(第1実施形態)
以下、本発明の実施形態について図に基づいて説明する。なお、以下の各実施形態相互において、互いに同一もしくは均等である部分には、図中、同一符号を付している。
<トルク検出装置10>
実施形態にかかるトルク検出装置10について、図面を参照しつつ説明する。図1に示すように、トルク検出装置10は、例えば、車両のステアリング操作を補助するための電動パワーステアリング装置20を備えたステアリングシステム100に用いられる。
ハンドル30は、ステアリングシャフト40と接続される。図2に示すように、ステアリングシャフト40は、ハンドル30と接続される第1軸としての入力軸41と、入力軸41に連結されるトーションバー42と、トーションバー42を介して入力軸41と連結される第2軸としての出力軸43を有する。
トーションバー42は、一端側が入力軸41に、他端側が出力軸43にそれぞれ固定ピン44により固定され、入力軸41と出力軸43とを同軸上に連結する。トーションバー42は、棒状の弾性部材であり、ステアリングシャフト40に加えられるねじれトルクに応じて、ねじれ変位し、弾性力を蓄える。図1に示すように、入力軸41と出力軸43との間には、トーションバー42(すなわち、ステアリングシャフト40)に加わるねじれトルクを検出するトルク検出装置10が設けられている。
出力軸43の先端には、ピニオンギヤ50が設けられており、ピニオンギヤ50はラック軸51にかみ合わされている。ラック軸51の両端には、タイロッド等を介して、一対の車輪52が連結されている。これにより、ドライバがハンドル30を回転させると、ハンドル30に接続されたステアリングシャフト40が回転する。ステアリングシャフト40が回転すると、ピニオンギヤ50によってラック軸51が左右方向に直線運動する。そして、ラック軸51の変位量に応じて、一対の車輪52が操舵される。
電動パワーステアリング装置20は、ドライバによるハンドル30の操舵を補助する補助トルクを出力するモータ21と、減速ギヤ22と、制御装置23等を備える。減速ギヤ22は、モータ21の回転を減速してステアリングシャフト40に伝達する。本実施形態では、コラムアシストタイプであるが、モータ21の回転をピニオンギヤ50に伝えるピニオンアシストタイプや、モータ21の回転をラック軸51に伝えるラックアシストタイプでもよい。制御装置23は、トルク検出装置10からねじれトルクを示す電圧信号を入力し、取得した電圧信号に応じてモータ21の駆動を制御する。
なお、以下では、単に軸方向と示した場合には、ステアリングシャフト40(入力軸41、トーションバー42、及び出力軸43も含む。以下同様)の軸方向のことを意味する。また、単に径方向と示した場合には、ステアリングシャフト40の径方向のことを意味し、単に周方向と示した場合には、ステアリングシャフト40の周方向のことを意味する。また、図では、ステアリングシャフト40の軸方向を矢印Zで示し、径方向を矢印Xで示し、周方向を矢印Yで示す。
図2に示すように、トルク検出装置10は、入力軸41に固定される磁石11と、出力軸43に固定される1対の磁気ヨーク12と、1対の磁気ヨーク12の間における磁束密度を検出する磁気センサ13等を備える。
<磁石11>
図3に示すように、磁石11は、硬磁性体により円筒状に形成される。磁石11は、N極とS極とが周方向に交互に着磁される。本実施形態では、周方向において、N極及びS極の数は、12対、計24極である。すなわち、磁石11は、N極とS極とが周方向に磁極ピッチに応じた所定角度(15度)ごとに交互に着磁される。磁石11の磁極数は、24極に限らず、偶数であればよい。また、磁石11は、軸方向においてN極とS極とが異なるように着磁される。すなわち、磁石11の着磁方向は、軸方向であるといえる。
この磁石11は、入力軸41に同軸上に固定される。例えば、図4に示すように、磁石11が、入力軸41から径方向外側に突出するように設けられている棒状の固定部材46を介して、入力軸41に固定される。固定部材46の一端は、磁石11の内周部分に固定され、他端は、入力軸41に固定される。
<磁気ヨーク12>
図5に示すように、1対の磁気ヨーク12は、軸方向において離間した状態で配置される。なお、1対の磁気ヨーク12を樹脂モールドすることによって、又は非磁性体のスペーサなどによって磁気ヨーク12間の配置が固定される。ここで、入力軸41側に配置される磁気ヨーク12を第1ヨーク121と示し、出力軸43側に配置される磁気ヨーク12を第2ヨーク122と示す。第1ヨーク121及び第2ヨーク122は、共に軟磁性体により環状に形成される。第1ヨーク121及び第2ヨーク122は、出力軸43に同軸上に固定される。例えば、図4に示すように、第1ヨーク121及び第2ヨーク122は、出力軸43に取り付けられた円環状の固定部材45を介して固定される。
第1ヨーク121は、円環状の環状部141と、環状部141の内縁に設けられた対向部としての爪部151と、爪部151よりも径方向外側に配置される壁部161とを備える。第2ヨーク122も同様に、円環状の環状部142と、環状部142の内縁に設けられた対向部としての爪部152と、爪部152よりも径方向外側に配置される壁部162とを備える。なお、第1ヨーク121と、第2ヨーク122は、対称となるように設けられている。
<環状部141,142>
まず、環状部141,142について説明する。図5及び図6に示すように、環状部141,142の内径は、磁石11の外径よりも大きく形成されている。環状部141,142は、磁石11と離間し、非接触とされている。図5に示すように、第1ヨーク121の環状部141の外径は、第2ヨーク122の環状部142の外径と同じである。図7(a)に示すように、第1ヨーク121の環状部141の内径と、第2ヨーク122の環状部142の内径は同じである。図7(a)は、図6のA−A線切断部端面図である。
図7に示すように、環状部141,142は、薄板状に形成され、軸方向に対して直交方向に延びるように設けられている。そして、軸方向において、第1ヨーク121の環状部141は、磁石11の入力軸41側における端面11aから所定距離離れて配置される。一方、軸方向において、第2ヨーク122の環状部142は、磁石11の出力軸43側における端面11bから所定距離離れて配置される。軸方向において、第1ヨーク121の環状部141から第2ヨーク122の環状部142までの距離d1は、磁石11の高さよりもわずかに長くなっている。
<爪部151,152>
次に、爪部151,152について説明する。図6に示すように、爪部151は、磁石11の極対数と同数(本実施形態では12)設けられている。爪部151は、環状部141の内縁に沿って等間隔に設けられる。つまり、爪部151は、磁石11の極対数に応じて所定角度ごと(30度ごと)に複数設けられている。なお、爪部152も同様に構成されている。爪部151,152の数は、磁石11の極対数と異なっていてもよい。
図5及び図7(b)に示すように、第1ヨーク121の爪部151と、第2ヨーク122の爪部152とは、周方向において同じ位置に配置されている。図7(b)は、図6のB−B線切断部端面図である。爪部151,152の詳細については、後述する。
<壁部161,162>
次に壁部161,162について説明する。図7に示すように、第1ヨーク121の壁部161の先端161aと、第2ヨーク122の壁部162の先端162aは、軸方向において離間している。そして、第1ヨーク121の壁部161の先端161aと、第2ヨーク122の壁部162の先端162aは、軸方向において、対向するように配置されている。
具体的には、第1ヨーク121の壁部161は、第1ヨーク121の環状部141の外縁から、軸方向において第2ヨーク122側に向かって延びるように形成されている。第1ヨーク121の壁部161は、環状部141に対して直交するように設けられている。また、図6の破線に示すように、第1ヨーク121の壁部161は、環状部141の全周に亘って設けられている。
第2ヨーク122の壁部162も同様に構成されている。すなわち、第2ヨーク122の壁部162は、図7に示すように、第2ヨーク122の環状部142の外縁から、軸方向において第1ヨーク121側に向かって延びるように形成されている。ただし、第2ヨーク122の壁部162は、その先端162aが第1ヨーク121に接触しないように設けられている。第2ヨーク122の壁部162は、環状部142に対して直交するように設けられている。また、第2ヨーク122の壁部162は、環状部142の全周に亘って設けられている。
軸方向において、第1ヨーク121の壁部161の長さと、第2ヨーク122の壁部162の長さは、同じ長さとなるように形成されている。本実施形態では、環状部141,142間の距離d1の半分よりも短く形成されている。また、環状部141,142の外径は同じに形成されており、かつ、同軸上に固定されている。このため、壁部161,162の先端161a,162aは、対向するように配置されることとなる。
軸方向において、第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162との間の距離d2は、磁気ヨーク12間のいずれの距離よりも短くなっている。例えば、距離d2は、周方向において、隣り合う爪部151,152間の距離よりも短い。このため、磁気ヨーク12の壁部161,162以外の部分から磁束が漏れることが抑制される。
<磁気センサ13>
第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162との間には、少なくとも1つの磁気センサ13が配置されている。磁気センサ13は、検出される磁束密度に応じた電圧信号を出力する。磁気センサ13としては、例えば、ホール素子、磁気抵抗素子などが使用される。
磁気センサ13は、軸方向において、第1ヨーク121の壁部161の先端161aと、第2ヨーク122の壁部162の先端162aとの間に配置される。すなわち、第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162は、磁気センサ13を挟んで両側に対向配置されている。本実施形態における磁気センサ13は、軸方向において、環状部141,142間の中心に配置される。この磁気センサ13は、軸方向における磁束密度を検出するように配置される。
<検出方法>
ここで、磁気センサ13によるねじれトルクの検出について説明する。まず、入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されていない場合、つまり、トーションバー42がねじれていない中立位置である場合について説明する。この場合、図6(b)に示すように、爪部151,152の中心がそれぞれ磁石11のN極とS極との境界に一致するように配置されている。
このとき、爪部151,152には、磁石11のN極及びS極から同数の磁力線が出入りする。このため、第1ヨーク121と第2ヨーク122の内部で、それぞれ磁力線が閉じられている。したがって、第1ヨーク121と、第2ヨーク122との間において、磁束が漏れることなく、磁気センサ13により検出される磁束密度は、ゼロとなる。
入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されて、トーションバー42にねじれ変位が生じると、磁石11と一対の磁気ヨーク12との相対位置が周方向に変位する。これにより、図6(a)と図6(c)に示すように、磁気ヨーク12に設けられた爪部151,152の中心と、磁石11のN極とS極との境界が一致しなくなるため、磁気ヨーク12には、N極又はS極の極性を有する磁力線が増加する。
この場合、第1ヨーク121と第2ヨーク122は、それぞれ逆の極性を有する磁力線が増加するので、それに応じて、第1ヨーク121と第2ヨーク122との間において検出される磁束密度が増加する。より詳しくは、磁石11に対して磁気ヨーク12との相対位置が周方向に変位した場合、第1ヨーク121の壁部161と、第2ヨーク122の壁部162との間には、軸方向において、ねじれ変位に応じた磁束密度が検出される。
そして、磁気センサ13により検出される磁束密度は、トーションバー42のねじれ変位量に略比例し、かつ、トーションバー42のねじれ方向に応じて極性が反転する。電圧信号の電圧は、磁束密度、すなわち、ねじれ変位量に略比例する。そして、ねじれトルクは、ねじれ変位量に比例するため、電圧信号の電圧も、ねじれトルクに比例することとなる。したがって、トルク検出装置10は、ねじれトルクに応じた電圧信号を出力することが可能となる。
ところで、第1ヨーク121の爪部151が、例えば、入力軸41側の端面11aにおけるN極に対向し、N極から磁力線を集めている場合には、第1ヨーク121は、入力軸41側の端面におけるS極と対向しないようにすることが望ましい。なぜなら、第1ヨーク121は、入力軸41側の端面におけるS極と対向すると、すなわち、第1ヨーク121とS極との距離が近いと、N極から集めた磁束(磁力線)が、S極へ漏れるからである。つまり、第1ヨーク121と近接するS極との間で磁力線が閉じるからである。このため、第1ヨーク121において、爪部151は、磁石11の極対数に対応させ、磁極の極性に合わせて、所定間隔(30度間隔)ごとに設けられている。
しかしながら、第1ヨーク121の爪部151が、入力軸41側の端面11aにおけるN極に対向する際、S極の影響を受けて、爪部151から入力軸41側の端面におけるS極へと磁束(磁力線)が少なからず漏れる。特に、対向する極性と異なる極性の磁極が近い場合には、磁束が漏れやすい。このため、磁気センサ13により検出される磁束密度が低下する要因となっていた。
さらに、軸方向において極性が異なるように着磁されている場合、出力軸43側の端面11bにも(入力軸41側の端面11aのS極と対となる)N極が存在することとなる。しかしながら、第1ヨーク121の爪部151が入力軸41側の端面11aのみと対向するように構成されていた場合、第1ヨーク121は、磁石11の端面11bにおけるN極から磁力線(磁束)を集めることができず、端面11bのN極から発生する磁力線が無駄となっていた。すなわち、爪部152間の磁極から発生する磁力線が無駄となっていた。なお、第1ヨーク121と第2ヨーク122は、対称に形成されるため、第2ヨーク122における状況も同様である。
そこで、各爪部151,152に、磁石11の着磁方向とされる軸方向において磁石11の一方側と対向する第1対向部分151a,152aと、他方側と対向する第2対向部分151b,152bと、を備えて、磁束の漏れを少なくするとともに、検出される磁束密度を向上させるようにした。以下、詳しく説明する。
図5に示すように、第1ヨーク121の爪部151は、磁石11の着磁方向とされる軸方向において、磁石11の一方側(磁石11の入力軸41側の端面11a)と対向する第1対向部分151aと、他方側(磁石11の出力軸43側の端面11b)と対向する第2対向部分151bと、を備える。
第2ヨーク122の爪部152も同様に、磁石11の着磁方向とされる軸方向において、磁石11の一方側(磁石11の出力軸43側の端面11b)と対向する第1対向部分152aと、他方側(磁石11の入力軸41側の端面11a)と対向する第2対向部分152bと、を備える。
第1対向部分151a,152aは、環状部141,142の内縁に設けられている。詳しくは、第1ヨーク121における第1対向部分151aは、磁石11の入力軸41側に配置されている。そして、第1ヨーク121における第1対向部分151aは、環状部141の内縁に沿って周方向において30度間隔で配置されている。すなわち、第1対向部分151aは、磁石11の磁極ピッチに応じて配置されている。
第2ヨーク122における第1対向部分152aは、磁石11の出力軸43側に配置されている。そして、第2ヨーク122における第1対向部分151aは、環状部142の内縁に沿って周方向において30度間隔で配置されている。すなわち、第1対向部分152aは、磁石11の磁極ピッチに応じて配置されている。
周方向において、第1ヨーク121における第1対向部分151aと、第2ヨーク122における第1対向部分152aは、同じ位置に配置される。すなわち、図7(b)に示すように、軸方向において、第1ヨーク121における第1対向部分151aと、第2ヨーク122における第1対向部分152aは、磁石11を挟んで対向するように設けられている。
また、第1対向部分151a,152aは、環状部141,142の内縁から、軸心に向かって径方向に沿って延びる棒状に形成されている。図7(b)に示すように、第1対向部分151a,152aの先端は、磁石11の内径よりも径方向内側に位置するように設けられている。径方向において、第1対向部分151a,152aは、磁石11の径方向における厚さよりも長く形成されている。
一方、図5に示すように、第1ヨーク121の第2対向部分151bは、磁石11の出力軸43側において、周方向において30度間隔で配置されている。第1ヨーク121の第2対向部分151bは、軸心から見て、周方向において第1ヨーク121の第1対向部分151aから15度ずれて配置されている。このため、磁石11の出力軸43側において、第2ヨーク122における第1対向部分152aの間に、第1ヨーク121の第2対向部分151bが配置されることとなる。すなわち、磁石11の出力軸43側において、第2ヨーク122における第1対向部分152aと、第1ヨーク121における第2対向部分151bが15度間隔で交互に配置されている。
第2ヨーク122の第2対向部分152bは、磁石11の入力軸41側において、周方向において30度間隔で配置されている。第2ヨーク122の第2対向部分152bは、軸心から見て、周方向において第2ヨーク122の第1対向部分152aから15度ずれて配置されている。このため、磁石11の入力軸41側において、第1ヨーク121における第1対向部分151aの間に、第2ヨーク122の第2対向部分152bが配置されることとなる。すなわち、磁石11の入力軸41側において、第1ヨーク121における第1対向部分151aと、第2ヨーク122における第2対向部分152bが15度間隔で交互に配置されている。
そして、第1ヨーク121の第1対向部分151aは、周方向において、入力軸41側から見て、当該第1対向部分151aから時計回りに15度ずれて配置されている第1ヨーク121の第2対向部分151bと連結されている。より詳しくは、第1ヨーク121において、第2対向部分151bの径方向内側における端部は、第1対向部分151aの径方向内側における端部と連結されている。具体的には、第1対向部分151aの端部(先端)から第2対向部分151bの端部(基端)に延びる棒状の連結部材151cが設けられている。連結部材151cは、軸方向に対して斜めに形成されている。
同様に、第2ヨーク122の第1対向部分152aは、周方向において、入力軸41側から見て、当該第1対向部分152aから反時計回りに15度ずれて配置されている第2ヨーク122の第2対向部分152bと連結されている。つまり、第2ヨーク122の第2対向部分152bは、周方向において、入力軸41側から見て、当該第2対向部分152bから時計回りに15度ずれて配置されている第2ヨーク122の第1対向部分152aと連結されている。より詳しくは、第2ヨーク122において、第2対向部分152bの径方向内側における端部は、第1対向部分152aの径方向内側における端部と連結されている。具体的には、第1対向部分152aの端部(先端)から第2対向部分152bの端部(基端)に延びる棒状の連結部材152cが設けられている。連結部材152cは、軸方向に対して斜めに形成されている。第1ヨーク121の連結部材151cと、第2ヨーク122の連結部材152cは、平行に設けられており、接触することはなく、距離も一定に保たれている。
図7(c)に示すように、第2対向部分151b,152bは、径方向に沿って直線状に延びる棒状に形成されている。その際、磁石11の端面11a,11bと、対向するように設けられている。また、第2対向部分151b,152bの先端(径方向外側端部)が磁石11の外縁よりも径方向において内側(軸心側)に位置するように、第2対向部分151b,152bの長さが設定されている。すなわち、第2対向部分151b,152bは、他の磁気ヨーク12と接触しないように設けられている。
なお、磁石11を固定する固定部材46は、第1ヨーク121の連結部材151cと、第2ヨーク122の連結部材152cとの間に配置されている。より詳しくは、固定部材46は、周方向において、第1ヨーク121の連結部材151cと、第2ヨーク122の連結部材152cとの中間に配置されている。
このように、第1ヨーク121において、爪部151は、磁石11の着磁方向とされる軸方向において、磁石11の一方側(端面11a)と対向する第1部分としての第1対向部分151aと、他方側(端面11b)と対向する第2部分としての第2対向部分151bを有する。そして、第1対向部分151aが対向する磁石11の極性と、第2対向部分151bが対向する磁石11の極性は同じとされている。すなわち、第1対向部分151aと第2対向部分151bは、軸心から見て、磁極の極性に応じて、周方向に15度ずれて配置されている。
極性が同じとは、周方向において、第1対向部分151aの中心が、N極とS極の境界からずれた場合には、第2対向部分151bの中心も、同様にN極とS極の境界からずれることを意味する。すなわち、第1対向部分151aの中心が、N極とS極の境界から変位した角度が、第2対向部分151bの中心が、N極とS極の境界から変位した角度と同じとなることを意味する。
これにより、第1対向部分151aが対向するN極とS極の面積割合が、第2対向部分151bが対向するN極とS極の面積の割合(比率)と、同じとなる。例えば、第1対向部分151aが対向するN極とS極の割合が、5対5であれば、第2対向部分151bが対向するN極とS極の割合も、5対5となる。また、第1対向部分151aが対向するN極とS極の割合が、7対3であれば、第2対向部分151bが対向するN極とS極の割合も、7対3となる。なお、第2ヨーク122の爪部152も、第1ヨーク121の爪部151と同様である。
このように設けられた第1対向部分151a,152aと第2対向部分151b,152bにより、どのように磁束が集められるかについて図8に基づき説明する。図8は、軸心から径方向外側に向かって磁石11及び磁気ヨーク12を見た様子を模式的に示した図である。図8の左右方向が、磁気ヨーク12の周方向に対応するように、図示している。
まず、入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されていない場合について説明する。この場合、図8(b)に示すように、爪部151の第1対向部分151aの中心と、第2対向部分151bの中心がそれぞれ磁石11のN極とS極との境界に一致するように配置される。それと共に、爪部152の第1対向部分152aの中心と、第2対向部分152bの中心がそれぞれ磁石11のN極とS極との境界に一致するように配置される。
このとき、爪部151,152には、磁石11のN極及びS極から同数の磁力線が出入りする。このため、第1ヨーク121と第2ヨーク122の内部で、それぞれ磁力線が閉じられている。したがって、第1ヨーク121と、第2ヨーク122との間に磁束が漏れることなく、磁気センサ13が検出する磁束密度は、ゼロとなる。
次に、入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されて、トーションバー42にねじれ変位が生じ、磁石11と一対の磁気ヨーク12との相対位置が周方向に変位した場合について説明する。この場合、磁気ヨーク12に設けられた爪部151,152の中心と、磁石11のN極とS極との境界が一致しなくなる。これにより、磁気ヨーク12には、N極又はS極の極性を有する磁力線が増加する。その際、第1対向部分151aが対向する磁石11の極性と、第2対向部分151bが対向する磁石11の極性は同じとなっているため、第1対向部分151aと第2対向部分151bとは、同じ割合でN極(又はS極)の極性を有する磁力線が増加する。
例えば、図8(a)においては、第1ヨーク121の第1対向部分151aと第2対向部分151bが、N極と対向し、第2ヨーク122の第1対向部分152aと第2対向部分152bが、S極と対向している。このため、第1ヨーク121においてはN極の極性を有し、第2ヨーク122においてはS極の極性を有することとなる。
一方、図8(c)においては、第1ヨーク121の第1対向部分151aと第2対向部分151bが、S極と対向し、第2ヨーク122の第1対向部分152aと第2対向部分152bが、N極と対向している。このため、第1ヨーク121においてはS極の極性を有し、第2ヨーク122においてはN極の極性を有することとなる。
このように、第1ヨーク121と第2ヨーク122は、それぞれ逆の極性を有する磁力線が増加するので、それに応じて、第1ヨーク121と第2ヨーク122との間における磁束密度が増加する。第1ヨーク121は、磁石11の着磁方向において、磁石11の両側におけるN極(又はS極)からN極(又はS極)の極性を有する磁力線を集める。その一方、第2ヨーク122は、磁石11の両側におけるS極(又はN極)からS極(又はN極)の極性を有する磁力線を集める。このため、磁石11の着磁方向においていずれか一方側のN極(又はS極)からのみ磁力線を集める場合と比較して、磁気ヨーク12間の磁束密度をより高くすることが可能となる。
また、周方向において、第1対向部分151a,152a間には、第2対向部分151b、152bが配置されている。そして、第2対向部分151b、152bが対向する磁石11の磁極の極性は、隣接する第1対向部分151a、152aが対向する磁極の極性とは異なっている。つまり、図8(a)や図8(c)に示すように、第1対向部分151aが対向する磁石11の磁極の極性は、隣接する第2対向部分152bが対向する磁極の極性とは異なっている。同様に、第1対向部分152aが対向する磁石11の磁極の極性は、隣接する第2対向部分151bが対向する磁極の極性とは異なっている。そして、第2対向部分151b、152bが、第1対向部分151a、152aが対向する磁極と隣接する磁極から磁力線(磁束)を集めるため、第1対向部分151a、152aが対向する磁極から集めた磁力線が、隣接する異なる極性を有する磁極へ漏れることを抑制する。
上記構成により、以下の効果を奏する。
第1ヨーク121において、爪部151は、着磁方向とされる軸方向において磁石11の一方側の端面11aと対向する第1対向部分151aと、他方側の端面11bと対向する第2対向部分151bとを有する。そして、第1対向部分151aが対向する磁極の極性と、第2対向部分151bが対向する磁極の極性は同じとなっている。これにより、第1ヨーク121は、その爪部151により着磁方向における磁石11の両側のN極(又はS極)から、磁束を集めることができる。第2ヨーク122も第1ヨーク121と同様に構成されているため、第2ヨーク122は、その爪部152により着磁方向における磁石11の両側のS極(又はN極)から、磁束を集めることができる。
また、磁石11の着磁方向の両側において、第1ヨーク121の爪部151は、同じ極性を有する磁極に対向している。第2ヨーク122の爪部152も同様である。このため、磁石11の一方側の磁極のみと対向する場合(片側から磁束を集める場合)と比較して、第1対向部分151a,152a又は第2対向部分151b,152bと対向していない磁極の数を減らすことができる。これにより、磁気ヨーク12に集めた磁束が、爪部151,152と対向していない磁極へ漏れることを抑制することができる。以上のことから、一対の磁気ヨーク間において検出される磁束密度を高め、ねじれトルクに応じて変化しやすくすることができる。このため、ねじれトルクの検出精度を向上させることができる。
一対の磁気ヨーク12のうち、第1ヨーク121に設けられている第1対向部分151aと、第2ヨーク122に設けられている第2対向部分152bは、軸を中心として周方向において所定角度(15度)ごとに交互に配置されている。同様に、一対の磁気ヨーク12のうち、第2ヨーク122に設けられている第1対向部分152aと、第1ヨーク121に設けられている第2対向部分151bは、軸を中心として周方向において所定角度(15度)ごとに交互に配置されている。これにより、周方向において、第1対向部分151a,152a間には、第2対向部分151b、152bが配置されることとなる。そして、第2対向部分151b、152bが対向する磁石11の磁極の極性は、隣接する第1対向部分151a、152aが対向する磁極の極性とは異なっている。このため、第2対向部分151b、152bが、第1対向部分151a、152aが対向する磁極と隣接する磁極から磁力線を集めることとなり、第1対向部分151a、152aが集めた磁力線が、隣接する磁極へ漏れることを抑制することができる。
磁石11の着磁方向とされる軸方向において、磁石11の各端面11a,11bに対向する第1対向部分151a及び第2対向部分151bが連結されている。このため、第1ヨーク121は、磁石11の両側における同じ極性を有する磁極から磁力線を集めることができる。第2ヨーク122も同様である。このため、第1ヨーク121と第2ヨーク122との間における磁束密度の変化量を大きくし、ねじれトルクに応じて変化しやすくすることができる。
爪部151の第1対向部分151aと連結される第2対向部分151bは、入力軸41側から見て、軸を中心にして時計回り所定角度(15度)ずれて配置されている。このため、連結部材151cの長さを極力短くすることができ、また、簡単な形状とすることができる。
磁石11の各磁極に対して、第1対向部分151a,152a及び第2対向部分151b,152bのいずれかが対向するように配置されている。このため、磁石11の各磁極から磁束を集めると同時に、第1対向部分151a,152a又は第2対向部分151b,152bと対向してない磁極をなくすことができる。これにより、磁束の漏れを少なくし、磁束密度を高めることができる。
一対の磁気ヨーク12は、非磁性体のスペーサ又はモールドにより磁気ヨーク12間の位置が固定されている。このため、トルク検出装置10を組み立てる場合、簡単に行うことができる。
一対の磁気ヨーク12は、それぞれ一方の磁気ヨーク12側から他方の磁気ヨーク12側に延びるように設けられ、磁気センサ13を挟んで両側に対向配置される壁部161,162を、備える。壁部161,162により、磁気ヨーク12間の距離を小さくし、磁束の漏れを少なくして、検出される磁束密度を高めることができる。
(第2実施形態)
第2実施形態のトルク検出装置10は、入力軸41に固定される磁石210と、出力軸43に固定される磁気ヨーク12と、磁気ヨーク12における磁束密度を検出する磁気センサ231,232等を備え、磁気ヨーク12の形状等を変更している。以下、図9〜図15に基づき、詳しく説明する。
<磁石210>
図9に示すように、第2実施形態の磁石210は、N極とS極とが周方向に所定角度(15度)ごとに交互に着磁される。また、磁石210は、径方向においてN極とS極とが異なるように着磁される。すなわち、磁石210の着磁方向は、径方向であるといえる。この磁石210は、例えば、固定部材46を介して、入力軸41に同軸上に固定される。
<磁気ヨーク12>
図10に示すように、第2実施形態の磁気ヨーク12は、第1ヨーク221〜第4ヨーク224の4つの部分から構成されている。具体的には、軸方向において、磁石210の入力軸41側の端面210aから所定距離離れた位置には、第1ヨーク221及び第2ヨーク222が配置される。また、軸方向において、磁石210の出力軸43側の端面210bから所定距離離れた位置には、第3ヨーク223及び第4ヨーク224が配置される。
第1ヨーク221〜第4ヨーク224は、非磁性体のスペーサ等によってその配置が固定される。なお、第1ヨーク221〜第4ヨーク224を樹脂モールドすることによって、配置を固定してよい。第1ヨーク221〜第4ヨーク224は、共に軟磁性体により環状に形成され、例えば、出力軸43に取り付けられた円環状の固定部材45を介して、出力軸43に同軸上に固定される。
図10に示すように、第1ヨーク221は、円環状の環状部241と、軸方向に沿って延びるように設けられた爪部251とを備える。第2ヨーク222は、円環状の環状部242と、軸方向に沿って延びるように設けられた爪部252とを備える。第3ヨーク223は、円環状の環状部243と、軸方向に沿って延びるように設けられた爪部253とを備える。第4ヨーク224は、円環状の環状部244と、軸方向に沿って延びるように設けられた爪部254とを備える。
<環状部241〜244>
環状部241〜244について説明する。図10及び図11に示すように、第1ヨーク221の環状部241の内径は、磁石210の内径よりも大きく形成されており、かつ、磁石210の外径よりも小さく形成されている。また、第1ヨーク221の環状部241の外径は、磁石210の外径よりも大きく形成されている。なお、第1ヨーク221の環状部241は、第3ヨーク223の環状部243と同じ形状とされている。
一方、第2ヨーク222の環状部242の内径は、磁石210の内径よりも小さく形成されている。また、第2ヨーク222の環状部242の外径は、磁石210の外径よりも小さく形成されており、かつ、磁石210の内径よりも大きく形成されている。なお、第2ヨーク222の環状部242は、第4ヨーク224の環状部244と同じ形状とされている。図12に示すように、環状部241〜244は、薄板状に形成され、軸方向に対して直交方向に延びるように設けられている。
そして、図10及び図11に示すように、第1ヨーク221の環状部241の内径は、第2ヨーク222の環状部242の外径よりも大きく形成されている。第1ヨーク221の環状部241は、第2ヨーク222の環状部242と同軸上に配置されており、軸方向における位置が同じとされている。すなわち、環状部241と環状部242は、軸方向において磁石210からそれぞれ所定距離ずつ離れて配置されており、環状部241の径方向内側に、環状部242が配置されている。なお、第3ヨーク223の環状部243と、第4ヨーク224の環状部244も同様である。また、各環状部241〜244の径方向における長さ(幅)は、同じとされている。また、各環状部241〜244の軸方向における厚さは、同じとされている。
<爪部251〜254>
次に、爪部251〜254について説明する。爪部251〜254は、それぞれ磁石210の周方向における極対数と同数(本実施形態では12)設けられている。図10に示すように、第1ヨーク221の爪部251は、環状部241の外縁に沿って等間隔に設けられる。第3ヨーク223の爪部253は、環状部243の外縁に沿って等間隔に設けられる。一方、第2ヨーク222の爪部252は、環状部242の内縁に沿って等間隔に設けられる。第4ヨーク224の爪部254は、環状部244の内縁に沿って等間隔に設けられる。各爪部251〜254は、磁石210の磁極ピッチに応じて30度毎に設けられている。なお、爪部251〜254の数は、磁石210の周方向における極対数と異なっていてもよい。
図10に示すように、第1ヨーク221の爪部251と、第3ヨーク223の爪部253とは、周方向に交互に配置されている。つまり、第1ヨーク221の爪部251と、第3ヨーク223の爪部253とは、所定角度(本実施形態では15度)ずつずれて配置されている。
同様に、第2ヨーク222の爪部252と、第4ヨーク224の爪部254とは、周方向に交互に配置されている。つまり、第2ヨーク222の爪部252と、第4ヨーク224の爪部254とは、所定角度(本実施形態では15度)ずつずれて配置されている。
また、図12(a)に示すように、第1ヨーク221の爪部251と、第2ヨーク222の爪部252とは、径方向において磁石11を挟んで対向するように配置されている。すなわち、軸心から見て、第1ヨーク221の爪部251と、第2ヨーク222の爪部252とは、周方向において同じ位置となるように配置されている。
同様に、図12(b)に示すように、第3ヨーク223の爪部253と、第4ヨーク224の爪部254とは、径方向において磁石11を挟んで対向するように配置されている。すなわち、軸心から見て、第3ヨーク223の爪部253と、第4ヨーク224の爪部254とは、周方向において同じ位置となるように配置されている。
図10に示すように、これらの爪部251〜254は、軸方向に沿って延びるように形成されており、爪部251,253は、磁石11の外周側と対向し、爪部252,254は、磁石11の内周側と対向するように設けられている。第1ヨーク221の爪部251と、第3ヨーク223の爪部253は、先端の方が基端(根本)よりも周方向における幅が狭くなるように形成されている。一方、第2ヨーク222の爪部252と、第4ヨーク224の爪部254は、先端まで周方向における幅がほぼ等しく、四角柱状に形成されている。
各爪部251〜254は、他の磁気ヨーク12と接触しないように設けられている。径方向において、第1ヨーク221の内縁から第2ヨーク222の外縁までの距離d3は、第1ヨーク221と第3ヨーク223との間の距離(例えば、爪部251の先端から第3ヨーク223の環状部243までの距離d4)と比較して短く形成されている。同様に、径方向において、第1ヨーク221の内縁から第2ヨーク222の外縁までの距離d3は、第2ヨーク222と第4ヨーク224との間の距離(例えば、爪部252の先端から第4ヨーク224の環状部244までの距離d5)と比較して短く形成されている。また、径方向において、第1ヨーク221の内縁から第2ヨーク222の外縁までの距離d3は、第3ヨーク223の内縁から第4ヨーク224の外縁までの距離d3と等しい。
このように、爪部251は、着磁方向とされる径方向において磁石210の一方側(外側)に配置され、爪部254は、磁石210の他方側(内側)に配置されている。そして、爪部251が対向する磁極の極性と、爪部254が対向する磁極の極性は同じとされている。爪部253は、着磁方向とされる径方向において磁石210の一方側(外側)に配置され、爪部252は、磁石210の他方側(内側)に配置されている。そして、爪部253が対向する磁極の極性と、爪部252が対向する磁極の極性は同じとされている。第1ヨーク221と第4ヨーク224の組み合わせと、第2ヨーク222と第3ヨーク223の組み合わせとが対(対称)となってなり、一対の磁気ヨーク12となっている。また、爪部251が一方の磁気ヨークにおける第1部分に相当し、爪部254が一方の磁気ヨークにおける第2部分に相当する。また、爪部253が他方の磁気ヨークにおける第1部分に相当し、爪部252が他方の磁気ヨークにおける第2部分に相当する。
<磁気センサ231,232>
第1ヨーク221の内縁と、第2ヨーク222の外縁との間には、第1磁気センサ231が配置されている。また、第3ヨーク223の内縁と、第4ヨーク224の外縁との間には、第2磁気センサ232が配置されている。第1磁気センサ231は、径方向における磁束密度を検出するように配置され、第2磁気センサ232は、径方向における磁束密度を検出するように配置される。
<検出方法>
ここで、ねじれトルクの検出について図13に基づき説明する。図13(a)〜(c)は、磁気ヨーク12を径方向外側から見た場合の様子を模式的に示し、図13(d)〜(f)は、磁気ヨーク12を径方向内側から見た場合の様子を模式的に示す。なお、図13(a)と図13(d)を対応させ、図13(b)と図13(e)を対応させ、図13(c)と図13(f)を対応させている。
まず、入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されていない場合について説明する。この場合、図13(b)及び図13(d)に示すように、各爪部251〜254の中心がそれぞれ磁石210のN極とS極との境界に一致するように配置されている。
このとき、各爪部251〜254には、磁石210のN極及びS極から同数の磁力線が出入りする。このため、第1磁気センサ231により検出される磁束密度V1は、ゼロとなる。同様に、第3ヨーク223と、第4ヨーク224との間に磁束が漏れることなく、第2磁気センサ232により検出される磁束密度V2は、ゼロとなる。
次に、入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されて、トーションバー42にねじれ変位が生じ、磁石11と一対の磁気ヨーク12との相対位置が周方向に変位した場合について説明する。この場合、磁気ヨーク12に設けられた爪部251〜254の中心と、磁石11のN極とS極との境界が一致しなくなる。これにより、第1ヨーク221〜第4ヨーク224には、N極又はS極の極性を有する磁力線が増加する。
その際、爪部251が対向する磁石11の極性と、爪部254が対向する磁石11の極性は同じとなっているため、爪部251と爪部254とは、同じ割合でN極(又はS極)の極性を有する磁力線が増加する。同様に、爪部252が対向する磁石11の極性と、爪部253が対向する磁石11の極性は同じとなっているため、爪部252と爪部253とは、同じ割合でS極(又はN極)の極性を有する磁力線が増加する。
例えば、図13(a)及び図13(d)に示すように、第1ヨーク221の爪部251が、N極と対向し、第2ヨーク222の爪部252が、S極と対向している。このため、第1ヨーク221においてはN極の極性を有し、第2ヨーク222においてはS極の極性を有することとなる。一方、第3ヨーク223の爪部253が、S極と対向し、第4ヨーク224の爪部254が、N極と対向している。このため、第3ヨーク223においてはS極の極性を有し、第4ヨーク224においてはN極の極性を有することとなる。
また、図13(c)及び図13(f)に示すように、第1ヨーク221の爪部251が、S極と対向し、第2ヨーク222の爪部252が、N極と対向している。このため、第1ヨーク221においてはS極の極性を有し、第2ヨーク222においてはN極の極性を有することとなる。一方、第3ヨーク223の爪部253が、N極と対向し、第4ヨーク224の爪部254が、S極と対向している。このため、第3ヨーク223においてはN極の極性を有し、第4ヨーク224においてはS極の極性を有することとなる。
このように、第1ヨーク221と第2ヨーク222は、それぞれ逆の極性を有する磁力線が増加するので、それに応じて、第1ヨーク221と第2ヨーク222との間における磁束密度V1が増加する。第1磁気センサ231は、この磁束密度V1を検出し、電圧信号に変換して出力する。
同様に、第3ヨーク223と第4ヨーク224は、それぞれ逆の極性を有する磁力線が増加するので、それに応じて、第3ヨーク223と第4ヨーク224との間における磁束密度V2が増加する。第2磁気センサ232は、この磁束密度V2を検出し、電圧信号に変換して出力する。なお、第1磁気センサ231により検出されるねじれトルクに応じた磁束密度V1は、第2磁気センサ232により検出されるねじれトルクに応じた磁束密度V2と同じ大きさとなるが、検出される磁束密度の方向は逆となる。
また、周方向において、第1ヨーク221の爪部251の間には、第3ヨーク223の爪部253が配置されている。そして、爪部253が対向する磁石11の磁極の極性は、隣接する爪部251が対向する磁極の極性とは異なっている。つまり、図13(a)や図13(c)に示すように、爪部251が対向する磁極の極性は、隣接する爪部253が対向する磁極の極性とは異なっている。そして、爪部253が、爪部251が対向する磁極と隣接する磁極から磁力線(磁束)を集めるため、爪部251が対向する磁極から集めた磁力線が、隣接する異なる極性を有する磁極へ漏れることを抑制する。
同様に、図13(d)や図13(f)に示すように、周方向において、第2ヨーク222の爪部252の間には、第4ヨーク224の爪部254が配置されている。このため、爪部254が、爪部252が対向する磁極と隣接する磁極から磁力線(磁束)を集め、爪部252が対向する磁極から集めた磁力線が、隣接する異なる極性を有する磁極へ漏れることを抑制する。
ところで、磁気センサ231,232を用いた場合、外部からの磁界ノイズの影響を受ける場合がある。磁界ノイズとしては、例えば、車両に搭載された電装品のオン・オフによるノイズ、高圧送電線によるノイズ、道路や周辺の道路から発生するノイズ等がある。これらの磁界ノイズの影響を抑えるために、磁界ノイズを遮断する磁気シールドにより磁気センサ231,232の周りを覆うという構成が考えられる。しかしながら、この場合、部品点数が多くなるうえに、トルク検出装置10の構成が複雑となる可能性がある。また、組み立てる際に、手間(工数)が多くなる可能性がある。
そこで、第2実施形態のトルク検出装置10では、第1磁気センサ231により検出された磁束密度V1と、第2磁気センサ232により検出された磁束密度V2に基づき、ねじれトルクに応じた磁束密度Vtを演算して抽出することとした。以下、詳しく説明する。
前述したように、第1ヨーク221と第3ヨーク223は対称に設けられており、第2ヨーク222と第4ヨーク224は対称に設けられている。このため、ねじれトルクが生じた場合、第1ヨーク221と第2ヨーク222との間で検出されるねじれトルクに応じた磁束密度V1(より詳しくは、磁束密度に応じた電圧信号の電圧。以下同じ)と、第3ヨーク223と第4ヨーク224との間で検出されるねじれトルクに応じた磁束密度V2は、同じ大きさとなるはずである。しかしながら、実際には、磁界ノイズの影響を受け、異なる大きさとなる。
例えば、図14に示すように、径方向外側から内側に向かう磁界ノイズ(磁力線)が存在する場合、第1ヨーク221から第2ヨーク222へ通過する磁束の磁束密度V1は、ねじれトルクに応じた磁束密度(Vt)に、磁界ノイズの磁束密度(Vn)を加算したもの(Vt+Vn)となる。なお、径方向外側から内側への方向(図14において右方向)を正として示す。
一方、径方向外側から内側に向かう磁界ノイズ(磁力線)が存在する場合、第3ヨーク223から第4ヨーク224へ通過する磁束の磁束密度V2は、ねじれトルクに応じた磁束密度(−Vt)に、磁界ノイズの磁束密度(Vn)を加算したもの(−Vt+Vn)となる。このため、検出される磁束密度V1,V2と、ねじれトルクの関係は、図15に示すようなものとなる。
そこで、磁束密度V1,V2を入力した制御装置23は、磁束密度V1から磁束密度V2を減算して算出した値を2で除算することにより({(Vt+Vn)−(−Vt+Vn)}/2)、ねじれトルクに応じた磁束密度Vtを抽出する。そして、制御装置23は、抽出した磁束密度Vtに基づき、ねじれトルクを判定する。この場合、制御装置23が、演算部として機能する。
上記構成により、以下の効果を奏する。
検出される磁束密度の方向が異なる第1磁気センサ231と、第2磁気センサ232がそれぞれ検出した複数の磁束密度V1,V2に基づき、ねじれトルクに応じた磁束密度Vtが演算されるようにした。すなわち、磁界ノイズに基づく磁束密度Vnは一方向であるため、磁気ヨーク12間の磁束密度を複数方向から検出し、複数方向の磁束密度V1,V2を比較することにより、ねじれトルクに基づく磁束密度Vtを抽出した。具体的には、制御装置23は、磁束密度V1から磁束密度V2を減算して算出した値を2で除算することにより({(Vt+Vn)−(−Vt+Vn)}/2)、磁束密度Vtを抽出した。これにより、外部からの磁界ノイズの影響を抑制し、ねじれトルクの検出精度を向上させることができる。
径方向(着磁方向)において磁石210の両側における各磁極から磁束をそれぞれ集めるため、片側の磁極のみから磁束を集める場合と比較して、各磁束密度V1,V2を高くすることができる。また、爪部251〜254と対向していない磁極の数を減らして、磁極へ磁束が漏れることを抑制することができる。以上のことから、ねじれトルクの検出精度を向上させることができる。
(第3実施形態)
第3実施形態のトルク検出装置10は、入力軸41に固定される磁石210と、出力軸43に固定される磁気ヨーク12と、磁気ヨーク12における磁束密度を検出する磁気センサ13等を備え、磁気ヨーク12の形状等を変更している。以下、図16〜図19に基づき、詳しく説明する。図9に示すように、第3実施形態の磁石210は、第2実施形態と同様に、径方向に着磁されている。
<磁気ヨーク12>
図16及び図17に示すように、第3実施形態の磁気ヨーク12は、第1ヨーク321及び第2ヨーク322から構成されている。具体的には、軸方向において、磁石210の出力軸43側の端面210bから所定距離離れた位置には、第1ヨーク321及び第2ヨーク322が配置される。なお、図16は、入力軸41側から磁気ヨーク12を見た時における斜視図である。図17は、出力軸43側から磁気ヨーク12を見た時における斜視図である。
第1ヨーク321及び第2ヨーク322は、非磁性体のスペーサ等によってその配置が固定される。なお、第1ヨーク321及び第2ヨーク322は、樹脂モールドすることによって、配置を固定してよい。第1ヨーク321及び第2ヨーク322は、共に軟磁性体により環状に形成され、例えば、出力軸43に取り付けられた円環状の固定部材45を介して、出力軸43に同軸上に固定される。
図16及び図17に示すように、第1ヨーク321は、円環状の環状部341と、軸方向に沿って延びるように設けられた爪部351とを備える。第2ヨーク322は、円環状の環状部342と、軸方向に沿って延びるように設けられた爪部352とを備える。
<環状部341,342>
環状部341,342について説明する。図18に示すように、第1ヨーク321の環状部341の内径は、磁石210の内径よりも大きく形成されており、かつ、磁石210の外径よりも小さく形成されている。また、第1ヨーク321の環状部341の外径は、磁石210の外径よりも大きく形成されている。
一方、第2ヨーク322の環状部342の内径は、磁石210の内径よりも小さく形成されている。また、第2ヨーク322の環状部342の外径は、磁石210の外径よりも小さく形成されており、かつ、磁石210の内径よりも大きく形成されている。環状部341,342は、薄板状に形成され、軸方向に対して直交方向に延びるように設けられている。
そして、図18に示すように、第1ヨーク321の環状部341の内径は、第2ヨーク322の環状部342の外径よりも大きく形成されている。第1ヨーク321の環状部341は、第2ヨーク322の環状部342と同軸上に配置されており、軸方向における位置が同じとされている。すなわち、環状部341と環状部342は、軸方向において磁石210からそれぞれ所定距離ずつ離れて配置されており、環状部341の径方向内側に、環状部342が配置されている。なお、磁気センサ13は、第1ヨーク321の内縁と、第2ヨーク322の外縁との間に配置される。
<爪部351,352>
次に、爪部351,352について説明する。爪部351,352は、それぞれ磁石210の周方向における極対数と同数(本実施形態では12)設けられている。図16及び図17に示すように、第1ヨーク321の爪部351は、環状部341の外縁に沿って等間隔に設けられる。一方、第2ヨーク322の爪部352は、環状部342の内縁に沿って等間隔に設けられる。各爪部351,352は、磁石210の磁極ピッチに応じて30度毎に設けられている。なお、爪部351,352の数は、磁石210の周方向における極対数と異なっていてもよい。
第1ヨーク321の爪部351は、磁石210の着磁方向とされる径方向において、磁石210の一方側(外側)と対向する第1対向部分351aと、他方側(内側)と対向する第2対向部分351bと、を備える。
第2ヨーク322の爪部352も同様に、磁石210の着磁方向とされる径方向において、磁石210の一方側(内側)と対向する第1対向部分352aと、他方側(外側)と対向する第2対向部分352bと、を備える。
第1対向部分351aは、環状部341の外縁に設けられている。そして、第1ヨーク321における第1対向部分351aは、環状部341の外縁に沿って周方向において30度間隔で配置されている。すなわち、第1対向部分351aは、磁石210の磁極ピッチに応じて配置されている。
第1対向部分352aは、環状部342の内縁に設けられている。そして、第2ヨーク322における第1対向部分352aは、環状部342の内縁に沿って周方向において30度間隔で配置されている。すなわち、第1対向部分352aは、磁石210の磁極ピッチに応じて配置されている。
周方向において、第1ヨーク321における第1対向部分351aと、第2ヨーク322における第1対向部分352aは、同じ位置に配置される。すなわち、図19(b)に示すように、径方向において、第1ヨーク321における第1対向部分351aと、第2ヨーク322における第1対向部分352aは、磁石210を挟んで対向するように設けられている。
また、第1対向部分351a,352aは、出力軸43側から入力軸41側に向かって軸方向に沿って延びる棒状に形成されている。第1対向部分351a,352aの先端は、磁石210の入力軸41側の端面よりも入力軸41側に位置するように設けられている。軸方向において、第1対向部分351a,352aは、磁石210の軸方向における高さよりも長く形成されている。
一方、図16及び図17に示すように、第1ヨーク321の第2対向部分351bは、磁石210の径方向内側(内周側)において、周方向に30度間隔で配置されている。第1ヨーク321の第2対向部分351bは、軸心から見て、周方向において第1ヨーク321の第1対向部分351aから15度ずれて配置されている。このため、磁石210の内側において、第2ヨーク322における第1対向部分352aの間に、第1ヨーク321の第2対向部分351bが配置されることとなる。すなわち、磁石210の内側において、第2ヨーク322における第1対向部分352aと、第1ヨーク321における第2対向部分351bが15度間隔で交互に配置されている。
第2ヨーク322の第2対向部分352bは、磁石210の外側において、周方向に30度間隔で配置されている。第2ヨーク322の第2対向部分352bは、軸心から見て、周方向において第2ヨーク322の第1対向部分352aから15度ずれて配置されている。このため、磁石210の外側において、第1ヨーク321における第1対向部分351aの間に、第2ヨーク322の第2対向部分352bが配置されることとなる。すなわち、磁石210の入力軸41側において、第1ヨーク321における第1対向部分351aと、第2ヨーク322における第2対向部分352bが15度間隔で交互に配置されている。
そして、第1ヨーク321の第1対向部分351aは、周方向において、入力軸41側から見て、当該第1対向部分351aから時計回りに15度ずれて配置されている第1ヨーク321の第2対向部分351bと連結されている。具体的には、第1対向部分351aの端部(先端)から第2対向部分351bの端部(基端)に延びる棒状の連結部材351cが設けられている。連結部材351cは、径方向に対して斜めに形成されている。
同様に、第2ヨーク322の第1対向部分352aは、周方向において、入力軸41側から見て、当該第1対向部分352aから反時計回りに15度ずれて配置されている第2ヨーク322の第2対向部分352bと連結されている。具体的には、第1対向部分352aの端部(先端)から第2対向部分352bの端部(基端)に延びる棒状の連結部材352cが設けられている。連結部材352cは、径方向に対して斜めに形成されている。
第2対向部分351b,352bは、軸方向に沿って直線状に延びる棒状に形成されている。その際、磁石210の外周及び内周と、それぞれ対向するように設けられている。また、第2対向部分351b,352bの先端(出力軸43側端部)が磁石210よりも軸方向において入力軸41側に位置するように、第2対向部分351b,352bの長さが設定されている。すなわち、第2対向部分351b,352bは、他の磁気ヨーク12と接触しないように設けられている。
このように、第1ヨーク321において、爪部351は、磁石210の着磁方向とされる径方向において、磁石210の一方側(外側)と対向する第1部分としての第1対向部分351aと、他方側(内側)と対向する第2部分としての第2対向部分351bを有する。そして、第1対向部分351aが対向する磁石210の極性と、第2対向部分351bが対向する磁石210の極性は同じとされている。なお、第2ヨーク322の爪部352も、第1ヨーク321の爪部351と同様である。
このように設けられた第1対向部分351a,352aと第2対向部分351b,352bにより、どのように磁束が集められるかについて図19に基づき説明する。
まず、入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されていない場合について説明する。この場合、図19(b)に示すように、爪部351の第1対向部分351aの中心と、第2対向部分351bの中心がそれぞれ磁石210のN極とS極との境界に一致するように配置される。それと共に、爪部352の第1対向部分352aの中心と、第2対向部分352bの中心がそれぞれ磁石210のN極とS極との境界に一致するように配置される。
このとき、爪部351,352には、磁石210のN極及びS極から同数の磁力線が出入りする。このため、第1ヨーク321と第2ヨーク322の内部で、それぞれ磁力線が閉じられている。したがって、第1ヨーク321と、第2ヨーク322との間に磁束が漏れることなく、磁気センサ13が検出する磁束密度は、ゼロとなる。
次に、入力軸41と、出力軸43との間にねじれトルクが印加されて、トーションバー42にねじれ変位が生じ、磁石210と一対の磁気ヨーク12との相対位置が周方向に変位した場合について説明する。この場合、磁気ヨーク12に設けられた爪部351,352の中心と、磁石210のN極とS極との境界が一致しなくなる。これにより、磁気ヨーク12には、N極又はS極の極性を有する磁力線が増加する。その際、第1対向部分351aが対向する磁石210の極性と、第2対向部分351bが対向する磁石210の極性は同じとなっているため、第1対向部分351aと第2対向部分351bとは、同じ割合でN極(又はS極)の極性を有する磁力線が増加する。
例えば、図19(a)においては、第1ヨーク321の第1対向部分351aと第2対向部分351bが、N極と対向し、第2ヨーク322の第1対向部分352aと第2対向部分352bが、S極と対向している。このため、第1ヨーク321においてはN極の極性を有し、第2ヨーク322においてはS極の極性を有することとなる。
一方、図19(c)においては、第1ヨーク321の第1対向部分351aと第2対向部分351bが、S極と対向し、第2ヨーク322の第1対向部分352aと第2対向部分352bが、N極と対向している。このため、第1ヨーク321においてはS極の極性を有し、第2ヨーク322においてはN極の極性を有することとなる。
このように、第1ヨーク321と第2ヨーク322は、それぞれ逆の極性を有する磁力線が増加するので、それに応じて、第1ヨーク321と第2ヨーク322との間における磁束密度が増加する。第1ヨーク321は、磁石210の着磁方向において、磁石210の両側におけるN極(又はS極)からN極(又はS極)の極性を有する磁力線を集める。その一方、第2ヨーク322は、磁石210の両側におけるS極(又はN極)からS極(又はN極)の極性を有する磁力線を集める。このため、磁石210の着磁方向においていずれか一方側のN極(又はS極)からのみ磁力線を集める場合と比較して、磁気ヨーク12間の磁束密度をより高くすることが可能となる。
また、周方向において、第1対向部分351a,352a間には、第2対向部分351b、352bが配置されている。そして、第2対向部分351b、352bが対向する磁石210の磁極の極性は、隣接する第1対向部分351a、352aが対向する磁極の極性とは異なっている。つまり、図19(a)や図19(c)に示すように、第1対向部分351aが対向する磁石210の磁極の極性は、隣接する第2対向部分352bが対向する磁極の極性とは異なっている。同様に、第1対向部分352aが対向する磁石210の磁極の極性は、隣接する第2対向部分351bが対向する磁極の極性とは異なっている。そして、第2対向部分351b、352bが、第1対向部分351a、352aが対向する磁極と隣接する磁極から磁力線(磁束)を集めるため、第1対向部分351a、352aが対向する磁極から集めた磁力線が、隣接する異なる極性を有する磁極へ漏れることを抑制する。上記構成により、第1実施形態と同様の効果を奏する。
(他の実施形態)
本発明は、上記実施形態に限定されず、例えば以下のように実施してもよい。なお、以下では、各実施形態で互いに同一又は均等である部分には同一符号を付しており、同一符号の部分についてはその説明を援用する。
・第1実施形態において、磁石11の着磁方向は、径方向であってもよい。すなわち、磁石11が、周方向において所定角度ごとに、磁極の極性が交互に入れ替わるとともに、径方向において磁極の極性が入れ替わるように着磁されていてもよい。この場合、磁石11の着磁方向に合わせて、爪部151,152の形状を任意に変更してもよい。すなわち、第1ヨーク121の爪部151の第1対向部分151aを、軸方向に沿って延びるように形成し、径方向において磁石11の一方側(例えば、外側)と対向させればよい。そして、第1ヨーク121の第2対向部分151bを、軸方向に沿って延びるように形成し、径方向において磁石11の他方側(例えば、内側)と対向させればよい。その際、第1対向部分151aと第2対向部分151bが同じ極性を有するように、軸心を中心として周方向に磁極ピッチに応じた所定角度ずれて配置されていることが望ましい。また、第1対向部分151aと、第2対向部分151bとを連結する連結部材を備えていてもよい。第2ヨーク122は、第1ヨーク121と同様に構成すればよい。
・上記実施形態において、すべての磁極に、対向する対向部を設けなくてもよい。例えば、一部の爪部を省略してもよい。
・上記実施形態において、磁石11は、円弧状であってもよい。
・上記第2実施形態において、磁気センサが配置される磁気ヨーク12間の間隔は、任意の場所に設けてもよい。例えば、図20に示すように、環状部241と環状部242と間に、径方向における磁束密度が検出される間隔を設け、爪部251と環状部243との間に、軸方向において磁束密度が検出される間隔を設けてもよい。そして、それぞれの間隔に磁気センサ231,232を設けてもよい。この場合、制御装置23は、検出される磁束密度の方向によって、演算方法を変更する必要がある。
・第2実施形態において、磁気センサが配置される磁気ヨーク12間の間隔を3つ以上設けてもよい。例えば、図21に示すように、環状部241〜244を軸方向において、2枚ずつ設けることにより、磁気センサ231,232が配置される磁気ヨーク12間の間隔を4つとしている。なお、図21において、環状部241と環状部243の外縁は、連結され、環状部242と環状部244の内縁は、連結されている。
・上記第2実施形態において、磁石210の着磁方向が軸方向であってもよい。すなわち、磁石210が、周方向において所定角度ごとに、磁極の極性が交互に入れ替わるとともに、軸方向において磁極の極性が入れ替わるように着磁されていてもよい。この場合、磁石210の着磁方向に合わせて、爪部251〜254を任意に変更してもよい。すなわち、第1ヨーク221の爪部251を、径方向に沿って延びるように形成し、軸方向において磁石210の一方側(例えば、入力軸41側)と対向させればよい。そして、第4ヨーク224の爪部254を、径方向に沿って延びるように形成し、軸方向において磁石210の他方側(例えば、出力軸43側)と対向させればよい。その際、爪部151と爪部254が同じ極性を有するように、軸心を中心として周方向に磁極ピッチに応じた所定角度ずれて配置されていることが望ましい。第2ヨーク222は、第4ヨーク224と同様に構成し、第3ヨーク223は、第1ヨーク221と同様に構成すればよい。
この場合、図22に示すように、環状部241,243を、磁石210の径方向外側に設け、環状部242,244を、磁石210の径方向内側に設けてもよい。その際、第1磁気センサ231は、径方向外側に設けられる第1ヨーク221と第3ヨーク223との間隔に配置される。また、第2磁気センサ232は、径方向内側に設けられる第2ヨーク222と第4ヨーク224との間隔に配置される。第1磁気センサ231により検出される磁束密度の方向と、第2磁気センサ232により検出される磁束密度の方向は、逆となる。このため、第2実施形態と同様にして、制御装置23は、ねじれトルクに応じた磁束密度の成分を演算することができる。
なお、図23に示すように、環状部241,242を、軸方向において磁石210の入力軸41側に設け、環状部243,244を、軸方向において磁石210の出力軸43側に設けてもよい。
・上記実施形態において、各磁気ヨークからの磁束を集める集磁リングを備え、前記磁気センサは、集磁リングにより集められた磁束の磁束密度を検出するようにしてもよい。例えば、図24に示すように、磁気ヨーク12間に一対の集磁部90を設け、磁気センサ13は、集磁部90間における磁束密度を検出してもよい。集磁部90は、図25(a)に示すように、入力軸41側から見た場合(平面視)において、リング状に形成されていてもよいし、図25(b)に示すように、円弧状に形成されていてもよい。また、図25(c)に示すように、直線状に形成されていてもよい。なお、径方向外側に突出する突出部90aに磁気センサ13が配置されることが望ましいが、突出部90aがなくてもよい。
・壁部161,162を環状部141,142に対して直交するように設けたが、直交しなくてもよい。また、例えば、図26に示すように、壁部161,162を設けなくてもよい。
・上記第1実施形態において、環状部141,142の外縁に壁部161,162を設けたが、外縁でなくてもよい。
・環状部141,142の全周に壁部161,162を設けたが、全周に設けなくてもよい。例えば、平面視円弧状の壁部161,162を設けてもよい。
・上記第1実施形態において、爪部151,152の形状や磁石と対向する面積を任意に変更してもよい。例えば、図27に示すように、第1対向部151a,152aの幅(周方向における幅)を、第2対向部151b,152bと比較して、広くしてもよい。また、第1対向部151a,152aが磁石11と対向する面積を、第2対向部151b,152bと比較して、広くしてもよい。