JP2018134882A - 鞍乗型車両用制御装置及び鞍乗型車両 - Google Patents

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Abstract

【課題】傾斜地等での発進時に鞍乗型車両の安定性を補助し、運転者が引っ掛かり感を覚えることを抑制しつつ、スムースな発進を行うことを可能とする鞍乗型車両用制御装置を提供すること。【解決手段】鞍乗型車両用制御装置であって、制御装置は、鞍乗型車両が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧を得るように構成されたブレーキ圧取得部と、少なくともブレーキ圧取得部により得られた停車前のブレーキ圧に基づいて、鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成された停車時ブレーキ圧設定部と、運転者によるブレーキ操作が行われていない時に、停車時ブレーキ圧設定部により設定されたブレーキ圧に基づいて、鞍乗型車両のブレーキ装置を作動させるように構成されたブレーキ制御部とを備える。【選択図】図9

Description

本発明は、鞍乗型車両用制御装置及び鞍乗型車両に関する。
通常、坂道での発進では、運転者がブレーキとアクセルとを同時に又は連続的に操作する。坂道での発進は、一般的に、比較的高い運転技能を必要とする。そのため、坂道での発進が難しいと考える運転者は少なくない。そこで、坂道での発進を補助するためのシステムとして、従来、ブレーキ操作が必要ない坂道発進支援ブレーキ装置がある。
特許文献1は、従来の鞍乗型車両用制御装置の一例として、自動二輪車用坂道発進支援ブレーキ装置を開示している。前記自動二輪車用坂道発進支援ブレーキ装置は、車両停止時に、車両の停止を検出し、運転者によるブレーキ入力の解除を検出する。次に、運転者によるブレーキ入力の解除時の車両の総ブレーキ力を算出する。更に、車両の停止を維持するために必要なブレーキ力を計算する。そして、算出された総ブレーキ力で車両の停止を維持できるか否かを判断する。車両の停止を維持できないと判断した時には、車両の総ブレーキ力を増加させる。特許文献1に開示のブレーキ装置によれば、坂道発進支援制御機能により、運転者の操作を介さずに坂道等で停車状態を維持するのに必要なブレーキ力を保持することができる。
また、特許文献1に開示のブレーキ装置では、エンジンの回転数や車輪速度等から運転者の発進意思の有無を判断し、運転者の発進意思があると判断した場合、ブレーキ圧を解除する。このように、特許文献1に開示のブレーキ装置では、エンジンの回転数や車輪速度等に基づいて、坂道発進支援制御機能が解除され、車両の発進が可能になる。
特開2011−230667号公報
しかしながら、特許文献1に開示されるようなブレーキ装置によれば、運転者が期待する車両発進のタイミングで、円滑に鞍乗型車両を発進させることができないことがあった。このように、鞍乗型車両の発進が運転者の発進意思に適切に追従しない場合、運転者が鞍乗型車両の発進に対して、引っ掛かり感を覚えることがあった。
本発明は、傾斜地等での発進時に鞍乗型車両の安定性を補助し、運転者が引っ掛かり感を覚えることを抑制しつつ、スムースな発進を行うことを可能とする鞍乗型車両用制御装置、及び鞍乗型車両を提供することである。
本発明は、上述した課題を解決するために、以下の構成を採用する。
(1) 鞍乗型車両用制御装置であって、
前記制御装置は、
前記鞍乗型車両が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧を得るように構成されたブレーキ圧取得部と、
少なくとも前記ブレーキ圧取得部により得られた前記停車前のブレーキ圧に基づいて、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成された停車時ブレーキ圧設定部と、
運転者によるブレーキ操作が行われていない時に、前記停車時ブレーキ圧設定部により設定された前記ブレーキ圧に基づいて、前記鞍乗型車両のブレーキ装置を作動させるように構成されたブレーキ制御部と
を備える。
(1)の鞍乗型車両用制御装置によれば、運転者によるブレーキ操作が行われていない時(以下「ブレーキ非操作時」ともいう)に作動するブレーキ装置のブレーキ圧が、少なくとも、鞍乗型車両が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧に基づいて設定される。停車前のブレーキ圧には、その時点での鞍乗型車両のブレーキ装置の状態(例えば、摩擦係数μ)が反映されている。従って、本願発明では、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧を適切に設定できる。これにより、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧が、鞍乗型車両の停止を維持するために必要なブレーキ圧と比べて過剰に大きくなることが抑制され得る。その結果、ブレーキ圧の解除に要する時間を短くすることができる。鞍乗型車両において運転者の発進意思があると判断されてから、ブレーキ圧の解除が完了するまでの時間を短くできる。そのため、鞍乗型車両の発進を運転者の発進意思に追従させ易く、運転者が引っ掛かり感や急激なトルク変化を感じることを抑制できる。また、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧を適切に設定できるので、例えば坂道で鞍乗型車両が後に移動することを抑制でき、鞍乗型車両の発進時の安定性を高めることができる。このように、本願発明の鞍乗型車両用制御装置によれば、傾斜地等での発進時に鞍乗型車両の安定性を補助することができるとともに、運転者が引っ掛かり感を覚えることを抑制しつつ、スムースな発進を行うことが可能となる。
(2) (1)の鞍乗型車両用制御装置であって、
前記制御装置は、更に、
前記停車前のブレーキ圧が得られる時の前記鞍乗型車両の速度を得るように構成された車速取得部
を備え、
前記停車時ブレーキ圧設定部は、少なくとも、前記停車前のブレーキ圧と、前記停車前のブレーキ圧が得られた時の速度とに基づいて、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成されている。
(2)の構成によれば、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧が、少なくとも、鞍乗型車両が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧と、ブレーキ圧が得られた時の速度とに基づいて設定される。停車前の鞍乗型車両のブレーキ装置の状態は、停車前のブレーキ圧だけでなく、その時の速度にも反映される。速度を用いることによって、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧をより精密に設定できる。従って、傾斜地等での発進時に鞍乗型車両の安定性をより効果的に補助することができるとともに、運転者が引っ掛かり感を覚えることを更に抑制しつつ、スムースな発進を行うことが可能となる。
(3) (2)の鞍乗型車両用制御装置であって、
前記制御装置は、更に、
前記車速取得部により得られた前記鞍乗型車両の速度に基づいて、前記鞍乗型車両の加速度を得る加速度取得部
を備え、
前記停車時ブレーキ圧設定部は、少なくとも、前記停車前のブレーキ圧と、前記停車前のブレーキ圧が得られた時の速度に対応する加速度とに基づいて、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成されている。
(3)の構成によれば、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧が、少なくとも、鞍乗型車両が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧と、ブレーキ圧が得られた時の加速度とに基づいて設定される。停車前の鞍乗型車両のブレーキ装置の状態は、停車前のブレーキ圧が得られた時の加速度に、より精密に反映される。加速度を用いることによって、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧をより精密に設定できる。従って、傾斜地等での発進時に鞍乗型車両の安定性をより効果的に補助することができるとともに、運転者が引っ掛かり感を覚えることを更に抑制しつつ、スムースな発進を行うことが可能となる。
(4) (1)〜(3)のいずれか1の鞍乗型車両用制御装置であって、
前記制御装置は、更に、
前記鞍乗型車両の総重量を得る総重量取得部
を備え、
前記停車時ブレーキ圧設定部は、少なくとも、前記停車前のブレーキ圧と、前記鞍乗型車両の総重量取得部により得られた前記鞍乗型車両の総重量とに基づいて、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成されている。
(4)の構成によれば、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧が、少なくとも、鞍乗型車両が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧と、総重量とに基づいて設定される。これによって、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧をより精密に設定できる。従って、傾斜地等での発進時に鞍乗型車両の安定性をより効果的に補助することができるとともに、運転者が引っ掛かり感を覚えることを更に抑制しつつ、スムースな発進を行うことが可能となる。
(5) (1)〜(4)のいずれか1の鞍乗型車両用制御装置であって、
前記制御装置は、更に、
前記鞍乗型車両が制動により停車する場合における前記鞍乗型車両の駆動力を得る駆動力取得部
を備え、
前記停車時ブレーキ圧設定部は、少なくとも、前記停車前のブレーキ圧と、前記鞍乗型車両の駆動力とに基づいて、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成されている。
(5)の構成によれば、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧が、少なくとも、鞍乗型車両が制動により停車する場合におけるブレーキ圧と駆動力とに基づいて設定される。これによって、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧をより精密に設定できる。従って、傾斜地等での発進時に鞍乗型車両の安定性をより効果的に補助することができるとともに、運転者が引っ掛かり感を覚えることを更に抑制しつつ、スムースな発進を行うことが可能となる。
(6) 鞍乗型車両であって、
前記鞍乗型車両は、
前記鞍乗型車両の車輪と、
(1)〜(5)のいずれか1の制御装置と、
前記制御装置のブレーキ制御部により作動されるブレーキ装置と
を備える。
(6)の鞍乗型車両は、傾斜地等での発進時に鞍乗型車両の安定性を確保することができるとともに、運転者が引っ掛かり感を覚えることを抑制しつつ、スムースな発進を行うことが可能となる。
本願発明の鞍乗型車両用制御装置及び鞍乗型車両によれば、傾斜地等での発進時に鞍乗型車両の安定性を補助することができるとともに、運転者が引っ掛かり感を覚えることを抑制しつつ、スムースな発進を行うことが可能となる。
本発明の第一実施形態における鞍乗型車両用制御装置が搭載された自動二輪車を示す側面図である。 (A)は、傾斜地での鞍乗型車両に作用する力を説明する第1の模式図である。(B)は、傾斜地での鞍乗型車両に作用する力を説明する第2の模式図である。(C)は、傾斜地での鞍乗型車両に作用する力を説明する第3の模式図である。 エンジン制御装置及びヒルアシスト制御装置の構成を示すブロック図である。 ヒルアシスト実施判定処理を示すフローチャートである。 ヒルアシスト処理を示すフローチャートである。 図5に示すブレーキ圧指令値計算処理を示すフローチャートである。 図5に示すエンジン補正指令値計算処理を示すフローチャートである。 図5に示す指令値更新処理を示すフローチャートである。 (A)は、本実施形態で、傾斜地で発進する鞍乗型車両に作用する力の変化を示すグラフである。(B)は、比較例で、作用する力の変化を示すグラフである。 第二実施形態のエンジン制御装置及びヒルアシスト制御装置の制御により、傾斜地で発進する鞍乗型車両に作用する力の変化を示すグラフである。
本願発明者らは、上述した課題について検討を行い、以下の知見を得た。
鞍乗型車両は、一般的な自動車と比べて、高い機動力を有している。鞍乗型車両では、頻繁な加減速が行われ易い。そのため、鞍乗型車両では、一般的に、ブレーキ装置が使用される頻度が高く、ブレーキ装置が備えるブレーキ部材(例えば、ディスクロータ、ブレーキパッド等)が摩擦によって加熱され易い。また、鞍乗型車両の中には、ブレーキ部材が露出するように設けられる鞍乗型車両が存在している。このような鞍乗型車両では、ブレーキ部材は、冷却され易いが、雨水や泥水等に晒され易い。このような温度及び表面状態の影響によって、ブレーキ部材の摩擦係数は変化し易い。摩擦係数の変化に伴って、ブレーキ容量は変化する。即ち、鞍乗型車両の走行時の状態や環境によって、ブレーキ容量は変化する。
鞍乗型車両の走行時の状態や環境に関わらず、坂道で鞍乗型車両が後退することを抑制するためには、ブレーキ容量の変化を許容できるようにブレーキ非操作時のブレーキ圧を充分に高く設定する必要がある。特許文献1に開示のような従来のブレーキ装置においても、運転者によるブレーキ入力の解除時の車両のブレーキ容量が、車両の停止を維持するために必要なブレーキ力と比べて不足している場合には、増圧により車両のブレーキ容量を増加させる。ここでいう、車両の停止を維持するために必要なブレーキ力は、上述したように、ブレーキ容量の変化を許容できるように高く設定される。そのため、特許文献1に開示のような従来のブレーキ装置では、増圧による車両のブレーキ容量の増加により、ブレーキ非操作時のブレーキ圧が充分に高く設定される。その結果、特許文献1に開示のような従来のブレーキ装置では、坂道で鞍乗型車両が後退することが抑制される。
しかしながら、上述したように、ブレーキ容量の変化を許容できるようにブレーキ非操作時のブレーキ圧を充分に高く設定すると、鞍乗型車両の走行時の状態や環境によっては、ブレーキ非操作時のブレーキ圧が、車両の停止を維持するために必要なブレーキ力と比べて、過剰に高くなっていることがある。その場合、ブレーキ圧の解除に要する時間が長くなってしまう。即ち、鞍乗型車両において運転者の発進意思があると判断されてから、ブレーキ圧の解除が完了するまでの時間が長くなってしまう。そのため、鞍乗型車両の発進を運転者の発進意思に追従させ難い。その結果、運転者が引っ掛かり感や急激なトルク変化を感じるおそれがある。
そこで、ブレーキ非操作時のブレーキ圧を低く設定することが考えられる。しかし、ブレーキ非操作時のブレーキ圧を低く設定すると、坂道で鞍乗型車両が後退するおそれがある。鞍乗型車両の発進時の安定性を確保することが困難である。
このように、坂道で鞍乗型車両が後退することを抑制して鞍乗型車両の発進時の安定性を確保することと、運転者が引っ掛かり感を覚えることを抑制しつつスムースな発進を行うこととの間には、従来、二律背反の関係があると考えられていた。
本願発明者らは、上述した二律背反の関係を打破するために検討を行った。そして、本願発明者らは、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧を充分に高く設定するという従来の設計思想から、発想を転換し、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧を適切に設定することに想到した。
本願発明者らは、更に検討を行った。その結果、本願発明者らは、鞍乗型車両が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧に基づいて、鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定することにより、ブレーキ非操作時におけるブレーキ圧に、その時点での鞍乗型車両のブレーキ装置の状態を反映させることができることを見出した。これにより、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧を適切に設定することができる。
本願発明は、上述した知見に基づいて完成された発明である。
以下、本発明の実施形態について、図面を参照しながら説明する。
図1は、本発明の第一実施形態における鞍乗型車両用制御装置が搭載された自動二輪車を示す側面図である。
図1に示す鞍乗型車両10は、自動二輪車である。鞍乗型車両10は、車体11及び2つの車輪12を備えている。車輪12は、車体11に回転可能に支持されている。車体11は、エンジン13、伝達機構14、及びブレーキ装置15を備えている。伝達機構14は、クラッチ14a、変速装置14b、チェーン14cを有する。エンジン13から出力された駆動力は、クラッチ14aを含む伝達機構14を介して後の車輪12に伝達される。
ブレーキ装置15は、摩擦力によって車輪12にブレーキ力を生じさせる摩擦ブレーキである。ブレーキ装置15は、ディスクブレーキで構成されている。ブレーキ装置15は、作動液の液圧で動作するブレーキパッド15aを有している。ブレーキ装置15は、ブレーキパッド15aを、車輪12と共に回転するディスクロータ12aに押し付ける。ブレーキ装置15は、ブレーキパッド15aとディスクロータ12aとの摩擦によってブレーキ力を生じさせる。ブレーキ装置15は、車輪12にブレーキ力を生じさせることによって、鞍乗型車両10を制動する。鞍乗型車両10は、制動によって減速又は停車する。また、鞍乗型車両10が例えば傾斜地にあるとき、ブレーキ力は、傾斜地で鞍乗型車両10にかかる力に対抗する。これによって、鞍乗型車両10が停車状態を維持できる。
エンジン13には、エンジン13の回転速度を検出するエンジン回転センサ13aが設けられている。エンジン回転センサ13aは、エンジン13の回転速度に応じた信号を出力する。
鞍乗型車両10は、車速センサ11a、荷重センサ11c、アクセル操作部16、ブレーキ操作部17、クラッチ操作部18、エンジン制御装置20、ヒルアシスト制御装置30、エンジントルク補正部38、及びブレーキ圧調整装置40を備えている。
車速センサ11aは、車輪12の回転速度を検出することによって、鞍乗型車両10の速度を検出する。車速センサ11aは、鞍乗型車両10の速度に応じた信号を出力する。
荷重センサ11cは、鞍乗型車両10に掛かる荷重を検出する。荷重センサ11cは、例えば3軸加速度センサ及び3軸ジャイロセンサを有する6軸センサを含んでいる。
アクセル操作部16、ブレーキ操作部17、及びクラッチ操作部18は、運転者によって操作される。エンジン制御装置20は、アクセル操作部16の操作に基づいて、エンジン13の出力を制御する。エンジン制御装置20は、例えばエンジン13の点火タイミング、吸入空気量、及び吸入燃料を変化させることによって、エンジン13の出力を制御する。クラッチ操作部18はクラッチ14aの動作を制御する。
アクセル操作部16、ブレーキ操作部17、及びクラッチ操作部18のそれぞれには、操作を検知する図示しないセンサが設けられている。アクセル操作部16、ブレーキ操作部17、及びクラッチ操作部18は、それぞれに設けられたセンサを介して、操作量を表す信号をヒルアシスト制御装置30に出力する。
ブレーキ圧調整装置40は、ブレーキ操作部17の操作に基づいて、ブレーキ装置15に生じさせるブレーキ力を調整する。
ブレーキ圧調整装置40は、運転者の操作に応じてブレーキ操作部17から出力される液圧をブレーキ装置15に供給する。ブレーキ装置15は、ブレーキ圧調整装置40から出力されるブレーキ圧で作動する。ブレーキ圧は、ブレーキパッド15aがディスクロータ12aに押し付けられる圧力である。ブレーキ装置15のブレーキパッド15aは、ブレーキ圧調整装置40から出力される液圧に応じたブレーキ圧で車輪12のディスクロータ12aに押し付けられる。ブレーキ圧調整装置40は、図示しない液圧ポンプ及びバルブを有する。例えば、ブレーキ圧調整装置40は、液圧ポンプの動作によって、ブレーキ操作部17から出力される液圧よりも高い液圧をブレーキ装置15に供給することができる。また、ブレーキ圧調整装置40は、ブレーキ非操作時にブレーキ装置15を作動させることができる。本実施形態のブレーキ装置15に設けられたブレーキ圧調整装置40は、ヒルアシスト制御装置30からのブレーキ圧の指令値Pscに応じたブレーキ圧で、ブレーキ装置15を作動させる。
ブレーキ圧調整装置40は、ブレーキ圧を検出する図示しないセンサを備えている。詳細には、ブレーキ圧調整装置40の液圧センサは、液圧に応じた信号を出力する。作動液の液圧は、ブレーキパッド15aに生じるブレーキ圧と対応しているので、ブレーキ圧調整装置40からの信号に基づいてブレーキ圧が得られる。
ヒルアシスト制御装置30は、ブレーキ圧調整装置40を制御する。ヒルアシスト制御装置30は、ブレーキ操作部17及びアクセル操作部16の操作に基づいて、ブレーキ圧調整装置40を制御する。ヒルアシスト制御装置30は、傾斜地での鞍乗型車両10の発進操作を補助するように、ブレーキ圧調整装置40及びブレーキ装置15を制御する。傾斜地での鞍乗型車両10の発進操作を補助するブレーキ装置15を制御する機能を、ヒルアシストと称する。
鞍乗型車両10には、ヒルアシストスイッチ19が設けられている。ヒルアシストスイッチ19は、運転者に操作されることによって、ヒルアシストが動作可能なヒルアシストモードか否かを切替える。
なお、本実施形態のヒルアシスト制御装置30は、ヒルアシストに加えて、アンチロック・ブレーキング・システム(ABS)の制御機能を有することも可能である。
エンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30によって鞍乗型車両用制御装置が構成されている。エンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30は、図示しない中央演算装置及び記憶装置をそれぞれ備えている。記憶装置は、中央演算装置が実行するプログラム及び、中央演算装置が演算に用いるデータ及び演算の結果のデータを記憶している。なお、エンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30は、1つのハードウェアによって兼用されていてもよい。
[停止時及び発進時における力]
ヒルアシスト制御装置30は、傾斜地での鞍乗型車両10の発進操作を補助するように、ブレーキ圧調整装置40及びブレーキ装置15を制御する。
図2(A)から図2(C)は、傾斜地での鞍乗型車両10に作用する力を説明する模式図である。図2(A)から図2(C)には、鞍乗型車両10に作用する力が、1つの車輪12に作用する力として表されている。鞍乗型車両10は、傾斜地Sの上部に鞍乗型車両10の前を向け停止している。つまり、鞍乗型車両10は、登り坂で停止している。
図2(A)に示すように、傾斜地での鞍乗型車両10には、勾配抵抗Rsが作用する。勾配抵抗Rsは、傾斜地の勾配によって鞍乗型車両10に作用する力である。勾配抵抗Rsは、鞍乗型車両10が停止している場合に、鞍乗型車両10を傾斜地の下部に向かって移動させようとする力である。勾配抵抗Rsは、鞍乗型車両10が傾斜地を登りながら走行する場合、走行に抵抗する力である。勾配抵抗Rsは、鞍乗型車両10の後方に向かう力である。勾配抵抗Rsは、鞍乗型車両10が発進する向きとは逆向きに作用する。
勾配抵抗Rsは、重力に起因する。勾配抵抗Rsは、傾斜地Sの地面と平行の向きに作用する。勾配抵抗Rsの大きさは、鞍乗型車両10の総重量mと傾斜地の勾配θに基づいている。勾配抵抗Rsは、総重量mが大きいほど大きい。勾配抵抗Rsは、傾斜地の勾配θが大きいほど大きい。勾配抵抗Rsは、例えば下式で表される。
Rs =m・g・sinθ
ここで、m:車両総重量、g:重力加速度、θ:傾斜地の勾配(角度)
勾配抵抗Rsの大きさは、鞍乗型車両10のブレーキ力又は駆動力が変化しても変化しない。
図2(A)に示すように、傾斜地で停車状態にある鞍乗型車両10には、ブレーキ力Fbが作用している。ブレーキ装置15(図1参照)は、鞍乗型車両10に、ブレーキ力Fbに作用させる。鞍乗型車両10が停止している場合、鞍乗型車両10に作用する力は均衡している。つまり、ブレーキ力Fbは、鞍乗型車両10に作用する、ブレーキ力Fb以外の力の反力として生じる。ブレーキ圧が変動しない場合でも、ブレーキ力Fbは、鞍乗型車両10に作用する他の力の変動に応じて変動する。図2(A)に示す状態では、ブレーキ力Fbが勾配抵抗Rsと均衡している。これによって、鞍乗型車両10は停止している。
ブレーキ力Fbは、ブレーキ圧に対応したある範囲内で変動する。ある与えられたブレーキ圧において、ブレーキ装置15が出力し得るブレーキ力の大きさの上限をブレーキ容量Cbと称する。ブレーキ力Fbとブレーキ容量Cbは、互いに異なる物理量である。ブレーキ容量Cbは、与えられたブレーキ圧においてブレーキ装置15が出力可能なブレーキ力の能力を表す。ブレーキ容量Cbは、与えられたブレーキ圧においてブレーキ装置15が出力し得る最大のブレーキ力の大きさを表す。ブレーキ容量Cbは、ブレーキ力の大きさについての上限である。このため、図2(A)において、ブレーキ容量Cbは、ブレーキ力Fbが生じ得る前方及び後方の両方に表示されている。鞍乗型車両10の後方に向くブレーキ力の大きさの上限であるブレーキ容量は、図2(A)に「(Cb)」で示されている。
ブレーキ容量Cbは、ブレーキ装置15の摩擦力に起因している。ブレーキ容量Cbは、クーロン摩擦の原理に基づいている。ブレーキ容量Cbは、ブレーキ装置15が作動するブレーキ圧Pbに応じている。ブレーキ装置15がブレーキ圧Pbで作動する時、ブレーキ容量Cbは、例えば下式で表される。
Cb ∝ μ・Pb
ここで、μ:ブレーキパッド15aとディスクロータ12aの摩擦係数
Pb:ブレーキ圧
摩擦係数が一定の場合、ブレーキ容量Cbは、ブレーキ圧Pbに実質的に比例する。
ブレーキ力Fbは、実際にブレーキ装置15で発生している力である。ブレーキ装置15が作動している時に鞍乗型車両10が移動している場合、ブレーキ力Fbは、ブレーキ容量Cbと実質的に等しい。しかし、ブレーキ装置15が作動している時に鞍乗型車両10が停止している場合、ブレーキ力Fbは、実質的にブレーキ容量Cb以下である。ブレーキ装置15が作動している時に鞍乗型車両10が停止している場合、ブレーキ力Fbは、通常、ブレーキ容量Cbよりも小さい。
例えば、実質的に水平な場所に停止した鞍乗型車両10に勾配抵抗及び駆動力のいずれも作用していない状況で、ブレーキ装置15がブレーキ圧Pbで作動すると、ブレーキ圧Pbに応じたブレーキ容量Cbが生じる。即ち、ブレーキ容量Cbがゼロ以外の値になる。このとき、ブレーキ力Fbは生じない。停止時におけるブレーキ力Fbは、停止中の鞍乗型車両10を移動させようとする力に対する反力(反作用)として生じるからである。
発進時に、アクセル操作部16が操作されることによって、駆動力Fdが生じる。図2(B)には、鞍乗型車両10に駆動力Fdが作用した状態が示されている。駆動力Fdは、鞍乗型車両10を前進させるための力である。駆動力Fdは、傾斜地の地面と平行の向きに作用する。駆動力Fdは、坂の上部に向かう力である。駆動力Fdは、勾配抵抗Rsと反対向きの力である。
例えばアクセル操作部16(図1参照)が操作されることによって駆動力Fdが増大すると、ブレーキ力Fbが減少する。停車中において、ブレーキ力Fbは、駆動力Fdの増大に応じて減少する。停車中におけるブレーキ力Fbは、駆動力Fdと勾配抵抗Rsとの合成力に対する反力だからである。
駆動力Fdが増大し、駆動力Fdの大きさが勾配抵抗Rsの大きさを超えると、図2(C)に示すように、ブレーキ力Fbの向きが駆動力Fdの向きと反対になる。ブレーキ力Fbは、駆動力Fdと勾配抵抗Rsとの合成力に対する反力だからである。ブレーキ力Fbは、鞍乗型車両10の後方の向き
図2(C)に示す状態では、駆動力Fdの増大に応じて、ブレーキ力Fbが増大する。ブレーキ力Fbの大きさは、ブレーキ容量(Cb)まで増大する。
図2(C)に示す状態では、ブレーキ力Fbが、駆動力Fdによる鞍乗型車両10の発進を妨げるように作用する。このため、駆動力Fdの大きさが勾配抵抗Rsの大きさを超えても、鞍乗型車両10が発進しない。
ブレーキ力Fbの大きさは、ブレーキ容量(Cb)を超えない。従って、駆動力Fdが増大した結果、駆動力Fdが、ブレーキ容量(Cb)と勾配抵抗Rsの大きさの和を超えると、力の均衡が解ける。この結果、鞍乗型車両10が発進する。言い換えると、駆動力Fdが、ブレーキ容量(Cb)と勾配抵抗Rsの大きさの和を超えるまで、鞍乗型車両10が発進しない。つまり、ブレーキ力Fbによって発進が妨げられる。これによって、運転者が引っ掛かり感を覚える。
図1に示すエンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30は、鞍乗型車両10が傾斜地Sで停止した場合、鞍乗型車両10を停車させるためのブレーキ圧を設定する。鞍乗型車両10を停車させるためのブレーキ圧は、傾斜地Sで鞍乗型車両10の停車状態を維持することができるブレーキ圧である。本実施形態において、鞍乗型車両10を停車させるためのブレーキ圧は、勾配抵抗Rsと実質的に等しいブレーキ力を生じさせることができる最小のブレーキ圧である。ヒルアシスト制御装置30は、鞍乗型車両が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧に基づいて、勾配抵抗Rsに対応するブレーキ圧を設定する。
ヒルアシスト制御装置30は、鞍乗型車両10が傾斜地Sで停止し、且つ運転者によるブレーキ操作が行われていない時に、設定されたブレーキ圧に基づいて、鞍乗型車両のブレーキ装置15を作動させる。エンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30は、傾斜地等での発進時に鞍乗型車両10の安定性を補助することができる。また、運転者が引っ掛かり感を覚えることが抑制され、スムースな発進を行うことが可能となる。
[ブロック構成]
図3は、エンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30の構成を示すブロック図である。図3には、エンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30に接続される装置も示されている。図3に示す各ブロックを結ぶ二重線は、物理量又は物理作用を表している。一重線は、各値を表すデータの流れを表す。本実施形態の説明では、力及び圧力等の値の処理について、「値」を省略して簡潔に「圧力」及び「力」等を処理するよう説明する場合もある。
ヒルアシスト制御装置30は、車速取得部32A、加速度取得部32B、停車時ブレーキ圧設定部33、駆動力取得部34、ブレーキ圧取得部35、摩擦係数取得部36及びブレーキ制御部37及びエンジントルク補正部38を備えている。ヒルアシスト制御装置30の各部は、プログラムを実行する図示しない中央演算装置によって実現される。
ブレーキ圧取得部35は、ブレーキ圧調整装置40からブレーキ圧Pbを得る。詳細には、ブレーキ圧取得部35は、ブレーキ圧調整装置40から出力された信号に基づいてブレーキ圧Pbを得る。ブレーキ圧調整装置40は、作動液の液圧を表す信号を出力する。ブレーキ圧Pbは、作動液の液圧に対応している。このため、ブレーキ圧取得部35は、ブレーキ圧調整装置40からの信号に基づいてブレーキ圧Pbを得ることができる。なお、ブレーキ圧取得部35は、ブレーキ圧Pbとして液圧を直接用いることも可能である。
本実施形態に係るブレーキ圧取得部35は、ブレーキ圧Pbを常時得る。ブレーキ圧取得部35は、得たブレーキ圧Pbを図示しない記憶装置に記憶する。ブレーキ圧取得部35は、鞍乗型車両10が制動により停車する場合にもブレーキ圧Pbを得る。鞍乗型車両10が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧Pbをブレーキ圧Pbhとする。鞍乗型車両10が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧Pbhが、鞍乗型車両10を停車させるためのブレーキ圧Pminの設定に用いられる。
なお、ブレーキ圧取得部35は、停車前のブレーキ圧Pbhのみを得ることとしてもよい。
車速取得部32Aは、鞍乗型車両10の速度Vを得る。詳細には、車速取得部32Aは、車速センサ11aから鞍乗型車両10の速度Vを得る。
本実施形態に係る車速取得部32Aは、鞍乗型車両10の速度Vを常時得る。車速取得部32Aは、得た速度Vを図示しない記憶装置に記憶する。車速取得部32Aは、ブレーキ圧取得部35によって停車前のブレーキ圧Pbhが得られる時にも速度Vを得る。停車前のブレーキ圧Pbhが得られる時の速度Vを速度Vhとする。停車前のブレーキ圧Pbhが入力される時の鞍乗型車両10の速度Vhが、鞍乗型車両10を停車させるためのブレーキ圧Pminの設定に用いられる。
なお、車速取得部32Aは、停車前のブレーキ圧Pbhが得られる時の鞍乗型車両10の速度Vhのみを得てもよい。
加速度取得部32Bは、車速取得部32Aで得られた鞍乗型車両10の速度Vhに基づいて、鞍乗型車両10の加速度Ahを計算する。加速度取得部32Bは、複数のタイミングで入力された速度Vhの差に基づいて、加速度Ahを計算する。
駆動力取得部34は、駆動力推定部24から鞍乗型車両10の駆動力Fdを得る。
本実施形態に係る駆動力取得部34は、鞍乗型車両10の駆動力Fdを常時得る。駆動力取得部34は、得た駆動力Fdを図示しない記憶装置に記憶する。駆動力取得部34は、鞍乗型車両10が制動により停車する場合における停車前にも駆動力Fdを得る。鞍乗型車両10が制動により停車する場合における停車前の駆動力Fdを駆動力Fdhとする。鞍乗型車両10が制動により停車する場合における停車前の駆動力Fdが、鞍乗型車両10を停車させるためのブレーキ圧Pminの設定に利用される。
なお、駆動力取得部34は、停車前の駆動力Fdhのみを得てもよい。
摩擦係数取得部36は、摩擦係数Mの推定値を計算する。摩擦係数Mは、ブレーキパッド15aとディスクロータ12aの摩擦における摩擦係数である。摩擦係数取得部36は、鞍乗型車両10が実質的に水平な場所において制動される場合に、摩擦係数Mの推定値を計算する。詳細には、摩擦係数取得部36は、実質的に水平な場所において鞍乗型車両10が制動される時のブレーキ圧Pb、速度V及び総重量mに基づいて、摩擦係数Mの推定値を計算する。摩擦係数取得部36は、例えば、運動方程式を用いてブレーキ力Fbを計算する。摩擦係数取得部36は、計算したブレーキ力Fbとブレーキ圧Pbから、摩擦係数Mの推定値を計算する。摩擦係数取得部36は、得た摩擦係数Mの推定値を図示しない記憶装置に記憶する。
停車時ブレーキ圧設定部33は、ブレーキ圧取得部35で入力されたブレーキ圧Pbhに基づいて、鞍乗型車両10を停車させるためのブレーキ圧を設定する。
本実施形態に係る停車時ブレーキ圧設定部33は、鞍乗型車両10を停車させるためのブレーキ圧として、鞍乗型車両10を傾斜地で停車させるために最小限必要なブレーキ圧を計算する。鞍乗型車両10を傾斜地で停車させるために最小限必要なブレーキ圧を最小ブレーキ圧Pminと称する。最小ブレーキ圧Pminは、鞍乗型車両10に作用する勾配抵抗Rsと実質的に等しいブレーキ容量Cbを生じさせるようなブレーキ圧である。
本実施形態に係る停車時ブレーキ圧設定部33は、ブレーキ圧取得部35で入力された停車前のブレーキ圧Pbhに基づいて最小ブレーキ圧Pminを設定する。
本実施形態に係る停車時ブレーキ圧設定部33は、ブレーキ圧Pbhの他に、車速取得部32Aにより得られた加速度(減速度)Ah、及び、総重量取得部22で得られた総重量mの推定値に基づいて、最小ブレーキ圧Pminを計算する。
詳細には、停車時ブレーキ圧設定部33は、ブレーキ圧取得部35で得られたブレーキ圧Pbh及び駆動力取得部34で得られた駆動力Fdの推定値に基づいて、勾配抵抗Rsを計算する。停車時ブレーキ圧設定部33は、例えば、下に示す運動方程式を用いて車両に作用する勾配抵抗Rsを計算する。
Rs = (Fb+Fd) − m × Ah
ここで、Fb:ブレーキ力、 Fd:駆動力、
m:総重量の推定値 Ah:加速度(減速度)
ブレーキ力Fbは、ブレーキ圧Pbhと、摩擦係数Mの推定値とを用いて計算される。
停車時ブレーキ圧設定部33は、計算された勾配抵抗Rsと実質的に等しいブレーキ容量Cbを生じさせる最小ブレーキ圧Pminを計算する。
このようにして、停車時ブレーキ圧設定部33は、鞍乗型車両10が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧Pbhに基づいて、最小ブレーキ圧Pminを計算する。
本実施形態に係る停車時ブレーキ圧設定部33は、最小ブレーキ圧Pminを常時計算する。
停車時ブレーキ圧設定部33は、鞍乗型車両10が傾斜地で停車した場合にのみ、停車前に計算していた最小ブレーキ圧Pminを、ブレーキ制御部37によって参照されるように出力する。詳細には、停車時ブレーキ圧設定部33は、最小ブレーキ圧Pminを、ブレーキ制御部37に参照されるよう図示しない記憶部に記憶させる。これによって、最小ブレーキ圧Pminが設定される。
上述したように、停車時ブレーキ圧設定部33は、停車前のブレーキ圧Pbhに基づいて最小ブレーキ圧Pminを設定する。このため、最小ブレーキ圧Pminには、停車前の鞍乗型車両10のブレーキ装置15の摩擦係数が反映されている。例えば、ブレーキパッド15aの温度が高い場合、摩擦係数は小さい。鞍乗型車両10が制動により停車するとき、摩擦係数が小さいと、所望の加速度(減速度)を得るため、大きなブレーキ圧Pbhがかけられるようになる。この結果、上記の運動方程式を用いて得られた最小ブレーキ圧Pminは大きくなる。
ブレーキ制御部37は、ブレーキ圧調整装置40を制御することによって、ブレーキ装置15を作動させる。
ブレーキ制御部37は、鞍乗型車両10が傾斜地で停車すると、ブレーキ操作が行われていない時であってもブレーキ装置15を作動させる。ただし、ブレーキ制御部37は、鞍乗型車両10が傾斜地で停車した後、ブレーキ操作が行われている時もブレーキ装置15を作動させてよい。ブレーキ制御部37が、鞍乗型車両10の停車中に、ブレーキ装置15を作動させることによって、鞍乗型車両10が傾斜地の後方へ移動することが抑えられる。
ブレーキ制御部37は、ブレーキ操作部17の操作量Obが所定の基準値よりも小さい場合に、ブレーキ装置15を作動させる。なお、ブレーキ制御部37は、ブレーキ操作部17の操作量Obに拘わらずブレーキ装置15を作動させてもよい。
ブレーキ制御部37は、停車時ブレーキ圧設定部33により設定されたブレーキ制御部37は、最小ブレーキ圧Pminに基づいたブレーキ圧の指令値Psc(ブレーキ圧Psc)をブレーキ圧調整装置40に出力することによって、ブレーキ圧調整装置40を制御する。ブレーキ圧Pscは、ブレーキ装置15が作動するブレーキ圧Pbになる。ブレーキ圧調整装置40は、ブレーキ制御部37からのブレーキ圧の指令値Pscに応じたブレーキ圧で、ブレーキ装置15を作動させる。
ブレーキ制御部37は、出力するブレーキ圧の指令値Pscを、駆動力Fdに応じて制御する。鞍乗型車両10が傾斜地で発進するときに、運転者のアクセル操作による駆動力Fdの増大に応じてブレーキ圧が解除される。ブレーキ制御部37によるブレーキ圧の制御については後述する。
エンジントルク補正部38は、鞍乗型車両10が傾斜地で発進する場合、エンジン制御装置20にトルク補正値Taを出力する。エンジントルク補正部38は、エンジン13の動作が安定するようなトルク補正値Taを出力する。トルク補正値Taは、エンジン13から出力されるトルクを増加させるような補正値である。エンジントルク補正部38は、エンジン回転センサ13aから出力されるエンジン13の回転速度Ne、及びアクセル操作部16のアクセル操作量Oaに基づいてトルク補正値Taを決定する。
エンジン制御装置20は、総重量取得部22、クラッチトルク推定部23、駆動力推定部24、及びエンジン制御部25を備えている。エンジン制御装置20の各部は、プログラムを実行する中央演算装置によって実現される。
エンジン制御部25は、エンジン13を制御する。エンジン制御部25は、例えばエンジン13の点火タイミング、吸入空気量、及び吸入燃料を変化させることによって、エンジン13の出力を制御する。エンジン制御部25は、アクセル操作部16の操作量Oaに基づいてエンジン13を制御する。エンジントルク補正部38がトルク補正値Taを出力する場合、エンジン制御部25は、アクセル操作部16の操作量Oa及びトルク補正値Taに基づいてエンジン13を制御する。
エンジン制御部25は、エンジンの制御状態に応じたエンジントルクTeの推定値を出力する。
クラッチトルク推定部23は、伝達機構14のクラッチ14a(図1参照)によって伝達されるクラッチトルクTcの推定値を計算する。クラッチトルク推定部23は、エンジン13の回転速度Ne及びエンジントルクTeの推定値に基づいて、クラッチトルクTcの推定値を計算する。
なお、クラッチトルク推定部23は、クラッチ操作部18の操作量Ocに基づいてクラッチトルクTcの推定値を計算する構成としてもよい。
駆動力推定部24は、鞍乗型車両10の駆動力Fdの推定値を計算する。駆動力推定部24は、エンジン13の回転速度Ne、エンジントルクTeの推定値、速度V、及び、クラッチトルクTcの推定値から、駆動力Fdの推定値を計算する。
総重量取得部22は、鞍乗型車両10の総重量mを計算する。総重量取得部22は、鞍乗型車両10が実質的に水平な場所で加速している場合に駆動力推定部24で得られた駆動力Fd、及び鞍乗型車両10の速度Vに基づいて、総重量mの推定値を計算する。総重量取得部22は、例えば運動方程式を用いて総重量mの推定値を計算する。
なお、総重量取得部22は、例えば、荷重センサ11cからの信号に基づいて、総重量mの推定値を計算してもよい。
[制御装置の動作]
図4から図8は、図3に示すエンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30の動作を説明するフローチャートである。
図3から図8を参照して、エンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30の動作を説明する。
図4は、ヒルアシスト実施判定処理を示すフローチャートである。
ヒルアシスト実施判定処理では、データの取得が行われる(S11)。データ取得処理(S11)では、鞍乗型車両10の状態を表す各種データが得られる。データ取得処理(S11)は鞍乗型車両10の状態に拘わらず繰返し実行される。
データ取得処理(S11)において、ブレーキ圧取得部35は、ブレーキ圧調整装置40から、ブレーキ圧Pbを繰返し得る。また、車速取得部32Aは、鞍乗型車両の速度Vを繰返し得る。また、加速度取得部32Bは、鞍乗型車両10の加速度Ahを得る。また、駆動力取得部34は、駆動力推定部24から駆動力Fdを繰返し得る。
データ取得処理(S11)において、総重量取得部22は、鞍乗型車両10の総重量mを得る。なお、本実施形態に係る総重量取得部22は、実質的に水平な場所で鞍乗型車両10が加速する場合に動作する。
データ取得処理(S11)において、摩擦係数取得部36は、摩擦係数Mの推定値を得る。なお、本実施形態に係る摩擦係数取得部36は、鞍乗型車両10が実質的に水平な場所で制動により停車する場合に動作する。
データ取得処理(S11)において、エンジン制御部25は、エンジントルクTeの推定値を計算する。エンジン制御部25は、トルク補正値Taに基づいて、エンジン13の制御、及びエンジントルクTeの推定値の計算を行う。また、データ取得処理(S11)において、クラッチトルク推定部23は、クラッチトルクTcの推定値を計算する。また、駆動力推定部24は、駆動力Fdの推定値を計算する。
次に、最小ブレーキ圧が取得される(S12)。停車時ブレーキ圧設定部33が、鞍乗型車両10を傾斜地で停車させるための最小ブレーキ圧Pminを繰返し計算する。
本実施形態の停車時ブレーキ圧設定部33は、勾配抵抗Rsの推定値を計算することによって、最小ブレーキ圧Pminを計算する。詳細には、停車時ブレーキ圧設定部33は、加速度Ah、総重量m、ブレーキ力Fb、及び駆動力Fdを用いて勾配抵抗Rsを計算する。
本実施形態では、鞍乗型車両10が制動により停車する場合における停車前の各データから得られたブレーキ圧が、有効な最小ブレーキ圧Pminとして設定される。つまり、駆動力取得部34は、後述するステップS17の処理の結果、停車前のブレーキ圧Pbhに基づいて、鞍乗型車両10を停車させるための最小ブレーキ圧Pminを設定する。
なお、停車時ブレーキ圧設定部33は、例えば、ヒルアシスト制御装置30の状態がヒルアシストモードであり、且つ鞍乗型車両10が傾斜地にある場合のみ(S14でYes)、最小ブレーキ圧Pminを計算してもよい。
次に、ヒルアシスト制御装置30は、ヒルアシスト制御装置30の状態が、ヒルアシストモードか否かを判別する(S13)。ヒルアシスト制御装置30は、ヒルアシストスイッチ19が操作によってヒルアシストモードに切替えられている場合、ヒルアシストモードであると判別する。
上記ステップS13で、ヒルアシスト制御装置30の状態がヒルアシストモードであると判別された場合(S13でYes)、ヒルアシスト制御装置30は、鞍乗型車両10が傾斜地にあるか否かを判別する(S14)。ヒルアシスト制御装置30は、荷重センサ11cから出力される信号に基づいて、鞍乗型車両10が傾斜地にあるか否か判別する。
上記ステップS14で、鞍乗型車両10が傾斜地にあると判別された場合(S14でYes)、ヒルアシスト制御装置30は、車両停止か否かを判別する(S15)。詳細には、ヒルアシスト制御装置30は、車速センサ11aから得られた速度Vによって、鞍乗型車両10が停止しているか否かを判別する。
上記ステップS15で、鞍乗型車両10が停止していると判別された場合(S15でYes)、ヒルアシストモードの鞍乗型車両10は、傾斜地で停止している。この場合(S15でYes)、ヒルアシスト制御装置30は、ヒルアシストの実施を決定する(S16)。詳細には、ヒルアシスト制御装置30は、ヒルアシストの状態を表すフラグデータ(図示しない)を実施状態に変更する。
次に、ヒルアシスト制御装置30は、最小ブレーキ圧Pminを設定する(S17)。詳細には、停車時ブレーキ圧設定部33が、ブレーキ制御部37に参照される最小ブレーキ圧Pminを設定する。
停車時ブレーキ圧設定部33は、上記ステップS12において、鞍乗型車両10の状態に拘わらず、最小ブレーキ圧Pminを繰返し計算し、図示しない記憶装置に記憶させている。
ステップS17の処理が実施される時点では、傾斜地で停車する前のブレーキ圧Pbh等に基づいて得られた最小ブレーキ圧Pminが最新の最小ブレーキ圧Pminとして記憶されている。
鞍乗型車両10が傾斜地で停止したと判別された場合(S15でYes)、停車時ブレーキ圧設定部33は、最新の最小ブレーキ圧Pminを、ブレーキ制御部37に参照される最小ブレーキ圧Pminとして設定する。これによって、停車時ブレーキ圧設定部33は、傾斜地での停車前のブレーキ圧Pbh、速度Vh、加速度Ah、駆動力Fdhに基づいて得られたブレーキ圧を、ブレーキ制御部37に参照される最小ブレーキ圧Pminとして設定する。
なお、ヒルアシスト制御装置30は、上記ステップS12において、最新の最小ブレーキ圧Pminでなく、複数回前に得られた最小ブレーキ圧Pminを、ブレーキ制御部37に参照される最小ブレーキ圧Pminとして設定してもよい。つまり、ヒルアシスト制御装置30は、車速が0になる時点よりも予め定められた時間だけ前に得られた最小ブレーキ圧Pminを、鞍乗型車両10を停車させるための最小ブレーキ圧として設定してもよい。
上記ステップS15において、車両停止でないと判別された場合(S15でNo)、鞍乗型車両10が移動している。車両停止でないと判別された場合(S15でNo)、ヒルアシスト制御装置30は、発進完了であるか否か判別する(S18)。詳細には、ヒルアシスト制御装置30は、車速センサ11aの信号に基づいて得られた鞍乗型車両10の速度が、予め定められた基準値よりも大きい場合に、発進完了であると判別する。
発進完了であると判別された場合(S18でYes)、ヒルアシスト制御装置30は、ヒルアシスト停止を決定する(S19)。詳細には、ヒルアシスト制御装置30は、ヒルアシストの状態を表すフラグデータ(図示しない)を不実施状態に変更する。
なお、上記ステップS13でヒルアシストモードではないと判別された場合(S13でNo)、停車時ブレーキ圧設定部33は、ヒルアシストの停止を決定する(S19)。また、上記ステップS14で傾斜地でないと判別された場合(S14でNo)、停車時ブレーキ圧設定部33は、ヒルアシストの停止を決定する(S19)。詳細には、フラグデータを不実施状態に変更する。ヒルアシストは、鞍乗型車両10が傾斜地で停車してから、鞍乗型車両10が発進するまでの期間、実施される。
図5は、ヒルアシスト処理を示すフローチャートである。
ヒルアシスト処理は、繰返し実施される。ヒルアシスト処理において、ヒルアシスト制御装置30は、ヒルアシスト実施中か否かを判別する(S21)。詳細には、ヒルアシスト制御装置30は、ヒルアシストの状態を表すフラグデータが実施状態であるか否かを判別する。
ヒルアシスト実施中であると判別された場合(S21でYes)、ヒルアシスト制御装置30は、ブレーキ圧指令値計算処理を実施する(S22)。ヒルアシスト制御装置30は、最小ブレーキ圧Pmin、及び駆動力Fdの推定値に基づいて、ブレーキ圧の指令値Pscを計算する。
また、ヒルアシスト実施中であると判別された場合(S21でYes)、ヒルアシスト制御装置30は、エンジン補正指令値計算処理を実施する(S23)。ヒルアシスト制御装置30は、エンジン補正指令値計算処理(S23)において、エンジン13を安定した回転速度で回転させるためのエンジン補正指令値を計算する。エンジン補正指令値は、例えばトルク補正値Taである。
ブレーキ圧指令値計算処理(S22)、及び、エンジン補正指令値計算処理(S23)の後、ヒルアシスト制御装置30は、指令値更新処理を実施する(S24)。
指令値更新処理(S24)において、ヒルアシスト制御装置30は、ブレーキ圧指令値計算処理(S22)で計算されたブレーキ圧の指令値Pscを、ブレーキ圧調整装置40に出力する。これによって、ブレーキ圧調整装置40が、指令値Pscに応じてブレーキ装置15を制御する。
また、ヒルアシスト制御装置30は、エンジン補正指令値計算処理(S23)で計算されたトルク補正値Taをエンジン制御部25に出力する。これによって、エンジン制御部25が、トルク補正値Taに応じてエンジン13を制御する。
ステップS21において、ヒルアシスト実施中でないと判別された場合(S21でNo)、ヒルアシスト制御装置30は、ヒルアシスト停止処理を実施する(S25)。詳細には、ブレーキ制御部37が、ブレーキ圧の指令値Pscを0にする。これによって、ブレーキ装置15のブレーキ力Fbが0になる。
図6は、図5に示すブレーキ圧指令値計算処理を示すフローチャートである。
ブレーキ圧指令値計算処理において、ヒルアシスト制御装置30のブレーキ制御部37は、駆動状態を取得する(S31)。ブレーキ制御部37は、駆動力推定部24から駆動力Fdの推定値を得る。ブレーキ制御部37は、ブレーキ操作部17の操作量Obを得る。
次に、ブレーキ制御部37は、ブレーキ圧指令値を計算する(S32)。ブレーキ制御部37は、停車時ブレーキ圧設定部33により設定された最小ブレーキ圧Pmin、及び、駆動力Fdの推定値に基づいて、ブレーキ装置15を作動させるブレーキ圧Pscを計算する。このステップS32でブレーキ制御部37は、計算したブレーキ圧Pscを図示しない記憶装置に一旦記憶させる。
なお、後の指令値更新処理(図5のS24)で、読出されたブレーキ圧Pscがブレーキ圧調整装置40に出力されると、鞍乗型車両のブレーキ装置15が作動する。つまり、鞍乗型車両のブレーキ装置15が、停車時ブレーキ圧設定部33により設定された最小ブレーキ圧Pminに基づいて、作動することとなる。ステップS24(図5参照)における指令値更新処理については後述する。
ブレーキ制御部37は、停車時ブレーキ圧設定部33により設定された最小ブレーキ圧Pminに基づいてブレーキ圧の指令値Pscを計算する。
ブレーキ制御部37は、最小ブレーキ圧Pminに対し予め定められた余裕(margin)Pmaを加えたブレーキ圧(Pmin+Pma)を、ブレーキ圧の指令値Pscの初期値とする。余裕Pmaは、例えば、最小ブレーキ圧Pminの10%〜40%である。但し、余裕Pmaは、10%〜40%の範囲外であってもよい。
最小ブレーキ圧Pminは、勾配抵抗Rsと実質的に等しいブレーキ容量Cbを生じるように設定されている。従って、指令値Pscとして、余裕Pmaを含むブレーキ圧(Pmin+Pma)がブレーキ圧調整装置40に出力されると、勾配抵抗Rsより大きいブレーキ容量Cbが生じる。このため、例えば総重量の変動等によって鞍乗型車両10が後方へ移動する事態が抑えられる。従って、傾斜地等での発進時に鞍乗型車両10の安定性が補助される。
最小ブレーキ圧Pminは、停車時ブレーキ圧設定部33によって、停車前のブレーキ圧Pbhに基づいて設定されたブレーキ圧である。停車前のブレーキ圧Pbhには、その時点での鞍乗型車両10のブレーキ装置15の摩擦係数が反映されている。
例えば、摩擦係数は、摩擦係数取得部36によって計算されている。しかし、摩擦係数取得部36は、鞍乗型車両10が実質的に水平な場所において制動される場合のみ、摩擦係数を計算する。例えば、鞍乗型車両10が傾斜地で走行を続けた後に傾斜地で停車するような場合、摩擦係数取得部36で得られた摩擦係数には、傾斜地で停車した時のブレーキ装置15の状態が反映されていない。この場合、摩擦係数取得部36で得られた摩擦係数が、傾斜地で停車した時のブレーキ装置15と大きく異なっている場合がある。
これに対し、停車前のブレーキ圧Pbhに基づいて設定された最小ブレーキ圧Pminは、その時点での摩擦係数が反映されている。従って、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置15の最小ブレーキ圧Pminが適切に設定される。このため、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置15の最小ブレーキ圧Pmin+Pmaに含まれる余裕Pmaを抑えることができる。従って、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置15のブレーキ圧(Pmin+Pma)が、鞍乗型車両10の停止を維持するために必要なブレーキ圧Pminと比べて過剰に大きくなることが抑制される。
この結果、運転者のアクセル操作によって鞍乗型車両10が発進する際に、ブレーキ圧の解除に要する時間が短くなる。従って、運転者が引っ掛かり感や急激なトルク変化を感じることが抑制される。また、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置15のブレーキ圧が適切に設定されるので、傾斜地で鞍乗型車両10が後ろに移動することが抑制される。従って、鞍乗型車両10の発進時の安定性が高められる。
また、本実施形態では、停車前のブレーキ圧Pbhに加え、停車前のブレーキ圧Pbhが得られた時の速度Vhに基づいて最小ブレーキ圧Pminが設定される。速度Vhが考慮されることによって、最小ブレーキ圧Pminが精密に設定される。従って、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置15のブレーキ圧Pscがより精密に設定される。
本実施形態では、停車前のブレーキ圧Pbhに加え、停車前のブレーキ圧Pbhが得られた時の速度Vhに対応する加速度Ahに基づいて最小ブレーキ圧Pminが設定される。停車前の鞍乗型車両10のブレーキ装置の状態は、停車前のブレーキ圧Pbhが得られた時の加速度Ahに、より精密に反映される。ブレーキ力は力であるので、加速度と密接に関係するからである。このため、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置15のブレーキ圧Pscがより精密に設定される。
本実施形態では、停車前のブレーキ圧Pbhに加え、総重量mに基づいて最小ブレーキ圧Pminが設定される。加速度及び速度は総重量の影響を受ける。従って、ブレーキ圧Pbh及び総重量mに基づく設定によれば、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置15のブレーキ圧Pscがより精密に設定される。
本実施形態では、停車前のブレーキ圧Pbhに加え、制動により停車する場合における駆動力Fdhに基づいて最小ブレーキ圧Pminが設定される。これによって、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置15のブレーキ圧がより精密に設定される。
傾斜地で停止した鞍乗型車両10の発進時、運転者は、アクセル操作部16のアクセル操作量Oaを増大させる。この結果、駆動力Fdが、0から増大する。
ブレーキ制御部37は、駆動力Fdの増大に応じて、ブレーキ装置15で生じるブレーキ力Fbを解除するように動作する。
上記ステップS32のブレーキ圧指令値計算処理において、ブレーキ制御部37は、駆動力Fdの推定値がブレーキ容量Cbを超えた場合、ブレーキ圧の指令値Pscを減少させる。ブレーキ容量Cbは、ブレーキ圧の指令値Pscと摩擦係数Mの推定値によって得られる。
詳細には、ブレーキ制御部37は、時間の経過に伴って、ブレーキ圧の指令値Pscを徐々に減少させる。例えば、ブレーキ制御部37は、ブレーキ圧の指令値Pscを予め定めた減少率で減少させる。ブレーキ制御部37は、ブレーキ圧の指令値Pscを0になるまで減少させる。
ブレーキ圧の指令値Pscが減少すると、ブレーキ圧が減少する。従って、ブレーキ容量Cbが減少する。ブレーキ容量Cbは、ブレーキ力Fbの限度である。時間の経過に伴いブレーキ容量Cbが減少する途中でブレーキ力Fbと等しくなった後、ブレーキ容量Cbが更に減少するとブレーキ力Fbは、ブレーキ容量Cbの減少に伴い減少する。
この結果、駆動力Fdと、ブレーキ力Fbと、勾配抵抗Rsとの均衡が解ける。従って、鞍乗型車両10が発進する。鞍乗型車両10は、後方に移動することなく発進する。
図7は、図5に示すエンジン補正指令値計算処理を示すフローチャートである。
エンジン補正指令値計算処理では、鞍乗型車両10が傾斜地で発進する場合に、エンジン13の動作が安定するような目標回転速度が得られる。
エンジン補正指令値計算処理において、エンジントルク補正部38は、アクセル操作量を得る。詳細には、エンジントルク補正部38は、アクセル操作部16の操作量Oaを得る(S41)。
次に、エンジントルク補正部38は、目標回転速度を得る(S42)。詳細には、エンジントルク補正部38は、アクセル操作部16の操作量Oaに基づいてエンジン13の目標回転速度を計算する。
次に、エンジントルク補正部38は、トルク補正値を計算する(S43)。エンジントルク補正部38は、エンジン13の負荷が増大する場合、操作量Oaに基づく目標回転速度でエンジン13が回転するようなトルク補正値Taを計算する。計算されたトルク補正値Taは、図示しない記憶装置に一旦記憶される。
図8は、図5に示す指令値更新処理を示すフローチャートである。
指令値更新処理において、ヒルアシスト制御装置30のブレーキ制御部37は、ステップS32で計算されたブレーキ圧の指令値Pscを図示しない記憶装置から再度読み出す(S51)。
また、エンジン制御部25は、ステップS43で得られたトルク補正値Taを図示しない記憶装置から読み出す(S52)。エンジン制御部25は、トルク補正値Taに応じて、アクセル操作部16のアクセル操作量Oaを補正することによって、エンジン制御部25は、エンジン13の出力トルク目標を計算する。
ステップS51及びS52の後、ブレーキ制御部37は、読み出したブレーキ圧Pscをブレーキ圧調整装置40に出力する(S53)。これによって、ブレーキ制御部37は、ステップS32で計算されたブレーキ圧の指令値Pscに基づいて、ブレーキ装置15を作動させる。エンジン制御部25は、出力トルク目標を出力する。具体的には、エンジン制御部25は、エンジン13が出力トルク目標のトルクを出力するようにエンジン13を制御する。これによって、トルク補正値Taによって補正されたトルクがエンジン13から出力される。この結果、傾斜地での発進時にエンジン13の回転速度が安定する。
ここで、図6のブレーキ圧指令値計算処理(S32)における、ブレーキ制御部37によるブレーキ力制御について説明する。
ステップS32において、ブレーキ制御部37は、最小ブレーキ圧Pmin、及び駆動力Fdの推定値に基づいて、ブレーキ装置15を作動させるブレーキ圧Pscを計算する。
最小ブレーキ圧Pminは、勾配抵抗Rsと実質的に等しいブレーキ容量Cbを生じさせるように計算されたブレーキ圧である。本実施形態に係るブレーキ制御部37は、駆動力Fdが0の場合、ブレーキ圧の指令値Pscとして、最小ブレーキ圧Pminに余裕Pmaを加えたブレーキ圧(Pmin+Pma)を計算する。ブレーキ装置15がブレーキ圧(Pmin+Pma)で動作すると、ブレーキ装置15で生じるブレーキ容量Cbが、勾配抵抗Rsよりも大きくなる。つまり、ブレーキ力Fbの大きさの上限が勾配抵抗Rsよりも大きくなる。
鞍乗型車両10は、ドア等を有さない。そのため、例えば停車中に同乗者が乗り降りしやすい。つまり鞍乗型車両10は、総重量の変動に起因して、停車中に勾配抵抗が変動しやすい。また、計算されたブレーキ圧Pscには誤差が含まれている場合がある。
本実施形態によれば、ブレーキ容量Cbが勾配抵抗Rsに対し余裕を有するので、例えば勾配抵抗の変動又は誤差によって鞍乗型車両10が後方に移動する事態が抑えられる。従って、傾斜地等での発進時に鞍乗型車両10の安定性が補助される。
最小ブレーキ圧Pminには、制動によって鞍乗型車両10が傾斜地で停車する時のブレーキの摩擦係数が反映されている。このため、停車動作時におけるブレーキの状態を反映した、勾配抵抗Rsに対する精度の高い最小ブレーキ圧Pminが得られる。
このため、ブレーキ装置15を作動させるブレーキ圧Psc(Pmin+Pma)に含まれる余裕Pmaを抑えることができる。
本実施形態において、ブレーキ制御部37は、駆動力Fdの推定値が勾配抵抗Rsを超えたと判別した場合、ブレーキ装置15を作動させるブレーキ圧を減少させる。詳細には、ブレーキ制御部37は、駆動力Fdの推定値が勾配抵抗Rsを超えると、時間の経過に伴いブレーキ圧を徐々に減少させる。
運転者が、アクセル操作部16を操作した結果、駆動力Fdが勾配抵抗Rsを超えると、時間の経過に応じてブレーキ容量Cbが減少する。ブレーキ容量Cbがブレーキ力Fbの大きさと等しくなった後、ブレーキ力Fbは、ブレーキ容量Cbが減少に伴い減少する。駆動力Fdが、勾配抵抗Rsの大きさとブレーキ力Fbの大きさの和を超えると、鞍乗型車両10が発進する。
図9(A)は、本実施形態のエンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30の制御により、傾斜地で発進する鞍乗型車両10に作用する力の変化を示すグラフである。グラフの横軸は時間を表す。グラフの縦軸は力を表す。グラフでは、鞍乗型車両10の前方に向かって生じる力、即ち傾斜地の上部に向かって生じる力が、正の力として表示されている。
図9(A)のグラフは、鞍乗型車両10が傾斜地で停車してから、鞍乗型車両10が発進するまでの期間を示している。また、運転者によるブレーキ操作は、行われていない。また、図9(A)のグラフは、力の関係を分かりやすくするため、転がり抵抗及び空気抵抗等を無視し、力の関係を概略的に示している。転がり抵抗及び空気抵抗は、勾配抵抗に比べて遙かに小さいため、無視しても影響がない。
勾配抵抗Rsは、鞍乗型車両10の後方に向かう力である。本実施形態のヒルアシスト制御装置30は、鞍乗型車両10が傾斜地で停車すると、ブレーキ圧調整装置40を制御して、ブレーキ装置15にブレーキ力Fbを生じさせる。
詳細には、ブレーキ装置15が作動することによって、ブレーキ圧の指令値Psc(図3参照)に対応したブレーキ容量Cbが生じる。ブレーキ容量Cbを大きさの上限として、ブレーキ力Fbが生じる。停車中におけるブレーキ力Fbは、鞍乗型車両10に作用する、ブレーキ力Fb以外の力の合成力の反力として生じる。時刻t1より前では、駆動力Fdが0であるので、ブレーキ力Fbは、勾配抵抗Rsの反力として生じる。時刻t1より前の状態は、図2(A)に示す状態に対応する。
ヒルアシスト制御装置30のブレーキ制御部37が出力するブレーキ圧Pscは、最小ブレーキ圧Pminと余裕Pmaの和Pmin+Pmaである。最小ブレーキ圧Pminは、勾配抵抗Rsと実質的に等しいブレーキ容量Cbを生じるよう、停車時ブレーキ圧設定部33によって設定されたブレーキ圧である。最小ブレーキ圧Pminは、停車前のブレーキ圧Pbhに基づいて設定されている。停車前のブレーキ圧Pbhには、その時点での鞍乗型車両のブレーキ装置の摩擦係数が反映されている。このため、最小ブレーキ圧Pminに加える余裕Pmaを抑えることができる。従って、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置のブレーキ圧(Pmin+Pma)が、鞍乗型車両の停止を維持するために必要なブレーキ圧Pminと比べて過剰に大きくなることが抑制される。つまり、ブレーキ容量Cbが勾配抵抗Rsと比べて過剰に大きくなることが抑制される。
ヒルアシスト制御装置30は、ブレーキ圧Psc(図3参照)を調整することによって、停車中におけるブレーキ容量Cbを制御する。
なお、ブレーキ力Fbは、ブレーキ容量Cbを限度として、鞍乗型車両10の前方と後方のいずれにも生じる。このため、図9(A)のグラフには、ブレーキ容量Cbが正負の両方の領域に示されている。
時刻t1で、運転者によるアクセル操作部16の操作が開始する。アクセル操作部16の操作量が、時刻t1以降、時間の経過に伴い次第に増大する。これに伴い、駆動力Fdが増大する。時刻t1以降の状態は、図2(B)に示す状態に対応する。
時刻t1において、運転者がアクセル操作部16を操作することによって、駆動力Fdが0から増大する。図2(B)に示したように、鞍乗型車両10の停止中は、駆動力Fd、ブレーキ力Fb及び勾配抵抗Rsが釣り合う。そのため、ブレーキ力Fbは、駆動力Fdの増大に伴い減少する。
時刻t2において駆動力Fdが勾配抵抗Rsと実質的に等しくなるとき、ブレーキ力Fbは実質的に0となる。時刻t2の後、駆動力Fdが更に増大すると、ブレーキ力Fbは負の値となる。ブレーキ力Fbは、鞍乗型車両10が駆動力Fdによって前進することを妨げる。
駆動力Fdがブレーキ容量Cbを超えると、ブレーキ制御部37が、ブレーキ圧の指令値Pscを減少させる。ブレーキ制御部37は、時間の経過に伴って、ブレーキ圧の指令値Pscを減少させる。ブレーキ圧の指令値Pscの減少に伴って、ブレーキ容量Cbが減少する。時刻t3において、ブレーキ容量Cbがブレーキ力Fbと等しくなる。時刻t3以降、ブレーキ容量Cbの減少に伴いブレーキ力Fbの絶対値が減少する。
時刻t4において、減少しているブレーキ容量Cbがブレーキ力Fbと等しくなる。この後、ブレーキ容量Cbが更に減少すると、ブレーキ力Fbは、ブレーキ容量Cbの減少に伴い減少する。
また、時刻t4において、駆動力Fdが、勾配抵抗Rsの大きさとブレーキ力Fbの大きさとの和を超えると、推進力Fmが生じる。この結果、鞍乗型車両10が発進する。
時刻t5において、ブレーキ容量Cb及びブレーキ力Fbの発生が停止する。
[比較例]
図9(B)は、停車時ブレーキ圧設定部の機能が本実施形態と異なる比較例において作用する力の変化を示すグラフである。
図9(B)のグラフに係る比較例では、停車時ブレーキ圧設定部が、停車前のブレーキ圧に基づかずにブレーキ圧を設定する。例えば、比較例における停車時ブレーキ圧設定部は、例えば、荷重センサからの信号に基づいて勾配の角度及び総重量を推定する。比較例では、推定した総重量及び角度から勾配抵抗を計算する。比較例では、計算した勾配抵抗に基づいてブレーキ装置を作動させる。比較例では、ブレーキ装置を作動させるブレーキ圧にブレーキ容量の変化が反映されていない。また、鞍乗型車両に搭載される荷重センサから推定される勾配の角度及び重量には、大きな誤差が含まれている場合がある。従って、計算される勾配抵抗も大きな誤差を含んでいる可能性がある。
比較例において車両の停止を維持するために必要なブレーキ力は、ブレーキ容量Cbの変化及び誤差を許容できるように高く設定される。この結果、図9(B)に示すブレーキ容量Cbは、勾配抵抗Rsに対して過剰に高い。
このため、比較例では、時刻t3’でブレーキ容量Cbの減少が開始した後、時刻t5’でブレーキ容量Cbの付与が停止するまでの時間が長い。
また、時刻t1’で運転者の操作により駆動力Fdが増大を開始してから、時刻t3’で駆動力Fdがブレーキ容量Cbを超えるまでの時間が長い。これに起因して、時刻t2’においてブレーキ力Fbは0となった後、ブレーキ容量Cbの減少が開始するまでの時間が長い。
これに対し、図9(A)のグラフに係る本実施形態では、ブレーキ非操作時にブレーキ装置を作動させるブレーキ圧にブレーキ容量の変化が反映されている。このため、ブレーキ容量Cbと勾配抵抗Rsの差が、図9(B)に示す比較例の場合と比べて小さい。
従って、時刻t3でブレーキ容量Cbの減少が開始した後、時刻t5でブレーキ容量Cbの付与が停止するまでの時間が、比較例と比べて短い。
また、時刻t1で運転者の操作により駆動力Fdが増大を開始してから、時刻t3で駆動力Fdがブレーキ容量Cbを超えるまでの時間が短い。これに起因して、時刻t2においてブレーキ力Fbは0となった後、ブレーキ容量Cbの減少が開始するまでの時間が短い。
図9(A)及び図9(B)のグラフにおいて、負のブレーキ力Fbが生じる部分に、斜線が付されている。負のブレーキ力Fbは、駆動力Fdによる鞍乗型車両10の発進を妨げるように作用する。負のブレーキ力Fbが生じることによって、運転者が鞍乗型車両の発進に対して引っ掛かり感を覚える。特に、鞍乗型車両は、例えば自動四輪車と比べて重量が小さい。また、鞍乗型車両10が発進する場合、運転者は、通常足を地面に付けている。このため、鞍乗型車両10の運転者は、鞍乗型車両10の動きを敏感に感じやすい。鞍乗型車両10の運転者は、引っかかり感や急激なトルク変化をより敏感に感じる。
図9(A)に示す本実施形態では、負のブレーキ力Fbが、時刻t2から時刻t5までの期間で生じている。本実施形態によれば、ブレーキ容量Cbと勾配抵抗Rsの差が、比較例と比べて小さい。つまり、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置15のブレーキ圧Pscが、勾配抵抗Rsと釣り合う大きさのブレーキ力Fbを生じるためのブレーキ圧と比べて過剰に大きくなることが抑制され得る。この結果、ブレーキ圧の解除に要する時間が短くなる。負のブレーキ力Fbが生じる期間(t2からt5まで)が、比較例において負のブレーキ力Fbが生じる期間(図9(B)におけるt2’からt5’まで)よりも短い。このため、本実施形態によれば、鞍乗型車両10の発進を運転者の発進意思に追従させ易く、運転者が引っ掛かり感や急激なトルク変化を感じることを抑制できる。
また、本実施形態によれば、ブレーキ容量Cbは勾配抵抗Rsより大きく、且つ、ブレーキ容量Cbと勾配抵抗Rsの差が、比較例と比べて小さい。つまり、ブレーキ非操作時に作動するブレーキ装置15のブレーキ圧Pscが適切に設定されている。このため、傾斜地で鞍乗型車両が後に移動することを抑制できる。
[第二実施形態]
続いて、本発明の第二実施形態について説明する。
本発明の第二実施形態では、図6に示すブレーキ力指令値計算処理(S32)の処理の内容が、第一実施形態と異なる。第二実施形態におけるこの他の点は、第一実施形態と同じである。従って、第二実施形態の説明では、第一実施形態についての図面を流用し、第一実施形態と同じ符号を用いる。
第一実施形態に係るブレーキ制御部37は、ブレーキ力指令値計算処理(S32)において、駆動力Fdの推定値がブレーキ容量Cbを超えた場合、ブレーキ圧の指令値Pscを徐々に減少させる。
これに対し、第二実施形態に係るブレーキ制御部37は、ブレーキ力指令値計算処理(S32)において、ブレーキ装置15のブレーキ圧の指令値Pscがブレーキ力Fbの減少に実質的に追随して減少するように、ブレーキ圧の指令値Pscを出力する。
鞍乗型車両10が停止している場合、ブレーキ力Fb、勾配抵抗Rs、及び駆動力Fdは均衡している。このため、駆動力Fdの増加に伴い、ブレーキ力Fbが減少する。
本実施形態に係るブレーキ制御部37は、ブレーキ装置15のブレーキ圧の指令値Pscが駆動力Fdの増加に実質的に追随して減少するように、ブレーキ圧の指令値Pscを調整する。ブレーキ制御部37は、例えば、ブレーキ圧の指令値Pscを、駆動力Fdの増加量分、減少させる。
図10は、第二実施形態のエンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30の制御により、傾斜地で発進する鞍乗型車両10に作用する力の変化を示すグラフである。
本実施形態では、ブレーキ装置15のブレーキ圧の指令値Pscがブレーキ力Fbの減少に実質的に追随して減少する。従って、ブレーキ容量Cbが駆動力Fdの増加に伴って減少する。このため、負のブレーキ力Fbが生じる期間(t2からt5まで)が、図9(A)に示す第一実施形態の場合と比べて更に短い。このため、本実施形態によれば、運転者が引っ掛かり感を覚えることを更に抑制しつつ、スムースな発進を行うことができる。
なお、上述した実施形態では、鞍乗型車両10を停車させるための最小ブレーキ圧Pminを得るため、勾配抵抗Rsを計算し、勾配抵抗Rsから最小ブレーキ圧Pminを計算する停車時ブレーキ圧設定部33を説明した。ただし、本発明はこれに限られない。
例えば、停車時ブレーキ圧設定部は、勾配抵抗を計算することなく鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を直接計算してもよい。
また、停車時ブレーキ圧設定部は、予めデータが対応付けられたテーブルから値を読出すことによって、鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を取得してもよい。
また、上述した実施形態では、総重量m、加速度Ah、駆動力Fdh、及びFbhを直接用いて最小ブレーキ圧Pminを計算する停車時ブレーキ圧設定部33を説明した。ただし、本発明はこれに限られない。
停車時ブレーキ圧設定部は、検出によって得られる総重量を直接用いることなく、鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を取得してもよい。例えば、停車時ブレーキ圧設定部は、総重量を固定値として鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を取得してもよい。
また、停車時ブレーキ圧設定部は、停止前における駆動力Fdhを直接用いることなくブレーキ圧を取得してもよい。例えば、停車時ブレーキ圧設定部は、停止前における駆動力を固定値として鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を取得してもよい。
また、停車時ブレーキ圧設定部は、停止前における加速度を用いることなくブレーキ圧を取得してもよい。例えば、停車時ブレーキ圧設定部は、加速度の代わりに速度を直接用いてブレーキ圧を取得してもよい。
また、停車時ブレーキ圧設定部は、停止前における加速度及び速度を直接用いることなくブレーキ圧を取得してもよい。
また、上述した実施形態では、運転者によるブレーキ操作が行われていない時にブレーキ装置を作動させるブレーキ制御部37を説明した。ただし、本発明はこれに限られない。ブレーキ制御部は、例えば、運転者によるブレーキ操作の解除又は減少を検知することによって、ブレーキ装置を作動させてもよい。また、ブレーキ制御部は、例えば、運転者によるブレーキ操作を検知することによって、ブレーキ装置を作動させてもよい。
また、上述した実施形態では、エンジン制御装置20及びヒルアシスト制御装置30が、中央演算装置及び記憶装置をそれぞれ備えていることを説明した。ただし、本発明はこれに限られない。制御装置は、例えばワイヤードロジックで構成されていてもよい。
また、実施形態では、各値を計算することについて説明した。ここで「計算」は、入力の値を直接用いて数式を計算することに限られない。計算には、例えば、互いに対応付けられた複数の数からなるテーブル又はマップを用いて、入力の値に対応する値を読出すことも含まれる。
また、実施形態では、ディスクブレーキを構成するブレーキ装置15を説明した。ただし、本発明はこれに限られない。ブレーキ装置は、例えばドラムブレーキであってもよい。
また、実施形態では、作動液の液圧に基づいてブレーキ圧を得るブレーキ圧取得部35を説明した。ただし、本発明はこれに限られない。ブレーキ圧取得部は、例えば、ブレーキ操作部の操作量に基づいて、ブレーキ圧を得てもよい。
また、実施形態では、鞍乗型車両10を停車させるためのブレーキ圧として、勾配抵抗Rsと実質的に等しいブレーキ容量Cbを生じさせる最小ブレーキ圧Pminを説明した。ただし、本発明はこれに限られない。例えば、鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧は、勾配抵抗より大きいブレーキ容量を生じさせるブレーキ圧であってもよい。
また、実施形態では、鞍乗型車両10が傾斜地で停車する場合における停車前のブレーキ圧を得るブレーキ圧取得部35と、鞍乗型車両10が傾斜地にある場合にブレーキ装置15を作動させるブレーキ制御部37を説明した。ただし、本発明はこれに限られない。例えば、ブレーキ圧取得部は、鞍乗型車両が実質的に水平な場所で停車する場合における停車前のブレーキ圧を得てもよい。また、ブレーキ制御部は、鞍乗型車両が実質的に水平な場所にある場合にブレーキ装置を作動させてもよい。例えば荷物の積卸し等を行う場合に、鞍乗型車両が安定する。
上記実施形態に用いられた用語及び表現は、説明のために用いられたものであって限定的に解釈するために用いられたものではない。ここに示されかつ述べられた特徴事項の如何なる均等物をも排除するものではなく、本発明のクレームされた範囲内における各種変形をも許容するものであると認識されなければならない。本発明は、多くの異なった形態で具現化され得るものである。この開示は本発明の原理の実施形態を提供するものと見なされるべきである。それらの実施形態は、本発明をここに記載しかつ/又は図示した好ましい実施形態に限定することを意図するものではないという了解のもとで、実施形態がここに記載されている。ここに記載した実施形態に限定されるものではない。本発明は、この開示に基づいて当業者によって認識され得る、均等な要素、修正、削除、組み合わせ、改良及び/又は変更を含むあらゆる実施形態をも包含する。クレームの限定事項はそのクレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきであり、本明細書あるいは本願のプロセキューション中に記載された実施形態に限定されるべきではない。例えば、実施形態におけるヒルアシスト又はヒルアシストの名称に拘わらず、本発明は、クレームで用いられた用語に基づいて広く解釈されるべきである。
本発明は、上述した例に限定されず、例えば、下記(7)〜(10)の構成を採用し得る。下記(7)〜(10)の実施形態としては、上述した実施形態が挙げられる。
(7) (1)〜(5)のいずれか1の鞍乗型車両用制御装置であって、
前記ブレーキ圧取得部は、前記鞍乗型車両が制動により傾斜地に停車する場合における停車前のブレーキ圧を得るように構成され
前記停車時ブレーキ圧設定部は、少なくとも前記ブレーキ圧取得部により得られた前記停車前のブレーキ圧に基づいて、前記鞍乗型車両を前記傾斜地で停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成される。
(8) (7)の鞍乗型車両用制御装置であって、
前記ブレーキ装置は、前記鞍乗型車両の停車状態において、前記ブレーキ装置が作動するブレーキ圧に応じたブレーキ容量を上限とするブレーキ力を前記鞍乗型車両に作用させるものであり、
停車時ブレーキ圧設定部は、前記ブレーキ容量が、傾斜地の勾配によって前記鞍乗型車両に作用する勾配抵抗より大きいか又は実質的に等しくなるように、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定する。
(9) (8)の鞍乗型車両用制御装置であって、
停車時ブレーキ圧設定部は、少なくとも前記ブレーキ圧取得部により得られた前記停車前のブレーキ圧を運動方程式に適用することで、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定する。
(10) (7)〜(9)の鞍乗型車両用制御装置であって、
前記ブレーキ制御部は、前記鞍乗型車両に駆動力が生じていない場合に、前記停車時ブレーキ圧設定部に設定されたブレーキ圧に予め定められた余裕を加えたブレーキ圧で前記ブレーキ装置を作動させる。
10 鞍乗型車両
15 ブレーキ装置
17 ブレーキ操作部
20 エンジン制御装置
22 総重量取得部
24 駆動力推定部
30 ヒルアシスト制御装置
32A 車速取得部
32B 加速度取得部
33 停車時ブレーキ圧設定部
34 駆動力取得部
35 ブレーキ圧取得部
37 ブレーキ制御部
40 ブレーキ圧調整装置
Ah 加速度
Fdh 駆動力
Pbh ブレーキ圧
Psc ブレーキ圧
Rs 勾配抵抗
Vh 速度

Claims (6)

  1. 鞍乗型車両用制御装置であって、
    前記制御装置は、
    前記鞍乗型車両が制動により停車する場合における停車前のブレーキ圧を得るように構成されたブレーキ圧取得部と、
    少なくとも前記ブレーキ圧取得部により得られた前記停車前のブレーキ圧に基づいて、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成された停車時ブレーキ圧設定部と、
    運転者によるブレーキ操作が行われていない時に、前記停車時ブレーキ圧設定部により設定された前記ブレーキ圧に基づいて、前記鞍乗型車両のブレーキ装置を作動させるように構成されたブレーキ制御部と
    を備える。
  2. 請求項1に記載の鞍乗型車両用制御装置であって、
    前記制御装置は、更に、
    前記停車前のブレーキ圧が得られる時の前記鞍乗型車両の速度を得るように構成された車速取得部
    を備え、
    前記停車時ブレーキ圧設定部は、少なくとも、前記停車前のブレーキ圧と、前記停車前のブレーキ圧が得られた時の速度とに基づいて、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成されている。
  3. 請求項2に記載の鞍乗型車両用制御装置であって、
    前記制御装置は、更に、
    前記車速取得部により得られた前記鞍乗型車両の速度に基づいて、前記鞍乗型車両の加速度を得る加速度取得部
    を備え、
    前記停車時ブレーキ圧設定部は、少なくとも、前記停車前のブレーキ圧と、前記停車前のブレーキ圧が得られた時の速度に対応する加速度とに基づいて、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成されている。
  4. 請求項1〜3のいずれか1に記載の鞍乗型車両用制御装置であって、
    前記制御装置は、更に、
    前記鞍乗型車両の総重量を得る総重量取得部
    を備え、
    前記停車時ブレーキ圧設定部は、少なくとも、前記停車前のブレーキ圧と、前記鞍乗型車両の総重量取得部により得られた前記鞍乗型車両の総重量とに基づいて、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成されている。
  5. 請求項1〜4のいずれか1に記載の鞍乗型車両用制御装置であって、
    前記制御装置は、更に、
    前記鞍乗型車両が制動により停車する場合における前記鞍乗型車両の駆動力を得る駆動力取得部
    を備え、
    前記停車時ブレーキ圧設定部は、少なくとも、前記停車前のブレーキ圧と、前記鞍乗型車両の駆動力とに基づいて、前記鞍乗型車両を停車させるためのブレーキ圧を設定するように構成されている。
  6. 鞍乗型車両であって、
    前記鞍乗型車両は、
    前記鞍乗型車両の車輪と、
    請求項1〜5のいずれか1に記載の制御装置と、
    前記制御装置のブレーキ制御部により作動されるブレーキ装置と
    を備える。
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