JP2018138958A - 液剤及びその使用方法 - Google Patents

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阪西 弘太郎
Kotaro Sakanishi
弘太郎 阪西
杉江 由希子
Yukiko Sugie
由希子 杉江
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Abstract

【課題】コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に付着した物質を可視化する。【解決手段】この液剤は、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に付着する物質を染色する塩基性色素を含み、視感透過率が40%以上98%以下の範囲であるものである。また、この液剤の使用方法は、眼科用部材に対して上記液剤を接触させることにより、眼科用部材に付着する物質を染色するものである。【選択図】なし

Description

本明細書で開示する発明である本開示は、液剤及びその使用方法に関し、より詳しくは、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に用いられる液剤及びその使用方法に関する。
従来、コンタクトレンズに用いられる液剤としては、例えば、水溶性着色剤を含む有色レンズケア溶液と固体吸収剤とを含み、有色レンズケア溶液による消毒及び洗浄が済む時間が経過すると固体吸収剤により水溶性着色剤が吸収されて退色し、所定の時間が経過したことが視認できるものが提案されている(例えば、特許文献1参照)。この液剤では、コンタクトレンズを装着する用意が調ったことを液剤の色の変化により確認することができるとしている。また、このような液剤としては、ビタミンB2類であるリン酸リボフラビンによって着色されたものが提案されている(例えば、特許文献2参照)。この液剤は、着色されているため他の液剤と視覚的に見分けることができ、消毒薬や酵素、界面活性剤などの存在を識別するのに有用であるとしている。
特表2009−544047号公報 特開2007−140219号公報
しかしながら、特許文献1の液剤では、所定時間が経過したことを視認することはできるが、実際にコンタクトレンズの汚れが洗浄できたのか、殺菌が十分になされたのかまではわからなかった。同様に、特許文献2の液剤においても、コンタクトレンズの汚れの存在などまではわからなかった。
本開示の液剤は、このような課題に鑑みなされたものであり、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に付着した物質を可視化することができる液剤及びその使用方法を提供することを主目的とする。
上述した目的を達成するために鋭意研究したところ、本発明者らは、塩基性色素を所定の視感透過率となる範囲に添加すると、眼科用部材に付着した物質を染色し、視認可能になることを見いだし、本発明を完成するに至った。
即ち、本明細書で開示する液剤は、
コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に用いられる液剤であって、
前記眼科用部材に付着する物質を染色する塩基性色素を含み、視感透過率が40%以上98%以下の範囲であるものである。
本明細書で開示する液剤の使用方法は、
上述した液剤の使用方法であって、
コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に対して前記液剤を接触させることにより、前記眼科用部材に付着する物質を染色するものである。
この液剤及びその使用方法では、眼科用部材に付着した物質を可視化することができる。このような効果が得られる理由は、以下のように推測される。例えば、コンタクトレンズやそのケース、液剤ボトルなどに付着する異物としては、微生物、原生動物、タンパク質、カルシウム、脂質、ほこり、化粧品などが挙げられるが、これらはマイナスにチャージしているものもある。塩基性色素は、水溶液中でプラスにチャージされているため、眼科用部材に付着している物質(汚れなどの異物)と結合し、これを染色することができるものと考えられる。したがって、眼科用部材に付着している物質の存在を塩基性色素によって可視化することができる。
目視による色調濃さ評価を行ったサンプルの写真。 被験物をクリスタルバイオレットで染色した実体顕微鏡写真。 染色後の被験物の走査型電子顕微鏡写真。 培養した菌を付着させて染色した被験物の実体顕微鏡写真。 培養した菌を付着させて染色した被験物の実体顕微鏡写真。 培養した菌を付着させて染色した被験物の走査型電子顕微鏡写真。 培養した菌を付着させて染色した被験物の走査型電子顕微鏡写真。
(液剤)
本開示の液剤(以下単に液剤とも称する)は、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に用いられる液剤である。この液剤は、眼科用部材に付着する物質を染色する塩基性色素を含み、視感透過率が40%以上98%以下の範囲であるものである。この液剤は、眼科用部材に接触させることによって、眼科用部材に付着した物質を染色し、これを可視化するものとしてもよい。
塩基性色素とは、NH2、NHR1、NR12、(但し、R1、R2は、同じであっても異なっていてもよい置換基)などのアミノ基及び置換アミノ基などを有する色素をいう。置換基としては、例えば、アルキル基、アリール基などのうち1以上の炭化水素などが挙げられる。塩基性色素は、水溶液中でプラスにチャージするものとしてもよい。また、塩基性色素は、眼科用部材に付着する物質(異物)として、例えば、微生物、原生動物、タンパク質、カルシウム、脂質、ほこり、化粧品などのうち1以上を染色するものとしてもよい。これらのうち、この液剤は、衛生的観点から、微生物及びタンパク質のうち1以上を染色することが好ましい。塩基性の色素は、微生物に対する染色性が高い。また、塩基性の色素は、コンタクトレンズ用液剤の抗菌、殺菌剤として使用されているビグアニド系のような、水溶液中で高い塩基性を有する薬剤との作用性が低いため、これらとの相性がよい。
この塩基性色素は、トリアリールメタン系色素、ジアリールメタン系色素、ベンゾチアゾール系色素、フェナジン系色素、芳香族アゾ化合物系色素、フェノチアジニウム系色素、キサンチリウム系色素及びフタロシアニン系色素のうち1以上であるものとしてもよい。トリアリールメタン系色素としては、クリスタルバイオレット(式1)、ゲンチアナバイオレット、メチルバイオレット(式2)、メチルグリーン(式3)、塩基性フクシン(式4)などが挙げられる。なお、以下に示す化学式は、基本構造式の一例であり、塩基性色素としては、これらの誘導体なども含む。ジアリールメタン系色素としては、オーラミン(式5)などが挙げられる。ベンゾチアゾール系色素としては、ベーシックイエロー(式6)などが挙げられる。フェナジン誘導体色素としては、サフラニン(式7)、ヤヌスグリーン(式8)などが挙げられる。芳香族アゾ化合物系色素としては、フェニルアゾナフトール系色素であるビスマルクブラウン(式9)などが挙げられる。フェノチアジニウム系色素としては、トルイジンブルー(式10)、チオニン(式11)、ギムザなどが挙げられる。なお、ギムザは、メチレンブルーとエオシンY(式12)との混合物である。また、キサンチリウム系色素としては、ローダミン(式13)などが挙げられる。フタロシアニン系色素としては、アルシアンブルーなどが挙げられる。
塩基性色素の添加量は、視感透過率が40%以上98%以下の範囲となるよう適宜選択すればよい。あるいは、塩基性色素の添加量は、サイズが直径15〜20mm、高さ20〜30mmである透明容器に液剤を1.5〜3mL入れた際に、向こう側が見える程度の範囲に適宜選択すればよい。視感透過率は、紫外可視分光光度計を用いて測定した値とし、50%以上であることがより好ましく、60%以上であることが更に好ましい。また、この視感透過率は、90%以下としてもよいし、85%以下であるものとしてもよい。塩基性色素の添加量は、例えば、トリアリールメタン系色素では、0.5〜10ppmの添加濃度の範囲がより好ましく、ベンゾチアゾール系色素では、1〜100ppmの添加濃度の範囲がより好ましく、フェナジン誘導体色素では、10〜1000ppmの添加濃度の範囲がより好ましい。
この液剤には、物質の染色の効果を損なわない限りにおいて、塩基性色素とは異なる他の成分を含むものとしてもよい。このような成分としては、薬効を期待した有効成分や製剤設計上必要とされる添加剤等が挙げられる。このような成分としては、具体的には、例えば界面活性剤、キレート化剤、pH調整剤、緩衝剤、増粘剤、湿潤剤、等張化剤、安定剤、香料又は清涼化剤、薬剤、抗菌剤、防腐剤・殺菌剤等が挙げられる。これらの成分は、一種又は二種以上組み合わされて液剤に含まれるものとしてもよい。このような添加成分は、それぞれの目的に応じてその添加量を選択するものとすればよく、例えば、1つの成分について1.0質量%以下の範囲で液剤に含まれるものとしてもよい。また、この添加成分の配合量は、液剤全体に対して0.0001質量%以上であることが好ましく、0.001質量%以上であることがより好ましい。
界面活性剤としては、ノニオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、両性界面活性剤のうち1以上が挙げられる。ノ二オン系界面活性剤としては、例えば、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ポロクサマー類)、エチレンジアミンテトラポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ポロキサミン類)、ポリグリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル(高純度ポリソルベート、ポリソルベート類)、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテルホルムアルデヒド縮合物、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンアルキルフェニルエーテル、ポリオキシエチレングリセリン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリオキシエチレンステロール、ポリオキシエチレン水素添加ステロール、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンラノリンアルコール、ポリオキシエチレンアルキルアミン、ポリオキシエチレンアルキルアミドなどが挙げられる。このうち、洗浄剤としては、テトラオレイン酸ポリオキシエチレンソルビット、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレングリコール(ポロクサマー類)、エチレンジアミンテトラポリオキシエチレンポリオキシプロピレン(ポロキサミン類)、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油などが好ましい。
また、アニオン系界面活性剤としては、テトラデセンスルホン酸塩、アルキルスルホン酸塩、アルキル硫酸塩、アルキルスルホ酢酸塩、ポリオキシエチレンラウリルエーテル酢酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルリン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテルカルボン酸塩、ポリオキシエチレンアルキルエーテル硫酸塩、アルキル脂肪酸塩、アルキルリン酸塩などが挙げられる。また、両性界面活性剤としては、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルヒドロキシスルホベタイン、N−アシルタウリン塩、アルキルグルタミン酸塩、アルキルグリシン塩、アルキルアラニン塩、ココイル脂肪酸アルギニン、アルキルオキシヒドロキシプロピルアルギニン塩、ココイルアルギニンエチルPCAなどが挙げられる。このうち、アルキルジメチルアミノ酢酸ベタイン、アルキルジメチルアミンオキサイド、アルキルヒドロキシスルホベタインなどが好ましい。
キレート化剤としては、例えばエチレンジアミン四酢酸(EDTA)及びその塩(エチレンジアミン四酢酸・2ナトリウム(EDTA・2Na)、エチレンジアミン四酢酸・3ナトリウム(EDTA・3Na)、エチレンジアミン四酢酸・4ナトリウム(EDTA・4Na)等)、ニトリロ三酢酸及びその塩、ヒドロキシエタンジスルホン酸及びその塩、クエン酸、グルコン酸、酒石酸及びそれらの塩(例えばナトリウムなどのアルカリ塩)等が挙げられる。
pH調整剤としては、例えば塩酸、酢酸、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、ホウ酸、ホウ砂、リン酸水素ナトリウム、リン酸二水素ナトリウム等のリン酸塩、硫酸等が挙げられる。pH調整剤を添加することによって、液剤のpHを4.0〜9.0、より好ましくは、6.0〜8.0程度に調整する。
緩衝剤としては、例えば、クエン酸、リンゴ酸、乳酸、アスコルビン酸、マレイン酸、グルコン酸、リン酸、ホウ酸、オキシカルボン酸や、グリシン、グルタミン酸などのアミノ酸、トリス(ヒドロキシメチル)アミノメタン(Tris)緩衝液、などの酸や塩(例えばナトリウムなどのアルカリ塩)、タウリンやその誘導体を含むGood−Buffer、ヒドロキシアルキルアミン等が挙げられる。
増粘剤としては、例えば、ポリビニルアルコール(完全ケン化物もしくは部分ケン化物)、ポリビニルピロリドン、ポリエチレングリコール、ポリプロピレングリコール、ポリアクリルアミド等の合成有機高分子化合物等や、ヒドロキシエチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)などのセルロース誘導体、カルボキシメチルスターチナトリウム、ヒドロキシエチルスターチなどのスターチ誘導体、グアーガム誘導体、コンドロイチン硫酸塩、ヒアルロン酸などが挙げられる。
湿潤剤としては、例えば、グリセリン、プロピレングリコール、ポリエチレングリコール、ポリオキシエチレンヒマシ油、ポリプロピレングリコール、キシリトール、ソルビトール、マンニトール、エリトリトール、トレハロース、ブドウ糖、スクロース、マルトース、ラクトースなどの多価アルコールや糖、糖アルコール、グルコサミン(塩)、アセチルグルコサミン、ガラクトサミン、アセチルガラクトサミン等のアミノ糖、グルコシルトレハロースなどの糖誘導体、ポリビニルピロリドン、ポリ(メタ)アクリル酸及び塩、ポリビニル化合物、ヒドロキシプロピルメチルセルロース(ヒプロメロース)等のセルロース誘導体、エタノール、ラウリルアルコール等の低級あるいは高級アルコール類、ヒマシ油等の油脂類等が挙げられる。
等張化剤としては、例えば塩化ナトリウム、塩化カリウム、亜硫酸水素ナトリウム、亜硫酸ナトリウム、塩化マグネシウム、酢酸カリウム、酢酸ナトリウム、チオ硫酸ナトリウム、硫酸マグネシウム等の無機塩類、プロピレングリコール、グリセリン等の多価アルコール若しくはそのエーテル又はエステル等が挙げられる。
安定剤としては、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド、エデト酸ナトリウム、シクロデキストリン、縮合リン酸、亜硫酸塩、クエン酸、トロメタモール、ナトリウムホルムアルデヒドスルホキシレート(ロンガリット)、シアノコバラミン、塩酸ピリドキシン、トコフェロール、ピロ亜硫酸ナトリウム、モノエタノールアミン、モノステアリン酸アルミニウム等が挙げられる。
香料又は清涼化剤としては、例えばアネトール、オイゲノール、カンフル、クロロブタノール、ゲラニオール、シネオール、ボルネオール、メントール、リモネン、リュウノウ、ウイキョウ油、クールミント油、ケイヒ油、スペアミント油、ハッカ水、ハッカ油、ペパーミント油、ベルガモット油、ユーカリ油、ローズ油などが挙げられる。
薬剤としては、例えばクロモグリク酸、マレイン酸クロルフェニラミン、塩酸ジフェンヒドラミン、アンレキサノクス、イブジラスト、ペミロラストカリウム、フマル酸エメダスチン、フマル酸ケトチフェン、塩酸オロパタジン、エバスチン、レボカバスチン、塩酸セチリジン等の抗アレルギー剤や、グリチルリチン酸及びその塩、ε−アミノカプロン酸、アラントイン、アズレンスルホン酸ナトリウム、塩化ベルベリン、硫酸ベルベリン、硫酸亜鉛、乳酸亜鉛、リゾチーム、フルオロメトロン等のステロイド系または非ステロイド系の消炎剤、エピネフィリン、塩酸エピネフィリン、塩酸エフェドリン、塩酸ナファゾリン、硝酸ナファゾリン、塩酸フェニレフリン、塩酸テトラヒドロゾリン等の血管収縮剤、メチル硫酸ネオスチグミン等のピント調節機能改善剤、ベタキソロール、チモロール、ジピベフリン、カルテオロール、ラタノプラスト、タフルプラスト、トラボプラスト、ニプラジロール、レボブノール等の眼圧降下剤、レバミピド、ジクアホソルナトリウム等の涙液・ムチン分泌産生促進剤等、フラビンアデニンジヌクレオチドナトリウム、シアノコバラミン、酢酸レチノール、パルミチン酸レチノール、塩酸ピリドキシン、パンテノール、パントテン酸カルシウム、パントテン酸ナトリウム、酢酸トコフェロール、アスコルビン酸、アスコルビン酸グルコシド等のビタミン類、アスパラギン酸及びその塩、アミノエチルスルホン酸、コンドロイチン硫酸塩、アルギニン、アラニン、リジン、グルタミン酸等のアミノ酸類等が挙げられる。
抗菌剤としては、例えばスルファメトキサゾール、スルファメトキサゾールナトリウム、スルフィソキサゾール、スルフィソミジンナトリウム等のサルファ剤、オフロキサシン、ノルフロキサシン、レボフロキサシン、ガチフロキサシン、モキシフロキサシン、トスフロキサシン、ロメフロキサシン、シプロフロキサシン等のニューキノロン系抗菌剤、トブラマイシン、ゲンタマイシン、ミクロノマイシン、ジベカシン、シソマイシン等のアミノグリコシド系抗菌剤、テトラサイクリン、ミノサイクリン等のテトラサイクリン系抗菌剤、エリスロマイシン等のマクロライド系抗菌剤、クロラムフェニコール等のクロラムフェニコール系抗菌剤、セフメノキシム等のセフェム系抗菌剤等が挙げられる。
防腐剤・殺菌剤としては、例えばソルビン酸、ソルビン酸カリウム、安息香酸或いはその塩、パラオキシ安息香酸エチル、パラオキシ安息香酸ブチル、パラオキシ安息香酸プロピル、パラオキシ安息香酸メチル、クロロブタノール、塩化ベンザルコニウム、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド;PHMB)、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、塩化セチルピリジニウム(CPC)、クロルヘキシジン、アレキシジン、クロルフェニラミン又はその塩、アラントイン、過酸化水素、二酸化塩素、安定化二酸化塩素、亜塩素酸ナトリウム、過ホウ酸ナトリウム、塩化ポリドロニウム等のポリクオタニウム類等が挙げられる。この中でも保存効力と安全性とのバランスを考慮した場合、さらにはコンタクトレンズへの適用を考慮した場合、ソルビン酸カリウム、塩酸ポリヘキサニド(ポリヘキサメチレンビグアニド;PHMB)、塩酸アルキルジアミノエチルグリシン、クロルヘキシジン、亜塩素酸ナトリウム、過酸化水素、過ホウ酸ナトリウム、塩化ポリドロニウムなどがより好ましい。
この液剤は、塩基性色素のほかに洗浄剤をも含み、付着物質の可視化及び洗浄液の機能を併せ持つものとしてもよい。また、この液剤は、塩基性色素のほかに保存剤をも含み、付着物質の可視化及びコンタクトレンズの保存液の機能を併せ持つものとしてもよい。また、この液剤は、塩基性色素のほかに殺菌剤をも含み、付着物質の可視化及びコンタクトレンズの殺菌液の機能を併せ持つものとしてもよい。あるいは、この液剤は、上記付着物質の可視化、洗浄機能、保存機能及び殺菌機能のうち3以上を任意に組み合わせたものとしてもよい。この液剤は、コンタクトレンズ消毒液、コンタクトレンズ洗浄液、コンタクトレンズ用保存液、コンタクトレンズ用すすぎ液、コンタクトレンズ用装着剤、コンタクトレンズ用湿潤剤、コンタクトレンズ用流通保存液などの用途、及びこれらの用途の組み合わせとしてもよい。組み合わせとしては、例えば、所謂マルチパーパスソリューションと呼ばれるような、コンタクトレンズ洗浄・消毒・保存液などとして用いることができる。このうち、コンタクトレンズ用洗浄液やコンタクトレンズ用保存液などが、眼科用部材に付着した物質を可視化するのに好適である。ユーザは、付着物質を視認して、更なる洗浄として汚れた部分のこすり洗いなどを行ったり、新たなものに取り替えるなど対処できる。
この液剤は、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に用いられる。この眼科用部材は、繰り返し使用可能な部材であるものとしてもよい。コンタクトレンズケースや、液剤ボトルは、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート、ポリスチレン、アクリロニトリル−スチレン共重合体などの樹脂で形成されているものとしてもよい。ケースや液剤ボトルは、透明なものとしてもよいし、透明でないものとしてもよい。
この液剤は、各種の公知のコンタクトレンズに対して使用することができる。具体的には、ハードコンタクトレンズ、ソフト(ハイドロゲル)コンタクトレンズ、非視力補正用ソフト(ハイドロゲル)コンタクトレンズなどが含まれる。なお、非視力補正用ソフト(ハイドロゲル)コンタクトレンズとは、コンタクトレンズの効能・効果に「虹彩又は瞳孔の外観(色、模様、形)を変えること」を含むものであり、いわゆる「おしゃれ用ソフトコンタクトレンズ」である。この液剤で使用されるコンタクトレンズには、ISO18369−1(2006およびAmendment1,2009) にてグループI〜Vとして分類されるハイドロゲル素材のもの、ならびにグループI〜IVとして分類される非ハイドロゲル素材のものも含まれる。ハードコンタクトレンズには、ポリメチルメタクリレートを主成分とする非酸素透過性ハードコンタクトレンズや、シリコーンやフッ素を含み酸素透過性を付与した酸素透過性ハードコンタクトレンズ(RGP)も含まれる。更に、この液剤で使用されるコンタクトレンズには、シリコーン化合物を主成分とするソフトコンタクトレンズなども含まれる。このうち、この液剤は、ハードコンタクトレンズに用いることが好ましい。液剤に含まれる塩基性色素を洗い流しやすいためである。ハードコンタクトレンズは、例えば、重合性組成物を重合させて塊状重合物(ブランクス)を得たのち、これを切削加工、研磨加工して作製してもよいし、重合性組成物を成形型に充填し、硬化させて作製してもよい。また、コンタクトレンズは、加熱により重合したものとしてもよいし、光照射により重合したものとしてもよい。
(液剤の使用方法)
次に、この液剤の使用方法について説明する。この使用方法は、上述したいずれかのコンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に対して、上述したいずれかの液剤を接触させることにより、眼科用部材に付着する物質を染色するものである。何らかの付着物質が存在する眼科用部材にこの液剤が接触すれば、この付着物質が塩基性色素により染色されるため、眼科用部材の汚れなどをユーザは視認することができる。このとき、ユーザは、再度の洗浄を行うか、新たなものに替えるかなどを判断することができる。液剤と眼科用部材との接触は、例えば、コンタクトレンズであれば、液剤内に浸漬させて静置すればよいし、ケースやボトルであれば、その容器内に液剤を入れて静置すればよい。液剤と眼科用部材との接触時間は、塩基性色素の配合量などに基づいて適宜設定すればよく、例えば、5分以上や10分以上としてもよく、1時間以下などとしてもよい。液剤と眼科用部材との接触温度は、塩基性色素の種別や染色したい物質に応じて適宜設定すればよく、室温などが好ましい。
以上詳述した本実施形態の液剤及びその使用方法では、眼科用部材に付着した物質を可視化することができる。従来、このような液剤は無色透明であり、眼科用部材に付着した汚れなどの異物は目視することが困難であった。これに対して、この液剤は、水溶液中でプラスにチャージされる塩基性色素を含んでおり、眼科用部材に付着しマイナスにチャージしている異物(微生物、タンパク質など)と結合し、これを染色することができるため、眼科用部材に付着した物質を可視化することができるものと考えられる。そして、付着物質を染色し可視化することができるため、ユーザは、更なる洗浄として汚れた部分のこすり洗いなどを行ったり、新たなものに取り替えるなど対処できる。また、この液剤は、視感透過率が40%以上98%以下の範囲であるため、目で見た感覚における透明度(濃さ)が良好であり、使用しやすい。塩基性色素の添加量が多くなれば、付着物質の染色性は高まるが、不要な箇所に接触した際に色が落ちにくいなどの使い勝手の悪さや、見た目のイメージが悪いという問題が生じうる。一方、この液剤では、視感透過率が良好であり、そのような問題も生じにくい。
なお、本発明は上述した実施形態に何ら限定されることはなく、本発明の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
以下には、本発明の液剤を具体的に作製した例を実験例として説明する。なお、実験例1〜10、16、19が実施例に相当し、実験例11〜15、17、18、20が比較例に相当する。なお、本開示は下記の実施例に何ら限定されることはなく、本開示の技術的範囲に属する限り種々の態様で実施し得ることはいうまでもない。
[実験例1〜4]
添加色素として、塩基性色素であるクリスタルバイオレット(式1)を添加濃度0.1ppmとなるように溶媒である水に溶解させ、実験例1の液剤とした。また、添加濃度を0.5ppm、10ppm及び1000ppmとした以外は実験例1と同様に調製したものをそれぞれ実験例2〜4の液剤とした。
[実験例5〜7]
添加色素として、塩基性色素であるベーシックイエロー(式6)とし、添加濃度を0.5ppm、1ppm及び100ppmとした以外は実験例1と同様に調製したものをそれぞれ実験例5〜7の液剤とした。
[実験例8〜10]
添加色素として、塩基性色素であるサフラニン(式7)とし、添加濃度を1ppm、100ppm及び2500ppmとした以外は実験例1と同様に調製したものをそれぞれ実験例8〜10の液剤とした。
[実験例11〜14]
添加色素として、塩基性色素ではない黄色4号(タートラジン,式14)とし、添加濃度を1ppm、10ppm、100ppm及び1000ppmとした以外は実験例1と同様に調製したものをそれぞれ実験例11〜14の液剤とした。
(視感透過率測定)
各液剤の視感透過率を測定した。測定機器として紫外可視分光光度計(島津製作所製UV2550)を用い、測定条件を、透過率0.0〜100.0、780〜320nm、スリット幅2.0、照明A、視野2.0とした。測定は、以下の手順にて行った。まず、対照側、試料側共に純水をキュベットに入れてセットし、ゼロ点補正を行った。次に、試料側に、測定する液剤をキュベットに入れてセットし、測定を行った。
(染色性評価)
眼科用部材としてのコンタクトレンズケースに付着した物質に対する液剤の染色性について評価した。被験物として、ユーザが使用したエピカコールド用ケース(コンタクトレンズケース)を用いた。この被験物内に上記実験例1〜14の液剤を入れ、10分以上室温(20℃)で静置することにより、被験物の内壁に付着した物質を染色させ、その染色性について目視により評価した。被験物の内壁に染色されている領域を明確に目視できる場合を「A」とし、染色されている領域が確認できない場合を「C」として評価した。
(目視による色調濃さ評価)
上記液剤の色調濃さを目視で評価した。液剤を透明な円柱状ハードコンタクトレンズ用ケースに入れたときに、液剤を透過した向こう側が視認できる場合を「A」とし、液剤により向こう側が視認できない場合を「C」として評価した。
(結果と考察)
図1は、目視による色調濃さ評価を行ったサンプルの写真である。また、表1に、液剤に添加した色素、添加濃度、視感透過率(%)、染色性評価、色調濃さ評価の結果をまとめた。表1に示すように、実験例11〜14の黄色4号では、視感透過率が94〜98%と高く、色調濃さは好適であったが、付着物質の染色を確認することができなかった。一方、塩基性色素を含む実験例1〜10では、視感透過率が40%〜98%の範囲にあれば、液剤の色調濃さが良好で、付着物質の染色性も良好であり、眼科用部材に付着した汚れなどを可視化することができることがわかった。特に、クリスタルバイオレットなどの青系の塩基性色素が付着物質の視認性が良好であった。また、クリスタルバイオレットは、0.5〜10ppmの添加濃度の範囲で良好であった。ベーシックイエローは、1〜100ppmの添加濃度の範囲で良好であった。サフラニンは、10〜1000ppmの添加濃度の範囲で良好であると推察された。
[染色特性の確認(微生物以外の付着物)]
眼科用部材としてのコンタクトレンズケースに付着した物質について検討した。被験物としてエピカコールド用ケース(コンタクトレンズケース)を用いた。ケース処理方法としてエピカコールド(メニコンネクト製)で被験物をこすり洗い無しで30回処理したものを下記の観察に用いた。液剤は、精製水100mLに対し、クリスタルバイオレット(和光純薬工業製Cat.No.038-04862)を0.05gを加え、溶解させて調整した(500ppm)。また、10%中性緩衝ホルムアルデヒド液(ナカライテスク製Cat.No.37152-64)を固定液として用いた。使用者に使用された被験物を用い、以下の操作を行った。まず、被験物内のコンタクトレンズおよび保存液を除去した。次に被験物の内側の写真を撮影した。次に、上記固定液で5分以上固定した。次に、上記液剤を被験物に入れ10分以上室温(20℃)で静置し、被験物の内壁に付着した物質を染色した。続いて、被験物の内壁を目視により確認し、必要に応じて実体顕微鏡(ニコン製SMZ1000)で確認後、顕微鏡用デジタルカメラ(ニコン製DS−Fi2)で撮影して評価した。また、被験物を走査型電子顕微鏡(日本電子製JSM−6010LA)で観察、撮影した。被験物を1cm角にカットしたものをイオンスパッタリング装置で300Åの金コーティング処理し、電子顕微鏡の観察試料とした。
図2は、被験物のコンタクトレンズケースをホルムアルデヒド液で固定したのちクリスタルバイオレットで染色した実体顕微鏡写真である。図3は、染色後の被験物の走査型電子顕微鏡写真である。エピカコールドで30回処理した被験物では、染色は肉眼では確認されなかった。一方、実体顕微鏡でこのケースを観察したところ、点状の染色が認められた(図2)。また、染色部分を電子顕微鏡で観察したところ、染色部分に付着物を観察した(図3)。この結果から、エピカコールドにより微生物は除去されているため、クリスタルバイオレットを含む液剤では、微生物以外の付着物を染色していることがわかった。
[染色特性の確認(微生物)]
眼科用部材としてのコンタクトレンズケースに付着した微生物(菌)について詳しく検討した。被験物として、エピカコールド用ケースを用いた。精製水200mLに対してソイビーン・カゼイン・ダイジェスト培地「ダイゴ」日局試験用(日本製薬製Cat.No.397-01761)を6.0g、D-(+)-グルコース(ナカライテスク製Cat.No.16806-25)を0.5g加え、加温溶解後、121℃、20分間高圧蒸気滅菌したものを0.25%グルコース含有SCD(0.25%Glu-SCD)とした。液剤は、上記作製したクリスタルバイオレット液とした。また、上記10%中性緩衝ホルムアルデヒド液を固定液として用いた。試験菌株をStaphylococcus epidermidis NBRC35983とした。培養条件としては、培地をSCDA、培養温度を30〜35℃、培養時間を18〜24時間(実測20時間15分)とした。評価の前に、まず接種菌懸濁液を調製した。この処理では、試験菌株を上記条件で培養した。培地上に育成した菌を0.05w/v%ポリソルベート80含有ペプトン食塩緩衝液(以下、0.05%BSCPSTと称する)に懸濁した。3000rpmで5分間遠心分離して集菌した。菌懸濁液の上澄みを除去し、0.05%BSCPSTを加えてよく懸濁し、更に遠心分離する処理を計3回繰り返した。菌懸濁液を0.05%BSCPSTで希釈し、生菌数を約1.0×108cfu/mLに調製した。菌懸濁液は、調製後、その日のうちに使用した。
次に、被験物3個に対して、以下の操作を行った。各被験物(ケース及びフタ)をエタノールで清拭し、安全キャビネット内で乾燥させたものに0.25%Glu-SCDを2mL入れた。そのケースに上記調製した菌懸濁液を100μL(約1.0×107cfu/mL)入れた。次に、フタを閉め、32℃のインキュベータ内で24〜72時間培養した(実測47時間10分)。培養終了後にケースを反転し、培養液を除去した。個々に滅菌水を静かに入れ、ケースを反転して滅菌水を除去した。これを3回繰り返した。被験物1はフタ及びケース、被験物2はケースとした。また、被験物のフタは、12ウェルプレート(ファルコン製Cat.No.353225)に滅菌水を加え、これに静かに入れて優しく洗浄した。洗浄後、固定液をケース内に満たし、10分以上固定した。フタについては、12ウェルプレートに固定液を入れ、その中にフタを入れて固定した。次に、固定液を除去し、上記液剤を用いて固定時と同様に30分、室温で染色した。染色後は水で染色液を十分に落とし、乾燥させた。続いて、ケース本体およびフタに対して、目視でバイオフィルム形成量を比較した。また、フタについては、実体顕微鏡でキズ部分を観察し、ケース本体の染色部分も同様に観察した。これらの部分をハサミで1cm角にトリミングし、イオンスパッタリング装置を用いて約300Åの金コーティング処理を行い、上記走査型電子顕微鏡を用いて、菌付着部分の電子顕微鏡観察を行った。
図4、5は、培養した菌を付着させて染色した被験物の実体顕微鏡写真である。図6、7は、培養した菌を付着させて染色した被験物の走査型電子顕微鏡写真である。染色した被験物を実体顕微鏡で観察したところ、図4、5に示すように、側部に部分的な染色が観察された。また、染色した被験物を電子顕微鏡で観察したところ、図6、7に示すように、バイオフィルムの形成が認められた。この結果から、クリスタルバイオレットを含む液剤では、菌などの微生物の付着物をも染色していることがわかった。
[消毒効果試験(菌株1,2)]
塩基性色素および酸性色素を溶解したエピカコールド(メニコンネクト製)の消毒効果試験を行った。一定濃度の塩基性色素および酸性色素をエピカコールドに溶解させ、それぞれの色素共存下での消毒効果試験を実施した。液体としてエピカコールドを用い、塩基性色素としてクリスタルバイオレット(和光純薬工業製)、酸性色素としてスルホブロモフタレインナトリウム塩(MPバイオメディカル製)を用いた。なお試験には、菌株1:Staphylococcus aureus NBRC13276及び菌株2:Candida albicans IFO 1594の2種の菌を使用した。クリスタルバイオレット(CV)12mgを量りとり、エピカコールド12mLに溶解させて試験液を調製した(CV濃度:1000ppm)。また、スルホブロモフタレインナトリウム塩(SBP)15mgを量りとり、エピカコールド15mLに溶解させて試験液を調製した(SBP濃度:1000ppm)。
細菌及び酵母の菌懸濁液を以下の条件で調製した。まず、試験菌株を表2の条件で培養し、培地上に生育した菌を0.05w/v%ポリソルベート80含有ペプトン食塩緩衝液(0.05%BSCPST)に懸濁した。この緩衝液は、ペプトン食塩緩衝液pH7.0「ダイゴ」日局試験用(日本製薬製)14.6gと、ポリオキシエチレン(20)ソルビタンモノオレエート(ポリソルベート80;和光純薬工業製)0.5gとを精製水1Lに加え、加温溶解後、121℃、20分間高圧蒸気滅菌したものを用いた。この懸濁液を3000rpmで5分間遠心して集菌した。菌懸濁液の上清を除去し、0.05%BSCPSTを加えてよく懸濁し、遠心して洗浄する処理を計3回繰り返した。菌懸濁液を0.05%BSCPSTで希釈し、生菌数を約107〜108cfu/mLの範囲に調整した。菌株1(S.aureus)では、2.89×107cfu/mLであり、菌株2(C.albicans)では、2.63×107cfu/mLであった。菌懸濁液は、調製後、使用時まで冷蔵後で保存した。
滅菌済プラスチックチューブ(ポリプロピレン製、容量15mL)を用意し、エピカコールドの試験液を5mL×2本ずつ分注した。上記調製した菌懸濁液を、プラスチックチューブに50μL接種し、攪拌後、22℃に設定したプログラム低温恒温器(20〜25℃)で保温した。接種4時間後の残存生菌数を測定するため、チューブ内の液を1mL採取し、DEBで段階的に10倍希釈し、1mLを培地に混釈した。DEBは、Difco D/E Neutralizing Broth(BD)39gを精製水1Lに加え、加温溶解後、121℃、20分間高圧蒸気滅菌したものを用いた。菌株1はSCDAで、菌株2はSDAを用い、各群につき3枚ずつ使用し、インキュベーターで表2の条件で培養した。ソイビーン・カゼイン・ダイジェストカンテン培地「ダイゴ」日局試験用(日本製薬製)40gを精製水1Lに加え、加温溶解後、121℃、20分間高圧蒸気滅菌したものをSCDAとして用いた。また、サブロー・ブドウ糖カンテン培地「ダイゴ」日局試験用(日本製薬製)65gを精製水1Lに加え、加温溶解後、121℃、20分間高圧蒸気滅菌したものをSDAとして用いた。3枚のプレートの平均値とその希釈倍率から、被験物質中の生菌数を算出した。なお、コロニー数の平均値は小数点以下第1位を四捨五入して整数値で表示し、生菌数はコロニー数の平均値に10の希釈段数乗をかけた表示とした。また、次式に従って各測定時でのLog reduction値を計算した。計算した値は小数第2位を四捨五入し、小数第1位まで表示した。なお各色素の共存により、エピカコールドの消毒効果に違いがあるかを確認した。
Log reduction = log(接種菌数)−log(残存生菌数)
= log(接種菌数/残存生菌数)
エピカコールドに溶解した各色素における残存生菌数及びLog reduction値を表4及び5に示した。表3には、培養した菌株1,2の接種菌数を示した。菌株1に対するエピカコールド単体を実験例15、クリスタルバイオレット(塩基性色素)を加えたエピカコールドを実験例16、スルホブロモフタレインナトリウム塩を加えたエピカコールドを実験例17とした。これらの実験例の菌株1に対するLog reduction値はそれぞれ3.5log,>4.5log,0.1logであった。また、菌株2に対するエピカコールド単体を実験例18、クリスタルバイオレットを加えたエピカコールドを実験例19、スルホブロモフタレインナトリウム塩を加えたエピカコールドを実験例20とした。これらの菌株2に対するLog reduction値はそれぞれ2.6log、>4.4log,0logであった。以上の結果から、1000ppmのCVを共存させたエピカコールドは、菌株1,2に対してエピカコールド単体以上の殺菌効力を有することがわかった。また、1000ppmのSBPを加えたエピカコールドでは、菌株1,2に対する殺菌効力が消失することが明らかとなった。すなわち塩基性色素であるCVはエピカコールドに含まれる有効成分(ポリヘキサメチレングアニジン:PHMB)を阻害することはなく、酸性色素であるSBPはPHMBと結合するため、消毒効果が著しく低下することが推察された。
実験例1〜10の液剤は、塩基性であり、水溶液中でプラスでチャージされている一方、微生物の殺菌や除去で用いられる殺菌剤や界面活性剤についても水溶液中でプラスにチャージされる。このため、この液剤では、殺菌剤や界面活性剤との結合などが抑制されるため、付着物の染色や殺菌、除去が互いに抑制されずに十分効果を発揮することができるものと推察された。
本明細書で開示される液剤は、コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に用いることができる。

Claims (6)

  1. コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に用いられる液剤であって、
    前記眼科用部材に付着する物質を染色する塩基性色素を含み、視感透過率が40%以上98%以下の範囲である、液剤。
  2. 前記塩基性色素は、水溶液中でプラスにチャージし、微生物及びタンパク質のうち1以上を染色する、請求項1に記載の液剤。
  3. 前記塩基性色素は、トリアリールメタン系色素、ジアリールメタン系色素、ベンゾチアゾール系色素、フェナジン系色素、芳香族アゾ化合物系色素、フェノチアジニウム系色素、キサンチリウム系色素及びフタロシアニン系色素のうち1以上である、請求項1又は2に記載の液剤。
  4. 前記眼科用部材は、繰り返し使用可能な部材であり、
    前記液剤は、コンタクトレンズ用洗浄液及びコンタクトレンズ用保存液のうちいずれかである、請求項1〜3のいずれか1項に記載の液剤。
  5. 前記コンタクトレンズは、ハードコンタクトレンズである、請求項1〜4のいずれか1項に記載の液剤。
  6. 請求項1〜5のいずれか1項に記載の液剤の使用方法であって、
    コンタクトレンズ、コンタクトレンズケース及びコンタクトレンズ用液剤ボトルのうち1以上の眼科用部材に対して前記液剤を接触させることにより、前記眼科用部材に付着する物質を染色する、液剤の使用方法。
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