JP2018136264A - 異結晶検査装置、異結晶検査方法及びプログラム - Google Patents

異結晶検査装置、異結晶検査方法及びプログラム Download PDF

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英哲 竹田
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Abstract

【課題】微細な異結晶部を検出することのできる異結晶検査装置を提供する。【解決手段】異結晶検査装置は、自撮像部の光軸に沿って前記自撮像部から検査対象物へと延びる方向を向いており、撮像信号に基づいて前記検査対象物を撮像する撮像部と、前記光軸を外周側から囲うように前記光軸の周方向に配列され、点灯信号に従って発光することで、それぞれ前記検査対象物を照射する複数の照明部と、前記複数の照明部に対して選択的に前記点灯信号を出力する照明制御部と、前記複数の照明部のそれぞれが点灯するごとに前記撮像部に撮像信号を出力する撮像制御部と、を備える。【選択図】図1

Description

本発明は、異結晶検査装置、異結晶検査方法及びプログラムに関する。
高温に耐え得る材料として、一方向性凝固鋳造物が提案されている。一方向性凝固鋳造物では、鋳造後の凝固冷却時に鋳型の拘束に起因した鋳造ひずみが発生し、異結晶部(再結晶部)が発生することがある。一方向性凝固鋳造物における異結晶部は、強度が小さく、亀裂発生の要因となるため、タービン翼の疲労強度低下を招く可能性がある。そこで、一方向性凝固鋳造物における異結晶部を検出可能な検査方法が種々提案されている。
特許文献1には、関連する技術として、結晶方位に応じた超音波の伝播速度差を利用し、単結晶材料の異結晶領域を検出する技術が記載されている。
特開2009−300371号公報
しかしながら、特許文献1に記載の方法では、ある程度大きな異結晶領域の存在を検出することはできるが、微細な異結晶部の検出は難しいという課題がある。
そのため、微細な異結晶部を検出することのできる技術が求められていた。
本発明は、上記の課題を解決することのできる異結晶検査装置、異結晶検査方法及びプログラムを提供することを目的としている。
本発明の第1の態様によれば、異結晶検査装置は、自撮像部の光軸に沿って前記自撮像部から検査対象物へと延びる方向を向いており、撮像信号に基づいて前記検査対象物を撮像する撮像部と、前記光軸を外周側から囲うように前記光軸の周方向に配列され、点灯信号に従って発光することで、それぞれ前記検査対象物を照射する複数の照明部と、前記複数の照明部に対して選択的に前記点灯信号を出力する照明制御部と、前記複数の照明部のそれぞれが点灯するごとに前記撮像部に撮像信号を出力する撮像制御部と、を備える。
本発明の第2の態様によれば、第1の態様における異結晶検査装置において、前記複数の照明部は、前記光軸を外周側から囲うように前記光軸の複数の異なる周方向であって前記周ごとに異なる高さに配列されてもよい。
本発明の第3の態様によれば、第1の態様または第2の態様における異結晶検査装置は、前記光軸の同一の周方向に配列された前記複数の照明部の前記検査対象物を照射する側の端部に設けられた拡散体、を備えていてもよい。
本発明の第4の態様によれば、第1の態様または第2の態様における異結晶検査装置において、前記複数の照明部の前記検査対象物を照射する側の端部のそれぞれは、拡散塗料が塗布されていてもよい。
本発明の第5の態様によれば、第1の態様から第4の態様の何れかにおける異結晶検査装置は、前記撮像部が撮像した画像データについてのフーリエ変換に基づいて、前記検査対象物における異結晶部の有無を判定する異結晶特定部、を備えていてもよい。
本発明の第6の態様によれば、第5の態様における異結晶検査装置において、前記異結晶特定部は、前記撮像部が撮像した画像データにおける端部の歪みを重み付けを用いたフーリエ変換に基づいて補正してもよい。
本発明の第7の態様によれば、異結晶検査装置の異結晶検査方法は、自撮像部の光軸に沿って前記自撮像部から検査対象物へと延びる方向を向いており、撮像信号に基づいて前記検査対象物を撮像する撮像部と、前記光軸を外周側から囲うように前記光軸の周方向に配列され、点灯信号に従って発光することで、それぞれ前記検査対象物を照射する複数の照明部と、を備える異結晶検査装置の異結晶検査方法であって、前記複数の照明部に対して選択的に前記点灯信号を出力することと、前記複数の照明部のそれぞれが点灯するごとに前記撮像部に撮像信号を出力することと、を含む。
本発明の第8の態様によれば、プログラムは、自撮像部の光軸に沿って前記自撮像部から検査対象物へと延びる方向を向いており、撮像信号に基づいて前記検査対象物を撮像する撮像部と、前記光軸を外周側から囲うように前記光軸の周方向に配列され、点灯信号に従って発光することで、それぞれ前記検査対象物を照射する複数の照明部と、を備える異結晶検査装置のコンピュータに、前記複数の照明部に対して選択的に前記点灯信号を出力することと、前記複数の照明部のそれぞれが点灯するごとに前記撮像部に撮像信号を出力することと、を実行させる。
本発明の実施形態による異結晶検査装置によれば、微細な異結晶部を検出することができる。
本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置1の構成を示す斜視図である。 本発明の第1の実施形態による照明制御部の制御を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態による照明部の照射方向の変更を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態において一方向性凝固鋳造物へ照射された照射光の結晶面における反射を説明するための第1の図である。 本発明の第1の実施形態において一方向性凝固鋳造物へ照射された照射光の結晶面における反射を説明するための第2の図である。 本発明の第1の実施形態による異結晶特定部の処理を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態における異結晶部の種類を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態における異結晶部の結晶面で反射した反射光を説明するための図である。 本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置の処理フローを示す図である。 本発明の第1の実施形態におけるベクトルを説明するための図である。 本発明の第1の実施形態におけるフィルタサイズと画像データの概念を示す図である。 本発明の第2の実施形態による照明部の配列を示す図である。 本発明の第3の実施形態による蛍光発光拡散体の配列を示す第1の図である。 本発明の第3の実施形態による蛍光発光拡散体の配列を示す第2の図である。 本発明の第3の実施形態による蛍光発光拡散体の種類を示す図である。 本発明の第4の実施形態における拡散塗料の塗布位置を示す図である。 本発明の第5の実施形態による異結晶特定部の処理を説明するための第1の図である。 本発明の第5の実施形態による異結晶特定部の処理を説明するための第2の図である。 本発明の第5の実施形態による異結晶特定部の処理を説明するための第3の図である。 本発明の第5の実施形態による異結晶特定部の処理フローを示す図である。 本発明の第5の実施形態による異結晶特定部の処理を説明するための第4の図である。
<第1の実施形態>
以下、図面を参照しながら実施形態について詳しく説明する。
本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置の構成について説明する。
本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置1は、一方向性凝固鋳造物2(検査対象物)の表層に存在する異結晶部Jを検出するための装置である。なお、一方向性凝固鋳造物2とは、溶融金属が一方向の温度勾配下で一定の方向に凝固したものである。例えば、一方向性凝固鋳造物2は、ガスタービン、航空機のエンジンなどの耐熱性が要求される製品に用いられる一方向性鋳造物である。また、異結晶部Jとは、一方向性凝固鋳造物2のうち部分的に再結晶などが生じて結晶方位が異なる領域である。
異結晶検査装置1は、図1に示すように、撮像部10と、照明部20と、制御装置30と、画像処理装置40と、支持部50と、を備える。
撮像部10の光軸(撮像方向C)は、一方向性凝固鋳造物2へ向いている。例えば、撮像部10の真下に一方向性凝固鋳造物2が位置する場合、撮像部10の光軸は、真下を向く。
撮像部10は、一方向性凝固鋳造物2のうち検査対象領域3を撮像して、複数の画像データ108を取得する。撮像部10は、取得した画像データ108を画像処理装置40に送信する。
照明部20は、撮像部10の光軸を外周側から囲うように光軸の周方向に等間隔で複数配列される。照明部20は、照明制御部301によって1つ選択される。選択された照明部20は、制御部からの点灯信号に従って発光する。こうすることで、照明部20のそれぞれは一方向性凝固鋳造物2を照射する。
照明部20は、例えば、光ファイバである。なお、照明部20としては、LED(Light Emmiting Diode)などの小型の照明部であってもよい。
制御装置30は、照明制御部301と、撮像制御部302と、を備える。
照明制御部301は、発光させる照明部20を1つ選択する。照明制御部301は、選択した照明部20へ点灯信号を送信する。照明制御部301が発光させる照明部20を選択し、選択した照明部20へ点灯信号を送信することによって、照明部20による検査対象領域3の照射方向Dを変更することができる。
具体的には、図2に示すように、照明制御部301は、複数の照明部20のうち1つを所定の順番で選択し発光させることにより、照射回転角度を変化させる。なお、所定の順番とは、例えば、同一周上の配置された照明部20のうちの1つから時計回り、または、反時計回りに配置によって定まる順番である。
より具体的には、例えば、図3に示すように、検査対象領域3、撮像部10及び基準とする照明部20を通る第1平面Mに直交する(撮像方向Cに垂直な)第2平面Nに、その基準とする照明部20の光の照射方向Dを投影し、検査対象領域3を中心とした照射方向(以下、「投影照射方向」と記載)D’が示す軸を回転角度φの基準(0°)とする。照明制御部301が基準とする照明部20とは異なる照明部20を選択し、照明部20を変更する。変更後の照明部20の照射方向D1を第2平面Nに投影したとき、投影照射方向D1’が規定される。このとき、第2平面Nにおいて、変更前の投影照射方向D’と、変更後の投影照射方向D1’とで挟まれる角度が照明部20の回転角度φとなる。つまり、照明制御部301が複数の照明部20のうち1つを選択し発光させることにより、照射方向の回転角度φを自由に調節することができる。なお、照明制御部301は、照明部20を選択する際には、回転角度φが0度を超える値となるように、照明部20の照射方向Dを基準に照射方向D1を決定する。
なお、照明制御部301は、図3に示すように、回転角度φに加えて、第1平面M内における検査対象領域3を中心とした照射方向D1の傾き角度θを変化させる制御を行ってもよい。ここで、傾き角度θは、第2平面Nに対する照射方向D1の角度である。
撮像制御部302は、照明制御部301によって選択された照明部20の照明の点灯に同期するように、撮像部10の撮像タイミングを制御する。
画像処理装置40は、異結晶特定部401と、記憶部402と、を備える。
異結晶特定部401は、撮像部10から回転角度φが異なる複数の(例えば、回転角度φが30°ごとに撮像した12枚の)画像データ108を受信する。異結晶特定部401は、受信した画像データ108に基づいて検査対象領域3内の異結晶部Jを特定する。
記憶部402は、照明部20が発光する度に撮像部10が撮像した複数の画像データ108を記憶している。
支持部50は、撮像部10及び照明部20を支持する。
ここで、異結晶特定部401が検査対象領域3内の異結晶部Jを特定する具体例について説明する。
図4に示す例は、一方向性凝固鋳造物2へ照射された照射光Fの結晶面Pにおける反射光Rの反射角は、検査対象領域3内の異結晶部Jと健全部すなわち通常の結晶部Kとで異なる例である。すなわち、撮像部10と照明部20が図1で示した異結晶検査装置1のように配置されている場合、撮像部10が異結晶部Jの結晶面Pから受ける反射光Rが結晶部Kの結晶面Pから受ける反射光Rよりも多いため、異結晶部Jの部分の画像は明るい画像となる。また、撮像部10と照明部20が図1で示した異結晶検査装置1のように配置されている場合、撮像部10が通常の結晶部Kの結晶面Pから受ける反射光Rが異結晶部Jの結晶面Pから受ける反射光Rよりも少ないため、通常の結晶部Kの部分の画像は暗い画像となる。
具体的には、図5に示すように、検査対象領域3のうち通常の結晶部Kに対して照明部20から照射光Fを照射した場合、照射光Fは結晶面Pで反射し、反射光Rの光量は、照明部20の照射方向Dに対する鏡面反射(正反射)の方向D’で最も多くなる。この場合、撮像部10は反射光Rを受け易い位置にないため、撮像部10が受ける反射光Rの光量は少ない。その結果、通常の結晶部Kの部分の画像は暗い画像となる。一方、図5に示すように、検査対象領域3のうち異結晶部Jに対して照明部20から照射光Fを照射した場合、照射光Fは結晶面Pで反射し、反射光Rは、方向D’で最も多くなる。この場合、撮像部10は反射光Rを受け易い位置にあるため、撮像部10が受ける反射光Rの光量は多い。その結果、異結晶部Jの部分の画像は明るい画像となる。なお、説明の都合上、図5では撮像部10を2つ示したが、ここで示した2つの撮像部10は、同一の撮像部である。また、説明の都合上、図5では照明部20を2つ示したが、ここで示した2つの照明部20は、同一の照明部である。また、撮像部10と照明部20の位置関係は、通常の結晶部Kに照射光Fを照射する場合も、異結晶部Jに照射光Fを照射する場合も同一である。
この例のように、検査対象領域3における通常の結晶部Kと異結晶部Jとでは照射光Fを照射したときの反射角度が異なるため画像における輝度が異なる。そのため、異結晶特定部401は、画像データ108を解析することで検査対象領域3内の異結晶部Jを特定することができる。
なお、検査対象領域3における通常の結晶部Kと異結晶部Jとで画像における輝度が異なるのは、通常の結晶部Kと異結晶部Jとで、結晶方位が異なることが原因であると推測される。
したがって、異結晶特定部401は、投影照射方向D’が示す軸を基準とした回転角度φが異なる複数の画像データ108に基づいて、検査対象領域3における異結晶部Jを特定することにより、微細な異結晶部Jであっても高精度に検出することができる。
例えば、撮像部10が取得した画像データ108のうち、特定の画素において異結晶部Jが撮像されている場合、その特定の画素における輝度信号は、図6の(a)の部分に示すように、回転角度φ1で最大となったとする。一方、撮像部10が取得した画像データ108のうち、通常の結晶部Kが撮像されている画素における輝度信号は、図6の(b)の部分に示すように、回転角度φ2で最大となったとする。異結晶特定部401は、一方から他方を減算することにより、図6の(c)の部分に示すような判定用の輝度信号を作成する。このようにすれば、異結晶特定部401は、輝度信号における最大輝度と最小輝度の差Δに基づいて異結晶部Jを特定することができる。すなわち、異結晶特定部401は、差Δが所定のしきい値を超えている場合に、その画素内に異結晶部Jを含むと判定する。この結果、異結晶特定部401は、微細な異結晶部Jであっても高精度に検出することができる。
なお、後述するように、画素ごとの輝度の値をベクトルで表し、ある画素(後述する中心領域121)の周囲領域のベクトルをベクトル合成して平均値を算出し、算出した平均値を用いて画素データを解析するものであってもよい。
また、異結晶特定部401は、光の照射方向D(すなわち回転角度φ)の異なる複数の画像データ108において、各画像内の同一の各画素について高速フーリエ変換(以下、「FFT(Fast Fourier Transform)」と記載)を行う。この場合、異結晶特定部401は、図7に示す3種類の異結晶部Jの結晶面Pからの反射光Rを検出することができる。
具体的には、例えば、照明部20から検査対象領域3に反時計回りに1周配列順に照射光Fが照射された場合、異結晶特定部401は、図7の(a)の部分に示す結晶面が1方向の異結晶部Jについては、1つの面で反射する反射光Rを検出する。その結果、異結晶特定部401は、明るくなるところと暗くなるところをそれぞれ1回ずつ検出し、図8の(a)の部分に示すような基本波を検出することになる。また、異結晶特定部401は、図7の(b)の部分に示す結晶面が2方向の異結晶部Jについては、2つの面で反射する反射光Rを検出する。その結果、異結晶特定部401は、明るくなるところと暗くなるところをそれぞれ2回ずつ検出し、図8の(b)の部分に示すような第2高調波を検出することになる。また、異結晶特定部401は、図7の(c)の部分に示す結晶面が3方向の異結晶部Jについては、3つの面で反射する反射光Rを検出する。その結果、異結晶特定部401は、明るくなるところと暗くなるところをそれぞれ3回ずつ検出し、図8の(c)の部分に示すような第3高調波を検出することになる。
このように、異結晶特定部401は、各画素の基本波成分、第2次高調波成分及び第3次高調波成分を検出することができる。なお、本発明の実施形態における検査対象物である一方向性凝固鋳造物2の結晶構造は立方晶であるので、基本波、第2高調波及び第3高調波を検出すれば、全ての反射光Rを検出することになる。
なお、図8に示す基本波、第2高調波及び第3高調波のそれぞれの波形は正規化されている。そのため、図8に示す基本波、第2高調波及び第3高調波のそれぞれの波形が示す輝度レベルは、ほぼ同様の輝度レベルとなっている。しかしながら、実際には、第2高調波の輝度レベルは、基本波の輝度レベルよりも小さい。また、実際には、第3高調波の輝度レベルは、第2高調波の輝度レベルよりも小さい。
次に、本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置1の処理について説明する。
ここでは、図9に示す本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置1の処理フローについて説明する。
照明制御部301は、発光させる照明部20を選択し、選択した照明部20へ点灯信号を送信することによって、照明部20の照射方向Dを変更する。
具体的には、照明制御部301は、複数の照明部20のうち1つを所定の順番、例えば、反時計回りに配置順に複数の照明部20のうち1つを選択し、選択した点灯信号を送信することによって発光させる(ステップS1)。
照明部20のそれぞれは、照明制御部301から点灯信号を受信すると発光する。
撮像制御部302は、照明制御部301によって選択された照明部20が発光するタイミングに同期するように、撮像部10の撮像タイミングを制御する(ステップS2)。
撮像部10は、撮像制御部302の制御に応じて照明部20の各発光タイミングにおいて検査対象領域3を撮像し、照射光Fの照射方向の異なる複数の画像データ108を取得する(ステップS3)。画像データ108は、ある照明部20の位置を基準とし、例えば回転角度φを30°ごとに変化させた場合の位置にある照明部20を回転角度φが360°になるまで順番に選択されたときに、撮像部10が検査対象領域3における一方向性凝固鋳造物2の表面を撮像したデータである。
撮像部10は、撮像した複数の画像データ108を異結晶特定部401に送信する。
異結晶特定部401は、撮像部10から複数の画像データ108を受信する。
異結晶特定部401は、受信した複数の画像データ108の各画素についてFFTを行う(ステップS4)。
撮像部10から受信した画像データ108には、図8に示したような基本波、第2高調波、第3高調波が混在している。異結晶特定部401は、各画素についてFFTを行うことにより、基本波、第2高調波、第3高調波のそれぞれを抽出することができる。
異結晶特定部401は、FFTを行うことによって抽出した信号、すなわち、各画素における基本波、第2高調波、または、第3高調波を振幅(輝度)成分と位相成分とに分離し、所定のベクトルを特定する(ステップS5)。
具体的には、異結晶特定部401は、各画素における基本波、第2高調波、または、第3高調波を、すなわち、正弦波を、フェーザ法を用いて振幅成分と位相成分とに分離してフェーザ表示する。
異結晶特定部401は、正弦波を振幅成分と位相成分とへと分離するこの分離をすべての画像データ108のすべての画素について実行する。
こうして得られたベクトルは、図10に示すように、振幅成分が大きさを示し、位相成分が方向を示す。本発明の第1の実施形態では、これらの各ベクトルを利用して比較などの処理を行う。
異結晶特定部401は、フィルタ120(図11の(a)の部分参照)の中心領域121(図11の(a)の部分参照)とその周囲領域122(図11の(a)の部分参照)のサイズであるフィルタサイズを規定する(ステップS6)。すなわち、異結晶特定部401は、中心領域121に含まれる画素数を規定する。これにより異結晶特定部401は、分解能を規定することができる。なお、中心領域121に複数の画素が含まれる場合には、複数の画素それぞれについてのベクトルを合成したベクトルを中心領域121の各画素に用いる。
異結晶特定部401は、各画素における基本波についての輝度と、各画素の周囲領域122における基本波についての輝度とを比較する(ステップS7)。この場合の輝度は、各ベクトルを形成する振幅と、位相とを2乗平均した値とする。このように、ベクトルを利用することにより、振幅と位相の両方を考慮した比較を行うことができ、比較を行う処理において振幅のみを考慮した比較に比べてより正確に異結晶部Jであるか否かを判定することができる。すなわち、振幅または振幅の絶対値のみを基準に比較した場合には、中心領域121と周囲領域122との振幅または振幅の絶対値の差が小さく、その差が判定に用いるしきい値以下であっても、実際には、中心領域121と周囲領域122との位相の差が大きく、異結晶部Jを含んでいる可能性がある。また、中心領域121と周囲領域122とで位相がずれることを利用して位相のみを比較して異結晶部Jを含んでいるか否かを判定することはできる。しかしながら、位相のみを比較した場合には、中心領域121と周囲領域122との位相差が小さく、その差が判定に用いるしきい値以下であっても、実際には、中心領域121と周囲領域122との振幅または振幅の絶対値の差が大きく、異結晶部Jを含んでいる可能性がある。異結晶特定部401は、振幅と位相の両方を考慮したベクトルを利用することにより、異結晶部Jであるか否かの判定の精度を上げている。なお、ここでの振幅はFFTを行う前の輝度に相当するものである。
また異結晶特定部401は、第2高調波及び第3高調波のそれぞれについても、上述の基本波と同様の処理を行う。
異結晶特定部401は、ステップS7における比較結果に基づいて、中心領域121と周囲領域122との輝度の差が基本波、第2高調波及び第3高調波のうちの少なくとも1つについて所定のしきい値を超えているか否かを判定する(ステップS8)。
異結晶特定部401は、中心領域121と周囲領域122との輝度の差が所定のしきい値を超えていると判定した場合(ステップS8においてYES)、異結晶部Jが存在すると判定する。そして、異結晶特定部401は、異結晶部Jが存在する位置を特定する(ステップS9)。なお、異結晶特定部401は、画面データにおける対応する画素の位置を参照することにより、異結晶部Jが存在する位置を容易に特定することができる。なお、しきい値としてはさまざまな値が考えられる。また、異結晶部Jが存在するか否かの判定もさまざまな方法が考えられる。例えば、異結晶特定部401は、基本波、第2高調波、第3高調波のそれぞれに対応させた固有のしきい値をそれぞれ設定しておき、中心領域121と周囲領域122との輝度の差が何れかのしきい値を超えた場合に、異結晶部Jが存在すると判断してもよい。また、例えば、異結晶特定部401は、基本波、第2高調波、第3高調波に関連する数値、例えば、基本波、第2高調波、第3高調波の振幅と位相について重み付けを行って正規化した値を加算して、その加算値がしきい値を超えた場合に異結晶部Jが存在すると判断してもよい。
また、異結晶特定部401は、中心領域121と周囲領域122との輝度の差が所定のしきい値を超えていないと判定した場合(ステップS8においてNO)、異結晶部Jは存在しないと判定する(ステップS10)。
図11の(b)の部分は、画像処理装置40で処理する複数の画像データ108を概念的に示す模式図である。記憶部402は、図11に示すように、各回転角度φごとに位置する照明部20が発光する度に撮像部10が撮像した複数の画像データ108を記憶している。
異結晶特定部401は、記憶部402が記憶する複数の画像データ108のうち周囲領域122(122A及び122Bを含む)について平均輝度を算出する。そして、異結晶特定部401は、算出した平均輝度を参照輝度として用いる。異結晶特定部401が算出したこの平均輝度は、上述した位相および振幅を成分とするベクトルにおける位相および振幅を2乗平均して算出したものである。
異結晶特定部401は、輝度を測定する場合、まず所定のフィルタサイズのフィルタ120を用いて、画像データ108を走査する。そして、異結晶特定部401は、フィルタ120の中心領域121の輝度を計測し、これを画像データ108における着目位置の輝度とする。また、異結晶特定部401は、中心領域121の周囲領域122(122A及び122Bを含む)の輝度を計測し、計測された複数の輝度をベクトル合成して、周囲領域122における平均輝度を算出する。
異結晶特定部401は、図11に示すように、画像データ108のうち着目する位置(着目位置)121およびその周囲領域122(122A及び122Bを含む)からなる領域について平均輝度を算出し、算出した平均輝度を参照輝度として用いてもよい。例えば、異結晶特定部401は、輝度を測定する場合、まず所定のフィルタサイズのフィルタ120を用いて、画像データ108を走査する。そして、異結晶特定部401は、フィルタ120の中心領域121の輝度を計測し、これを画像データ108における着目位置の輝度とする。また、異結晶特定部401は、中心領域121の周囲領域122(122A及び122Bを含む)輝度を計測し、中心領域121における輝度および周囲領域122における複数の輝度をベクトル合成して、中心領域121及び周囲領域122における平均輝度を算出してもよい。
なお、本発明の第1の実施形態において、周囲領域122の輝度は、格子状に区切られた複数の領域122A,122Bのうち少なくとも一部の領域122Aまたは122Bについて計測されてもよい。例えば、領域122Aと領域122Bとが交互に配置されている場合、周囲領域122の輝度は、領域122Aまたは領域122Bについて計測されてもよい。これらの構成によれば、着目する位置の周囲領域122における平均輝度を示す参照輝度を適切に得ることができる。
また、本発明の第1の実施形態において、異結晶特定部401は、画像データ108における少なくとも一部の領域についてローパスフィルタ処理を施して、参照輝度を算出してもよい。この場合には、ローパスフィルタを用いた簡素な処理によって、着目位置の周囲領域122における平均輝度を示す参照輝度を適切に取得することができる。
以上、本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置1について説明した。
本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置1において、撮像部10は、自撮像部10の光軸に沿って自撮像部10から検査対象物である一方向性凝固鋳造物2へと延びる方向を向いており、撮像信号に基づいて一方向性凝固鋳造物2を撮像する。照明部20は、それぞれ一方向性凝固鋳造物2を照射し、撮像部10の光軸を外周側から囲うように撮像部10の光軸の周方向に複数配列され、点灯信号に従って発光する。照明制御部301は、照明部20に対して選択的に点灯信号を出力する。撮像制御部302は、照明部20のそれぞれが点灯するごとに撮像部10に撮像信号を出力する。
このようにすれば、本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置1は、微細な異結晶部Jが存在するか否かをより高精度に判定することができる。
<第2の実施形態>
本発明の第2の実施形態による異結晶検査装置1の構成について説明する。
本発明の第2の実施形態による異結晶検査装置1は、第1の実施形態による異結晶検査装置1と同様に、撮像部10と、照明部20と、制御装置30と、画像処理装置40と、支持部50と、を備える。
ただし、本発明の第2の実施形態による異結晶検査装置1と本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置1とで、照明部20の配置が異なる。
照明部20は、図12の(a)の部分に示すように、撮像部10の光軸を外周側から囲うように撮像部10の光軸の複数の異なる周方向に複数配列される。また、照明部20が配列される高さは、図12の(b)の部分に示すように、周ごとに異なり、光軸からの距離が遠くなるにつれて照明部20の一方向性凝固鋳造物2を照射する側の端部の高さは、一方向性凝固鋳造物2に近づく高さとなる。このように、光軸からの距離が遠くなるにつれて照明部20の一方向性凝固鋳造物2を照射する側の端部の高さが異なることで、図3で示した傾き角度θが変化する。
照明部20は、照明制御部301の点灯信号に従って発光する。
制御装置30は、照明制御部301と、撮像制御部302と、を備える。
照明制御部301は、発光させる照明部20を1つ選択する。照明制御部301は、選択した照明部20へ点灯信号を送信する。照明制御部301が発光させる照明部20を選択し、選択した照明部20へ点灯信号を送信することによって、照明部20の照射方向Dを変更することができる。
具体的には、照明制御部301は、照明部20が配置された複数の周に順番を付与し、その順番に周を選択する。照明制御部301は、周を選択するごとに、その周に配列された複数の照明部20のうち1つを所定の順番で選択し発光させることにより、照射回転角度を変化させる。なお、所定の順番とは、例えば、同一の周上の配置された照明部20のうちの1つから時計回り、または、反時計回りに配置によって定まる順番である。
画像処理装置40は、異結晶特定部401と、記憶部402と、を備える。
異結晶特定部401は、同一の周上に配置された照明部20ごとに、第1の実施形態において示した処理と同様の処理を行う。
なお、本発明の第2の実施形態による異結晶検査装置1は、同一の周上に配置された照明部20ごとに、図9に示した本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置1と同様の処理を行えばよい。
以上、本発明の第2の実施形態による異結晶検査装置1について説明した。
本発明の第2の実施形態による異結晶検査装置1において、照明部20は、撮像部10の光軸を外周側から囲うように撮像部10の光軸の複数の異なる周方向に複数配列される。また、照明部20が配列される高さは、周ごとに異なり、光軸からの距離が遠くなるにつれて照明部20の一方向性凝固鋳造物2を照射する側の端部の高さは、一方向性凝固鋳造物2に近づく高さとなる。照明部20は、照明制御部301の点灯信号に従って発光する。照明制御部301は、発光させる照明部20を1つ選択する。照明制御部301は、選択した照明部20へ点灯信号を送信する。照明制御部301が発光させる照明部20を選択し、選択した照明部20へ点灯信号を送信することによって、照明部20の照射方向Dを変更する。具体的には、照明制御部301は、照明部20が配置された複数の周に順番を付与し、その順番に周を選択する。照明制御部301は、周を選択するごとに、その周に配列された複数の照明部20のうち1つを所定の順番で選択し発光させることにより、照射回転角度を変化させる。異結晶特定部401は、同一の周上に配置された照明部20ごとに、第1の実施形態において示した処理と同様の処理を行う。
このようにすれば、本発明の第2の実施形態による異結晶検査装置1において、光軸からの距離が遠くなるにつれて照明部20の一方向性凝固鋳造物2を照射する側の端部の高さが異なることで、傾き角度θが変化する。そのため、本発明の第2の実施形態による異結晶検査装置1は、一方向性凝固鋳造物2に対してより多くの異なる方向から照明を点灯させることができ、本発明の第1の実施形態による異結晶検査装置1に比べて異結晶部Jが存在するか否かをより高精度に判定することができる。
<第3の実施形態>
本発明の第3の実施形態による異結晶検査装置1の構成について説明する。
本発明の第3の実施形態による異結晶検査装置1は、第1及び第2の実施形態による異結晶検査装置1と同様に、撮像部10と、照明部20と、制御装置30と、画像処理装置40と、支持部50と、を備える。
ただし、本発明の第3の実施形態による異結晶検査装置1は、第1及び第2の実施形態による異結晶検査装置1と異なり、さらに、蛍光発光拡散体60を備える。
蛍光発光拡散体60は、蛍光発光材料(例えば、色ガラスフィルタ)を利用し蛍光発光により光を拡散させる。蛍光発光拡散体60は、図13及び図14に示すように、同一の周に配置された照明部20ごとに一方向性凝固鋳造物2が置かれる側の正面(各照明部20の一方向性凝固鋳造物2を照射する側の端部)に配置される。
蛍光発光拡散体60の形状としては、例えば、図15に示す3つが挙げられる。
図15の(a)の部分に示す蛍光発光拡散体60は、色ガラスフィルタがリング状に加工されたものであり、蛍光発光させて光を拡散させる。
図15の(b)の部分に示す蛍光発光拡散体60は、図15の(a)の部分に示した蛍光発光拡散体60の色ガラスフィルタが、照明部20側のリング面から軸方向に遠ざかるにつれ内径が大径となるテーパ面と、照明部20側のリング面から軸方向に遠ざかるにつれ外径が小径となるテーパ面とを有するように斜めに加工されたものであり、蛍光発光を斜めに拡散照射して光を拡散させる。
図15の(c)の部分に示す蛍光発光拡散体60は、図15の(b)の部分に示した蛍光発光拡散体60の色ガラスフィルタの外径側のテーパ面に反射体が施工されたものであり、蛍光発光を斜めに照射して光を拡散させる。
以上、本発明の第3の実施形態による異結晶検査装置1について説明した。
本発明の第3の実施形態による異結晶検査装置1において、蛍光発光拡散体60は、蛍光発光材料を利用し蛍光発光により光を拡散させる。蛍光発光拡散体60は、同一の周に配置された照明部20ごとに一方向性凝固鋳造物2が置かれる側の正面に配置される。
このようにすれば、本発明の第3の実施形態による異結晶検査装置1は、照射のむらを低減することができるため、本発明の第1及び第2の実施形態による異結晶検査装置1に比べて異結晶部Jが存在するか否かをより高精度に判定することができる。
<第4の実施形態>
本発明の第4の実施形態による異結晶検査装置1の構成について説明する。
本発明の第4の実施形態による異結晶検査装置1は、第1及び第2の実施形態による異結晶検査装置1と同様に、撮像部10と、照明部20と、制御装置30と、画像処理装置40と、支持部50と、を備える。
ただし、本発明の第4の実施形態による異結晶検査装置1は、第1及び第2の実施形態による異結晶検査装置1と異なり、各照明部20の一方向性凝固鋳造物2を照射する側の端部に拡散塗料70が塗布されている。
拡散塗料70は、例えば、白色の塗料である。拡散塗料70は、図16に示すように、各照明部20ごとに一方向性凝固鋳造物2が置かれる側の正面、すなわち、複数の照明部20の一方向性凝固鋳造物2を照射する側の端部に塗布される。
なお、拡散塗料70が塗布される際には、同一の周に配置された複数の照明部20ごとに拡散の度合いが均一であることを確認する必要がある。
以上、本発明の第4の実施形態による異結晶検査装置1について説明した。
本発明の第4の実施形態による異結晶検査装置1において、蛍光発光拡散体60は、蛍光発光材料を利用し蛍光発光により光を拡散させる。拡散塗料70は、各照明部20ごとに一方向性凝固鋳造物2が置かれる側の正面に塗布される。
このようにすれば、本発明の第4の実施形態による異結晶検査装置1は、照射のむらを低減することができるため、本発明の第1及び第2の実施形態による異結晶検査装置1に比べて異結晶部Jが存在するか否かをより高精度に判定することができる。
<第5の実施形態>
本発明の第5の実施形態による異結晶検査装置1の構成について説明する。
本発明の第5の実施形態による異結晶検査装置1は、第1の実施形態による異結晶検査装置1と同様に、撮像部10と、照明部20と、制御装置30と、画像処理装置40と、支持部50と、を備える。
画像処理装置40は、異結晶特定部401と、記憶部402と、を備える。
異結晶特定部401は、撮像部10から回転角度φが異なる複数の画像データ108を受信する。異結晶特定部401は、受信した画像データ108に基づいて検査対象領域3内の異結晶部Jを特定する。
ただし、本発明の第5の実施形態による異結晶特定部401は、本発明の第1の実施形態による異結晶特定部401と異なり、画像データ108の画像端部において生じている歪みをフーリエ変換を行う際に補正する。
図17に示すように、画像中心から外れた一方向性凝固鋳造物2の解析対象の部分Uに等間隔に配列された照明部20から照射光Fが照射される場合、例えば、解析対象の部分に近い図17において符号Qの部分に配置された照明部20が切り替わったときと、解析対象の部分から遠い図17において符号Wの部分に配置された照明部20が切り替わったときとでは、見かけ上の照射回転角度が異なる。そのため、図17に示すように、解析対象の部分Uに近い部分に配置された照明部20が切り替わったときの輝度は、位相方向に縮む。また、図17に示すように、解析対象の部分Uから遠い部分に配置された照明部20が切り替わったときの輝度は、位相方向に延びる。
本発明の第5の実施形態による異結晶特定部401は、位相方向に縮む、または、延びるといった歪みをフーリエ変換において重み付けを行うことにより補正する。
具体的には、異結晶特定部401は、回転照明の見込み角度の不等角度を補償することで、正確な波形を復元する。より具体的には、異結晶特定部401は、実際の見込み角度に直すことにより正確な波形を復元する。
この処理により、図18の(a)の部分に示す歪んだ波形は、図18の(b)の部分に示す波形に復元される。
ただし、正確な角度に見直したため、このままの不等角度でフーリエ変換を行っても、振幅及び位相は、図19の(a)の部分の測定点が密な領域の平均値に近づくため、大きな影響を受けてしまい、正確にフーリエ変換を行うことができない。
そのため、異結晶特定部401は、図19の(b)の部分に示すように、測定点が疎な領域の値を相対的にかさ上げする重み付けを行い、平均値を導出する。
このようにすれば正確にフーリエ変換を行うことができる。
ここで、図17で示した照明部20が32個等間隔に配列された場合の異結晶特定部401のフーリエ変換の処理について説明する。
ここでは図20に示す異結晶特定部401の処理フローについて説明する。
なお、32個の照明部20のそれぞれには、識別番号としてNo.01〜No.32が付与されている。
異結晶特定部401は、図21に示すような識別番号No.01〜No.32の照明部20のそれぞれの点灯時に得られた画像データについて、重み付け関数を用いてDFT(Discrete Fourier Transform)の要素を計算する(ステップS101)。
具体的には、例えば、異結晶特定部401は、識別番号No.01の照明部20の点灯時に得られた画像データについては、次に示す式(1)を演算する。
ここで、Iα01(x、y)は、識別番号No.01の照明部20の点灯時に得られた画像の任意の画像位置(x,y)における輝度値である。また、f(β01(x,y))は、識別番号No.01の照明部20の近傍の照明密度である。また、β01(x,y)は、識別番号No.01の照明部20の点灯時に得られた画像の任意の画像位置(x,y)における実際の回転角度である。なお、f(β01(x,y))が重み付け関数である。例えば、図21に示す識別番号No.kの照明部20については、識別番号No.(k−1)の照明部20となす角度(Δk,k−1)と、識別番号No.(k+1)の照明部20となす角度(Δk+1,k)との和の1/2を重み付け関数f(β01(x,y))とする。
次に、異結晶特定部401は、識別番号No.1〜No.32の照明部20(1周)のそれぞれのDFTの要素を加算する(ステップS102)。
具体的には、異結晶特定部401は、次に示す式(2)を演算する。
ここで、Iαk(x、y)は、識別番号No.k(kは1〜32の整数)の照明部20の点灯時に得られた画像の任意の画像位置(x,y)における輝度値である。また、f(βk(x,y))は、識別番号No.kの照明部20の近傍の照明密度である。また、βk(x,y)は、識別番号No.kの照明部20の点灯時に得られた画像の任意の画像位置(x,y)における実際の回転角度である。なお、f(βk(x,y))が重み付け関数である。
次に、異結晶特定部401は、式(2)からF(x,y)の絶対値を計算して振幅を算出する(ステップS103)。また、異結晶特定部401は、式(2)からcos(βk(x,y))+isin(βk(x,y))を計算し、オイラーの公式を用いて位相を算出する(ステップS104)。
以上、本発明の第5の実施形態による異結晶検査装置1について説明した。
本発明の第5の実施形態による異結晶検査装置1において、異結晶特定部401は、位相方向に縮む、または、延びるといった歪みをフーリエ変換において重み付けを行うことにより補正する。
このようにすれば、本発明の第5の実施形態による異結晶検査装置1は、画像データ108が示す画像において広範囲に歪みの無い処理を行うことができる。そのため、隣り合う領域の画像を走査する際に、それらの領域の画像データ108どうしのデータのオーバラップ部分(画像の重ね代となる部分)を小さくすることができる。その結果、検査時に走査する領域において重複する領域、すなわち、無駄な領域が低減され、検査の効率化(例えば、時間の短縮など)が期待できる。
なお、上記の本発明の実施形態による異結晶検査装置1は、基本波、第2高調波、第3高調波を得るものとして説明した。しかしながら、本発明の実施形態による異結晶検査装置1は、基本波、第2高調波、第3高調波を得るものに限定しない。検査対象が3種類の結晶方位面を有する立方晶を検査対象としている場合には、異結晶検査装置1は、基本波、第2高調波、第3高調波を得るものであるが、検査対象が6方結晶である場合には、必要に応じて高調波の次数を増やしてもよい。すなわち、異結晶検査装置1は、結晶方位面の数に応じて高調波の次数を選定すればよい。
なお、本発明の実施形態における処理は、適切な処理が行われる範囲において、処理の順番が入れ替わってもよい。
本発明の実施形態における記憶部、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲においてどこに備えられていてもよい。また、記憶部、その他の記憶装置のそれぞれは、適切な情報の送受信が行われる範囲において複数存在しデータを分散して記憶していてもよい。
本発明の実施形態について説明したが、上述の異結晶検査装置1は内部に、コンピュータシステムを有していてもよい。そして、上述した処理の過程は、プログラムの形式でコンピュータ読み取り可能な記録媒体に記憶されており、このプログラムをコンピュータが読み出して実行することによって、上記処理が行われる。ここでコンピュータ読み取り可能な記録媒体とは、磁気ディスク、光磁気ディスク、CD−ROM、DVD−ROM、半導体メモリ等をいう。また、このコンピュータプログラムを通信回線によってコンピュータに配信し、この配信を受けたコンピュータがそのプログラムを実行するようにしてもよい。
また、上記プログラムは、前述した機能の一部を実現してもよい。さらに、上記プログラムは、前述した機能をコンピュータシステムにすでに記録されているプログラムとの組み合わせで実現できるファイル、いわゆる差分ファイル(差分プログラム)であってもよい。
本発明のいくつかの実施形態を説明したが、これらの実施形態は、例であり、発明の範囲を限定しない。これらの実施形態は、発明の要旨を逸脱しない範囲で、種々の追加、省略、置き換え、変更を行ってよい。
1・・・異結晶検査装置
2・・・一方向性凝固鋳造物
3・・・検査対象領域
10・・・撮像部
20・・・照明部
30・・・制御装置
40・・・画像処理装置
50・・・支持部
60・・・蛍光発光拡散体
70・・・拡散塗料
108・・・画像データ
120・・・着目位置
121・・・中心領域
122、122A、122B・・・周囲領域
301・・・照明制御部
302・・・撮像制御部
401・・・異結晶特定部
402・・・記憶部

Claims (8)

  1. 自撮像部の光軸に沿って前記自撮像部から検査対象物へと延びる方向を向いており、撮像信号に基づいて前記検査対象物を撮像する撮像部と、
    前記光軸を外周側から囲うように前記光軸の周方向に配列され、点灯信号に従って発光することで、それぞれ前記検査対象物を照射する複数の照明部と、
    前記複数の照明部に対して選択的に前記点灯信号を出力する照明制御部と、
    前記複数の照明部のそれぞれが点灯するごとに前記撮像部に撮像信号を出力する撮像制御部と、
    を備える異結晶検査装置。
  2. 前記複数の照明部は、
    前記光軸を外周側から囲うように前記光軸の複数の異なる周方向であって前記周ごとに異なる高さに配列される、
    請求項1に記載の異結晶検査装置。
  3. 前記光軸の同一の周方向に配列された前記複数の照明部の前記検査対象物を照射する側の端部に設けられた拡散体、
    を備える請求項1または請求項2に記載の異結晶検査装置。
  4. 前記複数の照明部の前記検査対象物を照射する側の端部のそれぞれは、
    拡散塗料が塗布されている、
    請求項1または請求項2に記載の異結晶検査装置。
  5. 前記撮像部が撮像した画像データについてのフーリエ変換に基づいて、前記検査対象物における異結晶部の有無を判定する異結晶特定部、
    を備える請求項1から請求項4の何れか一項に記載の異結晶検査装置。
  6. 前記異結晶特定部は、
    前記撮像部が撮像した画像データにおける端部の歪みを重み付けを用いたフーリエ変換に基づいて補正する、
    請求項5に記載の異結晶検査装置。
  7. 自撮像部の光軸に沿って前記自撮像部から検査対象物へと延びる方向を向いており、撮像信号に基づいて前記検査対象物を撮像する撮像部と、前記光軸を外周側から囲うように前記光軸の周方向に配列され、点灯信号に従って発光することで、それぞれ前記検査対象物を照射する複数の照明部と、を備える異結晶検査装置の異結晶検査方法であって、
    前記複数の照明部に対して選択的に前記点灯信号を出力することと、
    前記複数の照明部のそれぞれが点灯するごとに前記撮像部に撮像信号を出力することと、
    を含む異結晶検査装置の異結晶検査方法。
  8. 自撮像部の光軸に沿って前記自撮像部から検査対象物へと延びる方向を向いており、撮像信号に基づいて前記検査対象物を撮像する撮像部と、前記光軸を外周側から囲うように前記光軸の周方向に配列され、点灯信号に従って発光することで、それぞれ前記検査対象物を照射する複数の照明部と、を備える異結晶検査装置のコンピュータに、
    前記複数の照明部に対して選択的に前記点灯信号を出力することと、
    前記複数の照明部のそれぞれが点灯するごとに前記撮像部に撮像信号を出力することと、
    を実行させるプログラム。
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