JP2018137143A - 有機el素子、ならびに、当該有機el素子を含む照明装置、面状光源、および表示装置 - Google Patents

有機el素子、ならびに、当該有機el素子を含む照明装置、面状光源、および表示装置 Download PDF

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Abstract

【課題】高い光の取出し効率を実現できる有機EL素子を提供する。【解決手段】光透過性基板102、光透過性の構造層104、光透過性の第1電極106、発光層を含む機能層108、および第2電極110をこの順に含み、構造層は、第2電極側の表面に、複数の第1凸部、複数の第2凸部、および複数の凹部を有し、複数の第1凸部は、正六角形または円形の底面形状を有し、複数の第1凸部が正六角形の底面形状を有する場合、複数の第2凸部は、正三角形の底面形状を有し、複数の第1凸部が円形の底面形状を有する場合、複数の第2凸部は、円形の底面形状を有し、複数の第1凸部のそれぞれは、6つの第2凸部と隣接し、複数の第2凸部のそれぞれは、3つの第1凸部と隣接し、複数の凹部のそれぞれは、2つの第1凸部および2つの第2凸部と隣接し、直線状に位置する、1つの第1凸部および2つの第2凸部が特定の関係を満たす有機EL素子。【選択図】図4

Description

本発明は、光の取り出し効率を改善した、有機エレクトロミネッセンス(EL)素子、ならびに当該有機EL素子を含む照明装置、面状光源、および表示装置に関する。
近年、照明装置、表示装置などに用いられる次世代発光デバイスとして、有機EL現象を利用した発光素子(有機EL素子)が大きな注目を集めている。有機EL素子は、面発光が可能であること、低温動作が可能であること、低コスト化が可能であること、軽量化が可能であること、フレキシブルな素子の作製が可能であること、視野角依存性が少ないこと、消費電力が少ないこと、極めて薄い素子の作製が可能であることなどの利点を有する。
有機EL素子は、一般的に、陽極、陰極、ならびに陽極および陰極に挟持される有機EL層を備える。ここで、有機EL層は、有機発光材料を含有する発光層を含む。必要に応じて、有機EL層は、電子輸送層、電子注入層、正孔輸送層、正孔注入層などをさらに含んでいてもよい。
有機EL素子は、ガラス基板等の透明な基板上に、ITO(インジウム・スズ酸化物)などの透明導電材料からなる陽極、有機EL層、金属からなる陰極をこの順に備え、基板側から光を取り出すボトムエミッション構造を有してもよい。あるいはまた、有機EL素子は、あるいは基板上に陰極、有機EL層、透明導電材料からなる陽極をこの順で備え、基板側とは反対の側から光を取り出すトップエミッション構造を有してもよい。
有機EL素子は、上述の利点を有するものの、光の取出し効率が低いという問題点を有する。光の取出し効率は、発光層で発生した光の総エネルギー量に対する、光の取出し面(たとえばボトムエミッション型の場合は基板面)から大気中に放出される光の総エネルギー量の比である。たとえば、発光層で発生する光は全方向に放射されるため、光の多くが、異なる屈折率を有する2つの層の界面で全反射を繰り返す導波モードとなる。このため、導波モード中の熱への変化、および素子の側面からの光の出射により、目的の方向への光の取出し効率が低下する。
また、有機EL素子では、発光層と金属である陰極との間の距離が近いことから、発光層からの光の一部は陰極の表面で表面プラズモンに変換されて失われる。これによっても、光の取出し効率が低下する。光の取出し効率は、有機EL素子を備えた表示装置、照明装置などの明るさに影響するので、光の取出し効率の改善のために種々の方法が検討されている。
光の取出し効率を改善する方法の1つとして、集光性を有する集光層を備えたガラス基板を用いた有機EL素子が提案されている。たとえば、特開2003−86353号公報には、マイクロレンズなどの集光性構造物と、この集光性構造物を覆う透明樹脂とから成る集光層が開示されている(特許文献1参照)。この提案では、透明樹脂は、集光性構造物よりも高い屈折率を有する。集光層をガラス基板上に設けることで、ガラス基板の表面で生じる全反射を抑制し、光の取出し効率を改善している。
また、光の取出し効率を改善する方法の1つとして、表面プラズモン共鳴を利用する方法が提案されている。たとえば、特許第4762542号明細書には、金属層(陰極)の表面に1次元または2次元の周期的微細構造を設ける方法が開示されている(特許文献2参照)。この提案において、周期的微細構造は、回折格子として機能する。これにより、陰極表面で表面プラズモンに変換されたエネルギーが光へと再変換され、光の取出し効率が向上する。
特開2003−86353号公報 特許第4762542号明細書
しかしながら、上述の集光層をガラス基板に設けたとしても、集光層とガラス基板との界面で全反射が生じるので、有機EL素子からの光の取出し効率は十分に高いとはいえない。また、上述の周期的微細構造を金属層に設ける場合、金属層の凹凸構造に起因してリーク電流が発生すること、金属層上に積層した各層の不均一性により発光むらが発生すること、および有機EL素子の経時的安定性が低下することなどの問題点もあった。このため、理論上効率の高い周期的微細構造を金属層に設けたとしても、有機EL素子を安定的に製造できるとは限らなかった。一方で、有機EL照明装置の省電力化および/またはフレキシブル有機EL照明装置の製造に向けて、さらに改善された光の取出し効率を有する有機EL素子が求められている。
本発明は、高い光の取出し効率を実現できる有機EL素子を提供することを目的とする。さらに、本発明は、この有機EL素子を含む照明装置、面状光源および表示装置を提供することを目的とする。
本発明の第1の実施形態の有機EL素子は、光透過性基板と、光透過性基板上に設けられた、光透過性の構造層、光透過性の第1電極、発光層を含む機能層、および第2電極をこの順に含み:構造層は、第2電極側の表面に、複数の第1凸部、複数の第2凸部、および複数の凹部を有し;複数の第1凸部は、正六角形または円形の底面形状を有し;複数の第1凸部が正六角形の底面形状を有する場合、複数の第2凸部は、正三角形の底面形状を有し;複数の第1凸部が円形の底面形状を有する場合、複数の第2凸部は、円形の底面形状を有し;複数の第1凸部のそれぞれは、6つの第2凸部と隣接し;複数の第2凸部のそれぞれは、3つの第1凸部と隣接し;複数の凹部のそれぞれは、2つの第1凸部および2つの第2凸部と隣接し;直線状に位置する、1つの第1凸部および2つの第2凸部が(式1)および(式2)
Figure 2018137143
(式中、H1aは第1凸部の見かけ上の高さを表し、h1bおよびh1cは、2つの第2凸部のそれぞれの見かけ上の高さを表す)
Figure 2018137143
(式中、W1aは第1凸部の幅を表し、w1bおよびw1cは、2つの第2凸部のそれぞれの幅を表す)の関係を満たす。ここで、H1aが60nmから200nmの範囲内であってもよい。また、W1aが400nmから1500nmの範囲内であってもよい。本実施形態の有機EL素子は、構造層と第1電極との間に、バリア層をさらに備えてもよい。また、本実施形態の有機EL素子は、光透過性基板の構造層が設けられた面とは反対側の面に、光取出しレンズ層をさらに備えてもよい。
本発明の第2の実施形態は、第1の実施形態の有機EL素子を含む照明装置に関する。本発明の第3の実施形態は、第1の実施形態の有機EL素子を含む面状光源に関する。本発明の第4の実施形態は、第1の実施形態の有機EL素子を含む表示装置に関する。
上記の構成を採用することにより、高い光の取出し効率を有する有機EL素子を提供できる。さらに、この有機EL素子を用いることで、優れた特性を有する照明装置、面状光源および表示装置を提供することができる。
本発明の第1の実施形態の1つの態様に係る有機EL素子を示す概略断面図である。 本発明の第1の実施形態の1つの態様に係る有機EL素子の構造層を示す図であり、(a)は上面図であり、(b)は切断線IIb−IIbに沿った断面図であり、(c)は切断線IIc−IIcに沿った断面図である。 本発明の第1の実施形態の別の態様に係る有機EL素子の構造層の上面図である。 本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の別の構成例を示す概略断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子のさらに別の構成例を示す概略断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の構造層を示す斜視断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の構造層を示す斜視断面図である。 切断線VIII−VIIIに沿った、本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の構造層の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の構造層を示す斜視断面図である。 切断線X−Xに沿った、本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の構造層の断面図である。 本発明の第1の実施形態に係る有機EL素子の構造層を示す上面図である。 本発明の第2の実施形態の照明装置および第3の実施形態の面状光源の一例を示す概略断面図である。 本発明の第4の実施形態の表示装置の一例を示す概略断面図である。
本発明を、図面を参照して説明する。本発明は、有機EL素子、ならびにこの有機EL素子を含む照明装置、面状光源および表示装置を包含する。なお、本発明は、以下に記載する実施形態に限定されるものではない。本発明に対して、当業者の知識に基づいて種々の変更または修正を加えることが可能である。そして、そのような変更または修正が加えられた実施形態も本発明の範囲に含まれる。
(I)有機EL素子
本発明の第1の実施形態の有機EL素子は、基板、構造層、第1電極、発光層を含む機能層、および第2電極をこの順に含む。本実施形態の有機EL素子100の第1態様を図1に示す。本実施形態に係る有機EL素子100は、光透過性基板102、光透過性の構造層104、光透過性の第1電極106、発光層を含む機能層108、および第2電極110を、この順に積層した構造を有する。本発明の有機EL素子は、光透過性基板102の側から光を取り出す、ボトムエミッション構造を有する。
本発明の第1の実施形態の有機EL素子は構造層104を有する。第1態様の構造層104は、図2(a)に示すように、第2電極側の表面に、正六角形の底面形状を有する複数の第1凸部202、正三角形の底面形状を有する複数の第2凸部205、および複数の凹部204を有する。構造層104は、複数の第1凸部202のそれぞれが6つの第2凸部205と隣接し、複数の第2凸部205のそれぞれが3つの第1凸部202と隣接し、かつ、複数の凹部204のそれぞれが2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と隣接する構造を有する。別の表現では、第1凸部202の底面の正六角形の6つの頂点(接触点203)のそれぞれは、隣接する第2凸部205の底面の正三角形の頂点の1つである。また、凹部204は、4つの頂点(1つの正六角形の2つの頂点と隣接する正六角形の2つの頂点)によって確定される長方形の上面形状を有する。
より具体的には、図2(b)は、第1凸部202および凹部204を通り、第2凸部205を通らない、図2(a)の切断線IIb−IIbに沿った断面図である。図2(b)に示すように、構造層104の第2電極側の表面において、隣接する2つの第1凸部202の間に凹部204が存在する。本発明において、構造層104の第2電極110側の表面形状(すなわち、構造層104と第1電極106との界面形状)は、その上に形成される第1電極106と機能層108との界面、および機能層108と第2電極110との界面へと転写される。機能層108と第2電極110との界面において、構造層104の第1凸部202の形状は第2電極110の第1凹部206に転写され、構造層104の凹部204の形状は第2電極110の凸部208に転写される。なお、構造層104の第2電極110側の表面形状が機能層108と第2電極110との界面へと転写される限りにおいて、第2電極110の上面(機能層108とは反対側の面)に、構造層104の第1凸部202および凹部204の形状が形成されなくてもよい。
また、図2(c)は、第1凸部202および第2凸部205を通り、凹部204の長手方向を通る、図2(a)の切断線IIc−IIcに沿った断面図である。図2(c)に示すように、構造層104の第2電極側の表面において、隣接する第1凸部202と第2凸部205との間に、両凸部が共有する接触点203が存在する。本発明において、構造層104の第2電極側の表面形状は、その上に形成される第1電極106と機能層108との界面、および機能層108と第2電極110との界面へと転写される。機能層108と第2電極110との界面において、構造層104の第1凸部202の形状は第2電極110の第1凹部206に転写され、構造層104の第2凸部205の形状は第2電極110の第2凹部209に転写される。さらに、構造層104の接触点203に対応する位置に、第2電極110の接触点207が存在する。なお、構造層104の第2電極110側の表面形状が機能層108と第2電極110との界面へと転写される限りにおいて、第2電極110の上面に、構造層104の第1凸部202および第2凸部の形状が形成されなくてもよい。
本実施形態の有機EL素子の第2態様を図3に示す。図3に示す構造層104は、第2電極側の表面に、円形の底面形状を有する複数の第1凸部202、円形の底面形状を有する複数の第2凸部205、および複数の凹部204を有する。構造層104は、複数の第1凸部202のそれぞれが6つの第2凸部205と隣接し、複数の第2凸部205のそれぞれが3つの第1凸部202と隣接し、かつ、複数の凹部204のそれぞれが2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と隣接する構造を有する。別の表現では、第1凸部202が隣接する第2凸部205と接触する6つの点は、底面の円周上で60°の中心角をなして離間している。同様に、第2凸部205が隣接する第1凸部202と接触する3つの点は、底面の円周上で120°の中心角をなして離間している。また、凹部204は、4つの円弧によって画定される形状を有する。
本発明における構造層104の第1凸部202、第2凸部205、および凹部204の具体的形状、ならびに、第2電極110の第1凹部206、第2凹部209、および凸部208の具体的形状は、以下の「構造層」および「第2電極」のセクションで詳述する。
第1電極106は、光透過性を有し、陽極となる電極である。機能層108は発光層を含む。第2電極110は、第1電極106の対極となる電極であり、陰極となるものである。
本明細書において、「光透過性」とは、光に対して透明である性質(透光性)を意味する。本発明で用いる光透過性の材料は、好ましくは紫外領域から赤外領域の光を透過する。波長領域にすると350nmから800nmにおいて平均透過率が50%以上であることが好ましく、平均透過率が80%以上であることがさらに好ましい。
図4に示すように、本発明の第1の実施形態の有機EL素子の別の構成例は、光透過性基板102の構造層104とは反対側の表面に、集光レンズ層302と光透過性層304とを含む光取出しレンズ層310をさらに含んでもよい。
図5に示すように、本発明の有機EL素子のさらに別の構成例は、バリア層105をさらに含んでもよい。バリア層105は、第1電極106、機能層108および第2電極110にとって有害な水分などの侵入を防止するための層である。この機能をより効果的に発現するために、図5に示すように、構造層104と第1電極106との間に、バリア層105を設けることが望ましい。また、この構成例においても、図5に示すように、光取出しレンズ層310をさらに含んでもよい。
本明細書において、光透過性基板102、構造層104および第1電極106を含む部分を「光取り出し基板120」とも称する。また、本明細書において、任意構成要素である光取出しレンズ層310およびバリア層105を光取り出し基板120に含めることができる。
次に、有機EL素子100を構成する各部について詳細に説明する。
[光透過性基板]
光透過性基板102は、所定の光(好ましくは可視領域の光)を透過する板状部材である。その材料は、ガラス、プラスチックなどの従来から有機EL素子に利用されているものであれば特に限定されない。光透過性基板102は、ガラス板、ポリマーから構成される板またはフィルムなどであることが好ましい。
用いることができるガラスの例は、たとえば、ソーダ石灰ガラス、バリウム・ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどを含む。
用いることができるポリマーの例は、たとえば、以下の材料:ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)などのポリエステル;ポリエチレン、ポリプロピレン、ポリメチルペンテンなどのポリオレフィン;セロファン、セルロースジアセテート、セルローストリアセテート(TAC)、セルロースアセテートブチレート、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)、セルロースアセテートフタレート、セルロースニトレートなどのセルロースエステル類またはそれらの誘導体;ポリ塩化ビニリデン;ポリビニルアルコール;ポリエチレンビニルアルコール;シンジオタクティックポリスチレン;ポリカーボネート;ポリエーテルケトン;ポリイミド;ポリエーテルスルホン(PES);ポリフェニレンスルフィド;ポリスルホン類;ポリエーテルイミド;ポリエーテルケトンイミド;ポリアリレート;ポリメチルメタクリレート(PMMA)などのアクリル樹脂;ノルボルネン樹脂などのシクロオレフィン系樹脂などを含む。
本発明の第1の実施形態の有機EL素子において、光透過性基板102としてポリマー板またはポリマーフィルムを用いる場合、このポリマー板またはポリマーフィルムの表面に、以下で説明するバリアコーティングを予め設けたバリアコーティング付きポリマー板またはバリアコーティング付きポリマーフィルムを用いることもできる。バリアコーティングは、以下で説明するバリア層105と同様の材料から形成することができる。
[構造層]
最初に、図2(a)〜(c)に示した正六角形の底面形状を有する第1凸部202および正三角形の底面形状を有する第2凸部205を含む第1態様について詳細に説明する。
図2(a)〜(c)に示すように、構造層104は、第2電極110側の面(すなわち、第1電極106との界面)に、複数の第1凸部202、複数の第2凸部205、および複数の凹部204を有する。複数の第1凸部202および複数の第2凸部205は、正六角形形状の底面を有する。複数の第1凸部202のそれぞれは、6つの第2凸部205と接触し、複数の第2凸部205のそれぞれは、3つの第1凸部202と接触する。第1凸部202および第2凸部205の接触点203は、底面の正三角形の頂点である。その結果、複数の凹部204のそれぞれは、2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触する。凹部204は、第1凸部202の底面の正六角形の1つの辺に接触する。同様に、凹部204は、第2凸部205の底面の正三角形の1つの辺に接触する。
第1凸部202、第2凸部205、および凹部204で構成される構造層104の上面形状は、その上に形成される層(すなわち、第1電極106、機能層108、および第2電極110、ならびに存在する場合にはバリア層105)に転写され、その形状が維持される。例えば、第2電極110は、第2電極110と機能層108との界面に、構造層104の第1凸部202、第2凸部205、および凹部204のそれぞれに対応する、第1凹部206、第2凹部209、および凸部208を有する。
構造層104に設けられる第1凸部202、第2凸部205、および凹部204は、図6〜図10を参照して以下に説明する所定の条件を満たすことが必要である。
構造層104において、隣接する第1凸部202の頂点間の距離が所定の範囲内にあることが望まれる。
図6に、構造層104の上面形状の構成例の斜視断面図を示す。構造層104において、隣接する第1凸部202の頂点間の距離が5μm以下にあることが望ましい。この頂点間距離を設定することにより、第2電極110の第1凹部206が、機能層108が発した光を高い効率で光透過性基板102側に反射することができる形状となる。図6を参照して説明すると、第1凸部202aの1つの頂点に「隣接」する頂点は、中間に凹部204が介在する第1凸部202b、202c、202d、202e、202fおよび202gの頂点を意味する。本発明においては、第1凸部202aの頂点と、第1凸部202b〜gの頂点のそれぞれとの間の距離が5μm以下にあることが望ましい。
次に、図7および図8を参照して、構造層104の第1凸部202と第2凸部205との関係を説明する。図7は、図6の構造において、参照すべき断面602を明示した斜視断面図であり、図8は、図7の切断線VIII−VIIIに沿った断面図である。切断線VIII−VIIIは、1つの第1凸部202aの底面の正六角形の対角線に相当する。言い換えると、切断線VIII−VIIIは、第1凸部202aの頂点402aと、2つの第2凸部205aおよび205bの頂点405aおよび405bとを通る直線である。断面602は、光透過性基板102の主面に対して垂直である。
第1凸部202aは、構造層104の底面からの高さが最大である頂点402aを有する。底面からの頂点402aの高さをH10と定義する。また、図8に示す断面において、第1凸部202aと第2凸部205aとの間に、底面からの高さが局所的に最小となる点(以下、「鞍点」と称する)406aを有する。底面からの鞍点406aの高さをH11と定義する。同様に、図8に示す断面において、第1凸部202aと第2凸部205bとの間にも、鞍点406bが存在する。底面からの鞍点406bの高さをH12と定義する。鞍点406aおよび406bの高さの算術平均値(以下、「平均鞍点高さ」と称する)H1sを求める。すなわち、H1sは、(H11+H12)/2の式で求められる。そして、H10−H1sの値を、第1凸部202aの「見かけ上の高さ」H1aと定義する。また、2つの鞍点406aおよび406bの間の水平方向距離を、第1凸部202aの幅W1aと定義する。ここで、「水平方向距離」とは、光透過性基板102の主面に平行な方向での距離を意味する。
一方、第2凸部205aは、構造層104の底面からの高さが最大である頂点405aを有する。底面からの頂点405aの高さをH20と定義する。頂点405aと、隣接する第1凸部との接触点203aである鞍点406aとの間の水平方向距離をw11と定義する。ここで、頂点405aから鞍点406aの反対側にw11の水平方向距離だけ離れた点(言い換えると、鞍点406aから頂点405aの方向にw11×2の水平方向距離だけ離れた点)408aを決定する。点408aは、凹部204a内に位置する。次いで、底面からの点408aの高さH21、および鞍点406aおよび点408aの高さの算術平均値をH2sを求める。すなわち、H2sは、(H11+H21)/2の式で求められる。そして、H20−H2sの値を、第2凸部205aの「見かけ上の高さ」h1bと定義する。また、鞍点406aと点408aの間の水平方向距離を、第2凸部205aの幅w1bと定義する。第2凸部205aの幅w1bは、w11の2倍であり、第2凸部205aの底面をなす正三角形の外接円の直径に相当する。
同様に、第2凸部205bは、底面からの高さをH30、および隣接する第1凸部との接触点である鞍点406bとの間の水平方向距離をw12を有する頂点405bと、頂点405aから鞍点406bの反対側にw12の水平方向距離だけ離れ、底面からの高さH31を有するた点408bとを有する。点408bは、凹部204b内に位置する。そして、頂点405bの高さH30と、鞍点406bおよび点408bの高さの算術平均値H3s(=(H12+H31)/2)との差を、第2凸部205bの「見かけ上の高さ」h1cと定義する。また、鞍点406bと点408bの間の水平方向距離を、第2凸部205bの幅w1cと定義する。第2凸部205bの幅w1cは、w12の2倍であり、第2凸部205bの底面をなす正三角形の外接円の直径に相当する。
本発明においては、第1凸部202aの見かけ上の高さH1aに対する、2つの第2凸部205aおよび205bの見かけ上の高さの算術平均値[(h1b+h1c)/2]の比が、1/7以上1以下である。すなわち、1つの第1凸部202aの見かけ上の高さH1aと、それに隣接する2つの第2凸部205aおよび205bの見かけ上の高さh1bおよびh1cが、以下の(式1)を満たす。
Figure 2018137143
第1凸部202aの見かけ上の高さH1aに対する、2つの第2凸部205aおよび205bの見かけ上の高さの算術平均値[(h1b+h1c)/2]の比が上記の範囲内であることによって、成膜時に機能層108の膜厚が不均一になることを防止することができる。これは、リーク電流による発光不良の防止に有効である。また、第1凸部202aの見かけ上の高さH1aに対する、2つの第2凸部205aおよび205bの見かけ上の高さの算術平均値[(h1b+h1c)/2]の比が上記の範囲内であることによって、構造層104の形状が転写される第2電極110の第1凹部と第2凹部との間の斜面の傾斜をある程度以上の値に維持することができる。これは、第2電極110表面で発生する表面プラズモンの変換により再放射される光が有機EL素子の水平方向に進行することを抑制して、再放射光を光透過性基板102の方向に進行させて、光の取り出し効率を増大させるのに有効である。
一方、構造層104の第1凸部202の見かけ上の高さH1aは、60nm以上200nm以下の範囲内であることが好ましい。H1aが上記の範囲内の数値を有することによって、第2電極110の第1凹部206の深さをある程度以上の値に維持することができる。これは、表面プラズモンの変換による再放射の効果を得る上で重要である。また、H1aが上記の範囲内の数値を有することによって、機能層108を構成する層(発光層など)の均一性を維持し、リーク電流による発光不良を防止することが可能となる。
同時に、本発明においては、第1凸部202aの幅W1aに対する、2つの第2凸部205aおよび205bの幅の算術平均値[(w1b+w1c)/2]の比が、1/6以上2/3以下である。すなわち、1つの第1凸部202aの幅W1aと、それに隣接する2つの第2凸部205aおよび205bの幅w1bおよびw1cが、以下の(式2)を満たす。
Figure 2018137143
第1凸部202aの幅W1aに対する、2つの第2凸部205aおよび205bの幅の算術平均値[(w1b+w1c)/2]の比が上記の範囲内であることによって、第2電極110の第1凹部206および第2凹部209の比率を凸部208の比率よりも大きくして、表面プラズモンを光に再変換する効率を向上させるのに有効である。また、(式1)および(式2)を同時に満たすことによって、成膜時に機能層108の膜厚が不均一になることを、より有効に防止することが可能となる。これは、リーク電流による発光不良の防止に有効である。
さらに、構造層104の第1凸部202aの幅W1aは、400nm以上1500nm以下であることが好ましい。第1凸部202aの幅W1aが上記の範囲内の数値を有することによって、第2凸部205aおよび205bの幅を発光波長程度に維持することができる。これは、第2電極110における表面プラズモンの変換による再放射の効果を得る上で重要である。
次に、図8、図9および図10を参照して、構造層104の複数の第1凸部202および凹部204の関係を説明する。図9は、図6の構造において、参照すべき断面600を明示した斜視断面図であり、図10は、図9の切断線X−Xに沿った断面図である。切断線X−Xは、1つの第1凸部202aの底面の正六角形の中心ならびに1組の対辺の中点を通る線に相当する。言い換えると、切断線X−Xは、第1凸部202aの頂点402aと、2つの凹部204aおよび204bの中心とを通る直線である。切断線X−Xと、切断線VIII−VIIIとは30度の角度をなす。断面600は、光透過性基板102の主面に対して垂直である。
本発明において、図8における、底面からの鞍点406aの高さH11、および底面からの鞍点406bの高さH12の小さい方を、「最低鞍点高さ」と定義する。図8の例においては、鞍点406bの高さH12が、最低鞍点高さに相当する。本発明において、図10の断面における、最低鞍点高さ(H12)未満の高さを有する部分を凹部204(c,d)と定義する。図10の断面において、最低鞍点高さ(H12)以上の高さを有する部分を、第1凸部202(a〜c)とみなす。また、図8の断面において、第2凸部205(a,b)もまた、最低鞍点高さ(H12)以上の高さを有する。さらに、本発明において、図8の断面に示した鞍点406(a,b)は、凹部204に属さないとみなす。
図6〜図10に示すように、本発明において、1つの凹部204は、略長方形の上面形状を有し、その1対の対辺において2つの第1凸部202と接触し、別の対の対辺において2つの第2凸部205と接触する。言い換えると、1つの凹部204は、第1凸部202および第2凸部205に包囲され、隣接する凹部204同士が連結されることはない。言い換えると、構造層104には、大きな面積を有する凹部ではなく、小さい面積を有する、独立した複数の凹部204が存在する。この点は、第2電極110における表面プラズモンによる損失を防止する上で重要である。
(式1)および(式2)の計算に必要な寸法の値は、走査型プローブ顕微鏡(たとえば、株式会社日立ハイテクサイエンス製AFM5400)などを使用して、構造層104の第1凸部202、第2凸部205、および凹部204の所望の領域を観察することによって得ることができる。本発明では、10箇所以上の領域を測定し、それぞれの領域において得られた寸法(H1a、h1b、h1c、W1a、w1b、およびw1c)を(式1)および(式2)に代入して領域毎の式の値を求め、得られた領域毎の式の値の算術平均値を求めた上で、(式1)および(式2)を満足するかどうかを判断することができる。
本発明において、上述の10箇所以上の領域の測定に基づく寸法の算術平均値が(式1)および(式2)を満たす限りにおいて、構造層104の全領域において、(式1)および(式2)の何れかまたは両方が満たされていなくてもよい。構造層104が(式1)および(式2)の何れかまたは両方を満たさない領域を含む場合、(式1)および(式2)の両方を満たす領域は、周期的に配列されていてもよいし、ランダムに配列されていてもよい。本発明において、(式1)および(式2)の両方を満たす領域は、構造層104の全領域の50〜100%、好ましくは80%〜100%を構成することが望ましい。最も望ましくは、構造層104の全領域において(式1)および(式2)の両方を満たす。
あるいはまた、上述の10箇所以上の領域の測定に基づく寸法の算術平均値が(式1)および(式2)を満たす限りにおいて、構造層104は、規則的配列を有する領域と、規則的配列を有さない領域とを含んでもよい。図11に、規則的配列を有する領域810および812を含む構造層104を鳥瞰する上面図を示す。本発明における「規則的配列を有する領域」とは、凹部204を介して隣接する2つの第1凸部202(たとえば、図6に示す第1凸部202aに対する、第1凸部202b、202c、202d、202e、202f、および202g)の頂点間距離が等しい領域を意味する。最も望ましくは、構造層104の全領域が、単一の規則的配列を有する領域で構成される。
構造層104に設けられる第1凸部202、第2凸部205、および凹部204の形状は、それらの形状が転写される第2電極110の下面(すなわち、第2電極110と機能層108との界面)において機能層108を発した光を光透過性基板102側へ高い効率で反射する限りにおいて、特に限定されない。図6〜図10においては、第1凸部202および第2凸部205の側面が上(第2電極110側)に凸の曲面であり、凹部204の側面が下(光透過性基板102側)に凸の曲面である場合を例示した。例えば、第1凸部202が上側に頂点を有する六角錐の形状を有し、第2凸部205が上側に頂点を有する三角錐の形状を有してもよい。
構造層104は、光透過性であることが要求される。構造層104は、好ましくは光透過性樹脂を含む。用いることができる光透過性樹脂は:低密度ポリエチレン、高密度ポリエチレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、エチレン−ヘキセン共重合体、エチレン−オクテン共重合体、エチレン−ノルボルネン共重合体、エチレン−ジメタノオクタヒドロナフタレン共重合体[エチレン−ドモン(DMON)共重合体]、ポリプロピレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−メチルメタクリレート共重合体などのポリオレフィン系樹脂;ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリエチレンナフタレートなどのポリエステル系樹脂;ナイロン−6、ナイロン−6,6、メタキシレンジアミン−アジピン酸縮重合体などのアミド系樹脂;ポリメチルメタクリルイミドなどのイミド系アクリル樹脂;ポリメチルメタクリレートなどのアクリル系樹脂;スチレン−アクリロニトリル共重合体、スチレン−アクリロニトリル−ブタジエン共重合体などのスチレン−アクリロニトリル系樹脂;ポリスチレン;ポリアクリロニトリル;トリ酢酸セルロース、ジ酢酸セルロースなどのセルロース系樹脂;ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリフッ化ビニリデン、ポリテトラフルオロエチレンなどのハロゲン含有樹脂;ポリビニルアルコール、エチレン−ビニルアルコール共重合体などの水素結合性樹脂;アイオノマー樹脂;ポリカーボネート樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリエーテルエーテルケトン樹脂、ポリフェニレンオキシド樹脂、ポリメチレンオキシド樹脂、ポリアリレート樹脂、液晶樹脂などのエンジニアリングプラスチック系樹脂などを含む。
屈折率の調整および/または光散乱性の付与を目的として、構造層104に対して微粒子を添加してもよい。屈折率の調整を目的として添加される微粒子は、酸化チタン、ジルコニアなどの無機酸化物からなる微粒子を含む。光散乱性の付与を目的として添加される微粒子は、無機微粒子、有機微粒子またはこれらの組み合わせからであってよい。用いることができる有機微粒子は、アクリル系ポリマー、スチレンポリマー、スチレン−アクリルポリマーおよびその架橋体、メラミン−ホルムアルデヒド縮合物、ポリウレタン、ポリエステル、シリコーン、フッ素系ポリマー、これらの共重合体からなる微粒子を含む。用いることができる無機微粒子は:スメクタイト、カオリナイト、タルクなどの粘土化合物粒子;シリカ、酸化チタン、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化ストロンチウムなどの無機酸化物からなる微粒子;炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウムなどの無機化合物からなる微粒子;および2種以上の無機酸化物を焼結して得られるガラス材料からなる微粒子を含む。2種以上の有機微粒子および/または無機微粒子の組み合わせを用いてもよい。
図2(a)〜(c)に示した正六角形の底面形状を有する第1凸部202および正三角形の底面形状を有する第2凸部205を含む第1態様についての説明は、(1)第1凸部202に対して第2凸部205が、60°の中心角で離間した底面の円周上の6つの点で接触すること、(2)第2凸部205に対して第1凸部202が120°の中心角で離間した底面の円周上の3つの点で接触すること、(3)凹部204は、4つの円弧によって画定される形状を有すること、および(4)第2凸部205の幅(w1b、w1c)が底面をなす円形の直径であることを除いて、図3に示した円形の底面形状を有する第1凸部202および第2凸部205を含む第2態様にも適用できる。
[バリア層]
バリア層105は、本発明の有機EL素子の任意選択的な構成要素である。バリア層105は、有機EL素子100(特に、機能層108)の劣化をもたらす水分、酸素などの侵入を抑制する機能を有する。バリア層105は、無機物の被膜、または無機物の被膜および有機物の被膜の両者を含むハイブリッド被膜であってもよい。バリア層105を形成するための無機物の例は、酸化ケイ素、二酸化ケイ素、窒化ケイ素などを含む。ハイブリッド被膜は、無機物の被膜の機械的脆弱性を解消する点において有用である。ハイブリッド被膜は、好ましくは、無機物の被膜と有機物の被膜とが積層された構造を有する。ハイブリッド被膜において用いられる有機物の例は、ポリビニルアルコール系樹脂、アクリル系樹脂などを含む。ハイブリッド被膜中の無機物の被膜および有機物の被膜の数ならびに積層順序に特段の制限はない。より好ましくは、ハイブリッド被膜は、無機物の被膜と有機物の被膜とが交互に積層された構造を有する。
バリア層105は、1.0×10-2g/(m2・24h)以下の、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定される水蒸気透過度(25±0.5℃、90±2%RH)を有することが好ましい。より好ましくは、バリア層105は、1.0×10-5g/(m2・24h)以下の水蒸気透過度を有する。さらに、バリア層105は、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定される、1.0×10-3cm3/(m2・24h・atm)以下の酸素透過度を有することが好ましい。最も好ましくは、バリア層105は、1.0×10-3cm3/(m2・24h・atm)以下の酸素透過度、および1.0×10-3g/(m2・24h)以下の水蒸気透過度の両方を有する。
バリア層105は、本技術分野において慣用的に利用されている任意の手段を用いて形成することができる。用いることができる手段の例は、真空蒸着法、スパッタ法、反応性スパッタ法、分子線エピタキシー法、クラスターイオンビーム法、イオンプレーティング法、プラズマ重合法、大気圧プラズマ重合法、プラズマCVD法、レーザーCVD法、熱CVD法などを含む。バリア層105を構造層104と第2電極110との間以外の位置に形成する場合、コーティング法を用いてバリア層105を形成してもよい。
[電極]
以下、第1電極106および第2電極110について説明する。ここでは、第1電極106を陽極として用い、第2電極110を陰極として用いる場合を説明する。ただし、本発明は、この場合に限定されない。本発明において、第1電極106を陰極として用い、第2電極110を陽極として用いてもよい。この場合には、第1電極106を光透過性陰極として用い、第2電極110を反射性陽極として用いることが好ましい。
(第1電極106:陽極)
第1電極106を陽極として用いる場合、第1電極106は、大きな仕事関数を有する材料から形成される。用いることができる材料は、金属、合金、金属酸化物、導電性化合物、およびこれらの混合物を含む。陽極として用いる第1電極106を形成するための材料は:アンチモンをドープ(添加)した酸化スズ(ATO)、フッ素をドープした酸化スズ(FTO)、酸化スズ、酸化亜鉛、酸化インジウム、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛インジウム(IZO)などの導電性金属酸化物;金、銀、クロム、ニッケルなどの金属;これらの金属と導電性金属酸化物との混合物;ヨウ化銅、硫化銅などの無機導電性物質;ポリアニリン、ポリチオフェン、ポリピロールなどの有機導電性材料などを含む。第1電極106は積層体であってもよい。たとえば、第1電極106は、上記材料からなる層の積層体であってもよい。本発明では、導電性金属酸化物を用いて第1電極106を形成すること好ましい。生産性、高導電性、透明性などの点から、ITOを用いて第1電極106を形成することが特に好ましい。
陽極として用いる第1電極106側から発光した光を取り出す場合には、第1電極106は、50%より大きい光透過率を有することが望ましい。また、第1電極106は、数百Ω/□以下のシート抵抗を有することが好ましい。さらに、使用する材料にもよるが、第1電極106は、通常10nm以上1000nm以下の範囲内、好ましくは10nm以上200nm以下の範囲内の膜厚を有する。
(第2電極:陰極)
前述の通り、第2電極110には、構造層104の形状が転写される。具体的には、図2(a)〜(c)に示されるように、構造層104の第1凸部202、第2凸部205、および凹部204の形状が、第2電極110の第1凹部206、第2凹部209、および凸部208のそれぞれに転写される。構造層104の形状は、少なくとも、第2電極110の光透過性基板102側の面(第2電極110と機能層108との界面)に転写される。第2電極110の光透過性基板102とは反対側の面(いわゆる上面)には、構造層104の形状が転写されてもよいし、転写されなくてもよい。第1凹部206、第2凹部209、および凸部208が転写された第2電極110と機能層108との界面は、高い効率の反射により、光透過性基板102から効率的に光を取り出すことを可能にする。本明細書において、第2電極110と機能層108との界面における「反射」は、(1)機能層108の発光層から発した光の一部が第2電極110で光透過性基板102側へ反射されること(通常の反射)、および(2)発生した表面プラズモンの再変換して、光透過性基板102側に光を出射すること(表面プラズモン吸収の抑制)の両方を意味する。
第2電極110を陰極として用いる場合、第2電極110は、小さい仕事関数を有する材料から形成される。用いることができる材料は、望ましくは4.5eV以下の仕事関数を有する金属(以下、「電子注入性金属」と称する)を含む。電子注入性金属の例は、リチウム、ナトリウム、カリウム、マグネシウム、アルミニウム、インジウム、希土類金属などを含む。用いることができる材料は、2つ以上の電子注入性金属の合金または混合物であってもよい。そのような材料の例は、ナトリウム−カリウム合金、マグネシウム/アルミニウム混合物、マグネシウム/インジウム混合物、リチウム/アルミニウム混合物などを含む。あるいはまた、電子注入性と酸化などに対する耐久性とを両立させるために、電子注入性金属と、より大きな仕事関数を有する金属または金属酸化物との混合物を用いて、陰極である第2電極110を形成してもよい。そのような材料の例は、マグネシウム/銅(4.65eV)混合物、マグネシウム/銀(4.64eV)混合物、アルミニウム/酸化アルミニウム混合物などを含む。
第2電極110は、数百Ω/□以下のシート抵抗を有することが好ましい。第2電極110は、通常10nm以上5μm以下の範囲内、好ましくは40nm以上200nm以下の範囲内の膜厚を有する。
[機能層]
第1電極106と第2電極110との間に設けられる機能層108は、発光層を少なくとも含む。機能層は、正孔注入層、正孔輸送層、電子輸送層、および/または電子注入層をさらに含んでもよい。
第1電極106、機能層108および第2電極110は、様々な積層構造をとることができる。採用できる積層構造の具体例は、たとえば、以下の層構成(a)〜(p)を含むが、それらに限定されるものではない。以下の層構成において、「陽極」は第1電極106であり、「陰極」は第2電極110であってもよい。また、記号「/」は、2つの層が隣接して積層されていることを示す。
(a)陽極/発光層/陰極
(b)陽極/正孔注入層/発光層/陰極
(c)陽極/正孔注入層/発光層/電子注入層/陰極
(d)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/陰極
(e)陽極/正孔注入層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(f)陽極/正孔輸送層/発光層/陰極
(g)陽極/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
(h)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(i)陽極/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(j)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/陰極
(k)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子注入層/陰極
(l)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/陰極
(m)陽極/正孔注入層/正孔輸送層/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
(n)陽極/発光層/電子注入層/陰極
(o)陽極/発光層/電子輸送層/陰極
(p)陽極/発光層/電子輸送層/電子注入層/陰極
以下、機能層108を構成する各層について説明する。
(発光層)
発光層は、電極から注入される電子と正孔(ホール)とが再結合して発光する層である。発光する部分は、発光層の層内であってもよく、発光層と隣接層との界面であってもよい。
発光層は、発光ホスト化合物と、リン光ドーパント、蛍光ドーパントなどの発光性ドーパント化合物とを含有してもよい。発光ホスト化合物は、たとえば、カルバゾール誘導体、トリアリールアミン誘導体、芳香族誘導体、含窒素複素環化合物、チオフェン誘導体、フラン誘導体、オリゴアリーレン化合物などの基本骨格を有するもの、または、カルボリン誘導体、ジアザカルバゾール誘導体などを含む。発光性ドーパント化合物は、たとえば、クマリン系色素、ピラン系色素、シアニン系色素、クロコニウム系色素、スクアリウム系色素、オキソベンツアントラセン系色素、フルオレセイン系色素、ローダミン系色素、ピリリウム系色素、ペリレン系色素、スチルベン系色素、ポリチオフェン系色素、希土類錯体などを含む。
発光層は、単一層であってもよいし、複数層の積層体であってもよい。単一層である発光層は、青色発光層、緑色発光層および赤色発光層の少なくとも1層であってもよい。本明細書において、「青色発光層」は430nm以上480nm以下の発光極大波長を有する単色発光層を意味し、「緑色発光層」は510nm以上550nm以下の発光極大波長を有する単色発光層を意味し、「赤色発光層」は600nm以上640nm以下の発光極大波長を有する単色発光層を意味する。上記以外の発光極大波長を有する発光層を用いてもよい。
複数層の積層体である発光層の1つの構成例は、3色(青色発光性副層、緑色発光性副層、および赤色発光性副層)を含む白色発光層である。発光性副層に係る「青色」、「緑色」および「赤色」は、上記の発光極大波長を有することを意味する。複数層の積層体である発光層においては、2つの発光性副層の間に非発光性の中間層を設けてもよい。
本発明の有機EL素子100の発光層は、白色発光層であることが好ましい。すなわち、本発明の有機EL素子100は、有機EL素子の発光層が白色発光層である場合が特に有効である。また、本発明の照明装置、面状光源および表示装置は、白色発光層を含むことが好ましい。したがって、本発明の照明装置、面状光源および表示装置は、白色発光層を含む有機EL素子を少なくとも一部に有することが好ましい。
発光層の総膜厚は特に制限されない。発光層は、好ましくは2nm以上5μm以下の範囲内、より好ましくは2nm以上200nm以下の範囲内、特に好ましくは10nm以上20nm以下の範囲内の膜厚を有する。上記の範囲内の膜厚は、膜の均質性の向上、発光時における不必要な高電圧の印加の防止、および駆動電流に対する発光色の安定性の向上に寄与する。
(注入層:正孔注入層、電子注入層)
注入層は、駆動電圧の低下、発光輝度の向上などのために、必要に応じて電極と発光層との間に設けられる層である。
(正孔注入層)
正孔注入層は、陽極と発光層との間(たとえば、上記の層構成(b)〜(e))に設けられてもよいし、陽極と正孔輸送層との間(たとえば、上記の層構成(j)〜(m))に設けられてもよい。正孔注入層を形成するための材料は:銅フタロシアニンに代表されるフタロシアニン類;酸化バナジウムに代表される酸化物;アモルファスカーボン;ポリアニリン(エメラルディン)、ポリチオフェンなどの導電性高分子などを含む。
(電子注入層)
電子注入層は、陰極と発光層との間(たとえば、上記の層構成(c)、(g)、(k)、および(n))に設けられてもよいし、陰極と電子輸送層との間(たとえば、上記の層構成(e)、(i)、(m)、および(p))に設けられてもよい。電子注入層を形成するための材料は:ストロンチウムおよびアルミニウムに代表される金属;フッ化リチウムに代表されるアルカリ金属化合物;フッ化マグネシウムに代表されるアルカリ土類金属化合物;酸化アルミニウムに代表される酸化物などを含む。
用いる材料に依存するが、正孔注入層および電子注入層は、0.1nm以上5μm以下の範囲内の膜厚を有することが好ましい。
(輸送層:正孔輸送層、電子輸送層)
輸送層は、正孔または電子の輸送のために、必要に応じて電極と発光層との間に設けられる層である。
(正孔輸送層)
正孔輸送層は、陽極と発光層との間(たとえば、上記の層構成(f)〜(i))に設けられてもよいし、正孔注入層と発光層との間(たとえば、上記の層構成(j)〜(m))に設けられてもよい。正孔輸送層を形成するための正孔輸送材料は、高い正孔の移動速度を有することが望ましい。加えて、正孔輸送材料は、正孔注入の促進または電子移動の障壁となる特性を有してもよい。
正孔輸送材料は、有機物であっても、無機物であってもよい。正孔輸送材料の非限定的な例は、トリアゾール誘導体、オキサジアゾール誘導体、イミダゾール誘導体、ポリアリールアルカン誘導体、ピラゾリン誘導体およびピラゾロン誘導体、フェニレンジアミン誘導体、アリールアミン誘導体、アミノ置換カルコン誘導体、オキサゾール誘導体、スチリルアントラセン誘導体、フルオレノン誘導体、ヒドラゾン誘導体、スチルベン誘導体、シラザン誘導体、ならびに、アニリン系共重合体およびチオフェンオリゴマーなどの導電性高分子オリゴマーを含む。正孔輸送層は、1種または複数種の正孔輸送材料を含んでもよい。
正孔輸送層は、1種または複数種の正孔輸送材料を含んでもよい。あるいはまた、正孔輸送層は、単一層であってもよいし、複数の副層からなる積層構造を有してもよい。正孔輸送層は、真空蒸着法などの当該技術においてよく知られている技術を用いて形成することができる。正孔輸送層は、通常5nm以上5μm以下の範囲内、好ましくは5nm以上200nm以下の範囲内の膜厚を有する。
(電子輸送層)
電子輸送層は、陰極と発光層との間(たとえば、上記の層構成(d)、(h)、(l)、および(o))に設けられてもよいし、電子注入層と発光層との間(たとえば、上記の層構成(e)、(i)、(m)、および(p))に設けられてもよい。電子輸送層を形成するための電子輸送材料は、高い電子の移動速度を有することが望ましい。加えて、電子輸送材料は、電子注入の促進または正孔移動の障壁となる特性を有してもよい。
電子輸送材料の非制限的の例は、ニトロ置換フルオレン誘導体、ジフェニルキノン誘導体、チオピランジオキシド誘導体、カルボジイミド誘導体、フレオレニリデンメタン誘導体、アントラキノジメタン誘導体、アントロン誘導体、オキサジアゾール誘導体、チアジアゾール誘導体を含む。ここで、オキサジアゾール誘導体は、電子吸引基として知られているキノキサリン環を有してもよい。あるいはまた、ニトロ置換フルオレン、ジフェニルキノン、チオピランジオキシド、カルボジイミド、フレオレニリデンメタン、アントラキノジメタン、アントロン、オキサジアゾール、およびチアジアゾールからなる群から選択される部分構造を有する高分子材料を、電子輸送材料として用いてもよい。
電子輸送材料の非制限的な例は、8−キノリノール誘導体の金属錯体を含む。用いることができる8−キノリノール誘導体の非制限的な例は、8−キノリノール、5,7−ジクロロ−8−キノリノール、5,7−ジブロモ−8−キノリノール、2−メチル−8−キノリノール、5−メチル−8−キノリノール)アルミニウムを含む。用いることができる中心金属は、Al、Zn、In、Mg、Cu、Ca、Sn、Ga、およびPbを含む。8−キノリノール誘導体の金属錯体は、トリス(8−キノリノール)アルミニウム(Alq)、トリス(5,7−ジクロロ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5,7−ジブロモ−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(2−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、トリス(5−メチル−8−キノリノール)アルミニウム、およびビス(8−キノリノール)亜鉛(Znq)を含むが、これらに限定されるものではない。
電子輸送材料の非制限的な例は、フタロシアニン誘導体およびその金属錯体を含む。フタロシアニン誘導体は、アルキル基、スルホン酸基などの置換基を有してもよい。層構成に依存するが、発光層の材料として例示したジスチリルピラジン誘導体を、電子輸送材料として用いることができる。
電子輸送層は、1種または複数種の電子輸送材料を含んでもよい。あるいはまた、電子輸送層は、単一層であってもよいし、複数の副層からなる積層構造を有してもよい。電子輸送層は、真空蒸着法などの当該技術においてよく知られている技術を用いて形成することができる。電子輸送層は、通常5nm以上5μm以下の範囲内、好ましくは5nm以上200nm以下の範囲内の膜厚を有する。
[光取出しレンズ層]
任意選択的に、光透過性基板102の構造層104を設ける面とは反対側の面には、光散乱あるいは集光機能を有する光取出しレンズ層310を設けてもよい。図4および図5に示すように、光取出しレンズ層310は、光透過性を有する光透過性層304と、光透過性層304の表面に設けられた集光レンズ層302とを備えてもよい。ここで、いわゆる集光シートを集光レンズ層302として用いてもよい。あるいはまた、光取出しレンズ層310は、表面にマイクロレンズアレイを形成した光透過性層をあってもよい(不図示)。光取出しレンズ層310を設けることによって、特定方向、たとえば、有機EL素子の光取出し方向(図1の112の方向)に集光して、特定方向の輝度を高めることができる。
光取出しレンズ層310(具体的には光透過性層304および集光レンズ層302)は、前述の光透過性樹脂を用いて形成することができる。
あるいはまた、光透過性樹脂に微粒子を添加して、光取り出しレンズ層340の光散乱効果を向上させることができる。添加できる微粒子は、1種または複数種の無機微粒子、1種または複数種の有機微粒子、およびこれらの組み合わせからなる群から選択することができる。用いることができる有機微粒子は、アクリル系ポリマー、スチレンポリマー、スチレン−アクリルポリマーおよびその架橋体、メラミン−ホルマリン縮合物、ポリウレタン系ポリマー、ポリエステル系ポリマー、シリコーン系ポリマー、フッ素系ポリマー、これらの共重合体のような高分子材料を含む。無機微粒子を形成するための材料の非制限的な例は:スメクタイト、カオリナイト、タルクなどの粘土化合物;シリカ、酸化チタン、アルミナ、シリカアルミナ、ジルコニア、酸化亜鉛、酸化バリウム、酸化ストロンチウムなどの無機酸化物;炭酸カルシウム、炭酸バリウム、塩化バリウム、硫酸バリウム、硝酸バリウム、水酸化バリウム、水酸化アルミニウム、炭酸ストロンチウム、塩化ストロンチウム、硫酸ストロンチウム、硝酸ストロンチウム、水酸化ストロンチウムなどの無機化合物;および2種以上の無機酸化物を焼結して得られるガラス材料を含む。
[封止部材]
有機EL素子100の表示領域は、封止部材によって覆われることが好ましい。封止部材は、有機EL素子100の表示領域を覆うことができる限りにおいて、凹板状でも平板状でもよい。たとえば、封止部材と電極および/または支持基板とを接着剤で接着して、表示領域の封止を実施してもよい。
封止部材に対する光透過性および電気絶縁性の要件は存在しない。しかしながら、封止部材は、バリア層105と同様に、低い水蒸気透過度および低い酸素透過度を有することが好ましい。封止部材は、1.0×10-2g/(m2・24h)以下の、JIS K 7129−1992に準拠した方法で測定される水蒸気透過度(25±0.5℃、90±2%RH)、および/または、JIS K 7126−1987に準拠した方法で測定される、1.0×10-3cm3/(m2・24h・atm)以下の酸素透過度を有することが望ましい。
封止部材の非制限的な例は、ガラス板、ポリマーの板およびフィルム、ならびに、金属板およびフィルムなどを含む。用いることができるガラスは、特に、ソーダ石灰ガラス、バリウム−ストロンチウム含有ガラス、鉛ガラス、アルミノケイ酸ガラス、ホウケイ酸ガラス、バリウムホウケイ酸ガラス、石英ガラスなどのを含む。また、用いることができるポリマーは、ポリカーボネート、アクリル、ポリエチレンテレフタレート、ポリエーテルスルフィド、ポリスルホンなどを含む。用いることができる金属は、ステンレス、鉄、銅、アルミニウム、マグネシウム、ニッケル、亜鉛、クロム、チタン、モリブテン、シリコン、ゲルマニウム、タンタル、およびそれらを含む合金を含む。
封止に用いられる接着剤の非制限的な例は:アクリル酸系オリゴマー、メタクリル酸系オリゴマーなどの反応性ビニル基を有する光硬化型または熱硬化型接着剤;2−シアノアクリル酸エステルなどの湿気硬化型接着剤;二液型エポキシ接着剤のような化学硬化型接着剤;ポリアミド、ポリエステル、ポリオレフィンなどのホットメルト型接着剤;カチオン硬化性エポキシ樹脂などを含む紫外線硬化型接着剤を含む。
ここで、加熱による有機EL素子100の劣化を防止するために、室温から80℃までの温度範囲で接着硬化できる接着剤を用いて封止を行うことが望ましい。封止工程において、市販のディスペンサー、あるいはスクリーン印刷のような印刷技術を用いて、接着剤を塗布してもよい。
封止部材と有機EL素子100の表示領域との間隙には、気相または液相の不活性物質を注入することが好ましい。不活性物質の非制限的な例は、窒素、アルゴンなどの不活性気体、および、フッ化炭化水素、シリコーンオイルなどの不活性液体を含む。また、封止部材と有機EL素子100の表示領域との間隙を真空とすることも可能である。
任意選択的に、封止部材と有機EL素子100の表示領域との間隙に、吸湿性化合物を含む吸湿部材を配置することもできる。また、あるいはまた、吸湿性化合物を含む接着剤を用いて封止を行ってもよい。吸湿性化合物の非制限的な例は:酸化ナトリウム、酸化カリウム、酸化カルシウム、酸化バリウム、酸化マグネシウム、酸化アルミニウムなどの金属酸化物;硫酸ナトリウム、硫酸カルシウム、硫酸マグネシウム、硫酸コバルトなどの硫酸塩;塩化カルシウム、塩化マグネシウム、フッ化セシウム、フッ化タンタル、臭化セリウム、臭化マグネシウム、ヨウ化バリウム、ヨウ化マグネシウムなどの金属ハロゲン化物;過塩素酸バリウム、過塩素酸マグネシウムなどの過塩素酸類を含む。これらのうち、硫酸塩、金属ハロゲン化物、および過塩素酸類においては、無水塩が好適に用いられる。
<有機EL素子の製造方法>
本発明は、上記有機EL素子の製造方法を包含する。この製造方法は、
(A)光透過性基板を準備する工程と、
(B)前記光透過性基板上に構造層を形成する工程と、
(C)前記構造層上に第1電極を形成する工程と、
(D)前記第1電極上に機能層を形成する工程と、
(E)前記機能層上に第2電極を形成する工程と
を含んでもよい。
工程(A)は、適切な材料で形成された光透過性基板102を選択し、必要に応じて、光透過性基板102に対して洗浄および/または必要な前処理を施す工程である。洗浄および/または必要な前処理は、有機EL素子の基板で通常行われるものであり、特に制限はない。
工程(B)は、複数の第1凸部202、複数の第2凸部205、および複数の凹部204を有する構造層104を形成する工程である。本工程は、転写法、フォトリソグラフィー法などの技術を用いて実施することができる。転写層を用いる場合、工程(A)で準備した光透過性基板102上に、上述した構造層104を構成するための光透過性樹脂を均一に塗布し、この樹脂に、所望の形状を形成するための形状(反転形状)を有する形状転写基板を押下し、所望の形状を光透過性樹脂に転写する。所望の形状が転写された光透過性樹脂の層を光または熱により硬化させて、所望の形状の第1凸部202、第2凸部205、および凹部204を有する構造層104を形成する。
工程(C)は、陽極として用いる第1電極106を形成する工程である。工程(C)は、構造層104の上面形状を第1電極106の上面に反映させることを条件として、当該技術において知られている任意の方法を用いて実施することができる。たとえば、第1電極106を構成する材料との適性を考慮して、工程(C)を、(1)真空蒸着法、スパッタ法、イオンプレーティング法などの物理的方式、(2)CVD、プラズマCVD法などの化学的方式などの公知の方法の中から適宜選択される方法によって実施することができる。たとえば、ITOを用いて第1電極106を形成する場合には、工程(C)は、直流スパッタ法、高周波スパッタ法、真空蒸着法、イオンプレーティング法などによって実施することができる。
なお、工程(C)において、フォトリソグラフィー法などによる化学的エッチング、あるいはレーザーなどによる物理的エッチングを使用して、第1電極106をパターニングしてもよい。あるいはまた、マスクを通した真空蒸着法、マスクを通したスパッタ法、または、リフトオフ法などによって、パターン状の第1電極106を形成してもよい。
工程(D)は、発光層を含む機能層108を形成する工程である。工程(C)は、第1電極106の上面形状(すなわち、構造層104の上面形状)を機能層108の上面に反映させることを条件として、当該技術において知られている任意の方法を用いて実施することができる。たとえば、工程(D)は、真空蒸着法などを用いて実施してもよい。
工程(E)は、陰極として用いる第2電極110を形成する工程である。第2電極110は、真空蒸着法、スパッタ法などの当該技術において知られている任意の技術を用いて形成することができる。本工程で形成された第2電極110の下面(すなわち、機能層108と第2電極110との界面)には、機能層108の上面形状を反映して、構造層104の複数の第1凸部202、複数の第2凸部205、および複数の凹部204にそれぞれ対応して、複数の第1凹部206、複数の第2凹部209、および複数の凸部208が形成される。このような形状を有することによって、機能層108が発した光を高効率で「反射」し、光透過性基板102側から放出することが可能となる。
<照明装置および面状光源>
本発明は、前述の有機EL素子を含む照明装置および面状光源を包含する。たとえば、光の出射側から、光透過性基板、陽極、機能層、陰極、吸湿部材および封止部材を含む照明装置であれば、光透過性基板から陰極までの部分に、本発明の有機EL素子を使用できる。より具体的には、図12に示す照明装置の構成例は、光の出射側から、光透過性基板102、構造層104、第1電極(陽極)106、機能層108、第2電極(陰極)110、外部接続端子112、吸湿部材(デシカント)1202、および封止部材1204を含む。この構成例において、光透過性基板102から第2電極(陰極)110までの構成が、前述の有機EL素子100に対応する。ここで、外部接続端子112は、第2電極110と電源とを接続するための部材である。外部接続端子112は、透明導電性酸化物のような、低い水蒸気透過度および低い酸素透過度を有する導電性材料を用いて形成することができる。また、本発明の面状光源も、照明装置と同様の構成とすることができる。本発明の照明装置および面状光源の製造は、前述の有機EL素子の製造方法に適切な工程を付加して実施することができる。
<表示装置>
本発明は、前述の有機EL素子を含む表示装置を包含する。本発明の表示装置は、装置の表示側から、カラーフィルターガラス基板(ガラス基板およびカラーフィルター層を含む)、保護層、陽極、白色有機EL発光層を含む有機層および陰極を含む表示装置を含む。本発明の表示装置では、陽極部は、シリコン駆動基板などの駆動部分を含んでいてもよい。より具体的には、図13に示す表示装置の構成例は、装置の表示側から、光透過性基板102、カラーフィルター層(たとえば、RGBカラーフィルター層など)1302、バリア層105、構造層104、第1電極(陽極)106、機能層108、第2電極(陰極)110を含む。図13の構成例において、カラーフィルター層1302以外の部分が、前述の有機EL素子に対応する。本発明の照明装置および面状光源の製造は、前述の有機EL素子の製造方法に適切な工程を付加して実施することができる。たとえば、カラーフィルター層1302は、スピンコート法、蒸着法などの当該技術おいて知られている任意の方法を用いて形成することができる。
上述した実施形態を具体化した実施例を、比較対象としての比較例とともに説明する。以下の実施例では、走査型プローブ顕微鏡を用いて、構造層104の第1凸部202および第2凸部205の幅および見かけ上の高さを測定した。具体的には、ランダムに選択した10箇所において、1つの第1凸部202と、それに隣接する2つの第2凸部205の画像を得た後に、第1凸部202の幅W1aおよび見かけ上の高さH1a、ならびに第2凸部205の幅(w1b、w1c)および見かけ上の高さ(h1b、h1c)を求めた。10箇所の測定値の算術平均値を、構造層104の微細構造の特性値とした。また、以下の実施例では構造層104の微細構造の特性値を基に説明するが、構造層104の微細構造が反転して、第2電極110と機能層108との界面に転写されていることを確認した。
<実施例1>
30mm×40mmの寸法および0.7mmの厚さを有する無アルカリガラス板を洗浄して、光透過性基板102を準備した。スピンコーターを用いて、光透過性基板102上に、UV(紫外線)硬化型アクリル系樹脂(東洋インキ株式会社製 リオデュラスTYT)を塗布し、次いで熱風オーブンの中において100℃で1分間加熱して、膜厚1μmの樹脂層を形成した。続いて、この樹脂層の表面に、微細パターンを有するフィルム板を押し付けた、その状態でUV光(150mJ/cm2)を照射した。次に、フィルム板を剥離して、第1凸部202、第2凸部205、および凹部204を上面に有する構造層104を得た。第1凸部202の底面は正六角形の形状を有し、第2凸部205の底面は正三角形を有した。また、構造層104は、1つの第1凸部202が6つの第2凸部205と接触し、1つの第2凸部205が3つの第1凸部202と接触し、1つの凹部204が2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触している、図7および図8に示すパターンを有することを確認した。第1凸部202の見かけ上の高さH1aは100nmであり、幅W1aは500nmであった。第2凸部205の見かけ上の高さh1bおよびh1cは、それぞれ50nmおよび45nmであり、それらの算術平均値((h1b+h1c)/2))は47.5nmであった。第2凸部205の幅w1bおよびw1cは、ともに100nmであり、それらの算術平均値((w1b+w1c)/2))は100nmであった。
次に、スパッタ法を用いて構造層104の表面に膜厚100nmのITO膜を堆積させ、続いてITO膜をパターニングすることにより、光透過性を有する第1電極106(陽極)を形成して、光取り出し基板120を得た。
続いて、第1電極106の表面に、正孔輸送層、発光層、電子輸送層、および電子注入層をそれぞれ蒸着法で堆積させて、機能層108を形成した。より具体的には、以下の構成層をこの順に堆積して、層構成(i)を有する機能層108を形成した。
(1) 正孔輸送層:
4,4’,4’’−トリス(9−カルバゾール)トリフェニルアミン(膜厚35nm);
(2) 発光層:
トリス(2−フェニルピリジナト)イリジウム(III)錯体をドープした4,4’,4’’−トリス(9−カルバゾール)トリフェニルアミン(膜厚15nm)、および
トリス[1−フェニルイソキノリン−C2,N]イリジウム(III)錯体をドープした1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(膜厚15nm)の積層構造;
(3) 電子輸送層:
1,3,5−トリス(N−フェニルベンズイミダゾール−2−イル)ベンゼン(膜厚65nm);および
(4) 電子注入層:
フッ化リチウム(膜厚1.5nm)。
続いて、機能層108の表面に蒸着法によりアルミニウムを堆積して、膜厚50nmの第2電極110を形成した。
別途、光透過性シートからなる光透過性層304として、PETフィルムを準備した。光透過性層304の一方の表面に、直径5μmの半球形状のマイクロレンズと5μmピッチの頂角89度のクロスプリズム構造とからなる集光レンズ層302を形成し、光取出しレンズ層310を得た。続いて、光透過性層304の他方の表面を、粘着剤を介して光透過性基板102に貼り合わせて、図4に示す光取出しレンズ層310を有する有機EL素子100を得た。このとき、集光レンズ層302が光取り出し側の最表面である。
<実施例2>
構造層104形成の際に用いたフィルム板を変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、有機EL素子100を得た。構造層104の第1凸部202の底面は正六角形の形状を有し、第2凸部205の底面は正三角形を有した。また、構造層104は、1つの第1凸部202が6つの第2凸部205と接触し、1つの第2凸部205が3つの第1凸部202と接触し、1つの凹部204が2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触している、図7および図8に示すパターンを有することを確認した。第1凸部202は、80nmの見かけ上の高さH1a、および1000nmの幅W1aを有した。第2凸部205の見かけ上の高さh1bおよびh1cは、ともに80nmであり、それらの算術平均値((h1b+h1c)/2))は80nmであった。第2凸部205の幅w1bおよびw1cは、255nmおよび245nmであり、それらの算術平均値((w1b+w1c)/2))は250nmであった。
<実施例3>
構造層104形成の際に用いたフィルム板を変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、有機EL素子100を得た。構造層104の第1凸部202の底面は正六角形の形状を有し、第2凸部205の底面は正三角形を有した。また、構造層104は、1つの第1凸部202が6つの第2凸部205と接触し、1つの第2凸部205が3つの第1凸部202と接触し、1つの凹部204が2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触している、図7および図8に示すパターンを有することを確認した。第1凸部202は、60nmの見かけ上の高さH1a、および600nmの幅W1aを有した。第2凸部205の見かけ上の高さh1bおよびh1cは、42nmおよび41nmであり、それらの算術平均値((h1b+h1c)/2))は41.5nmであった。第2凸部205の幅w1bおよびw1cは、ともに400nmであり、それらの算術平均値((w1b+w1c)/2))は400nmであった。
<実施例4>
構造層104形成の際に用いたフィルム板を変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、有機EL素子100を得た。構造層104の第1凸部202の底面は正六角形の形状を有し、第2凸部205の底面は正三角形を有した。また、構造層104は、1つの第1凸部202が6つの第2凸部205と接触し、1つの第2凸部205が3つの第1凸部202と接触し、1つの凹部204が2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触している、図7および図8に示すパターンを有することを確認した。第1凸部202は、200nmの見かけ上の高さH1a、および1500nmの幅W1aを有した。第2凸部205の見かけ上の高さh1bおよびh1cは、28.5nmおよび28.7nmであり、それらの算術平均値((h1b+h1c)/2))は28.6nmであった。第2凸部205の幅w1bおよびw1cは、ともに250nmであり、それらの算術平均値((w1b+w1c)/2))は250nmであった。
<実施例5>
構造層104形成の際に用いたフィルム板を変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、有機EL素子100を得た。構造層104の第1凸部202および第2凸部205の底面は円形の形状を有した。また、構造層104は、1つの第1凸部202が6つの第2凸部205と接触し、1つの第2凸部205が3つの第1凸部202と接触し、1つの凹部204が2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触している、図3に示すパターンを有することを確認した。第1凸部202は、130nmの見かけ上の高さH1a、および750nmの幅W1aを有した。第2凸部205の見かけ上の高さh1bおよびh1cは、75nmおよび68nmであり、それらの算術平均値((h1b+h1c)/2))は71.5nmであった。第2凸部205の幅w1bおよびw1cは、315nmおよび310nmであり、それらの算術平均値((w1b+w1c)/2))は312.5nmであった。
<実施例6>
構造層104形成の際に用いたフィルム板を変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、有機EL素子100を得た。構造層104の第1凸部202および第2凸部205の底面は円形の形状を有した。また、構造層104は、1つの第1凸部202が6つの第2凸部205と接触し、1つの第2凸部205が3つの第1凸部202と接触し、1つの凹部204が2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触している、図3に示すパターンを有することを確認した。第1凸部202は、90nmの見かけ上の高さH1a、および400nmの幅W1aを有した。第2凸部205の見かけ上の高さh1bおよびh1cは、40nmおよび50nmであり、それらの算術平均値((h1b+h1c)/2))は45nmであった。第2凸部205の幅w1bおよびw1cは、270nmおよび255nmであり、それらの算術平均値((w1b+w1c)/2))は262.5nmであった。
<比較例1>
構造層104形成の際にフィルム板を押し付けなかったことを除いて実施例1の手順を繰り返して、有機EL素子100を得た。構造層104の上面は平坦であり、対応して、第2電極110と機能層108との界面も平坦であった。
<比較例2>
構造層104形成の際に用いたフィルム板を変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、有機EL素子100を得た。構造層104の第1凸部202の底面は正六角形の形状を有し、第2凸部205の底面は正三角形を有した。また、構造層104は、1つの第1凸部202が6つの第2凸部205と接触し、1つの第2凸部205が3つの第1凸部202と接触し、1つの凹部204が2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触している、図7および図8に示すパターンを有することを確認した。第1凸部202は、60nmの見かけ上の高さH1a、および400nmの幅W1aを有した。第2凸部205の見かけ上の高さh1bおよびh1cは、7nmおよび6nmであり、それらの算術平均値((h1b+h1c)/2))は6.5nmであった。第2凸部205の幅w1bおよびw1cは、285nmおよび278nmであり、それらの算術平均値((w1b+w1c)/2))は281.5nmであった。
<比較例3>
構造層104形成の際に用いたフィルム板を変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、有機EL素子100を得た。構造層104の第1凸部202の底面は正六角形の形状を有し、第2凸部205の底面は正三角形を有した。また、構造層104は、1つの第1凸部202が6つの第2凸部205と接触し、1つの第2凸部205が3つの第1凸部202と接触し、1つの凹部204が2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触している、図7および図8に示すパターンを有することを確認した。第1凸部202は、300nmの見かけ上の高さH1a、および600mの幅W1aを有した。第2凸部205の見かけ上の高さh1bおよびh1cは、310nmおよび320nmであり、それらの算術平均値((h1b+h1c)/2))は315nmであった。第2凸部205の幅w1bおよびw1cは、418nmおよび422nmであり、それらの算術平均値((w1b+w1c)/2))は420nmであった。
<比較例4>
構造層104形成の際に用いたフィルム板を変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、有機EL素子100を得た。構造層104の第1凸部202の底面は正六角形の形状を有し、第2凸部205の底面は正三角形を有した。また、構造層104は、1つの第1凸部202が6つの第2凸部205と接触し、1つの第2凸部205が3つの第1凸部202と接触し、1つの凹部204が2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触している、図7および図8に示すパターンを有することを確認した。第1凸部202は、550nmの見かけ上の高さH1a、および1000nmの幅W1aを有した。第2凸部205の見かけ上の高さh1bおよびh1cは、560nmおよび555nmであり、それらの算術平均値((h1b+h1c)/2))は557.5nmであった。第2凸部205の幅w1bおよびw1cは、ともに680nmであり、それらの算術平均値((w1b+w1c)/2))は680nmであった。
<比較例5>
構造層104形成の際に用いたフィルム板を変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返して、有機EL素子100を得た。構造層104の第1凸部202および第2凸部205の底面は円形の形状を有した。また、構造層104は、1つの第1凸部202が6つの第2凸部205と接触し、1つの第2凸部205が3つの第1凸部202と接触し、1つの凹部204が2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触している、図3に示すパターンを有することを確認した。第1凸部202は、50nmの見かけ上の高さH1a、および350nmの幅W1aを有した。第2凸部205の見かけ上の高さh1bおよびh1cは、ともに6nmであり、それらの算術平均値((h1b+h1c)/2))は6nmであった。第2凸部205の幅w1bおよびw1cは、ともに50nmであり、それらの算術平均値((w1b+w1c)/2))は50nmであった。
<比較例6>
構造層104形成の際に用いたフィルム板を変更したことを除いて実施例1の手順を繰り返した、有機EL素子100を得た。構造層104の第1凸部202および第2凸部205の底面は円形の形状を有した。また、構造層104は、1つの第1凸部202が6つの第2凸部205と接触し、1つの第2凸部205が3つの第1凸部202と接触し、1つの凹部204が2つの第1凸部202および2つの第2凸部205と接触している、図3に示すパターンを有することを確認した。第1凸部202は、250nmの見かけ上の高さH1a、および2000nmの幅W1aを有した。第2凸部205の見かけ上の高さh1bおよびh1cは、30nmおよび35nmであり、それらの算術平均値((h1b+h1c)/2))は32.5nmであった。第2凸部205の幅w1bおよびw1cは、240nmおよび260nmであり、それらの算術平均値((w1b+w1c)/2))は250nmであった。
<評価>
実施例1〜6および比較例1〜6の有機EL素子に、直流(DC)電源から電流密度20mA/cm2の定電流を流し、出射される全放射光を積分球により計測した。平坦な上面を有する構造層104(平坦な第2電極110と機能層108との界面)を有する比較例1の全放射光の量に対する実施例1〜6および比較例2〜6の全放射光の量の比を計算して、光取出し効率比を求めた。
また、有機EL素子に対して、順方向電圧を段階的に印加した際に流れる電流密度、引き続いて、逆方向電圧を段階的に印加した際に流れる電流密度を測定した。順方向に1.0Vの電圧を印加したときに1.0×10-5mA/cm2より小さい電流密度を示し、かつ、逆方向に1.0Vの電圧を印加したときに1.0×10-5mA/cm2より小さい電流密度を示した場合を、リーク電流無し(「○」)と判定した。順方向または逆方向に1.0Vの電圧を印加したときに1.0×10-5mA/cm2より大きい電流密度を示した場合を、リーク電流有り(「×」)と判定した。前述の2つの評価項目に基づき、以下の基準にしたがって総合判定を決定した。
Figure 2018137143
実施例1〜6および比較例1〜6の構造層104の微細構造の特性値を第1表および第3表にまとめ、実施例1〜6および比較例1〜6の有機EL素子の評価結果を第2表および第4表にまとめた。
Figure 2018137143
Figure 2018137143
Figure 2018137143
Figure 2018137143
第2表および第4表に示すように、(式1)および(式2)を満たす適切な形状を有する構造層104を有する実施例1〜6の有機EL素子は、1.52から1.88の高い光の取出し効率比を有することが確認された。これは、構造層104から転写された、第2電極110と機能層108との界面の構造が、表面プラズモン吸収を抑制し、かつ、第2電極110の光の反射率を向上させたためと推定される。
表面プラズモンは、一定の距離以上にわたって同一の高さを有する部分を伝播する際に、減衰することが知られている。しかしながら、本発明において、構造層104の凹部204は、その周囲を第1凸部202および第2凸部205に包囲され、微細な部分に分割されている。したがって、凹部204が転写された第2電極110の凸部208もまた、その周囲を第1凹部206および第2凹部209に包囲され、微細な部分に分割されている。言い換えると、第2電極110と機能層108との界面の凸部208には、一定の距離以上にわたって同一の高さを有する部分が存在しない。したがって、第2電極110と機能層108との界面の凸部208では、減衰を起こす表面プラズモンの伝播が発生せず、表面プラズモンを再変換して光として放出することが可能となると推定される。
さらに、構造層104の第1凸部202および第2凸部205は鞍点を介して接触しているため、その高さは微小距離で変化している。また、第1凸部202および第2凸部205は、鞍点を除いて凹部204に包囲されているため、微細な部分に分割されている。これらのことから、構造層104の第1凸部202および第2凸部205が転写される、第2電極110の第1凹部206および第2凹部209もまた、微細な部分に分割されている。言い換えると、第2電極110と機能層108との界面の第1凹部206および第2凹部209には、一定の距離以上にわたって同一の高さを有する部分が存在しない。したがって、第2電極110と機能層108との界面の凹部では、減衰を起こす表面プラズモンの伝播が発生せず、表面プラズモンを再変換して光として放出することが可能となると推定される。
さらに、機能層108から第2電極110の第1凹部206および第2凹部209に進んできた光は、光透過性基板102側に直接反射される。本発明において、第1凹部206および第2凹部209の幅が異なり、かつ、第1凹部206および第2凹部209の高さも異なることによって、幅広い波長領域の光を直接反射することが可能となると推定される。
一方、比較例2の有機EL素子は、1.43という不充分な光取出し効率比を示した。この結果は、構造層104の第2凸部205の見かけ上の高さが低すぎることに起因すると考えられる。具体的には、第2電極110上に転写される第2凹部209の深さが不十分になり、第2電極110の凸部208が事実上連続した形状を有したと考えられる。加えて、比較例2の有機EL素子において、構造層104の第1凸部202の幅に対する第2凸部205の幅が大きく、構造層104の凹部204の面積比が増大している。これは、第2電極110の凸部208の面積比の増大をもたらす。よって、比較例2の有機EL素子において、凸部208において表面プラズモン吸収を抑制することができなかったと推定される。
比較例3および4の有機EL素子は、それぞれ0.65および0.70という低い光取出し効率比を示すとともに、リーク電流が発生した。この結果は、(1)構造層104の見かけ上の高さH1aに対する構造層104の幅W1aの比が大きいため、第1凸部202が極めて急峻な形状を有したこと、および(2)構造層104の見かけ上の高さH1aが、機能層108の膜厚よりも著しく大きいことに起因すると推定される。具体的には、第1凸部202の上方で、第1電極106上に急峻な側面を有する凸部が形成され、当該斜面上の機能層108の膜厚が他の部分よりも小さくなったと考えられる。そして、機能層108の膜厚減少は、第1電極106と第2電極110との間のキャリア移動を局所的に優勢なものとし、発光に寄与せずに対向電極にと達するキャリアが増加したと考えられる。加えて、構造層104の第1凸部202の幅W1aに比較して、第2凸部205の見かけ上の高さが高いため、それらの形状が転写された第2電極110の凹部における直接反射の反射率が低下したと推定される。
比較例5の有機EL素子は、1.06という不充分な光取出し効率比を示した。不充分な光取り出し効率比の原因の1つは、比較例2と同様に、構造層104の第2凸部205の見かけ上の高さが低すぎることと考えられる。加えて、構造層104の第1凸部202の見かけ上の高さH1aが小さく、かつ、第2凸部205の幅が小さいため、第2電極110の第1凹部および第2凹部における表面プラズモン吸収抑制効果が不十分となり、光取り出し効率が低下したと推定される。
比較例6の有機EL素子もまた、1.11という不充分な光取出し効率比を示した。これは、機能層108が発する光の波長に比べて、構造層104の第1凸部202の幅W1aが長すぎたためと考えられる。このため、第2電極110の第1凹部206において表面プラズモンの伝播が発生し、光取出し効率が低下したと推定される。
100 有機EL素子
102 光透過性基板
104 構造層
105 バリア層
106 第1電極
108 機能層
110 第2電極
112 外部接続端子
120 光取り出し基板
202(a−f、h−j) 構造層の第1凸部
203(a、b) 接触点
204 構造層の凹部
205(a,b) 構造層の第2凸部
206 第2電極の第1凹部
207 第2電極の接触点
208 第2電極の凸部
209 第2電極の第2凹部
302 集光レンズ層
304 光透過性層
310 光取出しレンズ層
402(a) 第1凸部の頂点
405(a、b) 第2凸部の頂点
406(a−d) 鞍点
408 点
810、812 規則的な配列を有する領域
1202 吸湿部材
1204 封止部材
1302 カラーフィルター層

Claims (8)

  1. 光透過性基板と、前記光透過性基板上に設けられた、光透過性の構造層、光透過性の第1電極、発光層を含む機能層、および第2電極をこの順に含み、
    前記構造層は、前記第2電極側の表面に、複数の第1凸部、複数の第2凸部、および複数の凹部を有し、
    複数の第1凸部は、正六角形または円形の底面形状を有し、
    複数の第1凸部が正六角形の底面形状を有する場合、複数の第2凸部は、正三角形の底面形状を有し、
    複数の第1凸部が円形の底面形状を有する場合、複数の第2凸部は、円形の底面形状を有し、
    複数の第1凸部のそれぞれは、6つの第2凸部と隣接し、
    複数の第2凸部のそれぞれは、3つの第1凸部と隣接し、
    複数の凹部のそれぞれは、2つの第1凸部および2つの第2凸部と隣接し、
    直線状に位置する、1つの第1凸部および2つの第2凸部が(式1)および(式2)
    Figure 2018137143
    (式中、H1aは第1凸部の見かけ上の高さを表し、h1bおよびh1cは、2つの第2凸部のそれぞれの見かけ上の高さを表す)
    Figure 2018137143
    (式中、W1aは第1凸部の幅を表し、w1bおよびw1cは、2つの第2凸部のそれぞれの幅を表す)
    の関係を満たすことを特徴とする有機EL素子。
  2. H1aが60nmから200nmの範囲内であることを特徴とする請求項1に記載の有機EL素子。
  3. W1aが400nmから1500nmの範囲内であることを特徴とする請求項1または2に記載の有機EL素子。
  4. 前記構造層と前記第1電極との間に、バリア層をさらに備える、請求項1から3のいずれかに記載の有機EL素子。
  5. 前記光透過性基板の前記構造層が設けられた面とは反対側の面に、光取出しレンズ層をさらに備える、請求項1から4のいずれかに記載の有機EL素子。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の有機EL素子を含む照明装置。
  7. 請求項1から5のいずれかに記載の有機EL素子を含む面状光源。
  8. 請求項1から5のいずれかに記載の有機EL素子を含む表示装置。
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