以下、実施形態のセンサ装置および製品を、図面を参照して説明する。なお以下の説明では、同一または類似の機能を有する構成に同一の符号を付す。そして、それらの重複する説明は省略する場合がある。
(第1の実施形態)
図1から図12を参照して、第1の実施形態について説明する。
本実施形態は、着用されるだけで人体の状態(例えば人体の活動状態や疲労状態)または人体の動作などをモニターできる検出装置1(スマートファブリック)と、その検出装置1を用いたシステム101,121に関する。なお以下では、検出装置1を着用する者を「着用者」と称する。
[1.検出装置]
図1は、本実施形態の検出装置1を示す。図1中の(a)は、検出装置1の表側を示す平面図である。図1中の(b)は、検出装置1の裏側を示す平面図である。
本実施形態の検出装置1は、人体Bに着用されて、人体Bに生じる筋電位を検出する装置である。検出装置1は、「製品」、「電子機器」、「第1電子機器」、「モニタリング装置」、および「無線機器」のそれぞれ一例である。
図1に示すように、検出装置1の一例は、人体Bに着用されるアームカバー11と、アームカバー11に取り付けられたセンサ装置12とを含む。センサ装置12は、筋電位を測定する筋電位センサ(筋電位センサユニット)21と、筋電位センサ21からの出力を処理および無線送信する電子装置22とを含む。
まず、アームカバー11について詳しく説明する。
アームカバー11は、例えば着用者の前腕に着用される筒状の衣類である。例えば、アームカバー11は、繊維素材の衣類であり、伸縮性を有し得る。アームカバー11の材質は、コットンやシルク、ポリエステル、ナイロンなどであるが、これらに限定されない。アームカバー11は、「ファブリック」の一例である。
本願で言う「ファブリック」は、アームカバーに限らず、帽子、ネックウォーマー、セーター、Tシャツ、手袋、ズボン、肌着、靴下などでもよい。「ファブリック」は、織物の衣類を幅広く意味する。すなわち、本願で言う「ファブリック」は、腕に着用されるものに限らず、頭や、首、上半身、下半身、脚、足などに着用されるものでもよい。
図1に示すように、アームカバー11は、アームカバー本体15と、グローブ16とを有する。
アームカバー本体15は、腕ARの少なくとも一部を覆う。例えば、アームカバー本体15は、着用者の腕ARが挿入される筒状に形成されている。本実施形態のアームカバー本体15は、着用者の肘ELと手首WRとに亘って腕ARを覆う(着用者の前腕の全体を覆う)。
グローブ16は、アームカバー本体15の先端に繋がっている。グローブ16は、着用者の手HAの少なくとも一部を覆う。例えば、グローブ16は、手HAの一部が挿入される筒状に形成されている。本実施形態のグローブ16は、手の甲および手の平の略全部と、5本の指の各々の少なくとも一部とを覆う。各指の他の一部は、アームカバー11の外部に露出している。ただし、例えば、グローブ16は、各指の全体を覆うものでもよい。
図2は、アームカバー11を示す平面図である。
図2に示すように、アームカバー本体15は、例えば、複数の絞り部15aを有する。前記複数の絞り部15aに含まれる2つの絞り部15aは、例えばアームカバー本体15の長手方向の両端部に設けられている。また、前記複数の絞り部15aに含まれる他の絞り部15aは、後述する複数の筋電位センサ31の間に設けられている。絞り部15aは、アームカバー本体15の他の部分(2つの絞り部15aの間の部分)に比べて、内径が絞られている。これにより、人体Bに対する複数の筋電位センサ31の密着性が高められている。
図2に示すように、アームカバー本体15は、複数の開口15bを有する。開口15bは、例えば、アームカバー11の内面11aと外面11bとに亘る切断部である。開口15bは、アームカバー本体15の外部から内部に通じている。図1に示すように、筋電位センサ31の後述するリード線42は、アームカバー本体15の開口15bを通じて、アームカバー本体15の内部から外部に延びている。リード線42が開口15bを通じてアームカバー本体15の外部に延びていると、着用者がアームカバー11を着るときに、指がリード線42に引っ掛かりにくい。
さらに、アームカバー11は、複数のトンネル部18を有する。複数のトンネル部18は、アームカバー本体15と、グローブ16とに設けられている。図1に示すように、複数のトンネル部18には、筋電位センサ31のリード線42が通される。例えば、複数のトンネル部18の各々は、アームカバー11の外面11bに、追加のカバー19が取り付けられることで形成されている(図5参照)。複数のトンネル部18の各々は、アームカバー11の外面11bとカバー19の内面19aとの間に形成された空間を有する。この空間にリード線42が通される。複数のトンネル部18は、アームカバー11の長手方向とは略直交する方向における断面において、アームカバー11の中心に対して略対称に配置されている。このため、追加のカバー19が取り付けられていても、アームカバー11の伸び縮みの違和感などが生じにくい。
次に、筋電位センサ(筋電位センサユニット)21について説明する。
図1に示すように、筋電位センサ21は、アームカバー本体15に取り付けられている。筋電位センサ21は、着用者の腕ARの表面に配置される第1センサセット21aと、着用者の腕ARの裏面に配置される第2センサセット21bとを含む。
例えば、第1センサセット21aは、腕ARのオモテ面に接する第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31Cを含む。第2センサセット21bは、腕ARの裏面に接する第4から第6の筋電位センサ31D,31E,31Fを含む。これら第1から第6の筋電位センサ31A,31B,31C,31D,31E,31Fの各々は、互いに独立して人体Bに生じる筋電位を検出可能なセンサである。
次に、第1から第6の筋電位センサ31A,31B,31C,31D,31E,31Fの各々の構成について説明する。これら第1から第6の筋電位センサ31A,31B,31C,31D,31E,31Fは、互いに略同じ構成を有する。なお以下の説明において、第1から第6の筋電位センサ31A,31B,31C,31D,31E,31Fを互いに区別しない場合には、単に筋電位センサ31と称する。
各筋電位センサ31は、人体Bの皮膚の表面において筋電位を測定する表面電極型の筋電位センサである。各筋電位センサ31は、人体Bの皮膚に接する電極41を有する。例えば、各筋電位センサ31は、複数の電極41と、複数のリード線42とを含む。
本実施形態では、複数の電極41は、ネガティブ電極41N、グラウンド電極41G、およびポジティブ電極41Pを含む。各筋電位センサ31は、筋電位として、ネガティブ電極41Nとポジティブ電極41Pとの間の電位差を検出する。グラウンド電極41Gは、人体Bの基準電位を検出する。ただし、グラウンド電極41Gは、省略されてもよい。
図3は、各電極41の構成を示す平面図である。図4は、図3中に示された電極41のF4−F4線に沿う断面図である。
図3および図4に示すように、各電極41は、例えば、導電性ゴム電極51と、カバー52とを含む。本実施形態では、ネガティブ電極41N、グラウンド電極41G、およびポジティブ電極41Pの構成は、互いに略同じである。
導電性ゴム電極(生体信号用ゴム電極)51は、生体電気信号を通す導電性のゴム素材で形成されている。導電性ゴム電極51は、人体Bの皮膚上に置かれる。導電性ゴム電極51の厚さの一例は、0.5mmである。導電性ゴム電極51の一例は、長方形状に形成されている。長方形状の導電性ゴム電極51は、一対の長辺51a,51bと、一対の短辺51c,51dとを有する。
カバー52の一例は、不織布である。ただし、カバー52の材質は、上記例に限られない。カバー52は、リード線42に対して導電性ゴム電極51とは反対側に位置し、リード線42を覆っている。カバー52は、導電性ゴム電極51と略同じ形状に形成されている。カバー52は、両面テープまたは接着剤などで、導電性ゴム電極51に固定または仮固定されている。リード線42は、導電性ゴム電極51とカバー52との間に挟まれることで、導電性ゴム電極51に対して位置が固定されている。これにより、導電性ゴム電極51、カバー52、およびリード線42が一体になっている。導電性ゴム電極51およびカバー52は、アームカバー11の内面(裏地)11aにミシン縫いなどによって取り付けられる。図3中には、導電性ゴム電極51およびカバー52をアームカバー11に固定するミシン目54を示す。ミシン目54は、一対の長辺51a,51bと、ひとつの短辺51cに沿って設けられている。
リード線42は、少なくとも1つ(複数)の導体線42aと、導体線42aを包む絶縁体42b(絶縁被膜)とを含む。リード線42の端部では、導体線42aは、絶縁体42bの外部に露出して、導電性ゴム電極51に接している。これにより、導体線42aは、導電性ゴム電極51に電気的に接続されている。一方で、図3に示すように、リード線42は、ミシン縫いされていない導電性ゴム電極51の短辺51dから、導電性ゴム電極51およびカバー52の外部に延びている。導体線42aは、導電性ゴム電極51の外部では、絶縁体42bに覆われている。リード線42は、導電性ゴム電極51を電子装置22に電気的に接続している。
図5は、図1中に示された検出装置1のF5−F5線に沿う断面図である。
図5に示すように、各電極41は、導電性ゴム電極51をアームカバー11の内側に向けて、アームカバー11の内面11a(裏地)に取り付けられている。ここで、「アームカバーの内面」とは、アームカバーのなかで人体に面する面を意味する。
本実施形態では、導電性ゴム電極51、カバー52、およびリード線42は、柔軟性を有し、外力によって変形することができる。本実施形態では、導電性ゴム電極51、カバー52、およびリード線42は、アームカバー11が人体Bに着用された場合に、人体Bの形状(腕ARの外周面)に自然に倣うように変形可能な柔軟性を有する。これにより、導電性ゴム電極51と人体Bとの密着性が高められている。
次に、第1から第6の筋電位センサ31A,31B,31C,31D,31E,31Fの配置について説明する。
まず、第1センサセット21aについて説明する。
図1に示すように、第1センサセット21aに含まれる第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31Cは、腕ARのオモテ面に配置されている。第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31Cは、アームカバー11の長手方向において互いに空間的に離れて配置されている。別の観点で見ると、第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31Cは、着用者の肘ELから手首WRに向かう方向において互いに空間的に離れている。さらに別の観点で見ると、第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31Cは、筋肉の延びた方向或いは筋繊維の延びた方向において互いに空間的に離れている。このため、着用者がある動作(例えば腕ARまたは手HAに関するある動作)を行う場合に、第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31Cは、互いに時間差を有して、前記動作に関連する筋電位の変化(例えば前記動作を示す筋電位の変化)を検出する。
例えば、第1筋電位センサ31Aは、検出装置1が着用者の腕ARに着用された場合に、着用者の手首WRよりも肘ELの近くに位置する。第1筋電位センサ31Aは、「第一センサ」の一例である。一方で、第3筋電位センサ31Cは、検出装置1が着用者の腕ARに着用された場合に、肘ELよりも手首WRの近くに位置する。第3筋電位センサ31Cは、「第二センサ」の一例である。第2筋電位センサ31Bは、第1筋電位センサ31Aと、第3筋電位センサ31Cとの間に位置する。
図1に示すように、第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31Cの各電極41は、各電極41の長手方向をアームカバー11の長手方向と略一致させて配置されている。別の観点で見ると、各電極41の長手方向は、筋肉の延びた方向或いは筋繊維の延びた方向に沿う。
また、図1に示すように、各筋電位センサ31A,31B,31Cにおいて、各電極41(ネガティブ電極41N、グラウンド電極41G、およびポジティブ電極41P)は、各電極41の長手方向とは交差する(略直交する)方向に並べられている。別の観点で見ると、ネガティブ電極41N、グラウンド電極41G、およびポジティブ電極41Pは、腕ARの周方向に分かれて配置されている。
次に、第2センサセット21bについて説明する。
図1に示すように、第2センサセット21bに含まれる第4から第6の筋電位センサ31D,31E,31Fは、腕ARの裏面に配置されている。第4から第6の筋電位センサ31D,31E,31Fは、アームカバー11の長手方向において互いに空間的に離れて配置されている。別の観点で見ると、第4から第6の筋電位センサ31D,31E,31Fは、着用者の肘ELから手首WRに向かう方向において互いに空間的に離れている。さらに別の観点で見ると、第4から第6の筋電位センサ31D,31E,31Fは、筋肉の延びた方向或いは筋繊維の延びた方向において互いに空間的に離れている。このため、着用者がある動作(例えば腕ARまたは手HAに関するある動作)を行う場合に、第4から第6の筋電位センサ31D,31E,31Fは、互いに時間差を有して、前記動作に関連する筋電位(例えば前記動作を示す筋電位)を検出する。
例えば、第4筋電位センサ31Dは、検出装置1が着用者の腕ARに着用された場合に、着用者の手首WRよりも肘ELの近くに位置する。第4筋電位センサ31Dは、「第一センサ」の別の一例である。一方で、第6筋電位センサ31Fは、検出装置1が着用者の腕ARに着用された場合に、肘ELよりも手首WRの近くに位置する。第6筋電位センサ31Fは、「第二センサ」の別の一例である。第5筋電位センサ31Eは、第4筋電位センサ31Dと、第6筋電位センサ31Fとの間に位置する。
図1に示すように、第4から第6の筋電位センサ31D,31E,31Fの各電極41は、各電極41の長手方向をアームカバー11の長手方向と略一致させて配置されている。別の観点で見ると、各電極41の長手方向は、筋肉の延びた方向或いは筋繊維の延びた方向に沿う。
また、図1に示すように、各筋電位センサ31D,31E,31Fにおいて、各電極41(ネガティブ電極41N、グラウンド電極41G、およびポジティブ電極41P)は、各電極41の長手方向とは交差する(略直交する)方向に並べられている。別の観点で見ると、ネガティブ電極41N、グラウンド電極41G、およびポジティブ電極41Pは、腕ARの周方向に分かれて配置されている。
図1に示すように、第1から第6の筋電位センサ31A,31B,31C,31D,31E,31Fの各電極41のリード線42は、アームカバー本体15の開口15bを通じて、アームカバー本体15の内部から外部に延びている。さらに、リード線42は、アームカバー11のトンネル部18に通されて、グローブ16に向けて(例えば電子装置22に向けて)延びている。複数のリード線42は、アームカバー11のトンネル部18に通されることで、互いに束ねられている。各筋電位センサ31の3本のリード線42の先端には、コネクタ56が取り付けられている。各コネクタ56には、各筋電位センサ31の3本のリード線42が纏めて接続されている。各コネクタ56は、各筋電位センサ31のネガティブ電極41N、グラウンド電極41G、およびポジティブ電極41Pに電気的に接続された3つの端子を有する。各コネクタ56は、電子装置22の後述するコネクタ72に接続可能である。
次に、電子装置22について説明する。
図1に示すように、電子装置22は、グローブ16の外面16bに取り付けられている。電子装置22は、例えばテープなどで、グローブ16に着脱可能に取り付けられている。電子装置22は、筋電位センサ21に電気的に接続されており、筋電位センサ21から出力(例えば筋電位センサ21の検出結果)を受け取る。
図6は、電子装置22を一部分解して示す斜視図である。
図6に示すように、電子装置22は、筐体61、押しボタン62、および基板ユニット63を有する。
筐体61は、フロントカバー61aと、リアカバー61bとを含む。筐体61は、フロントカバー61aとリアカバー61bとが組み合わされることで、扁平な箱状に形成されている。筐体61は、押しボタン62の一部が露出する開口を有する。
押しボタン62は、筐体61に収容されている。押しボタン62は、フロントカバー61aと基板ユニット63との間に位置する。押しボタン62は、基板ユニット63に含まれるスイッチに面する。押しボタン62は、基板ユニット63に向けて押されることで、スイッチを操作する。
基板ユニット63は、筐体61に収容されている。
図7は、基板ユニット63の細部を示す。図7中の(a)は、基板ユニット63の平面図(上面図)を示す。図7中の(b)は、基板ユニット63の側面図を示す。図7中の(c)は、基板ユニット63の下面図を示す。
図7に示すように、基板ユニット63は、基板70、第1コネクタ71a、第2コネクタ71b、複数の第3コネクタ72、外部接続用コネクタ73、チップ部品74、アンテナ75、および二次電池76を含む。
基板70(回路基板)は、略矩形の板状に形成されている。基板70は、第1面70aと、該第1面70aとは反対側に位置した第2面70bとを有する。
第1コネクタ71aは、例えば9本のケーブル77を介して、基板70に電気的に接続されている。第2コネクタ71bは、第1コネクタ71aに接続されて、第1コネクタ71aに電気的に接続されている。
複数の第3コネクタ72(中継コネクタ)の各々は、3本のケーブル78を介して、第2コネクタ71bに接続されている。また、複数の第3コネクタ72の各々には、第1から第6の筋電位センサ31A,31B,31C,31D,31E,31Fのコネクタ56のいずれかが個別に接続可能である。
図8は、第3コネクタ72と複数の筋電位センサ31と接続関係を示す。
図8に示すように、例えば、3つの第3コネクタ72には、第1から第6の筋電位センサ31A,31B,31C,31D,31E,31Fから任意に選択される3つの筋電位センサ31のコネクタ56が接続される。例えば、3つの第3コネクタ72には、第1センサセット21aに含まれる3つの筋電位センサ31A,31B,31Cのコネクタ56が接続されてもよい。これに代えて、3つの第3コネクタ72には、第2センサセット21bに含まれる3つの筋電位センサ31D,31E,31Fのコネクタ56が接続されてもよい。これに代えて、3つの第3コネクタ72には、第1センサセット21aに含まれる2つの筋電位センサ31A,31Cのコネクタ56と、第2センサセット21bに含まれる1つの筋電位センサ31Eのコネクタ56とが接続されてもよい。なお、第3コネクタ72に接続される筋電位センサ31の組み合わせは、上記例に限られない。検出装置1のユーザーは、筋電位を検出した部位に対応した3つの筋電位センサ31を選択することができる。
第3コネクタ72に接続された各筋電位センサ31のネガティブ電極41N、グラウンド電極41G、およびポジティブ電極41Pの出力は、ケーブル77,78を介して、互いに独立して基板70(後述のMCU82)に入力される。本実施形態では、電子装置22は、複数の筋電位センサ31からの出力を、互いに区別可能に受け取る。
外部接続用コネクタ73は、図7に示すように、基板70の第1面70aに取り付けられて、基板70に電気的に接続されている。外部接続用コネクタ73は、例えばマイクロUSB(Universal Serial Bus)規格に準拠したコネクタである。外部接続用コネクタ73には、外部機器(充電装置)が接続される。外部接続用コネクタ73は、二次電池76を充電するための電力を外部機器から受け取る。また、外部接続用コネクタ73には、MCU82にプログラムを書き込むための外部機器が接続されてもよい。
図1に示すように、例えば、右手に着用される検出装置1の外部接続用コネクタ73は、電子装置22のひとつの側面22aに設けられている。電子装置22の側面22aは、電子装置22のなかで、着用者の左手に面し得る側面である。このため、外部接続用コネクタ73には、検出装置1が右手に装着された状態でも、外部機器のコネクタを左手で差し込みやすい。
次に、チップ部品74およびアンテナ75について説明する。
チップ部品(半導体パッケージ、半導体チップ、または半導体デバイス)74は、基板70の第1面70aに設けられている。チップ部品74は、「プロセッサ」の一例である。本実施形態では、チップ部品74は、センサモジュール81、Micro Controller Unit(MCU)82、および無線回路83を含む。チップ部品74は、センサモジュール81、MCU82、および無線回路83がモールド樹脂84によって一体に封止された部品である。
図9は、検出装置1のシステム構成を示すブロック図である。
図9に示すように、センサモジュール81は、加速度センサ81a、地磁気センサ81b、およびジャイロ81cを含む。
加速度センサ81aは、加速度を測定する慣性センサであり、重力方向を検出する。本実施形態の加速度センサ81aは、例えば3軸加速度センサである。すなわち、加速度センサ81aは、互いに略直交するX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の各々における加速度を測定する。本実施形態では、加速度センサ81aは、電子装置22の動き(例えば検出装置1の動き orグローブ16の動き)に基づいて出力を生成する。例えば、加速度センサ81aは、電子装置22の動き(例えば検出装置1の動き orグローブ16の動き)を示す出力を生成する。加速度センサ81aは、生成した出力を、後述する情報処理部86に送る。
地磁気センサ81bは、地磁気を測定するセンサであり、地球の磁束方向を検出する。本実施形態の地磁気センサ81bは、例えば3軸地磁気センサである。すなわち、地磁気センサ81bは、互いに略直交するX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の各々における地磁気を測定する。本実施形態では、地磁気センサ81bは、電子装置22の向き(例えば検出装置1の向き orグローブ16の向き)に基づいて出力を生成する。例えば、地磁気センサ81bは、電子装置22の向き(例えば検出装置1の向き orグローブ16の向き)を示す出力を生成する。地磁気センサ81bは、生成した出力を、後述する情報処理部86に送る。
ジャイロ(ジャイロセンサ)81cは、「振動検出センサ」の一例であり、電子装置22に加わる振動を検出する。本実施形態のジャイロ81cは、例えば3軸ジャイロである。すなわち、ジャイロ81cは、互いに略直交するX軸方向、Y軸方向、およびZ軸方向の各々における振動を測定する。本実施形態では、ジャイロ81cは、電子装置22の振動(例えば検出装置1の振動 orグローブ16の振動)に基づいて出力を生成する。例えば、ジャイロ81cは、電子装置22の振動(例えば 検出装置1の振動 orグローブ16の振動)を示す出力を生成する。ジャイロ81cは、生成した出力を、後述する情報処理部86に送る。
MCU82は、例えば1つの半導体デバイスである。MCU82は、情報処理部86を含む。情報処理部86は、例えば、プログラムがCPUのようなプロセッサによって実行されることで実現されるソフトウェア機能部である。上記プログラムは、MCU82内のメモリに格納されている。なお、情報処理部86は、プロセッサがプログラムを実行するのと同様の機能を有するLSI(Large Scale Integration)やASIC(Application Specific Integrated Circuit)などのハードウェアであってもよい。または、情報処理部86は、ソフトウェア機能部とハードウェアとによって実現されてもよい。
情報処理部86は、複数の筋電位センサ31からの出力を、それら複数の筋電位センサ31から個別に受け取る。別の観点で見ると、情報処理部86は、複数の筋電位センサ31からの出力を互いに区別可能に受け取る。また、情報処理部86は、加速度センサ81a、地磁気センサ81b、およびジャイロ81cからの出力を受け取る。
情報処理部86は、複数の筋電位センサ31の出力に対して、予め設定された処理を行う。例えば、本実施形態の情報処理部86は、複数の筋電位センサ31の出力から、アンテナ75を通じて検出装置1の外部に送信する情報を生成する。検出装置1の外部に送信する情報の一例は、複数の筋電位センサ31の出力に含まれるデータの一部が、予め設定されるアルゴリズムに基づいて抽出(例えばあるサンプリング周期で抽出)されることで得られる。別の観点で見ると、検出装置1の外部に送信する情報の一例は、アンテナ75を通じて外部に送信しやすいように、複数の筋電位センサ31の出力に比べてデータ量が減られたデータである。情報処理部86は、前記処理を行うことで得られた情報を、無線回路83に送る。
例えば、情報処理部86は、第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31Cのコネクタ56が第3コネクタ72に接続された場合に、以下に述べる第1から第3の信号を生成する。第1から第3の信号は、互いに区別可能な信号である。
第1信号は、第1筋電位センサ31Aからの出力に関連した信号である。例えば、第1信号は、第1筋電位センサ31Aからの出力を表す信号である。例えば、第1信号は、第1筋電位センサ31Aからの出力に、予め設定された処理が行われることで得られる信号である。第1信号は、第1時刻が判定可能な情報を含む。第1時刻は、着用者の人体Bのある動作に関連する(例えば人体Bのある動作を示す)筋電位の変化を第1筋電位センサ31Aが検出した時刻である。例えば、第1信号は、着用者の人体Bのある動作に関連する筋電位の波形であって、第1筋電位センサ31Aが検出した波形(波形形状)を示す信号である。なお、「筋電位の波形」とは、例えば筋電位の時間変化を意味する。「筋電位の波形を示す信号」とは、例えば、筋電位の時間変化と、筋電位の時間変化が生じた時刻の時刻情報とを含む。
第2信号は、第2筋電位センサ31Bからの出力に関連した信号である。例えば、第2信号は、第2筋電位センサ31Bからの出力を表す信号である。例えば、第2信号は、第2筋電位センサ31Bからの出力に、予め設定された処理が行われることで得られる信号である。第2信号は、第2時刻が判定可能な情報を含む。第2時刻は、着用者の人体Bの前記動作に関連する(例えば人体Bの前記動作を示す)筋電位の変化を第2筋電位センサ31Bが検出した時刻である。例えば、第2信号は、着用者の人体Bの前記動作に関連する筋電位の波形であって、第2筋電位センサ31Bが検出した波形(波形形状)を示す信号である。
ここで、第1筋電位センサ31Aと第2筋電位センサ31Bとが空間的に互いに離れているため、第1時刻と第2時刻との間には、タイムラグ(遅延時間)がある。
第3信号は、第3筋電位センサ31Cからの出力に関連した信号である。例えば、第3信号は、第3筋電位センサ31Cからの出力を表す信号である。例えば、第3信号は、第3筋電位センサ31Cからの出力に、予め設定された処理が行われることで得られる信号である。第3信号は、第3時刻が判定可能な情報を含む。第3時刻は、着用者の人体Bの前記動作に関連する(例えば人体Bの前記動作を示す)筋電位の変化を第3筋電位センサ31Cが検出した時刻である。例えば、第3信号は、着用者の人体Bの前記動作に関連する筋電位の波形であって、第3筋電位センサ31Cが検出した波形(波形形状)を示す信号である。
ここで、第2筋電位センサ31Bと第3筋電位センサ31Cとが互いに空間的に離れているため、第2時刻と第3時刻との間には、タイムラグ(遅延時間)がある。
情報処理部86は、生成した第1から第3の信号を、個別に(即ち互いに区別可能に)無線回路83に送る。なお、第1から第3の信号は、第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31Cに関する信号に限られない。情報処理部86は、第3コネクタ72に接続される任意の3つの筋電位センサ31からの出力に基づき、第1から第3の信号を生成する。
同様に、情報処理部86は、加速度センサ81a、地磁気センサ81b、およびジャイロ81cからの出力に対して、予め設定された処理を行う。以下では、加速度センサ81a、地磁気センサ81b、およびジャイロ81cからの出力を纏めて、センサモジュール81の出力と称する。例えば、本実施形態の情報処理部86は、センサモジュール81の出力から、アンテナ75を通じて外部に送信する情報を生成する。例えば、検出装置1の外部に送信する情報の一例は、センサモジュール81の出力に含まれるデータの一部が、予め設定されるアルゴリズムに基づいて抽出(例えばあるサンプリング周期で抽出)されることで得られる。別の観点で見ると、検出装置1の外部に送信する情報は、アンテナ75を通じて外部に送信しやすいように、データ量が調整されたデータである。情報処理部86は、前記処理を行った情報を、無線回路83に送る。
なお上記に代えて、情報処理部86は、複数の筋電位センサ31およびセンサモジュール81からの出力に対して、予め設定される判定処理や演算処理を行ってもよい。例えば、情報処理部86は、後述する電子機器102,122の情報処理部114,132と同様の処理を、電子機器102,122の情報処理部114,132の代わりに行ってもよい。そして、情報処理部86は、判定処理や演算処理が行われることで得られた情報を、無線回路83に送ってもよい。
無線回路83は、情報処理部86から受け取る情報を、アンテナ75から出力可能な高周波信号に変換する。本実施形態の無線回路83は、例えば規格に準拠する無線回路である。なお、無線回路83は、上記例に限られず、例えば、Near Field Communication(NFC)、または920MHz帯を利用する通信規格に対応する無線回路でもよい。
アンテナ75は、基板70の第1面70aに設けられている。アンテナ75は、例えば基板70に設けられたチップアンテナである。なお、アンテナ75は、上記例に限られない。アンテナ75は、例えば基板70の表面に設けられた導体パターンでもよい。アンテナ75は、例えば規格に対応する電磁波を送信可能である。アンテナ75は、無線回路83から受け取る信号を、無線電波として検出装置1の外部(電子機器102,122)に送信する。
以上のように、本実施形態のチップ部品74は、筋電位センサ21の出力から得られる情報を、アンテナ75を通じて検出装置1の外部に送信する。例えば、チップ部品74は、複数の筋電位センサ31の出力から得られる情報を送信する。例えば、チップ部品74は、複数の筋電位センサ31の出力に対して情報処理部86の処理が行われることで得られた情報を、アンテナ75を通じて検出装置1の外部に送信する。例えば、チップ部品74は、上述の第1から第3の信号を、アンテナ75を通じて検出装置1の外部に送信する。第1から第3の信号は、外部機器の一例である電子機器102が、前記第1から第3時刻の間のタイムラグ(タイムラグの大きさ)を判定することを可能にする。また、本実施形態のチップ部品74は、加速度センサ81a、地磁気センサ81b、およびジャイロ81cの各々の出力から得られる情報を、アンテナ75を通じて検出装置1の外部に送信する。
なお、上記に代えて、チップ部品74は、情報処理部86を有しなくてもよい。この場合、チップ部品74は、筋電位センサ21の出力(例えば複数の筋電位センサ31の出力)を、そのままアンテナ75を通じて検出装置1の外部に送信してもよい。別の観点で見ると、チップ部品74は、筋電位センサ21からの出力およびその出力から生成される信号の少なくとも一方を、検出装置1の外部に送信する。
同様に、チップ部品74は、加速度センサ81a、地磁気センサ81b、およびジャイロ81cの各々の出力を、そのままアンテナ75を通じて検出装置1の外部に送信してもよい。別の観点で見ると、チップ部品74は、センサモジュール81からの出力およびその出力から生成される信号の少なくとも一方を、検出装置1の外部に送信する。
図7に示すように、二次電池76は、基板70の第2面70bに取り付けられる。二次電池76は、基板70およびチップ部品74に電気的に接続されている。二次電池76は、基板70およびチップ部品74などに電力(power)を供給する。
以上説明した本実施形態の検出装置1は、着用されるだけで人体Bの状態(例えば人体Bの活動状態や疲労状態)または人体Bの動作などを検出することができる。
[2.システム]
次に、本実施形態の検出装置1を用いたシステム(検出システム)のいくつかの例を説明する。なお、以下に示すシステム101,121は、第2から第5の実施形態の検出装置1を用いて実現されてもよい。
(システムの第1例)
システムの第1例であるシステム101は、着用者の人体Bの状態を検出するモニタリングシステムである。例えば、システム101は、着用者の疲労度を検出する。
図10は、システム101の構成の一例を示す。
図10に示すように、システム101は、検出装置1と、電子機器102とを含む。電子機器102は、「外部機器」、「第2電子機器」、「情報端末」、および「情報処理装置」のそれぞれ一例である。電子機器102は、例えば、タブレット端末や、スマートフォン、ポータブルコンピュータであるが、その他の機器でもよい。
図10に示すように、電子機器102は、アンテナ111、無線回路112、メモリ113、情報処理部114、出力部115、および表示画面116を有する。
アンテナ111および無線回路112は、検出装置1のアンテナ75および無線回路83と同様の規格に対応する。例えば、アンテナ111および無線回路112は、規格に対応する。無線回路112は、アンテナ111を通じて検出装置1から受け取る信号を電気信号に変換する。無線回路112は、変換した信号を情報処理部114に送る。
メモリ113は、例えば不揮発性のメモリチップである。メモリ113の一例は、NAND型フラッシュメモリである。メモリ113には、予め設定される少なくとも1つの閾値が格納される。閾値は、疲労度の判定に用いられる。閾値は、任意の値に設定可能である。
情報処理部114は、検出装置1から受け取る情報に基づき、着用者の疲労度を判定する。情報処理部114は、「判定部」の一例である。
図11は、疲労度の判定動作の流れの一例を示すフローチャートである。
図11に示すように、情報処理部114は、アンテナ111および無線回路112を通じて、複数の筋電位センサ31の出力を受け取る(S11)。例えば、情報処理部114は、検出装置1から上述の第1から第3の信号を受け取る。
次に、情報処理部114は、検出装置1から受け取る情報(例えば検出装置1の検出結果)に基づき、着用者の疲労度を判定する。例えば、情報処理部114は、着用者のある動作に関連して、複数の筋電位センサ31が筋電位の変化を検出した検出時刻の時間差(time lag)を検出する(S12)。例えば、情報処理部114は、検出装置1から受け取る前記第1信号に基づき、前記第1筋電位センサ31Aが筋電位の変化(例えば筋電位の立ち上がり)を検出した前記第1時刻を特定する。同様に、情報処理部114は、検出装置1から受け取る前記第2信号に基づき、前記第2筋電位センサ31Bが筋電位の変化(例えば筋電位の立ち上がり)を検出した前記第2時刻を特定する。情報処理部114は、検出装置1から受け取る前記第3信号に基づき、前記第3筋電位センサ31Cが筋電位の変化(例えば筋電位の立ち上がり)を検出した前記第3時刻を特定する。そして、情報処理部114は、第1から第3の時刻に基づき、複数の筋電位センサ31が筋電位の変化を検出した検出時刻の時間差(第1時刻と第2時刻との間の時間差、第2時刻と第3時刻との時間差、および第1時刻と第3時刻との時間差の少なくともひとつ)を特定する。
ある一つの具体例では、情報処理部114は、3つの筋電位センサ31(第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31C)の各々が検出した筋電位の波形に関する情報を受け取る。例えば、前記第1信号は、第1筋電位センサ31Aが検出した筋電位の波形を示す。前記第2信号は、第2筋電位センサ31Bが検出した筋電位の波形を示す。前記第3信号は、第3筋電位センサ31Cが検出した筋電位の波形を示す。なお、「筋電位の波形に関する情報」は、例えば、筋電位の時間変化と、筋電位の時間変化が生じた時刻の時刻情報とを含む。
上述したように、着用者が動作を行う場合、3つの筋電位センサ31(第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31C)が置かれた位置において、筋電位は互いに時間差を伴って生じる。このため、3つ筋電位センサ31(第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31C)が検出する筋電位の波形は、互いに位相差を有する。
ここで、情報処理部114は、3つ筋電位センサ31に含まれる1つの筋電位センサ31(第1筋電位センサ31A)が検出した筋電位の波形形状と、3つ筋電位センサ31に含まれる別の筋電位センサ31(第2筋電位センサ31B)が検出した筋電位の波形形状との類似度が予め設定される範囲内である場合に、それら2つの筋電位センサ31が検出した筋電位の変化が、着用者のあるひとつの動作に伴う筋電位の変化であると判定する。上記類似度は、2つの筋電位の波形形状の最大振幅、平均振幅(振幅の平均値)、時間経過に伴う振幅の変化、積分値、および周波数成分の少なくとも1つに基づいて判定される。
次に、情報処理部114は、上述の時間差(第1時刻と第2時刻との間の時間差、第2時刻と第3時刻との時間差、または第1時刻と第3時刻との時間差のいずれか)が、予め設定される所定値(例えばメモリ113に格納された閾値)よりも大きいか否かを判定する(S13)。そして、情報処理部114は、上記時間差(位相差)が前記所定値と同じか大きい場合(S13:YES)、疲労度が大きいと判定する(S14)。一方で、情報処理部114は、上記時間差が前記所定値よりも小さい場合(S13:NO)、疲労度が小さいと判定する(S15)。そして、情報処理部114は、疲労度に関する判定結果を、出力部115に送る。なお、疲労度の判定は、大小だけの判定に限定されない。情報処理部114は、上記時間差に基づき、疲労度が複数の段階のいずれに含まれるかを判定してもよい。
また、情報処理部114は、上記時間差に加えてまたは代えて、筋電位の波形の周波数分布に基づいて、疲労度の大きさを判定してもよい。前記周波数分布は、例えば筋電位の波形が高速フーリエ変換されることで得られる。情報処理部114は、例えば3つの筋電位センサ31の各々が検出した筋電位の波形の周波数分布と、予め設定される所定の周波数分布とを比較する。そして、情報処理部114は、検出された周波数分布が前記所定の周波数分布と略同じか前記所定の周波数分布よりも低周波側に位置する場合に、疲労度が大きいと判定する。一方で、情報処理部114は、検出された周波数分布が前記所定の周波数分布よりも高周波側に位置する場合に、疲労度が小さいと判定する。
出力部115は、図10に示すように、表示画面116に電気的に接続されている。出力部115は、情報処理部114から受け取る情報(例えば、疲労度に関する判定結果)を、表示画面116に表示する。これにより、ユーザーは、検出装置1の着用者の状態(例えば疲労度)を知ることができる。
このような検出装置1およびシステム101を用いることで、例えば、物流の現場において、個々の作業者の疲労度を把握することができる。また、例えば、スポーツ分野において、過剰トレーニングを抑制することができる。
(システムの第2例)
次に、検出装置1を用いたシステムの別の例について説明する。
システムの第2例であるシステム121は、検出装置1をヒューマンインターフェースとして使用するシステムである。
図12は、システム121の構成の一例を示す。
図12に示すように、システム121は、検出装置1と、電子機器122とを含む。電子機器122は、「外部機器」、「第2電子機器」、「情報端末」、および「情報処理装置」の一例である。電子機器112は、例えば、タブレット端末や、スマートフォン、ポータブルコンピュータ、デジタルサイネージ、各種のゲーム機、またはロボットであるが、その他の機器でもよい。
図12に示すように、電子機器122は、アンテナ111、無線回路112、データベース(DB)123、情報処理部132、および制御部133を有する。なお、以下に説明する以外の構成は、上記第1例の構成と略同じである。このため重複する説明は、省略する。
DB131は、着用者の複数の動作例と、それら複数の動作例が行われた場合の筋電位センサ21の出力とを対応付けた情報を格納している。例えば、前記情報は、着用者の複数の動作例と、それら複数の動作例が行われた場合の複数の筋電位センサ31(第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31C)の出力との対応関係を含む。
同様に、DB131は、着用者の複数の動作例と、それら複数の動作例が行われた場合の加速度センサ81aの出力とを対応付けた情報を格納している。さらに、DB131は、着用者の複数の動作例と、それら複数の動作例が行われた場合の地磁気センサ81bの出力とを対応付けた情報を格納している。さらに、DB131は、着用者の複数の動作例と、それら複数の動作例が行われた場合のジャイロ81cの出力とを対応付けた情報を格納している。
情報処理部132は、アンテナ111および無線回路112を通じて検出装置1から受け取る情報に基づき、着用者の動きを検出する(または判定する)。情報処理部132は、「判定部」の一例である。例えば、情報処理部132は、検出装置1から受け取る情報と、DBに格納された情報とに基づき(例えば、それら情報を比較することで)、着用者の動作の種類を判定する。例えば、情報処理部132は、検出装置1に含まれる複数の筋電位センサ31(第1から第3の筋電位センサ31A,31B,31C)の出力と、DB131に格納された情報とに基づき、着用者の動きの種類を判定する。例えば、情報処理部132は、複数の筋電位センサ31の出力に含まれる数値と、DB131に格納された情報に含まれる数値とを比較(例えば類似度を比較)することで、着用者の動作の種類を判定する。
さらに言うと、本実施形態の情報処理部132は、筋電位センサ21(複数の筋電位センサ31)の出力と、センサモジュール81(例えば、加速度センサ81a、地磁気センサ81b、およびジャイロ81cの少なくとも1つ)の出力と、DB131に格納された情報とに基づき、着用者の動作の種類を判定する。例えば、情報処理部132は、複数の筋電位センサ31の出力に含まれる数値と、センサモジュール81(例えば加速度センサ81a、地磁気センサ81b、およびジャイロ81cの少なくとも1つ)の出力に含まれる数値と、DB131に格納された情報に含まれる数値とを比較(例えば類似度を比較)することで、着用者の動作の種類を判定する。
例えば、情報処理部132は、センサモジュール81の出力に実質的な変化(即ち予め設定される閾値を超える変化)が無い状態で、筋電位センサ21(複数の筋電位センサ31)の出力に実質的な変化(即ち予め設定される閾値を超える変化)がある場合に、腕ARに動きを伴わない手HAの動き(例えば、手を握る動作、または手を開く動作)が行われたと判定する。一方で、情報処理部132は、センサモジュール81の出力に実質的な変化(即ち予め設定される閾値を超える変化)がある場合、腕ARの動きを伴う動作(例えば、腕を振る動作や、腕を回す動作)が行われたと判定する。情報処理部132は、判定された着用者の動作の種類に関する情報を、制御部133へ送る。
制御部133は、情報処理部132から受け取る情報(着用者の動作の種類に関する情報)に基づき、電子機器122を制御する。例えば、制御部133は、着用者の動作の種類毎に、制御する電子機器122の動作が予め割り当てられている。着用者の動作の種類毎に割り当てられる電子機器122の動作は、電子機器122の電源の起動やシャットダウン、電子機器122の表示画面の切り替え、ポインタの移動、電子機器122の表示画面に表示されたオブジェクト(例えばある製品の写真やイメージ)をつかむ動作や移動させる動作、決定操作、選択操作などを含む。本実施形態の制御部133は、着用者の動作の種類に関する情報を情報処理部132から受け取る場合に、その動作の種類に割り当てられた電子機器の動作を実行する。なお、着用者の動作の種類とそれらに対応する電子機器122の動作とが対応付けられた情報は、例えばDB131に格納されている。制御部133は、例えばDB131を参照することで、着用者の動作に対応する電子機器122の動作を判定する。
また別の例では、電子機器122は、他の電子機器である外部機器136に無線または有線で接続されている。制御部133は、情報処理部132から受け取る情報(着用者の動作に関する情報)に基づき、外部機器136を制御する。例えば、制御部133は、着用者の動作の種類毎に、制御する外部機器136の動作が予め割り当てられている。着用者の動作の種類毎に割り当てられる外部機器136の動作は、電子機器122に関して例示した動作と略同じである。制御部133は、着用者の動作の種類に関する情報を情報処理部132から受け取る場合に、その動作の種類に割り当てられた動作を実行する制御信号を外部機器136に送る。なお、着用者の動作の種類とそれらに対応する外部機器136の動作とが対応付けられた情報は、例えばDB131に格納されている。制御部133は、例えばDB131を参照することで、着用者の動作に対応する外部機器136の動作を判定する。
なお、上記第1例および第2例における情報処理部114,132、出力部115、および制御部133の各々は、例えば、プログラムがCPUのようなプロセッサによって実行されることで実現されるソフトウェア機能部である。上記プログラムは、電子機器102,122のメモリに格納されている。なお、情報処理部114,132、出力部115、および制御部133の各々は、プロセッサがプログラムを実行するのと同様の機能を有するLSIやASICなどのハードウェアであってもよい。また、情報処理部114,132、出力部115、および制御部133の各々は、ソフトウェア機能部とハードウェアの両方によって実現されてもよい。また、DB131は、例えば、電子機器122のメモリ(メモリチップ)によって実現されるが、これに限られるものではない。
(第2の実施形態)
次に、図13を参照して、第2の実施形態の検出装置1について説明する。本実施形態の検出装置1は、電極41の配置に関する点で、上記第1の実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
図13は、本実施形態の検出装置1を示す。図13中の(a)は、検出装置1の表側を示す平面図である。図13中の(b)は、検出装置1の裏側を示す平面図である。
図13に示すように、第1から第6の筋電位センサ31A,31B,31C,31D,31E,31Fの各電極41は、各電極41の長手方向(即ち長方形状の長手方向)を、アームカバー11の長手方向とは交差する方向に沿わせて配置されている。別の観点で見ると、各電極41の長手方向は、筋肉が延びた方向或いは筋繊維が延びた方向とは交差した方向に沿う。例えば、各電極41の長手方向は、着用者の腕ARの周方向に沿う。
また、各筋電位センサ31において、ネガティブ電極41N、グラウンド電極41G、およびポジティブ電極41Pは、着用者の肘ELから手首WRに向かう方向に並べられている。別の観点で見ると、各筋電位センサ31において、ネガティブ電極41N、グラウンド電極41G、およびポジティブ電極41Pは、筋肉が延びた方向、或いは筋繊維が延びた方向に並べられている。
(第3の実施形態)
次に、図14を参照して、第3の実施形態の検出装置1について説明する。本実施形態の検出装置1は、リード線隠しカバー141をさらに備える点で、上記第1の実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
図14は、本実施形態の検出装置1の断面図を示す。図14中の(a)は、リード線隠しカバー141が開かれた状態を示す。図14中の(b)は、リード線隠しカバーが閉じられた状態を示す。
図14に示すように、本実施形態では、アームカバー本体15は、複数のトンネル部18を備える。複数のトンネル部18は、着用者の腕ARの周方向に並べられている。
本実施形態のアームカバー11は、アームカバー本体15およびグローブ16に加えて、複数のリード線隠しカバー141を有する。リード線隠しカバー141は、「カバー」の一例である。リード線隠しカバー141は、リード線42およびトンネル部18に対して腕ARとは反対側に位置する。リード線隠しカバー141は、複数のリード線42および複数のトンネル部18を一体に覆う。これにより、リード線42およびトンネル部18が外部から隠される。
リード線隠しカバー141は、第1端部141aと、第1端部141aとは反対側に位置した第2端部141bとを有する。第1端部141aは、アームカバー本体15に固定されている。一方で、第2端部141bは、アームカバー本体15に対して、例えばテープなどで着脱可能に取り付けられる。このため、第2端部141bをアームカバー本体15から取り外すことで、リード線隠しカバー141をアームカバー本体15から開くことができる。リード線隠しカバー141がアームカバー本体15から開かれると、複数のリード線42および複数のトンネル部18が外部に露出する。このため、アームカバー本体15に対する筋電位センサ31の取り付け作業などが容易になり得る。
(第4の実施形態)
次に、図15を参照して、第4の実施形態の検出装置1について説明する。本実施形態の検出装置1は、導電性ゴム電極51およびリード線42に代えて、フィルム型センサ151を備える点で、上記第1の実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
図15は、検出装置1の断面図を示す。図15中の(a)は、検出装置1の断面図を示す。図15中の(b)は、検出装置1の平面図を示す。
図15に示すように、フィルム型センサ151は、シート状に形成されたセンサである。フィルム型センサ151は、アームカバー11の内面11aに取り付けられている。フィルム型センサ151は、柔軟性を有し、人体B(人体Bの皮膚等)に密着する。本実施形態では、フィルム型センサ151は、アームカバー11が人体Bに着用された場合に、人体Bの形状(腕ARの外周面)に自然に倣うように変形可能な柔軟性を有する。これにより、フィルム型センサ151と人体Bとの密着性が高められている。
本実施形態のフィルム型センサ151は、複数の導電部152、複数の導電ライン153、および絶縁体154を含む。
複数の導電部152は、第1の実施形態の電極41と略同じ機能を有する。複数の導電部152は、互いに電気的に絶縁されている。複数の導電部152は、筋電位を測定したい所望の位置に設けられている。例えば、複数の導電部152は、第1の実施形態の電極41と略同じ位置に配置されている。複数の導電部152は、人体Bの皮膚の上に置かれる。
複数の導電ライン(配線ライン等)153は、第1の実施形態のリード線42と略同じ機能を有する。複数の導電ライン153は、互いに電気的に絶縁されている。複数の導電ライン153は、複数の導電部152と、電子装置22とを個別に電気的に接続している。このため、導電部152が検出する筋電位は、導電ライン153を通じて、電子装置22に入力される。
複数の導電部152および複数の導電ライン153は、絶縁体154上に設けられている。絶縁体154は、複数の導電部152および複数の導電ライン153を一体に支持する。
このような構成の検出装置1であっても、第1の実施形態と同様に、着用されるだけで人体Bの状態(人体Bの活動状態や疲労状態等)または人体Bの動作などを検出することができる。また、本実施形態の構成によれば、各筋電位センサ31の構造を単純化することができる。このため、検出装置1の着用時の違和感をさらに小さくすることができる。
(第5の実施形態)
次に、図16を参照して、第5の実施形態の検出装置1について説明する。本実施形態の検出装置1は、導電性ゴム電極51およびリード線42に代えて、導電性繊維161を備える点で、上記第1の実施形態とは異なる。なお、以下に説明する以外の構成は、上記第1の実施形態と同様である。
図16は、検出装置1の断面図を示す。図16中の(a)は、検出装置1の断面図を示す。図16中の(b)は、検出装置1の平面図を示す。
図16に示すように、複数の導電性繊維161は、シート状に形成され、アームカバー11の内面11aに取り付けられている。複数の導電繊維161は、互いに電気的に絶縁されている。別の観点で見ると、複数の導電性繊維161は、アームカバー11の一部(アームカバー11の内面11aの一部)を形成している。導電性繊維161は、アームカバー11の内部に露出している。導電性繊維161は、柔軟性を有し、人体B(人体Bの皮膚)に密着する。本実施形態では、導電性繊維161は、アームカバー11が人体Bに着用された場合に、人体Bの形状(腕ARの外周面)に自然に倣うように変形可能な柔軟性を有する。これにより、導電性繊維161と人体Bとの密着性が高められている。
図16に示すように、導電性繊維161は、複数の導電部152を形成している。また、導電性繊維161は、複数の導電ライン153を形成してもよい。これら導電部152および導電ライン153の構成および機能は、第4の実施形態の導電部152および導電ライン153の構成および機能と略同じである。そのため、重複する説明は省略する。なお、本実施形態において、導電ライン153は、導電性繊維161に代えて、導電パターンが設けられたシート材(フィルム材)または他の導電部材で形成されてもよい。
このような構成の検出装置1であっても、第1の実施形態と同様に、着用されるだけで人体Bの状態(人体Bの活動状態や疲労状態等)または人体Bの動作などを検出することができる。また、本実施形態の構成によれば、各筋電位センサ31の構造を単純化することができる。このため、検出装置1の着用時の違和感をさらに小さくすることができる。
以上、第1から第5の実施形態について説明した。ただし、実施形態は、上記例に限定されない。例えば、検出装置1が備える筋電位センサ31の数は、1つでもよく、2つでもよい。また、電子装置22は、筋電位センサ31の出力(信号等)を無線送信するものに限られない。電子装置22は、メモリ171(図7参照)を備えて、筋電位センサ31の出力(信号等)を記憶するものでもよい。メモリ171は、例えばフラッシュメモリのような不揮発性のメモリ部品である。メモリ171に記憶された情報は、例えば外部接続用コネクタ73に外部機器が接続されることで、外部機器によって読み出されてもよい。検出装置1が着用されるのは、人体Bに限らず、ペット等の人体B以外の生体でもよい。
以上説明した少なくとも1つの実施形態によれば、センサ装置は、筋電位センサと、電子装置とを含む。前記電子装置は、前記筋電位センサと電気的に結合されており、前記筋電位センサから出力を受け取る。このような構成によれば、前記センサ装置が着用品に取り付けられることで、着用されるだけで人体の状態または動作などを検出する検出装置を提供することができる。
いくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。