JP2018123232A - バイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法及び処理装置 - Google Patents

バイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法及び処理装置 Download PDF

Info

Publication number
JP2018123232A
JP2018123232A JP2017016135A JP2017016135A JP2018123232A JP 2018123232 A JP2018123232 A JP 2018123232A JP 2017016135 A JP2017016135 A JP 2017016135A JP 2017016135 A JP2017016135 A JP 2017016135A JP 2018123232 A JP2018123232 A JP 2018123232A
Authority
JP
Japan
Prior art keywords
biomass
oxide semiconductor
heat treatment
tar
gas
Prior art date
Legal status (The legal status is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the status listed.)
Pending
Application number
JP2017016135A
Other languages
English (en)
Inventor
仁 水口
Hitoshi Mizuguchi
仁 水口
正彦 金子
Masahiko Kaneko
正彦 金子
高橋 宏雄
Hiroo Takahashi
宏雄 高橋
Current Assignee (The listed assignees may be inaccurate. Google has not performed a legal analysis and makes no representation or warranty as to the accuracy of the list.)
Jintec Corp
Original Assignee
Jintec Corp
Priority date (The priority date is an assumption and is not a legal conclusion. Google has not performed a legal analysis and makes no representation as to the accuracy of the date listed.)
Filing date
Publication date
Application filed by Jintec Corp filed Critical Jintec Corp
Priority to JP2017016135A priority Critical patent/JP2018123232A/ja
Publication of JP2018123232A publication Critical patent/JP2018123232A/ja
Pending legal-status Critical Current

Links

Images

Classifications

    • YGENERAL TAGGING OF NEW TECHNOLOGICAL DEVELOPMENTS; GENERAL TAGGING OF CROSS-SECTIONAL TECHNOLOGIES SPANNING OVER SEVERAL SECTIONS OF THE IPC; TECHNICAL SUBJECTS COVERED BY FORMER USPC CROSS-REFERENCE ART COLLECTIONS [XRACs] AND DIGESTS
    • Y02TECHNOLOGIES OR APPLICATIONS FOR MITIGATION OR ADAPTATION AGAINST CLIMATE CHANGE
    • Y02EREDUCTION OF GREENHOUSE GAS [GHG] EMISSIONS, RELATED TO ENERGY GENERATION, TRANSMISSION OR DISTRIBUTION
    • Y02E50/00Technologies for the production of fuel of non-fossil origin
    • Y02E50/30Fuel from waste, e.g. synthetic alcohol or diesel

Landscapes

  • Industrial Gases (AREA)
  • Processing Of Solid Wastes (AREA)

Abstract

【課題】タールを発生することなく、バイオマスから可燃ガスを回収する方法及び処理装置を提供する。【解決手段】被処理物であるバイオマスを加熱処理室に設置し、加熱処理室内の六方の壁付近には酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体を被処理物を包囲するように配置し、構造体の内加熱処理室の排気口付近に配置する構造体は酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体を複数段重ねたものとする。加熱処理室が酸素欠乏状態で加熱され、酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されると、酸化物半導体の熱活性効果により、被処理物から発生したガスが構造体を通過する際に低分子化されたガスとなり、排気口へ導かれるガスをタールを含まない可燃ガスとして回収することができる。【選択図】図1

Description

本発明はバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法及び処理装置に関する。
近年、再生可能エネルギーを促進し、エネルギー源の石炭や石油等の化石エネルギー、あるいは原子力発電への依存性を下げる試みが盛んに行われている。再生可能エネルギーとしては、太陽電池発電(天候に左右される)、風力発電(風任せ)と並びバイオマス発電が有力視されている。中でもバイオマス発電は、ドイツ、オーストリア、デンマーク、フィンランド等の国々が世界をリードしている。しかし、どの国でも大きな問題となっているのは、木質バイオマスから発生するタールが発電機の中で炭化し、発電を停止させてしまうことである。つまり、バイオマス発電の稼働率を上げられないこと、ないしはメンテナンス無しの連続運転が出来ないことが問題である。この為、木質バイオマスの工夫(ペレット、切削チップ、ホワイトチップ等)やタールの発生を抑えるガス化の開発、タールの除去技術などが盛んに検討されている。バイオマス発電には木材の安定確保の問題もあるが、タールの問題さえクリヤー出来れば、再生化エネルギーとしては極めて有望である。
バイオ発電はバイオマス(木材)を500−1000℃ガス化で加熱し、発生する可燃ガスを燃料としてディーゼル発電機を運転して電力を確保する方法である。しかし、比較的低温のガス化ではタールが発生しやすく、パイプ内での付着や閉塞がおこり、さらに最大の問題は発電機でタールが炭化し、発電機が停止することである。つまり、連続運転が出来ないこと、従って、定期的に頻繁に発電機内を掃除するなどのメンテナンスが必要となることである。最も簡単筒型の固定床炉あるいはシャフト炉と呼ばれる炉にもアップドラフト型とダウンドラフト型があり、ダルンドラフト型はタールの発生が圧倒的に少ないことが知られている。しかしタールの発生をある程度抑制は出来ても、タール・フリーの可燃ガスを調製することは難題である。タールの発生を抑制するには、流動床、さらに加圧流動床ガス化炉による試みもある。また、発生したタールを分解除去するために、タールを含み可燃ガスを1000−1100℃まで加熱してタールを分解し、さらに水で急冷してスクラバー等で処理する方式などがある。しかし、このタールを含んだ排水の処理も環境問題となる。また、触媒、水蒸気により分解・改質する方法もあるが、熱効率、信頼性の観点から未だに課題が残っている。結局、タール・フリーの可燃ガスを取り出す新規な方法の開発がバイオマス発電の本格的な実用化の鍵であることは誰しもが認めるところである。
タールの問題点をさらに詳しく説明する。タールは「あらゆる有機物のガス化における熱、または部分酸化の段階で生成した有機物をタールと呼び、一般的にその大部分は芳香族である」と一般的に定義されている。木材は植物性のポリマーであり、セルロース(単糖環が一次元的に結合したポリマー:分子量は1万程度)、ヘミセルロース(非セルロース系の多糖類:分子量は300程度)、リグニン(モノマー構成をとらない芳香族ポリマー)から構成される鉄筋コンクリートの構造と類似している。つまり、セルロース(40−50%)は一次元的な鉄筋、ヘミセルロース(15−35%)は鉄筋を束ねて縛りあげる補強ポリマー、リグニン(18−35%)は接着材のような芳香族系のポリマーで鉄筋の間の隙間を結着剤として埋める役割である。特に、リグニンは分解しても芳香族環を持ったフェノール、クレゾール等のタールを生成する。従って、バイオマスのガス化では、上記3種類のポリマーの中で一番ガス化しにくいリグニンに起因するタールの生成が避けられない。
本発明者の一人はポリマー、ガス体等の有機物からなる被処理物を分解する方法として、半導体を真性電気伝導領域となる温度に加熱して電子・正孔キャリアーを大量に発生させ、被処理物を加熱処理により発現した強力な酸化力を持つ正孔に接触させ、酸素の存在下において被処理物を完全分解する「半導体の熱活性」(Thermal Activation of Semi−Conductors: 以下TASCと略称)による処理方法について提案した(特許文献1、非特許文献1)。この現象は、半導体を350−500℃に加熱すると強い酸化作用(結合電子を引き抜く力が強い)を発現する効果で、ポリマーから結合電子を引き抜くと、不安定なラジカルがポリマー内に生成し、これがポリマー内を伝播して、ポリマー全体を不安定化する。不安定化したポリマーは安定性を維持できずに、自滅するような形で裁断化が誘起され、プロパン等の小分子に裁断化される。続いて、裁断化された小分子は空気中の酸素と反応して、炭酸ガスと水に完全分解される。つまり、あらゆるポリマー(熱可塑性ポリマー、熱硬化性ポリマー)はTASC触媒により、酸素の存在下で、一瞬にして炭酸ガスと水に分解される。
TASC法で使用できる半導体は高温、酸素雰囲気で安定な半導体であれば良い。従って、酸化物半導体が好んで用いられる。酸化物半導体の例として、BeO、CaO、CuO、CuO、SrO、BaO、MgO、NiO、CeO、MnO、GeO、PbO、TiO、VO、ZnO、FeO、PdO、AgO、TiO、MoO、PbO、IrO、RuO、Ti、ZrO、Y、Cr、ZrO、WO、MoO、WO、SnO、Co、Sb、Mn、Ta、V、Nb、MnO、Fe、YS、MgFe、NiFe、ZnFe、ZnCo、MgCr、FeCrO、CoCrO、CoCrO、ZnCr、CoAl、NiAl等がある。この中で、酸化クロム(Cr)は高温安定性(融点:約2200℃)に優れ、さらに飲料用のガラス瓶の染色にも使われる安全な材料である。また、酸化鉄(α−Fe:ヘマタイト)は安全で廉価な材料であるので実用性が高い。
また、繊維強化プラスチックに同じTASC法を用いて、プラスチックを完全分解し、カーボン・ファイバーやグラス・ファイバー等の強化繊維をほぼ無傷で完全回収する方法を提案した(特許文献2、非特許文献2)。この方法は特にコストの高いカーボン・ファイバー等の繊維を切断するなどのダメージを与えることなく強化繊維を回収して再使用することができるので、非常に有用であり、強化繊維に限らず、無機物とポリマーを混合した複合材料から無機物だけを回収できる普遍性のある方法である。
さらに、加熱処理室にVOC(Volatile Organic Compounds、揮発性有機化合物)浄化装置を連結し、合わせガラスなどのプラスチックまたはプラスチック複合材料をTASC法により分解し、無害のガスに浄化する処理装置についても提案した(特許文献3)。
TASC法で用いる酸化物半導体をTASC触媒と呼ぶが、この触媒は「何回でも使うことが出来る」と言う意味で「触媒」に分類される。しかし、通常の化学触媒とは全く異なる機能を有する。化学触媒は、触媒物質と反応物質が活性錯合体を形成し、活性化エネルギーを下げて反応をより低温で進行させるものである。これに対し、TASC触媒は、上述のメカニズムにより、ポリマー等の被分分解物を不安定化し、さらに小分子化して十分な酸素下で完全燃焼させるものである。
このように、TASC効果を利用した有機物の気体(VOC、排煙、悪臭など)あるいはミスト状のタール、PM等の完全分解を実現してきた。さらに、固体では、ポリマー複合化合物のポリマーのみを分解し、中から有価物を回収することに利用してきた。その例として、FRP(Fiber Reinforced Plastics:繊維強化プラスチック)から炭素繊維、太陽電池パネルから、ガラス、シリコン・ウェーファー、電極、さらにボンド磁石からレアアース粉体、合わせガラスからガラスの回収に及んでいる。
これらの応用例は、ポリマー等の巨大分子をTASC法により裁断化し、裁断化されたて分子を空気中の酸素と反応させて水とを炭酸ガスに分解するものであった。このポリマー分解は原則として、バイオマスのような植物性ポリマー(セルロース、ヘミセルロース、リグニン等から構成)にも適用される。見方をかえると、このTASC法を酸素欠乏状態で行えば、(裁断化された小分子は燃焼せずに)可燃ガスを効率良く、タール・フリーの状態で取り出せると考えた。これが本願で扱う「バイオマスのタール・フリーのガス化」の課題である。可燃ガスをディーゼル発電機の燃料として使うバイオマス発電等では、大量の可燃ガスが求められるので、我々のガス化装置も特別な工夫が必要となる。なお、本願におけるバイオマスは木質バイオマスを対象にしている。
特許第4517146号 特許第5904487号 特開2016−172246号公報
T. Shinbara, T. Makino, K. Matsumoto, and J. Mizuguchi: Complete decomposition of polymers by means of thermally generated holes at high temperatures in titanium dioxide and its decomposition mechanism, J. Appl. Phys. 98, 044909 1−5 (2005) 水口 仁:半導体の熱活性によるFRPの完全分解とリサイクル技術、加工技術 47巻, 37−47 (2012)
以上の問題点に鑑み、本発明はタールを発生することなく、バイオマスから可燃ガスを回収する方法及び処理装置を提供することを目的とする。
本発明に係るバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法は、被処理物であるバイオマスを加熱処理室に設置し、前記加熱処理室内の六方の壁付近には酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体が前記被処理物を包囲するように配置され、前記構造体の内、前記加熱処理室の排気口付近に配置される構造体は前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体を複数段重ねたものであり、前記加熱処理室は酸素欠乏状態で加熱され、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより、前記被処理物から発生したガスが前記構造体を通過する際に低分子化されたガスとなり、排気口へ導かれるガスをタールを含まない可燃ガスとして回収することを特徴とする。
また、本発明に係るバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する処理装置は、被処理物であるバイオマスを設置する加熱処理室を有し、前記加熱処理室は加熱処理により発生するガスを排出する排気口を有し、前記加熱処理室内の六方の壁付近には酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体が前記被処理物を包囲するように配置され、前記構造体の内、前記排気口付近に配置される構造体は前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体を複数段重ねたものであり、前記加熱処理室は酸素欠乏状態で加熱され、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより、前記被処理物から発生したガスが前記構造体を通過する際に低分子化されたガスとなり、排気口へ導かれるガスをタールを含まないガスとして回収することを特徴とする。
前述したように、バイオマスは植物性のポリマーであるので、(ポリマー分解の実績のある)我々のTASC法で植物ポリマーを酸素欠乏状態で小分子に裁断し、タールの発生を伴わない新規なガス化システムを構築した。我々のガス化手法は、500℃程度の比較的低温化で、タール・フリーの可燃ガスを調製することに大きな特徴がある。また、従来法のガス化プロセスでは、タールの発生を不可避と考え、タールを効率良く、かつ完全に除去技術の開発に注がれていたが、ガス化のプロセスを抜本的に置き換える新規プロセスである。
バイオマスには色々な種類があり、ガス化の温度にもバラツキが出ることが想定されるので、周到な二重、三重のタール対策を講じる必要がある。TASC法が有効に使われるガス化プロセスは、図2に示す3つのプロセスである。これを3段階システムと呼ぶ。
まずバイオチップの前処理であるが、この処理はバイオチップにTASC触媒を塗布する工程である。木質バイオマスは植物ポリマーであるから、バイオチップにTASC触媒を接触させることで、小分子化できる。手っ取り早い方法は、バイオチップを触媒で被覆することである。
バイオマスを通常のガス化法で処理すると揮発分は約84%、固定炭素分は約15%、灰分は約1%である。固定炭素となるのは、ガス化の過程で、木材の表面に炭化層が形成され、これが燃焼反応を阻害することは広く知られている。これは、炭素の酸素指数(Oxygen Index)が高いと言うことである。火事の時に炎の中を「スス」が通り抜けることと同じ現象である。固定炭素の形成をさけるには、TASC触媒と木材チップを接触させ、セルロース等のポリマーを小分子化し、揮発分を99%程度に高めることが出来る。
バイオチップの触媒被覆は、水に可溶なポリマーをバインダーとして、触媒としては極めて安価な酸化物半導体(例えば酸化鉄)の懸濁液を調製し、この中に木片を浸すディップ法で付着させるか、スプレー法で木材チップに噴霧することで達成される。酸化物半導体と木材チップの接触点でラジカルが発生し、これがポリマー内を伝播・増殖するので、被覆膜がチップ全体を覆っている必要もなく、付着膜の一様性も問題にならない。
第2段階目のプロセスは、ガス化炉の中に、触媒を担持したセラミック体を炉内の内壁全面に設置することである。特に、可燃ガスの出口となる電気炉の排気口付近には、セラミック体を複数積層することが重要である。この全面内張はセラミック体のハウスのようなもので、この中で発生するタールを含むガスがハウスを通過する際に小分子化される。
第3段階目のプロセスは、ガス化炉から排出される可燃ガス内に(バイオマスの種類や処理量、ガス化温度により)僅かにタールが残存する場合を想定した補助プロセスであり、このタール分を小分子化する為の外付けのTASC型のVOC浄化装置の設置である。
本発明によれば、タールを発生することなく、バイオマスから可燃ガスを回収することができ、そのままディーゼルエンジンの燃料などとして使うことが可能である。
バイオマスからタール・フリーでガスを回収する処理装置を示す図である。 バイオマスのガス化3段階システムを示す図である。 セラミックフォーム全面内張型ガス化処理装置を示す図である。 セラミックフォーム単層型ガス化処理装置を示す図である。
図1はバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する処理装置の全体図を示す。処理の流れは以下のようである。まず被処理物であるバイオマス1のチップを電気炉3の加熱処理室4内の試料台2に設置する。加熱処理室4にはエアが積極的には導入されず、加熱により加熱処理室は酸素欠乏状態となる。加熱処理により発生するガスは排気口5から排出される。加熱処理室4内の被処理物の上下、左右、前後の六方の壁付近には酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体6が被処理物を包囲するように配置されている。加熱処理室の排気口付近に配置される構造体は酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体を複数段重ねたものである。通気性を有する構造体6としては3次元セラミック体を用いるのが良く、酸化物半導体としては安定性に優れたCrを多くの場合に用いる。酸素欠乏状態において、酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体6が加熱されると、TASC効果により構造体6を通過するガスが低分子化され、ガスの流れ7に沿ってタールを含まない可燃ガスとして排気口5から排出される。排出された可燃ガスを既知の方法にて回収し、ディーゼルエンジンの燃料などとして使用することができる。
バイオマス1には酸化物半導体を接触させておくのが好ましい。ここで用いる酸化物半導体は回収が困難であるので、安価なα−Feを用いるのが良い。バイオマス表面に酸化物半導体を接触させる方法としては、酸化物半導体の懸濁液に被処理物をディップ・コーティングする方法、酸化物半導体を含む溶液を被処理物にスプレーする方法、酸化物半導体を含む溶液を被処理物に“はけ”で塗る方法などのいずれでも良い。
さらに加熱処理室4の排気口5には、酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体6を備えたVOC浄化装置8を連結しておくと良い。TASC効果により、加熱処理室4から排出されVOC浄化装置8を通過するガスはさらに低分子化されてタールを含まない燃料に適したガスとなる。
ガス化炉内でタール処理を行う加熱処理室4内でのTASC効果と、外付けのVOC浄化装置8内でタール処理を行うTASC効果の基本原理は同じである。しかし、実機ベースでは大きな相違があり、注意が必要である。TASC型のVOC浄化装置は大量のVOC浄化を行うことを想定していない。この装置にタール分解を目的として、(タールを含む)大量の可燃ガスを導入すると、VOC浄化装置内で起こる小分子化反応により、莫大な反応熱が発生し、VOC浄化装置の温度は一気に1000℃以上に上昇し、装置が壊れる事態となる。これを避けるには処理能力の高い大型のVOC浄化装置を導入する以外に道はない。
これに対し、加熱処理室4内に等価的にVOC浄化装置を設置したような本願のガス化炉では、炉内の熱源も十分であり、大量の反応熱が発生しても温度の変動は制御できる。従って、本願のような触媒担持体を炉内に配置した一体型のガス化炉はメリットが大きい。
図3に示したように、本願のガス化炉内の全壁には触媒担持セラミック体の内張が設置されている。上部(ガス出口手前)の内張は数cmのセラミック体が積層されて構成されている。約500℃に設定したガス化炉は十分な熱容量があり、全面に内張りしたセラミック体も同温度である。この触媒担持セラミック体ハウスの中でバイオチップのガス化が起こり、タール分を含む可燃ガスは炉内の側面、下部ならびに上部の積層セラミック体を通過する際に、タールは裁断化され小分子となる。内張りの有り無しでは顕著な差が認められた。
ここで重要なことは、触媒を担持するセラミック体の細孔形状である。通常のハニカム(蜂の巣)型の担持体は、ハチの巣状に多数の微細孔が貫通した円筒形、または直方体のセラミック体である。この隔壁表面に触媒を付着させてガスの浄化等に用いる。しかし、貫通構造である為に、穴径が比較的大きい通常のハニカム型では、ガスが隔壁面の触媒と衝突する頻度は以下に述べる3次元構造を持つセラミック体(例えば、セラミックフォーム:ブリヂストン製)に比べ格段に劣る。セラミックフォームはポリウレタンのスポンジの隙間にコージライト組成に近いスラリーを含ませ、約1300℃で焼成(ポリウレタンは焼成過程で分解)して作製する。この3次元焼結体に触媒を担持して使う。ガスは触媒を担持した3次元構造の壁に衝突を繰り返して通過する。今回のガス化で使用したのは、3次元セラミック体である。
内張りの有り無しの効果の定量的な検証法は難しい。タールが残存するか否かの指標は臭い(におい)であるとか、質量分析計での芳香族成分の分析等であるが、決定的な評価方法は実際にディーゼル発電機を回し、運転が止まらないことが一般的な評価法である。質量分析計の評価法は、ある時間の断面における分析法であるので、タールの評価には不向きと言える。可燃ガスは様々な温度で発生するので、タールの評価は、温度や時間の断面における分析ではなく、タールの累積量で行うべきだと考えた。累積法の簡単で説得力のある方法として、可燃ガスの出口にビーカー9を被せるように配置し、ビーカー9内にタールが凝縮するかで判定した。二時間運転した結果では、内張の有無には歴然とした差が認められ、内張を施したガス化炉ではタールの凝縮は全く認められなかった。
比較例1
図4に示した処理装置を用いて、本願の全面内張型ガス化炉との比較実験を行った。図4の装置は
で合わせガラスの処理のために使用した電気炉であり、電気炉の上部のみに単層セラミック体が設置してある。被処理物が合わせガラスの場合はガスの発生が少量のため十分な処理ができたが、被処理物をバイオマスとした場合には、大量のガスを処理するため、大量のタールの発生が排気口5に被せて設置したビーカー9内に観測された。 以上から3次元セラミック体に触媒を担持し、これをガス化炉の全面に張りめぐらせて、かつ排気口付近の構造体を積層した図3の全面内張型の構成は目を見張る効果があることが分かった。 実施例2
酸化物半導体触媒を被覆した木材チップと被覆していない無垢のチップを並べて電気炉内に置き、室温から500℃に加熱すると、被覆したチップは定常的にガス化が進行し、温度も安定して最終的には、1%以下のやや灰色の灰分が残渣として残るのみであった。これに対して、無垢のチップはガス化が起こり始めると暴走し、温度も一時的に上昇する。ガス化が終了した段階では約25%の炭化成分が残存した。
本発明によれば、バイオマスからタールを発生することなく低分子化された可燃ガスを回収することができるので、処理装置を傷めることなくガス化が可能である。回収したガスはそのままディーゼルエンジンの燃料として使用可能であり、従来に比べてはるかに低コストでバイオマスの再利用ができ産業上の利用可能性は大きい。
1 バイオマス
2 試料台
3 電気炉
4 加熱処理室
5 排気口
6 酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体
7 ガスの流れ
8 VOC浄化装置
9 ビーカー
10 Crを担持した3次元セラミック体
11 被処理物

Claims (8)

  1. 被処理物であるバイオマスを加熱処理室に設置し、前記加熱処理室内の六方の壁付近には酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体が前記被処理物を包囲するように配置され、前記構造体の内、前記加熱処理室の排気口付近に配置される構造体は前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体を複数段重ねたものであり、前記加熱処理室は酸素欠乏状態で加熱され、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより、前記被処理物から発生したガスが前記構造体を通過する際に低分子化されたガスとなり、排気口へ導かれるガスをタールを含まない可燃ガスとして回収することを特徴とするバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法
  2. 前記バイオマスの表面には酸化物半導体が接触しており、酸素欠乏状態において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより、前記被処理物である前記バイオマス中のポリマーが分解されてガス化することを特徴とする請求項1記載のバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法。
  3. 前期通気性を有する構造体は3次元構造を持つセラミック体であることを特徴とする請求項1または2に記載のバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法
  4. 前記加熱処理室の前記排気口には、酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体を備えたVOC浄化装置が連結され、前記構造体が酸素欠乏状態において前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることによって、前記加熱処理室から排出され前記VOC浄化装置を通過したガスをタールを含まない可燃ガスとして回収することを特徴とする請求項1ないし3に記載のバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法
  5. 被処理物であるバイオマスを設置する加熱処理室を有し、前記加熱処理室は加熱処理により発生するガスを排出する排気口を有し、前記加熱処理室内の六方の壁付近には酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体が前記被処理物を包囲するように配置され、前記構造体の内、前記排気口付近に配置される構造体は前記酸化物半導体を坦持した通気性を有する構造体を複数段重ねたものであり、前記加熱処理室は酸素欠乏状態で加熱され、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより、前記被処理物から発生したガスが前記構造体を通過する際に低分子化されたガスとなり、排気口へ導かれるガスをタールを含まない可燃ガスとして回収することを特徴とするバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する処理装置。
  6. 前記バイオマスの表面には酸化物半導体が接触しており、酸素欠乏状態において、前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることにより、前記被処理物である前記バイオマス中のポリマーが分解されてガス化することを特徴とする請求項5記載のバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する処理装置。
  7. 前期通気性を有する構造体は3次元構造を持つセラミック体であることを特徴とする請求項5または6に記載のバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する処理装置
  8. 前記加熱処理室の前記排気口には、酸化物半導体を担持した通気性を有する構造体を備えたVOC浄化装置が連結され、前記構造体が酸素欠乏状態において前記酸化物半導体が真性電気伝導領域となる温度以上に加熱されることによって、前記加熱処理室から排出され前記VOC浄化装置を通過したガスをタールを含まない可燃ガスとして回収することを特徴とする請求項5ないし7に記載のバイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する処理装置。
JP2017016135A 2017-01-31 2017-01-31 バイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法及び処理装置 Pending JP2018123232A (ja)

Priority Applications (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017016135A JP2018123232A (ja) 2017-01-31 2017-01-31 バイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法及び処理装置

Applications Claiming Priority (1)

Application Number Priority Date Filing Date Title
JP2017016135A JP2018123232A (ja) 2017-01-31 2017-01-31 バイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法及び処理装置

Publications (1)

Publication Number Publication Date
JP2018123232A true JP2018123232A (ja) 2018-08-09

Family

ID=63110976

Family Applications (1)

Application Number Title Priority Date Filing Date
JP2017016135A Pending JP2018123232A (ja) 2017-01-31 2017-01-31 バイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法及び処理装置

Country Status (1)

Country Link
JP (1) JP2018123232A (ja)

Similar Documents

Publication Publication Date Title
Din et al. Biomass integrated gasification–SOFC systems: Technology overview
Aravind et al. Evaluation of high temperature gas cleaning options for biomass gasification product gas for Solid Oxide Fuel Cells
Saidi et al. Hydrogen production from waste gasification followed by membrane filtration: a review
CN103658157B (zh) 固体废弃物均质改性气化清洁发电处理方法
EP2679659B1 (en) Method and plant for production of a fuel gas from waste
CN102369236A (zh) 利用热解产物的环境清洁方法
EA023478B1 (ru) Система утилизации отходов
US10711198B2 (en) Catalytic upgrading of pyrolytic vapors
CN1219192A (zh) 通过热解使生物物料能量有效液化的方法
US8783215B2 (en) Tar scrubber for energy recovery from gasification operations
CN106433799A (zh) 处理生活垃圾的系统和方法
CN109355071B (zh) 城市生活垃圾处理方法及处理系统
JP2018123232A (ja) バイオマスからタール・フリーで可燃ガスを回収する方法及び処理装置
GB2455869A (en) Gasification of biomass
JP6642924B2 (ja) 水素ステーションシステム
CN209188472U (zh) 多级复合废气处理系统
KR102477495B1 (ko) 가연성 폐기물을 산소와 공기를 차단하고 연속적으로 공급받아 열분해하는 열분해로 및 이와 연결된 가스와 탄화 부산물을 분리 배출하는 가스차 분리장치를 포함하는 유화장치
JP7148109B2 (ja) 積層したチップ状または板状プラスチック複合材料の処理方法
CN111491889A (zh) 合成气的生产方法
JP2012017376A (ja) 有機系廃棄物ガス化システムおよび有機系廃棄物ガス化方法
CN110358586A (zh) 一种重返式有机垃圾热解系统及其垃圾热解工艺
KR20100076267A (ko) 폐자원 에너지화 시스템
CN109666494A (zh) 一种生物质热解油制备海绵状炭材料的方法及产品
CN211274226U (zh) 一种催化氧化脱除二噁英的装置
AU2022200915A1 (en) Gasification process