JP2018145338A - セルロース系バイオマス焼却灰を利用した機能性人工砂及びその製造方法 - Google Patents

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逸男 後藤
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Abstract

【課題】焼却炉から排出され、カリウムなど少量の肥料成分を含有するセルロース系バイオマス由来の焼却灰を、物理的・化学的処理を何ら加えることなく、簡易な方法により、かつ安価に農園芸・緑化資材用の砂として有効活用する技術を提供することを目的とする。【解決手段】セルロース系バイオマス由来の焼却灰に対し水を加え、前記焼却灰からカリウムを溶出させる工程と、ゼオライトを添加、混合し、前記ゼオライトに前記カリウムを吸着させる工程により製造された機能性人工砂により解決する。【選択図】なし

Description

本発明は、セルロース系バイオマスを燃料とした焼却炉において大量に発生する焼却灰を利用し、安価で簡易に農園芸・緑化分野で活用できる機能性人工砂及びその製造方法に関する。
近年、地球温暖化抑制のための温室効果ガス排出削減、福島第一原子力発電所事故に伴うエネルギー基本計画の見直し、わが国の森林資源の有効活用などの観点から、再生可能エネルギーのひとつとして、セルロース系バイオマス発電の普及・実用化が進められている。バイオマス発電におけるボイラ型式としては、ストーカ式、流動層式、循環流動層式などがある。これらの内、流動層、循環流動層式では焼却炉中に投入した流動砂と燃料が下からの空気により噴き上げられ、それにより燃料の焼却効率が向上する。そのため、この方式では燃料に対して0.5〜5%の砂が混合される。なお、流動砂としては粒径0.05〜1.0mmの珪砂などが使われる。
バイオマス発電所において、燃料としてセルロース系バイオマスが焼却炉で燃やされると、焼却炉底部からボトムアッシュ(BA)が排出される。また、バグフィルタで捕集される灰と、節炭器(熱交換器)などの底部から排出される灰を混合したフライアッシュ(FA)が排出される。これらボトムアッシュ(BA)とフライアッシュ(FA)をあわせたものを焼却灰とする。焼却灰の発生量は、50MW規模のボイラでは年間1.5〜2万トンである。
これらの焼却灰中には、カリウムを主体とする灰分が含まれているため、これまで肥料原料あるいは土壌改良資材や緑化資材などとして有効利用しようとする試みがなされている。
例えば、特許第3463559号公報には、パーライト、ピートモス、ゼオライト、焼酎かす焼却灰及び窒素肥料より成る複合型土壌改良資材が開示されている(特許文献1)。
特開2007‐319058号公報には、ポーラスコンクリート材料の一部に肥料及び肥料成分を有した材料を用い、肥料成分に木質系バイオマスの焼却灰を用いたポーラスコンクリートが開示されている(特許文献2)。
特開2004−097185号公報には、人工ゼオライトと、上水道浄化泥や都市ごみ焼却灰や石炭灰や製紙スラッジと、廃木材屑や樹皮や杉間伐材を適度な大きさに粉砕した物、オガクズ、籾殼を混合製造した都市緑化用資材の製造方法が開示されている(特許文献3)。
特開2007−306844号公報には、焼却灰、炭化物、スラグなどの廃棄物に水及び酸性液を添加してpHが3以下で酸処理を行った後、固液分離を行ってケーキを調製し、ケーキに水を加えて洗浄水がpH4〜7.5の範囲になるまで洗浄処理及び固液分離を繰り返すことにより洗浄ケーキを得た後、乾燥を行うことを特徴とする緑化資材の製造方法が開示されている(特許文献4)。
しかしながら、焼却灰はその処理・搬送・製造コストなどがかかるため、有効利用は進んでおらず、大半の焼却灰が産業廃棄物として処理されているのが実情である。発電出力50MW規模での年間の焼却灰の産業廃棄物としての処理費用は、約2〜3億円/年、発電出力5MW規模で、2,000〜3,000万円/年にもおよぶ。
特許第3463559号公報 特開2007‐319058号公報 特開2004−097185号公報 特開2007−306844号公報
わが国にはリンやカリウムなどの肥料資源に恵まれず、リン酸肥料やカリ肥料原料のほとんどを輸入に頼っている。従って、セルロース系バイオマスを燃焼した焼却炉から発生する焼却灰中の灰分を資源化し、海外からのカリ肥料原料輸入量の削減を図ることがわが国の環境保全上、極めて重要な課題である。
一方、近年、農園芸・緑化資材用の砂の確保が困難な状況に至っているという問題がある。農園芸・緑化資材として砂の用途は多く、例えば、重粘な農地に客入して透水性を高めるための砂や、ゴルフ場では芝草の生育を促進する目的で砂が「目土」(めつち)として使われる。また、特殊な砂の利用方法として、徳島県名産のなると金時(登録商標)の産地では、数年に1度の割合で10アール当たり20〜30トンの砂を客入する。なると金時(登録商標)は海砂の畑で栽培されるが、栽培を続けると砂が細かくなり水はけが悪化するため、そのような土壌物理性の改善を目的として「手入れ砂」が客入される。
しかしながら、ゴルフ場の「目土」や鳴門地域での「手入れ砂」は海浜や河川敷から採取した天然砂であり、それを採掘することは資源保護や環境保全などの観点からすると望ましいことではない。地域によっては海岸保全の観点から海砂採取が禁止されており、川砂も運搬コストがかかるなどの問題から、農園芸・緑化資材用の砂の確保が困難になりつつある。
そこで本発明では、焼却炉から排出され、カリウムなど少量の肥料成分を含有するセルロース系バイオマス由来の焼却灰を、物理的・化学的処理を何ら加えることなく、簡易な方法により、かつ安価に農園芸・緑化資材用の砂として有効活用する技術を提供することを目的とする。
本発明者らが鋭意検討した結果、焼却炉から排出されたセルロース系バイオマス由来の焼却灰とゼオライトと水とを混合して得られた混合物が、砂の代替品として有用であることを見出し、本発明を完成させた。
すなわち、本発明は、セルロース系バイオマス由来の焼却灰と、ゼオライトと、水とを含有する、機能性人工砂を提供するものである。
また、本発明は、セルロース系バイオマス由来の焼却灰に対し水を加え、前記焼却灰からカリウムを溶出させる工程と、ゼオライトを添加、混合し、前記ゼオライトに前記カリウムを吸着させる工程と、を有する、機能性人工砂の製造方法を提供するものである。
本発明の方法で製造される木質系バイオマスを燃料とした発電所から発生する焼却灰とゼオライトの混合物である発明品は、木質系バイオマスを燃料とした発電所から大量に発生する焼却灰と天然ゼオライトあるいは人工ゼオライトを原料として製造されるリサイクル資材として農園芸や緑化事業に利用できる。
循環流動層式燃焼炉から発生する流動砂主体の焼却灰では、天然資源である川砂や海砂の代替資源として利用できることから天然資源保護にも寄与できる。また、焼却灰にゼオライトを混和して、水溶性カリを水で溶出しない交換性カリに変化させることにより、焼却灰中に含まれるカリウムを肥料として有効利用できる。カリ肥料原料の多くを輸入に頼っている現状において、カリ肥料自給率の向上にも役立つ。
フライアッシュ(FA)の粒径分布を示す図である。 ボトムアッシュ(BA)の粒径分布を示す図である。 フライアッシュ(FA)におけるゼオライト混和率とカリウム水溶性率の関係を示す図である。 ボトムアッシュ(BA)におけるゼオライト混和率とカリウム水溶性率の関係を示す図である。
まず、本実施形態に係る機能性人工砂について説明する。
本実施形態に係る機能性人工砂は、セルロース系バイオマス由来の焼却灰と、ゼオライトと、を含有する。
本実施形態において、「セルロース系バイオマス」とは、セルロースを含む物質を意味する。具体的には、例えば、レーヨン、綿、麻などの植物系の繊維のわた、糸、布帛などの繊維類;新聞紙、ろ紙、雑誌、コピー紙やダンボールなどの紙類;もみ殻、稲わら、野菜くずなどの農産廃棄物のほか、結晶性セルロースなどのほか、木質系バイオマスを挙げることができる。
前記セルロース系バイオマスは、木質系バイオマスであることが好ましい。
本実施形態において「木質系バイオマス」とは、植物体の一部をなしていた木質系部分を含む材料であって、家畜等の動物の消化管を通ったことがなく、かつ、工業的に食品または飼料とするために加工又は分解工程を受けたことがなく、かつ、食品又は食品原料として不適である、主としてセルロース、ヘミセルロースおよびリグニンから構成されるバイオマスをいう。具体的には、例えば、間伐材、主伐材、剪定枝葉、木材チップ、おが屑や籾殻、製材工場等の残廃材、建築廃材、建築解体材、輸入材、木質ペレット、パーム椰子殻(PKS)などが挙げられる。
焼却灰には、焼却炉の底などから回収される焼却主灰(ボトムアッシュ:BA)と焼却廃ガス中に浮游する飛灰(フライアッシュ:FA)が存在する。後者は、すす、灰など、燃焼排ガス中に含まれる固体の粒子状物質で、集じん灰およびボイラ、ガス冷却室、再燃焼室で補集されたばいじんを総称したものをいう。本実施形態においては、ボトムアッシュ(BA)、フライアッシュ(FA)のいずれも利用することができる。
なお焼却炉には、ごみをストーカ(「火格子」とも呼ばれるごみを燃やす場所)の上で転がし、焼却炉の上部からの輻射熱で乾燥、加熱し、攪拌、移動しながら燃やすストーカ式、加圧した空気を下から上へ向けて吹き上げるなどして流動化させた高温の砂(主に珪砂)の中でごみを燃やす流動床式、炉本体及び高温サイクロンなどから構成され、従来の気泡流動焼却システムよりも炉内ガス流速を高速とし、流動砂を循環させることにより、焼却物の燃焼効率をより高くした循環流動式などが挙げられるが、いずれの方式の焼却炉から排出した焼却灰でも利用することができる。なお、流動床式及び循環流動式の焼却炉から排出される焼却灰のボトムアッシュ(BA)には流動砂(主に珪砂)が混入しているが、本実施形態においては流動砂も同時に利用することができるため好ましい。ここで使用される流動砂は、一般にJIS4〜7号硅砂が使用され、その平均粒子径は0.20〜0.80mm程度である。
本実施形態において、ゼオライトとは、100〜300meq/100gに達する大きな陽イオン交換容量を有するアルミノケイ酸塩鉱物で、天然ゼオライトと人工ゼオライトがある。前者は2000万年ほど前に海底に堆積した火山灰が続成作用により変質して生成したゼオライトで、その後の地殻変動で隆起し、現在では東北地方を中心に露天掘りされている。一方、後者は石炭火力発電所で発生するフライアッシュにアルカリを添加して人工的に合成したゼオライトである。これらのゼオライトの中で、特に天然ゼオライトには、カリウム、アンモニウム、セシウムイオンを特異的に吸着捕捉する性質を有している。焼却灰から溶出したカリウムイオンは混合したゼオライトに吸着されるため、降雨などによるカリウムの流出を抑えることができる。
ゼオライトは、天然ゼオライト及び人工ゼオライトのいずれも利用することができるが、カリウムイオンに対する特異吸着性が高いクリノプチロライトあるいはモルデナイトを主体とする天然ゼオライトが好ましい。また、ゼオライトの含有量については、5〜25体積%であることが好ましく、10〜25体積%であることがより好ましく、10〜20体積%であることがさらに好ましい。ゼオライトの含有量がかかる範囲内であれば、焼却灰から溶出するカリウムイオンを十分に吸着することができる。ゼオライト混和率が25体積%以上であっても本発明の目的を達成し得るが、原料とするゼオライトの購入経費が嵩み経済性が悪くなる。
次に、ゼオライトの粒子径については、本実施形態に係る機能性人工砂が砂の代替資源であることから、0.1〜2mmであることが好ましく、0.5〜1.5mmであることがより好ましく、0.5〜1.0mmであることがさらに好ましい。ゼオライトは市販されているものを利用することができ、使用する焼却灰の粒径組成に応じて市販品の中から選択することができる。ここで、「粒子径」は、JIS A 1102:2014に規定される骨材のふるい分け試験方法に準じて求めた粒子径を意味する。
焼却灰中には、セルロース系バイオマス由来の灰分が含まれるため、農作物や芝草に対する肥料成分として利用できる。その主成分はカリウムで、ボトムアッシュ(BA)ではK2Oとして0.5〜2.0重量%程度、フライアッシュ(FA)では1〜5%程度含有され、それらの成分は主に塩化カリウムである。このような少量の塩化カリウムを含有する焼却灰のみを「目土」あるいは「手入れ砂」の代替品としてゴルフ場あるいは砂地の畑に客入することは有効であるが、焼却灰のみでは、客入後に雨が降れば塩化カリウムが水に溶解してしまう。砂を主体とするゴルフ場や砂地の畑では、陽イオン交換容量(CEC)が小さいため、塩化カリウムが土壌に吸着されずに下層へ移動して、せっかくの肥料成分が流出することになる。本実施形態では、焼却灰に少量の水を加えることで、焼却灰から塩化カリウムを溶出させ、溶出するカリウムイオンを先述したゼオライトに吸着させる目的で添加される。
次に、本実施形態に係る機能性人工砂の製造方法について説明する。
本実施形態に係る機能性人工砂の製造方法は、セルロース系バイオマス由来の焼却灰に対し水を加え、前記焼却灰からカリウムを溶出させる工程と、ゼオライトを添加、混合し、前記ゼオライトに前記カリウムを吸着させる工程と、を有する。
本実施形態に係る機能性人工砂の製造方法は、特に特殊な設備や装置を必要とせず、常温・常圧条件下で実施することができる。焼却灰、ゼオライトについては、先述した機能性人工砂について説明した事項が適用される。
但し、本実施形態に係る機能性人工砂の製造方法において、水を焼却灰に添加する工程は焼却灰からカリウムを溶出させ、ゼオライトに吸着させるために必須である。水の添加量は特に限定されないが、1〜90体積%であることが好ましく、1〜75体積%であることがより好ましく、1〜20体積%であることがさらに好ましい。但し、機能性人工砂の製造後は、焼却灰からゼオライトにカリウムを吸着させるという役割を終えているため、水分が含まれていても蒸発していてもよい。
上記に加え、本実施形態の目的を逸脱しない範囲で適宜肥料成分(窒素、リン等)を添加してもよい。また、機能性人工砂の使用場所や植栽する植物又は農作物を想定して、pH調整を行うこともできる。例えば、芝生の生育に適したpHは6.7〜7.0であるため、本実施形態の機能性人工砂を目土に使用する場合は、木酢液等でpHを6.7〜7.0に調整することが好ましい。
本実施形態の機能性人工砂は、これまで産業廃棄物として処理されてきた焼却灰を有効利用したリサイクル資材である。ゼオライトの粒子径を砂用途に適した粒子径にすることで、海浜や河川敷から天然砂を採取することなく、機能性を有する砂を製造することが可能である。
農作物や芝草を通常の土耕で栽培する場合、粘土には土壌病原菌に対する発病抑止力が備わっているため、土壌中に土壌病原菌が生育していても、発病を抑制することができる。それに対して、一般の砂には粘土のような土壌病害抑止力がないため、砂耕栽培では土壌病害が発生しやすい。そのため予め薬剤処理あるいは加熱処理により殺菌した砂を客入することがある。その点、本実施形態に係る機能性人工砂は、850〜900℃程度の焼却炉中で発生した焼却灰を使用するため、完全に滅菌された資材として利用することができる。
さらに、焼却灰中には、セルロース系バイオマス由来のカリウム(灰分)が含まれるため、農作物や芝草に対する肥料成分として利用できる。また、ゼオライトによる吸着捕捉機能により、焼却灰から溶出したカリウムイオンは混合したゼオライトに吸着されるため、降雨などによるカリウムの流出を抑えることができ、陽イオン交換容量も増加して土壌保肥力を高める効果も期待できる。そのため既存の目土や砂地畑の土壌改良資材として有用である。
1.セルロース系バイオマス由来の焼却灰の分析
木質系バイオマスを燃料とする循環流動式焼却炉から排出されたフライアッシュ(FA)とボトムアッシュ(BA)各1点について、骨材のふるい分け試験方法(JIS A 1102:2014)による粒径組成分析と1M/L熱硝酸可溶性成分の分析を行った。
両焼却灰の粒径組成を図1及び図2に示し、熱硝酸可溶成分を表1に示す。図1はフライアッシュ(FA)の粒径分布を示す図、図2はボトムアッシュ(BA)の粒径分布を示す図である。循環流動式焼却炉は流動砂(珪砂)を使用するため、両焼却灰共に粗砂(0.2〜2mm)が全重量の約60%を占めていた。また、フライアッシュには1.07%、ボトムアッシュには0.31%のカリ(K2O)が含有され、ゴルフ場の目土や徳島県鳴門地域の砂地畑における「手入れ砂」として有効に利用できる。
2.機能性人工砂の調製
実施例1のフライアッシュ(FA)とボトムアッシュ(BA)、それぞれに10体積%の水を添加し、よく混合した。山形県米沢市板谷鉱山産のクリノプチロライトを主体とする天然ゼオライト(CEC:150meq/100gで粒径0.1〜0.5mm)を表2のように0〜75%(8水準)の容量比で混和し、よく混合することにより、所望の機能性人工砂を調製した。フライアッシュ(FA)を含む機能性人工砂をサンプルFA、ボトムアッシュ(BA)を含む機能性人工砂をサンプルBAとして、次の分析に供した。
3.試験例
(1)電気伝導率
サンプル1に対して重量比で5倍量の水を添加し、1時間振とう後に懸濁液に電気伝導率セルを挿入して、電気伝導率を測定した。
(2)pH(H2O)
上記の電気伝導率測定後の懸濁液にガラス電極を挿入してpH(H2O)を測定した。
(3)水溶性カリ(K2O)
上記の電気伝導率とpH(H2O)測定後の懸濁液をろ紙(No.5C)でろ過を行い、ろ液中のカリウムをICP発光分光分析法で測定した。
(4)交換性カリ(K2O)
サンプル1に対して重量比で20倍量の1M/L塩化ナトリウム溶液を加え、1時間振とう後、ろ紙(No.131)でろ過を行い、ろ液中のカリウムをICP発光分光分析法で測定した。
(5)結果
分析結果を表2に示す。両焼却灰のpH(H2O)はいずれも11前後で、ゼオライトの混和によりわずかに低下した。電気伝導率については、フライアッシュ単独では約3mS/cmであったが、ゼオライトの混和により低下した。ボトムアッシュの電気伝導率はゼオライト混和率に関わりなく0.3mS/cm前後であった。電気伝導率の違いを反映して、フライアッシュにはボトムアッシュに比べて多量の水溶性カリが含有されていた。しかし、ゼオライトの混和により水溶性カリ量が減少し、その減少量はゼオライト混和率が高まるほど大きくなった。そのような傾向はボトムアッシュでも同様であった。
一方、フライアッシュの交換性カリ量は、ゼオライト混和率の違いにかかわらずほぼ一定の450〜470mg/100gであった。ボトムアッシュでは、ゼオライト混和率が多くなるほど交換性カリ量が増加した。なお、ゼオライト単独の交換性カリ量はフライアッシュよりやや多い506mg/100gであった。
これらの結果より、焼却灰にゼオライトを混合すると水溶性カリが急激に減少するが、交換性カリは変化しない(フライアッシュ)あるいは増加する(ボトムアッシュ)ことが判明した。焼却灰中に含有される木質バイオマス由来のカリの主成分は水溶性の塩化カリウムであることが知られている。そのため、焼却灰を砂地のゴルフ場や畑に施用しても降雨によりカリウムイオンとして下層に流出してしまう。しかし、焼却灰にゼオライトを混和すれば、焼却灰中のカリウムイオンがゼオライトに吸着され、カリウムの流出を抑制することができる。ただし、ゼオライトに吸着されたカリウムは水溶性から交換性に変化するため、雨水には溶出しないが、植物には吸収利用される。
すなわち、焼却灰にゼオライトを混和することで、焼却灰中に含まれるカリウムを無駄なく肥料として利用できることを示す結果である。なお、表2のゼオライトを混和したフライアッシュの交換性カリ量がゼオライト混和率によりほぼ一定値を示す原因は、フライアッシュとゼオライト単独資材中の交換性カリ量がほぼ同一なためである。また、ボトムアッシュではゼオライト混和に伴い交換性カリが増加する原因は、ボトムアッシュに比べてゼオライト中の交換性カリ量が著しく多いためである。
次に、焼却灰に混和するゼオライトの適正混和率を見いだすために、各区の交換性カリに占める水溶性カリの割合(カリ水溶性率)を図3、図4に示す。図3のように、フライアッシュでは、水溶性率を50%程度以下とするにはゼオライトを5%程度以上混和する必要があり、20%程度混和すれば水溶性カリの90%程度以上を吸着することができる。一方、ボトムアッシュでは、ゼオライトを2.5%程度以上混和すれば水溶性カリの90%程度以上を吸着することができる。これらの結果より、焼却灰に混和するゼオライトの容量混和率は5%以上であることが望ましい。

Claims (10)

  1. セルロース系バイオマス由来の焼却灰と、ゼオライトと、を含有する、機能性人工砂。
  2. 前記セルロース系バイオマスが、木質系バイオマスである、請求項1に記載の機能性人工砂。
  3. 前記ゼオライトが、天然ゼオライトである、請求項1又は2に記載の機能性人工砂。
  4. 前記ゼオライトの含有量が、5〜25体積%である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の機能性人工砂。
  5. 前記ゼオライトの粒子径が、0.1〜2mmである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の機能性人工砂。
  6. セルロース系バイオマス由来の焼却灰に対し水を加え、前記焼却灰からカリウムを溶出させる工程と、
    ゼオライトを添加、混合し、前記ゼオライトに前記カリウムを吸着させる工程と、
    を有する、機能性人工砂の製造方法。
  7. 前記セルロース系バイオマスが、木質系バイオマスである、請求項6に記載の機能性人工砂の製造方法。
  8. 前記ゼオライトが、天然ゼオライトである、請求項6又は7に記載の機能性人工砂の製造方法。
  9. 前記ゼオライトの含有量が、5〜25体積%である、請求項6〜8のいずれか1項に記載の機能性人工砂の製造方法。
  10. 前記ゼオライトの粒子径が、0.1〜2mmである、請求項6〜9のいずれか1項に記載の機能性人工砂の製造方法。


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