JP2018139537A - 食道がんのリンパ節転移可能性のデータ取得方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】食道がん組織検体における、HOXB2遺伝子とSEPT9遺伝子におけるメチル化の亢進を、食道がんのリンパ節転移可能性のデータとして取得することにより、上記の課題を解決し得ることを見出した。
【選択図】 なし
Description
(1)HOXB2遺伝子
HOXB2遺伝子は、既に塩基配列公知の遺伝子であり(配列番号1)、ヒト第17番染色体長腕の21.32に存在している。HOXB2遺伝子は、ホメオボックスDNA結合ドメインを持った核タンパク質をコードしている(非特許文献1)。HOXB2発現及びがんの進行の間の関連は、いくつかの研究論文において報告されており、HOXB2は、がん遺伝子として、及びがん抑制遺伝子として、相反する2通りの役割を有していることが示されている。HOXB2遺伝子の過剰発現は、子宮頸がん、膵臓がん、及び肺腺がんにおけるがんの進行に関連していることが示された(非特許文献2、非特許文献3、非特許文献4)。
SEPT9遺伝子は、既に塩基配列公知の遺伝子であり(配列番号2)、ヒト第17番染色体長腕の25.3に存在している。
本発明のデータ取得方法における、上記遺伝子のメチル化の検出方法としては、公知の手段を用いることができる。DNAのメチル化は、主にCpG部位(シトシン−ホスホジエステル結合−グアニン)において認められ、この部位のメチル化を検出することで体細胞のメチル化頻度は、ほぼ近似される。よって、メチル化シトシンはそのままに、非メチル化シトシンはウラシルに変換する「バイサルファイト処理」を行い、メチル化シトシンと非メチル化シトシンが「塩基の相違」として区別されたDNA(以下、バイサルファイトDNAともいう)を用いて、対象DNAのメチル化を検知することができる。
本発明のデータ取得方法においてメチル化の検出を行う対象となる遺伝子は、食道扁平上皮がん検体を用いた検討により見出された。
本発明のデータ取得方法の確立のために用いられた臨床検体は、東京医科歯科大学食道外科にて2005年から2010年に切除された、化学的治療と放射線治療の無い食道扁平上皮がんと、それぞれの非がん部のペアサンプル凍結臨床検体67患者[平均年齢65.6歳(46〜83歳)で男性62名、女性5名]の134サンプルをディスカバリーコホート(discovery cohort)として用いた。リンパ節転移(TMN分類)は、N0が15患者、N1が15患者、N2が17患者、N3が20患者である。表1に、その内訳を記載した。
フェノール−クロロホルム法により、凍結サンプルからDNAを抽出し、EZ DNA Methlation kit(Zymo Research社)のマニュアルに従ってバイサルファイト処理を行った。パラフィンブロック検体からのDNA抽出は、DNeasy Blood&Tissue kit(QIAGEN社)のマニュアルに従って行った。
上記ディスカバリーコホートより抽出した、上記TMN分類がN0〜N3の134検体のDNAを用いて網羅的なDNAのメチル化状態の解析を施行した。解析は、全ゲノムを包括的にカバーした45万箇所以上のメチル化サイトをターゲットとするイルミナ社のメチル化アレイInfinium HumanMethylation450 BeadChip arrayを用いて行った。当該メチル化アレイにおけるゲノムのメチル化情報は、67の非がん部及びがん部のペア食道扁平上皮がん凍結検体中の485577CpG部位の全部がカバーされていた。約500ngのバイサルファイト処理DNAがアレイにアプライされ、解析された。データのチェックと正規化には「The GenomeStudio software(Illumina社)」が用いられ、アウトプットをタブ分離ファイルとして保存した。シトシンメチル化の度合いを、ベータ値(各CpG部位に関するメチル化及び非メチル化プローブの強度比であり、0(非メチル化)から1(メチル化)までの値である)によって記録した。抽出データの解析には「JMP9(SAS Institute Inc.)」が用いられ、2つのアプローチを、候補プローブの抽出のために行った。すなわち、(i)メチル化状態の相違を示す単一プローブの同定を行い、これにより、NEFL、SLC15A3、OBSL1、PLEC1、SEPT9、及びHOXD9の6遺伝子が候補となった。さらに、(ii)メチル化の相違を示すプローブ群(互いに1000bp内に位置するプローブ群)の同定を行い、HOXB2、PAX6、MIR124−2、及びKDM2Bの4遺伝子が候補となった。
上記10候補遺伝子についてのリンパ節転移のバイオマーカーとしての有用性を検討するため、上記のメチル化アレイの結果の評価を上記137DNA検体において非がん部・がん部共に、キアゲン社のPyroMark Q961Dを用いたパイロシーケンスにて行った。当該アッセイに必要なPCRのフォワードプライマーとリバースプライマー(表3)は、「PyroMark Assay Design software(version2.01.15 QIAGEN)」を用いてデザインした。表3中の「○」は、ビオチン標識を示している。
HOXB2遺伝子増幅用フォワードプライマー:配列番号3
HOXB2遺伝子増幅用リバースプライマー:配列番号4
NEFL遺伝子増幅用フォワードプライマー:配列番号5
NEFL遺伝子増幅用リバースプライマー:配列番号6
SLC15A3遺伝子増幅用フォワードプライマー:配列番号7
SLC15A3遺伝子増幅用リバースプライマー:配列番号8
OBSL1遺伝子増幅用フォワードプライマー:配列番号9
OBSL1遺伝子増幅用リバースプライマー:配列番号10
MIR124−2遺伝子増幅用フォワードプライマー:配列番号11
MIR124−2遺伝子増幅用リバースプライマー:配列番号12
KDM2B遺伝子増幅用フォワードプライマー:配列番号13
KDM2B遺伝子増幅用リバースプライマー:配列番号14
PAX6遺伝子増幅用フォワードプライマー:配列番号15
PAX6遺伝子増幅用リバースプライマー:配列番号16
PLEC遺伝子増幅用フォワードプライマー:配列番号17
PLEC遺伝子増幅用リバースプライマー:配列番号18
SEPT9遺伝子増幅用フォワードプライマー:配列番号19
SEPT9遺伝子増幅用リバースプライマー:配列番号20
HOXD9遺伝子増幅用フォワードプライマー:配列番号21
HOXD9遺伝子増幅用リバースプライマー:配列番号22
HOXB2遺伝子シーケンシングプライマー:配列番号23
HOXB2遺伝子解析配列:配列番号24
NEFL遺伝子シーケンシングプライマー:配列番号25
NEFL遺伝子解析配列:配列番号26
SLC15A3遺伝子シーケンシングプライマー:配列番号27
SLC15A3遺伝子解析配列:配列番号28
OBSL1遺伝子シーケンシングプライマー:配列番号29
OBSL1遺伝子解析配列:配列番号30
MIR124−2遺伝子シーケンシングプライマー:配列番号31
MIR124−2遺伝子解析配列:配列番号32
KDM2B遺伝子シーケンシングプライマー:配列番号33
KDM2B遺伝子解析配列:配列番号34
PAX6遺伝子シーケンシングプライマー:配列番号35
PAX6遺伝子解析配列:配列番号36
PLEC遺伝子シーケンシングプライマー:配列番号37
PLEC遺伝子解析配列:配列番号38
SEPT9遺伝子シーケンシングプライマー:配列番号39
SEPT9遺伝子解析配列:配列番号40
HOXD9遺伝子シーケンシングプライマー:配列番号41
HOXD9遺伝子解析配列:配列番号42
パイロシーケンスにより、PCRの遺伝子増幅産物中のCpG配列の評価が可能になり、各候補遺伝子の標的領域中の全てのCpGサイトのメチル化状態を確認することができた。例えば、HOXB2遺伝子において、7つのCpGサイトを設計した配列範囲の中で同定した(図3A)。図3Aの上下のチャートには、HOXB2遺伝子における候補のCpGsが示されている。N3のがん組織検体における平均メチル化率(上:47%)は、N0のがん組織(下:2%)よりも大きかった。
次いで、非がん部及びがん部の間のメチル化状態の違いを、N0及びN3検体において調査し、上記のパイロシーケンスによって得られたデータをマンホイットニーU検定(Mann-Whitney U-test)によって分析した。その結果、全ての候補遺伝子は、N3検体において非がん部及びがん部の間でメチル化状態に著しい相違を示した(図4A)。これに対してN0検体では、10遺伝子のうちの5遺伝子が著しい相違を示した(図4B)。
上記検証コホートにおいて、上記2種の遺伝子についての「メチル化のリンパ節転移予測能の感度、特異度が最大になるカットオフ値を設定した。
感度:65.4%
特異度:90.9%
陽性反応的中率:94.4%
陰性反応的中率:52.6%
陽性尤度比:7.192
感度:95.1%
特異度:53.3%
陽性反応的中率:84.8%
陰性反応的中率:80.0%
陽性尤度比:2.308
上述した結果に基づき、本発明のデータ取得方法、すなわち、「検体中の食道がん細胞における、HOXB2遺伝子、及び/又は、SEPT9遺伝子におけるメチル化の亢進を検出することによる、食道がんのリンパ節転移可能性のデータの取得方法」が確立した。本発明のデータ取得方法における「メチル化の亢進の検出」は、今回の発明の確立過程において用いたDNAのメチル化の検出方法に限定されず、現在提供されている、又は、将来提供され得るDNAにおけるメチル化の検出方法、特に好適にはメチル化の度合いを定量可能な検出方法を用いることが可能である。
Claims (6)
- 食道がん組織検体における、HOXB2遺伝子、及び/又は、SEPT9遺伝子におけるメチル化の亢進を検出することによる、食道がんのリンパ節転移可能性のデータの取得方法。
- メチル化亢進の検出は、食道がん部組織検体のみにおけるメチル化の頻度の検出により行われることを特徴とする、請求項1に記載のデータ取得方法。
- メチル化の亢進の検出は、検体提供者における非がん部組織検体のメチル化の頻度とがん部組織検体のメチル化の頻度をそれぞれ検出して、両頻度の差分を指標として行うことを特徴とする、請求項1に記載のデータ取得方法。
- 組織検体は、生検組織検体又は凍結組織検体であることを特徴とする、請求項1−3のいずれか1に記載のデータの取得方法。
- 食道がんは、食道扁平上皮がんであることを特徴とする、請求項1−4のいずれか1項に記載のデータの取得方法。
- メチル化の検出は、パイロシーケンス法、メチル化アレイ法、バイサルファイトシーケンス法、COBRA(Combined Bisulfite Restriction Analysis)法、及び、qAMP(quantitative analysis of DNA methylation using real−timePCR)法からなる群から選ばれるいずれかの方法により行われることを特徴とする、請求項1−5のいずれか1項に記載のデータ取得方法。
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CN109576374A (zh) * | 2019-01-31 | 2019-04-05 | 江苏万成生物医学研究院有限公司 | 血液中circ-FAM193A分子标志物在诊断食管鳞癌及预后中的应用 |
WO2020022393A1 (ja) | 2018-07-25 | 2020-01-30 | 味の素株式会社 | 磁性ペースト |
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