以下、本発明の一実施形態に係る読書灯を、図1から図12を参照して説明する。
図1は、本実施形態に係る読書灯1が設けられた座席Sを示す斜視図であり、図2は、読書灯1の斜視図であり、図3は、読書灯1の分解図であり、図4は、図3とは異なる方向からみた分解図であり、図5は、読書灯1が備える反射部材3の正面図である。図1において、Xは座席Sが設置された車両における前後方向を示し、Yは座席Sの幅方向(左右方向)を示し、Zは座席S及び車両の上下方向を示している。
座席Sは、例えば、鉄道車両、船舶、航空機等の客室に設置されるものであり、2台並んで配され、当該座席Sの前後方向にも同様の座席Sが同じ向きで複数配されている。座席Sは、着座者Uが着座する座面S2を有する座部S1と、座部S1の後端に支点を有するリクライニング装置を介して後傾角度を自在に調整し得るように設けられた背もたれ部S3と、背もたれ部S3の後方および両側方を覆うバックシェルS4と、着座者Uが例えば書籍などを広げるテーブルS5と、読書灯1と、を備えて構成されている。なお、着座者Uは、図6及び図7に示してある。
背もたれ部S3は、着座者が座席Sに着座してよりかかった際に、着座者の頭が配される位置にヘッドレストS7を備えている。バックシェルS4は、背もたれ部S3の両側方を覆う両側壁のうち、ヘッドレストS7の左右両側位置に、前方に張り出すように突設した2つの耳部S6を備えている。図1に示す座席Sの向かって右側の座席において、本実施形態の読書灯1は、着座者の左側の耳部S6の内側の面に設けられている。向かって左側の座席においては右側の耳部S6に設けられる(不図示)。このように、読書灯1は、着座者の側方であって顔の高さ位置近傍に配されている。なお、本実施形態において読書灯1は、座席Sの耳部S6に設けられる構成としたが、本発明はこれに限定されることはなく、座席Sの近傍に設けられてもよく、例えば、座席Sの横に配される壁や柱などに設けられてもよい。
読書灯1は、図3及び図4に示すように、2つのLED21a、21bを表面に実装する基板2と、反射部材3と、基板2を保持する基板保持部材4と、これら及び読書灯1を操作するための操作部51を収容する略長方形の薄い箱状に形成されたケース5と、を備えている。読書灯1は、後述する被照射領域のうちの一部分である第1領域、及び、被照射領域のうちの他の部分である第2領域を照射するとともに、LED21aのみを点灯する第1モードと、LED21a及びLED21bを点灯する第2モードと、を切り替え可能に構成されている。なお、LED21aが「第1光源」、LED21bが「第2光源」にそれぞれ対応する。また、読書灯1は、基板2側を背面、ケース5側を正面とし、ケース5の長さ方向が水平方向に対して略平行になるように耳部S6に取り付けられている。
図3及び図4に示すように、基板2は、略長方形の板状に形成されており、基板2の一方の面22には、回路パターン23が形成されている。基板2の他方の面24には、電気供給部(図示せず)と電気的に接続するコネクタ25が設けられている。LED21a、21bは、基板2の一方の面22に実装されることで、回路パターン23を介して電源供給部(図示せず)と電気的に接続可能となる。LED21a、21bは、基板2の幅方向に距離を開けて並べられ、収容されるケース5の厚み方向(基板2の厚み方向)に向けて光を出すように基板2に実装されている。また、基板2には、コネクタ25に設けられたねじ穴(図示せず)と共にねじを挿入して、コネクタ25を基板2の他方の面24に固定するためのねじ穴(図示せず)と、反射部材3を基板2に固定するための2つの係止孔26と、が形成されている。
また、基板2の一方の面22は黒色に形成されている。このような構成により、反射部材3を基板2に取り付けた際に、反射部材3によって反射した光のうち、基板2で更に反射して射出口52から着座者Uの方向に反射してグレアを引き起こす可能性のある光を吸収することができるため、グレアによる不快感の発生を、より抑制することができる。
反射部材3は、LED21a及びLED21bから照射された光を反射させてケース5外に当該反射光を射出し、座席Sに着座した着座者Uの前方に配される被照射領域を照射する。反射部材3は、基板2の一部を覆うように基板2に固定されるベース部31と、基板2に実装されたLED21a、21bを囲むようにベース部31から立設する壁部32と、を備え、基板2に取り付けられている。反射部材3を構成する色としては、特に限定されることはないが、輝度と輝度均斉度のバランスなどの観点から、銀色や白色であることが好ましく、銀色であることがより好ましい。
ベース部31は、反射部材3を基板2に取り付ける役割、及び、ベース部31から立設する壁部32を支える土台としての役割を果す。ベース部31は、板状に形成されており、基板2に係止するための2つの係止凸部33(図4においては1つのみが示されている)が形成されている。当該係止凸部33が係止孔26に嵌入することで、反射部材3が基板2に固定される。
図5に示すように、壁部32は、LED21aの周囲の一部を囲みLED21aからの光(直接光)を反射させる第1壁部としての壁部32aと、LED21bの周囲の一部を取り囲みLED21bからの光(直接光)を反射させる第2壁部としての壁部32bと、を備えている。なお、図5においてLED21a、21bは破線で示してある。壁部32a、32bは、それぞれが形状の異なる略楕円の円弧形状に形成され、LED21aの周囲の一部及びLED21bの周囲の一部を囲むように形成されている。壁部32aと壁部32bとは、一方の端部同士が結合して2つの円弧が繋り、全体で、略M字形状に形成されている。(図5)。反射部材3は、当該M字形状の下方の開口部34が、基板2(ケース5)の前方乃至下方を向くように形成されている(図5)。
このような構成により、LED21a又はLED21bからの光を、壁部32a又は壁部32b内で反射させ、さらに隣接する壁部32b又は壁部32a内、壁部32全体において反射させることが可能となる。よって、反射光を多く取り出すことができ、直接光の眩しさを低減させ、目に優しい柔らかい光で後述する第1領域及び第2領域を照射することができるため、使用感に優れたものとすることができる。また、壁部32の形状として、そのM字形状の下方の開口部34が、基板2(ケース5)の前方乃至下方を向くように形成されているため、反射を繰り返すことで、上方に向かう光を反射して下方に向かわせ、反射光の射出する角度を下方へと調整することができる。よって、後述する第1領域及び第2領域を照射することができるとともに、座席Sが配された車両内を歩く者(着座者Uより目の位置が高い者)、例えば他の乗客やアテンダント等にグレアによる不快感を与えにくい。
また、このような構成により、被照射領域において、LED21aに主として第1領域を照射させ、LED21bに主として第2領域を照射させることが可能になる。
また、壁部32の外側(円弧の外側)にのみベース部31が形成されていることにより、反射部材3を基板2に取り付けた際に、反射部材3によって反射した光のうち、着座者Uの方向(着座者Uに対向する面54aの方向)に直接反射してグレアを引き起こす可能性のある光を、基板2によって吸収することができるため、グレアによる不快感の発生を抑制することができる。
反射部材3は、LED21aが、壁部32aの基端部の円弧における頂点近傍の基端部の内側の位置であって、壁部32aに隣接する位置に、また、LED21bが、壁部32bの円弧における頂点近傍の内側の位置であって、壁部32bに隣接する位置に配されるよう、基板2に固定されている。さらに、反射部材3は、壁部32a及び壁部32bの上端の開口が、ケース本体54の内面に覆われるようにケース5内に収容される。
基板保持部材4は、基板2の縁部を囲むように略長方形の枠状に形成され、当該縁部を挟み込んで、ケース5から基板2及び基板2に取り付けられた反射部材3が外れないように保持する。基板保持部材4は、2辺の長辺に設けられた2つの保持部41と、1辺の短辺に設けられた1つの保持部42と、で基板2の縁部の端を挟み込み、基板2を保持する(図3、4)。
2辺の長辺にそれぞれ設けられた保持部41は、基板2の縁部を挟み込むように形成されている。保持部41は、基板保持部材4の長辺の幅方向において、正面寄り(ケース5寄り)の端部から枠内側に向かって突出して形成された辺状保持部41aと、当該長辺の長さ方向中央部に形成された凸状保持部41bと、を備えている。保持部41は、辺状保持部41aと凸状保持部41bとで、基板2の縁部の端を挟み込むことで、基板2を保持する。
また、短辺に設けられた保持部42は、基板保持部材4の長辺を直交するように掛け渡される梁部42aと、短辺の長さ方向中央部に形成された凸状保持部42bと、を備える。保持部42は、梁部42aと凸状保持部42bとで、基板2の縁部の端を挟み込むことで、基板2を保持する。
ケース5は、薄い箱状に形成され、基板保持部材4に保持された基板2及び反射部材3を収容する。ケース5は、読書灯1を操作する操作部51と、反射部材3で反射させた反射光をケース外に射出する射出口52と、LED21a、21bからの光のうち、反射することなくケース5外へ直接射出する光の量を抑制する遮光部材53と、これらを有しケース5の外形を構成するケース本体54と、を備えている。
操作部51は、LED21aの点灯及び消灯を行う起動ボタン51aと、さらにLED21bを点灯して照射範囲を広げる範囲変更ボタン51bと、を備え、ケース本体54の正面に配されている。着座者Uは、起動ボタン51a及び範囲変更ボタン51bを用いて、LED21aのみを点灯する第1モードと、LED21a及びLED21bを点灯する第2モードと、を適宜切り替えることができる。
射出口52は、ケース5に収容された反射部材3のM字形状の下方乃至前方の開口部34の位置に対応して配され、反射光をケース5外に射出する。射出口52は、ケース本体54の側面のうち、前方側に配された側面54bにおける下方側から、底面54c(座面S2と対向する面)における前方側にわたって形成されている。
また、反射光は、水平方向から下方に5度以上の角度で射出されるように座席S又は座席近傍に設けられることが好ましい。このような構成により、座席Sが配された車両内を歩く者、例えば他の乗客アテンダント等にグレアによる不快感を、より与えにくい。
ケース本体54は、射出口52が形成された場所以外は、ケース5外に光が漏れないように遮光されている。つまり、着座者Uに対向する面54aである正面も遮光されている。このように、ケース5の着座者Uに対向する面54aが遮光されているため、本実施形態の読書灯1は、着座者Uの側方及び顔の高さ位置近傍に設けても、着座者Uにグレアによる不快感を与えにくい。
また、ケース本体54は、その内面が白色に形成されている。このような構成により、反射部材3により反射した光や、LED21a、21bからの光がさらにケース本体54の内面において反射し、反射光をより多く取り出すことができる。また、白色にすることで、読書灯1の美観が向上する。
遮光部材53は、LED21a、21bからの光(直接光)のうち、反射することなくケース5外へ直接射出する光の一部を遮ることで、直接射出する光の量を抑制する部材である。遮光部材53は、ケース本体54内であって、射出口52の縁からやや内側の位置(着座者に対向する面54aの裏面の内側寄り)に設けられ、ケース本体54に接続する基端側の板状の長方形の部位53−1と、当該部位53−1の中心付近から基板2側に延びる板状の長方形の部位53−2と、により形成されている。当該遮光部材53は、一方の面53aが射出口52側、他方の面53bがLED21a、21b側を向くような位置に配されている。しかし、遮光部材53は、LED21a、21bからの光(直接光)のうち、反射することなくケース5外へ直接射出する光の量を抑制する構成であれば特に形状、設けられる位置等について限定されることはなく、ケース5や射出口52の形状等によって適宜変化させればよい。
また、遮光部材53の射出口52側を向いて配された一方の面53aが反射部材3と同様の銀色に形成され、他方の面53bが白色に形成されている。このような構成により、反射光を多く取り出すことができる。
次に、本実施形態に係る読書灯1の被照射領域、第1領域及び第2領域について説明する。被照射領域とは、着座者Uが新聞、雑誌、あるいは本などを読む際に照射されることが望まれる着座者Uの眼前の領域を指す。そして、1灯点灯の際には当該領域の中心近傍を含む一部の領域が照射され、2灯点灯の際には被照射領域の全領域が照射されるように構成される。このとき、1灯点灯の際に照射が望まれる第1領域は、着座者Uが、文庫本や雑誌など比較的小さめの書物を正面に持った際に当該書物の閲覧に望まれる狭い照射領域を指し、2灯点灯の際に照射が望まれる第2領域は、着座者Uが、新聞など比較的大きめの書物を正面に持った際に当該書物の閲覧に望まれる広い照射領域を指す。
被照射領域は、既述のように着座者Uの眼前の所定の領域であるが、例えば、以下の仮想照射面60について考察することができる。ここでいう「仮想照射面」とは、着座者が書物を持って閲覧する際に、当該書物の閲覧ページが含まれる斜めの面であり、代表的な平面を仮想的に抽出したものである。仮想照射面60について、図6から図11を用いて説明する。図6及び図7は、仮想照射面を説明するための図であり、図8から図11は、それぞれ、被照射領域Bのパターンを例示するものである。
本実施形態において仮想照射面60は、読書灯1から射出された反射光ならびに直射光により照射される面として、以下のように定めた平面である。即ち、仮想照射面60は、座部S1の後端から12cm上方(高さH1)の水平面と、座部S1の後端から30cm(奥行きD)前方の垂直面と、の交線を含み、当該交線を回転中心として垂直方向から前方に30度傾斜した面である。本実施形態における被照射領域Bは、当該仮想照射面60において、前記交線のうち座部S1の幅方向の中心を中心とする42cmの線分(横W)を下端61とし、座部S1の後端から70cm上方(高さH2)の水平面との交線を上端62とする、長方形の範囲である。この長方形における対角線の交点が、被照射領域Bの中心点Aとなる。
この被照射領域Bにおいて、その中心点Aを含む狭い領域が第1領域63、その外側の領域が第2領域64に対応する。具体的には例えば、中心点Aの半径20cmの領域を第1領域63、中心点Aを中心とする70cm上方(高さH2)、横W42cmの長方形の領域を被照射領域Bとすることができる。また、より限定的には例えば、中心点Aの半径15cmの領域を第1領域63、中心点Aを中心とする70cm上方(高さH2)、横W42cmの長方形の領域を被照射領域Bとすることができる。以上のように、被照射領域、第1領域及び第2領域を設定することで、本実施形態に係る読書灯1により照射する各領域は、着座者の状況に応じた適切な領域として代表的な態様といえる。
なお、本発明の読書灯1は、被照射領域を照射することを規定するのみで、当該被照射領域を透過した射出光及び透過する手前の位置での照射光が照射する範囲等は限定されることはないが、例えば、座席Sの前に配された他の座席の背面(バックシェル)の範囲内であることが好ましい。このような構成により、座席近傍を通りかかった者(着座者Uより目の位置が高い者)、例えば他の乗客やアテンダント等にグレアを感じさせる可能性を低減することができる。
LED21aの光のうち反射部材3等によって導かれ射出口52から出射した光は、仮想照射面60において、主として第1領域63を照射する。一方、LED21bの光のうち反射部材3等によって導かれ射出口52から出射した光は、仮想照射面60において、LED21aで照射されなかった第2領域64を照射する。これらLED21aやLED21bにより照射する領域は、予め定められた領域であり、反射部材3の形状や読書灯1を座席Sに取り付ける位置及び角度により調整することができる。
次に、LED21a及びLED21bにより照射される照射領域について説明する。
図8〜図11において、第1領域63は被照射領域Bの中心Aを含む狭い領域であり、第2領域64は被照射領域Bにおける第1領域63以外の領域である。これらの図において、LED21aにより照射される領域は照射領域Ca、LED21bにより照射される領域は照射領域Cbと表記する。
図8に示す例では、照射領域Caは第1領域63を略中央に、被照射領域Bの半分以上の領域を含んで配され、照射領域Cbは第1領域63を間に挟んでその上下に、照射領域Caと重なりを生じながら配されている。そして、照射領域Ca及び照射領域Cbにより、被照射領域Bの全領域が照射されるようになっている。
次に、本実施形態に係る読書灯1の動作、作用及びモードについて説明する。着座者Uが読書灯1の起動ボタン51aを押すと、LED21aが点灯し、第1モードとなる。次に、着座者Uが照射範囲を広くしたいと感じた時には、着座者Uは範囲変更ボタン51bを押してLED21bを点灯させ第2モードとする。着座者Uは、第2モードから再度第1モードに変更したい場合には、範囲変更ボタン51bを押して切り替える。また、着座者Uは、読書灯1を消灯したい場合には、起動ボタン51aを押すことで消灯することができる。
LED21aのみの点灯では、少なくとも第1領域63が照射され、LED21aとLED21bの両方を点灯させると、第1領域63及び第2領域64全てを含む被照射領域Bの全体が照射されるようになっている。
上述した本実施形態に係る読書灯1は、座席S又は座席近傍に設けられ、第1領域63を照射するLED21aと、第2領域64を照射するLED21bと、を備え、第1領域が、座席Sに着座した着座者Uの前方に配される被照射領域(仮想照射面60)のうちの一部分であり、第2領域が、被照射領域(仮想照射面60)のうちの他の部分であり、LED21aのみを点灯する第1モードと、LED21a及びLED21bを点灯する第2モードと、を切り替え可能に構成され、着座者Uの側方に配される。
したがって、着座者Uは、閲覧しようとする書物の大きさに合わせて、照射範囲を適切に広狭選択することができる。即ち、文庫本や雑誌の如き小さな書物を閲覧しようとする場合には、LED21aのみの点灯で眼前の手元近傍を照射することができるため、余分な領域が照らされることが無く、着座者U本人は勿論、周囲の着座者や通路を歩く他の乗客、アテンダント等に不快な思いをさせることが無い。
また、新聞のように大きな書物を閲覧しようとする場合には、LED21a及びLED21bの2灯で眼前の広い領域を照射することができるため、当該書物を広げた状態でストレスなく閲覧することができる。また、LED21bは、第1領域63を挟むように配された第2領域64を1つの灯りで照らすことができるため、狭い領域を照らしたい場合には、LED21aの1灯で適切な領域である第1領域63を集中的に照らすことができ、広い領域を照らしたい場合には、LED21aで照射することができない第2領域64をLED21bで効率的に照らすことができ、2灯のみの構成で広狭適切な照射範囲を選択することができる。
図9に示す例では、照射領域Caは第1領域63を略中央のやや下方に、被照射領域Bの1/3程度の領域を含んで配され、照射領域Cbは第1領域63を間に挟んでその上下に、照射領域Caと重なりを生じながら配されている。そして、照射領域Ca及び照射領域Cbにより、被照射領域Bの全領域が照射されるようになっている。
したがって、着座者Uは、例えば、テーブルS5にノートパソコンを置いて作業する場合やテーブルS5を用いて食事を取る場合には、LED21aのみの点灯でキーボードやテーブルS5上を照射することができるため、余分な領域が照らされることが無く、着座者U本人は勿論、周囲の着座者や通路を歩く他の乗客、アテンダント等に不快な思いをさせることが無い。大小書物に応じて照射範囲を広狭切り替えられる点や、2灯のみの構成で広狭適切な照射範囲を選択することができる点は、図8に示す例と同様である。
図10に示す例では、照射領域Caは被照射領域Bにおける下方の領域を含んで配され、照射領域Cbは照射領域Caと重なりを生じながら、照射領域Caの上方に配されている。そして、照射領域Ca及び照射領域Cbにより、被照射領域Bの全領域が照射されるようになっている。
したがって、着座者Uは、閲覧しようとする書物を自分の腿近傍に配して閲覧しようとする場合には、LED21aのみの点灯で腿近傍を照射することができるため、余分な領域が照らされることが無く、着座者U本人は勿論、周囲の着座者や通路を歩く他の乗客、アテンダント等に不快な思いをさせることが無い。なお、この例の場合には、第1領域63として、図示の位置よりも下方の照射領域Caの中心辺りを設定してもよく、照射領域Caの範囲を狭めたり、被照射領域Bを下方にシフトさせてもよい。
図11に示す例では、照射領域Caは第1領域63を略中央に、被照射領域Bの半分以上の領域を含んで配され、照射領域Cbは照射領域Caの多くの部分と重なりを生じながら、照射領域Caと共に被照射領域Bの全領域を含んで配されている。
したがって、着座者Uは、照射領域Caと照射領域Cbとが重なった被照射領域Bの中央の領域を特に明るく照射することができる。
なお、図8乃至図9の例でいう「挟むように」は、第1領域63を挟んで第2領域64が上下2つに分かれた状態を指しているが、本発明においては当該状態のみならず、第2領域64が左右2つに分かれた状態や、第1領域63を第2領域64が取り囲んだ状態も含まれる。
以上のような構成により、着座者Uが第1モードと第2モードとを切り替えることで、被照射面において照射範囲を切り替えることが可能となるため、光軸の位置決めが不要となる。また、着座者Uが着座したまま読書灯1の操作を行えるため、使用感に優れる。
また、本実施形態に係る読書灯1は、遮光部材53が、反射することなくケース5外に直接射出する光の量を抑制することから、着座者Uのみならず、座席近傍を通りかかった者などにグレアによる不快感を与えにくい。
また、本実施形態に係る読書灯1は、反射部材3が、LED21aの周囲の一部を囲みLED21aからの光を反射させる壁部32aと、LED21bの周囲の一部を取り囲みLED21bからの光を反射させる壁部32bと、を備え、壁部32a内で反射させた反射光、及び、壁部32b内で反射させた反射光のうち少なくとも1つをケース5外に射出する構成であるとすれば、それぞれの光源の光から反射光を多く取り出すことができる。よって、直接光の眩しさを低減させ、目に優しい柔らかい光で被照射領域を照射することができるため、より使用感に優れたものとすることができる。
また、本実施形態に係る読書灯1は、反射部材3が、LED21a及びLED21bからの光のうち、上方に向かう光を反射して下方に向かわせる構成であるため、座席近傍を通りかかった者(着座者Uより目の位置が高い者)、例えば他の乗客やアテンダント等にグレアを感じさせる上方に向かう光を減らすことができるため、より確実に、グレアによる不快感の発生を抑制することができる。
また、本実施形態に係る読書灯1は、反射光が、水平方向から5度以上下方の角度となるように射出されるように座席S又は座席近傍に設ける構成となっている。そのため仮想照射領域(仮想照射面60)を照射することができるとともに、座席近傍を通りかかった者(着座者Uより目の位置が高い者)に対して、より確実に、グレアによる不快感の発生を抑制することができる。
また、本実施形態に係る読書灯1は、基板2に実装されたLED21a、21bからの光を、反射部材3及びケース本体54の内面によって反射させて、反射光を用いることで、約90度方向を変えて射出する構成としている。このような構成により、LED21を2灯(LED21a、21b)用いながらも、薄い箱状のケース5に収容することが可能となり、読書灯1の厚みを薄くし、省スペース化を図ることを可能とした。よって、着座者Uの側方及び顔の高さ位置近傍に設けても、着座者Uの邪魔とならない。
以上、説明した実施形態は本発明の代表的な形態を示したに過ぎず、本発明は、当該実施形態に限定されるものではない。即ち、当業者は、従来公知の知見に従い、本発明の骨子を逸脱しない範囲で種々変形して実施することができる。かかる変形によってもなお本発明の読書灯の構成を具備する限り、勿論、本発明の範疇に含まれるものである。
例えば、反射部材3は、LED21a及びLED21bのうち少なくとも1つから照射された光を反射又は屈折させてケース5外に当該反射光を射出する構成のものであれば上記実施形態において説明した形状のものに限定されることはない。図12は、他の屈折ならびに反射部材の例を示した図である。図12(a)は、屈折部材3Aとして2つのレンズを並べたものである。また、図12(b)は、反射部材3Bとして反射部材と遮光部材とを一体にして形成したものである。
また、上述した読書灯1においては、第1モードと第2モードとで、照射範囲が異なるものとしたが、照射範囲と併せて、例えば、第2モードとした際に、照射光の色を変えて雰囲気を変えるような構成としてもよい。
また、上述した読書灯1においては、基板2の一方の面22は黒色に形成されている構成としたが、これに限定されることはなく、他の色とする構成としてもよい。
また、上述した読書灯1においては、ケース本体54は、その内面が白色に形成されている構成としたが、これに限定されることはなく他の色とする構成としてもよい。
また、上述した読書灯1においては、遮光部材53の射出口52側を向いて配された一方の面53aが反射部材3と同様の銀色に形成され、他方の面53bが白色に形成されている構成としたが、これに限定されることはなく、一方の面53aを白色とする構成としてもよく、他方の面53bを銀色とする構成としてもよい。また、それぞれ違う色でもよい。
また、上述した読書灯1においては、LED21aを「第1光源」、LED21bを「第2光源」として説明したが、これに限定されることはなく、位置関係が逆、即ちLED21aを「第2光源」、LED21bを「第1光源」としてもよい。例えば、起動ボタン51aによりLED21bの点灯を開始させ、範囲変更ボタン51bによりLED21aの点灯と消灯を切り替える構成としてもよい。更に、1つのボタンで構成され、当該ボタンを1回押す毎に、1灯点灯、2灯点灯、消灯と、順次切り替わるようにしてもよい。
また、上述した読書灯1について、着座者Uの右側の耳部6Sに取り付けられる構造とする場合には、上述した読書灯1は鏡面対称の構造となる。