JP2018137739A - 光量子通信システム - Google Patents

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Abstract

【課題】検出ユニットのセキュリティが不確かであっても第1のユニットと第2のユニットとの間で鍵を配信できる量子通信システムを提供する。
【解決手段】位相ベース測定装置無依存量子暗号を実装するように構成され、光パルスに位相シフトを適用するように構成された第1及び第2のユニットと、第1及び第2のユニットから受信した光パルス間に干渉を引き起し、干渉を測定するように構成された検出ユニットとを備える。第1及び第2のユニットは各々、位相シフトを適用するように構成された少なくとも1つの位相変調器を備える。位相シフトは、大域位相成分と相対位相成分とを備える。大域位相成分は、固定位相基準からの0°から360°までの範囲内でランダムに選択された位相シフトを表し、相対位相成分は、大域位相成分によって導入された位相シフトからの0°、90°、180°及び270°からランダムに選択された位相シフトである。
【選択図】図1

Description

実施形態は、一般に量子通信システムの分野に関する。
量子通信システムでは、情報は、単一光子など、符号化された単一量子によって送信機と受信機との間で送られる。各光子は、その偏光、位相、時間またはエネルギーなど、光子の性質に符号化された1ビットの情報を搬送する。光子は、たとえば、角運動量などの性質を使用することによって、2ビット以上の情報を搬送し得る。
量子鍵配送(QKD:quantum key distribution)は、「アリス」としばしば呼ばれる送信機、および「ボブ」としばしば呼ばれる受信機という、2つのパーティー間での暗号鍵の共有をもたらす技法である。この技法の魅力は、それが、「イブ」としばしば呼ばれる不正な盗聴者に知られた可能性がある最大情報を定量化することを可能にすることである。多くの形態のQKDでは、アリスおよびボブは、ビット値を符号化するために2つ以上の非直交基底を使用する。これらの基底は、量子通信中に秘密に保たれ、すべての測定がボブによって完了された後にのみ公開議論(public discussion)において開示される。量子力学の法則は、符号化基底の事前知識なしのイブによる光子の測定が、光子のうちのいくつかの量子状態に不可避の変化を引き起こすことを明らかにする。これは、アリスとボブとの間で送られるビット値の誤りを引き起こす。このため、それらの共通のビット列の一部を比較することによって、アリスおよびボブは、イブによって得られた可能性のある情報を決定することができる。これは、誤り訂正、プライバシー増幅(privacy amplification)およびメッセージ認証のような他の古典手順を含む後処理段において行われる。これらの後処理手順は、従来技術においてよく知られており、したがって以下の説明では省略する。しかしながら、それらは、我々が提示するすべての方式の本質的部分を依然として表す。
ボブによって所有される測定デバイスのセキュリティが不確かであり得る状況のために、測定装置無依存(MDI:measurement-device-independent)QKDが開発された。MDI−QKDでは、ユーザのボブは、もはや、QKDにおけるように、光受信機としては構成されず、むしろ、他方のユーザのアリスと同様に、光送信機として構成される(図2(b))。2つの光送信機アリスおよびボブは、「チャーリー」と通常呼ばれる中継局に光パルスを送り、この中継局はそれらを光学的に結合し、測定する。アリスおよびボブは、チャーリーのカウントの公表された結果から秘密鍵を抽出することができる。MDI QKDではユーザのアリスとボブが両方とも光送信機として構成されるので、セキュリティは光受信機の脆弱性によって脅かされない。光送信機を保護することは、光受信機を保護することよりもはるかに容易である。前者の場合、光パルスは、信用できるユーザによってローカルに準備されるが、後者では、光パルスは外部から受信され、信用できなく場合によってはシステムのセキュリティを破ることに関心がある誰かによって準備される。チャーリーが邪悪であり、MDI QKDプロトコルの正しい実行に従わない場合、2人の誠実なユーザのアリスとボブが、量子力学の法則によって極めて高い確率でチャーリーのだまそうという試みを常に検出することができることは、注目に値する。
次に、非限定的な実施形態について、以下の図を参照しながら説明する。
一実施形態による量子通信システムの概略図。 基本QKDシステムの概略図。 測定装置無依存(MDI)QKDシステムの概略図。 偏光を使用して光子を符号化するためのMDI QKDシステムの概略図。 偏光といわゆるデコイ状態(decoy state)プロトコルとを使用して動作するMDI QKDシステムの概略図。 位相を使用して実装されるMDI QKDシステムの概略図。 位相を使用して実装される閉ループMDI QKDシステムの概略図。 図1の装置を使用して実施されるプロトコルにおいてどのようにアリス、ボブおよびチャーリーがそれらの結果を発表するかの例を示す表。 一実施形態による閉ループMDI QKDシステムの概略図。 図8(a)は、図1および図8のシステムにおいて位相を能動的にランダム化するために使用されるユニットの図であり、図8(b)は、図8(a)のユニットの変形を示す図である。 図1および図7のシステムにおいて位相を受動的にランダム化するために使用されるユニットの図。 図9(a)のシステムをさらに詳細に示す図。 位相ランダマイザの影響を示す概略図。 位相ランダマイザの影響を示す概略図。 位相離散化機構を示す概略図。 位相離散化機構を示す概略図。 位相が12個の可能な値にスプリットされる位相離散化機構を示すさらなる概略図。 大域位相(global phase)シフトと相対位相(relative phase)シフトとの間の協働を示す図。 大域位相シフトと相対位相シフトとの間の協働を示す図。 大域位相シフトと相対位相シフトとの間の協働を示す図。 デコイ状態プロトコルを実装するように構成された一実施形態によるMDI QKDシステムの概略図。 閉ループ構成とともにデコイ状態プロトコルを実装するように構成された一実施形態によるMDI QKDシステムの概略図。 量子モダリティにおいて動作する一実施形態によるMDI QKDシステムの概略図。 古典モダリティにおいて動作する一実施形態によるMDI QKDシステムの概略図。 検出ユニット中に位相変調器を有する古典モダリティにおいて動作する一実施形態によるMDI QKDシステムの概略図。 通信チャネル上の雑音を補償する、検出ユニット中に位相変調器を有する古典モダリティにおいて動作する一実施形態によるMDI QKDシステムの概略図。 雑音の多いチャネルが存在する場合、どのように鍵が導出され得るかを示す表。 光位相ロックループによって対処される問題を示すための一実施形態によるMDI QKDシステムの概略図。 図19に示された問題を解決するためにどのように位相ロックループを使用すべきかを示す図。 実施形態によるシステムが量子鍵をセキュアに送信することができる長さを示す図。
第1の実施形態では、第1のユニットと第2のユニットとの間で鍵を配信するための量子通信システムが提供され、本システムは、位相ベース測定装置無依存量子暗号を実装するように構成され、本システムは、光パルスに位相シフトを適用するように構成された第1および第2のユニットと、第1および第2のユニットから受信された光パルス間に干渉を引き起し、前記干渉を測定するように構成された検出ユニットとを備え、第1および第2のユニットは各々、位相シフトを適用するように構成された少なくとも1つの位相変調器を備え、前記位相シフトは大域位相成分と相対位相成分とを備え、前記大域位相成分は、固定位相基準からの0°から360°までの範囲内で選択された位相シフトを表し、前記相対位相成分は、大域位相成分によって導入された位相シフトからの0°、90°、180°および270°から選択された位相シフトである。
一実施形態では、検出ユニットは、第1および第2のユニットからのパルス間に1次干渉を引き起し、測定するように構成される。
本システムは、0°から360°までの範囲で大域位相をランダムに選択するように構成されたランダム位相ユニットを備え得る。このユニットは、0°から360°までの範囲をL個のセグメントに分割するように構成され得、ここで、Lは少なくとも3の整数であり、前記ランダム位相ユニットは、大域位相を適用するためにセグメントをランダムに選択するように構成される。ランダム位相ユニットは能動的または受動的であり得る。いくつかの実施形態では、Lは少なくとも6の整数であり得、他の実施形態では少なくとも12であり得る。
第1および第2のユニットはそれら自体の光源を備え得、さらなる一実施形態では、本システムはいわゆる閉ループシステムであり得、ここで、検出ユニットは光源を備え、本システムは、検出ユニットからの光を、第1のユニットを通り、第2のユニットを通り、次いで検出ユニットに戻るようにループ内に導くように構成された第1の経路と、検出ユニットからの光を、第2のユニットを通り、第1のユニットを通り、次いで検出ユニットに戻るようにループ内に導くように構成された第2の経路とをさらに備え、第1および第2のユニットは、検出ユニットから放出された光パルスの位相を変調する。
本システムは、いわゆるデコイ状態プロトコルを実施するように構成され、第1および第2のユニットを出るパルスの強度をパルスごとに変化させるように構成された強度変調器を備え得る。
雑音に対して本システムを平衡させるために様々な方法が採用され得、たとえば、検出ユニットは、本システムにおいてドリフトを測定するために使用され得る位相変調器を備え得る。さらなる実施形態では、検出ユニットから出力された光の位相を第1および第2のユニットそれぞれの光源の位相にロックするために位相ロックループが採用され得る。
さらなる実施形態では、第1および第2のユニットはメモリを備えてよく、前記メモリは、各光パルスについて大域位相と相対位相とを記憶するように構成される。前記第1のユニットと前記第2のユニットとの間に通信チャネルが提供されてよく、前記第1および第2のユニットはプロセッサを備え、一方のユニット中のプロセッサは、前記通信チャネルを介して他方のユニット中のプロセッサと通信することが可能であり、第1および第2のユニット中のプロセッサは、大域位相が一致しなかった測定結果を無視するように構成される。
さらなる一実施形態では、量子通信システム中の第1のユニットと第2のユニットとの間で鍵を通信する方法が提供され、この方法は、
第1のユニット中の位相変調器を通過する光パルスに位相シフトを適用することと、第2のユニット中の位相変調器を通過する光パルスに位相シフトを適用することと、前記位相シフトが大域位相成分と相対位相成分とを備え、前記大域位相成分が、固定位相基準からの0°から360°までの範囲内で選択された位相シフトを表し、前記相対位相成分が、大域位相成分によって導入された位相シフトからの0°、90°、180°および270°から選択された位相シフトであり、0°および180°の相対位相シフトが第1の測定基底を形成し、90°および270°の相対位相シフトが第2の測定基底を形成する、
測定ユニットにおいて第1および第2のユニットから受信された光パルスを干渉させることと、を備え、
この方法は、
干渉測定の結果を測定ユニットによって告知する(announcing)ことと、
各測定に適用された大域位相を第1および第2のユニットによって告知することと、
相対位相シフトにおいて使用される基底を第1および第2の測定によって告知することと、
測定から鍵を導出することと、ここで、第1および第2のユニットによって適用される大域位相が一致し、相対位相シフトにおいて使用される基底が一致し、第1および第2のユニットが両方とも、適用される相対位相シフトと干渉測定の結果との知識から鍵を導出することが可能である、
をさらに備える。
一実施形態では、第1および第2のユニットによって適用される大域位相が不整合角度(misalignment angle)内にある場合、大域位相は一致すると見なされる。たとえば、以下のように2つの大域位相が正確に一致しないときでも、鍵は抽出され得る。
アリスの位相=30度
ボブの位相=45度
チャネル雑音不整合角度=15度
ユーザは、それらの位相が異なる場合でも、この場合は鍵ビットを抽出することができる。位相値から雑音不整合角度が減算された場合、完全に一致する位相(45−15=30度)が取得される。
上記で説明したように、大域位相はランダムに選択され、これは、(そのパルスの大域位相を知らず、大域位相を導出するために後で情報を与えられることもない)他のパーティーによって見られた状態が、
によって記述されるn個の状態|n〉の上記のインコヒーレント重ね合わせによって与えられることを意味し、ここで、μは、放出されたパルスの平均光子数または強度である。
上述したように、一実施形態では、0°から360°までの範囲はL個のセグメントに分割され、ここで、Lは少なくとも3の整数であり、前記ランダム位相ユニットは、大域位相を適用するためにセグメントをランダムに選択するように構成される。
さらなる一実施形態では、前記鍵を導出するためにプライバシー増幅が実施される。上記の方法を使用することによって、セキュアな鍵を導出するためにプライバシー増幅があまり必要とされなくなる。
さらなる一実施形態では、上記の方法は、いわゆるデコイ状態プロトコルを含むように構成され、ここで、方法は、
第1および第2のユニットを出るパルスの強度が、パルスごとに2つ以上の固定レベルの間で変化するように、第1および第2のユニットにおいてパルスに強度変調を適用することと、
パルスのエラーレートに関する統計を第1および第2のユニットが実施することを可能にするために、パルスに適用される強度を告知することと
をさらに備える。
図1は、位相ランダム化位相ベースMDI−QKD構成(PMDI)を使用する量子通信システムを示す。図2には、MDI−QKDとQKDとの間の違いが示されている。図2(a)に示される標準のQKDでは、(アリスと呼ばれる)量子送信機1が、セキュアチャネル3を介して(ボブと呼ばれる)量子受信機5に送信することが示されている。
アリスおよびボブは、ビット値を符号化するために2つの非直交基底を使用する。たとえば、暗号化が光子の偏光を使用するものである場合、アリスおよびボブは、水平および垂直偏光を備える第1の基底において、または対角および反対角偏光を備える第2の基底において光子を送ることに同意することができる。アリス1がボブ5に弱い光パルスを送るとき、彼女は基底をランダムに変更する。アリス1によって使用される基底は、量子通信中に秘密に保たれ、すべての測定がボブ5によって完了された後にのみ公開議論において開示される。量子力学の法則は、符号化基底の事前知識なしに通信を傍受している(イブと呼ばれる)盗聴者による光子の測定が、光子のうちのいくつかの量子状態に不可避の変化を引き起こすことを明らかにする。これは、アリス1とボブ5との間で送られるビット値の誤りを引き起こす。
このため、それらの共通のビット列の一部を比較することによって、アリス1およびボブ5は、イブによって得られた可能性のある情報を決定することができる。これは、誤り訂正、プライバシー増幅およびメッセージ認証のような他の古典手順を含む後処理段において行われる。
測定装置無依存(MDI)QKDが図2(b)に概略的に示されている。ここで、アリスとボブとの間で鍵が同じく共有される。しかしながら、ここでは、アリス7およびボブ9は、(チャーリーと呼ばれる)信用できる量子受信機11に送信する。測定装置無依存(MDI)QKDは、ボブによって所有される測定デバイスのセキュリティが不確かであり得る状況のために開発された。MDI−QKDでは、ユーザのボブ9は、もはや、QKDにあるような光受信機としては構成されず、むしろ、他方のユーザのアリス7と同様に、光送信機として構成される。
2つの光送信機アリス7およびボブ9は、「チャーリー」と通常呼ばれる中継局に光パルスを送り、この中継局はそれらを光学的に結合し、測定する。アリスおよびボブは、チャーリーのカウントの公表された結果から秘密鍵を抽出することができる。MDI QKDではユーザのアリスとボブが両方とも光送信機として構成され、したがって、セキュリティは光受信機の脆弱性によって脅かされない。光送信機を保護することは、光受信機を保護することよりもはるかに容易である。前者の場合、光パルスは、信用できるユーザによってローカルに準備されるが、後者では、光パルスは外部から受信され、信用できなく場合によってはシステムのセキュリティを破ることに関心がある誰かによって準備される。チャーリーが邪悪であり、MDI QKDプロトコルの正しい実行に従わない場合、2人の誠実なユーザのアリスとボブが量子力学の法則によって極めて高い確率でチャーリーのだまそうという試みを常に検出することができることは、注目に値する。
図3は、偏光に関して最初にMDI QKDについて説明するために使用される。最初にアリス7を見ると、アリスの送信機は、光源21と、偏光変調器23と、可変光減衰器(VOA)25とを備える。光源21は、偏光変調器23に光のパルスを出力する。偏光変調器からの出力は、次いでVOA25に導かれる。アリス7は、光源21からパルスを準備し、これらのパルスは、偏光変調器(PM)23を通して偏光変調される。これらのパルスは、次いで、可変光減衰器(VOA)25を使用して単一光子レベルに減衰される。パルスは、次いで、信用できない受信機11に送られる。
VOA25は高速である必要がなく、それは強度変調器でない。それのここでの役割は、アリス7によって放出される平均的な光を単一光子レベルまで減衰させることである。
ボブの送信機9はアリスの送信機7と同じように構成され、不要な繰り返しを避けるために、同様の特徴を示すのに同様の参照番号が使用される。
アリス7およびボブ9によって出力された2つの光パルスはチャーリーの受信機11に到着する。チャーリーの受信機11は、2次干渉を引き起こすように構成された干渉ユニットを備える。干渉ユニットは、アリス7から受信されたパルスとボブ9から受信されたパルスとの間に干渉を引き起こすために配置された非偏光ビームスプリッタ31を備える。非偏光ビームスプリッタからの出力は2つの経路に沿って導かれ、各経路は偏光ビームスプリッタ33、35において終了する。偏光ビームスプリッタ33、35は、次いで、それらの出力を単一光子検出器37、39、41、43のペアに導く。この配置は、非偏光ビームスプリッタ31からの2つの経路のうちの1つから、水平偏光された光子が導かれたのか垂直偏光された光子が導かれたのかを決定することを可能にする。
プロセッサ45は、4つの検出器37、39、41、43に接続され、検出器のうちの2つが光子を同時に検出する(register)かどうかを決定するように構成される。
成功した2次干渉は、4つのチャーリーの検出器37、39、41、43のうちの2つが、実験セットアップと矛盾せずに、一致して、すなわち、同時にクリックする(click)ときに生じる。2つの検出器のクリックは、チャーリーのビームスプリッタ31上で干渉している少なくとも2つの光子の存在を示す。
プロセッサ45は、2つの検出器が一致してクリックしたという事実(instance)を記録するようにコミットされる(committed)。チャーリー11は、アリス7およびボブ9によって送られた光パルスの各ペアについて、どの検出器がクリックされたかを公開議論中で宣言する。その後、アリス7およびボブ9はそれらの基底を告知する。アリス7およびボブ9は、告知から互いの符号化を再構成し、したがって、共通の量子鍵を抽出することができる。一方、チャーリー11の測定は、ビットが等しい(すなわち「00」または「11」)か異なる(すなわち「01」または「10」)かのみを彼に告げるだけであって、どのビットがアリス7によって所有され、どのビットがボブ9によって所有されるかを彼に告げることができないので、チャーリー11は、アリス7およびボブ9によって所有されるビットを再構成することができない。
偏光ベースのMDI QKDは、ユーザによって放出される光の電磁位相にどんな要件も設定しない。しかしながら、光が位相ランダム化される場合、ユーザは、光が一定のまたは緩やかに変動する電磁位相を示す他の方式に対してQKDとMDI QKDとの距離を劇的に増加させる、いわゆる「デコイ状態プロトコル」を実行することができる。デコイ状態プロトコルの基礎をなす数学は、通信において真の単一光子を使用することに関係する性質を活用する。しかしながら、実際には、コヒーレント状態を放出するレーザー源が使用される。その場合、コヒーレント状態を単一光子と「等価」するために位相ランダム化が必要である。
デコイ状態偏光ベースのMDI QKDのための概略図が図4に示されている。不要な繰り返しを避けるために、同様の特徴を示すのに同様の参照番号が使用される。図3の光源21は、位相ランダム化光源51および強度変調器(IM)53に交換される。位相ランダム化光源51は、各々が他のパルスに対してランダムな電磁位相を示す複数のパルスを生成する光源である。IM53は、位相ランダム化光源によって放出された各パルスの強度を変調することが可能なデバイスである。デコイ状態MDI QKDでは、公開議論はまた、アリスおよびボブによってそれらのIM53を通して準備された強度の告知を含む。強度をも通信することによって、アリスおよびボブは、光子数スプリット(PNS:photon number splitting)攻撃を使用した盗聴者の存在をより効果的に決定することが可能である。PNS攻撃において、盗聴者は、鍵を通信するために使用された弱い光パルスから単一の光子をスプリットすることを試みる。各パルスは単一の光子を含んでいるはずであるが、いくつかのパルスは2つ以上の光子を含むことになり、これは、QKDシステムを、PNS攻撃を受けやすくする。
図5(a)は、図4のMDI QKD方式の変形を示し、ここでは、情報を符号化するために光子の偏光を使用するのではなく、光子の電磁位相が使用される。
図5(a)は位相ベースMDI QKD方式を示している。説明を簡略化するために、本方式におけるすべての電磁位相は完全に安定していると仮定する。
この簡略化されたシナリオでは、共通の固定位相基準φが常にすべてのユーザに利用可能である。位相基準が皆に対して共通であり一定であるので、一般性の喪失なしにφ=0と仮定され得る。アリス5は、位相ロック光源61と、位相変調器63とを有する。位相変調器63の出力は、前に説明したのと同じである可変光減衰器(VOA)25を使用して減衰される。
アリスは、彼女の光源61を使用して第1の光パルスを準備してパルスを生成し、次いで、位相変調器63を使用して光パルスと位相基準φとの間の電磁位相差に彼女の秘密情報を符号化する。この特定の例では、BB84プロトコルの符号化[C. H. BennettおよびG. Brassard、Proc. of IEEE Int. Conf. on Comp. Sys. Sign. Process.(IEEE、ニューヨーク、1984年)、175〜179ページ]が考慮され、ここで、アリスは、それぞれ、位相値α=0またはα=π/2を選択することによって、ランダム「基底」、ZまたはXのいずれかを符号化し、それぞれ、位相値β=0またはβ=πを選択することによって、ランダム「ビット」、0または1のいずれかを符号化する。
アリスによって準備された光パルスは、次いで、総電磁位相α+βを搬送する。次いで、アリスは次のパルスに移動し、この手順を繰り返す。ボブは、位相αおよびβを用いて同様のステップを実施する。アリスおよびボブのモジュールを出るパルスの総電磁位相は、それぞれ次のようにφおよびφによって示される。
すべての位相が安定しているので、アリス7およびボブ9の位相値は、通信チャネルを通る伝搬中に一定のままである。光パルスがチャーリーの非偏光ビームスプリッタに達したとき、それらは、二重スリット干渉実験においておよび標準のQKDにおいて見られるものと同じ種類である、いわゆる「1次干渉」を受ける。これは、決定論的に干渉するために、アリスおよびボブのパルスの位相が以下の干渉条件を満たすべきであることを意味する。
ここで、「modπ」は「加算モジュロ(addition modulo)π」を意味する。ビットに関連する位相値は0またはπのいずれかであるので、式(3)は、この場合、基底の一致条件に関して以下の条件に減ずる。
この条件が満たされた場合、
であるときには、光は、検出器0に接続されたポートから現れ、一方、
であるときには、光は、検出器1に接続されたポートから現れる。したがって、チャーリーが彼のカウントを告知した後、ならびにアリスおよびボブがそれらの基底を告知した後、アリスとボブは、基底が一致するすべての場合において他方のユーザによって準備されたビット値を再構成することができる。一致しない基底の場合、ユーザは、標準のBB84プロトコルの場合のようにデータを廃棄する。一実施形態では、チャーリーは、彼の検出器のうちの厳密に1つがクリックしたすべての事実を告知する。これらの事実について、彼は、どの検出器がクリックしたかをも告知する。
別の可能性は、チャーリーが、両方の彼の検出器がクリックしたときにも告知することである。これらのダブルクリックは、最終鍵に対して役に立たず、以下の2つの方法で扱われ得る。
1)アリスおよびボブは、チャーリーがダブルクリックを告知したラン(runs)を廃棄する。
2)アリスおよびボブは、チャーリーの検出器のうちのどれがクリックしたかをランダムに決定することによってダブルクリックを単一クリックに変換する。
セキュリティはどちらの場合も同じである。
位相ベースMDI QKDは位相ベースQKDと同様であり、それらの違いは、アリス7とボブ9が両方とも送信機であり、したがって、MDI QKDの場合のように、量子受信機のすべての脆弱性が取り除かれることである。その上、光パルスが2次干渉ではなく1次干渉を受けるので、成功した結果は、チャーリーの検出器のうちの2つではなくただ1つを使用して決定され得る。単一カウントは一致カウントよりもはるかに多いので、これははるかにより高い検出レートを可能にする。最後に、通常のレーザーによって生成された2つの光パルス間の1次干渉のビジビリティ(visibility)は100%程度に高くなり得るが、それは、レーザーパルスからの2次干渉の場合、50%に制限される。これにより、レーザーは、通常のMDI QKDにおいてセキュア鍵レートの推定に悪影響を及ぼし得る。反対に、レーザーは、位相ベースMDI QKDでは、それらの存在によって1次干渉ビジビリティが影響を受けないままであるので、効果的に採用され得る。
図5(b)は、図5(a)のシステムの変形を示す。この方式では、チャーリー11は、中央検出ユニットと中央送信機の両方として働く。チャーリーは、光源71から光パルスを準備し、それを彼のビームスプリッタ上に送り、ビームスプリッタは、それを、ボブ9を対象とするサブパルスp1およびアリス7を対象とするサブパルスp2という2つのサブパルスに分割する。パルスは、最初にアリス7およびボブ9のモジュールを通過する。次いで、パルスは、ユーザのアリス7とボブ9との間に配置された追加の光チャネル73上に、減衰されず変調されずに現れる。このチャネル73上で、ボブのモジュール9から現れた光パルスp1は、アリスのモジュール7のほうへ移動し、一方、アリスのモジュール7から現れた光パルスp2は、ボブのモジュール9のほうへ移動する。光パルスはアリス7およびボブ9のモジュールに入り、そこで、光パルスは、アリスおよびボブの位相変調器63を使用して図5(a)の位相ベースMDI−QKDにおけるように、基底情報とビット情報とで符号化される。次いで、それらは、可変光減衰器(VOA)25によって単一光子レベルに減衰され、チャーリーに方向転換される。
チャーリーに達すると、それらは、位相ベースMDI−QKDにおけるように、チャーリーのビームスプリッタにおいて1次干渉を受ける。この構成は、動作原理を変更することなしに、多くの異なる方法で実現され得る。
アリスとボブとの間の余分の光チャネルの追加は、アリス7、ボブ9およびチャーリー11間に閉ループ通信チャネルを実装することを可能にする。光学素子に関して、閉ループは、位相において優れた安定性を示すサニャック干渉計を表す。同じループ中で伝搬する光パルスは、同じ位相および偏光障害を経験し、同時に初期点に戻る。それらが初期ビームスプリッタに戻り、そこで干渉したとき、すべての障害は自動的に打ち消される。
図5(a)および図5(b)の位相ベースMDI QKD方式では、位相基準の値はチャーリーに利用可能である。図5(a)の方式では、位相基準φは、チャーリー11を含むすべてのユーザに利用可能である。図5(b)の方式では、初期光パルスを送るのはチャーリー11であり、したがって、彼はそれらの位相を知っている。チャーリー11は悪意のあるパーティーであり得、QKDおよび特にMDI−QKDの要点は、チャーリー11の技術手段にかかわらず、アリス7とボブ9との間のセキュアな通信を保証することである。しかしながら、チャーリー11は今では、アリス7およびボブ9から情報を盗むために強力な位相ロック測定を実施することができるので、チャーリー11にとって基準位相値の知識は極めて有用である。この場合、システムのセキュリティは、著しく低減された方式の性能という犠牲を払って復元され得る。たとえば、アリスおよびボブによって符号化されるランダム値がBB84プロトコルの4つの値、すなわち基底ZおよびXに関する2つの値(それぞれα=0およびα=π/2)ならびにビット0および1に関する2つの値(それぞれβ=0およびβ=π)、に制限された場合、図5(a)および図5(b)の方式と等価な位相ベース方式は、ユーザがほんの数十キロメートル離れていても、量子鍵を配信することを中止する。
これの1つの理由は、図5(a)および図5(b)の方式、ならびに従来技術におけるすべての位相ベースMDI QKD方式が、大域位相のためにではなく、基底およびビット選定のみのためにランダム値を実装するからである。
一方、次に図1に戻ると、アリス7およびボブ9のモジュール中に位相ランダマイザ81を備え、大域位相、すなわち、チャーリー11にとって利用可能な基準位相に対する光パルスの位相をランダム化するためのシステムが示されている。また、アリス7およびボブ9が後処理段においてそれらのランダム相対位相を一致させることを可能にするためのQKDおよびQKD様のプロトコルに典型的な公開議論は、後で説明するように、ユーザが、それらの位相ランダマイザによって実装されるランダム大域位相を調整する(reconcile)ように、図1の方式では修正されている。
位相ランダマイザ81は、全区間(0,2π)にわたって対称的に分散された値からランダムに選択された電磁位相を各光パルスに割り当てる。これは、チャーリー11であることもある盗聴者を大幅に制限し、位相ベースMDI QKDの動作範囲を増大させる。この理由は、位相がイブにとって(または邪悪なチャーリーにとって)有用なリソースであり得るからである。位相を知ることにより、イブの測定は改善され、すなわち、イブはより多くの情報を獲得する。このより大きい情報を除去するために、ユーザはより多くのプライバシー増幅を実施する必要があり、したがって、QKDシステムの性能(すなわちそれのレートまたはそれの動作範囲)が低減する。
位相ランダム化は、イブが今度は彼女の測定からより少ない情報を獲得し、ユーザがより少ないプライバシー増幅を実施し、QKDシステムの性能が改善するように、イブの掌中から大域位相の知識を除去する。
光パルスの位相の完全にランダムな選定は、位相ベースMDI−QKDにおいて(図4を参照しながら説明したような)「デコイ状態」プロトコルの実装を可能にして、それの動作範囲を劇的に増大させる。
位相ベースMDI QKD中の位相ランダマイザの存在は極めて直観に反する。一般的な推論は、光パルスの位相がランダムである場合、パルスがチャーリーのビームスプリッタ31において1次干渉を実施することができないということになる。しかしながら、一方の光パルスはアリス7から来て、他方の光パルスはボブ9から来る、光パルスの単一ペアごとに干渉が生じる、いわゆる「パルスごとの干渉」をシステムが測定するとき、これは部分的にのみ真である。位相が光パルスの異なるペア間でランダムであるにもかかわらず、パルスの同じペア中では、干渉は依然として生じ、有益な情報を提供することができる。明快のために、イベントは1つずつ処理され、ここで、「1つのイベント」は、光パルスの単一ペアの(アリスおよびボブによる)放出と、次の(チャーリーによる)検出とによって表され、「平均的な結果」を提供し得るこのプロセスの多数回の繰り返しによって表されるものではない。
チャーリーのビームスプリッタ31に到着するパルスの各ペアの位相は、パルスの前のペアに対して、またはパルスの次のペアに対して、またはユーザによって放出されたパルスの任意の他のペアに対してランダムである。しかしながら、各ペアにおいて、ビームスプリッタ31上で相互作用している2つのパルスは、検出器1上であるか検出器2上であるかにかかわらず、光がどこに進むのかを決定する、明確な位相関係を有する。パルスの次のペアは異なる位相関係を有することになり、したがって結果は異なる。とはいえ、それらの相対位相は、光がその場合にどこに進むのかを依然として決定する。「パルスごと」の干渉の不在は、1つの検出器または別の検出器を対象とする光を、BS31上に到着する2つのパルスの相対位相とは無関係にさせていることになり得る。そうである場合、結果はアリスおよびボブの準備に関係せず、それから抽出すべき有用な情報はなくなり得る。
次に、どのくらい完全な位相ランダム化が、式(3)〜式(6)における関係のような固定位相関係を要する位相ベースMDI QKDとの適合性があるかについて説明する。
式(3)〜式(6)の位相条件は、すべての光パルスについて満たされることが必要であるとは限らないことに留意されたい。それらが、アリスおよびボブによって準備されたパルスの十分大きいサブセットについて満たされた場合、このサブセット上で位相ベースMDI−QKDを実施することが依然として可能である。
図1は、「PMDI」の「位相ランダム化位相ベースMDI QKD」とここで呼ばれるものの一実装形態が提示されることを示している。アリス7およびボブ9は、「位相ランダマイザ」81と呼ばれるデバイスを使用して、区間(0,2π)中に選定されたランダム位相ρおよびρをそれぞれ各光パルスに与える。一例では、位相ランダマイザは、クロックサイクルごとに新しい乱数を供給される、光源と同じクロックレートで動作している高速位相変調器である。乱数のソースは、位相変調器と接続されたメモリユニット(図示せず)中に乱数をロードする、真の乱数生成器(RNG)であり得る。
位相ランダマイザ81は、位相ロック光源61から光パルスを供給され、位相ロック光源61から到着した光パルスの位相を、位相値について許容される全区間にわたってランダム化する。
前述のように、アリス7およびボブ9のモジュールを出るパルスのペアの総電磁位相を示すためにφおよびφが使用され、それらは、今やランダム位相ρおよびρをも含む。したがって、これらは次のように提示され得る。
たいていの場合、位相値ρと位相値ρは異なることになり、アリス7およびボブ9は、干渉条件、式(3)を満たし、共通のビットを抽出することがほとんど不可能になる。しかしながら、光パルスの1ペア、またはより多くのペアについては、次のように位相値が一致することが起こることができる。
これが起きたとき、アリスとボブは完全に位相整合される。次いで、次のように基底も一致した場合、
パルスは干渉条件式(3)を満たし、ユーザは、式(5)、(6)を使用して共通のビットを抽出することができる。実際は、基底が一致せず(α≠α)、ランダム位相が異なる(ρ≠ρ)場合でも、ユーザは、以下の条件が成り立つ場合、式(3)を依然として満たすことができる。
式(11)は、さらに、位相ランダム化を含む方式のための干渉条件を表す式(3)の一般化を表している。それが満たされたときはいつでも、ユーザは、式(5)、(6)を使用して共通のビットを抽出することができる。それが満たされないとき、ユーザはデータを廃棄する。このようにして、データ廃棄の調整(reconciliation)は、ランダムな基底のために実施されるだけでなく、ランダムな大域位相のためにも実施される。
式(11)を検証するために、ユーザは、式中に現れるすべての量、または、少なくとも式(11)の左辺および右辺中にそれぞれ現れる累積量α+ρおよびα+ρの値を知る必要があることが明らかである。その目的のために、彼らは、公開議論中に位相ρおよびρの告知を含める。QKDおよびMDI QKDでは通常のように、公開議論中の告知は厳密に時間順に行われるべきである。特に、アリスおよびボブの告知は常に、チャーリーの告知が完了した後にのみ開始すべきである。
図6は、チャーリー、アリスおよびボブによって開示される情報を示す見出しをもつ表である。チャーリー、アリスおよびボブが関連情報を開示する順序を示すために、見出しの順序で表の下部に沿って流れる時間矢印が示されている。
最初に、チャーリーは、どの測定について1つの検出器が活性化し(fired)、ならびに(図6ではD0およびD1と呼ばれる)彼の検出器のうちのどれが活性化したかを告知する。次に、アリスおよびボブは、位相ランダマイザによって適用される位相を顕示する。ρ≠ρ mod πであるすべての測定は廃棄される。
次に、アリスまたはボブのうちの一方は、それらの基底を顕示し、それらの基底を顕示しなかった他方は、測定のうちのどれを保持すべきかを忠告する。(同じ基底で行われなかった測定は廃棄される。)チャーリーの測定は、アリスおよびボブが同じビット値(00もしくは11)または異なるビット値(01もしくは10)を使用してそれらの光子を符号化したかどうかを顕示するが、各ビットの絶対的な値(0もしくは1)を顕示することはない。したがって、チャーリーは、大域位相と、基底と、どの検出器が活性化したかとを知ることになるが、彼がビット値を知ることはない。この情報はアリスおよびボブに利用可能であり、彼らは、それらのビットの絶対的な値を知り、2つのビットが等しかったか異なったかをチャーリーから学習し、したがって、彼らの各々は、他方のパーティーのビット値を再構成することができる。
基底および位相(それぞれ図6の表中の列3および2)の告知は、アリスについてのα+ρと、ボブについてのα+ρとの量の単一の告知中に蓄積され、したがって公開議論の持続時間が低減され得る。ユーザは、前に告知された他の量の値に応じてそれらのビット値を計算するために、図6の表を参照することができる。
図7は、位相ランダマイザを備える位相ベースMDI−QKDが閉ループシステムに組み込まれた、図1のシステムの変形を示す。基本的な非位相ランダム化MDI−QKDシステムについては図5(b)に関して説明した。
不要な繰り返しを避けるために、同様の特徴を示すのに同様の参照番号が使用される。アリス7およびボブ9は、チャーリー11によって固定された位相に対して、共通の光チャネル73から受信された光パルスの位相をランダム化するためにそれらの位相ランダマイザを使用する。
前述のように、チャーリー11は、中央検出ユニットと中央送信機の両方として働く。チャーリーは、光源71から光パルスを準備し、それを彼のビームスプリッタ上に送り、ビームスプリッタは、それを、ボブ9を対象とするサブパルスp1およびアリス7を対象とするサブパルスp2である2つのサブパルスに分割する。パルスは、最初にアリス7およびボブ9のモジュールを通過する。
次いで、パルスは、ユーザのアリス7とボブ9との間に配置された追加の光チャネル73上に、減衰も変調もされずに現れる。このチャネル73上で、ボブのモジュール9から現れた光パルスp1は、アリスのモジュール7のほうへ移動し、一方、アリスのモジュール7から現れた光パルスp2は、ボブのモジュール9のほうへ移動する。光パルスはアリス7およびボブ9のモジュールに入り、そこで、最初に、光パルスは、位相ランダマイザ81を通過され、続いて、位相変調器63を通過される。最後に、パルスは、可変光減衰器(VOA)25によって単一光子レベルに減衰され、チャーリー11に方向転換される。
チャーリーに達すると、それらは、位相ベースMDI−QKDにおけるように、チャーリーのビームスプリッタにおいて1次干渉を受ける。この構成は、動作原理を変更することなしに、多くの異なる方法で実現され得る。
アリスとボブとの間の余分の光チャネルの追加は、アリス7、ボブ9およびチャーリー11間の閉ループ通信チャネルの実装を可能にする。光学素子に関して、閉ループは、位相において優れた安定性を示すサニャック干渉計を表す。同じループ中で伝搬する光パルスは、同じ位相および偏光障害を経験し、同時に初期点に戻る。それらが初期ビームスプリッタに戻り、そこで干渉したとき、すべての障害は自動的に打ち消される。
次いで、ユーザは、図6に関して説明したように、公開議論中にそれらのランダム位相を顕示する。
図8は、位相をランダム化するための能動的方法を概略的に示す。図8(a)には、アリスのユニット7が示されている。しかしながら、ボブのユニットはアリスのユニットと同等である。ここでは、一定の位相をもつ光パルスを生成し、それらを位相ランダマイザ81に出力する位相ロック光源61がある。
図8(b)にこれの一実装形態がより詳細に示されている。ここで、位相ロック光源61は、一定の位相をもつ光パルスを位相ランダマイザ81に出力する。位相ランダマイザ81は位相変調器85を備える。位相変調器85は、光源61および全システムと同じクロックレートで動き、デジタルアナログ(DAC)変換器(図示せず)を通して位相変調器を駆動する乱数生成器(RNG)から受信された入力に従って位相値のうちの1つをランダムに選択して、各光パルスの位相を変更する。
図9(a)には、RNGを利用しない、位相ランダマイザの受動的実装形態の概略図がある。ここで、ランダム性は、たとえば、利得スイッチングレーザーダイオードを用いて、またはマスタースレーブ構成で光学的に結合された2つのレーザーダイオードを用いて実装された、位相ランダム化光源91によって生成される。この種類のレーザーは位相ランダム化を当然呈し、したがって、放出された光パルスはランダム位相ρを示すことが示されている。この光の一部分(太い矢印)は、第1のビームスプリッタによって反射され、アリス7またはボブ9のユニットの中からチャーリー11のほうへ送信される。同じ位相ρを依然として搬送している光の残りの部分は、未知の位相ρを測定するように設計された位相敏感検出ユニット93に送信される。
図9(b)に示されている位相敏感検出ユニット93は、2つの入力経路と、様々なビームスプリッタと、位相シフタと、検出器のペアとを用いて、測定プロセス全体にわたって位相を安定に保つための、温度安定化セットアップからなる。未知の位相ρを搬送している光は、第1の入力に送られ、ビームスプリッタAに、次いで2つの2次ビームスプリッタBおよびCに当たり、ここで、位相ロック光源61によって放出された光と合成される。この光源61は基準位相φにロックされ、したがって、それから放出される光は、すべてのユーザに知られる位相φを搬送する。この光は、位相敏感検出ユニット93の第2の入力に送られ、ビームスプリッタDに、次いで2つの2次ビームスプリッタBおよびCに当たり、ここで、位相ランダム化光源91によって放出された光と合成される。ビームスプリッタCに達する前に、知られている位相φを搬送している光は、光パルスに位相π/2を加算する位相シフタを通過する。
光パルスは、ビームスプリッタBおよびCにおいて干渉し、したがって、光は、ビームスプリッタ入力ポートにおける光ビームの位相差に応じてこれらのビームスプリッタの出力ポートに分配される。ビームスプリッタBにおいて、非ブラインドポートから出てくる光は、図に示されている、知られている関係を通した差φ−ρに依存する。したがって、この出力ポートにおける強度を測定することによって、位相差が(φ−ρ)/2またはπ−(φ−ρ)/2のいずれかであると推測することができる。このあいまいさは、cos関数が0とπ/2との間でのみ単調であることに起因する。このあいまいさを除去するために、(φ−ρ)/2+π/4または3π/4−(φ−ρ)/2のいずれかに比例する、ビームスプリッタCの非ブラインドポートからの出力を使用する。ビームスプリッタBおよびCからの結果を比較することによって、位相差φ−ρは明確に決定され得る。φは知られているので、これは、未知のρの値を直ちにもたらす。この位相の知識は、アリスおよびボブが、前に説明した位相ベースMDI QKDプロトコルを実施することを可能にする。
位相ランダマイザの影響について図10を参照しながら説明する。図10(a)は、位相基準φに位相ロックされた光源によって放出された光への位相ランダマイザの影響を示す。そのような光源は、以下のコヒーレント状態で光パルスを放出する。
この状態は、光子数状態|n〉のコヒーレント重ね合わせを表し、φに関係する位相情報を明らかに搬送する。これは、図10(a)のプロット中では、軸xおよびpの原点からの距離√μに配置され、水平軸上で角度φだけ上げられた、位相空間中の中実点で表されている。
位相ランダマイザは、式(12)においてコヒーレント状態にランダム位相ρを加算する。これは、アリスおよびボブのモジュールから現れるあらゆるパルスが、他のユーザによって所有される基準位相とは無相関なランダム位相を示すことを意味する。したがって、他のパーティーによって見られる状態は、数状態の以下のインコヒーレント重ね合わせによって与えられる。
式(13)の右辺には、もはや位相項φの符号がなく、結果は、平均光子数μを通してのみ式(12)に関係する。数状態|n〉は、図10(b)のプロットでは、位相空間の原点に中心がある半径√(n+1/2)をもつ円で表される。この場合には位相基準がない。この状態の位相が測定された場合、結果は、区間(0,2π)内のいずれかの値であり得る。これは、どの不正なパーティー、またはチャーリー11でさえも、位相ランダマイザが所定の位置にある場合、システムのセキュリティを破るために基準位相の知識を使用することができないことを暗示する。この知識は、(ボブのランダム位相に関して)アリスと(アリスのランダム位相に関して)ボブとを含む皆に対して阻止される。しかしながら、正規のユーザは、公開議論中にそれらのランダム位相を調整することができ、したがって、どんな他の違法なユーザよりも明らかな優位性を獲得する。
ここまで説明した方式における唯一の明らかな困難は、式(3)の干渉条件、または式(11)の干渉条件が満たされるパルスのサブセットが、極めて小さく、原理上は0に等しいことである。同じ問題の別の態様は、ρおよびρの告知が、理論上、完了されるために無限量の古典通信を要し得ることである。その理由は、ρおよびρが区間(0,2π)内の実数であるからである。したがって、それらが無限の精度で告知される必要がある場合、無限量のビットが必要とされる。たとえば、ランダム位相は無理数πと偶然一致することがあり、それの表現は、原理上、数字の無限列を必要とする。
一実施形態では、区間(0,2π)にわたる位相離散化機構が提供される。それを達成するための方法が図11(a)および図11(b)に示されている。図11(a)において、円は、全区間(0,2π)にわたる位相ランダム化を表す。ユーザは、円の中の可能な値のうちの1つをランダムに選択すべきであり、ここで、各位相値は、円の無限に細いスライスによって表される。したがって、アリスおよびボブは、位相ベースMDI QKDの所与のラン中で厳密に同じ位相スライスを選定することになる可能性は低い。
図11(b)では、円は、離散的で有限の数の位相スライスを特徴とするポリゴンに置き換えられる。各スライスは、1からLまで、漸進的な数で番号を付けられる。一例として、L=6である六角形が示される。スライスの数は、ユーザによってあらかじめ決定され得る。
公開議論中に、ユーザは、区間(0,2π)内でランダムに選択された正確な位相値ではなく、位相スライス番号ρ(i)を告知することになる。スライスの数がLであるとき、公開議論中にスライス番号を通信するために最大logLビットのみを要する。これは、アリスおよびボブにとって極めて好都合であり、彼らはそれらの位相値を迅速に調整することができる。その上、告知されたスライス番号が一致する確率1/Lがある。この場合、ユーザは、MDI QKDプロトコルの次のステップに進むことができる。反対に、確率1−1/Lで、告知されるスライス番号は異なるものになり、ユーザはそれらのデータを廃棄する。
告知された離散位相値が同じである場合、ユーザは、それらの位相整合が良好であることを知る。Lが大きくなるほど、ユーザは、同じ位相スライス番号を告知したときにより良好に整合される。しかしながら、それらが同じ位相スライス番号を告知する確率はLとともに減少する。したがって、各実験的実装形態では、最良の性能を保証するLの最適値があることになる。
ユーザが同じ位相番号を告知したとき、彼らは、それらの実際の位相値が2π/Lを超えて離れることができないことを知る。
図1および図7で説明した方式のような位相ベース量子方式では、量子ビットエラーレート(QBER:quantum bit error rate)は相対位相整合に依存し、以下の式を有する。
ここで、φおよびφはすでに導入されており、QBERが0.5を乗り越えるとき、ユーザの一方は、それらのデータを他方のユーザと調整するためにビットを反転すると仮定される。
L個のスライスがあるとき、各スライスは2π/Lの開口角を有する。雑音が位相不整合のみに起因すると仮定すると、ワーストケースQBERは、この場合はφ−φ=2π/Lのときに取得され、以下になる。
たとえば、ユーザが区間(0,2π)をL=12個のスライスに分割した場合、各スライスはπ/6(30度)の開口角を有することになり、式(15)によるワーストケースQBERは6.7%である。これは、BB84プロトコルの典型的なしきい値(11%)よりも小さい。
このワーストケースQBERは、アリスの位相値とボブの位相値の両方が同じ位相スライスのちょうどエッジにあることを要するので、現実の通信ではめったに起きない。現実の通信においてより関係するものは、以下の式によって与えられる平均QBERである。
我々が、L=12である前のケースを考慮した場合、我々は、現実の実用性がある、1.13%の平均QBERを取得する。図12は、L=12について正確な状況を示す図である。式(16)はまた、L→∞の極限では、平均QBERは0に向かい、一方、L=1では、平均QBERは50%に等しいことを示している。
たった今説明した離散位相ランダム化は、図9に示されている受動的位相ランダム化光源を用いて実装され得る。この場合、ユーザは、区間(0,2π)内のすべての位相値を生成するために位相ランダム化光源を使用し続ける。しかしながら、それらのユーザは、公開議論を修正し、実際の位相値ではなく位相スライス番号ρ(i)のみを告知することになる。これにより、位相ランダム化は区間(0,2π)内の値の連続体にわたって依然として実施されるが、それと同時にユーザは、位相スライスに対応する、位相値の離散的で有限なサブセットを使用してユーザのランダム位相を調整することができるので、位相ランダム化がほぼ完璧なままであることが保証される。
位相の離散化はまた、たとえば、図8(b)に示されている解決策を使用して、能動的方法で容易に行われ得る。しかしながら、この場合、光源61は、区間(0,2π)内のすべての可能な位相値ではなく、図11(b)において導入された位相スライスに対応する離散位相値ρ(i)のみを実装する。したがって、特にスライスの数Lがあまりに小さいとき、位相ランダム化が適切に実装されないというリスクがある。これに対処するために、Lが十分に大きい場合、離散位相ランダム化は連続位相ランダム化に極めて近づき、それにより、最終鍵レートが完全で完璧な位相ランダム化で取得されたものに近くなる。
ユーザは、図9(a)または図9(b)を参照しながら説明した受動的な位相離散化であるか、図8を参照しながら説明した能動的な位相離散化であるかにかかわらず、彼らがどんな種類の位相離散化を実装することを希望するかを選定することができる。
ユーザは、選定されたボックスを、位相ランダマイザ81として図1に示されている位相ベースMDI QKD方式に差し込み、上記ですでに説明したようにプロトコルの残りを実行することができる。位相離散化が実装される方法にかかわらず、ユーザは、公開議論中に、常に、ランダム位相の正確な値ではなく、位相スライス番号ρ (i)(アリス)およびρ (i)(ボブ)を告知することになる。
代替的に、ユーザは、図7に示されている閉ループ上のPMDIのためのセットアップにおいて、位相ランダマイザ81を、図8、図9(a)および図9(b)に示されている位相ランダマイザに置き換えることによって離散位相ランダム化を実装することができる。
採用される方式にかかわらず、式(13)が伴う大域位相ランダム化は、ユーザが、それらの光パルスからセキュアな鍵ビットを抽出することを可能にする。Z基底が、鍵のビットがそこから抽出されるデータ基底であり、X基底が、盗聴に対してチャネルをテストするために使用されるテスト基底であると仮定すると、セキュアな鍵レートは以下の式によって与えられる。
式(17)の右辺において、負の項は、QKDにおいて実施される古典誤り訂正(EC)に起因し、一方、正の項は、暗号鍵のビットへの単一光子の寄与に起因する。式(17)中のEC項はQKD実験において正確に測定され得、式(17)中に与えられた式は、この測定の予想される結果の近似である。p項は、1人のユーザがZ基底を選定する確率であり、ユーザは基底に関して独立した選定を行うので、それは2乗される。fEC項は、不完全なECの原因となり、それの典型的な値は1.15である。Y項は、歩留まりであり、すなわち、ユーザが基底Zにおいて光パルスを準備することを条件として、チャーリーが彼の検出器においてクリックを有するという、条件付き確率である。この歩留まりは、QKD実験において測定可能な量であり、それは、ユーザによって放出された光信号のペアの数で除算された、チャーリーによって登録されたカウントの数に達する。関数hは、シャノンの2値エントロピーであり、一方、Eは、Z基底においてユーザによって測定されるQBERである。式(17)の第2の項において、p1|Zは、ユーザが基底Zにおいて単一光子を一緒に放出する確率である。この場合、関係する量は、アリスおよびボブによって準備された光パルスの全強度uである。アリスが強度uを準備し、ボブが強度uを準備した場合、u=u+uである。uの典型的な値は0.01と1との間にある。典型的には、ユーザの光源は、コヒーレント状態の光を放出する減衰されたレーザーである。その場合、全強度がuであるときにk個の光子を得る確率pk|uは、次のようにポアソン分布に従う。
式(17)の項y1|Zは、単一光子歩留まりであり、すなわち、ユーザが基底Zにおいて強度uを準備しながら単一光子を一緒に放出したとき、チャーリーがクリックを経験する確率である。この量は直接測定され得ず、間接的に推定されなければならない。これは、次のセクションにおいて説明するデコイ状態技法を使用するか、または下記のGLLPワーストケース推定を使用して行われ得る。
ここで、Ωは、Z基底におけるタグなし光子の一部分であり、
multiは、アリスおよびボブが2つ以上の光子を一緒に放出する確率である。式(18)のようなポアソン分布に従うと、それは以下に等しい。
式(17)の項e1|Xは、X基底における単一光子QBERである。y1|Zと同様に、この量は直接測定され得ず、間接的に推定されなければならない。これは、次のセクションにおいて説明するデコイ状態技法を使用するか、または下記のGLLPワーストケース推定を使用して行われ得る。
ここで、X基底の量は、すでに定義されたZ基底の量と同様に定義される。
大域位相がランダム化されないので式(13)が成り立たないプロトコルは、式(17)〜式(22)が伴うGLLPセキュア鍵レートを提供しないことに留意されたい。特に、システムにおいて位相ランダム化が実装されないとき、式(22)の位相エラーレートは以下のエラーレートに置き換えられなければならない。
ここで、εは小さい正数であり、
であり、uは、ユーザによって出力された光の平均光子数であり、ηは、量子チャネルの送信量である。式(23)〜(25)が伴うセキュア鍵レートは、式(17)〜(22)が伴うセキュア鍵レートよりもはるかに低い。したがって、一実施形態では、量子システムにおいて式(13)の位相ランダム化を強制することを可能にする技法を実装することが有利である。
次に、位相ランダム化鍵レートRPMDIが導出され得る。そのために、図8におけるような完全な位相ランダム化と、それに続いて、たとえば、図11(b)におけるような、ランダム位相のための値の離散セットの告知とが仮定される。この場合、鍵レートは、GLLP、式(17)と同じになるが、公開議論中に告知される位相スライスの数がLであるとき、ユーザが確率1/Lでのみ位相整合されることを考慮に入れる係数で乗算される。
ファクタ1/Lは、本発明から取得されるPMDIの鍵レートを特徴づける。式(26)は、PMDIに典型的なファクタ1/Lを依然としてすべて含む、GLLPとは異なる任意の何らかのレートに一般化され得る。
図12(b)〜図12(d)は、相対位相成分と局所位相成分との間の協働を示す。図12(b)において、アリスは、非対称マッハ−ツェンダー干渉計(AMZI:Asymmetric Mach-Zehnder Interferometer)を使用して2つの光パルス(青および赤)を準備する。大域位相ρは、光源(LS)のすぐ後に位相変調器を使用してランダム化される。この大域位相は初期パルス(黒)上で符号化され、したがって、このパルスが第1のビームスプリッタにおいて2つにスプリットされたとき、位相ρは、2つの2次パルス(青および赤)によって継承される。青パルスは、AMZIの(より短い)下部経路を通り、固定基準位相からカウントして全位相ρをもって現れる。赤パルスは、(より長い)上部アームを通り、したがってそれは、位相変調器をも通過して、追加の位相γ(相対位相)を獲得する。赤パルスは、次いで、全位相ρ+γをもって現れる。情報(ビットおよび基底)は、AMZI内の位相変調器によって相対位相γにおいて符号化される。右側には、ρのための12個のランダム位相値と、基底(Z=0、X=π/2)およびビット(「0」=0、「1」=π)のための4つのランダム値とが示されている。
図12(c)の方式では、アリスは、前のものと正確に同じ位相とともに、前述のように2つの光パルスを準備する。しかしながら今回は、彼女は、位相ρおよびγを準備するために4つの位相変調器を使用する。AMZIの上部アームにおける2つの位相変調器は、γ+ρをもつ赤パルスを準備し、一方、下部アームにおける2つの位相変調器は、γ+ρをもつ青パルスを準備する。したがって、大域位相ρは前述と同じであり、両方のパルスについて同じであり、一方、相対位相γは、2つの絶対位相の差によって与えられ、γ=(ρ+γ)−(ρ+γ)=γ−γが残る。ユーザが、図において右側に示されている4つの値(0,π/2,π,3π/2)の中でγおよびγを選択した場合、得られるγも、(γとγとのための値のすべての可能な組合せを減算することと、π=−π、3π/2=−π/2を思い出すこととによって検証することが容易な)これらの4つの値のうちの1つになる。
上記のことを図12(d)に適用する。PMDIにおいて、AMZIの上側部分はアリスに割り当てられ、一方、下側部分はボブに割り当てられることが考えられ得る(図を参照)。すべては、厳密に方式12(c)におけるように進み、それらの唯一の差異は、各パーティーが、他方のパーティーによって準備された位相を知らないことである。いずれの場合も、赤パルスおよび青パルスが中央ビームスプリッタに達したとき、それらは、前述のように、γ=γ−γに等しい相対位相を有することになる。これは、方式12(c)におけるように、ρがアリスとボブにおいて同じである場合に起こる。しかしながら、アリスとボブは互いに無関係にρを準備しているので、ρがアリスとボブについて同じであることは保証されない。この理由により、公開議論は大域位相のために必要とされ、ρが同じであるたびに、ユーザはそのランを保持し、さもなければ、ユーザはそれを廃棄する。
さらなる一実施形態では、上記の方法は、デコイ状態を含むように適応される。一例が図13(a)に示され、ここでは、「デコイ状態離散位相ランダム化位相ベースMDI−QKD」(dsPMDI)のための方式が示されている。不要な繰り返しを避けるために、同様の特徴を示すのに同様の参照番号が使用される。アリス7およびボブ9のモジュール中で、基底およびビット値を符号化するよう命じられた光源61と位相変調器63との間に、強度変調器101が配置される。
強度変調器101は高速なデバイスであり、光パルスの生成と同じクロックレートで動作する。強度変調器101は、デコイ状態QKDおよびデコイ状態MDI QKDにおいて光源61によって放出された各光パルスの強度を変調する。強度変調器によって与えられる強度の値は、(図13(a)に示されていない)乱数生成器の助けをかりてランダムに選定される。その上、デコイ状態に適応するために、公開議論は、チャーリーの告知の後に、ランダム位相スライスおよび基底に関する他の情報に加えて強度値の告知を含むように修正されている。チャーリーが彼のカウントを告知した後に、ユーザは、上記で説明したように基底および位相を開示する。次いで、カウントの強度値が同様に開示される。(しかしながら、強度は、位相および基底より前にさえ開示され得ることに留意されたい。)開示された情報から、ユーザは、プロトコルのセキュア鍵レートを再構成し、量子鍵を抽出することができる。
デコイ状態PMDIを実装するための代替方式が図13(b)に示され、ここでは、図7の位相ベースMDI−QKD方式における各周辺デバイスは、デコイ状態技法の実装を可能にするために強度変調器101を賦与されている。所与の周辺デバイスから受信された光パルスの強度は、デコイ状態QKDとデコイ状態MDI QKDとを使用して、他方の周辺デバイス中の強度変調器101によって変調される。
デコイ状態の実装において、各ユーザは、u、vおよびwと呼ばれる、3つの強度のうちの1つを準備する。より多くの強度も可能である。典型的な値は、u=0.5、v=0.1およびw<0.001である。{u,v,w}は、アリスによって準備された3つの強度を指すために使用され、{u,v,w}は、ボブによって準備された3つの強度を指すために使用される。アリスおよびボブは、彼ら自身の準備を知っているが、他方のユーザの準備を知らない。彼らは、図13(a)および図13(b)に関して前に説明したように、公開議論中に強度を調整することになる。アリスおよびボブによって準備され、チャーリーによって検出された光パルスのペアごとに、アリスおよびボブは、強度の各合成の、および各基底についての利得Qμ,αを計算することができ、ここで、μは、アリスのパルスとボブのパルスとの強度の和によって与えられる全体的強度であり、α=α=α、アリスおよびボブによって告知される、一致した基底ZまたはXである。利得は次のように定義され、
ここで、pμは、ユーザが、μまで加算する強度を準備する確率であり、pαは、アリスとボブの両方が同じ基底αを選定する確率であり、Yμ,αは、歩留まりであり、すなわち、μとαとのユーザの準備を条件として、チャーリーが彼の検出器においてクリックを有するという、条件付き確率である。この歩留まりYμ,αは、その歩留まりが、合成μ、αのためのユーザによる準備の数で除算された、チャーリーによって登録されたカウントの数に達するように、典型的なQKD実験において測定可能な量である。
一実施形態では、各基底において利得のために9つの組み合わせがある。
式(27)〜式(29)から、アリスおよびボブは、α基底において単一光子歩留まりy1|αを推測することができる。それから、α基底における全強度μについての単一光子利得q1|μαが以下の式によって与えられる。
ここで、p1|μは式(18)において定義されている。
デコイ状態技法における次のステップは、式(22)のものと類似の意味を有する、単一光子QBERe1|αを推定することである。そのために、式(28)が使用され得、ここでは、アリスとボブによって放出される光パルスの強度は同じである。y1|Zとe1|Xとが利用可能であるとき、dsPMDIの鍵レートは以下によって与えられる。
式(31)では、鍵ビットは、強度がuまで加算する光パルスから抽出されると仮定され、したがって、p=puAuBである。上記の鍵レートは、GLLPの鍵レート、式(17)と同様であるが、2つの差異がある。第1は、パラメータy1|Zおよびe1|Xが、GLLPワーストケースを通してではなく、デコイ状態技法を通して推定されることである。第2は、ユーザによってランダムに選択されたL個の位相値の存在に起因する、(デコイ状態有りとデコイ状態無しの両方で)PMDIの特性であるファクタ1/Lの存在である。デコイ状態プロトコルを適用するために、光パルスの位相はランダムでなければならないことに留意されたい。
ここまでは、PMDIおよびdsPMDIが、位相雑音が受動的に補償される方式、たとえば図7の方式において、または、関与するすべての位相が完全に安定していると仮定され、位相雑音がまったくない、理想的である方式、たとえば、図1の方式において実施されると仮定された。この理由は、PMDI方式が、位相雑音とは無関係に説明され得るからである。さらに、従来技術には、たいていは明るい光パルスを使用して、光通信において位相雑音を安定させるための、極めて多くの解決策がある。したがって、完全な位相安定性を保証するために、これらの解決策のうちの1つがPMDIに適用されると仮定され得る。しかしながら、上記のコメントにもかかわらず、位相雑音は、実際には重要な役割を果たすことがあり、したがって、以下の実施形態では、位相雑音を緩和するための技法について説明する。
次の2つの実施形態では、図13(a)に示されている主要なdsPMDI実施形態は、「量子」(図14)または「古典」(図15)という、2つのモダリティで動作するように構成される。前者のモダリティは、dsPMDIを介してアリスおよびボブにセキュア量子鍵を配信するために使用される。一方、第2のモダリティは、離れたユーザの位相基準を整合させ、システムの位相雑音を補償するために使用される。
量子モダリティについて、図14を参照しながら説明する。不要な繰り返しを避けるために、同様の特徴を示すのに同様の参照番号が使用される。このモダリティの目的は、システム中に位相雑音がないと仮定して、アリス7およびボブ9にセキュアな量子鍵を抽出させることである。位相雑音は、実際は、古典モダリティにおいて補償されることになる。したがって、すべてのデバイスは、すでに説明されているように動作し、VOA25は、(図14では文字「Q」によって示されている)単一光子レベルに減衰された光パルスを放出するように設定される。すべての他の変調器は、位相スライスと、基底と、ビットと、強度との値をランダムに符号化する。チャーリー11の測定の結果は、中央ビームスプリッタにおいてアリス7およびボブ9によって放出された光パルスの干渉に依存する。特に、アリスの量子光パルスとボブの量子光パルスとの間の相対位相の値ΔφAB (Q)に応じて、チャーリーによって所有される2つの検出器のうちの1つは、「0」または「1」のいずれかでクリックすることになる。システム中に位相雑音を有しないことにより、ユーザは、ΔφAB (Q)の値を知る。したがって、アリス7およびボブ9は、どの検出器がクリックしたかをチャーリーが告知した後に、公開議論中に他方のユーザのビット値を再構成することができる。
古典モダリティについて、図15を参照しながら説明する。その目的は、今度は、離れたユーザの位相基準を整合させ、システム中の位相雑音を緩和することである。そのために、アリス7およびボブ9は、あらかじめ同意されたいくつかの時間において、それらの構成要素に作用し、本質的に、2つの動作を実施する。
第1に、アリスおよびボブは、単一光子レベルに減衰されない光パルスを放出するようにそれらのVOA25を設定する。これらの光パルスは「古典」と呼ばれ、文字「C」により、このモダリティのための対応するVOA設定を示す(図15参照)。「古典」光パルスの正確な強度は実験条件に依存する。示される値は、「量子」光パルスよりも20dBから80dB強くなり得る。古典パルスを生成するために、VOA25に作用するのではなく、アリスおよびボブのモジュール7および9中の強度変調器101に作用することも可能である。古典光パルスを生成するためにどの構成要素が最も好適であるかは、所望の強度および繰り返しレートのような実験パラメータに依存する。VOA25は、高強度光パルスを生成するために使用され得るが、強度変調器101は、高い繰り返しレートで古典パルスを作成するのにより好適である。
古典モダリティを可能にするための第2の動作として、アリスおよびボブは、すべてのそれらの変調器を固定値に設定して、このモダリティ中のランダム生成を無効にする。一例を与えるために、位相ランダマイザが値2π/Lに設定され、基底とビットが両方とも0に設定され、強度変調器がuを放出するように設定されることが考えられ得る。もちろん他の設定点が可能である。
2つの上記の動作が完了したとき、チャーリーの測定の結果は、アリスの古典パルスとボブの古典パルスとの間の相対位相の値ΔφAB (C)に関係する。アリスおよびボブは、この値を読み取り、それを活用して、それらのシステムを整合させ、位相雑音を緩和することができる。我々は、アリスおよびボブが古典モダリティに入ったとき、彼らが量子鍵の抽出を停止し、位相雑音の補正にのみ焦点を当てることになることに気づく。したがって、セキュリティは影響を受けないままである。我々はまた、古典モダリティがしばしば十分に可能にされた場合、システムが量子モダリティ中に整合されたままであり、我々が、ΔφAB (Q)=ΔφAB (C)を有することに気づく。これは、後で詳細に説明するように、ユーザが、ΔφAB (Q)を知り、量子モダリティで鍵を抽出することを可能にする。
dsPMDIの古典モダリティは、図16に示されているように、位相雑音を能動的に補償するために使用され得る。ここでの目的は、古典モダリティにおいて、それぞれφおよびφと呼ばれる、アリスの光パルスの位相とボブの光パルスの位相との間に一定の位相差を中央ビームスプリッタにおいて有することである。
最も単純なオプションはconstant=0と設定することである。その場合、ビームスプリッタ上の干渉は、チャーリーの検出器「0」のみがクリックするようになることである。したがって、一実施形態では、システムにおいてこの条件を能動的に強制するために、チャーリーは、「0」検出器中のカウントが最大化されるまでφの値を変更するために、ボブの経路上に位相変調器103を配置する。この条件を満たすと、アリスおよびボブは、それらの位相基準が整合されたことを知る。
図17は、一実施形態によるシステムであり、ここで、本システムは、通信チャネル中の光信号の伝搬に起因する位相雑音によって影響を受ける。伝搬媒体におけるランダムな密度または幾何学的変形により、アリスおよびボブによって放出される光パルスの位相は、予測不可能な方法で変化する。したがって、初期に光パルスが完全に位相整合された場合でも、チャーリーへのそれらのトリップ中に、光パルスは位相基準とのロッキングを失うことになる。図17では、光チャネル中の伝搬中に、それぞれアリス7およびボブ9の光パルスに付加される位相誤差を示すために、δ chanおよびδ chanが使用される。
この問題を能動的に解決するために、dsPMDIの古典モダリティは、前のセクションにおいて説明したのと厳密に同じ解決策、すなわち、検出器「0」中のカウントを最大化するように(または検出器「1」中のカウントを最小化するように)チューニングされた、ボブ9の経路上に配置されたチャーリー11の制御下にある位相変調器103と組み合わされ得る。今度は、設定点条件は、次のようにチャネル位相雑音を含む。
チャーリーは、φを変化させるようにボブの経路上の位相変調器103をチューニングする。φ=φ−δ chan+δ chanであるとき、検出器「0」カウントが最大化され(または検出器「1」カウントが最小化され)、式(33)の条件が満たされる。この時点で、アリスおよびボブは、通信チャネル上の位相雑音の存在にもかかわらず、それらの位相基準が整合されたことを知る。
次の実施形態では、チャーリーのモジュール11中に位相変調器103を必要とせず、前のセクションにおいて説明したのと同じ動作をデータ後処理の形態として受動的に実施する代替解決策が提供される。
後処理における調整機構が図18に示されている。重要なアイデアは、所定の時間において、図14の量子モダリティから図15の古典モダリティに切り替わることと、チャーリーの測定の結果を記録することと、量子モダリティに戻ることと、実験条件によって要求されるたびに繰り返すこととである。1次干渉機構に関係する、図16における1つの微妙な技術的詳細は、相対位相ΔφAB (C)を確実に読み取るために、アリスが、0に加えて、図15にも示されている基底値π/2を時々符号化する必要があることである。実際は、位相πがΔφAB (C)に加算された場合、チャーリーの測定の結果は厳密に同じままである。π/2を加算することによって、アリス7はこのあいまいさを取り除き、ΔφAB (C)の値はユーザに十分にアクセス可能になる。
説明したように、古典モダリティ中に、ユーザは、量ΔφAB (C)へのアクセスを有する。しかしながら、今度は、ユーザは、式(32)および式(33)におけるように、ΔφAB (C)を所定の一定値に等しくする必要がない。ユーザは、それの値が測定されたとき、それを記録することしか必要でない。我々は、この値を測定するために、dsPMDIシステムは、ΔφAB (C)の信頼できる平均値が取得されるまで、場合によってはいくつかのランについて古典モダリティ中にとどまる必要があることに気づく。ここでの基礎をなす仮定は、相対位相の値があまりに迅速に変化せず、我々がKと呼ぶ、いくつかの数のランにわたってほぼ一定のままであることである。これは以下の式によって示され、
ここで、ΔφAB (C,k)は、ΔφAB (C)の瞬時値として定義される。
古典モダリティにおいて相対位相の信頼できる値が収集された後に、アリスおよびボブは、Kよりも少ないいくつかのランについて量子モダリティでdsPMDI方式を実行する。チャーリーの測定の結果は、量子モダリティにおいて、我々がΔφAB (Q)と呼ぶ、アリスおよびボブの光パルスの相対位相に依存する。この相対位相は、K個のラン中に一定のままであると仮定される、測定された古典相対位相ΔφAB (C)とともに、アリスおよびボブによって符号化されたランダムスライスρ (k)およびρ (k)、ランダム基底α (k)およびα (k)、ならびにランダムビットβ (k)およびβ (k)を含む。
式(35)において、量ΔφAB (C)は古典モダリティで測定されており、量ρ(k)(位相スライス)およびα(k)(基底)は公開議論中に顕示される。したがって、アリスおよびボブは、式(35)およびチャーリーの測定からビット値β(k)を推測することができる。次にこれについてより詳細に説明する。
まず第1に、アリスおよびボブは、図18の表に要約された、公開議論の改良されたバージョンを実行する。この改良された公開議論では、チャーリーの通信の後に、ユーザは、古典モダリティで収集された量ΔφAB (C)を計算し、次いで、ランkについてそれらの位相スライスρ (k)およびρ (k)を顕示する(簡単のために、図18ではインデックスkは記載されない)。次いで、アリスおよびボブは、以下の条件が満たされるランのみを選択し、すべての他のランを廃棄する。
この条件が確率1/L(Lは位相スライスの数である)で満たされることに注目すべきである。これは、位相雑音が不在であった、図6のより単純な公開議論に等しい。これは、後処理において位相雑音の補正が実施される場合でも、dsPMDI鍵レート、式(31)中のファクタ1/Lが修正されないという重要なことを伴う。
式(36)の条件が満たされたとき、ユーザのシステムは整合される。次いで、アリスおよびボブは続行し、それらの基底を顕示することができ、基底が一致するケースのみを保持し、すべての他のケースを廃棄する。したがって、廃棄されないランについて、式(35)の式は次のようになる。
ビット変数βの位相値は0およびπのみであり得るので、ΔφAB (Q)の値は0または±πのみであり得、前者(後者)はチャーリーの検出器「0」(「1」)のクリックにつながる。したがって、式(37)から、β (k)(β (k))を知っているアリス(ボブ)は、チャーリーの測定の結果を知った後にビット値β (k)(β (k))を推測することができることが明らかにわかる。
またさらなる一実施形態では、光源から発生する位相雑音が考慮される(図19参照)。アリスとボブの光源ははるかに離れており、決して完全に同じにはならない。たとえば、彼らが、わずかに異なる中心周波数ω(アリス)およびω(ボブ)をもつレーザーで実装された場合、ユーザ間の相対位相差は、(ω−ω)tとして時間的にドリフトし、システムの不整合と、チャーリーの測定の結果におけるドリフトとが引き起こされる。
この問題を緩和するために、光位相ロックループ(OPLL)が採用され得る。明確化のために、すべてのパーティーが連続波(CW:continuous wave)レーザーを与えられると仮定する。これをパルスレーザーに拡張することは困難ではない。チャーリーのレーザーは、第1の光チャネル(点線経路)を使用してアリスおよびボブの局のほうへ光を放出する。アリスとボブは両方とも、それらのレーザーをチャーリーのものに位相ロックするためのOPLLを有する。彼らは、位相ロックレーザーを使用し、チャーリーに光パルスを返信する(実線)。アリスとボブのセットアップは原理上同等であり、したがって、ボブのセットアップのみについて説明する。図20がOPLLをより詳細に示す。
チャーリーの光がボブのモジュール9に入ったとき、それは、ボブのCWレーザー301によって放出された光を干渉させる。生じた干渉は、2つのレーザーの相対位相に依存し、ビームスプリッタの2つの出力ポート間で配信される光の量を決定する。出力ポートのうちの1つにおいて、検出器303が出力光を測定し、電気信号を放出し、この電気信号は増幅され305、次いで、局所発振器307によって放出された無線周波数(RF)信号と混合される。得られた低周波数電気信号は、フィルタ309および遅延311を通過し、次いで、それの周波数を調整するためにボブのCWレーザー301にフィードバックされる。同じ手順はアリスのCWレーザーに適用され得、ユーザのモジュールは両方ともチャーリーのレーザーにロックされ、したがって、相互に位相ロックされることになる。アリス7とボブ9とのモジュール間の残差固定位相差は、前のセクションにおいて提示された技法を使用して除去され得る。
アリス7とボブ9とのレーザー間の自走周波数差が十分に小さい、すなわち、レーザーの周波数をチューニングするためにOPLLによって必要とされる時間の逆数よりもはるかに小さいとすれば、たった今説明した位相ロックメカニズムは効果的に動作する。また、チャーリーのレーザーの中央周波数は、光チャネルに沿った伝搬中にあまりに多くの影響を受けるべきではない。最後に、通信チャネル中の光パルスの伝搬に起因する位相雑音が考慮に入れられるとき、位相ロックのための条件は、OPLLが、伝搬に起因する位相雑音よりも高速であるということである。
図21は、dsPMDIに関係する図13(a)に関して記載されたタイプのシステムのシミュレーションの結果を示す。結果は、L=12個の離散ランダム位相スライスについて示されている(図12参照)。位相雑音は、最終的なセキュア鍵レートの概念的な差はないので、リアルタイムでまたは後処理において補正され得る。シミュレーションは、dsPMDI(太線)についておよび他のプロトコル(細線)について、同じ実験パラメータ、または他のプロトコルにより好都合である実験パラメータのいずれかを使用して、ビット/秒でのセキュア鍵レート対アリスとボブとの間の距離を示している。これは、dsPMDIの利点を納得がいくように示すために行われた。
dsPMDIは、現在市販されている単一光子超伝導検出器を用いてほぼ600kmの距離に達することを可能にすることがわかる。これは、同じ検出器を伴う場合、またはより良い検出器を伴う場合でも、現在の量子方式の実現可能性の範囲を十分超えている。新しいプロトコルは、QKDまたはMDI−QKDに関与する他の方式の直線性とは対照的に、距離の平方根のように進む距離との鍵レートのスケーリングを示す。これはそれの主要な利点である。
比較として、我々はまた、図21に、デコイ状態およびダークカウントフリー単一光子検出器(dsMDI)で実装されたMDI−QKDと、デコイ状態およびダークカウントフリー単一光子検出器(dsQKD)で実装されたQKDと、真の単一光子ソースおよびダークカウントフリー単一光子検出器(1QKD)で実装されたQKDとについての鍵レートをも示している。他の2つの線、PLOBおよびTGWは、中継器フリー量子通信のための理論レート−損失限界である。それらは、量子中継器の不在時に、ノイズがない不可逆チャネル上で達成され得る可能な限り最良の秘密鍵レートを確立する。これらの限界は、現在までどんな量子ポイントツーポイント送信によってもまだ乗り越えられていない。dsPMDIは、アリスとボブとの間の距離が約300kmよりも大きいとき、すべての前述の限界を乗り越えることができることが明らかである。
いくつかの実施形態について説明したが、これらの実施形態は、例として提示されたものにすぎず、本発明の範囲を限定するものではない。実際、本明細書で説明した新規の方法およびシステムは、様々な他の形態で実施され得る。さらに、本明細書で説明した方法およびシステムの形態における様々な省略、置換および変更が、本発明の趣旨から逸脱することなく行われ得る。添付の特許請求の範囲およびそれの均等物は、本発明の範囲および趣旨内に入るように、そのような形態の変形を包含するものである。

Claims (20)

  1. 第1のユニットと第2のユニットとの間で鍵を配信するための量子通信システムであって、前記システムが、位相ベース測定装置無依存量子暗号を実装するように構成され、前記システムが、光パルスに位相シフトを適用するように構成された第1および第2のユニットと、前記第1および第2のユニットから受信された光パルス間に干渉を引き起し、前記干渉を測定するように構成された検出ユニットとを備え、前記第1および第2のユニットが各々、位相シフトを適用するように構成された少なくとも1つの位相変調器を備え、前記位相シフトが大域位相成分と相対位相成分とを備え、前記大域位相成分が、固定位相基準からの0°から360°までの範囲内で選択された位相シフトを表し、前記相対位相成分が、前記大域位相成分によって導入された前記位相シフトからの0°、90°、180°および270°から選択された位相シフトである、量子通信システム。
  2. 前記検出ユニットが、前記第1および第2のユニットからの前記パルス間に1次干渉を引き起こすように構成された、請求項1に記載の量子通信システム。
  3. 0°から360°までの前記範囲で前記大域位相成分をランダムに選択するように構成されたランダム位相ユニットをさらに備える、請求項1または2に記載の量子通信システム。
  4. 0°から360°までの前記範囲がL個のセグメントに分割され、Lが少なくとも3の整数であり、前記ランダム位相ユニットが、前記大域位相を適用するためにセグメントをランダムに選択するように構成された、請求項3に記載の量子通信システム。
  5. 前記ランダム位相ユニットが、前記大域位相の能動的選択を実施するように構成された、請求項4に記載の量子通信システム。
  6. 前記ランダム位相ユニットが、前記大域位相の受動的選択を実施するように構成された、請求項3または4に記載の量子通信システム。
  7. 前記第1および第2のユニットが光源を備える、請求項1から6のいずれか一項に記載の量子通信システム。
  8. 前記検出ユニットが光源を備え、前記システムが、前記検出ユニットからの光を、前記第1のユニットを通り、前記第2のユニットを通り、次いで前記検出ユニットに戻るようにループ内に導くように構成された第1の経路と、前記検出ユニットからの光を、前記第2のユニットを通り、前記第1のユニットを通り、次いで前記検出ユニットに戻るようにループ内に導くように構成された第2の経路とをさらに備え、前記第1および第2のユニットが、前記検出ユニットから放出された前記光パルスの位相を変調する、請求項1から6のいずれか一項に記載の量子通信システム。
  9. 前記第1および第2のユニットを出るパルスの強度をパルスごとに変化させるように構成された強度変調器をさらに備える、請求項1から8のいずれか一項に記載の量子通信システム。
  10. 前記検出ユニットが位相変調器を備える、請求項1から9のいずれか一項に記載の量子通信システム。
  11. 前記検出ユニット中に光源をさらに備え、前記システムが、前記検出ユニットから出力された光の位相を前記第1および第2のユニットそれぞれの前記光源の位相にロックするための位相ロックループをさらに備える、請求項7に記載の量子通信システム。
  12. 前記第1および第2のユニットがメモリを備え、前記メモリが、各光パルスについて前記大域位相と前記相対位相とを記憶するように構成された、請求項1から11のいずれか一項に記載の量子通信システム。
  13. 前記第1のユニットと前記第2のユニットとの間に通信チャネルが提供され、前記第1および第2のユニットがプロセッサを備え、一方のユニット中の前記プロセッサが、前記通信チャネルを介して他方のユニット中の前記プロセッサと通信することが可能であり、前記第1および第2のユニット中の前記プロセッサは、前記大域位相が一致しなかった測定結果を無視するように構成された、請求項12に記載の量子通信システム。
  14. 量子通信システム中の第1のユニットと第2のユニットとの間で暗号鍵を通信する方法であって、
    前記第1のユニット中の位相変調器を通過する光パルスに位相シフトを適用することと、前記第2のユニット中の位相変調器を通過する光パルスに位相シフトを適用することと、前記位相シフトが大域位相成分と相対位相成分とを備え、前記大域位相成分が、固定位相基準からの0°から360°までの範囲内でランダムに選択された位相シフトを表し、前記相対位相成分が、前記大域位相成分によって導入された前記位相シフトからの0°、90°、180°および270°からランダムに選択された位相シフトであり、0°および180°の相対位相シフトが第1の測定基底を形成し、90°および270°の相対位相シフトが第2の測定基底を形成する、
    測定ユニットにおいて前記第1および第2のユニットから受信された光パルスを干渉させることと、
    を備え、前記方法は、
    干渉測定の結果を前記測定ユニットによって告知することと、
    各測定に適用された前記大域位相を前記第1および第2のユニットによって告知することと、
    前記相対位相シフトにおいて使用された前記基底を前記第1および第2の測定によって告知することと、
    前記測定から鍵を導出することと、前記第1および第2のユニットによって適用された前記大域位相が一致し、前記相対位相シフトにおいて使用された前記基底が一致し、前記第1および第2のユニットが両方とも、適用された前記相対位相シフトと前記干渉測定の前記結果との知識から前記鍵を導出することが可能である、
    をさらに備える、方法。
  15. 前記第1および第2のユニットによって適用された前記大域位相が不整合角度内にある場合、前記大域位相が一致すると見なされる、請求項14に記載の方法。
  16. 前記大域位相は、前記大域位相の知識なしの前記光パルスの測定が、各パルスにおける光子の数を記述する量子状態|n〉のインコヒーレント重ね合わせを生じるように適用される、請求項14に記載の方法。
  17. 前記光子数状態|n〉の前記インコヒーレント重ね合わせが、
    によって記述され、ここで、μが、放出されたパルスの平均光子数または強度である、請求項16に記載の方法。
  18. 0°から360°までの前記範囲がL個のセグメントに分割され、Lが少なくとも3の整数であり、ランダム位相ユニットが、前記大域位相を適用するためにセグメントをランダムに選択するように構成された、請求項15から17のいずれか一項に記載の方法。
  19. 前記鍵を導出するためにプライバシー増幅が実施される、請求項18に記載の方法。
  20. 前記第1および第2のユニットを出る前記パルスの強度が、パルスごとに2つ以上の固定レベルの間で変化するように、前記第1および第2のユニットにおいて前記パルスに強度変調を適用することと、
    前記パルスに関する統計を前記第1および第2のユニットが実施することを可能にするために、前記パルスに適用された前記強度を告知することと
    をさらに備える、請求項1から19のいずれか一項に記載の方法。
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