JP2018142704A - 有機半導体組成物及びその用途 - Google Patents

有機半導体組成物及びその用途 Download PDF

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Abstract

【課題】有機半導体組成物から得られる有機薄膜を含む有機半導体デバイスであって、熱安定性と高い移動度を両立する有機半導体デバイスを提供すること。【解決手段】 一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表される化合物とを含有する有機半導体組成物(式中、R1、R2及びR3はそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキル基を有する若しくは有さない芳香族炭化水素基、又はアルキル基を有する若しくは有さない複素環基を表す。Lはフッ化アルキル基、フッ化アルキル基を有する芳香族炭化水素基、又はフッ化アルキル基を有する複素環基を表す。A及びBはそれぞれ独立にアセン、フェナセン、又はヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基を表す。但し、式(1)において、R1及びR2の両方が水素原子である場合を除く。)。【選択図】図1

Description

本発明は、各々を有機半導体として用い得る複数の化合物を含有する有機半導体組成物、該組成物を用いて得られる好適な特性と熱安定性を有する有機薄膜、及び該有機薄膜を含む有機半導体デバイスに関する。より詳細には、印刷、塗布等の簡便な方法に用い得る、有機薄膜の形成に好適な有機半導体組成物に関し、更には該組成物を用いた良好な特性と熱安定性を有する有機半導体デバイスに関する。
近年、半導体デバイス製造プロセスの大幅な効率化や大面積化、プラスチック材料を用いたフレキシブル基板上へのデバイスの作製を目的とした、印刷技術を用いた有機半導体デバイスの構築(プリンテッドエレクトロニクス)に関する研究開発が盛んに行われている。塗布法により製膜可能な溶剤溶解性を有する有機半導体化合物を用いて構築される有機半導体デバイスには、良好な半導体特性(高いキャリア移動度など)が要求されるだけでなく、有機半導体デバイスの製造プロセスにおける高温プロセスでの優れた耐性や得られた有機半導体デバイスの優れた耐久性なども必要とされる。
高いキャリア移動度を示す有機半導体化合物としては、[1]ベンゾチエノ[3,2−b][1]ベンゾチオフェン(以下、適宜「BTBT」と略記する)骨格を有する縮合多環芳香族化合物が知られている。特許文献1には下記式(x)で示される有機溶媒に可溶なBTBT誘導体が実用的な印刷適性をもち、かつ優れたキャリア移動度などの半導体特性を有することが記載されている。しかしながら、同文献に記載の材料は110℃以下の低温で相転移を起こしやすく、非特許文献1にはこの材料を用いて得られた有機半導体薄膜を含む有機半導体デバイスは耐熱性に劣ることが記載されている。
なお、式(x)中、X及びXはそれぞれ独立に硫黄原子、セレン原子又はテルル原子を表す。R及びRはそれぞれ独立に無置換又はハロゲノ置換炭素数1乃至36の脂肪族炭化水素基を表す。
特許文献2及び非特許文献1には、BTBT骨格を含む電荷輸送性分子ユニットAと、側鎖としてのユニットBを有する特定構造の有機半導体化合物が示されており、高次の液晶相を発現するこれらの化合物を用いることにより高い移動度及び性能安定性を有する有機薄膜が得られることが記載されている。しかしながら、これらの化合物が優れた特性を発現するためには有機薄膜形成時に煩雑な熱処理プロセスが必要であることに加え、特許文献2には他の有機半導体化合物と混合した組成物として用いた場合の諸特性に対する影響は何ら記載されていない。
また、低分子の有機半導体化合物はディウェッティング(薄膜において、分子の配列秩序が乱れることで、基板を均一に覆っていた薄膜が変質し、基板の一部がむき出しになってしまうこと)しない低い温度領域でアニーリングを施すことにより薄膜中の低分子の配向秩序が高くなり移動度が向上することが非特許文献1等により知られているが、アニール温度が高い場合はディウェッティングによりデバイスの機能が大きく低下してしまう。
一方で、有機半導体材料からなる有機半導体デバイスの特性を向上させる方法としては、界面活性剤や高分子化合物等を混合した組成物を用いて得られた有機薄膜で半導体デバイスを作製する方法が知られている。
例えば、特許文献3には組成物として、有機半導体材料とフッ化アルキル基を有するアクリレートポリマーからなる有機半導体組成物が開示されている。同文献には高分子有機半導体にフッ素系界面活性剤を添加することにより、有機トランジスタ素子の性能が向上することや、撥液性の高い絶縁膜上における製膜性が向上することが記載されている。しかしながら、同文献の実施例における有機トランジスタの移動度は1.0×10−3〜10×10−3cm/Vs程度であり、実用性のあるトランジスタ特性は得られていない。しかも、高分子半導体材料よりも高移動度が期待できる低分子半導体材料を用いた場合の効果については何ら示されておらず、熱安定性についても言及されていない。
非特許文献3には、フッ化アルキル基を有する材料を含む半導体組成物としては、例えば、フッ化アルキル基を有するフラーレン誘導体と、フッ化アルキル基を有さないフラーレン誘導体(PCBM)を混合した溶液を用いて作製した有機薄膜においては、フッ化アルキル体が有機薄膜の表面に偏析することが記載されている。また、同文献には、有機光電変換特性を有する有機薄膜形成材料にフッ化アルキル基を有するフラーレン誘導体を添加して使用することにより、非特許文献2に記載されているのと同様の表面偏析効果により、光電変換特性が向上することが記載されている。更に、同文献には、ポリチオフェン、PCBM及びフッ化アルキル基を有するフラーレン誘導体を含む溶液を用いて有機薄膜を作製することにより、光電変換特性が向上することが記載されている。しかしながら、有機トランジスタ等の半導体デバイスの半導体特性や熱安定性が向上することについては何ら記載されていない。
即ち、これらの先行技術文献は、有機半導体素子の初期特性(移動度など)について論じられているだけであり、従来からの問題点とされている有機半導体デバイスの熱安定性の向上については何ら示されていない。
非特許文献6には、半導体のキャリア輸送を担うアセン、フェナセン及びヘテロアセン母骨格に化学修飾された有機半導体化合物を用いることにより、置換基同士の分子間相互作用により分子が薄膜中で規則正しく配列してキャリアの伝導面が構築され、有機半導体デバイスへの応用が可能になることが記載されている。
しかしながら、非特許文献6に記載されている半導体性低分子化合物からなる薄膜は、ディウェッティングが生じるアニール温度において薄膜の均一性を保つことが出来ず、このような薄膜を用いた半導体デバイスは熱安定性が不充分である。
特許第4581062号 特許第5732595号 WO2010/010791
H. Iino, et al., Nat. Commun.2015, 6, 6828. Q. Wei, et al., J. Am. Chem. Soc. 2009, 131, 17597. Q. Wei, et al., Adv. Mater. 2008, 20, 2211. H. Ebata, et al. J. Am. Chem. Soc. 2007, 129, 15732. J. Ma, et al. Macromol. Chem. Phys. 2013, 214, 1326. J. E. Anthony, Chem. Rev. 2006, 106, 5028.
本発明は、従来技術の課題である半導体特性と熱安定性の向上に鑑みなされたものであり、熱安定性と高い移動度とを両立する有機半導体デバイスを製造するための有機半導体組成物、及びそれから得られる有機薄膜を提供することを目的とする。
本発明者らは鋭意検討を重ねた結果、特定構造の二種類の有機半導体化合物を混合した組成物を用いて得られる有機薄膜を含む有機半導体デバイスは、移動度と熱安定性が大幅に向上することを見出して本発明を完成するに至った。
すなわち、本発明は、
[1] 一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表される化合物とを含有する有機半導体組成物

(式中、R1、及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキル基を有する若しくは有さない芳香族炭化水素基、又はアルキル基を有する若しくは有さない複素環基を表す。Lはフッ化アルキル基、フッ化アルキル基を有する芳香族炭化水素基、又はフッ化アルキル基を有する複素環基を表す。A及びBはそれぞれ独立にアセン、フェナセン、又はヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基を表す。但し、式(1)において、R及びRの両方が水素原子である場合を除く。)、
[2] 一般式(1)におけるR及びRが同一のアルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基又はアルキル基を有する複素環基を表す、[1]に記載の有機半導体組成物、
[3] 一般式(1)におけるRと一般式(2)におけるRが同一のアルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基若しくはアルキル基を有する複素環基を表す、又は一般式(1)におけるRと一般式(2)におけるRが同一のアルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基若しくはアルキル基を有する複素環基を表す、[1]又は[2]に記載の有機半導体組成物、
[4] 一般式(1)及び一般式(2)におけるA及びBが同一の二価の連結基を表す、[1]乃至[3]のいずれか一項に記載の有機半導体組成物、
[5] 一般式(1)及び一般式(2)におけるA及びBの両方がそれぞれ独立に3乃至6の縮環数を有するヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基を表す、[1]乃至[4]のいずれか一項に記載の有機半導体組成物、
[6] 一般式(2)におけるLがフッ化アルキル基を表す、[1]乃至[5]のいずれか一項に記載の有機半導体組成物、
[7] 一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物の合計質量に対する一般式(2)で表される化合物の質量の割合が、1質量%以上50質量%以下である、[1]乃至[6]のいずれか一項に記載の有機半導体組成物、
[8] 有機溶媒を更に含む[1]乃至[7]のいずれか一項に記載の有機半導体組成物、
[9] [1]乃至[8]のいずれか一項に記載の有機半導体組成物を用いて得られる有機薄膜、
[10]一般式(2)で表される化合物が、表面に偏析している[9]に記載の有機薄膜、
[11] 表面に偏析している一般式(2)で表される化合物の結晶サイズが、100μm以上である[10]に記載の有機薄膜、
[12] [1]乃至[8]のいずれか一項に記載の有機半導体組成物を基板上に塗布又は印刷する工程、及び該基板上に塗布又は印刷した有機半導体組成物を熱処理する工程を含む有機薄膜の製造方法、
[13] [9]乃至[11]のいずれか一項に記載の有機薄膜を含む有機半導体デバイス、
[14] 有機薄膜トランジスタである[13]に記載の有機半導体デバイス、
[15] 一般式(2)で表される化合物

(式中、Rは水素原子、アルキル基、アルキル基を有する若しくは有さない芳香族炭化水素基、又はアルキル基を有する若しくは有さない複素環基を表す。Lはフッ化アルキル基、フッ化アルキル基を有する芳香族炭化水素基、又はフッ化アルキル基を有する複素環基を表す。Bはアセン、フェナセン、又はヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基を表す。)、
に関する。
本発明の有機半導体組成物は有機半導体デバイスを作製する際の印刷プロセスに好適に用いられると共に、該組成物を用いて得られる有機薄膜は半導体特性及び熱安定性に優れるため、該有機薄膜を用いることにより半導体特性と熱安定性に優れた有機エレクトロニクスデバイスを提供することが可能になる。
本発明の有機薄膜トランジスタのいくつかの態様例を示す概略断面図であり、(A)はボトムゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの態様例を示す概略断面図であり、(B)はボトムゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタの態様例を示す概略断面図であり、(C)はトップゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタの態様例を示す概略断面図であり、(D)はボトムゲート−トップ&ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの態様例を示す概略断面図であり、(E)は静電誘導トランジスタの態様例を示す概略断面図であり、(F)はトップゲート−ボトムコンタクト型有機薄膜トランジスタの態様例を示す断面概略図である。 本発明の有機薄膜トランジスタの一態様例としてのボトムゲート−トップコンタクト型有機薄膜トランジスタの製造方法を説明するための説明図であり、(A)乃至(F)は上記製造方法の各工程を示す概略断面図である。 実施例1で得られた有機薄膜のAFM像である。 比較例1で得られた有機薄膜のAFM像である。 実施例1で得られた有機薄膜の偏光顕微鏡写真である。 比較例1で得られた有機薄膜の偏光顕微鏡写真である。 実施例1の有機薄膜を用いた有機薄膜トランジスタデバイス(評価例3)及び比較例1の有機薄膜を用いた有機薄膜トランジスタデバイス(評価例4)のキャリア移動度を加熱温度に対してプロットした図である。 実施例1により得られた有機薄膜および比較例1により得られた有機薄膜の薄膜X線回折パターン(out−of−plane測定)を示す図である。 実施例1により得られた有機薄膜および比較例1により得られた有機薄膜の薄膜X線回折パターン(in−plane測定)を示す図である。
以下、本発明の有機半導体組成物について説明する。本発明の有機半導体組成物は、一般式(2)で表される化合物が有するフッ化アルキル基同士の強い凝集効果により、一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表される化合物とが、それぞれが独立に層を形成した有機薄膜を提供することができる。本発明の有機薄膜の表面では、一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物の合計に対する一般式(2)の化合物の存在比率が、理論値で計算される値より高く、フッ化アルキル基を有する一般式(2)で表される化合物からなる層が、有機薄膜の表面に偏析している。表面偏析性を有する有機薄膜は、表面に高秩序かつ凝集力の強い層が構築されているため、ディウェッティングが生じるアニール温度であっても有機薄膜の均一性を保つことができる。このような有機薄膜を用いた半導体デバイスは、向上した安定性を有する。
また、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物とを組み合わせて用いることにより、得られる有機薄膜の安定性が向上し、ディウェッティングを抑制することができる。すなわち、単一成分を用いた場合では、ディウェッティングが起きてしまうような温度でのアニールが、本発明の有機半導体組成物では可能となり、単一成分では得られない良好なデバイス特性を示す有機薄膜を得ることができる。
[一般式(1)で表される化合物、及び一般式(2)で表される化合物]
以下、本発明の有機半導体組成物を構成する、一般式(1)で表される化合物、及び一般式(2)で表される化合物について説明する。一般式(1)で表される化合物、及び一般式(2)で表される化合物は、以下の通りである。
式中、R1、及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキル基を有する若しくは有さない芳香族炭化水素基又はアルキル基を有する若しくは有さない複素環基を表し、Lはフッ化アルキル基、フッ化アルキル基を有する芳香族炭化水素基又はフッ素化アルキル基を有する複素環基を表し、A及びBはそれぞれ独立にアセン、フェナセン又はヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基を表す。但し、式(1)において、R及びRの両方が水素原子である場合は除く。
一般式(1)又は一般式(2)中のR、R及びRが表すアルキル基とは、直鎖状、分岐鎖状又は環状のアルキル基である。アルキル基の炭素数は、通常1〜30個であり、好ましくは4〜12個であり、より好ましくは6〜10個である。アルキル基の具体例としては、メチル基、エチル基、n−プロピル基、n−ブチル基、n−ペンチル基、n−ヘキシル基、n−ヘプチル基、n−オクチル基、n−ノニル基、n−デシル基、n−ウンデシル基、n−ドデシル基、n−トリデシル基、n−テトラデシル基、n−ペンタデシル基、n−ヘキサデシル基、n−ヘプタデシル基、n−オクタデシル基、n−ノナデシル基、n−エイコシル基、iso−プロピル基、iso−ブチル基、t−ブチル基、iso−ペンチル基、t−ペンチル基、sec−ペンチル基、iso−ヘキシル基、sec−ヘプチル基、sec−ノニル基、2−エチルへキシル基、3−エチルヘプチル基、4−エチルオクチル基、2−ブチルオクチル基、3−ブチルノニル基、4−ブチルデシル基、2−ヘキシルデシル基、3−オクチルウンデシル基、4−オクチルドデシル基、2−オクチルドデシル基、2−デシルテトラデシル基、シクロヘキシル基、シクロペンチル基、アダマンチル基及びノルボルニル基等が挙げられる。中でも、n−ブチル基、n−ヘキシル基、n−オクチル基、n−デシル基、n−ドデシル基、2−エチルヘキシル基、3−エチルヘキシル基、3−エチルオクチル基又は3−ブチルオクチル基等の直鎖又は分岐鎖のアルキル基が好ましく、n−ヘキシル基、n−オクチル基又はn−デシル基等の直鎖アルキル基であることがより好ましい。
、R及びRが表すアルキル基を有する若しくは有さない芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素基は、アルキル基を有する芳香族炭化水素基又はアルキル基を有さない芳香族炭化水素基のことをいう。芳香族炭化水素基の炭素数は、通常5〜18個であり、好ましくは、6〜10個である。芳香族炭化水素基の具体例としては、フェニル基、ビフェニル基、ナフチル基、アンスリル基、フェナンスリル基、ピレニル基及びフルオレニル基等が挙げられ、フェニル基又はナフチル基であることが好ましい。芳香族炭化水素基が有するアルキル基の具体例としては、上記した一般式(1)又は一般式(2)中のR、R及びRが表すアルキル基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。なお、芳香族炭化水素基は1つ又は2以上のアルキル基を有してもよく、また該芳香族炭化水素基はアルキル基以外の置換基を有していてもよい。
、R及びRが表すアルキル基を有する若しくは有さない複素環基における複素環基は、アルキル基を有する複素環、又はアルキル基を有さない複素環基のことをいう。複素環基の炭素及び水素以外の原子は、特に限定されるものではないが、例えば、酸素原子、窒素原子、硫黄原子等が挙げられる。複素環基の炭素数は、通常4〜18個であり、好ましくは、4〜10個である。アルキル基を有する若しくは有さない複素環基における複素環基は具体例としては、フラニル基、チエニル基、ベンゾフラニル基、ベンゾチエニル基、ピリジル基、ビピリジル基、キノリル基、ピラジル基、チエノチオフェニル基及びピラゾリル基等が挙げられ、チエニル基、ベンゾチエニル基又はチエノチオフェニル基であることが好ましい。複素環基が有するアルキル基の具体例としては、上記した一般式(1)又は一般式(2)中のR、R及びRが表すアルキル基の具体例と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。なお、複素環基は、1つ又は2以上のアルキル基を有してもよく、また該複素環基はアルキル基以外の置換基を有していてもよい。
一般式(1)におけるR及びRは、互いに同一でも異なっていてもよいが、R及びRは互いに同一であることが好ましい。すなわち、R及びRは、同一のアルキル基、アルキル基を有する若しくは有さない芳香族炭化水素基又はアルキル基を有する若しくは有さない複素環基であることが好ましい。
一般式(1)におけるR及びRは、水素原子、アルキル基、アルキル基を有する若しくは有さない芳香族炭化水素基又はアルキル基を有する若しくは有さない複素環基であれば特に限定されないが、BTBTにアルキル基が化学修飾された化合物はアルキル基同士が相互作用することで、半導体デバイスの特性に有利な分子配向をもった有機薄膜を形成することが知られていることから(例えば、非特許文献4参照)、R及びRのいずれかは、アルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基又はアルキル基を有する複素環基であることが好ましい。より好ましくは、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基又はアルキル基を有する芳香族炭化水素基であり、更に好ましくは、R及びRは、それぞれ独立にアルキル基である。
一般式(2)におけるRは、水素原子又は上記の置換基であれば特に限定されないが、アルキル基又はアルキル基を有する芳香族炭化水素基が好ましく、アルキル基であることがより好ましい。Rがこのような置換基である場合、一般式(2)で表される化合物の溶剤溶解性を向上させることができる。なお、一般式(2)におけるRは、R又はRと同一でも異なっていてもよく、R、R、及びRがすべて同一であってもよいが、RとR及び/又はRとが同一であることが好ましい。
一般式(2)中のLが表すフッ化アルキル基とは、水素原子がフッ素原子に置換されたアルキル基である。フッ化アルキル基は、特に限定されるものではないが、例えば、一般式(1)又は一般式(2)中のR、R及びRが表すアルキル基の項で挙げられたアルキル基中の水素原子がフッ素原子に置換されたものが挙げられる。
フッ化アルキル基におけるフッ素原子の置換数は特に限定されないが、フッ素原子をより多く含むフッ化アルキル基の方がフッ化アルキル基同士の凝集性が高まり、有機半導体組成物の構成成分の層分離が促進されて表面偏析膜を形成しやすくなるため、アルキル基の有する水素原子の4つ以上がフッ素原子に置換されたフッ化アルキル基が好ましく、6つ以上が置換されたフッ化アルキル基がより好ましく、8つ以上が置換されたフッ化アルキル基が更に好ましい。
一般式(2)中のLが表すフッ化アルキル基を有する芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素基の具体例としては、R、R及びRが表すアルキル基を有する若しくは有さない芳香族炭化水素基における芳香族炭化水素基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
一般式(2)中のLが表すフッ化アルキル基を有する芳香族炭化水素基におけるフッ化アルキル基としては、一般式(2)中のLが表すフッ化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
一般式(2)中のLが表すフッ化アルキル基を有する複素環基における複素環基の具体例としては、R、R及びRが表すアルキル基を有する若しくは有さない複素環基における複素環基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
一般式(2)中のLが表すフッ化アルキル基を有する複素環基におけるフッ化アルキル基としては、一般式(2)中のLが表すフッ化アルキル基と同じものが挙げられ、好ましいものも同じである。
一般式(1)及び一般式(2)中、A及びBは、それぞれ独立にアセン、フェナセン又はヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基を表す。A及びBが表す二価の連結基となり得るアセンとは、ベンゼン環が直線状に縮環した化合物であり、具体的にはナフタレン、アントラセン、テトラセン、ペンタセン、ヘキサセン等が挙げられる。また、A及びBが表す二価の連結基となり得るフェナセンとは、ベンゼン環がジグザグに縮環した化合物であり、具体的にはフェナントレン、クリセン、ピセン等が挙げられる。さらに、A及びBが表す二価の連結基となり得るヘテロアセンとは、前記アセン又はフェナセンを構成する少なくとも1つのベンゼン環を、酸素原子、窒素原子又は硫黄原子等と炭素原子からなる環状構造に置き換えた構造をもつ縮環化合物である。アセン、フェナセン及びヘテロアセンから二つの水素原子を除く位置に特に制限はない。
一般式(1)及び一般式(2)におけるA及びBとしては、高い移動度が期待できることからヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基であることが好ましく、チエノアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基であることがより好ましく、チエノチオフェン構造を含むチエノアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基であることが更に好ましく、対称構造をもつチエノチオフェン(例えばベンゾチエノベンゾチオフェン)から水素原子を二つ除いた二価の連結基であることが特に好ましく、ベンゾチエノベンゾチオフェンの2位置及び7位置から水素原子を除いた二価の連結基であることが最も好ましい。また、実用的な溶解度と移動度を担保する観点からは、3乃至6の縮環数を有するアセン、フェナセン又はヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基であることが好ましく、4乃至6の縮環数を有するアセン、フェナセン又はヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基であることがより好ましい。なお、ここで縮環数とは、アセン、フェナセン又はヘテロアセンを構成するベンゼン環の数、及び置換した酸素原子、窒素原子又は硫黄原子等と炭素原子からなる環状構造の数の合計数であり、例えば、ベンゾチエノベンゾチオフェンであれば、縮環数は4である。
また、一般式(1)で表される化合物により構成される有機薄膜層の配向秩序が阻害されるとデバイス特性が低下することから、一般式(1)におけるAと一般式(2)におけるBは同一であることが好ましい。
以下に、A及びBが表す二価の連結基となり得るアセン、フェナセン又はヘテロアセンの具体例を示すが、本発明はこれに限定されるものではない。
一般式(1)又は一般式(2)で表される化合物は、例えば非特許文献3乃至5に記載の方法を応用して合成することができる。
以下に、一般式(1)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
以下に、一般式(2)で表される化合物の具体例を示すが、本発明はこれらに限定されるものではない。
[有機溶媒]
本発明の有機半導体組成物における一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物の含有比率は特に限定されないが、一般式(1)で表される化合物と一般式(2)で表される化合物の合計質量に対する一般式(2)で表される化合物の質量の割合は、通常1質量%以上50質量%以下であり、5質量%以上50質量%未満であることが好ましく、5質量%以上30質量%以下であることがより好ましい。
本発明の有機半導体組成物は、本発明の効果を損なわない範囲であれば一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物以外の有機半導体化合物を含有することができる。しかしながら、式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物のみを有機半導体化合物として含有するのは好ましい態様である。式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物のみから有機半導体組成物を構成する場合、本発明の有機半導体組成物を用いて得られる有機薄膜の配向秩序を阻害しにくくなるからである。
本発明の有機半導体組成物を塗布印刷プロセスに適応させるために、本発明の有機半導体組成物が更に有機溶媒を含有することが好ましい。有機半導体組成物を有機溶媒に完全に溶解させて用いることができるからである。有機溶媒は、本発明の有機半導体組成物を溶解可能であり、かつ該有機半導体組成物溶液を用いて基板上に有機薄膜を形成し得るものであれば特に限定されるものではなく、単一の有機溶媒を使用しても、複数の有機溶媒を混合して使用してもよい。
有機溶媒としてはジクロロメタン、クロロホルム、ジクロロエタン、クロロベンゼン及びジクロロベンゼン等のハロゲン類、ジエチルエーテル、テトラヒドロフラン、アニソール及びフェネトール等のエーテル類、アセトン、メチルエチルケトン、メチルイソブチルケトン、シクロペンタノン及びシクロヘキサノン等のケトン類、ジメチルアセトアミド、ジメチルホルムアミド及びN−メチルピロリドン等のアミド類等、メタノール、エタノール、イソプロパノール及びブタノール等のアルコール類、オクタフルオロペンタノール及びペンタフルオロプロパノール等のフッ化アルコール類、酢酸エチル、酢酸ブチル、安息香酸エチル、安息香酸エチル、安息香酸ブチル及び炭酸ジエチル等のエステル類、ベンゼン、トルエン、キシレン、メシチレン、エチルベンゼン、テトラヒドロナフタレン及びシクロヘキシルベンゼン等の芳香族炭化水素類、ヘキサン、シクロヘキサン、オクタン、デカン及びデカヒドロナフタレン等の炭化水素類等が挙げられるこれらの有機溶媒は、特に制限なく用いることが出来るが、実際の塗布印刷プロセスを想定した場合には、溶媒の安全性及び保管、製造条件での組成安定性を考慮する必要があり、沸点が140℃以上の有機溶媒を少なくとも一種類以上用いることが好ましい。
有機溶媒を含む本発明の有機半導体組成物中の有機溶媒の含有量は、有機溶媒に対する式(1)で示される化合物の量が0.01乃至10質量%であることが好ましく、0.05乃至5質量%であることがより好ましいが、溶媒の種類や作製する薄膜の膜厚、薄膜の作製方法により適宜選択すればよい。
[その他の成分]
本発明の有機半導体組成物には、本発明の効果を損なわない限りにおいて、有機半導体組成物を用いて得られる有機薄膜や該有機薄膜を含む有機半導体デバイスの諸特性の改善や他の特性を付与する目的で、必要に応じて高分子材料や各種添加剤を混合してもよい。これらの添加剤としては、キャリア発生剤、導電性物質、粘度調整剤、表面張力調整剤、レベリング剤、浸透剤、レオロジー調整剤、配向剤及び分散剤等が挙げられる。
[有機薄膜]
本発明の有機半導体組成物を種々の塗布印刷手法に用いることにより、有機薄膜を形成することができる。すなわち、本発明の有機半導体組成物を基板上に塗布或いは印刷した後、基板上に塗布或いは印刷した有機半導体組成物を熱処理することにより、有機薄膜を形成することができる。
本発明の有機薄膜は、一般式(2)で表される化合物が表面に偏析し、一般式(2)で表される化合物の結晶が表面に形成された層分離した構造を有するが、このような表面偏析性は、例えばX線光電子分光法(XPS)等で表面の原子濃度を測定することにより確認することができる(非特許文献2参照)。
具体的には、有機薄膜に表面偏析性が無く、有機半導体組成物の構成成分の一つであるフッ素原子を含有する化合物が有機薄膜中に均一に分散された状態では、有機薄膜の表面におけるフッ素原子と炭素原子の濃度比(F/C)は、有機半導体組成物の構成成分の組成比を用いて算出される原子濃度比の値と同じになる。そのため、前記のように算出したF/Cの理論値と、有機薄膜の表面をXPS測定することにより得られるF/Cの実測値とを比較することにより、フッ素原子を含有する化合物が有機薄膜の表面に偏析して層分離した構造を有していることを確認することができる。
本発明の有機半導体組成物は、F/Cの理論値よりもF/Cの実測値の方が高いことが好ましい。F/Cの理論値と実測値が前記の関係を満たす場合、有機薄膜の表面に、フッ素原子を含有する化合物(フッ化アルキル基を有する一般式(2)で表される化合物)が有機半導体組成物の組成比よりも多量に存在することにより表面に高秩序かつ凝集力の強い層が構築されるため、有機薄膜の熱安定性を向上させることができる。
F/Cの実測値は理論値の1.1倍以上であることが好ましく、2.0倍以上であることがより好ましい。
また、薄膜X線回折測定により、加熱後に有機薄膜中の分子の配向秩序がどの程度維持されているかを調べることができる。例えば非特許文献4に記載されているように、式(x)で表されるBTBT誘導体を用いて形成した有機薄膜が、どのような層状結晶構造(積層構造)をしているかを、薄膜X線回折測定に基づくout−of−plane回折測定及びin−plane回折測定により調べることができる。これらの測定によって回折が消失する加熱温度を調べることにより、有機薄膜の安定性、特に熱安定性を把握することができる。
また、本発明の有機薄膜の表面に形成される一般式(2)で表される化合物の結晶のサイズが大きい場合は、高秩序でかつ凝集力の強い有機薄膜となるため、熱安定性を更に高めることができる。
一般式(2)で表される化合物が表面に偏析することによって形成される結晶のサイズ(平均)は、100μm以上であることが好ましい。
有機半導体デバイスに使用される有機薄膜は、広範囲にわたり欠陥がなく、再現性が良くかつ均一であることが好ましい。有機薄膜の膜厚は、その用途によって異なるが、通常1乃至300nmであり、好ましくは3乃至50nmであり、より好ましくは4乃至30nmである。
[有機薄膜の形成方法]
有機薄膜の形成方法には、有機半導体組成物の粘度、所望の膜厚、パターン形状等を考慮して種々の塗布印刷手法が用いられる。具体的な例として、スピンコート法、ドロップキャスト法、ディップコート法、バーコート法、ブレードコート法、スリットコート法、ダイコート法、スプレー法、フレキソ印刷及び樹脂凸版印刷等の凸版印刷法、オフセット印刷法、ドライオフセット印刷法、パッド印刷法などの平板印刷法及びグラビア印刷法等の凹版印刷法、シルクスクリーン印刷法、謄写版印刷法及びリングラフ印刷法等の孔版印刷法、インクジェット印刷法、マイクロコンタクトプリント法等、さらにはこれらの手法を複数組み合わせた方法が挙げられる。プロセスや装置の簡便性を考慮すると、大気下、室温で薄膜を形成する方法が好ましく、その後自然乾燥、熱乾燥等により基板上の有機半導体組成物から残留溶媒を除去することにより有機薄膜が形成されるが、本発明の有機薄膜形成用材料を用いることにより、良好な薄膜を得ることができる。
[有機半導体デバイス(有機薄膜トランジスタ)]
本発明の有機薄膜から有機半導体デバイスを作製することができる。その一例として有機薄膜トランジスタについて詳細に説明する。
有機薄膜トランジスタは、有機半導体に接して設けられた2つの電極(ソース電極及びドレイン電極)の間に流れる電流を、ゲート電極と呼ばれるもう一つの電極に印加する電圧で制御するものである。
一般に、有機薄膜トランジスタデバイスには、ゲート電極が絶縁膜で絶縁されている構造(Metal−InsuIator−Semiconductor MIS構造)が多く用いられる。絶縁膜に金属酸化膜を用いるものはMOS構造と呼ばれる。これらの他にショットキー障壁を介してゲート電極が形成されている構造(すなわちMES構造)のものもあるが、一般的に有機薄膜トランジスタにはMIS構造が用いられる。
以下、図を用いて有機薄膜トランジスタについてより詳細に説明するが、本発明はこれらの構造には限定されない。図1に、有機薄膜トランジスタデバイスのいくつかの態様例を示す。
図1における各態様例において、1はソース電極、2は半導体層、3はドレイン電極、4は絶縁体層、5はゲート電極、6は基板をそれぞれ表す。尚、各層や電極の配置は、デバイスの用途により適宜選択できる。A乃至D及びFは基板と並行方向に電流が流れるので、横型トランジスタと呼ばれる。Aはボトムコンタクトボトムゲート構造、Bはトップコンタクトボトムゲート構造と呼ばれる。また、Cは半導体上にソース及びドレイン電極、絶縁体層を設け、さらにその上にゲート電極を形成しており、トップコンタクトトップゲート構造と呼ばれている。Dはトップ&ボトムコンタクトボトムゲート型トランジスタと呼ばれる構造である。Fはボトムコンタクトトップゲート構造である。Eは縦型の構造をもつトランジスタ、すなわち静電誘導トランジスタ(SIT)の模式図である。このSITは、電流の流れが平面状に広がるので一度に大量のキャリアが移動できる。またソース電極とドレイン電極が縦に配されているので電極間距離を小さくできるため応答が高速である。従って、大電流を流す、高速のスイッチングを行うなどの用途に好ましく適用できる。なお図1中のEには、基板を記載していないが、通常は図1E中の1及び3で表されるソース電極及びドレイン電極の外側に基板が設けられる。
各態様例における各構成要素について説明する。
基板6は、その上に形成される各層が剥離することなく保持できることが必要である。例えば樹脂板やフィルム、紙、ガラス、石英、セラミックなどの絶縁性材料;金属や合金などの導電性基板上にコーティング等により絶縁層を形成した物;樹脂と無機材料など各種組合せからなる材料;等が使用できる。使用できる樹脂フィルムの例としては、例えばポリエチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレート、ポリエーテルスルホン、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、セルローストリアセテート、ポリエーテルイミドなどが挙げられる。樹脂フィルムや紙を用いると、デバイスに可撓性を持たせることができ、フレキシブルで、軽量となり、実用性が向上する。基板の厚さは、通常1μm乃至10mmであり、好ましくは5μm乃至5mmである。
ソース電極1、ドレイン電極3、ゲート電極5には導電性を有する材料が用いられる。例えば、白金、金、銀、アルミニウム、クロム、タングステン、タンタル、ニッケル、コバルト、銅、鉄、鉛、錫、チタン、インジウム、パラジウム、モリブデン、マグネシウム、カルシウム、バリウム、リチウム、カリウム、ナトリウム等の金属及びそれらを含む合金;InO、ZnO、SnO、ITO等の導電性酸化物;ポリアニリン、ポリピロール、ポリチオフェン、ポリアセチレン、ポリパラフェニレンビニレン、ポリジアセチレン等の導電性高分子化合物;シリコン、ゲルマニウム、ガリウム砒素等の半導体;カーボンブラック、フラーレン、カーボンナノチューブ、グラファイト、グラフェン等の炭素材料;等が使用できる。また、導電性高分子化合物や半導体にはドーピングが行われていてもよい。ドーパントとしては、例えば、塩酸、硫酸等の無機酸;スルホン酸等の酸性官能基を有する有機酸;PF、AsF、FeCl等のルイス酸;ヨウ素等のハロゲン原子;リチウム、ナトリウム、カリウム等の金属原子;等が挙げられる。ホウ素、リン、砒素などはシリコンなどの無機半導体用のドーパントとしても多用されている。
また、上記のドーパントにカーボンブラックや金属粒子などを分散した導電性の複合材料も用いられる。直接半導体と接触するソース電極1及びドレイン電極3はコンタクト抵抗を低減するために適切な仕事関数を選択するか、表面処理などが必要となる。
またソース電極とドレイン電極間の距離(チャネル長)がデバイスの特性を決める重要なファクターとなる。該チャネル長は、通常0.01乃至300μm、好ましくは0.1乃至100μmである。チャネル長が短ければ取り出せる電流量は増えるが、逆にコンタクト抵抗の影響など短チャネル効果が発生し、制御が困難となるため、適正なチャネル長が必要である。ソースとドレイン電極間の幅(チャネル幅)は通常10乃至10000μm、好ましくは100乃至5000μmとなる。またこのチャネル幅は、電極の構造をくし型構造とすることなどにより、さらに長いチャネル幅を形成することが可能で、必要な電流量やデバイスの構造などにより、適切な長さにする必要がある。ソース電極及びドレイン電極のそれぞれの構造(形)について説明する。ソース電極とドレイン電極の構造はそれぞれ同じであっても、異なっていてもよい。
ボトムコンタクト構造の場合は、一般的にはリソグラフィー法を用いて各電極を作製し、また各電極は直方体に形成するのが好ましい。最近は各種印刷方法による印刷精度が向上してきており、インクジェット印刷、グラビア印刷又はスクリーン印刷などの手法を用いて精度よく電極を作製することが可能となってきている。半導体上に電極のあるトップコンタクト構造の場合はシャドウマスクなどを用いて蒸着することが出来る。インクジェットなどの手法を用いて電極パターンを直接印刷形成することも可能となってきている。電極の長さは前記のチャネル幅と同じである。電極の幅には特に規定は無いが、電気的特性を安定化できる範囲で、デバイスの面積を小さくするためには短い方が好ましい。電極の幅は、通常0.1乃至1000μmであり、好ましくは0.5乃至100μmである。電極の厚さは、通常0.1乃至1000nmであり、好ましくは1乃至500nmであり、より好ましくは5乃至200nmである。各電極1、3、5には配線が連結されているが、配線も電極とほぼ同様の材料により作製される。
絶縁体層4としては絶縁性を有する材料が用いられる。例えば、ポリパラキシリレン、ポリアクリレート、ポリメチルメタクリレート、ポリスチレン、ポリビニルフェノール、ポリアミド、ポリイミド、ポリカーボネート、ポリエステル、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリウレタン、ポリスルホン、フッ素樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂等のポリマー及びこれらを組み合わせた共重合体;酸化珪素、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化タンタル等の金属酸化物;SrTiO、BaTiO等の強誘電性金属酸化物;窒化珪素、窒化アルミニウム等の窒化物、硫化物、フッ化物などの誘電体;あるいは、これら誘電体の粒子を分散させたポリマー;等が使用しうる。この絶縁体層はリーク電流を少なくするために電気絶縁特性が高いものが好ましく使用できる。それにより膜厚を薄膜化し、絶縁容量を高くすることが出来、取り出せる電流が多くなる。また半導体の移動度を向上させるためには絶縁体層表面の表面エネルギーを低下させ、凹凸がなくスムースな膜であることが好ましい。その為に自己組織化単分子膜や、2層の絶縁体層を形成させる場合がある。絶縁体層4の膜厚は、材料によって異なるが、通常0.1nm乃至100μm、好ましくは0.5nm乃至50μm、より好ましくは1nm乃至10μmである。
半導体層2の材料として、本発明の有機半導体組成物を用いることができる。式(1)で表される化合物及び式(2)で表される化合物を有機溶媒に溶解させた有機半導体組成物を用いて前述の塗布印刷方法により本発明の有機薄膜を形成し、半導体層2とすることができる。
半導体層2の膜厚は、必要な機能を失わない範囲で薄いほど好ましく、通常1nm乃至300nmであり、好ましくは3nm乃至50nmであり、より好ましくは4nm乃至30nmである。この膜厚範囲であれば広範囲にわたり均一な半導体層2を形成しやすくなる。
有機薄膜トランジスタには、例えば基板層と絶縁膜層や絶縁膜層と半導体層の間やデバイスの外面に必要に応じて他の層を設けることができる。例えば、有機半導体層上に直接、又は他の層を介して、保護層を形成すると、湿度などの外気の影響を小さくすることができる。また、有機薄膜トランジスタデバイスのオン/オフ比を上げることができるなど、電気的特性を安定化できる利点もある。
上記保護層の材料は特に限定されないが、例えば、エポキシ樹脂、ポリメチルメタクリレート等のアクリル樹脂、ポリウレタン、ポリイミド、ポリビニルアルコール、フッ素樹脂、ポリオレフィン等の各種樹脂からなる膜;酸化珪素、酸化アルミニウム、窒化珪素等の無機酸化膜;及び窒化膜等の誘電体からなる膜;等が好ましく用いられ、特に、酸素や水分の透過率や吸水率の小さな樹脂(ポリマー)が好ましい。有機ELディスプレイ用に開発されているガスバリア性保護材料も使用が可能である。保護層の膜厚は、その目的に応じて任意の膜厚を選択できるが、通常100nm乃至1mmである。
また半導体層が積層される基板又は絶縁体層に予め表面改質や表面処理を行うことにより、有機薄膜トランジスタデバイスとしての特性を向上させることが可能である。例えば基板表面の親水性/疎水性の度合いを調整することにより、その上に成膜される膜の膜質や成膜性を改良することができる。特に、有機半導体の材料は分子の配向など膜の状態によって特性が大きく変わることがある。そのため、基板、絶縁体層などへの表面処理によって、その後に成膜される有機半導体層との界面部分の分子配向が制御されること、また基板や絶縁体層上のトラップ部位が低減されることにより、キャリア移動度等の特性が改良されるものと考えられる。
トラップ部位とは、未処理の基板に存在する例えば水酸基のような官能基をさし、このような官能基が存在すると、電子が該官能基に引き寄せられ、この結果としてキャリア移動度が低下する。従って、トラップ部位を低減することもキャリア移動度等の特性改良には有効な場合が多い。
上記のような特性改良のための表面処理としては、例えば、ヘキサメチルジシラザン、オクチルトリクロロシラン、オクタデシルトリクロロシラン等による自己組織化単分子膜処理;ポリマーなどによる表面処理;塩酸や硫酸、酢酸等による酸処理;水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化カルシウム、アンモニア等によるアルカリ処理;オゾン処理;フッ素化処理;酸素やアルゴン等のプラズマ処理;ラングミュア・ブロジェット膜の形成処理;その他の絶縁体や半導体の薄膜の形成処理;機械的処理;コロナ放電などの電気的処理;又繊維等を利用したラビング処理、等及びその組み合わせが挙げられる。
本発明において半導体層2を除く各層を設ける方法としては、例えば真空蒸着法、スパッタ法、塗布法、印刷法、ゾルゲル法等が適宜使用できるが、生産性を考慮すると、塗布法や、インクジェット印刷等の印刷法が好ましい。
一般に有機薄膜トランジスタ(電界効果トランジスタ)の動作特性は、半導体層のキャリア移動度、電導度、絶縁層の静電容量、素子の構成(ソース・ドレイン電極間距離及び幅、絶縁層の膜厚等)などにより決まる。有機薄膜トランジスタの半導体層に用いられる有機材料には、高いキャリア移動度、均一な特性、キャリア注入特性が求められるとともに、有機半導体デバイスの製造プロセスにおける高温プロセス耐性や得られた有機半導体デバイスの耐久性を考慮して、優れた耐熱性が必要とされている。本発明の有機薄膜は半導体層に求められる特性を有するとともに、均一な薄膜を得ることができ、その結果、軽量で柔軟性に優れた壊れにくいデバイスの製造が可能になり、ディスプレイのアクティブマトリクスのスイッチングデバイス等として利用することができる。
有機薄膜トランジスタは、メモリー回路デバイス、信号ドライバー回路デバイス、信号処理回路デバイスなどのデジタルデバイスやアナログデバイスとしても利用できる。さらにこれらを組み合わせることにより、ディスプレイ、ICカードやICタグ等の作製が可能となる。更に、有機薄膜トランジスタは化学物質等の外部刺激によりその特性に変化を起こすことができるので、センサーとしての利用も可能である。
以下、実施例を挙げて本発明を更に詳細に説明するが、本発明はこれらに限定されるものではない。実施例中、特に指定しない限り「部」は「質量部」を表し、「%」は「質量%」を表す。
[キャリア移動度]
キャリア移動度は、ゲートに電位をかけた状態でソース・ドレイン間に電位をかけた時に流れた電流量に依存し、この電流値を測定することで有機薄膜トランジスタの特性である移動度を決めることができる。実施例では、絶縁体としてのSiOにゲート電界を印加した結果、有機半導体層中に生じるキャリア種の電気的特性を表現する下記式(a)から移動度を算出した。
Id=ZμCi(Vg−Vt)/2L・・・(a)
ここで、Idは飽和したソース・ドレイン電流値、Zはチャネル幅、Ciは絶縁体の電気容量、Vgはゲート電位、Vtはしきい電位、Lはチャネル長であり、μは決定する移動度(cm/Vs)である。Ciは用いたSiO絶縁膜の誘電率、Z及びLは有機薄膜トランジスタデバイスのデバイス構造よりに決まり、Id及びVgは有機薄膜トランジスタデバイスの電流値の測定時に決まり、VtはId及びVgから求めることができる。
[X線回折(XRD)測定]
X線回折測定は、Smart Lab X−ray Diffractometer(Rigaku)を用いて、有機薄膜試料の結晶構造を解析した。有機薄膜試料に、20kV、10mAの出力でCuのKα単色光を照射した。
out−of−plane回折測定は、入射角をω=0.2°に固定して、検出器を2θ軸方向に走査した。in−plane回折測定は、ω=0.2°、2θ=0.4°に固定して、検出器を2θχ軸方向に走査した。また、加熱中の有機薄膜を測定するときはドームホットステージDHS900(Anton Paar)をゴニオメーターに取り付け、温度コントロールユニットTCU150(Anton Paar)で温度を制御した。
[原子間力顕微鏡(AFM)による観察]
原子間力顕微鏡(AFM)5400 scanning probe incroscope(Agilent Technologies)を用いて、有機薄膜の表面形状を観察した。タッピングモードで高さ像を測定した。
実施例1(有機半導体組成物の調製、有機半導体組成物から得られる有機薄膜の作製、及び有機薄膜の評価)
上記具体例の化合物No.D−8と化合物No.E−8を、No.D−8:No.E−8=81:19の質量比率で、化合物No.D−8と化合物No.E−8の総濃度が3.7%となるようにトルエンに溶解させて有機半導体組成物の溶液を得た。この溶液を厚さ300nmのシリコン酸化膜を有するシリコン基板上にスピンコート法により製膜したのち、110℃でアニールすることにより、有機薄膜を得た。得られた有機薄膜の表面における原子比率を、X線光電子分光(XPS)測定により算出したところ、F/C原子比率は0.28であった。膜内に均一に混合されている場合のF/C原子比率(計算値)は0.1であるため、当該有機半導体組成物を用いて作製した有機薄膜が、化合物No.E−8を表面に偏析させて構成される有機薄膜であることを確認した。得られた有機薄膜のAFM像による表面粗さの観察を行ったところ、図3に示す通り、ディウェティングして基板がむき出しになっている部分は観測されず、膜厚は20nm以下の均質な薄膜であった。また、偏光顕微鏡で結晶サイズを調べたところ、図5に示す通り、有機薄膜の表面の結晶サイズは、100μm以上であり、大きいものでは1mm近くあることが分かった。この結果から、化合物No.E−8が表面に偏析することにより、熱処理による有機薄膜の脱濡れを防ぎ、結晶化を促進することが示された。
実施例2(有機半導体組成物の調製、当該有機半導体組成物から得られる有機薄膜の作製、及び当該有機薄膜の評価)
No.D−8:No.E−8=94:6の質量比率で、化合物No.D−8と化合物No.E−8の総濃度が3.2%となるように、化合物No.D−8及び化合物No.E−8をトルエンに溶解した以外は実施例1と同様にして有機半導体組成物の調製及び有機薄膜の作製を行った。得られた有機薄膜をXPS測定し、F/C原子比率を算出したところ、0.12であった。有機薄膜内に均一に混合されている場合のF/C原子比率(計算値)は0.03であるため、当該有機半導体組成物を用いて作製した有機薄膜は、化合物No.E−8を表面に偏析させて構成される膜であることを確認した。
実施例3(有機半導体組成物の調製、当該有機半導体組成物から得られる有機薄膜の作製、及び当該有機薄膜の評価)
No.D−8:No.E−8=75:25の質量比率で、化合物No.D−8と化合物No.E−8の総濃度が4.0%となるように、化合物No.D−8及び化合物No.E−8をトルエンに溶解した以外は実施例1と同様にして有機半導体組成物の調製及び有機薄膜の作製を行った。得られた有機薄膜をXPS測定し、F/C原子比率を算出したところ、0.32であった。有機薄膜内に均一に混合されている場合のF/C原子比率(計算値)は0.1であるため、当該有機半導体組成物を用いて作製した有機薄膜は、化合物No.E−8を表面に偏析させて構成される膜であることを確認した。
比較例1(有機半導体組成物の調製、当該有機半導体組成物から得られる有機薄膜の作製、及び当該有機薄膜の評価)
化合物No.D−8のみを用いて、濃度が3%となるようにトルエンに溶解した以外は実施例1と同様にして有機半導体組成物の調製及び有機薄膜の作製を行った。得られた有機薄膜のAFM像による表面粗さの観察を行ったところ、図4に示す通り、基板がむき出しになっている部分が多数観測されるディウェッティングした有機薄膜であった。有機薄膜が形成されている部分の膜厚も100nmであり、本発明における実施例1の有機薄膜よりも表面粗さが増大した。また、図6に示すとおり、有機薄膜の表面の結晶サイズは、100μm未満であった。
評価例1(薄膜X線回折測定によるアニール温度依存性評価)
実施例1で得られた有機薄膜のアニール温度依存性(熱安定性)を、薄膜X線回折を測定することで評価した。out−of−plane測定(膜の積層方向の回折測定)を行ったところ、約3°に薄膜が層状構造となっているピークが観測されたが、このピークは130℃の加熱まで観測され、140℃で消失した。このことから、本発明における実施例1で得られた有機薄膜は、半導体特性に適した層状構造を130℃まで維持できていることがわかった。
評価例2(薄膜X線回折測定によるアニール温度依存性評価)
比較例1で得られた有機薄膜のアニール温度依存性(熱安定性)を、評価例1と同様にして測定した。実施例1の有機薄膜と同様に、out−of−plane測定では薄膜が層状構造となっていることを示す回折ピークが約3°付近に観測されたが、この回折ピークは130℃の加熱により消失した。このことから、比較例1の一般式(2)で表される化合物を用いずに得られた有機薄膜は、実施例1の有機薄膜より、層状構造を維持できるアニール温度が劣っており、熱安定性に欠けることがわかった。
実施例4(有機薄膜を含む有機薄膜トランジスタデバイスの作製と評価)
アニール後の実施例1で得られた有機薄膜を、有機薄膜上にシャドウマスクを介して金を真空蒸着することでソース・ドレイン電極を形成し、10素子からなるトップコンタクト型有機薄膜トランジスタデバイスを作製した。このデバイスは2種類のチャネル長(100μm、200μm)をもち、いずれもチャネル幅は1mmである。図2はその構造を示すものである。なお、本実施例における有機薄膜トランジスタデバイスにおいては、300nm熱酸化膜付き(比誘電率3.9)nドープシリコンウェハーにおける熱酸化膜が絶縁層(4)の機能を有し、n−ドープシリコンウェハーが基板(6)及びゲート電極(5)の機能を兼ね備えている。
作製した有機薄膜トランジスタデバイスにVd=−50V、Vgを10V乃至−70V掃引する条件にて電流−電圧特性を測定した。上式から算出した移動度の平均値は2.74cm/Vs、最大値は6.41cm/Vsであった。
評価例3(有機薄膜を含む有機薄膜トランジスタデバイスの耐熱性評価)
実施例4で作製した有機薄膜トランジスタデバイスを用いて、各温度で10分間の加熱処理を行った後に室温における電流−電圧特性を測定することで、有機薄膜を含む有機薄膜トランジスタデバイスの耐熱性の評価を行った。実施例4と同様にして算出した移動度を加熱温度に対してプロットした図を図7(■)に示す。図7に示す通り、本発明における実施例1で得られた有機薄膜を用いて作製した実施例4の有機薄膜トランジスタデバイスは、140℃の加熱処理でも0.1cm/Vs以上の良好な移動度を維持した。
評価例4(有機薄膜を含む有機薄膜トランジスタデバイスの耐熱性評価)
比較例1で得られた有機薄膜を用いて実施例4と同様の方法にて作製した有機薄膜トランジスタデバイスを、評価例3と同様の方法で加熱処理および測定を行い、有機薄膜を含む有機薄膜トランジスタデバイスの耐熱性の評価を行った。移動度を加熱温度に対してプロットした図を図7(●)に示す。移動度は100℃以上の加熱により急激に減少し、110℃では0.1cm/Vs以下であった。このことから、比較例1で得られた有機薄膜を用いた有機薄膜トランジスタデバイスは、本発明における実施例1で得られた有機薄膜を用いた有機薄膜トランジスタデバイスよりも大きく耐熱性が劣ることが分かった。
評価例5(薄膜X線回折測定による有機薄膜の評価)
評価例3および評価例4の有機薄膜トランジスタデバイスの作製に用いた、実施例1により得られた有機薄膜および比較例1により得られた有機薄膜の薄膜X線回折測定を行った。図8にout−of−plane測定結果(膜の積層方向の回折測定)、図9にin−plane測定結果(膜の面内方向の回折測定)を示す。薄膜の回折ピークの現れる回折角は評価例3および評価例4で一致していることが分かった。多くの場合、2種類以上の材料の混合は薄膜の構造の秩序を大きく乱すが、本発明における組成物を用いて作製される薄膜はこのような影響が極めて小さいため、耐熱性だけでなく優れた有機薄膜トランジスタデバイス特性も両立することができることを意味している。
以上のように、本発明の有機半導体組成物は、良好な半導体特性と熱安定性を両立する有機半導体薄膜を提供することが可能なため、有機薄膜トランジスタデバイスをはじめとした有機半導体デバイス等の分野に利用することが可能である。
図1及び図2において同じ名称には同じ番号を付すものとする。
1 ソース電極
2 半導体層
3 ドレイン電極
4 絶縁体層
5 ゲート電極
6 基板
7 保護層


Claims (15)

  1. 一般式(1)で表される化合物と、一般式(2)で表される化合物とを含有する有機半導体組成物
    (式中、R1、及びRはそれぞれ独立に水素原子、アルキル基、アルキル基を有する若しくは有さない芳香族炭化水素基、又はアルキル基を有する若しくは有さない複素環基を表す。Lはフッ化アルキル基、フッ化アルキル基を有する芳香族炭化水素基、又はフッ化アルキル基を有する複素環基を表す。A及びBはそれぞれ独立にアセン、フェナセン、又はヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基を表す。但し、式(1)において、R及びRの両方が水素原子である場合を除く。)。
  2. 一般式(1)におけるR及びRが同一のアルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基又はアルキル基を有する複素環基を表す、請求項1に記載の有機半導体組成物。
  3. 一般式(1)におけるRと一般式(2)におけるRが同一のアルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基若しくはアルキル基を有する複素環基を表す、又は一般式(1)におけるRと一般式(2)におけるRが同一のアルキル基、アルキル基を有する芳香族炭化水素基若しくはアルキル基を有する複素環基を表す、請求項1又は2に記載の有機半導体組成物。
  4. 一般式(1)及び一般式(2)におけるA及びBが同一の二価の連結基を表す、請求項1乃至3のいずれか一項に記載の有機半導体組成物。
  5. 一般式(1)及び一般式(2)におけるA及びBの両方がそれぞれ独立に3乃至6の縮環数を有するヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基を表す、請求項1乃至4のいずれか一項に記載の有機半導体組成物。
  6. 一般式(2)におけるLがフッ化アルキル基を表す、請求項1乃至5のいずれか一項に記載の有機半導体組成物。
  7. 一般式(1)で表される化合物及び一般式(2)で表される化合物の合計質量に対する一般式(2)で表される化合物の質量の割合が、1質量%以上50質量%以下である、請求項1乃至6のいずれか一項に記載の有機半導体組成物。
  8. 有機溶媒を更に含む請求項1乃至7のいずれか一項に記載の有機半導体組成物。
  9. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機半導体組成物を用いて得られる有機薄膜。
  10. 一般式(2)で表される化合物が、表面に偏析している請求項9に記載の有機薄膜。
  11. 表面に偏析している一般式(2)で表される化合物の結晶サイズが、100μm以上である請求項10に記載の有機薄膜。
  12. 請求項1乃至8のいずれか一項に記載の有機半導体組成物を基板上に塗布又は印刷する工程、及び該基板上に塗布又は印刷した有機半導体組成物を熱処理する工程を含む有機薄膜の製造方法。
  13. 請求項9乃至11のいずれか一項に記載の有機薄膜を含む有機半導体デバイス。
  14. 有機薄膜トランジスタである請求項13に記載の有機半導体デバイス。
  15. 一般式(2)で表される化合物
    (式中、Rは水素原子、アルキル基、アルキル基を有する若しくは有さない芳香族炭化水素基、又はアルキル基を有する若しくは有さない複素環基を表す。Lはフッ化アルキル基、フッ化アルキル基を有する芳香族炭化水素基、又はフッ化アルキル基を有する複素環基を表す。Bはアセン、フェナセン、又はヘテロアセンから水素原子を二つ除いた二価の連結基を表す。)。
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