以下、スイッチング電源装置の実施の形態について、図面を参照しつつ説明する。
スイッチング電源装置の一例としてのスイッチング電源装置1は、図1に示すように、直流入力部としての一対の直流入力端子2a,2b、直流出力部としての一対の直流出力端子3a,3b、一対の直流入力端子2a,2bと一対の直流出力端子3a,3bとの間に並列接続された複数台(n個。nは2以上の整数)のコンバータ部41,42,・・・,4n、制御信号生成部5、故障検出部6および制御部7を備え、直流入力端子2a,2b間に入力される直流入力電圧Viに基づいて直流出力電圧Voを生成して直流出力端子3a,3bから負荷に出力可能に構成されている。なお、本例では一例として、直流入力電圧Viは、基準電位(本例では共通グランドG)に接続された直流入力端子2bを低電位側として、直流入力端子2a,2b間に入力される。また、本例では、直流出力端子3a,3bのうちの直流出力端子3bも共通グランドGに接続されて、スイッチング電源装置1が全体として非絶縁型コンバータ装置として構成されているため、直流出力電圧Voは、直流出力端子3bを低電位側として、直流出力端子3a,3b間から出力される。
コンバータ部41,42,・・・,4n(以下、特に区別しないときにはコンバータ部4ともいう)は、同一に(一例として、同一の構成の共振型コンバータとして)構成されている。以下では、コンバータ部4の構成について、コンバータ部41を例に挙げて説明する。
具体的には、図2に示すように、コンバータ部41は、スイッチング回路および整流平滑回路を備えている。スイッチング回路は、一例として、第1インダクタ411およびスイッチング素子421の直列回路、スイッチング素子421に並列接続された第1共振キャパシタ431、および一端が第1インダクタ411およびスイッチング素子421の接続点(第1接続点A)に接続された第2共振インダクタ441を備えている。また、スイッチング回路では、第1インダクタ411およびスイッチング素子421の直列回路が一対の直流入力端子2a,2b間に接続され、第1インダクタ411および第2共振インダクタ441の直列回路が一対の直流入力端子2a,2bのうちの一方の直流入力端子(この例では直流入力端子2a)に接続され、かつスイッチング素子421の一対の端子のうちの第1接続点Aに接続されていない端子が一対の直流入力端子2a,2bのうちの他方の直流入力端子(この例では直流入力端子2b)に接続されている。なお、第1共振キャパシタ431には、スイッチング素子421の出力容量(不図示)が含まれるものとする。また、スイッチング素子421は、MOSFET(Metal-Oxide-Semiconductor Field-Effect Transistor)などの電界効果型トランジスタ、バイポーラトランジスタまたはGaN(窒化ガリウム)デバイスなどで構成されている。
以上の構成を備えてE級インバータ回路として構成されたスイッチング回路は、制御部7から供給される後述の駆動信号Vp1,Vp2,・・・,Vpn(以下、特に区別しないときには駆動信号Vpともいう)のうちの対応する駆動信号Vp(この例では、駆動信号Vp1)でスイッチング素子421が駆動されることにより、直流入力端子2a,2b間に入力される直流入力電圧Viを交流出力電圧Vacに変換して、第2共振インダクタ441の他端と直流入力端子2b(共通グランドG)との間に出力することが可能となっている。また、このスイッチング回路は、高周波(VHF)帯域の駆動信号Vpでスイッチング素子421が駆動される構成のため、コンバータ部4は、高周波共振コンバータ部として構成されている。
整流平滑回路は、一例として、第2共振キャパシタ521および第3共振キャパシタ541の直列回路、第3共振キャパシタ541に並列接続された第3共振インダクタ551、第2共振キャパシタ521および第3共振キャパシタ541の接続点(第2接続点B)と直流出力端子3a,3b(本例では直流出力端子3a)との間に接続されたダイオード511、および直流出力端子3a,3b間に接続された平滑キャパシタ531を備えて、共振整流平滑回路として構成されている。具体的には、第2共振キャパシタ521および第3共振キャパシタ541の直列回路は、第2共振インダクタ441の他端と直流入力端子2b(共通グランドG)との間に接続されている。また、第2共振キャパシタ521およびダイオード511の直列回路が、第2共振インダクタ441の他端と直流出力端子3aとの間に接続されている。
以上の構成を備えた整流平滑回路は、スイッチング回路から出力される交流出力電圧Vacを直流出力電圧Voに変換して直流出力端子3a,3bに出力することが可能となっている。なお、コンバータ部41,42,・・・,4nの各整流平滑回路に含まれる平滑キャパシタ531,532,・・・,53n(なお、平滑キャパシタ531以外の平滑キャパシタ532,・・・,53nは図示を省略している)については、互いに並列に接続されている。このため、以下では、平滑キャパシタ531,532,・・・,53nの並列合成容量と同等の容量を有する1つの出力キャパシタCoが図1に示すように直流出力端子3a,3b間に接続されているものとして説明する。なお、整流平滑回路は、この構成に限定されるものではなく、図示はしないが、絶縁トランスを備えて、交流出力電圧Vac側と直流出力電圧Vo側とを電気的に絶縁する構成を採用することもできるなど、種々の構成を採用することができる。
制御信号生成部5は、予め規定された基準電圧と直流出力電圧Voとを比較して、制御部7から各コンバータ部4への駆動信号Vpの供給の開始を指示する第1タイミング、および駆動信号Vpの供給の停止を指示する第2タイミングを含む制御信号Sdを生成して制御部7に出力する。この制御信号Sdについては、ヒステリシス制御、PWM制御などの種々の制御方式に基づいて生成することが可能であるが、本例の制御信号生成部5では、一例として、ヒステリシス制御方式に基づいて制御信号Sdを生成する構成を採用している。
この場合、制御信号生成部5は、一例として、不図示のコンパレータ回路を備え、図1に示すように、上記した基準電圧としての予め規定された上限基準電圧VHおよび下限基準電圧VLと直流出力電圧Voとを比較して、図5に示すように、直流出力電圧Voが低下して下限基準電圧VLに達したタイミングを第1タイミングとして含み、かつ直流出力電圧Voが上昇して上限基準電圧VHに達したタイミングを第2タイミングとして含む制御信号Sd(一例として、第1タイミングに同期して立ち上がり、また第2タイミングに同期して立ち下がるパルス信号)を生成して出力する。また、制御信号生成部5は、コンパレータ回路に代えて、DSPまたはFPGAなどで構成することもできる。また、制御信号生成部5は、直流出力電圧Voを直接、上限基準電圧VHおよび下限基準電圧VLと比較する構成でもよいし、直流出力電圧Voを例えば分圧抵抗などで分圧した電圧を、上限基準電圧VHおよび下限基準電圧VLと比較する構成でもよい。本例では、いずれの構成についても、「上限基準電圧VHおよび下限基準電圧VLと直流出力電圧Voとを比較する」との概念に含まれるものとする。
故障検出部6は、各コンバータ部41,42,・・・,4nのそれぞれでの故障の発生の有無を検出して、この故障の発生を検出しているときには故障検出信号Sw1,Sw2,・・・,Swn(コンバータ部41,42,・・・,4nに一対一で対応する信号。以下、特に区別しないときには故障検出信号Swともいう)を生成して制御部7に出力する。また、故障検出部6は、DSPおよびFPGAなどで構成することができる。
制御部7は、n個のコンバータ部41,42,・・・,4nに一対一で対応するn個の駆動信号Vp1,Vp2,・・・,Vpnを生成して、コンバータ部41,42,・・・,4nの各スイッチング素子421,422,・・・,42nに出力することにより、各コンバータ部41,42,・・・,4nに対する駆動制御を実行可能に構成されている。
一例として、制御部7は、図3に示すように、n個のコンバータ部41,42,・・・,4nに一対一で対応して設けられたn個のスイッチング信号生成回路111,112,・・・,11n(以下、特に区別しないときにはスイッチング信号生成回路11ともいう)、n個のコンバータ部41,42,・・・,4nに一対一で対応して設けられたn個のゲート駆動回路121,122,・・・,12n(以下、特に区別しないときにはゲート駆動回路12ともいう)、および制御回路13を備えている。
この場合、スイッチング信号生成回路11は、例えば発振回路で構成されて、一対一で対応するコンバータ部4のZVS(ゼロボルトスイッチング)動作条件に最適化した固定時比率および固定周波数に予め規定されたスイッチング信号(電圧信号)Vsw1,Vsw2,・・・,Vswn(以下、特に区別しないときにはスイッチング信号Vswともいう)を生成して、対応するゲート駆動回路12の入力端子に出力する。各ゲート駆動回路12は、制御回路13から出力される後述のn個の許可信号Se1,Se2,・・・,Sen(以下、特に区別しないときには許可信号Seともいう)のうちの対応する許可信号Seが入力されているときには、入力されているスイッチング信号Vswを対応するコンバータ部4へ駆動信号Vpとして出力し、対応する許可信号Seが入力されていないときには、入力されているスイッチング信号Vswの対応するコンバータ部4への駆動信号Vpとしての出力を停止する。
なお、n個のコンバータ部4に一対一で対応させてn個のスイッチング信号生成回路11を設ける上記の構成は、各々のコンバータ部4のZVS(ゼロボルトスイッチング)動作条件のばらつきを考慮して、各コンバータ部4を確実にZVS動作させ得る固定時比率および固定周波数のスイッチング信号Vswを個別に生成して出力できるため、好ましい構成であるが、回路構成が複雑化(部品点数が増加)する。このため、この構成に代えて、回路構成の簡略化(部品点数の削減)を目的として、図4に示すように、n個のコンバータ部4に共通のスイッチング信号生成回路11を1個だけ配設して、固定時比率および固定周波数が共通のスイッチング信号Vswを各コンバータ部4に供給する構成を採用することもできる。この場合、各々のコンバータ部4のZVS(ゼロボルトスイッチング)動作条件のばらつきを出来得る限り吸収し得る値に、共通のスイッチング信号Vswの固定時比率および固定周波数を予め規定する必要がある。
制御回路13には、制御信号生成部5から出力される制御信号Sd、および故障検出部6から出力される故障検出信号Sw1,Sw2,・・・,Swnが入力される。また、制御回路13は、故障検出信号Sw1,Sw2,・・・,Swnの入力の有無に基づいてn個のコンバータ部4のうちの動作可能なコンバータ部4(つまり、対応する故障検出信号Swが故障検出部6から出力されていないコンバータ部4)の中から駆動対象とする1つを駆動対象コンバータ部として選択すると共にこの1つの駆動対象コンバータ部に対して制御信号Sdで示される第1タイミング(制御信号Sdの立ち上がりタイミング)に同期して駆動信号Vpの供給を開始すると共に制御信号Sdで示されるこの第1タイミングの直後(この第1タイミングの次の最初)の第2タイミング(制御信号Sdの立ち下がりタイミング)に同期して駆動信号Vpの供給を停止する駆動制御を、動作可能なコンバータ部4の中で駆動対象コンバータ部として選択するコンバータ部4を変更しつつ実行する。
本例の制御回路13は、n個のコンバータ部4のうちの動作可能なコンバータ部4の中から駆動対象コンバータ部を1つ選択すると共にこの駆動対象コンバータ部に対応するゲート駆動回路12に対して、制御信号Sdで示される上記の第1タイミングに同期して許可信号Seの出力を開始すると共に制御信号Sdで示されるこの第1タイミング直後の第2タイミングに同期してこの許可信号Seの出力を停止する出力制御を、動作可能なコンバータ部4の中で駆動対象コンバータ部として選択するコンバータ部4を変更するのに併せてゲート駆動回路12を変更しつつ実行することで、上記のように駆動信号Vpの供給を開始したり、供給を停止したりする駆動制御を実行する。
また、制御部7の制御回路13は、駆動対象コンバータ部として選択するコンバータ部4を変更する際には、動作可能な複数台のコンバータ部4のうちの直前に駆動したコンバータ部4を除く残りのコンバータ部4の中からランダムに、または予め規定された順序に従って1つ選択する。これにより、動作可能なコンバータ部4についての駆動率(稼働率)が平均化される。本例では、一例として、制御回路13は、コンバータ部41,42,・・・,4n,41,42,・・・の順序(昇順)で、かつ故障しているコンバータ部4を飛ばしつつ1つ選択する。また、制御回路13については、順序回路またはCPUで構成することができる。
また、制御部7(本例では、n個のゲート駆動回路12のうちの駆動対象コンバータ部として選択された1つのコンバータ部4に対応する1つのゲート駆動回路12)から出力される駆動信号Vpは、上記したような固定時比率および固定周波数に規定された複数のスイッチング信号Vswを含んで構成される。これにより、各コンバータ部4は、駆動信号Vpが供給されて、スイッチング信号Vswの周期で連続的にスイッチング動作する駆動期間と、駆動信号Vpの供給が停止されて、スイッチング動作を停止する停止期間とを繰り返す、バースト制御方式で駆動される。
次に、スイッチング電源装置1の動作について図5,6を参照して説明する。なお、以下では、理解の容易のため、コンバータ部4の数nを3(コンバータ部41,42,43)とする。このため、故障検出部6は、コンバータ部41,42,43に対応する3個の故障検出信号Sw1,Sw2,Sw3を生成して制御部7に出力し、制御部7は、コンバータ部41,42,43に対応する3個の駆動信号Vp1,Vp2,Vp3を生成して出力するものとする。
最初に、コンバータ部41,42,43のいずれも動作可能な状態にある(故障しておらず、正常な状態にある)時間t12までの期間でのスイッチング電源装置1の動作について説明する。この期間では、故障検出部6は、コンバータ部41,42,43についての3個の故障検出信号Sw1,Sw2,Sw3のいずれも生成していない(故障検出信号Sw1,Sw2,Sw3のいずれもローレベル(本例では0ボルト)となっている)。この状態において、制御部7が、図5に示すように、時間t0の直前の駆動期間(駆動信号Vpの供給期間)では、駆動信号Vp3を生成してコンバータ部43(駆動対象コンバータ部)のみを動作(スイッチング動作)させていたとすると、この駆動期間の終了後から次に新たに駆動対象コンバータ部として選択されたコンバータ部4の駆動期間が開始するまでの間においては、コンバータ部41,42,43のいずれもスイッチング動作を停止する。このため、直流出力電圧Voは低下して、その後、下限基準電圧VLに達する。
制御信号生成部5は、この直流出力電圧Voが低下して下限基準電圧VLに達したことを検出して、直流出力電圧Voが下限基準電圧VLに達したタイミング(第1タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち上げる(ローレベルからハイレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち上がりタイミング(第1タイミング)を検出すると共にこの第1タイミングに同期して(つまり、時間t0のときに)、動作可能なコンバータ部41,42,43の中から次に駆動対象とする1つを駆動対象コンバータ部として選択する(動作可能なコンバータ部4が直前に駆動対象コンバータ部として選択していたコンバータ部4以外に存在するときには、コンバータ部4が変更されるように選択する。本例では、コンバータ部43に代えてコンバータ部41を選択する)と共にこのコンバータ部41に対して駆動信号Vp1の供給を開始する。具体的には、制御部7では、制御回路13が、この第1タイミングに同期して、ゲート駆動回路121に対する許可信号Se1についてだけその出力を開始することで、ゲート駆動回路121からコンバータ部41への駆動信号Vp1の供給を開始させる。
これにより、スイッチング電源装置1では、駆動信号Vp1の供給を受けてコンバータ部41のみが駆動対象コンバータ部としてスイッチング動作を開始する(新たな駆動期間が開始する)。これにより、直流出力電圧Voが時間t0から上昇を開始し、その後、時間t1において上限基準電圧VHに達する。制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが上昇して上限基準電圧VHに達したことを検出して、直流出力電圧Voが上限基準電圧VHに達したタイミング(第2タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち下げる(ハイレベルからローレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち下がりタイミング(第2タイミング)を検出すると共にこの第2タイミング(つまり、上記の駆動信号Vp1の供給を開始した第1タイミング直後の第2タイミング)に同期して、つまり、時間t1において、コンバータ部41に対する駆動信号Vp1の供給を停止する。具体的には、制御部7では、制御回路13が、この第2タイミングに同期して、ゲート駆動回路121に対する許可信号Se1の出力を停止することで、ゲート駆動回路121からコンバータ部41への駆動信号Vp1の供給を停止させる。
これにより、スイッチング電源装置1では、時間t1(第2タイミング)からコンバータ部41,42,43のいずれもスイッチング動作を停止した状態となるため、直流出力電圧Voは、時間t1から低下を開始し、その後、時間t2において下限基準電圧VLに達する。制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが低下して下限基準電圧VLに達したことを検出して、直流出力電圧Voが下限基準電圧VLに達したタイミング(第1タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち上げる(ローレベルからハイレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち上がりタイミング(第1タイミング)を検出すると共にこの第1タイミングに同期して、つまり、時間t2において、動作可能なコンバータ部41,42,43の中から次に駆動対象とする1つを駆動対象コンバータ部として選択する(本例では、コンバータ部41に代えてコンバータ部42を選択する)と共にこのコンバータ部42に対して駆動信号Vp2の供給を開始する。具体的には、制御部7では、制御回路13が、この第1タイミングに同期して、ゲート駆動回路122に対する許可信号Se2についてだけその出力を開始することで、ゲート駆動回路122からコンバータ部42への駆動信号Vp2の供給を開始させる。
これにより、スイッチング電源装置1では、駆動信号Vp2の供給を受けてコンバータ部42のみが駆動対象コンバータ部としてスイッチング動作を開始する(新たな駆動期間が開始する)。これにより、直流出力電圧Voが時間t2から上昇を開始し、その後、時間t3において上限基準電圧VHに達する。制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが上昇して上限基準電圧VHに達したことを検出して、直流出力電圧Voが上限基準電圧VHに達したタイミング(第2タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち下げる(ハイレベルからローレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち下がりタイミング(第2タイミング)を検出すると共にこの第2タイミング(つまり、上記の駆動信号Vp2の供給を開始した第1タイミング直後の第2タイミング)に同期して、つまり、時間t3において、コンバータ部42に対する駆動信号Vp2の供給を停止する。具体的には、制御部7では、制御回路13が、この第2タイミングに同期して、ゲート駆動回路122に対する許可信号Se2の出力を停止することで、ゲート駆動回路122からコンバータ部42への駆動信号Vp2の供給を停止させる。
これにより、スイッチング電源装置1では、時間t3(第2タイミング)からコンバータ部41,42,43のいずれもスイッチング動作を停止した状態となるため、直流出力電圧Voは、時間t3から低下を開始し、その後、時間t4において下限基準電圧VLに達する。
この時間t3以降、時間t12までは、コンバータ部41,42,43のいずれも動作可能な状態のため(故障していないため)、故障検出部6が故障検出信号Sw1,Sw2,Sw3のいずれも生成しない状態(故障検出信号Sw1,Sw2,Sw3のいずれもローレベルとなる状態)が継続される。これにより、スイッチング電源装置1では、制御信号生成部5および制御部7が、時間t3から時間t12までの期間において、上記した時間t0から時間t3までの期間での動作と同等の動作を、駆動対象コンバータとして選択する1つのコンバータ部4を変更しつつ実行する。
したがって、図5に示すように、時間t4から時間t5までの期間(駆動期間)では、コンバータ部42に代えてコンバータ部43が駆動対象コンバータとして選択されて駆動信号Vp3の供給を受けてスイッチング動作し(これにより、直流出力電圧Voが上昇し)、時間t5から時間t6までの期間では、すべてのコンバータ部4がスイッチング動作を停止する(これにより、直流出力電圧Voが低下する)。また、次の時間t6から時間t7までの期間(駆動期間)では、コンバータ部43に代えてコンバータ部41が駆動対象コンバータとして選択されて駆動信号Vp1の供給を受けてスイッチング動作し(これにより、直流出力電圧Voが上昇し)、時間t7から時間t8までの期間では、すべてのコンバータ部4がスイッチング動作を停止する(これにより、直流出力電圧Voが低下する)。
以降、コンバータ部42,43が順次、1つずつ駆動対象コンバータとして選択されて、対応する駆動信号Vp2,Vp3の供給を受けてスイッチング動作する。このようにして、このスイッチング電源装置1では、いずれのコンバータ部4も故障していない状態において、動作可能なコンバータ部41,42,43が順次、1つずつ駆動対象コンバータとして選択されて、対応する駆動信号Vp1,Vp2,Vp3の供給を受けてスイッチング動作することで、図5に示すように、時間t0から時間t12までの期間において、直流出力電圧Voを下限基準電圧VLと上限基準電圧VHとの間に維持することが可能となっている。
また、このように、いずれのコンバータ部41,42,43も故障していない状態においては、各コンバータ部41,42,43はそれぞれ、図5に示すように、直流出力電圧Voのリップル周期の3倍(動作可能なコンバータ部4の台数倍)の周期(このときの動作条件における動作可能なコンバータ部4の個々のバースト周期)で、駆動信号Vpが供給される駆動期間でのスイッチング動作と、駆動信号Vpの供給が停止される停止期間でのスイッチング停止動作とを繰り返す。
次に、コンバータ部41,42,43のいずれかが故障したときのスイッチング電源装置1の動作について図5を参照して説明する。
まず、時間t12の時点では、コンバータ部41,42,43のいずれも動作可能な状態にあるため、故障検出部6は故障検出信号Sw1,Sw2,Sw3のいずれも生成していない(故障検出信号Sw1,Sw2,Sw3のいずれもローレベルとなっている)。また、制御信号生成部5は、この時間t12において、直流出力電圧Voが低下して下限基準電圧VLに達したことを検出して、このタイミング(第1タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち上げる(ローレベルからハイレベルに移行させる)。
この場合、制御部7は、図5に示すように、制御信号Sdのこの立ち上がりタイミング(第1タイミング)を検出すると共にこの第1タイミングに同期して(つまり、時間t12のときに)、コンバータ部43に代えて、動作可能なコンバータ部41,42,43の中からコンバータ部41を駆動対象コンバータ部として選択して、このコンバータ部41に対して駆動信号Vp1の供給を開始する。これにより、コンバータ部41のみが駆動信号Vp1の供給を受けてスイッチング動作を開始することで、直流出力電圧Voが下限基準電圧VLから上昇する。
その後、この直流出力電圧Voが上限基準電圧VHに達する前に、コンバータ部43だけが故障したときには、故障検出部6はこれを検出して、図5に示すように、対応する故障検出信号Sw3だけを生成して(故障検出信号Sw3だけをハイレベルに移行させて)、制御部7に出力する。なお、この時点においてスイッチング動作しているコンバータ部41は正常なため、直流出力電圧Voは引き続き上昇し、その後、時間t13において上限基準電圧VHに達する。制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが上昇して上限基準電圧VHに達したことを検出して、このタイミング(第2タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち下げる(ハイレベルからローレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち下がりタイミング(第2タイミング)を検出すると共にこの第2タイミングに同期して、つまり、時間t13において、コンバータ部41に対する駆動信号Vp1の供給を停止する。これにより、スイッチング電源装置1では、時間t13(第2タイミング)から、コンバータ部41,42,43のいずれもスイッチング動作を停止した状態となる(コンバータ部43については故障のため、スイッチング動作不可の状態にある)ため、直流出力電圧Voは、時間t13から低下を開始し、その後、時間t14において下限基準電圧VLに達する。制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが低下して下限基準電圧VLに達したことを検出して、このタイミング(第1タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち上げる(ローレベルからハイレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち上がりタイミング(第1タイミング)を検出すると共にこの第1タイミングに同期して、つまり、時間t14において、故障のコンバータ部43を除く動作可能なコンバータ部41,42の中から次に駆動対象とする1つを駆動対象コンバータ部として選択する(本例では、コンバータ部41に代えてコンバータ部42を選択する)と共にこのコンバータ部42に対して駆動信号Vp2の供給を開始する。これにより、コンバータ部42のみが駆動信号Vp2の供給を受けてスイッチング動作を開始する(新たな駆動期間が開始する)。これにより、直流出力電圧Voが時間t14から上昇を開始し、その後、時間t15において上限基準電圧VHに達する。制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが上昇して上限基準電圧VHに達したことを検出して、直流出力電圧Voが上限基準電圧VHに達したタイミング(第2タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち下げる(ハイレベルからローレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち下がりタイミング(第2タイミング)を検出すると共にこの第2タイミングに同期して、つまり、時間t15において、コンバータ部42に対する駆動信号Vp2の供給を停止する。これにより、スイッチング電源装置1では、時間t15(第2タイミング)からコンバータ部41,42,43のいずれもスイッチング動作を停止した状態となる(コンバータ部43については故障によるスイッチング動作不可の状態にある)ため、直流出力電圧Voは、時間t15から低下を開始し、その後、時間t16において下限基準電圧VLに達する。
この時間t16以降、時間t26までは、コンバータ部41,42が正常で、コンバータ部43のみが故障している状態が継続するため、故障検出部6が故障検出信号Sw3のみを生成している状態(故障検出信号Sw1,Sw2がローレベルで、故障検出信号Sw3のみがハイレベルとなる状態)が継続される。これにより、スイッチング電源装置1では、制御信号生成部5が、上記した時間t0から時間t15までの期間での動作と同等の動作を実行して、直流出力電圧Voが下限基準電圧VLに達したタイミング(第1タイミング)に同期して、制御信号Sdを立ち上げ(ローレベルからハイレベルに移行させ)、直流出力電圧Voが上限基準電圧VHに達したタイミング(第2タイミング)に同期して、制御信号Sdを立ち下げる(ハイレベルからローレベルに移行させる)動作を繰り返す。
また、制御部7も、上記した時間t0から時間t15までの期間での動作と同等の動作を、駆動対象コンバータとして選択するコンバータ部4を変更しつつ実行する。ただし、コンバータ部43のみが故障した以降の時間t26までの期間においては、動作可能なコンバータ部4はコンバータ部41,42の2つであるため、制御部7は、図5に示すように、直流出力電圧Voが下限基準電圧VLに達したタイミング(第1タイミング)に同期して、コンバータ部41,42を交互に駆動対象コンバータとして選択して、対応する駆動信号Vp(駆動信号Vp1,Vp2の一方)を出力することで、選択したコンバータ部4をスイッチング動作させる。これにより、スイッチング電源装置1では、コンバータ部43が故障した状態においても、動作可能なコンバータ部41,42が順次、1つずつ駆動対象コンバータとして選択されて、対応する駆動信号Vp1,Vp2の供給を受けてスイッチング動作することで、図5に示すように、時間t12から時間t26までの期間においても、直流出力電圧Voを下限基準電圧VLと上限基準電圧VHとの間に維持することが可能となっている。
また、このように、動作可能なコンバータ部4が2台(コンバータ部41,42)の状態においては、各コンバータ部41,42はそれぞれ、図5に示すように、直流出力電圧Voのリップル周期の2倍(動作可能なコンバータ部4の台数倍)の周期(このときの動作条件における動作可能なコンバータ部4の個々のバースト周期)で、駆動信号Vpが供給される駆動期間でのスイッチング動作と、駆動信号Vpの供給が停止される停止期間でのスイッチング停止動作とを繰り返す。
次に、時間t26の時点では、コンバータ部43だけが故障しているため、故障検出部6は故障検出信号Sw3だけを生成している(故障検出信号Sw3だけがハイレベルとなっている)。また、制御信号生成部5は、この時間t26において、直流出力電圧Voが低下して下限基準電圧VLに達したことを検出して、このタイミング(第1タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち上げる(ローレベルからハイレベルに移行させる)。
この場合、制御部7は、図5に示すように、制御信号Sdのこの立ち上がりタイミング(第1タイミング)を検出すると共にこの第1タイミングに同期して(つまり、時間t26のときに)、コンバータ部41に代えて、動作可能なコンバータ部42を駆動対象コンバータ部として選択して、このコンバータ部42に対して駆動信号Vp2の供給を開始する。これにより、コンバータ部42のみが駆動信号Vp2の供給を受けてスイッチング動作することで、直流出力電圧Voが下限基準電圧VLから上昇する。
その後、この直流出力電圧Voが上限基準電圧VHに達する前に、コンバータ部43に加えてコンバータ部41が故障したときには、故障検出部6はこれを検出して、図5に示すように、対応する故障検出信号Sw1についても生成して(故障検出信号Sw3に加えて故障検出信号Sw1をハイレベルに移行させて)、制御部7に出力する。なお、この時点においてスイッチング動作しているコンバータ部42は正常なため、直流出力電圧Voは引き続き上昇し、その後、時間t27において上限基準電圧VHに達する。制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが上昇して上限基準電圧VHに達したことを検出して、このタイミング(第2タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち下げる(ハイレベルからローレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち下がりタイミング(第2タイミング)を検出すると共にこの第2タイミングに同期して、つまり、時間t27において、コンバータ部42に対する駆動信号Vp2の供給を停止する。これにより、スイッチング電源装置1では、時間t27(第2タイミング)から、コンバータ部41,42,43のいずれもスイッチング動作を停止した状態となる(コンバータ部41,43については故障のため、スイッチング動作不可の状態になる)ため、直流出力電圧Voは、時間t27から低下を開始し、その後、時間t28において下限基準電圧VLに達する。制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが低下して下限基準電圧VLに達したことを検出して、このタイミング(第1タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち上げる(ローレベルからハイレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち上がりタイミング(第1タイミング)を検出すると共にこの第1タイミングに同期して、つまり、時間t28において、故障のコンバータ部41,43を除く動作可能なコンバータ部4の中から次に駆動対象とする1つを駆動対象コンバータ部として選択する(この状態において動作可能なコンバータ部4はコンバータ部42のみであるため、コンバータ部42を選択する)と共にこのコンバータ部42に対して駆動信号Vp2の供給を開始する。これにより、コンバータ部42のみが駆動信号Vp2の供給を受けてスイッチング動作を開始する(新たな駆動期間が開始する)。これにより、直流出力電圧Voが時間t28から上昇を開始し、その後、時間t29において上限基準電圧VHに達する。制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが上限基準電圧VHに達したことを検出して、このタイミング(第2タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち下げる(ハイレベルからローレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち下がりタイミング(第2タイミング)を検出すると共にこの第2タイミングに同期して、つまり、時間t29において、コンバータ部42に対する駆動信号Vp2の供給を停止する。これにより、スイッチング電源装置1では、時間t29(第2タイミング)から、コンバータ部41,42,43のいずれもスイッチング動作を停止した状態となる(コンバータ部41,43については故障のため、スイッチング動作不可の状態にある)ため、直流出力電圧Voは、時間t29から低下を開始し、その後、時間t30において下限基準電圧VLに達する。
その後は、コンバータ部42のみが正常で、コンバータ部41,43が故障している状態が継続するため、故障検出部6が故障検出信号Sw1,Sw3を生成している状態(故障検出信号Sw2のみがローレベルで、故障検出信号Sw1,Sw3がハイレベルとなる状態)が継続される。これにより、スイッチング電源装置1では、制御信号生成部5が、上記した時間t29までの動作と同等の動作を実行して、直流出力電圧Voが下限基準電圧VLに達したタイミング(第1タイミング)に同期して、制御信号Sdを立ち上げ(ローレベルからハイレベルに移行させ)、直流出力電圧Voが上限基準電圧VHに達したタイミング(第2タイミング)に同期して、制御信号Sdを立ち下げる(ハイレベルからローレベルに移行させる)動作を繰り返す。
また、制御部7も、上記した時間t29までの動作と同等の動作を、駆動対象コンバータとして選択するコンバータ部4を変更しつつ実行しようとする。しかしながら、コンバータ部41,43が故障した以降(具体的には、時間t27以降)は、動作可能なコンバータ部4はコンバータ部42だけである。このため、制御部7は、時間t27以降に到来する第1タイミング(直流出力電圧Voが下限基準電圧VLに達したタイミング)においては、駆動対象コンバータ部をコンバータ部42以外のコンバータ部4に変更することができない。これにより、制御部7は、図5に示すように、この第1タイミングに同期して、コンバータ部42を繰り返し駆動対象コンバータとして選択して、対応する駆動信号Vp1を出力することでスイッチング動作させる。したがって、スイッチング電源装置1では、コンバータ部41,43が故障した状態(つまり、複数台のコンバータ部4のうちの1つだけが動作可能な状態)においても、この動作可能なコンバータ部42が駆動対象コンバータとして繰り返し選択されて、対応する駆動信号Vp2の供給を受けてスイッチング動作することで、図5に示すように、時間t26以降においても、直流出力電圧Voを下限基準電圧VLと上限基準電圧VHとの間に維持することが可能となっている。
また、このように、動作可能なコンバータ部4が1台(コンバータ部42)の状態においては、コンバータ部42は、図5に示すように、直流出力電圧Voのリップル周期の1倍(動作可能なコンバータ部4の台数倍)の周期(このときの動作条件における動作可能なコンバータ部4の個々のバースト周期)で、駆動信号Vpが供給される駆動期間でのスイッチング動作と、駆動信号Vpの供給が停止される停止期間でのスイッチング停止動作とを繰り返す。
なお、駆動対象コンバータ部として選択されてスイッチング動作している1つのコンバータ部4以外の動作可能なコンバータ部4が故障した例について図5を参照して説明したが、駆動対象コンバータ部として選択されてスイッチング動作している1つのコンバータ部4がこのスイッチング動作中に故障するときもある。以下では、このときのスイッチング電源装置1の動作について図6を参照して説明する。なお、この図6に示す波形図は、上記した図5に示す波形図における時間t8と時間t9との間(コンバータ部42の駆動期間)において、スイッチング動作中の1つのコンバータ部4(この例では一例として、コンバータ部42)が故障したときの波形図であり、この時間t8までは、スイッチング電源装置1の各コンバータ部4、制御信号生成部5、故障検出部6および制御部7は図5を参照して説明した上記の場合と同様に動作しているため、時間t8までの動作についての説明を省略する。
まず、図6に示すように、時間t8の時点では、コンバータ部41,42,43のいずれも動作可能な状態にあるため、故障検出部6は故障検出信号Sw1,Sw2,Sw3のいずれも生成していない(故障検出信号Sw1,Sw2,Sw3のいずれもローレベルとなっている)。また、制御信号生成部5は、この時間t8において、直流出力電圧Voが低下して下限基準電圧VLに達したことを検出して、このタイミング(第1タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち上げる(ローレベルからハイレベルに移行させる)。
この場合、制御部7は、図6に示すように、制御信号Sdのこの立ち上がりタイミング(第1タイミング)に同期して(つまり、時間t8のときに)、コンバータ部41に代えて、動作可能なコンバータ部41,42,43の中からコンバータ部42を駆動対象コンバータ部として選択して、このコンバータ部42に対して駆動信号Vp2の供給を開始する。これにより、コンバータ部42のみが駆動信号Vp2の供給を受けてスイッチング動作を開始することで、直流出力電圧Voが下限基準電圧VLから上昇する。
その後、この直流出力電圧Voが上限基準電圧VHに達する前に、スイッチング動作中のコンバータ部42だけが故障したときには、故障検出部6はこれを検出して、図6に示すように、対応する故障検出信号Sw2だけを生成して(故障検出信号Sw2だけをハイレベルに移行させて)、制御部7に出力する。
制御部7は、故障検出部6でのこの検出結果(具体的には、故障検出信号Sw2だけがローレベルからハイレベルに移行したこと)に基づき、駆動信号Vp2の供給を開始している駆動対象コンバータ部としてのコンバータ部42に故障が発生したことを検出し、故障の発生したコンバータ部42への駆動信号Vp2の供給を直ちに停止し、かつ動作可能なコンバータ部4の中から駆動対象とする1つを新たな駆動対象コンバータ部として選択して、対応する駆動信号Vpの供給を直ちに開始する。本例では、図6に示すように、制御部7は、動作可能なコンバータ部41,43の中からコンバータ部43を新たな駆動対象コンバータ部として選択して、対応する駆動信号Vp3の供給を直ちに開始する。これにより、故障したコンバータ部42に代わって、コンバータ部43が駆動信号Vp3の供給を受けてバースト動作することで、直流出力電圧Voが継続して上昇し、その後、時間t9において上限基準電圧VHに達する。制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが上限基準電圧VHに達したことを検出して、このタイミング(第2タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち下げる(ハイレベルからローレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち下がりタイミング(第2タイミング)を検出すると共にこの第2タイミングに同期して、つまり、時間t9において、コンバータ部43に対する駆動信号Vp3の供給を停止する。これにより、スイッチング電源装置1では、時間t9(第2タイミング)からコンバータ部41,42,43のいずれもスイッチング動作を停止した状態となる(コンバータ部42については故障のため、スイッチング動作不可の状態にある)ため、直流出力電圧Voは、時間t9から低下を開始し、その後、時間t10において下限基準電圧VLに達する。
制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが下限基準電圧VLに達したことを検出して、このタイミング(第1タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち上げる(ローレベルからハイレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち上がりタイミング(第1タイミング)を検出すると共にこの第1タイミングに同期して、つまり、時間t10において、故障のコンバータ部42を除く動作可能なコンバータ部41,43の中から次に駆動対象とする1つを駆動対象コンバータ部として選択する(本例では、コンバータ部43に代えてコンバータ部41を選択する)と共にこのコンバータ部41に対して駆動信号Vp1の供給を開始する。これにより、コンバータ部41のみが駆動信号Vp1の供給を受けてスイッチング動作する(新たな駆動期間が開始する)。これにより、直流出力電圧Voが時間t10から上昇を開始し、その後、時間t11において上限基準電圧VHに達する。制御信号生成部5は、直流出力電圧Voが上昇して上限基準電圧VHに達したことを検出して、このタイミング(第2タイミング)に同期して、制御部7に出力している制御信号Sdを立ち下げる(ハイレベルからローレベルに移行させる)。
制御部7は、制御信号Sdのこの立ち下がりタイミング(第2タイミング)を検出すると共にこの第2タイミングに同期して、つまり、時間t11において、コンバータ部41に対する駆動信号Vp1の供給を停止する。これにより、スイッチング電源装置1では、時間t11(第2タイミング)からコンバータ部41,42,43のいずれもスイッチング動作を停止した状態となる(コンバータ部42については故障のため、バースト動作不可の状態となる)ため、直流出力電圧Voが低下し、その後、時間t12において下限基準電圧VLに達する。
この時間t12以降、コンバータ部41,43が正常で、コンバータ部42のみが故障している状態が継続するときには、故障検出部6が故障検出信号Sw2のみを生成している状態(故障検出信号Sw1,Sw3がローレベルで、故障検出信号Sw2のみがハイレベルとなる状態)が継続される。これにより、スイッチング電源装置1では、制御信号生成部5は、上記した時間t11までの動作と同等の動作を実行して、直流出力電圧Voが下限基準電圧VLに達したタイミング(第1タイミング)に同期して、制御信号Sdを立ち上げ(ローレベルからハイレベルに移行させ)、直流出力電圧Voが上限基準電圧VHに達したタイミング(第2タイミング)に同期して、制御信号Sdを立ち下げる(ハイレベルからローレベルに移行させる)動作を繰り返す。
また、制御部7も、上記した時間t11までの動作と同等の動作を、駆動対象コンバータとして選択するコンバータ部4を変更しつつ実行する。ただし、コンバータ部42が故障し、動作可能なコンバータ部4はコンバータ部41,43の2つであるため、制御部7は、図6に示すように、直流出力電圧Voが下限基準電圧VLに達したタイミング(第1タイミング)に同期して、コンバータ部41,43を交互に駆動対象コンバータとして選択して、対応する駆動信号Vp(駆動信号Vp1,Vp3の一方)を出力することで、選択したコンバータ部4をスイッチング動作させる。これにより、スイッチング電源装置1では、コンバータ部42がスイッチング動作中に故障したときにおいても、動作可能なコンバータ部41,43のうちの1つ(本例では、コンバータ部43)がこの故障したコンバータ部42に代わってスイッチング動作して、直流出力電圧Voを上限基準電圧VHまで上昇させる。また、その後は、スイッチング電源装置1では、動作可能なコンバータ部41,43が順次、1つずつ駆動対象コンバータとして選択されて、対応する駆動信号Vp1,Vp3の供給を受けてスイッチング動作することで、図6に示すように、直流出力電圧Voを下限基準電圧VLと上限基準電圧VHとの間に維持することが可能となっている。
このように、このスイッチング電源装置1では、制御信号生成部5が、上限基準電圧VHおよび下限基準電圧VLと直流出力電圧Voとを比較して、直流出力電圧Voが低下して下限基準電圧VLに達したタイミングを第1タイミングとして含み(ローレベルからハイレベルに移行し)、かつ直流出力電圧Voが上昇して上限基準電圧VHに達したタイミングを第2タイミングとして含む(ハイレベルからローレベルに移行する)制御信号sdを出力し、制御部7が、複数台のコンバータ部41,42,43のうちの動作可能なコンバータ部4の中から駆動対象とする1つを駆動対象コンバータ部として選択すると共に駆動対象コンバータ部としてのコンバータ部4に対して制御信号Sdに含まれる第1タイミングに同期して駆動信号Vpの供給を開始すると共に制御信号Sdに含まれる第1タイミング直後の第2タイミングに同期して駆動信号Vpの供給を停止することで駆動対象コンバータ部としてのコンバータ部4をバースト動作させる駆動制御を、動作可能なコンバータ部4の中で駆動対象コンバータ部として選択するコンバータ部4を変更しつつ実行する。
したがって、このスイッチング電源装置1によれば、バースト制御方式を用いたコンバータ部4を並列接続して電源装置全体の信頼性の向上と個々のコンバータ部4での高周波共振動作の最適化を図りつつ、並列接続された複数台のコンバータ部4を並列駆動する(並列運転させる)構成ではなくコンバータ部4を1つずつ駆動する構成を採用したことにより、並列駆動での課題(個々のコンバータ部4の制御ループの遅延時間が異なるために出力リップル電圧の周期が乱れるとの課題)の発生を回避でき、これによって直流出力電圧Voを下限基準電圧VLと上限基準電圧VHとの間に維持する制御を確実に実行することができる。
また、このスイッチング電源装置1では、制御部7は、上記したように、動作可能なコンバータ部4の中から駆動対象とする1つを駆動対象コンバータ部として選択する際に、この動作可能なコンバータ部4が複数存在しているときには、駆動対象コンバータ部として選択するコンバータ部4を変更して選択する。具体的には、3つのコンバータ部41,42,43を備えた上記の例では、コンバータ部41,42,43がすべて動作可能なときには、コンバータ部41を駆動対象コンバータ部として選択して駆動した後の次の駆動対象コンバータ部の選択の際には、コンバータ部41に代えてコンバータ部42を選択し(駆動対象コンバータ部をコンバータ部41からコンバータ部42に変更し)、その次の駆動対象コンバータ部の選択の際には、コンバータ部42に代えてコンバータ部43を選択し(駆動対象コンバータ部をコンバータ部42からコンバータ部43に変更し)、さらにその次の駆動対象コンバータ部の選択の際には、コンバータ部43に代えてコンバータ部41を選択する(駆動対象コンバータ部をコンバータ部43からコンバータ部41に変更する)ようにする。
また、コンバータ部41,42,43のうちの2つ(例えば、コンバータ部41,42)が動作可能なときには、コンバータ部41を駆動対象コンバータ部として選択して駆動した後の次の駆動対象コンバータ部の選択の際には、コンバータ部41に代えてコンバータ部42を選択し(駆動対象コンバータ部をコンバータ部41からコンバータ部42に変更し)、その次の駆動対象コンバータ部の選択の際には、コンバータ部42に代えてコンバータ部41を選択する(駆動対象コンバータ部をコンバータ部42からコンバータ部41に変更する)ようにする。
したがって、このスイッチング電源装置1によれば、動作可能なコンバータ部4の稼働率が平均化されるように駆動対象コンバータ部とするコンバータ部4を選択することができ、特定のコンバータ部4の稼働率だけが他のコンバータ部4の稼働率と比較して突出するという事態の発生を防止することができるため、電源装置全体の信頼性を一層向上させることができる。
また、このスイッチング電源装置1では、上記したように、n個のコンバータ部4に一対一で対応させてn個のスイッチング信号生成回路11を設ける構成を採用することができ、この構成を採用したスイッチング電源装置1によれば、各々のコンバータ部4のZVS(ゼロボルトスイッチング)動作条件のばらつきを考慮した(最適化された)固定時比率および固定周波数のスイッチング信号Vswを個別に生成して各コンバータ部4に供給することができるため、各コンバータ部4を確実にZVS動作させることができる。一方、このスイッチング電源装置1では、上記したように、n個のコンバータ部4に共通のスイッチング信号生成回路11を1個だけ配設して、固定時比率および固定周波数が共通のスイッチング信号Vswを各コンバータ部4に供給する構成を採用することもでき、この構成を採用したスイッチング電源装置1によれば、この固定時比率および固定周波数を各コンバータ部4のZVS動作条件のばらつきを出来得る限り吸収し得る値に規定することで、各コンバータ部4をZVS動作させつつ、回路構成を簡略化すること(部品点数を削減すること)ができる。
また、このスイッチング電源装置1によれば、複数台のコンバータ部4のそれぞれでの故障の発生の有無を検出する故障検出部6を備え、制御部7が、故障検出部6での検出結果に基づき故障の発生していないコンバータ部4を動作可能なコンバータ部4として駆動制御を実行するようにしたことにより、動作可能なコンバータ部4を駆動対象コンバータ部として確実に選択することができるため、並列接続された複数台のコンバータ部4を並列駆動(並列運転)せずにコンバータ部4を1つずつ駆動する構成においても、直流出力電圧Voを下限基準電圧VLと上限基準電圧VHとの間に維持する制御を確実に実行することができる。
また、このスイッチング電源装置1では、制御部7は、駆動信号Vpの供給を開始している駆動対象コンバータ部としてのコンバータ部4に故障が発生したことを検出したときには、このコンバータ部4への駆動信号Vpの供給を直ちに停止し、かつ動作可能なコンバータ部4の中から1つのコンバータ部4を新たな駆動対象コンバータ部として選択してこのコンバータ部4への駆動信号Vpの供給を直ちに開始すると共に、故障の発生したコンバータ部4への駆動信号Vpの供給を開始した第1タイミング直後の第2タイミングに同期してこの新たな駆動対象コンバータ部として選択したコンバータ部4への駆動信号Vpの供給を停止する。
したがって、このスイッチング電源装置1によれば、駆動状態にあるコンバータ部4に故障が生じたときに、この故障したコンバータ部4に代えて別の動作可能なコンバータ部4が、故障したコンバータ部4が駆動されるべき期間(駆動期間)において駆動されるため、並列接続された複数台のコンバータ部4を並列駆動(並列運転)せずにコンバータ部4を1つずつ駆動する構成においても、直流出力電圧Voを下限基準電圧VLと上限基準電圧VHとの間に維持する制御を確実に実行することができる。
なお、上記したスイッチング電源装置1では、制御信号生成部5がヒステリシス制御方式に基づいて制御信号Sdを生成して出力する構成を採用しているが、上記したように、制御信号生成部5は、ヒステリシス制御方式以外の制御方式、例えば固定周波数で制御信号Sdの出力時比率が変化するPWM制御方式、制御信号Sdの出力時間幅を固定として制御信号Sdの出力停止時間幅が変化するPFM制御方式、ヒステリシス制御方式の変形例のリップル注入ヒステリシス制御方式、およびリップル注入非線形制御方式などの各種の制御方式に基づいて制御信号Sdを生成して出力する構成を採用することもできる。以下では、一例としてPWM制御方式に基づいて制御信号Sdを生成して出力する制御信号生成部5Aの構成および動作について図7,8を参照して説明する。なお、制御信号生成部5A以外の構成については、上記したスイッチング電源装置1と同一のため、同じ符号を付して重複する説明を省略する。
制御信号生成部5Aは、一例として、図7に示すように、誤差増幅器51、三角波生成回路52およびコンパレータ53を備えている。誤差増幅器51は、直流出力電圧Voについての制御目標電圧と同じ電圧に予め規定された基準電圧としての基準電圧Vrと、直流出力電圧Voとを入力すると共に、基準電圧Vrに対する直流出力電圧Voの差電圧を検出して増幅することにより、誤差電圧Verを生成してコンパレータ53に出力する。三角波生成回路52は、予め規定された振幅で、かつ予め規定された固定周波数の三角波電圧Vsaを生成してコンパレータ53に出力する。コンパレータ53は、誤差電圧Verと三角波電圧Vsaとを比較して、図8に示すように、誤差電圧Verが三角波電圧Vsa以下のときに出力電圧をハイレベルとし、誤差電圧Verが三角波電圧Vsaを超えているときに出力電圧をローレベルとすることにより、制御信号Sdを生成して出力する。
この制御信号生成部5Aを備えた構成のスイッチング電源装置1においても、制御部7は、例えば、コンバータ部41,42,43のいずれも故障していないとき(つまり、故障検出信号Sw1,Sw2,Sw3のいずれもローレベルとなっているとき)には、図8に示すように、コンバータ部41,42,43のうちの動作可能なコンバータ部4の中から駆動対象とする1つを駆動対象コンバータ部として選択すると共に駆動対象コンバータ部としてのコンバータ部4に対して制御信号Sdに含まれる第1タイミング(制御信号Sdの立ち上がりタイミング)に同期して駆動信号Vpの供給を開始すると共に制御信号Sdに含まれる第1タイミング直後の第2タイミング(制御信号Sdの立ち下がりタイミング)に同期して駆動信号Vpの供給を停止することで駆動対象コンバータ部としてのコンバータ部4をバースト動作させる駆動制御を、動作可能なコンバータ部4の中で駆動対象コンバータ部として選択するコンバータ部4を変更しつつ実行する。
したがって、この制御信号生成部5Aを備えたスイッチング電源装置1においても、バースト制御方式を用いたコンバータ部4を並列接続して電源装置全体の信頼性の向上と個々のコンバータ部4での高周波共振動作の最適化を図りつつ、並列接続された複数台のコンバータ部4を1つずつ駆動することにより、並列駆動での課題(個々のコンバータ部4の制御ループの遅延時間が異なるために出力リップル電圧の周期が乱れるとの課題)の発生を回避でき、これによって直流出力電圧Voを下限基準電圧VLと上限基準電圧VHとの間に維持する制御を確実に実行することができる。