JP2018140331A - 静電分離装置、及び静電分離方法 - Google Patents

静電分離装置、及び静電分離方法 Download PDF

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敏男 米澤
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Abstract

【課題】負荷できる電界強度の制約、及びスパークの問題を解決可能な静電分離装置を得る。
【解決手段】静電分離装置10は、鉛直に配置され、互いに離間して対向する一対の第1ベルトコンベヤ12と第2ベルトコンベヤ14と、第1ベルトコンベヤ12と第2ベルトコンベヤ14とに直流電圧を印加する高圧直流電源18と、一対の第1ベルトコンベヤ12と第2ベルトコンベヤ14との間に静電分離空間20の下側に配置され、静電分離空間20の内部に上方に向けて空気を吹き出して静電分離空間20に供給された粒子を浮遊させて流動層を形成する空気噴出部28と、第1ベルトコンベヤ12の第1ベルト12Aと第2ベルトコンベヤ14の第2ベルト14Aの表面に付着した粒子を除去する第1粒子除去回収装置22及び第2粒子除去回収装置24と、有する。
【選択図】図1

Description

本発明は、絶縁性粒子と導電性粒子とが混合したものから、絶縁性粒子と導電性粒子とを分離する静電分離装置、及び静電分離方法に関する。
石炭火力発電所では、微粉炭を燃焼した後、石炭灰(以下、フライアッシュと呼ぶ)が集塵機で回収される。フライアッシュは、SiO、Fe等を主成分とする酸化物の微粒子(以下、酸化物粒子と呼ぶ)、未燃カーボンの微粒子(以下、カーボン粒子と呼ぶ)等からなる。
フライアッシュは、微粉炭を燃焼した後に生成される副産物であり、一例として、セメントの原料として、ロータリーキルンで他の原料と共に焼成されることが多い。近年では、セメントの生産量が減少しており、その結果、セメント原料への利用による再利用では、フライアッシュの再利用が難しくなっている。したがって、セメント原料以外への再利用用途の拡大が求められている。
セメント原料以外の用途として、フライアッシュセメントの混合材とコンクリート混和材への利用拡大が期待されているが、この利用は十分に進展しているとは言えない。
上記の大きな理由として、含有されるカーボン粒子の影響が指摘されている。即ち、フライアッシュ中のカーボン粒子は、コンクリートの仕上がり面の黒色化や色むらの原因となり、コンクリート中に導入される微細な空気泡の量の制御を難しくする。さらに、カーボン粒子の量が多い場合には、コンクリートの強度にも影響し、強度低下を引き起こす場合がある。
これらの課題を解決するために、フライアッシュの酸化物粒子とカーボン粒子を分離する技術が必要とされている。
しかし、過去、多くの技術が提案され研究されてきたが、実用化に至る成果は限定的であった。
フライアッシュの酸化物粒子とカーボン粒子を分離する技術として、フライアッシュをスラリー化して浮遊分離する方法(以下、スラリー方式)、カーボンを燃焼させて除去する方法(以下、燃焼方式)、カーボンを選択的に粉砕して分離する方法(以下、粉砕方式)、及び静電気を利用して分離する方法(以下、静電方式)等がある。
(スラリー方式)
スラリー方式は、フライアッシュを水と混合してスラリー化し、捕集剤を添加混合して、空気を供給し、気泡にカーボンを付着させて浮遊させ、分離回収するものである(例えば、特許文献1〜5参照)。また、スラリー方式で、カーボン粒子を分離する工程において、カーボン粒子の量の多い浮遊物と少ない浮遊物を選択する工夫を行った技術もある(例えば、特許文献6参照)。スラリー方式は、数例が実用化されている。
(燃焼方式)
ロータリーキルンに投入されたフライアッシュを600〜900℃に加熱してカーボン粒子を除去するものがある(例えば、特許文献7参照)。また、類似特許として、例えば、特許文献8〜11がある。燃焼方式は、数例が実用化されている。
(粉砕方式)
粉砕方式は、酸化物粒子に比べて軟らかいカーボン粒子(酸化物粒子のモース硬度の推定値は5〜6程度、カーボン粒子は1〜2程度)を選択的に粉砕し、粒子径や密度差を利用して分離するものである。
一例として、同一の回転軸で対向する回転翼とケーシングの間の空間でフライアッシュを粉砕し、崩壊しやすいカーボン粒子を選択的に粉砕するとともに、密度差を利用して酸化物粒子とカーボン粒子を分離する技術(例えば、特許文献12参照)があるが、実用化には至っていない。
(静電方式)
静電方式は、酸化物粒子とカーボン粒子の静電気的特性の違いを利用して分離するものであり、以下に説明するコロナ帯電方式、摩擦帯電方式、及び誘電帯電方式がある。
コロナ帯電方式は、フライアッシュをコロナ放電による帯電電極を通過させて帯電させ、異なる帯電特性を示す酸化物粒子とカーボン粒子を対向する平板電極の間に落下させる。この時、帯電量の違いによる力が平板電極から作用し、この力の差によって分離する(例えば、特許文献13参照)。
摩擦帯電方式は、フライアッシュを摩擦すると、酸化物粒子はマイナス(−)に帯電し、カーボン粒子はプラス(+)に帯電する傾向にある。これらの粒子が、直流電界を付加された一対の電極の中に投入されると、酸化物粒子はプラス電極に引き付けられ、カーボン粒子はマイナス電極に引き付けられる。上記の原理を利用した技術として、特許文献14があり、実用化されたものがいくつかある。この技術は、対向する水平電極(上がマイナス、下がプラス)の間で、表面突起を有する穴あきベルトを回転させ、反対方向に動くベルトの間にフライアッシュを投入する。これにより、フライアッシュに摩擦力を負荷してフライアッシュを帯電させる。ベルトは上下の電極の電界中でもう一つの電極として作用するため、摩擦帯電したカーボン粒子は上のベルトに付着して外部に排出され、酸化物粒子は下のベルトに付着して反対側の外部に排出される。これらの作用により、酸化物粒子とカーボン粒子とを分離する。
誘電帯電方式
誘電帯電方式は、帯電されていないフライアッシュ粒子を直流電圧を印加した対向する一対の電極の中に投入すると、誘電体である酸化物粒子には分極が生じ、表面にプラスの部分とマイナスの部分が生ずる。この結果、酸化物粒子のプラスの部分がマイナス電極に付着し、マイナスの部分がプラス電極に付着する。即ち、酸化物粒子は、プラス、マイナスいずれかの電極に付着する。これに対し、導体であるカーボン粒子は違った挙動をする。カーボン粒子がプラスに帯電している場合には、この粒子はマイナス電極に引き付けられる。カーボン粒子は導体であるため、マイナス電極の表面では直ちに中和される。その後、カーボン粒子は電極のマイナス電荷で充電され、カーボン粒子(−)は、この電極(−)からはじき出される。
カーボン粒子は、この運動を繰り返し、電極の間に浮遊する傾向となる。誘電帯電方式による分離は、この挙動を利用している。上記の原理を利用した技術として、特許文献15、16があるが、実用化には至っていない。
特開2010―17616号公報。 特開2007―181748号公報。 特開2007−167825号公報。 特開2007―167787号公報。 特開2007―7485号公報。 特開2016−049475号公報。 特開2007―780号公報。 特開平10―045444号公報。 特開平7−195054号公報。 特開平11−11999号公報。 特開平11−060299号公報。 特開2002−079183号公報。 特開平10−235228号公報。 特表平11−509134号公報。 再表02/076620号公報。 特開2007−117873号公報。
以下に従来の分離装置の課題を説明する。
(スラリー方式)
フライアッシュを水と混合するためのスラリー化、スラリーへのカーボン捕集剤の添加、混合、分離した酸化物粒子とカーボン粒子の脱水、これらの乾燥、排水の処理、有害物質の除去等、多くのプロセスが必要とされる。そのため、機械装置が複雑になり、水処理と共に広い用地が必要となる。
(燃焼方式)
カーボン粒子を燃焼させるため、カーボン粒子の回収ができない。カーボン粒子を回収できれば、資源として利用できるのであり、これはフライアッシュリサイクルの経済性を高め、CO削減にも貢献する。フライアッシュのリサイクルが進まない理由の一つは経済性にあり、カーボンの回収による経済性の向上が必要とされている。
(粉砕方式)
選択的に粉砕されたカーボン粒子と酸化物粒子の密度差を利用して気流により分離しているが、カーボン粒子も酸化物粒子も粒度分布を有しているため粒径の影響が入ってくる。即ち、軽くても大きい粒子と重くて小さい粒子とを分離することが難しくなる。この方式では、分離の精度を高くするのが難しい。
(静電方式)
コロナ帯電方式は、酸化物粒子とカーボン粒子の帯電量の違いにより、対向する電極間を落下する時の力の大きさを利用している。このとき、電極から粒子に作用する力は、帯電量とともに粒子の大きさや密度の影響を受ける。したがって、粉砕方式と同様に、精度の高い分離が難しい。
例えば、ベルト式の摩擦帯電方式は、プラスマイナスの電荷の違いによって分離を行うため、粒子の大きさや密度の違いによる影響を受け難い。しかし、ベルトで摩擦力を負荷しているため、ベルトの損耗が激しく、頻繁な交換が必要である。さらに、ベルトで摩擦力を負荷するため、電極として作用するベルトの間隔を狭くすることが必要であり、これが電極間のスパークのリスクが高くしている。このため、スパークを抑制する特別な工夫が必要とされている(特表平11−509134参照)。
(誘電帯電方式)
例えば、再表02/076620の誘電帯電方式も、ベルト式の摩擦帯電方式と同様に、プラスマイナスの電荷の違いによって分離を行っているため、粒子の大きさや密度の違いによる影響を受け難い。しかし、再表02/076620の構成では、再表02/076620に記載されているように、電極間の分離ゾーンの電界強度は、0.2〜1.5kV/mmとすることが必要である。0.2kV/mm未満では電界強度が不足するため、カーボン粒子が上面のメッシュ電極の外に飛び出すことができず、分離ゾーンに溜まってしまう。一方、1.5kV/mmを上回ると、電界強度が強くなり過ぎるため、カーボン粒子とともに酸化物粒子もメッシュ電極の外に飛び出してしまい分離が困難になる。このことは、負荷できる電圧の制約であると共に、電極間の距離の制約にもなる。即ち、電界強度の制約は、効率的な分離を難しくしている。さらに、特開2007−117873に記載されているように、カーボン粒子の含有量が15%以上になると導電性が高くなりスパークが発生する。これもこの技術の適用性を少なくしている原因となっている。
(従来技術のまとめ)
(1) 装置の煩雑さや、水処理の課題からはスラリー方式は望ましくなく、水を使用しない乾式の方法が望ましい。
(2) 乾式の方式のうち、燃焼方式はカーボン粒子を資源として回収できないため、経済性の点で課題がある。
(3) 粉砕方式と、従来の静電帯電方式のコロナ放電帯電方式は、分離の精度に課題がある。
(4) 従来のベルト式摩擦帯電方式は、ベルトの損耗とスパークの起こりやすさに課題がある。
(5) 従来の誘電帯電方式は、電界強度の制約から負荷できる電圧や電極間の距離に制約があり、効率の課題がある。また、カーボン粒子の含有量が多くなるとスパークが生じやすくなる。
(6) また、一対の電極が上下に水平に配置されていると、重量の大きな粒子が自重により上側の電極へ付着し難くなる懸念がある。
これらを鑑みると、水を使用しない乾式であり、燃焼方式、粉砕方式、コロナ放電帯電方式ではない静電方式が望ましいことが分かる。また、ベルト式の摩擦帯電方式と静電帯電方式の課題である、ベルトの損耗、負荷できる電界強度の制約、及びスパークの問題を解決した静電方式が望ましいことになる。
本発明は上記事実を考慮し、負荷できる電界強度の制約、及びスパークの問題を解決可能な静電分離装置、及び静電分離方法の提供を目的とする。
請求項1に記載の静電分離装置は、上下方向に配置され、互いに離間して対向する一対の電極と、前記一対の電極に直流電圧を印加する電源と、前記一対の電極の間を静電分離空間とする静電分離室と、前記静電分離室の下側に配置されて前記静電分離室の内部に上方に向けて空気を吹き出して前記静電分離室に供給された粒子を浮遊させる粒子浮遊装置と、を有する。
請求項1に記載の静電分離装置では、静電分離室に、絶縁体からなる絶縁性粒子と導電性を有する導電性粒子とが混合された粒子を供給し、一対の電極に直流電圧を印加することで絶縁性粒子と導電性粒子とを分離することができる。
(第1の方法)
請求項1に記載の静電分離装置を用いて絶縁性粒子と導電性粒子とを分離する第1の方法を以下に説明する。
静電分離室の内部に上方に向けて粒子浮遊装置で空気を吹き出すことで、静電分離室に供給された粒子を静電分離室の内部で浮遊させることができる。そして、電源を用い、対向する一方の電極がプラス、他方の電極がマイナスとなるように一対の電極に直流電圧を印加する。
一例として、静電分離室の内部に供給する粒子が、石炭を燃焼した後に生成される絶縁粒子である酸化物粒子と導電性粒子であるカーボン粒子を含んだフライアッシュ(石炭灰)である場合、一対の電極に直流電圧が印加されると、誘電体である酸化物粒子には分極が生じ、表面にプラスの部分とマイナスの部分が生ずる。この結果、酸化物粒子のプラスの部分がマイナスの電極に付着し、酸化物粒子のマイナスの部分がプラスの電極に付着する。
即ち、酸化物粒子は、プラス、マイナスいずれかの電極に付着する。一方、導体であるカーボン粒子は違った挙動をする。カーボン粒子がプラスに帯電している場合には、このカーボン粒子はマイナスの電極に引き付けられる。カーボン粒子は導体であるため、マイナスの電極の表面で直ちに中和される。その後、カーボン粒子は電極のマイナス電荷で充電され、マイナスのカーボン粒子は、マイナスの電極からはじき出される。
一方、カーボン粒子がマイナスに帯電している場合には、このカーボン粒子はプラスの電極に引き付けられる。カーボン粒子は導体であるため、プラスの電極の表面で直ちに中和される。その後、カーボン粒子は電極のプラスの電荷で充電され、プラスのカーボン粒子は、このプラスの電極からはじき出される。
したがって、静電分離室の内部のカーボン粒子は、この運動を繰り返し、何れの電極にも付着せず、静電分離空間で浮遊し、電極に付着する酸化物粒子と、電極に付着しないカーボン粒子とに分離することができる。
なお、浮遊するカーボン粒子は、空気の供給を停止して自然落下させて回収したり、吸引する等して回収することができる。一方、電極に付着した酸化物粒子は、電極への電圧の印加を停止することで、電極から容易に除去して回収することができる。
このようにして、第1の方法では、絶縁性粒子と導電性粒子とを分離することができ、絶縁性粒子と導電性粒子とを別々に回収することができる。
請求項1に記載の静電分離装置では、従来の誘電帯電方式のように、電界強度を特定の条件に制約することは必要とされず、効果的な分離を行うことができる。また、電極間の距離を小さくすることや、カーボン粒子の濃度を低くすることの必要性が少ないため、スパークのリスクも小さくすることができる。
また、一対の電極は上下方向に配置されており、粒子が電極間で浮遊しているので、粒子の重量にバラツキがあったとしても、一対の電極が上下に水平に配置されている場合と比較して、粒子の分離精度を高めることができる。
(第2の方法)
次に、請求項1に記載の静電分離装置を用いて絶縁性粒子と導電性粒子とを分離する第2の方法を以下に説明する。
第2の方法では、静電分離室に供給する絶縁性粒子と導電性粒子とが混合された粒子を、予め摩擦帯電装置等を用いて帯電させておき、帯電された該粒子を静電分離室に供給する。
静電分離室の内部に上方に向けて粒子浮遊装置で空気を吹き出すことで、静電分離室に供給された粒子を静電分離室の内部で浮遊させることができる。そして、電源を用い、対向する一方の電極がプラス、他方の電極がマイナスとなるように一対の電極に直流電圧を印加することで、静電分離空間に浮遊しているプラスの粒子をマイナスの電極に付着させ、マイナスの粒子をプラスの電極に付着させることができる。
一例として、静電分離室の内部に供給する粒子が、石炭を燃焼した後に生成されるフライアッシュ(石炭灰)である場合、フライアッシュを摩擦すると、絶縁粒子である酸化物粒子はマイナス(−)に帯電し、導電性粒子であるカーボン粒子はプラス(+)に帯電する傾向にある。このため、絶縁粒子である酸化物粒子はプラスの電極に付着し、導電性粒子であるカーボン粒子はマイナスの電極に付着し、絶縁粒子である酸化物粒子と導電性粒子であるカーボン粒子とを分離することができる。なお、電極の表面に付着した粒子は、電圧の印加を停止して、電極から簡単に除去して回収することができる。
なお、請求項1に記載の静電分離装置では、従来技術の摩擦帯電方式のように、粒子を分離するときベルト同士を接近させて摩擦力を負荷させることが無いため、ベルトの損耗という問題を生じることは無く、特別な構成を付加することなくスパークの発生を抑制することができる。また、従来の摩擦帯電方式のように電極同士を接近させる必要がないため、摩擦帯電方式に比較して負荷できる電界強度の制約を受け難い。このため、電極に高い電圧を印加して、粒子の分離効率を向上することが可能となる。
このように、請求項1の静電分離装置では、上記第1の方法、及び第2の方法の2種類の方法で、粒子の分離を行うことが可能となっている。
請求項2に記載の発明は、請求項1に記載の静電分離装置において、前記電極は、回転可能な無端の粒子付着用コンベヤベルトを有する。
請求項2に記載の静電分離装置では、電極が無端の粒子付着用コンベヤベルトであるため、粒子付着用コンベヤベルトを回転させることで、粒子付着用コンベヤベルトの静電分離室に対向していた部分を静電分離室の外側へ移動することができ、これにより、静電分離室で付着させた粒子を静電分離室の外側へ移動させて除去することができる。
請求項3に記載の発明は、請求項2に記載の静電分離装置において、前記粒子付着用コンベヤベルトは誘電体で形成され、前記粒子付着用コンベヤベルトの内側には前記電源に接続された導体からなる導体電極板が配置されている。
請求項3に記載の静電分離装置では、導体電極板に電圧を印加することで、静電分離室の内部で粒子付着用コンベヤベルトに粒子を付着させることができる。
請求項4に記載の発明は、請求項1または請求項2に記載の静電分離装置において、前記電極は、前記電源に接続され導体で形成された導体層と、前記静電分離室内で対面し前記導体層に重ね合わされて誘電体で形成された誘電体層と、を有する。
請求項4に記載の静電分離装置では、導体層に電圧を印加することで、静電分離室の内部で誘電体層に粒子を付着させることができる。
請求項5に記載の発明は、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の静電分離装置において、前記電極の表面に付着した前記粒子を前記電極から除去して回収する粒子除去回収装置を有する。
請求項5に記載の静電分離装置では、粒子除去回収装置によって電極の表面に付着した前記粒子を前記電極から除去して回収することができる。
請求項6に記載の発明は、請求項5に記載の静電分離装置において、前記粒子除去回収装置は、前記電極の表面に付着した前記粒子を掻き落とし部材で掻き落として前記静電分離室の外部で回収する。
請求項6に記載の静電分離装置では、電極の表面に付着した粒子を掻き落とし部材で掻き落とし、静電分離室の外部で回収することができる。
請求項7に記載の発明は、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の静電分離装置において、前記静電分離室の内部で上昇する前記粒子を前記静電分離室の上部に設けた開口を介して前記静電分離室の外部へ排出して回収する回収装置を有している。
請求項7に記載の静電分離装置では、帯電していない絶縁性粒子と導電性粒子とが混合された粒子を静電分離装置に供給して分離する、前述した第1の方法で粒子を分離する際に使用することができる。即ち、絶縁性粒子を電極に付着させた後、粒子浮遊装置から上方に向けて吹き出される空気で導電性粒子を上昇させ、上昇した導電性粒子を静電分離室の上部に設けた開口を介して静電分離室の外部へ排出して回収装置で回収することができる。
請求項8に記載の発明は、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の静電分離装置において、前記静電分離室の外部と内部との間で前記粒子を搬送する回転可能な無端の搬送用コンベヤベルトを有している。
請求項8に記載の静電分離装置では、搬送用コンベヤベルトの上に粒子を載置して搬送用コンベヤベルトを駆動することで、分離する粒子を、静電分離室の内部に簡単に供給することができる。また、静電分離室の内部の不要な粒子は、静電分離室の外部に排出することができる。
請求項9に記載の発明は、請求項8に記載の静電分離装置において、前記静電分離室の内部に浮遊する前記粒子の濃度を測定するセンサと、前記センサで測定した濃度に応じて前記搬送用コンベヤベルトを駆動する駆動装置を制御する制御装置と、を有している。
請求項9に記載の静電分離方法では、制御装置は、センサで測定した粒子の濃度に応じて搬送用コンベヤベルトを駆動することができる。一例として、粒子の分離回収が進むと、静電分離室内の浮遊した粒子の濃度が低下するため、センサで静電分離室内の浮遊した粒子の濃度を測定することにより、目視する事無く、粒子の分離の進捗状況を把握することができる。そして、予め設定した濃度以下になった場合には、制御装置は、分離する粒子が静電分離室の内部に無いと判断して、制御装置は搬送用コンベヤベルトを駆動して、分離を行う新たな粒子を静電分離装置の内部に供給することができる。このようにすることで、静電分離室の内部に自動で粒子を供給して、粒子の分離をバッチ処理することができる。
請求項10に記載の発明は、請求項8または請求項9に記載の静電分離装置において、前記搬送用コンベヤベルトには、空気を透過する透過口が多数形成されており、前記粒子浮遊装置は、前記搬送用コンベヤベルトの内側に配置されて、吹き出した空気を前記透過口を介して前記静電分離室に流入させる。
請求項10に記載の静電分離装置では、粒子浮遊装置から空気を吹き出すことで、吹き出した空気を透過口を介して静電分離室に流入させることができる。
請求項11に記載の静電分離方法は、互いに離間して対向配置された上下方向に配置された一対の電極間を静電分離空間とする静電分離室の内部に絶縁性粒子と導電性粒子とからなる粒子を供給する工程と、前記静電分離室の内部に上方に向けて空気を吹き出して前記粒子を前記静電分離室の内部で浮遊させると共に、一対の電極に直流電圧を印加する工程と、前記電極に付着した絶縁性粒子を前記電極から除去して前記静電分離室の外部に排出する工程と、前記静電分離室の内部に残存して浮遊する前記導電性粒子を前記静電分離室の外部に排出する工程と、を有する。
請求項11に記載の静電分離方法では、先ず最初の工程で、静電分離室の内部に絶縁性粒子と導電性粒子とからなる粒子を供給する。ここでは、帯電していない粒子を供給する。
次の工程では、粒子を静電分離室の内部の静電分離空間で浮遊させると共に、一対の電極に直流電圧を印加する。前述したように、静電分離室の内部に供給する粒子が、石炭を燃焼した後に生成される絶縁粒子である酸化物粒子と導電性粒子であるカーボン粒子を含んだフライアッシュ(石炭灰)である場合、酸化物粒子は、プラス、マイナスいずれかの電極に付着する。一方、導体であるカーボン粒子は、何れの電極にも付着せず、静電分離室の内部で浮遊傾向となり、電極に付着する酸化物粒子と、電極に付着しないカーボン粒子とに分離することができる。
その後、電極に付着した絶縁性粒子を電極から除去して静電分離室の外部に排出する工程と、静電分離室の内部に残存して浮遊する導電性粒子を静電分離室の外部に排出する工程とを行う。これにより、絶縁性粒子と導電性粒子とを分離することができ、絶縁性粒子と導電性粒子とを別々に回収することができる。
請求項12に記載の静電分離方法は、絶縁性粒子と導電性粒子とからなる粒子を摩擦帯電装置で摩擦帯電させる工程と、互いに離間して対向配置された上下方向に配置された一対の電極間を静電分離空間とする静電分離室の内部に前記絶縁性粒子と前記導電性粒子とからなる前記粒子を供給する工程と、前記静電分離室の内部に上方に向けて空気を吹き出して前記絶縁性粒子と前記導電性粒子とからなる前記粒子を前記静電分離室の内部で浮遊させると共に、一対の電極に直流電圧を印加する工程と、一方の前記電極に付着した前記絶縁性粒子を前記静電分離室の外部に排出する工程と、他方の前記電極に付着した前記導電性粒子を前記静電分離室の外部に排出する工程と、を有する。
請求項12に記載の静電分離方法では、先ず最初の工程で、絶縁性粒子と導電性粒子とからなる粒子を帯電させ、次の工程で、帯電させた粒子を静電分離室の内部に供給する。
次の工程では、粒子を静電分離室の内部の静電分離空間で浮遊させると共に、一対の電極に直流電圧を印加する。マイナスに帯電した絶縁粒子はプラスの電極に付着し、プラスに帯電した導電性粒子はマイナスの電極に付着し、絶縁粒子と導電性粒子とを分離することができる。その後、一方の電極に付着した絶縁性粒子を静電分離室の外部に排出する工程と、他方の電極に付着した導電性粒子を静電分離室の外部に排出する工程とを行うことで、絶縁性粒子と導電性粒子とを別々に回収することができる。
以上説明したように本発明によれば、粒子を分離するにあたって、ベルトの損耗、負荷できる電界強度の制約、及びスパークの問題を解決することができる、という優れた効果を有する。
(A)は第1の実施形態に係る静電分離装置を示す正面図であり、(B)は第1の実施形態に係る静電分離装置を示す側面図である。 第1の実施形態に係る静電分離装置を示す斜視図である。 (A)は第2の実施形態に係る静電分離装置を示す正面図であり、(B)は第2の実施形態に係る静電分離装置を示す側面図である。 他の実施形態に係るコンベアベルトを示す断面図である。 他の実施形態に係るベルトコンベヤを示す断面図である。
[第1の実施形態]
以下、図1、及び図2を用いて、本発明の第1の実施形態に係る静電分離装置10について説明する。この静電分離装置10は、従来の誘電帯電方式の問題点を解消可能に構成されている。
図1、及び図2に示すように、静電分離装置10は、水平方向である図面の矢印A方向、及び矢印A方向とは反対方向に一定の間隔を開けて互いに対向して、鉛直方向に配置された第1ベルトコンベヤ12、及び第2ベルトコンベヤ14を備えている。
図1に示すように、静電分離装置10は、第1ベルトコンベヤ12と第2ベルトコンベヤ14とのベルト幅方向両側(図面の矢印B方向、及び矢印B方向とは反対方向)には側壁16が設けられており、静電分離装置10には、これら第1ベルトコンベヤ12、第2ベルトコンベヤ14、及び側壁16とで囲まれた静電分離空間20が形成されている。
第1ベルトコンベヤ12の第1ベルト12A、及び第2ベルトコンベヤ14の第2ベルト14Aには、高圧直流電源18が接続されている。高圧直流電源18は、例えば、第1ベルト12Aがプラス、第2ベルト14Aがマイナスとなるように第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aに直流電圧を印加できるようになっている。なお、本実施形態では、第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aが誘電体(絶縁体)で形成されている。第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aに用いる誘電体としては、例えば、塩化ビニール、ゴム等を上げることができるが、他の材料であってもよい。なお、第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aは、図示しないモータ等の駆動装置で回転駆動される。
第1ベルトコンベヤ12の外側には、第1ベルトコンベヤ12の下端付近に、第1ベルト12Aに付着した付着物を掻き落として除去する掻き落とし部材22A、及び除去された付着物を回収する回収ボックス22Bを備えた第1粒子除去回収装置22が設けられている。また、第2ベルトコンベヤ14の外側には、第2ベルトコンベヤ14の下端付近に、第2ベルト14Aに付着した付着物を掻き落として除去する掻き落とし部材24A、及び除去された付着物を回収する回収ボックス24Bを備えた第2粒子除去回収装置24が設けられている。なお、掻き落とし部材22A、24Aは、例えば、ベルト表面に接触するブラシ、ブレード、スクレイパー等を用いることができる。また、第1粒子除去回収装置22、及び第2粒子除去回収装置24は、真空吸引装置を備えていてもよい。
静電分離空間20の下側には、静電分離空間20の下側を塞ぐように矢印B方向、及び矢印B方向とは反対方向に延びるフライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26が水平に配置されている。なお、第1ベルトコンベヤ12、第2ベルトコンベヤ14、側壁16、フライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26、及び蓋36で、静電分離室29が構成されている。
フライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26の搬送用コンベヤベルト26Aは、絶縁体で形成されている。また、搬送用コンベヤベルト26Aには、空気を通過させるための微細な孔または隙間(図示せず)が多数形成されている。なお、搬送用コンベヤベルト26Aは、空気を透過可能な織物状のものであってもよい。また、搬送用コンベヤベルト26Aは、焼結セラミックス等の絶縁体からなるキャタピラー式のものであってもよい。なお、搬送用コンベヤベルト26Aは、図示しないモータ等の駆動装置で回転駆動される。
搬送用コンベヤベルト26Aの上側の直線部分26Aa、及び下側の直線部分26Abとの間には、静電分離空間20の下方に、空気噴出部28が設けられている。空気噴出部28は、エアコンプレッサー30に接続されており、上面28Aには、空気を通過させるための微細な孔または隙間(図示せず)が多数形成されている。なお、上面28Aは、空気を透過する多孔質材料で形成することができるが、平板に微細な孔やスリットを加工したものであってもよい。空気噴出部28は、特定のものである必要はないが、絶縁体である各種の焼結セラミックス等が利用できる。
エアコンプレッサー30を駆動して圧縮空気を空気噴出部28に供給すると、上面28Aの孔から搬送用コンベヤベルト26Aの上側の直線部分26Aaに向けて圧縮空気が噴出され、該圧縮空気は、搬送用コンベヤベルト26Aを透過して静電分離空間20の内部上方に向けて噴出される。
フライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26の矢印B方向とは反対側の上方には、フライアッシュFAをフライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26に供給する供給装置32が配置されている。また、フライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26の矢印B方向側の下方には、フライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26上に残留したフライアッシュFAを落下させて回収する回収装置34が設けられている。
また、静電分離空間20の上側には、静電分離空間20の上側を塞ぐように、漏斗状の蓋36が配置されている。蓋36の中央に形成された開口にはダクト38の一端が接続されており、ダクト38の他端側には回収装置40が設けられている。なお、蓋36と第1ベルトコンベヤ12との間、及び蓋36と第1ベルトコンベヤ12との間には、第1ベルト12Aに付着させた付着物、及び第2ベルト14Aに付着させた付着物を通過可能とする僅かな隙間が設けられている。
静電分離装置10の内部には、静電分離空間20内部の粒子全体の濃度、または、酸化物粒子とカーボン粒子の濃度を別々に測定するセンサ42が設けられている。このセンサ42は、静電分離装置10の制御を行う制御装置44に接続されている。制御装置44は、第1ベルトコンベヤ12、第2ベルトコンベヤ14、高圧直流電源18、フライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26、エアコンプレッサー30等の駆動を制御することができ、例えば、センサ42で測定された粒子の濃度に基づいてこれらの駆動を制御することができる。なお、センサ42としては、例えば、測色計、レーザー光透過度計、ダストモニター等を用いることができる。なお、静電分離空間20内部の光の透過度で粒子全体の濃度を把握することができ、粒子全体の色からカーボン粒子の濃度を把握することができる。例えば、粒子全体の色が濃く黒に近ければカーボン粒子の濃度が高いことになる。
(作用、効果)
次に、本実施形態の静電分離装置10を用いて絶縁体である酸化物粒子Sと導電体であるカーボン粒子Cとを含むフライアッシュFAを、酸化物粒子Sとカーボン粒子Cとに分離する方法を説明する。
(1) 供給装置32からフライアッシュFAをフライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26に落下させつつフライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26を駆動し(直線部分26Aaを矢印B方向)、予め決められた量のフライアッシュFAを静電分離空間20の内部に搬送する。
(2) 空気噴出部28の孔から圧縮空気を噴出し、搬送用コンベヤベルト26A上のフライアッシュFAを静電分離空間20の内部に吹き上げて浮遊させて流動層を形成すると共に、高圧直流電源18を用いて一対の第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aに直流電圧を印加する。なお、本実施形態では、第1ベルト12Aがプラス、第2ベルト14Aがマイナスとなるように第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aに直流電圧を印加しているが、プラスとマイナスを逆にしてもよい。
(3) 第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aに直流電圧が印加されると、誘電体である酸化物粒子Sには分極が生じ、表面にプラスの部分とマイナスの部分が生ずる。この結果、酸化物粒子Sのプラスの部分がマイナスの第1ベルト12Aに付着し、酸化物粒子Sのマイナスの部分がプラスの第2ベルト14Aに付着する。
即ち、酸化物粒子Sは、プラス、マイナスいずれかの電極に付着する。一方、導体であるカーボン粒子Cは違った挙動をする。カーボン粒子Cがプラスに帯電している場合には、このカーボン粒子Cはマイナスの第1ベルト12Aに引き付けられる。カーボン粒子Cは導体であるため、マイナスの第1ベルト12Aの表面で直ちに中和される。その後、カーボン粒子Cは第1ベルト12Aのマイナス電荷で充電され、マイナスのカーボン粒子Cは、マイナスの第1ベルト12Aからはじき出される。
なお、カーボン粒子Cがマイナスに帯電している場合には、このカーボン粒子Cはプラスの第2ベルト14Aに引き付けられる。カーボン粒子Cは導体であるため、プラスの第2ベルト14Aの表面で直ちに中和される。その後、カーボン粒子Cは第2ベルト14Aのプラスの電荷で充電され、プラスのカーボン粒子Cは、このプラスの第2ベルト14Aからはじき出される。
したがって、静電分離空間20の内部のカーボン粒子Cは、この運動を繰り返し、第1ベルトコンベヤ12の第1ベルト12A、及び第2ベルトコンベヤ14の第2ベルト14Aには付着せず、第1ベルトコンベヤ12と第2ベルトコンベヤ14との間で浮遊傾向となる。
(4) 第1ベルトコンベヤ12の第1ベルト12Aを矢印C方向に駆動すると共に、第2ベルトコンベヤ14の第2ベルト14Aを矢印D方向に駆動することで、第1ベルト12Aに付着した酸化物粒子Sが静電分離空間20の外側に搬送されると共に、第2ベルト14Aに付着した酸化物粒子Sが静電分離空間20の外側に搬送される。そして、第1ベルト12Aに付着した酸化物粒子Sは、掻き落とし部材22Aで第1ベルト12Aから除去されて回収ボックス22Bに回収され、第2ベルト14Aに付着した酸化物粒子Sは、掻き落とし部材24Aで第2ベルト14Aから除去されて回収ボックス24Bに回収される。
さらに、静電分離空間20の内部に浮遊しているカーボン粒子Cは、空気噴出部28から噴出する圧縮空気で上方に流され、風圧によりダクト38内に押し込まれ、ダクト38を介して静電分離空間20の外部に配置された回収装置40に回収することができる。なお、回収装置40に真空吸引装置を設けてカーボン粒子Cを積極的に吸引してもよい。真空吸引装置によって静電分離空間20の内部を外部よりも負圧にすることができ、これにより、静電分離空間20の隙間から外部へ粒子が漏れ出ることを抑制できる。
このようにして、本実施形態の静電分離装置10は、絶縁体である酸化物粒子Sと、導体であるカーボン粒子Cとを分離して回収することができる。なお、フライアッシュFAの分離回収が進み、センサ42で検出された静電分離空間20の内部の濃度がある下限値以下になった場合、制御装置44は、空気の噴出を一端停止し、上述したようにフライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26で新たなフライアッシュFAを静電分離空間20の内部に搬送し、同様にして酸化物粒子Sとカーボン粒子Cの分離を続けるように制御を行うことができる。本実施形態では、フライアッシュFAの供給と分離を1サイクルとして、これを複数回繰り返して処理を続ける(いわゆるバッチ処理)。
なお、フライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26にフライアッシュFAが残留していた場合等では、残留していたフライアッシュFAは、搬送用コンベヤベルト26Aの移動に伴い、フライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26の矢印B方向側に配置された回収装置34で回収することができる。
本実施形態の静電分離装置10では、電圧を印加する第1ベルトコンベヤ12と第2ベルトコンベヤ14との間に、フライアッシュFAを浮遊させる静電分離空間20を設けており、第1ベルトコンベヤ12と第2ベルトコンベヤ14との間隔が確保されている。このため、第1ベルトコンベヤ12、及び第2ベルトコンベヤ14に負荷する電界強度の制約が従来対比で少なく、第1ベルトコンベヤ12と第2ベルトコンベヤ14との間で生じるスパークを抑制することができ、カーボン粒子Cの含有量が多い場合でも従来対比でスパークの発生を抑制することができる。
また、第1ベルトコンベヤ12の第1ベルト12A、及び第2ベルトコンベヤ14の第2ベルト14Aは、フライアッシュFAと擦れないので、摩擦によるベルトの損耗といった問題も生じない。
また、電極である第1ベルトコンベヤ12、及び第2ベルトコンベヤ14は、鉛直方向に配置されており、フライアッシュFAが流動層を形成して電極間で浮遊しているので、粒子の重量にバラツキがあったとしても、一対の電極が上下に水平に配置されている場合に比較して、フライアッシュFAの分離精度を高めることができる。
さらに、本実施形態の静電分離装置10では、第1ベルトコンベヤ12の第1ベルト12A、及び第2ベルトコンベヤ14の第2ベルト14Aには孔が開いていないので、酸化物粒子S、及びカーボン粒子Cが、第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aを透過して外部へ漏れ出ることも無い。
なお、万が一、過剰なフライアッシュFAが静電分離空間20に供給された場合、静電分離空間20の内部のフライアッシュFAの濃度が必要以上に高くなることがある。静電分離空間20の内部のフライアッシュFA、特にはカーボン粒子Cの濃度が極端に高くなると、第1ベルトコンベヤ12と第2ベルトコンベヤ14との間でスパークを発生する懸念がある。このため、センサ42で検出されたフライアッシュFAの濃度、または、カーボン粒子の濃度が予め設定した濃度の上限値を超えた場合、例えば、電圧の印加を一旦停止すると共に、空気の噴出を一旦停止し、浮遊しているフライアッシュFAをフライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26の上に沈下させ、静電分離空間20の内部のフライアッシュFAの濃度が上限値を下回ったら、フライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26を駆動してコンベア上のフライアッシュFAを排出し、その後、圧縮空気を噴出すると共に電圧を印加してフライアッシュFAの分離を続けることができる。なお、フライアッシュFAの濃度が予め設定した濃度の上限値を超えた場合、制御装置44で高圧直流電源18を制御して第1ベルトコンベヤ12、及び第2ベルトコンベヤ14に印加する電圧を低下させ、これによってスパークの発生を抑制してもよい。
[第2の実施形態]
以下、図3を用いて、本発明の第2の実施形態に係る静電分離装置60について説明する。なお、第1の実施形態と同一構成には同一符号を付し、その説明は省略する。
図3に示すように、本実施形態の静電分離装置60は、供給装置32とフライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26の間に、フライアッシュFAを帯電させる摩擦帯電装置62が設けられており、フライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26には帯電されたフライアッシュFAが供給されるようになっている。摩擦帯電装置62としては、公知の装置を用いることができる。公知の摩擦帯電装置としては、例えば、特開2005−305344号公報、特開2004−243153号公報等に記載の構成を上げることができる。
次に、本実施形態の静電分離装置60を用いて絶縁体である酸化物粒子Sと導電体であるカーボン粒子Cとが混合されたフライアッシュFAを、酸化物粒子Sとカーボン粒子Cとに分離する方法を説明する。
(1) 本実施形態では、摩擦帯電装置62で摩擦帯電させたフライアッシュFAをフライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26に落下させつつフライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26を駆動し、予め決められた量のフライアッシュFAを静電分離空間20の内部に搬送する。なお、フライアッシュFAを摩擦すると、酸化物粒子Sはマイナス(−)に帯電し、カーボン粒子Cはプラス(+)に帯電する傾向にある。
(2) 空気噴出部28から圧縮空気を噴出し、搬送用コンベヤベルト26A上のフライアッシュFAを静電分離空間20の内部に吹き上げて浮遊させ、流動層を形成する。
(3) 一対の第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aに直流電圧を印加する。
(4) 第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aに直流電圧が印加されると、マイナスの酸化物粒子Sはプラスの第1ベルト12Aに引き付けられ、プラスのカーボン粒子Cはマイナスの第2ベルト14Aに引き付けられる。
(5) 第1ベルトコンベヤ12の第1ベルト12Aを矢印C方向に駆動すると共に、第2ベルトコンベヤ14の第2ベルト14Aを矢印D方向に駆動することで、第1ベルト12Aに付着した酸化物粒子Sが静電分離空間20の外側に搬送されると共に、第2ベルト14Aに付着したカーボン粒子Cが静電分離空間20の外側に搬送される。そして、第1ベルト12Aに付着した酸化物粒子Sは、掻き落とし部材22Aで第1ベルト12Aから除去されて回収ボックス22Bに回収され、第2ベルト14Aに付着したカーボン粒子Cは、掻き落とし部材24Aで第2ベルト14Aから除去されて回収ボックス24Bに回収される。
このようにして本実施形態の静電分離装置60では、絶縁体である酸化物粒子Sと、導体であるカーボン粒子Cとを分離して回収することができる。なお、フライアッシュFAの分離回収が進み、センサ42で検出された静電分離空間20の内部のフライアッシュFAの濃度がある値以下になった場合、制御装置44は、空気の噴出を一端停止し、上述したようにフライアッシュ搬送ベルトコンベヤ26で新たなフライアッシュFAを静電分離空間20の内部に搬送し、同様にして酸化物粒子Sとカーボン粒子Cの分離を続けるように制御を行う。
本実施形態の静電分離装置60も、第1の実施形態の静電分離装置10と同様に、スパークを抑制することができ、摩擦によるベルトの損耗といった問題も生じず、酸化物粒子S、及びカーボン粒子Cが外部へ漏れ出ることも無い。
本実施形態では、帯電させたフライアッシュFAを静電分離空間20に供給する必要があるため、摩擦帯電装置62から静電分離空間20に至る経路において、フライアッシュFAが接触する部分は絶縁体で形成する必要がある。
[その他の実施形態]
以上、本発明の一実施形態について説明したが、本発明は、上記に限定されるものでなく、上記以外にも、その主旨を逸脱しない範囲内において種々変形して実施可能であることは勿論である。
上記実施形態では、第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aが絶縁体で形成されていたが、本発明はこれに限らず、図4に示すように、第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aは、絶縁体からなる誘電体層15と、導体からなる導体層17との2層構造であってもよい。この場合、誘電体層15を静電分離空間20側に向け、導体層17に電圧を印加する。
上記実施形態では、第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aに電圧を印加したが、本発明はこれに限らず、第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aを絶縁体で形成し、図5に示すように、第1ベルト12Aの内部に平板状の導体からなる第1平板電極64を配置し、第2ベルト14Aの内部に平板状の導体からなる第2平板電極66を配置し、第1平板電極64、及び第2平板電極66に直流電圧を印加するようにしてもよい。
なお、上記実施形態では、静電分離空間20の内部に空気を噴出したが、効率的な静電分離のためには、空気の湿度は30%以下がよい。空気の湿度は、公知の乾燥装置(除湿機)を用いることで低下させることができる。また、一例として、静電分離空間20の内部に窒素ガス等、酸素を含まない気体を噴出させて静電分離空間20の内部を酸素を含まない気体で充満させてもよい。これにより、万が一、静電分離空間20の内部でスパークが発生した場合であっても、カーボン粒子Cが燃焼することを抑制できる。
上記実施形態では、第1ベルトコンベヤ12の第1ベルト12A、及び第2ベルトコンベヤ14の第2ベルト14Aに酸化物粒子S、またはカーボン粒子Cを付着させ、その後、第1ベルト12A、及び第2ベルト14Aを駆動して酸化物粒子S、またはカーボン粒子Cを除去したが、本発明はこれに限らず、第1ベルトコンベヤ12、及び第2ベルトコンベヤ14を平板状の電極とし、平板状の電極に酸化物粒子S、またはカーボン粒子Cを付着させてもよい。この場合、電極表面に接触するブラシ、ブレード、スクレイパー等を、上下に移動する駆動装置を用いて上から下へ移動することで、電極表面に付着した粒子を除去することができる。
10 静電分離装置
12 第1ベルトコンベヤ(電極、静電分離室)
12A 第1コンベヤベルト(粒子付着用コンベヤベルト)
14 第2ベルトコンベヤ(電極、静電分離室)
14A 第2コンベヤベルト(粒子付着用コンベヤベルト)
15 誘電体層
16 側壁(静電分離室)
17 導体層
18 高圧直流電源(電源)
20 静電分離空間
22 第1粒子除去回収装置(粒子除去回収装置)
22A 掻き落とし部材
24 第2粒子除去回収装置(粒子除去回収装置)
24A 掻き落とし部材
26 搬送用ベルトコンベヤ(静電分離室)
26A 搬送用コンベヤベルト
28 空気噴出部(粒子浮遊装置)
29 静電分離室
30 エアコンプレッサー(粒子浮遊装置)
36 蓋(静電分離室)
40 回収装置
60 静電分離装置
64 第1平板電極(導体電極板)
66 第2平板電極(導体電極板)
FA フライアッシュ(粒子)
C カーボン粒子(導電性粒子)
S 酸化物粒子(絶縁性粒子)

Claims (12)

  1. 上下方向に配置され、互いに離間して対向する一対の電極と、
    前記一対の電極に直流電圧を印加する電源と、
    前記一対の電極の間を静電分離空間とする静電分離室と、
    前記静電分離室の下側に配置されて前記静電分離室の内部に上方に向けて空気を吹き出して前記静電分離室に供給された粒子を浮遊させる粒子浮遊装置と、
    を有する、静電分離装置。
  2. 前記電極は、回転可能な無端の粒子付着用コンベヤベルトを有する、請求項1に記載の静電分離装置。
  3. 前記粒子付着用コンベヤベルトは誘電体で形成され、前記粒子付着用コンベヤベルトの内側には前記電源に接続された導体からなる導体電極板が配置されている、請求項2に記載の静電分離装置。
  4. 前記電極は、前記電源に接続され導体で形成された導体層と、前記静電分離室内で対面し前記導体層に重ね合わされて誘電体で形成された誘電体層と、を有する、請求項1または請求項2に記載の静電分離装置。
  5. 前記電極の表面に付着した前記粒子を前記電極から除去して回収する粒子除去回収装置を有する、請求項1〜請求項4の何れか1項に記載の静電分離装置。
  6. 前記粒子除去回収装置は、前記電極の表面に付着した前記粒子を掻き落とし部材で掻き落として前記静電分離室の外部で回収する、請求項5に記載の静電分離装置。
  7. 前記静電分離室の内部で上昇する前記粒子を前記静電分離室の上部に設けた開口を介して前記静電分離室の外部へ排出して回収する回収装置を有している、請求項1〜請求項6の何れか1項に記載の静電分離装置。
  8. 前記静電分離室の外部と内部との間で前記粒子を搬送する回転可能な無端の搬送用コンベヤベルトを有している、請求項1〜請求項7の何れか1項に記載の静電分離装置。
  9. 前記静電分離室の内部に浮遊する前記粒子の濃度を測定するセンサと、
    前記センサで測定した濃度に応じて前記搬送用コンベヤベルトを駆動する駆動装置を制御する制御装置と、
    を有している、請求項8に記載の静電分離装置。
  10. 前記搬送用コンベヤベルトには、空気を透過する透過口が多数形成されており、
    前記粒子浮遊装置は、前記搬送用コンベヤベルトの内側に配置されて、吹き出した空気を前記透過口を介して前記静電分離室に流入させる、請求項8または請求項9に記載の静電分離装置。
  11. 互いに離間して対向配置された上下方向に配置された一対の電極間を静電分離空間とする静電分離室の内部に絶縁性粒子と導電性粒子とからなる粒子を供給する工程と、
    前記静電分離室の内部に上方に向けて空気を吹き出して前記粒子を前記静電分離室の内部で浮遊させると共に、一対の電極に直流電圧を印加する工程と、
    前記電極に付着した絶縁性粒子を前記電極から除去して前記静電分離室の外部に排出する工程と、
    前記静電分離室の内部に残存して浮遊する前記導電性粒子を前記静電分離室の外部に排出する工程と、
    を有する静電分離方法。
  12. 絶縁性粒子と導電性粒子とからなる粒子を摩擦帯電装置で摩擦帯電させる工程と、
    互いに離間して対向配置された上下方向に配置された一対の電極間を静電分離空間とする静電分離室の内部に前記絶縁性粒子と前記導電性粒子とからなる前記粒子を供給する工程と、
    前記静電分離室の内部に上方に向けて空気を吹き出して前記絶縁性粒子と前記導電性粒子とからなる前記粒子を前記静電分離室の内部で浮遊させると共に、一対の電極に直流電圧を印加する工程と、
    一方の前記電極に付着した前記絶縁性粒子を前記静電分離室の外部に排出する工程と、
    他方の前記電極に付着した前記導電性粒子を前記静電分離室の外部に排出する工程と、
    を有する静電分離方法。



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