JP2018142613A - キャパシタ、ZrO2膜の製造方法およびキャパシタの製造方法 - Google Patents

キャパシタ、ZrO2膜の製造方法およびキャパシタの製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 製造が容易、かつ、信頼性が高いキャパシタを提供する。【解決手段】 第1電極層2と、第1電極層2上に形成された誘電体層3と、誘電体層3上に形成された第2電極層4と、を備え、誘電体層3が、蛍石構造を有する金属酸化物からなり、金属酸化物は、ZrO2、または、Zrの一部が他の元素に置換されたZrO2を含み、ZrO2は、少なくとも一部に、正方晶相の結晶相を含むものとする。誘電体層3は、たとえば、スピンコート法によって形成される。【選択図】 図1

Description

本発明はキャパシタに関し、さらに詳しくは、製造が容易、かつ、信頼性が高いキャパシタに関する。
また、本発明は、本発明のキャパシタを製造するのに適した、ZrO膜の製造方法、キャパシタの製造方法に関する。
高温下で使用したり、静電気などによって高電圧が印加されたりしても、故障することのない信頼性の高いキャパシタが、車載用途などのキャパシタとして求められている。
そのような信頼性の高いキャパシタの誘電体層の材料として、高絶縁性、高強度、高靭性を備えたZrOが有望な候補にあげられる。しかしながら、従来のZrOは、誘電率が20程度と低いため、これまでは、キャパシタの誘電体層の材料に使用するメリットがなかった。
一方、ZrOをキャパシタの誘電体層の材料に使用することを検討する上で、以下のような技術情報が参考になる。
まず、誘電体層に反強誘電体を用い、バイアス電界下で高誘電率を発現するキャパシタが、特許文献1(特表2013-518400号公報)、特許文献2(特表2015-518459号公報)、特許文献3(特開昭52-153200号公報)などに開示されている。たとえば、特許文献1には、Pb1-1.5yLaTi1-zZrからなる反強誘電体の正バイアス特性を用いたキャパシタ(インダクタ)が開示されている。
また、非特許文献1(Nano Letters, 12, 4318 (2012))には、ZrOの薄膜が、反強誘電性を示すことが開示されている。ただし、非特許文献1に開示されたZrOの薄膜は、ALD(Atomic Layer Deposition;原子層堆積)法によって形成されたものである。
また、非特許文献2(Journal of Solid State Science and Technology, 4 (12), 419 (2015))には、反強誘電性ではないが、強誘電性のHfOの薄膜を、スピンコート法によって形成する技術が開示されている。
特表2013-518400号公報 特表2015-518459号公報 特開昭52-153200号公報
「Nano Letters, 12, 4318 (2012)」(J. Muller et al,) 「Journal of Solid State Science and Technology, 4 (12), 419 (2015)」(S. Starschich et al,)
非特許文献1に示すような反強誘電性のZrOの薄膜を、バイアス電界下で、キャパシタの誘電体層として使用すれば、高絶縁性、高強度、高靭性を備え、かつ、高い誘電率を備えたキャパシタの誘電体層を作製できるものと考えられる。
しかしながら、非特許文献1では、ZrOの薄膜を、ALD法といった、非常にコストの高いドライプロセスで作製しているため、商用に値する安価なキャパシタを作製することができなかった。
そこで、非特許文献2に開示されたHfOの薄膜のように、低コストで実施できるスピンコート法によって、ZrOの薄膜を作製することが検討される。しかしながら、単純にスピンコート法によってZrOの薄膜を作製するだけでは、作製されたZrOの薄膜は反強誘電性を示さなかった。
本発明は、上述した従来の課題を解決するためになされたものであり、その手段として本発明のキャパシタは、第1電極層と、第1電極層上に形成された誘電体層と、誘電体層上に形成された第2電極層と、を備え、誘電体層が、蛍石構造を有する金属酸化物からなり、金属酸化物は、ZrO、または、Zrの一部が他の元素に置換されたZrOを含み、ZrOは、少なくとも一部に、正方晶相の結晶相を含むものとした。
金属酸化物に、Zr以外の4価以下の元素が少なくとも1種類以上添加されたものとすることができる。この場合には、正方晶相を安定化させ、正方晶相の体積分率を増加させることによって、高い静電容量を得ること、あるいは、電界の強さの変化(上昇)に対する静電容量の変化幅(上昇幅)を緩やかにすることによって、幅広いバイアス電界下で高い静電容量を得ることが可能になる。たとえば、金属酸化物にYを添加させた場合には、正方晶相を安定化させ、正方晶相の体積分率を増加させることによって、高い静電容量を得ることが可能になる。あるいは、金属酸化物にSnを添加させた場合には、電界の強さの変化(上昇)に対する静電容量の変化幅(上昇幅)を緩やかにすることによって、幅広いバイアス電界下で高い静電容量を得ることが可能になる。
また、金属酸化物に、4価以下の元素に代えて、3価以下の元素を少なくとも1種類と、5価以上の元素を少なくとも1種類以上とを添加させることによっても、同様の効果を得ることができる。たとえば、3価以下の元素として、Al、Y、In、Laの中から選択された1種類または複数種類を添加させ、5価以上の元素として、Nb、Taの中から選択された1種類または複数種類を添加させることができる。
また、上述した従来の課題を解決するために、本発明のZrO膜の製造方法は、ZrO、または、Zrの一部が他の元素に置換されたZrOを含むZrO膜を製造するものであって、成膜対象物を用意する工程と、ZrO膜の原料となる化学溶液を用意する工程と、化学溶液を成膜対象物上にスピンコートする工程と、熱処理により、成膜対象物上にスピンコートされた化学溶液から、正方晶相の結晶相を含むZrO膜を析出させる工程と、を備えたものとした。ZrO膜の原料となる化学溶液としては、たとえば、ジルコニウムアルコキシド、カルボン酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウムの中から選択された1種類または複数種類が有機溶剤中に混合された化学溶液を用いることができる。
また、上述した従来の課題を解決するために、本発明のキャパシタの製造方法は、第1電極層と、第1電極層上に形成された誘電体層と、誘電体層上に形成された第2電極層と、を備えたキャパシタを製造するものであって、誘電体層が、ZrO、または、Zrの一部が他の元素に置換されたZrOを含むZrO膜からなり、ZrO膜が、上述した本発明のZrO膜の製造方法によって製造されるものとした。
本発明のキャパシタは、誘電体層に、高絶縁性、高強度、高靭性を備えたZrOが含まれているため、信頼性が高い。また、本発明のキャパシタは、バイアス電界下で使用することにより、誘電体層が高い誘電率を示すため、高い静電容量を発現する。また、本発明のキャパシタは、たとえば、スピンコート法などを使って、容易に、低コストで製造することができる。
また、本発明のZrO膜の製造方法、本発明のキャパシタの製造方法によれば、本発明のキャパシタを容易に製造することができる。
第1実施形態にかかるキャパシタ100の断面図である。 図2(A)は、キャパシタ100の誘電体層3のX線回折スペクトルである。図2(B)は、キャパシタ100の誘電体層3の分極−電界履歴曲線である。図2(C)は、キャパシタ100の、電界の強さに対する誘電体層3の比誘電率の大きさを示すグラフである。 図3(A)は、比較例にかかるキャパシタ500の誘電体層のX線回折スペクトルである。図3(B)は、キャパシタ500の誘電体層の分極−電界履歴曲線である。図3(C)は、キャパシタ500の、電界の強さに対する誘電体層の比誘電率の大きさを示すグラフである。 図4(A)〜(E)は、それぞれ、第2実施形態にかかるキャパシタ210〜250の誘電体層の分極−電界履歴曲線である。 図4(A)〜(E)に示した分極値を電界で微分することで導出された比誘電率の最大値を、キャパシタ210〜250ごと(Yの添加量ごと)に示したグラフである。 図6(A)〜(E)は、それぞれ、第3実施形態にかかるキャパシタ310〜350の誘電体層の分極−電界履歴曲線である。 キャパシタ310〜350の、Snの添加量に対する、誘電率が増加する電界領域の広さを示すグラフである。 図8(A)は、第4実施形態にかかるキャパシタ400の誘電体層3の分極−電界履歴曲線である。図8(B)は、キャパシタ400の、電界の強さに対する誘電体層の比誘電率の大きさを示すグラフである。
以下、図面とともに、本発明を実施するための形態について説明する。
なお、各実施形態は、本発明の実施の形態を例示的に示したものであり、本発明が実施形態の内容に限定されることはない。また、異なる実施形態に記載された内容を組合せて実施することも可能であり、その場合の実施内容も本発明に含まれる。また、図面は、実施形態の理解を助けるためのものであり、必ずしも厳密に描画されていない場合がある。たとえば、描画された構成要素ないし構成要素間の寸法の比率が、明細書に記載されたそれらの寸法の比率と一致していない場合がある。また、明細書に記載されている構成要素が、図面において省略されている場合や、個数を省略して描画されている場合などがある。
[第1実施形態]
図1に、第1実施形態にかかるキャパシタ100を示す。ただし、図1は、キャパシタ100の断面図である。
キャパシタ100は、基板1を備える。基板1の材質、特性、厚みなどは任意であるが、本実施形態においては、厚み500μmのSi(100)基板を使用した。
基板1の上に、第1電極2が形成されている。第1電極2の材質、特性、厚みなども任意であるが、本実施形態においては、厚み100nmのPt(111)膜を形成した。
第1電極2の上に、誘電体層3が形成されている。誘電体層3は、蛍石構造を有する金属酸化物からなる。そして、金属酸化物は、少なくとも一部に、正方晶相の結晶相を含んだZrOを含んでいる。本実施形態においては、誘電体層3の厚みを60nmとした。なお、以下において、誘電体層3をZrO膜という場合がある。
誘電体層3は、反強誘電性を備えている。したがって、誘電体層3は、バイアス電界を印加することによって、高い誘電率を示す。
誘電体層3の上に、第2電極4が形成されている。第2電極4の材質、特性、厚みなども任意であるが、本実施形態においては、厚み100nmのPt(111)膜を形成した。
以上の構造からなる第1実施形態にかかるキャパシタ100は、バイアス電界を印加することによって、高い静電容量を発現するキャパシタとして使用することができる。
第1実施形態にかかるキャパシタ100は、たとえば、次の方法で製造することができる。
まず、基板1を用意する。
また、基板1の用意と並行して、化学溶液を作製する。
化学溶液の原料塩として、ジルコニウムイソプロポキシドを0.589g用意する。
また、化学溶液の溶媒として、酢酸を2mlと、2−メトキシエタノールを4mlと用意する。
容器に、酢酸と、2−メトキシエタノールとを入れて撹拌する。さらに、容器にジルコニウムイソプロポキシドを追加し、撹拌して化学溶液を得る。
次に、基板1の上に、スパッタリング法により、Pt(111)膜からなる第1電極2を形成する。
次に、第1電極2の上に、スピンコート法により、化学溶液をコーティングする。
具体的には、第1回目のコーティングとして、第1電極2の形成された基板1を回転台に取付け、回転台を3000回転/秒で回転させた状態で、第1電極2上に化学溶液を滴下し、第1電極2上に化学溶液の膜をコーティングする。なお、滴下する化学溶液は、作製した化学溶液の1/3の量とする。続いて、第1電極2上に化学溶液の膜が形成された基板1を、酸素流量が200ml/分の酸素雰囲気下で、300℃/分の昇温速度で500℃まで加熱し、10分間保持する。この結果、第1電極2上に、第1のZrO膜が形成される。
続いて、第1のZrO膜上に、第2回目のコーティングとして、第1回目と同一の条件で、スピンコート法により化学溶液をコーティングし、加熱して、第2のZrO膜を形成する。なお、滴下する化学溶液は、作製した化学溶液の1/3の量とする。
続いて、第2のZrO膜上に、第3回目のコーティングとして、第1回目および第2回目と同一の条件で、スピンコート法により化学溶液をコーティングし、加熱して、第3のZrO膜を形成する。なお、滴下する化学溶液は、作製した化学溶液の1/3の量とする。
この結果、第1電極2の上に、同じ厚みの、第1のZrO膜、第2のZrO膜、第3のZrO膜が積層された、誘電体層3が形成される。
次に、誘電体層3上に、スパッタリング法により、Pt(111)膜からなる第2電極4を形成する。
次に、誘電体層(ZrO膜)3に含まれるZrOを正方晶相に相転移させるために、熱処理をおこなう。具体的には、第1電極2、誘電体層3、第2電極4が形成された基板1を、酸素流量が200ml/分の酸素雰囲気下で、300℃/分の昇温速度で700℃まで加熱し、10分間保持する。
以上により、キャパシタ100が完成する。
完成したキャパシタ100の誘電体層(ZrO膜)3のX線回折スペクトルを測定した。図2(A)に、キャパシタ100の誘電体層3のX線回折スペクトルを示す。
また、キャパシタ100の誘電体層(ZrO膜)3の比誘電率のバイアス特性を測定するために、強誘電体テスターを用いて分極−電界履歴曲線を測定し、分極量の電界微分を計算することによって比誘電率を算出した。図2(B)に、誘電体層3の分極−電界履歴曲線を示す。また、図2(C)に、図2(B)に示した分極値を電界で微分することによって導出した、電界の強さに対する誘電体層3の比誘電率の大きさを示す。
比較のために、比較例にかかるキャパシタ500(図示せず)を作製した。キャパシタ500は、途中までは、上述したキャパシタ100と同じ方法で作製したが、最後の、誘電体層(ZrO膜)に含まれるZrOを正方晶相に相転移させるための熱処理を省略した。すなわち、キャパシタ500は、基板の上に第1電極を形成し、第1電極の上に誘電体層(ZrO膜)を形成し、誘電体層の上に第2電極を形成することによって作製されている。キャパシタ500は、誘電体層に含まれるZrOを正方晶相に相転移させるための熱処理を実施していない。
図3(A)に、キャパシタ500の誘電体層(ZrO膜)3のX線回折スペクトルを示す。また、図3(B)に、キャパシタ500の誘電体層の分極−電界履歴曲線を示す。さらに、図3(C)に、電界の強さに対するキャパシタ500の誘電体層の比誘電率の大きさを示す。
第1実施形態にかかるキャパシタ100と、比較例にかかるキャパシタ500とを比較した。
図2(A)から分かるように、キャパシタ100の誘電体層(ZrO膜)3のX線回折スペクトルは、50°付近に現れる回折線を2本の回折線で指数付けすることができ、それぞれ、正方晶相のZrOの(112)と(200)とであると認められる。したがって、キャパシタ100の誘電体層3は、正方晶相のZrOで形成されていると考えられる。
これに対し、キャパシタ500の誘電体層(ZrO膜)のX線回折スペクトルは、50°付近に現れる回折線を1本の回折線で指数付けすることができ、その回折線は、立方晶相のZrOの(220)のピークであると認められる。したがって、キャパシタ500の誘電体層は、立方晶相のZrOで形成されていると考えられる。
キャパシタ100は、基板1の上に、第1電極2、誘電体層(ZrO膜)3、第2電極4を形成した後に、最高温度700℃で10分間の熱処理をおこなったことにより、誘電体層3に含まれるZrOが、立方晶相から正方晶相に相転移したものと考えられる。
キャパシタ100の誘電体層(ZrO膜)3は、図2(B)から分かるように、反強誘電性を示している。これに対し、キャパシタ500の誘電体層(ZrO膜)は、図3(B)から分かるように、常誘電性を示している。
そして、キャパシタ100は、図2(C)から分かるように、電界の強さを上昇させることによって、誘電率が上昇し、2000KV/cm付近において80を超える高い誘電率を示している。これに対し、キャパシタ500は、図3(C)から分かるように、電界の強さを上昇させても誘電率は上昇せず、誘電率はコンスタントに30以下で低い。
以上より、第1実施形態にかかるキャパシタ100は、誘電体層(ZrO膜)3が反強誘電性であり、バイアス電界下で使用することによって高い誘電率を示し、高い静電容量を発現することが分かった。なお、バイアス電界を印加することにより、誘電体層に含まれるZrOは、正方晶相から斜方晶III相へ電界誘起相転移するものと考えられている。
また、キャパシタ100は、誘電体層3に、高絶縁性、高強度、高靭性を備えたZrOが含まれているため、信頼性が高い。したがって、キャパシタ100は、高温下で使用したり、静電気などによって高電圧が印加されたりしても、故障することがないため、車載用途などの高い信頼性が求められるキャパシタとして使用することができる。
また、キャパシタ100は、誘電体層(ZrO膜)3をスピンコート法によって形成しているため、製造が容易であり、製造コストも安価である。なお、スピンコート法によれば、コーティングされる化学溶液の組成や膜厚を、容易に、高い精度で制御することができる。
[第2実施形態]
第2実施形態にかかるキャパシタ210、220、230、240、250を作製した。符号210〜250は試料番号である。図示しないが、いずれのキャパシタも、図1に示した第1実施形態にかかるキャパシタ100と同一の構造からなる。
第2実施形態にかかるキャパシタ210〜250は、それぞれ、第1実施形態にかかるキャパシタ100の誘電体層(ZrO膜)3に、添加量を変化させてYを添加したものである。
具体的には、キャパシタ210は、Yを0.5mol%添加した(Zrの量を0.5mol%減らし、代わりにYを0.5mol%添加した)。キャパシタ220は、Yを1mol%添加した。キャパシタ230は、Yを2mol%添加した。キャパシタ240は、Yを3mol%添加した。キャパシタ250は、Yを4mol%添加した。
キャパシタ100では、化学溶液の原料塩にジルコニウムイソプロポキシドを使用したが、キャパシタ210〜250では、化学溶液の原料塩にジルコニウムイソプロポキシドとイットリウムイソプロポキシドとを使用した。
キャパシタ210〜250のその他の事項、たとえば、化学溶液に含まれる溶媒の種類、量や、製造方法は、キャパシタ100と同じにした。
表1に、キャパシタ210〜250、それぞれの、誘電体層の組成、原料塩の種類、重量を示す。なお、表1には、比較のために、キャパシタ100の数値も示している。
Figure 2018142613
第2実施形態においては、誘電体層に含まれるZrOのZrの一部がYに置換されている。なお、Zrは4価の元素、Yは3価の元素である。
キャパシタ210〜250の誘電体層の分極−電界履歴曲線を、それぞれ、図4(A)〜(E)に示す。
また、図5に、図4(A)〜(E)に示した分極値を電界で微分することで導出された比誘電率の最大値を、Yの添加量ごと(キャパシタ210〜250ごと)に示す。なお、図5には、Yを添加していないキャパシタ100の比誘電率の最大値も示している。
図5から分かるように、Yを0.5mol%添加したキャパシタ210、Yを1mol%添加したキャパシタ220、Yを2mol%添加したキャパシタ230において、Yを添加していないキャパシタ100から誘電率の増加がみられた。最も誘電率の増加量が多かったのは、Yを1mol%添加したキャパシタ220であり、約90であった誘電率が約130に増加した。キャパシタ100から誘電率が増加したものを○、減少したものを×とした。評価結果を、表1に示す。
誘電率は、Yの添加量に対し最大値を持ち、Yの添加によって最大約130まで増加させることができた。これは、Yを添加することによって、正方晶相が安定化し、正方晶相の体積分率が増加して、高い静電容量を得ることができたものと考えられる。ただし、Yの添加量が一定量を超えると、誘電率は逆に減少した。誘電率が減少したのは、Yの添加量が一定量を超えると、正方晶相が安定化しすぎ、電界を印加しても正方晶相から斜方晶III相への電界誘起相転移が起きにくくなってしまうことが要因であると考えられる。
以上のように、誘電体層(ZrO膜)にYを添加することによって、誘電率を増加させ得ることが確認できた。
[第3実施形態]
第3実施形態にかかるキャパシタ310、320、330、340、350を作製した。符号310〜350は試料番号である。図示しないが、いずれのキャパシタも、図1に示した第1実施形態にかかるキャパシタ100と同一の構造からなる。
第3実施形態にかかるキャパシタ310〜350は、それぞれ、第1実施形態にかかるキャパシタ100の誘電体層(ZrO膜)3に、添加量を変化させてSnを添加したものである。
具体的には、キャパシタ310は、Snを1mol%添加した(Zrの量を1mol%減らし、代わりにSnを1mol%添加した)。キャパシタ320は、Snを5mol%添加した。キャパシタ330は、Snを10mol%添加した。キャパシタ340は、Snを15mol%添加した。キャパシタ350は、Snを20mol%添加した。
キャパシタ100では、化学溶液の原料塩にジルコニウムイソプロポキシドを使用したが、キャパシタ310〜350では、化学溶液の原料塩にジルコニウムイソプロポキシドとスズイソプロポキシドとを使用した。
キャパシタ310〜350のその他の事項、たとえば、化学溶液に含まれる溶媒の種類、量や、製造方法は、キャパシタ100と同じにした。
表2に、キャパシタ310〜350、それぞれの、誘電体層の組成、原料塩の種類、重量を示す。なお、表2には、比較のために、キャパシタ100の数値も示している。
Figure 2018142613
第3実施形態においては、誘電体層に含まれるZrOのZrの一部がSnに置換されている。なお、Zrは4価の元素、Snは2価または4価の元素である。ただし、表2におけるOの組成比は、Snが4価である場合のものである。
キャパシタ310〜350の誘電体層の分極−電界履歴曲線を、それぞれ、図6(A)〜(E)に示す。
また、図7に、Snの添加量(置換量)に対する、誘電率が増加する電界領域の広さを示す。
電界領域の広さを、◎、○、×の3段階で評価した。誘電率のピークの半値幅が1MV/cm以上のものを◎、1MV/cm以内のものを○、誘電率の増加が起こらなかったものを×とした。評価結果を、表2に示す。
Snを10mol%添加したキャパシタ330、Snを15mol%添加したキャパシタ340が、それぞれ、◎であった。また、Snを1mol%添加したキャパシタ310、Snを5mol%添加したキャパシタ320が、それぞれ、○であった。一方、Snを20mol%添加したキャパシタ350は、誘電率の増加は起こらず、×であった。
適量のSnを添加することによって、誘電率の上がり幅を穏やかにし、幅広いバイアス電界下で高い静電容量を得ることができた。適量のSnを添加することによって、幅広いバイアス電界領域で用いることができる誘電体層をもつキャパシタを作製することが可能になる。
[第4実施形態]
第4実施形態にかかるキャパシタ400(図示せず)を作製した。キャパシタ400も、図1に示した第1実施形態にかかるキャパシタ100と同一の構造からなる。
第2実施形態では、第1実施形態にかかるキャパシタ100の誘電体層(ZrO膜)3に、3価の元素であるYを添加した。また、第3実施形態では、第1実施形態にかかるキャパシタ100の誘電体層3に、2価または4価の元素であるSnを添加した。第4実施形態では、これらに代えて、第1実施形態にかかるキャパシタ100の誘電体層3に、3価の元素であるInと、5価の元素であるNbとを添加した。
具体的には、キャパシタ400は、Inを5mol%添加し、Nbを5mol%添加した(Zrの量を10mol%減らし、代わりにInを5mol%、Nbを5mol%、添加した)。
キャパシタ400では、化学溶液の原料塩にジルコニウムイソプロポキシドと、インジウムイソプロポキシドと、ニオブイソプロポキシドとを使用した。
キャパシタ400のその他の事項、たとえば、化学溶液に含まれる溶媒の種類、量や、製造方法は、キャパシタ100と同じにした。
表3に、キャパシタ400の、誘電体層の組成、原料塩の種類、重量を示す。なお、表3には、比較のために、キャパシタ100の数値も示している。
Figure 2018142613
第4実施形態においては、誘電体層に含まれるZrOのZrの一部が、InおよびNbに置換されている。
図8(A)に、キャパシタ400の誘電体層の分極−電界履歴曲線を示す。また、図8(B)に、図8(A)に示した分極値を電界で微分することによって導出した、キャパシタ400の電界の強さに対する誘電体層の比誘電率の大きさを示す。
図8(B)から分かるように、キャパシタ400においては、In、Nbの共添加により、誘電率が、電界の変化に対して鋭く変化している。
金属酸化物中では、異種金属元素添加により金属イオンの価数バランスが崩れると、酸素空孔が生成されて絶縁性の低下の要因になることが知られている。これに対し、キャパシタ400では、4価の元素であるZrに対して、3価、5価の元素を共添加したことにより、価数のバランスがとれ、絶縁性の低下の要因である酸素空孔の生成が抑制されているものと考えられる。
そして、キャパシタ400は、酸素空孔の生成が抑制されたこと、さらに、イオン半径の異なる3価、5価の元素を共添加したことにより、結晶格子のコントロールがなされてZrOの反強誘電性が制御されたことにより、誘電率が電界の変化に対して鋭く変化するような高機能な誘電体層を持つキャパシタが得られたものと考えられる。
以上、第1実施形態〜第4実施形態にかかるキャパシタ、ZnO膜の製造方法、キャパシタの製造方法について説明した。しかしながら、本発明が上述した内容に限定されることはなく、発明の趣旨に沿って、種々の変更をなすことができる。
たとえば、誘電体層の組成は、発明の規定の範囲内において任意であり、上述した内容には限定されない。
また、キャパシタの誘電体層を作製するための原料塩の種類、重量なども任意であり、他の種類の原料塩を使用することも可能である。
1・・・基板
2・・・第1電極
3・・・誘電体層
4・・・第2電極

Claims (12)

  1. 第1電極層と、
    前記第1電極層上に形成された誘電体層と、
    前記誘電体層上に形成された第2電極層と、を備えたキャパシタであって、
    前記誘電体層が、蛍石構造を有する金属酸化物からなり、
    前記金属酸化物は、ZrO、または、Zrの一部が他の元素に置換されたZrOを含み、
    前記ZrOは、少なくとも一部に、正方晶相の結晶相を含むキャパシタ。
  2. 前記金属酸化物に、Zr以外の4価以下の元素が少なくとも1種類以上添加された、請求項1に記載されたキャパシタ。
  3. 前記金属酸化物にYが添加された、請求項2に記載されたキャパシタ。
  4. ZrおよびYの総量に対するYの添加量が、0.5mol%以上、2mol%以下である、請求項3に記載されたキャパシタ。
  5. 前記金属酸化物にSnが添加された、請求項2に記載されたキャパシタ。
  6. ZrおよびSnの総量に対するSnの添加量が、1mol%以上、15mol%以下である、請求項5に記載されたキャパシタ。
  7. ZrおよびSnの総量に対するSnの添加量が、10mol%以上、15mol%以下である、請求項6に記載されたキャパシタ。
  8. 前記金属酸化物に、3価以下の元素が少なくとも1種類以上添加され、かつ、5価以上の元素が少なくとも1種類以上添加された、請求項1に記載されたキャパシタ。
  9. 前記3価以下の元素が、Al、Y、In、Laの中から選択された1種類または複数種類であり、
    前記5価以上の元素が、Nb、Taの中から選択された1種類または複数種類である、請求項8に記載されたキャパシタ。
  10. ZrO、または、Zrの一部が他の元素に置換されたZrOを含むZrO膜の製造方法であって、
    成膜対象物を用意する工程と、
    前記ZrO膜の原料となる化学溶液を用意する工程と、
    前記化学溶液を前記成膜対象物上にスピンコートする工程と、
    熱処理により、前記成膜対象物上にスピンコートされた前記化学溶液から、正方晶相の結晶相を含むZrO膜を析出させる工程と、を備えたZrO膜の製造方法。
  11. 前記ZrO膜の原料となる前記化学溶液が、ジルコニウムアルコキシド、カルボン酸ジルコニウム、塩化ジルコニウム、硝酸ジルコニウム、酢酸ジルコニウムの中から選択された1種類または複数種類が有機溶剤中に混合された化学溶液である、請求項10に記載されたZrO膜の製造方法。
  12. 第1電極層と、
    前記第1電極層上に形成された誘電体層と、
    前記誘電体層上に形成された第2電極層と、を備えたキャパシタの製造方法であって、
    前記誘電体層が、ZrO、または、Zrの一部が他の元素に置換されたZrOを含むZrO膜からなり、
    前記ZrO膜が、請求項10または11に記載されたZrO膜の製造方法によって製造されるキャパシタの製造方法。
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