JP2018133961A - アクチュエータおよび防振システム - Google Patents
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Abstract
【課題】 従来と比べて高速かつ高応答性を有し、大きな推力を連続的に発生できるアクチュエータおよび防振システムを提供することを目的とする。
【解決手段】 複数の第1磁石と複数の第2磁石とが周方向に交互に配置され、複数の第1磁石の磁極は周方向と交差する半径方向の外側を向いて配置され、複数の第2磁石の磁極は半径方向の内側を向いて配置される可動子と、可動子の内側に、温度に応じて透磁率が変化する磁性体とコイルとが同心円状に配置され、磁性体とコイルとが配置された位置と異なる位置で、複数の第1磁石および複数の第2磁石のいずれかと対向する位置の各々に凸部が配置された固定子とを備える。
【選択図】 図1
【解決手段】 複数の第1磁石と複数の第2磁石とが周方向に交互に配置され、複数の第1磁石の磁極は周方向と交差する半径方向の外側を向いて配置され、複数の第2磁石の磁極は半径方向の内側を向いて配置される可動子と、可動子の内側に、温度に応じて透磁率が変化する磁性体とコイルとが同心円状に配置され、磁性体とコイルとが配置された位置と異なる位置で、複数の第1磁石および複数の第2磁石のいずれかと対向する位置の各々に凸部が配置された固定子とを備える。
【選択図】 図1
Description
本発明は、アクチュエータおよび防振システムに関する。
アクチュエータには、コイルに通電することにより生じる磁束と永久磁石との相互作用による電磁力を用いて、大きな推力を発生させるものがある。
例えば、ソレノイド型のアクチュエータとボイスコイルモータ型のアクチュエータとを駆動する方向に直列に配置することにより、優れた応答性を有し、短い時間で大きな推力を発生できるアクチュエータの技術が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、従来のアクチュエータでは、ソレノイド型およびボイスコイルモータ型の各アクチュエータが有するコイルの発熱による故障等の影響を回避するために、連続的に大きな推力を発生させることが難しいことがある。また、従来のアクチュエータは、連続的に一定の推力を発生させる場合、消費エネルギーが増大するという問題もある。
また、従来のアクチュエータは、ソレノイド型およびボイスコイルモータ型のアクチュエータの2つを用いることから、小型化が難しいことがある。
本発明は、従来と比べて高速かつ高応答性を有し、大きな推力を連続的に発生できるアクチュエータおよび防振システムを提供することを目的とする。
本発明を例示するアクチュエータの一態様は、複数の第1磁石と複数の第2磁石とが周方向に交互に配置され、複数の第1磁石の磁極は周方向と交差する半径方向の外側を向いて配置され、複数の第2磁石の磁極は半径方向の内側を向いて配置される可動子と、可動子の内側に、温度に応じて透磁率が変化する磁性体とコイルとが同心円状に配置され、磁性体とコイルとが配置された位置と異なる位置で、複数の第1磁石および複数の第2磁石のいずれかと対向する位置の各々に凸部が配置された固定子とを備える。
本発明を例示する防振システムの一態様は、複数の第1磁石と複数の第2磁石とが周方向に交互に配置され、複数の第1磁石の磁極は周方向と交差する半径方向の外側を向いて配置され、複数の第2磁石の磁極は半径方向の内側を向いて配置される可動子と、可動子の内側に、温度に応じて透磁率が変化する磁性体とコイルとが同心円状に配置され、磁性体とコイルとが配置された位置と異なる位置で、複数の第1磁石および複数の第2磁石のいずれかと対向する位置の各々に凸部が配置された固定子とを有するアクチュエータと、アクチュエータに電力を供給する電源とアクチュエータに搭載された対象物における振動を検出するセンサと、センサにより検出された振動を打ち消すように、電源がアクチュエータに供給する電力を制御する制御装置とを備える。
本発明は、従来と比べて高速かつ高応答性を有し、大きな推力を連続的に発生できる。
以下、図面を用いて実施形態について説明する。
図1は、アクチュエータおよび防振システムの一実施形態を示す。
図1に示した防振システムSYSは、制御装置10、センサ20、電源30およびアクチュエータ40を有する。
制御装置10は、プロセッサ等の演算処理装置およびハードディスク装置等の記憶装置を含むコンピュータ装置である。制御装置10は、演算処理装置が記憶装置に記憶された制御プログラムを実行することにより、電源30およびアクチュエータ40の動作を制御する。
センサ20は、例えば、加速度センサ等である。センサ20は、振動の抑制対象の対象物OBJが搭載されたアクチュエータ40の面上に配置され、対象物OBJにおける振動を検出する。センサ20は、検出した振動を示す信号を制御装置10に出力する。
電源30は、アクチュエータ40に対して電力を供給する。例えば、電源30は、センサ20により検出された振動に応じた制御装置10からの制御指示に基づいて、アクチュエータ40に電圧や電流等の電力をアクチュエータ40に供給する。これにより、アクチュエータ40は、振動を打ち消すように動作する。
アクチュエータ40は、机や床、あるいはトラックの荷台等の平面部材50に配置され、平面部材50からの振動が対象物OBJに伝播するのを打ち消すように、電源30により供給される電圧や電流に応じて動作する。
図2は、図1に示したアクチュエータ40の一例を示す。図2(a)は、アクチュエータ40を横から見たXZ平面の断面を示す。図2(b)は、アクチュエータ40を正のZ軸方向から見たXY平面の断面を示す。
図2に示すように、アクチュエータ40は、筒状部材71の内側に永久磁石MAGが周方向に配置された可動子70を有する。また、アクチュエータ40は、コア部材81と、コア部材81に内側から順に配置されたコイルCLおよび感温磁性体82と、底板84と、6つの凸部83とを含む固定子80を有する。また、図2では、銅等の金属部材60を用いて、底板84と平面部材50とを接続し、アクチュエータ40が平面部材50に設置される。なお、金属部材60を用いることなく、底板84と平面部材50とを接続し、アクチュエータ40が平面部材50に設置されてもよい。
筒状部材71は、鉄等の強磁性体であり、上面にセンサ20および対象物OBJが搭載される。
永久磁石MAGは、例えば、図2(b)に示すように、磁極の向きが互いに異なる4つの永久磁石MAG1−MAG4を一組とする6つの組を用いて、ハルバッハ配列となるように筒状部材71の内側に周方向に配列される。永久磁石MAG1は、筒状部材71の半径方向の外側を向いた磁極を有し、永久磁石MAG2は、筒状部材71の周方向のうち時計回りの方向を向いた磁極を有する。また、永久磁石MAG3は、筒状部材71の半径方向の内側を向いた磁極を有し、永久磁石MAG4は、筒状部材71の周方向のうち反時計回りの方向を向いた磁極を有する。
なお、永久磁石MAG1−MAG4の組は、4以上の複数の組が筒状部材71の内側に配置されるのが好ましい。また、永久磁石MAGは、磁極が筒状部材71の半径方向の外側を向いた永久磁石MAG1と内側を向いた永久磁石MAG3とを一組とし、4以上の複数の組の永久磁石MAG1と永久磁石MAG3とが筒状部材71の内側の周方向に配置されてもよい。
コア部材81は、純鉄等の強磁性体であり、円柱状の形状を有する。コア部材81には、例えば、図2(a)に示すように、可動子70の永久磁石MAGと対向するように、コイルCLおよび感温磁性体82が内側から順に周方向に配置される。また、コア部材81には、永久磁石MAGのうち筒状部材71の半径方向の外側を向いた磁極の永久磁石MAG1の各々と対向する位置に、凸部83が配置される。凸部83は、コア部材81と同様に純鉄等の強磁性体であり、接着剤等を用いてコア部材81に配置されてもよく、コア部材81と一体に形成されてもよい。なお、凸部83は、筒状部材71の半径方向の内側を向いた磁極の永久磁石MAG3の各々と対向する位置に配置されてもよい。
コイルCLは、電源30から供給される電力に応じた磁束を発生し、コア部材81と凸部83とを着磁する。これにより、コイルCLで発生した磁束は、凸部83を介して永久磁石MAGと間で電磁力が発生する。コイルCLで発生した磁束と永久磁石MAGとの電磁力については、図3で説明する。
感温磁性体82は、温度に応じて透磁率が変化する磁性体であり、例えば、磁性がなくなるキュリー温度が常温等に設定された鉄とニッケルとの合金等である。感温磁性体82には、永久磁石MAGのうち筒状部材71の半径方向の内側を向いた磁極の永久磁石MAG3の磁束が内部を通り、隣接する外側を向いた磁極の永久磁石MAG1へと出て行く磁気回路が形成される。これより、可動子70は、永久磁石MAGと感温磁性体82とが接する面に平行なZ軸方向の磁力が発生する。
なお、図2(a)に示したアクチュエータ40のように、永久磁石MAGが感温磁性体82に対して正のZ軸方向に変位している場合、永久磁石MAGと感温磁性体82との磁力は、負のZ軸方向に発生する。一方、永久磁石MAGが感温磁性体82に対して負のZ軸方向に変位している場合、永久磁石MAGと感温磁性体82との磁力は、正のZ軸方向に発生する。
そして、アクチュエータ40は、永久磁石MAGと感温磁性体82との磁力と、永久磁石MAGと鉄等の凸部83との間の磁力(正のZ軸方向)と、コイルCLの磁束と永久磁石MAGとの電磁力(正のZ軸方向)とにより、対象物OBJの重さと任意の位置で均衡させる。以下では、永久磁石MAGと感温磁性体82との磁力と、永久磁石MAGと凸部83との磁力との合力は、“バイアス力”とも称される。
なお、感温磁性体82は、永久磁石MAGと対向して周方向に配置されるため、永久磁石MAGから見た感温磁性体82の磁気抵抗は、可動子70の変位によらず一定となる。すなわち、バイアス力は、可動子70の変位によらず一定の値を示しバックドライバビリティを有する。そして、バイアス力は、温度が一定の場合、可動子70の変位によらず一定であるため、アクチュエータ40の上面に搭載される対象物OBJの重さと、コイルCLの磁束と永久磁石MAGとの間の電磁力とを、連続的に均衡させることができる。また、均衡した状態で、コイルCLの磁束と永久磁石MAGとの間の電磁力を変化させることで、アクチュエータ40は、可動子70の位置を任意の位置に変位させることができ、平面部材50からの振動を抑制できる。
また、感温磁性体82は、電源30からの電力でコイルCLが駆動することにより発生する熱で加熱され磁性が変化し、バイアス力が変化する。これにより、アクチュエータ40は、対象物OBJの重さに応じて感温磁性体82の温度を変えることにより、様々な重さの対象物OBJとバイアス力とを任意の位置で連続的に均衡させることができる。
なお、永久磁石MAG、コイルCL、感温磁性体82および凸部83のZ軸方向の長さは、例えば、要求される可動子70の可動範囲の2倍等に決定されるのが好ましい。
底板84は、銅等の金属の板部材であり、金属部材60を介して、平面部材50上にアクチュエータ40が固定される。
図3は、図2に示したアクチュエータ40の動作の一例を示す。図3は、図2(a)と同様に、アクチュエータ40のXZ平面の断面を示す。
例えば、制御装置10は、バイアス力が対象物OBJの重さと均衡している場合、図3に示すように、一点破線で示した磁束MFをコイルCLに発生するように、電源30に対して電力をコイルCLに供給させる。これにより、凸部83は、N極に磁化し、凸部83に対向する筒状部材71の内側の面は、S極に磁化する。これにより、凸部83に対向する筒状部材71の内側の面と凸部83とは、永久磁石MAG1の極性(筒状部材71の半径方向の外側の向き)と逆向きの極性を有する。すなわち、凸部83に対向する永久磁石MAG1は、正のZ軸方向の電磁力を受け、図3に示すように、可動子70は、正のZ軸方向に変位する。そして、可動子70は、バイアス力および対象物OBJの重さと、電磁力とが釣り合う位置で停止する。すなわち、アクチュエータ40は、対象物OBJを任意の位置で保持することができる。
そして、制御装置10は、センサ20により検出された振動を抑制するために、検出された振動と逆位相でアクチュエータ40を振動させるように、電源30に対してコイルCLに供給する電力を制御する。そして、アクチュエータ40は、対象物OBJを任意の位置で保持しつつ、平面部材50からの振動を抑制する。
以上、図1から図3に示した実施形態では、アクチュエータ40は、可動子70に配置された永久磁石MAGと固定子80のコイルCLに発生する磁束との間の電磁力と、バイアス力とを用いて、対象物OBJを任意の位置で均衡させる。そして、感温磁性体82が永久磁石MAGと対向して周方向に配置されるため、永久磁石MAGに対する感温磁性体82の磁気抵抗は、可動子70の変位によらず一定となる。すなわち、バイアス力は、可動子70の変位によらず一定の推力を示しバックドライバビリティを有する。このため、バイアス力は、温度が一定の場合、アクチュエータ40の上面に搭載される対象物OBJの重さと、コイルCLの磁束と永久磁石MAGとの間の電磁力とを連続的に均衡させることができ、アクチュエータ40は、大きな推力を連続的に発生できる。
また、バイアス力と対象物OBJの重さとが均衡した状態で、コイルCLの磁束と永久磁石MAGとの間の電磁力を変化させることにより、アクチュエータ40は、可動子70の位置を任意の位置に変位させることができる。これにより、アクチュエータ40は、コイルCLの磁束と永久磁石MAGとの間の電磁力による高速かつ高応答性を有し、高効率に平面部材50からの振動を抑制できる。また、アクチュエータ40は、バイアス力を用いることから、コイルCLで消費される電力を抑制できる。
また、アクチュエータ40は、永久磁石MAG、感温磁性体82およびコイルCLがそれぞれ円筒状に配置されることにより、永久磁石MAGを感温磁性体82とコイルCLとで共用してバイアス力と電磁力とを発生させることができる。これにより、アクチュエータ40は、小型化できる。
また、アクチュエータ40は、永久磁石MAGのうち、筒状部材71の半径方向の内側を向いた磁極の一部の永久磁石MAG3と対向する位置に、永久磁石MAG3と同じ磁極の永久磁石がコア部材81に配置されてもよい。
図4は、図2に示したアクチュエータ40において、一部の永久磁石MAG3と対向する位置に、永久磁石MAG3と同じ磁極の永久磁石EMGがコア部材81に配置される一例を示す。図4は、図2(b)と同様に、アクチュエータ40を正のZ軸方向から見たXY平面の断面を示す。
永久磁石EMGは、6つの永久磁石MAG3のうち3つの永久磁石MAG3と対向する位置のコア部材81に配置される。この場合、バイアス力は、永久磁石MAGと感温磁性体82との磁力と、永久磁石MAGと凸部83との磁力と、永久磁石MAGと永久磁石EMGとの磁力との合力である。これにより、コイルCLに電力が供給されていない場合で、感温磁性体82の温度が低い場合でも、アクチュエータ40は、バイアス力と対象物OBJの重さとの間で均衡させることができる。そして、アクチュエータ40は、永久磁石EMGがない場合と比べて少ない電力で可動子70を変位させることができ、コイルCLで消費される電力を抑制できる。
図5は、アクチュエータおよび防振システムの別の実施形態を示す。図1で説明した要素と同一または同様の機能を有する要素については、同一または同様の符号を付し、これらについては、詳細な説明を省略する。
図5に示した防振システムSYS1は、制御装置10、センサ20、電源30およびアクチュエータ40aを有する。
図6は、図5に示したアクチュエータ40aの一例を示す。図6(a)は、アクチュエータ40aを横から見たXZ平面の断面を示す。図6(b)は、アクチュエータ40を正のZ軸方向から見たXY平面の断面を示す。
図6に示すように、アクチュエータ40aは、図1に示したアクチュエータ40と同様に、筒状部材71の内側に永久磁石MAGが周方向に配置された可動子70を有する。また、アクチュエータ40aは、コア部材81と、コア部材81の一部に内側から順に配置された熱回路HT、コイルCLおよび感温磁性体82と、底板84と、6つの凸部83と、天板85とを含む固定子80を有する。また、アクチュエータ40aは、図2の場合と同様に、銅等の熱伝導率が高い金属部材60を用いて、底板84と平面部材50とを接続し、平面部材50に設置される。なお、金属部材60を用いることなく、底板84と平面部材50とを接続し、アクチュエータ40aが平面部材50に設置されてもよい。なお、図6(b)では、天板85は省略されている。
筒状部材71は、図1の場合と同様に、鉄等の強磁性体であり、上面にセンサ20および対象物OBJが搭載される。
永久磁石MAGは、例えば、図2(b)の場合と同様に、磁極の向きが互いに異なる4つの永久磁石MAG1−MAG4を一組とする6つの組を用いて、ハルバッハ配列となるように筒状部材71の内側に周方向に配列される。なお、永久磁石MAG1−MAG4の組は、4以上の複数の組が筒状部材71の内側に配置されるのが好ましい。また、永久磁石MAGは、磁極が筒状部材71の半径方向の外側を向いた永久磁石MAG1と内側を向いた永久磁石MAG3とを一組とし、4以上の複数の組の永久磁石MAG1と永久磁石MAG3とが筒状部材71の内側の周方向に配置されてもよい。
コア部材81は、純鉄等の強磁性体であり、円柱状の形状を有する。図6(a)に示すように、コア部材81には、可動子70の永久磁石MAGと対向するように、熱回路HTが配置される。そして、コア部材81には、熱回路HTの外周にコイルCLおよび感温磁性体82が内側から順に配置される。また、コア部材81には、図1に示したアクチュエータ40と同様に、永久磁石MAGのうち筒状部材71の半径方向の外側を向いた磁極の永久磁石MAG1の各々と対向する位置に、凸部83が配置される。凸部83は、コア部材81と同様に純鉄等の強磁性体であり、接着剤等を用いてコア部材81に配置されてもよく、コア部材81と一体に形成されてもよい。なお、凸部83は、筒状部材71の半径方向の内側を向いた磁極の永久磁石MAG3の各々と対向する位置に配置されてもよい。
コイルCLは、電源30から供給される電力に応じた磁束を発生し、コア部材81と凸部83とを着磁する。これにより、コイルCLで発生した磁束は、凸部83を介して永久磁石MAGと間で電磁力が発生する。
感温磁性体82は、温度に応じて透磁率が変化する磁性体であり、例えば、磁性がなくなるキュリー温度が常温等に設定された鉄とニッケルとの合金等である。感温磁性体82には、永久磁石MAGのうち筒状部材71の半径方向の内側を向いた磁極の永久磁石MAG3の磁束が内部を通り、隣接する外側を向いた磁極の永久磁石MAG1へと出て行く磁気回路が形成される。これより、可動子70は、永久磁石MAGと感温磁性体82とが接する面に平行なZ軸方向の磁力が発生する。
なお、図6(a)に示したアクチュエータ40のように、永久磁石MAGが感温磁性体82に対して正のZ軸方向に変位している場合、永久磁石MAGと感温磁性体82との磁力は、負のZ軸方向に発生する。一方、永久磁石MAGが感温磁性体82に対して負のZ軸方向に変位している場合、永久磁石MAGと感温磁性体82との磁力は、正のZ軸方向に発生する。
底板84は、銅等の熱伝導率が高い金属の板部材であり、金属部材60を介して、平面部材50上にアクチュエータ40aが固定される。
天板85は、例えば、鉄等の金属の板部材であり、3つの支持部86を用いて配置される。なお、図6(a)に示すように、各支持部86は、感温磁性体82と天板85とを接続する。そして、天板85の凸部83と対向する面には、負のZ軸方向に向いた磁極の永久磁石MH1と、正のZ軸方向に向いた磁極の永久磁石MH2とを一対とする6組が、接着剤等を用いて、図6(b)に示すように配置される。なお、支持部86は、金属等と比べて熱伝導率が小さい素材であることが好ましい。
熱回路HTは、天板85に配置された6組の永久磁石MH1、MH2と協働して、コイルCLで発生した熱により加熱された感温磁性体82の温度を調整する。これにより、感温磁性体82の磁性が一定に保たれて、連続的に一定のバイアス力を出力することができ、対象物OBJの重さとバイアス力と電磁力とを均衡させることができる。そして、コイルCLの磁束と永久磁石MAGとの間の電磁力を高速に変化させることにより、平面部材50からの振動を抑制できる。熱回路HTの構造、および熱回路HTと6組の永久磁石MH1、MH2との動作については、図7で説明する。
6組の永久磁石MH1、MH2は、熱回路HTの動作を制御する制御部の一例である。6組の永久磁石MH1、MH2と熱回路HTとは、温度調整部の一例である。
なお、アクチュエータ40aは、熱回路HTと永久磁石MH1、MH2とを用いる代わりに、水等の液体や気体を感温磁性体82に直接噴霧する噴霧器等を用いて、感温磁性体82の温度を調整してもよい。
図7は、図6に示した固定子80の一例を示す。図7(a)は、正のZ軸方向から見た断熱(すなわち、感温磁性体82の加熱)時における固定子80のXY平面の断面を示す。図7(b)は、正のZ軸方向から見た放熱(すなわち、感温磁性体82の冷却)時における固定子80のXY平面の断面を示す。なお、図7では、固定子80のうち、コア部材81、熱回路HT、コイルCLおよび感温磁性体82を示す。また、図6(b)は、断熱時のアクチュエータ40aを示す。
図7に示すように、熱回路HTは、2つの円筒形のユニットU1、U2を有する。ユニットU1は、銅等の金属の筒状部材であり、接着剤等を用いてコア部材81の外周に配置される。そして、ユニットU1は、頭頂部が斜めに形成された銅等の金属の突起部H1を、ユニットU1の外周側に12個有する。また、各突起部H1の頭頂部には、熱伝導シートH2が配置される。
ユニットU2は、銅等の金属の筒状部材であり、ユニットU1の外周側に配置される。ユニットU2は、放熱時に熱伝導シートH2を介してユニットU1の突起部H1と接続され、感温磁性体82およびコイルCLの熱を伝導する銅等の金属の突起部H3をユニットU2の内周側に12個有する。そして、ユニットU2の外周側には、接着剤等を用いて、コイルCLおよび感温磁性体82が順に配置される。なお、突起部H1、H3の数および形状は、熱回路HTに対して要求される温度の調整能力、すなわち伝導する感温磁性体82およびコイルCLの熱量に応じて適宜決定されることが好ましい。
図7(a)に示すように、熱回路HTは、断熱時において、ユニットU1の突起部H1および熱伝導シートH2と、ユニットU2の突起部H3とが接続されていない状態に設定される。例えば、図3に示した磁束MFが発生するように、制御装置10は、コイルCLに電力を供給する制御指示を電源30に対して出力する。これにより、凸部83は、コイルCLに発生した磁束MFによりN極に磁化する。そして、N極に磁化した凸部83は、永久磁石MAGとの間で電磁力を発生するとともに、負のZ軸方向に向いた磁極の永久磁石MH1との間で電磁力を発生する。これにより、互いに接続されたコイルCL、感温磁性体82、ユニットU2および天板85は、時計回りに一体に回転する。そして、ユニットU1の突起部H1および熱伝導シートH2と、ユニットU2の突起部H3とは離れ、図7(a)に示した状態に設定される。
一方、図7(b)に示すように、熱回路HTは、放熱時において、ユニットU1の突起部H1および熱伝導シートH2と、ユニットU2の突起部H3とを接続する状態に設定される。例えば、制御装置10は、凸部83が断熱時においてN極に磁化しているため、図3の場合と逆向きの磁束をコイルCLに発生させるように、短い時間、コイルCLに電力を供給する制御指示を電源30に対して出力する。これにより、凸部83は、S極に磁化する。S極に磁化した凸部83は、永久磁石MAGとの間で電磁力を発生するとともに、正のZ軸方向に向いた磁極を有する永久磁石MH2との間で電磁力を発生する。そして、互いに接続されたコイルCL、感温磁性体82、ユニットU2および天板85は、反時計回りに一体に回転する。この結果、ユニットU1の突起部H1および熱伝導シートH2と、ユニットU2の突起部H3とは接続され、図7(b)に示した状態に設定される。その後、感温磁性体82およびコイルCLの熱は、熱回路HT、コア部材81、底板84および金属部材60を介して放熱される。
なお、熱回路HTは、図7に示した構造と異なる他の構造でもよく、熱回路HTに対して要求される温度の調整能力、すなわち伝導する感温磁性体82およびコイルCLの熱量に応じて適宜決定されることが好ましい。
以上、図5から図7に示した実施形態では、アクチュエータ40aは、可動子70に配置された永久磁石MAGと固定子80のコイルCLに発生する磁束との間の電磁力と、バイアス力とを用いて、対象物OBJを任意の位置で均衡させる。そして、感温磁性体82が永久磁石MAGと対向して周方向に配置されるため、永久磁石MAGに対する感温磁性体82の磁気抵抗は、可動子70の変位によらず一定となる。すなわち、バイアス力は、可動子70の変位によらず一定の推力を示しバックドライバビリティを有する。このため、バイアス力は、温度が一定の場合、アクチュエータ40aの上面に搭載される対象物OBJの重さと、コイルCLの磁束と永久磁石MAGとの間の電磁力とを連続的に均衡させることができ、アクチュエータ40aは、大きな推力を連続的に発生できる。
また、バイアス力と対象物OBJの重さとが均衡した状態で、コイルCLの磁束と永久磁石MAGとの間の電磁力を変化させることにより、アクチュエータ40aは、可動子70の位置を任意の位置に変位させることができる。これにより、アクチュエータ40aは、コイルCLの磁束と永久磁石MAGとの間の電磁力による高速かつ高応答性を有し、高効率に平面部材50からの振動を抑制できる。また、アクチュエータ40aは、バイアス力を用いることにより、コイルCLで消費される電力を抑制できる。
また、アクチュエータ40aは、熱回路HTおよび永久磁石MH1、MH2を有することにより、感温磁性体82の温度を一定に制御できる。これにより、アクチュエータ40aは、所望の温度におけるバイアス力を一定に制御でき、コイルCLで消費される電力を抑制できる。
また、アクチュエータ40aは、永久磁石MAG、感温磁性体82およびコイルCLがそれぞれ円筒状に配置されることにより、永久磁石MAGを感温磁性体82とコイルCLとで共用してバイアス力と電磁力とを発生させることができる。これにより、アクチュエータ40aは、小型化できる。
また、アクチュエータ40aは、図4の場合と同様に、永久磁石MAGのうち、筒状部材71の半径方向の内側を向いた磁極の一部の永久磁石MAG3と対向する位置に、永久磁石MAG3と同じ磁極の永久磁石EMGがコア部材81に配置されてもよい。この場合、バイアス力は、永久磁石MAGと感温磁性体82との磁力と、永久磁石MAGと凸部83との磁力と、永久磁石MAGと永久磁石EMGとの磁力との合力である。これにより、コイルCLに電力が供給されていない場合で、感温磁性体82の温度が低い場合でも、アクチュエータ40aは、バイアス力と対象物OBJの重さとの間で均衡させることができる。そして、アクチュエータ40aは、永久磁石EMGがない場合と比べて少ない電力で可動子70を変位させることができ、コイルCLで消費される電力を抑制できる。
以上の詳細な説明により、実施形態の特徴点および利点は明らかになるであろう。これは、特許請求の範囲が、その精神および権利範囲を逸脱しない範囲で前述のような実施形態の特徴点および利点にまで及ぶことを意図する。また、当該技術分野において通常の知識を有する者であれば、あらゆる改良および変更に容易に想到できるはずであり、発明性を有する実施形態の範囲を前述したものに限定する意図はなく、実施形態に開示された範囲に含まれる適当な改良物および均等物によることも可能である。
10…制御装置;20…センサ;30…電源;40,40a…アクチュエータ;50…平面部材;60…金属部材;70…可動子;71…筒状部材;80…固定子;81…コア部材;82…感温磁性体;83…凸部;84…底板;85…天板;86…支持部;CL…コイル;HT…熱回路;H1,H3…突起部;H2…熱伝導シート;MAG,MAG1−MAG4,EMG,HM1,MH2…永久磁石;OBJ…対象物;SYS,SYS1…防振システム
Claims (6)
- 複数の第1磁石と複数の第2磁石とが周方向に交互に配置され、前記複数の第1磁石の磁極は前記周方向と交差する半径方向の外側を向いて配置され、前記複数の第2磁石の磁極は前記半径方向の内側を向いて配置される可動子と、
前記可動子の内側に、温度に応じて透磁率が変化する磁性体とコイルとが同心円状に配置され、前記磁性体と前記コイルとが配置された位置と異なる位置で、前記複数の第1磁石および前記複数の第2磁石のいずれかと対向する位置の各々に凸部が配置された固定子と
を備えることを特徴とするアクチュエータ。 - 請求項1に記載のアクチュエータにおいて、
前記複数の第1磁石および前記複数の第2磁石は、ハルバッハ配列で前記周方向に配置されることを特徴とするアクチュエータ。 - 請求項1または請求項2に記載のアクチュエータにおいて、
前記固定子は、前記凸部が配置されなかった前記複数の第1磁石または前記複数の第2磁石の一部と対向する位置に、同じ極性を有する磁石が配置されることを特徴とするアクチュエータ。 - 請求項1ないし請求項3のいずれか1項に記載のアクチュエータにおいて、
前記固定子は、
前記磁性体の温度を調整する温度調整部をさらに備える
ことを特徴とするアクチュエータ。 - 請求項4に記載のアクチュエータにおいて、
前記温度調整部は、
前記コイルの内周に配置され、前記磁性体の熱を伝導する熱回路と、
前記熱回路を制御する制御部とをさらに備える
ことを特徴とするアクチュエータ。 - 複数の第1磁石と複数の第2磁石とが周方向に交互に配置され、前記複数の第1磁石の磁極は前記周方向と交差する半径方向の外側を向いて配置され、前記複数の第2磁石の磁極は前記半径方向の内側を向いて配置される可動子と、前記可動子の内側に、温度に応じて透磁率が変化する磁性体とコイルとが同心円状に配置され、前記磁性体と前記コイルとが配置された位置と異なる位置で、前記複数の第1磁石および前記複数の第2磁石のいずれかと対向する位置の各々に凸部が配置された固定子とを有するアクチュエータと、
前記アクチュエータに電力を供給する電源と、
前記アクチュエータに搭載された対象物における振動を検出するセンサと、
前記センサにより検出された前記振動を打ち消すように、前記電源が前記アクチュエータに供給する前記電力を制御する制御装置と
を備えることを特徴とする防振システム。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017027971A JP2018133961A (ja) | 2017-02-17 | 2017-02-17 | アクチュエータおよび防振システム |
Applications Claiming Priority (1)
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Publications (1)
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ID=63249869
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JP (1) | JP2018133961A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113597520A (zh) * | 2019-03-19 | 2021-11-02 | 集成动力工程股份有限公司 | 具有磁执行器的振动隔离系统及磁执行器 |
-
2017
- 2017-02-17 JP JP2017027971A patent/JP2018133961A/ja active Pending
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN113597520A (zh) * | 2019-03-19 | 2021-11-02 | 集成动力工程股份有限公司 | 具有磁执行器的振动隔离系统及磁执行器 |
CN113597520B (zh) * | 2019-03-19 | 2024-04-09 | 集成动力工程股份有限公司 | 具有磁执行器的振动隔离系统及磁执行器 |
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