JP2018112202A - スライド式等速ジョイント構造 - Google Patents

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Yoshitaka Nakagawa
義崇 中川
友隆 皆美
Tomotaka Minami
友隆 皆美
裕也 小川
Hironari Ogawa
裕也 小川
義彦 辻井
Yoshihiko Tsujii
義彦 辻井
豊和 浅水
Toyokazu Asamizu
豊和 浅水
泰知 日比野
Taichi Hibino
泰知 日比野
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Abstract

【課題】グリースがブーツの外部へ漏出することを防止しつつ、シャフトの軸方向移動を円滑に行うことができるスライド式等速ジョイント構造を提供すること。【解決手段】スライド式等速ジョイント構造100において、ブーツ50は、ブーツ50の内部領域を内側ジョイント部材20が存在する主領域60aと内側ジョイント部材20が存在しない副領域60bとに区画し、主領域60aに収容されたグリースGが副領域60bへ流出することを規制する規制部55を備える。シャフト60は、規制部55の内周面と対向する位置に形成され、断面形状が規制部55の内周面に対して一部が接触する非円形状に形成された非円形部61を備える。スライド式等速ジョイント構造100は、非円形部61の外周面と規制部55の内周面との間に形成され、主領域60aと副領域60bとの間で空気の流通を許容する第二通気溝64を備える。【選択図】図2

Description

本発明は、スライド式等速ジョイント構造に関する。
外側ジョイント部材の外周面及びスタブシャフトの外周面に嵌着されることによって継手内部を密封するブーツを備えたスライド式等速ジョイント構造が知られている。スライド式等速ジョイント構造として、特許文献1には、ブーツの内部領域に収容された潤滑剤がスタブシャフト側へ流動することを抑制するために、ブーツの内周面にリップ部を設ける技術が開示されている。また、この特許文献1には、リップ部の先端に通気用の切欠を設けることにより、ブーツの内部領域と外部との間で空気を流通させる技術が開示されている。
特開2006−308075号公報
上記した特許文献1に記載の技術では、スタブシャフトが外側ジョイント部材側へ向けてスライドすると、ブーツが変形してリップ部の先端がスタブシャフト側へ押し付けられる。これにより、リップ部の先端に形成された切欠が塞がるため、ブーツの内部領域と外部との間で空気を流通させることができず、スタブシャフトの円滑な軸方向移動が困難となる。
本発明は、グリースがブーツの外部へ漏出することを防止しつつ、シャフトの軸方向移動を円滑に行うことができるスライド式等速ジョイント構造を提供することを目的とする。
本発明のスライド式等速ジョイント構造は、外側ジョイント部材と、前記外側ジョイント部材の内側に配置される内側ジョイント部材と、前記外側ジョイント部材と前記内側ジョイント部材との間でトルクの伝達を行う複数のボールと、前記外側ジョイント部材の内周面と前記内側ジョイント部材の外周面との間に配置され、前記複数のボールを1つずつ収容可能な窓部を有する保持器と、前記内側ジョイント部材の中心軸線と同軸になるように前記内側ジョイント部材に連結されるシャフトと、第一端部が前記外側ジョイント部材に固定されると共に、第二端部が前記シャフトに固定される筒状のブーツと、前記ブーツの前記第二端部の内周面と前記シャフトの外周面との間に形成され、前記ブーツの内部領域と外部との間で空気の流通を行う第一通気溝と、を備えたスライド式等速ジョイント構造である。
前記ブーツは、前記第一端部と前記第二端部との間において径方向内方へ突出し、内周面が円形断面形状に形成され、前記ブーツの内部領域を前記内側ジョイント部材が存在する主領域と前記内側ジョイント部材が存在しない副領域とに区画し、前記主領域に収容されたグリースが前記副領域へ流出することを規制する規制部を備え、前記シャフトは、前記規制部の内周面と対向する位置に形成され、前記シャフトの中心軸線に直交する断面形状が前記規制部の内周面に対して一部が接触する非円形状に形成された非円形部を備え、前記スライド式等速ジョイント構造は、前記非円形部の外周面と前記規制部の内周面との間に形成され、前記主領域と前記副領域との間で空気の流通を許容する第二通気溝を備える。
本発明のスライド式等速ジョイント構造によれば、規制部は、主領域から副領域へグリースが流出することを規制する。その一方、シャフトに非円形部を設けることにより、非円形部の外周面と規制部の内周面との間には、第二通気溝が形成される。この場合、シャフトの軸方向移動によりブーツが変形した場合であっても、第二通気溝の形状が維持されるので、主領域と副領域との間での通気が確保される。よって、スライド式等速ジョイント構造は、グリースがブーツの外部へ漏出することを防止しつつ、シャフト60の軸方向移動を円滑に行うことができる。
本発明の一実施形態におけるスライド式等速ジョイント構造の断面図であり、ジョイント角が0度である状態を示す。 図1の一部を拡大した図を示す。 ブーツ本体の断面図であり、図2のIVA−IVA線における断面に対応する。 図3Aの一部を拡大した図である。 図2のIVA−IVA線におけるスライド式等速ジョイント構造の断面図である。 図4Aの一部を拡大した図である。 図2のV−V線におけるスライド式等速ジョイント構造の断面図である。 変形例におけるスライド式等速ジョイント構造の部分拡大断面図であり、図2に対応する。 図6AのVIB−VIB線におけるスライド式等速ジョイント構造の断面図である。
(1.スライド式等速ジョイント構造100の概略)
以下、本発明に係るスライド式等速ジョイント構造を適用した各実施形態について、図面を参照しながら説明する。なお、本実施形態では、スライド式等速ジョイント構造100が、内燃機関や車両用駆動モータ等の車両用の駆動源(図示せず)からディファレンシャル装置(図示せず)へ回動駆動力を伝達するプロペラシャフトに用いられる場合を例に挙げて説明する。
まず、図1を参照して、本発明の一実施形態であるスライド式等速ジョイント構造100の概略を説明する。図1に示すように、スライド式等速ジョイント構造100は、外側ジョイント部材10と、内側ジョイント部材20と、6つのボール30と、保持器40と、ブーツ50と、シャフト60と、を主に備える。なお、スライド式等速ジョイント構造100は、外側ジョイント部材10、内側ジョイント部材20、6つのボール30及び保持器40からなるダブルオフセット型の等速ジョイント(DOJ)を含む。なお、図1には、外側ジョイント部材10の中心軸線A1と内側ジョイント部材20の中心軸線A2とのなす角度(ジョイント角)が0度である状態が図示されている。
外側ジョイント部材10は、車両用の駆動源に連結される部位であり、筒状に形成される。外側ジョイント部材10の内周面には、外側ジョイント部材10の中心軸線A1に沿って延びる6つの外側ボール溝11が形成される。6つの外側ボール溝11は、外側ジョイント部材10の内周面において周方向に等間隔に設けられる。また、外側ジョイント部材10の軸方向一方側(図1左側)は、金属製の薄板により形成されたカバー12により閉塞される。
内側ジョイント部材20は、円筒状に形成される。内側ジョイント部材20は、外側ジョイント部材10の軸方向他方側(図1右側)から内側に配置され、内側ジョイント部材20の外周面には、内側ジョイント部材20の中心軸線A2に沿って延びる6つの内側ボール溝21が形成される。また、内側ジョイント部材20の内周面には、雌スプラインが形成される。
6つのボール30は、外側ボール溝11と内側ボール溝21との間を転動する。各々のボール30は、外側ボール溝11及び内側ボール溝21に対し、周方向において係合することにより、外側ジョイント部材10と内側ジョイント部材20との間でトルクの伝達を行う。
保持器40は、略円筒状に形成される。保持器40は、外側ジョイント部材10の内周面と内側ジョイント部材20の外周面との間に配置される。保持器40は、ボール30を1つずつ収容可能な窓部41を備える。なお、本実施形態では、ボール30、外側ボール溝11、内側ボール溝21及び窓部41が6つずつ設けられる場合を例に挙げて説明するが、それぞれ5つずつ以下又は7つずつ以上設けてもよい。
ブーツ50は、ブーツ保持金具51と、ブーツ本体52とを主に備える。ブーツ保持金具51は、筒状の部材であり、ブーツ保持金具51の軸方向一端側(図1左側)は、外側ジョイント部材10の外周面に固定される。ブーツ本体52は、ゴム等の弾性材料から構成された筒状の部材であり、ブーツ本体52の軸方向一方側における端部である第一端部53は、外周側へ折り返された状態で、ブーツ保持金具51の軸方向他端側(図1右側)に固定される。ブーツ本体52の軸方向他方側の端部である第二端部54は、円環状の固定金具70によりシャフト60にクランプされる。
シャフト60は、内側ジョイント部材20に対し、シャフト60の回転軸線が内側ジョイント部材20の中心軸線A2と同軸になるように連結される。シャフト60の軸方向一端側(図1左側)には、雄スプラインが形成され、その雄スプラインは、内側ジョイント部材20の内周面に形成された雌スプラインに結合される。また、シャフト60の軸方向他端側(図1右側)は、チューブ状の部材等を介してディファレンシャル装置(図示せず)に連結される。
(2.ブーツ本体52について)
図2から図4Bに示すように、ブーツ本体52は、第一端部53と第二端部54の間において径方向内方へ突出する規制部55を備える。この規制部55は、ブーツ本体52の軸方向に直交する断面において、内周面が円形状に形成される。また、第二端部54の内周面には、径方向内方へ突出する一対の突部56が設けられる。
各々の突部56は、ブーツ50の軸方向に沿って延設され、一対の突部56は、周方向に間隔を空けて設けられる。この一対の突部56の間に設けられる隙間は、第二端部54が固定金具70によりシャフト60にクランプされた際、第二端部54の内周面とシャフト60の外周面との間に、ブーツ50の内部領域と外部との間で通気を行うための第一通気溝57を形成する。なお、本実施形態では、一対の突部56が180度位相をずらした位置に1組ずつ形成される場合を例に挙げて説明するが、一対の突部56が1組のみ形成されていてもよい。
また、シャフト60は、ブーツ本体52に形成された規制部55と対向する位置に形成された非円形部61を備える。非円形部61は、シャフト60の回転軸線に直交する断面形状が非円形状となる部位であり、非円形部61は、4つの凹部62及び4つの円弧部63を備える。凹部62は、シャフト60の径方向外方に開口を有するように凹設された部位であり、4つの凹部62は、非円形部61の外周面に周方向等間隔に形成される。円弧部63は、非円形部61の周方向において隣り合う2つの凹部62の間に形成される部位であり、シャフト60の回転軸線を円弧中心とする円弧状に形成される。
そして、円弧部63は、規制部55の内周面と接触する一方、凹部62は、規制部55の内周面との間に、主領域60aと副領域60bとの間で空気の流通を許容する第二通気溝64を形成する。なお、非円形部61は、シャフト60の軸方向から見た非円形部61の外接円(円弧部63の円弧半径を半径とする円)の直径が、規制部55の内径よりも大きな寸法に設定される。即ち、規制部55は、非円形部61に対して締め代を有し、規制部55の内周面は、円弧部63に対して圧着される。
また、ブーツ50の内部領域は、ブーツ本体52に形成された規制部55により、内側ジョイント部材20が存在する領域である主領域60aと、内側ジョイント部材20が存在しない副領域60bとに区画される。そして、主領域60aには、潤滑剤としてのグリースGが収容される。
シャフト60が回転すると、それに伴って発生する遠心力がグリースGに加わる。これにより、グリースGは、シャフト60の軸方向から見た場合に、主領域60aにおける径方向外方へ流動する。その結果、主領域60aに存在する空気は、主領域60aにおける径方向内方、即ち、グリースGの内周面GL(グリースGの油面)とシャフト60の外周面との間に集まる。
ここで、スライド式等速ジョイント構造100では、シャフト60の回転時に主領域60aにおける径方向外方へグリースGが流動した状態において、グリースGの内周面GLが、規制部55の内周面及び第二通気溝64よりも径方向外方に位置するように、主領域60aに収容するグリースGの容量が設定される。なお、グリースGの容量は、図1に示す状態、即ち、シャフト60が軸方向両側へ移動可能な中央位置にある状態を基準として設定される。
この場合、規制部55は、シャフト60の回転時において、グリースGの内周面GLよりも径方向内方に規制部55の内周面が位置するので、主領域60aに収容されたグリースGが、規制部55を越えて副領域60bへ流出することを防止できる。その結果、ブーツ50の内部領域に収容されたグリースGが第一通気溝57からブーツ50の外部へ漏出することを防止できる。
また、ブーツ本体52は、規制部55の内周面の一部が円弧部63に接触した状態でシャフト60に固定されているので、ブーツ本体52がシャフト60と同軸に配置された状態を維持できる。これにより、シャフト60の回転時においても、規制部55の周方向全体において、規制部55の内周面がグリースGの内周面GLよりも径方向内方に位置する状態を維持できる。よって、スライド式等速ジョイント構造100は、主領域60aから規制部55を越えて副領域60bへグリースGが流出することを防止できる。
さらに、第二通気溝64は、シャフト60の回転時において、グリースGの内周面GLよりも径方向内方に位置するので、主領域60aに収容されたグリースGが第二通気溝64から副領域60bへ流出することを防止できる。また、主領域60a内の空気は、グリースGの内周面GLよりも径方向内方に集められるので、スライド式等速ジョイント構造100は、第二通気溝64を介して連通する主領域60aと副領域60bとの間で、空気を流通させることができる。
このように、スライド式等速ジョイント構造100において、規制部55は、主領域60aから副領域60bへグリースGが流出することを規制する。その一方、シャフト60に非円形部61を設けることにより、非円形部61の外周面と規制部55の内周面との間には、第二通気溝64が形成される。この場合、シャフト60が外側ジョイント部材10側へスライドし、ブーツ本体52が変形してシャフト60側に押し付けられたとしても、第二通気溝64の形状が維持される。従って、スライド式等速ジョイント構造100は、シャフト60が外側ジョイント部材10側へスライドしたとしても、主領域60aと副領域60bとの間での通気が確保される。よって、スライド式等速ジョイント構造100は、グリースGがブーツ50の外部へ漏出することを防止しつつ、シャフト60の軸方向移動を円滑に行うことができる。
さらに、規制部55の内周面は、円形断面状に形成されると共に、非円形部61の円弧部63に対して締め代を有している。即ち、規制部55の内周面は、円弧部63に対し圧着された状態で接触しているので、ブーツ本体52が変形して規制部55が非円形部61に押し付けられた際に、凹部62が規制部55により閉塞されることを回避できる。従って、スライド式等速ジョイント構造100は、シャフト60が外側ジョイント部材10側へスライドしたとしても、主領域60aと副領域60bとの間での通気を確保することができるので、シャフト60の軸方向移動を円滑に行うことができる。
また、非円形部61は、シャフト60の径方向外方へ開口する凹部62を備え、その凹部62と規制部55の内周面との間に第二通気溝64が形成される。この場合、スライド式等速ジョイント構造100は、非円形部61と規制部55の内周面との間に第二通気溝64を容易に形成することができる。さらに、凹部62を規制部55に設ける場合と比べて、第二通気溝64をシャフト60の回転軸線(内側ジョイント部材20の中心軸線A2)に近い位置に設けることができる。
即ち、上記したように、主領域60a内の空気は、シャフト60の回転時においてシャフト60の外周面とグリースGの内周面GLとの間に集められる。これに対し、スライド式等速ジョイント構造100は、シャフト60の回転軸線に対して近い位置に第二通気溝64を設けることにより、主領域60aから副領域60bへグリースGが流出することを防止しつつ、主領域60aと副領域60bとの間で空気を流通させやすくすることができる。
さらに、非円形部61には円弧部63が形成され、非円形部61の外周面のうち凹部62が形成される部位以外の部位(円弧部63)が規制部55の内周面に接触する。これにより、規制部55の中心軸線をシャフト60の中心軸線と同軸に配置できるので、スライド式等速ジョイント構造100は、グリースGが規制部55を越えて主領域60aから副領域60bへ流出することを防止できる。また、規制部55の内周面は、円弧部63に対して圧着しているので、シャフト60が軸方向へ移動し、ブーツ本体52が変形した場合であっても、規制部55の内周面が円弧部63に接触した状態を維持できる。よって、スライド式等速ジョイント構造100は、グリースGが規制部55を越えて主領域60aから副領域60bへ流出することを防止できる。
なお、非円形部61は、シャフト60の軸方向から見た場合に、非円形部61の外接円(円弧部63の円弧半径を半径とする円)が、ブーツ50の内部に位置する軸方向範囲において外接円が最も小径となる部位に形成される。この場合、スライド式等速ジョイント構造100は、第二通気溝64をシャフト60の回転軸線に対してより近い位置に設けることができる。よって、スライド式等速ジョイント構造100は、主領域60aから副領域60bへグリースGが流出することを防止しつつ、主領域60aと副領域60bとの間で空気を流通させやすくすることができる。またその結果、主領域60aに収容可能なグリースGの容量を多く設定することができる。
一方、第一通気溝57は、第二端部54の内周面に形成された一対の突部56の間に形成された隙間と、シャフト60のうち軸方向に垂直な断面が円形状に形成された部位の外周面との間に形成される。これにより、第二端部54がシャフト60に対し、固定金具70によりクランプされたときに、第一通気溝57を介してブーツ50の内部領域と外部とが連通された状態を維持できる。即ち、仮に、第一通気溝57を形成するための凹みをシャフト60側に設けた場合には、固定金具70にクランプされた第二端部54が、変形してシャフト60側に設けた凹みに入り込み、第一通気溝57が第二端部54により閉塞されるおそれがある。これに対し、スライド式等速ジョイント構造100では、第二端部54がシャフト60に対して固定金具70によりクランプされた状態であっても、第一通気溝57が閉塞されることを回避できるので、ブーツ50の内部領域と外部との間で空気を流通させることができる。
(3.その他)
以上、上記実施形態に基づき本発明を説明したが、本発明は上記実施形態に何ら限定されるものではなく、本発明の趣旨を逸脱しない範囲内で種々の変形改良が可能であることは容易に推察できるものである。
例えば、上記実施形態では、ダブルオフセット型の等速ジョイント(DOJ)を含むスライド式等速ジョイント構造100に本発明を適用する場合を例に挙げて説明した。しかしながら、これに限られるものではなく、ダブルオフセット型の等速ジョイント以外のスライド式等速ジョイント、例えば、クロスグルーブ型の等速ジョイントに本発明を適用することも可能である。
上記実施形態では、ブーツ50の内部に位置する軸方向範囲において外接円が最も小径となる部位に非円形部61が形成される場合について説明したが、これに限られるものではない。例えば、図6A及び図6Bに示すように、非円形部261がシャフト60の外周面から径方向外方に張り出すフランジ状に形成され、シャフト60の外周面よりも径方向外方に凹部62及び円弧部63を設けてもよい。
また、上記実施形態では、非円形部61が、シャフト60の径方向外方へ開口を有する凹部62と、シャフト60の回転軸線を円弧中心とする円弧部63とを備える場合について説明したが、必ずしもこれに限られるものではない。即ち、非円形部61は、シャフト60の回転軸線に直交する断面形状が非円形状に形成され、非円形部の外周面と規制部55の内周面との間に第二通気溝64を形成するための隙間が形成されていればよい。
(4.効果)
以上説明したように、本発明におけるスライド式等速ジョイント構造100は、外側ジョイント部材10と、外側ジョイント部材10の内側に配置される内側ジョイント部材20と、外側ジョイント部材10と内側ジョイント部材20との間でトルクの伝達を行う複数のボール30と、外側ジョイント部材10の内周面と内側ジョイント部材20の外周面との間に配置され、複数のボール30を1つずつ収容可能な窓部41を有する保持器40と、内側ジョイント部材20の中心軸線A2と同軸になるように内側ジョイント部材20に連結されるシャフト60,260と、第一端部53が外側ジョイント部材10に固定されると共に、第二端部54がシャフト60,260に固定される筒状のブーツ50と、ブーツ50の第二端部54の内周面とシャフト60,260の外周面との間に形成され、ブーツ50の内部領域と外部との間で空気の流通を行う第一通気溝57と、を備えたスライド式等速ジョイント構造100である。
これに加え、ブーツ50は、第一端部53と第二端部54との間において径方向内方へ突出し、内周面が円形断面形状に形成され、ブーツ50の内部領域を内側ジョイント部材20が存在する主領域60aと内側ジョイント部材20が存在しない副領域60bとに区画し、主領域60aに収容されたグリースGが副領域60bへ流出することを規制する規制部55を備える。シャフト60,260は、規制部55の内周面と対向する位置に形成され、シャフト60,260の中心軸線に直交する断面形状が規制部55の内周面に対して一部が接触する非円形状に形成された非円形部61,261を備える。スライド式等速ジョイント構造100は、非円形部61,261の外周面と規制部55の内周面との間に形成され、主領域60aと副領域60bとの間で空気の流通を許容する第二通気溝64を備える。
このスライド式等速ジョイント構造100によれば、規制部55は、主領域60aから副領域60bへグリースGが流出することを規制する。その一方、シャフト60に非円形部61を設けることにより、非円形部61の外周面と規制部55の内周面との間には、第二通気溝64が形成される。この場合、シャフト60,260の軸方向移動によりブーツ50が変形した場合であっても、第二通気溝64の形状が維持されるので、主領域60aと副領域60bとの間での通気が確保される。よって、スライド式等速ジョイント構造100は、グリースGがブーツ50の外部へ漏出することを防止しつつ、シャフト60,260の軸方向移動を円滑に行うことができる。
さらに、上記したスライド式等速ジョイント構造100は、シャフト60,260の回転時において主領域60aに収容されたグリースGが主領域60aにおける径方向外方へ流動した状態において、規制部55の内周面は、グリースGの内周面よりも径方向内方に位置する。このスライド式等速ジョイント構造100は、主領域60aに収容されたグリースGが第二通気溝64から副領域60bへ流出することを確実に防止できる。
上記したスライド式等速ジョイント構造100において、第二通気溝64は、シャフト60,260の回転時にグリースGが主領域60aにおける径方向外方へ流動した状態において、グリースGの内周面よりも径方向内方に位置する。このスライド式等速ジョイント構造100は、主領域60aに収容されたグリースGが第二通気溝64から副領域60bへ流出することを確実に防止できる。
上記したスライド式等速ジョイント構造100において、非円形部61は、シャフト60の径方向外方に開口を有するように凹設され、規制部55の内周面との間に第二通気溝64を形成する凹部62を備える。このスライド式等速ジョイント構造100は、第二通気溝64をシャフト60の回転軸線に近い位置に設けることができるので、グリースGが第二通気溝64から副領域60bへ流出することを確実に防止できる。
上記したスライド式等速ジョイント構造100において、非円形部61は、シャフト60のうちブーツ50の内部に位置する軸方向範囲において、外接円が最も小径となる部位である。このスライド式等速ジョイント構造100は、第二通気溝64をシャフト60の回転軸線に近い位置に設けることができるので、主領域60aに収容されたグリースGの容量を多く設定しつつ、グリースGが第二通気溝64から副領域60bへ流出することを確実に防止できる。
10:外側ジョイント部材、 20:内側ジョイント部材、 30:ボール、 40:保持器、 41:窓部、 50:ブーツ、 53:第一端部、 54:第二端部、 55:規制部、 57:第一通気溝、 60,260:シャフト、 60a:主領域、 60b:副領域、 61,261:非円形部、 62:凹部、 64:第二通気溝、 100:スライド式等速ジョイント構造、 A2:内側ジョイント部材の中心軸線、 G:グリース、 GL:グリースの内周面

Claims (5)

  1. 外側ジョイント部材と、
    前記外側ジョイント部材の内側に配置される内側ジョイント部材と、
    前記外側ジョイント部材と前記内側ジョイント部材との間でトルクの伝達を行う複数のボールと、
    前記外側ジョイント部材の内周面と前記内側ジョイント部材の外周面との間に配置され、前記複数のボールを1つずつ収容可能な窓部を有する保持器と、
    前記内側ジョイント部材の中心軸線と同軸になるように前記内側ジョイント部材に連結されるシャフトと、
    第一端部が前記外側ジョイント部材に固定されると共に、第二端部が前記シャフトに固定される筒状のブーツと、
    前記ブーツの前記第二端部の内周面と前記シャフトの外周面との間に形成され、前記ブーツの内部領域と外部との間で空気の流通を行う第一通気溝と、
    を備えたスライド式等速ジョイント構造であって、
    前記ブーツは、前記第一端部と前記第二端部との間において径方向内方へ突出し、内周面が円形断面形状に形成され、前記ブーツの内部領域を前記内側ジョイント部材が存在する主領域と前記内側ジョイント部材が存在しない副領域とに区画し、前記主領域に収容されたグリースが前記副領域へ流出することを規制する規制部を備え、
    前記シャフトは、前記規制部の内周面と対向する位置に形成され、前記シャフトの中心軸線に直交する断面形状が前記規制部の内周面に対して一部が接触する非円形状に形成された非円形部を備え、
    前記スライド式等速ジョイント構造は、前記非円形部の外周面と前記規制部の内周面との間に形成され、前記主領域と前記副領域との間で空気の流通を許容する第二通気溝を備える、スライド式等速ジョイント構造。
  2. 前記シャフトの回転時において前記主領域に収容されたグリースが前記主領域における径方向外方へ流動した状態において、
    前記規制部の内周面は、前記グリースの内周面よりも径方向内方に位置する、請求項1に記載のスライド式等速ジョイント構造。
  3. 前記第二通気溝は、前記シャフトの回転時に前記グリースが流動した前記状態において、前記グリースの内周面よりも径方向内方に位置する、請求項1又は2に記載のスライド式等速ジョイント構造。
  4. 前記非円形部は、前記シャフトの径方向外方に開口を有するように凹設され、前記規制部の内周面との間に前記第二通気溝を形成する凹部を備える、請求項1−3の何れか一項に記載のスライド式等速ジョイント構造。
  5. 前記非円形部は、前記シャフトのうち前記ブーツの内部に位置する軸方向範囲において、外接円が最も小径となる部位である、請求項4に記載のスライド式等速ジョイント構造。
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