JP2018113142A - リチウム硫黄電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】放電容量を高く維持し続けることのできるリチウム硫黄電池を提供する。【解決手段】正極集電体、正極、電解液層、負極及び負極集電体を備えるリチウム硫黄電池において、電解液層の一方の面に正極及び正極集電体がこの順に存在し、電解液層の他方の面に負極及び負極集電体がこの順に存在し、正極は、正極集電体に近い側から順に、第1の正極層及び第2の正極層を備え、第1の正極層は、ポリマーでコートされた硫黄粒子と、硫黄粒子と、炭素とを含み、第2の正極層は、炭素を含み、硫黄を含まないことを特徴とする、リチウム硫黄電池。【選択図】図2
Description
本開示は、リチウム硫黄電池に関する。
リチウム硫黄電池は、既存のリチウムイオン電池よりも理論エネルギー密度が高い。しかし、活物質となる硫黄と、生成物であるLi2Sとがいずれも不導体であるため、従来のリチウム硫黄電池においては放電容量が低下するというデメリットが知られていた。放電容量の低下は、電極内硫黄の反応面積の大きさが不十分であることや、放電時の陽極内においてLi2Sが局所的に凝集することにより引き起こされると考えられる。
このような課題を解決する技術として、例えば特許文献1には、アルミホイル上に積層された硫黄陽極、硫黄が含浸された炭素構造層、硫黄陽極と炭素構造層との間に存在する炭素コーティング層から構成される陽極構造を備えるリチウム硫黄電池が開示されている。
このような課題を解決する技術として、例えば特許文献1には、アルミホイル上に積層された硫黄陽極、硫黄が含浸された炭素構造層、硫黄陽極と炭素構造層との間に存在する炭素コーティング層から構成される陽極構造を備えるリチウム硫黄電池が開示されている。
しかしながら、このようなリチウム硫黄電池においても、放電容量の低下は回避できない。その理由は以下の通りである。以下、図3を用いて、従来のリチウム硫黄電池における放電容量の低下の推定メカニズムを説明する。
図3には、従来のリチウム硫黄電池200の一部である、電解液層11、正極12及び正極集電体14の積層部分を示す。図3は、リチウムイオン(Li+)の存在を模式的に示す円、及び多硫化リチウム(Li2S8〜4)の存在を模式的に示す楕円を含む。
電解液層11には電解液31が存在し、電解液31中にはリチウムイオン(Li+)や多硫化リチウム(Li2S8〜4)が拡散している。リチウムイオン(Li+)は放電時に負極から放出されるものであり、多硫化リチウム(Li2S8〜4)は、このリチウムイオン(Li+)と正極中の硫黄(S)(図示せず)との反応により生成される。
正極12には炭素32が含まれる。図3には炭素32を小円で表す。正極12においては、炭素32が硫黄やバインダと混ざり合って凝集体を形成している。炭素32を含む凝集体は、正極集電体14と電気的に接続している。放電時には電子が正極集電体14を介して炭素32まで流れ込むため、炭素32の表面において、リチウムイオン(Li+)、多硫化リチウム(Li2S8〜4)、正極中の硫黄(S)及び電子(図示せず)が反応する。その結果、炭素32の表面に硫化リチウム(Li2S)層33が析出する。通常であれば、硫化リチウム(Li2S)は炭素32の表面の一部で析出するはずである。
電解液層11には電解液31が存在し、電解液31中にはリチウムイオン(Li+)や多硫化リチウム(Li2S8〜4)が拡散している。リチウムイオン(Li+)は放電時に負極から放出されるものであり、多硫化リチウム(Li2S8〜4)は、このリチウムイオン(Li+)と正極中の硫黄(S)(図示せず)との反応により生成される。
正極12には炭素32が含まれる。図3には炭素32を小円で表す。正極12においては、炭素32が硫黄やバインダと混ざり合って凝集体を形成している。炭素32を含む凝集体は、正極集電体14と電気的に接続している。放電時には電子が正極集電体14を介して炭素32まで流れ込むため、炭素32の表面において、リチウムイオン(Li+)、多硫化リチウム(Li2S8〜4)、正極中の硫黄(S)及び電子(図示せず)が反応する。その結果、炭素32の表面に硫化リチウム(Li2S)層33が析出する。通常であれば、硫化リチウム(Li2S)は炭素32の表面の一部で析出するはずである。
しかし、エネルギー密度の増加を狙って正極中の硫黄(S)の目付量を増やした場合、電解液31と炭素32との界面が硫化リチウム(Li2S)によって塞がれてしまい、電気化学反応が阻害されてしまう。その理由は、硫黄(S)の目付量の増加分だけ多硫化リチウム(Li2S8〜4)の電解液への溶出量が増える結果、大量に生成した硫化リチウム(Li2S)が炭素32の表面を覆い尽くすためである。
特に、電解液層11と正極12との界面は電気化学反応が進行しやすいため、図3に示すように、この界面において硫化リチウム(Li2S)が局部的に析出する結果、硫化リチウム(Li2S)層33によって、正極内部の電解液31aが電解液層11の電解液31から遮断される。すると、正極内部の炭素32までリチウムイオン(Li+)や多硫化リチウム(Li2S8〜4)が行き届かなくなるため、その分放電容量が低下してしまう。
このように、従来のリチウム硫黄電池においては、硫黄目付量を増やすと放電容量が低下するため、エネルギー密度の増加に限界があった。
特に、電解液層11と正極12との界面は電気化学反応が進行しやすいため、図3に示すように、この界面において硫化リチウム(Li2S)が局部的に析出する結果、硫化リチウム(Li2S)層33によって、正極内部の電解液31aが電解液層11の電解液31から遮断される。すると、正極内部の炭素32までリチウムイオン(Li+)や多硫化リチウム(Li2S8〜4)が行き届かなくなるため、その分放電容量が低下してしまう。
このように、従来のリチウム硫黄電池においては、硫黄目付量を増やすと放電容量が低下するため、エネルギー密度の増加に限界があった。
本開示は、リチウム硫黄電池に関する上記実情を鑑みて成し遂げられたものであり、本開示の目的は、放電容量を高く維持し続けることのできるリチウム硫黄電池を提供することである。
本開示のリチウム硫黄電池は、正極集電体、正極、電解液層、負極及び負極集電体を備えるリチウム硫黄電池において、電解液層の一方の面に正極及び正極集電体がこの順に存在し、電解液層の他方の面に負極及び負極集電体がこの順に存在し、正極は、正極集電体に近い側から順に、第1の正極層及び第2の正極層を備え、第1の正極層は、ポリマーでコートされた硫黄粒子と、硫黄粒子と、炭素とを含み、第2の正極層は、炭素を含み、硫黄を含まないことを特徴とする。
本開示のリチウム硫黄電池によれば、正極集電体に近い第1の正極層がポリマーでコートされた硫黄粒子を含むことによって放電時の硫黄の溶出量を抑え、かつ電解液層に近い第2の正極層が硫黄を含まないことによって第2の正極層近傍における硫化リチウム(Li2S)の析出を抑える結果、電解液層と正極との界面における硫化リチウム(Li2S)の析出量を減らし、その代わりに正極内部まで硫化リチウム(Li2S)を析出させることができる。このように、本開示のリチウム硫黄電池によれば、硫化リチウム(Li2S)が正極中の炭素表面に均一に析出し、電解液層と正極との界面で硫化リチウム(Li2S)が局所的に析出することがないため、リチウムイオンと正極内部の炭素との接触が阻害されることがなく、放電容量を高く維持し続けることができる。
本開示のリチウム硫黄電池は、正極集電体、正極、電解液層、負極及び負極集電体を備えるリチウム硫黄電池において、電解液層の一方の面に正極及び正極集電体がこの順に存在し、電解液層の他方の面に負極及び負極集電体がこの順に存在し、正極は、正極集電体に近い側から順に、第1の正極層及び第2の正極層を備え、第1の正極層は、ポリマーでコートされた硫黄粒子と、硫黄粒子と、炭素とを含み、第2の正極層は、炭素を含み、硫黄を含まないことを特徴とする。
図1は、本開示のリチウム硫黄電池の層構成の一例を示す図であって、積層方向に切断した断面を模式的に示した図である。リチウム硫黄電池100は、正極集電体4、正極2、電解液層1、負極3及び負極集電体5を備える。図1に示すように、電解液層1の一方の面に、正極層2及び正極集電体4がこの順に存在し、電解液層1の他方の面に、負極3及び負極集電体5がこの順に存在する。正極2はさらに、正極集電体4に近い側から順に、第1の正極層2a及び第2の正極層2bを備える。
なお、本開示のリチウム全固体電池は、必ずしもこの例のみに限定されるものではない。
なお、本開示のリチウム全固体電池は、必ずしもこの例のみに限定されるものではない。
第1の正極層は、ポリマーでコートされた硫黄粒子と、硫黄粒子と、炭素とを含む。
正極のうち、正極集電体に近い第1の正極層において、ポリマーでコートされた硫黄粒子を配置することにより、ポリマーでコートされていない硫黄粒子のみを配置する場合よりも硫黄粒子からの硫黄の流出量を減らすことができる。
正極のうち、正極集電体に近い第1の正極層において、ポリマーでコートされた硫黄粒子を配置することにより、ポリマーでコートされていない硫黄粒子のみを配置する場合よりも硫黄粒子からの硫黄の流出量を減らすことができる。
第1の正極層に使用できる硫黄粒子としては、例えば、α硫黄(斜方硫黄)、β硫黄(単斜硫黄)、γ硫黄(単斜硫黄)、ゴム状硫黄、プラスチック硫黄等の、硫黄の同素体の粒子、又はこれら同素体の混合物からなる粒子が挙げられる。
本開示において「ポリマーでコートされた硫黄粒子」とは、硫黄粒子表面の全体又は一部にポリマーが存在しているものを意味する。
硫黄粒子をコートするポリマーとしては、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAD)、ポリ(4−スチレンスルホナート)(PSS)、ポリエチレンイミン,branched(bPEI)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホナート(PEDOT−PSS)等が挙げられる。
硫黄粒子をコートするポリマーとしては、例えば、ポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAD)、ポリ(4−スチレンスルホナート)(PSS)、ポリエチレンイミン,branched(bPEI)、ポリ(3,4−エチレンジオキシチオフェン)−ポリスチレンスルホナート(PEDOT−PSS)等が挙げられる。
第1の正極層に使用できる炭素としては、例えば、アセチレンブラック、ケッチェンブラック、カーボンナノチューブ等が挙げられる。
硫黄粒子と炭素とは、予め混合して第1の正極層に供してもよい。硫黄粒子と炭素とを予め混合することにより、これら2つの材料がなじみやすくなり、硫黄粒子の活性が向上する。以下、本開示において、硫黄粒子と炭素との混合物を「硫黄活物質」と称する場合がある。
硫黄活物質中における硫黄と炭素の混合比は、例えば、硫黄活物質を100質量%とした場合に、硫黄:炭素=95質量%:5質量%〜50質量%:50質量%としてもよい。
硫黄粒子と炭素とは、予め混合して第1の正極層に供してもよい。硫黄粒子と炭素とを予め混合することにより、これら2つの材料がなじみやすくなり、硫黄粒子の活性が向上する。以下、本開示において、硫黄粒子と炭素との混合物を「硫黄活物質」と称する場合がある。
硫黄活物質中における硫黄と炭素の混合比は、例えば、硫黄活物質を100質量%とした場合に、硫黄:炭素=95質量%:5質量%〜50質量%:50質量%としてもよい。
ポリマーでコートされた硫黄粒子は、従来公知の方法により調製できる。ポリマーでコートされた硫黄粒子の調製例は以下の通りである。
まず、ボールミル等のメカニカルミリングによって硫黄粒子と炭素材料とを混合し、硫黄活物質を合成する。次に、純水中にイオン性ポリマーを分散させ、その液中に硫黄活物質を投入する。イオン性ポリマーは、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーのいずれであってもよい。得られた混合物について、超音波処理や遠心分離を行うことにより、硫黄活物質表面にイオン性ポリマーをコートする。得られた混合物を適宜洗浄した後、高温条件下で一晩真空乾燥させることにより、ポリマーでコートされた硫黄活物質が得られる。ポリマーでコートされた硫黄活物質は、ポリマーでコートされた硫黄粒子を含有する。
まず、ボールミル等のメカニカルミリングによって硫黄粒子と炭素材料とを混合し、硫黄活物質を合成する。次に、純水中にイオン性ポリマーを分散させ、その液中に硫黄活物質を投入する。イオン性ポリマーは、カチオン性ポリマー又はアニオン性ポリマーのいずれであってもよい。得られた混合物について、超音波処理や遠心分離を行うことにより、硫黄活物質表面にイオン性ポリマーをコートする。得られた混合物を適宜洗浄した後、高温条件下で一晩真空乾燥させることにより、ポリマーでコートされた硫黄活物質が得られる。ポリマーでコートされた硫黄活物質は、ポリマーでコートされた硫黄粒子を含有する。
ポリマーでコートされた硫黄活物質と、硫黄活物質との比は、例えば、これらの混合物の全質量を100質量%としたとき、(ポリマーでコートされた硫黄活物質):(硫黄活物質)=95質量%:5質量%〜50質量%:50質量%であってもよい。ポリマーでコートされた硫黄活物質が50質量%未満の場合には、放電時に正極から溶け出す硫黄の量が多すぎて、硫化リチウムが正極表面を覆い尽くし、放電容量を高く維持し続けられないおそれがある。一方、硫黄活物質が5質量%未満の場合には、放電時に正極から溶け出す硫黄の量が少なすぎて、初期の放電容量が低くなるおそれがある。
ポリマーでコートされた硫黄活物質と、硫黄活物質との比は、これらの混合物の全質量を100質量%としたとき、(ポリマーでコートされた硫黄活物質):(硫黄活物質)=93質量%:7質量%〜55質量%:45質量%であってもよく、(ポリマーでコートされた硫黄活物質):(硫黄活物質)=90質量%:10質量%〜60質量%:40質量%であってもよい。
ポリマーでコートされた硫黄活物質と、硫黄活物質との比は、これらの混合物の全質量を100質量%としたとき、(ポリマーでコートされた硫黄活物質):(硫黄活物質)=93質量%:7質量%〜55質量%:45質量%であってもよく、(ポリマーでコートされた硫黄活物質):(硫黄活物質)=90質量%:10質量%〜60質量%:40質量%であってもよい。
第1の正極層は、必要であれば、さらにバインダを適宜含む。バインダとしては、例えば、PTFE、PVdF、SBR等が挙げられる。バインダの添加量は、第1の正極層の全質量を100質量%としたとき、1質量%以上40質量%以下としてもよい。
第2の正極層は、炭素を含み、硫黄を含まない。
正極のうち、電解液層に近い第2の正極層が硫黄を含まないことにより、硫化リチウムの析出場所を炭素表面に限定することができ、硫化リチウムの析出層が正極と電解液層との界面を塞ぐことがない。
第2の正極層に使用できる炭素材料は、第1の正極層に使用できる炭素材料と同様である。これら2つの層に使用する炭素材料の種類は、互いに同じものであってもよいし、異なっていてもよい。
正極のうち、電解液層に近い第2の正極層が硫黄を含まないことにより、硫化リチウムの析出場所を炭素表面に限定することができ、硫化リチウムの析出層が正極と電解液層との界面を塞ぐことがない。
第2の正極層に使用できる炭素材料は、第1の正極層に使用できる炭素材料と同様である。これら2つの層に使用する炭素材料の種類は、互いに同じものであってもよいし、異なっていてもよい。
第2の正極層は、必要であれば、さらにバインダを適宜含む。第2の正極層に使用できるバインダは、第1の正極層に使用できるバインダと同様である。これら2つの層に使用するバインダの種類は、互いに同じものであってもよいし、異なっていてもよい。
図2には、本開示のリチウム硫黄電池100の一部である、電解液層1、正極2及び正極集電体4の積層部分を示す。図2中のLi+の円、及びLi2S8〜4の楕円は、図3と同様のものを示す。
電解液層1には電解液31が存在し、電解液31中にはリチウムイオン(Li+)や多硫化リチウム(Li2S8〜4)が拡散している。リチウムイオン(Li+)は放電時に負極から放出されるものであり、多硫化リチウム(Li2S8〜4)は、このリチウムイオン(Li+)と正極中の硫黄(S)(図示せず)との反応により生成される。
正極には第1の正極層2aと第2の正極層2bが含まれる。これらの層2aと層2bには、炭素32が含まれる。図2には炭素32を小円で表す。
第1の正極層2aは、炭素32の他に、ポリマーでコートされた硫黄粒子(図示せず)と、硫黄粒子(図示せず)とを含む。第1の正極層2aにおいてポリマーでコートされた硫黄粒子を配置することにより、硫黄粒子からの硫黄の流出量を減らすことができ、その結果、第1の正極層2aにおける硫化リチウム(Li2S)層33の形成を最小限に抑えることができる。
一方、第2の正極層2bは硫黄を含まない。したがって、第2の正極層2bにおいて硫化リチウムの析出場所を炭素表面に限定することができる。図2と図3とを比較すると分かるように、図2においては、エネルギー密度の増加を狙って正極中の硫黄(S)の目付量を増やした場合であっても、硫化リチウム(Li2S)層33が正極2と電解液層1との界面を塞いでおらず、第1の正極層2a内部の炭素32までリチウムイオン(Li+)や多硫化リチウム(Li2S8〜4)が行き届く結果、高い放電容量を維持できる。
このように、本開示のリチウム硫黄電池においては、硫黄目付量を増やしても高い放電容量を維持できる。
電解液層1には電解液31が存在し、電解液31中にはリチウムイオン(Li+)や多硫化リチウム(Li2S8〜4)が拡散している。リチウムイオン(Li+)は放電時に負極から放出されるものであり、多硫化リチウム(Li2S8〜4)は、このリチウムイオン(Li+)と正極中の硫黄(S)(図示せず)との反応により生成される。
正極には第1の正極層2aと第2の正極層2bが含まれる。これらの層2aと層2bには、炭素32が含まれる。図2には炭素32を小円で表す。
第1の正極層2aは、炭素32の他に、ポリマーでコートされた硫黄粒子(図示せず)と、硫黄粒子(図示せず)とを含む。第1の正極層2aにおいてポリマーでコートされた硫黄粒子を配置することにより、硫黄粒子からの硫黄の流出量を減らすことができ、その結果、第1の正極層2aにおける硫化リチウム(Li2S)層33の形成を最小限に抑えることができる。
一方、第2の正極層2bは硫黄を含まない。したがって、第2の正極層2bにおいて硫化リチウムの析出場所を炭素表面に限定することができる。図2と図3とを比較すると分かるように、図2においては、エネルギー密度の増加を狙って正極中の硫黄(S)の目付量を増やした場合であっても、硫化リチウム(Li2S)層33が正極2と電解液層1との界面を塞いでおらず、第1の正極層2a内部の炭素32までリチウムイオン(Li+)や多硫化リチウム(Li2S8〜4)が行き届く結果、高い放電容量を維持できる。
このように、本開示のリチウム硫黄電池においては、硫黄目付量を増やしても高い放電容量を維持できる。
第1の正極層と第2の正極層との厚さの比は、特に限定されないが、(第1の正極層の厚さ):(第2の正極層の厚さ)=1:1〜10:1が望ましい。
本開示における正極の硫黄目付量は、例えば、2mg/cm2以上7mg/cm2以下としてもよい。このように従来のリチウム硫黄電池より高い硫黄目付量であっても、上記の通り硫化リチウム層の局所的な析出を抑制できるため、高容量化とサイクル特性向上を図ることが可能となる。
正極集電体は、リチウム硫黄電池に通常使用されるものであれば特に限定されず、例えば、アルミニウム箔等が挙げられる。
負極活物質は、リチウムイオンを吸蔵可能かつ放出可能なものであれば特に限定されないが、例えば、リチウム金属、リチウム合金、リチウム元素を含有する金属酸化物、リチウム元素を含有する金属硫化物、リチウム元素を含有する金属窒化物等を挙げることができる。また、負極活物質は、粉末状であっても良く、薄膜状であっても良い。
負極集電体は、リチウム硫黄電池に通常使用されるものであれば特に限定されず、例えば、SUS304製板、SUS304箔、銅板、銅箔等が挙げられる。
電解液層は、第2の正極層と負極との間に保持され、第2の正極層と負極との間でイオンを交換する働きを有する。
電解液は、電解質塩を溶媒に溶解したものであり、非水系溶媒に電解質塩を溶解した非水系電解液及び水系溶媒に電解質塩を溶解した水系電解液のいずれを用いてもよい。
電解液は、電解質塩を溶媒に溶解したものであり、非水系溶媒に電解質塩を溶解した非水系電解液及び水系溶媒に電解質塩を溶解した水系電解液のいずれを用いてもよい。
リチウムイオン伝導性非水系電解液は、リチウム塩及び非水溶媒を含有するものである。
リチウム塩としては、例えばLiNO3等の無機リチウム塩や、LiN(SO2CF3)2(LiTFSI)等の有機リチウム塩等を挙げることができる。
非水溶媒としては、例えばジオキソランやジメトキシエタン、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
非水系電解液におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.5mol/L以上3mol/L以下の範囲内とすることができる。
リチウム塩としては、例えばLiNO3等の無機リチウム塩や、LiN(SO2CF3)2(LiTFSI)等の有機リチウム塩等を挙げることができる。
非水溶媒としては、例えばジオキソランやジメトキシエタン、及びこれらの混合物等を挙げることができる。
非水系電解液におけるリチウム塩の濃度は、例えば0.5mol/L以上3mol/L以下の範囲内とすることができる。
第2の正極層と負極との間に、セパレータを設けてもよい。典型的には、絶縁性多孔質体からなるセパレータに電解液を含浸させることで、第2の正極層と負極との間の絶縁性及びイオン伝導性を確保することができる。
セパレータの材料は、リチウム硫黄電池に通常使用されるものであれば特に限定されず、例えば、3層セパレータ(PP/PE/PP)等が挙げられる。
セパレータの材料は、リチウム硫黄電池に通常使用されるものであれば特に限定されず、例えば、3層セパレータ(PP/PE/PP)等が挙げられる。
リチウム硫黄電池の製造方法の一例を以下説明する。まず、正極集電体の一方の面に、第1の正極層、第2の正極層を順に形成する。一方、負極集電体の一方の面に、負極を貼りつける。セパレータが第2の正極層と負極との間に挟持されるように、正極集電体、第1の正極層、第2の正極層、セパレータ、負極及び負極集電体を含む積層体を作製する。セパレータに電解液を含浸させることにより、リチウム硫黄電池が完成する。
リチウム硫黄電池は、電池ケースに収納されていてもよい。電池ケースの形状としては、例えば、コイン型、平板型、円筒型、ラミネート型等が挙げられる。
1.リチウム硫黄電池の作製
[実施例1]
(1)硫黄活物質の合成
まず、Zrボールを入れたボールミルポッドを準備した。次に、硫黄粒子0.8gと炭素0.2gを計量し、ボールミルポッドに投入した。ボールミルにて硫黄粒子と炭素を混合し、硫黄活物質を合成した。
[実施例1]
(1)硫黄活物質の合成
まず、Zrボールを入れたボールミルポッドを準備した。次に、硫黄粒子0.8gと炭素0.2gを計量し、ボールミルポッドに投入した。ボールミルにて硫黄粒子と炭素を混合し、硫黄活物質を合成した。
(2)ポリマーコート硫黄活物質の合成
ポリマーでコートされた硫黄活物質(以下、「ポリマーコート硫黄活物質」と称する場合がある。)を、レイヤーバイレイヤー法(LBL法)を用いて以下の通り合成した。
純水中に、イオン性ポリマーの一種としてポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAD)を分散させ、その分散液中に上記硫黄活物質を投入して攪拌した。攪拌後、遠心分離器にて硫黄活物質を沈殿させ、上澄みを捨てた。得られた沈殿に純水を加えて超音波処理し、硫黄活物質に付着した余分なイオン性ポリマーを取り除き、遠心分離器にて硫黄活物質を沈殿させ、上澄みを捨てた。この純水添加、超音波処理、遠心分離、上澄み除去という工程を、数回繰り返した。また、必要に応じて、混合物にイオン性ポリマーを追加し、その後に遠心分離、さらに上澄み除去という工程も数回行い、硫黄活物質表面にポリマーコート層を形成した。
ポリマーコート層が形成された硫黄活物質を、純水にて洗浄後、80℃で一晩真空乾燥させ、ポリマーコート硫黄活物質が得られた。
ポリマーでコートされた硫黄活物質(以下、「ポリマーコート硫黄活物質」と称する場合がある。)を、レイヤーバイレイヤー法(LBL法)を用いて以下の通り合成した。
純水中に、イオン性ポリマーの一種としてポリ(ジアリルジメチルアンモニウムクロリド)(PDAD)を分散させ、その分散液中に上記硫黄活物質を投入して攪拌した。攪拌後、遠心分離器にて硫黄活物質を沈殿させ、上澄みを捨てた。得られた沈殿に純水を加えて超音波処理し、硫黄活物質に付着した余分なイオン性ポリマーを取り除き、遠心分離器にて硫黄活物質を沈殿させ、上澄みを捨てた。この純水添加、超音波処理、遠心分離、上澄み除去という工程を、数回繰り返した。また、必要に応じて、混合物にイオン性ポリマーを追加し、その後に遠心分離、さらに上澄み除去という工程も数回行い、硫黄活物質表面にポリマーコート層を形成した。
ポリマーコート層が形成された硫黄活物質を、純水にて洗浄後、80℃で一晩真空乾燥させ、ポリマーコート硫黄活物質が得られた。
(3)正極の作製
まず、ポリマーコート硫黄活物質と、硫黄活物質と、炭素材料と、SBR系バインダとを混合し、第1の混合物を調製した。目付量が6.1mg/cm2となるようにアルミニウム箔(正極集電体)上へ第1の混合物を塗工した。このとき、ポリマーコート硫黄活物質と硫黄活物質との混合比は、ポリマーコート硫黄活物質:硫黄活物質=90質量%:10質量%とした。
第1の混合物を12時間乾燥させ、上記第1の混合物からなる第1の正極層を形成した。
次に、炭素材料とバインダとを混合し、第2の混合物を調製した。第1の正極層の上から第2の混合物を塗工した。
第2の混合物を12時間乾燥させ、上記第2の混合物からなる第2の正極層を形成した。
まず、ポリマーコート硫黄活物質と、硫黄活物質と、炭素材料と、SBR系バインダとを混合し、第1の混合物を調製した。目付量が6.1mg/cm2となるようにアルミニウム箔(正極集電体)上へ第1の混合物を塗工した。このとき、ポリマーコート硫黄活物質と硫黄活物質との混合比は、ポリマーコート硫黄活物質:硫黄活物質=90質量%:10質量%とした。
第1の混合物を12時間乾燥させ、上記第1の混合物からなる第1の正極層を形成した。
次に、炭素材料とバインダとを混合し、第2の混合物を調製した。第1の正極層の上から第2の混合物を塗工した。
第2の混合物を12時間乾燥させ、上記第2の混合物からなる第2の正極層を形成した。
(4)リチウム硫黄電池の作製
容器としてコインセル(2032型)を使用した。
負極として、金属リチウム(本城金属製)を準備した。負極には、SUS304箔を負極集電体として貼付した。
また、セパレータとして、3層セパレータ(PP/PE/PP)を準備した。
一方、ジオキソランとジメトキシエタンとの混合溶媒(混合比は、ジオキソラン:ジメトキシエタン=50体積%:50体積%)中に、LiTFSIを濃度1M、LiNO3を濃度0.5Mとなるように混合し、電解液を調製した。
上記アルミニウム箔上に形成された正極、セパレータ、SUS304製板に貼付された金属リチウムを用いて、セパレータが正極と金属リチウムとの間に挟持されるように、積層体を作製した。セパレータに上記電解液を含浸させ、リチウム硫黄電池(実施例1)を作製した。
容器としてコインセル(2032型)を使用した。
負極として、金属リチウム(本城金属製)を準備した。負極には、SUS304箔を負極集電体として貼付した。
また、セパレータとして、3層セパレータ(PP/PE/PP)を準備した。
一方、ジオキソランとジメトキシエタンとの混合溶媒(混合比は、ジオキソラン:ジメトキシエタン=50体積%:50体積%)中に、LiTFSIを濃度1M、LiNO3を濃度0.5Mとなるように混合し、電解液を調製した。
上記アルミニウム箔上に形成された正極、セパレータ、SUS304製板に貼付された金属リチウムを用いて、セパレータが正極と金属リチウムとの間に挟持されるように、積層体を作製した。セパレータに上記電解液を含浸させ、リチウム硫黄電池(実施例1)を作製した。
[実施例2]
実施例1の「(3)正極の作製」において、ポリマーコート硫黄活物質と硫黄活物質との混合比をポリマーコート硫黄活物質:硫黄活物質=80質量%:20質量%としたこと、及び第1の混合物の目付量を6.4mg/cm2としたこと以外は、実施例1と同様の工程によりリチウム硫黄電池(実施例2)を作製した。
実施例1の「(3)正極の作製」において、ポリマーコート硫黄活物質と硫黄活物質との混合比をポリマーコート硫黄活物質:硫黄活物質=80質量%:20質量%としたこと、及び第1の混合物の目付量を6.4mg/cm2としたこと以外は、実施例1と同様の工程によりリチウム硫黄電池(実施例2)を作製した。
[実施例3]
実施例1の「(3)正極の作製」において、ポリマーコート硫黄活物質と硫黄活物質との混合比をポリマーコート硫黄活物質:硫黄活物質=60質量%:40質量%としたこと、及び第1の混合物の目付量を6.2mg/cm2としたこと以外は、実施例1と同様の工程によりリチウム硫黄電池(実施例3)を作製した。
実施例1の「(3)正極の作製」において、ポリマーコート硫黄活物質と硫黄活物質との混合比をポリマーコート硫黄活物質:硫黄活物質=60質量%:40質量%としたこと、及び第1の混合物の目付量を6.2mg/cm2としたこと以外は、実施例1と同様の工程によりリチウム硫黄電池(実施例3)を作製した。
[比較例1]
実施例1の「(3)正極の作製」において、ポリマーコート硫黄活物質と硫黄活物質との混合比をポリマーコート硫黄活物質:硫黄活物質=100質量%:0質量%としたこと、第1の混合物の目付量を6.3mg/cm2としたこと、及び第2の正極層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の工程によりリチウム硫黄電池(比較例1)を作製した。
実施例1の「(3)正極の作製」において、ポリマーコート硫黄活物質と硫黄活物質との混合比をポリマーコート硫黄活物質:硫黄活物質=100質量%:0質量%としたこと、第1の混合物の目付量を6.3mg/cm2としたこと、及び第2の正極層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の工程によりリチウム硫黄電池(比較例1)を作製した。
[比較例2]
実施例1の「(3)正極の作製」において、ポリマーコート硫黄活物質と硫黄活物質との混合比をポリマーコート硫黄活物質:硫黄活物質=80質量%:20質量%としたこと、及び第2の正極層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の工程によりリチウム硫黄電池(比較例2)を作製した。
実施例1の「(3)正極の作製」において、ポリマーコート硫黄活物質と硫黄活物質との混合比をポリマーコート硫黄活物質:硫黄活物質=80質量%:20質量%としたこと、及び第2の正極層を形成しなかったこと以外は、実施例1と同様の工程によりリチウム硫黄電池(比較例2)を作製した。
2.充放電試験
充放電特性評価のため、実施例1−3及び比較例1−2のリチウム硫黄電池について、下記条件にて試験を実施した。
充放電試験装置:マルチチャンネルポテンショスタット/ガルバノスタットVMP3 (BioLogic社製)
電流密度:0.1C
電圧範囲:1.5Vから2.8Vまでの範囲
サイクル数:100サイクル
下記表1は、実施例1−3及び比較例1−2のリチウム硫黄電池についての初回放電容量及び100サイクル後の放電容量を、正極の構成と併せてまとめた表である。
充放電特性評価のため、実施例1−3及び比較例1−2のリチウム硫黄電池について、下記条件にて試験を実施した。
充放電試験装置:マルチチャンネルポテンショスタット/ガルバノスタットVMP3 (BioLogic社製)
電流密度:0.1C
電圧範囲:1.5Vから2.8Vまでの範囲
サイクル数:100サイクル
下記表1は、実施例1−3及び比較例1−2のリチウム硫黄電池についての初回放電容量及び100サイクル後の放電容量を、正極の構成と併せてまとめた表である。
まず、比較例1においては、初回放電容量が160mAh/g未満と低い。これは、第1の正極層が、ポリマーコートされていない硫黄活物質を全く含まないため、電気化学反応が不均一に進行する結果、放電容量が低下したためと考えられる。また、比較例1においては、100サイクル後の放電容量は初回放電容量の8%である。これは、第2の正極層を設けていないため、硫化リチウムの局部的な析出が避けられず、その結果放電容量が大きく低下したものと考えられる。
次に、比較例2においては、初回放電容量が162mAh/gと低い。
また、比較例2においては、100サイクル後の放電容量は初回放電容量の6%である。これは、後述する実施例2との対比からも明らかな通り、比較例2においては第2の正極層を設けていないため、硫化リチウムの局部的な析出を避けられず、その結果放電容量が大きく低下したものと考えられる。
なお、比較例1と比較例2は、第1の正極層における硫黄活物質の混合比に差がある。実験前は、ポリマーコートなしの硫黄活物質を含むリチウム硫黄電池(比較例2)が、ポリマーコート硫黄活物質のみを含むリチウム硫黄電池(比較例1)よりも、100サイクル後の放電容量が高くなると予測されていた。しかし実際には、比較例2においても100サイクルより前に硫化リチウムの局部的な析出が生じるため、比較例1と比較例2においては100サイクル後の放電容量についてあまり差が生じない。
また、比較例2においては、100サイクル後の放電容量は初回放電容量の6%である。これは、後述する実施例2との対比からも明らかな通り、比較例2においては第2の正極層を設けていないため、硫化リチウムの局部的な析出を避けられず、その結果放電容量が大きく低下したものと考えられる。
なお、比較例1と比較例2は、第1の正極層における硫黄活物質の混合比に差がある。実験前は、ポリマーコートなしの硫黄活物質を含むリチウム硫黄電池(比較例2)が、ポリマーコート硫黄活物質のみを含むリチウム硫黄電池(比較例1)よりも、100サイクル後の放電容量が高くなると予測されていた。しかし実際には、比較例2においても100サイクルより前に硫化リチウムの局部的な析出が生じるため、比較例1と比較例2においては100サイクル後の放電容量についてあまり差が生じない。
これに対し、実施例1−3においては、初回放電容量がいずれも1100mAh/gを超えて高い。これは、硫黄活物質の目付量が6.1mg/cm2以上と高くても、第1の正極層にポリマーコート硫黄活物質と共にポリマーコートの無い硫黄活物質を含むため、電気化学反応が正極内でより均一に進行した結果、高い放電容量が実現できたためと考えられる。
また、実施例1−3においては、100サイクル後の放電容量がいずれも500mAh/gを超えて高く、放電容量維持率(すなわち、100サイクル後の放電容量を初回放電容量で除して100を乗じた値)も40%を超えて高い。これは、第2の正極層が設けられているため、硫化リチウムを正極中の炭素表面に均一に析出させることができ、その結果、高い硫黄目付量でも、高い放電容量とサイクル特性の向上が可能となったためと考えられる。
また、実施例1−3においては、100サイクル後の放電容量がいずれも500mAh/gを超えて高く、放電容量維持率(すなわち、100サイクル後の放電容量を初回放電容量で除して100を乗じた値)も40%を超えて高い。これは、第2の正極層が設けられているため、硫化リチウムを正極中の炭素表面に均一に析出させることができ、その結果、高い硫黄目付量でも、高い放電容量とサイクル特性の向上が可能となったためと考えられる。
1 電解液層
2 正極
2a 第1の正極層
2b 第2の正極層
3 負極
4 正極集電体
5 負極集電体
11 電解液層
12 正極
14 正極集電体
31 電解液
31a 正極内部の電解液
32 炭素
33 硫化リチウム(Li2S)層
100 リチウム硫黄電池
200 従来のリチウム硫黄電池
2 正極
2a 第1の正極層
2b 第2の正極層
3 負極
4 正極集電体
5 負極集電体
11 電解液層
12 正極
14 正極集電体
31 電解液
31a 正極内部の電解液
32 炭素
33 硫化リチウム(Li2S)層
100 リチウム硫黄電池
200 従来のリチウム硫黄電池
Claims (1)
- 正極集電体、正極、電解液層、負極及び負極集電体を備えるリチウム硫黄電池において、
電解液層の一方の面に正極及び正極集電体がこの順に存在し、
電解液層の他方の面に負極及び負極集電体がこの順に存在し、
正極は、正極集電体に近い側から順に、第1の正極層及び第2の正極層を備え、
第1の正極層は、ポリマーでコートされた硫黄粒子と、硫黄粒子と、炭素とを含み、
第2の正極層は、炭素を含み、硫黄を含まないことを特徴とする、リチウム硫黄電池。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017002349A JP2018113142A (ja) | 2017-01-11 | 2017-01-11 | リチウム硫黄電池 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2017002349A JP2018113142A (ja) | 2017-01-11 | 2017-01-11 | リチウム硫黄電池 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018113142A true JP2018113142A (ja) | 2018-07-19 |
Family
ID=62911339
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2017002349A Pending JP2018113142A (ja) | 2017-01-11 | 2017-01-11 | リチウム硫黄電池 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018113142A (ja) |
Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
CN114023919A (zh) * | 2021-10-20 | 2022-02-08 | 中国科学院上海硅酸盐研究所 | 一种高载量硫正极及含有高载量硫正极的锂硫电池 |
WO2022235015A1 (ko) | 2021-05-07 | 2022-11-10 | 주식회사 엘지에너지솔루션 | 리튬 이차전지용 양극, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 리튬 이차전지 |
KR20220152141A (ko) | 2021-05-07 | 2022-11-15 | 주식회사 엘지에너지솔루션 | 리튬 이차전지용 양극, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 리튬 이차전지 |
-
2017
- 2017-01-11 JP JP2017002349A patent/JP2018113142A/ja active Pending
Cited By (4)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2022235015A1 (ko) | 2021-05-07 | 2022-11-10 | 주식회사 엘지에너지솔루션 | 리튬 이차전지용 양극, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 리튬 이차전지 |
KR20220152141A (ko) | 2021-05-07 | 2022-11-15 | 주식회사 엘지에너지솔루션 | 리튬 이차전지용 양극, 이의 제조방법 및 이를 포함하는 리튬 이차전지 |
CN114023919A (zh) * | 2021-10-20 | 2022-02-08 | 中国科学院上海硅酸盐研究所 | 一种高载量硫正极及含有高载量硫正极的锂硫电池 |
CN114023919B (zh) * | 2021-10-20 | 2023-08-08 | 中国科学院上海硅酸盐研究所 | 一种高载量硫正极及含有高载量硫正极的锂硫电池 |
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