JP2018113334A - 圧電構造体及びそれを用いたデバイス - Google Patents

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Abstract

【課題】比較的小さな変形で生じる応力によっても大きな電気信号を取り出すことが可能な圧電構造体を提供する。
【解決手段】導電性繊維及び圧電性繊維からなる組物を含み、前記組物は前記導電性繊維が芯であり、前記圧電性繊維が前記導電性繊維の周囲を被覆する被覆繊維である圧電構造体であって、前記被覆繊維が少なくとも1つの曲げ部を有し、前記圧電構造体を水平面に置いたときの前記水平面から前記圧電構造体の最上部までの高さが前記被覆繊維の直径よりも大きい、圧電構造体。
【選択図】図2

Description

本発明は、圧電性繊維を用いた圧電構造体及びそれを用いたデバイスに関する。
近年、いわゆるタッチパネル方式を採用した入力装置、すなわちタッチ式入力装置が大幅に増加している。銀行ATMや駅の券売機のみならず、携帯電話機、携帯ゲーム機、携帯音楽プレーヤなどにおいて、薄型ディスプレイ技術の発展と相まって、入力インターフェースとしてタッチパネル方式が採用される機器が大幅に増加している。
最近の携帯電話やスマートフォンにおいては、液晶や有機エレクトロルミネッセンスなどを用いた表示装置の上にタッチ式入力装置を設置し、画面上に直接的に入力することができる方式が多く採用されている。高度化が進むスマートフォンなどの携帯機器の一層の利便性を向上させるためには、画面上にのみ入力装置を設置しているだけではなく、複数のタッチ式入力手段があることが好ましい。
例えば、スマートフォンにおいて、表示画面に指などで入力しようとした場合、片方の手でスマートフォンを持ち、もう一方の手の指で入力をすることになるため、両手を使用しての操作とならざるを得ない。一方、スマートフォンの筐体にもタッチセンサなどが組み込まれていれば、片手での操作が可能になるといった利点がある。
その一例として、通常はセンサとして使用されていない表示画面裏などの非表示画面部分の筐体部分にタッチセンサなどを組み込み、このセンサで画面情報の中の項目上又はアンカーポイントを選択する方式が、特許文献1に開示されている。特許文献1のようなタッチセンサを実現する入力装置としては、静電容量方式、抵抗膜式、光学式、電磁誘導方式、圧電シートを用いる方式などがある。
圧電シートを用いる方式の例としては、特許文献2に開示がある。圧電シート方式は、静電容量方式や抵抗膜方式のタッチセンサとは異なり、それ単体でセンサに加えられる圧力と位置情報の両方を同時に検出可能であり、入力情報の多様性に貢献することができる。また、特許文献2においては、圧電シートの部材の具体例として、圧電性高分子であるポリ乳酸を利用した例が開示されている。
特許文献2で開示されているようにポリ乳酸からなる圧電シートは、フレキシブル化が可能であり、また、1つの素子で位置情報と応力を同時に検出できる優れた素子であるが、十分な電気出力を得るためには、入力時に圧電シートをその応力によってある程度撓ませる必要がある。ポリ乳酸からなる圧電シートは、シートに対するせん断応力によって電気出力を発生するが、引張や圧縮では十分な電気出力が得られない。したがって、大きな電気出力を得るには圧電シート平面の垂直方向からの押圧力によってシートを撓ませる必要がある。例えば、この圧電シートをスマートフォンの裏側の筐体に貼合あるいは筐体と一体にして使用することを考えると、シートに垂直方向に加えられる押し圧力によって、シートを撓ませることは空間的に難しく、圧電素子の表面を擦るだけで十分な電気出力を発生させるものが望まれていた。また、スマートフォン等の筐体表面は必ずしも平面とは限らず、意匠性確保などの理由で、その形状には三次元的な凹凸が多く、そこに用いられる圧電素子はフレキシブルであることが望まれていた。
さて、圧電繊維技術として、圧電性高分子にねじりを加えた配向させたものが特許文献3に開示されている。特許文献3に記載の圧電繊維は、繊維を特殊な製造方法であらかじめ捩じらせておくことで、繊維に対する引張や圧縮に対しては電気出力が得られる。しかし特許文献3には、繊維表面を擦ることによるせん断応力に対して十分な電気出力を発生させ、それを取り出すことに対する技術は全く示されていない。したがって、このような圧電繊維素子を、スマートフォンの筐体などに組み込んで、表面を指などで擦るといった比較的小さい印加応力だけで十分な電気出力を取り出すことは、極めて困難である。
一般に、一軸延伸配向したポリ乳酸繊維は、延伸軸及びその垂直方向に対する延伸や圧縮応力に対してほとんど分極が生じず、そのため、このような繊維の表面を指などで擦ることで発生する比較的小さな印加応力では電気出力はほとんど得られないことが知られている。一方、ポリ乳酸圧電繊維の延伸軸に平行でも垂直でもない方向から力を加える、すなわち、せん断応力を与えることで分極が生じ、圧電体としての機能を発現することが知られている。
特許文献4では、表面を指などで擦るといった比較的小さな印加応力によって電気出力を取り出すことができる繊維状の圧電素子が開示されている。特許文献4では、この繊維状圧電素子の構成要素である導電繊維として炭素繊維を用いている。しかし、繰り返し耐久性が要求される用途にこの繊維状圧電素子を適用した場合、炭素繊維は曲げ剛性が弱いため、徐々に繊維が折れて定量的な圧電性が得られず、徐々に圧電性能が落ちていくおそれがある。また、組紐状の圧電素子を接触式プローブとして用い、被計測物の高さや形状情報を得ようとする場合には、炭素繊維が折れて先端が鋭くなり、また炭素繊維固有の剛性ゆえ、被計測物の表面を傷つけるおそれがある。
これらを解決するため、先に本出願人らは、特許文献5に記載の通り、導電性繊維および圧電性繊維からなる組物を含み、前記組物は前記導電性繊維が芯であり、前記圧電性繊維が前記導電性繊維の周囲を被覆する被覆繊維である、圧電素子に関する発明を開発した。この発明においては、比較的小さな印加応力によって電気出力を取り出すことができる繊維状の圧電素子が得られるものの、電気出力の観点でさらなる改善が求められていた。
特開2001-189792号公報 特開2011−253517号公報 特許第3540208号公報 国際公開第2014/058077号 国際公開第2016/175321号
本発明は上記の背景に鑑みなされたものであり、比較的小さな変形で生じる応力によっても大きな電気信号を取り出すことが可能な圧電構造体及びそれを用いたデバイスを提供することにある。
本発明者らは上記目的を達成するため鋭意検討した結果、導電性繊維と圧電性高分子との組み合わせとして、芯となる導電性繊維の表面を圧電性高分子で被覆した組紐状の被覆繊維を用いて特定の構造を有する圧電構造体を形成すると、従来の圧電素子と比較して、より大きな電気信号を取り出すことができることを発見し、本発明に到達した。
すなわち、本発明は以下の発明を包含する。
1.導電性繊維及び圧電性繊維からなる組物を含み、前記組物は前記導電性繊維が芯であり、前記圧電性繊維が前記導電性繊維の周囲を被覆する被覆繊維である圧電構造体であって、前記被覆繊維が少なくとも1つの曲げ部を有し、前記圧電構造体を水平面に置いたときの前記水平面から前記圧電構造体の最上部までの高さが前記被覆繊維の直径よりも大きい、圧電構造体。
2.前記水平面から前記圧電構造体の最上部までの高さが前記被覆繊維の直径の2倍以上である、上記1記載の圧電構造体。
3.前記被覆繊維が任意の箇所に1以上の結び目を有する、上記1又は2記載の圧電構造体。
4.前記結び目は、飾り結び、ロープ結び、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、上記1〜3のいずれか一項に記載の圧電構造体。
5.前記結び目が飾り結びであり、該飾り結びが、ひと結び、吉祥結び、つゆ結び、かごめ結び15角、ミョウガ結び、菊結び、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、上記4記載の圧電構造体。
6.前記導電性繊維の曲げ剛性が0.05×10−4N・m/m以下である、上記1〜5のいずれか一項に記載の圧電構造体。
7.前記導電性繊維が金属コートされた有機繊維である、上記1〜6のいずれか一項に記載の圧電構造体。
8.前記圧電性繊維が主成分としてポリ乳酸を含む、上記1〜7のいずれか一項に記載の圧電構造体。
9.前記圧電性繊維が主として光学純度99%以上のポリ−L−乳酸又はポリ−D−乳酸を含む、上記8記載の圧電構造体。
10.前記圧電性繊維が一軸配向し且つ結晶を含む、上記1〜9のいずれか一項に記載の圧電構造体。
11.前記被覆繊維に印加された応力の大きさ及び/又は印加された位置を検出する、上記1〜10のいずれか一項に記載の圧電構造体。
12.検出される前記応力が、前記被覆繊維の表面と被接触物の表面との間の摩擦力である、上記11記載の圧電構造体。
13.検出される前記応力が、前記被覆繊維の表面又は先端部に対する垂直方向の抵抗力である、上記11記載の圧電構造体。
14.前記被覆繊維は伸長変形により電気信号を出力する、上記1〜13のいずれか一項に記載の圧電構造体。
15.前記被覆繊維は、導電性繊維で形成された芯部と、前記芯部を被覆するように組紐状の圧電性繊維で形成された鞘部とを有する、上記1〜14のいずれか一項に記載の圧電構造体。
16.前記圧電性繊維は、配向軸を3軸とした時の圧電定数d14の絶対値が0.1pC/N以上1000pC/N以下の値を有する結晶性高分子を主成分として含む圧電性高分子であり、該圧電性高分子によって被覆された前記芯の中心軸の方向に対する前記圧電性高分子の配向角度が15°以上75°以下であり、前記圧電性高分子は、圧電定数d14の値が正の結晶性高分子を主成分として含むP体と、負の結晶性高分子を主成分として含むN体とを含み、前記中心軸が1cmの長さを持つ部分について、配向軸がZ撚り方向にらせんを巻いて配置された該P体の質量をZP、配向軸がS撚り方向にらせんを巻いて配置された該P体の質量をSP、配向軸がZ撚り方向にらせんを巻いて配置された該N体の質量をZN、配向軸がS撚り方向にらせんを巻いて配置された該N体の質量をSNとし、(ZP+SN)と(SP+ZN)とのうち小さい方をT1、大きい方をT2としたとき、T1/T2の値が0以上0.8以下である、上記15記載の圧電構造体。
17.前記導電性繊維の周囲を絶縁性繊維がさらに被覆する、上記1〜16のいずれか一項に記載の圧電構造体。
18.前記圧電性繊維が前記導電性繊維の周囲にZ撚り方向に巻き付けられ、前記絶縁性繊維が前記導電性繊維の周囲にS撚り方向に巻き付けられるか、又は前記圧電性繊維が前記導電性繊維の周囲にS撚り方向に巻き付けられ、前記絶縁性繊維が前記導電性繊維の周囲にZ撚り方向に巻き付けられた、上記17記載の圧電構造体。
19.前記被覆繊維の外側に導電性繊維からなる層をさらに設けた、上記1〜18のいずれか一項に記載の圧電構造体。
20.上記1〜19のいずれか一項に記載の圧電構造体を使った圧電センサ。
21.上記20に記載の圧電センサと、
印加された圧力に応じて前記圧電センサから出力される電気信号を増幅する増幅手段と、
前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、
を備えるデバイス。
22.前記デバイスは、前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段をさらに備える、上記21記載のデバイス。
23.上記20に記載の圧電センサと、
印加された圧力に応じて前記圧電センサから電気信号を出力する出力手段と、
前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段と、
を備えるデバイス。
本発明によれば、比較的小さな変形で生じる応力によっても大きな電気信号を取り出すことが可能な圧電構造体及びそれを用いたデバイスを提供することができる。また、飾り結び等の結び目を形成した圧電構造体の場合には、結び目を形成していない従来の被覆繊維からなる圧電素子の場合と比較して、より大きな電気信号を取り出すことができるだけでなく、圧電構造体としての美観(意匠性)を高めることもできる。したがって、このような圧電構造体は、高い意匠性が要求される技術分野においても幅広く適用することが可能である。
導電性繊維と圧電性繊維との組み合わせにおける電気信号の発生原理を説明する模式的な断面図である。 本発明の実施の形態に係る圧電構造体の構成の一例を表す模式図である。 本発明の実施の形態に係る被覆繊維の好ましい構成の一例を表す模式図である。 配向角度θの計算方法を説明する模式図である。 本発明の圧電構造体を備えるセンサを示すブロック図である。 本発明に係る圧電構造体を備えるセンサにおける被覆繊維と増幅手段との接続例を示す模式図である。 (a)は結び目を設けていない組紐状被覆繊維から出力される電気信号の一例を示す図であり、(b)は結び目を設けた圧電構造体から出力される電気信号の一例を示す図である。 (a)及び(b)は本発明に係る結び目のない圧電構造体を示す写真であり、(c)は複数の異なる動作に対して当該圧電構造体から出力される電気信号を示す図である。 (a)は、吉祥結びとつゆ結びの組み合わせを含む圧電構造体を示す写真であり、(b)〜(d)は、それぞれ「ゆらす」、「指で挟む」及び「引っ張る」の動作に対して当該圧電構造体から出力される電気信号を示す図である。 (a)は、吉祥結びとつゆ結びの組み合わせを含む圧電構造体のチョーカーを示す写真であり、(b)〜(d)は、それぞれ「首の脈」、「飲み物を飲む」及び「咳をする」の動作に対して当該チョーカーから出力される電気信号を示す図である。 かごめ結び15角を含む圧電構造体のコースターを示す写真である。 (a)〜(c)は、それぞれ「指で押す」、「ビーカーで押す」及び「ビーカーに水を注ぐ」の動作に対してかごめ結び15角を含む圧電構造体のコースターから出力される電気信号を示す図である。 ミョウガ結びを含む圧電構造体を示す写真である。 (a)〜(c)は、それぞれ「指で押す」、「ゆらす」及び「縦に伸ばす」の動作に対してミョウガ結びを含む圧電構造体から出力される電気信号を示す図である。 菊結びを含む圧電構造体のキーホルダーを示す写真である。 実施形態に係る組紐状被覆繊維の断面写真である。
はじめに、本発明の導電性繊維と圧電性繊維との組み合わせにおける電気信号の発生原理について説明する。
図1は、導電性繊維と圧電性繊維との組み合わせにおける電気信号の発生原理を説明する模式的な断面図である。増幅手段12の入力端子には、導電性繊維Bからの引出し線を接続する。図1(a)において、導電性繊維B及び圧電性繊維Aに外力が加えられていない状態では、導電性繊維B及び圧電性繊維Aにおいて、正負各電荷は均一に分布している。圧電性繊維Aに外力が加えられ始めると、図1(b)に示すように、圧電性繊維Aにおいて分極が発生し、電荷の正負が一方向に配列された状態になる。圧電性繊維Aの分極により発生した正負各電荷の配列につられて、導電性繊維Bから負の電荷が流出する。この負の電荷の移動は微小な電気信号の流れ(すなわち電流)として現れ、増幅手段12はこの電気信号を増幅し、出力手段13は、増幅手段12で増幅された電気信号を出力する。図1(b)に示す分極状態は、圧電性繊維Aに対する外力が維持(固定)される限り継続する。
圧電性繊維Aに対する外力が維持(固定)された状態(図1(b))から圧電性繊維Aに対するが外力が減少し始めると、図1(c)に示すように圧電性繊維Aにおいて分極は解消し、圧電性繊維Aにおいて正負各電荷が均一に分布した状態になる。圧電性繊維Aにおける正負各電荷の均一分布につられて、導電性繊維Bへ負の電荷が流入する。この負の電荷の移動は微小な電気信号の流れ(すなわち電流)として現れるが、増幅手段12ではこの電気信号を増幅し、増幅された電気信号を出力手段13にて出力する。なお、圧電性繊維Aに対する外力が増加する動作中の状態(図1(b))と外力がかかっている状態から外力が減少している状態(図1(c))とでは、負の電荷の移動の向きは逆向きになるので、外力が増加する動作と外力が減少する動作とでは逆極性の電気信号が発生する。例えば、圧電性繊維Aの伸長動作時には正の電気信号が発生し、圧電性繊維Aの戻し動作時には負の電気信号が発生する。
本発明では、圧電性繊維Aに対する伸長及び戻し動作に伴い発生する微小な電気信号を、増幅手段12によって増幅して出力手段12によって出力し、外部機器(図示せず)における演算処理により、増幅電気信号が正か負かを切り分け、圧電性繊維Aの伸長の有無及び伸長の度合いを検出する。例えば、外部機器(図示せず)において、増幅手段12にて増幅され出力手段13から出力された増幅電気信号を時間積分し、そして、この積分値が、所定の上限値以上になったときは「伸長動作」と判定し、所定の下限値未満となったときは「戻し動作」と判定する演算処理を実行することができる。なお、本明細書において、圧電性繊維Aに印加された応力に応じて電気信号が発生するとの記載は、圧電性繊維Aの歪みに応じて電気信号が発生することと同義である。
以下、本発明について詳細に説明する。
(圧電構造体)
本発明の圧電構造体は、導電性繊維及び圧電性繊維からなる組物を含み、前記組物は前記導電性繊維が芯であり、前記圧電性繊維が前記導電性繊維の周囲を被覆する被覆繊維であり、前記被覆繊維が少なくとも1つの曲げ部を有し、前記圧電構造体を水平面に置いたときの前記水平面から前記圧電構造体の最上部までの高さが前記被覆繊維の直径よりも大きいことを特徴としている。図2は、本発明の実施の形態に係る圧電構造体の構成の一例を表す模式図であり、図2(a)は上面図を示し、図2(b)は側面図を示す。
図2(a)を参照すると、圧電構造体10は、後で詳しく説明する被覆繊維1から構成され、より具体的には当該被覆繊維1に曲げ部が形成されるよう結び目を設けた構造を有する。この圧電構造体10を水平面に置くと、図2(b)に示すように、水平面から圧電構造体10の最上部までの高さhは被覆繊維1の直径よりも大きくなる。この場合には、図2(b)に示すように、被覆繊維1は、結び目部分において、水平面に平行な方向とは異なる複数の方向に配向された繊維軸を有することになる。この圧電構造体10に対し、例えば、水平面に垂直な方向から応力を印加した場合には、結び目部分の被覆繊維1に複数の伸長による変形が生じ、このような複数の伸長変形により圧電構造体10において複数の電気信号が発生する。また、この圧電構造体10は、上記のとおり、複数の方向に配向された繊維軸を有するため、水平面に垂直な方向からの応力だけでなく、他の様々な方向からの応力に対しても伸長変形が生じ、電気信号を発生させることが可能である。さらに言えば、このような複数の伸長変形によって発生する電気信号は、当然ながら、1つの伸長変形によって発生する電気信号よりも大きいことが明らかである。また、結び目部分は複雑に拘束されているので、特定の方向の応力に対して局所的に応力が集中し、その結果発生する電気信号が大きくなる場合もある。したがって、このような構造を有する本発明の圧電構造体によれば、比較的小さな変形で生じる応力によってもより大きな電気信号を確実に取り出すことが可能となる。さらに、この圧電構造体10は複数の方向に配向された繊維軸を有するため、印加される応力の方向や強さに応じて、伸長変形の仕方や程度が大きく変化する場合がある。この場合には、出力される信号の強度や挙動も変化するため、応力が印加される動作を区別することも可能である。
これとは対照的に、1本の被覆繊維1を単に水平面に置いた場合には、例えば、被覆繊維1の両端を引っ張ることで伸長変形を生じさせることはできるものの、他の様々な方向からの応力、例えば、水平面に対して平行でない方向からの応力に対して十分な伸長変形を生じさせることはできない。さらに、1本の被覆繊維1を単に水平面に置いた場合には、本発明の圧電構造体とは異なり、1つの応力印加に対して同時に複数の伸長変形を生じさせることも困難である。したがって、本発明の圧電構造体によれば、従来の被覆繊維からなる圧電素子と比較して、より大きな電気信号を取り出すことが可能である。
なお、図2では、理解を容易にするため、本発明の圧電構造体として結び目を有する構成を示したが、本発明の圧電構造体は、このような構成には限定されない。すなわち、本発明の圧電構造体は、被覆繊維が少なくとも1つの曲げ部、好ましくは少なくとも2つ又は少なくとも3つの曲げ部を有し、圧電構造体を水平面に置いたときの水平面から当該圧電構造体の最上部までの高さが被覆繊維の直径よりも大きい任意の構造を含むことができる。例えば、本発明の圧電構造体は、被覆繊維に単に曲げ部を設けた後、当該曲げ部を接着剤等で固めてその構造を維持できるようにしたものも包含する。
本発明によれば、水平面から圧電構造体10の最上部までの高さは、被覆繊維1の直径よりも大きければよく特に限定されないが、好ましくは被覆繊維1の直径の2倍以上であり、より好ましくは3倍以上である。圧電構造体10がこのようなより大きな高さを有する場合には、圧電構造体10が配置される面に対する被覆繊維1の繊維軸の傾きをより大きくすることができる。したがって、圧電構造体10への特定方向からの応力の印加、例えば、水平面に垂直な方向からの応力の印加に対し、被覆繊維1においてより大きな伸長変形を生じさせることができ、その結果として圧電構造体10からより大きな電気信号を取り出すことが可能となる。また、水平面から圧電構造体10の最上部までの高さと被覆繊維1の曲げ部の数とを適切に組み合わせることで、比較的小さな変形によって、複数の被覆繊維1のそれぞれからより大きな電気信号を取り出すことで、全体として極めて大きな電気信号を取り出すことも可能である。
本発明において、「被覆繊維の直径」とは、圧電構造体を構成する被覆繊維の最も細い部分の直径を言うものである。
本発明の圧電構造体10においては、被覆繊維1は、任意の箇所に1以上の結び目を有することが好ましい。結び目を設けることで、接着剤等を使用することなしに、被覆繊維1が少なくとも1つの曲げ部を有し、水平面から圧電構造体10の最上部までの高さが被覆繊維1の直径よりも大きい圧電構造体10をより簡単に形成することができる。より好ましくは、被覆繊維1は、任意の箇所に2、3、4又はそれ以上の結び目を有する。結び目の数を増やすことで、様々な方向に配向された繊維軸を有する多くの被覆繊維1を含む圧電構造体10を形成することができる。その結果として、1つの応力印加に対して同時に複数の伸長変形を生じさせることにより、全体として極めて大きな電気信号を取り出すことが可能となる。
このような結び目としては、当業者に公知の任意の結び目を採用可能であり、特に限定されないが、例えば、飾り結び、ロープ結び、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれるものを採用可能である。
飾り結びとしては、例えば、川島美園著「図解はじめての飾り結び 1補訂版」水曜社発行に記載されている飾り結び、具体的には、淡路結び(右上)、淡路結び(左上)、葵結び(一方ひもの移動/左回り)、葵結び(一方ひもの移動/右回り)、四つ手淡路結び、荘厳結び、けまん結び、本願寺結び(亀結び)、総角結び(あげまき結び/人型)、総角結び(あげまき結び/入型)、菊結び、菊結び(クサビ結び)、裏菊結び、十二片菊結び、八重菊結び、梅結び、蝶結び1、蝶結び2、釈迦結び(しゃか頭)、玉結び、四つ菱結び、相生結び、髪飾り結び、かごめ結び10角、かごめ結び15角、六方緒じめ結び、几帳結び、二つ葉結び、三つ葉結び、梅花結び、つゆ結び(男結び/人型)、つゆ結び(女結び/入型)、変わりこま結び(横)、変わりこま結び(縦)、叶結び、機結び、角結び(丸)、角結び(角)、けさ結び、守り袋結び(横)、守り袋結び(縦)、玉房結び、国結び、平打ち(三つ)、平打ち(四つ)、平打ち(五つ)、うろこ打ち(平七つ)、うろこ打ち(平九つ)、縄編み(平)、角打ち(四つ)、角打ち(六つ)、角打ち(八つ)、丸打ち(四つ)、丸打ち(六つ)、左右結び、蜷結び、鎖結び、重ね四つ手淡路結び、淡路つなぎ結び、重ね淡路結び、ダブル玉結び、つな編み結び三角、つな編み結び四角、つな編み結び長方形、かざぐるま結び、かざぐるま結び(一方ひもの移動)、重ね几帳結び(上三角)、重ね几帳つなぎ結び(下三角)、三つ井結び、ミョウガ結び、唐蝶結び(上向)、唐蝶結び(下向)、玉房結び三角(上向)、玉房結び三角(下向)、玉房結び変化(菱花結び)、長8字結び、横8字結び、つな編み結び四角(2方入)、長国結び、横国結び、二重守り袋結び、太陽結び、リング太陽結び、幸運傘結び、開扇玉房結び、ひばり結び、平結び、七宝結び(1回平結び)、七宝結び(1回半平結び)、巻き結び、表タッチング結び、左上ねじり結び、右上ねじり結び、8の字結び、とめ結び、まとめ結び(ラッピング)等を採用可能である。本発明においては、例えば、ひと結び、吉祥結び、つゆ結び、かごめ結び15角、ミョウガ結び、菊結び、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる飾り結びを採用可能である。
ロープ結びとしては、例えば、杉浦昭典著「図解 新・ロープの結び方」海文堂発行に記載されているロープ結び、具体的には、一重結び、8の字結び、一結び、ねじり結び、巻き結び、二重結び、もやい結び、腰掛け結び、わな結び、中間輪結び、締め結び、真結び、一重つなぎ、あやつなぎ、思い結び、けまん結び、あげまき結び、棒結び、捕縛結び、取っ手結び(クラウン・ノット、ウォール・ノット、ウォール・アンド・クラウン・ノット、マシュー・ウォーカー・ノット、ダイヤモンド・ノット、6本ストランドの取っ手結び)、たが結び(3辺3本形タークス・ヘッド、4辺3本形タークス・ヘッド、5辺3本形タークス・ヘッド、多辺3本形タークス・ヘッド、4本形タークス・ヘッド)などをいずれも採用可能である。また、飾り結び及びロープ結びの具体的な結び目については、上記の文献の記載に基づいて容易に形成することが可能である。
なお、本発明の圧電構造体では、複数本の被覆繊維を束ねたものを用いてもよく、例えば、被覆繊維の直径が適切なサイズになるように当該被覆繊維の周囲をさらに別の繊維又は層で被覆し、このようにして得られた被覆繊維を複数本束ねて用いてもよい。特に上記の飾り結びを有する被覆繊維を含む圧電構造体の場合には、被覆繊維の周囲をさらに別の種々の形状(例えば、組紐状、カバリング糸状等)や色を有する繊維又は層で被覆したものを(単独で又は)複数本束ねて用いることにより、より意匠性の高い圧電構造体を得ることができる。この際、飾り結びを形成するすべての紐状物を圧電被覆繊維としてもよいし、当該紐状物の一部に圧電被覆繊維を用いてもよい。
(被覆繊維)
本発明の圧電構造体は、導電性繊維の表面を圧電性高分子の繊維、すなわち圧電性繊維で被覆した被覆繊維を含む。図3は、本発明の実施の形態に係る被覆繊維の好ましい構成の一例を表す模式図である。図3に示すように、被覆繊維1’は、導電性繊維Bで形成された芯部3と、芯部3を被覆するように組紐状の圧電性繊維Aで形成された鞘部2とを備えている。なお、図3では、上記のとおり、被覆繊維1の好ましい構成の一例として組紐状被覆繊維1’が示されているが、本発明に係る被覆繊維1は、このような組紐状被覆繊維1’には限定されず、導電性繊維と圧電性繊維からなる任意の形状の組物を包含することができる。以下、被覆繊維1の好ましい構成の一例である組紐状被覆繊維1’についてより詳しく説明する。
組紐状被覆繊維1’では、少なくとも一本の導電性繊維Bの外周面を多数の圧電性繊維Aが緻密に取り巻いている。組紐状被覆繊維1’に変形が生じると、多数の圧電性繊維Aそれぞれに変形による応力が生じ、それにより多数の圧電性繊維Aそれぞれに電場が生じ(圧電効果)、その結果、導電性繊維Bを取り巻く多数の圧電性繊維Aの電場を重畳した電圧変化が導電性繊維Bに生じる。すなわち圧電性繊維Aの組紐状の鞘部2を用いない場合と比較して導電性繊維Bからの電気信号が増大する。それにより、組紐状被覆繊維1’では、比較的小さな変形で生じる応力によっても、大きな電気信号を取り出すことが可能となる。なお、導電性繊維Bは複数本であってもよい。
組紐状被覆繊維1’は、その中心軸(図3中のCL)方向への伸長変形に対して選択的に大きな電気信号を出力するものが好ましい。
(伸長変形に対して選択的に大きな電気信号を出力する組紐状被覆繊維)
中心軸方向への伸長変形に対して選択的に大きな電気信号を出力する組紐状被覆繊維1’としては、例えば、圧電性繊維Aとして、一軸配向した高分子の成型体であり、配向軸を3軸とした時の圧電定数d14の絶対値が0.1pC/N以上1000pC/N以下の値を有する結晶性高分子を主成分として含む圧電性高分子を使用することができる。本発明において「主成分として含む」とは、構成成分の50質量%以上を占めることを指す。また、本発明において結晶性高分子とは、1質量%以上の結晶部と、結晶部以外の非晶部とからなる高分子であり、結晶性高分子の質量とは結晶部と非晶部とを合計した質量である。なお、d14の値は成型条件や純度及び測定雰囲気によって異なる値を示すが、本発明においては、実際に使用される圧電性高分子中の結晶性高分子の結晶化度及び結晶配向度を測定し、それと同等の結晶化度及び結晶配向度を有する1軸延伸フィルムを当該結晶性高分子を用いて作成し、そのフィルムのd14の絶対値が、実際に使用される温度において0.1pC/N以上1000pC/N以下の値を示せばよく、本実施形態の圧電性高分子に含まれる結晶性高分子としては、後述されるような特定の結晶性高分子には限定されない。フィルムサンプルのd14の測定は公知の様々な方法を取ることができるが、例えばフィルムサンプルの両面に金属を蒸着して電極としたサンプルを、延伸方向から45度傾いた方向に4辺を有する長方形に切り出し、その長尺方向に引張荷重をかけた時に両面の電極に発生する電荷を測定することで、d14の値を測定することができる。
また、中心軸方向への伸長変形に対して選択的に大きな電気信号を出力する組紐状被覆繊維1’においては、中心軸の方向と圧電性高分子の配向方向とがなす角度(配向角度θ)は15°以上75°以下であることが好ましい。この条件を満たす時、組紐状被覆繊維1’に対し中心軸方向の伸長変形(引張応力及び圧縮応力)を与えることで、圧電性高分子に含まれる結晶性高分子の圧電定数d14に対応する圧電効果を効率よく利用し、組紐状被覆繊維1’の中心軸側と外側とに効率的に逆極性(逆符号)の電荷を発生させることができる。かかる観点から、配向角度θは25°以上65°以下であることが好ましく、35°以上55°以下であることがより好ましく、40°以上50°以下であることがさらに好ましい。このように圧電性高分子を配置すると、圧電性高分子の配向方向はらせんを描くことになる。
また、このように圧電性高分子を配置することで、組紐状被覆繊維1’の表面を擦るようなせん断変形や、中心軸を曲げるような曲げ変形や、中心軸を軸としたねじり変形に対しては被覆繊維1の中心軸側と外側とには大きな電荷を発生させないようにする、即ち中心軸方向の伸長に対して選択的に大きな電荷を発生させる組紐状被覆繊維1’とすることができる。
配向角度θは、可能な限り下記の方法で測定する。組紐状被覆繊維1’の側面写真を撮影し、圧電性高分子A’のらせんピッチHPを測定する。らせんピッチHPは図4の通り、1本の圧電性高分子A’が表面から裏面を回って再び表面に来るまでに要した、中心軸方向の直線距離である。また、必要に応じて接着剤で構造を固定後に、組紐状被覆繊維1’の中心軸に垂直な断面を切り出して写真を撮影し、鞘部2が占める部分の外側半径Ro及び内側半径Riを測定する。断面の外縁及び内縁が楕円形や扁平な円形の場合は、長径と短径の平均値をRo及びRiとする。下記式から中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θを計算する。
θ = arctan(2πRm/HP) (0°≦θ≦90°)
ただしRm=2(Ro3−Ri3)/3(Ro2−Ri2)、即ち断面積で加重平均した被覆繊維1の半径である。
被覆繊維1の側面写真において圧電性高分子が均一な表面を有しており、圧電性高分子のらせんピッチが判別できない場合は、接着剤等で固定した組紐状被覆繊維1’を中心軸を通る平面で割断し、割断面に垂直な方向に、中心軸を通るよう十分に狭い範囲でX線を透過するよう広角X線回折分析を行い、配向方向を決定して中心軸との角度をとり、θとする。
本発明に係る組紐状被覆繊維1’では、圧電性高分子の配向方向に沿って描かれるらせんについて、らせん方向(S撚り方向又はZ撚り方向)やらせんピッチを異にする2つ以上のらせんが同時に存在する場合があるが、それぞれのらせん方向及びらせんピッチの圧電性高分子についてそれぞれ上記測定を行い、いずれか一つのらせん方向及びらせんピッチの圧電性高分子が前述の条件を満たすことが必要である。
中心軸方向の伸長変形に対して中心軸側と外側とに発生する電荷の極性は、圧電性高分子の配向方向をS撚りのらせんに沿って配置した場合と、同じ圧電性高分子の配向方向をZ撚りのらせんに沿って配置した場合とでは、互いに逆の極性になる。このため、圧電性高分子の配向方向をS撚りのらせんに沿って配置すると同時にZ撚りのらせんに沿って配置した場合は、伸長変形に対する発生電荷がS撚り方向とZ撚り方向とで互いに打消し合って効率的に利用できないため、好ましくない。したがって、上記の圧電性高分子は、圧電定数d14の値が正の結晶性高分子を主成分として含むP体と、負の結晶性高分子を主成分として含むN体とを含み、被覆繊維1の中心軸が1cmの長さを持つ部分について、配向軸がZ撚り方向にらせんを巻いて配置されたP体の質量をZP、配向軸がS撚り方向にらせんを巻いて配置されたP体の質量をSP、配向軸がZ撚り方向にらせんを巻いて配置されたN体の質量をZN、配向軸がS撚り方向にらせんを巻いて配置されたN体の質量をSNとし、(ZP+SN)と(SP+ZN)とのうち小さい方をT1、大きい方をT2としたとき、T1/T2の値が0以上0.8以下であることが好ましく、さらに0以上0.5以下であることが好ましい。
本発明の圧電性繊維として主成分としてポリ乳酸が含まれる繊維を用いる場合、ポリ乳酸中の乳酸ユニットは90モル%以上であることが好ましく、95モル%以上であることがより好ましく、98モル%以上がさらに好ましい。
なお、組紐状被覆繊維1’では、本発明の目的を達成する限り、鞘部2では圧電性繊維A以外の他の繊維と組み合わせて混繊等を行ってもよいし、芯部3では導電性繊維B以外の他の繊維と組み合わせて混繊等を行ってもよい。
被覆繊維1又は組紐状被覆繊維1’の長さは特に限定はないが、製造において連続的に製造され、その後に好みの長さにカットして利用してもよい。実際の圧電構造体としての利用においては、被覆繊維1又は組紐状被覆繊維1’の長さは1mm〜20m、好ましくは、1cm〜10m、より好ましくは10cm〜5mである。長さが短すぎると圧電構造体の形成にとって不利な場合があり、また、長さが長すぎると導電性繊維Bの抵抗値の問題等で電気出力が低下する等の問題がある。
以下、各構成について詳細に説明する。
(導電性繊維)
導電性繊維Bとしては、導電性を示すものであればよく、公知のあらゆるものが用いられる。導電性繊維Bとしては、例えば、金属繊維、導電性高分子からなる繊維、炭素繊維、繊維状あるいは粒状の導電性フィラーを分散させた高分子からなる繊維、あるいは繊維状物の表面に導電性を有する層を設けた繊維が挙げられる。繊維状物の表面に導電性を有する層を設ける方法としては、金属コート、導電性高分子コート、導電性繊維の巻付けなどが挙げられる。なかでも金属コートが導電性、耐久性、柔軟性などの観点から好ましい。金属をコートする具体的な方法としては、蒸着、スパッタ、電解メッキ、無電解メッキなどが挙げられるが生産性などの観点からメッキが好ましい。このような金属をメッキされた繊維は金属メッキ繊維ということができる。
金属をコートされるベースの繊維として、導電性の有無によらず公知の繊維を用いることができ、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維の他、綿、麻、絹等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維を用いることができる。ベースの繊維はこれらに限定されるものではなく、公知の繊維を任意に用いることができ、これらの繊維を組み合わせて用いてもよい。
ベースの繊維にコートされる金属は導電性を示し、本発明の効果を奏する限り、いずれを用いてもよい。例えば、金、銀、白金、銅、ニッケル、スズ、亜鉛、パラジウム、酸化インジウム錫、硫化銅など、及びこれらの混合物や合金などを用いることができる。
導電性繊維Bに屈曲耐性のある金属コートした有機繊維を使用すると、導電性繊維が折れることが非常に少なく、圧電構造体を用いたセンサとしての耐久性や安全性に優れる。
導電性繊維Bはフィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントを用いても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントを用いてもよい。マルチフィラメントの方が電気特性の長尺安定性の観点で好ましい。モノフィラメント(紡績糸を含む)の場合、その単糸径は1μm〜5000μmであり、好ましくは2μm〜100μmである。さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントの場合、フィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは5本〜500本、さらに好ましくは10本〜100本である。ただし、導電性繊維Bの繊度・本数とは、組紐を作製する際に用いる芯部3の繊度・本数であり、複数本の単糸(モノフィラメント)で形成されるマルチフィラメントも一本の導電性繊維Bと数えるものとする。ここで芯部3とは、導電性繊維以外の繊維を用いた場合であっても、それを含めた全体の量とする。
繊維の直径が小さいと強度が低下しハンドリングが困難となり、また、直径が大きい場合にはフレキシブル性が犠牲になる。導電性繊維Bの断面形状としては円又は楕円であることが、被覆繊維の設計及び製造の観点で好ましいが、これに限定されない。
また、圧電性高分子からの電気出力を効率よく取り出すため、電気抵抗は低いことが好ましく、体積抵抗率としては10−1Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは10−2Ω・cm以下、さらに好ましくは10−3Ω・cm以下である。ただし、電気信号の検出で十分な強度が得られるのであれば導電性繊維Bの抵抗率はこの限りではない。
導電性繊維Bは、本発明の用途から、繰り返しの曲げやねじりといった動きに対して耐性がなければならない。その指標としては、結節強さが、より大きいものが好まれる。結節強さはJIS L1013 8.6の方法で測定することができる。本発明に適当な結節強さの程度としては、0.5cN/dtex以上であることが好ましく、1.0cN/dtex以上であることがより好ましく、1.5cN/dtex以上であることがさらに好ましく、2.0cN/dtex以上であることが最も好ましい。また、別の指標としては、曲げ剛性が、より小さいものが好まれる。曲げ剛性は、カトーテック(株)製KES―FB2純曲げ試験機などの測定装置で測定されるのが一般的である。本発明に適当な曲げ剛性の程度としては、東邦テナックス(株)製の炭素繊維“テナックス”(登録商標)HTS40−3Kよりも小さいほうが好ましい。具体的には、導電性繊維の曲げ剛性が0.05×10−4N・m/m以下であることが好ましく、0.02×10−4N・m/m以下であることがより好ましく、0.01×10−4N・m/m以下であることがさらに好ましい。
(圧電性繊維)
圧電性繊維Aの材料である圧電性高分子としてはポリフッ化ビニリデンやポリ乳酸のような圧電性を示す高分子を利用できるが、本実施形態では上記のように圧電性繊維Aは主成分として配向軸を3軸とした時の圧電定数d14の絶対値が高い結晶性高分子、とりわけポリ乳酸を含むことが好適である。ポリ乳酸は、例えば溶融紡糸後に延伸によって容易に配向して圧電性を示し、ポリフッ化ビニリデンなどで必要となる電界配向処理が不要な点で生産性に優れている。しかしこのことは、本発明を実施するに際してポリフッ化ビニリデンその他の圧電性材料の使用を排除することを意図するものではない。
ポリ乳酸としては、その結晶構造によって、L−乳酸、L−ラクチドを重合してなるポリ−L−乳酸、D−乳酸、D−ラクチドを重合してなるポリ−D−乳酸、さらに、それらのハイブリッド構造からなるステレオコンプレックスポリ乳酸などがあるが、圧電性を示すものであればいずれも利用できる。圧電率の高さの観点で好ましくは、ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸である。ポリ−L−乳酸、ポリ−D−乳酸はそれぞれ、同じ応力に対して分極が逆になるために、目的に応じてこれらを組み合わせて使用することも可能である。
ポリ乳酸の光学純度は99%以上であることが好ましく、99.3%以上であることがより好ましく、99.5%以上であることがさらに好ましい。光学純度が99%未満であると著しく圧電率が低下する場合があり、圧電性繊維Aの形状変化よって十分な電気信号を得ることが難しくなる場合がある。特に、圧電性繊維Aは、主成分としてポリ−L−乳酸又はポリ−D−乳酸を含み、これらの光学純度が99%以上であることが好ましい。
ポリ乳酸を主成分とする圧電性繊維Aは、製造時に延伸されて、その繊維軸方向に一軸配向している。さらに、圧電性繊維Aは、その繊維軸方向に一軸配向しているだけでなく、ポリ乳酸の結晶を含むものであることが好ましく、一軸配向したポリ乳酸の結晶を含むものであることがより好ましい。なぜなら、ポリ乳酸はその結晶性が高いこと及び一軸配向していることでより大きな圧電性を示し、d14の絶対値が高くなるためである。
結晶性及び一軸配向性はホモPLA結晶化度Xhomo(%)及び結晶配向度Ao(%)で求められる。本発明の圧電性繊維Aとしては、ホモPLA結晶化度Xhomo(%)及び結晶配向度Ao(%)が下記式(1)を満たすことが好ましい。
homo×Ao×Ao÷106≧0.26 (1)
上記式(1)を満たさない場合、結晶性及び/又は一軸配向性が十分でなく、動作に対する電気信号の出力値が低下したり、特定方向の動作に対する信号の感度が低下したりするおそれがある。上記式(1)の左辺の値は、0.28以上がより好ましく、0.3以上がさらに好ましい。ここで、各々の値は下記に従って求める。
ホモポリ乳酸結晶化度Xhomo
ホモポリ乳酸結晶化度Xhomoについては、広角X線回折分析(WAXD)による結晶構造解析から求める。広角X線回折分析(WAXD)では、(株)リガク製ultrax18型X線回折装置を用いて透過法により、以下条件でサンプルのX線回折図形をイメージングプレートに記録する。
X線源: Cu−Kα線(コンフォーカル ミラー)
出力: 45kV×60mA
スリット: 1st:1mmΦ,2nd:0.8mmΦ
カメラ長: 120mm
積算時間: 10分
サンプル: 35mgのポリ乳酸繊維を引き揃え3cmの繊維束とする。
得られるX線回折図形において方位角にわたって全散乱強度Itotalを求め、ここで2θ=16.5°,18.5°,24.3°付近に現れるホモポリ乳酸結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和ΣIHMiを求める。これらの値から下式(2)に従い、ホモポリ乳酸結晶化度Xhomoを求める。
ホモポリ乳酸結晶化度Xhomo(%)=ΣIHMi/Itotal×100 (2)
なお、ΣIHMiは、全散乱強度においてバックグランドや非晶による散漫散乱を差し引くことによって算出する。
(2)結晶配向度Ao:
結晶配向度Aoについては、上記の広角X線回折分析(WAXD)により得られるX線回折図形において、動径方向の2θ=16.5°付近に現れるホモポリ乳酸結晶に由来する回折ピークについて、方位角(°)に対する強度分布をとり、得られた分布プロファイルの半値幅の総計ΣWi(°)から次式(3)より算出する。
結晶配向度Ao(%)=(360−ΣWi)÷360×100 (3)
なお、ポリ乳酸は加水分解が比較的速いポリエステルであるから、耐湿熱性が問題となる場合においては、公知の、イソシアネート化合物、オキサゾリン化合物、エポキシ化合物、カルボジイミド化合物などの加水分解防止剤を添加してもよい。また、必要に応じてリン酸系化合物などの酸化防止剤、可塑剤、光劣化防止剤などを添加して物性改良してもよい。
圧電性繊維Aはフィラメントを複数本束ねたマルチフィラメントであっても、また、フィラメント一本からなるモノフィラメントであってもよい。モノフィラメント(紡績糸を含む)の場合、その単糸径は1μm〜5mmであり、好ましくは5μm〜2mm、さらに好ましくは10μm〜1mmである。マルチフィラメントの場合、その単糸径は0.1μm〜5mmであり、好ましくは2μm〜100μm、さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントのフィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは50本〜50000本、さらに好ましくは100本〜20000本である。ただし、圧電性繊維Aの繊度や本数については、組紐を作製する際のキャリア1つあたりの繊度、本数であり、複数本の単糸(モノフィラメント)で形成されるマルチフィラメントも一本の圧電性繊維Aと数えるものとする。ここで、キャリア1つの中に、圧電性繊維以外の繊維を用いた場合であっても、それを含めた全体の量とする。
このような圧電性高分子を圧電性繊維Aとするためには、高分子から繊維化するための公知の手法を、本発明の効果を奏する限りいずれも採用することができる。例えば、圧電性高分子を押し出し成型して繊維化する手法、圧電性高分子を溶融紡糸して繊維化する手法、圧電性高分子を乾式あるいは湿式紡糸により繊維化する手法、圧電性高分子を静電紡糸により繊維化する手法、フィルムを形成した後に細くカットする手法、などを採用することができる。これらの紡糸条件は、採用する圧電性高分子に応じて公知の手法を適用すればよく、通常は工業的に生産の容易な溶融紡糸法を採用すればよい。さらに、繊維を形成後には形成された繊維を延伸する。それにより一軸延伸配向しかつ結晶を含む大きな圧電性を示す圧電性繊維Aが形成される。
また、圧電性繊維Aは、上記のように作製されたものを組紐とする前に、染色、撚糸、合糸、熱処理などの処理をすることができる。
さらに、圧電性繊維Aは、組紐を形成する際に繊維同士が擦れて断糸したり、毛羽が出たりする場合があるため、その強度と耐摩耗性は高い方が好ましく、強度は1.5cN/dtex以上であることが好ましく、2.0cN/dtex以上であることがより好ましく、2.5cN/dtex以上であることがさらに好ましく、3.0cN/dtex以上であることが最も好ましい。耐摩耗性は、JIS L1095 9.10.2 B法などで評価することができ、摩擦回数は100回以上が好ましく、1000回以上であることがより好ましく、5000回以上であることがさらに好ましく、10000回以上であることが最も好ましい。耐摩耗性を向上させるための方法は特に限定されるものではなく、公知のあらゆる方法を用いることができ、例えば、結晶化度を向上させたり、微粒子を添加したり、表面加工したりすることができる。また、組紐に加工する際に、繊維に潤滑剤を塗布して摩擦を低減させることもできる。
また、圧電性繊維の収縮率は、前述した導電性繊維の収縮率との差が小さいことが好ましい。収縮率差が大きいと、組紐作製後の後処理工程や実使用時に熱がかかった時や経時変化により組紐が曲がったり、圧電信号が弱くなってしまう場合がある。収縮率を後述の沸水収縮率で定量化した場合、圧電性繊維の沸水収縮率S(p)及び導電性繊維の沸水収縮率S(c)が下記式(4)を満たすことが好適である。
|S(p)−S(c)|≦10 (4)
上記式(4)の左辺は5以下であることがより好ましく、3以下であればさらに好ましい。
また、圧電性繊維の収縮率は、導電性繊維以外の繊維、例えば絶縁性繊維の収縮率との差も小さいことが好ましい。収縮率差が大きいと、組紐作製後の後処理工程や実使用時に熱がかかった時や経時変化により組紐が曲がったり、圧電信号が弱くなってしまう場合がある。収縮率を沸水収縮率で定量化した場合、圧電性繊維の沸水収縮率S(p)及び絶縁性繊維の沸水収縮率S(i)が下記式(5)を満たすことが好適である。
|S(p)−S(i)|≦10 (5)
上記式(5)の左辺は5以下であることがより好ましく、3以下であればさらに好ましい。
また、圧電性繊維の収縮率は小さい方が好ましい。例えば収縮率を沸水収縮率で定量化した場合、圧電性繊維の収縮率は15%以下であることが好ましく、より好ましくは10%以下、さらに好ましくは5%以下、最も好ましくは3%以下である。収縮率を下げる手段としては、公知のあらゆる方法を適用することができ、例えば、熱処理により非晶部の配向緩和や結晶化度を上げることにより収縮率を低減することができ、熱処理を実施するタイミングは特に限定されず、延伸後、撚糸後、組紐化後などが挙げられる。なお、上述の沸水収縮率は以下の方法で測定するものとする。枠周1.125mの検尺機で捲数20回のカセを作り、0.022cN/dtexの荷重を掛けて、スケール板に吊るして初期のカセ長L0を測定した。その後、このカセを100℃の沸騰水浴中で30分間処理後、放冷し再び上記荷重を掛けてスケール板に吊るし収縮後のカセ長Lを測定した。測定されたL0及びLを用いて下記式(6)により沸水収縮率を計算する。
沸水収縮率=(L0−L)/L0×100(%) (6)
(被覆)
導電性繊維B又は芯部3は、圧電性高分子から形成される圧電性繊維Aで表面が被覆されている。導電性繊維Bを被覆する圧電性繊維層又は鞘部2の厚みは1μm〜10mmであることが好ましく、より好ましくは5μm〜5mm、さらに好ましくは10μm〜3mm、最も好ましくは20μm〜1mmである。薄すぎると強度の点で問題となる場合があり、また、厚すぎると電気出力を取り出すことが困難となる場合がある。
組紐状被覆繊維1’において、鞘部2の圧電性繊維Aの総繊度は、芯部3の導電性繊維Bの総繊度の1/2倍以上、20倍以下であることが好ましく、1倍以上、15倍以下であることがより好ましく、2倍以上、10倍以下であることがさらに好ましい。圧電性繊維Aの総繊度が導電性繊維Bの総繊度に対して小さ過ぎると、導電性繊維Bを囲む圧電性繊維Aが少な過ぎて導電性繊維Bが十分な電気信号を出力できず、さらに導電性繊維Bが近接する他の導電性繊維に接触するおそれがある。圧電性繊維Aの総繊度が導電性繊維Bの総繊度に対して大き過ぎると、導電性繊維Bを囲む圧電性繊維Aが多過ぎて組紐状被覆繊維1’が硬くなり変形し難くなる。すなわち、いずれの場合にも圧電構造体10がセンサとして十分に機能しなくなる。
ここでいう総繊度とは、鞘部2を構成する圧電性繊維A全ての繊度の和であり、例えば、一般的な8打組紐の場合には、8本の繊維の繊度の総和となる。
また、組紐状被覆繊維1’において、鞘部2の圧電性繊維Aの一本あたりの繊度は、導電性繊維Bの総繊度の1/20倍以上、2倍以下であることが好ましく、1/15倍以上、1.5倍以下であることがより好ましく、1/10倍以上、1倍以下であることがさらに好ましい。圧電性繊維A一本あたりの繊度が導電性繊維Bの総繊度に対して小さ過ぎると、圧電性繊維Aが少な過ぎて導電性繊維Bが十分な電気信号を出力できず、さらに圧電性繊維Aが切断するおそれがある。圧電性繊維A一本あたりの繊度が導電性繊維Bの総繊度に対して大き過ぎると、圧電性繊維Aが太過ぎて被覆繊維1が硬くなり変形し難くなる。すなわち、いずれの場合にも圧電構造体10がセンサとして十分に機能しなくなる。
なお、導電性繊維Bに金属繊維を用いた場合や、金属繊維を導電性繊維Bあるいは圧電性繊維Aに混繊した場合は、繊度の比率は上記の限りではない。本発明において、上記比率は、接触面積や被覆率、すなわち、面積及び体積の観点で重要であるからである。例えば、それぞれの繊維の比重が2を超えるような場合には、繊維の平均断面積の比率が上記繊度の比率であることが好ましい。
圧電性繊維Aと導電性繊維Bはできるだけ密着していることが好ましいが、密着性を改良するために、導電性繊維Bと圧電性繊維Aの間にアンカー層や接着層などを設けてもよい。
被覆の方法は導電性繊維Bを芯として、その周りに圧電性繊維Aを巻きつける方法が取られる。一方、圧電性繊維層の形状は、印加された応力に対して電気出力を出すことが出来れば特に限定されるものではないが、組紐状被覆繊維1’の場合においては、芯部3を有する8打組紐や16打組紐が好ましい。
導電性繊維Bと圧電性繊維Aの形状としては特に限定されるものではないが、できるだけ同心円状に近いことが好ましい。なお、導電性繊維Bとしてマルチフィラメントを用いる場合、圧電性繊維Aは、導電性繊維Bのマルチフィラメントの表面(繊維周面)の少なくとも一部が接触しているように被覆していればよく、マルチフィラメントを構成するすべてのフィラメント表面(繊維周面)に圧電性繊維Aが被覆していても、また、していなくともよい。導電性繊維Bのマルチフィラメントを構成する内部の各フィラメントへの圧電性繊維Aの被覆状態は、圧電性素子としての性能、取扱い性等を考慮して、適宜設定すればよい。
本発明における被覆繊維1は少なくとも1本の導電性繊維を含むが、導電性繊維は1本に限定されず、より多くても良い。
本発明における被覆繊維1は、その表面に電極を存在させる必要が無いため、被覆繊維1自体をさらに被覆する必要がなく、また、誤動作しにくいという利点がある。
(絶縁性繊維)
本発明に係る被覆繊維1では、導電性繊維Bの周囲を絶縁性繊維でさらに被覆してもよい。より具体的には、組紐状被覆繊維1’では、鞘部2は圧電性繊維Aのみによって形成してもよいし、又は圧電性繊維Aと絶縁性繊維の組み合わせによって形成してもよい。例えば、圧電性繊維Aが導電性繊維Bの周囲にZ撚り方向に巻き付けられ、絶縁性繊維が導電性繊維Bの周囲にS撚り方向に巻き付けられるか、又は圧電性繊維Aが導電性繊維Bの周囲にS撚り方向に巻き付けられ、絶縁性繊維が導電性繊維Bの周囲にZ撚り方向に巻き付けられてもよい。
このような絶縁性繊維としては、例えば、ポリエステル繊維、ナイロン繊維、アクリル繊維、ポリエチレン繊維、ポリプロピレン繊維、塩化ビニル繊維、アラミド繊維、ポリスルホン繊維、ポリエーテル繊維、ポリウレタン繊維等の合成繊維他、綿、麻、絹等の天然繊維、アセテート等の半合成繊維、レーヨン、キュプラ等の再生繊維を用いることができる。これらに限定されるものではなく、公知の絶縁性繊維を任意に用いることができる。さらに、これらの絶縁性繊維を組み合わせて用いてもよく、絶縁性を有しない繊維と組み合わせ、全体として絶縁性を有する繊維としてもよい。
また、公知のあらゆる断面形状の繊維も用いることができる。
(製造方法)
本発明の圧電構造体は、少なくとも1本の導電性繊維Bの表面を圧電性繊維Aで被覆した被覆繊維を含む。この被覆繊維の製造方法として以下の方法が挙げられる。すなわち、導電性繊維Bと延伸した圧電性繊維Aを別々の工程で作製し、導電性繊維Bに圧電性繊維Aを巻き付けるなどして被覆する方法である。この場合には、できるだけ同心円状に近くなるように被覆することが好ましい。
この場合、圧電性繊維Aを形成する圧電性高分子としてポリ乳酸を用いる場合の好ましい紡糸、延伸条件として、溶融紡糸温度は150〜250℃が好ましく、延伸温度は40〜150℃が好ましく、延伸倍率は1.1倍から5.0倍が好ましく、結晶化温度は80〜170℃が好ましい。
導電性繊維Bに巻き付ける圧電性繊維Aとしては、複数のフィラメントを束ねたマルチフィラメントを用いてもよく、また、モノフィラメント(紡績糸を含む)を用いても良い。また、圧電性繊維Aを巻きつけられる導電性繊維Bとしては、複数のフィラメントを束ねたマルチフィラメントを用いてもよく、また、モノフィラメント(紡績糸を含む)を用いても良い。
巻き付けて被覆する形態としては、例えば、圧電性繊維Aを編組チューブのような形態とし、導電性繊維Bを芯として当該編組チューブに挿入することで被覆してもよい。また、導電性繊維Bを芯糸とし、その周囲に圧電性繊維Aを製紐して、丸打組物(Tubular Braid)を作製することで、被覆してもよい。圧電性繊維Aをモノフィラメントとして用いる場合、その単糸径は1μm〜5mmであり、好ましくは5μm〜2mm、さらに好ましくは10μ〜1mmである。マルチフィラメントとして用いる場合、その単糸径は0.1μm〜5mmであり、好ましくは2μm〜100μm、さらに好ましくは3μm〜50μmである。マルチフィラメントのフィラメント数としては、1本〜100000本が好ましく、より好ましくは50本〜50000本、さらに好ましくは100本〜20000本である。
本発明の圧電構造体は、以上のような方法で製造した被覆繊維を用いて任意の適切な方法により製造することができる。例えば、被覆繊維に少なくとも1つの曲げ部を設けた後、当該少なくとも1つの曲げ部を接着剤等で固めて圧電構造体が3次元の構造を維持できるようにしてもよい。あるいはまた、本発明の好ましい実施形態によれば、被覆繊維の任意の箇所に1以上の結び目を形成してもよい。このような方法によれば、接着剤等を使用することなしに、被覆繊維が少なくとも1つの曲げ部を有し、水平面から圧電構造体の最上部までの高さが被覆繊維の直径よりも大きい圧電構造体をより簡単に形成することができる。なお、結び目は、公知の結び手法をいずれも用いることができ、同じ結び目を複数形成しても、異種を複数形成してもよい。公知の結び手法としては、飾り結びやロープ結びが知られており、これらの組み合わせなど、いずれも適用可能である。例えば、川島美園著「図解はじめての飾り結び 1補訂版」水曜社発行に記載されている飾り結びや、杉浦昭典著「図解 新・ロープの結び方」海文堂発行に記載されているロープ結びなどをいずれも採用可能であり、具体的な結び目については、これらの文献の記載に基づいて容易に形成することが可能である。これらの結び目は、例えば、被覆繊維の周囲をさらに別の種々の形状(例えば、組紐状、カバリング糸状等)や色を有する繊維又は層で被覆したものを単独で又は複数本束ねて用いることにより形成してもよい。このような被覆繊維は、例えば、被覆繊維の周囲に別の種々の色を有する繊維を組紐状若しくはカバリング糸状に巻きつけることにより形成してもよいし、又は組紐状若しくはカバリング糸状の紐に本発明に係る被覆繊維を挿入することにより形成してもよい。
(保護層)
本発明に係る被覆繊維1の最表面には保護層を設けてもよい。この保護層は絶縁性であることが好ましく、フレキシブル性などの観点から高分子からなるものがより好ましい。保護層に絶縁性を持たせる場合には、もちろん、この場合には保護層ごと変形させたり、保護層上を擦ったりすることになるが、これらの外力が圧電性繊維Aまで到達し、その分極を誘起できるものであれば特に限定はない。保護層としては、高分子などのコーティングによって形成されるものに限定されず、フィルム、布帛、繊維などを巻付けてもよく、あるいは、それらが組み合わされたものであってもよい。
保護層の厚みとしては出来るだけ薄い方が、せん断応力を圧電性繊維Aに伝えやすいが、薄すぎると保護層自体が破壊される等の問題が発生しやすくなるため、好ましくは10nm〜200μm、より好ましくは50nm〜50μm、さらに好ましくは70nm〜30μm、最も好ましくは100nm〜10μmである。
また、ノイズ低減を目的として、被覆繊維1の外側に電磁波シールド層をさらに設けてもよい。電磁波シールド層は特に限定されるものではないが、導電性の物質をコーティングしてもよいし、導電性を有するフィルム、布帛、繊維などを巻付けてもよい。電磁波シールド層の体積抵抗率としては10-1Ω・cm以下であることが好ましく、より好ましくは10-2Ω・cm以下、さらに好ましくは10-3Ω・cm以下である。ただし、電磁波シールド層の効果が得られるのであれば抵抗率はこの限りではない。この電磁波シールド層は、鞘の圧電性繊維Aの表面に設けてもよく、前述の保護層の外側に設けてもよい。もちろん、電磁波シールド層と保護層が複数層積層されていてもよく、その順番も目的に応じて適宜決められる。
さらには、圧電性繊維からなる層を複数層設けたり、信号を取り出すための導電性繊維からなる層を複数層設けたりすることもできる。もちろん、これらの保護層、電磁波シールド層、圧電性繊維からなる層、導電性繊維からなる層は、その目的に応じて、その順番及び層数は適宜決められる。なお、巻付ける方法としては、例えば、組紐状被覆繊維1’の場合には、鞘部2のさらに外層に組紐構造を形成したり、カバーリングしたりする方法が挙げられる。
(作用)
本発明の圧電構造体は、表面を押す、擦るあるいは揺らすなどによって圧電性高分子にせん断応力が与えられるならば、電気出力を取り出すことが可能であり、圧電構造体に応力が印加されたこと、応力の大きさ、印加された位置などを検出するセンサとして利用することができる。
なお、結び目を形成した圧電構造体の場合には、上記のとおり、結び目を形成していない従来の被覆繊維からなる圧電素子の場合と比較して、より大きな電気信号を取り出すことが可能であり、よってこのような圧電構造体を利用することでセンシング性能が向上したセンサを製造することができる。加えて、飾り結び等の結び目を形成することで圧電構造体としての美観(意匠性)を高めることもできるため、高い意匠性が要求される技術分野においても幅広く適用することが可能である。
(圧電構造体の適用技術)
本発明の圧電構造体はいずれの様態であっても、表面への接触、圧力、形状変化、振動などを電気信号として出力することができるので、圧電構造体に印加された応力の大きさ及び/又は印加された位置を検出するセンサとして利用することができる。図5は、本発明の圧電構造体を備えるセンサを示すブロック図である。本発明の圧電構造体10と、印加された圧力に応じて圧電構造体10から出力される電気信号を増幅する増幅手段12と、増幅手段12で増幅された電気信号を出力する出力手段13と、出力手段13から出力された電気信号を外部機器(図示せず)へ送信する送信手段14とからなる圧電センサ11を構成すれば、圧電構造体10の表面への接触、圧力、形状変化、振動により出力された電気信号に基づき、外部機器(図示せず)における演算処理にて、圧電構造体10に印加された応力の大きさ及び/又は印加された位置を検出することができる。あるいは、圧電センサ11内に、出力手段13から出力された電気信号に基づき圧電構造体10に印加された応力の大きさ及び/又は印加された位置を演算する演算手段(図示せず)を設けてもよい。
増幅手段12は、例えば各種電子回路で構築されてもよく、あるいはプロセッサ上で動作するソフトウェアプログラムにより実装される機能モジュールとして構築されてもよく、あるいは各種電子回路とソフトウェアプログラムとの組み合わせで構築されてもよい。プロセッサとしては、例えば、CPU(Central Processing Unit)、DSP(digital signal processor)、LSI(large scale integration)、ASIC(Application Specific Integrated Circuit)、FPGA(Field-Programming Gate Array)等がある。また、出力手段13は、例えば各種コネクタにて単独に構築されてもよく、あるいは送信手段14と一体化した通信装置として構築されてもよい。またあるいは、増幅手段12、出力手段13及び送信手段14の機能をまとめて、ソフトウェアプログラムを書き込んだ集積回路もしくはマイクロプロセッサなどで実現してもよい。なお、送信手段14による送信方式を無線によるものにするか、有線によるものにするかは、構成するセンサに応じて適宜決定すればよい。また、接触式プローブを上記センサと同様の構成で実現することもできる。
また、増幅手段だけではなく、ノイズを除去する手段や他の信号と組み合わせて処理する手段などの公知の信号処理手段を組み合わせて用いることができる。これらの手段の接続の順序は目的に応じて適宜変えることができる。もちろん、圧電構造体10から出力される電気信号をそのまま外部機器へ送信した後で信号処理してもよい。また、例えば、圧電構造体10から出力される電気信号の大きさとして、電流値や電圧値などのような信号強度そのものでなく、これらの値の微分値やその他演算値を用いてもよい。例えば微分値であれば急激な電気信号の変化を精度よく取得することができたり、積分値であれば変形の大きさに基づく解析ができる。
図6は、本発明に係る圧電構造体を備えるセンサにおける被覆繊維、より具体的には組紐状被覆繊維と増幅手段との接続例を示す模式図である。図6の増幅手段12は、図5を参照して説明したものに相当するが、図5の出力手段13及び送信手段14については図6では図示を省略している。圧電構造体10を備えるセンサを構成する場合、例えば、増幅手段12の入力端子には、圧電構造体10における組紐状被覆繊維1’の導電性繊維Bからの引出し線を接続し、接地(アース)端子には、圧電性繊維Aを接続する。
本発明の圧電構造体は、柔軟性があり、美観も有するため非常に広範な用途が考えられる。本発明の圧電構造体からなるデバイスの具体的な例としては、帽子や手袋、靴下などを含む着衣、サポーター、ハンカチ状などの形状をした、タッチパネル、人や動物の表面感圧センサ、例えば、手袋やバンド、サポーターなどの形状をした関節部の曲げ、捩じり、伸縮を感知するセンサが挙げられる。例えば人に用いる場合には、接触や動きを検出し、医療用途などの関節などの動きの情報収集、アミューズメント用途、失われた組織やロボットを動かすためのインターフェースとして用いることができる。他には、動物や人型を模したぬいぐるみやロボットの表面感圧センサ、関節部の曲げ、捩じり、伸縮を感知するセンサとして用いることができる。他には、シーツや枕などの寝具、靴底、手袋、椅子、敷物、袋、旗、装飾用の装身具(首飾り(ネックレス)、ブレスレット、耳飾り)などの表面感圧センサや形状変化センサとして用いることができる。
例えば、ミサンガのような形状で手首まわりに常時密接させる装身具形状とすれば、着用者が意識することなく、常時、脈動をセンシングでき、また、特にチョーカーのように、首まわりに皮膚に常時密接しているような形状とすると、着用者が特別に意識することなく、脈動、喉の動き(物を飲み込んだ時)、喉の動き(咳をした時)を、信号強度によって区別してセンシングすることが可能である。
さらに、本発明のデバイスは柔軟性があるので、あらゆる構造物の全体あるいは一部の表面に貼付あるいは被覆することにより美観を有する表面感圧センサ、形状変化センサとして用いることができる。
以下、本発明を実施例によりさらに具体的に記載するが、本発明はこれによって何らの限定を受けるものではない。
以下の実施例では、本発明に係る被覆繊維として、以下で説明する組紐状被覆繊維1−2が使用されており、それは以下の方法で製造した。
組紐状被覆繊維において使用された圧電性繊維の特性は、以下の方法によって決定した。
(1)ポリ−L−乳酸結晶化度Xhomo
ポリ−L−乳酸結晶化度Xhomoについては、広角X線回折分析(WAXD)による結晶構造解析から求めた。広角X線回折分析(WAXD)では、(株)リガク製ultrax18型X線回折装置を用いて透過法により、以下条件でサンプルのX線回折図形をイメージングプレートに記録した。
X線源: Cu−Kα線(コンフォーカル ミラー)
出力: 45kV×60mA
スリット: 1st:1mmΦ,2nd:0.8mmΦ
カメラ長: 120mm
積算時間: 10分
サンプル: 35mgのポリ乳酸繊維を引き揃え3cmの繊維束とする
得られたX線回折図形において方位角にわたって全散乱強度Itotalを求め、ここで2θ=16.5°,18.5°,24.3°付近に現れるポリ−L−乳酸結晶に由来する各回折ピークの積分強度の総和ΣIHMiを求めた。これらの値から下式(3)に従い、ポリ−L−乳酸結晶化度Xhomoを求めた。
[数3]
ポリ−L−乳酸結晶化度Xhomo(%)=ΣIHMi/Itotal×100 (3)
なお、ΣIHMiは、全散乱強度においてバックグランドや非晶による散漫散乱を差し引くことによって算出した。
(2)ポリ−L−乳酸結晶配向度A:
ポリ−L−乳酸結晶配向度Aについては、上記の広角X線回折分析(WAXD)により得られたX線回折図形において、動径方向の2θ=16.5°付近に現れるポリ−L−乳酸結晶に由来する回折ピークについて、方位角(°)に対する強度分布をとり、得られた分布プロファイルの半値幅の総計ΣWi(°)から次式(4)より算出した。
[数4]
ポリ−L−乳酸結晶配向度A(%)=(360−ΣWi)÷360×100 (4)
(3)ポリ乳酸の光学純度:
組紐状被覆繊維を構成する1本(マルチフィラメントの場合は1束)のポリ乳酸繊維0.1gを採取し、5モル/リットル濃度の水酸化ナトリウム水溶液1.0mLとメタノール1.0mLを加え、65℃に設定した水浴振とう器にセットして、ポリ乳酸が均一溶液になるまで30分程度加水分解を行い、さらに加水分解が完了した溶液に0.25モル/リットルの硫酸を加えpH7まで中和し、その分解溶液を0.1mL採取して高速液体クロマトグラフィー(HPLC)移動相溶液3mLにより希釈し、メンブレンフィルター(0.45μm)によりろ過した。この調整溶液のHPLC測定を行い、L−乳酸モノマーとD−乳酸モノマーの比率を定量した。1本のポリ乳酸繊維が0.1gに満たない場合は、採取可能な量に合わせ他の溶液の使用量を調整し、HPLC測定に供するサンプル溶液のポリ乳酸濃度が上記と同等から100分の1の範囲になるようにした。
<HPLC測定条件>
カラム:(株)住化分析センター社製「スミキラル(登録商標)」OA−5000(4.6mmφ×150mm)、
移動相:1.0ミリモル/リットルの硫酸銅水溶液
移動相流量:1.0ミリリットル/分
検出器:UV検出器(波長254nm)
注入量:100マイクロリットル
L乳酸モノマーに由来するピーク面積をSLLAとし、D−乳酸モノマーに由来するピーク面積をSDLAとすると、SLLA及びSDLAはL−乳酸モノマーのモル濃度MLLA及びD−乳酸モノマーのモル濃度MDLAにそれぞれ比例するため、SLLAとSDLAのうち大きい方の値をSMLAとし、光学純度は下記式(5)で計算した。
[数5]
光学純度(%)=SMLA÷(SLLA+SDLA)×100 (5)
(ポリ乳酸の製造)
ポリ乳酸は以下の方法で製造した。
L−ラクチド((株)武蔵野化学研究所製、光学純度100%)100質量部に対し、オクチル酸スズを0.005質量部加え、窒素雰囲気下、撹拌翼のついた反応機にて180℃で2時間反応させ、オクチル酸スズに対し1.2倍当量のリン酸を添加しその後、13.3Paで残存するラクチドを減圧除去し、チップ化し、ポリ−L−乳酸(PLLA1)を得た。得られたPLLA1の質量平均分子量は15.2万、ガラス転移点(Tg)は55℃、融点は175℃であった。
(圧電性繊維)
240℃にて溶融させたPLLA1を24ホールのキャップから20g/minで吐出し、887m/minにて引き取った。この未延伸マルチフィラメント糸を80℃、2.3倍に延伸し、100℃で熱固定処理することにより84dTex/24フィラメントのマルチフィラメント一軸延伸糸PF1を得た。また、240℃にて溶融させたPLLA1を12ホールのキャップから8g/minで吐出し、1050m/minにて引き取った。この未延伸マルチフィラメント糸を80℃、2.3倍に延伸し、150℃で熱固定処理することにより33dtex/12フィラメントのマルチフィラメント一軸延伸糸PF2を得た。これらの圧電性繊維PF1及びPF2を圧電性高分子として用いた。PF1及びPF2のポリ−L−乳酸結晶化度、ポリ−L−乳酸結晶配向度及び光学純度は上記の方法で測定し、表1の通りであった。
(導電性繊維)
ミツフジ(株)製の銀メッキナイロン、品名『AGposs』100d34f(CF1)を導電性繊維Bとして使用した。CF1の抵抗率は250Ω/mであった。
また、ミツフジ(株)製の銀メッキナイロン、品名『AGposs』30d10f(CF2)を導電性繊維Bとして使用した。CF2の導電性は950Ω/mであった。
(絶縁性繊維)
ポリエチレンテレフタレートを溶融紡糸後に延伸することで製造した84dTex/24フィラメントの延伸糸IF1、及び33dTex/12フィラメントの延伸糸IF2をそれぞれ絶縁性繊維とした。
(組紐状被覆繊維)
図3に示すように、導電性繊維CF1を芯糸とし、8打ち丸組紐製紐機の8本のキャリアのうち、Z撚り方向に組まれる4本のキャリアに上記の圧電性繊維PF1をセットし、S撚り方向に組まれる4本のキャリアに上記の絶縁性繊維IF1をセットして組むことで、芯糸の周りにZ撚り方向に圧電性繊維PF1がらせん状に巻かれた組紐状被覆繊維1−1を作製した。ここで、導電性繊維の繊維軸CLに対する圧電性繊維の巻きつけ角度(配向角度θ)は45°とした。さらに、組紐状被覆繊維1−1を芯糸とし、製紐機の8本のキャリアのうち、Z撚り方向に組まれる4本のキャリア及びS撚り方向に組まれる4本のキャリア全てに上記の導電性繊維CF2をセットして組むことで、組紐状被覆繊維1−1の周りを導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状被覆繊維1−2(直径:約0.4mm)とした。
(実施例1)
組紐状被覆繊維1−2について、結び目を設けた場合に得られる信号強度を調べた。試験は、まず、ひと結びの結び目を設けた圧電構造体を水平面に置き、次いで当該圧電構造体の上に応力が均一に伝わるようにさらに硬質シートを置いた後、その上から手で当該硬質シートを複数回にわたって叩くことにより実施した。その結果を図7(b)に示す。図7(a)は、結び目を設けていない組紐状被覆繊維1−2に対して同様の試験を行った場合の結果を示している。
図7(b)を参照すると、約1秒間隔において、圧電構造体を手で叩く動作に対応して当該圧電構造体から出力される電気信号を検出できていることがわかる。一方、結び目を設けていない組紐状被覆繊維1−2に対して同様の試験を行った場合には、図7(a)の結果からも明らかなように、当該組紐状被覆繊維1−2から出力される電気信号において顕著な変動は見られなかった。
(実施例2)
本実施例では、組紐状被覆繊維1−2を用いて、図8(a)及び(b)に示される結び目のない圧電構造体を製造し、当該圧電構造体から得られる電気信号を調べた。その結果を図8(c)に示す。なお、圧電構造体は、組紐状被覆繊維1−2に曲げ部(ループ部)を設けた後、当該曲げ部を瞬間接着剤「アロンアルファEXTRA2000」(東亞合成(株)製)で固化させることによって製造した。
図8(a)及び(b)は、本発明に係る結び目のない圧電構造体を示す写真であり、図8(c)は、複数の異なる動作に対して当該圧電構造体から出力される電気信号を示す図である。ここで、図8(c)に示すように、(i)圧電構造体の直線部を伸長させた場合、(ii)圧電構造体の直線部の伸長を解放した場合、及び(iii)圧電構造体のループ部をはじいた場合のいずれにおいても顕著な信号出力を検出することができた。この結果は、本発明に係る圧電構造体が特定の応力又は特定方向からの応力だけでなく、種々の応力に対して電気信号を出力できることを示唆するものと言える。
(実施例3)
本実施例では、絶縁性繊維からなる直径1mmの組紐に組紐状被覆繊維1−2を挿入したものを用いて、図9(a)に示される吉祥結びとつゆ結びの組み合わせを含む圧電構造体を製造し、複数の異なる動作に対して当該圧電構造体から出力される電気信号を調べた。その結果を図9(b)〜(d)に示す。
図9(a)は、吉祥結びとつゆ結びの組み合わせを含む圧電構造体を示す写真であり、図9(b)〜(d)は、それぞれ「ゆらす」、「指で挟む」及び「引っ張る」の動作に対して当該圧電構造体から出力される電気信号を示す図である。図9(b)〜(d)の結果から明らかなように、これらの動作に対して全く異なる電気信号の挙動を検出することができ、よってこれらの動作を明確に区別することができた。
(実施例4)
本実施例では、絶縁性繊維からなる直径1mmの組紐に組紐状被覆繊維1−2を挿入したものを用いて、図10(a)に示される吉祥結びとつゆ結びの組み合わせを含む圧電構造体のチョーカーを製造し、これを人の首に巻き、複数の異なる動作に対して当該チョーカーから出力される電気信号を調べた。その結果を図10(b)〜(d)に示す。
図10(a)は、吉祥結びとつゆ結びの組み合わせを含む圧電構造体のチョーカーを示す写真であり、図10(b)〜(d)は、それぞれ「首の脈」、「飲み物を飲む」及び「咳をする」の動作に対して当該チョーカーから出力される電気信号を示す図である。図10(b)〜(d)の結果から明らかなように、脈のような微小な動きを電気信号として検出することができるとともに、これらの動作に対して全く異なる電気信号の挙動を検出することができ、よってこれらの動作を明確に区別することができた。
(実施例5)
本実施例では、絶縁性繊維からなる青、黄及び白の3つの直径3mmの組紐に組紐状被覆繊維1−2を挿入したものを用いて、図11に示されるかごめ結び15角を含む圧電構造体のコースターを製造し、複数の異なる動作に対して当該コースターから出力される電気信号を調べた。その結果を図12に示す。
図12(a)〜(c)は、それぞれ「指で押す」、「ビーカーで押す」及び「ビーカーに水を注ぐ」の動作に対してかごめ結び15角を含む圧電構造体のコースターから出力される電気信号を示す図である。図12(a)〜(c)のそれぞれにおいて、上から、青、黄及び白の3つの組紐状被覆繊維のそれぞれから出力される電気信号を示している。これらから、「指で押す」、「ビーカーで押す」の動作の場合に、押したときと、それを離したときとで異なる波形が見られ、これらの動作を区別できていることがわかる。また、「ビーカーで押す」動作をした場合において、青、黄及び白の3つの組紐状被覆繊維のそれぞれから出力される電気信号の形状が若干異なっていることが分かる。これは、コースター中の3つの組紐状被覆線の位置と拘束場所の違いにより生じたものと考えられ、コースター上に置かれた物や置かれ方を判別できることを示唆できるものと言える。さらには、「指で押す」、「ビーカーで押す」の動作と「ビーカーに水を注ぐ」動作との間では、電気信号の挙動に明らかな差異を検出することができ、これらの動作を明確に区別することができた。
(実施例6)
本実施例では、絶縁性繊維からなる直径3mmの組紐に組紐状被覆繊維1−2を挿入したものを用いて、図13に示されるミョウガ結びを含む圧電構造体を製造し、複数の異なる動作に対して当該圧電構造体から出力される電気信号を調べた。その結果を図14に示す。
図14(a)〜(c)は、それぞれ「指で押す」、「ゆらす」及び「縦に伸ばす」の動作に対してミョウガ結びを含む圧電構造体から出力される電気信号を示す図である。例えば、図14(a)を参照すると、圧電構造体を指で押したときと、それを離したときとで異なる波形が見られ、これらの動作を区別できていることがわかる。同様に、図14(c)を参照すると、圧電構造体を縦に伸ばしたときと、それを戻したときとで異なる波形が見られ、これらの動作を区別できていることがわかる。また、図14(a)〜(c)の結果から明らかなように、「指で押す」、「ゆらす」及び「縦に伸ばす」の動作に対して全く異なる電気信号の挙動を検出することができ、よってこれらの動作を明確に区別することができた。
(実施例7)
本実施例では、絶縁性繊維からなる直径3mmの組紐に組紐状被覆繊維1−2を挿入したものを用いて、図15に示される菊結びを含む圧電構造体を製造し、複数の異なる動作に対して当該圧電構造体から出力される電気信号を調べ、他の結びと同じく、「指で押す」、「ゆらす」及び「縦に伸ばす」の動作に対して全く異なる電気信号の挙動を検出することができ、よってこれらの動作を明確に区別することができた。
(実施例8)
本実施例では、本発明の圧電構造体において用いられる被覆繊維に関し、圧電性高分子の配向角度θ及びT1/T2の値が伸長変形に対する電気信号に及ぼす影響について調べた。
被覆繊維の特性は、以下の方法によって決定した。
(1)中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θ
中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θは、下記式から計算した。
θ = arctan(2πRm/HP) (0°≦θ≦90°)
ただしRm=2(Ro3−Ri3)/3(Ro2−Ri2)、即ち断面積で加重平均した組紐状被覆繊維(又は他の構造体)の半径である。らせんピッチHP、組紐状被覆繊維(又は他の構造体)が占める部分の外側半径Ro及び内側半径Riは以下の通り測定した。
(1−1)組紐状被覆繊維の場合は、(組紐状被覆繊維の圧電性高分子以外による被覆がなされている場合は必要に応じて被覆を除去して側面から圧電性高分子が観察できる状態としてから)側面写真を撮影し、任意の5カ所で図4のように圧電性高分子のらせんピッチHP(μm)を測定し、平均値を取った。また、組紐状被覆繊維に低粘性の瞬間接着剤「アロンアルファEXTRA2000」(東亞合成(株)製)を染み込ませて固化させた後、組紐の長軸に垂直な断面を切り出して断面写真を撮影し、1枚の断面写真について後述の通り組紐状被覆繊維が占める部分の外側半径Ro(μm)及び内側半径Ri(μm)を測定し、同様の測定を別の任意の断面5カ所について測定し、平均値を取った。圧電性高分子と絶縁性高分子とが同時に組まれている場合、例えば圧電性繊維と絶縁性繊維を合糸したものを用いている場合や、8打ち組紐の4本の繊維が圧電性高分子であり、残る4本の繊維が絶縁性高分子である場合は、様々な場所で断面を取った時、圧電性高分子が存在する領域と絶縁性高分子が存在する領域とが互いに入れ替わるため、圧電性高分子が存在する領域と絶縁性高分子が存在する領域とを合せて組紐状被覆繊維が占める部分とみなす。ただし、絶縁性高分子が圧電性高分子と同時に組まれていない部分については、組紐状被覆繊維の一部とはみなさない。
外側半径Roと内側半径Riについては、以下の通り測定した。図16(a)の断面写真の通り、圧電性繊維Aで形成された鞘部2が占める領域(以後PSAと記載する)と、PSAの中央部にありPSAではない領域(以後CAと記載する)を定義する。PSAの外側にあり、PSAに重ならない最小の真円の直径と、PSAの外側を通らない(CAは通ってもよい)最大の真円の直径との平均値をRoとする(図16(b))。また、CAの外側にあり、CAに重ならない最小の真円の直径と、CAの外側を通らない最大の真円の直径との平均値をRiとする(図16(c))。
(1−2)カバリング糸状被覆繊維の場合は、圧電性高分子をカバリングする時の巻き速度がT回/m(カバリング糸の長さあたりの圧電性高分子の回転数)のとき、らせんピッチHP(μm)=1000000/Tとした。また、カバリング糸状被覆繊維に低粘性の瞬間接着剤「アロンアルファEXTRA2000」(東亞合成(株)製)を染み込ませて固化させた後、組紐の長軸に垂直な断面を切り出して断面写真を撮影し、1枚の断面写真について組紐状被覆繊維の場合と同様にカバリング糸状被覆繊維が占める部分の外側半径Ro(μm)及び内側半径Ri(μm)を測定し、同様の測定を別の任意の断面5カ所について測定し、平均値を取った。圧電性高分子と絶縁性高分子とが同時にカバリングされている場合、例えば圧電性繊維と絶縁性繊維を合糸したものをカバリングしてある場合や、圧電性繊維と絶縁性繊維とが重ならないように同時にカバリングしてある場合は、様々な場所で断面を取った時、圧電性高分子が存在する領域と絶縁性高分子が存在する領域とが互いに入れ替わるため、圧電性高分子が存在する領域と絶縁性高分子が存在する領域とを合せてカバリング糸状被覆繊維が占める部分とみなす。ただし、絶縁性高分子が圧電性高分子と同時にカバリングされてない、即ちどの断面を取っても絶縁性高分子が常に圧電性高分子の内側又は外側にある部分については、カバリング糸状被覆繊維の一部とはみなさない。
(2)電気信号測定
エレクトロメータ(Keysight Technologies Inc.製 B2987A)を、同軸ケーブル(芯:Hi極、シールド:Lo極)を介して被覆繊維の導電体に接続した状態で、被覆繊維に対し下記2−1〜5のいずれかの動作試験をしながら50m秒の間隔で電流値を計測した。
(2−1)引張試験
(株)オリエンテック製万能試験機「テンシロンRTC−1225A」を用い、被覆繊維の長尺方向に12cmの間隔を空けて被覆繊維をチャックで掴み、被覆繊維が弛んだ状態を0.0Nとし、0.5Nの張力まで引っ張った状態で変位を0mmとし、100mm/minの動作速度で1.2mmまで引っ張った後、0mmまで−100mm/minの動作速度で戻す動作を10回繰り返した。
(2−2)ねじり試験
被覆繊維を掴む2か所のチャックのうち、片方のチャックはねじり動作を行わず被覆繊維の長軸方向に自由に動くようなレール上に設置されて被覆繊維に0.5Nの張力が常にかかる状態とし、他方のチャックは被覆繊維の長軸方向には動かずねじり動作を行うよう設計されたねじり試験装置を用い、被覆繊維の長尺方向に72mmの間隔を空けて被覆繊維をこれらのチャックで掴み、被覆繊維の中央からチャックを見て時計回りにねじるように100°/sの速度で0°から45°まで回転した後、−100°/sの速度で45°から0°まで回転する往復ねじり動作を10回繰り返した。
(2−3)曲げ試験
上部と下部との2つのチャックを備え、下部のチャックは固定され、上部のチャックは下部のチャックの72mm上方に位置し、2つのチャックを結ぶ線分を直径とする仮想の円周上を上部のチャックが移動する試験装置を用い、被覆繊維をチャックに把持して固定し、該円周上にて上部のチャックを12時の位置、下部のチャックを6時の位置としたとき、被覆繊維を9時方向に凸に僅かに撓ませた状態とした後、上部のチャックを12時の位置から該円周上の1時、2時の位置を経由して3時の位置に一定速度で0.9秒かけて移動させた後、12時の位置まで0.9秒かけて移動させる往復曲げ動作を10回繰り返した。
(2−4)せん断試験
50番手の綿糸で織られた平織布を表面に貼り付けた2枚の剛直な金属板によって、被覆繊維の中央部64mmの長さの部分を上下から水平に挟み(下部の金属板は台に固定されている)、上から3.2Nの垂直荷重をかけ、金属板表面の綿布と被覆繊維との間が滑らないようにした状態のまま、上の金属板を0Nから1Nの荷重まで1秒かけて被覆繊維の長尺方向に引っ張った後、引張荷重を0Nまで1秒かけて戻すせん断動作を10回繰り返した。
(2−5)押圧試験
(株)オリエンテック製万能試験機「テンシロンRTC−1225A」を用い、水平で剛直な金属台上に静置した被覆繊維の中央部64mmの長さの部分を、上部のクロスヘッドに設置された剛直な金属板により水平に被覆繊維を挟み、被覆繊維から上部の金属板への反力が0.01Nから20Nとなるまで0.6秒かけて上部のクロスヘッドを下げて押圧し、反力が0.01Nとなるまで0.6秒かけて除圧する動作を10回繰り返した。
(例A)
例Aの試料として、図3に示すように、導電性繊維CF1を芯糸とし、8打ち丸組紐製紐機の8本のキャリアのうち、Z撚り方向に組まれる4本のキャリアに上記の圧電性繊維PF1をセットし、S撚り方向に組まれる4本のキャリアに上記の絶縁性繊維IF1をセットして組むことで、芯糸の周りにZ撚り方向に圧電性繊維PF1がらせん状に巻かれた組紐状被覆繊維1−Aを作成した。
(例B)
組紐状被覆繊維1−Aを芯糸とし、製紐機の8本のキャリアのうち、Z撚り方向に組まれる4本のキャリア及びS撚り方向に組まれる4本のキャリア全てに上記の導電性繊維CF2をセットして組むことで、組紐状被覆繊維1−Aの周りを導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状被覆繊維1−Bとした。
(例C、D)
PF1の巻付け速度を変更した以外は組紐状被覆繊維1−Aと同様にして、2本の組紐状被覆繊維を作成し、これらの組紐状被覆繊維を芯糸とし、組紐状被覆繊維1−Bと同様に導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状被覆繊維1−C及び1−Dとした。
(例E〜H)
製紐機の8本のキャリアのうち、表2の通りZ撚り方向及びS撚り方向に組まれるキャリアにそれぞれPF1あるいはIF1をセットして組むことで、芯糸の周りにZ撚り方向及びS撚り方向のそれぞれに所定の割合で圧電性繊維PF1がらせん状に巻かれた組紐状被覆繊維を作成し、これらの組紐状被覆繊維を芯糸とし、組紐状被覆繊維1−Bと同様に導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状被覆繊維1−E〜1−Hとした。
(例I)
PF1の代わりにPF2を使用し、IF1の代わりにIF2を使用し、巻付け速度を調整した以外は組紐状被覆繊維1−Aと同様にして組紐状被覆繊維を作成し、この組紐状被覆繊維を芯糸とし、組紐状被覆繊維1−Bと同様に導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状被覆繊維1−Iとした。
(例J)
PF2の代わりにIF2を使用し、IF2の代わりにPF2を使用した以外は組紐状被覆繊維1−Aと同様にして組紐状被覆繊維を作成し、この組紐状被覆繊維を芯糸とし、組紐状被覆繊維1−Bと同様に導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状被覆繊維1−Jとした。
(例K)
CF1を芯糸とし、PF1を芯糸の周りにS撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにIF1をZ撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにCF2をS撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにCF2をZ撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、芯糸の周りにS撚り方向に圧電性繊維PF1がらせん状に巻かれ、さらに外側を導電性繊維で覆ったカバリング糸状被覆繊維1−Kを作成した。
(例L)
PF1の代わりにIF1を使用した以外は組紐状被覆繊維1−Aと同様にして組紐状被覆繊維を作成し、この組紐状被覆繊維を芯糸とし、組紐状被覆繊維1−Bと同様に導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状被覆繊維1−Lとした。
(例M)
PF1の代わりにIF1を使用した以外はカバリング糸状被覆繊維1−Kと同様にしてカバリング糸状被覆繊維を作成し、カバリング糸状被覆繊維1−Mとした。
(例N)
IF1の代わりにPF1を使用した以外は組紐状被覆繊維1−Bと同様にして組紐状被覆繊維1−Nを作成した。
(例O)
IF2の代わりにPF2を使用した以外は組紐状被覆繊維1−Iと同様にして組紐状被覆繊維1−Oを作成した。
(例P)
導電性繊維CF1を芯糸とし、16打ち丸組紐製紐機の16本のキャリアのうち、Z撚り方向に組まれる8本のキャリアに上記の圧電性繊維PF1をセットし、S撚り方向に組まれる8本のキャリアに上記の絶縁性繊維IF1をセットして組むことで、芯糸の周りにZ撚り方向に圧電性繊維PF1がらせん状に巻かれた組紐状被覆繊維を作成し、この組紐状被覆繊維を芯糸とし、組紐状被覆繊維1−Bと同様に導電性繊維で覆ったものを作製し、組紐状被覆繊維1−Pとした。
(例Q)
CF1を芯糸とし、PF1を芯糸の周りにS撚り方向に6000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにIF1をZ撚り方向に6000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにCF2をS撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、その外側にさらにCF2をZ撚り方向に3000回/mのカバリング回数で巻きつけ、芯糸の周りにS撚り方向に圧電性繊維PF1がらせん状に巻かれ、さらに外側を導電性繊維で覆ったカバリング糸状被覆繊維1−Qを作成した。
各被覆繊維のRi、Ro、HPを測定し、計算された中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θの値、及びT1/T2の値を表2に示す。組紐状被覆繊維については、Ri及びRoは、断面において圧電性繊維と絶縁性繊維が存在する領域を合わせて被覆繊維の占める領域として測定した。カバリング糸状被覆繊維については、Ri及びRoは、断面において圧電性繊維が存在する領域を被覆繊維の占める領域として測定した。また、各被覆繊維を15cmの長さに切断し、芯の導電性繊維をHi極とし、周辺をシールドする金網又は鞘の導電性繊維をLo極としてエレクトロメータ(Keysight Technologies Inc.製 B2987A)に接続し、電流値をモニタした。引張試験、ねじり試験、曲げ試験、せん断試験及び押圧試験時の電流値を表2に示す。なお、例L、Mは圧電性高分子を含まないため、θ及びT1/T2の値は測定できない。
表2の結果から、中心軸の方向に対する圧電性高分子の配向角度θが15°以上75°以下であり、T1/T2の値が0以上0.8以下であるとき、引張動作(伸長変形)に対し大きな信号を発生し、引張以外の動作には大きな信号を発生せず、引張動作に選択的に応答する被覆繊維であることが分かる。また例IとJとを比べると、Z撚り方向に多く圧電性繊維を巻いた場合と、S撚り方向に多く圧電性繊維を巻いた場合とを比べると、引張試験時の信号の極性が逆となっており、巻き方向が信号の極性に対応していることが分かる。
さらに、表には示していないが、例A〜Kの被覆繊維は引張荷重を与えた時の信号と、引張荷重を除いた時の信号とを比べると、極性が互いに逆で絶対値が概ね同じ信号を発生したため、これらの被覆繊維は引張荷重や変位の定量に適していることが分かる。一方、例N及びOの被覆繊維は引張荷重を与えた時の信号と、引張荷重を除いた時の信号とを比べると、極性が互いに逆である場合も同じである場合もあったため、これらの被覆繊維は引張荷重や変位の定量に適していないことが分かる。また、表には示していないが、例Bの引張試験時のノイズレベルは、例Aの引張試験時のノイズレベルより低く、組紐状被覆繊維の外側に導電性繊維を配置してシールドとした被覆繊維ではノイズを低減できることが分かる。
A 圧電性繊維
A’ 圧電性高分子
B 導電性繊維
1 被覆繊維
1’ 組紐状被覆繊維
2 鞘部
3 芯部
10 圧電構造体
11 圧電センサ
12 増幅手段
13 出力手段
14 送信手段
CL 繊維軸
α 巻きつけ角度

Claims (23)

  1. 導電性繊維及び圧電性繊維からなる組物を含み、前記組物は前記導電性繊維が芯であり、前記圧電性繊維が前記導電性繊維の周囲を被覆する被覆繊維である圧電構造体であって、前記被覆繊維が少なくとも1つの曲げ部を有し、前記圧電構造体を水平面に置いたときの前記水平面から前記圧電構造体の最上部までの高さが前記被覆繊維の直径よりも大きい、圧電構造体。
  2. 前記水平面から前記圧電構造体の最上部までの高さが前記被覆繊維の直径の2倍以上である、請求項1記載の圧電構造体。
  3. 前記被覆繊維が任意の箇所に1以上の結び目を有する、請求項1又は2記載の圧電構造体。
  4. 前記結び目は、飾り結び、ロープ結び、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項1〜3のいずれか一項に記載の圧電構造体。
  5. 前記結び目が飾り結びであり、該飾り結びが、ひと結び、吉祥結び、つゆ結び、かごめ結び15角、ミョウガ結び、菊結び、及びこれらの組み合わせからなる群より選ばれる、請求項4記載の圧電構造体。
  6. 前記導電性繊維の曲げ剛性が0.05×10−4N・m/m以下である、請求項1〜5のいずれか一項に記載の圧電構造体。
  7. 前記導電性繊維が金属コートされた有機繊維である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の圧電構造体。
  8. 前記圧電性繊維が主成分としてポリ乳酸を含む、請求項1〜7のいずれか一項に記載の圧電構造体。
  9. 前記圧電性繊維が主として光学純度99%以上のポリ−L−乳酸又はポリ−D−乳酸を含む、請求項8記載の圧電構造体。
  10. 前記圧電性繊維が一軸配向し且つ結晶を含む、請求項1〜9のいずれか一項に記載の圧電構造体。
  11. 前記被覆繊維に印加された応力の大きさ及び/又は印加された位置を検出する、請求項1〜10のいずれか一項に記載の圧電構造体。
  12. 検出される前記応力が、前記被覆繊維の表面と被接触物の表面との間の摩擦力である、請求項11記載の圧電構造体。
  13. 検出される前記応力が、前記被覆繊維の表面又は先端部に対する垂直方向の抵抗力である、請求項11記載の圧電構造体。
  14. 前記被覆繊維は伸長変形により電気信号を出力する、請求項1〜13のいずれか一項に記載の圧電構造体。
  15. 前記被覆繊維は、導電性繊維で形成された芯部と、前記芯部を被覆するように組紐状の圧電性繊維で形成された鞘部とを有する、請求項1〜14のいずれか一項に記載の圧電構造体。
  16. 前記圧電性繊維は、配向軸を3軸とした時の圧電定数d14の絶対値が0.1pC/N以上1000pC/N以下の値を有する結晶性高分子を主成分として含む圧電性高分子であり、該圧電性高分子によって被覆された前記芯の中心軸の方向に対する前記圧電性高分子の配向角度が15°以上75°以下であり、前記圧電性高分子は、圧電定数d14の値が正の結晶性高分子を主成分として含むP体と、負の結晶性高分子を主成分として含むN体とを含み、前記中心軸が1cmの長さを持つ部分について、配向軸がZ撚り方向にらせんを巻いて配置された該P体の質量をZP、配向軸がS撚り方向にらせんを巻いて配置された該P体の質量をSP、配向軸がZ撚り方向にらせんを巻いて配置された該N体の質量をZN、配向軸がS撚り方向にらせんを巻いて配置された該N体の質量をSNとし、(ZP+SN)と(SP+ZN)とのうち小さい方をT1、大きい方をT2としたとき、T1/T2の値が0以上0.8以下である、請求項15記載の圧電構造体。
  17. 前記導電性繊維の周囲を絶縁性繊維がさらに被覆する、請求項1〜16のいずれか一項に記載の圧電構造体。
  18. 前記圧電性繊維が前記導電性繊維の周囲にZ撚り方向に巻き付けられ、前記絶縁性繊維が前記導電性繊維の周囲にS撚り方向に巻き付けられるか、又は前記圧電性繊維が前記導電性繊維の周囲にS撚り方向に巻き付けられ、前記絶縁性繊維が前記導電性繊維の周囲にZ撚り方向に巻き付けられた、請求項17記載の圧電構造体。
  19. 前記被覆繊維の外側に導電性繊維からなる層をさらに設けた、請求項1〜18のいずれか一項に記載の圧電構造体。
  20. 請求項1〜19のいずれか一項に記載の圧電構造体を使った圧電センサ。
  21. 請求項20に記載の圧電センサと、
    印加された圧力に応じて前記圧電センサから出力される電気信号を増幅する増幅手段と、
    前記増幅手段で増幅された電気信号を出力する出力手段と、
    を備えるデバイス。
  22. 前記デバイスは、前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段をさらに備える、請求項21記載のデバイス。
  23. 請求項20に記載の圧電センサと、
    印加された圧力に応じて前記圧電センサから電気信号を出力する出力手段と、
    前記出力手段から出力された電気信号を外部機器へ送信する送信手段と、
    を備えるデバイス。
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