JP2018124369A - 導光フィルム - Google Patents

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厚史 長尾
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厚史 長尾
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Abstract

【構成】ポリカーボネート樹脂(A)と、特定のポリエーテル誘導体(B)と、特定の亜リン酸エステル系化合物(C)と、エポキシ化合物(D)とを含有する樹脂組成物を含む導光フィルムであって、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリエーテル誘導体(B)の量が0.1〜2.0質量部であり、前記亜リン酸エステル系化合物(C)の量が、0.01〜0.5質量部であり、前記エポキシ化合物(D)の量が0.001〜0.2質量部であることを特徴とする、導光フィルム。
【効果】 本発明における導光フィルムは、ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなり、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率が高く、しかも高温で成形加工した場合でも光線透過率に優れる。
【選択図】 なし

Description

本発明は、ポリカーボネート樹脂本来の特性、すなわち耐熱性、機械的強度等を損なうことなく、色相ならびに輝度が良好で、耐加水分解性に優れる導光フィルムに関する。
液晶表示装置などの液晶表示部を備えるスマートフォンなどの携帯型コンピュータは、その携帯性、利便性のために薄型化及び軽量化が求められ、これにより液晶表示部も薄型化が求められている。このため、薄型コンピュータに用いられる導光フィルムについても薄型化が求められており,具体的には、厚み600μm以下程度であることが望まれている。そして、このような導光フィルムの形成材料としては、例えば、特許文献1に開示されているように導光性に優れ、かつ強度を有する各種の樹脂が用いられている。
そして、従来、導光フィルム用樹脂としては、ポリメチルメタクリレート(以下、PMMAという)が用いられてきたが、耐熱性が高く、かつ機械的強度も高いという点で、PMMAからポリカーボネート樹脂への置換が進められている。
ポリカーボネート樹脂は、PMMAと比較して、機械的性質、熱的性質、電気的性質には優れるが、光線透過率にやや劣る。従って、ポリカーボネート樹脂製の導光フィルムは、PMMA製の導光フィルムを使用したものと比べて輝度が低いという問題があった。
そこで、例えば、特許文献2や特許文献3に開示されているように、PMMAと同等以上の光線透過率を得て、ライトガイドの輝度を向上させるべく、ポリカーボネート樹脂と他の材料とを併用した樹脂組成物が各種提案されている。
特許文献2には、特定の粘度平均分子量を有する芳香族ポリカーボネート樹脂に、2種のフォスファイト系安定剤及び脂肪酸エステルが配合され、一方のフォスファイト系安定剤が、特定構造を有し、かつ他方のフォスファイト系安定剤よりも少量である導光部材用ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
特許文献3には、ポリカーボネート樹脂に、ポリスチレン及び1種の亜リン酸エステル系化合物が配合された光学用成形品用ポリカーボネート樹脂組成物が開示されている。
しかしながら、近年、光学用成形品の中でも特に、上記したような導光フィルムには、厚み600μm以下であっても高い光線透過率及び熱安定性が要求されており、特許文献2や特許文献3に記載のポリカーボネート樹脂組成物は、近年の導光フィルムの材料としての要求を充分に満足し得るものではない。
特開2007−214001号公報 特開2013−234233号公報 特開2011−133647号公報
本発明は、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、厚み600μm以下であっても光線透過率が高く、しかも高温で成形加工した場合でも光線透過率に優れ輝度及び色相に優れた導光フィルムを提供する。
本発明者らは、係る課題を解決するために鋭意検討を行った結果、ポリカーボネート樹脂(A)に、ポリエーテル誘導体(B)と、スピロ環骨格を有する特定の亜リン酸エステル系化合物を除く亜リン酸エステル系化合物(C)と、エポキシ化合物(D)とを特定量含有してなる樹脂組成物を成形することにより、厚み600μm以下であっても光線透過率の低下が無く、高温で成形加工した場合でも色相ならびに輝度が良好で、耐加水分解性にも優れる導光フィルムが得られることを見出し、本発明を完成した。
すなわち、本発明は、ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる導光フィルムであって、該ポリカーボネート樹脂組成物が、ポリカーボネート樹脂(A)と、下記一般式(1)で表されるポリエーテル誘導体(B)と、下記式(2)で表される化合物を除く亜リン酸エステル系化合物(C)と、エポキシ化合物(D)とを含有し、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリエーテル誘導体(B)の量が0.1〜2.0質量部であり、前記亜リン酸エステル系化合物(C)の量が、0.01〜0.5質量部であり、前記エポキシ化合物(D)の量が0.001〜0.2質量部であることを特徴とする、導光フィルム。
一般式(1):
RO−(X−O)m(Y−O)n−R’ (1)
(式中、R及びR’は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を示し、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基を、Yは、炭素数3〜5の分岐アルキレン基を、m及びnは、それぞれ独立して、3〜60の整数を示し、m+nは、8〜90の整数を示す。)
式(2):
Figure 2018124369
本発明の導光フィルムは、熱安定性に優れ、高温で成形加工した場合でも高い光線透過率を有し黄変が充分に抑制されて色相に優れる。よって厚さ600μm程度としても、色相が変化して外観が低下することや、高温成形を経て樹脂そのものが劣化することが少なく、高温高湿度条件下で長時間さらされた場合でも積算透過率低下、色相変化の少ない、長期信頼性の高い製品を得ることが可能となり、極めて工業的利用価値が高い。
以下、実施の形態を詳細に説明する。ただし、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になるのを避け、当業者の理解を容易にするためである。
なお、発明者らは当業者が本発明を充分に理解するために以下の説明を提供するのであって、これらによって請求の範囲に記載の主題を限定することを意図するものではない。
本発明の導光フィルムは、例えば、スマートフォンなどの携帯型コンピュータの液晶表示装置などの各種表示部に用いられる厚み600μm以下の導光フィルムを意味する。
本発明に係る光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)と、特定のポリエーテル誘導体(B)と、特定の亜リン酸エステル系化合物以外の亜リン酸エステル系化合物(C)と、エポキシ化合物(D)とを含有するものである。
<ポリカーボネート樹脂(A)>
ポリカーボネート樹脂(A)は、種々のジヒドロキシジアリール化合物とホスゲンとを反応させるホスゲン法、又はジヒドロキシジアリール化合物とジフェニルカーボネート等の炭酸エステルとを反応させるエステル交換法によって得られる重合体である。代表例としては、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン(ビスフェノールA)から製造されたポリカーボネート樹脂が挙げられる。
ジヒドロキシジアリール化合物としては、ビスフェノールAの他に、例えば、ビス(4−ヒドロキシフェニル)メタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)エタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)ブタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)オクタン、ビス(4−ヒドロキシフェニル)フェニルメタン、2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル−3−メチルフェニル)プロパン、1,1−ビス(4−ヒドロキシ−3−第三ブチルフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3−ブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3、5−ジブロモフェニル)プロパン、2,2−ビス(4−ヒドロキシ−3,5−ジクロロフェニル)プロパン等のビス(ヒドロキシアリール)アルカン類;1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロペンタン、1,1−ビス(4−ヒドロキシフェニル)シクロヘキサン等のビス(ヒドロキシアリール)シクロアルカン類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルエーテル、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルエーテル等のジヒドロキシジアリールエーテル類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルフィド等のジヒドロキシジアリールスルフィド類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホキシド、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホキシド等のジヒドロキシジアリールスルホキシド類;4,4´−ジヒドロキシジフェニルスルホン、4,4´−ジヒドロキシ−3,3´−ジメチルジフェニルスルホン等のジヒドロキシジアリールスルホン類が挙げられ、これらは単独で又は2種類以上を混合して使用される。これらの他にも、ピペラジン、ジピペリジルハイドロキノン、レゾルシン、4,4´−ジヒドロキシジフェニル等を混合して使用してもよい。
さらに、ジヒドロキシジアリール化合物と、例えば以下に示す3価以上のフェノール化合物とを混合して使用してもよい。
3価以上のフェノール化合物としては、例えば、フロログルシン、4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプテン、2,4,6−ジメチル−2,4,6−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ヘプタン、1,3,5−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−ベンゾール、1,1,1−トリ−(4−ヒドロキシフェニル)−エタン及び2,2−ビス−[4,4−(4,4´−ジヒドロキシジフェニル)−シクロヘキシル]−プロパン等が挙げられる。
ポリカーボネート樹脂(A)の粘度平均分子量は、10000〜100000であることが好ましく、12000〜30000であることがより好ましい。なお、このようなポリカーボネート樹脂(A)を製造する際には、分子量調節剤、触媒等を必要に応じて使用することができる。
<ポリエーテル誘導体(B)>
本発明にて使用されるポリエーテル誘導体(B)は、例えば、ポリオキシアルキレングリコールから誘導される炭素数が3以上の単独エーテル重合体でも共重合体(ブロック又はランダム共重合体の何れでもよい)でもよいが、例えば、下記一般式(1)で表される共重合体が好ましく用いられる。
一般式(1):
RO−(X−O)m(Y−O)n−R’ (1)
(式中、R及びR’は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を示し、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基を、Yは、炭素数3〜5の分岐アルキレン基を、m及びnは、それぞれ独立して、3〜60の整数を示し、m+nは、8〜90の整数を示す。)
又、ポリエーテル誘導体としては、一般式(1)で表されるポリエーテル誘導体のうち、下記一般式(3)、一般式(4)又は一般式(5)で表されるポリエーテル誘導体が好適である。
一般式(3):
HO−(CHCHCHCHO)m(CHCH(CH)O)n−H
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、3〜60の整数を示し、m+nは、8〜90の整数を示す。)
一般式(3)で表されるポリエーテル誘導体としては、例えば、日油(株)製のポリセリンDCB−2000(重量平均分子量2000)、ポリセリンDCB−1000(重量平均分子量1000)等(「ポリセリン」は登録商標)を利用できる。一般式(3)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は1000〜4000であるのが好ましい。
一般式(4):
O−(CHCH)m(CHCH(CH)O)n−H
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、3〜60の整数を示し、m+nは、8〜90の整数を示す。)
一般式(4)で表されるポリエーテル誘導体としては、エチレングリコールユニットとプロピレングリコールユニットからなる変性グリコール(例えば、CO−(CHCHO)21(CHCH(CH)O)14−HやCO−(CHCHO)30(CHCH(CH)O)30−H等)が好適であり、例えば、日油(株)製のユニルーブ60MB−26I(重量平均分子量1700)やユニルーブ50MB−72(重量平均分子量3000)等が商業的に入手可能である。一般式(4)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、1000〜4000であるのが好ましい。
一般式(5):
HO−(CHCHO)m(CHCH(CH)O)n−H
(式中、m及びnは、それぞれ独立して、3〜60の整数を示し、m+nは、8〜90の整数を示す。)
一般式(5)で表されるポリエーテル誘導体としては、エチレングリコールユニットとプロピレングリコールユニットとのモル比が1:1で、両末端が水素原子であるポリアルキレングリコール(例えば、HO−(CHCHO)17(CHCH(CH)O)17−Hが好適であり、例えば、日油(株)製のユニルーブ50DE−25(重量平均分子量約1750、ランダム重合体)等が商業的に入手可能である。一般式(5)で表されるポリエーテル誘導体の重量平均分子量は、1000〜4000であるのが好ましい。
上述した一般式(3)〜(5)以外のポリエーテル誘導体としては、ポリオキシテトラメチレン−ポリオキシブチレングリコール、テトラメチレングリコールユニットと2-メチルテトラメチレングリコールユニットからなる変性テトラメチレングリコール誘導体(例えば、HO−(CHCHCHCHO)22(CHCHCH(CH)CH2O−H等)等が好適である。商業的に入手可能なポリオキシテトラメチレン−ポリオキシブチレングリコールとしては、日油(株)製のポリセリンDCD−2000(重量平均分子量2000)、変性テトラメチレングリコール誘導体として、保土谷化学工業(株)製のPTG−1000、PTG−2000、PTG−3000、PTG−L1000、PTG−L2000、又はPTG−L3000等が挙げられる
本発明にて使用されるポリエーテル誘導体(B)の重量平均分子量は、1000〜4000、さらには2000〜3000であることが好ましい。ポリエーテル誘導体の重量平均分子量が1000未満の場合は、光線透過率の充分な向上効果が望めない恐れがあり、逆に重量平均分子量が4000を超える場合も、曇化率が上昇して光線透過率が低下する恐れがある。
ポリエーテル誘導体(B)の量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.1〜2.0質量部であり、さらに0.5〜1.8質量部であることが好ましい。ポリエーテル誘導体の量が0.1質量部未満の場合は、光線透過率及び耐加水分解性の向上効果が不充分である。逆にポリエーテル誘導体の量が2.0質量部を超える場合は、曇化率が上昇して光線透過率が低下してしまう。
これまで、炭素数が少ないポリオキシアルキレングリコール単独重合体を添加してポリカーボネート樹脂の光線透過率を向上させることが試みられてきたが、該ポリオキシアルキレングリコール単独重合体は、耐熱性が不充分であるので、該ポリオキシアルキレングリコールを配合したポリカーボネート樹脂組成物を高温で成形すると、成形品の輝度や光線透過率が低下してしまう。これに対して、一般式(1)で表される特定のポリエーテル誘導体(B)は、2官能性のランダム共重合体であり、耐熱性が高く、該一般式(1)で表される特定のポリエーテル誘導体(B)を配合したポリカーボネート樹脂組成物を高温で成形した成形品は、輝度や光線透過率が高い。
又、一般式(1)で表されるポリエーテル誘導体(B)は、適度な親油性を有することから、ポリカーボネート樹脂(A)との相溶性にも優れるので、該ポリエーテル誘導体(B)を配合したポリカーボネート樹脂組成物から得られる成形品の透明性も向上する。
さらに、一般式(1)で表されるポリエーテル誘導体(B)を配合することにより、ポリカーボネート樹脂組成物を成形する際に、せん断熱が必要以上に発生するのを抑制することができるほか、ポリカーボネート樹脂組成物に離型性を付与することもできるので、例えばポリエーテルガノシロキサン化合物といった離型剤を別途添加しなくてもよい。
<亜リン酸エステル系化合物(C)>
本発明におけるポリカーボネート樹脂組成物には、一般式(1)で表される特定のポリエーテル誘導体(B)と共に、下記式(2)で表される、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトを除く亜リン酸エステル系化合物(C)が配合されている。上述した特定のポリエーテル誘導体(B)と、下記式(2)で表される化合物以外の亜リン酸エステル系化合物(C)とを同時に配合することにより、ポリカーボネート樹脂(A)が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率や色相、さらには耐加水分解性が向上した光学部品用ポリカーボネート樹脂組成物が得られる。
式(2):
Figure 2018124369
本発明者らは、鋭意研究を行った結果、亜リン酸エステル系化合物の中でもビス(2,4−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトを使用すると、高温成形して得た成形品を高温高湿度条件下にて長期間暴露したときに当該成形品の耐加水分解性が著しく低下することを見出しており、この点に鑑みて当該化合物をリン酸エステル系化合物(C)から除いている。
亜リン酸エステル系化合物(C)としては、例えば、一般式(6)で表される化合物が好適である。
一般式(6):
Figure 2018124369
(式中、R1は、炭素数1〜20のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよいアリール基を示し、aは、0〜3の整数を示す。)
一般式(6)において、R1は、炭素数1〜10のアルキル基であることがより好ましい。
一般式(6)で表される化合物としては、例えば、トリフェニルフォスファイト、トリクレジルフォスファイト、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト、トリスノニルフェニルフォスファイト等が挙げられる。これらの中でも、特にトリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトが好適であり、例えば、BASF社製のイルガフォス168(「イルガフォス」はビーエーエスエフ ソシエタス・ヨーロピアの登録商標)として商業的に入手可能である。
亜リン酸エステル系化合物(C)としては、一般式(6)で表される化合物の他にも、例えば、下記一般式(7)で表される化合物が挙げられる。
一般式(7):
Figure 2018124369
(式中、R2、R3、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を示す。R4は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。Xは、単結合、硫黄原子又は式:−CHR7−(ここで、R7は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)で表される基を示す。Aは、炭素数1〜8のアルキレン基又は式:*−COR8−(ここで、R8は、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、*は、酸素側の結合手であることを示す)で表される基を示す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
ここで、炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基、i−オクチル基、t−オクチル基、2−エチルヘキシル基等が挙げられる。炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、シクロペンチル基、シクロヘキシル基、シクロヘプチル基、シクロオクチル基等が挙げられる。炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基としては、例えば、1−メチルシクロペンチル基、1−メチルシクロヘキシル基、1−メチル−4−i−プロピルシクロヘキシル基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキル基としては、例えば、ベンジル基、α−メチルベンジル基、α,α−ジメチルベンジル基等が挙げられる。
R2、R3及びR5は、それぞれ独立して、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基又は炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基であることが好ましい。特に、R2及びR5は、それぞれ独立して、t−ブチル基、t−ペンチル基、t−オクチル基等のt−アルキル基、シクロヘキシル基又は1−メチルシクロヘキシル基であることが好ましい。特に、R3は、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、メチル基、t−ブチル基又はt−ペンチル基であることがさらに好ましい。
R6は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基であることが好ましく、水素原子、メチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、sec−ブチル基、t−ブチル基、t−ペンチル基等の炭素数1〜5のアルキル基であることがさらに好ましい。
一般式(7)において、R4は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、R2、R3、R5及びR6の説明にて例示したアルキル基が挙げられる。特に、R4は、水素原子又は炭素数1〜5のアルキル基であることが好ましく、水素原子又はメチル基であることがさらに好ましい。
一般式(7)において、Xは、単結合、硫黄原子又は式:−CHR7−で表される基を示す。ここで、式:−CHR7−中のR7は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルキル基及び炭素数5〜8のシクロアルキル基としては、例えば、それぞれR2、R3、R5及びR6の説明にて例示したアルキル基及びシクロアルキル基が挙げられる。特に、Xは、単結合、メチレン基、又はメチル基、エチル基、n−プロピル基、i−プロピル基、n−ブチル基、i−ブチル基、t−ブチル基等で置換されたメチレン基であることが好ましく、単結合であることがさらに好ましい。
一般式(7)において、Aは、炭素数1〜8のアルキレン基又は式:*−COR8−で表される基を示す。炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、メチレン基、エチレン基、プロピレン基、ブチレン基、ペンタメチレン基、ヘキサメチレン基、オクタメチレン基、2,2−ジメチル−1,3−プロピレン基等が挙げられ、好ましくはプロピレン基である。又、式:*−COR8−におけるR8は、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示す。R8を示す炭素数1〜8のアルキレン基としては、例えば、Aの説明にて例示したアルキレン基が挙げられる。R8は、単結合又はエチレン基であることが好ましい。又、式:*−COR8−における*は、酸素側の結合手であり、カルボニル基がフォスファイト基の酸素原子と結合していることを示す。
一般式(7)において、Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。炭素数1〜8のアルコキシ基としては、例えば、メトキシ基、エトキシ基、プロポキシ基、t−ブトキシ基、ペンチルオキシ基等が挙げられる。炭素数7〜12のアラルキルオキシ基としては、例えば、ベンジルオキシ基、α−メチルベンジルオキシ基、α,α−ジメチルベンジルオキシ基等が挙げられる。炭素数1〜8のアルキル基としては、例えば、R2、R3、R5及びR6の説明にて例示したアルキル基が挙げられる。
一般式(7)で表される化合物としては、例えば、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−2,4,8,10−テトラ−t−ブチルジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロポキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン、6−[3−(3,5−ジ−t−ブチル−4−ヒドロキシフェニル)プロピオニルオキシ]−4,8−ジ−t−ブチル−2,10−ジメチル−12H−ジベンゾ[d,g][1,3,2]ジオキサホスホシン等が挙げられる。これらの中でも、特に光学特性が求められる分野に、得られるポリカーボネート樹脂組成物を用いる場合には、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピンが好適であり、例えば、住友化学(株)製のスミライザーGP(「スミライザー」は登録商標)として商業的に入手可能である。
又、亜リン酸エステル系化合物(C)として、一般式(8)で表される亜リン酸エステル系化合物も利用できる。
一般式(8):
Figure 2018124369
(式中、R11〜R18は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基又はアルケニル基を示す。R11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18とは、互いに結合して環を形成していても良い。R19〜R22は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。d〜gは、それぞれ独立して、0〜5の整数である。X1〜X4は、それぞれ独立に、単結合又は炭素原子を示す。X1〜X4が単結合である場合、R11〜R22のうち、当該単結合に繋がった官能基は一般式(8)から除外される)
一般式(8)で表される化合物の具体例としては、例えばビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトが挙げられる。これは、Dover Chemical社製、商品名「Doverphos(登録商標) S−9228」、ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−45」(ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト)として商業的に入手可能である。
上述した化合物の他に、本発明においては、亜リン酸エステル系化合物(C)として、一般式(9)で表される、スピロ環骨格を有する亜リン酸エステル系化合物のうち、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト以外のものを利用できる。当該化合物を使用すると、上述したように、特定のエーテル誘導体と作用する結果、樹脂組成物の耐加水分解性を低下させる虞が高いためである。
一般式(9):
Figure 2018124369
(式中、R9及びR10は、それぞれ独立して、炭素数1〜20のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよいアリール基を示し、b及びcは、それぞれ独立して、0〜3の整数を示す)
一般式(9)で表される化合物の具体例としては、例えば
ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト、フェニルビスフェノールAペンタエリスリトールジフォスファイト等が挙げられる。ビス(2,4−ジ−tert−ブチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトは、ADEKA社製、商品名「アデカスタブPEP−24G」として商業的に入手可能である。
本発明にて使用される亜リン酸エステル系化合物(C)の量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.01〜0.5質量部であり、0.02〜0.2質量部であることが好ましい。亜リン酸エステル系化合物(C)の量が0.01質量部未満の場合は、光線透過率及び色相の向上効果が不充分である。逆に亜リン酸エステル系化合物(C)の量が0.5質量部を超える場合も光線透過率及び色相の向上効果が不充分である。
なお、上述した亜リン酸エステル系化合物(C)は、1種類を単独で使用しても良いし、2種類以上を併用しても良い。
<エポキシ化合物(D)>
本発明に係るポリカーボネート樹脂組成物は、更に、エポキシ化合物(D)を含有する。上述したポリエーテル誘導体(B)とエポキシ化合物(D)とを併用することにより、高温成形して得た成形品を高温高湿度条件下にて長期間暴露した場合における色相の変化をより抑制することができる。
エポキシ化合物(D)としては、1分子中にエポキシ基を1個以上有する化合物が用いられる。エポキシ化合物(D)の具体的としては、フェニルグリシジルエーテル、アリルグリシジルエーテル、t−ブチルフェニルグリシジルエーテル、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、2,3−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4−(3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシル)ブチル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシシクロヘキシルエチレンオキシド、シクロヘキシルメチル3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル−6’−メチルシロヘキシルカルボキシレート、ビスフェノール−Aジグリシジルエーテル、テトラブロモビスフェノール−Aグリシジルエーテル、ビス−エポキシジシクロペンタジエニルエーテル、ビス−エポキシエチレングリコール、ビス−エポキシシクロヘキシルアジペート、ブタジエンジエポキシド、テトラフェニルエチレンエポキシド、オクチルエポキシタレート、エポキシ化ポリブタジエン、シクロヘキシル−2−メチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2−イソプロピル−3,4−エポキシ−5−メチルシクロヘキシルカルボキシレート、オクタデシル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、2−エチルヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,6−ジメチル−2,3−エポキシシクロヘキシル−3’,4’−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、3,4−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3,5−ジメチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、3−メチル−5−t−ブチル−1,2−エポキシシクロヘキサン、オクタデシル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、N−ブチル−2,2−ジメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート、4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、3−t−ブチル−4,5−エポキシ無水テトラヒドロフタル酸、ジエチル4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、ジ−n−ブチル−3−t−ブチル−4,5−エポキシ−シス−1,2−シクロヘキシルジカルボキシレート、フタル酸のジグリシジルエステル、ヘキサヒドロフタル酸のジグリシジルエステル、エポキシ化大豆油、エポキシ化アマニ油等が挙げられる。これらのエポキシ化合物は、単独で用いても良いし、2種類以上を併用しても良い。
上述した化合物の中でも、脂環族エポキシ化合物がより好ましく、3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートが更に好ましい。3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレートは、株式会社ダイセル製の「商品名:セロキサイド2021P」として商業的に入手可能である。
本発明にて使用されるエポキシ化合物(D)の量は、ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、0.001〜0.2質量部であり、0.005〜0.05質量部であることが好ましい。エポキシ化合物(D)の量がこの範囲を外れる場合、高温成形した成形品の色相安定性が低下する。
本発明においては、本発明のポリカーボネート樹脂組成物から射出成形された試験片(全長168mm×厚さ4mm)について、85℃、90%RH条件の恒温恒湿槽に1000時間放置する加水分解試験を実施し、波長380〜780nmの領域における積算透過率の該加水分解試験前後の変化量が2000以下であり、かつ黄色度の試験前後の変化量が20以下であることが好ましい。積算透過率の変化量が2000を越える場合、所望の透明度が得られない。又、黄色度の変化量(△YI)が20を越える場合も透明度は得られない。
さらに、本発明にて使用されるポリカーボネート樹脂組成物には、本発明の効果を損なわない範囲で、例えば、熱安定剤、酸化防止剤、着色剤、離型剤、軟化剤、帯電防止剤、衝撃性改良剤等の各種添加剤、ポリカーボネート樹脂(A)以外のポリマー等が適宜配合されていてもよい。
本発明におけるポリカーボネート樹脂組成物の製造方法には特に限定がなく、ポリカーボネート樹脂(A)、特定のテトラメチレングリコール誘導体(B)、及び亜リン酸エステル系化合物(C)、必要に応じて前記各種添加剤やポリカーボネート樹脂(A)以外のポリマー等について、各成分の種類及び量を適宜調整し、これらを、例えばタンブラー、リボンブレンダー等の公知の混合機にて混合する方法や、押出機にて溶融混練する方法が挙げられる。これらの方法によりポリカーボネート樹脂組成物のペレットを容易に得ることができる。
前記のごとく得られるポリカーボネート樹脂組成物のペレットの形状及び大きさには特に限定がなく、一般的な樹脂ペレットが有する形状及び大きさであればよい。例えば、ペレットの形状としては、楕円柱状、円柱状等が挙げられる。ペレットの大きさとしては、長さが2〜8mm程度であることが好適であり、楕円柱状の場合、断面楕円の長径が2〜8mm程度、短径が1〜4mm程度であることが好適であり、円柱状の場合、断面円の直径が1〜6mm程度であることが好適である。なお、得られたペレット1つずつがこのような大きさであってもよく、ペレット集合体を形成する全てのペレットがこのような大きさであってもよく、ペレット集合体の平均値がこのような大きさであってもよく、特に限定はない。
本発明の導光フィルムは、これらペレットを用いて押出成形等することによってフィルムを得る。フィルムの製造方法には特に限定がなく、例えば、公知のTダイ押出成形法、カレンダ成形法等の従来の成形法を用いることができる。
公知の射出成形法、圧縮成形法等によりポリカーボネート樹脂組成物をシート状成形品を得て、必要に応じて、シート状成形品から切削加工などによって所望の厚みのフィルムに加工してもよい。導光フィルムの厚みは、コンパクト化の要求に応えるために600μm以下が好ましい、特に好ましくは400μmである。
以上のように、本出願において開示する技術の例示として、実施の形態を説明した。しかしながら、本発明における技術は、これに限定されず、適宜、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施の形態にも適用可能である。
以下に、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に制限されるものではない。なお、特にことわりがない限り、「部」及び「%」はそれぞれ質量基準である。
原料として以下のものを使用した。
1.ポリカーボネート樹脂(A)
ビスフェノールAと塩化カルボニルとから合成されたポリカーボネート樹脂
カリバー200−80
(商品名、住化スタイロンポリカーボネート(株)製、「カリバー」はスタイロン ユーロップ ゲーエムベーハーの登録商標、粘度平均分子量:15000、以下「PC」という)
2.ポリエーテル誘導体(B)
2−1.ポリオキシテトラメチレンポリオキシプロピレングリコール(ランダムタイプ)
ポリセリンDCB−2000
(商品名、日油(株)製、重量平均分子量:2000、以下「化合物B1」という)
2−2.ポリオキシテトラメチレンポリオキシプロピレングリコール(ランダムタイプ)
ポリセリンDCB−1000
(商品名、日油(株)製、重量平均分子量:1000、以下「化合物B2」という)
2−3.エチレングリコールユニットとプロピレングリコールユニットからなる変性グリコール:
HO−(CH2CH2O)17(CH2CH(CH3)O)17−H
ユニルーブ50DE−25
(商品名、日油(株)製、重量平均分子量:1750、以下「化合物B3」という)
2−3.ポリテトラメチレンエーテルグリコール
PTG−1000
(商品名、保土谷化学工業(株)製、重量平均分子量:1000、以下「化合物B4」という)
3.亜リン酸エステル系化合物(C)
3−1.以下の式で表される、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイト
Figure 2018124369
イルガフォス168
(商品名、BASF社製、以下「化合物C1」という)
3−2.以下の式で表される、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−〔3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ〕ジベンゾ〔d,f〕〔1,3,2〕ジオキサホスフェピン
Figure 2018124369
スミライザーGP
(商品名、住友化学(株)製、以下「化合物C2」という)
3−3.以下の式で表される、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト(IUPAC名:3,9−ビス[2,4−ビス(α,α−ジメチルベンジル)フェノキシ]−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5.5]ウンデカン)
Figure 2018124369
Doverphos S−9228(商品名、Dover Chemical社製、以下「化合物C3」という)
3−2.以下の式で表される、ビス(2,4−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイト(IUPAC名:3,9−ビス(2,6−ジ−tert−ブチル−4−メチルフェノキシ)−2,4,8,10−テトラオキサ−3,9−ジホスファスピロ[5,5]ウンデカン)
Figure 2018124369
アデカスタブPEP−36(商品名、ADEKA製、以下「化合物C4」という)
4.エポキシ化合物(D)
3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキシルカルボキシレート
セロキサイド2021P
(商品名、(株)ダイセル製)
表1に示す原料を表1に示す割合にて一括してタンブラーに投入し、10分間乾式混合した後、二軸押出機((株)日本製鋼所製、TEX30α)を用いて、溶融温度220℃にて溶融混練し、ポリカーボネート樹脂組成物のペレットを得た。なお、実施例及び比較例で得られたペレットは、いずれも、ほぼ楕円柱状であり、ペレット100個からなる集合体は、各々、長さの平均値が約5.0mm、約5.1mm、約5.0mm及び約5.2mm、断面楕円の長径の平均値が約3.9mm、約4.1mm、約4.0mm及び約4.3mm、短径の平均値が約2.6mm、約2.4mm、約2.5mm及び約2.9mmであった。
得られたペレットを用い、以下の方法にしたがって、各評価用試験片を作製して評価に供した。
(試験片の作製方法)
得られたペレットを120℃で4時間以上乾燥した後、射出成形機(ファナック(株)製、ROBOSHOT S2000i100A)を用い、成形温度300℃、金型温度80℃にて、JIS K 7139「プラスチック−試験片」にて規定の多目的試験片A型(全長168mm×厚さ4mm)を作製した。この試験片の端面を切削し、切削端面について、樹脂板端面鏡面機(メガロテクニカ(株)製、プラビューティーPB−500)を用いて鏡面加工した。
(積算透過率の評価方法)
分光光度計((株)日立製作所製、UH4150)に長光路測定付属装置を設置し、光源として50Wハロゲンランプを用いて、光源前マスク5.6mm×2.8mm、試料前マスク6.0mm×2.8mmを使用した状態で、波長380〜780nmの領域で1nm毎の、試験片各々の分光透過率を、試験片の全長方向について測定した。測定した分光透過率を積算し、十の位を四捨五入することにより、各々の積算透過率を求めた。なお、積算透過率が30000以上を良好(表中、○で示す)、30000未満を不良(表中、×で示す)とした。
(黄色度の評価方法)
積算透過率の評価方法において測定した分光透過率に基づき、標準光源D65を用い、10度視野にて各々の黄色度(以下、YI)を求めた。なお、YIが20以下を良好(表中、○で示す)、20を超えると不良(表中、×で示す)とした。
(成形品の耐加水分解性の評価)
上記で作製した試験片を恒温恒湿槽(ADVANTEC社製恒温恒湿器AG-327)の中に設置し、85℃、90%RH条件下で1000時間、加水分解試験を行った。試験前後の試験片の積算透過率及び黄色度(以下、YI)を測定し、Δ積算透過率(積算透過率の差)及びΔYI(YIの差)を求めた。Δ積算透過率及びΔYIとは、試験前後の積算透過率及び黄色度の変化の程度を表し、Δ積算透過率及び△YIが小さい程、透過率の低下及び変色が少なく、耐加水分解性に優れている。Δ積算透過率の評価基準としては、Δ積算透過率の値が2000以下であるものを良好(○)、2000より大きいものを不合格(×)とした。△YIの評価基準としては、△YIの値が20以下であるものを合格(○)、20.0より大きいものを不良(×)とした。
(押出成形性評価(外観及びロール汚れ))
得られた各種樹脂組成物のペレットを、押出シート成形機(田辺プラスチックス製単軸40mmシート押出機)を用いて、スクリュウ回転数90rpm、溶融温度260℃の条件にて幅250mm、厚み0.5mmのシートを成形して得られたシートの外観及び成形時の揮発成分によるロール表面の汚れを目視にて観察した。
評価は、次の判断基準で評価した。
良好:◎・・・・表面に筋状のマークが無く、ロール表面の汚れが無い
普通:○・・・・表面に筋状のマークが無く、ロール表面の汚れが少し発生。
劣る:×・・・・表面に筋状のマークが無く、ロール表面の汚れが著しく発生。
上記の良好から普通以上を合格とした。
表1及び表2に、各実施例及び比較例の原料及び配合割合、評価結果を併せて示す。
Figure 2018124369
Figure 2018124369
実施例1〜11のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)に、特定のポリエーテル誘導体(B)と、亜リン酸エステル系化合物(C)と、エポキシ化合物(D)が、それぞれ上述した特定の割合で配合されたものである。
実施例1〜11のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリカーボネート樹脂(A)が本来有する耐熱性が損なわれることがなく、しかも成形温度360℃と高温で成形加工した場合でも光線透過率に優れている。そして、このようなポリカーボネート樹脂組成物を成形した成形品は、高温で成形加工した場合でも黄色度が小さく色相に優れている。
実施例1〜11のポリカーボネート樹脂組成物には、亜リン酸エステル系化合物(C)として、上述した一般式(6)〜(8)で表される化合物を使用したため、可視領域での光線透過率、高温で成形加工した場合の光線透過率及び高温で成形加工した場合の色相が良好である。又、実施例1〜10のポリカーボネート樹脂組成物には、上記の式(2)で表される亜リン酸エステル系化合物(C4)を含まないため、加水分解試験後においても光線透過率の低下及び黄色度の変化が小さく、耐加水分解性に優れている。
これに対して、比較例1のポリカーボネート樹脂組成物は、ポリエーテル誘導体及びエポキシ化合物を実施例と同程度配合したものであるが、亜リン酸エステル系エステル化合物として、上記の式(2)に示した化合物(C4)を使用したため、加水分解試験後の積算透過率が低下し、黄色度の変化量も大きく、耐加水分解性に劣っている。
以上のように、本発明における技術の例示として、実施の形態を説明した。そのために、詳細な説明を提供した。
したがって、詳細な説明に記載された構成要素の中には、課題解決のために必須な構成要素だけでなく、上記技術を例示するために、課題解決のためには必須でない構成要素も含まれ得る。そのため、それらの必須ではない構成要素が詳細な説明に記載されていることをもって、直ちに、それらの必須ではない構成要素が必須であるとの認定をするべきではない。
又、上述の実施の形態は、本発明における技術を例示するためのものであるから、特許請求の範囲又はその均等の範囲において種々の変更、置き換え、付加、省略などを行うことができる。
本発明における導光フィルムは、ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなり、ポリカーボネート樹脂が本来有する耐熱性、機械的強度等の特性が損なわれることがなく、光線透過率が高く、しかも高温で成形加工した場合でも光線透過率に優れたものである。よって、例えば厚さ0.3mm程度の薄型のライトガイドであっても、色相が変化して外観が低下することや、高温成形を経て樹脂そのものが劣化することが少なく、高温高湿度条件下で長時間さらされた場合でも積算透過率低下、色相変化の少ない、長期信頼性の高い製品を得ることが可能となり、極めて工業的利用価値が高い。

Claims (9)

  1. ポリカーボネート樹脂組成物を成形してなる導光フィルムであって、該ポリカーボネート樹脂組成物が、ポリカーボネート樹脂(A)と、下記一般式(1)で表されるポリエーテル誘導体(B)と、下記式(2)で表される化合物を除く亜リン酸エステル系化合物(C)と、エポキシ化合物(D)とを含有し、前記ポリカーボネート樹脂(A)100質量部に対して、前記ポリエーテル誘導体(B)の量が0.1〜2.0質量部であり、前記亜リン酸エステル系化合物(C)の量が、0.01〜0.5質量部であり、前記エポキシ化合物(D)の量が0.001〜0.2質量部であることを特徴とする、導光フィルム。
    一般式(1):
    RO−(X−O)m(Y−O)n−R’ (1)
    (式中、R及びR’は、それぞれ独立して水素原子又は炭素数1〜30のアルキル基を示し、Xは、炭素数2〜4のアルキレン基を、Yは、炭素数3〜5の分岐アルキレン基を、m及びnは、それぞれ独立して、3〜60の整数を示し、m+nは、8〜90の整数を示す。)
    式(2):
    Figure 2018124369
  2. 前記一般式(1)で表されるポリエーテル誘導体が、下記一般式(3)で表されるポリエーテル誘導体であり、該ポリエーテル誘導体の重量平均分子量が1000〜4000である、請求項1記載の導光フィルム。
    一般式(3):
    HO−(CHCHCHCHO)m(CHCH(CH)O)n−H
    (式中、m及びnは、それぞれ独立して、3〜60の整数を示し、m+nは、8〜90の整数を示す。)
  3. 前記一般式(1)で表されるポリエーテル誘導体が、下記一般式(4)で表されるポリエーテル誘導体であり、該ポリエーテル誘導体の重量平均分子量が1000〜4000である、請求項1記載の導光フィルム。
    一般式(4):
    O−(CHCH)m(CHCH(CH)O)n−H
    (式中、m及びnは、それぞれ独立して、3〜60の整数を示し、m+nは、8〜90の整数を示す。)
  4. 前記一般式(1)で表されるポリエーテル誘導体が、下記一般式(5)で表されるポリエーテル誘導体であり、該ポリエーテル誘導体の重量平均分子量が1000〜4000である、請求項1記載の導光フィルム。
    一般式(5):
    HO−(CHCHO)m(CHCH(CH)O)n−H
    (式中、m及びnは、それぞれ独立して、3〜60の整数を示し、m+nは、8〜90の整数を示す。)
  5. 前記亜リン酸エステル系化合物(C)が、下記一般式(6)、(7)及び(8)で表される化合物から選択された1種以上の化合物である、請求項1記載の導光フィルム。
    一般式(6):
    Figure 2018124369
    (式中、R1は、炭素数1〜20のアルキル基又はアルキル基で置換されていてもよいアリール基を示し、aは、0〜3の整数を示す。)
    一般式(7):
    Figure 2018124369
    (式中、R2、R3、R5及びR6は、それぞれ独立して、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基、炭素数5〜8のシクロアルキル基、炭素数6〜12のアルキルシクロアルキル基、炭素数7〜12のアラルキル基又はフェニル基を示す。R4は、水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。Xは、単結合、硫黄原子又は式:−CHR7−(ここで、R7は、水素原子、炭素数1〜8のアルキル基又は炭素数5〜8のシクロアルキル基を示す)で表される基を示す。Aは、炭素数1〜8のアルキレン基又は式:*−COR8−(ここで、R8は、単結合又は炭素数1〜8のアルキレン基を示し、*は、酸素側の結合手であることを示す)で表される基を示す。Y及びZは、いずれか一方がヒドロキシル基、炭素数1〜8のアルコキシ基又は炭素数7〜12のアラルキルオキシ基を示し、もう一方が水素原子又は炭素数1〜8のアルキル基を示す。)
    一般式(8):
    Figure 2018124369
    (式中、R11〜R18は、それぞれ独立に、炭素数1〜3のアルキル基又はアルケニル基を示す。R11とR12、R13とR14、R15とR16、R17とR18とは、互いに結合して環を形成していても良い。R19〜R22は、それぞれ独立に、水素原子又は炭素数1〜20のアルキル基を示す。d〜gは、それぞれ独立して、0〜5の整数である。X1〜X4は、それぞれ独立に、単結合又は炭素原子を示す。X1〜X4が単結合である場合、R11〜R22のうち、当該単結合に繋がった官能基は一般式(8)から除外される)
  6. 前記一般式(6)で表される化合物が、トリス(2,4−ジ−t−ブチルフェニル)フォスファイトである、請求項5記載の導光フィルム。
  7. 前記一般式(7)で表される化合物が、2,4,8,10−テトラ−t−ブチル−6−[3−(3−メチル−4−ヒドロキシ−5−t−ブチルフェニル)プロポキシ]ジベンゾ[d,f][1,3,2]ジオキサホスフェピンである、請求項5記載の導光フィルム。
  8. 前記一般式(8)で表される化合物が、ビス(2,4−ジクミルフェニル)ペンタエリスリトールジフォスファイトである、請求項5記載の導光フィルム。
  9. 前記エポキシ化合物(D)が3’,4’−エポキシシクロヘキシルメチル−3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシレートである、請求項1記載の導光フィルム
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