以下、図面を参照しながら実施形態を説明する。
一実施形態によれば、
入力光パルスが干渉コンポーネントで干渉するように構成された干渉装置を含み、
干渉装置の入力は位相ランダム化光源(phase-randomised light source)によって提供され、
位相ランダム化光源は、
少なくとも1つのスレーブ光源と、
各マスター光パルスの位相が続いて生成されるマスター光パルスの各々の位相とランダムな関係(random relationship)を有するようにマスター光パルスを間欠的に生成するように構成され、さらに、マスター光パルスをスレーブ光源に供給するように構成された少なくとも1つのマスター光源と、
マスター光パルスが受信される各期間中に1つのスレーブ光パルスが生成され、各スレーブ光パルスの位相が続いて生成されるスレーブ光パルスの各々の位相とランダムな関係を有するように、時間変化駆動信号を少なくとも1つのスレーブ光源に適用するように構成されたコントローラと、
を備える、干渉システムが提供される。
実施形態では、干渉システムは第1の半導体基板をさらに含み、スレーブ光源およびマスター光源は第1の半導体基板上に集積される。
スレーブ光パルスは、対応するマスター光パルスと固定位相関係を有する。
マスター光パルスはスレーブ光源に注入される。マスター光パルスは、各スレーブ光パルスが生成される前に1つのマスター光パルスがスレーブ光源に注入されるように、スレーブ光パルスをシードする(seed)。各スレーブ光パルスの生成は、異なるマスター光パルスからの光子によってなされる。
マスター光パルスは、第1の時間ジッタを有して生成され、スレーブ光パルスは、第2の時間ジッタよりも小さい第2の時間ジッタを有して生成される。第2の時間ジッタは、マスター光パルスが注入されない場合にスレーブ光源によって生成される光パルスの時間ジッタよりも小さい。
一実施形態では、マスター光源は、マスター光パルスをスレーブ光源に周期的に供給するように構成される。コントローラは、周期信号をスレーブ光源に適用するように構成される。
一実施形態では、マスター光パルスは400ps離れて放出される。一実施形態では、マスター光パルスは1ns離れて放出される。一実施形態では、マスター光パルスは10ns離れて放出される。一実施形態では、マスター光パルスは100ns離れて放出される。
一実施形態では、マスター光源およびスレーブ光源は、複数の光パルスを生成するように構成される。
一実施形態では、単一のスレーブ光源によって生成されたスレーブ光パルスは、干渉コンポーネントで干渉する。一実施形態では、干渉装置は、第1の光路および第2の光路を有する干渉計を含み、第1の光路と第2の光路との間に光路長差がある。干渉計は、例えば、光ファイバー非対称マッハツェンダー干渉計であってもよく、あるいは、第1の半導体基板上に集積されていてもよい。干渉コンポーネントは、干渉計内の出口ビームスプリッタ(exit beam splitter)であってもよく、光路長差は、各スレーブ光パルスが続いて生成されたスレーブ光パルスと干渉計の出口で干渉するように、第1のスレーブ光パルスの放出と第2のスレーブ光パルスの放出との間の時間差の整数倍に一致することができる。
一実施形態では、位相ランダム化光源は、χ(2)非線形結晶をさらに含み、このχ(2)非線形結晶は、スレーブ光パルスが結晶に入射するときに信号光パルスおよびアイドラー光パルス(idler light pulse)が結晶内で自発的パラメトリックダウンコンバージョンによって生成されるように構成される。信号光パルスは干渉コンポーネントで干渉する。
一実施形態では、コントローラは、同じ時間変化駆動信号をマスター光源およびスレーブ光源に適用する。スレーブ光源に適用される信号は、マスター光パルスがスレーブ光源に注入された後にスレーブ光パルスの生成が起こるように、マスター光源に適用される信号に対して遅延される。
代替の実施形態では、第2のコントローラは、第2の時間変化駆動信号をマスター光源に供給する。スレーブ光源に適用される時間変化駆動信号およびマスター光源に適用される時間変化駆動信号は、マスタークロックと同期されることができる。スレーブ光パルスの生成に対応するスレーブ光源に適用される信号の間欠的な増大は、マスター光パルスがスレーブ光源に注入された後にスレーブ光源の生成が起こるように、マスター光パルスの生成に対応するマスター光源に適用される信号の間欠的な増大に対して遅延される。一実施形態では、第2のコントローラは基板上に集積される。
一実施形態では、基板はInPである。
一実施形態では、スレーブ光源は利得スイッチレーザー(gain-switched laser)である。一実施形態では、スレーブ光源は半導体レーザーである。さらなる実施形態では、スレーブ光源は半導体利得スイッチレーザーである。半導体レーザーはマルチ量子井戸層を含んでいてもよい。一実施形態では、半導体レーザーは量子光エミッタを含む。一実施形態では、半導体レーザーは電気的に調節可能である。半導体レーザーはさらにクラッド層を含んでいてもよい。半導体レーザーは、生成された光を横方向に制限するように構成された層をさらに含んでいてもよい。半導体レーザーは、分布帰還型レーザー、ストライプレーザー、または垂直キャビティ面発光レーザーであってもよい。半導体レーザーは回折格子を含んでいてもよい。一実施形態では、半導体レーザーは分布ブラッグ反射器レーザーである。
一実施形態では、マスター光源は利得スイッチレーザーである。一実施形態では、マスター光源は半導体レーザーである。さらなる実施形態では、マスター光源は半導体利得スイッチレーザーである。半導体レーザーはマルチ量子井戸層を含んでいてもよい。一実施形態では、半導体レーザーは量子光エミッタを含む。一実施形態では、半導体レーザーは電気的に調節可能である。半導体レーザーはクラッド層をさらに含んでいてもよい。半導体レーザーは、生成された光を横方向に制限するように構成された層をさらに含んでいてもよい。半導体レーザーは、分布帰還型レーザー、ストライプレーザー、または垂直キャビティ面発光レーザーであってもよい。半導体レーザーは回折格子を含んでいてもよい。一実施形態では、半導体レーザーは分布ブラッグ反射器レーザーである。
スレーブ光パルスを生成するためにスレーブ光源に適用される時間変化信号は、時間変化電流または電圧であってもよい。
実施形態では、マスター光源およびスレーブ光源は、マスター光源およびスレーブ光源が集積されている基板の表面と実質的に平行な第1の面内に配置される。
代替の実施形態では、マスター光源はスレーブ光源と基板との間にある。
一実施形態では、マスター光源およびスレーブ光源は、端面発光レーザーである。代替の実施形態では、それらは垂直キャビティレーザーである。
干渉システムは、マスター光源およびスレーブ光源が集積されている基板の表面に実質的に垂直な方向にpn接合を形成するように構成されたp型電極およびn型電極をさらに含んでいてもよい。一実施形態では、基板は第1の導電型であり、マスター光源およびスレーブ光源は各々第2の導電型の層を含む。あるいは、p型電極およびn型電極は、マスター光源およびスレーブ光源が集積されている基板の表面と実質的に平行な方向にpn接合を形成するように構成される。一実施形態では、マスター光源およびスレーブ光源の第1の端部に隣接する第1の導電型の領域があり、マスター光源およびスレーブ光源の第2の端部に隣接する第2の導電型の領域がある。
干渉システムは、マスター光源とスレーブ光源との間に導波路領域をさらに含んでいてもよい。あるいは、光は、自由空間を通じてマスター光源とスレーブ光源との間を移動してもよい。
実施形態では、干渉装置は第1の半導体基板上に集積される。一実施形態では、第1のコントローラは基板上に集積される。一実施形態では、干渉システムは集積されたヒートシンクを含む。
一実施形態では、マスター光パルスは、スレーブ光源の第1のアパーチャを通じてスレーブ光源に供給され、スレーブ光パルスは、スレーブ光源の第2のアパーチャを通じて放出される。あるいは、マスター光パルスは、光サーキュレータまたはビームスプリッタを経由してスレーブ光源のアパーチャに供給され、スレーブ光パルスは、同じアパーチャを通じて放出される。
一実施形態では、2以上のスレーブ光源がある。スレーブ光源はすべて、単一のマスター光源によってシードされることができる。あるいは、各スレーブ光源は、異なるマスター光源によってシードされてもよい。スレーブ光源およびマスター光源のすべては、第1の基板上に集積されることができる。あるいは、干渉システムは、1以上のさらなる半導体基板をさらに含んでいてもよく、スレーブ光源および第2のマスター光源は、各半導体基板上に集積される。干渉コンポーネントは、1つのスレーブ光源によって生成された光パルスの各々がビームスプリッタで他のスレーブ光パルスによって生成された光パルスと干渉するように構成されたビームスプリッタであってもよい。
位相ランダム化光源は、スペクトルフィルタおよび/または他のタイプのフィルタをさらに含んでいてもよい。スペクトルフィルタおよび/または他のフィルタは、第1の半導体基板上に集積されてもよい。スペクトルフィルタはアレイ導波路回折格子フィルタであってもよい。
干渉システムは、1以上の光子検出器をさらに含んでいてもよい。光子検出器は、単一光子検出器、例えば、ゲート単一光子検出器であってもよい。干渉システムは、一次干渉または二次干渉を測定するように構成される。一次干渉測定は各検出器の出力を独立して見るが、二次干渉測定は2つの検出器の出力間の相関を見る。一次干渉測定および二次干渉測定は干渉システムのために行なわれることができる。いくつかのアプリケーションに関しては、一次干渉測定がより重要であり、他のアプリケーションに関しては、二次干渉測定がより重要である。
一実施形態では、干渉システムは、量子通信システムの一部であり、干渉装置は、第1の光路および第2の光路を含む干渉計を備え、スレーブ光パルスが干渉計を出るときに干渉するように第1の光路と第2の光路との間に光路長差がある。
マスター光源およびスレーブ光源は、量子通信システムの送信ユニット内にあってもよく、干渉コンポーネントは、量子通信システムの受信ユニット内にあってもよい。
干渉装置は、第1の光路および第2の光路を含み、第1の光路と第2の光路との間に光路長差を有する第1の干渉計と、第3の光路および第4の光路を含み、第3の光路と第4の光路との間に光路長差を有する第2の干渉計と、を備え、第1の干渉計によって引き起こされる遅延は、第1の干渉計によって分離された光パルスが第2の干渉計を出るときに再結合するように、第2の干渉計によって引き起こされる遅延と逆にされる。
第1の干渉計は送信ユニット内にあり、第2の干渉計は量子通信システムの受信ユニット内にある。干渉コンポーネントは、第2の干渉計の出口ビームスプリッタであってもよい。
量子通信システムは、MDI−QKDシステムであってもよい。量子通信システムは、第1のスレーブ光源および第1のマスター光源を有する第1の送信ユニットと、第2のスレーブ光源および第2のマスターを有する第2の送信ユニットと、ビームスプリッタである干渉コンポーネントを有する中継ユニットと、を備えていてもよく、干渉システムは、第1のスレーブ光源によって生成されたスレーブ光パルスの各々がビームスプリッタで第2のスレーブ光源によって生成されたスレーブ光パルスと干渉するように構成される。
他の実施形態によれば、
マスター光パルスをスレーブ光源に間欠的に供給することと、ここで、各マスター光パルスの位相は、続いて生じるマスター光パルスの各々の位相とランダムな関係を有する、
マスター光パルスが受信される各期間中に1つの光パルスが生成され、各スレーブ光パルスが続いて生成されるスレーブ光パルスの各々の位相とランダムな関係を有するように、時間変化駆動信号をスレーブ光源に適用することと、
干渉コンポーネントで前記スレーブ光パルスを干渉させることと、
を備える干渉方法が提供される。
一実施形態では、上記の方法は、量子通信方法において使用され、
スレーブ光パルスに情報をエンコードすることと、
エンコードされたスレーブ光パルスを送信ユニットから干渉計を含む受信ユニットに送信することと、
をさらに備え、干渉計は、第1の光路および第2の光路を含み、スレーブ光パルスが干渉計を出るときに干渉するように第1の光路と前記第2の光路との間に光路長差がある。
他の実施形態によれば、干渉システムを製造する方法が提供され、この方法は、
i)第1のマスター光源および第1のスレーブ光源を含む位相ランダム化光源を第1の半導体基板上に形成することであって、ここで、第1のマスター光源は、各マスター光パルスの位相が続いて生成されるマスター光パルスの各々の位相とランダムな関係を有するように、マスター光パルスを間欠的に生成するように構成され、さらに、マスター光パルスを第1のスレーブ光源に供給するように構成されることと、
ii)入力光パルスが干渉コンポーネントで干渉するように構成された干渉装置を形成することであって、干渉装置の入力が位相ランダム化光源によって提供されることと、
iii)第1の電極および第2の電極を第1のスレーブ光源に電気的に接続することであって、第1の電極および第2の電極は、第1のコントローラに接続され、第1のコントローラは、マスター光パルスが受信される各期間中に1つのスレーブ光パルスが生成され、各スレーブ光パルスの位相が続いて生成されるスレーブ光パルスの各々の位相とランダムな関係を有するように、第1の時間変化電気信号を第1のスレーブ光源に適用するように構成されることと、を備える。
一実施形態では、ステップi)は、有機金属気相エピタキシー(MOVPE)によって行なわれる。ステップi)は、モノリシックに集積する方法または別のキャリア(foreign carrier)へのフリップチップ接続を使用してもよい。
一実施形態では、ステップiii)は、第3の電極および第4の電極を第1のマスター光源を電気的に接続することをさらに含み、ここで、第3の電極および第4の電極は第1のコントローラに接続される。一実施形態では、ステップiii)は、第2の電極および第3の電極を第1のマスター光源に電気的に接続することをさらに含み、ここで、第3の電極は、第1のコントローラに接続される。一実施形態では、ステップiii)は、第3の電極および第4の電極を第1のマスター光源に電気的に接続することをさらに含み、ここで、第1の電極および第2の電極は、第2のコントローラに接続される。
実施形態では、ステップi)は、
第1の活性領域を形成することと、
活性領域に少なくとも1つの回折格子を形成することと、
を含む。
実施形態では、ステップi)は、
第1の活性領域を形成することと、
活性領域に少なくとも1つのギャップをエッチングすることと、
を含む。
実施形態では、ステップi)は、
第1のスレーブ光源を形成することと、
第1のマスター光源を形成することと、
第1の半導体基板上に第1のスレーブ光源および第1のマスター光源をフリップチップ実装することと、
を含む。
一実施形態では、基板は、第1の導電型であり、ステップi)は、第1のマスター光源および第1のスレーブ光源の各々に関して第2の導電型を有する層を形成することを含み、ステップiii)は、第1の電極を基板に電気的に接続することと、第2の電極を、第2の導電型を有する層に電気的に接続することと、を含む。
一実施形態では、ステップii)は、第1のマスター光源および第1のスレーブ光源の第1の端部に隣接する第1の導電型の第1の領域、および第1のマスター光源および第1のスレーブ光源の第2の端部に隣接する第2の導電型の第2の領域を形成することを含み、ステップii)は、第1の電極を第1の領域に電気的に接続することと、第2の電極を第2の領域に電気的に接続することと、を含む。
一実施形態では、ステップiii)は、第1の半導体基板上に干渉装置を形成することを含む。
実施形態では、ステップi)は、
第1の半導体基板上にバッファ層を形成することと、
第1の導電型の第1の分布ブラッグ反射器を形成することと、
第1の活性領域を形成することと、
第2の導電型の分布ブラッグ反射器を形成することと、
第2の活性領域を形成することと、
第1の導電型の第2の分布ブラッグ反射器を形成することと、
第2の導電型の分布ブラッグ反射器の一部を露出するためにデバイスをエッチングすることと、
第3の電極を基板に電気的に接続することと、
を備え、ステップiii)は、第1の電極を第1の導電型の第2の分布ブラッグ反射器に電気的に接続することと、第2の電極を第2の導電型の分布ブラッグ反射器に電気的に接続することと、を含む。
図1は、光の位相がランダム化されたパルスを使用する干渉システム100の一例についての概略図であり、この干渉システム100では、2つの光源がビームスプリッタ106に接続されている。各光源から放出された光パルスはビームスプリッタ106で干渉する。各光源から放出される各光パルスの位相Φiおよびφjは、続いて放出される光パルスの各々の位相Φ(i+1)およびφ(j+1)とランダムな関係を有する。検出器107はビームスプリッタの一方の出力に接続され、検出器108はビームスプリッタの他方の出力に接続されている。
第1のパルス光源101および第2のパルス光源102によって生成される光パルスは、まず自然放出によって生成され、続いて誘導放出によって増幅される。自然放出は、ランダムで予測不可能なプロセスである。そのため、第1のパルス光源101および第2のパルス光源102によって生成された光パルスは時間ジッタを示す。時間ジッタは、基準点から測定される、その理想位置からの光パルスエッジの任意の時間のずれである。基準点は、パルスの光学放出を駆動する電気的クロックによって提供されることができる。パルスエッジは、パルスがその平均ピーク値の半分に達するときの時間である。多数のパルスに関する基準点からのずれの平均値、すなわち、平均時間ジッタは、測定可能である。時間ジッタのレンジ、すなわち、多数のパルスに関する基準点からのずれの最大値および最小値は、同様に測定可能である。時間ジッタは、3つの近接するパルスへの各パルスの分割として図1に概略的に表されている。
光パルスによって示される大きな時間ジッタは、弱い干渉ビジビリティをもたらし得る。光パルスの放出時間のランダムな変動は、第1のパルス光源101からの光パルスおよび第2のパルス光源102からの光パルスがわずかに異なる時間でビームスプリッタ106に入るだろうということを意味する。ビームスプリッタでの光パルス間の時間的オーバーラップはより小さくなり、したがって、干渉ビジビリティは弱くなる。
例えばQKDまたはMDI−QKDアプリケーションに使用される位相ランダム化光パルス(phase-randomised light pulses)の生成は、利得スイッチレーザーダイオードを使用して遂行されることができる。あるいは、位相ランダム化光パルスは、位相のランダム変調のための個別のユニットが後続するモードロックパルスレーザーなどのレーザーを使用して生成されることができる。あるいは、光を複数のパルスにする強度変調器とパルスの位相をランダム化する位相変調器とが後続するコヒーレント光源は、小さな時間ジッタを有する位相ランダム化光パルスを発生させることができる。しかしながら、そのような光源は、大型(bulky)且つ複雑である。例えば、所望のパルスシーケンスおよび位相ランダムさを達成するために、光源の後段に1以上の変調器が設けられて、光源がこれらの変調器と同期されてもよい。
図2は、実施形態に係る干渉システム200の概略図である。このシステムでは、第1のマスター光源204および第1のスレーブ光源201は、図1の第1のパルス光源102の代わりである。第2のマスター光源203および第2のスレーブ光源202は、図1の第2のパルス光源103の代わりである。
実施形態では、第1のマスター光源204および第1のスレーブ光源201は、図18から図36に関して説明されるように、第1の基板上に集積される。第2のマスター光源203および第2のスレーブ光源202は、同様に、第1の基板上に集積されることができる。ビームスプリッタ206は、同様に、第1の基板上に集積されることができる。検出器207および検出器208は、同様に、第1の基板上に集積されることができる。あるいは、第2のマスター光源203および第2のスレーブ光源202は、第2の基板上に集積されていてもよい。例えば、ビームスプリッタ206は第3の基板上にあってもよい。例えば、検出器207および検出器208は同様に第3の基板上に集積されていてもよい。
マスター光パルスは、スレーブ光源のキャビティに注入される。スレーブ光源によって放出される各光パルスは、マスター光源からの光パルスがスレーブ光源のキャビティに入った後に生成される。スレーブ光源のキャビティ内のマスター光パルスの存在は、スレーブ光パルスが自然放出によってではなく誘導放出によって起こされることを意味する。図1に示される光源では、レーザー発振動作(lasing action)をアクティブにするメカニズムは自然放出である。図2のスレーブ光源では、レーザー発振動作をアクティブにするメカニズムはマスター光パルスからの光子である。そのため、スレーブ光パルスの時間ジッタはマスター光パルスの時間ジッタより小さい。さらに、マスター光パルスの注入により生成されるスレーブ光パルスの時間ジッタは、(例えば図1に示されるような)マスター光パルスの注入なしで生成される光パルスの時間ジッタよりも小さい。干渉システム200は、スレーブ光パルスの低い時間ジッタの結果、良好な干渉ビジビリティを有する。
生成されたスレーブ光パルスの各々は、対応する注入されたマスター光パルスと固定位相関係を有する。言い換えると、スレーブ光パルスはマスター光パルスと固定位相関係を有する。注入されたマスター光パルスの各々の位相が続いて注入されたマスター光パルスの各々の位相に関してランダムである場合、生成されたスレーブ光パルスの各々の位相は、続いて生成されたスレーブ光パルスの各々の位相に関してランダムである。言い換えると、マスター光源203および204の各々から放出される光パルスの各々の位相Φiおよびφjが続いて放出される光パルスの各々の位相Φ(i+1)およびφ(j+1)とランダムな関係を有する場合、スレーブ光源201および202の各々から放出される光パルスの各々の位相Φ'iおよびφ'jは、続いて放出される光パルスの各々の位相Φ'(i+1)およびφ'(j+1)とランダムな関係を有する。
第1のマスター光源204、第2のマスター光源203、第1のスレーブ光源201、および第2のスレーブ光源202は、光のパルスを生成する任意のタイプの光源であることができる。一実施形態では、マスター光源およびスレーブ光源は利得スイッチレーザーである。利得スイッチレーザーの動作については、次に図3に関してより詳細に説明する。一実施形態では、それらは半導体レーザーダイオードであってもよい。さらなる例はファイバーレーザーおよび固体レーザーを含む。
図3(a)は、利得スイッチレーザーの概略図を示す。利得スイッチレーザーは、レーザーがレーザー発振閾値(lasing threshold)の上に切り替えられる場合に光を生成し、レーザーがレーザー発振閾値の下に切り替えられる場合にはほとんど光を生成しない。レーザー140は、ポンプパワー(pump power)の変更によってレーザーの利得を変調するコントローラ141を有する。利得は、時間変化する方法で変調され、周期的な方法で変調されてもよい。このようなレーザーの駆動は、レーザー出力142においてレーザーパルスを生成する。レーザーパルスの持続時間はピコセカンドのオーダーであってもよい。
レーザー140が半導体レーザーである場合、それは、電流または電圧を印加することによって電気的にポンプされることができる。半導体レーザーの利得を変調するために、コントローラ141は、レーザーに印加される電流または電圧を変調する。
レーザー140がファイバーレーザーまたは固体レーザーである場合、それは、光学的にポンプされることができる。ファイバーレーザーまたは固体レーザーの利得を変調するために、コントローラ141は、レーザーに適用される光入力を変調する。
図3(b)は、半導体利得スイッチレーザーの利得変調を説明する3つのグラフを示す。上段のグラフは、横軸を時間として、縦軸にレーザーに適用される電流を示す。DCバイアスは横方向の点線で示されている。レーザーに適用される電流は電流変調パルス列の形態をとる。この場合の波は方形の波形である。異なる利得変調信号、例えば正弦波または非周期的な時間変化信号が使用されることができる。この場合、電流は、電流変調パルス間でゼロにならず、単にバイアス値(点線によって示される)へと下がる。
電流変調信号は、レーザーに適用され、レーザー発振閾値の上および下にレーザーの利得を周期的に切り替える。2番目のグラフは、横軸を時間として、縦軸にレーザーのキャリア密度を示す。レーザー発振閾値は横方向の破線で示されている。電流変調パルスがレーザーに適用される場合、注入されたキャリアはキャリア密度を増大させ、光子密度が増大する。
変調信号によって生成されるレーザー出力は下段のグラフに示されている。縦軸はレーザーを示し、横軸は時間を示す。レーザーは、キャリア密度がレーザー発振閾値を超えているときに光を出力する。レーザーキャビティ内部で自然放出によって生成される光子は、出力信号を生成するために誘導放出によって十分に増幅される。電流変調パルスの適用と出力光の生成との間の遅延の長さは、レーザータイプ、キャビティ長、およびポンピングパワーなどのいくつかのパラメータに依存する。
光子密度の急速な増大は、キャリア密度の低下を引き起こす。これは次に光子密度を低下させ、それはキャリア密度を増大させる。この時点で、電流変調パルスは、DCバイアスレベルに戻るように調節され、レーザー放出はすぐに絶える。したがって、レーザー出力は、下段のグラフに示されるように、短いレーザーパルスの列から成る。
より長いパルスを生成するために、利得バイアスは、レーザー発振閾値により近くになるように選択される。これはキャリア密度がより早くレーザー発振閾値を超えることを意味し、それは発達するより多くの時間を光パルスに与える。最初に、光強度は、オーバーシュートし(overshoot)、すぐにキャリア密度を低下させる。これは、次に、光子密度を低下させ、キャリア密度を増大させ、続いて光強度を増大させる。この競争過程は、強く減衰されるパルスの初めの光強度の振動を引き起こし、強度が一定である定常状態にすぐに導く。振動は緩和振動と呼ばれる。電流パルスが終わって電流が再びバイアス値に切り替わると、レーザーパルスは終了する。
図3(c)は、半導体利得スイッチレーザーのための電気駆動回路の概略図を示す。半導体利得スイッチレーザーはレーザーダイオード145である。レーザーダイオード145のカソードは、インダクタ147と抵抗またはコンデンサ148とを含むバイアスティ146に接続される。これらのコンポーネントは半導体レーザーダイオード145のための利得変調ユニットを構成する。インダクタ147を通じて、DCバイアス電流はレーザーダイオードに送られる。これは利得バイアス(図3(b)において点線によって示される最低レベルの電流)を提供する。抵抗またはコンデンサ148を通じて、AC変調電流はレーザーダイオードに送られ、レーザー発振閾値の上および下にレーザーの利得を切り替えるのに必要な利得変調を提供する。この場合、バイアスティ146への変調入力はコントローラ141によって提供される。
利得スイッチレーザーは位相ランダム化光パルスを生成することができる。光パルスは時間ジッタを示す。
図4は、実施形態に係る干渉システムにおいて使用されることができる位相ランダム化光源400の概略図である。
実施形態では、マスター光源403およびスレーブ光源402は、図18から図36に関して説明されるように、基板上に集積される。マスター光源403およびスレーブ光源402は、複数の電極を含み、これらの電極は、マスター光源403およびスレーブ光源402を制御してマスター光源403およびスレーブ光源402と同期され、コントローラ(図示せず)に接続される。
光源は、パルス化された且つ位相ランダム化されたシーディングのメカニズムで機能する。
マスターパルス光源403は、図3に関して説明したような利得スイッチ半導体レーザーであることができる。コントローラ(図示せず)は、例えば、図3に関して上述したように、光のパルスを生成するようにマスター光源403を駆動する。
マスター光源403は、ランダム位相関係を有する光パルスを放出する。これは、マスター光源から放出される光パルスの各々の位相が後続する光パルスの各々の位相とランダムな関係を有することを意味する。マスター光パルスはスレーブ光源402に注入される。スレーブ光源403は、図3に関して説明したような利得スイッチ半導体レーザーであることができる。コントローラ(図示せず)は、マスター光パルスが注入される各期間中に1つの光パルスが生成されるように、周期信号をスレーブ光源に適用するように構成される。生成されるスレーブ光パルスの各々は、注入されたマスター光パルスと固定位相関係を有する。
マスター光パルスの位相はランダムであると説明したが、実際には、立て続けに放出される2つの光パルスの位相間に有限の相関量があり得る。位相差をランダムと説明することによって、これらの相関が小さく急速に衰えることが意味される。一実施形態では、400ps離れて放出される2つの光パルスに関して測定可能な相関はない。一実施形態では、1ns離れて放出される2つの光パルスに関して測定可能な相関はない。一実施形態では、10ns離れて放出される2つの光パルスに関して測定可能な相関はない。一実施形態では、100ns離れて放出されるパルスに関して測定可能な相関はない。
すべての光源がランダムな位相関係を有するパルスを生成するとは限らない。例えば、モードロックパルスレーザーは、ランダムな位相関係を有するパルスを生成することができない。マスター光源403に関する特定の駆動条件は、生成されるマスター光パルス間にランダムな位相関係が生じるために使用されることができる。例えば、空のキャビティ状態が達成される場合に、半導体利得スイッチレーザーは、ランダムな位相関係を有するパルスを生成することができる。これについては次により詳細に説明する。
各光パルスが自然放出によって開始されるので、生成された光パルスの各々の位相のランダム性が生じる。自然放出は光場の真空変動によるものとみなすことができる。利得スイッチレーザーダイオードでは、自然放出は、生成されたパルスの各々の電磁気位相に影響を及ぼす。レーザーキャビティがレーザー発振の前に空である、すなわち真空状態にある場合、レーザー発振動作は、完全に自然放出によって引き起こされる。自然放出は、位相が完全にアンバイアスされていてランダムである真空からその電磁気位相を受け継ぐ。
キャビティ光子が各レーザー発振イベントの前に減衰するのに充分な時間を有する場合、空のキャビティ状態は達成されることができる。例えば、レーザーダイオードが2.5GHzの方形波で利得切り替えされる場合、各パルスの生成の前におけるキャビティの平均残留光子数は10−10である。この強度は自然放出より数桁小さい。一実施形態では、マスター光源が4.0GHz以下の駆動周波数に基づいている場合、各マスター光源パルスはランダムな電磁気位相を有するだろう。
したがって、コントローラは、各レーザー発振イベント間に残存のキャビティ光子が減衰するのに充分な時間があって、マスター光パルスが残存のキャビティ光子の代わりに自然放出によって開始されるように、マスター光源を駆動するように構成される。一実施形態では、コントローラは、4.0GHz以下の周波数を有する時間変化電流または電圧でマスター光源を駆動するように構成される。一実施形態では、コントローラは、2.5GHz以下の周波数を有する時間変化電流または電圧でマスター光源を駆動するように構成される。一実施形態では、生成されるマスター光パルスそれぞれの間の時間ギャップは125ps以上である。一実施形態では、生成されるマスター光パルスそれぞれの間の時間ギャップは200ps以上である。
マスター光源403は、導波路、例えば、光ファイバーによってスレーブ光源402の第1のアパーチャに接続される。第2の導波路、例えば、光ファイバーは、スレーブ光源402の第2のアパーチャに接続される。あるいは、光パルスは、自由空間(マスター光源403およびスレーブ光源402などのコンポーネントを接続するための導波路を必要としないという意味である。)を通じてランダム光源400のコンポーネント間を移動してもよい。代替の実施形態では、導波路は、マスター光源403とスレーブ光源402との間に基板上に集積された導波路領域である。
スレーブ光源402は、図3に関して説明したような利得スイッチ半導体レーザーであってもよい。あるいは、スレーブ光源402は、コヒーレント光のパルスを生成する任意のタイプの光源であることができる。コントローラ(図示せず)は、図3に関して上述したように、例えば、光のパルスを生成するようにスレーブ光源402を駆動する。単一のコントローラがスレーブ光源およびマスター光源の両方を駆動してもよい。あるいは、個別のコントローラが各光源を駆動してもよい。これについては図5および図6に関して以下でさらに説明する。
マスター光源403は、マスター光パルスと呼ばれる光パルスのシーケンスを生成する。各マスター光パルスの位相は、続いて生成されるマスター光パルスの各々の位相とランダムな関係を有する。図4では、マスター光源403は、ランダムな電磁気位相Φ1、Φ2、Φ3、…とパルスのトリプレットによって表される大きな時間ジッタτとを有するパルスの列を生成する。パルスのトリプレットは、光パルスが第1、第2、および第3のトリプレットパルスの時間に放出されることができるが、それがどの時間に放出されるかわからないということを表す。その後、マスターパルスは、「シード」としてスレーブ光源402に注入され、パルス注入シーディング(pulsed injection seeding)を引き起こす。
言い換えると、マスター光パルスは、マスター光源403から導波路へ放出され、第1のアパーチャを通じてスレーブ光源402に入る。マスター光源403からの光は、スレーブ光源402の光キャビティに入り、スレーブ光源402のパルス注入シーディングを引き起こす。パルス注入シーディングという用語は、レーザーシーディングまたはレーザー以外の光源によるシーディングを指すことができる。スレーブ光パルスは、パルス注入シーディングにより生成され、スレーブ光源402の第2のアパーチャから放出される。
マスター光パルスのランダムな位相関係は、各スレーブ光パルスが同様に続いて生成されるスレーブ光パルスの各々に対してランダムな位相を有することを意味する。パルス注入シーディングが生じる場合、スレーブ光源402がレーザー発振閾値の上に切り替えられるたびに生成されるスレーブ光パルスは注入されたマスター光パルスと固定位相関係を有する。注入されたマスター光パルスの各々に対して1つのスレーブ光パルスだけが生成される場合、(各マスター光パルスは続いて生成されるマスター光パルスの各々とランダムな位相関係を有するので)各スレーブ光パルスは、続いて生成されるスレーブ光パルスの各々とランダムな位相関係を有する。例えば図5および図6に関して以下に説明されるような適切な動作条件下では、スレーブ光源402は、ランダムな電磁気位相Φ'1、Φ'2、Φ'3、…をなおも示すが、より小さな時間ジッタτ'<τを有するパルスの新しい列を生成する。
パルス注入シーディングが生じるために、注入されるマスター光パルスの周波数は、特定の範囲内でスレーブ光源402の周波数と一致しなければならない。一実施形態では、マスター光源403によって供給される光の周波数とスレーブ光源402の周波数との差は30GHz未満である。スレーブ光源402が分布帰還型(DFB)レーザーダイオードであるいくつかの実施形態では、周波数差は100GHz未満である。
成功したパルス注入シーディングのために、スレーブ光源402の光キャビティに入るマスター光パルスの相対的なパワーは、使用される光源のタイプに依存する特定の範囲内になければならない。一実施形態では、注入されたマスター光パルスの光パワーは、スレーブ光源402の光出力パワーより少なくとも1000倍小さい。一実施形態では、注入されたマスター光パルスの光パワーは、スレーブ光源402の光出力パワーより少なくとも100倍小さい。マスター光源403は、放出されるマスター光パルスの強度を低減する固定光減衰器を含むことができる。あるいは、マスター光源403は、単に低速で調節される調節可能な光減衰器を含むことができる。生成されるスレーブ光パルスの強度は、マスター光パルスの強度に依存する。実際に、的確な駆動条件では、マスター光パルスがまったく注入されない場合には、スレーブ光パルスは生成されない。マスター光源403は、生成されるスレーブ光パルスの強度を変えるために、生成されるマスター光パルスがスレーブ光源402に供給される前に、生成されるマスター光パルスの強度を変える強度変調器を含むことができる。位相ランダム化光源400は、スレーブ光源402によって生成されたスレーブ光パルスの強度を低減する第2の光減衰器、またはスレーブ光源402によって生成されたスレーブ光パルスの強度を変える強度変調器を含むことができる。
一実施形態では、スレーブ光源402およびマスター光源403は電気的に駆動される利得スイッチ半導体レーザーダイオードである。一実施形態では、スレーブ光源およびマスター光源は同じ帯域幅を有する。一実施形態では、両方の光源は10GHzの帯域幅を有する。一実施形態では、両方の光源は2.5GHzの帯域幅を有する。ここで、帯域幅は、直接変調下において利得スイッチレーザーダイオードで達成可能な最も高いビットレートを意味する。特定の帯域幅のレーザーは、より低いクロックレートで動作されることができる。
マスター光源と呼ばれる光源、例えば、利得スイッチレーザーは、時間ジッタτを有する位相ランダム化光パルスの列を生成し、時間ジッタτ'<τを有する位相ランダム化光パルスの列を生成する、スレーブ光源と呼ばれる第2の光源をシードし、第2の光源は、利得スイッチレーザーであってもよい。
マスター光源は、スレーブ光源に注入される位相ランダム化光パルスを生成する。これは、マスター光パルスが注入されることなしにスレーブ光源によって放出されるパルスの時間ジッタと比べて、スレーブ光源によって放出されるパルスの時間ジッタを低減する。生成されたスレーブ光パルスの位相はランダム化されている。時間ジッタの低減のために、マスターレーザーからの光は、スレーブレーザー利得増大がアクティブにされる前にスレーブレーザーのキャビティ内にいなくてはならない。したがって、スレーブレーザー利得変調信号がオンに切り替えられ、または、レーザー発振閾値の上に増大されるときに、マスターレーザーからの光は既に生成されている。マスターレーザーからスレーブレーザーまでの光の移動時間は無視することができる。
スレーブ光パルスが干渉装置において使用される前にスレーブ光パルスの時間ジッタを低減することは、干渉ビジビリティが増大することを意味する。例えば、スレーブ光パルスが、二乗平均平方根(r.m.s.)時間ジッタが約7psであり、35psの半値全幅(FWHM)を有するパルスを生成する利得スイッチレーザーである場合、時間ジッタはFWHMの約20%である。それは、考慮される特定の帯域幅にかかわらず、そのような時間ジッタが干渉実験のビジビリティを90%未満に低下させることがシミュレーションで示されることができる。レーザー、フォトダイオードおよびオシロスコープを使用する直接測定は、マスター光源でスレーブ光源をシードすることによって6分の1まで時間ジッタを低減することができることを示す。
図5(a)は、マスター光源503およびスレーブ光源502の両方が単一の利得変調ユニット509で駆動される位相ランダム化光源500の駆動スキームの概略図である。マスター光源503およびスレーブ光源502およびそれらの間の光学接続505は、図18から図36に関して説明されるように、基板上に集積されることができる。利得変調ユニット509および遅延線510は、マスター光パルスが受信される各期間中にただ1つの光パルスが生成されるように時間変化駆動信号をスレーブ光源502に適用するように構成されるコントローラの一例である。マスター光源503は、光学接続505によってスレーブ光源502に接続される。光学接続505は、導波路、例えば、(図4に示されるような)光ファイバーであることができる。あるいは、光パルスは、自由空間を介してマスター光源503とスレーブ光源502との間を移動してもよい。光学接続505は、マスター光源503とスレーブ光源502との間に基板上に集積された導波路領域であることができる。光学接続505は、光サーキュレータまたはビームスプリッタなどのさらなるコンポーネントを含んでもよい。これについては図7に関してさらに説明する。
利得変調ユニット509は、マスター光源503およびスレーブ光源502の両方を駆動する。マスター光源503およびスレーブ光源502が両方ともに利得スイッチ半導体レーザーである場合、利得変調ユニットは、図3(c)のような利得変調回路であってもよい。利得変調ユニットは、光のパルスを生成するためにマスター光源503およびスレーブ光源502を駆動する。遅延線510は装置を同期させるために使用される。遅延線は、例えば、固定長ケーブルであることができる。利得変調ユニットは、マスター光源503に直接に接続される。例えば、マスター光源503が半導体レーザーである場合、利得変調回路はマスター光源503に電気的に接続される。利得変調ユニット509は、遅延線510を介してスレーブ光源502に接続される。マスター光源503とスレーブ光源502との間の遅延を適切に調節することによって、パルスの時間ジッタを低減することができる。遅延のレンジは、光源のクロック周期をカバーするべきである。例えば、マスター光源503およびスレーブ光源502が2.5GHzのクロック周波数でパルス化される場合、400psのレンジを有する調整可能な遅延が使用されることができる。時間ジッタを低減するために、利得変調がスレーブ光源502に適用されるときに、マスター光源503からの光はスレーブ光源502のキャビティ内に既にある。マスター光源503とスレーブ光源502との間の移動時間は無視することができる。
図5(b)は、図5(a)に示される単一の利得変調スキームに関する時間的シーケンスを示す。上段のグラフは、マスター光源503に適用される利得変調を示す。利得変調は、矩形波の形態をとる時間変化駆動信号であり、それは、マスター光源に適用されると、レーザー発振閾値の上および下にキャリア密度を増大する。言い換えると、利得変調は一連のパルスである。パルス間では、利得は、利得バイアスである最小値になり、点線で示されている。
次のグラフは、マスター光源503のキャリア密度を示す。各利得変調パルスは、破線で示されるレーザー発振閾値の上にキャリア密度を増大させる。次のグラフは、マスター光源503の出力を示す。キャリア密度がレーザー発振閾値の上に増大するたびに、1つの光パルスが出力される。図3に関して説明したように、遅延が増大する時と光パルスが出力される時との間に遅延がある。マスター光パルスは大きな時間ジッタを有する。
次のグラフは、スレーブ光源502に適用される利得変調を示す。利得変調は、マスター光源503に適用されるものに矢印で示される時間遅延の追加したものと同じである。利得変調は、スレーブ光源に適用される時間変化駆動信号である。言い換えると、スレーブ光源502に適用される利得変調は、マスター光源503に適用される利得変調に関して時間的にシフトされる。利得の周期的増大の各々は、それがマスター光源503に適用されるのより遅くスレーブ光源502に適用される。この例での遅延は、利得変調信号の周期の約半分である。遅延は、マスター光パルスが注入された後に利得の周期的増大がスレーブ光源502に適用されることを意味する。そのため、マスター光パルスは利得増加が適用されるときにスレーブレーザーキャビティ内にあり、その結果生じるスレーブ光パルスは、マスター光パルスからの誘導放出によって生成される。これは、生成されたスレーブ光パルスが注入されたマスター光パルスとの固定位相関係および低い時間ジッタを有することを意味する。
スレーブ光パルスが注入されたマスター光パルスによって引き起こされた誘導放出によって開始されるように、マスター光パルスが注入された後に、スレーブ光源502はレーザー発振閾値の上に切り替えられる。最後のグラフは、スレーブ光源502の出力を示す。キャリア密度がレーザー発振閾値の上に増大するごとに、1つのスレーブ光パルスだけが出力される。この場合も同様に、利得変調の増大と出力された光パルスとの間に遅延があり得る。出力されたスレーブ光パルスの時間ジッタはτより小さいτ'である。
図5に示されるシステムでは、利得変調ユニット509は、各マスター光パルスが入射する時間中にスレーブ光源502が一度だけレーザー発振閾値の上に切り替えられるように、時変利得変調をスレーブ光源502に適用する。同じ利得変調信号が両方の光源に適用され、且つ、遅延線がマスター光源503に対してスレーブ光源502への利得増大の適用を遅らせるので、スレーブ光源502の切り替えは、マスター光パルスの到着と同期される。
図5(b)に示されるシステムでは、時間変化利得変調信号は方形の波形を有する。しかしながら、時変利得変調は任意のパルス波形を有する信号を含むことができる。
光源が利得スイッチ半導体レーザーである場合、利得変調信号は、印加電流または電圧である。一実施形態では、利得変調信号は、方形の波形を有する印加電流または電圧である。代替の実施形態では、時間変化電流または電圧は、周波数合成器によって生成される電気的な正弦波である。一実施形態では、利得変調信号の周波数は4GHz以下である。一実施形態では、周波数は2.5GHzである。一実施形態では、周波数は2GHzである。
利得スイッチ半導体レーザーは、パルスが放出されるときの状態と「オフ」状態との間に良好な消光比を有する。それは非常に短いパルスを生成するために使用されることができる。一実施形態では、スレーブ光パルスの各々の持続期間は200ps未満である。一実施形態では、スレーブ光パルスの各々の持続期間は50ps未満である。一実施形態では、スレーブ光パルスの各々の持続期間は数ピコセカンドのオーダーである。時間変化電流または電圧が2GHzの周波数を有する方形波電流または電圧である実施形態では、短い光パルスは500ps離れている。
これらの図に示される光源では、マスター光源およびスレーブ光源は、利得変調のための同じ電気的なドライバーを共有する。
図6(a)は、マスター光源603およびスレーブ光源602が個別の利得変調ユニットで駆動される位相ランダム化光源600の駆動スキームの概略図である。マスター光源603およびスレーブ光源602およびそれらの間の光学接続605は、図18から図36に関して説明されるように、基板上に集積されることができる。利得変調ユニット609b、調整可能な遅延610およびクロック611は、マスター光パルスが受信される各期間中にただ1つの光パルスが生成されるようにスレーブ光源602に時間変化駆動信号を適用するように構成されたコントローラの一例である。利得変調ユニット609aおよびクロック611は、第2の時間変化駆動信号をマスター光源603に供給するように構成された第2のコントローラの一例である。第1の信号および第2の信号は同期される。マスター光源603は光学接続605を介してスレーブ光源602に接続される。光学接続605は、図4に示されるように、導波路、例えば、光ファイバーであることができる。あるいは、光パルスは、自由空間を通じてマスター光源603とスレーブ光源602との間を移動してもよい。光学接続605は、マスター光源603とスレーブ光源602との間に基板上に集積された導波路領域であることができる。光学接続(605)は、光サーキュレータまたはビームスプリッタなどのさらなるコンポーネントを含んでいてもよい。これについては図7に関してさらに説明する。
利得変調ユニット609aはマスター光源603を駆動し、利得変調ユニット609bはスレーブ光源602を駆動する。マスター光源603およびスレーブ光源602が両方ともに利得スイッチ半導体レーザーである場合、利得変調ユニットは、図3(c)のような利得変調回路であってもよい。利得変調ユニットは、マスター光源603およびスレーブ光源602が光のパルスを生成するように、マスター光源603およびスレーブ光源602を駆動する。
遅延線610およびクロック611は、装置を同期させるために使用される。遅延線は、例えば、固定長ケーブルであることができる。利得変調ユニット609aは、マスター光源603に直接に接続される。利得変調ユニット609bは、スレーブ光源602に直接に接続される。例えば、光源が半導体レーザーである場合、利得変調回路は光源に電気的に接続される。
クロック611は、利得変調ユニット609aに直接に接続される。クロックは、遅延線610を介して利得変調ユニット609bに接続される。クロックは、レーザー発振閾値を超える利得の増大の各々をトリガーし、すなわち、利得変調信号中の各パルスをトリガーする。マスター光源のための利得バイアスは、図5のシステムにおいて適用される利得バイアスより高い。利得変調信号がレーザー発振閾値の上に増大される期間は、スレーブ光源602よりもマスター光源603に関して長くてもよい。示される例では、マスター光源603に適用される利得変調パルスは、スレーブ光源602に適用されるものより長い。マスター光源603とスレーブ光源602との間の遅延を適切に調節することによって、パルスの時間ジッタを低減することができる。遅延の長さは、光源のクロック周期をカバーするべきである。例えば、マスター光源およびスレーブ光源が2.5GHzのクロック周波数でパルス化される場合、400psのレンジを有する調整可能な遅延は使用されることができる。時間ジッタを低減するめに、利得変調がスレーブ光源602に適用されるときに、マスター光源603からの光は既にスレーブ光源602のキャビティ内にある。マスター光源603とスレーブ光源602の間の移動時間は無視することができる。
図6(b)は、図6(a)に示される利得変調スキームに関する時間的シーケンスを示す。上側のグラフは、マスター光源603に適用される利得変調を示す。利得変調は、方形の形態をとる時間変化駆動信号である。言い換えると、利得変調は一連のパルスである。パルス間では、利得は、点線で示される利得バイアスである最小値を有する。各パルスは、破線で示されるレーザー発振閾値の上にマスター光源のキャリア密度を増大させる。図5(b)において生成されるものより長いマスター光パルスを生成するために、利得バイアス値はレーザー発振閾値により近くなっている。これは、キャリア密度がより早くレーザー発振閾値を越えることを意味し、それは発達するより多くの時間を光パルスに与える。
次のグラフは、マスター光源のキャリア密度を示す。レーザー発振閾値は破線で示される。利得バイアスが高いので、利得の増大が適用されるほとんど直後にキャリア密度がレーザー発振閾値を超える。キャリア密度は、振動し、そして利得変調信号が低下するまでレーザー発振閾値の上に一定値のままになる。
次のグラフは、マスター光源603の出力を示す。利得がレーザー発振閾値の上に増大するごとに、1つの光パルスが出力される。利得バイアスが図5(b)において使用される利得バイアスと比較して増大されているので、マスター光パルスの持続時間は図5(b)のマスター光パルスの持続時間よりも長い。マスター光パルスの持続時間は、利得変調パルスの持続時間とほとんど同じである。マスター光パルスは、プラトー状の(plateau-like)時間的強度プロフィールが後続するスパイク状の(spike-like)時間的強度プロフィールを有する。プラトー状の部分は、スパイク状の部分より長い持続時間を有し、プラトー状の部分の最大強度はスパイク状の部分の最大強度よりも小さい。プラトー状の部分は、定常状態で放出され、言い換えると、プラトー状の部分の持続時間にわたる強度変化は、プラトー状の部分の最大強度の20%よりも小さい。マスター光パルスは、各光パルスの立ち上りエッジで大きなジッタτを有する。マスター光パルスの立ち下がりエッジは、1番目のグラフに示されるマスター光源変調信号の立ち下がりエッジによって規定される。そのため、マスター光パルスの立ち下がりエッジに、より少ない時間ジッタがある。マスター光パルスの立ち下がりエッジには、時間ジッタはないかもしれない。
次のグラフは、スレーブ光源602に適用される利得変調を示す。利得変調は同様に、レーザー発振閾値の上および下に増大する方形波の形態をとる時間変化信号である。利得変調は、スレーブ光源に適用された時間変化駆動信号である。言い換えると、利得変調は同様に一連のパルスである。パルス間では、利得は、点線で示される利得バイアスである最小値を有する。各パルスは、破線で示されるレーザー発振閾値の上に利得を増大させる。パルスの持続時間は、マスター光源603に適用される利得変調信号のパルスの持続時間より小さい。しかしながら、両方の信号の周期長は同じである。そのため、パルス間のギャップは、それがマスター光源603に適用される利得変調信号よりもスレーブ光源602に適用される利得変調信号のほうが大きい。
スレーブ光源602に適用される利得変調信号は、同様にマスター光源603に適用される利得変調信号に対して遅延される。この遅延は矢印で示される。言い換えると、スレーブ光源602に適用される利得変調は、マスター光源603に適用される利得変調に関して時間的にシフトされている。利得の周期的増大の各々は、マスター光源603に適用されるのより遅くスレーブ光源602に適用される。この例での遅延は、利得変調信号の周期の約半分である。遅延は、マスター光パルスが注入された後に利得の周期的増大がスレーブ光源602に適用されることを意味する。そのため、マスター光パルスは利得増加が適用されるときにスレーブレーザーキャビティ内にあり、その結果生じるスレーブ光パルスは、マスター光パルスによる誘導放出によって生成される。これは、生成されたスレーブ光パルスが注入されたマスター光パルスとの固定位相関係および低い時間ジッタを有することを意味する。
最後のグラフは、スレーブ光源602の出力を示す。利得がレーザー発振閾値の上に増大されるごとに、1つのスレーブ光パルスだけが出力される。この場合も同様に、レーザー発振閾値を超える利得の増大と出力された光パルスとの間に遅延があり得る。出力されたスレーブ光パルスの時間ジッタは、τより小さいτ'である。
図6に示されるシステムでは、利得変調ユニット609bは、各マスター光パルスが入射する時間中にスレーブ光源602がレーザー発振閾値の上に一度だけ切り替えられるように、時変利得変調をスレーブ光源602に適用する。スレーブ光源602の切り替えは、マスター光パルスの到着と同期され、遅延は、マスター光源603に対するスレーブ光源602への利得の増大の適用を遅らせる。マスター光源603およびスレーブ光源602のデューティサイクルは独立して制御される。長いデューティサイクルはマスター光源603に使用され、より短いデューティサイクルはスレーブ光源602に使用される。利得変調の増大がマスター光源603に適用されるときと利得変調の増大がスレーブ光源602に適用されるときとの間の遅延を適切に調節することによって、マスター光パルスの時間ジッタに対してスレーブ光パルスの時間ジッタを大幅に低減することができる。この構成では、生成される光の最終の繰り返し率はマスター光源603のデューティサイクルによって制限される。
この場合も同様に、時間変化利得変調信号は方形の波形をとる。しかしながら、時間変化利得変調は、任意のパルス波形を有する信号を含むことができる。
これらの図では、マスター光源およびスレーブ光源は利得変調のために異なる電気的なドライバーを有する。
図7(a)は、実施形態に係る干渉システムにおいて使用されることができる位相ランダム化光源700aの概略図である。実施形態では、マスター光源703とスレーブ光源702とこれらの間の光サーキュレータ712は、図18から図36に関して説明されるように、基板上に集積される。この光源では、光学接続は、光サーキュレータを介して2つの光源を接続する光導波路、例えば、光ファイバーによって実現され、光サーキュレータは、ポート1に入った光がポート2から出るように、且つ、ポート2から入った光がポート3から出るように構成される。実施形態では、光導波路は、基板上に集積された導波路領域である。代替の実施形態では、光は、自由空間を通じてコンポーネント間を移動する。マスター光源703によって生成された光パルスは、スレーブ光源702に到達するまで、光導波路に沿って移動する。光は、スレーブ光源702に注入され、それにより、パルス注入シーディングを実現する。この位相ランダム化光源700aでは、マスター光源およびスレーブ光源は、光サーキュレータのポート1に入った光がポート2から出て、ポート2に入った光がポート3から出るように構成された光サーキュレータ712を使用して接続される。
マスター光源703は、光導波路、例えば、光ファイバーによって光サーキュレータ712のポート1に接続される。あるいは、光パルスは、自由空間を通じてコンポーネント間を移動してもよい。実施形態では、光導波路は基板上に集積された導波路領域である。光サーキュレータ712のポート2は光導波路によってスレーブ光源702に接続される。光サーキュレータ712は、光サーキュレータ712のポート1から入った光が光サーキュレータ712のポート2から出て、ポート2を通じて光サーキュレータ712に入った光がポート3から出るように構成される。
マスター光源703はマスター光パルスを生成し、それは光導波路に沿って移動して光サーキュレータ712のポート1に入る。マスター光パルスからの光は、主としてサーキュレータのポート2から出るが、光のごく一部分は、吸収されるあるいはポート3から出ることがある。マスター光パルスからの光は、光サーキュレータ712のポート2を出て、スレーブ光源702に接続される光導波路に沿って移動する。マスター光パルスはスレーブ光源702に注入される。スレーブ光源702は、マスター光パルスによってシードされ、スレーブ光パルスを生成する。
スレーブ光源702は、各マスター光パルスがスレーブ光源702に入射する時間中にレーザー発振閾値の上にただ一度切り替えられる。それにより、スレーブ光源702は、各マスター光パルスに対応する単一のスレーブ光パルスを放出し、このスレーブ光パルスは、スレーブ光源702に接続された光導波路へ放出され、マスター光パルスへと逆方向に導波路に沿って移動する。スレーブ光パルスは、光サーキュレータ712のポート2に入り、光サーキュレータ712のポート3を出て光導波路、例えば、光ファイバーに入る。実施形態では、光導波路は基板上に集積された導波路領域である。
図7(b)は、実施形態に係る干渉システムにおいて使用されることができる位相ランダム化光源700bの概略図である。実施形態では、マスター光源703とスレーブ光源702とこれらの間のビームスプリッタ706は、図18から図36に関して説明されるように、基板上に集積される。光アイソレータ713は同様に基板上に集積されることができる。図7(b)は、スレーブ光源702をシードするために使用される代替の光学接続を示し、それは、ビームスプリッタ706が後続する光アイソレータ713を利用する。この位相ランダム化光源700bでは、マスター光源およびスレーブ光源は、光アイソレータ713およびビームスプリッタ706を使用して接続され、光アイソレータ713は、光をポート1からポート2に通過させ、ポート2からポート1に通過させないように構成される。
マスター光源703は、光ファイバーなどの光導波路によって光アイソレータ713のポート1に接続される。あるいは、光パルスは自由空間を通じてコンポーネント間を移動してもよい。実施形態では、光導波路は基板上に集積された導波路領域である。光アイソレータ713のポート2は光ファイバーなどの第2の光導波路によってビームスプリッタ706のポートAに接続される。実施形態では、第2の光導波路は基板上に集積された導波路領域である。光アイソレータ713は、ポート1を介して入射する光を通過させるが、ポート2を介して入射する光を通過させないように構成される。光アイソレータを含まない代替の実施形態では、マスター光源703の出力は、光ファイバーなどの単一の光導波路によってビームスプリッタ706のポートAに直接に接続される。実施形態では、単一の導波路は基板上に集積された導波路領域である。光ファイバーなどの光導波路は、ビームスプリッタ706のポートCをスレーブ光源702に接続する。実施形態では、光導波路は基板上に集積された導波路領域である。
マスター光源703はマスター光パルスを放出し、マスター光パルスはポートAを通じてビームスプリッタ706に入る。ポートAを通じてビームスプリッタ706に入った光の第1の部分は、ビームスプリッタのポートCから出る。ポートAを通じてビームスプリッタ706に入った光の第2の部分は、ビームスプリッタのポートDから出る。ポートCを出た光の第1の部分は光導波路に沿って移動しスレーブ光源702に注入され、上述したように、パルス注入シーディングが生じる。スレーブ光源702によって生成されたスレーブ光パルスは、光導波路に放出され、マスター光パルスへと反対方向に導波路に沿って移動する。スレーブ光パルスはポートCを通じてビームスプリッタ706に入る。スレーブ光パルスの第1の部分は、ポートAからビームスプリッタ706を出て、第2の部分は、ポートBからビームスプリッタ706を出る。
ポートAからビームスプリッタ706を出るスレーブ光パルスの第1の部分は、光アイソレータ713で阻止される。したがって、光アイソレータ713は、スレーブ光源702から放出された光がマスター光源703に入射しマスター光源703中で外乱を引き起こすことを防ぐ。ビームスプリッタ706のポートDにおける出力は、モニター目的のために使用されることができる。
光源から放出された光の選択的なフィルタリングは、干渉システムにおいて高品質の干渉を達成しようとするために使用されることができる。
図8は、実施形態に係る干渉システムにおいて使用されることができるフィルタ付き位相ランダム化光源(filtered phase-randomised light source)800の概略図である。実施形態では、光源824のコンポーネントは、図18から図36に関して説明されるように、基板上に集積される。周波数フィルタ825は、図34および図35に関して説明されるように、光源824と同じ基板上に集積されることができる。図34および図35に関して説明されるように、他のフィルタ826は、同様に基板上に集積されることができる。光源824は、図4に示される位相ランダム化光源400、図5に示される位相ランダム化光源500、図6に示される位相ランダム化光源600、あるいは、図7に示される位相ランダム化光源700aまたは700bなどの光源である。これらの光源のいずれかが使用されることができる。
光源824は、光導波路、例えば、光ファイバーによって周波数フィルタ825に接続される。あるいは、光パルスは自由空間を通じてコンポーネント間を移動してもよい。実施形態では、光源824と周波数フィルタ825との間に基板上に集積された導波路領域がある。周波数フィルタはΔνの帯域幅を有する。周波数フィルタはスペクトルフィルタと呼ばれることもある。
フィルタリングは、光のコヒーレンスを増大させ、したがって、干渉パターンの最終ビジビリティを向上するために、干渉システムにおいて使用されることができる。しかしながら、フィルタリングは、特定のパルスの時間ジッタに影響を与えないまたは除去しない。これは、フィルタリングが時間とは異なる光パルスの自由度または性質に作用するからである。例えば、フィルタリングは、光の周波数または偏光に影響を及ぼすことができる。一方、時間ジッタは、弱い最終の干渉ビジビリティを生じる干渉するパルスにおけるランダムな時間的遅延を表す。図8に示されるような周波数フィルタは、光パルスから帯域幅の外側の周波数を取り除く。
しかしながら、過度の周波数フィルタリングの使用は、すなわち、非常に狭い帯域幅Δνを有するフィルタの使用は、干渉アプリケーションの速度を制限することがある。例えば、ガウシアンパルスに適用される狭い帯域幅を有する周波数フィルタは、下記(式1)による時間と帯域幅の積によって規定されるように、時間的なパルス幅Δtをより広くする。
Δν・Δt≧0.44 (式1)
例えば、Δν=44GHzを有するフィルタは、Δt≧10psを必要とし、一方、Δν=4.4GHzを有するフィルタは、10倍以上大きいパルス幅、すなわち、Δt≧100ピコセカンドを必要とする。時間幅のこの増大は周波数フィルタの望ましくない影響である。
他方では、システムでの達成可能な最大速度はΔt−1である。したがって、Δν=44GHzを有するシステムの最大速度は100GHzになり、一方、Δν=4.4GHzを有するシステムの最大速度は、10倍小さい、すなわち、10GHzになる。
したがって、周波数フィルタ825は、周波数フィルタ825を通過するパルスの時間幅を増大させることができる。周波数フィルタ825は、同じ方法で周波数フィルタ825を通過するすべての光パルスの位相に作用するので、周波数フィルタ825を通過する光パルスの相対的位相を変更しない。図8では、光源824から放出されたスレーブ光パルスの時間幅はΔtである。スレーブ光パルスが周波数フィルタ825を通過した後に、時間幅はΔt'に増大される。光源824から放出された時のスレーブ光パルスの位相Φ1、Φ2、Φ3、…は、それらが周波数フィルタ825を通過した後のスレーブ光パルスの位相と同じである。
過度の周波数フィルタリングの使用、すなわち、非常に狭い帯域幅を有するフィルタの使用は、さらに、量子受信機セットアップ(setup)の検出効率を低減することがある。いくつかのアプリケーション、例えば、量子通信に関連するアプリケーションでは、受信装置は、短い期間Tの間だけセンシティブである。過度の周波数フィルタリングはパルス幅、すなわち、時間幅Δtを増大させることがある。システム検出効率が低減しないためには、フィルタリング後の時間幅Δt'は、図の下部に示される有効な検出ウィンドウTより小さくなければならず、言い換えると、Δt'≦Tでなければならない。フィルタリング後のパルス幅がΔt'>Tである場合、検出時刻ウィンドウTから外れる光はすべて、受信機によって検出されないだろう。パルス時間幅Δt'に対する検出ウィンドウのサイズは、図の下部の白抜きの四角領域によって示される。検出ウィンドウ内には、検出ウィンドウ内のより暗い三角領域で示されるより小さな有効検出ウィンドウがある。検出ウィンドウは、オペレーターによって決定される検出器のゲート幅と一致する。光子がゲートへ遅く到着する場合には検出可能なアバランシェを生成する「より少ない時間」があるという事実に起因して、有効検出ウィンドウはより短い。言い換えると、検出ゲートウィンドウの前部分では、アバランシェを生成し、それにより光子を検出する確率がより高い。したがって、検出ウィンドウの前部分は有効検出ウィンドウである。一実施形態では、検出ウィンドウは1nsであり、有効検出ウィンドウは100psである。
周波数フィルタ825は、光導波路、例えば、光ファイバーによって他のフィルタ826に接続されることができる。あるいは、光パルスは自由空間を通じてコンポーネント間を移動してもよい。実施形態では、周波数フィルタ825と他のフィルタ826との間に基板上に集積された導波路領域がある。他のフィルタ826は、時間幅Δt'または相対位相に影響を与えることなしに、パルスをクリーンにする(clean)。他のフィルタはシステムへある損失を導入するかもしれない。他のフィルタは、例えば、光パルスの偏光をクリーンにする偏光子であってもよい。他のフィルタの後の光パルスは、空のシンボルによって表わされる。これは、パルスが他のフィルタによってフィルタリングされる前よりも「よりクリーン(cleaner)」であることを示す。他のフィルタによるフィルタリングの後の持続時間は他のフィルタによるフィルタリングの前の光パルスの持続時間と同じであるとして図に示されている。これは、他のフィルタ826が持続時間に影響を与えずにパルスをクリーンにすることを示す。周波数フィルタ825はパルスの期間をΔtからΔt'に増大させるが、他のフィルタでは、期間Δt'は同じである。
マスター光源およびスレーブ光源を含む光源の後に、周波数、偏光、および/または、光パルスの純度(purity)を向上するための光の任意の関連する自由度におけるフィルタのセットがあり、フィルタのセットは、具体的には、帯域幅Δνが注意深く選択されなければならない周波数フィルタを含む。
周波数フィルタリングは、シーディング機構自体によって部分的に行なわれる。言い換えると、シーディングがスレーブ光パルスの帯域幅を低減するので、フィルタリングはレーザーシーディングの特徴である。
レーザーキャビティが空であり、レーザー発振動作が自然放出によってアクティブにされる場合、レーザー発振動作をアクティブにすることができる様々な周波数がある。これは、出力光のための広い帯域幅に変わる。しかしながら、マスター光源からの光がスレーブ光源のキャビティ内にある場合、それは、誘導放出によってレーザー発振動作をアクティブにするレーザーキャビティ内に既に存在する光である。レーザー発振動作をアクティブにする異なる周波数間に競争はなく、出力光は、マスター光のそれに非常に近い単一の周波数だけを実質的に有する。したがって、シーディングによって生成された光パルスの帯域幅は、シーディングなしに生成される場合よりも小さい。
一実施形態では、過度のフィルタリング、すなわち、狭すぎる帯域幅を備えたフィルタリングを避けながら、付加的な周波数フィルタリングが追加される。周波数フィルタは、量子受信機装置の時間的ウィンドウTとほぼ等しいパルス幅Δt'を発生させるために選択されることができる。これは、システム全体のパフォーマンスを損なわずに、干渉ビジビリティを最大化するだろう。
他のフィルタ826によるフィルタリングのような周波数以外の自由度におけるフィルタリングには、フィルタリングコンポーネントによって導入される可能性のある損失以外に制限がない。
次に干渉システムについて説明する。干渉システムから得られる関連のある測定は、次の(i)または(ii)の形態をとることができる。
(i)個別での各検出器からのカウントまたは電流または任意の他の出力形態
(ii)同時での2つの検出器からの同時カウントまたは信号(すなわち、両方の検出器がクリックするまたは両方の検出器が同じ入力に対して出力信号を提供する場合)
(i)の測定は一次干渉(1OI)測定と呼ばれる。(ii)の測定は二次干渉(2OI)測定と呼ばれる。したがって、1OI測定では、他のものとは独立に単一の検出器それぞれの動作(behaviour)が関連する。2OI測定では、両方の検出器の出力間の相関が関連する。言い換えると、1OIでは、関連する結果は(i)であり、2OIでは、関連する結果は(ii)である。
一次干渉測定および二次干渉測定のいずれか1つは、すべてのシステムに関して行われることができる。いくつかのアプリケーションでは、一次干渉測定に関心があるかもしれないが、他のアプリケーションでは、二次干渉測定に関心があるかもしれない。
1OIおよび2OIは非常に異なる結果を提供する。これは、1OIが信号自体を測定するのに対し、2OIが信号間の相関を測定するからである。信号間の相関および信号は異なる量である。例えば、相関が全くない2つのクリーンな信号は非常にノイズの多い相関関数を生じるのに対し、高い相関があるノイズの多い信号は、クリーンな相関出力を生じるだろう。
一次相関関数は下記のように与えられる。
ここで、Eは、振幅が時間tとともに変化する電場であり、τは、2つの信号間の時間的ミスアライメント(temporal misalignment)である。式2および式3で与えられる相関関数において使用される記号τが時間ジッタを表すために使用されているのではないことに留意されたい。これらの式中の記号τは2つの信号間の時間的ミスアライメントを表わすために使用される。Tは測定時間ウィンドウである。ブラケットは時間tにわたる平均を示す。
二次相関関数または「強度相関関数」は、下記のように2つの検出器からの読み出しの各対の積の平均で与えられる。
ここで、Iは強度であり、tは時間であり、τは2つの信号間の時間的な遅延である。ブラケットは時間tにわたる平均を示す。
図9は、実施形態に係る干渉システム900の概略図を示す。実施形態では、光源927のコンポーネントは、図18から図36に関して説明されるように、第1の基板上に集積される。干渉計930は、光源927とともに第1の基板上に集積されることができる。検出器907および検出器908は、光源927とともに第1の基板上に集積されることができる。あるいは、干渉計930および/または検出器907および検出器908は、第2の基板上に集積されていてもよい。図9に示されるような干渉システムは乱数発生器(RNG)として使用されることができる。RNGは、狭い時間ウィンドウを有する単一光子検出器よりはむしろ、古典検出器を使用することがある。図9に示される干渉システムでは、古典光パルスおよび古典検出器は使用される。
しかしながら、図9のシステムは、古典的または量子的検出シナリオで動作することができる。量子的検出を含むRNGに関しては、古典検出器は単一光子検出器と取り替えられることができ、単一光子パルスが使用されることができる。ランダムビットは、強度測定よりはむしろ、クリックまたはノークリック(no-click)を測定する検出器によって決定される。
このシステムでは、光源は、生成されたスレーブ光パルスを干渉させて位相関連可変出力を生成するように構成された干渉計に組み込まれ、すなわち、接続される。位相関連可変出力は多くのアプリケーションに有用である。光源927は、図4に示される位相ランダム化光源400、図5に示される位相ランダム化光源500、図6に示される位相ランダム化光源600、図7に示される位相ランダム化光源700aまたは700b、あるいは図8に示される位相ランダム化光源800などの光源である。これらの光源のいずれかが使用されることができる。
光源927は干渉計930に接続される。スレーブ光パルスのシーケンスは、光源927から放出され、干渉計930に入る。位相変調器928は、干渉計930の第1のアーム931を移動する光パルスに位相シフトを適用する。可変遅延線933は、干渉計930の第2のアーム932を移動する光パルスに1つのクロック周期の時間遅延を適用する。スレーブ光パルスは、干渉ビームスプリッタ906bで干渉する。干渉計930の第2のアーム932におけるパルスの上にある矢印で示されるように、1つのクロック周期の遅延は、各スレーブ光パルスが干渉ビームスプリッタ906bにおいて後続するスレーブ光パルスと干渉することと等価である。
干渉計出力は、干渉するパルスの相対位相に依存し、ボックス(box)を出る2つのアームにおいて出現するパルスの可変強度によって表される。両方のアームはアプリケーションに潜在的に役立つ。古典的光パルスが使用される場合、強度は光パルスの各々について両方の検出器で測定される。いくつかの実施形態では、例えば、RNGアプリケーションでは、1つの検出器だけが使用される。図9のシステムが単一光子パルスで使用される場合、1つの検出器だけが各パルスをクリックし、ランダムビットは、強度測定によってよりむしろ、クリックまたはノークリックを測定する検出器によって決定される。
干渉システム900は一次干渉測定のために構成されてもよい。言い換えると、各検出器で独立して測定される強度は、論理ゲートによって記録され、出力される。
光源927は、光導波路、例えば、光ファイバーによってビームスプリッタ906aの1つの入力に接続される。あるいは、光パルスは自由空間を通じてコンポーネント間を移動してもよい。光源927とビームスプリッタ906aの入力との間に基板上に集積された導波路領域があってもよい。ビームスプリッタ906aの第1の出力は位相変調器928に接続される。
位相変調器928によって適用される位相シフトは、電気光学位相変調器に適用される電圧によって制御されることができる。異なる電圧は各パルスに異なる位相変調を与えるように、スレーブ光パルスの通過中に位相変調器928に適用される。位相変調は、パルスが光源927から放出される時間に基づいて適用されることができる。説明されるような位相変調器は、LiNbO3結晶などの、屈折率が電場強度の関数である結晶を含むことができる。あるいは、位相変調は、受動的な手段、例えば、各々が異なる固定位相差を適用するように構成された複数の固定位相素子と前記のコンポーネントの各々を選択するように構成されたスイッチとによって提供することができる。各パルスに適用される位相シフトはスイッチによって制御されることができる。位相変調器928は、干渉計930の他のコンポーネントとともに基板上に集積されていてもよい。
位相変調器の出力は干渉ビームスプリッタ906bの第1の入力に接続される。ビームスプリッタ906aの第1の出力、位相変調器928および干渉ビームスプリッタ906bの第1の入力は、干渉計930の第1のアーム931を形成する。
ビームスプリッタ906aの第2の出力は可変遅延線933に接続される。可変遅延線933は光源927の1クロック周期だけ光を遅延させる。あるいは、可変遅延線933は、クロック周期の整数倍だけ光パルスを遅延させてもよい。あるいは、固定遅延線、例えば、所望する光路長の光ファイバーのループは、可変遅延線933の代わりに使用される。干渉計が基板上に集積される実施形態では、干渉計は良好な干渉のために十分な精密に製造されることができるので、可変遅延線は含まれない。付加的位相調整、すなわち、2、3の波長だけによる遅延調整は、可変遅延線の代わりに、電流が印加されることができるヒーター、すなわち、抵抗器を干渉計の一方のアーム上に作ることによって含まれることができる。代替の実施形態では、固定遅延線は、例えば、一方のアームに導波路のより長いセクションを作ることによって、基板上に集積されることができる。変数または固定遅延線の出力は干渉ビームスプリッタ906bの第2の入力に接続される。ビームスプリッタ906aの第2の出力、遅延線933および干渉ビームスプリッタ906bの第2の入力は、干渉計930の第2のアーム932を形成する。
スレーブ光パルスの列は、位相Φ1、Φ2、Φ3、…を有して光源927から放出され、ビームスプリッタ906aに入る。ビームスプリッタ906aは、各光パルスの第1の部分を第1のアーム931に送り、各光パルスの第2の部分を第2のアーム932に送る。位相変調器928は、第1のアーム931を移動する光パルスの部分に位相シフトを適用し、それにより、位相変調器928を出る光パルスは、位相Φ1''、Φ2''、Φ3''、…を有する。第2のアーム932は可変遅延線933を含む。一実施形態では、可変遅延は、少なくとも10ps以内で、光源927からのパルスの放出間の遅延(またはその整数倍)に一致する。システムに適している可変遅延の精度は、パルスの放出時間間の時間の期間とパルスの時間幅とに依存する。一実施形態では、例えば、1マイクロ秒ごとに1つのパルスが放出されるシステムに関する放出時間間の遅延の20%の精度は200nsの時間精度を意味する。100nsの時間幅を有するパルスにおいては、200nsの時間精度が許容可能である。10ns未満の時間幅を有するパルスにおいては、より高い精度の可変遅延が使用されるべきである。光源927から放出された第1のパルスの第2の部分および光源927から放出された第2のパルスの第1の部分は、干渉ビームスプリッタ906bで干渉する。次に、第2の光パルスの第2の部分および第3の光パルスの第1の部分が干渉ビームスプリッタ906bで干渉し、以下同様である。上述したように、干渉計が基板上に集積される実施形態では、干渉計が良好な干渉のために十分に正確に作製されることができるので、可変遅延線は含まれない。
干渉ビームスプリッタ906bの一方の出力に接続される検出器907によって検出される光の強度は、連続する光パルス間の位相差(それらはランダムである)および位相変調器928によって適用される位相シフトに依存する。例えば同じ位相シフトが各光パルスに位相変調器928によって適用される場合、後続するパルス間の位相差はランダムになるだろう。したがって、各対の干渉するパルス部分に関して、ランダムな強度は、出力ビームスプリッタの出力における検出器907で測定される。検出器908は、強度の残りの部分を測定する。
このようにして、光パルスの位相ランダムさは、干渉計930を使用して直接測定可能な強度変動に変換される。この例での干渉計は光ファイバー干渉計である。他のタイプの干渉計、例えば、マイケルソン干渉計またはリング共振器が使用されてもよい。これらのタイプの干渉計は同様に光ファイバーで構築されることができる。あるいは、干渉計は基板上に集積されることができる。干渉計930の第1のアーム931と第2のアーム932との間の可変遅延933は、光源927から異なる時間に放出されたスレーブ光パルス間に干渉が生じるようにされる。上述のように、干渉計が基板上に集積される実施形態では、光源927から異なる時間に放出されたスレーブ光パルス間での良好な干渉のために干渉計が十分に正確に作製されることができるので、可変遅延線は含まれない。干渉計遅延差(すなわち、例えば可変遅延933または固定遅延によって引き起こされる、第1のアーム931と第2のアーム932との間の光学遅延)を光源927のクロック周波数の整数倍に一致させることによって、異なるクロックサイクルで放出された光パルス間で干渉ビームスプリッタ906bにおいて干渉が生じる。例えば、可変遅延933または固定遅延は、光源927から放出されて第2のアームを移動する光パルスの部分が光源927から次に放出されて第1のアーム931を移動する光パルスの部分と干渉するように、セットされることができる。
干渉ビームスプリッタ906bにおける0の位相差は、一方の検出器(例えば検出器907)で測定される最大強度と他方の検出器(検出器908)で測定される最小強度とをもたらす。他方、干渉ビームスプリッタ906bにおいてπの位相差がある場合、最小強度が検出器907で測定され、最大強度が検出器908で測定される。位相差の他の値については、各検出器で測定される中間強度があるだろう。
干渉ビームスプリッタ906bにおいて、第1のアーム931および第2のアーム932を移動する光パルスは、良好な干渉のために同じ偏光を有するべきである。これは、偏光保持導波路およびコンポーネントを使用して達成されることができる。あるいは、一方のアームにおける光子の偏光は偏光コントローラを使用して制御されてもよい。干渉計が基板上に集積される実施形態では、導波路が信号の偏光を保持するので、偏光コントローラは含まれない。
代替の実施形態では、干渉システムは位相変調器を含まず、位相シフトはパルスに適用されない。ビームスプリッタ906aの第1の出力は、干渉ビームスプリッタ906bの第1の入力に直接に接続される。ビームスプリッタ906aの第2の出力は可変遅延線933に接続される。可変遅延線933は光源927の1クロック周期だけ光を遅延させる。あるいは、可変遅延線933はクロック周期の整数倍だけ光パルスを遅延させてもよい。あるいは、固定遅延線、例えば、所望の光路長の光ファイバーのループまたは集積された干渉計における導波路のより長いセクションは、可変遅延線933の代わりに使用される。可変または固定遅延線の出力は干渉ビームスプリッタ906aの第2の入力に接続される。この場合に関する干渉ビームスプリッタ906bの一方の出力に接続される検出器907によって検出される光の強度は、ランダムである第1のスレーブ光パルスと第2のスレーブ光パルスとの間の位相差に依存する。可変微調整遅延線が干渉計に含まれていてもよい。
下記の図16および図17に関連する測定を実行するために使用される実施形態では、干渉システムは位相変調器を含まず、位相シフトはパルスに適用されない。ビームスプリッタ906aの第1の出力は可変微調整遅延線に接続され、次に可変微調整遅延線は干渉ビームスプリッタ906bの第1の入力に接続される。干渉計が基板上に集積される実施形態では、可変遅延線は含まれない。ビームスプリッタ906aの第2の出力は、所望の光路長の光ファイバーのループまたは集積された干渉計内の導波路のより長いセクションである固定遅延線に接続される。固定遅延線は、光源927の1クロック周期だけ光を遅延させる。固定遅延線の出力は干渉ビームスプリッタ906bの第2の入力に接続される。ランダムな位相Φ'1、Φ'2、Φ'3、…を有する光パルスは光源927によって放出され、各々が2つの従属パルス(dependent pulses)に分割される。従属パルスによって、2つのパルスが同じオリジナルパルスに由来し、したがって2つのパルスが同じ起源(origin)から位相を受け継ぐことが意味される。従属パルスの両方の列は、Φ'1、Φ'2、Φ'3、…を有する。従属パルスの列のうちの一方は、1ビット遅延である固定遅延線によって1クロック周期だけ遅延される。位相Φ'1を有する従属パルスは干渉ビームスプリッタで位相Φ'2を有する従属パルスと結合される。位相Φ'2を有する別の従属パルスは、位相Φ'3を有する従属パルスと結合され、以下同様である。結果として得られる干渉パターンは、検出器によって最終的に検出される可変振幅を有する信号である。
図10は、実施形態に係る干渉システム1000の概略図を示す。このシステムでは、低時間ジッタ位相ランダム化光源1027がQKDセットアップにおいて使用される。QKDセットアップは送信機および受信機を含み、送信機および受信機の各々は非対称マッハツェンダー干渉計を有する。
実施形態では、光源1027のコンポーネントは、図18から図36に関して説明されるように、第1の基板上に集積される。干渉計1030aは、例えば、第1の基板上に集積されていてもよい。干渉計1030bおよび/または検出器1007および1008は、例えば、第2の基板上に集積されていてもよい。
システムは、1OI測定のために構成されることができる。
このセットアップでは、1つの光パルスがそれ自体と干渉するので、干渉のビジビリティに関する時間ジッタの直接的な影響はない。しかしながら、時間ジッタの低減は、光パルスとの位相変調器および光子検出器の同期の精度を高めることができる。低減された時間ジッタを有する光パルスが位相変調器に到着する場合、位相変調器は、パルスが到着するときに、すなわち、立ち上がりまたは立ち下がりエッジでないときに、「準備ができている(ready)」可能性が高くなる。したがって、変調またはエンコーディングの精度が高まる。低減された時間ジッタを有する光パルスが光子検出器に到着する場合、パルスは検出ウィンドウ内に到着する可能性が高くなり、より多くのカウントが登録される。これは、測定されるイベントの合計数を増大させる。
光源1027によって放出されたランダムな位相Φ'を有する光パルスは、最初のビームスプリッタ1006aで2つのパルスに分割される。一方のパルスはファイバーループ1038aによって遅延され、その偏光は偏光ビームスプリッタ1036aの前にローテータ(rotator)1037aによって回転される(flipped)。干渉計が基板上に集積される実施形態では、ファイバーループ1038aは導波路のより長いセクションによって実現される。他方のパルスは、位相をΦ'2からΦ''2に変更する位相変調器1028aを通過する。その後に、2つのパルスは、偏光ビームスプリッタ1036aで結合され、分離された時間ビンとして、受信機装置1035に達するまで光ファイバー1042に沿って直交偏光を有して移動する。
受信機装置において、それらは、第2の偏光ビームスプリッタ1036bによって偏光に従って再び分離される。送信機装置1034において遅延されなかったパルスは、干渉計1030bの上部アームへ導かれ、送信機装置1034内のものと同じファイバーループ1038bによって遅延される。干渉計が基板上に集積される実施形態では、ファイバーループ1038bは導波路のより長いセクションによって実現される。受信機内の干渉計1030bのアーム間の遅延は、送信機内の干渉計1030aのアーム間の遅延と一致する。一実施形態では、遅延は1クロック周期よりも短い任意の期間であり得る。1クロック周期を超える遅延は、干渉計アーム間のさらなる位相安定化を要求することがある。他方のパルスは、下部アームに入り、位相変調器1028bによって位相変調される。その後に、2つのパルスは、干渉ビームスプリッタ1006bで再結合され、結果として生じるパルスは、単一光子検出器1007および1008によって検出される。ファイバーストレッチャー1040は、2つの干渉するパルス間の時間遅延を微調整するために使用される。干渉計が基板上に集積される実施形態では、ファイバーストレッチャーは図9に関して上述したように、干渉計の一方のアームにおいてヒーター素子(heater element)と取り換えられる。あるいは、干渉計全体が温度安定化され、ファイバーストレッチャーの必要がなくなる。
強度変調器1039は、デコイ状態QKDを実施するために光源1027の後に随意的に追加されることができる。デコイ状態QKDに関しては、位相ランダム化の使用によりデコイ状態QKDのセキュリティが単一光子源を含むQKDと同等になるので、位相ランダム化が使用される。非デコイ状態QKDにおいては、位相ランダム化は必須ではないが、それはセキュリティレベル、作動距離および最終的なセキュアキーレートを増大させる。位相ランダム化は、続けて放出される光パルス間の位相関係がランダムであることを意味する。これは、不正な盗聴者イブが彼女の測定装置をこの位相にロックする(lock)ことができず、したがってアリスのパルスについてのよい測定を行なうことができないことを意味する。
減衰器1010は、光パルスの強度を単一光子レベルまでに低減するためにアリスの出力において含まれ、言い換えると、送信機から放出される光パルスは、平均で1パルス当たり1未満の光パルスとなる。
QKDシステムは、光ファイバーケーブル1042によって受信機装置1035に接続される送信機装置1034を含む。送信機装置1034は「アリス−送信機」とラベル付けされ、受信機装置は「ボブ−受信機」とラベル付けされる。送信機装置1034は第1の基板上に集積されることができ、受信機装置1035は第2の基板上に集積されることができる。
送信機装置は、光源1027および干渉計1030aを含む。光源1027は、図4に示される位相ランダム化光源400、図5に示される位相ランダム化光源500、図6に示される位相ランダム化光源600、図7に示される位相ランダム化光源700aまたは700b、あるいは図8に示される位相ランダム化光源800などの光源である。これらの光源のいずれかが使用されることができる。
光源1027は、光導波路、例えば、光ファイバーによって最初のビームスプリッタ1006aの1つの入力に接続される。あるいは、光パルスは自由空間を通じてコンポーネント間を移動してもよい。光源1027と最初のビームスプリッタ1006aの入力との間に基板上に集積された導波路領域があることができる。強度変調器1039は、光源1027と最初のビームスプリッタ1006aとの間に随意的に接続される。最初のビームスプリッタ1006aの第1の出力は位相変調器1028aに接続される。位相変調器は、例えば図9に関して説明したような位相変調器であることができる。位相変調器1028aの出力は偏光ビームスプリッタ1036aに接続される。
最初のビームスプリッタ1006aの第2の出力はファイバーループ1038aに接続される。ファイバーループ1038aは光パルスを遅延させる。ファイバーループ1038aの出力はローテータ1037aに接続される。物理的デバイスは、偏光ビームスプリッタ1036aの位置で光路1038aのファイバー軸を90度回転させることにより、ローテータ1037aに関して回避されることができる。
ローテータ1037aの出力は偏光ビームスプリッタ1036aの第2の入力に接続される。偏光ビームスプリッタ1036aの出力は減衰器1010に接続される。
受信機装置1035は干渉計1030bを含む。光ファイバーケーブル1042は偏光ビームスプリッタ1036bの入力に接続される。偏光ビームスプリッタの一方の出力はファイバーループ1038bに接続される。ファイバーループ1038bによって引き起こされる遅延は、ファイバーループ1038aによって引き起こされる遅延と一致する。ファイバーループ1038bはファイバーストレッチャー1040に接続され、ファイバーストレッチャー1040は干渉ビームスプリッタ1006bの第1の入力に接続される。偏光ビームスプリッタ1036bの他方の出力はローテータ1037bに接続される。ローテータ1037bの出力は、図9に関して説明したように位相変調器1028bに接続される。位相変調器1028bの出力は干渉ビームスプリッタ1006bの第2の入力に接続される。干渉ビームスプリッタ1006bの出力はそれぞれ単一光子検出器1008および1007に接続される。
最初のビームスプリッタ1006aに入った光パルスは、干渉計1030aの短いアームを移動する第1の部分および干渉計1030aの長いアームを移動する第2の部分に分割される。第1の部分は位相変調器1028aに入り、位相変調器1028aは光パルスの第1の部分に位相シフトを適用することができる。第2の部分は、ファイバーループ1038aを移動し、それにより、第1の部分より遅れて偏光ビームスプリッタ1036aに入る。第2の部分は、偏光ビームスプリッタ1036aに入る前にローテータ1037aをさらに通過する。光パルスの第2の部分の偏光はローテータ1037aによってフリップされ、それによって、第1の部分および第2の部分は、直交偏光を有し且つ第1の部分と第2の部分との間の時間遅延を有した状態で偏光ビームスプリッタを出て光ファイバーケーブル1042に入る。減衰器1010は、光パルスの強度を低減する。
第1の部分および第2の部分は受信機装置1035内の偏光ビームスプリッタ1036bに入る。第1の部分は干渉計1030bの長いアームに送られ、第2の部分は干渉計1030bの短いアームに送られる。第2の部分は、第1の部分および第2の部分が同じ偏光を有するように、偏光を逆にフリップするローテータ1037bを通過する。その後に、第2の部分は、位相差を適用することができる位相変調器1028bを通過する。第1の部分は、第1の部分および第2の部分が干渉ビームスプリッタ1006bに同時に入るように、第1の部分を遅延させるファイバーループ1038bを通過する。ファイバーストレッチャーは、これを達成するために、遅延を微調整するために使用される。
第1の部分および第2の部分は干渉ビームスプリッタ1006bで干渉する。単一光子検出器での測定は、2つの位相変調器において適用される位相間の位相差に依存する。
位相変調器1028aおよび位相変調器1028bを使用することによって、BB84などのQKDプロトコルは実現されることができる。BB84プロトコルでは、アリスは、等しい間隔を置かれた4つの位相値から位相値をランダムに選択する。例えば、アリスは、位相変調器1028aに適用される電圧を、0、π/2、πおよび3π/2の位相シフトに対応する4つの異なる値のうちの1つにランダムに設定することができる。0およびπは、第1のエンコード基底におけるビット0および1に対応付けられ、π/2および3π/2は、第2のエンコード基底におけるビット0および1に対応付けられる。
ボブは、2つの値から位相値をランダムに選択する。例えば、ボブは、位相変調器1028bに適用される電圧を、0およびπ/2の位相シフトに対応する2つの値のうちの1つにランダムに設定することができる。これは、第1および第2の測定基底それぞれの間に選択に相当する。言い換えると、アリスの0およびπの値はボブの0の値(第1の基底)に適合し、アリスのπ/2および3π/2の値はボブのπ/2の値(第2の基底)に適合する。アリスもボブも、自身が値を選択したときに相手がどの値を選択したかまたは選択するかを知らない。後になって彼らは同じ規定を使用したかどうかを比較するだけである。その後に、彼らは、最終キーのために、彼らが同じ基底を使用した値を使用するだけである。
位相変調器1028aおよび位相変調器1028bにおいて適用される位相シフト間のゼロの位相差(すなわち、アリスによって適用された位相シフトが0であり且つボブによって適用された位相シフトが0である、またはアリスによって適用された位相シフトがπ/2であり且つボブによって適用された位相シフトがπ/2である)は、一方の検出器、例えば検出器1007での検出と他方の検出器、検出器1008での未検出とをもたらす。そして、πの位相差(すなわち、アリスによって適用された位相シフトがπであり且つボブによって適用された位相シフトが0である、またはアリスによって適用された位相シフトが3π/2であり且つボブによって適用された位相シフトがπ/2である)は、検出器1008での検出と検出器1007での未検出を意味する。2つの位相変調器間の位相差の他の値については、光子が検出器1007で検出される有限の確率およびそれが検出器1008で検出される有限の確率があるだろう。
位相安定化は、干渉計が正確に調節されることを保証するために、QKDシステムに含まれることができる。この場合、位相安定化は、受信機干渉計内にファイバーストレッチャーを含めることによって達成される。それは送信機側で実施することもできる。位相安定化は、受信機においてカウントを見て1つの検出器だけが0の位相差に関してクリックするまで調節することによって実施される。
位相変調器および単一光子検出器などのコンポーネントは、スレーブ光源の放出時間と同期されることができる。例えば、スレーブ光源、マスター光源、位相変調器および単一光子検出器はすべて、マスタークロックと同期されることができる。
このシステムでは、光源はQKDシステムに組み込まれている。
図11(a)は、実施形態に係る干渉システム1100aの概略図を示す。独立した2つの光源が干渉ビームスプリッタ1106で干渉する。出力は、干渉するパルスの相対位相に依存し、干渉ビームスプリッタを出る2つのアーム上で可変強度を有する信号によって表わされる。両方のアームがアプリケーションに潜在的に有用であり、例えば、いずれか一方のアームはRNGに使用されることができる。あるいは、両アーム間の相関はMDI−QKDアプリケーションに使用されることができる。図11(a)のシステムがRNGに使用される場合、一次干渉測定が使用されることができる。図11(a)は一次および二次のどちらも可能である。MDI−QKDアプリケーションでは、二次干渉測定が使用される。
実施形態では、第1の光源1127aのコンポーネントは、図18から図36に関して説明されるように、第1の基板上に集積される。第2の光源1127b、ビームスプリッタ1106および/または検出器1107および検出器1108のコンポーネントは、第1の基板上に集積されることができる。あるいは、第2の光源1127bは第2の基板上に集積されていてもよい。例えば、ビームスプリッタ1106、検出器1107および検出器1108は、第3の基板上に集積されていてもよい。
このシステムでは、2つ以上の光源は、ビームスプリッタで干渉する位相ランダム化光パルスの列を発生させ、アプリケーションに有用な位相関連可変出力を発生させる。位相ランダム化光パルスの列は、周波数、偏光、および光の他の適切な自由度に高い純度を有することができ、各自由度の純度のレベルは、所望のアプリケーションによって決定されることができる。
可変遅延は、パルスが干渉ビームスプリッタに同時に到着することを意味する。可変遅延は、パルスごとに異なる固有レーザー時間ジッタを考慮に入れることができない。
この例では、すべてのパルスが水平(H)偏光を有する。それらは他の偏光(垂直、対角、非対角)であってもよいが、両方の経路における偏光は同じであるべきである。偏光が両方の経路において同じでない場合、干渉はビームスプリッタで生じない。
光源1127aは、図4に示される位相ランダム化光源400、図5に示される位相ランダム化光源500、図6に示される位相ランダム化光源600、図7に示される位相ランダム化光源700aまたは700b、あるいは図8に示される位相ランダム化光源800などの光源である。これらの光源のいずれかが使用されることができる。光源1127bは、図4に示される位相ランダム化光源400、図5に示される位相ランダム化光源500、図6に示される位相ランダム化光源600、図7に示される位相ランダム化光源700aまたは700b、あるいは図8に示される位相ランダム化光源800などの光源である。これらの光源のいずれかが使用されることができる。
光源1127aは可変遅延1133に接続される。可変遅延1133は、光源1127aの放出時間を電気的に調整することによって削除されることができる。そして、可変遅延1133は干渉ビームスプリッタ1106の第1の入力に接続される。光源1127bは干渉ビームスプリッタ1106の第2の入力に接続される。可変遅延は、光源1127aおよび光源1127bからのスレーブ光パルスが干渉ビームスプリッタ1106で干渉するように調節される。言い換えると、可変時間遅延は、時間ジッタを考慮せずに、光源1127aから放出された光パルスが光源1127bから放出された光パルスと同時に干渉ビームスプリッタ1106に入るように調節される。スレーブ光パルスの低い時間ジッタは、光パルスの放出時間にほんの小さな変動があることを意味する。そのため、ビームスプリッタでの光パルス間の時間的オーバーラップは大きく、したがって、干渉ビジビリティは良好である。干渉計が基板上に集積される実施形態では、干渉計が良好な干渉のために十分に正確に作製されることができるので、可変遅延線は含まれない。
水平偏光を有する且つ位相Φ'1、Φ'2、Φ'3、…を有する光パルスの列が光源1127aから放出される。水平偏光を有する且つ位相φ'1、φ'2、φ'3、…を有する光パルスの列が光源1127bから放出される。光源1127aから放出された光パルスは、可変遅延1133に入り、次に干渉ビームスプリッタ1106に入る。光源1127bからの光パルスは、光源1127aからの光パルスと同時に干渉ビームスプリッタ1106に入る。光源1127aからの各光パルスは、光源1127bからの光パルスと干渉する。検出器1108および1107において検出される強度は、干渉するパルス間の位相差に依存する。
光源1127a内のマスター光源およびスレーブ光源は、例えば、図5または図6に関して説明したように、コントローラを使用して同期されることができる。光源1127b内のマスター光源およびスレーブ光源は、例えば、図5または図6に関して説明したように、同じコントローラまたは第2のコントローラを使用して同期されることができる。第1のコントローラおよび第2のコントローラは、2つの光源からの光パルスが干渉ビームスプリッタで干渉するように同期されるべきである。検出器はコントローラと同期されることができる。例えば、第1のコントローラ、第2のコントローラ、位相変調器および光子検出器はすべて、マスタークロックと同期されることができる。
図11(b)は、実施形態に係る干渉システム1100bの概略図を示す。実施形態では、マスター光源1103、ビームスプリッタ1106a、第1のスレーブ光源1101および第2のスレーブ光源1102は、図18から図36に関して説明されるように、第1の基板上に集積される。ビームスプリッタ1106bは、同様に第1の基板上に集積されることができる。2つのスレーブ光源が干渉ビームスプリッタ1106bで干渉する。出力は、干渉するパルスの相対位相に依存し、干渉ビームスプリッタを出る2つのアーム上で可変強度を有する信号によって表わされる。両方のアームがアプリケーションに潜在的に有用である。このシステムでは、2以上のスレーブ光源は、ビームスプリッタで干渉する位相ランダム化光パルスの列を発生させ、アプリケーションに有用な位相関連可変出力を発生させる。位相ランダム化光パルスの列は、周波数、偏光、および光の他の適切な自由度に高い純度を有することができ、各自由度の純度のレベルは、所望のアプリケーションによって決定されることができる。
この実施形態では、両方のスレーブ光源は、同じマスター光源1103によってシードされる。したがって、同じマスターパルスによってシードされる場合に2つのスレーブ光源から放出されるスレーブ光パルスの位相は等しい。言い換えると、両方のスレーブ光パルスは、位相Φ'1、Φ'2、Φ'3を有するパルスの列を放出する。しかしながら、スレーブ光源から放出される各光パルスの位相はスレーブ光源から続いて放出される光パルスの各々の位相とランダムな関係を有し、すなわち、Φ'1はΦ'2とランダムな関係を有する。
マスター光源1103は、前述したようなマスター光源である。それはパルスの2つ以上の列を発生させるために変形される。この実施形態では、ビームスプリッタ1106aは、マスター光源1103と2つのスレーブ光源との間で接続される。ビームスプリッタ1106aの1つの入力はマスター光源1103の出力に接続される。マスター光源1103から放出された光パルスはビームスプリッタ1106aに入る。ビームスプリッタ1106aの第1の出力はスレーブ光源1101に接続され、ビームスプリッタ1106aの第2の出力はスレーブ光源1102に接続される。位相Φ1、Φ2、Φ3を有するマスター光パルスの列は、マスター光源1103から放出される。光パルスはビームスプリッタ1106aに入る。各光パルスの一部分は、ビームスプリッタ1106aの第1の出力を出て、各光パルスの一部分は、ビームスプリッタ1106aの第2の出力を出る。ビームスプリッタ1106aの両出力を出る光パルスの列は位相Φ1、Φ2、Φ3を有する。光パルスの第1の列はスレーブ光源1101に入り、光パルスの第2の列はスレーブ光源1102に入る。スレーブ光源は、入射するマスター光パルスの各々に対応するスレーブ光パルスを生成する。各スレーブ光源は、位相Φ'1、Φ'2、Φ'3を有する光パルスの列を生成する。
可変遅延は、スレーブ光源1101からのパルスがスレーブ光源1102から続いて生成された光パルスと同時に干渉ビームスプリッタに到着することを意味する。干渉ビームスプリッタ1106bが基板上に集積される実施形態では、システムが良好な干渉のために十分に正確に製造されることができるので、可変遅延線は含まれない。したがって、
スレーブ光源1101から放出されたスレーブ光パルスΦ'1は、スレーブ光源1102から放出されたスレーブ光パルスΦ'2と干渉する。可変遅延は、パルスごとに異なる固有レーザー時間ジッタを考慮に入れることができない。
パルスはすべてこの例の中に水平の(H)偏光を持っている。それらは他の偏光(垂直、対角線、反対角線)にあるかもしれない。しかし、両方のパスのための偏光は同じであるべきである。偏光が両方のパスに対して同じでなければ、干渉はビームスプリッタで生じない。
光源1101は可変遅延1133に接続される。干渉するビームスプリッタ1106bが基板上に集積される実施形態では、可変遅延線は含まれない。そして、可変遅延1133は干渉ビームスプリッタ1106bの第1の入力に接続される。光源1102は干渉ビームスプリッタ1106bの第2の入力に接続される。可変遅延は、光源1101からのスレーブ光パルスと光源1102から続いて生成されたスレーブ光パルスとが干渉ビームスプリッタ1106bで干渉するように、調節される。言い換えると、可変時間遅延は、時間ジッタを考慮せずに、光源1101から放出された光パルスが光源1102からの続いて放出された光パルスと同時に干渉ビームスプリッタ1106bに入るように調節される。一実施形態では、可変遅延はスレーブ光源クロック周期の整数倍に等しい。スレーブ光パルスの低い時間ジッタは、光パルスの放出時間にほんの小さな変動があることを意味する。そのため、ビームスプリッタでの光パルス間の時間的オーバーラップは大きく、したがって、干渉ビジビリティは良好である。
光源1101から放出された光パルスは、可変遅延1133に入り、次に干渉ビームスプリッタ1106bに入る。光源1101からの光パルスは、光源1102から続いて生成された光パルスと同時に干渉ビームスプリッタ1106bに入る。光源1101からの各光パルスは光源1102から続いて生成された光パルスと干渉する。干渉ビームスプリッタ1106bの後の強度は、干渉するパルス間の位相差に依存する。
マスター光源1103、スレーブ光源1101および1102はすべて、例えば図5または図6に関して説明したようなコントローラを使用して同期されることができる。
図12は、実施形態に係る干渉システム1200の概略図を示す。
実施形態では、第1の光源1227aのコンポーネントは、図18から図36に関して説明されるように、第1の基板上に集積される。第2の光源1227bのコンポーネントもまた第1の基板上に集積されることができる。ビームスプリッタ1206および/または検出器1207a、検出器1207b、検出器1208aおよび検出器1208bもまた第1の基板上に集積されることができる。あるいは、第2の光源1227bのコンポーネントは第2の基板上に集積されていてもよい。例えば、ビームスプリッタ1206および/または検出器1207a、検出器1207b、検出器1208aおよび検出器1208bは、第3の基板上に集積されていてもよい。
このシステムは図11(a)に示されるシステムの変形である。このシステムでは、水平(H)偏光と垂直(V)偏光とを識別する偏光ビームスプリッタ(PBS)が含まれる。2つの光源から対角(D)偏光で生成される光パルスは、干渉ビームスプリッタに入射する。干渉ビームスプリッタを出たパルスは、PBSによってHまたはV偏光に投影される。代替の実施形態では、対角以外の偏光が使用される。
光源1227aおよび1227bは位相ランダム化光パルスを放出する。光源1227aおよび1227bは光減衰器を含むことができる。2つの光源から放出された光パルスは、平均で1パルス当たり1未満の光子を有することができる。簡単にするために、以下の説明では、光源1227aおよび1227bが真の単一光子源である、すなわち、単一光子だけを放出するものと仮定する。検出器は単一光子検出器である。
ビームスプリッタ1206において、識別不可能な光子は互いを認識し、ホン−オウ−マンデル(Hong-Ou-Mandel)効果が観測され、これは、スプリッタ1206がトップアームから1つの光子を受け取ってボトムアームから1つの光子を受け取るとすると、両方の光子がビームスプリッタ1206の上側出力を出る、あるいは、両方がビームスプリッタ1206の下側出力を出ることを意味する。識別不可能な光子によって、2つの光子が偏光、到着時間および波長を含む任意の自由度で識別されることができないことが意味される。一方の光子が一方の出力を出て他方の光子が他方の出力を出ることは起こりえない。結果として、上側の2つの検出器1208aおよび1207aの両方だけがクリックするか、下側の2つの検出器1208bおよび1207bの両方だけがクリックする。例えば、「V」検出器1208aおよび1208bの一方は上側の経路にあり、他方は下側の経路にあるので、「V」検出器1208aおよび1208bのクリックの両方が観察されることはない。
しかしながら、トップアームおよびボトムアームからの光子が識別することができる場合には、それらの間の干渉は、より低いビジビリティおよび低減されたホン−オウ−マンデル効果を有する。低減された干渉は、2つの識別不可能な光子に関しては厳密に禁止されるが、1つの光子が上側の検出器のうちの1つにおいて検出され、1つの光子が下側の検出器のうちの1つにおいて検出されることを許容する。
光源でのタイミングジッターは、異なる光源からの光子と識別することを許容する。
これらの異なる状況を認識し、対応する値を二次相関関数に割り当てる測定は、行なわれることができる。測定は、いくつの同時カウントが生じたか、すなわち、何回4つの検出器のうちの2つが同時にクリックされたかに関してなされることができる。さらに、個々の単一検出器からのクリックはすべて登録されることができ、それらは、一次相関関数に関する指示を与えるだろう。
測定はクリックのいくつかの組み合わせを検出するためになされることができる。例えば、上側のV検出器および下側のV検出器は同時にクリックすることができ、あるいは、上側のV検出器および上側のH検出器は同時にクリックすることができる。カウントのすべては、個別のクラスに収集されることができ、後に分析されることができる。異なる統計は、異なる物理状況に対応し、異なる解釈を持つ。結果をより意味のあるものにするために、干渉出力において高いビジビリティを得ることは重要である。干渉するパルスの小さな時間ジッタおよび小さな帯域幅は、位相ランダム化と同様に、干渉ビジビリティを向上させるのに寄与する。
干渉システム1200は光源1227aおよび光源1227bを含む。光源1227aは、図4に示される位相ランダム化光源400、図7に示される位相ランダム化光源700a、700bまたは700c、あるいは図8に示される位相ランダム化光源800などの光源である。これらの光源のいずれか1つが使用されることができる。光源1227bは、図4に示される位相ランダム化光源400、図7に示される位相ランダム化光源700a、700bまたは700c、或いは図8に示される位相ランダム化光源800などの光源である。これらの光源のいずれか1つが使用されることができる。言い換えると、光源1227aおよび光源1227bは各々、スレーブ光源402への光学接続を有するマスター光源403を含み、フィルタをさらに含んでいてもよい。
光源1227aは可変遅延1233に接続される。可変遅延1233は、光源1227aの放出時間を電気的に調整することによって削除されることができる。次に、可変遅延1233は干渉ビームスプリッタ1206の1つの入力に接続される。光源1227bは干渉ビームスプリッタ1206の第2の入力に接続される。可変遅延1233は、光源1227aおよび光源1227bからのスレーブ光パルスが干渉ビームスプリッタ1206で干渉するように調節される。言い換えると、可変時間遅延は、光源1227aから放出された光パルスが光源1227bから放出された光パルスと同時に干渉ビームスプリッタ1206に入るように調節される。スレーブ光パルスの低い時間ジッタは、光パルスの放出時間にほんの小さな変動があることを意味する。そのため、ビームスプリッタでの光パルス間の時間的オーバーラップは大きく、したがって、干渉ビジビリティはよい。干渉ビームスプリッタ1206の一方の出力は偏光ビームスプリッタ1206に接続される。干渉ビームスプリッタ1206の他方の出力は偏光ビームスプリッタ1236bに接続される。
偏光ビームスプリッタ1236aの第1の出力は検出器1208aに接続され、第2の出力は検出器1207aに接続される。偏光ビームスプリッタ1236aは、垂直偏光を有する光を検出器1208aに導き、水平偏光を有する光を検出器1207aに導く。偏光ビームスプリッタ1236bの第1の出力は検出器1208bに接続され、第2の出力は検出器1207bに接続される。偏光ビームスプリッタ1236bは、垂直偏光を有する光を検出器1208bに導き、水平偏光を有する光を検出器1207bに導く。
対角偏光を有する且つ位相Φ'1、Φ'2、Φ'3、…を有する光パルスの列が光源1227aから放出される。対角偏光を有する且つ位相φ'1、φ'2、φ'3、…を有する光パルスの列が光源1227bから放出される。光源1227aから放出された光パルスは、可変遅延1233に入り、次に干渉ビームスプリッタ1206に入る。光源1227bからの光パルスは、光源1227aからの光パルスと同時に干渉ビームスプリッタ1206に入る。光源1227aからの光パルスの各々は光源1227bからの光パルスと干渉する。偏光ビームスプリッタ1236aに導かれた光パルスの強度および偏光ビームスプリッタ1236bに導かれた光の強度は、干渉するパルス間の位相差に依存する。
光源1227a内のマスター光源およびスレーブ光源は、例えば、図5あるいは図6に関して説明したようなコントローラを使用して同期されることができる。光源1227b内のマスター光源およびスレーブ光源は、例えば、同じコントローラあるいは図5または図6に関して説明したような第2のコントローラを使用して同期されることができる。第1のコントローラおよび第2のコントローラは、2つの光源からの光パルスが干渉ビームスプリッタ1206で干渉するように同期されるべきである。検出器はコントローラとどうきされることができる。例えば、第1のコントローラ、第2のコントローラおよび光子検出器はすべてマスタークロックと同期されることができる。
図13は、実施形態に係る干渉システム1300の概略図を示す。システムは2OI測定のために構成されることができる。システムは測定装置無依存(MID)QKDシステムである。MDI−QKDは、盗聴者イブ(不正であるが、この場合中継器(relay)として機能する)にアリス、ボブ(両方とも正当である)と協働させる技術である。アリスとボブは両方とも送信機装置である。
実施形態では、第1の光源1227aのコンポーネントは、図18から図36に関して説明されるように、第1の基板上に集積される。偏光変調器1341aおよび強度変調器1339aもまた第1の基板上に集積されることができる。
第2の光源1327bのコンポーネントは第2の基板上に集積される。偏光変調器1341bおよび強度変調器1339bもまた第2の基板上に集積されることができる。
例えば、ビームスプリッタ1306および/または検出器1307a、検出器1307b、検出器1308aおよび検出器1308bは、第3の基板上に集積されることができる。
アリスとボブは、両方とも送信機であり、両方とも、光パルスの偏光を使用することによって、BB84プロトコルなどの方法で彼らの情報をエンコードする。2つの光源から放出された光パルスは、平均で1パルス当たり1未満の光子を有する。情報をエンコードするために偏光を使用して、BB84の4状態は、H(水平)、V(垂直)、D(対角)およびA(非対角)。HおよびVは第1の基底(「Z基底」)に対応付けられ、DおよびAは第2の基底(「X基底」)に対応付けられている。4つの偏光状態は、特定の偏光、例えば、H偏光で光パルスを常に放出する光源を使用し、次に偏光変調器(図中でPol Mとラベルが付けられている)でパルスを変調することによって用意される。
光源の各々から放出された各光パルスは独自のランダム位相を有する。これはシステムの最終セキュリティにとって重大である。アリスおよびボブによって放出されたランダム位相を有するパルスは、イブが所有する干渉ビームスプリッタで干渉し、最終的にイブの検出器によって検出される。ファイバーストレッチャーは、干渉するシステムを調整して最終的なビジビリティを増大させるために、イブによって使用される。ビームスプリッタ1306が基板上に集積される実施形態では、ファイバーストレッチャーは図9に関して上述したようなヒーター素子に置き換えられる。
イブは、どの検出器がクリックしたかを明言し、これは、基底が一致する場合に、アリスおよびボブが、他のユーザが何の状態をエンコードしたかを理解することを可能にする。しかしながら、イブは「相対的な情報」だけを学習することができる。イブは、アリスおよびボブによってエンコードされた絶対的な情報を学習することができない。
強度変調器(IM)は、デコイ状態MDI−QKDを実施するために、光源の後に追加されることができる。デコイ状態を使用するMDI−QKDにおいては、位相ランダム化の使用はデコイ状態MDI−QKDのセキュリティが単一光子源を含むMDI−QKDと同等になることを可能にするので、位相ランダム化は必要である。デコイ状態および非デコイ状態MDI−QKDの両方に関しては、どんな場合にも、時間ジッタの低減は干渉ビジビリティを向上させ、したがって、PBERを低減し、システムの最終的なセキュアレートを増大する。
干渉システムは、アリスの送信機である送信機装置1334aおよびボブの送信機である第2の送信機装置1334bを含む。干渉システムは中継局1335をさらに含む。中継局は、信頼できないパーティー(イブ)である。アリスの送信機装置1334aは光ファイバーケーブル1342aを介して中継局1335に接続される。ボブの送信機装置1334bは同様に光ファイバーケーブル1342bを介して中継局1335に接続される。
アリスの送信機装置1334aは光源1327aを含む。ボブの送信機装置1334bは光源1327bを含む。光源1327aは、図4に示される位相ランダム化光源400、図5に示される位相ランダム化光源500、図6に示される位相ランダム化光源600、図7に示される位相ランダム化光源700aまたは700b、あるいは図8に示される位相ランダム化光源800などの光源である。これらの光源のいずれかが使用されることができる。光源1327bは、図4に示される位相ランダム化光源400、図5に示される位相ランダム化光源500、図6に示される位相ランダム化光源600、図7に示される位相ランダム化光源700aまたは700b、あるいは図8に示される位相ランダム化光源800などの光源である。これらの光源のいずれかが使用されることができる。
光源1327bおよび1327aは、位相ランダム化光パルスを放出し、光減衰器を含んでいてもよい。2つの光源の各々から放出された光パルスは、平均で1パルス当たり1未満の光子を有することができる。簡単にするために、以下の説明では、光源が真の単一光子源であり、単一光子だけを放出するものと仮定する。検出器は単一光子検出器である。
アリスの光源1327aは偏光変調器1341aの入力に接続される。偏光変調器は、電気的に可変な波長板を含む電気光学偏光変調器であることができる。偏光変調器は、LiNbO3結晶などの、屈折率が電場強度の関数である結晶を含むことができる。強度変調器1339aは、光源1327aと偏光変調器1341aとの間に随意的に接続されることができる。ボブの光源1327bは偏光変調器1341bの入力に接続される。強度変調器1339bは、光源1327bと偏光変調器1341bとの間に随意的に接続されることができる。
光ファイバーケーブル1342aは、アリスの送信機装置1334aを干渉ビームスプリッタ1306の1つの入力に接続する。光ファイバーケーブル1342bは、ボブの送信機装置1334bを干渉ビームスプリッタ1306の第2の入力に接続する。
干渉ビームスプリッタ1306の一方の出力は偏光ビームスプリッタ1336aに接続される。干渉ビームスプリッタ1306の他方の出力は偏光ビームスプリッタ1336bに接続される。
偏光ビームスプリッタ1336aの第1の出力は検出器1307aに接続され、第2の出力は検出器1308aに接続される。偏光ビームスプリッタ1336aは、垂直偏光を有する光を検出器1307aに導き、水平偏光を有する光を検出器1308aに導く。偏光ビームスプリッタ1336bの第1の出力は検出器1307bに接続され、第2の出力は検出器1308bに接続される。偏光ビームスプリッタ1336bは、垂直偏光を有する光を検出器1307bに導き、水平偏光を有する光を検出器1308bに導く。
水平偏光を有する且つ位相Φを有するスレーブ光パルスがアリスの光源1327aから放出される。水平偏光を有する且つ位相Φ'を有するスレーブ光パルスがボブの光源1327bから放出される。アリスの光源1327aから放出された光パルスは偏光変調器1341aに入る。偏光変調器1341aは、光パルスの偏光を、4つの選択肢H、V、DおよびAの1つへ変調する。ボブの光源1327bから放出された光パルスは偏光変調器1341bに入る。偏光変調器1341bは、スレーブ光パルスの偏光を、4つの選択肢H、V、DおよびAの1つへ変調する。
言い換えると、アリスおよびボブは、図13に示される4つの異なる偏光状態H、V、D、Aのうちの1つの状態の位相ランダム化弱コヒーレント光パルスを用意する。各光パルスの偏光状態は、偏光変調器(Pol−M)を用いて信号ごとに独立してランダムに選択される。状態HおよびVは第1の基底(「Z基底」)に対応付けられ、状態DおよびAは第1の基底(「X基底」)に対応付けられる。アリスは、周知のBB84プロトコルなどの場合、ビット0をエンコードするためにHまたはDを使用し、ビット1をエンコードするためにVまたはAを使用する。言い換えると、アリスの光パルスに関するHまたはDの偏光はビット0を表し、アリスの光パルスに関するVまたはAの偏光はビット1を表す。
光パルスは、光ファイバーケーブル1342aおよび1342bに沿って中継局1335へと送信される。ボブの送信機装置1327bからの光パルスはファイバーストレッチャー1340を通過する。ファイバーストレッチャーは、ボブの送信機からの光パルスおよびアリスの送信機からの光パルスが干渉ビームスプリッタ1306に同時に入るように調節される。送信機の放出時間が電気的に調整されることができる場合、ファイバーストレッチャーは削除されることができる。
測定装置すなわちイブの中継局1335内では、アリスおよびボブからの信号は干渉ビームスプリッタ1306で干渉する。干渉ビームスプリッタ1306の一方の出力は偏光ビームスプリッタ1336aに接続され、干渉ビームスプリッタ1306の他方の出力は偏光ビームスプリッタ1336bに接続される。偏光ビームスプリッタは、入力光子をH偏光状態とV偏光状態とのいずれかに投影する。4つの単一光子検出器が光子を検出するために使用され、検出結果は公に知らされる。成功した測定は、トリガーされたちょうど2つの検出器(直交偏光に関連付けられている)の観測に対応する。上側のH検出器1308aおよび下側のV検出器1307bにおけるクリックまたは上側のV検出器1307aおよび下側のH検出器1308bにおけるクリックは、量子状態|ψ(−)>=(|HV>−|VH>)/√2へのプロジェクションを示し、上側のH検出器1308aおよび上側のV検出器1307aにおけるクリックまたは下側のV検出器1307bおよび下側のH検出器1308bにおけるクリックは、量子状態|ψ(+)>=(|HV>+|VH>)/√2へのプロジェクションを示す。(HH)および(VV)を除くアリスおよびボブによってエンコードされた偏光の任意の組み合わせは、|ψ(+)>という結果になる。
測定の結果が公衆チャネル上で公開された後に、ユーザのアリスおよびボブは、基底に関する選択、すなわち、第1または第2(ZまたはX)のどちらであるかを公開する。BB84プロトコルなどでは、ユーザは、彼らが偶然に異なる基底を選択したデータをすべて破棄し、彼らが同一の基底を選択したインスタンスだけを維持する。
状態|ψ(−)>が測定において公表され、両方のユーザが第1の基底すなわちZ基底を選択した場合、彼らは、彼らの状態が|HV>または|VH>だけであり得ることを理解する。そのため、ボブが状態Vを用意した場合、彼は、アリスが状態Hを用意したはずであることを確実に理解し、結果をビット0としてデコードする。ボブがHを用意した場合、彼は、アリスがHを用意したことを理解し、結果をビット1としてデコードする。この種の遠隔鍵共有は、4つの偏光状態すべてに関して、並びに、中継局によって得られ公表された結果の両方に関して、繰り返されることができる。
光源1327a内のマスター光源およびスレーブ光源は、例えば、図5または図6に関して説明したようなコントローラを使用して同期されることができる。光源1327b内のマスター光源およびスレーブ光源は、例えば、図5または図6に関して説明したような第2のコントローラを使用して同期されることができる。第1のコントローラおよび第2のコントローラは、2つの光源からの光パルスが干渉ビームスプリッタ1306で干渉するように同期されるべきである。検出器および偏光変調器もまたコントローラと同期されることができる。例えば、第1のコントローラ、第2のコントローラ、偏光変調器および光子検出器はすべて、マスタークロックと同期されることができる。
パルスシード(pulse-seeded)光源は、低ジッタSPDC放射を生成するために使用されることもできる。SPDC放射およびそれから予告された(heralded)光子の生成は、コヒーレント非位相ランダム化レーザーポンプ(coherent, non-phase randomised laser pumps)を使用して実行されることができる。ポンプの時間ジッタを低減するために、大型の(bulky)モードロックレーザーが使用されることができる。単一光子は、コヒーレントレーザーポンプによって発生されるSPDCを使用して生成されることができる。ポンプがパルス化される場合、大型のモードロックレーザーは低い時間ジッタを達成するために使用されることができる。そのようなシステムは大型になる。モードロックレーザーからの光はコヒーレントでなくてもよい。SPDCを使用する代替の光源が以下に説明される。
図14は、SPDC光源1400を示す。光源1427は、自発的パラメトリックダウンコンバージョンセットアップに組み込まれている。光源1427は、低時間ジッタ位相ランダム化光源であり、自発的パラメトリックダウンコンバージョン(SPDC)セットアップ内でポンプとして使用される。ランダム位相を有するスレーブ光パルスは光源1427によって放出される。スレーブ光パルスは、ゼロでない二次磁化率χ(2)を有する非線形結晶に注入される。そのような結晶の例は、BBO結晶(ベータホウ酸バリウム結晶)、LiNbO3結晶(ニオブ酸リチウム結晶)およびPPLN結晶(周期的分極反転ニオブ酸リチウム結晶)を含む。スレーブ光パルスは「ポンプ」光子として働く。光源1427は、位相ランダム化光パルスを放出し、光減衰器を含むことができる。光源1427から放出された光パルスは、平均で1パルス当たり1未満の光子を有することができる。簡単にするために、以下の説明では、光源1427が真の単一光子源であり、単一光子だけを放出するものと仮定する。
位相一致条件下では、オリジナルのポンプ光子は、「信号」光子および「アイドラー」光子と呼ばれる2つの光子へ分割される。位相一致条件は、エネルギー保存則および運動量保存則に対応する。2つの隣接する信号光子または2つの隣接するアイドラー光子の相対電磁気位相はランダムであり、生成された光子の時間ジッタは小さい。光子対の時間ジッタは、結晶からの放出時間および光源1427の時間ジッタの両方に起因する。光源1427は低い時間ジッタを有し、時間ジッタの主要因は結晶である。しかしながら、ポンプ光源が高い時間ジッタを有する場合、それは、光子対の時間ジッタ全体の主要因になり得る。
光源1427は、図4に示される位相ランダム化光源400、図5に示される位相ランダム化光源500、図6に示される位相ランダム化光源600、図7に示される位相ランダム化光源700aまたは700b、あるいは図8に示される位相ランダム化光源800などの光源である。これらの光源のいずれかが使用されることができる。位相Φ1、Φ2、Φ3、…を有する光パルスの列が光源1427から放出される。各光パルスの位相は続いて放出される光パルスの各々の位相とランダムな関係を有する。光源1427のコンポーネントは、図18から図36に関して説明されるように、第1の基板上に集積されることができる。非線形結晶1443はまた、例えば図33に関して説明するように、光源1427と他の基板上の非線形結晶とをフリップチップ接続することによって基板上に集積されることができる。
光パルスは非線形結晶1443へと放出される。非線形結晶は、単一光子光パルスの各々を1対の光子に分割し、それらは結晶から放出される。1対の光子は、オリジナルの光子のエネルギーおよび運動量と等しい結合されたエネルギーおよび運動量を有する。1対の光子の状態がエンタングルされる場合、当該1対の光子の偏光は全く決定されることがなく、あるいは、1対の光子が積状態である場合、当該1対の光子はポンプ光子と同じであることができ、使用される結晶とポンプ条件とに依存している。広い範囲の偏光および偏光の組み合わせを得ることができる。
光子のうちの1つは信号光子であり、光子のうちの1つはアイドラー光子である。特定の条件および結晶が使用される場合、1対の光子はエンタングルされた光子対である。信号光子は、位相Φ'1、Φ'2、Φ'3、…を有し、アイドラー光子は位相Φ''1、Φ''2、Φ''3、…を有する。各対では、光子は位相で関連付けられている。結晶とポンプに対するその角度とに応じて、異なる位相マッチング条件が可能であり、アイドラー光子および信号光子に関して異なる放出角になる。同一直線上および非同一直線上の放出は両方とも標準的なI型およびII型結晶で可能である。
光源は、スレーブ光源を含むポンプと、各マスター光パルスの位相が続いて生成されたマスター光パルスの各々の位相とランダムな関係を有するように構成され、これらの光パルスを上記のスレーブ光源に供給するようにさらに構成されたマスター光源と、各スレーブ光パルスの位相が続いて生成されるスレーブ光パルスの各々の位相とランダムな関係を有するように、マスター光パルスが受信される各期間中にただ1つのスレーブ光パルスが生成されるように、周期信号を上記の少なくとも1つのスレーブ光源に供給するように構成されたコントローラと、を備える。
光源は、非線形結晶をさらに備え、この非線形結晶は、スレーブ光パルスが非線形結晶に入射した場合に、2つの光パルスが自発的パラメトリックダウンコンバージョンによって生成されることができるように構成される。
非線形プロセスによる2つの光パルスの生成は非効率的であり、そのため、高い強度を有するスレーブ光パルスが使用されることができる。
マスター光パルスは、第1の時間ジッタを有して生成されることができ、スレーブ光パルスは、第1の時間ジッタよりも小さい第2の時間ジッタを有して生成されることができる。
ポンプ帯域幅、すなわち、光源1427の帯域幅が小さくても、SPDC光源1400は広帯域であることができる。
光の位相ランダム化パルスは、位相がランダム化された高品質の自発的パラメトリックダウンコンバージョン(SPDC)および予告された単一光子生成において使用されることができる。
図15は、実施形態に係る干渉システムの概略図を示す。実施形態では、光源1527のコンポーネントは、図18から図36に関して説明されるように、第1の基板上に集積されることができる。非線形結晶1443もまた、例えば、図33に関して説明するように、光源1427と他の基板上の非線形結晶とをフリップチップ接続することによって基板上に集積されることができる、。QKDシステム1545のコンポーネントもまた基板上に集積されることができる。光源1527は、自発的パラメトリックダウンコンバージョンセットアップに組み込まれる。光源1527は、低時間ジッタ位相ランダム化光源であり、自発的パラメトリックダウンコンバージョン(SPDC)セットアップにおいてポンプとして使用される。ランダムな位相を有するスレーブ光パルスは光源1527によって放出される。スレーブ光パルスは、ゼロでない二次磁化率χ(2)を有する非線形結晶に注入される。そのような結晶の例は、BBO結晶(ベータホウ酸バリウム結晶)、LiNbO3結晶(ニオブ酸リチウム結晶)およびPPLN結晶(周期的分極反転ニオブ酸リチウム結晶)を含む。スレーブ光パルスは「ポンプ」光子として働く。光源1427は、位相ランダム化光パルスを放出し、光減衰器を含むことができる。
位相マッチング条件下では、オリジナルのポンプ光子は、「信号」光子および「アイドラー」光子と呼ばれる2つの光子に分割される。位相マッチング条件は、エネルギー保存則および運動量保存則に対応する。2つの隣接する信号光子またはアイドラー光子の相対的な電磁気位相はランダムであり、生成された光子の時間ジッタは小さい。光子対の時間ジッタは主として光源1527の時間ジッタに起因する。
光源1527は、図4に示される位相ランダム化光源400、図5に示される位相ランダム化光源500、図6に示される位相ランダム化光源600、図7に示される位相ランダム化光源700aまたは700b、あるいは図8に示される位相ランダム化光源800などの光源である。これらの光源のいずれかが使用されることができる。位相Φ'1、Φ'2、Φ'3、…を有する光パルスの列が光源1527から放出される。各光パルスの位相は、続いて生成される光パルスの各々の位相とランダムな関係を有する。
光パルスは、非線形結晶1543へと放出される。非線形結晶は、単一光子光パルスの各々を1対の光子に分割し、これらの光子は、結晶から放出される。1対の光子は、オリジナルの光子のエネルギーおよび運動量と等しい結合されたエネルギーおよび運動量を有する。1対の光子の状態がエンタングルされる場合、当該1対の光子の偏光は全く決定されることがなく、あるいは、1対の光子が積状態である場合、当該1対の光子はポンプ光子と同じであることができ、使用される結晶とポンプ条件とに依存している。広い範囲の偏光および偏光組み合わせを得ることができる。
光子のうちの1つは信号光子であり、光子のうちの1つはアイドラー光子である。特定の条件および結晶が使用される場合、1対の光子はエンタングルされた光子対であることができる。信号光子は、位相Φ'1、Φ'2、Φ'3、…を有し、アイドラー光子は位相Φ''1、Φ''2、Φ''3、…を有する。結晶とポンプに対するその角度とに応じて、異なる位相マッチング条件が可能であり、アイドラー光子および信号光子に関して異なる放出角になる。同一直線上および非同一直線上の放出は両方とも標準的なI型およびII型結晶で可能である。
信号光子出力はQKDシステム1545に接続される。そのため、SPDC光源1500はQKDシステムのための光源である。例えば、SPDC光源1500は、図10の光源1027または図13の光源1327aおよび1327bの少なくとも一方の代わりになる。アイドラー光子は廃棄されることができる。
あるいは、図15に示されるように、アイドラー光子出力は偏光ビームスプリッタ1536に接続されていてもよい。偏光ビームスプリッタは、垂直偏光された光を検出器1507に送り、水平偏光された光を検出器1508に送る。
図15に示されるシステムでは、単一光子検出器1507および1508のうちの1つがクリックするごとに、予告された単一光子は生成される。クリックは、どの検出器がファイアーされた(fired)かに依存して、特定の偏光状態にある単一光子の用意を予告する。結晶からの光子は単に1対で放出される。したがって、アイドラー光子が検出器のうちの1つによって検出される場合、これは、他の経路に信号光子があることを示す。適切な結晶および条件が使用される場合、出現する2つの光子状態はエンタングルされることができる(例えば上述したMDI−QKDシステムにおいて得られる状態に似ている)。適切な結晶および条件が使用される場合に結晶から出現するエンタングルされた状態は、|ψ(−)>=(|HV>−|VH>)/√2である。この場合において、アイドラー光子がV検出器1507で検出される場合、信号光子はH偏光を有しなければならない。アイドラー光子がH検出器1508で検出される場合、信号光子はV偏光を有しなければならない。
光源1527、結晶、および偏光ビームスプリッタと検出器配置とを備えるSPDC光源1500、QKDシステムまたはMDI−QKDシステム1545のための単一光子源である。信号光子は、非線形結晶1543をポンプする光源1527からランダムな位相を直接に受け継ぐ。そして、これらの光子は、例えば、それらの位相をランダム化するためのさらなるコンポーネントを含むことなしに、デコイ状態を有してQKDまたはMDI−QKDセットアップにおいてすぐに使用されることができる。
光源は、低い時間ジッタを有するSPDC光子を発生させるコンパクトで低価格なポンプ源である。パルスSPDC放出は、低い時間ジッタを有する位相ランダム化ポンプから生成される。
図16(a)は、2つの他の識別不可能な変換制限された(transform-limited)パルス間の時間的ミスアライメントの関数として一次干渉ビジビリティのシミュレーションの結果を示す。
一次干渉ビジビリティは下記で与えられる。
V=(Imax−Imin)/(Imax+Imin) (式4)
ここで、ImaxおよびIminは、検出器のうちの1つ、図9の検出器908または907によって登録された最大および最小の強度である。時間的ミスアライメントは2つの干渉する光波間のオーバーラップを低減する。時間的ミスアライメントがパルスの時間的な幅よりはるかに大きいという極端な場合、時間的なオーバーラップはなく、対応するビジビリティはゼロになるだろう。
シミュレーションは、時間的ミスアライメントおよび帯域幅が低減するにつれて一次ビジビリティがどのように改善する(すなわち増大する)かを示す。上述したように、光源は、スレーブ光源に光パルスを注入するマスター光源を含むことができる。そして、生成されたスレーブ光パルスは、干渉装置において使用されることができる。生成されたスレーブ光パルスは低い時間ジッタおよび小さな帯域幅を有し、したがって、一次干渉ビジビリティはよくなる。
光パルスは特定の周波数スペクトルを有した状態で放出される。このスペクトルは、例えば、ガウス型であることができる。帯域幅は、おおよそこのガウス型スペクトルの幅に対応する。よい干渉ビジビリティは、2つの識別不可能なパルスがある場合に得られる。帯域幅が大きい場合、パルスは多くの異なる周波数を含む。それとは逆に、狭い帯域幅においては、パルスはより識別不可能である。単一周波数帯幅においては、パルスは必ず識別不可能である。
縦軸は対数目盛での一次ビジビリティであり、それは0〜1まで示される。横軸は対数目盛での時間ジッタ関連時間的ミスアライメント(ps)であり、それは0から20まで示される。時間ジッタ関連ミスアライメントは、干渉装置(例えばビームスプリッタ)における2つの干渉するパルスの到着時間の差である。図は、3つの異なる帯域幅Δ={20,50,80}GHzに関して、例えば時間ジッタによって引き起こされた時間的ミスアライメントによって干渉するパルスのビジビリティがどのように影響されるかを示す。実線は、20GHzの帯域幅を有するパルスに関するビジビリティを示す。破線は、50GHzの帯域幅を有するパルスに関するビジビリティを示す。点線は、80GHzの帯域幅を有するパルスに関するビジビリティを示す。
3つの線すべてにおいて、0の時間的ミスアライメントでの一次ビジビリティは1である。3つの線すべてにおいて、時間的ミスアライメントが増大するほど、一次ビジビリティは低減する。具体的には、一次ビジビリティは時間的ミスアライメントが増大する限り低減する。さらに、帯域幅が大きいほど、一次ビジビリティは小さくなる。一次ビジビリティは、80GHzの帯域幅で最も速く低減し、20GHzで最も遅く低減する。
破線矢印は、一次ビジビリティがパルスシーディングによってどのように影響されるかを示す。光源のパルスシーディングは、それが時間ジッタ関連時間的ミスアライメントを低減すること、およびそれがさらに光の帯域幅を低減することという二重の効果を有する。これらの結果を合わせたものは、パルスシーディングのないものよりも大幅に高い一次ビジビリティをもたらすことができる。言い換えると、レーザーシーディングが時間ジッタおよび帯域幅の両方をより小さくするので、レーザーシーディングが使用される場合に一次ビジビリティが増大する。
図8に関して説明したフィルタ技術もまた帯域幅を低下することができる。上述したように、フィルタ技術は時間ジッタに影響を及ぼさない。
図16(b)および図17(b)は、図9に関して上述した装置を使用して実行された干渉実験による測定結果を示す。干渉測定は、1GHzのクロックレートおよび1nsの遅延を有する非対称マッハツェンダー干渉計を使用して実行された。スペクトルフィルタリングは使用しなかった。隣接するクロックのレーザーパルスはマッハツェンダー干渉計の出力で干渉する。干渉測定は、シーディング有りとシーディング無しの両方について行なわれ、比較される。時間ジッタは、シーディング無しでの7.5psからシーディング有りでの5.5psへと25%以上低減される。光の帯域幅も低減され、全体のビジビリティは、シーディング無しでの70%の値からシーディング有りでの92%の値に向上される。
図16(b)は、レーザーシーディングが使用される場合に、予期されるビジビリティピークがどのようにその最大値に接近するかを示す。横軸は、検出器のうちの1つ(例えば検出器908)で測定された光の任意単位での強度を示す。強度は0から150まで示される。これらの強度スケールは概略的な理解のためのものである。示された「0」強度は絶対的な0の強度を意図するものではない。縦軸は、検出器によって測定された各強度について0から3%までの百分率の確率を示す。
白抜きの四角は、測定された各強度の確率を示す。シーディングを用いない単一パルス光源(例えば図1の光源102などの光源)は、光パルスを供給するために使用される。確率は強度の全体にわたって約1%である。黒塗りの円は、シーディングを用いて(すなわち、スレーブ光源にパルスを注入するマスター光源を含んでいて、スレーブ光パルスが干渉に使用される)測定された各強度の確率を示す。確率は、最大強度および最小強度において約3%でピークになる。位相(x)に対する強度の依存が、x=0で最も大きくなり、X=π/2で最も小さくなるcos2x関数の形をとるので、ピークが観察される。
図17(a)は、レーザーシーディングが使用される場合に二次干渉ビジビリティがどのように増大するかを示すシミュレーションである。2OIビジビリティは、単一の高速フォトダイオードを使用する図2または図11に示されるセットアップを使用して測定されることができる。検出器207が、レーザーのクロックと同期して干渉結果をサンプリングする高帯域フォトダイオードであるとする。例えば、レーザーダイオードが1GHzで動作する場合、サンプリングレートは1GHzである。測定結果は一連の強度値I(1)、I(2)、…、I(n)…であり、ここでnはサンプリングのクロック番号を表す。我々は、下記式を使用して二次相関関数(CF)を計算することができる。
CF=<I2(n)>/<I(m)I(n)>
ここで<・>は統計的平均であり、m≠nである。
二次ビジビリティ(V)および二次相関関数(CF)は、関係CF=1+V/2によって関連付けられる。
レーザーシーディングは、時間ジッタおよび帯域幅の両方をより小さくし、それにより、二次干渉ビジビリティを増大させる。シーディングなしでは、光の帯域幅は22GHzであり、シーディング有りでは、光の帯域幅は36GHzに低減される。シーディング有りとシーディング無しでのパルスに関する帯域幅の測定である図17(b)に関して後述される相関関数からのデータおよび図16(a)に示されるシミュレーションからのデータはすべて、この図において曲線を描くために使用される。
縦軸は対数目盛での二次ビジビリティであり、それは0.5から1まで示される。横軸は、対数目盛での時間ジッタ関連時間的ミスアライメント(ps)であり、それは0から10まで示される。実線は、22GHzの帯域幅を有し、シーディングを用いたパルスに関する二次ビジビリティを示す。破線は、36GHzの帯域幅を有し、シーディングを用いないパルスに関する二次ビジビリティを示す。
両方の線において、0の時間的ミスアライメントでの二次ビジビリティは1である。両方の線において、時間的ミスアライメントが増大するにつれてビジビリティは低減する。具体的には、ビジビリティは、時間的ミスアライメントが増大する限り低減する。さらに、帯域幅が大きいほど、ビジビリティは小さくなる。二次ビジビリティは、36GHzの帯域幅で最も速く低減し、22GHzで最も遅く低減する。
矢印は、二次ビジビリティがパルスシーディングによってどのように影響されるかを示す。光源のパルスシーディングは、それが時間ジッタ関連時間的ミスアライメントを低減すること、およびそれがさらに光の帯域幅を低減することという二重の効果を有する。
2倍の効果がある: これらの結果を合わせたものは、パルスシーディングを用いないよりも非常に高い二次ビジビリティをもたらすことができる。言い換えると、レーザーシーディングが時間ジッタおよび帯域幅の両方をより小さくするので、レーザーシーディングが使用される場合、ビジビリティは増大する。矢印は、シーディングを用いずに得られる始点(36GHzの帯域幅の曲線上の白丸で示される)を、シーディングを用いて得られた終点(22GHzの曲線上の黒丸で示される)に接続する。パルスシーディング技術は、約70%から約92%に実験のビジビリティを向上させる。
図17(b)は、シーディングを用いて得られた結果(黒丸)およびシーディングを用いずに得られた結果(白丸)に関する相関関数を示す。測定は、単一高速フォトダイオードを使用して、図2に示されるセットアップを使用して、1GHzのクロックレートで測定された。示されたデータは下記の通りである。
<I(n+Δ)I(n)>/<I(m)I(n)>
ここで、Δは、横軸に示される遅延に対応するクロック番号差であり、mおよびn(m≠n)は、サンプリング時間を表す任意の整数である。ブラケットは統計的平均を示す。縦軸は、1から1.5まで示される相関関数である。0nsの遅延では、相関関数の理想値は1.5である。シーディングなしでは、1.35までの値だけが達成されることができる(白抜きの四角)。シーディング有りでは、この値は1.46まで増大される(黒丸)。相関関数は、シーディングが有効にされる場合に、予期されるビジビリティピークがその最大値に接近することを示す。相関関数の最大値は1.5である。シーディングを用いて1.46の値が得られる。
利得スイッチレーザーによる位相ランダム化光パルスの生成は時間ジッタによって影響を及ぼされる場合がある。レーザーの光は、ランダムで予測不可能なプロセスである自然放出によって最初に生成される。光は誘導放出によって増幅される。レーザーパルスは、自然放出の寄与によりランダムな時間に放出される。多くのアプリケーションでは、確定的な放出時間は有益である。スレーブ利得スイッチレーザーの時間ジッタは、マスターレーザーである別の利得スイッチレーザーでスレーブ利得スイッチレーザーをシーディングすることによって低減されることができる。スレーブレーザーの放出は、自然放出ではなくマスターレーザーのシーディングパルスによって引き起こされ、したがって、放出時間ジッタが低減される。それでもやはりマスターレーザーが自然放出によってトリガーされるので、位相ランダム化が維持される。
上述された光源は、ビジビリティ、速度および効率の点において高いパフォーマンスで、位相ランダム化量子および古典光学干渉において使用することができる。光源は、システムの複雑さなしで、位相ランダム化光パルスによって、良好なビジビリティ、時間分解能およびスペクトル分解能を有する。
パルス注入シーディングは、干渉アプリケーションとともに使用される。パルス注入シーディングで生成されたパルスの低減された時間ジッタおよび帯域幅は、干渉ビジビリティを向上させる。注入されたパルスの位相ランダム化は、生成されたスレーブパルスがランダム化された位相を有することを意味する。これは、特にデコイ状態で実施される場合において、QKDおよびMDI−QKDシステムのセキュリティを高めることに寄与する。
図18は、実施形態に係る干渉システムの一部である光源の概略図を示し、この光源では、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、半導体基板1847上に集積されている。マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、端面発光レーザーであり、基板1847上で横方向に連結されている。光は、層の面内に放出され、すなわち、層の積層方向に垂直な方向に放出される。
マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、半導体レーザー、例えば、利得スイッチレーザーまたは発光ダイオードである。
マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、基板1847の第1の表面上に集積される。マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、基板1847の第1の表面と実質的に平行である第1の面内に互いに対して配置される。光は、第1の面内でマスター光源1804およびスレーブ光源1801から放出される。マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、マスター光源1804から放出された光がスレーブ光源1801のアパーチャに入るように構成される。マスター光源1804は各マスター光パルスの位相が続いて生成されたマスター光パルスの各々の位相とランダムな関係を有し、マスター光パルスをスレーブ光源1801に供給するように、マスター光パルスを間欠的に生成するように構成される。コントローラは、マスター光パルスが受信される各期間中にただ1つのスレーブ光パルスだけが生成されるように、且つ、各スレーブ光パルスの位相が続いて生成されるスレーブ光パルスの各々の位相とランダムな関係を有するように、時間変化駆動信号をスレーブ光源1801に適用するように構成される。
図18に示される光学デバイスは、有機金属気相エピタキシー(MOVPE)によって成長されることができる。MOVPEは、プロセス中に複数回のオーバーグロース(overgrowth)ステップがあるので、適している。デバイスは、モノリシックに集積するアプローチを使用して成長されることができ、あるいは、図33に関して説明するように、他のキャリア上にフリップチップ接続されることができる。
光学デバイスは、基板1847上にさらに集積された調整素子(tuning element)1849を随意的に含んでいてもよい。調整素子は、マスター光源1804とスレーブ光源1801との間に第1の面内に配置されることができる。
調整素子1849は、例えば、位相変調器であることができる。調整素子1849が位相変調器である場合、このセクションへの電圧の変更は、屈折率を変更し、それにより、スレーブ光源1801に注入される光の位相を変更する。これは、スレーブ光パルスの位相変調が外部の位相変調器なしで達成されることを可能にする。位相変調器は、スレーブ光源1801が位相変調器とマスター光源1804との間にあるように、スレーブ光源1801の後に位置されることもできる。
あるいは、調整素子1849は強度変調器であってもよい。
調整素子は、例えば、マスターレーザーから来る光を減衰させる材料の薄スラブまたは微小レンズであってもよい。
さらなるセクションが含まれていてもよい。例えば、デバイスは、デコイ状態を生成するための強度調整素子および真空状態を生成するための強度調整素子を含んでいてもよい。デバイスは、例えば、第1の強度変調器がデコイレベルを生成するために使用され、第2の強度変調器が真空レベルを生成するために使用されるように2以上の強度変調器を含んでいてもよい。あるいは、デバイスは、単一の強度変調器を含むことができ、両方のレベルがこの単一の強度変調器で生成される。
一実施形態では、基板はInPである。InP基板は、その結晶構造がテレコム帯域のエネルギーでの放出を可能にするので、テレコム波長で動作するデバイスにおいて使用されることができる。あるいは、基板としてGaAsを使用することが可能である。GaAsは1.3umでエミッタを形成するために使用されることができる。一実施形態では、個々のコンポーネントは、InP上に成長され、異なる基板にフリップチップ接続される。
1以上の電気コンタクトがマスター光源1804およびスレーブ光源1801に形成されることができる。実施形態では、AuGeNiはn型コンタクト金属として使用されることができ、p型コンタクト金属はPdZnAu、AuCrAuZnAuおよびAuBeのうちのいずれか1つであることができる。n型電極はn型コンタクトを含んで形成され、p型電極はp型コンタクトを含んで形成される。
デバイスの製作において、InPベースの材料のウェットエッチングは、例えば、AeまたはN2で薄められた高温でのCl2に基づいたエッチング、CH4に基づいたエッチング、あるいはSiCl4Arに基づいたエッチングで使用されることができる。誘電体ドライエッチングが使用されてもよく、誘電体ドライエッチングは、Si3N4またはSiO2を使用して形成された誘電体ハードマスクを用いて、CHF3またはCF4に基づいた化学を使用して実行されることができる。そのようなデバイスの特定の例の製作の方法のさらなる詳細は後述される。
マスター光源1804およびスレーブ光源1801の側面の形状は、様々な形状、例えば、長方形断面または正方形断面に形成されることができる。
光学デバイスは、集積されたヒートシンクを含むことができ、それは、例えば、人造ダイヤモンドであることができる。
一実施形態では、マスター光源1804およびスレーブ光源1801の少なくとも1つは、分布帰還型(DFB)レーザー、分布ブラッグ反射器(DBR)レーザーまたはリッジレーザーである。リッジレーザーはストライプレーザーとも呼ばれる。ファブリペローレーザーは、リッジまたはストライプレーザーの一種である。ストライプおよびリッジという語は、レーザー導波路の形式を指す。ファブリペローは、レーザーキャビティの形、すなわち、導波路の端面まで作られた2つの平行ミラーを指す。
レーザーは回折格子を含むことができる。回折格子領域は活性領域から離れていてもよく、活性領域は回折格子を含んでいてもよい。活性領域および回折格子が分離しているレーザーは、DBR(分布ブラッグ反射器)レーザーと呼ばれる。DBRは図20に示される。活性領域が回折格子を含むレーザーはDFBレーザーである。DFBレーザーは図21に示される。
デバイスは強度変調器をさらに含むことができる。強度変調器は、変調器、例えば、電界吸収型変調器内の材料の吸収係数を変更することによって光の強度を変調することができる。電界吸収型変調器は、デバイスに適用される電圧が吸収係数を変更し、それによりデバイスを通過する光の強さを変更する半導体デバイスである。他の実施形態では、強度変調器はマッハツェンダー干渉計に基づいている。マッハツェンダーに基づいた強度変調器は、出力強度を変調するために、干渉計の2つのアーム間の位相差を変更する。
スレーブ光源1804および強度変調器などの2つの異なるデバイスがモノリシックに成長される場合、物理的なギャップがそれらの間に作られ、それは例えばトレンチをエッチングすることによって達成されることができる。トレンチがエッチングされた後、このギャップは、同様の屈折率を有する材料で充填されることができる。
図19(a)は、実施形態に係る干渉システムを製造する方法の一部である、垂直接合でモノリシックに集積されたマスター光源1804およびスレーブ光源1801の成長および製造の方法のフローチャートである。方法は、横方向に連結していて、同じタイプである、例えば、両方ともがDFBレーザーまたはストライプレーザーであるマスター光源1804およびスレーブ光源1801を有する光学デバイスを製造するために使用されることができる。この方法は、図2から図15のいずれかに関して説明したような光源を製造するために使用されることができる。
この方法によって製造されたデバイスでは、マスター光源1804およびスレーブ光源1801の両方が基板上にモノリシックに集積される。実施形態では、基板はn型InP基板である。
ステップS101では、バッファ層1951が基板1847上で成長され、活性領域構造(active area structure)がそれに後続する。活性領域構造は活性領域(active region)とも呼ばれる。一実施形態では、バッファ層の厚さは200nmである。一実施形態では、バッファ層はn型InPである。方法がDFBレーザーまたはストライプレーザーを製造するために使用される場合、活性領域構造はマルチ量子井戸(MQW;multi quantum well)構造であることができる。MQW構造は、図20に関してより詳細に後述される。活性構造は、n型層1953、第1の導波路層210a、MQW層212および第2の導波路層210bを含むことができる。このステージは「0レベルグロース」と呼ばれることもある。導波路層210aおよび210bはInGaAs層であってもよい。クラッド層、すなわち、n型層1953および導波路領域210b上のp型層は、InPと格子整合するInAlAsであってもよい。導波路内のMQW活性領域はInAs/InGaAsであってもよい。
ストライプレーザーに関しては、p型層220が第2の導波路層210b上に第2の導波路層210bに接触して成長され、p型層222がp型層220上にp型層220に接触して成長される。p型層222は、キャリア濃度が層220より高い濃度にドープされたp型材料である。層220が十分なドーピングを有する場合には、これは省略されることができる。
ステップS102では、デバイスは「0レベル製造」のために成長機構(growth machine)から取り出される。このステップは、誘電体ハードマスク214の堆積を含み、この誘電体ハードマスク214は、例えば、Si3N4またはSiO2層であることができる。この誘電体層の厚さは、活性領域の厚さおよびドライエッチング選択比に依存することができる。その後に、フォトレジストが誘電体層上にスピン処理され(spun)、ストリップが光リソグラフィによってフォトレジストに規定される。一実施形態では、ストリップは、幅が1.5〜2.5μmであり、長さが500μmである。DFBレーザーにおいては、ストリップは回折格子の長さを含むためにより長くてもよい。深さはウエハ設計に依存する。発展後に、レジストに規定されたストリップパターンは、例えばCF4またはCHF3化学に基づいたドライエッチングを通じて誘電体層に転写される。次に、表面上の残りのレジストは、例えばレジストリムーバー溶液中であるいはO2プラズマ灰化によって、除去される。次に、半導体ドライエッチングが実行される。Cl2に基づいた化学は、良質の垂直側壁を提供するために使用されてもよい。エッチングは、DFBレーザーにおいてはn型層1953まで実行される。ストライプレーザーにおいては、エッチングはp型層220まで実行される。
サンプルはステップS103「1レベル」の準備ができている。誘電体ハードマスク214はこのステップに関してストリップ領域に残されている。これは活性領域上での局所的なオーバーグロースを防止する。その後に、p型層216が成長され、それにn型層218が後続する。デバイスのエッチングされた領域が平坦化される。平坦化は、新しいエピタキシャル材料でエッチングされた領域を満たすために、特定の条件で実行される成長プロセスである。リッジの上端は誘電体マスクで覆われており、そのため、成長はそこに生じない。吸着原子は、前のステップでエッチングされたトレンチの底に層を選択的に形成する。
ステップS104は「1レベル製造」である。このステップでは、誘電体ハードマスク214が除去される。これは、サンプルをHFに浸漬することまたはドライエッチングすることを含むことができる。
このステージにおいて、DFBレーザーまたはDBRレーザーが製造される場合には、ステップS104a「アクティブ回折格子製造」が随意的に次に起こることができる。あるいは、製造方法は、ストライプレーザーにおいては、ステップS102からステップS106に直接に進むことができる。
ステップS104aは、電子線リソグラフィレジストでサンプルをスピン処理すること、および電子線リソグラフィで回折格子パターンを規定することを含む。回折格子の寸法はレーザー出力波長に依存することができる。現像後に、パターンは、ウェットまたはドライシャローエッチングによって転写される。回折格子は、導波路層210bの一部をエッチングして取り去ることによって、例えば、導波路層210bにトレンチをエッチングすることによって、形成される。トレンチは、グルーブ形状(groove-shaped)のパターンを有することができる。回折格子の寸法はデバイスの動作波長に従って計算される。MQW層上にあってMQW層に接触している表面とは反対側の導波路層210bの表面上の回折格子は、ミラーと同じような方法で作用する。DBRレーザーに関しては、回折格子は、キャビティを作るためにコンポーネントの両端部に形成されることができる。各端部の回折格子は、一方の端部からの光の出力を可能にするために異なる反射率を有することができる。DFBレーザーに関しては、回折格子は、活性領域全体に形成されることができる。
ステップS105は「2レベルオーバーグロース」である。これは、エピタキシャルp型層220を成長することを含み、エピタキシャルp型層220は、オプションのステップS104aが実行された場合に回折格子によってパターン化されることができる。実施形態では、この層の厚さは200nmである。p型層220はデバイス全体にわたって成長されるが、n型層218およびp型層216に起因して、電流は活性領域のみに提供される。
ステップS106は、「2レベル製造」であり、それは、光リソグラフィでのコンタクト領域の規定と、n型金属コンタクトおよびp型金属コンタクトの堆積と、アニーリングと、を含む。n型金属コンタクトは、マスター光源1804およびスレーブ光源1801とは反対側の基板1847の表面に堆積される。p型金属コンタクトはp型層220上に堆積される。
デバイスが2つのストライプレーザーを含む場合、垂直トレンチは、エンドミラーを設けるために、マスター光源1804およびスレーブ光源1801の各端部にエッチングされる。
同様のデバイスは、2つの独立した実行(runs)で製造され、ダイスカットされ(diced)、他のプラットフォーム(foreign platform)上にフリップチップ実装されて整列される。例えば、2つのInPに基づいたレーザーは、共通のSiキャリア基板上に実装されることができる。これは図33に関して説明される。
図19(b)は、2つのDFBレーザーを有する光学デバイスに関して、図19(a)のステップの後のサンプルの構造を示す。
ステップS101の後では、サンプルは、基板1847と、基板1847上にあり基板1847に接触しているバッファ層1951と、バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触しているn型層1953と、n型層1953上にありn型層1953に接触している第1の導波路層210aと、第1の導波路層210a上にあり第1の導波路層210aに接触しているMQW層212と、MQW層212上にありMQW層212に接触している第2の導波路層210bと、を含む。
ステップS102の後では、誘電体ハードマスク214、第2の導波路層210b、MQW層212および第1の導波路層210aは、n型層1953上にありn型層1953に接触しているリッジである。
ステップS103の後では、p型層216は、n型層1953上にありn型層1953とリッジの一側面とに接触し、n型層218は、p型層216上にありn型層1953に接触している。
ステップS105の後では、誘電体ハードマーク214は除去されており、p型層220は、リッジおよびn型層218上にありリッジおよびn型層218に接触している。
ステップS106の後では、p型コンタクト層222は、p型層220上にありp型層220に接触している。p型コンタクト金属224は、p型コンタクト層222上にありp型コンタクト層222に接触している。n型コンタクト金属226は、p型コンタクト金属224とは反対側の基板の表面に接触している。
図19(c)は、2つのストライプレーザーに関して、各ステップの後のサンプルの構造を示す。
ステップS101の後では、サンプルは、基板1847と、基板1847上にあり基板1847に接触しているバッファ層1951と、バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触しているn型層1953と、n型層1953上にありn型層1953に接触している第1の導波路層210aと、第1の導波路層210a上にあり第1の導波路層210aに接触しているMQW層212と、MQW層212上にありMQW層212に接触している第2の導波路層210bと、p型層220上にありp型層220に接触しているp型層222と、を含む。
ステップS102の後では、p型層222は、p型層220上にありp型層220に接触しているリッジである。
ステップS106の後では、p型コンタクト金属224は、p型層222上にありp型層222に接触している。n型コンタクト金属226は、p型コンタクト金属224とは反対側の基板の表面に接触している。
図20は、実施形態に係る干渉システムの一部である光源の概略図を示し、この光源では、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、垂直接合で横方向に連結していて、両方ともにDBRレーザーである。図は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側面図と、光が放出される方向に垂直な方向での断面と、を示す。
各DBRレーザー中の活性領域は、マルチ量子井戸領域(MQW)を含む。MQW領域は複数の量子井戸層を含む。DBRレーザーが1.55um動作のために構成される実施形態では、MQW領域は、例えば、AlInGaAs/InP、AlInGaAs/AlInAs、InGaAsP/InP、InGaAsP/AlInAsまたはInGaAs/AlInGaAsなどの複数の材料が交互に重なった層を含む。これらの層はすべてInP基板と格子整合する。
デバイスは基板1847を含む。基板の1つの表面上にはn型コンタクト226がある。バッファ層1951は、反対側の基板1847の表面上にありこの表面に接触している。基板1847およびバッファ層1951の両方はn型層である。あるいは、基板1847がp型層であるように、構造は逆にされることができる。これらの層はn型にドープされたInPであることができる。n型層1953は、バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触している。n型層1953はn型にドープされたInPであることができる。第1の導波路材料210aは、n型層1953のストリップ上にありこのストリップに接触している。MQW層212は、第1の導波路材料210a上にあり第1の導波路材料に接触している。第2の導波路材料210bは、MQW層210上にありMQW層210に接触している。p型材料216は、ストリップの一側面にあり、さらに、n型材料1953上にありn型材料1953に接触している。p型材料216はp型にドープされたInPであることができる。n型層218は、p型層216上にありp型層216に接触しており、n型にドープされたInPであることができる。p型層220は、第2の導波路層210bおよびn型層218上にあり第2の導波路層210bおよびn型層218に接触しており、p型にドープされたInPであることができる。p型コンタクト層222は、p型層220上にありp型層220に接触している。一実施形態では、p型コンタクト層222は、高濃度にドープされたInPであり、すなわち、層220よりも高いドーパント濃度を有する。p型コンタクト金属224は、p型コンタクト層222の一部分上にありこの部分に接触している。
側面図に示されるように、MQWストリップはデバイスの長さに沿って延びる。MQWストリップの一部上に第1のp型コンタクト層224aがある。光が放出される方向に沿って第1のp型コンタクト224aの下のストリップの部分の片側において、第2の導波路材料中に回折格子がある。これはマスター光源1804を形成する。第2のp型のコンタクト224bは、MQWストリップの第2の部分上に形成され、それは、マスター光源1804からデバイスの長さに沿ったところにある。光が放出される方向に第2のp型コンタクト224bの下のストリップの部分の片側において、第2の導波路材料中に回折格子がある。これはスレーブ光源1801を形成する。
電流は、マスター光源1804のMQWストリップにおいて光を生成するために、第1のp型コンタクト224aとn型コンタクト226との間に適用される。マスター光源1804のMQWストリップにおいて生成された光は、MQW層に沿って放出される。光は、p型層216によって横方向に制限され、導波路層210aおよび210bによって垂直方向に制限される。光は、スレーブ光源1801のMQW層に入る。時間変化電流は、第2のp型コンタクト224bとn型コンタクト226との間に適用される。光は、このデバイス内の導波路領域においてマスター光源1804とスレーブ光源1801との間を移動する。
図21は、実施形態に係る干渉システムの一部である光源の概略図を示し、この光源では、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、垂直接合で横方向に連結していて、両方ともDFBレーザーである。図は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側面図と、光が放出される方向に垂直な方向での断面と、を示す。
このデバイスの構造は、図20に示されるデバイスに似ている。しかしながら、図21は、回折格子が導波路領域210bの表面上に全体構造に沿ってある2つのDFBレーザーを示す。DFBレーザーは個々のミラーを有さず、代わりに、回折格子は活性領域上に分配された光フィードバックを提供し、光は回折格子によって反射される。これは、個々のミラーがレーザーの端部の回折格子によって形成され、活性領域および回折格子が離れている図20とは異なる。
マスター光源1804とスレーブ光源1801との間にギャップがある。ギャップは、光が放出される方向に垂直な方向においてデバイス全体にわたって延在することができる。ギャップはバッファ層1951まで下に延びる。光は、ギャップ中の自由空間を通じてマスター光源1804とスレーブ光源1801との間を移動する。ギャップはデバイスの製造中にエッチングされる。
図22は、実施形態に係る干渉システムの一部である光源の概略図を示し、この光源では、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、垂直接合で横方向に連結されていて、両方ともにリッジレーザーまたはストライプレーザーである。図は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側面図と、光が放出される方向に垂直な方向での断面を示す。
一実施形態では、リッジレーザーは明確な面を有する導波路である。材料構造は、InP基板1847と格子整合するクラッド材によって囲まれたコアを含む。一実施形態では、例えば、クラッド材はInPであり、コアはAlInGaAsである。AlInGaAsはInPと比較して高い屈折率を有するので、AlInGaAsが使用されることができる。
デバイスは基板1847を含む。基板の1つの表面にはn型コンタクト226がある。バッファ層1951は、反対側の基板1847の表面上にありこの表面に接触している。基板1847およびバッファ層1951の両方はn型である。あるいは、デバイスは、基板1847がp型である逆構造を有していてもよい。n型のクラッド層1953は、バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触している。第1の導波路材料210aは、n型層1953上にありn型層1953に接触している。MQW層212は、第1の導波路材料210a上にあり第1の導波路材料210aに接触している。第2の導波路材料210bは、MQW層210上にありMQW層210に接触している。p型のクラッド層220は、第2の導波路層210b上にあり第2の導波路層210bに接触している。クラッド層はInAlAsであることができる。p型材料222のリッジは、p型層220上にありp型層220に接触している。p型コンタクト金属224は、リッジ222上にありリッジ222に接触している。一実施形態では、p型コンタクト層222はInGaAsである。
側面図に示されるように、マスター光源1804とスレーブ光源1801との間にギャップがある。ギャップは、光が放出される方向に垂直な方向においてデバイス全体にわたって延びることができる。ギャップは基板1847まで下に延びる。
電流は、光を生成するために、p型コンタクト224aとn型コンタクト226との間に適用される。マスター光源1804のMQWストリップにおいて生成された光は、MQW層に沿って放出される。光は、導波路層210aおよび210bによって垂直方向に制限される。レーザーモードは、エッチングされたストライプ、すなわち、図22の層222の下に導かれる。光は、ギャップ中の自由空間を通じてマスター光源1804とスレーブ光源1801との間を移動する。光は、スレーブ光源1801のMQW層に入る。時間変化電流はp型コンタクト224bとn型コンタクト226との間に適用される。
図23は、実施形態に係る干渉システムを製造する方法の一部であって、垂直接合でモノリシックに集積されたマスター光源1804およびスレーブ光源1801の成長および製造の方法のフローチャートを示す。方法は、異なるタイプである、あるいは、同じタイプであるが横方向に連結されていてさらなるデバイスと組み合わされるマスター光源1804およびスレーブ光源1801を有する光学デバイスを製造するために使用されることができる。方法は、図24または25に関して説明されるようなデバイスを製造するために使用されることができる。
この方法によって製造されたデバイスでは、マスター光源1804およびスレーブ光源1801の両方は、基板上にモノリシックに集積される。実施形態では、基板はn型InP基板である。例えば、マスター光源1804およびスレーブ光源1801のうちの一方はDFBレーザーであることができ、他方はストライプレーザーであることができる。あるいは、この方法は、マスター光源1804およびスレーブ光源1801の両方が同じタイプである場合に使用されてもよいが、さらなる要素がデバイスに含まれる。
ステップS201「0レベルグロース」では、バッファ層1951は基板1847上で成長され、活性領域構造、例えば、MQW領域212がそれに続く。一実施形態では、バッファ層1951は200nmである。バッファ層はn型InP層であることができる。
ステップS202では、サンプルは「0レベル製造」のために成長機構から取り出される。このステップは、例えばSi3N4またはSiO2層であり得る誘電体ハードマスクの堆積を含む。この誘電体層の厚さは、成長された活性領域の厚さおよびドライエッチング選択比に依存することができる。次に、フォトレジストはスピン処理され、ストリップが光リソグラフィによって規定される。現像後に、レジストに規定されたストリップパターンは、CF4かCHF3化学に基づいたドライエッチングによって誘電体層に転写される。次に、表面上の残りのレジストは、レジストリムーバー溶液中であるいはO2プラズマ灰化によって除去される。次に、半導体ドライエッチングが実行される。Cl2に基づいた化学は、良質の垂直側壁を設けるために使用されることができる。これは、例えばDFBレーザーであり得るマスター光源1804およびスレーブ光源1801のうちの一方の「ボディ」を形成する。DFBレーザーに関しては、図19に関して説明されたようなp型層216およびn型層218を成長するためのステップは含まることができる。このステージでは、トレンチは、エッチングでMQW領域を選択的に除去することによって形成される。
サンプルはそのときステップS203「1レベルオーバーグロース」の準備ができる。誘電体ハードマスクはストリップ領域に残されている。これはデバイス活性領域上で局所的なオーバーグロースを防止する。このステップで、例えばストライプレーザーであり得るマスター光源1804およびスレーブ光源1801の他方の「ボディ」は、成長され、続いて平坦化される。第2のレーザー構造は、ステップS202において形成された予め規定されたトレンチ内で成長される。
マスター光源1804およびスレーブ光源1801が同じタイプである場合、両方はステップS202において成長される。その後に、異なるタイプのさらなるコンポーネント、例えば、導光領域は、ステップS203で成長されることができる。
ステップS204「1レベル製造」では、誘電体ハードマスクは除去される。これは、サンプルをHFに浸漬することまたはドライエッチングを含む。DFBレーザーに関しては、回折格子は、電子線リトグラフィーレジストでサンプルをスピン処理し、電子線リトグラフィーで回折格子パターンを規定することによって、このステージで形成されるべきである。回折格子の寸法はレーザー出力波長に依存することができる。現像後に、パターンはウェットまたはドライシャローエッチングによって転写される。
次に、光学レジストをスピン処理することと、n型コンタクト226を規定することと、を含む製造は、実行される。レジストの現像後に、n型金属は、堆積され、リフトオフされ、アニールされる。同様の手順はp型コンタクト224を規定するために適用される。
ストライプレーザーに関しては、垂直トレンチは、エンドミラーを設けるために、ストライプレーザーの一端部にエッチングされるべきである。
同様のデバイスは、2つの独立した実行で製造され、ダイスカットされ、他のプラットフォーム上にフリップチップ実装されて整列される。例えば、2つのInPに基づいたレーザーは、共通のSiキャリア基板上に実装されることができる。
図24は、実施形態に係る干渉システムの一部である光源の概略図を示し、この光源では、マスター光源1804はDFBレーザーであり、スレーブ光源1801はストライプレーザーであり、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は垂直接合で横方向に連結されいてる。図は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側面図と、光が放出される方向に垂直な方向での断面と、を示す。
DFBレーザーは、図21に関して説明された構造を有する。ストライプレーザーは、図22に関して説明された構造を有する。マスター光源1804とスレーブ光源1801との間にギャップがある。ギャップは、光が放出される方向に垂直な方向にデバイス全体にわたって延在することができる。ギャップは基板1847まで下に延びる。光は、ギャップ中の自由空間を通じてマスター光源1804とスレーブ光源1801との間を移動する。
図25は、実施形態に係る干渉システムの一部である光源の概略図を示し、この光源では、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、垂直接合で横方向に連結されていて、両方ともにDFBレーザーであり、この光源は、複数の導光領域を含む。図は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側面図と、光が放出される方向に垂直な方向での断面と、を示す。
DFBレーザーは、図21に関して説明された構造を有する。マスター光源1804とスレーブ光源1801との間に導光領域221がある。マスター光源1804と導光領域221との間にギャップがあり、さらに、導光領域221とスレーブ光源1801との間にギャップがある。第1の導光領域221とは反対側のスレーブ光源1801の面側に位置する第2の導光領域223がある。スレーブ光源1801と第2の導光領域223との間にギャップがある。ギャップは、光が放出される方向に垂直な方向にデバイス全体にわたって延在することができる。ギャップは、バッファ層1951まで下に延びる。光は、ギャップ中の自由空間および導光領域221を通じてマスター光源1804とスレーブ光源1801との間を移動する。
導光領域は、バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触している第1の層280と、第1の層280上にあり第1の層280に接触している導波路領域と、導波路領域上にあり導波路領域に接触している第2の層282と、を含む。光は、導波路領域において垂直方向および横方向に制限される。第1の層280および第2の層282は、例えば、InPであることができる。導波路領域は、InAlAsクラッド領域を有するInGaAs層を含むことができる。
図26(a)は、実施形態に係る干渉システムを製造する方法の一部であって、横接合でモノリシックに集積されたマスター光源1804およびスレーブ光源1801の成長および製造の方法のフローチャートを示す。この方法は、横方向に連結されていて同じタイプであるマスター光源1804およびスレーブ光源1801を有する光学デバイスを製造するために使用されることができる。方法は、図27に関して説明されるようなデバイスを製造するために使用されることができる。
この方法によって製造されたデバイスでは、マスター光源1804およびスレーブ光源1801の両方は、基板、例えば、Si−InP基板上にモノリシックに集積される。Si−InP基板は、電流がすべて横のn型およびp型コンタクト間で流れる横接合を作るために使用される。
ステップS301では、バッファ層1951は成長され、活性領域構造がそれに続く。一実施形態では、バッファ層の厚さは200nmである。一実施形態では、バッファ層は半絶縁性のInPである。活性領域構造は、前の図に関して説明されたようなマルチ量子井戸(MQW)構造を含むことができる。このステップは「0レベルグロース」と呼ばれる。
その後、ステップS302「0レベル製造」において、サンプルは成長機構から取り出される。これは、Si3N4またはSiO2層であり得る誘電体ハードマスクの堆積を含む。この誘電体層の厚さは、成長された活性領域の厚さおよびドライエッチング選択比に依存することができる。次に、フォトレジストはスピン処理され、n型トレンチ領域は光リソグラフィによって規定される。現像後に、レジストに規定されたパターンは、例えばCF4またはCHF3化学に基づいたドライエッチングによって誘電体層に転写される。次に、表面上の残りのレジストは、レジストリムーバー溶液中であるいはO2プラズマ灰化によって除去される。次に、半導体ドライエッチングは実行される。Cl2に基づいた化学は、良質の垂直壁面を設けるために使用されることができる。
サンプルは、そのときステップS303「1レベルオーバーグロース」の準備ができている。誘電体ハードマスクは、n型トレンチを除いた領域上に残される。これは選択的領域成長を提供する。n型層228はn型トレンチにおいて成長され、エッチングされた領域は平坦化される。n型層228は、例えば、InPであることができる。
ステップS304「1レベル製造」では、誘電体ハードマスクが除去される。これは、サンプルをHFに浸漬することまたはドライエッチングを含む。このポイントでは、ドライエッチングのための新しいハードマスクとして働く新しい誘電体層が堆積される。この場合もやはり、この層の厚さは、成長された活性領域の厚さおよびドライエッチング選択比に依存することができる。フォトレジストは、光リソグラフィによってp型トレンチ領域を規定するためにスピン処理され、現像される。パターンは、例えばCHF3またはCF4化学に基づいて、ドライエッチングによって誘電体層に転写される。その後、前述のものと同様に、レジストは除去される。続いて、p型トレンチ領域は、Cl2化学に基づいてドライエッチングされる。
ステップS305「2レベルオーバーグロース」は、エッチングされたp型トレンチ領域の上にエピタキシャルp型層230を成長することを含む。p型層230は、例えば、InPであることができる。前の成長ステップにおいて残された誘電体層は、選択領域エピタキシーを可能にする。
ステップS306「2レベル製造」は、HFへの浸漬またはドライエッチングによって誘電体ハードマスクを除去することを含む。DFBレーザーに関しては、続いて、新たな誘電体層は、堆積され、その後にレジストと回折格子パターンでパターン化された電子ビームとでスピン処理される。これは、次にドライまたはウェットエッチングされて誘電体領域になる。
最終ステップでは、n型およびp型コンタクトは、光リソグラフィによってn型およびp型トレンチの上にそれぞれ規定される。n型およびp型コンタクトに適している金属は、堆積され、リフトオフされ、アニールされる。
同様のデバイスは、2つの独立した実行で製造され、ダイスカットされ、他のプラットフォーム上にフリップチップ実装されて整列される。例えば、2つのInPに基づいたレーザーは、共通のSiキャリア基板上に実装されることができる。
図26(b)は、2つのDFBレーザーを有する光学デバイスに関して、図26(a)のステップの後のサンプルの構造を示す。
ステップS301の後では、サンプルは、基板1847と、基板1847上にあり基板1847に接触しているバッファ層1951と、バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触している層232と、層232上にあり層232に接触している第1の導波路層210aと、第1の導波路層210a上にあり第1の導波路層210aに接触しているMQW層212と、MQW層212上にありMQW層212に接触している第2の導波路層210bと、を含む。
ステップS302の後では、誘電体ハードマスク214と、第2の導波路層210bと、MQW層212と、第1の導波路層210aと、を含むプラトー(plateau)は、層232の一部分上にありこの部分に接触している。
ステップS303の後では、n型層228は、プラトーに隣接していて、層232上にあり層232に接触しており、誘電体ハードマスク214は、除去されている。
ステップS304の後では、プラトーは、n型層228およびスタック上にありn型層228およびスタック(stack)に接触している誘電体ハードマスク214を含み、このスタックは、第2の導波路層210bと、MQW層212と、第1の導波路層210aと、を含む。プラトーは、層232の一部分上にありこの部分に接触している。
ステップS305の後では、n型層228と、第2の導波路層210b、MQW層212および第1の導波路層210aを含むスタックと、p型層230とは、層232上にあり層232に接触している。n型層228はスタックの片側に隣接し、p型層230はスタックの反対側に隣接している。
ステップS306の後では、回折格子は、第2の導波路層210b上に形成されている。p型コンタクト金属224は、p型層230上にありp型層230に接触している。n型コンタクト金属226は、n型層228上にありn型層228に接触している。
図27は、実施形態に係る干渉システムの一部である光源の概略図を示し、この光源では、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、横接合で横方向に連結されていて、両方ともにDBRレーザーである。あるいは、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、DFBレーザーであってもよい。図は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側面図と、光が放出される方向に垂直な方向での断面と、上方からデバイスを見た、すなわち、層の積層方向における上面図と、を示す。
デバイスは、基板1847と、基板1847上にあり基板1847に接触しているバッファ層1951と、バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触している層232と、を含む。層232は、バッファ層の拡張である。n型層228と、第2の導波路層210b、MQW層212および第1の導波路層210aを含むスタックと、p型層230とは、層232上にあり層232に接触している。スタックは、n型層228とp型層230との間にある。n型層228はスタックの片側に隣接し、p型層230はスタックの反対側に隣接している。p型コンタクト金属224は、p型層230上にありp型層230に接触している。n型コンタクト金属226は、n型層228上にありn型層228に接触している。
側面図および上面図に示されるように、MQWストリップは、デバイスの長さに沿って延びている。第1のp型コンタクト224aおよびn型コンタクト226aは、光の放出の方向に垂直な方向に、MQWストリップの一部の片側にある。光の放出の方向におけるストリップの一部分の片側に、第2の導波路材料中に回折格子がある。これはマスター光源1804を形成する。第2のp型コンタクト224bおよびn型コンタクト226bは、光の放出の方向に垂直な方向にMQWストリップの第2の部分の片側にあり、それは、マスター光源1804からデバイスの長さに沿ったところにある。光の放出の方向におけるストリップの第2の部分の片側に、第2の導波路材料中に回折格子がある。これはスレーブ光源1801を形成する。
平面図は、光の放出に垂直な方向において、ストリップの片側に第1のp型コンタクト224aがあり、ストリップの反対側に第1のn型コンタクト226aがあることを示す。これらのコンタクトは、マスター光源1804の一部を形成する。光の放出に垂直な方向におけるストリップの片側の第2のp型コンタクト224bおよびストリップの反対側の第2のn型コンタクト226bは、スレーブ光源1801を形成する。
電流は、マスター光源において光を生成するために、第1のp型コンタクト224aと第1のn型コンタクト226aとの間に適用される。マスター光源1804のMQWストリップにおいて生成された光は、MQW層に沿って放出される。光は、p型層230およびn型層228によって横方向に制限され、導波路層210aおよび210bによって垂直方向に制限される。光は、スレーブ光源1801のMQW層に入る。時間変化電流は、スレーブ光源1801の第2のp型コンタクト224bおよび第2のn型コンタクト226b間に適用される。
図28(a)は、実施形態に係る干渉システムを製造する方法の一部である、横接合でイオンインプランテーションによってモノリシックに集積されたマスター光源1804およびスレーブ光源1801の成長および製造の方法のフローチャートを示す。方法は、横方向に連結されていて同じタイプであるマスター光源1804およびスレーブ光源1801を有する光学デバイスを製造するために使用されることができる。方法は、図29に関して説明されるようなデバイスを製造するために使用されることができる。
この方法によって製造されたデバイスでは、マスター光源1804およびスレーブ光源1801デバイスの両方は、基板上にモノリシックに集積される。実施形態では、基板はSi−InPである。
ステップS401では、バッファ層が成長され、それに活性領域構造が続く。実施形態では、バッファ層は200nmである。実施形態では、バッファ層はSi−InPである。活性領域構造は、図20に関して上述したようなマルチ量子井戸(MQW)構造であることができる。このステップは「0レベルグロース」と呼ばれる。
その後、サンプルは、ステップS402「0レベル製造」において成長機構から取り出される。これは、例えばSi3N4かSiO2層であり得る誘電体ハードマスクの堆積を含む。この層の厚さは、成長された活性領域の厚さおよびドライエッチング選択比に依存することができる。次に、フォトレジストがスピン処理され、n型トレンチ領域およびp型トレンチ領域が光リソグラフィによって規定される。現像後に、レジストに規定されたパターンは、例えばCF4またはCHF3化学に基づいて、ドライエッチングによって誘電体層に転写される。次に、表面上の残りのレジストは、レジストリムーバー溶液中であるいはO2プラズマ灰化によって除去される。次に、半導体ドライエッチングが実行される。Cl2に基づいた化学は、良質の垂直壁面を設けるために使用されることができる。エッチングの深さは活性領域の厚さに依存することができる。
サンプルは、そのときステップS403「1レベルオーバーグロース」の準備ができる。誘電体ハードマスクは、デバイス領域上に残されている。これは選択領域成長を提供する。半絶縁層が成長され、エッチングされた領域が平坦化される。半絶縁層は、例えば、InPであることができる。
ステップS404「1aレベル製造」では、誘電体ハードマスクは除去される。これは、サンプルをHFに浸漬することまたはドライエッチングを含む。このポイントにおいて、ドライエッチングのための新たなハードマスクとして働く新たな誘電体層が堆積される。この場合もやはり、この層の厚さは、成長された活性領域の厚さおよびドライエッチング選択比に依存することができる。フォトレジストは、光リソグラフィによってp型トレンチ領域を規定するためにスピン処理され、現像される。パターンは、CHF3かCF4化学に基づいたドライエッチングによって誘電体層に転写される。これは誘電体マスクの選択領域エッチングである。その後に、レジストが除去される。その後に、p型トレンチ領域はイオンでインプラントされ、イオンはその後に半絶縁層中にpドーピングを生じさせるために活性化される。マスクが除去されると、イオンは半絶縁層へインプラントされる。マスクが残る場合、イオンはインプラントされないだろう。
ステップS405「1bレベル製造」では、誘電体ハードマスクが除去される。これは、サンプルをHFに浸漬することまたはドライエッチングを含む。このポイントにおいて、ドライエッチングのための新たなハードマスクとして働く新たな誘電体層が堆積される。この場合もやはり、この層の厚さは、成長された活性領域の厚さおよびドライエッチング選択比に依存することができる。フォトレジストは、光リソグラフィによってn型トレンチ領域を規定するためにスピン処理され、現像される。パターンは、CHF3またはCF4化学に基づいたドライエッチングによって誘電体層に転写される。その後に、レジストは除去される。その後に、n型トレンチ領域はイオンでインプラントされ、イオンはその後に半絶縁層中にnドーピングを生じさせるために活性化される。
ステップS406「2レベル製造」は、HFへの浸漬またはドライエッチングによって誘電体ハードマスクを除去することを含む。DFBレーザーの製造に関しては、新たな誘電体層が堆積され、それはその後にレジストと回折格子パターンでパターン化された電子ビームとでスピン処理される。その後に、これは、ドライまたはウェットエッチングされて誘電体領域になる。
最終ステップでは、n型およびp型コンタクトは、光リソグラフィによって適宜にn型およびp型トレンチ上に規定される。n型およびp型コンタクトに適している金属は、堆積され、リフトオフされ、アニールされる。
同様のデバイスは、2つの独立した実行で製造され、ダイスカットされ、他のプラットフォーム上にフリップチップ実装されて整列される。例えば、2つのInPに基づいたレーザーは、共通のSiキャリア基板上に実装されることができる。
図28(b)は、図28(a)に関して説明された方法の製造段階を示す。
ステップS401の後では、サンプルは、基板1847と、基板1847上にあり基板1847に接触しているバッファ層1951と、バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触している層232と、層232上にあり層232に接触している第1の導波路層210aと、第1の導波路層210a上にあり第1の導波路層210aに接触しているMQW層212と、MQW層212上にありMQW層212に接触している第2の導波路層210bと、を含む。
ステップS402の後では、誘電体ハードマスク214a、第2の導波路層210b、MQW層212および第1の導波路層210aは、層232上にあり層232に接触しているリッジである。
ステップS403の後では、半絶縁層236は、リッジの両側において層232上にあり層232に接触している。
ステップS404の後では、第2の誘電体ハードマスク214bは、リッジとリッジの片側にある半絶縁層236とリッジの反対側にある半絶縁層236の一部との上にありこれらに接触している。上に誘電体ハードマスク214bがない半絶縁層236の部分にnドーピングの領域がある。
ステップS405の後では、第3の誘電体ハードマスク214bは、リッジとリッジの片側にあるnドーピングを有する半絶縁層236とリッジの反対側にある半絶縁層236の一部との上にありこれらに接触している。上に誘電体ハードマスク214cがない半絶縁層236の部分にpドーピングの領域がある。
ステップS406の後では、p型コンタクトは、半絶縁層236中のpドーピング領域上にありこれに接触している。n型コンタクトは、半絶縁層236中のnドーピング領域上にありこれに接触している。
図29は、実施形態に係る干渉システムの一部である光源の概略図を示し、この光源では、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、両方ともにDBRレーザーであり、横接合で横方向に連結されていてイオンインプランテーションによって製造される。あるいは、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、DFBレーザーであってもよい。図は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側面図と、光が放出される方向に垂直な方向での断面と、上方からデバイスを見た、すなわち、層の積層方向における上面図と、を示す。
デバイスは、基板1847と、基板1847上にあり基板1847に接触しているバッファ層1951と、バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触している層232と、を含む。半絶縁層237と、第2の導波路層210b、MQW層212および第1の導波路層210aを含むスタックと、半絶縁層237とは、層232上にあり層232に接触している。スタックは、半絶縁層236と半絶縁層237との間にある。半絶縁層236はスタックの一側面に隣接し、半絶縁層237はスタックの反対側の側面に隣接している。半絶縁層236はnインプラント領域240を含み、半絶縁層237はpインプラント領域238を含む。p型コンタクト金属224は半絶縁層237上にあり半絶縁層237に接触している。n型コンタクト金属226は半絶縁層236上にあり半絶縁層236に接触している。
側面図および上面図に示されるように、MQWストリップはデバイスの長さに沿って延びる。第1のp型コンタクト224aおよびn型コンタクト226aは、光の放出の方向に垂直な方向において、MQWストリップの一部の片側にある。光の放出の方向におけるストリップの部分の片側に、第2の導波路材料中に回折格子がある。これはマスター光源1804を形成する。第2のp型コンタクト224bおよびn型コンタクト226bは、光の放出の方向に垂直な方向において、MQWストリップの第2の部分の片側にある。それは、マスター光源1804からデバイスの長さに沿ったところにある。光の放出の方向におけるストリップの第2の部分の片側に、第2の導波路材料中に回折格子がある。これはスレーブ光源1801を形成する。
上面図は、光の放出に垂直な方向においてストリップの片側にあるp型コンタクト224aおよびストリップの反対側にあるn型コンタクト226aを示す。これらのコンタクトは、マスター光源1804の一部を形成する。光の放出に垂直な方向においてストリップの片側にあるp型コンタクト224bおよびストリップの反対側にあるn型コンタクト226bは、スレーブ光源1801を形成する。
電流は、マスター光源1804において光を生成するために、第1のp型コンタクト224aと第1のn型コンタクト226aとの間に適用される。マスター光源1804のMQWストリップにおいて生成された光は、MQW層に沿って放出される。光は、半絶縁層236および237によって横方向に制限され、導波路層210aおよび210bによって垂直方向に制限される。光は、スレーブ光源1801のMQW層に入る。時間変化電流は、スレーブ光源1801の第2のp型コンタクト224bと第2のn型コンタクト226bとの間に適用される。
図30は、実施形態に係る干渉システムの一部である光源の概略図を示し、この光源では、マスター光源3004およびスレーブ光源3001は、基板3047上に集積される。マスター光源3004およびスレーブ光源3001は、垂直キャビティレーザーである。光は、層の面から離れる方向、すなわち、層の積層方向に垂直な方向に放出される。
光学デバイスは、基板3047上にさらに集積された調整素子を随意的に含むことができる。調整素子は、マスター光源3004とスレーブ光源3001との間に配置されることができる。
マスター光源3004およびスレーブ光源3001は、基板3047の第1の表面上に集積される。マスター光源3004およびスレーブ光源3001は、基板3047の第1の表面に実質的に垂直な第2の面において互いに対して配置される。光は、第2の面内でマスター光源3004およびスレーブ光源3001から放出される。マスター光源3004およびスレーブ光源3001は、マスター光源3004から放出された光がスレーブ光源3001のアパーチャに入るように構成される。スレーブ光源3001はマスター光源3004上に積層されている。言い換えると、マスター光源3004はスレーブ光源3001と基板3047との間にある。
図30に示されるような構造はMOVPEによって成長されることができる。MOVPEは、プロセス中の多数のオーバーグロースステップがあるものに適している。デバイスは、モノリシックに集積するアプローチを使用して成長されることができる。
一実施形態では、基板はInPである。
1以上の電気コンタクトは、マスター光源3004およびスレーブ光源3001に形成されることができる。AuGeNiはn型コンタクト金属として使用されることができ、p型コンタクト金属はPdZnAu、AuCrAuZnAuおよびAuBeのうちのいずれか1つであることができる。n型電極はn型コンタクトを含んで形成され、p型電極はp型コンタクトを含んで形成される。
InPベースの材料のウェットエッチングは、ArまたはN2で薄められた高温でのCl2に基づいたエッチング、CH4に基づいたエッチング、またはSiCl4Arに基づいたエッチングを使用して実行されることができる。誘電体ドライエッチングは、Si3N4またはSiO2を使用して形成された誘電体ハードマスクを用いて、CHF3またはCF4に基づいた化学を使用して実行されることができる。デバイス製造の方法のさらなる詳細は後述される。
マスター光源3004およびスレーブ光源3001の様々な横方向形状が形成されることができる。マスター光源3004およびスレーブ光源3001の断面は、例えば、円であることができる。
光学デバイスは、例えば人造ダイヤモンドであり得る集積されたヒートシンクを含むことができる。
一実施形態、マスター光源3004およびスレーブ光源3001の少なくとも一方はVCSELである。
レーザーは回折格子を含むことができる。回折格子領域は活性領域と離れていてもよく、あるいは、活性領域は回折格子を含んでいてもよい。活性領域と回折格子が離れているレーザーはDBR(分布ブラッグ反射器)レーザーと呼ばれる。VCSELはDBRレーザーの一種である。
図31(a)は、実施形態に係る干渉システムを製造する方法の一部である、垂直接合でモノリシックに集積されたマスター光源3004およびスレーブ光源3001の成長および製造の方法のフローチャートを示す。方法は、垂直方向に連結していて両方ともにVCSELであるマスター光源および利得スイッチレーザーを有する光学デバイスを製造するために使用されることができる。方法は、図32に関して説明されるようなスレーブ光源3001がマスター光源3004上に垂直に積層されたデバイスを製造するために使用されてもよい。
デバイスは、ステップS501でモノリシックに成長される。成長フェーズであるステップS501は、ステップS502中のいずれかの製作スタートの前に完了する。
実施形態では、基板3047はp型のInPである。基板3047はバッファ層でオーバーグローされる(overgrown)。実施形態では、バッファ層の厚さは200nmである。実施形態では、バッファ層はp型層である。その後に、p型にドープされた分布ブラッグ反射器(DBR)246が成長される。DBR246は、様々な屈折率を有する材料を交互に並べた複数の層を含む。材料は、例えば、InP/AlInGaAs、InP/InGaAsPまたはAlInGaAs/AlInAsであることができ、これらはすべてInPと格子整合する。DBR246がデバイスの「下部」に位置する、すなわち、基板3047に最も近いので、一実施形態では、それは95%より高い反射率を有するように構成される。その後に、Al含有量が高い材料の層250が成長される。一実施形態では、材料は60%より高いAl含有量を有する。この材料は、例えば、AlAsであることができる。その後に、下部活性領域247の層が成長される。下部活性領域247はMQW構造を含んでいてもよい。その後に、Al含有量が高い材料の第2の層252が成長される。次に、n型DBR248が成長される。このn型DBR248は、下部p型DBR246より低い反射率を有する。このようにして、下部活性領域247は、プロセス中に選択領域酸化に使用されるAl含有量が高い材料の2つの層、例えば、AlAs層250および252によってDBRから隔てられている。次に、最も低い反射率を有するp型のDBR256が後続する上部活性領域254が成長される。
実施形態では、3つのDBRに関する反射率関係は下記の関係になる。
R(下部p型DBR246)>R(n型DBR248)>R(上部p型DBR256)
製造ステップS502は、ウエハの後部の、すなわち、バッファ層1951に対する基板3047の反対側のp型コンタクト260の堆積で始まる。その後に、レジストが、上部p型コンタクト261を光学的に規定するために、ウエハの上にスピン処理される。レジスト現像後に、p型金属が堆積されてリフトオフされる。上部p型コンタクト261はp型DBR層256上にある。その後に、p型コンタクトは両方同時にアニールされる。
その後に、誘電体層が堆積され、この誘電体層は例えばSi3N4かSiO2層であることができる。この層はエッチングのためのハードマスクとして働く。次に、光学レジストがデバイスの上端形状/サイズを規定するためにスピン処理される。現像後に、ハードマスクは、例えばCHF3またはCF4化学に基づいてエッチングされる。その後に、残りのレジストは、例えばレジストリムーバー溶液中で、除去される。その後に、半導体ウエハは深さxまでエッチングされる。深さxは、上部活性領域254より下でn型DBR層248の下端より上にある。言い換えると、ウエハはn型DBR層248の途中までエッチングされる。エッチングはCl2化学に基づいていてもよい。その後に、誘電体マスクは、例えばHFによって、除去される。
その後に、光学レジストがスピン処理され、n型コンタクト領域が規定されて現像される。次に、n型金属が、堆積され、リフトオフされ、アニールされる。n型コンタクト262は、n型DBR層248のエッチングされた表面上にある。
次に、他の誘電体層が堆積され、この誘電体層は例えばSi3N4またはSiO2層であってもよい。誘電体層はエッチングのためのハードマスクとして働く。光学レジストがスピン処理され、下端形状が規定される。現像後に、誘電体マスクがドライエッチングされ、それに続けて下部p型DBR246の途中まで半導体エッチングがなされる。これはポイントxからの深さyである。その後に、誘電体ハードマスクは除去される。このエッチングは、層248にn型コンタクトを設けるために平坦な表面を作るために実行される。
その後に、サンプルはウェット酸化される。このプロセスは、AlAs選択ウェット酸化領域を、デバイス中の電流フローを制限する誘電体層に変える。湿式炉はサンプルを酸化させるために使用されることができる。AlAs層は、側面から次第にデバイスの内部へ酸化される。プロセス期間は、酸化された材料のリングのサイズを制御する。
図31(b)は、2つのVCSELレーザーを有する光学デバイスに関して、図31(a)のステップの後のサンプルの構造を示す。
ステップS501の後では、サンプルは、基板3047と、基板3047上にあり基板3047に接触しているバッファ層1951と、バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触しているp型DBR246と、p型DBR246上にありp型DBR246に接触しているAlAs層250と、AlAs層250上にありAlAs層250に接触している下部活性層247と、下部活性層247上にあり下部活性層247に接触しているAlAs層252と、AlAs層252上にありAlAs層252に接触しているn型DBR248と、n型DBR248上にありn型DBR248に接触している上部活性層254と、上部活性層254上にあり上部活性層254に接触しているp型DBR256と、を含む。
次の図はp型コンタクト260および261が堆積された後のデバイスを示す。バッファ層1951とは反対側の基板3047の表面に接触しているp型金属コンタクト260があり、さらに、p型DBR256上にありp型DBR256に接触している2つのp型金属メタルコンタクト261がある。
次の図は、深さxまでのエッチングおよびn型コンタクトの堆積の後のデバイスを示す。p型DBR256と上部活性領域254とn型DBRの一部とによって形成されたリッジがある。2つのさらなるn型金属コンタクト262は、リッジの両側にn型DBR248の表面に接触している。
次の図は、深さyまでのエッチング並びにAlAs層250および252の酸化の後のデバイスを示す。デバイスは、「階段」形状を有し、基板3047とバッファ層1951とp型DBR層246の一部分とがデバイスの第1の「段」を形成し、p型DBR層246の他の部分とAlAs層250と下部活性層247とn型DBR層248の一部分とがデバイスの第2の「段」を形成し、n型DBR層248の他の部分と上部活性領域254とp型DBR256とがデバイスの第3の「段」を形成する。
図32は、実施形態に係る干渉システムの一部である光源の概略図を示し、この光源では、マスター光源3004およびスレーブ光源3001は、垂直接合で垂直方向に連結していて、両方ともにVCSELである。図は層を通る断面を示す。
デバイスは、基板3047と、基板3047上にあり基板3047に接触しているバッファ層1951と、バッファ層1951上ありバッファ層1951に接触しているp型DBR246と、p型DBR246上にありp型DBR246に接触しているAlAs層250と、AlAs層250上にありAlAs層250に接触している下部活性層247と、下部活性層247上にあり下部活性層247に接触しているAlAs層252と、AlAs層252上にありAlAs層252に接触しているn型DBR248と、p型DBR256上にありp型DBR256に接触している上部活性層254と、上部活性層254上にあり上部活性層254に接触している上部活性層254と、を含む。
バッファ層1951と反対側の基板3047の表面に接触しているp型金属コンタクト260があり、2つのさらなるp型金属コンタクト261がp型DBR256上にありp型DBR256に接触している。
デバイスは、「階段」形状を有し、基板3047とバッファ層1951とp型DBR層246の一部分とがデバイスの第1の「段」を形成し、p型DBR層246の他の部分とAlAs層250と下部活性層247とn型DBR層248の一部分とがデバイスの第2の「段」を形成し、n型DBR層248の他の部分と上部活性領域254とp型DBR256とがデバイスの第3の「段」を形成する。2つのn型金属コンタクト262は、第3の段の両側においてn型DBR248の表面に接触している。
電流は、マスター光源3004において光を生成するために、p型コンタクト260とn型コンタクト262との間に適用される。マスター光源3004の下部活性領域247において生成された光は、n型DBR層248を経由して、層の積層方向に放出される。光は、スレーブ光源3001の上部活性領域254に入る。時間変化電流は、スレーブ光源3001のp型コンタクト261とn型コンタクト262との間に適用される。光は、酸化されたAlAs層250および252によって横方向に制限される。
図33は、実施形態に係る干渉システムの一部である光源の概略図を示し、この光源では、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、横方向に連結されていて、共通の基板1847にフリップチップ接続された個別のチップである。
この例では、マスター光源1804およびスレーブ光源1801はDFBレーザーである。しかしながら、マスター光源1804およびスレーブ光源1801の少なくとも一方は、例えば、ストライプレーザーであってもよい。
マスター光源1804は、図19(a)に関して上述したように製造される。2つのレーザーではなく単一のDFBレーザーが形成されるように、回折格子が形成される。マスター光源1804は、例えば、InP基板上に形成されることができる。図19(a)に関して上に上述したように、この場合もやはり、スレーブ光源1801は独立して製造される。この場合もやはり、2つのレーザーではなく単一のDFBレーザーが形成されるように、回折格子が形成される。スレーブ光源1801は同様に、例えば、InP基板上に形成されることができる。これらのプロセスの結果物は、DFBレーザーに基づいた2つの個別のInPである。
その後に、各DFBレーザーは、ダイスカットされ、他のプラットフォーム上にフリップチップ実装され整列される。他のプラットフォームは、シリコン基板であることができる。各DFBレーザーウエハはダイスカットされ、個々のDFBレーザーの各々は他の基板上に配置される。DFBレーザーは正確に整列される。デバイスは、プラットフォームに熱接合または加圧接合される。接着は、例えば、金属間接合を使用して金属層によって提供されることができる。
図は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側面図を示す。
デバイスは基板1847を含む。基板の1つの表面上にn型コンタクト226がある。バッファ層1951は、基板1847の反対側の表面上にありこの表面に接触している。マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触している。バッファ層1951上にありバッファ層1951に接触しているマスター光源1804およびスレーブ光源1801の表面の層3355は、InPである。
側面図に示されるように、マスター光源1804とスレーブ光源1801との間にギャップがある。ギャップは、光が放出される方向に垂直な方向にデバイス全体にわたって延在することができる。ギャップはバッファ層1951まで下に延びる。
電流は、光を生成するために、マスター光源1804上のp型コンタクト224aとn型コンタクト226との間に適用される。マスター光源1804のMQWストリップにおいて生成された光は、MQW層に沿って放出される。光は、導波路層210aおよび210bによって垂直方向に制限される。光は、ギャップ中の自由空間を介してマスター光源1804とスレーブ光源1801との間を移動する。光は、スレーブ光源1801のMQW層に入る。時間変化電流は、スレーブ光源1801上のp型コンタクト224bとn型コンタクト226との間に適用される。
図34は、例えば、図8に関して説明したように、実施形態に係る干渉システムの一部である、周波数フィルタ3457を含む光源の概略図を示す。
図34に示されるデバイスでは、マスター光源1804およびスレーブ光源1801は、例えば、図20に関して説明したように、垂直接合で横方向に連結されていて、両方ともにDBRレーザーである。しかしながら、図示される波数フィルタ3457は、図18から図33に示されるデバイスのいずれか1つと結合されることができる。
図は、デバイスの長さに沿った、すなわち、光が放出される方向に沿った側面図を示す。
各DBRレーザー中の活性領域は、マルチ量子井戸(MQW)領域を含む。MQW領域は複数の量子井戸層を含む。DBRレーザーが1.55um動作用に形成される実施形態では、MQW領域は、例えばAlInGaAs/InP、AlInGaAs/AlInAs、InGaAsP/InP、InGaAsP/AlInAs、またはInGaAs/AlInGaAsなどの、複数の材料を交互に重ねた層を含む。これらの層はすべてInP基板と格子整合する。
デバイスは基板1847を含む。基板の1つの表面上にn型コンタクト226がある。バッファ層1951は、基板1847の反対側の表面上にあり、この表面に接触している。基板1847およびバッファ層1951は両方ともにn型層である。あるいは、基板1847がp型層であるように、構造は逆にされることができる。これらの層は、n型にドープされたInPであることができる。n型層1953は、バッファ層1951上にあり、バッファ層1951に接触している。n型層1953は、n型にドープされたInPであることができる。第1の導波路材料210aは、n型層1953のストリップ上にあり、このストリップに接触している。MQW層212は、第1の導波路材料210a上にあり、第1の導波路材料210aに接触している。MQW層210は、第2の導波路材料210b上にあり、第2の導波路材料210bに接触している。p型材料216(図示せず)は、ストリップの両側でn型材料1953上にあり、n型材料1953に接触しており、p型にドープされたInPであることができる。n型層218(図示せず)は、p型層216上にあり、p型層216に接触しており、n型にドープされたInPであることができる。p型層220は、第2の導波路層210bおよびn型層218上にあり、第2の導波路層210bおよびn型層218に接触しており、p型にドープされたInPであることができる。p型コンタクト層222は、p型層220上にあり、p型層220に接触している。一実施形態では、p型コンタクト層222は、高濃度にドープされたInPであり、すなわち、層220よりも高いドーパント濃度を有する。p型コンタクト金属224は、p型コンタクト層222の一部分上にあり、この部分に接触している。
側面図に示されるように、MQWストリップはデバイスの長さに沿って延びる。MQWストリップの一部分上に第1のp型コンタクト層224aがある。光が放出される方向に沿って第1のp型コンタクト224aの下のストリップの部分の片側に、第2の導波路材料中に回折格子がある。これはマスター光源1804を形成する。第2のp型のコンタクト224bは、マスター光源1804からデバイスの長さに沿ったところにあるMQWストリップの第2の部分上に形成される。光が放出される方向における第2のp型コンタクト224bの下のストリップの部分の片側に、第2の導波路材料中に回折格子がある。これはスレーブ光源1801を形成する。
第2の導波路材料中のさらなる回折格子は、周波数フィルタ3457を形成する。したがって、周波数フィルタ3457は、チップ上に直接に形成されたさらなるDBR回折格子を含む。さらなる回折格子は、スレーブ光源1801から、ある距離をあけて配置されている。スレーブ光源1801は、周波数フィルタ3457とマスター光源1804との間にある。
さらなる回折格子は、同様に、電子線リトグラフィーレジストでサンプルをスピン処理して電子線リトグラフィーで回折格子パターンを規定することを含む随意のステップS104aにおいて、製造される。回折格子の寸法は、フィルタの所望の帯域幅に依存することができる。現像後に、パターンは、ウェットまたはドライシャローエッチングによって転写される。回折格子は、導波路層210bの一部をエッチングすることによって、例えば、導波路層210bにおいてトレンチをエッチングすることによって、形成される。トレンチは、溝形のパターンを有することができる。回折格子の寸法は、フィルタの所望の帯域幅に従って算出される。寸法は、いくつかのファクター、例えば、動作波長、材料、温度および入射角に依存し、この材料は、例えば、nP/AlInGaAs、あるいは、AlInGaAs組成またはInGaAsP組成に関するInP/InGaAsPであることができる。1.55μmの周期性の回折格子は、例えば、1−10μmであることができる。
デバイスの動作中に、電流は、マスター光源1804のMQWストリップにおいて光を生成するために、第1のp型コンタクト224aとn型コンタクト226との間に適用される。マスター光源1804のMQWストリップにおいて生成された光は、MQW層に沿って放出される。光は、p型層216によって横方向に制限され、導波路層210aおよび210bによって垂直方向に制限される。光は、スレーブ光源1801のMQW層に入る。時間変化電流は、第2のp型コンタクト224bとn型コンタクト226との間に適用される。光は、このデバイス内の導波路領域中でマスター光源1804とスレーブ光源1801との間を移動する。
スレーブ光源1801のMQWストリップにおいて生成されたシード光(seeded light)は、MQW層に沿って放出される。この光は、p型層216によって横方向に制限され、導波路層210aおよび210bによって垂直方向に制限される。光は、周波数フィルタ3457のMQW層に入る。光は、このデバイス内の導波路領域中でスレーブ光源1801と周波数フィルタ3457との間を移動する。周波数フィルタ3457において、特定の波長が選択されることができる。
図35は、例えば図8に関して説明したように、実施形態に係る干渉システムの一部である、周波数フィルタ3557を含む光源の概略図を示す。図は、デバイスの平面図を示す。
デバイスは基板1847を含む。マスター光源1804およびスレーブ光源1801は基板上に集積される。例えば、図18から図29に示されるマスター光源1804およびスレーブ光源1801のいずれかが集積されることができる。マスター光源1804で生成された光はスレーブ光源1801に入る。光は、このデバイス内の導波路領域中でマスター光源1804とスレーブ光源1801との間を移動する。スレーブ光源1801で生成されたシード光は、第2の導波路領域に沿って放出され、周波数フィルタ3557に入る。
周波数フィルタ3557は、アレイ導波路回折格子(AWG)周波数フィルタである。周波数フィルタ3557は、複数の導波路L1、…、Lnを含み、これらはすべて第2の導波路領域に接続される。複数の導波路L1、…、Lnおよび第2の導波路領域は、例えば、自由空間の領域によって接続されることができる。このようにして、第2の導波路領域に沿ってスレーブ光源1801から放出された光は、複数の導波路L1、…、Lnに入る。導波路L1、…、Lnは、異なる長さを有し、したがって、導波路の出口で異なる位相シフトを適用する。導波路の出口は出力カプラ(out coupler)3559に接続される。出力カプラ3559は、例えば、自由空間の領域であることができる。導波路を出る光は、出力カプラ3559を横切る。複数の出口導波路α1、…、αnは出力カプラ3559に接続される。出力カプラ3559を横切った光は、各出力チャネルが特定の周波数の光だけを受信する方法で、出口導波路α1、…、αnの入口で干渉する。所望の周波数に対応する出口導波路αiは、干渉装置に接続されることができる。このようにして、AWG周波数フィルタ3557において、異なる導波路パスL1〜Lnにより、出力信号は周波数フィルタリングされる。
導波路L1、…、Lnおよび出口導波路α1、…、αnは、ドライエッチングプロセスによってエッチングされたInP/AlInGaAsまたはInP/InGaAsP導波路であることができる。ドライエッチングプロセスは、「垂直」側壁、すなわち、基板に垂直な側壁を有する導波路をエッチングするために使用されることができる。導波路のコアの基板の上の高さは、マスターレーザー1804およびスレーブレーザー1801の活性領域の高さと合わされる。マスターレーザー1804およびスレーブレーザー1801構造に依存して、導波路L1、…、Lnおよび出口の波路α1、…、αnは、例えば、選択領域エピタキシー成長ステップにおいて、すなわち、図19(a)のステップS103において製造されもよい。導波路の幅は、例えば、動作波長、温度、材料、および組成に依存することができる。
実施形態では、図8に関して説明した他のフィルタ826のような他のフィルタが基板上にさらに集積される。例えば、偏光子が基板上にさらに集積されていてもよい。偏光子は偏光ビームスプリッタを含むことができる。偏光ビームスプリッタは、例えば、導波路中に複屈折性を有するマッハツェンダー干渉計を製造することによって、基板上に製造されることができ、すなわち、導波路内部の屈折率は、光の偏光に依存する。干渉計の出力ビームスプリッタにおいて、1つの偏光モードは強め合って干渉し、他のモードは弱め合って干渉し、これは、これら2つのモードが複屈折に起因して不等な位相差を有するためである。それにより、1つの偏光モードは1つのアームにおいて出力ビームスプリッタを出て、第2の偏光モードは第2のアームにおいて出力ビームスプリッタを出る。出力ビームスプリッタの1つのアームだけが接続される場合、そのようなデバイスは偏光子として働く。
図36は、実施形態に係る、干渉装置3661を含む干渉システムの概略図を示す。図は平面図を示す。
デバイスは基板1847を含む。マスター光源1804およびスレーブ光源1801は基板1847上に集積される。例えば、図18から図29に示されるマスター光源1804およびスレーブ光源1801のいずれかが基板上に集積されることができる。マスター光源1804で生成された光はスレーブ光源1801に入る。光は、このデバイス内の導波路領域中でマスター光源1804とスレーブ光源1801との間を移動する。スレーブ光源1801で生成されたシード光は、第2の導波路領域に沿って放出され、干渉装置3661に入る。
干渉装置3661は、入力ビームスプリッタAを含む。入力ビームスプリッタAの第1の入力は第2の導波路に接続される。第2の導波路領域に沿って放出された光は、エバネセントビーム結合によって入力ビームスプリッタAで分割される。入力ビームスプリッタAの第1の出力は、干渉計の第1のアームを形成する第3の導波路領域に接続され、入力ビームスプリッタAの第2の出力は、干渉計の第2のアームを形成する第4の導波路領に接続される。干渉計の第1のアームは、導波路のセクションXを含む。導波路のセクションXは、導波路のより長いセクションであることができ、これは、第1のアームが干渉計の第2のアームより長い光路長を有することを意味する。あるいは、導波路のセクションXは、位相変調器であってもよく、これは、位相シフトが第1のアームに沿って移動する光に適用されることを意味する。あるいは、導波路のセクションXは、振幅変調器であってもよい。
第3の導波路は出力ビームスプリッタBの第1の入力に接続され、第4の導波路は出力ビームスプリッタBの第2の入力に接続される。
導波路は、ドライエッチングプロセスによってエッチングされたInP/AlInGaAsまたはInP/InGaAsP導波路であることができる。ドライエッチングプロセスは、「垂直」側壁、すなわち、基板に垂直な側壁を有する導波路をエッチングするために使用されることができる。導波路のコアの基板の上の高さは、マスターレーザー1804およびスレーブレーザー1801の活性領域の高さと合わされる。マスターレーザー1804およびスレーブレーザー1801構造に依存して、導波路は、例えば、選択領域エピタキシー成長ステップにおいて、すなわち、図19(a)のステップS103において製造されてもよい。この場合、干渉装置およびスレーブレーザー1801の良好にエッチングされた端面は、良好な光結合を提供するために達成されることができる。導波路の幅は、動作波長、温度、材料およびその組成に依存することができる。
干渉装置3661は、図9に関して説明された干渉装置に似ている。しかしながら、例えば図2、図10、図11(a)、図11(b)、図12または図13に関して上述されたような干渉装置は、同様の方法で基板上に集積されることができる。
1以上の可変または固定ビームスプリッタ、スペクトルフィルタ、位相変調器、強度変調器および低速減衰器は、同様に、マスター光源およびスレーブ光源とともに半導体基板上に集積されることができる。
減衰器は、マッハツェンダー干渉計を製造することによって製造されることができる。位相を調整することによって、出力ビームスプリッタの選択された出力からの光結合の量は変えることができる。位相調整は、マッハツェンダー干渉計の1つのアームの温度を調整することで得られるものと同じように遅い。
リン化インジウムに基づいた位相変調器は、基板上に集積されることができる。リン化インジウムに基づいた位相変調器での位相シフトは、マルチ量子井戸構造における「量子閉じ込めシュタルク効果」によって引き起こされる。リン化インジウムに基づいた位相変調器では、電圧は、屈折率を変更するために適用され、それは、位相変調器を通過する光に位相シフトをもたらす。
さらに、1以上の検出器、サーキュレータ、アイソレータ、高速位相変調器または強度変調器、偏光変調器、偏光ローテータ、スプリッタまたはコンバイナは、同様に、マスター光源およびスレーブ光源とともに半導体基板上に集積されることができる。
偏光ローテータ、スプリッタまたはコンバイナは、InP基板上に製造されることができる。例えば、偏光ローテータは、「コンバータ」とも呼ばれ、「垂直」側壁、すなわち、基板に垂直な側壁と、1つの傾斜側壁、すなわち、基板に対して90度以外の角度の1つの側壁と、を有する導波路を含んでいてもよい。これは、例えば、傾斜をエッチングすることによって製造されることができる。偏光ローテータを製造する他の方法は、周期的にロードされた導波路セクションまたは統合された屈曲を製造することを含む。偏光変調器は、入力および出力に偏光ローテータを有する、2つの偏光モード間に位相シフトを導入する位相変調器を製造することによって製造されることができる。スプリッタまたはコンバイナは、可変ビームスプリッタと同様の方法でマッハツェンダー干渉計を製造することによって製造されることができる。
検出器は、ウエハ上に当該検出器を製造し、その後に他のコンポーネントが集積されている基板上にそれをフリップチップ接続することによって、基板上に集積されることができる。検出器は、例えば、絶縁基板の側面にフリップチップ接続されることができる。
図18から図36に関して上述されたような半導体基板上に集積されたマスター光源およびスレーブ光源は、例えば図10に関して説明されたようなQKDシステムにおいて、または、例えば図13に関して説明されたような測定装置無依存QKDシステムにおいて、使用されることができる。また、それは、光量子情報システムのための符号器において使用されてもよい。図18から図36に関して上述されたような半導体基板上に集積されたマスター光源およびスレーブ光源は、位相ランダム化量子および古典光学干渉アプリケーションにおいて使用されることができる。
図18から図36に関して上述されたような半導体基板上に集積されたマスター光源およびスレーブ光源は、コンパクトなデバイスであり、それは、製造するおよび組み立てるのに低コスト且つ迅速である。
デバイスは、単一の集積チップからレーザーパルスを発生させることができ、それは、小型で、安価で、製造容易で、従来の半導体プロセスを使用する大量製造に適している。デバイスは、向上したビジビリティ、時間分解能およびスペクトル分解能を提供し、小型のオンチップ光源である。
デバイスは、共通の半導体基板を共有する2つの光学的に結合されたレーザーを含む。第1のレーザーは、第2のレーザーをシードするために使用される。これは、スレーブレーザーの自然放出に関連する時間ジッタを低減する。さらに、第2のレーザーの周波数モードは第1のレーザーによって定められ、それにより、第2のレーザーの周波数チャープを低減する。
マスター光源およびスレーブ光源を含む集積チップは、時間ジッタ低減、すなわち、スレーブ光パルスの時間ジッタがマスター光パルスの時間ジッタよりも小さく、マスター光パルスの注入で生成されたスレーブ光パルスの時間ジッタがマスター光パルスの注入なしで生成された光パルスの時間ジッタよりも小さいこと、並びに、周波数チャープ低減、すなわち、シーディングによって生成された光パルスの帯域幅がシーディングなしで生成された場合のものよりも小さいことを可能にする。
周波数フィルタは、光源と同じチップに集積されることができ、それにより、デバイスのサイズをさらに小さくすることができる。
低時間ジッタおよび低周波数チャープの光源は、干渉実験装置において良好なビジビリティを得るために使用されることができる。光パルスの位相ランダム化がある光源は、QKDとMDI−QKDシステムにおいてセキュリティを保証するために使用されることができる。上述された光源は、低時間ジッタおよび低周波数チャープを備えたコンパクトなオンチップ光源である。
QKDシステム、MDI−QKDシステムまたは干渉実験装置のための送信機は、半導体基板上に集積された1以上のレーザーダイオード、位相変調器、強度変調器、カプラ/コンバイナ、ファイバー遅延線、偏光ビームスプリッタおよび減衰器のようなコンポーネントを使用して構築されることができる。
図18から図36に関して上述されたような半導体基板上に集積されたマスター光源およびスレーブ光源は、単一の集積チップからランダム位相エンコードされた低時間ジッタ・低周波数チャープレーザーパルスを出力し、それは、小型で、安価で、製造容易で、従来の半導体プロセスを使用する大量製造に適している。
マスター光源およびスレーブ光源が基板上に集積される干渉システムは、小型でコンパクトであることができる。干渉システムは、低い時間ジッタを有し、それは、干渉または正確なタイミングに基づいたアプリケーションを可能にする。スレーブ光パルスから放出された光パルスはランダムな位相関係を有する。隣接するパルス間の位相のこの自動ランダム化は、例えば、QKD関連アプリケーションにおいてセキュリティに利益をもたらす。
マスター光源およびスレーブ光源が基板上に集積される干渉システムは、量子乱数発生器(QRNG)の一部として使用されることができる。図2に示されるシステムは、例えば、QRNGとして使用されることができる。図2に示されるコンポーネントのすべては、基板上に集積されていてもよい。マスター光源203および204並びにスレーブ光源201および202が単一のチップ上に集積される、図2に示されるようなQRNGは、コンパクトなQRNGを提供する。スレーブ光源201および202から放出された光パルスは、低い時間ジッタを有し、そのため、短い光パルスが生成されることができ、それは、なおもビームスプリッタ206で良好な時間的オーバーラップをもたらす。これは、ビームスプリッタ206での良好な干渉を確実にするために長い光パルスを生成する必要がなくなるので、QRNGが高速であることを意味する。
特定の実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例として提示したものであり、発明の範囲を限定することは意図していない。実際、ここに説明される新規な方法および装置は、その他の様々な形態で実施されることが可能であり、発明の要旨を逸脱しない範囲で、ここに説明される方法および装置の形態において種々の省略、置き換え、変更を行うことができる。添付された特許請求の範囲とその均等は、発明の範囲および意図に含まれる変形を含むように意図される。