JP2018143223A - 作業室内のdna不活化方法、及びdnaインジケータ - Google Patents

作業室内のdna不活化方法、及びdnaインジケータ Download PDF

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Abstract

【課題】作業室内を汚染しているDNAを不活化処理し、その不活化処理によってDNAが充分に分解又は除去されたことを知ることができる、作業室内のDNA不活化方法、及びその方法に適用可能なDNAインジケータを提供する。【解決手段】担持体と、前記担持体に担持された標準DNAと、を有するDNAインジケータを作業室に設置するステップと、前記作業室において、前記DNAインジケータが担持する標準DNAと、前記作業室に予め存在したDNAとを同時に分解又は除去するDNA不活化処理を施すステップと、前記作業室からDNAインジケータを回収し、前記DNAインジケータに担持された標準DNAの残留量を測定するステップと、を有する、作業室内のDNA不活化方法。【選択図】なし

Description

本発明は、作業室内のDNA不活化方法、及びDNAインジケータに関する。
iPS細胞やES細胞に代表される万能細胞を取り扱う再生医療の施設では、組織や器官を製造することが試みられている。万能細胞を取り扱うクリーンルーム内が、作業者の皮膚、皮脂、唾、汗等に由来するDNAや、空気中のカビ、細菌、ウイルス等の微生物に由来するDNA、或いは、他の生体材料に由来するDNAで汚染されていた場合、万能細胞に混入したり、製品の品質を低下させたりする恐れがある。特に、万能細胞に混入した場合には、万能細胞が癌化する懸念もある。
また、微量なDNAの混入が作業に悪影響を及ぼすことは、万能細胞の取り扱いに限らず、例えば、リアルタイムPCRを用いたサンプル中の微量DNA分析の場合にも起こり得る(例えば、非特許文献1)。
大楠清文、石和田稔彦、江崎孝行、「検査と技術、増刊号 一線診療のための臨床検査 第II章 各論−検査編(2)特定菌検出−ウイルス」株式会社医学書院、2005年10月、第33巻、第11号、p.1218−1222
DNAによる汚染が限られた領域、例えばクリーンベンチ内だけであれば、クリーンベンチ内を入念に洗浄することによって、DNA汚染を排除できたと経験的に確信することができる。しかしながら、クリーンルーム(作業室)を対象とした場合、領域が広いので、洗浄したとしても、果たしてDNA汚染を排除できたか否かを知る術が無かった。
本発明は、作業室内を汚染しているDNAを不活化処理し、その不活化処理によってDNAが充分に分解又は除去されたことを知ることができる、作業室内のDNA不活化方法、及びその方法に適用可能なDNAインジケータを提供する。
[1] 担持体と、前記担持体に担持された標準DNAと、を有するDNAインジケータを作業室に設置するステップと、前記作業室において、前記DNAインジケータが担持する標準DNAと、前記作業室に予め存在したDNAとを同時に分解又は除去するDNA不活化処理を施すステップと、前記作業室からDNAインジケータを回収し、前記DNAインジケータに担持された標準DNAの残留量を測定するステップと、を有する、作業室内のDNA不活化方法。
[2] 前記DNA不活化処理が、前記作業室の少なくとも前記DNAインジケータを設置した領域に対して、DNAを分解する薬剤を散布する処理である、[1]に記載の作業室内のDNA不活化方法。
[3] 前記薬剤が次亜塩素酸を含む液体薬剤である、[2]に記載の作業室内のDNA不活化方法。
[4] 前記標準DNAの残留量を測定する際にPCR法を用いる、[1]〜[3]の何れか一項に記載の作業室内のDNA不活化方法。
[5] 前記作業室がクリーンルームである、[1]〜[4]の何れか一項に記載の作業室内のDNA不活化方法。
[6] 担持体と、前記担持体に担持された標準DNAとを有し、[1]〜[5]の何れか一項に記載の<作業室内のDNA不活性化方法>用の、DNAインジケータ。
[7] 前記標準DNAが既知の塩基配列を含むDNAである、[6]に記載のDNAインジケータ。
[8] 前記標準DNAの塩基数が10〜200塩基対(bp)である、[6]又は[7]に記載のDNAインジケータ。
[9] 前記担持体の単位面積(cm)当たりに担持された前記標準DNAの合計の質量が0.003μg/cm〜0.3μg/cmである、[6]〜[8]の何れか一項に記載のDNAインジケータ。
[10] 前記標準DNAがヒトを含む哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、菌類、酵母、及びウイルスのうち少なくとも1つ以上に由来する、[6]〜[9]の何れか一項に記載のDNAインジケータ。
[11] 前記担持体の形状がシートであり、前記シートの外部からアクセス可能な表面に前記標準DNAが担持されている、[6]〜[10]の何れか一項に記載のDNAインジケータ。
[12] 前記担持体が、セルロース含有繊維、ガラス繊維及び合成樹脂繊維のうち少なくとも1つ以上を含む、[6]〜[11]の何れか一項に記載のDNAインジケータ。
[13] 前記担持体が濾紙、布、又はフィルムである、[6]〜[12]の何れか一項に記載のDNAインジケータ。
本発明にかかるDNA不活化方法及びDNAインジケータによれば、作業室内のDNA汚染を確実に除去できたことを知ることができる。
本発明のDNA不活化方法でDNA汚染を除去した、バイオロジカルクリーンルーム(BCR)の一例である。
本発明の第一態様は、後述するように、担持体と、前記担持体に担持された標準DNAと、を有するDNAインジケータを作業室内に設置するステップを有する、作業室内のDNA不活化方法である。
以下、先にDNAインジケータを詳細に説明し、その後に、作業室内のDNA不活化方法の詳細を説明する。
《DNAインジケータ》
DNAインジケータは、担持体と、前記担持体に担持された標準DNAと、を有する。
[標準DNA]
標準DNAは既知の塩基配列を含むDNAであることが好ましい。既知の塩基配列に結合するプライマーを用いてPCR法(ポリメラーゼ連鎖反応法)を行うことにより、DNAインジケータに担持された微量のDNAを検出することができる。前記プライマーとして、例えば、16S rRNA、27f、357f、530f、519r、907r、1100r、1392r、1492r等のユニバーサルプライマーが挙げられる。
標準DNAの塩基数は、例えば、10〜200塩基対(bp)であることが好ましく、15〜100bpであることがより好ましく、20〜50bpであることがさらに好ましい。
標準DNAの塩基数が10bp以上であると、DNA不活化処理によって標準DNAが分解又は除去されたことをより容易に検出し易くなる。例えば、PCR法で増幅したDNAの検出や取り扱いがより容易になる。
標準DNAの塩基数が200bp以下であると、担持体に多数の標準DNAを担持させることがより容易なる。つまり、担持される標準DNAの単位質量当たりのコピー数を多くすることができる。このコピー数を多くするほど、DNA不活化処理後に標準DNAの少なくとも一つが残留する可能性が高まる。したがって、コピー数を調整することによって、DNAインジケータの完全な不活化の困難度を調整することができる。
担持体に担持された標準DNAは、1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
担持体の単位面積(cm)当たりに担持された標準DNAの合計の質量は、0.003μg/cm〜0.3μg/cmであることが好ましく、0.004μg/cm〜0.05μg/cmであることがより好ましく、0.005μg/cm〜0.01μg/cmであることがさらに好ましい。
標準DNAの前記質量が0.003μg/cm以上であると、DNA不活化処理によって標準DNAが分解又は除去されたことをより容易に検出し易くなる。例えば、PCR法で増幅したDNAの検出や取り扱いがより容易になる。
標準DNAの前記質量が0.3μg/cm以下であると、担持体に多数の標準DNAを担持させることがより容易なる。つまり、担持される標準DNAの単位質量当たりのコピー数を多くすることができる。このコピー数を多くするほど、DNA不活化処理後に標準DNAの少なくとも一つが残留する可能性が高まる。したがって、コピー数を調整することによって、DNAインジケータの完全な不活化の困難度を調整することができる。
標準DNAの由来としては、例えば、ヒトを含む哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、菌類、酵母、及びウイルスのうち少なくとも1つ以上が挙げられる。DNA不活化処理する対象の作業室の目的に応じて適宜選択される。ここで、「標準DNAの由来」とは、その標準DNAの塩基配列をゲノム中に有する生物種又は生物体の一部分を意味する。担持体に担持される標準DNAは、生物から抽出されたDNAであってもよいし、DNA合成装置によって化学的に合成されたDNAであってもよい。
[担持体]
担持体の形状はシートであることが好ましい。担持体がシートであると、作業室内の床上、壁上、装置上、作業台上等にDNAインジケータを容易に設置することができる。
担持体がシートである場合、標準DNAはシートの外部からアクセス可能な表面に担持されていることが好ましい。ここで、「アクセス可能な表面」は、平滑な表面だけでなく、微細な凹凸のある表面、複数の繊維が互いに絡み合った繊維構造における繊維の表面、多孔質構造における外部と連通した孔内の表面等を含む。
担持体の材料としては、DNAを担持し得る材料であれば特に限定されず、例えば、セルロース、ガラス、合成樹脂、及び金属等が挙げられる。担持体の材料は1種類であってもよいし、2種類以上であってもよい。
ここで、DNAを担持するとは、DNAが担持体に物理的又は化学的に吸着、付着若しくは結合した状態をいう。この際、DNA分子が担持体に対して直に接していてもよいし、DNA分子が、DNA分子を分散する分散媒を介して、担持体に対して間接的に接していてもよい。前記分散媒としては、例えば、水、アルコール、pH緩衝剤、EDTA、増粘剤等を含む公知のDNA分散媒が挙げられる。
担持体の素材としては、例えば、セルロース含有繊維、ガラス繊維及び合成樹脂繊維のうち少なくとも1つ以上を含むことが好ましい。これらの繊維は標準DNAを担持し易く、DNA不活化処理による変性や劣化が起こりにくい。
具体的な担持体としては、例えば、濾紙、布、フィルム等が挙げられる。
担持体のサイズは特に限定されず、DNAインジケータを設置する箇所に応じて適宜設定されるが、DNA不活化処理後にDNAインジケータを回収し、標準DNAの残留量を定量する際の取り扱いの容易さを考慮して、例えば、面積が1〜10cm程度の小片であることが好ましい。シート状のDNAインジケータを用いる場合、そのサイズは、取り扱いの容易さを考慮して適宜設定される。例えば、取り扱いが容易で、DNA不活化処理によって標準DNAを適切に分解又は除去できることから、20×20mm程度が好ましい。
DNAインジケータの製造方法の一例を説明する。まず、前述した分散媒に標準DNAを適当な濃度で分散させたDNA分散液を調製する。DNA分散液を適当なサイズの担持体に塗布して、担持体の表面に付着させたり、担持体の内部に浸潤させたりする。次いで、必要に応じて、乾燥して分散媒を除去することにより、標準DNAが担持体に担持された目的のDNAインジケータを得ることができる。
材料として使用する前の担持体が意図しないDNA分子で既に汚染されている可能性を考慮して、予め担持体を洗浄した後で標準DNAを担持させることが好ましい。
また、使用前の担持体のDNA汚染を防ぐ観点から、DNA汚染が起こり難い材料からなる担持体を使用することが好ましい。
《作業室内のDNA不活化方法》
本発明の第二態様は、第一態様のDNAインジケータを作業室に設置するステップ(設置ステップ)と、前記作業室において、前記DNAインジケータが担持する標準DNAと、前記作業室に予め存在したDNAとを同時に分解又は除去するDNA不活化処理を施すステップ(不活化ステップ)と、前記作業室からDNAインジケータを回収し、前記DNAインジケータに担持された標準DNAの残留量を測定するステップ(測定ステップ)と、を有する、作業室内のDNA不活化方法である。以下、各ステップを説明する。
[設置ステップ]
DNAインジケータを設置する作業室は密閉空間であってもよいし、非密閉空間であってもよい。作業室の大きさは特に限定されず、例えば、その床面積が1〜100m程度の大きさが挙げられる。この床面積はクリーンルームの床面積として適している。
DNAインジケータを設置する箇所は、特に限定されず、例えば、床上、壁上、装置上、作業台上等が挙げられる。
設置するDNAインジケータの個数は、特に限定されず、1箇所に複数のDNAインジケータを設置してもよいし、複数箇所に1つ又は複数のDNAインジケータを設置してもよい。複数のDNAインジケータを設置する場合、個々のDNAインジケータは同じであってもよいし、異なっていてもよい。
DNAインジケータの設置方法は、担持した標準DNAが露出するように設置することが好ましく、単に置くだけでもよいし、両面テープや接着剤等で固定してもよい。
[不活化ステップ]
作業室内の、DNAインジケータを設置した箇所を含む任意の領域に対して、DNAを分解又は除去することが可能なDNA不活化処理を行う。
DNA不活化処理としては、例えば、DNA分子を化学的に分解することが可能な薬剤を前記領域に対して散布する方法が挙げられる。
前記薬剤としては、例えば、次亜塩素酸、次亜塩素酸ナトリウム、次亜塩素酸カルシウム、過酸化水素等の1つ以上を含む液体薬剤が挙げられる。なかでも、DNAの分解効率に優れ、換気によって作業室内から容易に除去できることから、次亜塩素酸を含む液体薬剤(DNA不活化剤)が好ましい。
前記液体薬剤に含まれる次亜塩素酸の濃度は、当該液体薬剤に接触した標準DNAが分解される濃度であればよく、例えば、有効塩素濃度50〜500ppmが挙げられる。
前記液体薬剤を散布する機器としては、例えば、霧吹き器具、噴霧装置、散水装置、超音波霧発生装置、蒸気発生装置(加湿器)等が挙げられる。
作業室内に散布した霧状、エアロゾル状又はガス状の前記薬剤を、作業室内の所定箇所に向けて誘導するために送風機を併用してもよい。
他のDNA不活化処理としては、例えば、布、ペーパータオル、モップ等で前記領域を拭く方法が挙げられる。前記領域には、予め前記液体薬剤を塗布してもよいし、布等に予め前記液体薬剤を含ませておいてもよい。
[測定ステップ]
適切なDNA不活化処理によって、DNAインジケータに担持されていた標準DNAの少なくとも一部は分解又は除去されている。回収したDNAインジケータに残留している、分解又は除去されていない標準DNAの量を測定する方法としては、PCR法、DNAの吸収波長帯を測定する吸光光度分析法等が挙げられる。なかでも、微量のDNAを精度良く分析することが可能なPCR法が好ましい。
PCR法のうち、定量性に優れるリアルタイムPCR法の適用が好ましい。標準DNAの所定の塩基配列に対するプライマーを用いてPCRを行うことにより、標準DNAを増幅することができる。リアルタイムPCR法によれば、回収したDNAインジケータに担持された標準DNAを鋳型として、その経時的な増幅率を測定することによって、鋳型として使用した標準DNAを定量することができる。
DNA不活化処理を施していないDNAインジケータをコントロール(参照基準)として、回収したDNAインジケータにおける標準DNAの残留量が低ければ低いほど、前記DNA不活化処理が有効に行われたことが分かる。標準DNAの残留量が充分に低ければ、そのDNA不活化処理を施した領域におけるDNA汚染は除去されたといえる。
以下、本発明にかかる具体的な実施形態や手順について、幾つかの例を説明する。
[実施例1;標準DNAの検出]
標準DNAとして繊維芽細胞から抽出したDNA(例えば、TIG1−20DNA)を使用し、PCR用のプライマーとしてLINE1(Long Interspersed element-1)を使用する。DNA不活性化処理後のDNAインジケータに残留したDNAを分散媒に溶出する等の方法で回収し、分解されずに残った標準DNAの定量をリアルタイムPCRのSYBR-GREEN法等の公知方法で行う。標準DNAとプライマーの組み合わせが上記であると、未分解の標準DNAが0.0001pg(ピコグラム)程度で残留していれば、それを検出することができる。検出したDNAの濃度は、DNA濃度の対数スケールを横軸にとり、Ct値を縦軸にとって予め作成した検量線に基づいて求めることができる。
実施例1の標準DNAの変形例として、例えば、公知のヒト培養細胞の株種(strain)、酵母などの真菌、大腸菌などの細菌等に由来するDNA、対象となる施設の作業室内で使用する細胞株に由来するDNA等を標準DNAとして用いることもできる。標準DNAのサイズ(長さ)は、全ゲノムであってもよいし、各種の制限酵素を用いて細分化した断片であってもよい。
実施例1のプライマーの変形例として、例えば、16S rRNA、27f、357f、530f、519r、907r、1100r、1392r、1492r等のユニバーサルプライマーが挙げられる。使用する標準DNAの増幅率が高いものを予め選定して使用することが望ましい。
[実施例2;DNAインジケータの作製]
DNA担持体を構成する材料を選定するために、耐熱温度、丈夫さ、水分(DNA)保持力、DNA様夾雑物なし、の4つ項目で評価し、さらに総合的な観点から評価した。評価は次の4段階で行った;◎:優れている、○:良好である、△:劣る、×:極めて劣る。
耐熱温度については、担持体(担体)のカタログ値を参照した。
丈夫さについては、担持体を両手で引き裂くことを試み、その難易度を主観で評価した。
水分保持力については、担持体に滴下した水の吸収の程度を目視で確認して評価した。
DNA様夾雑物なしについては、担持体を所定量のイオン交換水で洗浄し、溶出された成分を吸光光度計で検出し、DNAに対応する紫外線波長域に観測されたピークの高さからDNA様夾雑物の溶出程度を評価した。上記の評価結果を表1に示す。
Figure 2018143223
上述の評価項目等を参考にして担持体を選定し、適当なサイズ(例えば20×20mm)に成形する。DNA様不純物(夾雑物)を除去するため、担持体を滅菌処理した後、70%エタノール等で充分に洗浄し、乾燥させる。清浄な担持体の表面に、標準DNAの水溶液の10μlを滴下し、乾燥させることによって、目的のDNAインジケータが得られる。
一例として、繊維芽細胞由来の標準DNA水溶液(濃度:0.5μg/ml)を用いて以下の実施例で用いるDNAインジケータを作製した。
[実施例3;DNAインジケータからの標準DNAの回収]
実施例2で作製したDNAインジケータを汚染しないように、清浄なピンセットを用いて、清浄な1.5mlのマイクロチューブに入れる。TE(Tris-EDTA)緩衝液120μlをマイクロチューブ内のDNAインジケータに浸み込ませ、DNAインジケータを丸めてTE緩衝液に漬けた状態で5分間静置する。
次いで、丸めたDNAインジケータの端部をマイクロチューブの蓋に挟み、マイクロチューブ内に吊り下げる。この状態で卓上遠心機に掛けて2000G、30秒間で遠心することにより、DNAインジケータに浸み込んでいたTE緩衝液をマイクロチューブの底部に落とし、溶出液として回収する。
得られた溶出液10μlをリアルタイムPCRに掛けて、DNAインジケータからの標準DNAの回収率を求める。
上記の方法によってDNA不活化処理を施していないDNAインジケータからの標準DNAの回収率を求める試験を行ったところ、担持体が定量濾紙、定性濾紙、ポリエステル不織布である場合には約60%、担持体がセルロースアセテート製シートである場合には約35%の回収率であった。回収されなかった標準DNAは、担持体に固着して回収できなかったか、或いは試験中の操作で意図せずに失われたと考えられる。
DNA不活化処理を施していないDNAインジケータから回収した標準DNAの回収率を基準として、DNA不活化処理を施したDNAインジケータに残留した標準DNAも同様に回収し、定量することができる。
[実施例4;DNA不活化処理]
実施例2で作製したDNAインジケータを汚染しないように、清浄なピンセットを用いて、清浄な1.5mlのマイクロチューブに入れる。試験対象の液体薬剤50μlをマイクロチューブ内のDNAインジケータの全体に浸み込ませ、1.5時間静置する。このDNA不活化処理の後、TE緩衝液120μlをマイクロチューブ内のDNAインジケータに浸み込ませ、DNAインジケータを丸めてTE緩衝液に漬けた状態で5分間静置する。
次いで、実施例3と同様に遠心処理によって溶出液を回収し、リアルタイムPCRによって分解されずに残った標準DNAの量を定量する。
上記の方法に従って、有効塩素濃度を0〜200ppmの範囲で調整した次亜塩素酸水溶液を液体薬剤として用い、DNA不活化処理の試験を行ったところ、下記表の結果を得た。この結果から、100ppmの次亜塩素酸水溶液を液体薬剤として対象領域に散布することによって、その対象領域のDNA汚染を充分に除去できることが理解される。
Figure 2018143223
[実施例5;バイオロジカルクリーンルーム(BCR)のDNA汚染の除去]
図1に示す、外部に通じる廊下に面した前室と、エアシャワーと、BCRに通じる廊下(BCR廊下)と、BCRと、シャフトとが、それぞれ扉で仕切られたBCR施設を対象とした。
BCRの中央に次亜塩素酸水溶液(濃度200ppm)を散布する噴霧装置を設置し、BCR全体に液体薬剤が充満するように2基のファン(送風機)を設置した。
噴霧装置の近くの床上、噴霧装置を設置したSUSテーブル上、外部の廊下に面した窓際の床上、シャフトスペース側の壁際の床上、の4箇所に、DNAインジケータ(図中のDI(1)〜(4))を設置した。
噴霧装置から霧状の次亜塩素酸水溶液を噴霧し、BCR内に充満させ、床に触れると湿り気を感じる程度まで散布した。DNA不活化処理を完了するために2時間静置した後、各DNAインジケータを回収した。また、噴霧装置及びファンを撤収し、BCR内を充分に換気して、原状を復帰させた。
回収した各DNAインジケータに残留した標準DNAの量をリアルタイムPCRで測定したところ、いずれも検出限界以下であった。この測定結果から、BCRのDNA汚染が充分に除去されたことを確認できた。
以上の通り、本発明によれば、作業室を汚染していた非常に微量で、透明で無臭のDNA夾雑物の分解効率(除去の程度)を定量的に把握することができる。従来は、薬剤によって清掃した作業室における微量DNAの分解効率を把握することはできなかった。
以上で説明した各実施形態における各構成及びそれらの組み合わせ等は一例であり、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で、公知の構成の付加、省略、置換、およびその他の変更が可能である。
本発明は、DNA取り扱い施設のDNA汚染を除去する用途に広く適用できる。

Claims (13)

  1. 担持体と、前記担持体に担持された標準DNAと、を有するDNAインジケータを作業室に設置するステップと、
    前記作業室において、前記DNAインジケータが担持する標準DNAと、前記作業室に予め存在したDNAとを同時に分解又は除去するDNA不活化処理を施すステップと、
    前記作業室からDNAインジケータを回収し、前記DNAインジケータに担持された標準DNAの残留量を測定するステップと、を有する、作業室内のDNA不活化方法。
  2. 前記DNA不活化処理が、前記作業室の少なくとも前記DNAインジケータを設置した領域に対して、DNAを分解する薬剤を散布する処理である、請求項1に記載の作業室内のDNA不活化方法。
  3. 前記薬剤が次亜塩素酸を含む液体薬剤である、請求項2に記載の作業室内のDNA不活化方法。
  4. 前記標準DNAの残留量を測定する際にPCR法を用いる、請求項1〜3の何れか一項に記載の作業室内のDNA不活化方法。
  5. 前記作業室がクリーンルームである、請求項1〜4の何れか一項に記載の作業室内のDNA不活化方法。
  6. 担持体と、前記担持体に担持された標準DNAとを有し、請求項1〜5の何れか一項に記載の<作業室内のDNA不活性化方法>用の、DNAインジケータ。
  7. 前記標準DNAが既知の塩基配列を含むDNAである、請求項6に記載のDNAインジケータ。
  8. 前記標準DNAの塩基数が10〜200塩基対(bp)である、請求項6又は7に記載のDNAインジケータ。
  9. 前記担持体の単位面積(cm)当たりに担持された前記標準DNAの合計の質量が0.003μg/cm〜0.3μg/cmである、請求項6〜8の何れか一項に記載のDNAインジケータ。
  10. 前記標準DNAがヒトを含む哺乳類、魚類、鳥類、爬虫類、菌類、酵母、及びウイルスのうち少なくとも1つ以上に由来する、請求項6〜9の何れか一項に記載のDNAインジケータ。
  11. 前記担持体の形状がシートであり、前記シートの外部からアクセス可能な表面に前記標準DNAが担持されている、請求項6〜10の何れか一項に記載のDNAインジケータ。
  12. 前記担持体が、セルロース含有繊維、ガラス繊維及び合成樹脂繊維のうち少なくとも1つ以上を含む、請求項6〜11の何れか一項に記載のDNAインジケータ。
  13. 前記担持体が濾紙、布、又はフィルムである、請求項6〜12の何れか一項に記載のDNAインジケータ。
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