JP2018106194A - パターン偏光フィルムの製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】偏光度が高い領域と、単体透過率が高い領域とを有するパターン偏光フィルムの製造方法を提供すること。
【解決手段】下記(1)〜(4)の工程を含むパターン偏光フィルムの製造方法の提供。
(1)基材又は配向膜が形成された基材の表面に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む組成物を塗布する工程
(2)塗布された重合性液晶化合物及び二色性色素を配向させる工程
(3)配向した重合性液晶化合物に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物の重合物と、重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得る工程
(4)前記液晶硬化膜を、23℃における前記二色性色素の飽和溶解度が1質量%以下である溶剤で洗浄し、前記重合していない重合性液晶化合物を除去することによりパターン化した液晶硬化膜を得る工程
【選択図】図2

Description

本発明は、パターン偏光フィルムの製造方法に関する。
引用文献1には、塗布膜からなる偏光子を含む偏光フィルムの製造方法が記載されている。しかしながら、塗布膜からなるパターン化された偏光子を含むパターン偏光フィルムの製造方法は知られていなかった。
特開2006−337892号公報
偏光度が高い領域と、単体透過率が高い領域とを有するパターン偏光フィルムの製造方法が求められていた。
本発明は、以下の発明を含む。
[1] 下記(1)〜(4)の工程を含むパターン偏光フィルムの製造方法。
(1)基材又は配向膜が形成された基材の表面に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む組成物を塗布する工程
(2)塗布された重合性液晶化合物及び二色性色素を配向させる工程
(3)配向した重合性液晶化合物に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得る工程
(4)前記液晶硬化膜を、23℃における前記二色性色素の飽和溶解度が1質量%以下である溶剤で洗浄し、前記重合していない重合性液晶化合物を除去することによりパターン化した液晶硬化膜を得る工程
[2] 基材が樹脂基材である[1]記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[3] 溶剤が、アルコール溶剤を含む溶剤である[1]又は[2]記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[4] フォトマスクを、配向した重合性液晶化合物に圧着した状態で、活性エネルギー線を照射する[1]〜[3]のいずれかに記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[5] 活性エネルギー線が、基材の法線方向に対して平行な紫外線である[1]〜[4]のいずれかに記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[6] フォトマスクが有するマスクしない領域の形状が線状である[1]〜[5]のいずれかに記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[7] マスクしない領域の幅が1μm〜10mmである[6]に記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[8] マスクしない領域の幅が1μm〜1mmである[6]に記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法によって得られるパターン偏光フィルム。
[10] [9]に記載のパターン偏光フィルムにおける基材が、1/4波長板機能を有する位相差フィルムであるパターン円偏光板。
[11] [9]に記載のパターン偏光フィルムと、1/4波長板機能を有する位相差フィルムとを有するパターン円偏光板。
[12] 1/4波長板機能を有する位相差フィルムが逆波長分散特性を有する[10]又は[11]に記載のパターン円偏光板。
[13] [9]に記載のパターン偏光フィルムにおける基材が、1/2波長板機能を有する位相差フィルムであり、前記基材にさらに、1/4波長板機能を有する位相差フィルムを積層したパターン円偏光板。
[14] さらに、ポジティブCフィルムを有する[10]〜[13]のいずれかに記載のパターン円偏光板。
本発明のパターン偏光フィルムの製造方法によれば、偏光度が高い領域と、単体透過率が高い領域とを有するパターン偏光フィルムが得られる。
パターン偏光フィルムの断面の模式図である 縞状のパターン領域を有するパターン円偏光板の模式図である。 円状のパターン領域を有するパターン円偏光板の模式図である。 本発明のパターン円偏光板の模式図である。 パターン偏光フィルムの連続的製造方法(Roll to Roll形式)の要部を表す模式図である パターン円偏光板の連続的製造方法の要部を示す模式図である。
本発明の製造方法は、下記(1)〜(4)の工程を含む。
(1)基材又は配向膜が形成された基材の表面に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む組成物(以下、液晶硬化膜形成用組成物ということがある)を塗布する工程
(2)塗布された重合性液晶化合物及び二色性色素を配向させる工程
(3)配向した重合性液晶化合物に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得る工程
(4)前記液晶硬化膜を、23℃における前記二色性色素の飽和溶解度が1質量%以下である溶剤で洗浄し、前記重合していない重合性液晶化合物を除去することによりパターン化した液晶硬化膜を得る工程
<(1)の工程>
<基材>
基材は、ガラス基材でも樹脂基材でもよいが、好ましくは、樹脂基材である。樹脂からなるフィルム基材を用いることで、薄いパターン偏光フィルムを得ることができる。
樹脂基材は、好ましくは、透明樹脂基材である。透明樹脂基材とは、光、特に可視光を透過し得る透光性を有する基材を意味し、透光性とは、波長380nm〜780nmにわたる光線に対しての視感度補正透過率が80%以上となる特性をいう。
基材は、1/4波長板機能を有する位相差フィルム(以下、1/4波長板ということがある)であってもよい。基材に1/4波長板を用いることによって、パターン偏光フィルムと1/4波長板とを積層することなく、パターン円偏光板を得ることができる。
1/4波長板は、通常、式(40)で表される光学特性を有し、好ましくは式(40−1)で表される光学特性を有する。
100<Re(550)<160 (40)
130<Re(550)<150 (40−1)
Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値を表す。
さらに、1/4波長板は、好ましくは、逆波長分散特性を有する。逆波長分散特性とは、短波長での面内位相差値の方が長波長での面内位相差値よりも大きい事であり、好ましくは、式(50)及び式(51)で表される光学特性を満たす。Re(λ)は波長λnmの光に対する面内位相差値を表す。式(50)及び式(51)で表される光学特性を有する1/4波長板を基材に有するパターン偏光フィルムは、可視光域における各波長の光に対して、一様な偏光変換の特性が得られるため、反射防止特性に優れる傾向がある。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (50)
1.00≦Re(630)/Re(550) (51)
また、基材は1/2波長板機能を有する位相差フィルム(以下、1/2波長板ということがある)であってもよい。
1/2波長板は、通常、式(60)で表される光学特性を有する。
200<Re(550)<320 (60)
Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値を表す。
基材を構成する樹脂としては、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、ノルボルネン系ポリマーなどのポリオレフィン;環状オレフィン系樹脂;ポリビニルアルコール;ポリエチレンテレフタレート;ポリメタクリル酸エステル;ポリアクリル酸エステル;トリアセチルセルロース、ジアセチルセルロース及びセルロースアセテートプロピオネートなどのセルロースエステル;ポリエチレンナフタレート;ポリカーボネート;ポリスルホン;ポリエーテルスルホン;ポリエーテルケトン;ポリフェニレンスルフィド;及びポリフェニレンオキシド等が挙げられる。好ましくは、セルロースエステル、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエーテルスルホン、ポリエチレンテレフタレート、又はポリメタクリル酸エステルである。
セルロースエステルは、セルロースに含まれる水酸基の少なくとも一部が、エステル化されたものであり、市場から入手することができる。また、セルロースエステルを含む基材も市場から入手することができる。市販のセルロースエステルを含む基材としては、フジタック(登録商標)フィルム(富士写真フイルム(株))、KC8UX2M(コニカミノルタオプト(株))、KC8UY(コニカミノルタオプト(株))及び、KC4UY(コニカミノルタオプト(株))等が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂とは、ノルボルネン又は多環ノルボルネン系モノマー等の環状オレフィンの重合体、若しくはそれらの共重合体を含むものである。当該環状オレフィン系樹脂は、開環構造を含んでもよく、また、開環構造を含む環状オレフィン系樹脂を水素添加したものでもよい。また、当該環状オレフィン系樹脂は、透明性を著しく損なわず、著しく吸湿性を増大させない範囲で、鎖状オレフィン及びビニル化芳香族化合物に由来する構造単位を含んでいてもよい。また、当該環状オレフィン系樹脂は、その分子内に極性基が導入されていてもよい。
鎖状オレフィンとしては、エチレン及びプロピレン等が挙げられ、ビニル化芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン及びアルキル置換スチレン等が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂が、環状オレフィンと、鎖状オレフィン又はビニル化芳香族化合物との共重合体である場合、環状オレフィンに由来する構造単位の含有量は、共重合体の全構造単位に対して、通常50モル%以下であり、好ましくは15〜50モル%である。
環状オレフィン系樹脂が、環状オレフィンと、鎖状オレフィンと、ビニル化芳香族化合物との三元共重合体である場合、鎖状オレフィンに由来する構造単位の含有量は、共重合体の全構造単位に対して、通常5〜80モル%であり、ビニル化芳香族化合物に由来する構造単位の含有割合は、共重合体の全構造単位に対して、通常5〜80モル%である。このような三元共重合体は、高価な環状オレフィンの使用量を比較的少なくすることができるという利点がある。
環状オレフィン系樹脂は、市場から入手できる。市販の環状オレフィン系樹脂としては、Topas(登録商標)(Ticona社(独))、アートン(登録商標)(JSR(株))、ゼオノア(ZEONOR)(登録商標)(日本ゼオン(株))、ゼオネックス(ZEONEX)(登録商標)(日本ゼオン(株))及び、アペル(登録商標)(三井化学(株))等が挙げられる。このような環状オレフィン系樹脂を、例えば、溶剤キャスト法、溶融押出法などの公知の手段により製膜して、基材とすることができる。市販の環状オレフィン系樹脂を含む基材としては、エスシーナ(登録商標)(積水化学工業(株))、SCA40(登録商標)(積水化学工業(株))、ゼオノアフィルム(登録商標)(オプテス(株))及び、アートンフィルム(登録商標)(JSR(株))等が挙げられる。
1/4波長板である基材としては、ピュアエース(登録商標)WR(帝人株式会社製)等が挙げられる。
基材には、表面処理を施してもよい。表面処理の方法としては、例えば、真空から大気圧の雰囲気下で、コロナまたはプラズマで基材の表面を処理する方法、基材表面をレーザー処理する方法、基材表面をオゾン処理する方法、基材表面をケン化処理する方法、基材表面を火炎処理する方法、基材表面にカップリング剤を塗布する方法、基材表面をプライマー処理する方法、及び、反応性モノマーや反応性を有するポリマーを基材表面に付着させた後に放射線、プラズマ又は紫外線を照射して反応させるグラフト重合法などが挙げられる。中でも、真空から大気圧の雰囲気下で、基材表面をコロナまたはプラズマ処理する方法が好ましい。
コロナまたはプラズマで基材の表面処理を行う方法としては、大気圧近傍の圧力下で、対向した電極間に基材を設置し、コロナまたはプラズマを発生させて、基材の表面処理を行う方法、対向した電極間にガスを流し、電極間でガスをプラズマ化し、プラズマ化したガスを基材に吹付ける方法、および、低圧条件下で、グロー放電プラズマを発生させて、基材の表面処理を行う方法が挙げられる。
中でも、大気圧近傍の圧力下で、対向した電極間に基材を設置し、コロナまたはプラズマを発生させて、基材の表面処理を行う方法、または、対向した電極間にガスを流し、電極間でガスをプラズマ化し、プラズマ化したガスを基材に吹付ける方法が好ましい。かかるコロナまたはプラズマによる表面処理は、通常、市販の表面処理装置により行われる。
基材は、液晶硬化膜形成用組成物を塗布する面とは反対の面に保護フィルムを有していてもよい。保護フィルムとしては、ポリエチレン、ポリエチレンテレフタレート、ポリカーボネート及びポリオレフィンなどのフィルム、並びに、当該フィルムにさらに粘着層を有するフィルム等が挙げられる。中でも、乾燥時における熱変形が小さいため、ポリエチレンテレフタレートが好ましい。保護フィルムを、液晶硬化膜形成用組成物を塗布する面とは反対の面に有することで、基材搬送時のフィルムのゆれや塗布面のわずかな振動を抑えることができ、塗膜の均一性を向上させることができる。
基材の厚さは、実用的な取扱いができる程度の重量である点では、薄い方が好ましいが、薄すぎると強度が低下し、加工性に劣る傾向がある。基材の厚さは、通常5〜300μmであり、好ましくは20〜200μmである。
基材の長手方向の長さは、通常10〜3000mであり、好ましくは100〜2000mである。基材の短手方向の長さは、通常0.1〜5mであり、好ましくは0.2〜2mである。
<配向膜>
本発明における配向膜とは、重合性液晶化合物を所望の方向に配向させる、配向規制力を有するものである。
配向膜としては、液晶硬化膜形成用組成物の塗布などにより溶解しない溶剤耐性を有し、また、溶剤の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。かかる配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜及び表面に凹凸パターンや複数の溝を形成し配向させるグルブ配向膜等が挙げられる。
配向性ポリマーとしては、分子内にアミド結合を有するポリアミドやゼラチン類、分子内にイミド結合を有するポリイミドおよびその加水分解物であるポリアミック酸、ポリビニルアルコール、アルキル変性ポリビニルアルコール、ポリアクリルアミド、ポリオキサゾール、ポリエチレンイミン、ポリスチレン、ポリビニルピロリドン、ポリアクリル酸およびポリアクリル酸エステル類が挙げられる。中でも、ポリビニルアルコールが好ましい。2種以上の配向性ポリマーを組み合わせて用いてもよい。
配向性ポリマーを含む配向膜は、通常、配向性ポリマーが溶剤に溶解した組成物(以下、配向性ポリマー組成物ということがある。)を基材に塗布し、溶剤を除去する、又は、配向性ポリマー組成物を基材に塗布し、溶剤を除去し、ラビングする(ラビング法)ことで基材の表面に形成される。
前記溶剤としては、水、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ、プロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤、酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン、プロピレングリコールメチルエーテルアセテート、乳酸エチルなどのエステル溶剤、アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、メチルアミルケトン、メチルイソブチルケトン等のケトン溶剤、ペンタン、ヘキサン、ヘプタン等の脂肪族炭化水素溶剤、トルエン、キシレン等の芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリル等のニトリル溶剤、テトラヒドロフラン、ジメトキシエタン等のエーテル溶剤、および、クロロホルム、クロロベンゼン等の塩素化炭化水素溶剤が挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよいし、二種以上を組み合わせて用いてもよい。
配向性ポリマー組成物中の配向性ポリマーの濃度は、配向性ポリマー材料が、溶剤に完溶できる範囲であればよいが、溶液に対して固形分換算で0.1〜20質量%が好ましく、0.1〜10質量%がより好ましい。
配向性ポリマー組成物として、市販の配向膜材料をそのまま使用してもよい。市販の配向膜材料としては、サンエバー(登録商標、日産化学工業(株)製)、オプトマー(登録商標、JSR(株)製)などが挙げられる。
配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法としては、スピンコ−ティング法、エクストルージョン法、グラビアコーティング法、ダイコーティング法、スリットコーティング法、バーコーティング法、アプリケータ法などの塗布法、フレキソ法などの印刷法などの公知の方法が挙げられる。本光学フィルムを、後述するRoll to Roll形式の連続的製造方法により製造する場合、当該塗布方法には通常、グラビアコーティング法、ダイコーティング法又はフレキソ法などの印刷法が採用される。
配向性ポリマー組成物に含まれる溶剤を除去する方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法等が挙げられる。
配向膜に配向規制力を付与するために、必要に応じてラビングを行う(ラビング法)。
ラビングする方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御することができる。
ラビング法により配向規制力を付与する方法としては、ラビング布が巻きつけられ、回転しているラビングロールに、配向性ポリマー組成物を基材に塗布しアニールすることで基材表面に形成された配向性ポリマーの膜を、接触させる方法が挙げられる。
光配向膜は、通常、光反応性基を有するポリマー又はモノマーと溶剤とを含む組成物(以下、「光配向膜形成用組成物」ということがある。)を基材に塗布し、光(好ましくは、偏光UV)を照射することで基材の表面に形成される。光配向膜は、照射する光の偏光方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御できる点でより好ましい。
光反応性基とは、光照射することにより配向能を生じる基をいう。具体的には、光照射により生じる分子の配向誘起または異性化反応、二量化反応、光架橋反応もしくは光分解反応等の配向能の起源となる光反応に関与する基が挙げられる。中でも、二量化反応または光架橋反応に関与する基が、配向性に優れる点で好ましい。光反応性基として、不飽和結合、特に二重結合を有する基が好ましく、炭素−炭素二重結合(C=C結合)、炭素−窒素二重結合(C=N結合)、窒素−窒素二重結合(N=N結合)および炭素−酸素二重結合(C=O結合)からなる群より選ばれる少なくとも一つを有する基が特に好ましい。
C=C結合を有する光反応性基としては、ビニル基、ポリエン基、スチルベン基、スチルバゾ−ル基、スチルバゾリウム基、カルコン基およびシンナモイル基が挙げられる。C=N結合を有する光反応性基としては、芳香族シッフ塩基、芳香族ヒドラゾンなどの構造を有する基が挙げられる。N=N結合を有する光反応性基としては、アゾベンゼン基、アゾナフタレン基、芳香族複素環アゾ基、ビスアゾ基、ホルマザン基、および、アゾキシベンゼン構造を有する基が挙げられる。C=O結合を有する光反応性基としては、ベンゾフェノン基、クマリン基、アントラキノン基およびマレイミド基が挙げられる。これらの基は、アルキル基、アルコキシ基、アリ−ル基、アリルオキシ基、シアノ基、アルコキシカルボニル基、ヒドロキシル基、スルホン酸基、ハロゲン化アルキル基などの置換基を有していてもよい。
中でも、光二量化反応に関与する光反応性基が好ましく、光配向に必要な偏光照射量が比較的少なく、かつ、熱安定性や経時安定性に優れる光配向膜が得られやすいという点で、シンナモイル基およびカルコン基が好ましい。光反応性基を有するポリマーとしては、当該ポリマー側鎖の末端部が桂皮酸構造となるようなシンナモイル基を有するものが特に好ましい。
光配向膜形成用組成物に含まれる溶剤としては、上述の配向性ポリマー組成物に含まれる溶剤と同様のものが挙げられ、光反応性基を有するポリマーあるいはモノマーの溶解性に応じて適宜選択することができる。
光配向膜形成用組成物中の光反応性基を有するポリマーまたはモノマーの含有量は、ポリマーまたはモノマーの種類や目的とする光配向膜の厚みによって適宜調節できるが、少なくとも0.2質量%とすることが好ましく、0.3〜10質量%の範囲がより好ましい。光配向膜の特性が著しく損なわれない範囲で、光配向膜形成用組成物は、ポリビニルアルコ−ルやポリイミドなどの高分子材料や光増感剤を含んでいてもよい。
光配向膜形成用組成物を基材に塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法と同様の方法が挙げられる。塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去する方法としては、例えば、配向性ポリマー組成物から溶剤を除去する方法と同じ方法が挙げられる。
偏光を照射するには、基板上に塗布された光配向膜形成用組成物から、溶剤を除去したものに直接、偏光UVを照射する形式でも、基材側から偏光を照射し、偏光を透過させて照射する形式でもよい。また、当該偏光は、実質的に平行光であると特に好ましい。照射する偏光の波長は、光反応性基を有するポリマー又はモノマーの光反応性基が、光エネルギーを吸収し得る波長領域のものがよい。具体的には、波長250〜400nmの範囲のUV(紫外線)が特に好ましい。当該偏光照射に用いる光源としては、キセノンランプ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ、メタルハライドランプ、KrF、ArFなどの紫外光レ−ザ−などが挙げられ、高圧水銀ランプ、超高圧水銀ランプ及びメタルハライドランプがより好ましい。これらのランプは、波長313nmの紫外線の発光強度が大きいため好ましい。前記光源からの光を、適当な偏光子を通過して照射することにより、偏光UVを照射することができる。かかる偏光子としては、偏光フィルターやグラントムソン、グランテ−ラ−などの偏光プリズムやワイヤーグリッドタイプの偏光子を用いることができる。
なお、ラビング又は偏光照射を行う時に、マスキングを行えば、配向規制力の方向が異なる複数の領域(パターン)を形成することもできる。
グルブ配向膜は、膜表面の凹凸パターンまたは複数の溝によって配向規制力が得られる膜である。H.V.ケネルらによって、複数の等間隔に並んだ直線状のグルブ(溝)を有する基材に液晶分子を置いた場合、その溝に沿った方向に液晶分子が配向するという事実が報告されている(Physical Review A24(5)、2713ページ、1981年)。
グルブ配向膜を基材の表面に形成する具体的な方法としては、感光性ポリイミド表面に周期的なパターン形状のスリットを有する露光用マスクを介して露光後、現像およびリンス処理を行って不要なポリイミド膜を除去し凹凸パターンを形成する方法、表面に溝を有する板状の原盤にUV硬化樹脂層を形成し、樹脂層を基材フィルムへ移してから硬化する方法、UV硬化樹脂層を形成した基材フィルムを搬送し、複数の溝を有するロール状の原盤をUV硬化樹脂層表面に押し当てて凹凸を形成後硬化する方法等が挙げられ、特開平6−34976号公報、特開2011−242743号公報記載の方法等を用いることができる。
上記方法の中でも、複数の溝を有するロール状の原盤をUV硬化樹脂層表面に押し当てて凹凸を形成後硬化する方法が好ましい。ロール状原盤としては、耐久性の観点からステンレス(SUS)鋼を用いることができる。
UV硬化樹脂としては、単官能アクリレートの重合体、多官能アクリレートの重合体またはこれらの混合物の重合体を用いることができる。
単官能アクリレートとは、アクリロイルオキシ基(CH2=CH−COO−)及びメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)−COO−)からなる群より選ばれる基(以下、(メタ)アクリロイルオキシ基と記すこともある。)を分子内に1個有する化合物である。
(メタ)アクリロイルオキシ基を1個有する単官能アクリレートとしては、炭素数4から16のアルキル(メタ)アクリレート、炭素数2から14のβカルボキシアルキル(メタ)アクリレート、炭素数2から14のアルキル化フェニル(メタ)アクリレート、メトキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート、フェノキシポリエチレングリコール(メタ)アクリレート及びイソボニル(メタ)アクリレートなどが挙げられる。
多官能アクリレートとは、通常、(メタ)アクリロイルオキシ基を分子内に2個乃至6個有する化合物である。
(メタ)アクリロイルオキシ基を2個有する2官能アクリレートとしては、1,3−ブタンジオールジ(メタ)アクリレート;1,3−ブタンジオール(メタ)アクリレート;1,6−ヘキサンジオールジ(メタ)アクリレート;エチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート;ポリエチレングリコールジアクリレート;ビスフェノールAのビス(アクリロイロキシエチル)エーテル;エトキシ化ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート;プロポキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート;エトキシ化ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート及び3−メチルペンタンジオールジ(メタ)アクリレートなどが例示される。
(メタ)アクリロイルオキシ基を3個乃至6個有する多官能アクリレートとしては、
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;
トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;
カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、及びカプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物などが挙げられる。なお、ここに示した多官能アクリレートの具体例において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。また、カプロラクトン変性とは、(メタ)アクリレート化合物のアルコール由来部位と(メタ)アクリロイルオキシ基との間に、カプロラクトンの開環体、又は、開環重合体が導入されていることを意味する。
かかる多官能アクリレートには市販品を用いることもできる。
かかる市販品としては、A−DOD−N、A−HD−N、A−NOD−N、APG−100、APG−200、APG−400、A−GLY−9E、A−GLY−20E、A−TMM−3、A−TMPT、AD−TMP、ATM−35E、A−TMMT、A−9550、A−DPH、HD−N、NOD−N、NPG、TMPT(新中村化学株式会社製)、”ARONIX M−220”、同”M−325”、同”M−240”、同”M−270”同”M−309”同”M−310”、同”M−321”、同”M−350” 、同”M−360” 、同”M−305” 、同”M−306” 、同”M−450” 、同”M−451” 、同”M−408” 、同”M−400” 、同”M−402” 、同”M−403” 、同”M−404” 、同”M−405” 、同”M−406”(東亜合成株式会社製)、”EBECRYL11”、同”145” 、同”150” 、同”40” 、同”140” 、同”180” 、DPGDA、HDDA、TPGDA、HPNDA、PETIA、PETRA、TMPTA、TMPEOTA、DPHA、EBECRYLシリーズ(ダイセル・サイテック株式会社製)などを挙げることができる。
グルブ配向膜の凹凸としては、凸部の幅は0.05〜5μmであることが好ましく、凹部の幅は0.1〜5μmであることが好ましく、凹凸の段差の深さは2μm以下、好ましくは0.01〜1μm以下であることが好ましい。この範囲であれば、配向乱れの小さな配向規制力を得ることができる。
配向膜の厚さは、通常10nm〜10000nmであり、好ましくは10nm〜1000nmであり、より好ましくは10nm〜500nmである。
<重合性液晶化合物>
重合性液晶化合物とは、重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。
重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック液晶でも良く、また、サーモトロピック液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でも良い。
重合性液晶化合物としては、より高い偏光特性が得られるという点でスメクチック液晶化合物が好ましく、高次スメクチック液晶化合物がより好ましい。中でも、スメクチックB相、スメクチックD相、スメクチックE相、スメクチックF相、スメクチックG相、スメクチックH相、スメクチックI相、スメクチックJ相、スメクチックK相またはスメクチックL相を形成する高次スメクチック液晶化合物がより好ましく、スメクチックB相、スメクチックF相またはスメクチックI相を形成する高次スメクチック液晶化合物がより好ましい。重合性液晶化合物が形成する液晶相がこれらの高次スメクチック相であると、配向秩序度のより高い液晶硬化膜を製造することができ、高い偏光度が得られる。また、このように配向秩序度の高い液晶硬化膜はX線回折測定においてヘキサチック相やクリスタル相といった高次構造由来のブラッグピークが得られるものである。当該ブラッグピークは分子配向の周期構造に由来するピークであり、その周期間隔が3.0〜6.0Åである膜を得ることができる。このような化合物としては、具体的には、下記式(1)で表される化合物(以下、化合物(1)ということがある。)等が挙げられる。当該重合性液晶化合物は、単独で用いてもよいし、組み合わせてもよい。
−V−W−X−Y−X−Y−X−W−V−U (1)
[式(1)中、
、X及びXは、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表す。ただし、X、X及びXのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である。シクロへキサン−1,4−ジイル基を構成する−CH−は、−O−、−S−又は−NR−に置き換わっていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。
及びYは、互いに独立に、−CHCH−、−CHO−、−COO−、−OCOO−、単結合、−N=N−、−CR=CR−、−C≡C−又は−CR=N−を表す。R及びRは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
は、水素原子又は重合性基を表す。
は、重合性基を表す。
及びWは、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−COO−又は−OCOO−を表す。
及びVは、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する−CH−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。]
化合物(1)において、X、X及びXのうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基であることが好ましい。
置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基は、無置換であることが好ましい。置換基を有していてもよいシクロへキサン−1,4−ジイル基は、置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基であることが好ましく、置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基は無置換であることが好ましい。
置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいシクロへキサン−1,4−ジイル基が任意に有する置換基としては、メチル基、エチル基及びブチル基などの炭素数1〜4のアルキル基、シアノ基およびハロゲン原子などが挙げられる。
は、−CHCH−、−COO−又は単結合であると好ましく、Yは、−CHCH−又は−CHO−であると好ましい。
は、重合性基である。Uは、水素原子又は重合性基であり、好ましくは重合性基である。U及びUは、ともに重合性基であると好ましく、ともに光重合性基であると好ましい。光重合性基を有する重合性液晶化合物は、より低温条件下で重合できる点で有利である。
及びUで表される重合性基は互いに異なっていてもよいが、同一であると好ましい。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。
及びVで表されるアルカンジイル基としては、メチレン基、エチレン基、プロパン−1,3−ジイル基、ブタン−1,3−ジイル基、ブタン−1,4−ジイル基、ペンタン−1,5−ジイル基、ヘキサン−1,6−ジイル基、ヘプタン−1,7−ジイル基、オクタン−1,8−ジイル基、デカン−1,10−ジイル基、テトラデカン−1,14−ジイル基及びイコサン−1,20−ジイル基などが挙げられる。V及びVは、好ましくは炭素数2〜12のアルカンジイル基であり、より好ましくは炭素数6〜12のアルカンジイル基である。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基及びハロゲン原子などが挙げられるが、該アルカンジイル基は、無置換であることが好ましく、無置換且つ直鎖状のアルカンジイル基であることがより好ましい。
及びWは、互いに独立に、好ましくは単結合又は−O−である。
化合物(1)の具体例としては、式(1−1)〜式(1−23)で表される化合物などが挙げられる。化合物(1)が、シクロヘキサン−1,4−ジイル基を有する場合、そのシクロヘキサン−1,4−ジイル基は、トランス体であることが好ましい。
Figure 2018106194
Figure 2018106194
Figure 2018106194
Figure 2018106194
例示した化合物(1)の中でも、式(1−2)、式(1−3)、式(1−4)、式(1−6)、式(1−7)、式(1−8)、式(1−13)、式(1−14)及び式(1−15)でそれぞれ表される化合物からなる群より選ばれる少なくとも1種が好ましい。
例示した化合物(1)は、単独又は組み合わせて、液晶硬化膜形成用組成物に用いることができる。また、2種以上の重合性液晶化合物を組み合わせる場合には、少なくとも1種が化合物(1)であると好ましく、2種以上が化合物(1)であるとより好ましい。組み合わせることにより、液晶−結晶相転移温度以下の温度でも一時的に液晶性を保持することができる場合がある。2種類の重合性液晶化合物を組み合わせる場合の混合比としては、通常、1:99〜50:50であり、好ましくは5:95〜50:50であり、より好ましくは10:90〜50:50である。
重合性液晶化合物は、例えば、Lub et al. Recl.Trav.Chim.Pays−Bas,115, 321−328(1996)及び特許第4719156号等に記載の公知方法で製造される。
液晶硬化膜形成用組成物における重合性液晶化合物の含有割合は、重合性液晶化合物の配向性を高くするという観点から、液晶硬化膜形成用組成物の固形分100質量部に対して、通常70〜99.5質量部であり、好ましくは80〜99質量部であり、より好ましくは80〜94質量部であり、さらに好ましくは80〜90質量部である。本明細書における固形分とは、液晶硬化膜形成用組成物から溶剤を除いた成分の合計量のことをいう。
<二色性色素>
二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。
二色性色素としては、300〜700nmの範囲に吸収極大波長(λMAX)を有するものが好ましい。このような二色性色素としては、例えば、アクリジン色素、オキサジン色素、シアニン色素、ナフタレン色素、アゾ色素及びアントラキノン色素などが挙げられるが、中でもアゾ色素が好ましい。アゾ色素としては、モノアゾ色素、ビスアゾ色素、トリスアゾ色素、テトラキスアゾ色素及びスチルベンアゾ色素などが挙げられ、好ましくはビスアゾ色素及びトリスアゾ色素である。二色性色素は単独でも、組み合わせても良いが、可視光全域にわたって偏光性能が求められる場合には3種類以上を組み合わせるのが好ましい。この際には特に、3種類以上のアゾ化合物を組み合わせるのが好ましい。
アゾ色素としては、例えば、式(2)で表される化合物(以下、場合により「化合物(2)」という。)が挙げられる。
(−N=N−A−N=N−A (2)
[式(2)中、
及びAは、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。Aは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレン−1,4−ジイル基又は置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。pは1〜4の整数を表す。pが2以上の整数である場合、複数のAは互いに同一でも異なっていてもよい。]
1価の複素環基としては、キノリン、チアゾール、ベンゾチアゾール、チエノチアゾール、イミダゾール、ベンゾイミダゾール、オキサゾール及びベンゾオキサゾールなどの複素環化合物から1個の水素原子を除いた基が挙げられる。2価の複素環基としては、前記複素環化合物から2個の水素原子を除いた基が挙げられる。
及びAにおけるフェニル基、ナフチル基及び1価の複素環基、並びにAにおけるp−フェニレン基、ナフタレン−1,4−ジイル基及び2価の複素環基が任意に有する置換基としては、炭素数1〜4のアルキル基;メトキシ基、エトキシ基及びブトキシ基などの炭素数1〜4のアルコキシ基;トリフルオロメチル基などの炭素数1〜4のフッ化アルキル基;シアノ基;ニトロ基;ハロゲン原子;アミノ基、ジエチルアミノ基及びピロリジノ基などの置換又は無置換アミノ基(置換アミノ基とは、炭素数1〜6のアルキル基を1つ又は2つ有するアミノ基、あるいは2つの置換アルキル基が互いに結合して炭素数2〜8のアルカンジイル基を形成しているアミノ基を意味する。無置換アミノ基は、−NHである。)が挙げられる。なお、炭素数1〜6のアルキル基の具体例は、化合物(1)のフェニレン基などが任意に有する置換基で例示したものと同じである。
化合物(2)のなかでも、以下の式(2−1)〜式(2−6)でそれぞれ表される化合物が好ましい。
Figure 2018106194
Figure 2018106194

[式(2−1)〜(2−6)中、
〜B20は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基(置換アミノ基及び無置換アミノ基の定義は前記のとおり)、塩素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
n1〜n4は、互いに独立に0〜3の整数を表す。
n1が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n2が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n3が2以上である場合、複数のBは互いに同一でも異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、複数のB14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
前記アントラキノン色素としては、式(2−7)で表される化合物が好ましい。
Figure 2018106194

[式(2−7)中、
〜Rは、互いに独立に、水素原子、−R、−NH、−NHR、−NR 、−SR又はハロゲン原子を表す。
は、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。]
前記オキサゾン色素としては、式(2−8)で表される化合物が好ましい。
Figure 2018106194

[式(2−8)中、
〜R15は、互いに独立に、水素原子、−R、−NH、−NHR、−NR 、−SR又はハロゲン原子を表す。
は、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。]
前記アクリジン色素としては、式(2−9)で表される化合物が好ましい。
Figure 2018106194
[式(2−9)中、
16〜R23は、互いに独立に、水素原子、−R、−NH、−NHR、−NR 、−SR又はハロゲン原子を表す。
は、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。]
式(2−7)、式(2−8)及び式(2−9)における、Rで表される炭素数1〜4のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基及びヘキシル基などが挙げられ、炭素数6〜12のアリール基としては、フェニル基、トルイル基、キシリル基及びナフチル基などが挙げられる。
前記シアニン色素としては、式(2−10)で表される化合物及び式(2−11)で表される化合物が好ましい。
Figure 2018106194
[式(2−10)中、
及びDは、互いに独立に、式(2−10a)〜式(2−10d)のいずれかで表される基を表す。
Figure 2018106194

n5は1〜3の整数を表す。]
Figure 2018106194

[式(2−11)中、
及びDは、互いに独立に、式(2−11a)〜式(2−11h)のいずれかで表される基を表す。
Figure 2018106194

n6は1〜3の整数を表す。]
液晶硬化膜形成用組成物における二色性色素の含有量は、二色性色素の配向を良好にする観点から、液晶硬化膜形成用組成物の固形分100質量部に対して、0.1質量部以上30質量部以下が好ましく、0.1質量部以上20質量部以下がより好ましく、0.1質量部以上10質量部以下がさらに好ましく、0.1質量部以上5質量部以下が特に好ましい。二色性色素の含有量がこの範囲内であれば、重合性液晶化合物の配向を乱し難いため好ましい。
液晶硬化膜形成用組成物は、好ましくは、重合開始剤及び溶剤を含む。また、増感剤、重合禁止剤、レべリング剤及び重合性非液晶化合物等を含んでもよい。
<重合開始剤>
重合開始剤は、重合性液晶化合物などの重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、光の作用により活性ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
重合開始剤としては、例えばベンゾイン化合物、ベンゾフェノン化合物、アルキルフェノン化合物、アシルホスフィンオキサイド化合物、トリアジン化合物、ヨードニウム塩及びスルホニウム塩などが挙げられる。
ベンゾイン化合物としては、例えば、ベンゾイン、ベンゾインメチルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンゾインイソプロピルエーテル及びベンゾインイソブチルエーテルなどが挙げられる。
ベンゾフェノン化合物としては、例えば、ベンゾフェノン、o−ベンゾイル安息香酸メチル、4−フェニルベンゾフェノン、4−ベンゾイル−4’−メチルジフェニルサルファイド、3,3’,4,4’−テトラ(tert−ブチルパーオキシカルボニル)ベンゾフェノン及び2,4,6−トリメチルベンゾフェノンなどが挙げられる。
アルキルフェノン化合物としては、例えば、ジエトキシアセトフェノン、2−メチル−2−モルホリノ−1−(4−メチルチオフェニル)プロパン−1−オン、2−ベンジル−2−ジメチルアミノ−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、1,2−ジフェニル−2,2−ジメトキシエタン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(2−ヒドロキシエトキシ)フェニル〕プロパン−1−オン、1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン及び2−ヒドロキシ−2−メチル−1−〔4−(1−メチルビニル)フェニル〕プロパン−1−オンのオリゴマーなどが挙げられる。
アシルホスフィンオキサイド化合物としては、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルホスフィンオキサイド及びビス(2,4,6−トリメチルベンゾイル)フェニルホスフィンオキサイドなどが挙げられる。
トリアジン化合物としては、例えば、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシフェニル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシナフチル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−(4−メトキシスチリル)−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(5−メチルフラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(フラン−2−イル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン、2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(4−ジエチルアミノ−2−メチルフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジン及び2,4−ビス(トリクロロメチル)−6−〔2−(3,4−ジメトキシフェニル)エテニル〕−1,3,5−トリアジンなどが挙げられる。
重合開始剤には市販のものを用いることができる。市販の重合開始剤としては、イルガキュア(Irgacure)(登録商標)907、184、651、819、250及び、369(チバ・ジャパン(株));セイクオール(登録商標)BZ、Z及び、BEE(精工化学(株));カヤキュアー(kayacure)(登録商標)BP100及び、UVI−6992(ダウ社製);アデカオプトマーSP−152及び、SP−170((株)ADEKA);TAZ−A及び、TAZ−PP(日本シイベルヘグナー社);及び、TAZ−104(三和ケミカル社)等が挙げられる。
重合開始剤の含有量は、重合性液晶化合物の配向を乱しにくいという観点から、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部である。
<溶剤>
溶剤としては、重合性液晶化合物及び二色性色素を完全に溶解し得るものが好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。
溶剤としては、メタノール、エタノール、エチレングリコール、イソプロピルアルコール、プロピレングリコール、エチレングリコールメチルエーテル、エチレングリコールブチルエーテル及びプロピレングリコールモノメチルエーテルなどのアルコール溶剤;酢酸エチル、酢酸ブチル、エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン又はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル溶剤;テトラヒドロフラン及びジメトキシエタンなどのエーテル溶剤;クロロホルム及びクロロベンゼンなどの塩素含有溶剤;などが挙げられる。これら溶剤は、単独で用いてもよいし、組み合わせてもよい。
溶剤の含有量は、液晶硬化膜形成用組成物の総量に対して50〜98質量%が好ましい。換言すると、液晶硬化膜形成用組成物における固形分は、2〜50質量%が好ましい。
該固形分が50質量%以下であると、液晶硬化膜形成用組成物の粘度が低くなることから、液晶硬化膜の厚みが略均一になることで、当該液晶硬化膜にムラが生じにくくなる傾向がある。また、かかる固形分は、製造しようとする液晶硬化膜の厚みを考慮して定めることができる。
<増感剤>
増感剤としては、光増感剤が好ましい。増感剤としては、例えば、キサントン及びチオキサントンなどのキサントン化合物(例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなど);アントラセン及びアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセンなど)などのアントラセン化合物;フェノチアジン及びルブレンなどが挙げられる。
液晶硬化膜形成用組成物における増感剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部である。
<重合禁止剤>
前記重合禁止剤としては、ハイドロキノン、アルコキシ基含有ハイドロキノン、アルコキシ基含有カテコール(例えば、ブチルカテコールなど)、ピロガロール、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカルなどのラジカル捕捉剤;チオフェノール類;β−ナフチルアミン類及びβ−ナフトール類等が挙げられる。
液晶硬化膜形成用組成物における増感剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部であり、より好ましくは0.5〜8質量部である。
<レベリング剤>
レベリング剤とは、液晶硬化膜形成用組成物の流動性を調整し、液晶硬化膜形成用組成物の塗布膜をより平坦にする機能を有するものであり、例えば、界面活性剤を挙げることができる。好ましいレベリング剤としては、ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤及びフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤が挙げられる。
ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤としては、”BYK−350、BYK−352、BYK−353、BYK−354、BYK−355、BYK−358N、BYK−361N、BYK−380、BYK−381及び、BYK−392(BYK Chemie社)等が挙げられる。
フッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤としては、メガファック(登録商標)R−08、R−30、R−90、F−410、F−411、F−443、F−445、F−470、F−471、F−477、F−479、F−482、F−483(DIC(株));サーフロン(登録商標)S−381、S−382、S−383、S−393、SC−101、SC−105、KH−40及び、SA−100(AGCセイミケミカル(株));E1830及び、E5844((株)ダイキンファインケミカル研究所);エフトップEF301、EF303、EF351及び、EF352(三菱マテリアル電子化成(株))等が挙げられる。
液晶硬化膜形成用組成物におけるレベリング剤の含有量は、重合性液晶化合物の含有量100質量部に対して、通常0.3質量部以上5質量部以下であり、好ましくは0.5質量部以上3質量部以下である。
レベリング剤の含有量が前記の範囲内であると、重合性液晶化合物を水平配向させることが容易であり、かつ得られる液晶硬化膜がより平滑となる傾向があるため好ましい。重合性液晶化合物に対するレベリング剤の含有量が前記の範囲を超えると、得られる液晶硬化膜にムラが生じやすい傾向があるため好ましくない。液晶硬化膜形成用組成物は、レベリング剤を2種類以上含有していてもよい。
<重合性非液晶化合物>
液晶硬化膜形成用組成物は、重合性非液晶化合物を含有しても良い。重合性非液晶化合物を含有することで、重合反応性部位の架橋密度を高め、前記液晶硬化膜の強度を向上させることができる。
重合性非液晶化合物は、アクリロイル基、メタクリロイル基、イソシアナート基からなる群のうち少なくとも1個以上の重合性基を有することが好ましい。より好ましくは2個以上10個以下の重合性基を有することが好ましく、更に好ましくは3個以上8個以下の重合性基を有することが好ましい。
液晶硬化膜形成用組成物における重合性非液晶化合物の含有量は、液晶硬化膜形成用組成物の固形分100質量部に対して、通常0.1〜30質量部であり、好ましくは0.5〜10質量部である。
液晶硬化膜形成用組成物を塗布する方法としては、配向性ポリマー組成物を基材に塗布する方法として例示したものと同じ方法が挙げられる。
<(2)の工程>
液晶硬化膜形成用組成物が溶剤を含む場合には、通常、塗布された液晶硬化膜形成用組成物から溶剤を除去する。溶剤の除去方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法等が挙げられる。
塗布された重合性液晶化合物は、通常、溶液状態に転移する温度以上に加熱し、次いで配向する温度まで冷却することによって配向し液晶相を形成する。
二色性色素は通常、重合性液晶化合物に伴って配向する。
塗布された重合性液晶化合物が配向する温度は、予め、当該重合性液晶化合物を含む組成物を用いたテクスチャー観察などにより求めればよい。また、溶剤の除去と配向とを同時に行ってもよい。この際の温度としては、除去する溶媒や重合性液晶化合物の種類にもよるが、50〜200℃の範囲が好ましく、基材が樹脂基材の場合には、80〜130℃の範囲がより好ましい。
1/4波長板である基材を用いて、円偏光板として機能するパターン偏光フィルムを得る場合には、重合性液晶化合物の配向方向は、得られる液晶硬化膜の透過軸と、該基材の遅相軸(光軸)とが実質的に45°となるようにするのが好ましい。実質的に45°とは、通常45±5°の範囲である。また、該液晶硬化膜と基材の光軸を一致又は、直交させることで光学補償フィルムとして機能するパターン偏光フィルムを得ることもできる。
<(3)の工程>
配向した重合性液晶化合物に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物を重合する。この際、フォトマスクによってマスキングされた領域の重合性液晶化合物は重合しない。
活性エネルギー線の照射は、フォトマスクを、配向した重合性液晶化合物に圧着した状態で行うのが好ましい。圧着した状態で行うことにより、エッジが明確なパターン化した液晶硬化膜を得ることができる。
重合性液晶化合物の重合物が液晶硬化膜となる。スメクチック相の液晶相を保持したまま重合した重合性液晶化合物及び二色性色素を含む液晶硬化膜は、従来のホストゲスト型偏光膜、すなわち、ネマチック相の液晶相を保持したままで重合性液晶化合物等を重合して得られる偏光膜と比較して偏光度等の偏光性能が高く、また、二色性色素又はリオトロピック液晶のみを塗布したものと比較して、偏光度等の偏光性能及び、強度に優れる。
フォトマスクが有するマスクしない領域の形状は任意な形状とすることができ、線状、帯状、円状、文字状又は、図形状にフォトマスクを加工することで、様々なデザイニングが可能となる。また、フォトマスクが有するマスクする領域の形状も任意な形状とすることができる。
活性エネルギー線の光源には、設定したフォトマスクのパターンの形状ならびに幅となるよう、平行光を用いることが好ましい。活性エネルギー線の光源としては、紫外線、電子線、X線等を発生するものであればよい。好ましくは、低圧水銀灯、中圧水銀灯、高圧水銀灯、超高圧水銀灯、ケミカルランプ、ブラックライトランプ、マイクロウェーブ励起水銀灯、メタルハライドランプ等の波長400nm以下に発光分布を有する光源である。
活性エネルギー線は、基材の法線方向に対して平行が紫外線であるとより好ましい。
活性エネルギー線の照射エネルギーは、重合開始剤の活性化に有効な波長領域の照射強度が10〜5000mJ/cmとなるように設定することが好ましく、より好ましくは100〜2000mJ/cmである。照射エネルギーが10mJ/cmよりも低すぎると重合性液晶化合物の硬化が不十分となり、洗浄する工程で液晶硬化膜が溶解する傾向がある。
<(4)の工程>
フォトマスクによってマスキングされた領域の重合していない重合性液晶化合物は、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を、かかる液晶硬化膜に含まれる二色性色素の23℃における飽和溶解度が1質量%以下である溶剤で洗浄することで除去される。かかる飽和溶解度は、好ましくは0.4質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下である。
前記溶剤によって洗浄することにより、パターン化した液晶硬化膜が得られる。前記溶剤によって洗浄することで、パターン化した液晶硬化膜に含まれる二色性色素を保持しながら、重合していない重合性液晶化合物を除去することができるため、偏光度が高い領域が得られる。また、重合していない重合性液晶化合物と共にその領域に含まれる二色性色素を十分に除去するため、単体透過率が高い領域が得られる。また、前記溶剤は、基材を溶解しないものであると好ましく、このような溶剤であれば基材を侵さないため、単体透過率がより高い領域が得られる。
前記溶剤によって洗浄する方法としては、前記溶剤中に、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜が形成された基材を浸漬して、重合していない重合性液晶化合物を該溶剤に溶解する方法、及び、該液晶硬化膜が形成された基材に前記溶剤を吹き付けて、重合していない重合性液晶化合物を該溶剤に溶解する方法等が挙げられる。
前記溶剤は、好ましくは、重合性液晶化合物を溶解し、液晶硬化膜を溶解しない溶剤である。前記溶剤は、液晶硬化膜形成用組成物に含まれる二色性色素に応じて適宜選択される。
前記溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン又はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル溶剤;等が挙げられる。好ましくはアルコール溶剤を含む溶剤であり、より好ましくは、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む溶剤である。
アルコール溶剤を含む溶剤におけるアルコール溶剤の含有割合は、通常10〜100%であり、好ましくは30〜100%であり、より好ましくは50〜100%であり、さらに好ましくは80〜100%である。
溶剤によって洗浄した後、乾燥してもよい。
図2は、縞状のパターン領域を有するパターン偏光フィルム100の模式図である。グレーの塗り潰しで示された部分110は、液晶硬化膜が形成した領域を表し、白抜きで示された部分120は、フォトマスクによってマスキングして得られた領域を表し、点で示された部分130は、液晶硬化膜形成用組成物を塗布しなかった領域(単なる淵部分)を表す。
図3は、円状のパターン領域を有するパターン偏光フィルム101の模式図である。110、120及び130は、前記パターン偏光フィルム100と同じ意味を表す。
<パターン偏光フィルム>
本発明の製造方法によって得られるパターン偏光フィルム(以下、本パターン偏光フィルムということがある)は、偏光度が高い領域と、単体透過率が高い領域とを有するため、表示装置等において必要な領域にのみ高い偏光特性を付与することができる。
本明細書における偏光度とは自然光を直線偏光に変換する程度であり、下記式(11)で定義された0〜100%の値を取りうる。この値が100%であれば完全直線偏光であり、100%に近いほど、偏光フィルムから出射する光が選択性の高い偏光となるため優れた偏光フィルムといえる。

偏光度(%)={(T−T)/(T+T)}×100 (11)

(ここでT及びTはそれぞれ、偏光フィルムに直線偏光を入射した際の単体透過率であり、Tは透過軸方向から光を出射した際の単体透過率、Tは吸収軸方向から光を出射した際の単体透過率である。)
本明細書における単体透過率とは入射した光をどの程度透過したかを示す値であり、下記式(10)で定義された0〜100%の値を取りうる。この値が100%であれば入射光の全ての光を透過し、0%であれば入射光の全ての光を吸収又は反射したということになる。

単体透過率(%)=(T+T)/2 (10)

(T及びTは前記と同じ意味を表す。)
本明細書では、ある特定波長の光のみをコントロールするように色素を配合した、いわゆるカラー偏光フィルムであるパターン偏光フィルムについては、光吸収を示す極大波長での測定値を偏光度及び単体透過率として定義する。また、複数の色素を混合することで得られる、いわゆるニュートラルグレーの偏光フィルムであるパターン偏光フィルムについては、可視光全域での偏光性能を表現するために、視感度補正偏光度及び視感度補正単体透過率を、偏光度及び単体透過率として定義する。
フォトマスクによってマスキングして得られた領域(以下、領域(A)ということがある。)の偏光度は、通常10%以下であり、好ましくは5%以下であり、より好ましくは1%以下である。かかる偏光度は、当該領域に存在する液晶硬化膜の量が少ないほど低下する傾向がある。すなわち、領域(A)は、好ましくは液晶硬化膜を有さない。
領域(A)の単体透過率は100%に近いほど、透明性が高くディスプレイ等に適用するにあたり実用的であると言えるが、空気界面と偏光フィルムの屈折率差に伴う界面反射損失を含む値であるため、基材等の材料にもよるが、おおよそ88〜94%が理論上の最大値となる。領域(A)の単体透過率は、通常80%以上であり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは88%以上である。本パターン偏光フィルムにおける単体透過率は、当該領域に存在する前記液晶硬化膜の量が少ないほど向上する傾向がある。
パターン化した液晶硬化膜が形成した領域(以下、領域(B)ということがある。)の偏光度は、通常65%以上であり、好ましくは85%以上であり、より好ましくは90%以上であり、さらに好ましくは92%以上である。領域(B)は、通常、液晶硬化膜を有する。液晶硬化膜に含まれる重合性液晶化合物の重合物の配向秩序度が高いほど、領域(B)の偏光度が高くなる傾向がある。
領域(B)の単体透過率は、透過軸方向に直交する方向の偏光の大半は吸収により損失するため、おおよそ44〜47%が理論上の最大値となる。領域(B)の単体透過率は、通常40%以上であり、好ましくは42%以上であり、より好ましくは44%以上である。
領域(A)の形状としては、線状、帯状、円状、文字状及び、図形状等が挙げられ、任意の形状とすることができるが、好ましい形状は線状である。また、領域(B)の形状としては、線状、帯状、円状、文字状及び、図形状等が挙げられ、任意の形状とすることができるが、好ましい形状は線状である。また、領域(A)と領域(B)とを縞状に有すると好ましい。すなわち、本パターン偏光フィルムにおけるパターンとは規則的な模様を意味する。つまり、不規則な欠陥及び、偏光特性を付与していない単なる淵部分等のみを有し、規則的な模様を有さない偏光フィルムは、本パターン偏光フィルムに該当しない。
領域(A)の形状が、線状である場合の当該領域の幅は好ましくは1μm〜10mmであり、より好ましくは1μ〜1mmであり、さらに好ましくは1μm〜100μmである。
領域(B)の形状が、線状である場合の当該領域の幅は好ましくは1μm〜10mmであり、より好ましくは1μ〜1mmであり、さらに好ましくは1μm〜100μmである。
領域(A)と領域(B)とを縞状に有する場合の領域(B)の幅は好ましくは1μm〜10mmであり、より好ましくは1μ〜1mmであり、さらに好ましくは1μm〜100μmである。
連続した領域(A)の面積は、好ましくは100mm以下である。連続した領域(A)の面積とは、パターン偏光フィルム全体における領域(A)の面積の合計ではなく、連続して形成されている領域(A)の面積を意味する。
連続した領域(B)の面積は、好ましくは100mm以下である。連続した領域(B)の面積とは、パターン偏光フィルム全体における領域(B)の面積の合計ではなく、連続して形成されている領域(B)の面積を意味する。
本パターン偏光フィルムの表面積に対する、領域(A)と領域(B)との表面積との合計は、好ましくは90%以上であり、より好ましくは95%以上であり、さらに好ましくは99%以上である。
図1に本パターン偏光フィルム400の断面の模式図を示す。基材420とパターン化した液晶硬化膜410とが積層されている。図中Hは液晶硬化膜410が積層された領域の厚さを表し、図中hは液晶硬化膜の厚さを表す。
本パターン偏光フィルムの、パターン化した液晶硬化膜が積層された領域の厚さは、通常6〜310μmであり、好ましくは20〜200μmである。
パターン化した液晶硬化膜の厚さは、通常0.5〜10μmであり、好ましくは1〜5μmである。液晶硬化膜の厚さは、干渉膜厚計、レーザー顕微鏡、又は、触針式膜厚計で測定することができる。
また、パターン化した液晶硬化膜は、好ましくは、X線回折測定においてブラッグピークが得られるものである。このようなブラッグピークが得られる液晶硬化膜は、例えば、ヘキサチック相又はクリスタル相に由来する回折ピークを示し、また、高い偏光度を示す傾向がある。
<パターン円偏光板>
本パターン偏光フィルムと、1/4波長板とを積層することでパターン円偏光板が得られる。この際、本パターン偏光フィルムにおける領域(B)の透過軸と、1/4波長板の遅相軸(光軸)とが実質的に45°となるようにして積層するのが好ましい。実質的に45°とは、通常45±5°の範囲である。また、領域(B)と位相差フィルムの光軸を一致又は、直交させることで光学補償フィルムとして機能するパターン偏光フィルムを得ることができる。
積層される1/4波長板は、重合性液晶化合物を重合させることにより形成される塗布膜でもよく、延伸フィルムでもよい。前記式(50)及び式(51)で表される光学特性を有する1/4波長板は、特定の重合性液晶化合物を重合させる、又は、特定の構造を有する高分子からなるフィルムを延伸することで得られる。
1/4波長板の遅相軸の方向は、1/4波長板の長手方向に対して0°±10°又は90°±10°であると好ましい。このような1/4波長板を用いれば、本パターン偏光フィルムを有するパターン円偏光板を容易に得ることができる。
重合性液晶化合物を重合させることにより形成される塗布膜の遅相軸方向は、重合性液晶化合物の配向方向によって決定される。
延伸フィルムの遅相軸方向は延伸方法により異なり、一軸、二軸または斜め延伸等、その延伸方法に応じて遅相軸および光軸が決定される。長手方向に一軸延伸された延伸フィルムは生産性が高く、汎用性に富むため好ましい。
本パターン偏光フィルムと、1/4波長板との積層は、好ましくは、接着剤によって貼合されることで行われる。
また、本パターン偏光フィルムから、基材又は、基材及び配向膜を取り除いて用いることもできる。例えば、本パターン偏光フィルムのパターン化した液晶硬化膜が形成された面と、1/4波長板等のその他の部材とを接着剤を用いて貼合したのち、該本パターン偏光フィルムの基材又は、基材及び配向膜を取り除いてもよい。この際、接着剤は、本パターン偏光フィルムに塗布されてもよく、その他の部材に塗布されてもよい。好ましくは、本パターン偏光フィルムが有するパターン化した液晶硬化膜又は、その他の部材に塗布される。
前記パターン円偏光板は、さらに、1/2波長板及びポジティブCフィルムからなる群から選ばれる1つ以上を有してもよく、さらに反射防止層、輝度向上フィルム及び保護層有していてもよい。
保護層とはパターン化した液晶硬化膜を外部の刺激から保護する役割を果たす。保護層を形成する成分としては、形成時に液晶硬化膜を侵さないものであればよいが、好ましくは(メタ)アクリル樹脂、エポキシ樹脂、ウレタン樹脂、ウレア樹脂、シリコン樹脂、ポリビニルアルコール等の水溶性高分子が挙げられる。それぞれをポリマーの形態で溶媒に溶解し、液晶硬化膜上に塗布形成しても良いし、モノマーの形態で溶媒に溶解、あるいは、モノマー自体を直接塗布形成した後に重合しても良い。
ポジティブCフィルムは、通常、式(70)で表される光学特性を有する。
nx≒ny<nz (70)
nxは、ポジティブCフィルムが形成する屈折率楕円体において、フィルム平面対して平行な方向の主屈折率を表す。nyは、ポジティブCフィルムが形成する屈折率楕円体において、フィルム平面対して平行であり、且つ、該nxの方向に対して直交する方向の屈折率を表す。nzは、ポジティブCフィルムが形成する屈折率楕円体において、フィルム平面に対して垂直な方向の屈折率を表す。
1/2波長板及びポジティブCフィルムは、重合性液晶化合物を重合させることにより形成される塗布膜でもよく、延伸フィルムでもよい。
重合性液晶化合物を重合させることにより形成された塗布膜である1/4波長板、1/2波長板及びポジティブCフィルムとしては、特開2010−31223号公報、特開2010−270108号公報、特開2011−6360号公報及び特開2011−207765号公報記載の位相差フィルム等が挙げられる。
延伸フィルムであるポジティブCフィルムとしては、特開2008−129465号公報に記載の延伸フィルム及び、公知の多層押出フィルム等が挙げられる。
本パターン偏光フィルムを含むパターン円偏光板(以下、本パターン円偏光板ということがある)は反射防止特性に優れる。本明細書において、反射防止特性が優れるとは、パターン円偏光板を介して反射板へ光を入射して反射率を測定したときに、反射率が高い領域と、反射率が低い領域とがあることである。領域(A)が積層された領域が、反射率が高い領域に相当し、領域(B)が積層された領域が、反射率が低い領域に相当する。
このような特性を有するパターン円偏光板を用いることにより、表示装置の必要な領域のみに反射防止特性を付与することができる。
反射防止特性は、前記反射率を測定することで評価することできる他、各波長における楕円率を測定することによっても評価することができる。楕円率とは、円偏光の短軸/長軸の比であり、具体的には、完全円偏光のときの楕円率は100%であり、直線偏光のときの楕円率は0%である。各波長における楕円率が100%に近いほど、優れた円偏光板となり、反射防止特性に優れる。つまり、領域(A)が積層された領域の楕円率が0%に近く、領域(B)が積層された領域の楕円率が100%に近いほどパターン円偏光板として優る。
本パターン円偏光板における、領域(A)が積層された領域の反射率は、パターン円偏光板を介さずに反射板へ光を入射して測定した反射率を100%として、好ましくは75%以上であり、より好ましくは80%以上であり、さらに好ましくは85%以上である。
同様に、領域(B)が積層された領域の反射率は、好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
本パターン円偏光板における、領域(A)が積層された領域の、波長450nmの光に対する楕円率は、好ましくは20%以下であり、より好ましくは5%以下である。同様に波長550nmの光に対する楕円率は、好ましくは20%以下であり、より好ましくは5%以下である。同様に波長590nmの光に対する楕円率は、好ましくは20%以下であり、より好ましくは5%以下である。同様に波長630nmの光に対する楕円率は、好ましくは20%以下であり、より好ましくは5%以下である。
本パターン円偏光板における、領域(B)が積層された領域の楕円率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。特に、ニュートラルグレーのパターン偏光フィルムにおいては、波長450nmの光に対する楕円率は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上である。同様に波長550nmの光に対する楕円率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。同様に波長590nmの光に対する楕円率は、好ましくは80%以上であり、より好ましくは90%以上である。同様に波長630nmの光に対する楕円率は、好ましくは60%以上であり、より好ましくは70%以上である。
図4に本パターン円偏光板10の構成を示す。
図4(a)及び(b)は、パターン化した液晶硬化膜1、基材2、及び、1/4波長板6を有するパターン円偏光板10である。
図4(c)及び(d)は、パターン化した液晶硬化膜1、基材2、1/4波長板6及び1/2波長板3を有するパターン円偏光板10である。
図4(e)は、パターン化した液晶硬化膜1、1/4波長板6及び1/2波長板3を有するパターン円偏光板10である。かかるパターン円偏光板は、1/2波長板3を基材として用い、その表面にパターン化した液晶硬化膜を形成することで得ることができる。また、本パターン偏光フィルムが有するパターン化した液晶硬化膜を、1/2波長板3に貼合したのち、本パターン偏光フィルムが有する基材を取り除き、さらに1/4波長板6を積層することでも得られる。
図4(f)〜(h)は、パターン化した液晶硬化膜1、1/4波長板6、1/2波長板3及び、ポジティブCフィルム4を有するパターン円偏光板10である。これらのパターン円偏光板は、図4(e)で示したパターン円偏光板と同様の方法で製造することができる。
1/4波長板と、1/2波長板とを積層する場合、パターン偏光フィルムが有するパターン化した液晶硬化膜の吸収軸に対して、まず1/2波長板を、1/2波長板の遅相軸が75°となるように積層し、次に1/4波長板を、1/4波長板の遅相軸が15°となるように積層するのが好ましい。
ポジティブCフィルムの積層順に制限はないが、パターン偏光フィルムが有するパターン化した液晶硬化膜、1/2波長板及び1/4波長板がこの順番で積層される必要がある。このように積層することで、得られるパターン円偏光板は可視光域における各波長の光に対して、一様な偏光変換の特性が得られるため、反射防止特性に優れる傾向がある。
本パターン偏光フィルム及び、本パターン円偏光板は、必要に応じて裁断し、さまざまな表示装置に用いることができる。本パターン偏光フィルム及び、本パターン円偏光板は、通常、接着剤又は感圧式接着剤を介して表示装置に貼合される。
表示装置とは、表示素子を有する装置であり、発光源として発光素子又は発光装置を含むものである。本パターン偏光フィルム又は、本パターン円偏光板を備える表示装置としては、例えば、液晶表示装置、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置、電子放出表示装置(例えば電場放出表示装置(FED)、表面電界放出表示装置(SED))、電子ペーパー(電子インクや電気泳動素子を用いた表示装置、プラズマ表示装置、投射型表示装置(例えばグレーティングライトバルブ(GLV)表示装置、デジタルマイクロミラーデバイス(DMD)を有する表示装置)及び圧電セラミックディスプレイなどが挙げられる。液晶表示装置は、透過型液晶表示装置、半透過型液晶表示装置、反射型液晶表示装置、直視型液晶表示装置及び投写型液晶表示装置などのいずれをも含む。これらの表示装置は、2次元画像を表示する表示装置であってもよいし、3次元画像を表示する立体表示装置であってもよい。本パターン偏光フィルム及び、本パターン円偏光板は、特に、有機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置及び、無機エレクトロルミネッセンス(EL)表示装置等の表示装置、並びに、タッチパネルを含む表示装置に有効に用いられる。
<連続的製造方法>
本発明の製造方法は、好ましくは、Roll to Roll形式により連続的に行われる。図5を参照して、Roll to Roll形式により連続的に製造する方法の要部の一例を説明する。
基材が第1の巻芯210Aに巻き取られている第1ロール210は例えば、市場から容易に入手できる。このようなロールの形態で市場から入手できる基材としては、すでに例示した基材の中でも、セルロースエステル、環状オレフィン系樹脂、ポリカーボネート、ポリエチレンテレフタレート又はポリメタクリル酸エステルからなるフィルムなどが挙げられる。
続いて、前記第1ロール210から基材を巻き出す。基材を巻き出す方法は該第1ロール210の巻芯210Aに適当な回転手段を設置し、当該回転手段により第1ロール210を回転させることにより行われる。また、第1ロール210から基材を搬送する方向に、適当な補助ロール300を設置し、当該補助ロール300の回転手段で基材を巻き出す形式でもよい。さらに、第1の巻芯210A及び補助ロール300ともに回転手段を設置することで、基材に適度な張力を付与しながら、透明基材を巻き出す形式でもよい。
前記第1ロール210から巻き出された基材は、塗布装置211Aを通過する際に、その表面上に当該塗布装置211Aにより光配向膜形成用組成物が塗布される。このように連続的に光配向膜形成用組成物を塗布するための塗布装置211Aとしては、グラビアコーティング法、ダイコーティング法及び、フレキソ法が好ましい。
塗布装置211Aを通過した基材は、乾燥炉212Aへと搬送され、乾燥炉212Aによって乾燥されて、基材表面に第一の塗布膜が連続的に形成される。乾燥炉212Aには、例えば、通風乾燥法と加熱乾燥法とを組み合わせた熱風式乾燥炉が用いられる。乾燥炉212Aの設定温度は、前記光配向膜形成用組成物に含まれる溶剤の種類などに応じて定められる。乾燥炉212Aは、互いに異なる設定温度の、複数のゾーンからなるものであってもよいし、互いに異なる設定温度の複数の乾燥炉を直列に設置したものであってもよい。
得られた第一の塗布膜に、偏光UV照射装置213Aによって偏光を照射することにより、光配向膜が得られる。
続いて、光配向膜が形成された基材は、塗布装置211Bを通過する。塗布装置211Bによって光配向膜上に重合性液晶化合物と二色性色素と溶剤とを含む組成物が塗布された後、乾燥炉212Bを通過することにより、該重合性液晶化合物及び該二色性色素が配向している第二の塗布膜が得られる。乾燥炉212Bは、光配向膜上に塗布された重合性液晶化合物と二色性色素と溶剤とを含む組成物から溶剤を除去する役割とともに、該組成物に含まれる重合性液晶化合物が配向するように熱エネルギーを与える役割とを担う。乾燥炉212Bは、乾燥炉212Aと同様に、互いに異なる設定温度の複数のゾーンからなるものであってもよいし、互いに異なる設定温度の複数の乾燥炉を直列に設置したものであってもよい。
第二の塗布膜に含まれる重合性液晶化合物が配向した状態で、活性エネルギー線照射装置213Bへと搬送される。活性エネルギー線照射装置213Bにおいて、第二の塗布膜にフォトマスク(図示しない)がされ、さらに活性エネルギー線照射がされる。活性エネルギー線照射装置213Bによる活性エネルギー線照射によって、マスキングされていない領域の重合性液晶化合物が配向した状態で重合し、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜が得られる。
重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜が形成された基材は、23℃における前記二色性色素の飽和溶解度が1質量%以下である溶剤で満たされた溶剤漕214中を通過する。重合していない重合性液晶化合物が洗浄除去される。
さらに乾燥炉212Cを通過することにより、表面に付着した前記溶剤を除去する。
かくして連続的に製造されたパターン偏光フィルムは、第2の巻芯220Aに巻き取られ、第2ロール220の形態が得られる。なお、巻き取る際には、適当なスペーサを用いた供巻きを行ってもよい。
このように、基材が、第1ロール210から、塗布装置211A、乾燥炉212A、偏光UV照射装置213A、塗布装置211B、乾燥炉212B、活性エネルギー線照射装置213B、溶剤漕214及び、乾燥炉212Cの順で通過することで、Roll to Roll形式により連続的にパターン偏光フィルムを製造することができる。
また、図5に示す製造方法では、基材からパターン偏光フィルムまでを連続的に製造する方法を示したが、例えば、基材を、第1ロールから、塗布装置211A、乾燥炉212A及び、偏光UV照射装置213Aの順で通過させ、これを巻芯に巻き取ることでロール状の基材と光配向膜の積層体を製造し、さらに、該ロール状の積層体を巻き出し、塗布装置211B、乾燥炉212B、活性エネルギー線照射装置213B、溶剤漕214中及び、乾燥炉212Cの順で通過させることで、パターン偏光フィルムを連続的に製造することもできる。
第2ロール220の形態で、パターン偏光フィルムを製造した場合には、第2ロール220から長尺のパターン偏光フィルムを巻き出し、所定の寸法に裁断してから、裁断されたパターン偏光フィルムに1/4波長板を貼合することによりパターン円偏光板を製造してもよいが、長尺の1/4波長板が巻芯に巻き取られている第3ロールを準備することで、長尺のパターン円偏光板を連続的に製造することもできる。
長尺のパターン円偏光板を連続的に製造する方法について、図6を参照して説明する。
かかる製造方法は、
第2ロール220から連続的にパターン偏光フィルムを巻き出すとともに、長尺の1/4波長板が巻き取られている第3ロール230から連続的に長尺の1/4波長板を巻き出す工程と、
前記パターン偏光フィルムと、前記長尺の1/4波長板とを連続的に貼合して長尺のパターン円偏光板を得る工程と、
得られた長尺のパターン円偏光板を第4の巻芯240Aに巻き取り、第4ロール240を得る工程とからなる。この方法はいわゆるRoll to Roll貼合である。なお、貼合には接着剤を用いてもよい。
以下、実施例により本発明をさらに詳細に説明する。例中の「%」及び「部」は、特記ない限り、質量%及び質量部である。
[飽和溶解度測定方法]
所定の溶剤に対する各二色性色素の23℃での飽和溶解度は以下の方法で測定した。サンプル管に各溶剤5gと二色性色素を0.2g秤量し、23℃に設定したウォーターバス中で24時間撹拌することで飽和溶解度溶液を調整した。この溶液をサンプリングし、標準液5mLと共にテトラヒドロフラン中に溶解して測定溶液を調製した。この測定溶液を液体クロマトグラフ(島津製作所製;LC−10AT)に注入し、それぞれのピーク面積値の比率と別途作成した検量線から、23℃での所定の溶剤への二色性色素の飽和溶解度を計算した。尚、標準液にはヘキシルベンゼン10mlとアセトニトリル1000mlから調製したものを用いた。
液体クロマトグラフ(LC)測定は以下に示す条件で行った。
使用カラム:KinetexC18、2.6μm、100mm×4.6mmφ
カラム温度:40℃
移動相:(A液)0.1%(v/v)−TFA/水
(B液)0.1%(v/v)−TFA/アセトニトリル50%/THF50%
グラジェント条件 0min A液60%、B液40%
30min A液0%、B液100%
35min A液0%、B液100%
35.1min A液60%、B液40%
45min STOP TOTAL 45min流量:1.0mL/min
注入量:5μL
検出方法:UV(254nm)
実施例1
[光配向膜形成用組成物の製造]
下記成分を混合し、得られた混合物を80℃で1時間攪拌することにより、光配向膜形成用組成物を得た。
光反応性基を有するポリマー:
Figure 2018106194
溶剤:o-キシレン 98部
〔液晶硬化膜形成用組成物1の製造〕
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することで、液晶硬化膜形成用組成物を得た。二色性色素には、特開2013−101328号公報の実施例に記載のアゾ系色素を用いた。
重合性液晶化合物:
Figure 2018106194
75部

Figure 2018106194
25部
二色性色素1:
Figure 2018106194
2.8部

重合開始剤;
2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア369;チバスペシャルティケミカルズ社製) 6部
レベリング剤;
ポリアクリレート化合物(BYK−361N;BYK−Chemie社製)
1.2部
溶剤;o-キシレン 250部
[パターン偏光フィルム(1)の製造]
トリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ社製KC4UY-TAC、厚さ40μm)を80×80mmに切り出し、その表面にコロナ処理(AGF−B10、春日電機株式会社製)を施した。コロナ処理が施されたフィルム表面に、バーコーターを用いて光配向膜形成用組成物を塗布した後、120℃に設定した乾燥オーブンで1分間乾燥し、第一の塗布膜を得た。第一の塗布膜に、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、フィルムの長手方向に対して0°方向の偏光UVを、50mJ/cm2(313nm基準)の積算光量で照射し光配向膜を形成した。得られた光配向膜上に、バーコーターを用いて70×80mmの領域に液晶硬化膜形成用組成物を塗布した後、110℃に設定した乾燥オーブンで1分間乾燥することで、重合性液晶化合物及び二色性色素が配向した第二の塗布膜を得た。第二の塗布膜中央部に、40×40mmのフォトマスク(線幅275μm)を介して、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm2)することにより、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得た。得られた液晶硬化膜を有するフィルムを、エタノール中に3分間浸漬して、重合していない重合性液晶化合物を洗浄除去し、縞状のパターンを有するパターン偏光フィルム(1)を得た。得られたパターン偏光フィルム(1)は、図2に示した本発明のパターン偏光フィルムの模式図と同様の形状をしていた。
二色性色素1のエタノールへの飽和溶解度は0.003質量%であった。
[パターン偏光フィルム(1)の評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
パターン偏光フィルム(1)のパターン化した液晶硬化膜が形成した領域及び、フォトマスクによってマスキングして得られた領域について、以下のようにして偏光度及び、単体透過率を測定した。透過軸方向の単体透過率(T)及び吸収軸方向の単体透過率(T)を、分光光度計(島津製作所株式会社製 UV−3150)に偏光子付フォルダーをセットした装置を用いて、ダブルビーム法により2nmステップ380〜680nmの波長範囲で測定した。吸収軸方向の吸光度が最も大きい波長(λMAX)における透過軸方向の単体透過率(T)、及び、吸収軸方向の単体透過率(T)の値から、下記式(10)及び、式(11)を用いて偏光度及び単体透過率を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のλMAXは520nmであり、偏光度は92.8%、単体透過率は44.0%であった。また、フォトマスクによってマスキングして得られた領域では光の吸収は測定されず、偏光度は0%、単体透過率は92%であった。
単体透過率(%)=(T+T)/2 (10)
偏光度(%)={(T−T)/(T+T)}×100 (11)
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(1)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.0μmであった。
パターン偏光フィルム(1)の厚さは42μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(1)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、271μm、275μm、275μm、274μm、278μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mmであった。
〔楕円率測定〕
パターン偏光フィルム(1)に粘着剤を介して、環状オレフィン系樹脂の一軸延伸フィルムである1/4波長板(ゼオノアフィルム、日本ゼオン株式会社、面内位相差値Ro:138nm)を貼合し、パターン円偏光板(1)を得た。パターン円偏光板(1)におけるパターン化した液晶硬化膜が形成した領域が積層され領域及び、フォトマスクによってマスキングして得られた領域が積層された領域について、王子計測機器(株)製の自動複屈折計「KOBRA(登録商標)」を用いて、波長550nmの光に対する楕円率を測定した。結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域が積層され領域の、波長550nmでの楕円率は92%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域が積層され領域の、波長550nmでの楕円率は0%であった。すなわち、パターン偏光フィルム(1)から特定波長の光に対する反射防止特性に優れるパターン円偏光板が得られた。
実施例2
〔液晶硬化膜形成用組成物2の製造〕
実施例1の液晶硬化膜形成用組成物1中にさらに以下の二色性色素を加えて液晶硬化膜形成用組成物2を製造し、塗工液として用いた以外は実施例1と同様にして、パターン偏光フィルム(2)を製造した。
二色性色素2:
Figure 2018106194
2.8部
二色性色素3:
Figure 2018106194
2.8部
二色性色素2のエタノールへの飽和溶解度は0.001質量%であった。
二色性色素3のエタノールへの飽和溶解度は0.061質量%であった。
[パターン偏光フィルムの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例1と同様にして、偏光度及び単体透過率を測定した。JIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=92.3%、Ty=43.7%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(2)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.0μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後での減膜率は0%であった。パターン偏光フィルム(2)の厚さは42μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(2)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、275μm、272μm、275μm、274μm、274μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mmであった。
〔楕円率測定〕
パターン偏光フィルム(2)に粘着剤を介して一軸延伸フィルムである1/4波長板(ピュアエースWRF−S、帝人株式会社製)を貼合し、パターン円偏光板(2)を得た。
前記1/4波長板のリタデーション(Re(λ))を、王子計測機器(株)製の自動複屈折計「KOBRA(登録商標)」を用いて測定したところ、Re(450)=132nm、Re(550)=145nm、Re(590)=147nm、Re(630)=148nm、Re(750)=151nmであり、逆波長分散特性を示した。パターン円偏光板(2)のパターン化した液晶硬化膜が形成した領域が積層された領域及び、フォトマスクによってマスキングして得られた領域が積層された領域について、王子計測機器(株)製の自動複屈折計「KOBRA(登録商標)」を用いて、波長450nm、550nm、590nm、630nm及び、750nmの光に対する楕円率を測定した。結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域が積層された領域の、波長450nmでの楕円率は77%、550nmでの楕円率は91%、590nmでの楕円率は99%、630nmでの楕円率は92%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域が積層された領域の、波長450nmでの楕円率は0%、550nmでの楕円率は0%、590nmでの楕円率は0%、630nmでの楕円率は0%であった。すなわち、パターン偏光フィルム(2)から反射防止特性に優れるパターン円偏光板が得られた。
実施例3
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、メタノールにした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(3)を得た。
二色性色素1のメタノールへの飽和溶解度は0.001質量%であった。
二色性色素2のメタノールへの飽和溶解度は0.001質量%であった。
二色性色素3のメタノールへの飽和溶解度は0.015質量%であった。
[パターン偏光フィルムの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=92.7%、Ty=43.9%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(3)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.1μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後の減膜率は0%であった。パターン偏光フィルム(3)の厚さは43μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(3)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、278μm、275μm、277μm、278μm、274μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mmであった。
実施例4
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、イソプロピルアルコールにした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(4)を得た。
二色性色素1のイソプロピルアルコールへの飽和溶解度は0.002質量%であった。
二色性色素2のイソプロピルアルコールへの飽和溶解度は0.043質量%であった。
二色性色素3のイソプロピルアルコールへの飽和溶解度は0.001質量%であった。
[パターン偏光フィルムの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=93.8%、Ty=43.6%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(4)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.0μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後の減膜率は0%であった。パターン偏光フィルム(4)の厚さは43μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(4)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、274μm、278μm、275μm、277μm、278μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mmであった。
実施例5
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、プロピレングリコール1−モノメチルエーテルにし、該溶剤に浸漬して重合していない重合性液晶化合物を洗浄除去する時間を20秒とした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(5)を得た。
二色性色素1のプロピレングリコール1−モノメチルエーテルへの飽和溶解度は0.028質量%であった。
二色性色素2のプロピレングリコール1−モノメチルエーテルへの飽和溶解度は0.336質量%であった。
二色性色素3のプロピレングリコール1−モノメチルエーテルへの飽和溶解度は0.017質量%であった。
[パターン偏光フィルムの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=93.7%、Ty=44.2%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(5)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.0μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後の減膜率は0%であった。パターン偏光フィルム(5)の厚さは42μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(5)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、272μm、278μm、277μm、274μm、275μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mmであった。
実施例6
トリアセチルセルロースフィルムの代わりに実施例2で用いた一軸延伸フィルム(ピュアエースWRF−S、帝人株式会社製、厚さ50μm)を用い、さらに、偏光UVの照射を、偏光UVの偏光振動方向を前記一軸延伸フィルムの遅相軸に対して45°となるようにして照射した以外は、実施例1と同様にしてパターン偏光フィルム(6)を作製した。
[パターン偏光フィルム(6)の評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を測定した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=95.7%、Ty=41.7%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=89.0%/であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(6)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.5μmであった。
パターン偏光フィルム(6)の厚さは53μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(6)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、276μm、277μm、276μm、274μm、273μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mmであった。
〔楕円率測定〕
パターン偏光フィルム(6)のパターン化した液晶硬化膜が形成した領域及び、フォトマスクによってマスキングして得られた領域について、王子計測機器(株)製の自動複屈折計「KOBRA(登録商標)」を用いて、波長450nm、550nm、590nm、630nm及び、750nmの光に対する楕円率を測定した。結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域の、波長450nmでの楕円率は78%、550nmでの楕円率は92%、590nmでの楕円率は96%、630nmでの楕円率は88%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域の、波長450nmでの楕円率は0%、550nmでの楕円率は0%、590nmでの楕円率は0%、630nmでの楕円率は0%であった。すなわち、パターン偏光フィルム(6)は反射防止特性に優れるパターン円偏光板である。
実施例7
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートにした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(7)を得た。
二色性色素1のプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートへの飽和溶解度は0.077質量%であった。
二色性色素2のプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートへの飽和溶解度は0.89質量%であった。
二色性色素3のプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートへの飽和溶解度は0.026質量%であった。
[パターン偏光フィルムの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=66.4%、Ty=49.8%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(7)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ1.85μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後の減膜率は5%であった。パターン偏光フィルム(7)の厚さは42μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(7)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、282μm、270μm、272μm、279μm、277μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mmであった。
参考例1
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、酢酸エチルにした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(8)を作製したところ、基材フィルムであるトリアセチルセルロースフィルムが溶解し、サンプルが得られなかった。そこで、トリアセチルセルロースフィルムの代わりに50×50mmのガラス基板(厚さ1mm)に、スピンコーターを用いて光配向膜形成用組成物を塗布した後、120℃に設定したホットプレートで1分間乾燥し、第一の塗布膜を得た。第一の塗布膜に、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、フィルムの長手方向に対して0°方向の偏光UVを、50mJ/cm2(313nm基準)の積算光量で照射し光配向膜を形成した。得られた光配向膜上に、スピンコーターを用いて50×50mmの領域に液晶硬化膜形成用組成物を塗布した後、110℃に設定したホットプレートで1分間乾燥することで、重合性液晶化合物及び二色性色素が配向した第二の塗布膜を得た。
第二の塗布膜中央部に、40×40mmのフォトマスク(線幅275μm)を介して、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm2)することにより、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得た。
[パターン偏光ガラスの評価]
二色性色素1の酢酸エチルへの飽和溶解度は0.059質量%であった。
二色性色素2の酢酸エチルへの飽和溶解度は1.3質量%であった。
二色性色素3の酢酸エチルへの飽和溶解度は0.023質量%であった。
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=33.1%、Ty=58.7%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(8)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ1.85μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後の減膜率は8%であった。パターン偏光フィルム(8)の厚さは1002μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(8)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、277μm、274μm、278μm、274μm、273μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mmであった。
参考例2
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、テトラヒドロフランにした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(9)を作製したところ、基材フィルムであるトリアセチルセルロースフィルムが溶解し、サンプルが得られなかった。
そこで、参考例3と同様にしてガラス基板上にパターン化した液晶硬化膜を作製した。
二色性色素1のテトラヒドロフランへの飽和溶解度は0.33質量%であった。
二色性色素2のテトラヒドロフランへの飽和溶解度は4.5質量%であった。
二色性色素3のテトラヒドロフランへの飽和溶解度は0.33質量%であった。
[パターン偏光ガラスの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=0.1%、Ty=92.1%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。重合性液晶化合物の重合物まで溶解し、パターン化した液晶硬化膜はほとんど得られなかった。
本発明のパターン偏光フィルムの製造方法によれば、偏光度が高い領域と、単体透過率が高い領域とを有するパターン偏光フィルムを製造することができる。
1 パターン化した液晶硬化膜
2 基材
3 1/2波長板
4 ポジティブCフィルム
6 1/4波長板
10 本パターン円偏光板
100 縞状のパターン領域を有する本パターン偏光フィルム
101 円状のパターン領域を有する本パターン偏光フィルム
110 液晶硬化膜が形成した領域
120 フォトマスクによってマスキングして得られた領域
130 液晶硬化膜形成用組成物を塗布しなかった領域
210 第1ロール
210A 巻芯
220 第2ロール
220A 巻芯
211A,211B 塗布装置
212A,212B,212C 乾燥炉
213A 偏光UV照射装置
213B 活性エネルギー線照射装置
214 溶剤漕
300 補助ロール
230 第3ロール
230A 巻芯
240 第4ロール
240A 巻芯
300 補助ロール
400 本パターン偏光フィルムの断面
410 液晶硬化膜
420 基材
H 液晶硬化膜が積層された領域の厚さ
h 液晶硬化膜の厚さ

Claims (14)

  1. 下記(1)〜(4)の工程を含むパターン偏光フィルムの製造方法。
    (1)基材又は配向膜が形成された基材の表面に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む組成物を塗布する工程
    (2)塗布された重合性液晶化合物及び二色性色素を配向させる工程
    (3)配向した重合性液晶化合物に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物の重合物と、重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得る工程
    (4)前記液晶硬化膜を、23℃における前記二色性色素の飽和溶解度が1質量%以下である溶剤で洗浄し、前記重合していない重合性液晶化合物を除去することによりパターン化した液晶硬化膜を得る工程
  2. 基材が樹脂基材である請求項1記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
  3. 溶剤が、アルコール溶剤を含む溶剤である請求項1又は2記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
  4. フォトマスクを、配向した重合性液晶化合物に圧着した状態で、活性エネルギー線を照射する請求項1〜3のいずれかに記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
  5. 活性エネルギー線が、基材面の法線方向に対して平行な紫外線である請求項1〜4のいずれかに記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
  6. フォトマスクが有するマスクしない領域の形状が線状である請求項1〜5に記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
  7. マスクしない領域の幅が1μm〜10mmである請求項6に記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
  8. マスクしない領域の幅が1μm〜1mmである請求項6に記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
  9. 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法によって得られるパターン偏光フィルム。
  10. 請求項9に記載のパターン偏光フィルムにおける基材が、1/4波長板機能を有する位相差フィルムであるパターン円偏光板。
  11. 請求項9に記載のパターン偏光フィルムと、1/4波長板機能を有する位相差フィルムとを有するパターン円偏光板。
  12. 1/4波長板機能を有する位相差フィルムが逆波長分散特性を有する請求項10又は11に記載のパターン円偏光板。
  13. 請求項9に記載のパターン偏光フィルムにおける基材が、1/2波長板機能を有する位相差フィルムであり、前記基材にさらに、1/4波長板機能を有する位相差フィルムを積層したパターン円偏光板。
  14. さらに、ポジティブCフィルムを有する請求項10〜13のいずれかに記載のパターン円偏光板。
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