JP2018116247A - ベルト搬送装置及び画像形成装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】クラウンローラを用いてベルトの蛇行を抑制し、またベルトが波打つような不安定な挙動を示しながら走行するのを抑制できるベルト搬送装置の提供。【解決手段】二転上流ローラ18は、第一領域U1と、第一領域U1の両側に隣接する第二領域U2とを有する。第一領域U1の摩擦係数は、第二領域U2の摩擦係数よりも小さい。二転上流ローラ18には外周面に微細溝Gが形成され、微細溝Gは中央部M1から両端部M2に近付くにつれて、溝と溝との間隔Lが狭くなるように螺旋状に連続している。これにより、外径の大きい中央部M1に近付くほど摩擦係数を小さくでき、外径の小さい両端部M2に近付くほど摩擦係数を大きくできる。こうした場合、第一領域U1で従来に比べ摩擦力が低減され、第二領域U2で従来に比べ摩擦力が増加され、回転軸線方向全域で摩擦力を略均一にできる。回転軸線方向全域で摩擦力を略均一にすれば、ベルトは波打って走行し難くなる。【選択図】図5
Description
本発明は、プリンタ、複写機、ファクシミリあるいは複合機など、電子写真技術を用いた画像形成装置に好適なベルト搬送装置、及びその画像形成装置に関する。
従来、感光ドラムに形成したトナー像を中間転写ベルトに一次転写し、さらに中間転写ベルトに一次転写したトナー像を記録材へと二次転写する、中間転写方式の画像形成装置が知られている。あるいは、搬送ベルトによって搬送される記録材に対し、感光ドラムに形成したトナー像を直接転写する、直接転写方式の画像形成装置も知られている。これらの画像形成装置では、中間転写ベルトや搬送ベルトなどのベルト部材を、複数の回転するローラによって張架した状態で走行させるベルト搬送装置が用いられている。
ところで、ベルト部材(以下、単にベルトと呼ぶ)は、例えば精度のばらつきといった各ローラやベルトの形状誤差、あるいは各ローラの相対的な配置ずれなどを原因として、走行中に蛇行する虞がある。このベルトの蛇行を抑制するために、従来では、複数のローラのいずれかに正クラウン形状のローラ(クラウンローラと呼ぶ)を用いることが提案されている(特許文献1)。クラウンローラは、回転軸線方向の中央部から両端部へ向かって連続的に直径が小さくなるように、外周面が形成されたローラである。クラウンローラを用いた場合、走行中のベルトはクラウンローラの一端側に寄り始めたとしても、クラウンローラのセンタリング効果によってクラウンローラの中央部側へと自然に戻る。こうしてベルトの蛇行が抑制されることにより、ベルトの蛇行に起因する画像不良は生じ難くなる。
しかしながら、従来では、ベルトが蛇行するのを抑制すべくクラウンローラを採用した場合に、ベルト表面が波打つような不安定な挙動を示すことがあった。ベルトがこうした波打ちなどと呼ばれる不安定な挙動を示しながら走行した場合には、記録材に対するトナー像の転写が適切に行われ難くなり、画像不良が生じやすい。
本発明は上記問題に鑑みてなされたもので、クラウンローラを用いてベルトが蛇行するのを抑制するとともに、ベルトが波打つような不安定な挙動を示しながら走行するのを抑制できるベルト搬送装置及び画像形成装置の提供を目的とする。
本発明に係るベルト搬送装置は、無端状のベルト部材と、前記ベルト部材を張架して回転する張架ローラと、を備え、前記張架ローラは、回転軸線方向の中央部から両端部へ向かって連続的に直径が小さくなる正クラウン形状の周面と、前記周面の中央部に形成された第一領域と、前記第一領域の両側に隣接して形成された第二領域とを有し、前記第一領域の摩擦係数が前記第二領域の摩擦係数よりも小さい、ことを特徴とする。
本発明に係る画像形成装置は、トナー像を担持する像担持体と、前記像担持体上のトナー像が転写される無端状の中間転写ベルトと、前記中間転写ベルトを張架する第一ローラと、前記中間転写ベルトを介して前記第一ローラに圧接し、記録材に対するトナー像の転写部を形成する転写部材と、前記第一ローラの前記中間転写ベルトの移動方向上流に回転自在に設けられ、前記第一ローラと共に前記中間転写ベルトを張架する第二ローラと、を備え、前記第二ローラは、回転軸線方向の中央部から両端部へ向かって連続的に直径が小さくなる正クラウン形状の周面と、前記周面の中央部に形成された第一領域と、前記第一領域の両側に隣接して形成された第二領域とを有し、前記第一領域の摩擦係数が前記第二領域の摩擦係数よりも小さい、ことを特徴とする。
本発明によれば、ベルトを正クラウン形状のローラにより張架する構成である場合に、ベルトの蛇行に起因する画像不良の発生の抑制と、ベルトの波打ちに起因する画像不良の発生の抑制とを簡単な構成で両立できる。
以下、図面を参照して本発明の実施形態を説明する。本実施形態の画像形成装置の構成について、図1を用いて説明する。図1に示す画像形成装置100は、装置本体内に4色の画像形成部Pa、Pb、Pc、Pdを中間転写ベルト7(以下、単にベルトとも呼ぶ)に対向させて配置した、中間転写タンデム方式のカラー画像形成装置である。
<画像形成装置>
まず、画像形成装置100の記録材の搬送プロセスについて概要を説明する。図1に示すように、記録材S(用紙、OHPシートなどのシート材など)は、装置本体に挿抜可能な用紙カセット60内に積載される形で収納され、給紙ローラ61により画像形成タイミングにあわせて給紙される。用紙カセット60からの給紙は、例えば摩擦分離方式などが用いられる。給紙ローラ61により送り出された記録材Sは、搬送パスをレジストローラ対62へと搬送される。そして、レジストローラ対62において記録材Sの斜行補正やタイミング補正が行われた後、記録材Sは二次転写部T2(転写部)へと送られる。二次転写部T2は、互いに対向する二次転写内ローラ8及び二次転写外ローラ9により形成される転写ニップ部であり、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることで記録材S上にトナー像を吸着させる。転写部材としての二次転写外ローラ9は、中間転写ベルト7を介して二次転写内ローラ8に圧接し、記録材Sに対するトナー像の二次転写部T2を形成する。
まず、画像形成装置100の記録材の搬送プロセスについて概要を説明する。図1に示すように、記録材S(用紙、OHPシートなどのシート材など)は、装置本体に挿抜可能な用紙カセット60内に積載される形で収納され、給紙ローラ61により画像形成タイミングにあわせて給紙される。用紙カセット60からの給紙は、例えば摩擦分離方式などが用いられる。給紙ローラ61により送り出された記録材Sは、搬送パスをレジストローラ対62へと搬送される。そして、レジストローラ対62において記録材Sの斜行補正やタイミング補正が行われた後、記録材Sは二次転写部T2(転写部)へと送られる。二次転写部T2は、互いに対向する二次転写内ローラ8及び二次転写外ローラ9により形成される転写ニップ部であり、所定の加圧力と静電的負荷バイアスを与えることで記録材S上にトナー像を吸着させる。転写部材としての二次転写外ローラ9は、中間転写ベルト7を介して二次転写内ローラ8に圧接し、記録材Sに対するトナー像の二次転写部T2を形成する。
次に、上述した二次転写部T2までの記録材Sの搬送プロセスに対して、同様のタイミングで二次転写部T2まで送られて来る画像の形成プロセスについて説明する。まず、画像形成部Pa〜Pdについて説明する。画像形成部Pa〜Pdは、現像装置4a〜4dで用いるトナーの色がブラック、シアン、マゼンタ、イエローと異なる以外は、ほぼ同一に構成される。以下では、画像形成部Paについて説明し、他の画像形成部Pb、Pc、Pdについては、説明中の符号末尾のaを、b、c、dに読み替えて説明されるものとする。
画像形成部Paは、像担持体としての感光ドラム1aを中心にして、帯電装置2a、露光装置3a、現像装置4a、及びドラムクリーニング装置5aが配置されている。感光ドラム1aは外周面に感光層が形成され、所定のプロセススピードで矢印R1方向に回転される。回転駆動される感光ドラム1aの表面は、帯電装置2aにより予め表面を一様に帯電され、その後、画像情報の信号に基づいて駆動される露光装置3aによって静電潜像が形成される。露光装置3aは、各色の分解色画像を展開した走査線画像データをON−OFF変調したレーザー光を回転ミラーで走査して、帯電した感光ドラム1aの表面に画像の静電潜像を書き込む。
感光ドラム1aの表面に形成された静電潜像は、現像装置4aによるトナー現像を経て可視像化される。即ち、現像装置4aはトナーを感光ドラム1aに供給して、静電像をトナー像に現像する。現像装置4aでは、例えば負帯電特性の非磁性トナーと正帯電特性の磁性キャリアを含む二成分現像剤、あるいは磁性トナー又は非磁性トナーのみの一成分現像剤などが用いられる。なお、現像装置4aには、補給用の現像剤を補給するための補給装置13aが接続されている。補給装置13aは補給用の現像剤を収容し、必要に応じて現像装置4aに補給用の現像剤を補給する。
現像装置4aによるトナー像の現像後、感光ドラム1aとベルト7を挟んで対向配置される一次転写ローラ6aにより所定の加圧力及び静電的負荷バイアスが与えられ、感光ドラム上(像担持体上)に形成されたトナー像はベルト上に一次転写される。ドラムクリーニング装置5aは、一次転写後に感光ドラム1a上に残った一次転写残トナーを除去する。
画像形成部Pa〜Pdにより並列処理される各色の作像プロセスは、ベルト上に一次転写された上流の色(ここではイエロー)のトナー像上に順次重ね合わせるタイミングで行われる。その結果、最終的には複数色(フルカラー)のトナー像がベルト上に形成され、二次転写部T2へと搬送される。以上、それぞれ説明した搬送プロセスおよび作像プロセスを以って、二次転写部T2において記録材Sとフルカラートナー像のタイミングが一致し、二次転写が行われる。二次転写された記録材Sは定着装置12へと搬送され、ローラ対により形成された定着ニップで所定の圧力と熱量が加えられて、記録材上にトナー像が溶融固着される。画像定着された記録材Sは排紙トレイ63上に排出される。なお、二次転写部T2を通過した後つまりは二次転写後にベルト上に残った二次転写残トナーは、ベルトクリーニング装置11によって除去される。
中間転写ベルト7は感光ドラム1aに当接して回転する無端状のベルト部材(所謂エンドレスベルト)であり、図中矢印R2方向に移動して感光ドラム1a〜1dのトナー像を転写可能である。ベルト7は、ポリイミド、ポリカーボネートなどの樹脂等に帯電防止剤としてカーボンブラックを適当量含有させた樹脂ベルトであり、厚みが約0.07〜0.1mmに形成されている。
本実施形態の画像形成装置100は、ベルト搬送装置としての中間転写ユニット20を備えている。中間転写ユニット20について、図2を用いて説明する。図2に示すように、中間転写ユニット20は、ベルト7、第一ローラとしての二次転写内ローラ8、テンションローラ17、二転上流ローラ18、アイドラローラ19などの複数のローラ、さらに二転上流ローラ18を回転駆動するベルト駆動部等を有する。ベルト7は、上記した複数のローラに掛け渡されて張力一定に張架されている。本実施形態の場合、ベルト7は駆動ローラを兼ねる二転上流ローラ18によって駆動される。
第二ローラ(張架ローラ)としての二転上流ローラ18は、金属材料の一例であるステンレス等で形成された芯金と、芯金上にベルト7を安定して駆動するために摩擦係数が比較的に高いゴム部材等で形成されたゴム層とを有するゴムローラである。二転上流ローラ18は、二次転写内ローラ8のベルト移動方向上流に回転自在に設けられている。
テンションローラ17はテンションバネB1(図1参照)の付勢力を受けて、ベルト7を内側から外側に向かって加圧することで、ベルト7に所定の張力をかける。テンションローラ17によりベルト7にかかるテンションは、ベルト7を張架する各ローラに撓みが生じない上限値以下で、且つ、二転上流ローラ18が中間転写ベルト7を滑りなく駆動可能な下限値以上に設定される。テンションの下限値は、各ローラの材質や摩擦係数、二次転写内ローラ8の巻き掛け角度、ベルト7の摩擦係数などにより異なる。本実施形態の場合、ベルト7は約1.5〜7.0kgfのテンションがかけられた状態で張架される。
<二転上流ローラ>
本実施形態の画像形成装置100では、特にベルト7から記録材Sへトナー像を転写する二次転写部T2でベルト7が蛇行するのを抑制すべく、二次転写内ローラ8のベルト移動方向上流に配置する二転上流ローラ18に、クラウンローラを採用している。本実施形態の二転上流ローラ18の外形形状について、図3を用いて説明する。
本実施形態の画像形成装置100では、特にベルト7から記録材Sへトナー像を転写する二次転写部T2でベルト7が蛇行するのを抑制すべく、二次転写内ローラ8のベルト移動方向上流に配置する二転上流ローラ18に、クラウンローラを採用している。本実施形態の二転上流ローラ18の外形形状について、図3を用いて説明する。
図3に示すように、二転上流ローラ18は、外周面が回転軸線方向の中央部M1で両端部M2よりも凸になるように、中央部M1が両端部M2よりも膨らんだ正クラウン形状に形成されている。一例として二転上流ローラ18は、クラウン量(直径の最大径と最小径との差=図中d1の二倍)が150〜500μmに設定され、外形形状がローラ幅Xの真ん中を通る直線Oを基準として、二次関数曲線で表される左右対称な形状に形成される。このように、本実施形態の場合、二転上流ローラ18は外形形状に関し従来のクラウンローラと同様であってよい。なお、二転上流ローラ18のベルト移動方向下流に配置される二次転写内ローラ8は、正クラウン形状のローラでなくストレート形状のローラが用いられる。
<ベルトの波打ち>
二転上流ローラ18にクラウンローラを採用した場合、従来では、ベルト7が二転上流ローラ18と二次転写内ローラ8間を通過する際に、ベルトの二次転写面W2が波打つような不安定な挙動を示すことがあった。ベルト7に波打ちが生じた場合、二次転写部T2においてベルト7と記録材Sとの間に波打ちに応じた隙間が空き、その隙間によってトナー像がベルト7から記録材Sに適切に転写され難くなり、記録材Sにスジ状の濃度ムラが生じ得る。
二転上流ローラ18にクラウンローラを採用した場合、従来では、ベルト7が二転上流ローラ18と二次転写内ローラ8間を通過する際に、ベルトの二次転写面W2が波打つような不安定な挙動を示すことがあった。ベルト7に波打ちが生じた場合、二次転写部T2においてベルト7と記録材Sとの間に波打ちに応じた隙間が空き、その隙間によってトナー像がベルト7から記録材Sに適切に転写され難くなり、記録材Sにスジ状の濃度ムラが生じ得る。
中間転写ベルト7に代表されるエンドレスベルト等の薄帯は、一般的なクラウンローラを介して張力が付加されると、ベルト移動方向に直交する幅方向に向かって波打つように並ぶ複数の皺が、幅方向中央部で発生しやすい。そして、波打ち状の皺が生じた状態でベルト7が走行すると、クラウンローラとの摩擦接触によって皺の高低差がより大きくなり、これが波打ちと呼んでいるベルト7の不安定な挙動として現れる。特に二次転写部T2のベルト移動方向上流側に二転上流ローラ18(駆動ローラ)が配置された場合には、二転上流ローラ18によるベルト7の押し込みにより二次転写内ローラ8との間でベルト7が緩み、二次転写面W2でベルト7の皺が生じやすい。
上記のように、ベルト7の波打ちは画像不良を生じさせる原因であるため、ベルト7の波打ちの発生を抑制するのが望ましい。だからといって、ベルト7自体を挟持するなどして、波打ち状の皺を直接的に抑制することは現実的でない。そこで、例え波打ち状の皺が生じた状態でベルト7が走行しても、その皺をできる限り小さくすることができれば、結果的にベルト7の波打ちに起因する画像不良は生じ難くなる。本実施形態では、詳しくは後述するように、ベルト7の走行に応じて波打ち状の皺をできる限り小さくすべく、ベルト7の幅方向への移動に伴い、ベルト7と二転上流ローラ18との間に生ずる摩擦力が回転軸線方向で一定(略均一)となるようにしている。以下、説明する。
ベルト7と二転上流ローラ18との間に生ずる摩擦力について、図4を用いて説明する。図4に示すように、ベルト7は二転上流ローラ18により張架され、ベルト7の移動向きが変わる外周面の接線(図中Q)に直交する方向に垂直抗力Nが生じている。この垂直抗力Nは、ベルト7が二転上流ローラ18から受ける力とほぼ等しく、テンションバネB1(図1参照)の付勢力と二転上流ローラ18の外形形状とによって左右される。そして、ベルト7は二転上流ローラ18のセンタリング効果によって二転上流ローラ18に対し幅方向(図面垂直方向)に移動するが、その際に、ベルト7と二転上流ローラ18との間には、ベルト7の幅方向への移動に反するように摩擦力Fが生じる。この摩擦力Fは、二転上流ローラ18の摩擦係数を「μ」、上記の垂直抗力を「N」とすると、次に示す式1によって示される。
F=μN ・・・ 式1
F=μN ・・・ 式1
上記の摩擦力を低減するには、二転上流ローラ18の摩擦係数「μ」あるいは垂直抗力「N」を小さくすればよい。垂直抗力を小さくして摩擦力を低減するには、テンションバネB1の付勢力を小さくすればよい。しかしながら、そうした場合、ベルト7にかかるテンションが下がることによる一次転写部T1での転写不良等、その他の影響を考慮すると、テンションバネB1の付勢力を小さくする方法は採用し難い。そうであるから、摩擦力を低減するには、二転上流ローラ18の摩擦係数を小さくする方法が好ましい。
二転上流ローラ18に従来のクラウンローラを用いた場合、ベルト7の蛇行の抑制の点で有利であるが、ベルト7の波打ちの抑制の点で不利であった。即ち、中央部M1と両端部M2とで外径差が生じている正クラウン形状であると(図3参照)、外径の大きい中央部M1に近くなるほど両端部M2に比べて、垂直抗力は大きくなる。垂直抗力は、最大外径の中央部M1で最大となり、最小外径の両端部M2で最小となる。上述のように(式1参照)、垂直抗力の増加に比例して摩擦力は大きくなる関係にある。そのため、従来のクラウンローラを用いた場合、二転上流ローラ18は幅方向に移動するベルト7との間に中央部M1側と両端部M2側とで異なる摩擦力を生じさせながら回転する。こうして、中央部M1側と両端部M2側とで摩擦力に差(中央部側の摩擦力>両端部側の摩擦力)が生じることに起因して、相対的に摩擦力が高くなる中央部M1付近でベルト7の波打ちが生じ得る。
そうであるから、ベルト7が幅方向に移動する際に二転上流ローラ18との間に生じる摩擦力を、二転上流ローラ18の回転軸線方向全域で略均一にできれば、ベルト7の波打ちの発生を抑制し得る。ただし、二転上流ローラ18は正クラウン形状に形成される以上、中央部M1と両端部M2とに外径差を有し、中央部M1側と両端部M2側とで垂直抗力に差が生じるため、回転軸線方向全域で垂直抗力を同じにして摩擦力を略均一にするのは難しい。
そこで、本実施形態では、二転上流ローラ18の回転軸線方向全域でベルト7との摩擦力が略均一となるように、摩擦係数が設定されたクラウンローラを二転上流ローラ18に用いている。図5に、本実施形態の二転上流ローラ18の外周面を示す。
図5に示すように、本実施形態の二転上流ローラ18は、外周面の中央部M1に形成された第一領域U1と、第一領域U1の両側に隣接して形成された第二領域U2とを有する。第一領域U1の摩擦係数は、第二領域U2の摩擦係数よりも小さい。そして、二転上流ローラ18の外周面が中央部M1から両端部M2へ向かって連続的に摩擦係数が大きくなるように、第一領域U1と第二領域U2とは形成されている。
二転上流ローラ18には、外周面に回転軸線方向に交差する微細溝Gが形成されている。この微細溝Gは、第一領域U1の溝の間隔が第二領域U2の溝の間隔よりも広くなるように形成されている。具体的には、中央部M1(第一領域U1)から両端部M2に近付くにつれて、隣り合う溝と溝との間隔Lが段々と狭くなるように、微細溝Gが螺旋状に連続して形成されている。このような隣り合う溝と溝との間隔Lが連続的に変化する微細溝Gが形成されたクラウンローラを用いると、外径の大きい中央部M1に近付くほど摩擦係数を小さくでき、また外径の小さい両端部M2に近付くほど摩擦係数を大きくできる。そして、摩擦係数を小さくした中央部M1では従来に比べて摩擦力が低減され、摩擦係数を大きくした両端部M2では従来に比べて摩擦力が増加される。このように、微細溝Gによって従来同一であった摩擦係数を異ならせることができ、これによって、正クラウン形状であるが故に中央部M1側と両端部M2側とで垂直抗力に差が生じるにも関わらず、回転軸線方向全域で摩擦力を略均一にすることができる。
続いて、二転上流ローラ18の摩擦係数について説明する。本実施形態において、二転上流ローラ18の回転軸線方向全域で摩擦力を理想的に略均一とするためには、回転軸線方向における摩擦係数と垂直抗力とが反比例の関係を満たせばよい。即ち、第一領域U1(中央部M1)の垂直抗力を「N1」、摩擦係数を「μ1」とし、第二領域U2の垂直抗力を「N2」、摩擦係数を「μ2」とした場合、摩擦係数「μ2」が以下に示す式2の関係を満たせばよい。なお、垂直抗力「N1」は、テンションバネB1(図1参照)の付勢力に依存して決まる所定値である。他方、垂直抗力「N2」は、テンションバネB1の付勢力と二転上流ローラ18の外形形状とによって左右される、回転軸線方向で異なり得る値である。
μ1=μ2×N2/N1 ・・・ 式2
μ1=μ2×N2/N1 ・・・ 式2
本実施形態において、第一領域U1の摩擦力と第二領域U2の摩擦力とがまったく同一でなくても、それらの差分(絶対値)が第二領域U2の摩擦力の例えば±5%の範囲内であれば、ベルト7の波打ちが抑制されることが発明者らによって確かめられている。即ち、摩擦力が回転軸線方向で一定(略均一)であるとは、上記の範囲で中央部M1の摩擦力と両端部M2の摩擦力が異なる場合を含む。
第一領域U1の摩擦力と第二領域U2の摩擦力の差分が±5%の範囲内になる摩擦係数の範囲について、図1及び図5を参照しながら図6を用いて説明する。図6には、クラウン量と、外周面の最大摩擦係数μ2に対する第一領域U1の摩擦係数μ1の比率との関係を示す。ここでは、テンションバネB1の付勢力を3.0kgfとした場合を示した。なお、図6において、第一領域U1の摩擦力と第二領域U2の摩擦力の差分が最大摩擦力の±5%の範囲内である場合を丸印で、範囲外である場合をバツ印で表している。
図6に示すように、第一領域U1の摩擦係数μ1が最大摩擦係数μ2の0.72〜0.76倍であれば、クラウン量が150μm、300μm、500μmのいかなる場合でも、第一領域U1の摩擦力と第二領域U2の摩擦力の差分が±5%の範囲内になる。つまり、最大摩擦係数μ2の0.72倍よりも大きく0.76倍よりも小さくなるように、摩擦係数μ1を設定すれば、ベルト7の波打ちを抑制することが可能である。なお、テンションバネB1による加圧力が1.5〜7.0kgfにおいても同様であった。
以上のように、本画像形成装置100では、二転上流ローラ18に、中央部M1の第一領域U1よりも両端部M2側の第二領域U2で、相対的に摩擦係数が高くなるように形成した正クラウン形状のローラを用いる。これにより、二転上流ローラ18のセンタリング効果によりベルト7が幅方向に移動する際に生じる摩擦力が、二転上流ローラ18の回転軸線方向全域に亘ってほぼ均一となる。そうなれば、ベルト7が二次転写面W2で波打つようにして走行するのを抑制できる。従って、ベルト7を正クラウン形状のローラにより張架する構成である場合に、ベルト7の蛇行に起因する画像不良の発生の抑制と、ベルト7の波打ちに起因する画像不良の発生の抑制とを簡単な構成で両立することができる。
<他の実施形態>
なお、第一領域U1と第二領域U2とで摩擦係数を異ならせるために、例えば摩擦係数の異なる複数の部材が回転軸線方向に配列されて形成されてなる二転上流ローラ18を用いてもよい。この場合、摩擦係数の小さい部材が第一領域U1に、摩擦係数の大きい部材が第二領域U2に配置されるように、摩擦係数の異なる複数の部材が配列される。ただし、こうした場合には、配置した各部材の強度が異なっていると、回転軸線方向で二転上流ローラ18のたわみ量が変わってベルト7を適切に張架し難くなり、センタリング効果が得られ難くなる虞がある。また、部材間のつなぎ目に段差が生じやすく、その場合にベルト7を安定的に走行させることが難しくなり、転写不良を引き起こす虞がある。こうした点に鑑みれば、上述したような外周面に螺旋状の微細溝Gが形成された二転上流ローラ18を用いるのが好ましい。
なお、第一領域U1と第二領域U2とで摩擦係数を異ならせるために、例えば摩擦係数の異なる複数の部材が回転軸線方向に配列されて形成されてなる二転上流ローラ18を用いてもよい。この場合、摩擦係数の小さい部材が第一領域U1に、摩擦係数の大きい部材が第二領域U2に配置されるように、摩擦係数の異なる複数の部材が配列される。ただし、こうした場合には、配置した各部材の強度が異なっていると、回転軸線方向で二転上流ローラ18のたわみ量が変わってベルト7を適切に張架し難くなり、センタリング効果が得られ難くなる虞がある。また、部材間のつなぎ目に段差が生じやすく、その場合にベルト7を安定的に走行させることが難しくなり、転写不良を引き起こす虞がある。こうした点に鑑みれば、上述したような外周面に螺旋状の微細溝Gが形成された二転上流ローラ18を用いるのが好ましい。
なお、上述した実施形態では、二転上流ローラ18の表面に螺旋状の微細溝Gを設けたが、微細溝Gは螺旋状に形成することに限られない。例えば、微細溝Gはダブルヘリカル状に形成されてもよい。即ち、微細溝Gは回転軸線方向の中央を通る直線O(図3参照)を軸とする線対称に溝が形成されていてもよい。
なお、上述した実施形態では、二転上流ローラ18の回転軸線方向全域に亘って微細溝Gを形成したが、これに限られない。例えば、微細溝Gは二転上流ローラ18の回転軸線方向に関しベルト7の移動可能範囲に亘って形成されていればよい。
なお、二転上流ローラ18としては正クラウン状に形成された金属ローラを用いてもよい。特に、駆動ローラを兼ねるローラが二転上流ローラ18以外のローラであるような場合には、二転上流ローラ18に金属ローラを採用してよい。ただし、金属ローラの摩擦係数は回転軸線方向全域に亘ってゴムローラに比べて小さい。それ故、二転上流ローラ18として金属ローラを用いる場合には、表面に上述した微細溝Gを形成せずに、第二領域U2の外周面を粗くするなどした方が好ましい。勿論、ゴムローラの場合でも、同様に第二領域U2の外周面を粗くしてもよい。
なお、上述した各実施形態では、中間転写方式の画像形成装置を例に説明したがこれに限らない。上述した各実施形態は、搬送ベルトに担持され搬送される記録材に、感光ドラムからトナー像が直接転写される直接転写方式の画像形成装置にも適用できる。
1a〜1d・・・像担持体(感光ドラム)、7・・・ベルト部材(中間転写ベルト)、8・・・第一ローラ(二次転写内ローラ)、9・・・転写部材(二次転写外ローラ)、18・・・張架ローラ(第二ローラ、二転上流ローラ)、20・・・ベルト搬送装置(中間転写ユニット)、100…画像形成装置、G・・・溝(微細溝)、M1・・・中央部、M2・・・両端部、U1・・・第一領域、U2・・・第二領域、T2・・・転写部(二次転写部)、W2・・・転写面(二次転写面)
Claims (7)
- 無端状のベルト部材と、
前記ベルト部材を張架して回転する張架ローラと、を備え、
前記張架ローラは、回転軸線方向の中央部から両端部へ向かって連続的に直径が小さくなる正クラウン形状の周面と、前記周面の中央部に形成された第一領域と、前記第一領域の両側に隣接して形成された第二領域とを有し、前記第一領域の摩擦係数が前記第二領域の摩擦係数よりも小さい、
ことを特徴とするベルト搬送装置。 - 前記張架ローラの周面は、前記中央部から前記両端部へ向かって連続的に摩擦係数が大きくなるように形成されている、
ことを特徴とする請求項1に記載のベルト搬送装置。 - 前記張架ローラの周面は、前記ベルト部材の前記回転軸線方向への移動に伴い生じる摩擦力が前記第一領域と前記第二領域とで一定になるように形成されている、
ことを特徴とする請求項2に記載のベルト搬送装置。 - 前記張架ローラは、前記周面に前記回転軸線方向に交差する溝を有し、前記第一領域の前記溝の間隔が前記第二領域の前記溝の間隔よりも広い、
ことを特徴とする請求項1乃至3のいずれか1項に記載のベルト搬送装置。 - 前記溝は、螺旋状に連続して形成されている、
ことを特徴とする請求項4に記載のベルト搬送装置。 - 前記第一領域の摩擦係数をμ1とし、前記周面の最大摩擦係数をμ2としたとき、
μ2×0.72<μ1<μ2×0.76
の関係を満たす、
ことを特徴とする請求項1乃至5のいずれか1項に記載のベルト搬送装置。 - トナー像を担持する像担持体と、
前記像担持体上のトナー像が転写される無端状の中間転写ベルトと、
前記中間転写ベルトを張架する第一ローラと、
前記中間転写ベルトを介して前記第一ローラに圧接し、記録材に対するトナー像の転写部を形成する転写部材と、
前記第一ローラの前記中間転写ベルトの移動方向上流に回転自在に設けられ、前記第一ローラと共に前記中間転写ベルトを張架する第二ローラと、を備え、
前記第二ローラは、回転軸線方向の中央部から両端部へ向かって連続的に直径が小さくなる正クラウン形状の周面と、前記周面の中央部に形成された第一領域と、前記第一領域の両側に隣接して形成された第二領域とを有し、前記第一領域の摩擦係数が前記第二領域の摩擦係数よりも小さい、
ことを特徴とする画像形成装置。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017008953A JP2018116247A (ja) | 2017-01-20 | 2017-01-20 | ベルト搬送装置及び画像形成装置 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2017008953A JP2018116247A (ja) | 2017-01-20 | 2017-01-20 | ベルト搬送装置及び画像形成装置 |
Publications (1)
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JP2018116247A true JP2018116247A (ja) | 2018-07-26 |
Family
ID=62984191
Family Applications (1)
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JP2017008953A Pending JP2018116247A (ja) | 2017-01-20 | 2017-01-20 | ベルト搬送装置及び画像形成装置 |
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Country | Link |
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JP (1) | JP2018116247A (ja) |
-
2017
- 2017-01-20 JP JP2017008953A patent/JP2018116247A/ja active Pending
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