JP2018144051A - 砂型鋳造方法における自硬性砂の熱間圧縮強度予測方法 - Google Patents

砂型鋳造方法における自硬性砂の熱間圧縮強度予測方法 Download PDF

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優作 高川
瑛介 黒澤
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瑛介 黒澤
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Kazuyuki Tsutsumi
一之 堤
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Abstract

【課題】鋳造時に砂型が健全な強度を有しているか否かを判断することが可能な砂型鋳造方法における自硬性砂の熱間圧縮強度予測方法を提供する。【解決手段】温度θ[℃]における粘結剤の限界熱分解量をΔCsat(θ)[wt%]、粘結剤の熱分解速度定数をkd[1/秒]、粘結剤の熱分解が始まる温度をθs[℃]、自硬性砂の材質に依存した材料パラメータをA、α、βとすると、自硬性砂が温度θ[℃]に時間t[秒]曝された際の粘結剤の熱分解量ΔC(θ,t)[wt%]を、以下の式(1)乃至(3)から求める。次に、熱負荷を受ける前の粘結剤の常温圧縮強度をσc0[MPa]、完全に熱分解した後の粘結剤の熱間圧縮強度をσc1[MPa]、砂同士が反応・焼結体化することによる強度上昇分をσs(θ,t)[MPa]、自硬性砂の材質に依存した材料パラメータをγとすると、自硬性砂の熱間圧縮強度σc(θ,t)[MPa]を、以下の式(4)から求める。ΔC(θ,t)=ΔCsat(θ)・{1−exp(−kdt)} ・・・式(1)、ΔCsat(θ)=tanh{β(θ−θs)}×100 ・・・式(2)、kd=A・exp(αθ) ・・・式(3)、σc(θ,t)=σc0−(σc0−σc1)×tanh(γ・ΔC(θ,t))+σs(θ,t) ・・・式(4)【選択図】なし

Description

本発明は、砂型を用いて鋳物を鋳造する砂型鋳造方法における自硬性砂の熱間圧縮強度予測方法に関する。
一般的な鋳型造型方法では、木製や樹脂製、金属製の原型を設置した枠内に自硬性砂を充填し、一定時間かけて自硬性砂を硬化させた後に原型を引抜き(この作業を抜型という)、原型の形状を硬化した自硬性砂に転写することで鋳型を造型する。砂を用いて作られた鋳型は砂型と呼ばれる。
砂型鋳造方法は、砂型の表面に塗型剤をコーティングし、この砂型内に金属の溶湯を流し込むことで鋳物を鋳造する方法である。塗型剤は、自硬性砂と溶湯との接触による焼付きを防止するものである。
砂型の材料として広く用いられている自硬性砂は、粘結剤、および、反応触媒としての硬化促進剤を砂に添加して混練したものである。自硬性砂には、混練により砂粒子間に分散した粘結剤が化学反応を起こすことで、砂粒子同士が粘結剤によって結合し、常温において時間経過とともに圧縮強度が向上していくという性質がある。
ここで、発泡模型を消失させて溶湯と置換することで、鋳物を鋳造する消失模型鋳造法においては、鋳造中に、塗型剤が熱的・力学的負荷を受けて損傷し、鋳砂に溶湯が染み出して鋳砂と鋳物とが融着する「焼付き」と呼ばれる鋳造欠陥が生じることがある。
そこで、塗型剤の損傷を防止するために、非特許文献1では、塗型剤が温度θ[℃]に時間t[秒]曝された際の、塗型剤に含まれる樹脂バインダーの熱分解量ΔC(θ,t)[wt%]から、熱負荷を受けた後の塗型剤の常温抗折強度σb(θ,t)[MPa]を求めている。
公益社団法人日本鋳造工学会、第168回全国講演大会講演概要集、平成28年9月5日、「消失模型鋳造における塗型の熱間強度特性と耐焼付き性への影響」
ところで、砂型鋳造方法において、自硬性砂は、塗型剤により溶湯とは直接に接触しないものの、溶湯からの熱的な影響を受けると、粘結剤が熱分解する。その結果、自硬性砂の熱間圧縮強度が低下することで、砂型の変形や崩壊などが生じ、焼付きや形状不良が生じる。
自硬性砂の常温圧縮強度は、メーカ等で測定されているが、自硬性砂の熱間圧縮強度が測定されることはほとんどない。よって、鋳造時に砂型が健全な強度を有しているか否かを判断するのは困難であるのが実情である。
本発明の目的は、鋳造時に砂型が健全な強度を有しているか否かを判断することが可能な砂型鋳造方法における自硬性砂の熱間圧縮強度予測方法を提供することである。
本発明は、砂に粘結剤および硬化促進剤を添加して混練してなる自硬性砂を硬化させてなる砂型内に金属の溶湯を流し込むことで、鋳物を鋳造する砂型鋳造方法において、前記自硬性砂の熱間圧縮強度を予測する、自硬性砂の熱間圧縮強度予測方法であって、温度θ[℃]における前記粘結剤の限界熱分解量をΔCsat(θ)[wt%]、前記粘結剤の熱分解速度定数をkd[1/秒]、前記粘結剤の熱分解が始まる温度をθs[℃]、前記自硬性砂の材質に依存した材料パラメータをA、α、βとすると、前記自硬性砂が温度θ[℃]に時間t[秒]曝された際の前記粘結剤の熱分解量ΔC(θ,t)[wt%]を、以下の式(1)乃至(3)から求めるステップと、熱負荷を受ける前の前記粘結剤の常温圧縮強度をσc0[MPa]、完全に熱分解した後の前記粘結剤の熱間圧縮強度をσc1[MPa]、前記砂同士が反応・焼結体化することによる強度上昇分をσs(θ,t)[MPa]、前記自硬性砂の材質に依存した材料パラメータをγとすると、前記自硬性砂の熱間圧縮強度σc(θ,t)[MPa]を、以下の式(4)から求めるステップと、を有することを特徴とする。
ΔC(θ,t)=ΔCsat(θ)・{1−exp(−kdt)} ・・・式(1)
ΔCsat(θ)=tanh{β(θ−θs)}×100 ・・・式(2)
d=A・exp(αθ) ・・・式(3)
σc(θ,t)=σc0−(σc0−σc1)×tanh(γ・ΔC(θ,t))+σs(θ,t) ・・・式(4)
本発明によると、式(1)乃至(3)を用いることで、粘結剤の熱分解量・熱分解速度を予測することができる。また、式(4)を用いることで、粘結剤の熱分解量ΔC(θ,t)に依存した自硬性砂の熱間圧縮強度σc(θ,t)の変化を予測することができる。これらの予測結果から、鋳造中の砂型の熱間圧縮強度を予測することができるので、鋳造時に砂型が健全な強度を有しているか否かを判断することが可能になる。よって、鋳造時に砂型が健全な強度を有するようにすることで、焼付きや形状不良のない健全な鋳物を鋳造することができる。
金型の上面図である。 金型の側面図である。 フラン樹脂の熱分解率と曝熱時間との関係を示す図である。 粘結剤の熱分解速度定数と曝熱温度との関係を示す図である。 粘結剤の限界熱分解量と曝熱温度との関係を示す図である。 自硬性砂の熱間圧縮強度と粘結剤の熱分解量との関係を示す図である。
以下、本発明の好適な実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
(砂型鋳造方法)
本発明の実施形態による自硬性砂の熱間圧縮強度予測方法は、砂型鋳造方法において、砂型の材料である自硬性砂の熱間圧縮強度を予測するものである。砂型鋳造方法は、砂に粘結剤および硬化促進剤を添加して混練してなる自硬性砂を硬化させてなる砂型内に金属の溶湯を流し込むことで、鋳物を鋳造する方法である。
自硬性砂は、砂型鋳造方法における鋳型(砂型)の材料として好適である。自硬性砂は、砂に粘結剤および硬化促進剤(硬化剤)を添加して混練してなるものである。砂としては、その形状が多角形または球状で、粒度がAFS130以下の新砂または再生砂を用いることができる。粘結剤としては、フルフリルアルコールを含有する酸硬化性のフラン樹脂を用いることができる。硬化促進剤としては、キシレンスルホン酸系硬化剤および硫酸系硬化剤を、単独あるいは混合したものを用いることができる。砂に対する粘結剤および硬化促進剤の添加量は、それぞれ0.8wt%、0.32wt%であることが望ましい。
自硬性砂には、混練により粘結剤が化学反応を起こすことで、常温において時間経過とともに圧縮強度が向上していくという性質がある。粘結剤がフラン樹脂の場合、この反応形態は脱水縮合反応である。
溶湯にする金属としては、ねずみ鋳鉄(JIS−FC250)や球状黒鉛鋳鉄(JIS−FCD450)などを用いることができる。また、塗型剤としては、シリカ系骨材の塗型剤などを用いることができる。塗型剤は、耐火物の骨材と、膜を形成するための樹脂バインダーとを含んでいる。
(自硬性砂の熱間圧縮強度予測方法)
本実施形態では、まず、自硬性砂が温度θ[℃]に時間t[秒]曝された際の粘結剤の熱分解量ΔC(θ,t)[wt%]を、以下の式(1)乃至(3)から求める。
ΔC(θ,t)=ΔCsat(θ)・{1−exp(−kdt)} ・・・式(1)
ΔCsat(θ)=tanh{β(θ−θs)}×100 ・・・式(2)
d=A・exp(αθ) ・・・式(3)
ここで、ΔCsat(θ)[wt%]は、温度θ[℃]における粘結剤の限界熱分解量である。また、kd[1/秒]は、粘結剤の熱分解速度定数である。また、θs[℃]は、粘結剤の熱分解が始まる温度である。また、A、α、βは、自硬性砂の材質に依存した材料パラメータである。
次に、求めた熱分解量ΔC(θ,t)を用いて、自硬性砂の熱間圧縮強度σc(θ,t)[MPa]を、以下の式(4)から求める。
σc(θ,t)=σc0−(σc0−σc1)×tanh(γ・ΔC(θ,t))+σs(θ,t) ・・・式(4)
ここで、σc0[MPa]は、熱負荷を受ける前の粘結剤の常温圧縮強度である。また、σc1[MPa]は、完全に熱分解した後の粘結剤の熱間圧縮強度である。また、σs(θ,t)[MPa]は、自硬性砂に含まれる砂同士が反応・焼結体化することによる強度上昇分である。また、γは、自硬性砂の材質に依存した材料パラメータである。
(粘結剤の熱分解量)
ここで、粘結剤の熱分解を1次反応であると仮定した場合、次式(5)の関係が成立する。
ln(C0/Ct)=kdt ・・・式(5)
ここで、C0[wt%]は、粘結剤の初期濃度であり、Ct[wt%]は、自硬性砂が温度θ[℃]に時間t[秒]曝された後の粘結剤の濃度である。また、前記したように、kd[1/秒]は、粘結剤の熱分解速度定数である。
自硬性砂が温度θ[℃]に時間t[秒]曝された際の粘結剤の熱分解量をΔC(θ,t)[wt%]とすると、ΔC(θ,t)は、次式(6)のように表すことができる。
ΔC(θ,t)=f(θ)・(1−Ct/C0) ・・・式(6)
ここで、f(θ)は温度θの関数であることを表す。式(6)に式(5)を代入すると、式(6)は次式(7)のように表すことができる。
ΔC(θ,t)=f(θ)・{1−exp(−kdt)} ・・・式(7)
粘結剤の熱分解が始まる温度θs近傍では、時間をかけても分解できる粘結剤の量に限界があると考えられる。そのため、ある温度θで分解可能な粘結剤の量は式(7)でt→∞としたときの熱分解量ΔC(θ,t)で表される。したがって、温度θ[℃]における粘結剤の限界熱分解量をΔCsat(θ)[wt%]とすると、式(7)は次式(1)のように書き換えることができる。
ΔC(θ,t)=ΔCsat(θ)・{1−exp(−kdt)} ・・・式(1)
(粘結剤の熱分解速度)
粘結剤の熱分解速度は、曝された温度θ[℃]や時間t[秒]によって変化すると考えられる。即ち、温度が高いほど熱分解の進行が速くなると考えられる。そこで、粘結剤の熱分解速度定数kdの温度依存性を考慮する必要がある。上記の温度依存性に関しては、次式(8)で示すアレニウスの式で表現することができる。
d=f・exp(−ΔE/Rθ) ・・・式(8)
ここで、fは発生因子、ΔEは活性化エネルギー[J/mol]、Rは気体定数[J/mol/K]である。
簡単化のため、式(8)を次式(3)のように書き換える。
d=A・exp(αθ) ・・・式(3)
ここで、αは次式(9)のように定義した。A、αは自硬性砂の材質に依存した材料パラメータである。
α=R/ΔE ・・・式(9)
上式(3)より、任意の温度θでの熱分解速度定数kdを求めることが可能となる。
以上から、式(1)、式(3)の組み合わせにより、自硬性砂が温度θ[℃]に時間t[秒]曝された際の粘結剤の熱分解量ΔC(θ,t)を求めることができる。ΔCsat(θ)、A、αは自硬性砂(使用される粘結剤)の材質に依存するため、曝熱試験のような簡易的な実験により同定することができる。
なお、粘結剤の限界熱分解量ΔCsat(θ)に関しては、粘結剤の熱分解が始まる温度θs以上に加熱すると熱分解が急激に増大すること、ある一定温度以上で長時間加熱すると粘結剤が完全に熱分解する(熱分解量が100%となる)ことを考慮すれば、次式(2)のようにモデル化することができる。
ΔCsat(θ)=tanh{β(θ−θs)}×100 ・・・式(2)
ここで、βは熱分解のし易さを表す材料パラメータである。
自硬性砂(粘結剤)を用いた実験でβを同定することができれば、限界熱分解量ΔCsat(θ)を求めることが可能となる。
(自硬性砂の熱間圧縮強度)
自硬性砂の熱間圧縮強度σc(θ,t)が、粘結剤の熱分解によって決まっていると仮定すると、自硬性砂の熱間圧縮強度σc(θ,t)は、次式(10)のように表すことができる。
σc(θ,t)=σc0−σt(ΔC(θ,t))+σs(θ,t) ・・・式(10)
ここで、σc0[MPa]は、熱負荷を受ける前の粘結剤の常温圧縮強度である。また、σt(ΔC(θ,t))[MPa]は、熱負荷を受けた後の粘結剤の熱間圧縮強度である。また、σs(θ,t)[MPa]は、自硬性砂に含まれる砂同士が反応・焼結体化することによる強度上昇分である。
完全に熱分解した後の粘結剤の熱間圧縮強度をσc1[MPa]とすると、式(10)は次式(11)のように書き換えることができる。
σc(θ,t)=σc0−(σc0−σc1)×f(ΔC(θ,t))+σs(θ,t) ・・・式(11)
ここで、f(ΔC)は粘結剤の熱分解量ΔCの関数であることを示す。
粘結剤としてフラン樹脂を用いた自硬性砂に対して、フラン樹脂の熱分解量ΔCを変化させて熱間圧縮試験を実施した結果、式(11)は次式(4)のような双曲線関数を用いて近似できることがわかった。
σc(θ,t)=σc0−(σc0−σc1)×tanh(γ・ΔC(θ,t))+σs(θ,t) ・・・式(4)
ここで、γは自硬性砂の材質に依存した材料パラメータであり、実験により同定する。
式(1)から求まる粘結剤の熱分解量ΔC(θ,t)[wt%]を式(4)に代入することで、自硬性砂の熱間圧縮強度σc(θ,t)[MPa]を求めることが可能となる。
(粘結剤の熱分解量・熱分解速度の予測)
次に、粘結剤の熱分解率を評価するため、重量変化測定試験を実施した。この試験では、再生けい砂を砂として使用し、フラン樹脂を粘結剤として使用した。また、濃度の異なるキシレンスルホン酸系の硬化促進剤を複数混合した混合液を硬化促進剤として使用した。そして、フラン樹脂を砂に対して0.8wt%添加し、硬化促進剤の混合液を砂に対して0.32wt%添加した。汎用ミキサーを用いて、再生けい砂に硬化促進剤の混合液を加えて45秒混練し、さらにフラン樹脂を加えて45秒混練して、自硬性砂とした。
上記の自硬性砂を、混練直後に図1Aおよび図1Bに示す鋳鉄製の金型1内に投入し、丸棒を用いてφ30×60mmの試験体に成型した。図1Aは、金型1の上面図であり、図1Bは、金型1の側面図である。ここで、金型1は、ねじ3で互いに固定される一対の型2からなる。金型1には、一対の型2で形成されるキャビティ4が、等間隔で複数設けられている。本試験において、各キャビティ4は、高さが130mmで、上端から中央部にかけて径が漸減していく形状であって、上端の開口径がφ50mmで、中央部から下端にかけての径がφ30mmにされている。
自硬性砂を試験体に成型した後に、抜型時間を20分、35分、50分と異ならせて、試験体を金型1から取り出し、加熱前の試験体の重量を測定した。
その後、試験体を炉内に入れ、所定の曝熱温度の環境下に試験体を所定時間保持した。本試験では、フラン樹脂の熱分解速度に影響する曝熱温度、および、曝熱時間を変化させた。具体的には、曝熱温度を200〜1000℃で変化させ、曝熱時間を1〜10分で変化させた。ここで、曝熱温度とは、炉内の試験体近傍の雰囲気温度を指す。また、曝熱時間とは、ある曝熱温度に試験体が曝される時間である。その後、試験体を炉から取り出し、加熱後の試験体の重量を測定した。
ここで、粘結剤であるフラン樹脂の熱分解率を次式(12)のように定義した。
(フラン樹脂の熱分解率)=((w1−w0)/(w2−w0))×100% ・・・式(12)
ここで、w0[g]は、加熱前の試験体の重量(初期の試験体の重量)であり、w1[g]は、所定の曝熱温度で所定の曝熱時間加熱した後の試験体の重量であり、w2[g]は、1000℃で10分加熱した後の試験体の重量である。試験体を1000℃で10分加熱した後では、フラン樹脂の熱分解は完全に終了したと考えられる。また、試験体の重量変化は、全てフラン樹脂の熱分解によるものと仮定して、フラン樹脂の熱分解率を算出している。
上記の重量変化測定試験の結果から得られた、フラン樹脂の熱分解率と曝熱時間との関係を図2に示す。図2において、プロットが実験結果であり、実線が式(1)から予測された結果である。
また、実験結果から熱分解速度定数kdを同定した。粘結剤の熱分解速度定数kdと曝熱温度との関係を図3に示す。図3では、プロットが実験結果より同定された値であり、実線が式(3)を用いてフィッティングを行った後の予測結果である。
さらに、実験結果から粘結剤の限界熱分解量ΔCsat(θ)を同定した。粘結剤の限界熱分解量ΔCsat(θ)と曝熱温度との関係を図4に示す。図4において、プロットが実験結果より同定された値である。一般に、粘結剤であるフラン樹脂の引火点は94℃であり、加熱による熱分解もこの温度近傍で生じるものと考えられる。そこで、粘結剤の熱分解が始まる温度θsを100℃として、式(2)によりフィッティングを行った。図4において、実線がフィッティングを行った後の予測結果である。
以上の試験結果をもとに、材料パラメータA、α、βを同定した結果、A=0.03、α=0、β=0.0025であった。
本試験に用いたフラン樹脂の熱分解速度定数kdには、温度依存性が認められなかったものの、例えばアルカリフェノール樹脂など、他の粘結剤を用いた場合には、温度依存性がある可能性がある。以上の結果から、式(1)乃至(3)を用いることで、粘結剤であるフラン樹脂の熱分解量・熱分解速度を予測できることが確認された。
(粘結剤の熱分解による自硬性砂の熱間圧縮強度の変化の予測)
次に、熱間圧縮試験を実施した。試験体には、上述の重量変化測定試験と同じサイズのものを使用した。自硬性砂の熱間圧縮強度σc(θ,t)と粘結剤の熱分解量ΔC(θ,t)との関係を図5に示す。図5において、プロットが実験結果であり、実線が式(4)による予測結果である。
この試験結果から、自硬性砂の材質に依存した材料パラメータγを同定した結果、γ=0.032であった。
また、試験体に同様のサイズのものを使用して、常温圧縮試験を実施した。この試験結果から、熱負荷を受ける前の粘結剤の常温圧縮強度σc0[MPa]が、3.5MPaであることがわかった。
また、同様のサイズであって、1000℃で10分加熱した後の試験体を使用して、熱間圧縮試験を実施した。この試験結果から、完全に熱分解した後の粘結剤の熱間圧縮強度σc1[MPa]が、0.06MPaであることがわかった。
以上の結果から、式(4)によって、粘結剤であるフラン樹脂の熱分解量ΔC(θ,t)に依存した自硬性砂の熱間圧縮強度σc(θ,t)の変化を予測できることが確認された。
(効果)
以上に述べたように、本実施形態に係る砂型鋳造方法における自硬性砂の熱間圧縮強度予測方法によると、式(1)乃至(3)を用いることで、粘結剤の熱分解量・熱分解速度を予測することができる。また、式(4)を用いることで、粘結剤の熱分解量ΔC(θ,t)に依存した自硬性砂の熱間圧縮強度σc(θ,t)の変化を予測することができる。これらの予測結果から、鋳造中の砂型の熱間圧縮強度を予測することができるので、鋳造時に砂型が健全な強度を有しているか否かを判断することが可能になる。よって、鋳造時に砂型が健全な強度を有するようにすることで、焼付きや形状不良のない健全な鋳物を鋳造することができる。
以上、本発明の実施形態を説明したが、具体例を例示したに過ぎず、特に本発明を限定するものではなく、具体的構成などは、適宜設計変更可能である。また、発明の実施の形態に記載された、作用及び効果は、本発明から生じる最も好適な作用及び効果を列挙したに過ぎず、本発明による作用及び効果は、本発明の実施の形態に記載されたものに限定されるものではない。
1 金型
2 型
3 ねじ
4 キャビティ

Claims (1)

  1. 砂に粘結剤および硬化促進剤を添加して混練してなる自硬性砂を硬化させてなる砂型内に金属の溶湯を流し込むことで、鋳物を鋳造する砂型鋳造方法において、前記自硬性砂の熱間圧縮強度を予測する、自硬性砂の熱間圧縮強度予測方法であって、
    温度θ[℃]における前記粘結剤の限界熱分解量をΔCsat(θ)[wt%]、前記粘結剤の熱分解速度定数をkd[1/秒]、前記粘結剤の熱分解が始まる温度をθs[℃]、前記自硬性砂の材質に依存した材料パラメータをA、α、βとすると、前記自硬性砂が温度θ[℃]に時間t[秒]曝された際の前記粘結剤の熱分解量ΔC(θ,t)[wt%]を、以下の式(1)乃至(3)から求めるステップと、
    熱負荷を受ける前の前記粘結剤の常温圧縮強度をσc0[MPa]、完全に熱分解した後の前記粘結剤の熱間圧縮強度をσc1[MPa]、前記砂同士が反応・焼結体化することによる強度上昇分をσs(θ,t)[MPa]、前記自硬性砂の材質に依存した材料パラメータをγとすると、前記自硬性砂の熱間圧縮強度σc(θ,t)[MPa]を、以下の式(4)から求めるステップと、
    を有することを特徴とする、砂型鋳造方法における自硬性砂の熱間圧縮強度予測方法。
    ΔC(θ,t)=ΔCsat(θ)・{1−exp(−kdt)} ・・・式(1)
    ΔCsat(θ)=tanh{β(θ−θs)}×100 ・・・式(2)
    d=A・exp(αθ) ・・・式(3)
    σc(θ,t)=σc0−(σc0−σc1)×tanh(γ・ΔC(θ,t))+σs(θ,t) ・・・式(4)
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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