以下、図面を参照して、本発明の実施形態について説明する。
図1は、本実施形態に係る電力変換装置の構成を示す。図1に示す電力変換装置1は、例えば3相交流電源APから供給される交流電力を直流電力に変換して直流回路DPに供給する他励式の電力変換装置である。
図1に示すように、電力変換装置1は、サイリスタバルブ10、ゲート制御装置20及び制御盤30を備える。
サイリスタバルブ10は、電力変換のための整流器の一種であり、多数のスイッチング素子を組み合わせた構成を有する。スイッチング素子としては、高電圧及び大容量のサイリスタ(素子)が用いられる。
ゲート制御装置20は、サイリスタバルブ10における各サイリスタを駆動する(各サイリスタの点呼を制御する)ためのゲートパルスを発生する。
制御盤30は、ゲート制御装置20と各種信号を送受信してサイリスタバルブ10による電力変換の制御及び監視をする。
なお、サイリスタバルブ10は、図2に示すように複数のサイリスタバルブモジュール100を直列接続して構成される。
図3は、主として図2に示すサイリスタバルブモジュール100の構成を示す。図3に示すように、サイリスタバルブモジュール100は、n個のサイリスタTH1,TH2,TH3,…,THn(nは2以上の整数)と、n個のスナバ回路SN1,SN2,SN3,…,SNnと、n個の分圧抵抗RP1,RP2,RP3,…,RPnと、n個の電圧検出器DV1,DV2,DV3,…,DVnとを備える。
n個のサイリスタTH1〜THnは、全て直列に接続されている。n個のスナバ回路SN1〜SNnは、n個のサイリスタTH1〜THnとそれぞれ並列に接続されている。n個の分圧抵抗RP1〜RPnは、n個の電圧検出器DV1〜DVnとそれぞれ直列に接続されている。なお、分圧抵抗RP1〜RPn及び電圧検出器DV1〜DVnがそれぞれ直列に接続されたn個の回路は、n個のサイリスタTH1〜THnとそれぞれ並列に接続されている。
サイリスタTH1〜THnの各々は、電力変換のためのスイッチング素子である。このサイリスタTH1〜THnとしては、例えば光信号(ゲートパルス)により駆動する光トリガサイリスタが用いられるものとする。サイリスタTH1〜THnは、ゲート制御装置20から出力されるゲートパルスGPに応じて駆動(点弧制御)される。サイリスタTH1〜THnが駆動されることにより、交流電力を直流電力に変換することが可能となる。
分圧抵抗RP1〜RPnは、サイリスタバルブモジュール100の極間に加わる直流電圧成分を均一分圧するとともに、電圧検出器DV1〜DVnに流れる電流を抑制する。
スナバ回路SN1〜SNnは、サイリスタバルブモジュール100の極間に加わる交流電圧成分を均一分圧するとともに、それぞれサイリスタTH1〜THnのターンオン(点弧)及びターンオフ(消弧)時に加わる過渡的な電圧分担の不均一及び過電圧から当該サイリスタTH1〜THnを保護する。また、スナバ回路SN1〜SNnは、それぞれサイリスタTH1〜THnに対して電力損失を低減し、安定したスイッチングを実現するために設けられている。スナバ回路SN1〜SNnは、抵抗RSとコンデンサCSとが直列に接続された構成を有する。
電圧検出器DV1〜DVnは、上記したようにサイリスタTH1〜THnの各々に対しして設けられており、当該サイリスタTH1〜THnに電圧が印加されたこと(及び電圧が印加されていないこと)を検出する。電圧検出器DV1〜DVnは、サイリスタTH1〜THnに電圧が印加された場合、当該サイリスタTH1〜THnに電圧が印加されていることを表す信号(以下、電圧信号と表記)をゲート制御装置20に出力する。
ゲート制御装置20は、電圧検出器DV1〜DVnによって出力された電圧信号に基づいてサイリスタTH1〜THnの各々への電圧の印加状態を監視する。
ゲート制御装置20は、制御盤30から受信される各種信号及びサイリスタTH1〜THnの各々への電圧の印加状態等に基づいてゲートパルスGPを生成(発生)する。ゲート制御装置20は、生成されたゲートパルスGPを所定のタイミングで各サイリスタTH1〜THnに出力することによって、当該各サイリスタTH1〜THnの駆動を制御する(点弧制御を実行する)。このゲートパルスGPにより、サイリスタバルブ10(サイリスタバルブモジュール100)は、電力変換動作を行う。
また、ゲート制御装置20は、例えばサイリスタTH1〜THnの各々への電圧の印加状態に基づいてサイリスタTH1〜THnの故障等を検出することも可能である。
制御盤30は、サイリスタTH1〜THnを駆動する位相(タイミング)を決定する処理を実行する。制御盤30は、決定された位相を示す信号(位相制御信号)を、上記したゲート制御装置20においてゲートパルスGPを生成するための信号として、ゲート制御装置20に送信する。
図4は、図3に示す電圧検出器DV1の構成を示す。図4に示すように、電圧検出器DV1は、ツェナーダイオードDZF及びDZRと、発光素子LF及びLRと、抵抗RDとを備える。なお、電圧検出器DV1には、サイリスタTH1に電圧が印加された際にスナバ回路SN1のインピーダンスにより発生する電圧が印加される。
ツェナーダイオードDZFは、分圧抵抗RP1と直列に接続されている。ツェナーダイオードDZFは、サイリスタTH1に順電圧が印加される際に電圧検出器DV1に印加される電圧により流れる電流を阻止する方向に取り付けられている。なお、この場合における順電圧は、サイリスタTH1に電流が流れる方向の電圧である。
このようなツェナーダイオードDZFにより、サイリスタTH1に順電圧が印加されると、発光素子LFには、当該発光素子LFを発光させるための電圧が印加される。
なお、ツェナーダイオードDZFは、順電圧による電流が過大になると(過電流が流れると)、この電流を流す方向に導通する。これにより、ツェナーダイオードDZFは、発光素子LFを過大な電流から保護する。
発光素子LFは、上記したようにサイリスタTH1に印加された順電圧に応じて発光する。発光素子LFが発光した場合、当該発光素子LFの発光に応じた光信号が順電圧信号(サイリスタTH1に順電圧が印加されていることを示す信号)FV1としてゲート制御装置20に対して出力される。なお、発光素子LFとしては、例えば発光ダイオード(LED:Light Emitting Diode)を用いることができる。
ツェナーダイオードDZRは、ツェナーダイオードDZFと逆向きかつ直列に接続されている。すなわち、ツェナーダイオードDZRは、サイリスタTH1に逆電圧が印加される際に電圧検出器DV1に印加される電圧により流れる電流を阻止する方向に取り付けられている。なお、この場合における逆電圧は、上記した順電圧の極性と逆の電圧である。
このようなツェナーダイオードDZRにより、サイリスタTH1に逆電圧が印加されると、発光素子LRには、当該発光素子LRを発光させるための電圧が印加される。
なお、ツェナーダイオードDZRは、逆電圧による電流が過大になると(過電流が流れると)、この電流を流す方向に導通する。これにより、ツェナーダイオードDZRは、発光素子LRを過電流から保護する。
発光素子LRは、サイリスタTH1に印加された逆電圧に応じて発光する。発光素子LRが発光した場合、当該発光素子LRの発光に応じた光信号が逆電圧信号(サイリスタTH1に逆電圧が印加されていることを示す信号)RV1としてゲート制御装置20に対して出力される。なお、上記した発光素子LFと同様に、発光素子LRとしては、例えば発光ダイオードを用いることができる。
抵抗RDは、発光素子LF及びLRに流れる電流を抑制する。このような抵抗RDにより、発光素子LF及びLRに所定の電流を流すことができる。
上記したように、電圧検出器DV1は、サイリスタTH1に電圧が印加されている場合には光信号を出力し、当該サイリスタTH1に電圧が印加されていない場合には光信号を出力しないように構成されている。
ここでは電圧検出器DV1の構成について説明したが、他の電圧検出器DV2〜DVnの構成についても同様であるため、その詳しい説明を省略する。
図5は、ゲート制御装置20の構成を示す。図5に示すように、ゲート制御装置20は、ゲートパルス出力部21及び監視部22を含む。
ゲートパルス出力部21は、制御盤30から受信される位相制御信号及び電圧検出器DV1〜DVnによって出力された電圧信号(サイリスタTH1〜THnの各々への電圧の印加状態)に基づいて、サイリスタTH1〜THnを駆動(点弧制御)するゲートパルスGPを発生する。具体的には、ゲートパルス出力部21は、位相制御信号に基づくサイリスタTH1〜THnを駆動するタイミングであり、かつ、サイリスタTH1〜THnのうちの少なくとも1つのサイリスタに順電圧が印加されている状態であれば、全てのサイリスタTH1〜THnを駆動するゲートパルスGPを発生する。
なお、電圧検出器DV1〜DVnによって出力された電圧信号は、後述する監視部22を介してゲートパルス出力部21に入力される。
ここで、本実施形態におけるサイリスタTH1〜THnは、光トリガサイリスタである。このため、ゲートパルス出力部21には、サイリスタTH1〜THnを駆動するためのレーザダイオード(LD:LASER Diode)ユニット(以下、LDユニットと表記)211が設けられている。
LDユニット211は例えば発光ダイオードのような発光素子を有し(収納し)、当該発光素子は、ゲートパルス出力部21によって発生されたゲートパルスGPに従って発光する。これにより、ゲートパルス出力部21は、LDユニット211が有する発光素子の発光に応じた光信号をゲートパルスGPとして出力する。
なお、ゲートパルス出力部21及びサイリスタTH1〜THnの各々は、当該ゲートパルス出力部21によって出力された光信号(ゲートパルスGP)を伝送するように構成された例えば光ファイバケーブル等の伝送路を介して接続されている。
これにより、ゲートパルス出力部21から出力された光信号がサイリスタバルブ10に伝送され、サイリスタTH1〜THnが駆動される。
監視部22は、電圧検出器DV1〜DVnによって出力された電圧信号に基づいてサイリスタTH1〜THnの各々への電圧の印加状態を監視する。
ここで、上記したように電圧検出器DV1〜DVnの各々によって出力される電圧信号は光信号である。このため、電圧検出器DV1〜DVnの各々及び監視部22は、電圧検出器DV1〜DVnによって出力された光信号(電圧信号)を伝送するように構成された例えば光ファイバケーブル等の伝送路を介して接続されている。また、ゲート制御装置20は、光信号を受光(受信)するための受光素子を備える。この受光素子は、例えばO/Eコンバータを含む。
これにより、電圧検出器DV1〜DVnの各々によって出力された光信号(電圧信号)は、上記した伝送路を介してゲート制御装置20に伝送され、O/Eコンバータを介して電気信号に変換されて監視部22に入力される。
上記したように監視部22は入力された電圧信号に基づいてサイリスタTH1〜THnの各々への電圧の印加状態を監視することができるが、当該監視部22による監視結果(サイリスタTH1〜THnの各々への電圧の印加状態)は、上記したようにゲートパルス出力部21に出力され、ゲートパルスGPの発生に用いられる。
なお、図5に示すように、監視部22は、故障検出部221及び光量低下検出部222を含む。
故障検出部221は、監視部22において入力された電圧信号に基づいてサイリスタTH1〜THnの故障を検出する。この場合、故障検出部221は、例えば正常に動作するサイリスタTH1〜THnの各々に入力電圧が印加されている状態におけるサイリスタTH1〜THnの各々への電圧の印加状態と、実際に電圧検出器DV1〜DVnによって出力される電圧信号とを比較することによって、故障しているサイリスタ(の有無)を検出する。
ここで、本実施形態においては、LDユニット211が有する発光素子(以下、点弧用発光素子と表記)の発光に応じた光信号に基づいてサイリスタTH1〜THnが駆動される。このため、例えば経年劣化等によって点弧用発光素子の光量が低下した場合には、サイリスタTH1〜THnを適切に駆動(点弧制御)することができなくなる場合があり、電力変換装置の運転に悪影響を与える可能性がある。
そこで、本実施形態において、光量低下検出部222は、サイリスタTH1〜THnを駆動するための光信号を出力するための点弧用発光素子の光量低下を検出する。一般に、電圧検出器DV1〜DVnの各々によって出力される電圧信号はサイリスタTH1〜THnの各々への電圧の印加状態(電圧が印加されている状態であるか否か)を監視するために用いられるが、本実施形態においては、この電圧信号を用いて点弧用発光素子の光量低下を検出する。
以下、光量低下検出部222による点弧用発光素子の光量低下の検出動作について説明する。
ここで、図6は、点弧用発光素子の光量が低下していない場合における当該点弧用発光素子の光量、サイリスタの電圧(サイリスタに印加されている順電圧)及び電圧検出器の検出結果(電圧信号)の関係性を示す。なお、図6の上段、中段及び下段の図において、横軸は時間tを示している。
ここでは、例えばサイリスタTH1〜THnのうちのサイリスタTHi(i=1,2,3,…,n)に印加されている電圧Vt(V)がVMであり、当該サイリスタTHi(を含むサイリスタTH1〜THn)を駆動するためのゲートパルスGP(光信号)がゲートパルス出力部21(LDユニット211)から出力される場合を想定する。
この場合、LDユニット211の点弧用発光素子は、光信号の出力のために発光を開始する。図6の上段の図に示すように、点弧用発光素子の光量PL(W)は、徐々に上昇し、PLMに達する。点弧用発光素子の発光は、サイリスタTHiを駆動するために十分な期間継続した後に終了される。
以下の説明においては、ゲートパルスGPが出力された時間(以下、GP出力時間と表記)をt1とする。なお、図6においては、便宜的に点弧用発光素子が発光を開始した時間(時点)をGP出力時間としているが、点弧用発光素子の光量が所定の値(例えば、0.1PLM)に達した時間をGP出力時間としても構わない。
なお、図6の中段の図に示すように、GP出力時間t1では、サイリスタTHiの電圧Vtは上記したVMである。ここで、上記したように点弧用発光素子の発光によって光信号であるゲートパルスGPがゲートパルス出力部21から出力されると、サイリスタTHiの電圧Vtは、サイリスタTHi内部のインピーダンス等の影響を受けて低下する。サイリスタTHiの電圧Vtが低下し続けて0になると、当該サイリスタTHiは導通状態となる(ターンオンする)。
また、上記したようにサイリスタTHiの電圧VtがVMである場合には、当該サイリスタTHiに対して設けられている電圧検出器DViは、サイリスタTHiに電圧が印加されていることを表す電圧信号を出力する。
なお、図6の下段の図において、「1」は、電圧検出器DViが電圧信号を出力している(つまり、サイリスタTHiに電圧が印加されていることを検出している)状態を示している。一方、「0」は、電圧検出器DViが電圧信号を出力していない(つまり、サイリスタTHiに電圧が印加されていないことを検出している)状態を示している。
ここで、電圧検出器DViは、例えばサイリスタTHiの電圧Vtが所定の値(以下、閾値電圧Vthと表記)以上である場合には電圧信号を出力し、当該サイリスタTHiの電圧Vtが閾値電圧Vth未満である場合には電圧信号を出力しないように構成されているものとする。なお、閾値電圧Vthとしては、例えば0.9VM等を設定することができる。
すなわち、本実施形態においては図6の上段の図に示す点弧用発光素子の光量PL及び図6の中段の図に示すサイリスタTHiの電圧Vtを計測していないが、光量低下検出部222は、上記した電圧検出器DViにおける電圧信号が出力されている状態から電圧信号が出力されていない状態への遷移を監視することによって、ゲートパルスGPに基づくサイリスタTHiの点弧に応じた当該サイリスタTHiの電圧(波形)の立ち下がり(VMからVthへの低下)を検出することができる。
以下の説明において、点弧用発光素子の光量が低下していない場合においてサイリスタTHiの電圧波形の立ち下がりが検出された時間(以下、立ち下がり検出時間と表記)をt2とする。なお、立ち下がり検出時間t2は、電圧検出器DViによってサイリスタTHiに電圧が印加されていないことが検出された時間(時点)に相当する。また、図6に示すように、GP出力時間t1から立ち下がり検出時間t2までの時間をt3とする。
次に、図7は、点弧用発光素子の光量が低下している場合における当該点弧用発光素子の光量、サイリスタTHiの電圧(サイリスタTHiに印加されている順電圧)及び電圧検出器DViの検出結果(電圧信号)の関係性を示す。図7においては図6と同様の部分には同一参照符号を付しており、図6と異なる部分について主に説明する。
上記した点弧用発光素子の光量が低下していない場合においては、点弧用発光素子の発光が開始された後、当該点弧用発光素子の光量はPLMに達する。しかしながら、点弧用発光素子の光量が低下している場合には、図7の上段の図に示すように、当該点弧用発光素子の光量はPLMよりも低いPLM´にまでしか達しない。
この場合、図7の中段の図に示すように、点弧用発光素子の光量が低下していない場合と比較して、サイリスタTHiが導通状態となる(つまり、ターンオンする)までの時間は長くなる。これに伴い、サイリスタTHiの電圧VtがVMからVthに低下する時間、すなわち、電圧検出器DViによってサイリスタTHiに電圧が印加されていないことが検出される時間(つまり、立ち下がり検出時間)t2´も図6において説明した立ち下がり検出時間t2よりも遅くなる。
このため、図7に示す点弧用発光素子の光量が低下している場合におけるGP出力時間t1から立ち下がり検出時間t2´までの時間t3´は、上記した点弧用発光素子の光量が低下していない場合における時間t3よりも長い。
本実施形態において、光量低下検出部222は、上記した点弧用発光素子の光量低下と電圧検出器DViによる検出結果(立ち下がり検出時間)との関係に基づいて、当該点弧用発光素子の光量低下を検出する。
具体的には、ゲートパルス出力部21によってゲートパルスGPが発生される場合、光量低下検出部222は、サイリスタTHiを駆動する(つまり、光信号を出力する)ためにLDユニット211において点弧用発光素子が発光を開始した時間(GP出力時間t1)を内部に保持する。
ここで、上記したようにGP出力時間t1の時点では電圧検出器DViによって光信号が出力されているが、当該電圧検出器DViにおいては、点弧用発光素子が発光を開始した後にサイリスタTHiの電圧が低下することによって当該光信号の出力(つまり、電圧検出器DViにおける発光素子の発光)が停止され、当該サイリスタTHiの電圧波形の立ち下がりが検出される。
この場合、光量低下検出部222は、サイリスタTHiの電圧波形の立ち下がりが検出された時間(立ち下がり検出時間)t2´を取得する。
次に、光量低下検出部222は、内部に保持されていたGP出力時間t1及び取得された立ち下がり検出時間t2´に基づいて時間t3´(つまり、ゲートパルスGPが出力された後、電圧波形の立ち下がりが検出されるまでの時間)を算出する。
光量低下検出部222は、このように算出された時間t3´に基づいて点弧用発光素子の光量低下を検出する。具体的には、光量低下検出部222は、時間t3´が予め定められた値(以下、閾値と表記)以上である場合に、点弧用発光素子の光量低下を検出する。この場合における閾値としては、上記した点弧用発光素子の光量が低下していない場合における時間t3よりも大きい値であり、例えば電力変換装置1の運転に影響を与える程度の光量低下を検出可能な値が定められているものとする。
なお、点弧用発光素子の光量低下は、時間t3´と点弧用発光素子の光量が低下していない場合における時間t3との差分等に基づいて検出されても構わない。
上記したように光量低下検出部222によって点弧用発光素子の光量低下が検出された場合、当該点弧用発光素子の光量低下は、例えばゲート制御装置20に接続された表示装置(モニタ)等に表示(つまり、管理者等に通知)されてもよい。
上記したように本実施形態においては、ゲートパルス出力部21(LDユニット211)によって出力されたゲートパルスGPに基づくサイリスタTHiの点弧に応じた当該サイリスタTHiに印加されている電圧(波形)の立ち下がりを検出し、当該検出結果に基づいて点弧用発光素子の光量低下を検出する。
具体的には、ゲートパルスGPが出力された後、サイリスタTHiに印加されている電圧の立ち下がりが検出されるまでの時間t3´が閾値(予め定められた値)以上である場合に、点弧用発光素子の光量低下が検出される。
本実施形態においては、このような構成により、電力変換装置1(サイリスタバルブ10)の運転を停止して点弧用発光素子の光量を測定(確認)することなく、電力変換装置1の運転中に常時、当該点弧用発光素子の光量低下を監視することができるため、効率的に当該点弧用発光素子の光量低下を検出することが可能となる。
なお、本実施形態において、電圧検出器DViは、サイリスタTHiに閾値電圧Vth以上の電圧が印加されている場合には光信号(電圧信号)を出力し、当該閾値電圧Vth未満の電圧が印加されている場合には光信号を出力しないように構成されている。本実施形態においては、このような電圧検出器DViにおける光信号を出力している状態から当該光信号を出力しない状態への遷移に着目することによって、ゲートパルスGPが出力された後にサイリスタTHiに閾値電圧Vth以上の電圧が印加されていないことが検出された場合にサイリスタTHiの電圧の立ち下がりを検出することができる。
なお、本実施形態においては図1に示す構成を有する電力変換装置1について説明したが、本実施形態は、点弧用発光素子の発光に応じたゲートパルスGP(光信号)によって駆動(点弧制御)される光トリガサイリスタを用いるものであれば、例えば無効電力補償装置(SVC:Static Var Compensator)等に適用することも可能である。
また、本実施形態においてはLDユニット211がゲート制御装置20(ゲートパルス出力部21)内に設けられるものとして説明したが、LDユニット211は、ゲート制御装置20の外部に設けられる構成であっても構わない。この場合であっても、LDユニット211は、ゲート制御装置20(ゲートパルス出力部21)によって発生されたゲートパルスGPに従って発光することによって、光信号をサイリスタTH1〜THnに出力(伝送)するように構成されていればよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。これら実施形態は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。これら実施形態やその変形は、発明の範囲や要旨に含まれると同様に、特許請求の範囲に記載された発明とその均等の範囲に含まれるものである。