JP2018138883A - 計測機配置位置決定装置、計測機配置位置決定方法およびプログラム - Google Patents

計測機配置位置決定装置、計測機配置位置決定方法およびプログラム Download PDF

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Abstract

【課題】被計測物をレーザースキャナ等の計測機で計測するに際し、計測機配置位置を効率良く決定し、または計測品質を確保する。【解決手段】被計測物を三次元計測するための計測機配置位置を決定する計測機配置位置決定装置は、被計測物のベースモデルを読込むベースモデル読込部11と、被計測物の計測部分と重要度を指定する計測部分指定部12と、ベースモデルの補間処理を行うデータ補間部13と、ベースモデルからボクセルモデルを生成するボクセルモデル生成部14と、ボクセルモデルを用いて計測機配置位置候補を指定する配置位置候補指定部15と、計測機配置位置を決定する配置位置決定部16を備え、配置位置決定部16は、配置位置決定処理を複数回行い、各回の配置位置決定処理において計測機配置位置候補うちその位置から照射したレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数が最大となる位置を選ぶという方法で計測機配置位置を決定する。【選択図】図1

Description

本発明は、例えばレーザースキャナ等の計測機により被計測物の計測を行うに当たり、被計測物の周囲において計測機を配置する位置を決定する計測機配置位置決定装置、計測機配置位置決定方法およびプログラムに関する。
空調、給排水、電気通信等の設備や機械、建築物等の設計または施工において、このような設備や機械、建築物等の三次元モデルを活用することにより作業効率を高めることができる。例えば、空調設備の改修工事を行うに当たり、既存設備の三次元モデルを活用することにより、既存設備の現況を容易かつ正確に把握することができ、施工計画の立案や交換部品の設計、発注等を効率良く行うことができる。
三次元モデルの生成には、高い計測精度を有し、地上に設置して被計測物の三次元計測を行うことができる三次元計測機が用いられる。具体的には、三次元モデルの生成には、地上型の三次元レーザースキャナが用いられる。三次元モデルを生成するためには、被計測物を様々な角度から計測(スキャン)する必要がある。そのため、設備等の三次元モデルを生成する際には、設備等の周囲に計測機を配置する位置(計測機配置位置)を複数決定し、決定した複数の計測機配置位置のうちの1つの計測機配置位置に計測機を配置して設備等を計測し、その後、決定した複数の計測機配置位置のうちの別の計測機配置位置に計測機を配置して設備等を計測するといった作業を繰り返す。設備等の三次元モデルは、このようにして各計測機配置位置で得られた計測データを合成することにより生成される(下記の特許文献1を参照)。
特開2011−33438号公報
設備等の三次元モデルを生成するためにレーザースキャナ等の計測機により設備等の計測を行う際には、上述したように、設備等の周囲に計測機を配置する位置(計測機配置位置)を複数決定する。現在、これら計測機配置位置の決定は、多くの場合、作業者が、計測の事前に設備等の図面を目視により観察し、あるいは計測の現場で実際の設備等を目視により観察することにより行われている。
例えば、設備は、複雑な形状を有する多数の部品が密に組み合わさった立体構造物である。それゆえ、設備の周囲のある一箇所から当該設備を見た場合、設備の奥側の部分が手前側の部分に隠れて観察することができない状態(オクルージョン)が多数発生する。作業者は、このような設備の奥側の部分にも計測機からのレーザー光が届き、当該部分の計測が漏れなく行われるように、複数の異なる計測機配置位置を決定する。
しかしながら、計測機配置位置の決定作業は容易でなく、この作業を迅速または効率良くに行うためには多くのスキルと経験を要する。作業者のスキルや経験が十分でない場合、次に述べるように、計測作業や三次元モデル生成作業の効率が悪化することがある。すなわち、計測機配置位置が足りない場合には、一度の計測作業で十分な計測データが得られず、その結果、計測作業を再度行わなければならなくなり、計測作業の効率が悪化することがある。また、計測機配置位置が過多である場合には、計測により得られる計測データの量が膨大となり、その結果、三次元モデルの生成処理の時間が長くなり、三次元モデル生成作業の効率が悪化することがある。
また、工事等の目的に応じ、設備において必要な部分を高い精度で計測可能となるように計測機配置位置を決定することが要求される。しかしながら、この要求に応じるためには設備や計測に関する高度なスキルが必要である。作業者のスキルが不足している場合、設備の必要な部分についての高い計測精度を確保することは困難である。
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、設備等の被計測物をレーザースキャナ等の計測機で計測するための計測機配置位置を容易にかつ効率良く決定することができる計測機配置位置決定装置、計測機配置位置決定方法およびプログラムを提供することにある。また、本発明の第2の課題は、工事等の目的に応じ、被計測物において必要な部分を高い精度で計測可能となるように計測機配置位置を決定することができる計測機配置位置決定装置、計測機配置位置決定方法およびプログラムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の計測機配置位置決定装置は、レーザー光を照射して三次元計測を行う計測機により被計測物の位置、形状またはその他の属性を計測するために、被計測物の周囲において計測機を配置する計測機配置位置を決定する計測機配置位置決定装置であって、カメラでその位置または方向を変えながら被計測物およびその周囲を撮影することにより得られた複数の二次元画像を用いて生成された被計測物およびその周囲の三次元モデルであるベースモデルを取得するベースモデル取得部と、ベースモデル取得部により取得されたベースモデルを複数のボクセル(体積要素)に分割し、かつ複数のボクセルを少なくとも、物体が存在する占有ボクセルと物体が存在しない非占有ボクセルとに分類することによりボクセルモデルを生成するボクセルモデル生成部と、被計測物のうち計測機で計測する部分に対応する占有ボクセルを要計測占有ボクセルとして指定する要計測占有ボクセル指定部と、計測機と当該計測機を支持する支持具とが占める空間を被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりの全部または一部を候補ボクセル群として指定する候補ボクセル群指定部と、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する工程とを有する配置位置決定処理を複数回行い、配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルを配置位置決定処理における計数の対象から除外する配置位置決定部とを備えていることを特徴とする。
上記ベースモデルは、カメラにより被計測物を複数の異なる角度から撮影することにより得られた複数の二次元画像を用いて生成された被計測物およびその周囲の三次元点群モデルである。ベースモデルは、レーザースキャナ等の高い計測精度を有する三次元計測機により被計測物を計測することにより生成された三次元点群モデルと比較して点群密度および形状再現度が低い。
また、上記ボクセルモデルを構成するボクセルは少なくとも、その内部に物体が存在する占有ボクセルと、その内部に物体が存在しない非占有ボクセルとに分類される。このボクセルモデルには、占有ボクセルおよび非占有ボクセル以外のボクセルが含まれていてもよい。例えば、このボクセルモデルには、内部に物体が存在するか否かが不明のボクセルが含まれていてもよい。
また、上記候補ボクセル群は、計測機と当該計測機を支持する支持具とが占める空間を被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりの全部または一部である。計測機と当該計測機を支持する支持具とが占める空間を被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりは、例えば計測機を三脚に取り付けて床面に配置することが可能な被計測物の周囲の領域に相当する。
また、上記配置位置決定部は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する工程とを有する配置位置決定処理を複数回行う。また、上記配置位置決定部は、配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルを配置位置決定処理における計数の対象から除外する。
すなわち、配置位置決定部は、まず、初回の配置位置決定処理において、候補ボクセル群中のそれぞれの非占有ボクセルの位置のうち、その位置に計測機を配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数が最大となる位置を計測機配置位置として決定する。次に、配置位置決定部は、初回の配置位置決定処理で計測機配置位置として決定した位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルを次回およびそれ以降の配置位置決定処理における計数の対象から除外する。以降、配置位置決定部はこのような処理を繰り返す。そして、配置位置決定部は、例えば、これまで実行された複数の配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置のいずれかに計測機を仮想的に配置して当該計測機からレーザー光を照射すれば、要計測占有ボクセル指定部により指定されたすべての要計測占有ボクセルにレーザー光を入射させることができるという条件が満たされたとき、配置位置決定処理の繰り返しを停止させる。なお、配置位置決定処理の繰り返しを停止させる条件はこの条件に限らない。
配置位置決定処理の繰り返しが停止した後には、複数の計測機配置位置が決定されている。作業者は、その後、例えば、まず、当該決定された複数の計測機配置位置のうちの1つの計測機配置位置に計測機を配置して被計測物を計測し、次に、当該決定された複数の計測機配置位置のうちの別の計測機配置位置に計測機を配置して被計測物を計測するといった作業を行い、このような作業を繰り返すことで、当該決定されたすべての計測機配置位置において被計測物の計測を行う。そして、作業者は、計測で得られた計測データを用いて被計測物の三次元モデルを生成する。なお、この三次元モデルは、計測精度の高い三次元計測機を用いた計測により得られた計測データにより生成された三次元モデルであるため、上記ベースモデルよりも点群密度および形状再現度が高い、精緻な三次元モデルである。以下、計測精度の高い三次元計測機を用いた計測により得られた計測データにより生成された三次元モデルを「最終的な三次元モデル」という。
本発明の計測機配置位置決定装置によれば、被計測物を計測機で計測するために計測機を配置する位置(計測機配置位置)を容易に決定することができる。例えば、作業者が被計測物のベースモデルを用意し、このベースモデルのデータを計測機配置位置決定装置に入力すれば、計測機配置位置が計測機配置位置決定装置により自動的に決定される。したがって、作業者は、計測機配置位置の決定に関するスキルまたは経験が乏しい場合でも、計測機配置位置を容易に決定することができる。
また、本発明の計測機配置位置決定装置は、配置位置決定処理を複数回行い、各回の配置位置決定処理において、候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置うち、その位置から照射したレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数が最大となる位置を選んでいくという方法で計測機配置位置を決定する。これにより、過不足のない最適な計測機配置位置を決定することができる。したがって、計測機配置位置を決定した後に、計測機により被計測物を計測して被計測物の最終的な三次元モデルを生成する作業を効率良く行うことができる。
また、本発明の計測機配置位置決定装置において、要計測占有ボクセル指定部は、被計測物のうち計測機で計測する部分に対応する占有ボクセルを要計測占有ボクセルとして指定する。例えば、設備の工事を行う場合、工事の目的に応じ、設備において必要な部分について高い計測精度を確保することが求められる。このような場合、作業者(ユーザ)は、例えば計測機配置位置決定装置に指示を与え、要計測占有ボクセル指定部に、工事の目的に応じ、設備において必要な部分に対応する占有ボクセルを要計測占有ボクセルとして指定させることができる。これにより、工事の目的に応じ、設備において必要な部分を高い精度で計測可能となるように計測機配置位置を決定することができる。したがって、工事の目的に応じた計測品質を確保することができる。
また、上述した本発明の計測機配置位置決定装置において、配置位置決定部は、候補ボクセル群に含まれるそれぞれの非占有ボクセルの位置の中から、その位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲が既に計測機配置位置として決定されたいずれかの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲と所定量以上重なり合う位置を複数選択し、当該選択した各位置に計測機を仮想的に配置し、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数を前記選択した位置ごとに計数し、計数した要計測占有ボクセルの個数が最大となった位置を計測機配置位置として決定することが好ましい。
本発明のこの態様によれば、計測機配置位置決定装置によって決定された計測機配置位置に計測機を配置して被計測物の計測を行った場合に、互いに隣接する計測機配置位置での計測で得られた計測データ(点群データ)間に一定のオーバーラップが確保される。これにより、各計測機配置位置での計測で得られた計測データを合成する処理を高精度に行うことができ、被計測物の最終的な三次元モデルの品質を高めることができる。
また、上述した本発明の計測機配置位置決定装置において、配置位置決定部は、初回から前回までの各配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数の合計に対する、初回から今回までの各配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数の合計の上昇率が所定の基準上昇率以下となるまで配置位置決定処理を繰り返すこととしてもよい。
本発明のこの態様によれば、配置位置決定処理の繰り返しが止まるまでに長い時間がかかることを防ぐことができる。すなわち、上述したように、配置位置決定部は配置位置決定処理を繰り返し実行して複数の計測機配置位置を決定する。また、上述したように、配置位置決定処理の繰り返しを停止させる条件として、これまで実行された複数の配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置のいずれかに計測機を仮想的に配置して当該計測機からレーザー光を照射すれば、要計測占有ボクセル指定部により指定されたすべての要計測占有ボクセルにレーザー光を入射させることができるという条件を設定することができる。ところが、例えば要計測占有ボクセルが多数指定され、それら要計測占有ボクセルが被計測物における広い範囲に分散している場合には、この条件では、配置位置決定処理の繰り返しが停止するまでに長い時間がかかることがある。一方、各配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数の合計の上昇率は、通常、配置位置決定処理の実行回数が増加するに連れて減少する。ところが、多数の要計測占有ボクセルが被計測物における広い範囲に分散している場合、上記上昇率は、配置位置決定処理の実行回数が少ない間は、配置位置決定処理を実行する度に減少していくものの、配置位置決定処理の実行回数がある程度多くなると、ある小さい値に収束する。したがって、例えば、上記上昇率が収束する値、またはその値の周辺の値を基準上昇率として設定し、上記上昇率が基準上昇率以下となったときに配置位置決定処理の繰り返しを停止させるようにすることにより、配置位置決定処理の繰り返しが停止するまでに長い時間がかかることを防ぐことができる。
また、上述した本発明の計測機配置位置決定装置において、配置位置決定部は、配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に存在する非占有ボクセルを候補ボクセル群から除外することとしてもよい。これにより、配置位置決定処理を効率良く行うことができる。
また、上述した本発明の計測機配置位置決定装置に、ユーザ(作業者)の入力操作に従い、被計測物のうち計測機で計測する部分を指定する計測部分指定部を追加してもよい。この場合、要計測占有ボクセル指定部は、計測部分指定部により指定された部分に対応する占有ボクセルを要計測占有ボクセルとして指定する。
本発明のこの態様によれば、作業者は、計測部分指定部により、例えば工事等の目的に応じ、被計測物において必要な部分を、計測機で計測する部分として指定することができる。これにより、作業者は、当該必要な部分を計測するのに必要かつ十分な計測機配置位置を得ることができる。作業者は、このような計測機配置位置に計測機を配置して計測を行うことにより、工事等の目的に応じ、被計測物において必要な部分を高い計測精度で計測することができる。また、計測範囲を絞り込むことができるので、計測作業を効率良く行うことができる。また、計測範囲を絞り込むことで、計測により得られる計測データの量を小さくすることができ、計測作業後の最終的な三次元モデルの生成処理の効率化を図ることができる。
また、上述した本発明の計測機配置位置決定装置において、要計測占有ボクセルおよび配置位置決定部を次のように構成してもよい。すなわち、要計測占有ボクセル指定部は、被計測物のうち計測機により第1の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第1の要計測占有ボクセルとして指定し、被計測物のうち計測機により第1の精度よりも低い第2の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第2の要計測占有ボクセルとして指定する。また、配置位置決定部は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した第1の要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する工程とを有する第1の配置位置決定処理を複数回行う。また、配置位置決定部は、第1の配置位置決定処理を終えた後、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した第2の要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する工程とを有する第2の配置位置決定処理を複数回行う。そして、配置位置決定部は、第1の配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルを第1の配置位置決定処理における計数の対象から除外し、かつ第1の配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルを第1の配置位置決定処理および第2の配置位置決定処理のそれぞれにおける計数の対象から除外する。また、配置位置決定部は、第2の配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルを第2の配置位置決定処理における計数の対象から除外する。
ここで、上記第1の計測条件は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光と当該レーザー光が入射し得る第1の要計測占有ボクセルの法線とのなす角が所定の第1の基準角度範囲内であり、かつ当該計測機と当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る第1の要計測占有ボクセルとの間の距離が所定の第1の基準距離範囲内であることである。また、上記第2の計測条件は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光と当該レーザー光が入射し得る第2の要計測占有ボクセルの法線とのなす角が所定の第2の基準角度範囲内であり、かつ当該計測機と当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る第2の要計測占有ボクセルとの間の距離が所定の第2の基準距離範囲内であることである。そして、第2の基準角度範囲は第1の基準角度範囲よりも大きく、第2の基準距離範囲は第1の基準距離範囲よりも大きい。
本発明のこの態様によれば、被計測物において、高い計測精度が要求される部分については、それらの部分を高い計測精度で計測することができる計測機配置位置を得ることができ、一方、高い計測精度が要求されない部分については、それらの部分を計測する計測機配置位置の個数を少なくすることができる。作業者は、計測機配置位置決定装置により得られた計測機配置位置を用いて被計測物を三次元計測機で計測する際に、例えば被計測物のうち重要度が高い部分については高い計測精度で計測することができ、重要度が低い部分については、少ない計測回数で迅速に計測を終えることができる。この結果、工事の目的等に応じた高い品質を有する最終的な三次元モデルを迅速に生成することができる。
また、被計測物において高い計測精度が要求される部分については、被計測物において高い計測精度が要求されない部分と比較して、レーザー光と当該レーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの法線とのなす角の許容範囲が小さく、かつ計測機とレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルとの間の距離の許容範囲が小さい。このように、被計測物において高い計測精度が要求される部分については、被計測物において高い計測精度が要求されない部分と比較して厳格な計測条件が設定されている。したがって、被計測物において高い計測精度が要求される部分については、厳格な計測条件を満足する、高い計測精度による計測が可能な計測機配置位置を決定することができる。
また、上述した本発明の計測機配置位置決定装置に、ユーザ(作業者)の入力操作に従い、被計測物のうち計測機により第1の精度で計測する部分および第2の精度で計測する部分をそれぞれ指定する計測部分指定部を追加してもよい。この場合、要計測占有ボクセル指定部は、計測部分指定部により指定された第1の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第1の要計測占有ボクセルとして指定し、計測部分指定部により指定された第2の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第2の要計測占有ボクセルとして指定する。これにより、作業者は、計測部分指定部により、例えば被計測物において重要度の高い部分と低い部分とを指定することができる。
上記課題を解決するために、本発明の計測機配置位置決定方法は、レーザー光を照射して三次元計測を行う計測機により被計測物の位置、形状またはその他の属性を計測するために、被計測物の周囲において計測機を配置する計測機配置位置を決定する計測機配置位置決定方法であって、カメラでその位置または方向を変えながら被計測物およびその周囲を撮影することにより得られた複数の二次元画像を用いて生成された被計測物およびその周囲の三次元モデルであるベースモデルを取得するベースモデル取得工程と、ベースモデル取得工程において取得されたベースモデルを複数のボクセルに分割し、かつ複数のボクセルを少なくとも、内部に物体が存在する占有ボクセルと内部に物体が存在しない非占有ボクセルとに分類することによりボクセルモデルを生成するボクセルモデル生成工程と、被計測物のうち計測機で計測する部分に対応する占有ボクセルを要計測占有ボクセルとして指定する要計測占有ボクセル指定工程と、計測機と当該計測機を支持する支持具とが占める空間を被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりの全部または一部を候補ボクセル群として指定する候補ボクセル群指定工程と、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数し、計数した要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する配置位置決定処理を複数回行い、配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルを配置位置決定処理における計数の対象から除外する配置位置決定工程とを備えていることを特徴とする。
本発明の計測機配置位置決定方法によれば、作業者は、計測機配置位置決定に関するスキルまたは経験がない場合でも、計測機配置位置を容易に決定することができる。また、過不足のない最適な計測機配置位置を決定することができ、決定された計測機配置位置を用いることにより、被計測物の計測作業、および被計測物の最終的な三次元モデルの生成作業を効率良く行うことができる。また、工事等の目的に応じ、被計測物において必要な部分を高い精度で計測可能となるように計測機配置位置を決定することができ、工事等の目的に応じた計測品質を確保することができる。
上記課題を解決するために、本発明のプログラムは、レーザー光を照射して三次元計測を行う計測機により被計測物の位置、形状またはその他の属性を計測するために、被計測物の周囲において計測機を配置する計測機配置位置を決定する計測機配置位置決定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、カメラでその位置または方向を変えながら被計測物およびその周囲を撮影することにより得られた複数の二次元画像を用いて生成された被計測物およびその周囲の三次元モデルであるベースモデルを取得するベースモデル取得工程と、ベースモデル取得工程において取得されたベースモデルを複数のボクセルに分割し、かつ複数のボクセルを少なくとも、内部に物体が存在する占有ボクセルと内部に物体が存在しない非占有ボクセルとに分類することによりボクセルモデルを生成するボクセルモデル生成工程と、被計測物のうち計測機で計測する部分に対応する占有ボクセルを要計測占有ボクセルとして指定する要計測占有ボクセル指定工程と、計測機と当該計測機を支持する支持具とが占める空間を被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりの全部または一部を候補ボクセル群として指定する候補ボクセル群指定工程と、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数し、計数した要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する配置位置決定処理を複数回行い、配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルを配置位置決定処理における計数の対象から除外する配置位置決定工程とをコンピュータに実行させることを特徴とする。本発明のプログラムによれば、上述した本発明の計測機配置装置を実現することができる。
本発明によれば、被計測物をレーザースキャナ等の計測機で計測するに当たり、計測機配置位置を容易にかつ効率良く決定することができる。また、本発明によれば、工事等の目的に応じ、被計測物において必要な部分を高い精度で計測可能となるように計測機配置位置を決定することができる。
本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置の構成を示すブロック図である。 計測機配置位置を決定するための準備作業および本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置における処理の流れを示すフローチャートである。 被計測物の一例である空調設備を上方から見た説明図である。 図3中の空調設備の一部を側方から見た説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置において計測部分および重要度の指定処理を示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置におけるボクセルモデル生成処理を示すフローチャートである。 ボクセルモデルの概念を示す説明図である。 カメラの位置およびカメラの視錐台を示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置におけるボクセルモデルの生成方法を示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置における配置位置候補指定処理を示すフローチャートである。 床面ボクセルの認識方法を示す説明図である。 計測機モデルを示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置により指定された計測機配置位置の候補を示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置における配置位置決定メイン処理を示すフローチャートである。 図14中の配置位置決定メイン処理における、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の内容を示すフローチャートである。 図14中の配置位置決定メイン処理における、低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の内容を示すフローチャートである。 計測機の計測条件(入射角および計測距離)を示す説明図である。 計測機の計測条件(オーバーラップ)を示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置において、配置位置決定処理の回数と「確定」に設定されたボクセルの総数との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置により決定された計測機配置位置の一例を示す説明図である。
(計測機配置位置決定装置)
図1は本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1の構成を示している。図1において、計測機配置位置決定装置1は、計測機により被計測物の計測を行うに当たり、被計測物の周囲において計測機を配置する位置(計測機配置位置)を決定する装置である。
計測機は地上型の三次元レーザースキャナである。この計測機は、レーザー光を照射することにより、三次元空間における被計測物の各部の位置を示す点群データを生成することができ、これにより、被計測物の位置、形状およびその他の属性を計測することができる。また、計測機は、レーザー光の照射方向を水平面内において例えば180度変えることができ、かつ鉛直面内において例えば360度変えることができる。また、被計測物の計測の際、計測機は、例えば三脚等の支持具を用いて地面または床面上に置かれる。
計測機配置位置決定装置1は、演算処理部2、記憶部3、操作部4、表示部5およびデータ入出力部6を備えている。計測機配置位置決定装置1は、コンピュータを計測機配置位置決定装置として機能させるコンピュータプログラムを、例えばパーソナルコンピュータ等のコンピュータに読み込ませて実行させることにより実現することができる。この場合、演算処理部2は、コンピュータに設けられたCPU(中央演算処理装置)であり、記憶部3は、コンピュータに設けられた記憶装置である。また、操作部4は、コンピュータに接続されたキーボードおよびポインティングデバイスであり、表示部5は、コンピュータに接続されたディスプレイ装置である。また、データ入出力部6は、コンピュータに設けられたディスクドライブ装置、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)メモリ等の外部記憶装置との間でデータの入出力を行うデータ入出力装置、またはコンピュータネットワークを介して他のコンピュータと通信を行う通信装置等である。
また、演算処理部2は、ベースモデル読込部11、計測部分指定部12、データ補間部13、ボクセルモデル生成部14、配置位置候補指定部15および配置位置決定部16を備えている。演算処理部2におけるこれらの部分は、演算処理部2が上記コンピュータプログラムを実行することにより実現される。
ベースモデル読込部11は、カメラ撮影およびSfM(Structure from Motion)により生成された被計測物の三次元モデルであるベースモデルを記憶部3に読み込む処理を行う。計測部分指定部12は、被計測物のうちの計測すべき部分、および計測すべき部分の重要度を作業者が指定するためユーザーインターフェイスを形成し、かつ作業者によるこれらの指定を受け取る処理を行う。データ補間部13は、ベースモデル中の欠損部分を補完する処理を行う。ボクセルモデル生成部14は、ベースモデルをボクセル(体積要素)に分割して被計測物のボクセルモデルを生成し、かつ作業者が指定した計測部分およびそれら重要度をボクセルモデルに反映させる処理を行う。配置位置候補指定部15は、ボクセルモデルに基づいて計測機配置位置の候補を指定する処理を行う。配置位置決定部16は、配置位置候補指定部15により指定された計測機配置位置の候補の中から、計測機配置位置を決定する処理を行う。
(準備作業から計測機配置位置決定までの流れ)
図2は、計測機配置位置を決定するための準備作業および計測機配置位置決定装置1における処理の流れを示している。以下、計測機配置位置を決定するための準備作業が開始されてから、計測機配置位置決定装置1により計測機配置位置が決定されるまでの作業および処理について説明する。
また、以下の説明では、被計測物が、図3および図4に示すような空調設備である場合を例にあげる。図3は空調設備を上方から見た図であり、図4は図3中の空調設備の一部を側方から見た図である。図3に示すように、空調設備は、複数のボイラ21、オイルタンク22、熱交換器23、還水タンク24、ダクト25、複数の配管26、複数のバルブ27等を備えている。各ボイラ21は、図4に示すように、設備室28の床面29上に設置されている。オイルタンク22、熱交換器23および還水タンク24についても同様である。ダクト25は設備室28の天井近傍に配置されている。各配管26は主に設備室28の天井近傍または側壁近傍に配置されている。各バルブ27も主に設備室28の天井近傍または側壁近傍に配置されている。
(撮影およびベースモデルの生成)
まず、図2中のステップS1に示すように、計測機配置位置決定装置1を用いて計測機配置位置を決定する際の準備作業として、作業者は、空調設備およびその周囲をカメラで撮影し、撮影により得られた複数の二次元画像を用いて空調設備およびその周囲のベースモデルを生成する。すなわち、作業者は、例えばデジタルスチルカメラまたはデジタルビデオカメラを用いて空調設備およびその周囲を撮影する。作業者は、カメラの位置または方向を変えながら空調設備およびその周囲を撮影する。例えば、作業者は設備室28内のボイラ21や配管26、バルブ27だけでなく、各ボイラ21が設置された床面29等も含むように撮影する。撮影により、様々な位置および方向から見た空調設備およびその周囲の多数の二次元画像が得られる。作業者は、SfMソフトウェアを用い、これら二次元画像に基づいて、空調設備およびその周囲の三次元点群モデルであるベースモデルを生成する。ベースモデルのデータには、ベースモデルの各点の三次元の座標、各点の色情報、カメラ位置および方向(撮影位置および撮影方向)の情報等が含まれている。なお、ベースモデルは、三次元レーザースキャナにより空調設備を計測することにより生成された三次元点群モデル(最終的な三次元モデル)と比較して点群密度および形状再現度が低い。
(ベースモデルデータの読込)
次に、図2中のステップS2に示すように、作業者は、空調設備およびその周囲のベースモデルのデータを計測機配置位置決定装置1に読み込ませる。すなわち、作業者は、コンピュータを操作し、コンピュータを計測機配置位置決定装置1として機能させるコンピュータプログラムを起動する。これにより、当該コンピュータは計測機配置位置決定装置1となる。作業者は、計測機配置位置決定装置1の操作部4を操作し、ベースモデルのデータを計測機配置位置決定装置1に読み込ませる。SfMソフトウェアで生成されたベースモデルのデータの記憶場所として、例えば、計測機配置位置決定装置1として動作している当該コンピュータの記憶装置、USBメモリ等の外部記憶装置、計測機配置位置決定装置1として動作している当該コンピュータとコンピュータネットワークを介して接続された他のコンピュータの記憶装置等が考えられる。計測機配置位置決定装置1のベースモデル読込部11は、作業者の操作に応じ、このような記憶場所からベースモデルのデータを読み出し、記憶部3に記憶する。
(計測部分および重要度の指定)
次に、図2中のステップS3に示すように、作業者は、空調設備のうち計測機により計測すべき部分(計測部分)、および計測部分の重要度を指定する。すなわち、作業者は、計測部分および重要度を指定する処理を行う旨の指示を計測機配置位置決定装置1に入力する。これに応じ、計測機配置位置決定装置1の計測部分指定部12は、空調設備およびその周囲のベースモデルを表示部5の画面に表示する。ここで、図5は、表示部5の画面に表示されたベースモデルを示している。作業者は、表示部5の画面に表示されたベースモデルを見ながら、操作部4を操作し、計測部分および重要度を指定する。例えば、図5において、太線で囲まれた部分が計測部分である。また、太線のうち、実線で囲まれた部分は重要度が「高」の部分である。また、太線のうち、二点鎖線で囲まれた部分は重要度が「低」の部分である。例えば、計測部分指定部12は、作業者により指定された計測部分のそれぞれの位置を示す座標情報と、作業者により指定された各計測部分の重要度を示す情報を記憶部3に記憶する。
なお、計測部分指定部12には、作業者が計測部分およびそれらの重要度を指定するためのユーザーインターフェイスに関する機能として、例えば、(1)表示部5の画面に表示するベースモデルの角度や大きさを変える機能、(2)表示部5の画面に表示されたベースモデルにおいて、作業者により指定された計測部分に重要度ごとにそれぞれ異なる色を付して表示する機能、(3)重要度が「高」の部分、および重要度が「低」の部分を、座標の数値を入力して指定する機能等を持たせてもよい。
(計測機情報および計測条件情報の入力)
次に、図2中のステップS4に示すように、作業者は、操作部4を操作し、計測機情報および計測条件情報を計測機配置位置決定装置1へ入力する。計測機情報とは、計測機を支持する支持具と計測機とを合わせた全体の長さ、幅および高さをそれぞれ示す数値、並びに計測機においてレーザー光が出射される位置(レーザー光出射位置)を示す数値である。計測機を支持する支持具は例えば三脚(雲台を含む)である。この場合、計測機を支持する支持具と計測機とを合わせた全体の長さ、幅および高さとは、計測機を三脚に取り付けたときの三脚と計測機とを合わせた全体の長さ、幅および高さを意味する。また、計測機においてレーザー光出射位置を示す数値は、例えば、計測機を三脚に取り付けたとき、計測機を水平面内において回転させる回転機構における回転軸と計測機の上面との交点に対するレーザー光出射位置のオフセット値であり、上記交点を基準にした三次元座標値である。例えば、上記交点の真下100mmの位置にレーザー光出射位置がある場合には、レーザー光出射位置を示す数値(x、y、z)は(0、0、−100)である。
また、計測条件情報とは、計測機による被計測物の計測条件を示す情報である。また、この計測条件とは、(1)レーザー光の入射角、(2)計測機と被計測物との距離、および(3)レーザー光の照射範囲のオーバーラップの量である。厳密には、レーザー光の入射角とは、計測機から照射されたレーザー光と、当該レーザー光が入射する被計測物の部分の法線とのなす角である。また、計測機と被計測物との距離とは、計測機と、計測機から照射されたレーザー光が入射する被計測物の部分との間の距離である。また、レーザー光の照射範囲のオーバーラップの量とは、隣接する2つの位置に配置した計測機から被計測物に向けてそれぞれレーザー光を照射した場合に、被計測物における一方のレーザー光の照射範囲の面積と、被計測物において一方のレーザー光の照射範囲と他方のレーザー光の照射範囲とが重なり合う部分の面積との比である。
計測条件のうち、レーザー光の入射角、および計測機と被計測物との距離については、重要度ごとに設定することができる。作業者は、例えば、空調設備のうち重要度が「高」の部分を計測するためのレーザー光の入射角、および計測機と被計測物との距離と、空調設備のうち重要度が「低」の部分を計測するためのレーザー光の入射角、および計測機と被計測物との距離とをそれぞれ入力する。作業者により入力された計測機情報および計測条件は記憶部3に記憶される。
(補間処理)
以上のベースモデルデータの読込、計測部分および重要度の指定、並びに計測機情報および計測条件の入力は、作業者の入力操作に応じて計測機配置位置決定装置1が随時処理を行うといった作業者と計測機配置位置決定装置1との共同作業であったが、以下の補間処理、ボクセルモデル生成処理、配置位置候補指定処理および配置位置決定処理は、計測機配置位置決定装置1が単独で自動的に行う処理である。例えば、作業者が、計測機配置位置を決定すべき旨の指示を計測機配置位置決定装置1へ入力すると、これに応じ、計測機配置位置決定装置1は、補間処理、ボクセルモデル生成処理、配置位置候補指定処理および配置位置決定処理を連続的に実行する。
まず、図2中のステップS5に示すように、計測機配置位置決定装置1のデータ補間部13が補間処理を行う。補間処理とは、ベースモデル中の欠損部分を補完する処理である。ベースモデルは、カメラにより撮影された二次元画像に基づいて生成された三次元点群モデルである。例えば、カメラにより撮影された二次元画像中に黒つぶれ部分や白飛び部分等が存在していた場合、それらの部分がベースモデル中の欠損部分となる。補間処理では、このような欠損部分のデータを、その部分の周囲の部分のデータに近似したデータに置換することにより、欠損部分を補間する。
(ボクセルモデル生成処理)
次に、図2中のステップS6に示すように、計測機配置位置決定装置1のボクセルモデル生成部14がボクセルモデル生成処理を行う。ボクセルモデル生成処理とは、ベースモデルをボクセルに分割して被計測物のボクセルモデルを生成し、かつ作業者により指定された計測部分およびそれらの重要度をボクセルモデルに反映させる処理である。
図6は、図2中のステップS6で行われるボクセルモデル生成処理の内容を示している。図7はボクセルモデルの概念を示している。図8はカメラの位置およびカメラの視錐台を示している。図9はボクセルモデルの生成方法を示している。
図6に示すボクセルモデル生成処理において、ボクセルモデル生成部14は、まず、ベースモデル読込部11により読み込まれ、かつデータ補間部13により補間処理が行われた、空調設備およびその周囲のベースモデルのAABB(Axis−Aligned Bouding Box)を形成する。続いて、ボクセルモデル生成部14は、図7に示すように、ベースモデルのAABBを複数のボクセル31に分割する(ステップS11)。各ボクセル31は、ベースモデルを構成する複数の点を包含する大きさを有する。
続いて、ボクセルモデル生成部14は、ベースモデルのAABBに含まれる複数のボクセル31において、占有ボクセルを指定する(ステップS12)。占有ボクセルとは、その内部に物体が存在するボクセルである。ボクセルモデル生成部14は、占有ボクセルの指定を例えば次のように行う。すなわち、ボクセルモデル生成部14は、ベースモデルのAABBに含まれる各ボクセル31につき、ボクセル31の内部に、補間処理が行われたベースモデルを構成する点(ベースモデルの表面)が含まれているか否かを判断する。そして、ボクセル31の内部に補間処理が行われたベースモデルを構成する点が含まれている場合、ボクセルモデル生成部14は、そのボクセル31を占有ボクセルとして指定する。
続いて、ボクセルモデル生成部14は、ベースモデルのAABBに含まれる複数のボクセル31において、非占有ボクセルおよび不明ボクセルを指定する(ステップS13)。非占有ボクセルとは、その内部に物体が存在しないボクセルである。不明ボクセルとは、内部に物体が存在する否かが不明のボクセルである。
ボクセルモデル生成部14は、非占有ボクセルおよび不明ボクセルの指定を例えば次のように行う。まず、ボクセルモデル生成部14は、図8に示すように、ベースモデルのデータに基づいて撮影時のカメラの位置Qおよび方向の1つの組み合わせを認識し、次に、認識した位置Qおよび方向のカメラの視錘台33を認識する。次に、ボクセルモデル生成部14は、視錘台33内に含まれるAABB境界面上のボクセル31の重心を認識する。次に、ボクセルモデル生成部14は、図9に示すように、認識したカメラの位置Qを始点Cとし、認識したAABB境界面上の1つのボクセル31の重心を終点Dとする光線Lを仮想的に設定し、この光線Lと交わる1つのボクセル31を認識する。次に、ボクセルモデル生成部14は、当該認識した1つのボクセル31と始点Cとの間に占有ボクセルが存在するか否かを判断し、当該認識した1つのボクセル31と始点Cとの間に占有ボクセルが存在する場合には、当該認識した1つのボクセル31を不明ボクセルとして指定する。一方、当該認識した1つのボクセル31と始点Cとの間に占有ボクセルが存在しない場合には、ボクセルモデル生成部14は、次に、当該認識した1つのボクセル31の内部に物体が存在するか否かを判断し、当該認識した1つのボクセル31の内部に物体が存在する場合には、当該認識した1つのボクセル31が占有ボクセルであることを確認し、一方、当該認識した1つのボクセル31の内部に物体が存在しない場合には、当該認識した1つのボクセル31を非占有ボクセルとして指定する。ボクセルモデル生成部14は、このような処理を、撮影時のカメラの位置および方向の複数の組み合わせにより認識される複数の視錘台のそれぞれにおいて、視錘台におけるカメラの位置Qを始点Cとし、視錘台に含まれるAABB境界面上のボクセルの重心を終点Dとする複数の光線Lのそれぞれと交わる複数のボクセルにつき繰り返し行う。
以上のステップS11からステップS13までの処理により、空調設備およびその周辺のボクセルモデルが生成される。
続いて、ボクセルモデル生成部14は、作業者により指定された、空調設備における計測部分およびそれらの重要度に従い、ボクセルモデルにおいて高占有ボクセルおよび低占有ボクセルを指定する(ステップS14)。高占有ボクセルとは、重要度が「高」の計測部分に対応する占有ボクセルである。低占有ボクセルとは、重要度が「低」の計測部分に対応する占有ボクセルである。後述するように、計測機配置位置決定装置1は、高占有ボクセルについては、高レベルの計測条件に従って計測機配置位置を決定し、低占有ボクセルについては、低レベルの計測条件に従って計測機配置位置を決定する。この点で、高占有ボクセルは、被計測物のうち計測機により高レベルの計測条件(第1の精度)で計測する部分に対応する占有ボクセルに相当する。また、低占有ボクセルは、被計測物のうち計測機により低レベルの計測条件(第2の精度)で計測する部分に対応する占有ボクセルに相当する。
記憶部3には、作業者により指定された計測部分の位置を示す座標情報と、作業者により指定された各計測部分の重要度を示す情報が記憶されている(図2中のステップS3を参照)。ボクセルモデル生成部14は、図6中のステップS14において、記憶部3に記憶された計測部分の位置を示す座標情報、および各計測部分の重要度を示す情報を参照し、高占有ボクセルおよび低占有ボクセルを指定する。
(配置位置候補指定処理)
次に、図2中のステップS7に示すように、計測機配置位置決定装置1の配置位置候補指定部15が配置位置候補指定処理を行う。配置位置候補決定処理とは、ボクセルモデルに基づいて計測機配置位置の候補を指定する処理である。
図10は配置位置候補指定処理の内容を示している。図11は床面ボクセルの認識方法を示している。図12は計測機モデルを示している。図13は、配置位置候補指定処理により指定された、計測機配置位置の候補を示している。
図10に示す配置位置候補指定処理において、配置位置候補指定部15は、まず、ボクセルモデルにおいて床面ボクセルを認識する(ステップS21)。配置位置候補指定部15は床面ボクセルの認識を例えば次のように行う。すなわち、図11に示すように、配置位置候補指定部15は、まず、ベースモデル35の各点36の法線(ベースモデルの表面の法線)を、ボクセルモデルにおける個々の占有ボクセルごとに合成することにより、ボクセルモデルにおける各占有ボクセル31の法線ベクトルNを認識する。次に、配置位置候補指定部15は、ボクセルモデルにおいて、法線ベクトルNが鉛直方向上向きの占有ボクセル31を選択し、当該選択した占有ボクセル31を床面ボクセルとして認識する。なお、占有ボクセルの法線ベクトルNが鉛直方向上向きか否かの判断は、ある程度緩やかに行ってもよく、すなわち、法線ベクトルが略鉛直方向上向きか否かといった判断でよい。
続いて、配置位置候補指定部15は計測機モデル37を形成する(ステップS22)。図12に示すように、計測機モデル37とは、計測機38と、計測機38を支持する支持具39とを合わせた全体が占める空間の形状および大きさに対応する円柱状のモデルである。例えば、計測機38を支持する支持具39が三脚である場合には、計測機モデル37は、計測機38を三脚に取り付けたときの計測機38と三脚とを合わせた全体が占める空間の形状および大きさに対応する円柱状のモデルである。計測機モデル37の半径Rは、計測機38と支持具39とを合わせた全体の長さおよび幅のうちいずれか大きい値の2分の1に等しい。また、計測機モデル37の高さHは、計測機38と支持具39とを合わせた全体の高さに等しい。また、計測機モデル37は、計測機38と支持具39とを合わせた全体が占める空間の範囲を示すのみであり、計測機モデル37の内部は空虚である。配置位置候補指定部15は、図2中のステップS4において作業者により入力された計測機情報を記憶部3から読み出し、この計測機情報に基づいて計測機モデル37を形成する。
また、配置位置候補指定部15は計測機モデル37におけるレーザー光出射位置を設定する。具体的には、計測機情報には、レーザー光出射位置を示す数値が含まれている。レーザー光出射位置を示す数値とは、上述したように、計測機を水平面内において回転させる回転機構における回転軸と計測機の上面との交点に対するレーザー光出射位置のオフセット値(三次元座標値)である。配置位置候補指定部15は、上記回転軸と計測機の上面との交点を円柱状の計測機モデル37の上面の中心点に配置し、当該中心点を基準にしたときの、上記オフセット値が対応する位置を計測機モデル37におけるレーザー光出射位置として設定する。例えば、計測機情報においてレーザー光出射位置を示す数値(x、y、x)が(0、0、−100)である場合、計測機モデル37におけるレーザー光出射位置は、計測機モデル37の上面の中心点からその真下へ100mm離れた位置に設定される。
続いて、配置位置候補指定部15は、ボクセルモデルにおける複数の床面ボクセルのうち、未選択の1つの床面ボクセルを選択する(図10中のステップS23)。なお、ステップS23が初めて実行される前の段階において、ステップS21で認識されたすべての床面ボクセルは未選択の状態になっている。
続いて、配置位置候補指定部15は、選択した床面ボクセル上に計測機モデル37を置くことができるか否かを判断する(ステップS24)。配置位置候補指定部15はこの判断を例えば次のように行う。まず、配置位置候補指定部15は、計測機モデル37の下面の中心が、選択した床面ボクセル上に接するように計測機モデル37をボクセルモデル中に置く。次に、配置位置候補指定部15は、このようにボクセルモデル中に置かれた計測機モデル37の内部に、ボクセルモデルにおける占有ボクセルが存在するか否かを判断する。計測機モデル37の内部に、ボクセルモデルにおける占有ボクセルが存在しない場合には、配置位置候補指定部15は、選択した床面ボクセル上に計測機モデル37を置くことができると判断する。一方、計測機モデル37の内部に、ボクセルモデルにおける占有ボクセルが存在する場合には、配置位置候補指定部15は、選択した床面ボクセル上に計測機モデル37を置くことができないと判断する。
選択した床面ボクセル上に計測機モデル37を置くことができる場合には(ステップS24:YES)、配置位置候補指定部15は、ボクセルモデルにおいて、現在選択されている床面ボクセル上に置かれた計測機モデル37のレーザー光出射位置が含まれるボクセルモデルにおける非占有ボクセルを候補ボクセル群に追加する(ステップS25)。候補ボクセル群とは、ボクセルモデルにおいて、計測機38と支持具39とが占める空間を床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりである。候補ボクセル群は記憶部3に記憶される。一方、選択した床面ボクセル上に計測機モデル37を置くことができない場合には(ステップS24:NO)、配置位置候補指定部15は候補ボクセル群に何も追加しない。
次に、配置位置候補指定部15は、ボクセルモデルにおけるすべての床面ボクセルにつきステップS23からステップS25までの処理が完了したか否かを判断する(ステップS26)。そして、ボクセルモデルにおけるすべての床面ボクセルにつきステップS23からステップS25までの処理が完了していない場合には(ステップS26:NO)、配置位置候補指定部15は、処理をステップS23に戻し、ボクセルモデルにおける未選択の他の床面ボクセルについてステップS23からステップS25までの処理を行う。一方、ボクセルモデルにおけるすべての床面ボクセルにつきステップS23からステップS25までの処理が完了した場合には(ステップS26:YES)、配置位置候補指定部15は配置位置候補指定処理を終える。
配置位置候補指定処理が終わった段階の候補ボクセル群は、計測機38とその支持具39とを設備室28の床面上に配置することが可能な領域に対応する。例えば、図13に示す設備室28において、ハッチングを付した部分がこの領域である。この領域が計測機配置位置の候補に当たる。
(配置位置決定処理)
次に、図2中のステップS8に示すように、計測機配置位置決定装置1の配置位置決定部16が配置位置決定処理を行う。配置位置決定処理とは、配置位置候補指定処理において指定された計測機配置位置の候補の中から、計測機配置位置を決定する処理である。
図14、図15および図16は配置位置決定処理の内容を示している。図17は計測条件(入射角および計測距離)を示している。図18は計測条件(オーバーラップ)を示している。図19は配置位置決定処理の回数と「確定」に設定されたボクセルの総数との関係を示している。
配置位置決定処理は、図14に示す配置位置決定メイン処理と、図15に高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理と、図16に示す低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理により構成されており、配置位置決定メイン処理の実行中に、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理と、低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理とが呼び出されて実行される。
図14に示す配置位置決定メイン処理において、配置位置決定部16は、まず、ボクセルモデルにおけるすべての高占有ボクセルおよび低占有ボクセルを「未定」に設定する(ステップS31)。例えば、配置位置決定部16は、ボクセルモデルにおける高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれが「未定」の状態か、「確定」の状態かを示す状態フラグを高占有ボクセルおよび低占有ボクセルごとに生成し、これらすべての状態フラグを「未定」を示す値に設定する。
続いて、配置位置決定部16は、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理を行う(ステップS32)。高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理とは、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置し、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルの計測条件を満たす高占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数し、計数した高占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する処理である。
ここで、図15は、ステップS32で行われる高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の内容を示している。高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、配置位置決定部16は、まず、候補ボクセル群中のすべての非占有ボクセルを未選択の状態にする(ステップS41)。
続いて、配置位置決定部16は、ボクセルカウント値を0に設定して、ボクセルカウント値を初期化する(ステップS42)。
続いて、配置位置決定部16は、候補ボクセル群中の未選択の1つの非占有ボクセルを選択する(ステップS43)。
続いて、配置位置決定部16は、ボクセルモデルにおいて、「未定」かつ未選択の1つの高占有ボクセルを選択する(ステップS44)。
続いて、配置位置決定部16は、現在選択されている非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されるレーザー光が、現在選択されている高占有ボクセルに入射し得るか否かを判断する(ステップS45)。ここで仮想的に配置される計測機は、レーザー光の照射方向を水平面内において360度変えることができ、かつ鉛直面内において360度変えることができる。このような範囲の照射方向のうちのいずれかの照射方向に設定して計測機から照射されたレーザー光(直線)が、現在選択されている高占有ボクセルと交わるとき、レーザー光が、現在選択されている高占有ボクセルに入射し得ると判断することができる。なお、現在選択されている非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されるレーザー光が、現在選択されている高占有ボクセルに入射し得ることは、現在選択されている非占有ボクセルの位置からいずれかの方向へ伸びる直線が、現在選択されている高占有ボクセルと交わり、かつ当該直線が現在選択されている非占有ボクセルの位置から現在選択されている高占有ボクセルに至るまでの間に他の占有ボクセル内を通過しないことと言い換えることができる。
現在選択されている非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されるレーザー光が、現在選択されている高占有ボクセルに入射し得るとき(ステップS45:YES)、続いて、配置位置決定部16は、現在選択されている非占有ボクセルとの関係で、現在選択されている高占有ボクセルが高レベルの計測条件を満たすか否かを判断する(ステップS46)。
高レベルの計測条件の内容は次の通りである。
(1−1)図17に示すように、現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置Eに仮想的に配置された計測機38から照射されたレーザー光Fと、現在選択されている高占有ボクセル40の法線Gとのなす角Kが第1の基準角度範囲内であること
(1−2)図17に示すように、現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置Eに仮想的に配置された計測機38と、現在選択されている高占有ボクセル40との間の距離Mが第1の基準距離範囲内であること
(1−3)図18に示すように、現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置Aに計測機38を仮想的に配置した場合に、当該計測機38から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲Uが、既に計測機配置位置として決定されたいずれかの位置Bに仮想的に配置された計測機38から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲Wと所定量以上重なり合う(オーバーラップする)こと
高レベルの計測条件を満たすとは、(1−1)、(1−2)および(1−3)のすべてを満たすことを意味する。
配置位置決定部16は、図2中のステップS4において作業者により入力された計測条件情報を記憶部3から読み出し、この計測条件情報に基づいて、計測条件(1−1)の第1の基準角度範囲、計測条件(1−2)の第1の基準距離範囲、および計測条件(1−3)のオーバーラップの所定量を設定する。したがって、第1の基準角度範囲、第1の基準距離範囲およびオーバーラップの所定量は作業者が任意に定めることができる。
空調設備のうち重要度が高い部分を計測機により高い精度(例えばプラスマイナス1mm〜5mm以内の精度)で計測するためには、第1の基準角度範囲を例えば−45度以上かつ45度以下に定め、第1の基準距離範囲を例えば0.3m以上かつ5m以下に定めることが好ましい。また、オーバーラップの所定量は、現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲の例えば20%に定めることが好ましい。
現在選択されている非占有ボクセルとの関係で、現在選択されている高占有ボクセルが高レベルの計測条件を満たす場合(ステップS46:YES)、配置位置決定部16は、ボクセルカウント値を1増加させる(ステップS47)。
一方、現在選択されている非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されるレーザー光が、現在選択されている高占有ボクセルに入射し得ない場合(ステップS45:NO)、または現在選択されている非占有ボクセルとの関係で、現在選択されている高占有ボクセルが高レベルの計測条件を満たさない場合(ステップS46:NO)、配置位置決定部16は、ボクセルカウント値を増加させない。
続いて、配置位置決定部16は、ボクセルモデルにおけるすべての「未定」の高占有ボクセルにつき、ステップS44からステップS47までの処理が完了したか否かを判断する(ステップS48)。そして、ボクセルモデルにおけるすべての「未定」の高占有ボクセルにつき、ステップS44からステップS47までの処理が完了していない場合には(ステップS48:NO)、配置位置決定部16は、処理をステップS44に戻し、ボクセルモデルにおいて、「未定」かつ未選択の他の高占有ボクセルにつき、ステップS44からステップS47までの処理を行う。
一方、ボクセルモデルにおけるすべての「未定」の高占有ボクセルにつき、ステップS44からステップS47までの処理が完了した場合には(ステップS48:YES)、配置位置決定部16はボクセルカウント値を、現在選択されている非占有ボクセルの計測可能ボクセル数として記憶部3に記憶する(ステップS49)。
続いて、配置位置決定部16は、候補ボクセル群中のすべての非占有ボクセルにつき、ステップS42からステップS49までの処理が完了したか否かを判断する(ステップS50)。候補ボクセル群中のすべての非占有ボクセルにつき、ステップS42からステップS49までの処理が完了していない場合には(ステップS50:NO)、配置位置決定部16は、処理をステップS42へ戻し、候補ボクセル群中の未選択の他の非占有ボクセルについて、ステップS42からステップS49までの処理を行う。
一方、候補ボクセル群中のすべての非占有ボクセルにつき、ステップS42からステップS49までの処理が完了した場合には(ステップS50:YES)、配置位置決定部16は、候補ボクセル群において、計測可能ボクセル数が最大の非占有ボクセルの位置を、計測機配置位置として決定する(ステップS51)。決定された計測機配置位置(例えば計測機配置位置の三次元の座標情報)は記憶部3に記憶される。
続いて、配置位置決定部16は、計測可能ボクセル数が最大の非占有ボクセルを候補ボクセル群から除外し(ステップS52)、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理を終える。
続いて、配置位置決定部16は、図14中のステップS33へ処理を移行させる。そして、ステップS33において、計測機配置位置として決定された位置から計測可能な「未定」の高占有ボクセルおよび低占有ボクセルを「確定」に設定する。具体的には、配置位置決定部16は、ボクセルモデルにおいて、直前に実行された高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルの計測条件を満たす「未定」の各高占有ボクセルを「確定」に設定する。さらに、ボクセルモデルにおいて、直前に実行された高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に後述の低レベルの計測条件を満たす「未定」の各低占有ボクセルを「確定」に設定する。「確定」に設定された高占有ボクセルは、次回およびそれ以降に行われる高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、選択の対象から除外される(図15中のステップS44参照)。また、「確定」に設定された低占有ボクセルは、後に行われる低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、選択の対象から除外される(図16中のステップS64参照)。
配置位置決定部16は、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理(ステップS32)と、その処理で計測機配置位置として決定された位置から計測可能な「未定」の高占有ボクセルおよび低占有ボクセルを「確定」に設定する処理(ステップS33)を、下記の2つの終了条件のいずれかが満たされるまで繰り返し実行する。
すなわち、2つの終了条件とは次の通りである。
(A)ボクセルモデルにおいて、「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が基準上昇率以下となったこと
(B)ボクセルモデルにおけるすべての高占有ボクセルが「確定」になったこと
終了条件(A)について具体的に説明する。終了条件(A)をより正確に表現すると、終了条件(A)は、ステップS32およびステップS33の処理が繰り返し実行される間、その初回から前回までのステップS32の処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルまたは低レベルの計測条件を満たす高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計に対する、初回から今回までのステップS32の処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルまたは低レベルの計測条件を満たす高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計の上昇率が基準上昇率以下となったことである。
ここで、ステップS32およびステップS33の処理が繰り返し実行される間、その初回から前回までのステップS32の処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルまたは低レベルの計測条件を満たす高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計は、ステップS32およびステップS33の処理が繰り返し実行される間、その初回から前回までのステップS33の処理で「確定」に設定された高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計に等しい。また、ステップS32およびステップS33の処理が繰り返し実行される間、その初回から今回までのステップS32の処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルまたは低レベルの計測条件を満たす高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計は、ステップS32およびステップS33の処理が繰り返し実行される間、その初回から今回までのステップS33の処理で「確定」に設定された高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計に等しい。したがって、終了条件(A)は、平易に表現すると、ボクセルモデルにおいて、「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が基準上昇率以下となったことである。
図19に示すように、ステップS32およびステップS33の処理の繰り返しの回数が少ない間は、ボクセルモデルにおいて「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が大きい。そして、ステップS32およびステップS33の処理の繰り返しの回数が多くなるに連れて、上記上昇率が小さくなっていく。また、例えば高占有ボクセルまたは低占有ボクセルが被計測物(空調設備)において広範囲に分散している場合には、ステップS32およびステップS33の処理を多数繰り返しても、上記上昇率がほとんど減少しなくなることがある。本実施形態の計測機配置位置決定装置1においては、上記上昇率がほとんど減少しなくなったときの上記上昇率の値が基準上昇率として予め設定されている。そして、配置位置決定部16は、ボクセルモデルにおいて「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が基準上昇率以下となったときに、ステップS32およびステップS33の処理の繰り返しを停止させる。この結果、ステップS32およびステップS33の処理を多数繰り返しても上記上昇率がほとんど減少しなくなるといった現象が生じる前に、ステップS32およびステップS33の処理の繰り返しが停止する。
上記終了条件(A)が満たされたとき(ステップS34:YES)、または上記終了条件(B)が満たされたとき(ステップS35:YES)、配置位置決定部16は、続いて、低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理を行う(ステップS36)。低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理とは、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置し、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に低レベルの計測条件を満たす低占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数し、計数した低占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する処理である。
図16は、ステップS36で行われる低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の内容を示している。低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の流れは、図15に示す高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の流れと同様である。低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理と大きく異なる点は、図16中のステップS66である。すなわち、図15に示す高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理のステップS46では、ステップS43で選択された非占有ボクセルとの関係で、ステップS44で選択された高占有ボクセルが高レベルの計測条件を満たすか否かが判断される。これに対し、図16に示す低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理のステップS66では、ステップS63で選択された非占有ボクセルとの関係で、ステップS64で選択された低占有ボクセルが低レベルの計測条件を満たすか否かが判断される。
低レベルの計測条件の内容は次の通りである。
(2−1)現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光と、現在選択されている低占有ボクセルの法線とのなす角が第2の基準角度範囲内であること
(2−2)現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された計測機と、現在選択されている低占有ボクセルとの間の距離が第2の基準距離範囲内であること
(2−3)現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲が、既に計測機配置位置として決定されたいずれかの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲と所定量以上重なり合う(オーバーラップする)こと
低レベルの計測条件を満たすとは、(2−1)、(2−2)および(2−3)のすべてを満たすことを意味する。
配置位置決定部16は、図2中のステップS4において作業者により入力された計測条件情報を記憶部3から読み出し、この計測条件情報に基づいて、計測条件(2−1)の第2の基準角度範囲、計測条件(2−2)の第2の基準距離範囲、および計測条件(2−3)のオーバーラップの所定量を設定する。したがって、第2の基準角度範囲、第2の基準距離範囲およびオーバーラップの所定量は作業者が任意に定めることができる。
空調設備において重要度が低い部分を計測機により、然程高くない精度(例えばプラスマイナス15mm〜20mm以内の精度)で計測するためには、第2の基準角度範囲を例えば−90度よりも大きくかつ90度未満に定め、第2の基準距離範囲を例えば0.3m以上かつ20m以下に定めることが好ましい。オーバーラップの所定量については、計測の精度に拘わらず例えば20%に定めることが好ましい。
配置位置決定部16は、図16に示す低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理を終えた後、図14中のステップS37へ処理を移行させる。そして、ステップS37において、直前のステップS36で計測機配置位置として決定された位置から計測可能な「未定」の低占有ボクセルを「確定」に設定する。
配置位置決定部16は、低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理(ステップS36)と、その処理で計測機配置位置として決定された位置から計測可能な「未定」の低占有ボクセルを「確定」に設定する処理(ステップS37)を、下記の2つの終了条件のいずれかが満たされるまで繰り返し実行する。これら2つの終了条件とは次の通りである。
(C)ボクセルモデルにおいて、「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が基準上昇率以下となったこと
(D)ボクセルモデルにおけるすべての低占有ボクセルが「確定」になったこと
終了条件(C)は上記終了条件(A)と同様である。
終了条件(C)が満たされたとき(ステップS38:YES)、または終了条件(D)が満たされたとき(ステップS39:YES)、配置位置決定部16は配置位置決定処理を終える。
配置位置決定処理が終了した後、記憶部3には、複数の計測機配置位置が記憶されている。ここで、図20は計測機配置位置決定装置1により決定された設備室28内における計測機配置位置の一例を示している。この例では、設備室28内において14の計測機配置位置P1〜P14が計測機配置位置決定装置1により決定された。作業者は、計測機配置位置P1〜P14のそれぞれに計測機を順次配置して計測を行い、計測により得られた計測データを用いて空調設備の最終的な三次元モデルを生成する。
以上説明した通り、本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1は、作業者により提供された空調設備のベースモデル、空調設備の計測部分およびその重要度の指定、並びに計測機情報および計測条件情報に基づいて、空調設備を計測機により計測するための計測機配置位置を自動的に決定する。したがって、空調設備の施工に関する経験やスキルの乏しい作業者であっても、空調設備を計測機により計測する計測機配置位置の決定を容易かつ迅速に行うことができる。
また、本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1では、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理、および低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理をそれぞれ複数回行い、各回の配置位置決定処理において、候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置うち、その位置から照射したレーザー光が入射し得る高占有ボクセルまたは低占有ボクセルの個数が最大となる位置を選んでいくという方法で計測機配置位置を決定する。これにより、過不足のない最適な計測機配置位置を決定することができる。そして、作業者は、計測機配置位置決定装置1により決定された計測機配置位置に基づき、計測作業や三次元モデル生成作業を効率良く行うことができる。すなわち、計測機配置位置決定装置1により計測機配置位置を決定することにより、計測機配置位置が不足することを防止することができる。それゆえ、計測のやり直し等を防ぐことができ、計測作業の効率を高めることができる。また、計測機配置位置決定装置1により計測機配置位置を決定することにより、計測機配置位置が過多となることを防止することができる。それゆえ、計測機による計測で得られる計測データの量が膨大となることを防ぐことができ、最終的な三次元モデルの生成作業の効率を高めることができる。
また、本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1は、作業者の指定に従って、高精度な計測を行うための高レベルの計測条件を満たした計測機配置位置と、然程高くない精度で計測を行うための低レベルの計測条件を満たした計測機配置位置とを決定することができる。したがって、作業者は、計測機配置位置決定装置1により決定された計測機配置位置に計測機を配置して計測を行うことで、空調設備において、高精度に計測を行う必要のある重要な部分については高精度な計測データを得ることができ、一方、高精度に計測を行う必要のない、あまり重要でない部分については計測回数を削減して迅速に計測作業を行うことができる。
また、本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1は、候補ボクセル群中の非占有ボクセルを計測機配置位置として決定するに当たり、その非占有ボクセルから照射されるレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲と、既に計測機配置位置として決定されたいずれかの位置から照射されるレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲とが所定量以上重なり合うか否かを判断し、両範囲が所定量以上重なり合わない場合には、その非占有ボクセルを計測機配置位置には決定しない。これにより、計測機配置位置決定装置1によって決定された計測機配置位置に計測機を配置して空調設備の計測を行うことで、互いに隣接する計測機配置位置での計測で得られた計測データ間に一定のオーバーラップを確保することができる。よって、各計測機配置位置での計測で得られた計測データを合成する処理を高精度に行うことができ、被計測物の最終的な三次元モデルの品質を高めることができる。
また、本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1は、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の繰り返し、および低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の繰り返しを、「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が基準上昇率以下となったことという条件を満たしたときにそれぞれ終了させる。これにより、計測機配置位置を決定する処理を短時間で終えることができる。
なお、上述した実施形態では、被計測物における計測部分の重要度の段階を「高」および「低」の二段階としたが、これに限らず、「高」、「中」、「低」の三段階にしてもよく、さらには四段階以上にしてもよい。また、計測部分の指定のみを行い、重要度の指定を行わないようにしてもよい。また、「高」の重要度および「低」の重要度に「中」の重要度を追加した場合には、ボクセルモデルにおいて、重要度が「高」の計測部分に対応する高占有ボクセル、および重要度が「低」の計測部分に対応する低占有ボクセルに加え、重要度が「中」の計測部分に対応する中占有ボクセルを指定するようにする。さらに、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理および低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理に加え、中占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理を行うようにする。そして、中占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理では、候補ボクセル群から選択された非占有ボクセルとの関係で、「未定」の中占有ボクセルが中レベルの計測条件を満たすか否かを判断するようにする。
また、上述した実施形態において、計測機とその支持具とを合わせた全体の高さまたはレーザー光出射位置が異なる複数の計測機情報を入力可能とし、これら複数の計測機情報に対応した、高さまたはレーザー光出射位置の異なる複数の計測機モデルを形成するようにし、床面からの高さ、またはレーザー光出射位置が異なる複数の計測機配置位置を決定するようにしてもよい。
また、上述した実施形態において、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の繰り返し、および低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の繰り返しのそれぞれの終了条件を作業者が任意に設定できるようにしてもよい。
また、上述した高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、計測可能ボクセル数が最大の非占有ボクセルを候補ボクセル群から除外する処理(図15中のステップS52)を行わないこととしてもよい。また、上述した低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、計測可能ボクセル数が最大の非占有ボクセルを候補ボクセル群から除外する処理(図16中のステップS72)を行わないこととしてもよい。
また、本発明の計測機配置位置決定装置1は、空調設備を計測機で計測するための計測機配置位置の決定に限らず、給排水、電気通信等の設備や機械、建築物等、様々な被計測物を計測機で計測するための計測機配置位置の決定に用いることができる。
また、上述した実施形態において、ベースモデル読込部11は特許請求の範囲に記載のベースモデル取得部の具体例であり、ボクセルモデル生成部14は特許請求の範囲に記載のボクセルモデル生成部および要計測占有ボクセル指定部の具体例であり、配置位置候補指定部15は特許請求の範囲に記載の候補ボクセル群指定部の具体例である。また、高占有ボクセルは特許請求の範囲に記載の第1の要計測占有ボクセルの具体例であり、低占有ボクセルは特許請求の範囲に記載の第2の要計測占有ボクセルの具体例である。また、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理は特許請求の範囲に記載の第1の配置位置決定処理の具体例であり、低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理は特許請求の範囲に記載の第2の配置位置決定処理の具体例である。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う計測機配置位置決定装置、計測機配置位置決定方法およびプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
1 計測機配置位置決定装置
11 ベースモデル読込部(ベースモデル取得部)
12 計測部分指定部
13 データ補間部
14 ボクセルモデル生成部(ボクセルモデル生成部、要計測占有ボクセル指定部)
15 配置位置候補指定部(候補ボクセル群指定部)
16 配置位置決定部
本発明は、例えばレーザースキャナ等の計測機により被計測物の計測を行うに当たり、被計測物の周囲において計測機を配置する位置を決定する計測機配置位置決定装置、計測機配置位置決定方法およびプログラムに関する。
空調、給排水、電気通信等の設備や機械、建築物等の設計または施工において、このような設備や機械、建築物等の三次元モデルを活用することにより作業効率を高めることができる。例えば、空調設備の改修工事を行うに当たり、既存設備の三次元モデルを活用することにより、既存設備の現況を容易かつ正確に把握することができ、施工計画の立案や交換部品の設計、発注等を効率良く行うことができる。
三次元モデルの生成には、高い計測精度を有し、地上に設置して被計測物の三次元計測を行うことができる三次元計測機が用いられる。具体的には、三次元モデルの生成には、地上型の三次元レーザースキャナが用いられる。三次元モデルを生成するためには、被計測物を様々な角度から計測(スキャン)する必要がある。そのため、設備等の三次元モデルを生成する際には、設備等の周囲に計測機を配置する位置(計測機配置位置)を複数決定し、決定した複数の計測機配置位置のうちの1つの計測機配置位置に計測機を配置して設備等を計測し、その後、決定した複数の計測機配置位置のうちの別の計測機配置位置に計測機を配置して設備等を計測するといった作業を繰り返す。設備等の三次元モデルは、このようにして各計測機配置位置で得られた計測データを合成することにより生成される(下記の特許文献1を参照)。
特開2011−33438号公報
設備等の三次元モデルを生成するためにレーザースキャナ等の計測機により設備等の計測を行う際には、上述したように、設備等の周囲に計測機を配置する位置(計測機配置位置)を複数決定する。現在、これら計測機配置位置の決定は、多くの場合、作業者が、計測の事前に設備等の図面を目視により観察し、あるいは計測の現場で実際の設備等を目視により観察することにより行われている。
例えば、設備は、複雑な形状を有する多数の部品が密に組み合わさった立体構造物である。それゆえ、設備の周囲のある一箇所から当該設備を見た場合、設備の奥側の部分が手前側の部分に隠れて観察することができない状態(オクルージョン)が多数発生する。作業者は、このような設備の奥側の部分にも計測機からのレーザー光が届き、当該部分の計測が漏れなく行われるように、複数の異なる計測機配置位置を決定する。
しかしながら、計測機配置位置の決定作業は容易でなく、この作業を迅速または効率良くに行うためには多くのスキルと経験を要する。作業者のスキルや経験が十分でない場合、次に述べるように、計測作業や三次元モデル生成作業の効率が悪化することがある。すなわち、計測機配置位置が足りない場合には、一度の計測作業で十分な計測データが得られず、その結果、計測作業を再度行わなければならなくなり、計測作業の効率が悪化することがある。また、計測機配置位置が過多である場合には、計測により得られる計測データの量が膨大となり、その結果、三次元モデルの生成処理の時間が長くなり、三次元モデル生成作業の効率が悪化することがある。
また、工事等の目的に応じ、設備において必要な部分を高い精度で計測可能となるように計測機配置位置を決定することが要求される。しかしながら、この要求に応じるためには設備や計測に関する高度なスキルが必要である。作業者のスキルが不足している場合、設備の必要な部分についての高い計測精度を確保することは困難である。
本発明は例えば上述したような問題に鑑みなされたものであり、本発明の第1の課題は、設備等の被計測物をレーザースキャナ等の計測機で計測するための計測機配置位置を容易にかつ効率良く決定することができる計測機配置位置決定装置、計測機配置位置決定方法およびプログラムを提供することにある。また、本発明の第2の課題は、工事等の目的に応じ、被計測物において必要な部分を高い精度で計測可能となるように計測機配置位置を決定することができる計測機配置位置決定装置、計測機配置位置決定方法およびプログラムを提供することにある。
上記課題を解決するために、本発明の計測機配置位置決定装置は、レーザー光を照射して三次元計測を行う計測機により被計測物の位置、形状またはその他の属性を計測するために、被計測物の周囲において計測機を配置する計測機配置位置を決定する計測機配置位置決定装置であって、カメラでその位置または方向を変えながら被計測物およびその周囲を撮影することにより得られた複数の二次元画像を用いて生成された被計測物およびその周囲の三次元モデルであるベースモデルを取得するベースモデル取得部と、ベースモデル取得部により取得されたベースモデルを複数のボクセルに分割し、かつ複数のボクセルを少なくとも、内部に物体が存在する占有ボクセルと内部に物体が存在しない非占有ボクセルとに分類することによりボクセルモデルを生成するボクセルモデル生成部と、被計測物のうち計測機により第1の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第1の要計測占有ボクセルとして指定し、被計測物のうち計測機により第1の精度よりも低い第2の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第2の要計測占有ボクセルとして指定する要計測占有ボクセル指定部と、計測機と計測機を支持する支持具とが占める空間を被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりの全部または一部を候補ボクセル群として指定する候補ボクセル群指定部と、候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置の中から計測機配置位置を決定する配置位置決定部とを備えている。
また、本発明の計測機配置位置決定装置において、配置位置決定部は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した第1の要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する工程とを有する第1の配置位置決定処理を複数回行う。また、配置位置決定部は、第1の配置位置決定処理を終えた後、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した第2の要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する工程とを有する第2の配置位置決定処理を複数回行う。また、配置位置決定部は、第1の配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルを第1の配置位置決定処理における計数の対象から除外し、かつ第1の配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルを第1の配置位置決定処理および第2の配置位置決定処理のそれぞれにおける計数の対象から除外する。また、配置位置決定部は、第2の配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルを第2の配置位置決定処理における計数の対象から除外する。
さらに、本発明の計測機配置位置決定装置において、上記第1の計測条件は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光と当該レーザー光が入射し得る第1の要計測占有ボクセルの法線とのなす角が所定の第1の基準角度範囲内であり、かつ当該計測機と当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る第1の要計測占有ボクセルとの間の距離が所定の第1の基準距離範囲内であることである。また、上記第2の計測条件は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光と当該レーザー光が入射し得る第2の要計測占有ボクセルの法線とのなす角が所定の第2の基準角度範囲内であり、かつ当該計測機と当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る第2の要計測占有ボクセルとの間の距離が所定の第2の基準距離範囲内であることである。また、上記第2の基準角度範囲は上記第1の基準角度範囲よりも大きく、上記第2の基準距離範囲は上記第1の基準距離範囲よりも大きい。
このような構成を有する本発明の計測機配置位置決定装置において、ベースモデル取得部により取得される上記ベースモデルは、カメラにより被計測物を複数の異なる角度から撮影することにより得られた複数の二次元画像を用いて生成された被計測物およびその周囲の三次元点群モデルである。ベースモデルは、レーザースキャナ等の高い計測精度を有する三次元計測機により被計測物を計測することにより生成された三次元点群モデルと比較して点群密度および形状再現度が低い。
また、ボクセルモデル生成部により生成される上記ボクセルモデルを構成するボクセルは少なくとも、その内部に物体が存在する占有ボクセルと、その内部に物体が存在しない非占有ボクセルとに分類される。このボクセルモデルには、占有ボクセルおよび非占有ボクセル以外のボクセルが含まれていてもよい。例えば、このボクセルモデルには、内部に物体が存在するか否かが不明のボクセルが含まれていてもよい。
また、候補ボクセル群指定部により指定される上記候補ボクセル群は、計測機と当該計測機を支持する支持具とが占める空間を被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりの全部または一部である。計測機と当該計測機を支持する支持具とが占める空間を被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりは、例えば計測機を三脚に取り付けて床面に配置することが可能な被計測物の周囲の領域に相当する。
また、上記配置位置決定部は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した第1の要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する工程とを有する第1の配置位置決定処理を複数回行う。また、上記配置位置決定部は、第1の配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルを配置位置決定処理における計数の対象から除外する。
すなわち、配置位置決定部は、まず、初回の第1の配置位置決定処理において、候補ボクセル群中のそれぞれの非占有ボクセルの位置のうち、その位置に計測機を配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数が最大となる位置を計測機配置位置として決定する。次に、配置位置決定部は、初回の第1の配置位置決定処理で計測機配置位置として決定した位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルを次回およびそれ以降の第1の配置位置決定処理における計数の対象から除外する。以降、配置位置決定部はこのような処理を繰り返す。そして、配置位置決定部は、例えば、これまで実行された複数の第1の配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置のいずれかに計測機を仮想的に配置して当該計測機からレーザー光を照射すれば、要計測占有ボクセル指定部により指定されたすべての第1の要計測占有ボクセルに第1の計測条件を満たしつつレーザー光を入射させることができるという条件が満たされたとき、第1の配置位置決定処理の繰り返しを停止させる。なお、第1の配置位置決定処理の繰り返しを停止させる条件はこの条件に限らない。
また、上記配置位置決定部は、第1の配置位置決定処理を終えた後、第2の配置位置決定処理を繰り返し行う。
第2の配置位置決定処理の繰り返しが停止した後には、複数の計測機配置位置が決定されている。作業者は、その後、例えば、まず、当該決定された複数の計測機配置位置のうちの1つの計測機配置位置に計測機を配置して被計測物を計測し、次に、当該決定された複数の計測機配置位置のうちの別の計測機配置位置に計測機を配置して被計測物を計測するといった作業を行い、このような作業を繰り返すことで、当該決定されたすべての計測機配置位置において被計測物の計測を行う。そして、作業者は、計測で得られた計測データを用いて被計測物の三次元モデルを生成する。なお、この三次元モデルは、計測精度の高い三次元計測機を用いた計測により得られた計測データにより生成された三次元モデルであるため、上記ベースモデルよりも点群密度および形状再現度が高い、精緻な三次元モデルである。以下、計測精度の高い三次元計測機を用いた計測により得られた計測データにより生成された三次元モデルを「最終的な三次元モデル」という。
本発明の計測機配置位置決定装置によれば、被計測物を計測機で計測するために計測機を配置する位置(計測機配置位置)を容易に決定することができる。例えば、作業者が被計測物のベースモデルを用意し、このベースモデルのデータを計測機配置位置決定装置に入力すれば、計測機配置位置が計測機配置位置決定装置により自動的に決定される。したがって、作業者は、計測機配置位置の決定に関するスキルまたは経験が乏しい場合でも、計測機配置位置を容易に決定することができる。
また、本発明の計測機配置位置決定装置は、第1の配置位置決定処理を複数回行い、各回の第1の配置位置決定処理において、候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置うち、その位置から照射したレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数が最大となる位置を選んでいき、その後、第2の配置位置決定処理を複数回行い、各回の第2の配置位置決定処理において、候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置うち、その位置から照射したレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルの個数が最大となる位置を選んでいくという方法で計測機配置位置を決定する。これにより、過不足のない最適な計測機配置位置を決定することができる。したがって、計測機配置位置を決定した後に、計測機により被計測物を計測して被計測物の最終的な三次元モデルを生成する作業を効率良く行うことができる。
また、本発明の計測機配置位置決定装置において、要計測占有ボクセル指定部は、被計測物のうち計測機により第1の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第1の要計測占有ボクセルとして指定し、被計測物のうち計測機により第1の精度よりも低い第2の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第2の要計測占有ボクセルとして指定する。そして、配置位置決定部は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数し、計数した第1の要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する第1の配置位置決定処理を行う。また、配置位置決定部は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数し、計数した第2の要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する第2の配置位置決定処理を行う。これにより、被計測物において、高い計測精度が要求される部分(第1の精度で計測する部分)については、それらの部分を高い計測精度で計測することができる計測機配置位置を得ることができ、一方、高い計測精度が要求されない部分(第2の精度で計測する部分)については、それらの部分を計測する計測機配置位置の個数を少なくすることができる。作業者は、計測機配置位置決定装置により得られた計測機配置位置を用いて被計測物を三次元計測機で計測する際に、例えば被計測物のうち重要度が高い部分については高い計測精度で計測することができ、重要度が低い部分については、少ない計測回数で迅速に計測を終えることができる。この結果、工事の目的等に応じた高い品質を有する最終的な三次元モデルを迅速に生成することができる。
また、被計測物において高い計測精度が要求される部分については、被計測物において高い計測精度が要求されない部分と比較して、レーザー光と当該レーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの法線とのなす角の許容範囲が小さく、かつ計測機とレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルとの間の距離の許容範囲が小さい。このように、被計測物において高い計測精度が要求される部分については、被計測物において高い計測精度が要求されない部分と比較して厳格な計測条件が設定されている。したがって、被計測物において高い計測精度が要求される部分については、厳格な計測条件を満足する、高い計測精度による計測が可能な計測機配置位置を決定することができる。
また、上述した本発明の計測機配置位置決定装置において、配置位置決定部は、第1の配置位置決定処理において、候補ボクセル群に含まれるそれぞれの非占有ボクセルの位置の中から、その位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲が既に計測機配置位置として決定されたいずれかの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲と所定量以上重なり合う位置を複数選択し、当該選択した各位置に計測機を仮想的に配置し、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数を上記選択した位置ごとに計数し、計数した第1の要計測占有ボクセルの個数が最大となった位置を計測機配置位置として決定することが好ましい。また、配置位置決定部は、第2の配置位置決定処理において、候補ボクセル群に含まれるそれぞれの非占有ボクセルの位置の中から、その位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲が既に計測機配置位置として決定されたいずれかの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲と所定量以上重なり合う位置を複数選択し、当該選択した各位置に計測機を仮想的に配置し、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルの個数を上記選択した位置ごとに計数し、計数した第2の要計測占有ボクセルの個数が最大となった位置を計測機配置位置として決定することが好ましい。
本発明のこの態様によれば、計測機配置位置決定装置によって決定された計測機配置位置に計測機を配置して被計測物の計測を行った場合に、互いに隣接する計測機配置位置での計測で得られた計測データ(点群データ)間に一定のオーバーラップが確保される。これにより、各計測機配置位置での計測で得られた計測データを合成する処理を高精度に行うことができ、被計測物の最終的な三次元モデルの品質を高めることができる。
また、上述した本発明の計測機配置位置決定装置において、配置位置決定部は、初回から前回までの各第1の配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数の合計に対する、初回から今回までの各第1の配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数の合計の上昇率が所定の基準上昇率以下となるまで第1の配置位置決定処理を繰り返すこととしてもよい。
本発明のこの態様によれば、第1の配置位置決定処理の繰り返しが止まるまでに長い時間がかかることを防ぐことができる。すなわち、上述したように、配置位置決定部は第1の配置位置決定処理を繰り返し実行して複数の計測機配置位置を決定する。また、上述したように、第1の配置位置決定処理の繰り返しを停止させる条件として、これまで実行された複数の第1の配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置のいずれかに計測機を仮想的に配置して当該計測機からレーザー光を照射すれば、要計測占有ボクセル指定部により指定されたすべての第1の要計測占有ボクセルに第1の計測条件を満たしつつレーザー光を入射させることができるという条件を設定することができる。ところが、例えば第1の要計測占有ボクセルが多数指定され、それら第1の要計測占有ボクセルが被計測物における広い範囲に分散している場合には、この条件では、第1の配置位置決定処理の繰り返しが停止するまでに長い時間がかかることがある。一方、各第1の配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数の合計の上昇率は、通常、第1の配置位置決定処理の実行回数が増加するに連れて減少する。ところが、多数の第1の要計測占有ボクセルが被計測物における広い範囲に分散している場合、上記上昇率は、第1の配置位置決定処理の実行回数が少ない間は、第1の配置位置決定処理を実行する度に減少していくものの、第1の配置位置決定処理の実行回数がある程度多くなると、ある小さい値に収束する。したがって、例えば、上記上昇率が収束する値、またはその値の周辺の値を基準上昇率として設定し、上記上昇率が基準上昇率以下となったときに第1の配置位置決定処理の繰り返しを停止させるようにすることにより、第1の配置位置決定処理の繰り返しが停止するまでに長い時間がかかることを防ぐことができる。
また、上述した本発明の計測機配置位置決定装置において、配置位置決定部は、初回から前回までの各第2の配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルの個数の合計に対する、初回から今回までの各第2の配置位置決定処理において計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルの個数の合計の上昇率が所定の基準上昇率以下となるまで第2の配置位置決定処理を繰り返すこととしてもよい。これにより、第2の配置位置決定処理の繰り返しが止まるまでに長い時間がかかることを防ぐことができる。
また、上述した本発明の計測機配置位置決定装置において、配置位置決定部は、第1の配置位置決定処理または第2の配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に存在する非占有ボクセルを候補ボクセル群から除外することとしてもよい。これにより、第1および第2の配置位置決定処理を効率良く行うことができる。
また、上述した本発明の計測機配置位置決定装置に、ユーザ(作業者)の入力操作に従い、被計測物のうち計測機により第1の精度で計測する部分および第2の精度で計測する部分をそれぞれ指定する計測部分指定部を追加してもよい。この場合、要計測占有ボクセル指定部は、計測部分指定部により指定された第1の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第1の要計測占有ボクセルとして指定し、計測部分指定部により指定された第2の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第2の要計測占有ボクセルとして指定する。
本発明のこの態様によれば、作業者は、計測部分指定部により、例えば、工事等の目的に応じ、被計測物において重要度の高い部分を計測機により第1の精度で計測する部分として指定することができ、被計測物において重要度の低い部分を計測機により第2の精度で計測する部分として指定することができる。これにより、作業者は、被計測物において重要度の高い部分を計測するのに必要かつ十分な計測機配置位置を得ることができる。作業者は、このような計測機配置位置に計測機を配置して計測を行うことにより、工事等の目的に応じ、被計測物において重要度の高い部分を高い計測精度で計測することができる。また、作業者は、被計測物において重要度の低い部分を計測するのに必要かつ十分な計測機配置位置を得ることができる。作業者は、このような計測機配置位置に計測機を配置して計測を行うことにより、工事等の目的に応じ、被計測物において重要度の低い部分を計測することができる。また、計測範囲を絞り込むことができるので、計測作業を効率良く行うことができる。また、計測範囲を絞り込むことで、計測により得られる計測データの量を小さくすることができ、計測作業後の最終的な三次元モデルの生成処理の効率化を図ることができる。
上記課題を解決するために、本発明の計測機配置位置決定方法は、レーザー光を照射して三次元計測を行う計測機により被計測物の位置、形状またはその他の属性を計測するために、被計測物の周囲において計測機を配置する計測機配置位置を決定する計測機配置位置決定方法であって、カメラでその位置または方向を変えながら被計測物およびその周囲を撮影することにより得られた複数の二次元画像を用いて生成された被計測物およびその周囲の三次元モデルであるベースモデルを取得するベースモデル取得工程と、ベースモデル取得工程において取得されたベースモデルを複数のボクセルに分割し、かつ複数のボクセルを少なくとも、内部に物体が存在する占有ボクセルと内部に物体が存在しない非占有ボクセルとに分類することによりボクセルモデルを生成するボクセルモデル生成工程と、被計測物のうち計測機により第1の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第1の要計測占有ボクセルとして指定し、被計測物のうち計測機により第1の精度よりも低い第2の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第2の要計測占有ボクセルとして指定する要計測占有ボクセル指定工程と、計測機と計測機を支持する支持具とが占める空間を被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりの全部または一部を候補ボクセル群として指定する候補ボクセル群指定工程と、候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置の中から計測機配置位置を決定する配置位置決工程とを備えている。そして、配置位置決定工程では、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数を前記候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した第1の要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を前記計測機配置位置として決定する工程とを有する第1の配置位置決定処理を複数回行う。また、配置位置決定工程では、第1の配置位置決定処理を終えた後、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した第2の要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する工程とを有する第2の配置位置決定処理を複数回行う。また、配置位置決定工程では、第1の配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルを第1の配置位置決定処理における計数の対象から除外し、かつ第1の配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルを第1の配置位置決定処理および第2の配置位置決定処理のそれぞれにおける計数の対象から除外する。また、配置位置決定工程では、第2の配置位置決定処理を行う度に、既に計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルを第2の配置位置決定処理における計数の対象から除外する。また、第1の計測条件は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光と当該レーザー光が入射し得る第1の要計測占有ボクセルの法線とのなす角が所定の第1の基準角度範囲内であり、かつ当該計測機と当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る第1の要計測占有ボクセルとの間の距離が所定の第1の基準距離範囲内であることである。また、第2の計測条件は、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光と当該レーザー光が入射し得る第2の要計測占有ボクセルの法線とのなす角が所定の第2の基準角度範囲内であり、かつ当該計測機と当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る第2の要計測占有ボクセルとの間の距離が所定の第2の基準距離範囲内であることである。また、上記第2の基準角度範囲は上記第1の基準角度範囲よりも大きく、上記第2の基準距離範囲は上記第1の基準距離範囲よりも大きい。
本発明の計測機配置位置決定方法によれば、作業者は、計測機配置位置決定に関するスキルまたは経験がない場合でも、計測機配置位置を容易に決定することができる。また、過不足のない最適な計測機配置位置を決定することができ、決定された計測機配置位置を用いることにより、被計測物の計測作業、および被計測物の最終的な三次元モデルの生成作業を効率良く行うことができる。また、工事等の目的に応じ、被計測物において、高い計測精度が要求される部分については、それらの部分を高い計測精度で計測することができる計測機配置位置を得ることができ、一方、高い計測精度が要求されない部分については、それらの部分を計測する計測機配置位置の個数を少なくすることができる
上記課題を解決するために、本発明のプログラムは、上記本発明の計測機配置位置決定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムである。本発明のプログラムによれば、上述した本発明の計測機配置装置を実現することができる。
本発明によれば、被計測物をレーザースキャナ等の計測機で計測するに当たり、計測機配置位置を容易にかつ効率良く決定することができる。また、本発明によれば、工事等の目的に応じ、被計測物において必要な部分を高い精度で計測可能となるように計測機配置位置を決定することができる。
本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置の構成を示すブロック図である。 計測機配置位置を決定するための準備作業および本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置における処理の流れを示すフローチャートである。 被計測物の一例である空調設備を上方から見た説明図である。 図3中の空調設備の一部を側方から見た説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置において計測部分および重要度の指定処理を示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置におけるボクセルモデル生成処理を示すフローチャートである。 ボクセルモデルの概念を示す説明図である。 カメラの位置およびカメラの視錐台を示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置におけるボクセルモデルの生成方法を示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置における配置位置候補指定処理を示すフローチャートである。 床面ボクセルの認識方法を示す説明図である。 計測機モデルを示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置により指定された計測機配置位置の候補を示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置における配置位置決定メイン処理を示すフローチャートである。 図14中の配置位置決定メイン処理における、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の内容を示すフローチャートである。 図14中の配置位置決定メイン処理における、低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の内容を示すフローチャートである。 計測機の計測条件(入射角および計測距離)を示す説明図である。 計測機の計測条件(オーバーラップ)を示す説明図である。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置において、配置位置決定処理の回数と「確定」に設定されたボクセルの総数との関係を示すグラフである。 本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置により決定された計測機配置位置の一例を示す説明図である。
(計測機配置位置決定装置)
図1は本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1の構成を示している。図1において、計測機配置位置決定装置1は、計測機により被計測物の計測を行うに当たり、被計測物の周囲において計測機を配置する位置(計測機配置位置)を決定する装置である。
計測機は地上型の三次元レーザースキャナである。この計測機は、レーザー光を照射することにより、三次元空間における被計測物の各部の位置を示す点群データを生成することができ、これにより、被計測物の位置、形状およびその他の属性を計測することができる。また、計測機は、レーザー光の照射方向を水平面内において例えば180度変えることができ、かつ鉛直面内において例えば360度変えることができる。また、被計測物の計測の際、計測機は、例えば三脚等の支持具を用いて地面または床面上に置かれる。
計測機配置位置決定装置1は、演算処理部2、記憶部3、操作部4、表示部5およびデータ入出力部6を備えている。計測機配置位置決定装置1は、コンピュータを計測機配置位置決定装置として機能させるコンピュータプログラムを、例えばパーソナルコンピュータ等のコンピュータに読み込ませて実行させることにより実現することができる。この場合、演算処理部2は、コンピュータに設けられたCPU(中央演算処理装置)であり、記憶部3は、コンピュータに設けられた記憶装置である。また、操作部4は、コンピュータに接続されたキーボードおよびポインティングデバイスであり、表示部5は、コンピュータに接続されたディスプレイ装置である。また、データ入出力部6は、コンピュータに設けられたディスクドライブ装置、USB(ユニバーサル・シリアル・バス)メモリ等の外部記憶装置との間でデータの入出力を行うデータ入出力装置、またはコンピュータネットワークを介して他のコンピュータと通信を行う通信装置等である。
また、演算処理部2は、ベースモデル読込部11、計測部分指定部12、データ補間部13、ボクセルモデル生成部14、配置位置候補指定部15および配置位置決定部16を備えている。演算処理部2におけるこれらの部分は、演算処理部2が上記コンピュータプログラムを実行することにより実現される。
ベースモデル読込部11は、カメラ撮影およびSfM(Structure from Motion)により生成された被計測物の三次元モデルであるベースモデルを記憶部3に読み込む処理を行う。計測部分指定部12は、被計測物のうちの計測すべき部分、および計測すべき部分の重要度を作業者が指定するためユーザーインターフェイスを形成し、かつ作業者によるこれらの指定を受け取る処理を行う。データ補間部13は、ベースモデル中の欠損部分を補完する処理を行う。ボクセルモデル生成部14は、ベースモデルをボクセル(体積要素)に分割して被計測物のボクセルモデルを生成し、かつ作業者が指定した計測部分およびそれら重要度をボクセルモデルに反映させる処理を行う。配置位置候補指定部15は、ボクセルモデルに基づいて計測機配置位置の候補を指定する処理を行う。配置位置決定部16は、配置位置候補指定部15により指定された計測機配置位置の候補の中から、計測機配置位置を決定する処理を行う。
(準備作業から計測機配置位置決定までの流れ)
図2は、計測機配置位置を決定するための準備作業および計測機配置位置決定装置1における処理の流れを示している。以下、計測機配置位置を決定するための準備作業が開始されてから、計測機配置位置決定装置1により計測機配置位置が決定されるまでの作業および処理について説明する。
また、以下の説明では、被計測物が、図3および図4に示すような空調設備である場合を例にあげる。図3は空調設備を上方から見た図であり、図4は図3中の空調設備の一部を側方から見た図である。図3に示すように、空調設備は、複数のボイラ21、オイルタンク22、熱交換器23、還水タンク24、ダクト25、複数の配管26、複数のバルブ27等を備えている。各ボイラ21は、図4に示すように、設備室28の床面29上に設置されている。オイルタンク22、熱交換器23および還水タンク24についても同様である。ダクト25は設備室28の天井近傍に配置されている。各配管26は主に設備室28の天井近傍または側壁近傍に配置されている。各バルブ27も主に設備室28の天井近傍または側壁近傍に配置されている。
(撮影およびベースモデルの生成)
まず、図2中のステップS1に示すように、計測機配置位置決定装置1を用いて計測機配置位置を決定する際の準備作業として、作業者は、空調設備およびその周囲をカメラで撮影し、撮影により得られた複数の二次元画像を用いて空調設備およびその周囲のベースモデルを生成する。すなわち、作業者は、例えばデジタルスチルカメラまたはデジタルビデオカメラを用いて空調設備およびその周囲を撮影する。作業者は、カメラの位置または方向を変えながら空調設備およびその周囲を撮影する。例えば、作業者は設備室28内のボイラ21や配管26、バルブ27だけでなく、各ボイラ21が設置された床面29等も含むように撮影する。撮影により、様々な位置および方向から見た空調設備およびその周囲の多数の二次元画像が得られる。作業者は、SfMソフトウェアを用い、これら二次元画像に基づいて、空調設備およびその周囲の三次元点群モデルであるベースモデルを生成する。ベースモデルのデータには、ベースモデルの各点の三次元の座標、各点の色情報、カメラ位置および方向(撮影位置および撮影方向)の情報等が含まれている。なお、ベースモデルは、三次元レーザースキャナにより空調設備を計測することにより生成された三次元点群モデル(最終的な三次元モデル)と比較して点群密度および形状再現度が低い。
(ベースモデルデータの読込)
次に、図2中のステップS2に示すように、作業者は、空調設備およびその周囲のベースモデルのデータを計測機配置位置決定装置1に読み込ませる。すなわち、作業者は、コンピュータを操作し、コンピュータを計測機配置位置決定装置1として機能させるコンピュータプログラムを起動する。これにより、当該コンピュータは計測機配置位置決定装置1となる。作業者は、計測機配置位置決定装置1の操作部4を操作し、ベースモデルのデータを計測機配置位置決定装置1に読み込ませる。SfMソフトウェアで生成されたベースモデルのデータの記憶場所として、例えば、計測機配置位置決定装置1として動作している当該コンピュータの記憶装置、USBメモリ等の外部記憶装置、計測機配置位置決定装置1として動作している当該コンピュータとコンピュータネットワークを介して接続された他のコンピュータの記憶装置等が考えられる。計測機配置位置決定装置1のベースモデル読込部11は、作業者の操作に応じ、このような記憶場所からベースモデルのデータを読み出し、記憶部3に記憶する。
(計測部分および重要度の指定)
次に、図2中のステップS3に示すように、作業者は、空調設備のうち計測機により計測すべき部分(計測部分)、および計測部分の重要度を指定する。すなわち、作業者は、計測部分および重要度を指定する処理を行う旨の指示を計測機配置位置決定装置1に入力する。これに応じ、計測機配置位置決定装置1の計測部分指定部12は、空調設備およびその周囲のベースモデルを表示部5の画面に表示する。ここで、図5は、表示部5の画面に表示されたベースモデルを示している。作業者は、表示部5の画面に表示されたベースモデルを見ながら、操作部4を操作し、計測部分および重要度を指定する。例えば、図5において、太線で囲まれた部分が計測部分である。また、太線のうち、実線で囲まれた部分は重要度が「高」の部分である。また、太線のうち、二点鎖線で囲まれた部分は重要度が「低」の部分である。例えば、計測部分指定部12は、作業者により指定された計測部分のそれぞれの位置を示す座標情報と、作業者により指定された各計測部分の重要度を示す情報を記憶部3に記憶する。
なお、計測部分指定部12には、作業者が計測部分およびそれらの重要度を指定するためのユーザーインターフェイスに関する機能として、例えば、(1)表示部5の画面に表示するベースモデルの角度や大きさを変える機能、(2)表示部5の画面に表示されたベースモデルにおいて、作業者により指定された計測部分に重要度ごとにそれぞれ異なる色を付して表示する機能、(3)重要度が「高」の部分、および重要度が「低」の部分を、座標の数値を入力して指定する機能等を持たせてもよい。
(計測機情報および計測条件情報の入力)
次に、図2中のステップS4に示すように、作業者は、操作部4を操作し、計測機情報および計測条件情報を計測機配置位置決定装置1へ入力する。計測機情報とは、計測機を支持する支持具と計測機とを合わせた全体の長さ、幅および高さをそれぞれ示す数値、並びに計測機においてレーザー光が出射される位置(レーザー光出射位置)を示す数値である。計測機を支持する支持具は例えば三脚(雲台を含む)である。この場合、計測機を支持する支持具と計測機とを合わせた全体の長さ、幅および高さとは、計測機を三脚に取り付けたときの三脚と計測機とを合わせた全体の長さ、幅および高さを意味する。また、計測機においてレーザー光出射位置を示す数値は、例えば、計測機を三脚に取り付けたとき、計測機を水平面内において回転させる回転機構における回転軸と計測機の上面との交点に対するレーザー光出射位置のオフセット値であり、上記交点を基準にした三次元座標値である。例えば、上記交点の真下100mmの位置にレーザー光出射位置がある場合には、レーザー光出射位置を示す数値(x、y、z)は(0、0、−100)である。
また、計測条件情報とは、計測機による被計測物の計測条件を示す情報である。また、この計測条件とは、(1)レーザー光の入射角、(2)計測機と被計測物との距離、および(3)レーザー光の照射範囲のオーバーラップの量である。厳密には、レーザー光の入射角とは、計測機から照射されたレーザー光と、当該レーザー光が入射する被計測物の部分の法線とのなす角である。また、計測機と被計測物との距離とは、計測機と、計測機から照射されたレーザー光が入射する被計測物の部分との間の距離である。また、レーザー光の照射範囲のオーバーラップの量とは、隣接する2つの位置に配置した計測機から被計測物に向けてそれぞれレーザー光を照射した場合に、被計測物における一方のレーザー光の照射範囲の面積と、被計測物において一方のレーザー光の照射範囲と他方のレーザー光の照射範囲とが重なり合う部分の面積との比である。
計測条件のうち、レーザー光の入射角、および計測機と被計測物との距離については、重要度ごとに設定することができる。作業者は、例えば、空調設備のうち重要度が「高」の部分を計測するためのレーザー光の入射角、および計測機と被計測物との距離と、空調設備のうち重要度が「低」の部分を計測するためのレーザー光の入射角、および計測機と被計測物との距離とをそれぞれ入力する。作業者により入力された計測機情報および計測条件は記憶部3に記憶される。
(補間処理)
以上のベースモデルデータの読込、計測部分および重要度の指定、並びに計測機情報および計測条件の入力は、作業者の入力操作に応じて計測機配置位置決定装置1が随時処理を行うといった作業者と計測機配置位置決定装置1との共同作業であったが、以下の補間処理、ボクセルモデル生成処理、配置位置候補指定処理および配置位置決定処理は、計測機配置位置決定装置1が単独で自動的に行う処理である。例えば、作業者が、計測機配置位置を決定すべき旨の指示を計測機配置位置決定装置1へ入力すると、これに応じ、計測機配置位置決定装置1は、補間処理、ボクセルモデル生成処理、配置位置候補指定処理および配置位置決定処理を連続的に実行する。
まず、図2中のステップS5に示すように、計測機配置位置決定装置1のデータ補間部13が補間処理を行う。補間処理とは、ベースモデル中の欠損部分を補完する処理である。ベースモデルは、カメラにより撮影された二次元画像に基づいて生成された三次元点群モデルである。例えば、カメラにより撮影された二次元画像中に黒つぶれ部分や白飛び部分等が存在していた場合、それらの部分がベースモデル中の欠損部分となる。補間処理では、このような欠損部分のデータを、その部分の周囲の部分のデータに近似したデータに置換することにより、欠損部分を補間する。
(ボクセルモデル生成処理)
次に、図2中のステップS6に示すように、計測機配置位置決定装置1のボクセルモデル生成部14がボクセルモデル生成処理を行う。ボクセルモデル生成処理とは、ベースモデルをボクセルに分割して被計測物のボクセルモデルを生成し、かつ作業者により指定された計測部分およびそれらの重要度をボクセルモデルに反映させる処理である。
図6は、図2中のステップS6で行われるボクセルモデル生成処理の内容を示している。図7はボクセルモデルの概念を示している。図8はカメラの位置およびカメラの視錐台を示している。図9はボクセルモデルの生成方法を示している。
図6に示すボクセルモデル生成処理において、ボクセルモデル生成部14は、まず、ベースモデル読込部11により読み込まれ、かつデータ補間部13により補間処理が行われた、空調設備およびその周囲のベースモデルのAABB(Axis−Aligned Bouding Box)を形成する。続いて、ボクセルモデル生成部14は、図7に示すように、ベースモデルのAABBを複数のボクセル31に分割する(ステップS11)。各ボクセル31は、ベースモデルを構成する複数の点を包含する大きさを有する。
続いて、ボクセルモデル生成部14は、ベースモデルのAABBに含まれる複数のボクセル31において、占有ボクセルを指定する(ステップS12)。占有ボクセルとは、その内部に物体が存在するボクセルである。ボクセルモデル生成部14は、占有ボクセルの指定を例えば次のように行う。すなわち、ボクセルモデル生成部14は、ベースモデルのAABBに含まれる各ボクセル31につき、ボクセル31の内部に、補間処理が行われたベースモデルを構成する点(ベースモデルの表面)が含まれているか否かを判断する。そして、ボクセル31の内部に補間処理が行われたベースモデルを構成する点が含まれている場合、ボクセルモデル生成部14は、そのボクセル31を占有ボクセルとして指定する。
続いて、ボクセルモデル生成部14は、ベースモデルのAABBに含まれる複数のボクセル31において、非占有ボクセルおよび不明ボクセルを指定する(ステップS13)。非占有ボクセルとは、その内部に物体が存在しないボクセルである。不明ボクセルとは、内部に物体が存在する否かが不明のボクセルである。
ボクセルモデル生成部14は、非占有ボクセルおよび不明ボクセルの指定を例えば次のように行う。まず、ボクセルモデル生成部14は、図8に示すように、ベースモデルのデータに基づいて撮影時のカメラの位置Qおよび方向の1つの組み合わせを認識し、次に、認識した位置Qおよび方向のカメラの視錘台33を認識する。次に、ボクセルモデル生成部14は、視錘台33内に含まれるAABB境界面上のボクセル31の重心を認識する。次に、ボクセルモデル生成部14は、図9に示すように、認識したカメラの位置Qを始点Cとし、認識したAABB境界面上の1つのボクセル31の重心を終点Dとする光線Lを仮想的に設定し、この光線Lと交わる1つのボクセル31を認識する。次に、ボクセルモデル生成部14は、当該認識した1つのボクセル31と始点Cとの間に占有ボクセルが存在するか否かを判断し、当該認識した1つのボクセル31と始点Cとの間に占有ボクセルが存在する場合には、当該認識した1つのボクセル31を不明ボクセルとして指定する。一方、当該認識した1つのボクセル31と始点Cとの間に占有ボクセルが存在しない場合には、ボクセルモデル生成部14は、次に、当該認識した1つのボクセル31の内部に物体が存在するか否かを判断し、当該認識した1つのボクセル31の内部に物体が存在する場合には、当該認識した1つのボクセル31が占有ボクセルであることを確認し、一方、当該認識した1つのボクセル31の内部に物体が存在しない場合には、当該認識した1つのボクセル31を非占有ボクセルとして指定する。ボクセルモデル生成部14は、このような処理を、撮影時のカメラの位置および方向の複数の組み合わせにより認識される複数の視錘台のそれぞれにおいて、視錘台におけるカメラの位置Qを始点Cとし、視錘台に含まれるAABB境界面上のボクセルの重心を終点Dとする複数の光線Lのそれぞれと交わる複数のボクセルにつき繰り返し行う。
以上のステップS11からステップS13までの処理により、空調設備およびその周辺のボクセルモデルが生成される。
続いて、ボクセルモデル生成部14は、作業者により指定された、空調設備における計測部分およびそれらの重要度に従い、ボクセルモデルにおいて高占有ボクセルおよび低占有ボクセルを指定する(ステップS14)。高占有ボクセルとは、重要度が「高」の計測部分に対応する占有ボクセルである。低占有ボクセルとは、重要度が「低」の計測部分に対応する占有ボクセルである。後述するように、計測機配置位置決定装置1は、高占有ボクセルについては、高レベルの計測条件に従って計測機配置位置を決定し、低占有ボクセルについては、低レベルの計測条件に従って計測機配置位置を決定する。この点で、高占有ボクセルは、被計測物のうち計測機により高レベルの計測条件(第1の精度)で計測する部分に対応する占有ボクセルに相当する。また、低占有ボクセルは、被計測物のうち計測機により低レベルの計測条件(第2の精度)で計測する部分に対応する占有ボクセルに相当する。
記憶部3には、作業者により指定された計測部分の位置を示す座標情報と、作業者により指定された各計測部分の重要度を示す情報が記憶されている(図2中のステップS3を参照)。ボクセルモデル生成部14は、図6中のステップS14において、記憶部3に記憶された計測部分の位置を示す座標情報、および各計測部分の重要度を示す情報を参照し、高占有ボクセルおよび低占有ボクセルを指定する。
(配置位置候補指定処理)
次に、図2中のステップS7に示すように、計測機配置位置決定装置1の配置位置候補指定部15が配置位置候補指定処理を行う。配置位置候補決定処理とは、ボクセルモデルに基づいて計測機配置位置の候補を指定する処理である。
図10は配置位置候補指定処理の内容を示している。図11は床面ボクセルの認識方法を示している。図12は計測機モデルを示している。図13は、配置位置候補指定処理により指定された、計測機配置位置の候補を示している。
図10に示す配置位置候補指定処理において、配置位置候補指定部15は、まず、ボクセルモデルにおいて床面ボクセルを認識する(ステップS21)。配置位置候補指定部15は床面ボクセルの認識を例えば次のように行う。すなわち、図11に示すように、配置位置候補指定部15は、まず、ベースモデル35の各点36の法線(ベースモデルの表面の法線)を、ボクセルモデルにおける個々の占有ボクセルごとに合成することにより、ボクセルモデルにおける各占有ボクセル31の法線ベクトルNを認識する。次に、配置位置候補指定部15は、ボクセルモデルにおいて、法線ベクトルNが鉛直方向上向きの占有ボクセル31を選択し、当該選択した占有ボクセル31を床面ボクセルとして認識する。なお、占有ボクセルの法線ベクトルNが鉛直方向上向きか否かの判断は、ある程度緩やかに行ってもよく、すなわち、法線ベクトルが略鉛直方向上向きか否かといった判断でよい。
続いて、配置位置候補指定部15は計測機モデル37を形成する(ステップS22)。図12に示すように、計測機モデル37とは、計測機38と、計測機38を支持する支持具39とを合わせた全体が占める空間の形状および大きさに対応する円柱状のモデルである。例えば、計測機38を支持する支持具39が三脚である場合には、計測機モデル37は、計測機38を三脚に取り付けたときの計測機38と三脚とを合わせた全体が占める空間の形状および大きさに対応する円柱状のモデルである。計測機モデル37の半径Rは、計測機38と支持具39とを合わせた全体の長さおよび幅のうちいずれか大きい値の2分の1に等しい。また、計測機モデル37の高さHは、計測機38と支持具39とを合わせた全体の高さに等しい。また、計測機モデル37は、計測機38と支持具39とを合わせた全体が占める空間の範囲を示すのみであり、計測機モデル37の内部は空虚である。配置位置候補指定部15は、図2中のステップS4において作業者により入力された計測機情報を記憶部3から読み出し、この計測機情報に基づいて計測機モデル37を形成する。
また、配置位置候補指定部15は計測機モデル37におけるレーザー光出射位置を設定する。具体的には、計測機情報には、レーザー光出射位置を示す数値が含まれている。レーザー光出射位置を示す数値とは、上述したように、計測機を水平面内において回転させる回転機構における回転軸と計測機の上面との交点に対するレーザー光出射位置のオフセット値(三次元座標値)である。配置位置候補指定部15は、上記回転軸と計測機の上面との交点を円柱状の計測機モデル37の上面の中心点に配置し、当該中心点を基準にしたときの、上記オフセット値が対応する位置を計測機モデル37におけるレーザー光出射位置として設定する。例えば、計測機情報においてレーザー光出射位置を示す数値(x、y、x)が(0、0、−100)である場合、計測機モデル37におけるレーザー光出射位置は、計測機モデル37の上面の中心点からその真下へ100mm離れた位置に設定される。
続いて、配置位置候補指定部15は、ボクセルモデルにおける複数の床面ボクセルのうち、未選択の1つの床面ボクセルを選択する(図10中のステップS23)。なお、ステップS23が初めて実行される前の段階において、ステップS21で認識されたすべての床面ボクセルは未選択の状態になっている。
続いて、配置位置候補指定部15は、選択した床面ボクセル上に計測機モデル37を置くことができるか否かを判断する(ステップS24)。配置位置候補指定部15はこの判断を例えば次のように行う。まず、配置位置候補指定部15は、計測機モデル37の下面の中心が、選択した床面ボクセル上に接するように計測機モデル37をボクセルモデル中に置く。次に、配置位置候補指定部15は、このようにボクセルモデル中に置かれた計測機モデル37の内部に、ボクセルモデルにおける占有ボクセルが存在するか否かを判断する。計測機モデル37の内部に、ボクセルモデルにおける占有ボクセルが存在しない場合には、配置位置候補指定部15は、選択した床面ボクセル上に計測機モデル37を置くことができると判断する。一方、計測機モデル37の内部に、ボクセルモデルにおける占有ボクセルが存在する場合には、配置位置候補指定部15は、選択した床面ボクセル上に計測機モデル37を置くことができないと判断する。
選択した床面ボクセル上に計測機モデル37を置くことができる場合には(ステップS24:YES)、配置位置候補指定部15は、ボクセルモデルにおいて、現在選択されている床面ボクセル上に置かれた計測機モデル37のレーザー光出射位置が含まれるボクセルモデルにおける非占有ボクセルを候補ボクセル群に追加する(ステップS25)。候補ボクセル群とは、ボクセルモデルにおいて、計測機38と支持具39とが占める空間を床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりである。候補ボクセル群は記憶部3に記憶される。一方、選択した床面ボクセル上に計測機モデル37を置くことができない場合には(ステップS24:NO)、配置位置候補指定部15は候補ボクセル群に何も追加しない。
次に、配置位置候補指定部15は、ボクセルモデルにおけるすべての床面ボクセルにつきステップS23からステップS25までの処理が完了したか否かを判断する(ステップS26)。そして、ボクセルモデルにおけるすべての床面ボクセルにつきステップS23からステップS25までの処理が完了していない場合には(ステップS26:NO)、配置位置候補指定部15は、処理をステップS23に戻し、ボクセルモデルにおける未選択の他の床面ボクセルについてステップS23からステップS25までの処理を行う。一方、ボクセルモデルにおけるすべての床面ボクセルにつきステップS23からステップS25までの処理が完了した場合には(ステップS26:YES)、配置位置候補指定部15は配置位置候補指定処理を終える。
配置位置候補指定処理が終わった段階の候補ボクセル群は、計測機38とその支持具39とを設備室28の床面上に配置することが可能な領域に対応する。例えば、図13に示す設備室28において、ハッチングを付した部分がこの領域である。この領域が計測機配置位置の候補に当たる。
(配置位置決定処理)
次に、図2中のステップS8に示すように、計測機配置位置決定装置1の配置位置決定部16が配置位置決定処理を行う。配置位置決定処理とは、配置位置候補指定処理において指定された計測機配置位置の候補の中から、計測機配置位置を決定する処理である。
図14、図15および図16は配置位置決定処理の内容を示している。図17は計測条件(入射角および計測距離)を示している。図18は計測条件(オーバーラップ)を示している。図19は配置位置決定処理の回数と「確定」に設定されたボクセルの総数との関係を示している。
配置位置決定処理は、図14に示す配置位置決定メイン処理と、図15に高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理と、図16に示す低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理により構成されており、配置位置決定メイン処理の実行中に、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理と、低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理とが呼び出されて実行される。
図14に示す配置位置決定メイン処理において、配置位置決定部16は、まず、ボクセルモデルにおけるすべての高占有ボクセルおよび低占有ボクセルを「未定」に設定する(ステップS31)。例えば、配置位置決定部16は、ボクセルモデルにおける高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれが「未定」の状態か、「確定」の状態かを示す状態フラグを高占有ボクセルおよび低占有ボクセルごとに生成し、これらすべての状態フラグを「未定」を示す値に設定する。
続いて、配置位置決定部16は、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理を行う(ステップS32)。高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理とは、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置し、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルの計測条件を満たす高占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数し、計数した高占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する処理である。
ここで、図15は、ステップS32で行われる高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の内容を示している。高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、配置位置決定部16は、まず、候補ボクセル群中のすべての非占有ボクセルを未選択の状態にする(ステップS41)。
続いて、配置位置決定部16は、ボクセルカウント値を0に設定して、ボクセルカウント値を初期化する(ステップS42)。
続いて、配置位置決定部16は、候補ボクセル群中の未選択の1つの非占有ボクセルを選択する(ステップS43)。
続いて、配置位置決定部16は、ボクセルモデルにおいて、「未定」かつ未選択の1つの高占有ボクセルを選択する(ステップS44)。
続いて、配置位置決定部16は、現在選択されている非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されるレーザー光が、現在選択されている高占有ボクセルに入射し得るか否かを判断する(ステップS45)。ここで仮想的に配置される計測機は、レーザー光の照射方向を水平面内において360度変えることができ、かつ鉛直面内において360度変えることができる。このような範囲の照射方向のうちのいずれかの照射方向に設定して計測機から照射されたレーザー光(直線)が、現在選択されている高占有ボクセルと交わるとき、レーザー光が、現在選択されている高占有ボクセルに入射し得ると判断することができる。なお、現在選択されている非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されるレーザー光が、現在選択されている高占有ボクセルに入射し得ることは、現在選択されている非占有ボクセルの位置からいずれかの方向へ伸びる直線が、現在選択されている高占有ボクセルと交わり、かつ当該直線が現在選択されている非占有ボクセルの位置から現在選択されている高占有ボクセルに至るまでの間に他の占有ボクセル内を通過しないことと言い換えることができる。
現在選択されている非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されるレーザー光が、現在選択されている高占有ボクセルに入射し得るとき(ステップS45:YES)、続いて、配置位置決定部16は、現在選択されている非占有ボクセルとの関係で、現在選択されている高占有ボクセルが高レベルの計測条件を満たすか否かを判断する(ステップS46)。
高レベルの計測条件の内容は次の通りである。
(1−1)図17に示すように、現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置Eに仮想的に配置された計測機38から照射されたレーザー光Fと、現在選択されている高占有ボクセル40の法線Gとのなす角Kが第1の基準角度範囲内であること
(1−2)図17に示すように、現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置Eに仮想的に配置された計測機38と、現在選択されている高占有ボクセル40との間の距離Mが第1の基準距離範囲内であること
(1−3)図18に示すように、現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置Aに計測機38を仮想的に配置した場合に、当該計測機38から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲Uが、既に計測機配置位置として決定されたいずれかの位置Bに仮想的に配置された計測機38から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲Wと所定量以上重なり合う(オーバーラップする)こと
高レベルの計測条件を満たすとは、(1−1)、(1−2)および(1−3)のすべてを満たすことを意味する。
配置位置決定部16は、図2中のステップS4において作業者により入力された計測条件情報を記憶部3から読み出し、この計測条件情報に基づいて、計測条件(1−1)の第1の基準角度範囲、計測条件(1−2)の第1の基準距離範囲、および計測条件(1−3)のオーバーラップの所定量を設定する。したがって、第1の基準角度範囲、第1の基準距離範囲およびオーバーラップの所定量は作業者が任意に定めることができる。
空調設備のうち重要度が高い部分を計測機により高い精度(例えばプラスマイナス1mm〜5mm以内の精度)で計測するためには、第1の基準角度範囲を例えば−45度以上かつ45度以下に定め、第1の基準距離範囲を例えば0.3m以上かつ5m以下に定めることが好ましい。また、オーバーラップの所定量は、現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲の例えば20%に定めることが好ましい。
現在選択されている非占有ボクセルとの関係で、現在選択されている高占有ボクセルが高レベルの計測条件を満たす場合(ステップS46:YES)、配置位置決定部16は、ボクセルカウント値を1増加させる(ステップS47)。
一方、現在選択されている非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されるレーザー光が、現在選択されている高占有ボクセルに入射し得ない場合(ステップS45:NO)、または現在選択されている非占有ボクセルとの関係で、現在選択されている高占有ボクセルが高レベルの計測条件を満たさない場合(ステップS46:NO)、配置位置決定部16は、ボクセルカウント値を増加させない。
続いて、配置位置決定部16は、ボクセルモデルにおけるすべての「未定」の高占有ボクセルにつき、ステップS44からステップS47までの処理が完了したか否かを判断する(ステップS48)。そして、ボクセルモデルにおけるすべての「未定」の高占有ボクセルにつき、ステップS44からステップS47までの処理が完了していない場合には(ステップS48:NO)、配置位置決定部16は、処理をステップS44に戻し、ボクセルモデルにおいて、「未定」かつ未選択の他の高占有ボクセルにつき、ステップS44からステップS47までの処理を行う。
一方、ボクセルモデルにおけるすべての「未定」の高占有ボクセルにつき、ステップS44からステップS47までの処理が完了した場合には(ステップS48:YES)、配置位置決定部16はボクセルカウント値を、現在選択されている非占有ボクセルの計測可能ボクセル数として記憶部3に記憶する(ステップS49)。
続いて、配置位置決定部16は、候補ボクセル群中のすべての非占有ボクセルにつき、ステップS42からステップS49までの処理が完了したか否かを判断する(ステップS50)。候補ボクセル群中のすべての非占有ボクセルにつき、ステップS42からステップS49までの処理が完了していない場合には(ステップS50:NO)、配置位置決定部16は、処理をステップS42へ戻し、候補ボクセル群中の未選択の他の非占有ボクセルについて、ステップS42からステップS49までの処理を行う。
一方、候補ボクセル群中のすべての非占有ボクセルにつき、ステップS42からステップS49までの処理が完了した場合には(ステップS50:YES)、配置位置決定部16は、候補ボクセル群において、計測可能ボクセル数が最大の非占有ボクセルの位置を、計測機配置位置として決定する(ステップS51)。決定された計測機配置位置(例えば計測機配置位置の三次元の座標情報)は記憶部3に記憶される。
続いて、配置位置決定部16は、計測可能ボクセル数が最大の非占有ボクセルを候補ボクセル群から除外し(ステップS52)、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理を終える。
続いて、配置位置決定部16は、図14中のステップS33へ処理を移行させる。そして、ステップS33において、計測機配置位置として決定された位置から計測可能な「未定」の高占有ボクセルおよび低占有ボクセルを「確定」に設定する。具体的には、配置位置決定部16は、ボクセルモデルにおいて、直前に実行された高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルの計測条件を満たす「未定」の各高占有ボクセルを「確定」に設定する。さらに、ボクセルモデルにおいて、直前に実行された高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に後述の低レベルの計測条件を満たす「未定」の各低占有ボクセルを「確定」に設定する。「確定」に設定された高占有ボクセルは、次回およびそれ以降に行われる高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、選択の対象から除外される(図15中のステップS44参照)。また、「確定」に設定された低占有ボクセルは、後に行われる低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、選択の対象から除外される(図16中のステップS64参照)。
配置位置決定部16は、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理(ステップS32)と、その処理で計測機配置位置として決定された位置から計測可能な「未定」の高占有ボクセルおよび低占有ボクセルを「確定」に設定する処理(ステップS33)を、下記の2つの終了条件のいずれかが満たされるまで繰り返し実行する。
すなわち、2つの終了条件とは次の通りである。
(A)ボクセルモデルにおいて、「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が基準上昇率以下となったこと
(B)ボクセルモデルにおけるすべての高占有ボクセルが「確定」になったこと
終了条件(A)について具体的に説明する。終了条件(A)をより正確に表現すると、終了条件(A)は、ステップS32およびステップS33の処理が繰り返し実行される間、その初回から前回までのステップS32の処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルまたは低レベルの計測条件を満たす高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計に対する、初回から今回までのステップS32の処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルまたは低レベルの計測条件を満たす高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計の上昇率が基準上昇率以下となったことである。
ここで、ステップS32およびステップS33の処理が繰り返し実行される間、その初回から前回までのステップS32の処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルまたは低レベルの計測条件を満たす高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計は、ステップS32およびステップS33の処理が繰り返し実行される間、その初回から前回までのステップS33の処理で「確定」に設定された高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計に等しい。また、ステップS32およびステップS33の処理が繰り返し実行される間、その初回から今回までのステップS32の処理で計測機配置位置として決定された位置に計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に高レベルまたは低レベルの計測条件を満たす高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計は、ステップS32およびステップS33の処理が繰り返し実行される間、その初回から今回までのステップS33の処理で「確定」に設定された高占有ボクセルおよび低占有ボクセルのそれぞれの個数の合計に等しい。したがって、終了条件(A)は、平易に表現すると、ボクセルモデルにおいて、「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が基準上昇率以下となったことである。
図19に示すように、ステップS32およびステップS33の処理の繰り返しの回数が少ない間は、ボクセルモデルにおいて「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が大きい。そして、ステップS32およびステップS33の処理の繰り返しの回数が多くなるに連れて、上記上昇率が小さくなっていく。また、例えば高占有ボクセルまたは低占有ボクセルが被計測物(空調設備)において広範囲に分散している場合には、ステップS32およびステップS33の処理を多数繰り返しても、上記上昇率がほとんど減少しなくなることがある。本実施形態の計測機配置位置決定装置1においては、上記上昇率がほとんど減少しなくなったときの上記上昇率の値が基準上昇率として予め設定されている。そして、配置位置決定部16は、ボクセルモデルにおいて「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が基準上昇率以下となったときに、ステップS32およびステップS33の処理の繰り返しを停止させる。この結果、ステップS32およびステップS33の処理を多数繰り返しても上記上昇率がほとんど減少しなくなるといった現象が生じる前に、ステップS32およびステップS33の処理の繰り返しが停止する。
上記終了条件(A)が満たされたとき(ステップS34:YES)、または上記終了条件(B)が満たされたとき(ステップS35:YES)、配置位置決定部16は、続いて、低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理を行う(ステップS36)。低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理とは、候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置し、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に低レベルの計測条件を満たす低占有ボクセルの個数を候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数し、計数した低占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を計測機配置位置として決定する処理である。
図16は、ステップS36で行われる低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の内容を示している。低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の流れは、図15に示す高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の流れと同様である。低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理と大きく異なる点は、図16中のステップS66である。すなわち、図15に示す高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理のステップS46では、ステップS43で選択された非占有ボクセルとの関係で、ステップS44で選択された高占有ボクセルが高レベルの計測条件を満たすか否かが判断される。これに対し、図16に示す低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理のステップS66では、ステップS63で選択された非占有ボクセルとの関係で、ステップS64で選択された低占有ボクセルが低レベルの計測条件を満たすか否かが判断される。
低レベルの計測条件の内容は次の通りである。
(2−1)現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光と、現在選択されている低占有ボクセルの法線とのなす角が第2の基準角度範囲内であること
(2−2)現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された計測機と、現在選択されている低占有ボクセルとの間の距離が第2の基準距離範囲内であること
(2−3)現在選択されている候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置に計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲が、既に計測機配置位置として決定されたいずれかの位置に仮想的に配置された計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲と所定量以上重なり合う(オーバーラップする)こと
低レベルの計測条件を満たすとは、(2−1)、(2−2)および(2−3)のすべてを満たすことを意味する。
配置位置決定部16は、図2中のステップS4において作業者により入力された計測条件情報を記憶部3から読み出し、この計測条件情報に基づいて、計測条件(2−1)の第2の基準角度範囲、計測条件(2−2)の第2の基準距離範囲、および計測条件(2−3)のオーバーラップの所定量を設定する。したがって、第2の基準角度範囲、第2の基準距離範囲およびオーバーラップの所定量は作業者が任意に定めることができる。
空調設備において重要度が低い部分を計測機により、然程高くない精度(例えばプラスマイナス15mm〜20mm以内の精度)で計測するためには、第2の基準角度範囲を例えば−90度よりも大きくかつ90度未満に定め、第2の基準距離範囲を例えば0.3m以上かつ20m以下に定めることが好ましい。オーバーラップの所定量については、計測の精度に拘わらず例えば20%に定めることが好ましい。
配置位置決定部16は、図16に示す低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理を終えた後、図14中のステップS37へ処理を移行させる。そして、ステップS37において、直前のステップS36で計測機配置位置として決定された位置から計測可能な「未定」の低占有ボクセルを「確定」に設定する。
配置位置決定部16は、低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理(ステップS36)と、その処理で計測機配置位置として決定された位置から計測可能な「未定」の低占有ボクセルを「確定」に設定する処理(ステップS37)を、下記の2つの終了条件のいずれかが満たされるまで繰り返し実行する。これら2つの終了条件とは次の通りである。
(C)ボクセルモデルにおいて、「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が基準上昇率以下となったこと
(D)ボクセルモデルにおけるすべての低占有ボクセルが「確定」になったこと
終了条件(C)は上記終了条件(A)と同様である。
終了条件(C)が満たされたとき(ステップS38:YES)、または終了条件(D)が満たされたとき(ステップS39:YES)、配置位置決定部16は配置位置決定処理を終える。
配置位置決定処理が終了した後、記憶部3には、複数の計測機配置位置が記憶されている。ここで、図20は計測機配置位置決定装置1により決定された設備室28内における計測機配置位置の一例を示している。この例では、設備室28内において14の計測機配置位置P1〜P14が計測機配置位置決定装置1により決定された。作業者は、計測機配置位置P1〜P14のそれぞれに計測機を順次配置して計測を行い、計測により得られた計測データを用いて空調設備の最終的な三次元モデルを生成する。
以上説明した通り、本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1は、作業者により提供された空調設備のベースモデル、空調設備の計測部分およびその重要度の指定、並びに計測機情報および計測条件情報に基づいて、空調設備を計測機により計測するための計測機配置位置を自動的に決定する。したがって、空調設備の施工に関する経験やスキルの乏しい作業者であっても、空調設備を計測機により計測する計測機配置位置の決定を容易かつ迅速に行うことができる。
また、本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1では、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理、および低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理をそれぞれ複数回行い、各回の配置位置決定処理において、候補ボクセル群中の非占有ボクセルの位置うち、その位置から照射したレーザー光が入射し得る高占有ボクセルまたは低占有ボクセルの個数が最大となる位置を選んでいくという方法で計測機配置位置を決定する。これにより、過不足のない最適な計測機配置位置を決定することができる。そして、作業者は、計測機配置位置決定装置1により決定された計測機配置位置に基づき、計測作業や三次元モデル生成作業を効率良く行うことができる。すなわち、計測機配置位置決定装置1により計測機配置位置を決定することにより、計測機配置位置が不足することを防止することができる。それゆえ、計測のやり直し等を防ぐことができ、計測作業の効率を高めることができる。また、計測機配置位置決定装置1により計測機配置位置を決定することにより、計測機配置位置が過多となることを防止することができる。それゆえ、計測機による計測で得られる計測データの量が膨大となることを防ぐことができ、最終的な三次元モデルの生成作業の効率を高めることができる。
また、本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1は、作業者の指定に従って、高精度な計測を行うための高レベルの計測条件を満たした計測機配置位置と、然程高くない精度で計測を行うための低レベルの計測条件を満たした計測機配置位置とを決定することができる。したがって、作業者は、計測機配置位置決定装置1により決定された計測機配置位置に計測機を配置して計測を行うことで、空調設備において、高精度に計測を行う必要のある重要な部分については高精度な計測データを得ることができ、一方、高精度に計測を行う必要のない、あまり重要でない部分については計測回数を削減して迅速に計測作業を行うことができる。
また、本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1は、候補ボクセル群中の非占有ボクセルを計測機配置位置として決定するに当たり、その非占有ボクセルから照射されるレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲と、既に計測機配置位置として決定されたいずれかの位置から照射されるレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲とが所定量以上重なり合うか否かを判断し、両範囲が所定量以上重なり合わない場合には、その非占有ボクセルを計測機配置位置には決定しない。これにより、計測機配置位置決定装置1によって決定された計測機配置位置に計測機を配置して空調設備の計測を行うことで、互いに隣接する計測機配置位置での計測で得られた計測データ間に一定のオーバーラップを確保することができる。よって、各計測機配置位置での計測で得られた計測データを合成する処理を高精度に行うことができ、被計測物の最終的な三次元モデルの品質を高めることができる。
また、本発明の実施形態の計測機配置位置決定装置1は、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の繰り返し、および低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の繰り返しを、「確定」に設定されたボクセルの総数の上昇率が基準上昇率以下となったことという条件を満たしたときにそれぞれ終了させる。これにより、計測機配置位置を決定する処理を短時間で終えることができる。
なお、上述した実施形態では、被計測物における計測部分の重要度の段階を「高」および「低」の二段階としたが、これに限らず、「高」、「中」、「低」の三段階にしてもよく、さらには四段階以上にしてもよい。また、計測部分の指定のみを行い、重要度の指定を行わないようにしてもよい。また、「高」の重要度および「低」の重要度に「中」の重要度を追加した場合には、ボクセルモデルにおいて、重要度が「高」の計測部分に対応する高占有ボクセル、および重要度が「低」の計測部分に対応する低占有ボクセルに加え、重要度が「中」の計測部分に対応する中占有ボクセルを指定するようにする。さらに、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理および低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理に加え、中占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理を行うようにする。そして、中占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理では、候補ボクセル群から選択された非占有ボクセルとの関係で、「未定」の中占有ボクセルが中レベルの計測条件を満たすか否かを判断するようにする。
また、上述した実施形態において、計測機とその支持具とを合わせた全体の高さまたはレーザー光出射位置が異なる複数の計測機情報を入力可能とし、これら複数の計測機情報に対応した、高さまたはレーザー光出射位置の異なる複数の計測機モデルを形成するようにし、床面からの高さ、またはレーザー光出射位置が異なる複数の計測機配置位置を決定するようにしてもよい。
また、上述した実施形態において、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の繰り返し、および低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理の繰り返しのそれぞれの終了条件を作業者が任意に設定できるようにしてもよい。
また、上述した高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、計測可能ボクセル数が最大の非占有ボクセルを候補ボクセル群から除外する処理(図15中のステップS52)を行わないこととしてもよい。また、上述した低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理において、計測可能ボクセル数が最大の非占有ボクセルを候補ボクセル群から除外する処理(図16中のステップS72)を行わないこととしてもよい。
また、本発明の計測機配置位置決定装置1は、空調設備を計測機で計測するための計測機配置位置の決定に限らず、給排水、電気通信等の設備や機械、建築物等、様々な被計測物を計測機で計測するための計測機配置位置の決定に用いることができる。
また、上述した実施形態において、ベースモデル読込部11は特許請求の範囲に記載のベースモデル取得部の具体例であり、ボクセルモデル生成部14は特許請求の範囲に記載のボクセルモデル生成部および要計測占有ボクセル指定部の具体例であり、配置位置候補指定部15は特許請求の範囲に記載の候補ボクセル群指定部の具体例である。また、高占有ボクセルは特許請求の範囲に記載の第1の要計測占有ボクセルの具体例であり、低占有ボクセルは特許請求の範囲に記載の第2の要計測占有ボクセルの具体例である。また、高占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理は特許請求の範囲に記載の第1の配置位置決定処理の具体例であり、低占有ボクセルの計測に関する配置位置決定処理は特許請求の範囲に記載の第2の配置位置決定処理の具体例である。
また、本発明は、請求の範囲および明細書全体から読み取ることのできる発明の要旨または思想に反しない範囲で適宜変更可能であり、そのような変更を伴う計測機配置位置決定装置、計測機配置位置決定方法およびプログラムもまた本発明の技術思想に含まれる。
1 計測機配置位置決定装置
11 ベースモデル読込部(ベースモデル取得部)
12 計測部分指定部
13 データ補間部
14 ボクセルモデル生成部(ボクセルモデル生成部、要計測占有ボクセル指定部)
15 配置位置候補指定部(候補ボクセル群指定部)
16 配置位置決定部

Claims (9)

  1. レーザー光を照射して三次元計測を行う計測機により被計測物の位置、形状またはその他の属性を計測するために、前記被計測物の周囲において前記計測機を配置する計測機配置位置を決定する計測機配置位置決定装置であって、
    カメラでその位置または方向を変えながら前記被計測物およびその周囲を撮影することにより得られた複数の二次元画像を用いて生成された前記被計測物およびその周囲の三次元モデルであるベースモデルを取得するベースモデル取得部と、
    前記ベースモデル取得部により取得されたベースモデルを複数のボクセルに分割し、かつ前記複数のボクセルを少なくとも、内部に物体が存在する占有ボクセルと内部に物体が存在しない非占有ボクセルとに分類することによりボクセルモデルを生成するボクセルモデル生成部と、
    前記被計測物のうち前記計測機で計測する部分に対応する占有ボクセルを要計測占有ボクセルとして指定する要計測占有ボクセル指定部と、
    前記計測機と前記計測機を支持する支持具とが占める空間を前記被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりの全部または一部を候補ボクセル群として指定する候補ボクセル群指定部と、
    前記候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に前記計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数を前記候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を前記計測機配置位置として決定する工程とを有する配置位置決定処理を複数回行い、前記配置位置決定処理を行う度に、既に前記計測機配置位置として決定された位置に前記計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルを前記配置位置決定処理における計数の対象から除外する配置位置決定部とを備えていることを特徴とする計測機配置位置決定装置。
  2. 前記配置位置決定部は、前記候補ボクセル群に含まれるそれぞれの非占有ボクセルの位置の中から、その位置に前記計測機を仮想的に配置した場合に、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲が既に前記計測機配置位置として決定されたいずれかの位置に仮想的に配置された前記計測機から照射されたレーザー光が入射し得る占有ボクセルの集まりの占める範囲と所定量以上重なり合う位置を複数選択し、当該選択した各位置に前記計測機を仮想的に配置し、当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数を前記選択した位置ごとに計数し、計数した要計測占有ボクセルの個数が最大となった位置を前記計測機配置位置として決定することを特徴とする請求項1に記載の計測機配置位置決定装置。
  3. 前記配置位置決定部は、初回から前回までの各前記配置位置決定処理において前記計測機配置位置として決定された位置に前記計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数の合計に対する、初回から今回までの各前記配置位置決定処理において前記計測機配置位置として決定された位置に前記計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数の合計の上昇率が所定の基準上昇率以下となるまで前記配置位置決定処理を繰り返すことを特徴とする請求項1または2に記載の計測機配置位置決定装置。
  4. 前記配置位置決定部は、前記配置位置決定処理を行う度に、既に前記計測機配置位置として決定された位置に存在する非占有ボクセルを前記候補ボクセル群から除外することを特徴とする請求項1ないし3のいずれかに記載の計測機配置位置決定装置。
  5. ユーザの入力操作に従い、前記被計測物のうち前記計測機で計測する部分を指定する計測部分指定部をさらに備え、
    前記要計測占有ボクセル指定部は、前記計測部分指定部により指定された部分に対応する占有ボクセルを前記要計測占有ボクセルとして指定することを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の計測機配置位置決定装置。
  6. 前記要計測占有ボクセル指定部は、前記被計測物のうち前記計測機により第1の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第1の要計測占有ボクセルとして指定し、前記被計測物のうち前記計測機により前記第1の精度よりも低い第2の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを第2の要計測占有ボクセルとして指定し、
    前記配置位置決定部は、前記候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に前記計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルの個数を前記候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した第1の要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を前記計測機配置位置として決定する工程とを有する第1の配置位置決定処理を複数回行い、
    前記配置位置決定部は、前記第1の配置位置決定処理を終えた後、前記候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に前記計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルの個数を前記候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数する工程と、計数した第2の要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を前記計測機配置位置として決定する工程とを有する第2の配置位置決定処理を複数回行い、
    前記配置位置決定部は、前記第1の配置位置決定処理を行う度に、既に前記計測機配置位置として決定された位置に前記計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に前記第1の計測条件を満たす第1の要計測占有ボクセルを前記第1の配置位置決定処理における計数の対象から除外し、かつ前記第1の配置位置決定処理を行う度に、既に前記計測機配置位置として決定された位置に前記計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に前記第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルを前記第1の配置位置決定処理および前記第2の配置位置決定処理のそれぞれにおける計数の対象から除外し、
    前記配置位置決定部は、前記第2の配置位置決定処理を行う度に、既に前記計測機配置位置として決定された位置に前記計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得ると共に前記第2の計測条件を満たす第2の要計測占有ボクセルを前記第2の配置位置決定処理における計数の対象から除外し、
    前記第1の計測条件は、前記候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された前記計測機から照射されたレーザー光と当該レーザー光が入射し得る第1の要計測占有ボクセルの法線とのなす角が所定の第1の基準角度範囲内であり、かつ当該計測機と当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る第1の要計測占有ボクセルとの間の距離が所定の第1の基準距離範囲内であることであり、
    前記第2の計測条件は、前記候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に仮想的に配置された前記計測機から照射されたレーザー光と当該レーザー光が入射し得る第2の要計測占有ボクセルの法線とのなす角が所定の第2の基準角度範囲内であり、かつ当該計測機と当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る第2の要計測占有ボクセルとの間の距離が所定の第2の基準距離範囲内であることであり、
    前記第2の基準角度範囲は前記第1の基準角度範囲よりも大きく、前記第2の基準距離範囲は前記第1の基準距離範囲よりも大きいことを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の計測機配置位置決定装置。
  7. ユーザの入力操作に従い、前記被計測物のうち前記計測機により前記第1の精度で計測する部分および前記第2の精度で計測する部分をそれぞれ指定する計測部分指定部をさらに備え、
    前記要計測占有ボクセル指定部は、前記計測部分指定部により指定された前記第1の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを前記第1の要計測占有ボクセルとして指定し、前記計測部分指定部により指定された前記第2の精度で計測する部分に対応する占有ボクセルを前記第2の要計測占有ボクセルとして指定することを特徴とする請求項6に記載の計測機配置位置決定装置。
  8. レーザー光を照射して三次元計測を行う計測機により被計測物の位置、形状またはその他の属性を計測するために、前記被計測物の周囲において前記計測機を配置する計測機配置位置を決定する計測機配置位置決定方法であって、
    カメラでその位置または方向を変えながら前記被計測物およびその周囲を撮影することにより得られた複数の二次元画像を用いて生成された前記被計測物およびその周囲の三次元モデルであるベースモデルを取得するベースモデル取得工程と、
    前記ベースモデル取得工程において取得されたベースモデルを複数のボクセルに分割し、かつ前記複数のボクセルを少なくとも、内部に物体が存在する占有ボクセルと内部に物体が存在しない非占有ボクセルとに分類することによりボクセルモデルを生成するボクセルモデル生成工程と、
    前記被計測物のうち前記計測機で計測する部分に対応する占有ボクセルを要計測占有ボクセルとして指定する要計測占有ボクセル指定工程と、
    前記計測機と前記計測機を支持する支持具とが占める空間を前記被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりの全部または一部を候補ボクセル群として指定する候補ボクセル群指定工程と、
    前記候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に前記計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数を前記候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数し、計数した要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を前記計測機配置位置として決定する配置位置決定処理を複数回行い、前記配置位置決定処理を行う度に、既に前記計測機配置位置として決定された位置に前記計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルを前記配置位置決定処理における計数の対象から除外する配置位置決定工程とを備えていることを特徴とする計測機配置位置決定方法。
  9. レーザー光を照射して三次元計測を行う計測機により被計測物の位置、形状またはその他の属性を計測するために、前記被計測物の周囲において前記計測機を配置する計測機配置位置を決定する計測機配置位置決定方法をコンピュータに実行させるためのプログラムであって、
    カメラでその位置または方向を変えながら前記被計測物およびその周囲を撮影することにより得られた複数の二次元画像を用いて生成された前記被計測物およびその周囲の三次元モデルであるベースモデルを取得するベースモデル取得工程と、
    前記ベースモデル取得工程において取得されたベースモデルを複数のボクセルに分割し、かつ前記複数のボクセルを少なくとも、内部に物体が存在する占有ボクセルと内部に物体が存在しない非占有ボクセルとに分類することによりボクセルモデルを生成するボクセルモデル生成工程と、
    前記被計測物のうち前記計測機で計測する部分に対応する占有ボクセルを要計測占有ボクセルとして指定する要計測占有ボクセル指定工程と、
    前記計測機と前記計測機を支持する支持具とが占める空間を前記被計測物が置かれた床面上に形成することができる非占有ボクセルの集まりの全部または一部を候補ボクセル群として指定する候補ボクセル群指定工程と、
    前記候補ボクセル群に含まれる各非占有ボクセルの位置に前記計測機を仮想的に配置して当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルの個数を前記候補ボクセル群に含まれる非占有ボクセルの位置ごとに計数し、計数した要計測占有ボクセルの個数が最大となった非占有ボクセルの位置を前記計測機配置位置として決定する配置位置決定処理を複数回行い、前記配置位置決定処理を行う度に、既に前記計測機配置位置として決定された位置に前記計測機を仮想的に配置した場合に当該計測機から照射されたレーザー光が入射し得る要計測占有ボクセルを前記配置位置決定処理における計数の対象から除外する配置位置決定工程とをコンピュータに実行させることを特徴とするプログラム。
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