JP2018145956A - 水力発電システム - Google Patents

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Abstract

【課題】水位の変化に追随して羽根車の沈み込み量を最適化可能な水力発電システムを提供する。【解決手段】ブレード3L,3Rを水流の強さに応じて回転体1が回動しながら水面に沈み込むように位相差を設けて交互に複数対配置した羽根車10と、羽根車10の支持フレーム21を連結部材24で水流に対して垂直方向に連結した支持フレーム本体と、支持フレーム21と羽根車10を連結する支持・連結部22と、羽根車10が水流の強さに応じて回動しながら水面に沈み込むように一方が回転軸2を回動自在に軸支し、他方が支持連結部材22に回動自在に設けられた懸架部23と、から構成した羽根車の懸架・支持装置20と、を備えた水車と、発電機と、から構成され水位および/または水流に応じて沈み込み量調整装置と水位を増加させる水位増加装置を備えている。【選択図】図1

Description

本発明は、水力発電システムに関する。より詳しく述べると、羽根車を水面に浮かべ水流により回転するタイプの水車およびこれを用いた水力発電システムに関する。
近年、自然エネルギが注目されており、特に、昼夜、年間を通じて安定した発電が可能であり、設備利用率が50〜90%と高く、太陽光発電と比較して5〜8倍の電力量を発電可能であり、出力変動が少なく、系統安定、電力品質に影響を与えない、太陽光発電と比較して設置面積が小さい等の観点から、環境配慮型の発電として小水力発電が注目されている。
小水力発電の規模は。世界的には各国統一されていないが、概ね「10,000kW以下」であるといわれている。さらに別の区分では1000kw以下の発電をミニ水力発電とよび100kw以下の発電をマイクロ水力発電と呼ぶこともある。
発電方式の分類では、小水力発電は、「流れ込み式」、または「水路式」となり、大規模ダム(貯水池式)、中規模ダム(調整池式)ではなく、河川の水を貯めること無く、そのまま利用する発電方式であり、一般河川、農業用水、砂防ダム、上下水道など、現在無駄に捨てられているエネルギを有効利用する発電である。
このような水力発電として、特許文献1および特許文献2には、下掛け水車を用いた発電形式が採用されている。
すなわち、特許文献1では、流量の少ない水路における発電効率を高めることを目的とした従来の下掛け水車装置として、図17に示すように、用水路を流れる水101に下方の一部が浸るように立てて配置され、同一の方向に回転可能に配置された1対の水車110、120と、水車110、120に連接されて無端軌道をなし、水車110、120を一体として同一の方向に回転可能にする動力伝達部材130と、動力伝達部材130に固定され、用水路を流れる水101の動力を受けて無端軌道の周りに回転する複数の水流受部140と、上方に位置する動力伝達部材130及び水流受部140を支持する支持部材と、を備えた構成を有する下掛け水車装置が開示されている。
また、特許文献2では、流量の少ない水流の水力エネルギを有効活用することができるとともに、水流の淀みの発生を低減することができるようにすることを目的として、図18および図19に示す通り水路の横断方向かつ水平方向に延びる軸周りに回転自在に支持される回転体11と、互いに間隔をおいて回転体211の軸方向の両側にそれぞれ設けられた一対のブレード212とを備えている下掛け水車用の羽根車202が開示されている。特許文献2において、各ブレード212は、互いに間隔をおいて回転体11の周方向へ列設されるとともに、該回転体211の略半径方向に突設された複数の羽根13を備えており、各羽根213は、回転体211の略最下位に位置した状態で、水路210の上流側の面が、回転体211の軸方向中央側になるほど、下流側に位置するように配設されている。
特許文献3には小川等の流量・流速が比較的少ない場所に設置する水車として、図20に示すような円筒型の回転体301の周面に山形紋様のブレード302を設け、両回転軸304をハーネス313で回動自在に保持するとともにハーネス313の他端をフレーム315に固定されたピボット314により回動自在に支持し、フレームを設置支柱316により設置する水車が開示されている。
しかしながら、特許文献1および特許文献2の発電方式では、10kwの発電を目的としたものであり(小水力発電)、これらの装置を数10kwから数100kwの出力を行う装置とすることは非常に困難である。
さらに、特許文献2に記載の水車は、受水能力が低く、同一の水量・流速で十分な受水量を確保することができない。また、特許文献2に記載の水車をスケールアップしても従来の下掛け水車の製造コストよりも高くなり、また、現場で搬送するのも困難である。そのため数10kwから数100kw規模の発電効率の高い、安価な発電可能な小水力発電システムに対する要望がある。
しかしながら、特許文献1から特許文献3の発電方式では、10kw程度まで発電を目的としたものであり(小水力発電)、これらの装置を数10kwから数100kwまたはそれ以上の電力を出力する装置を構成することは非常に困難である。
さらに、特許文献2および特許文献3に記載の水車は、受水能力が低く、同一の水量・流速で十分な受水量を確保することができない。また、特許文献2に記載の水車をスケールアップしても従来の下掛け水車の製造コストよりも高くなり、また、現場で搬送するのも困難である。また、特許文献2に記載の水車は、流路上に構成するため、設置場所に制限がある。
また、特許文献3に記載の水車は、河川や水路等に設置するタイプの水力発電装置であり、効率的に水流を受けることができず、流速が増加した場合には空回りする恐れがある。したがって、比較的流れが穏やかな河川や水路に設置場所が限定される。
そのため設置場所を選ばず、数10kwから数100kw規模またはそれ以上の電力を安価で効率よく発電可能な発電装置に対する要望がある。そこで、本発明者等は、設置場所を選ばず、エネルギ変換効率の高い水車に基づいた水力発電装置として、水流を受けて回転する左右両側面に回転軸を有する回転体と、前記回転体の回転面の幅方向中心から端部まで上流側から下流側に向かって傾斜を有するブレードを水流の強さに応じて前記回転体が回動しながら水面に沈み込むように左右両側に位相差を設けて交互に複数対配置した羽根車と、水流の方向に平行して前記羽根車を取り囲むように立設する一対の支持フレームを連結部材で水流に対して垂直方向に連結してなる支持フレーム本体と、前記一対の支持フレームを所定の高さで連結し、前記羽根車を支持する支持・連結部と、前記羽根車が水流の強さに応じて回動しながら水面に沈み込むように一方が前記回転体の両回転軸を回動自在に軸支し、他方が前記支持連結部材に回動自在に設けられた懸架部と、から構成した羽根車の懸架・支持装置と、を備えた水車と、前記水車の回転軸からの出力を電力に変換する発電機と、を備えた水力発電装置を提案した(特許文献4)。
特許第3993220号公報 特開2009―174480号公報 英国特許出願GB−2463113A号明細書 特開2014−140802号公報
特許文献4に記載の水車は、水流の強さに応じて沈み込みする羽根車と、前記羽根車を沈み込み自在に懸架する懸架部を有する羽根車の懸架・支持装置とから構成されている。そのため、水流の強さに応じて羽根車が沈み込んで回転することとなる。羽根車が沈み込むと羽根車に備えられたブレードがより大量の水を受水することとなる。これにより、同じ水流の強さ(流量・流速)で同一サイズの羽根車と比較して高いエネルギを受けこれを出力することが可能となる。また、本発明の水車は、水面に浮遊させて回転させるタイプの水車であるので河川、用水路等の水路に設置しあるいは洋上に船舶、筏、ブイ等により固定して潮流・海流、船舶の走行による水流等の水流により高出力で回転させることが可能である。したがって、本発明の水車の設置の自由度はきわめて高い。そのため、このような水車に基づく本発明の水力発電装置は、高出力、設置自由度の高が高く、水力発電装置および水力発電システムは、同一の条件でより高出力で発電可能である。
しかし、この水力発電装置における水車は、ほぼ同様の幅であっても、設置個所の条件に応じて水位(水面から水底までの距離・水量)が異なり、これらの水位に応じて水車そのものを設計して制作・設置しなければならなかった。そのため、制作時間が長期化し・制作コストが高騰してしまう。
また、同じ設置個所でも季節等によってあるいは農業用水路に設置する場合には灌漑期、非灌漑期によって水位が大幅に異なる場合がある。このような場合、特許文献4に記載の水車では水量に追随した発電量を得ることが不可能である。また、場合によっては、水位が少ない場合には水車を停止する必要が生じてしまう。
したがって、水流の強さに応じて沈み込みする羽根車と、前記羽根車を沈み込み自在に懸架する懸架部を有する羽根車の懸架・支持装置とから構成された水車を用いた水力発電システムにおいて、広い範囲の水位に対応できる水力発電システムを提供することである。
本発明の別の課題は、水流の強さに応じて沈み込みする羽根車と、前記羽根車を沈み込み自在に懸架する懸架部を有する羽根車の懸架・支持装置とから構成された水車を用いた水力発電システムにおいて、水位の変化に追随して羽根車の沈み込み量を最適化可能な水力発電システムを提供することである。
上記課題は、下記項目により解決される。
1 水路内に設置し、水流を受けて回転する左右両側面に回転軸を有する回転体と、
前記回転体の回転面の幅方向中心から端部まで上流側から下流側に向かって傾斜を有するブレードを水流の強さに応じて前記回転体が回動しながら水面に沈み込むように左右両側に位相差を設けて交互に複数対配置した羽根車と、
水流の方向に平行して前記羽根車を取り囲むように立設する一対の支持フレームを連結部材で水流に対して垂直方向に連結してなる支持フレーム本体と、
前記一対の支持フレームを所定の高さで連結し、前記羽根車を支持する支持・連結部と、前記羽根車が水流の強さに応じて回動しながら水面に沈み込むように一方が前記回転体の両回転軸を回動自在に軸支し、他方が前記支持連結部材に回動自在に設けられた懸架部と、から構成した羽根車の懸架・支持装置と、
を備えた水車と、
前記水車の回転軸からの出力を電力に変換する発電機と、を備えた水力発電装置とを備えた水力発電装置であって、
さらに、設置する前記水路の水位および/または水流に応じて(A)前記水車を水底に衝突しない位置に規制または固定して沈み込み量を調整する沈み込み量調整装置と、または(A)前記沈み込み量調整装置と(B)水位を増加させる水位増加装置を備えたことを特徴とする水力発電システム。
2 前記水位調整装置が前記支持連結部の上流側に接合して設けられ、支持連結部材と一体化して水路の水面側に水車を固定するための第1の堰固定部と、
前記第1の堰固定部に対して垂直に設け、前記第1の堰固定部を水底へ固定するための第2の堰固定部と、前記第2の堰固定部の水底側に設けられ上流側から水車側へ向かうに従って水面への距離が近くなる落差創出板とから構成された落差可変堰であることを特徴とする1に記載の水力発電システム。
3 前記落差創出部は、水量に応じて上流側から水車側へ向かうに従って水面への距離を可変に設けたことを特徴とする2に記載の水力発電システム。
4 前記可変堰は、さらに前記落差創出板と連続して嵩上げされた水流を解放する水流解放板が設けられていること特徴とする2に記載の水力発電システム。
5 前記落差創出板は、水路内の水位に応じて落差を創出することを特徴とする2から4のいずれか1項に記載の水力発電システム。
6 前記水位調整装置が底部が水底に配置されるように構成された支持連結部と前記支持連結部と水底で接続され、水底に固定された堰固定部と、前記堰固定部に設けられ上流側から水車側へ向かうに従って水面への距離が近くなる落差創出板と、前記落差創出板と連続して設けられた嵩上げされた水流を解放する水流解放板とから構成された可変堰であることを特徴とする1に記載の水力発電システム。
7 前記落差創出板には上流側からの水流を下流に案内する水流案内部が設けられていることを特徴とする6に記載の水力発電システム。
8 前記落差創出板と前記水流解放板とは一端側が前記堰固定部と回動可能に接続され他端側が両板を回動可能に支持軸により軸支され、前記支持軸の垂直方向の移動により所定の落差を創出することを特徴とする請求項6に記載の水力発電システム。
9 前記沈み込み量調整装置は前記羽根車の回転軸に設けられた電磁ブレーキであり、さらに前記電磁ブレーキにより生じた熱を回収する蓄熱部が備えられていることを特徴とする1から8のいずれか1項に記載の水力発電システム。
本発明の水車は、水流の強さに応じて沈み込みする羽根車と、前記羽根車を沈み込み自在に懸架する懸架部を有する羽根車の懸架・支持装置とから構成されている。
そのため、水流の強さに応じて羽根車が沈み込んで回転することとなる。羽根車が沈み込むと羽根車に備えられたブレードがより大量の水を受水することとなる。これにより、同じ水流の強さ(流量・流速)で同一サイズの羽根車と比較して高いエネルギを受けこれを出力することが可能となる。また、本発明の水車は、水面に浮遊させて回転させるタイプの水車であるので河川、用水路等の水路に設置しあるいは洋上に船舶、筏、ブイ等により固定して潮流・海流、船舶の走行による水流等の水流により高出力で回転させることが可能である。したがって、本発明の水車の設置の自由度はきわめて高い。そのため、このような水車に基づく本発明の水力発電装置は、高出力、設置自由度の高が高く、水力発電装置および水力発電システムは、同一の条件でより高出力で発電可能である。
さらに本発明の水力発電システムは、設置する前記水路の水位および/または水流に応じて(A)前記水車を水底に衝突しない位置に規制または固定して沈み込み量を調整する沈み込み量調整装置と、または(A)前記沈み込み量調整装置と(B)水位を増加させる水位増加装置を備えたことで、水路の水位に応じて広範囲で本発明の水力発電システムを稼働することが可能となる。
本発明の実施形態に係る水車を示す図面である。 本発明の実施形態で使用する羽根車の一例を示す斜視図である。 本発明の羽根車の沈み込みの現象を説明する説明図である。 (a)およびb)は、各々本発明の羽根車の一実施形態を示す斜視図である。 本発明の水車の懸架・支持装置の一実施形態を示す斜視図である。 本発明の水車を設置箇所に固定する様子を示す図面である。 本発明の水車を水路に設置した状態を示す図面である。 (a)および(b)は、各々本発明の水力発電装置の一例を示す図面である。 本発明の発電機を組み込んだ水力発電装置の一例を示す図面である。 本発明の発電機を組み込んだ水力発電装置の別の一例を示す図面である。 本発明の発電システムの一例を示す図面である。 本発明の実施形態にかかる水力発電システムを示す図面である。 図12に示す水力発電システムにおける可変堰を示す図面である。 (a)から(d)は、本発明の第2実施形態にかかる水力発電システムを示す図面である。 (a)および(b)は図14に示す水力発電システムを壁面の異なる水路に設置した様子を示す図面である。 (a)から(d)は、本発明の第2実施形態にかかる水力発電システムを示す図面である。 従来技術の下掛け水車の一例を示す図面である。 従来技術の下掛け水車の羽根車の一例を示す図面である。 図18に示す羽根車を搭載した水車の一例を示す図面である。 従来技術の浮遊型の水車の羽根車の一例を示す図面である。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
本発明は、 図1および図2に示す通り水流に浮かべて回転させるための羽根車10と羽根車10を懸架・支持するための懸架・支持装置20とから主として構成され、懸架・支持部装置20は、羽根車10を沈み込み量に応じて鉛直方向(すなわち羽根車の沈み込み方向およびその逆方向)に移動可能に懸架・支持した水車から構成されている。
(定義)
このような本発明の水車の説明において、本明細書で使用する用語は下記の意義を有する。
「水流」とは、水車の羽根車を回転させる水の流れであり、河川や用水路に代表される水路等の高低差を有する水の流れによって発生する水の流れや潮流・海流等の水の流れや船舶の走行によって生じる水の流れを含むことを意味し、「水流の強さ」とは、流速の速さおよび流量の大きさを意味する。また、「水流」とは、潮流や海流に代表される潮の流れや海水の流れを含むことを意味する。
「水路」とは、本発明の水車を設置する場所を言い、河川・用水路等に加えて、例えば双胴船やアウトリーガ等に代表される船体間に本発明の水車を設置する場合に両方の船体で構成される水の流れる流路を含むことを意味する。
「水位」とは、水路内に設置された水車の水面から水底までの距離(深さ)を言う。
「沈み込み」とは、水流のない水面に羽根車を浮かべた際の羽根車の水に沈む部分(羽根車の埋没量)と比較して、羽根車が水流を受けて回転した際の羽根車の水に沈む割合(すなわち、羽根車の水中埋没量)が増加することを意味し、沈み込みの割合が増加した割合を「沈み込み量」という。
「位相差」とは、水流を受ける左右のブレードが左右同時に水流を受けるのではなく左右交互に受水することを意味する。
また、本発明の羽根車(水車)は、水流方向を「縦方向」と呼び、水流に対して垂直方向を幅方向と呼ぶ。また、羽根車の入水側(上流側)を「前方」と呼び、出水側(下流側)を「後方」と呼ぶ。
「浮体」、「半浮体」および「固定」とは、本発明の水車を水路内の水面に浮かべた際に水車が自由に沈み込みしながら回転すること(「浮体」)、水底などに水車のブレードが接触しないように所定範囲で沈みこみが規制された状態で水車が回転すること(「半浮体」)、そして水底などに水車のブレードが接触しないように水車を完全に固定した状態で水車が回転すること(「固定」)を各々意味する。
このような水車の運転モード、すなわち「浮体」、「半浮体」および「固定」は水車を設置する水路の水位に関連して決定される。すなわち、水路に十分な水位がある場合(例えば、水車が埋没しない量の水位、すなわち水車の直径の3/4以上の水位がある際には水車が回転に伴い水底にブレードが接触することはない。逆に、水位が水車半径以下の場合、水車を固定したとしても水車を運転することは不可能である。したがって、本発明の水車は、水路の水位が水車の半径以上で動作し、直径以上で浮体モードとして性能が十分に発揮される。
したがって、同等の川幅(水車幅)であっても、従来技術では水路の水位条件によって設置できたりできなかったりする。また、同一の水路においても時間的条件によって水位が変化する場合がある。このような水位変化が運転不能から浮体モードにまでわたる場合には、停止期間と運転期間を設けて水車を運転管理をする必要がある。
本発明は、このような本発明の水車に基づく水力発電システムを適用するにあたって、水路の水位に実質的に無関係に連続して運転できる仕組みとして、沈み込みする水車の沈み込み量を調整する手段と、水位不足の際に最低限の水位を確保するための水位調整手段を組み合わせることによって水車の運転可能状態を拡張できるという技術的思想に基づくものである。以下、本発明を詳細に説明する。
(水車:概要)
図1および図2に示す通り、本発明の水車は、水流に浮かべて回転させるための羽根車10と羽根車10を懸架・支持するための懸架・支持装置20とから主として構成され、懸架・支持部装置20は、羽根車10を沈み込み量に応じて鉛直方向(すなわち羽根車の沈み込み方向およびその逆方向)に移動可能に懸架・支持している。
羽根車10は、水流を受けて回転する左右両側面に回転軸2を有する回転体1と、回転体1の回転面の幅方向中心から上流側から下流側に向かって傾斜を有するブレード3L,3Rを水流の強さに応じて回転体1が回動しながら水面に沈み込むように左右両側に位相が生じるように交互に備えている。
一方、懸架・支持装置20は、水流の方向に平行して前記羽根車を取り囲むように立設する一対の支持フレーム21と、一対の支持フレーム21の所定の高さで連結し、羽根車10を支持するための支持・連結部材22に設けられ、羽根車10を懸架するための懸架部23とから主として構成されている。
このように本発明の水車は、鉛直方向にのみに羽根車10を移動可能にした懸架部23を備えた懸架・支持装置20に懸架・支持された羽根車10から構成され、水流を有する水面に設置した際に水流の強さに応じて羽根車10が沈み込みを行いながら回転する新規タイプの水車である。水流が強い場合(例えば、流量が多くなる場合・流速が速くなる場合)、懸架部23により鉛直下向に羽根車10は移動し、水中に沈みこむ体積(すなわち、羽根車10の水中埋没量)が増えた状態で回転する(高速回転)。一方、水流が弱くなると、羽根車10の水中埋没量が減少し、懸架部23により鉛直上方に移動する。このように、本発明の水車は、水流の強さに応じて懸架部23により自動的に羽根車10の沈み込み量を変化させて羽根車10が回転する新規タイプの水車である。
このような羽根車10を鉛直(重力方向)に移動可能に水流がある面に設置すると、水流の強さ(流速)に応じて羽根車10が鉛直方向に沈み込むことを見出した。同一の水流の強さの水流で沈み込みを起こした場合と、沈み込まない場合とを比較すると沈み込み量が増加するにしたがって羽根車10の回転数が増加することを見出した。なお、沈み込み量の上限は、羽根車10が完全に陥没して、水車として機能しない量(すなわち、羽根車10が回転しない量)であり、羽根車全体の容積の40%程度である。
そのため、同一の水流で沈み込みを行う羽根車10を採用した場合、回転軸を固定した従来の水車と比較して、回転軸2からの出力が増加する。このような回転軸2に発電機を設けると沈み込みをしない固定回転軸の従来の羽根車と比較した場合、高い発電量で発電可能となる。発電量については、羽根車の受ける水流(流速・流量)、ブレードの設置の仕方により相違があるが、沈み込みにより受水量の増加と鉛直方向への揚力を励起した水車の場合、沈み込みがない固定軸水車と比較して凡そ5〜11倍の電力を出力することが可能である。
本明細書において「沈み込み量」とは、羽根車を水面に浮かべた際の羽根車の水に沈む部分に対する羽根車が水流を受けて回転した際の羽根車の水に沈む部分の増加量を意味する。この沈み込み量が増加するのにしたがって、羽根車10の水の捕捉量、すなわち受水量が大きくなる。すなわち、沈み込み量が増加するのにしたがって流水のエネルギ捕捉量が増加する。
図3に示す通り、沈み込みは、羽根車全体の浮力と羽根車10を回転させるための水流(例えば、流速および流量)と位相を有するブレード3L,3Rの関係により生じるものと推測できる。
すなわち、水流を受けない状態で水面に所定の浮力を有する本発明の羽根車を浮かべた際の喫水線(沈み込み前)とし、このような状態で、所定の入水角を有する左右交互に設けられた位相差を有するブレード3L,3Rが水流1を受けると羽根車10が回転する。水流1による回転により、水流を受けたブレードにより下方側へ向かう水流2と変換される。なお、下向きに変換された水流は、再び水平方向の流れとなって羽根車を通過することとなる(水流3)。
そのため、羽根車10は流速に応じて水流内部の圧力低下現象が励起され、水車後部の減圧現象から水車後部の水面低下として水流内に於ける落差に相当する現象が生じ、下向きの揚力により沈み込みが生じるものと考えられる(沈み込み後喫水線)。羽根車10の回転軸2が鉛直方向に移動可能に支持した懸架部23により、羽根車10は水流に応じて下方に沈み込みを行うこととなる。この沈み込み前後の水流の落差により、羽根車10は沈み込んだ量だけ位置エネルギをうけるものと推察される
なお、特許文献2に記載のような羽根車は、羽根車の中心部分に空間が設けられているので左右の両ブレードに十分に水が受水できずに拡散してしまうのでブレードに十分な力が加わらず、一方特許文献3に記載のような羽根車は、左右両側に受水した水が拡散してしまうので十分な力が加わらない。これに対して、本発明においては左右交互にブレード3L,3Rを設けたので、水流を受けると例えば左側ブレード3Lと次の左側ブレード3L間に受水しこれを保持した後に外側に流れ、右側ブレード3Rと次の右側ブレード3R間に受水しこれを保持した後に外側に流れ、左右交互のブレード3L,3Rに水流の力を受けることとなる。そのため、例えば自転車のペダルを交互に踏むのと同様に羽根車に非常に強い回転力が生じるものと推察できる。
さらに、本発明のようにこのような羽根車を鉛直方向に移動可能に(すなわち水流の強さに応じて自由に羽根車を移動可能に)軸支することによって初めて沈み込みによる位置エネルギを出力可能となる。また、羽根車が沈み込むほど各ブレードの受水量が増加する。そのため、運動エネルギ(質量m)の増加に伴い、下向きの揚力の励起、並びに水流内部の減圧による位置エネルギの創出が可能となり、高い出力能力を有する水車が提供される。また、後述の実施例によると、沈み込みにより羽根車10の単位時間当たりの回転数(rpm)が増加することがわかった。
(羽根車)
このように水流の強さに応じた沈み込みを発生させる本発明の羽根車10は、前述の通り、水流を受けて回転する左右両側面に回転軸2を有する回転体1と、回転体1の回転面の幅方向中心から上流側から下流側に向かって傾斜を有するブレード3L,3Rを水流の強さに応じて回転体1が回動しながら水面に沈み込むように左右両側に位相が生じるように交互に備えている。すなわち、左右両側に沈み込むように交互にブレード3L,3Rを配置して水流を受けた際に左右両側のブレード3L,3Rに位相が生じるように幅方向中心から左右交互にブレードを回転体1の周方向に所定間隔で設けている。
すなわち、左右両側に沈み込むように交互にブレード3L,3Rを配置して水流を受けた際に左右両側のブレード3L,3Rに位相が生じるように幅方向中心から左右交互にブレードを回転体1の周方向に所定間隔で設けている。
本発明の好ましい実施形態において、本発明の羽根車10におけるブレード3L,3Rの数は、回転体1のサイズにもよるが4から15対(8から30枚)、好ましくは6から10対(12から20枚)である。また、羽根車10全体の高さに対するブレード3L,3Rの高さの比率は0.1から0.3、好ましくは0.3から0.2である。
このようにブレード3L,3Rを交互に配置した羽根車10が水流を受けると水流の抵抗を抑え効率的に羽根車10を回転させ、懸架部23により水面に対して鉛直方向に羽根車10の移動方向を規制することにより、羽根車10は水流の強さに応じた回転速度で回転し、水流の強さに応じて沈み込み量で沈み込む。
このように本発明の羽根車10を効率的に沈み込みを行わせるために、羽根車10の浮力が重要な要素である。浮力(水に対する)は、一般的に羽根車全体の比重と関連し、比重が小さいほどより大きな浮力が発生する。本発明においては、羽根車の水に対する比重は、0.05から0.3、好ましくは0.1から0.2である。このような比重を実現するために、本発明では、回転体1およびブレード3L,3Rを各々発泡樹脂で構成し、必要に応じて当該樹脂をコーティングすることが好ましい。特に、好ましい発泡樹脂として日本合成化学工業株式会社からからエフレタンの商品名で販売されているエフレタンが好ましい。
なお、本発明の羽根車10の回転効率を増加させるために、図4(a)に示すよう、ブレード3L,3Rの回転軸2側(出水側)にアール部3’を設けることが好ましい。このようにアール部3’を設けることによりレード3L,3Rへ流入した水の抵抗値が少なくなり(水抜けがよくなり)、効率的に羽根車10が回転する。このアール部3’は、ブレード3L,3Rと同一の素材で一体成形することも可能であるが、金属製、例えば鋼板やステンレス鋼板やなどの素材を用いることもでき、このような素材でアール部3’を形成することによりブレードを保護する作用も有している。
さらに、本発明の好ましい実施形態では、図4(b)に示す通り、羽根車の両側面、すなわち出力側の両側面にブレードを覆うように受水案内板4を設けることが好ましい。このように受水案内板4を設けることにより、水流を効率的に羽根車内で捕捉することが可能である。なお、受水板案内板4のブレード3L,3Rの後方部分に受水した水を逃がすような逃水部(図示せず)を設けることが好ましい。このような逃水部を設けることによりブレード3L,3Rで受水した水流をブレード3L,3Rの後方に効率的に逃がすことが可能となる。
また、本発明の羽根車10において、ブレード3L,3Rは、特に限定されないが、回転体1の幅方向(水流に対して直角方向)に対して、5から35度の角度範囲内であることが羽根車10の効率的回転のために好ましい。
(懸架・支持装置)
次に、本発明の懸架・支持装置20について説明する。図1に示す通り、本発明の懸架・支持装置20は、羽根車10を沈み込み量に応じて鉛直方向(すなわち羽根車の沈み込み方向およびその逆方向)に移動可能に懸架・支持する装置である。
このような懸架・支持装置20は、図1に示す通り、各々側面視、一対の三角形状の支持フレーム21を、羽根車10を取り囲むような幅で立設し、連結部材24で連結して構成される支持フレーム本体と、一対の支持フレーム21の所定位置で連結し、羽根車10を支持する支持・連結部22と、羽根車10が水流の強さに応じて回動しながら水面に沈み込むように一方が前記回転体の両回転軸を回動自在に軸支し、他方が前記支持連結部材に回動自在に設けられた懸架部23とから主として構成されている。
支持フレーム21、連結部材24、支持・連結部22は、本発明の水車を使用する環境で変形・破壊しないような強度を有する、金属、木材、強化プラスチックおよびこれらを組み合わせた材料製の棒状体または板状体である。また、支持フレーム21は、羽根車10を支持・懸架した際に羽根車10の機能を十分発揮させるために三角形状が好ましいが、本発明の作用・効果が発揮できれば形状は特に限定されるものではない。なお、連結部材24は、一般に図1に示す通り頂部で支持ブレーム21を連結するが、羽根車10を懸架した状態で設置箇所に暗転して懸架・支持装置を設置するために羽根車10の回動を阻害しない範囲で支持フレーム20の底部、特に前側底部を連結することが好ましい。
このように構成された支持フレーム21本体の幅方向所定位置、すなわち、水中に浮かべた際に羽根車10が沈み込みを行いながら回転できるような位置に懸架部23を回動自在に支持する支持・連結部材20を固定する。一般的には、上流側の支持フレーム21の幅方向の所定の位置、好ましくは下方側(低い位置)に支持・連結部材21を取り付け、上流側から下流側に羽根車10を浮かべた上体で羽根車10を支持することが好ましい。
このようにして取り付けられた支持・連結部材21に懸架部23を回動自在に設けるが、懸架部23は、図1に示す通り、支持・連結部財21側に回動自在に取り付けられた1本の懸架部が羽根車10の回転を阻害しないように途中で分岐して両側の回転軸2を回動可能に軸支するいわゆるアーム形状であってもよく、あるいは、図5に示す通り、二本の平行な支柱を各々一端を支持・連結部材21に他端を回転軸2に回動自在に軸支するような長方形状であってもよい。
なお、支持・連結部材21側の回動範囲は、定常状態(水流を受けないで羽根車10が浮かぶ状態)から想定する最大沈み込み状態(羽根車10が水没しないで機能を有するような沈み込み状態あるいは後述する発電機の定格動作可能条件まで沈み込む状態)の範囲とすることが好ましく、より好ましくは図5に示す通り、沈み込み量を規制する沈み込み量調整部25を設ける。
沈み込み量調整部25は、図5に示す通り例えば懸架部23と支持フレーム21の頂部に設けた連結部材とを想定する最大沈み込み量に見合った長さの紐状体(チェーン、ゴムベルト、ワイヤ等)により接続することによって達成でき、あるいは、支持・連結部材側に回動を規制するストッパを設けることにより達成できる。
また、本発明の別の好ましい実施形態において、例えば予期せぬ増水時に羽根車10を水面から引き上げる引き上げ機構を設けることができる。このような引き上げ機構として、例えば懸架部23と支持フレーム21の頂部に設けた連結部材とを想定する最大沈み込み量に見合った長さの紐状体(チェーン、ゴムベルト、ワイヤ等)により接続し、このような紐状態を巻き上げる巻上げ機構により達成できる。
なお、例えば図5に示す通り上部の接続部24は、広告、案内情報等の各種情報を表示する情報表示部を備えていてもよい。
なお、本発明の好ましい実施形態において、懸架部23の質量は、羽根車10を水面に浮かべた際に沈み込みが起こらないような質量であることが好ましい。このような質量は、水車の体積、比重、特に浮力に応じて適宜設定され、水車の体積の半分に相当する浮力以下であることが好ましい。このように、構成することによって、羽根車10に過負荷がかからず、安定した動作が見込める。また、このように構成すると、水流を受けない際の沈み込みがなくなり、水流の強さに応じて自動的に羽根車の沈み込みが生じるので、特別な制御なしで、水流の強さに応じた羽根車の出力が可能となる。
また、本発明の別の好ましい実施形態において、本発明の水車は、懸架・支持装置20を、本発明の水車の設置箇所に設置するための設置手段を設けている。すなわち、図5に示す通り、本発明の水車は、支持フレーム21の前側と後ろ側に支持フレーム21に対して垂直方向に固定する固定部材26を支持フレーム21底部に直接あるいは桁材27を介して取り付けた構成を有する。
また、図6に示す通り、固定部26の先端部分には設置箇所と固定するための固定手段26aを備えていることが好ましい。
このように、本発明の水車に固定部を設けることにより、特別な設置工事を施さずに本発明の水車を配置固定することが可能となる。図7に示すように水路の幅後方に延びる固定部26と用いて水路に橋渡しして極めて容易に設置することが可能である。
また、固定部26を設けることにより、例えば、従来水路などに水車10を設置する場合には工事が必要であったのに対して、本発明の水車10では、水路に固定装置20を幅方向に亘って配置し、設置箇所28に固定部26aで固定するだけで水車10を設置することが可能となる。
以上、説明した本発明の水車は、水流の強さに応じて羽根車10が自動的に沈み込む構成としたので、羽根車10の沈み込みにより生じる力(浮力相当)が生じ、トルクが増加するのと同時に、沈み込みにより高い効率で受水するために生じる回転数の増加により、同一サイズの固定軸型の水車に比較して、格段に高いエネルギを出力可能となる。しかも、本発明の水車は、水面に浮遊させて回転させるタイプの水車であるので河川、用水路等の水路に設置しあるいは洋上に船舶、筏、部位等により固定して潮流・海流により高出力で回転させることが可能である。したがって、本発明の水車の設置の自由度はきわめて高い。
(水力発電装置)
次に、本発明の水力発電装置50について、説明する。
本発明の水力発電装置50は、上述した羽根車10が沈み込み可能に支持された水車における羽根車10の回転軸2からの出力を電力に変換する周知の発電機30を備えた構成を有している。
例えば、図8(a)に示す通り、発電機30は、懸架部23に設けてもよく、あるいは図8(b)に示す通り一方の側の支持フレーム21上に設けてもよい。また、図8(a)、図8(b)に示す通り、発電機30は、回転軸21の回転を増速するために増速用のギア31、32およびプーリ33を介して回転軸2と接続することが好ましい。
あるいは、本発明の好ましい実施形態においては、図9に示す通り羽根車10の回転体1の内部に内蔵することも可能である。
このような発電機30は、水力発電分野に周知の発電機から、本発明の水車の適用形態(河川、水路へ浮かべて発電装置として使用、洋上に浮遊させて潮力等により発電する発電機として使用等)、発電規模、価格等を考慮して適宜選択できるが、本発明の好ましい実施形態において、多極コアレス発電機が好ましい。あるいは、図10に示す通り、回転軸2をシャフトドライブ34を介して高圧エアポンプまたは油圧ポンプ等のポンプ35に圧送・循環し(エアの場合は端末解放)、エアタービン型発電機、フライホイール型相反回転発電機、油圧発電装置等の発電機(図示せず)により発電することも可能である。
そして、発電機30により変換された電力は、従来周知の方法によりキャパシタを介してあるいは集電装置を介して取り出される。
このようにして、本発明の水車の回転軸からの出力を電力に変換する本発明の水力発電装置50は、前述の通り、水流の強さに応じて羽根車が自動的に沈み込む構成としたので、羽根車の沈み込みにより生じる力(浮力相当)が生じ、トルクが増加するのと同時に、沈み込みにより高い効率で受水するために生じる回転数の増加により、同一サイズの固定軸型の水車に比較して、格段に高い電力を出力可能となる。
(水力発電システム)
次に、このような水力発電装置50を備えた水力発電システムについて説明する。
本発明の水力発電システムの特定の実施形態において、本発明の水力発電装置50を河川、水路等の設置箇所に設置して上流側から下流側に高低差によって生じる水流に基づく発電システムを構築することができる(例えば、図7参照)。
本発明の好ましい実施形態においては、例えば図11に示す通り、例えば用水路等の水路に直列に本発明の水力発電装置50を1台または複数台設置して水力発電システムを構築可能である。
また、本発明の特定の実施形態において、河川等にバイパスの用水路を設け、このような用水路に本発明の発電装置50を1台または並列および/または直列方式で複数台設置して発電システムを構築する。この際に、例えば図5および図6に示す固定部26および固定手段26aを有する本発明の発電装置50を用いて、用水路の壁面に固定手段26aに対応する固定手段を設けると発電システムを容易に構築可能である。したがって、このように用水路を用いた発電システムの構築方法も本発明の範囲内である。
本発明は、このような本発明の水力発電システムにおいて、少ない水位でも運転可能とし、また水位の状態に応じて運転モードを切り替えて運転可能であることを特徴とするものである。
(第1実施形態)
図12に示す通り、本発明の第1実施形態において、水位増加装置として可変堰60を水車の上流に設ける。可変堰60は、図13に示す通り、支持連結部材20と一体化して水路の水面側に水車を固定するための第1の堰固定部61と、第1の堰固定部61に対して垂直に設け、前記第1の堰固定部61を水底へ固定するための第2の堰固定部62と、前記第2の堰固定部の水底側に設けられ上流側から水車側へ向かうに従って水面への距離が近くなる落差創出板63とから構成される。
このように構成することにより、図13に示す通り、落差創出板63の可動により落差が設けられる。この落差により、水位が上昇し、従来では水路の水底にブレードが接触して羽根車10が回転できないような状態であっても羽根車10が回転するのに十分な水位を確保することが可能である。なお、この際に沈み込み調整部25は、羽根車10を懸架・支持装置20に固定させ固定モード、すなわち羽根車10を沈み込みさせないで回転させる。
また、本発明の好ましい実施形態では落差創出板64からの水流を落差創出板64と連続して落差創出板64の頂部に至った水流の水圧を解放する水流解放板64と接続されていることが好ましい。本実施形態においては、懸架・支持装置20の懸架部23に固定され羽根車10の下方側を覆うように落差創出板63と連続して設けられたガイドベーン64が水流解放板の役割を果たす。このように水流解放板を設けることにより落差創出板63を通り圧力が増加した水流の圧力を解放し羽根車20に効率的に回転力を付与することが可能となる。なお、このように構成された可変堰は、沈み込み調整部25とともに所望に応じて(より具体的には水路内の水の増水時に)切り離し可能であり、切り離すことにより固定モードでの運転から浮体モードへの運転へと切り替わる。
(第2実施形態)
図14(a)から(d)に示す通り、本発明の第2実施形態において、水位調整装置は底部が水底に配置されるように構成された支持連結部20と支持連結部20と水底で接続され、水底に固定された堰固定部61と、堰固定部62に設けられ上流側から水車側へ向かうに従って水面への距離が近くなる落差創出板63と、落差創出板63と連続して設けられた嵩上げされた水流を解放する水流解放板64とから構成されている。そして、落差創出板63には上流側からの水流を下流に案内する水流案内部64が設けられている。
このように構成することによって、図14(b)から(d)に示す通り図12および図13に示す第1実施形態と同様に水路の水位に応じて水車(羽根車10)に対して落差を持たせることが可能となる。この落差により、水位が上昇し、従来では水路の水底にブレードが接触して羽根車10が回転できないような状態であっても羽根車10が回転するのに十分な水位を確保することが可能である。なお、この際に沈み込み調整部25は、羽根車10を懸架・支持装置20に固定させ固定モード、すなわち羽根車10を沈み込みさせないで回転させる。
また、図13(a)および(b)に示す通り、第2実施形態にかかる可変堰は水路の壁面形状に応じて水流案内部が設計されるので、水路の両壁面が垂直(図13(a))であっても、水路の両壁面が傾斜を有していても(図13(b))、上流からの水流を効率よく羽車10へ伝えることが可能となる。
(第3実施形態)
図14(a)から(c)に示す通り、本発明の第3実施形態において、水位調整装置は底部が水底に配置されるように構成された支持連結部20と支持連結部20と水底で接続され、水底に固定された堰固定部61と、堰固定部62に設けられ上流側から水車側へ向かうに従って水面への距離が近くなる落差創出板63と、落差創出板63と連続して設けられた嵩上げされた水流を解放するガイドベーン(水流解放板)64とから構成されている。
そして、落差創出板63とガイドベーン(水流解放板)64とは一端側が堰固定部61と回動可能に接続され他端側が両板を回動可能に支持軸65により軸支され、支持軸65の垂直方向の移動により所定の落差を創出する構成となっている(図14(a)から(c)参照)
落差創出板63とガイドベーン(水流解放板)64は、支持軸65により蝶番のように構成されそして各々一方の端部を堰固定部61に摺動可能に設けられているので、比較的小さいエネルギにより所望の落差を形成することが可能である。第1実施形態および第2実施形態と同様に、第3実施形態にかかる可変堰においても落差を創出することが可能となり、この落差により、水位が上昇し、従来では水路の水底にブレードが接触して羽根車10が回転できないような状態であっても羽根車10が回転するのに十分な水位を確保することが可能である。なお、この際に沈み込み調整部25は、羽根車10を懸架・支持装置20に固定させ固定モード、すなわち羽根車10を沈み込みさせないで回転させる。第1実施形態と同様に、このように構成された可変堰は、沈み込み調整部25とともに所望に応じて(より具体的には水路内の水の増水時に)切り離し可能であり、切り離すことにより固定モードでの運転から浮体モードへの運転へと切り替わる。
このように構成することにより、水路の水位条件に応じて、本発明にかかる水車の設計自由度が大幅に増加する。
すなわち、水位が運転不能状態である場合にでも可変堰により嵩上げすることにより運転可能とすることができ、同一の設計(同一直径)の水車を用いて幅広い水位の水路に対応することが可能である。
また、時間(季節等)により水位が変化する水路においても変化に応じて水位調整および運転モード調整可能であるので運転停止することなく長期間本発明の水力発電システムを運転することが可能となる。
以上、本発明の実施の形態を説明したが、本発明はこれらの実施の形態に限定されるものではなく幅広く適用可能である。
例えば、本発明で沈み込み量調整装置は固定式に設定し、固定モードでの運転と浮体モードの運転としたが、半固定モードで運転できるように沈み込み量を調整することも可能である。例えば、沈み込み量調整装置をバネ等の弾性体で構成することにより所定範囲で沈み込みが可能となるように構成することも可能である。また、本発明の好ましい実施形態においては、沈み込み量調整装置は前記羽根車の回転軸に設けられた電磁ブレーキで構成することも可能である。設定値以上の回転力が生じ、羽車が沈み込みをする場合電磁ブレーキにより回転力を規制する。この際の規制により生じる摩擦熱により発生する熱(一般には250℃から300℃帯域の熱)をエンジンオイル等の熱媒により蓄熱して有効利用することができる。例えば、蓄熱された熱に基づいて冬季における水路の凍結防止に使用したり、バイナリー発電等の別手段により発電するのに使用したりすることが可能となる。
WF 水流
WP 水路
1 回転体
2 回転軸
3L,3R ブレード
10 羽根車
20 懸架・支持装置
21 支持フレーム
22 支持・連結部材
23 懸架部
24 連結部材
25 沈み込み調整部
26 固定部
26a 固定手段
30 発電機
50 水力発電装置
60 可変堰
61,62 水車固定部
63 落差創出板
64 ガイドベーン(水流解放板)
65 支持軸

Claims (9)

  1. 水路内に設置し、水流を受けて回転する左右両側面に回転軸を有する回転体と、
    前記回転体の回転面の幅方向中心から端部まで上流側から下流側に向かって傾斜を有するブレードを水流の強さに応じて前記回転体が回動しながら水面に沈み込むように左右両側に位相差を設けて交互に複数対配置した羽根車と、
    水流の方向に平行して前記羽根車を取り囲むように立設する一対の支持フレームを連結部材で水流に対して垂直方向に連結してなる支持フレーム本体と、
    前記一対の支持フレームを所定の高さで連結し、前記羽根車を支持する支持・連結部と、前記羽根車が水流の強さに応じて回動しながら水面に沈み込むように一方が前記回転体の両回転軸を回動自在に軸支し、他方が前記支持連結部材に回動自在に設けられた懸架部と、から構成した羽根車の懸架・支持装置と、
    を備えた水車と、
    前記水車の回転軸からの出力を電力に変換する発電機と、を備えた水力発電装置とを備えた水力発電装置であって、
    さらに、設置する前記水路の水位および/または水流に応じて(A)前記水車を水底に衝突しない位置に規制または固定して沈み込み量を調整する沈み込み量調整装置と、または(A)前記沈み込み量調整装置と(B)水位を増加させる水位増加装置を備えたことを特徴とする水力発電システム。
  2. 前記水位調整装置が前記支持連結部の上流側に接合して設けられ、支持連結部材と一体化して水路の水面側に水車を固定するための第1の堰固定部と、
    前記第1の堰固定部に対して垂直に設け、前記第1の堰固定部を水底へ固定するための第2の堰固定部と、前記第2の堰固定部の水底側に設けられ上流側から水車側へ向かうに従って水面への距離が近くなる落差創出板とから構成された落差可変堰であることを特徴とする請求項1に記載の水力発電システム。
  3. 前記落差創出部は、水量に応じて上流側から水車側へ向かうに従って水面への距離を可変に設けたことを特徴とする請求項2に記載の水力発電システム。
  4. 前記可変堰は、さらに前記落差創出板と連続して嵩上げされた水流を解放する水流解放板が設けられていること特徴とする請求項2に記載の水力発電システム。
  5. 前記落差創出板は、水路内の水位に応じて落差を創出することを特徴とする請求項2から4のいずれか1項に記載の水力発電システム。
  6. 前記水位調整装置が底部が水底に配置されるように構成された支持連結部と前記支持連結部と水底で接続され、水底に固定された堰固定部と、前記堰固定部に設けられ上流側から水車側へ向かうに従って水面への距離が近くなる落差創出板と、前記落差創出板と連続して設けられた嵩上げされた水流を解放する水流解放板とから構成された可変堰であることを特徴とする請求項1に記載の水力発電システム。
  7. 前記落差創出板には上流側からの水流を下流に案内する水流案内部が設けられていることを特徴とする請求項6に記載の水力発電システム。
  8. 前記落差創出板と前記水流解放板とは一端側が前記堰固定部と回動可能に
    接続され他端側が両板を回動可能に支持軸により軸支され、前記支持軸の垂直方向の移動により所定の落差を創出することを特徴とする請求項6に記載の水力発電システム。
  9. 前記沈み込み量調整装置は前記羽根車の回転軸に設けられた電磁ブレーキであり、さらに前記電磁ブレーキにより生じた熱を回収する蓄熱部が備えられていることを特徴とする請求項1から8のいずれか1項に記載の水力発電システム。

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