち、ローラ241への各部材の巻き掛け後、内周側金型210の外周側に歯布83が貼り付けられ、その歯布83の外周側に心線80が貼り付けられ、その心線80の外周側に第2ゴム部材82aが貼り付けられ、その第2ゴム部材82aの外周側に第1ゴム部材81aが貼り付けられる。そしてその後、ステップS210にて、外周側金型220が径方向内側へ位置移動されることにより、未加硫成形体140が内周側金型210と外周側金型220とにより径方向で挟み込まれる。この挟み込みは、所定圧力で加圧されるように行われる。
上記の如く未加硫成形体140の周方向一部が内周側金型210と外周側金型220とにより径方向で挟み込まれた状態で、ステップS220にて、加硫装置230による加硫が行われる。かかる加硫は、所定温度で加熱されるように行われる。また、これらの加圧及び加熱は、所定成形時間だけ継続して行われる。尚、上記の所定圧力は、例えば○○MPa〜△△MPaである。上記の所定温度は、例えば○○℃〜△△℃である。上記の所定成形時間は、例えば○○分〜△△分である。
未加硫成形体140の周方向一部が金型210,220により径方向で挟まれた状態で加硫装置230による加硫が行われると、その未加硫成形体140の周方向一部においてゴム部材81a,82aの加硫が進行する。この加硫進行によって、その周方向一部においてゴム部材81a,82aが一体化しかつ心線80と複合化されてその成形が行われる。この周方向一部の成形は、ベルト53の所望湾曲方向とは逆方向に撓むように、すなわち、ベルト53における背面側を周方向に収縮させかつその歯面側を周方向に拡大させるように行われる。
上記の加硫が行われることで周方向一部の成形が完了すると、加硫装置230による加硫が停止されて、外周側金型220が径方向外側へ位置移動される。また、ステップS230にて、未加硫成形体140の全周の加硫(すなわち成形)が完了したか否かが判別される。そして、未加硫成形体140の全周の加硫が完了していない場合は、その加硫を行う周方向一部としての箇所を変更すべく、ステップS240にて、回転装置240のローラ241が回転される。このローラ241の回転は、加硫を行う未加硫成形体140の周方向一部が周方向に所定ピッチだけずれるように行われる。そして、未加硫成形体140の所定ピッチだけずれた周方向一部が内周側金型210と外周側金型220とにより径方向で挟み込まれた状態で、加硫装置230による加硫が行われる。
未加硫成形体140の全周の加硫が完了した場合は、加硫装置230による加硫が停止されて、外周側金型220が径方向外側へ位置移動される。その後、ステップS250にて、全周の成形が完了したベルト53が取り出されて脱型される。このベルト53は、背ゴム層81が心線80に対して径方向外側に配置されかつ歯ゴム層82が心線80に対して径方向内側に配置された状態に形成されている。一方、ベルト53は、加硫時に撓んでいた方向とは逆方向に湾曲している。このため、ベルト53は、背ゴム層81に周方向への引張残留応力が付与されかつ歯ゴム層82に周方向への圧縮残留応力が付与されたものとなる。このベルト53は、その形成後、ベルト伝達装置50の一部としてプーリ51,52に巻き掛けられる。
このように、ベルト製造装置200すなわちそのベルト製造装置200によるベルト53の製造方法によれば、心線80に対する外周側部位である背ゴム層81に周方向への引張残留応力が付与されかつ心線80に対する内周側部位である歯ゴム層82に周方向への圧縮残留応力が付与されたベルト53を製造することができる。
尚、上記した第2例のベルト製造装置200においては、内周側金型210及び外周側金型220を、未加硫成形体140の周方向一部を挟み込むように板状に形成されたものであり、外周側金型220の全体を径方向に位置移動できるように構成することとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。図14に示す如く、本変形形態のベルト製造装置300は、内周側金型210及び外周側金型220に代えて、内周側金型310及び補助器具320を備えることとしてもよい。内周側金型310は、内周側金型210と同様に、外歯311を有する。内周側金型310は、可撓性を有するように樹脂などで構成されつつ筒状・環状に形成されている。内周側金型310には、シート状の歯布83、心線80、第2ゴム部材82a、及び第1ゴム部材81aがその順に貼り付けられる。
内周側金型310に貼り付けられた未加硫成形体140の周方向一部は、撓み発生装置(図示せず)により、図14に示す如く、内周側金型310の周方向一部と一緒にベルト53の所望湾曲方向とは逆方向に撓む。この撓み発生装置は、内周側金型310の周方向一部すなわち未加硫成形体140の周方向一部の周方向一端を径方向外側に向けて押圧することが可能である。補助器具320は、内周側金型310に対して径方向外側に配置されている。補助器具320は、例えば2つの器具321,322を有している。器具321,322は、撓み発生装置が未加硫成形体140を径方向外側に向けて押圧した際にその未加硫成形体140の外周面を支持するための器具である。尚、器具321,322は、未加硫成形体140の周方向一部の加硫時にその周方向一部がベルト53の所望湾曲形状の曲率と同じ曲率で逆方向に撓むように配置形成されていてよい。
この変形形態においては、シート状の歯布83、心線80、第2ゴム部材82a、及び第1ゴム部材81aが内周側金型310にその順に貼り付けられ、その内周側金型310を含む未加硫成形体140が回転装置240のローラ241に巻き掛けられる。そしてその後、撓み発生装置により、内周側金型310の周方向一部すなわち未加硫成形体140の周方向一部の周方向一端が径方向外側に向けて押圧される。この場合、未加硫成形体140の周方向一部は、内周側金型310の周方向一部と一緒にベルト53の所望湾曲方向とは逆方向に撓む。そして、かかる状態で加硫装置230による加硫が行われる。また、回転装置240が未加硫成形体140の周方向一部を周方向に所定ピッチずつずらしながら、上記した所望湾曲方向とは逆方向への撓み及び加硫が繰り返し行われる。そして、未加硫成形体140の全周の加硫が完了すると、全周の成形が完了したベルト53が取り出されて脱型される。
上記の脱型が行われると、背ゴム層81が心線80に対して径方向外側に配置されかつ歯ゴム層82が心線80に対して径方向内側に配置されたベルト53が形成される。このベルト53は、加硫時に撓んでいた方向と逆方向に湾曲している。このため、ベルト53は、背ゴム層81に周方向への引張残留応力が付与されかつ歯ゴム層82に周方向への圧縮残留応力が付与されたものとなる。このベルト53は、その形成後、ベルト伝達装置50の一部としてプーリ51,52に巻き掛けられる。従って、このベルト製造装置300すなわちそのベルト製造装置300によるベルト53の製造方法においても、心線80に対する外周側部位である背ゴム層81に周方向への引張残留応力が付与されかつ心線80に対する内周側部位である歯ゴム層82に周方向への圧縮残留応力が付与されたベルト53を製造することができる。
更に、上記した第2例のベルト製造装置200においては、未加硫成形体140を支持する補助器具320を用いることとしている。しかし、本発明はこれに限定されるものではない。例えば、補助器具320を用いることなく、外歯311を有する内周側金型310だけを用いて、未加硫成形体140の周方向一部をベルト53の所望湾曲方向とは逆方向に撓ませることとしてもよい。
尚、本発明は、上述した実施形態や変形例に限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で種々の変更を施すことが可能である。
1:電動ステアリング装置、30:ボールネジ機構、32:ボールネジナット、40:電動モータ、50:ベルト伝達装置、51:駆動プーリ、52:従動プーリ、53:ベルト、53a,53a−1,53a−2:噛合領域、53b,53b−1,53b−2:非噛合領域、80:心線、81:背ゴム層、81a:第1ゴム部材、82:歯ゴム層、82a:第2ゴム部材、83:歯布、85:内歯(ベルト)、100,200:ベルト製造装置、110,220:外周側金型、120,210:内周側金型、112:内歯(金型)、130,230:加硫装置、140:未加硫成形体、141:ベルト形成部材、212:外歯(金型)、240:回転装置。

Claims (9)

  1. 環状の心線と、2個のプーリそれぞれに設けられたプーリ側外歯に噛合する、前記心線に対して径方向内側に設けられたベルト側内歯と、を有し、前記2個の前記プーリに巻き掛けられる歯付きベルトであって、
    前記2個の前記プーリへの巻き掛け時における前記心線に対する外周側部位は、周方向に引張残留応力が付与されている部位であり、
    前記巻き掛け時における前記心線に対する内周側部位は、周方向に圧縮残留応力が付与されている部位である、歯付きベルト。
  2. 請求項1に記載の歯付きベルトと、前記2個の前記プーリと、を備える、ベルト伝達装置。
  3. 請求項2に記載のベルト伝達装置と、回転するモータと、前記モータの回転が前記ベルト伝達装置を介して伝達されるギヤ装置と、を備える、電動ステアリング装置。
  4. 請求項1に記載の歯付きベルトを製造する方法であって、
    前記心線、前記外周側部位に対応する第1ゴム部材、及び、前記内周側部位に対応する第2ゴム部材を、前記ベルト側内歯に対応する金型内歯を有する外周側金型と前記外周側金型に対して径方向内側に配置された内周側金型とにより径方向で挟み込んだ状態で加硫することにより、前記外周側部位が前記心線に対して径方向内側に配置されかつ前記内周側部位が前記心線に対して径方向外側に配置された環状のベルト形成部材を成形する工程と、
    前記ベルト形成部材の成形が完了した後、前記ベルト形成部材の径方向表裏を反転させることで前記歯付きベルトを形成する工程と、
    を備える、歯付きベルト製造方法。
  5. 前記歯付きベルトは、前記ベルト側内歯の表面に配設される歯布を有し、
    前記ベルト形成部材は、更に前記歯布を含み、
    前記歯付きベルト製造方法は、前記加硫の実行前、前記歯布を前記外周側金型の前記金型内歯に貼り付け、前記歯布の内周側に前記心線を貼り付け、前記心線の内周側に前記第2ゴム部材を貼り付け、前記第2ゴム部材の内周側に前記第1ゴム部材を貼り付ける工程を備える、請求項4に記載の歯付きベルト製造方法。
  6. 請求項1に記載の歯付きベルトを製造する装置であって、
    前記ベルト側内歯に対応する金型内歯を有する外周側金型と、
    前記外周側金型に対して径方向内側に配置された内周側金型と、
    前記心線、前記外周側部位に対応する第1ゴム部材、及び前記内周側部位に対応する第2ゴム部材を、前記外周側金型と前記内周側金型とにより径方向で挟み込んだ状態で加硫する加硫装置と、
    を備え、
    前記歯付きベルトの形成前、前記加硫装置が加硫を行うことにより、前記外周側部位が前記心線に対して径方向内側に配置されかつ前記内周側部位が前記心線に対して径方向外側に配置された、前記歯付きベルトの径方向表裏を反転させた環状のベルト形成部材を成形する、歯付きベルト製造装置。
  7. 請求項1に記載の歯付きベルトを製造する方法であって、
    前記心線、前記外周側部位に対応する第1ゴム部材、及び、前記内周側部位に対応する第2ゴム部材を周方向一部において、前記ベルト側内歯に対応する金型外歯を有する内周側金型に保持させつつ、前記歯付きベルトの所望湾曲方向とは逆方向に撓ませた状態で、前記周方向一部に対して加硫を行う工程と、
    前記周方向一部として前記加硫を行う箇所を周方向に所定ピッチずつずらす工程と、
    を備える、歯付きベルト製造方法。
  8. 前記歯付きベルトは、前記ベルト側内歯の表面に配設される歯布を有し、
    前記歯付きベルト製造方法は、前記加硫の実行前、前記歯布を前記内周側金型の前記金型外歯に貼り付け、前記歯布の外周側に前記心線を貼り付け、前記心線の外周側に前記第2ゴム部材を貼り付け、前記第2ゴム部材の外周側に前記第1ゴム部材を貼り付ける工程を備える、請求項7に記載の歯付きベルト製造方法。
  9. 請求項1に記載の歯付きベルトを製造する装置であって、
    前記ベルト側内歯に対応する金型外歯を有する内周側金型と、
    前記心線、前記外周側部位に対応する第1ゴム部材、及び前記内周側部位に対応する第2ゴム部材を周方向一部において、前記内周側金型に保持させつつ、前記歯付きベルトの所望湾曲方向とは逆方向に撓ませた状態で、前記周方向一部に対して加硫を行う加硫装置と、
    前記周方向一部として前記加硫を行う箇所を周方向に所定ピッチずつずらす回転装置と、
    を備え、
    前記加硫装置が全周に対して前記加硫を行うことにより、前記外周側部位が前記心線に対して径方向外側に配置されかつ前記内周側部位が前記心線に対して径方向内側に配置された前記歯付きベルトを形成する、歯付きベルト製造装置。
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US11324908B2 (en) 2016-08-11 2022-05-10 Fisher & Paykel Healthcare Limited Collapsible conduit, patient interface and headgear connector

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* Cited by examiner, † Cited by third party
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