JP2018106194A - パターン偏光フィルムの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】下記(1)〜(4)の工程を含むパターン偏光フィルムの製造方法の提供。
(1)基材又は配向膜が形成された基材の表面に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む組成物を塗布する工程
(2)塗布された重合性液晶化合物及び二色性色素を配向させる工程
(3)配向した重合性液晶化合物に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物の重合物と、重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得る工程
(4)前記液晶硬化膜を、23℃における前記二色性色素の飽和溶解度が1質量%以下である溶剤で洗浄し、前記重合していない重合性液晶化合物を除去することによりパターン化した液晶硬化膜を得る工程
【選択図】図2
Description
[1] 下記(1)〜(4)の工程を含むパターン偏光フィルムの製造方法。
(1)基材又は配向膜が形成された基材の表面に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む組成物を塗布する工程
(2)塗布された重合性液晶化合物及び二色性色素を配向させる工程
(3)配向した重合性液晶化合物に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得る工程
(4)前記液晶硬化膜を、23℃における前記二色性色素の飽和溶解度が1質量%以下である溶剤で洗浄し、前記重合していない重合性液晶化合物を除去することによりパターン化した液晶硬化膜を得る工程
[2] 基材が樹脂基材である[1]記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[3] 溶剤が、アルコール溶剤を含む溶剤である[1]又は[2]記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[4] フォトマスクを、配向した重合性液晶化合物に圧着した状態で、活性エネルギー線を照射する[1]〜[3]のいずれかに記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[5] 活性エネルギー線が、基材の法線方向に対して平行な紫外線である[1]〜[4]のいずれかに記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[6] フォトマスクが有するマスクしない領域の形状が線状である[1]〜[5]のいずれかに記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[7] マスクしない領域の幅が1μm〜10mmである[6]に記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[8] マスクしない領域の幅が1μm〜1mmである[6]に記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
[9] [1]〜[8]のいずれかに記載の製造方法によって得られるパターン偏光フィルム。
[10] [9]に記載のパターン偏光フィルムにおける基材が、1/4波長板機能を有する位相差フィルムであるパターン円偏光板。
[11] [9]に記載のパターン偏光フィルムと、1/4波長板機能を有する位相差フィルムとを有するパターン円偏光板。
[12] 1/4波長板機能を有する位相差フィルムが逆波長分散特性を有する[10]又は[11]に記載のパターン円偏光板。
[13] [9]に記載のパターン偏光フィルムにおける基材が、1/2波長板機能を有する位相差フィルムであり、前記基材にさらに、1/4波長板機能を有する位相差フィルムを積層したパターン円偏光板。
[14] さらに、ポジティブCフィルムを有する[10]〜[13]のいずれかに記載のパターン円偏光板。
(1)基材又は配向膜が形成された基材の表面に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む組成物(以下、液晶硬化膜形成用組成物ということがある)を塗布する工程
(2)塗布された重合性液晶化合物及び二色性色素を配向させる工程
(3)配向した重合性液晶化合物に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得る工程
(4)前記液晶硬化膜を、23℃における前記二色性色素の飽和溶解度が1質量%以下である溶剤で洗浄し、前記重合していない重合性液晶化合物を除去することによりパターン化した液晶硬化膜を得る工程
<基材>
基材は、ガラス基材でも樹脂基材でもよいが、好ましくは、樹脂基材である。樹脂からなるフィルム基材を用いることで、薄いパターン偏光フィルムを得ることができる。
樹脂基材は、好ましくは、透明樹脂基材である。透明樹脂基材とは、光、特に可視光を透過し得る透光性を有する基材を意味し、透光性とは、波長380nm〜780nmにわたる光線に対しての視感度補正透過率が80%以上となる特性をいう。
100<Re(550)<160 (40)
130<Re(550)<150 (40−1)
Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値を表す。
Re(450)/Re(550)≦1.00 (50)
1.00≦Re(630)/Re(550) (51)
200<Re(550)<320 (60)
Re(550)は波長550nmの光に対する面内位相差値を表す。
鎖状オレフィンとしては、エチレン及びプロピレン等が挙げられ、ビニル化芳香族化合物としては、スチレン、α−メチルスチレン及びアルキル置換スチレン等が挙げられる。
環状オレフィン系樹脂が、環状オレフィンと、鎖状オレフィンと、ビニル化芳香族化合物との三元共重合体である場合、鎖状オレフィンに由来する構造単位の含有量は、共重合体の全構造単位に対して、通常5〜80モル%であり、ビニル化芳香族化合物に由来する構造単位の含有割合は、共重合体の全構造単位に対して、通常5〜80モル%である。このような三元共重合体は、高価な環状オレフィンの使用量を比較的少なくすることができるという利点がある。
1/4波長板である基材としては、ピュアエース(登録商標)WR(帝人株式会社製)等が挙げられる。
本発明における配向膜とは、重合性液晶化合物を所望の方向に配向させる、配向規制力を有するものである。
配向膜としては、液晶硬化膜形成用組成物の塗布などにより溶解しない溶剤耐性を有し、また、溶剤の除去や重合性液晶化合物の配向のための加熱処理における耐熱性を有するものが好ましい。かかる配向膜としては、配向性ポリマーを含む配向膜、光配向膜及び表面に凹凸パターンや複数の溝を形成し配向させるグルブ配向膜等が挙げられる。
ラビングする方向を選択することにより、配向規制力の方向を任意に制御することができる。
単官能アクリレートとは、アクリロイルオキシ基(CH2=CH−COO−)及びメタクリロイルオキシ基(CH2=C(CH3)−COO−)からなる群より選ばれる基(以下、(メタ)アクリロイルオキシ基と記すこともある。)を分子内に1個有する化合物である。
トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;エトキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;プロポキシ化トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート;トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート;
ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;
トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;
カプロラクトン変性トリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリス(2−ヒドロキシエチル)イソシアヌレートトリ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性トリペンタエリスリトールオクタ(メタ)アクリレート;カプロラクトン変性ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物;カプロラクトン変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレートと酸無水物との反応物、及びカプロラクトン変性トリペンタエリスリトールヘプタ(メタ)アクリレートと酸無水物などが挙げられる。なお、ここに示した多官能アクリレートの具体例において、(メタ)アクリレートとは、アクリレート又はメタクリレートを意味する。また、カプロラクトン変性とは、(メタ)アクリレート化合物のアルコール由来部位と(メタ)アクリロイルオキシ基との間に、カプロラクトンの開環体、又は、開環重合体が導入されていることを意味する。
かかる市販品としては、A−DOD−N、A−HD−N、A−NOD−N、APG−100、APG−200、APG−400、A−GLY−9E、A−GLY−20E、A−TMM−3、A−TMPT、AD−TMP、ATM−35E、A−TMMT、A−9550、A−DPH、HD−N、NOD−N、NPG、TMPT(新中村化学株式会社製)、”ARONIX M−220”、同”M−325”、同”M−240”、同”M−270”同”M−309”同”M−310”、同”M−321”、同”M−350” 、同”M−360” 、同”M−305” 、同”M−306” 、同”M−450” 、同”M−451” 、同”M−408” 、同”M−400” 、同”M−402” 、同”M−403” 、同”M−404” 、同”M−405” 、同”M−406”(東亜合成株式会社製)、”EBECRYL11”、同”145” 、同”150” 、同”40” 、同”140” 、同”180” 、DPGDA、HDDA、TPGDA、HPNDA、PETIA、PETRA、TMPTA、TMPEOTA、DPHA、EBECRYLシリーズ(ダイセル・サイテック株式会社製)などを挙げることができる。
重合性液晶化合物とは、重合性基を有し、かつ、液晶性を有する化合物である。
重合性基とは、重合反応に関与する基を意味し、光重合性基であることが好ましい。ここで、光重合性基とは、後述する光重合開始剤から発生した活性ラジカルや酸などによって重合反応に関与し得る基のことをいう。重合性基としては、ビニル基、ビニルオキシ基、1−クロロビニル基、イソプロペニル基、4−ビニルフェニル基、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、オキシラニル基、オキセタニル基等が挙げられる。中でも、アクリロイルオキシ基、メタクリロイルオキシ基、ビニルオキシ基、オキシラニル基及びオキセタニル基が好ましく、アクリロイルオキシ基がより好ましい。液晶性はサーモトロピック性液晶でもリオトロピック液晶でも良く、また、サーモトロピック液晶における相秩序構造としてはネマチック液晶でもスメクチック液晶でも良い。
[式(1)中、
X1、X2及びX3は、互いに独立に、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基又は置換基を有していてもよいシクロヘキサン−1,4−ジイル基を表す。ただし、X1、X2及びX3のうち少なくとも1つは、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基である。シクロへキサン−1,4−ジイル基を構成する−CH2−は、−O−、−S−又は−NR−に置き換わっていてもよい。Rは、炭素数1〜6のアルキル基又はフェニル基を表す。
Y1及びY2は、互いに独立に、−CH2CH2−、−CH2O−、−COO−、−OCOO−、単結合、−N=N−、−CRa=CRb−、−C≡C−又は−CRa=N−を表す。Ra及びRbは、互いに独立に、水素原子又は炭素数1〜4のアルキル基を表す。
U1は、水素原子又は重合性基を表す。
U2は、重合性基を表す。
W1及びW2は、互いに独立に、単結合、−O−、−S−、−COO−又は−OCOO−を表す。
V1及びV2は、互いに独立に、置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基を表し、該アルカンジイル基を構成する−CH2−は、−O−、−S−又は−NH−に置き換わっていてもよい。]
置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基は、無置換であることが好ましい。置換基を有していてもよいシクロへキサン−1,4−ジイル基は、置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基であることが好ましく、置換基を有していてもよいトランス−シクロへキサン−1,4−ジイル基は無置換であることが好ましい。
置換基を有していてもよい炭素数1〜20のアルカンジイル基が任意に有する置換基としては、シアノ基及びハロゲン原子などが挙げられるが、該アルカンジイル基は、無置換であることが好ましく、無置換且つ直鎖状のアルカンジイル基であることがより好ましい。
二色性色素とは、分子の長軸方向における吸光度と、短軸方向における吸光度とが異なる性質を有する色素をいう。
A1(−N=N−A2)p−N=N−A3 (2)
[式(2)中、
A1及びA3は、互いに独立に、置換基を有していてもよいフェニル基、置換基を有していてもよいナフチル基又は置換基を有していてもよい1価の複素環基を表す。A2は、置換基を有していてもよい1,4−フェニレン基、置換基を有していてもよいナフタレン−1,4−ジイル基又は置換基を有していてもよい2価の複素環基を表す。pは1〜4の整数を表す。pが2以上の整数である場合、複数のA2は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[式(2−1)〜(2−6)中、
B1〜B20は、互いに独立に、水素原子、炭素数1〜6のアルキル基、炭素数1〜4のアルコキシ基、シアノ基、ニトロ基、置換又は無置換のアミノ基(置換アミノ基及び無置換アミノ基の定義は前記のとおり)、塩素原子又はトリフルオロメチル基を表す。
n1〜n4は、互いに独立に0〜3の整数を表す。
n1が2以上である場合、複数のB2は互いに同一でも異なっていてもよく、
n2が2以上である場合、複数のB6は互いに同一でも異なっていてもよく、
n3が2以上である場合、複数のB9は互いに同一でも異なっていてもよく、
n4が2以上である場合、複数のB14は互いに同一でも異なっていてもよい。]
[式(2−7)中、
R1〜R8は、互いに独立に、水素原子、−Rx、−NH2、−NHRx、−NRx 2、−SRx又はハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。]
[式(2−8)中、
R9〜R15は、互いに独立に、水素原子、−Rx、−NH2、−NHRx、−NRx 2、−SRx又はハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。]
[式(2−9)中、
R16〜R23は、互いに独立に、水素原子、−Rx、−NH2、−NHRx、−NRx 2、−SRx又はハロゲン原子を表す。
Rxは、炭素数1〜4のアルキル基又は炭素数6〜12のアリール基を表す。]
[式(2−10)中、
D1及びD2は、互いに独立に、式(2−10a)〜式(2−10d)のいずれかで表される基を表す。
n5は1〜3の整数を表す。]
重合開始剤は、重合性液晶化合物などの重合反応を開始し得る化合物である。重合開始剤としては、光の作用により活性ラジカルを発生する光重合開始剤が好ましい。
溶剤としては、重合性液晶化合物及び二色性色素を完全に溶解し得るものが好ましく、また、重合性液晶化合物の重合反応に不活性な溶剤であることが好ましい。
該固形分が50質量%以下であると、液晶硬化膜形成用組成物の粘度が低くなることから、液晶硬化膜の厚みが略均一になることで、当該液晶硬化膜にムラが生じにくくなる傾向がある。また、かかる固形分は、製造しようとする液晶硬化膜の厚みを考慮して定めることができる。
増感剤としては、光増感剤が好ましい。増感剤としては、例えば、キサントン及びチオキサントンなどのキサントン化合物(例えば、2,4−ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントンなど);アントラセン及びアルコキシ基含有アントラセン(例えば、ジブトキシアントラセンなど)などのアントラセン化合物;フェノチアジン及びルブレンなどが挙げられる。
前記重合禁止剤としては、ハイドロキノン、アルコキシ基含有ハイドロキノン、アルコキシ基含有カテコール(例えば、ブチルカテコールなど)、ピロガロール、2,2,6,6−テトラメチル−1−ピペリジニルオキシラジカルなどのラジカル捕捉剤;チオフェノール類;β−ナフチルアミン類及びβ−ナフトール類等が挙げられる。
レベリング剤とは、液晶硬化膜形成用組成物の流動性を調整し、液晶硬化膜形成用組成物の塗布膜をより平坦にする機能を有するものであり、例えば、界面活性剤を挙げることができる。好ましいレベリング剤としては、ポリアクリレート化合物を主成分とするレベリング剤及びフッ素原子含有化合物を主成分とするレベリング剤が挙げられる。
レベリング剤の含有量が前記の範囲内であると、重合性液晶化合物を水平配向させることが容易であり、かつ得られる液晶硬化膜がより平滑となる傾向があるため好ましい。重合性液晶化合物に対するレベリング剤の含有量が前記の範囲を超えると、得られる液晶硬化膜にムラが生じやすい傾向があるため好ましくない。液晶硬化膜形成用組成物は、レベリング剤を2種類以上含有していてもよい。
液晶硬化膜形成用組成物は、重合性非液晶化合物を含有しても良い。重合性非液晶化合物を含有することで、重合反応性部位の架橋密度を高め、前記液晶硬化膜の強度を向上させることができる。
液晶硬化膜形成用組成物が溶剤を含む場合には、通常、塗布された液晶硬化膜形成用組成物から溶剤を除去する。溶剤の除去方法としては、自然乾燥法、通風乾燥法、加熱乾燥及び減圧乾燥法等が挙げられる。
二色性色素は通常、重合性液晶化合物に伴って配向する。
配向した重合性液晶化合物に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物を重合する。この際、フォトマスクによってマスキングされた領域の重合性液晶化合物は重合しない。
活性エネルギー線の照射は、フォトマスクを、配向した重合性液晶化合物に圧着した状態で行うのが好ましい。圧着した状態で行うことにより、エッジが明確なパターン化した液晶硬化膜を得ることができる。
活性エネルギー線は、基材の法線方向に対して平行が紫外線であるとより好ましい。
フォトマスクによってマスキングされた領域の重合していない重合性液晶化合物は、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を、かかる液晶硬化膜に含まれる二色性色素の23℃における飽和溶解度が1質量%以下である溶剤で洗浄することで除去される。かかる飽和溶解度は、好ましくは0.4質量%以下であり、より好ましくは0.1質量%以下である。
前記溶剤としては、メタノール、エタノール、1−プロパノール、イソプロピルアルコール、ブタノール、ペンタノール、ヘキサノール、ヘプタノール、オクタノール、ノナノール、デカノール、ウンデカノール、エチレングリコール、プロピレングリコール、メチルセロソルブ、ブチルセロソルブ及びプロピレングリコールモノメチルエーテル等のアルコール溶剤;エチレングリコールメチルエーテルアセテート、γ−ブチロラクトン又はプロピレングリコールメチルエーテルアセテート及び乳酸エチルなどのエステル溶剤;アセトン、メチルエチルケトン、シクロペンタノン、シクロヘキサノン、2−ヘプタノン及びメチルイソブチルケトンなどのケトン溶剤;ペンタン、ヘキサン及びヘプタンなどの脂肪族炭化水素溶剤;トルエン及びキシレンなどの芳香族炭化水素溶剤、アセトニトリルなどのニトリル溶剤;等が挙げられる。好ましくはアルコール溶剤を含む溶剤であり、より好ましくは、メタノール、エタノール及びイソプロピルアルコールからなる群から選ばれる少なくとも1つを含む溶剤である。
図3は、円状のパターン領域を有するパターン偏光フィルム101の模式図である。110、120及び130は、前記パターン偏光フィルム100と同じ意味を表す。
本発明の製造方法によって得られるパターン偏光フィルム(以下、本パターン偏光フィルムということがある)は、偏光度が高い領域と、単体透過率が高い領域とを有するため、表示装置等において必要な領域にのみ高い偏光特性を付与することができる。
偏光度(%)={(T1−T2)/(T1+T2)}×100 (11)
(ここでT1及びT2はそれぞれ、偏光フィルムに直線偏光を入射した際の単体透過率であり、T1は透過軸方向から光を出射した際の単体透過率、T1は吸収軸方向から光を出射した際の単体透過率である。)
単体透過率(%)=(T1+T2)/2 (10)
(T1及びT2は前記と同じ意味を表す。)
本パターン偏光フィルムと、1/4波長板とを積層することでパターン円偏光板が得られる。この際、本パターン偏光フィルムにおける領域(B)の透過軸と、1/4波長板の遅相軸(光軸)とが実質的に45°となるようにして積層するのが好ましい。実質的に45°とは、通常45±5°の範囲である。また、領域(B)と位相差フィルムの光軸を一致又は、直交させることで光学補償フィルムとして機能するパターン偏光フィルムを得ることができる。
延伸フィルムの遅相軸方向は延伸方法により異なり、一軸、二軸または斜め延伸等、その延伸方法に応じて遅相軸および光軸が決定される。長手方向に一軸延伸された延伸フィルムは生産性が高く、汎用性に富むため好ましい。
nx≒ny<nz (70)
nxは、ポジティブCフィルムが形成する屈折率楕円体において、フィルム平面対して平行な方向の主屈折率を表す。nyは、ポジティブCフィルムが形成する屈折率楕円体において、フィルム平面対して平行であり、且つ、該nxの方向に対して直交する方向の屈折率を表す。nzは、ポジティブCフィルムが形成する屈折率楕円体において、フィルム平面に対して垂直な方向の屈折率を表す。
1/2波長板及びポジティブCフィルムは、重合性液晶化合物を重合させることにより形成される塗布膜でもよく、延伸フィルムでもよい。
このような特性を有するパターン円偏光板を用いることにより、表示装置の必要な領域のみに反射防止特性を付与することができる。
同様に、領域(B)が積層された領域の反射率は、好ましくは15%以下であり、より好ましくは10%以下であり、さらに好ましくは5%以下である。
図4(a)及び(b)は、パターン化した液晶硬化膜1、基材2、及び、1/4波長板6を有するパターン円偏光板10である。
図4(c)及び(d)は、パターン化した液晶硬化膜1、基材2、1/4波長板6及び1/2波長板3を有するパターン円偏光板10である。
図4(e)は、パターン化した液晶硬化膜1、1/4波長板6及び1/2波長板3を有するパターン円偏光板10である。かかるパターン円偏光板は、1/2波長板3を基材として用い、その表面にパターン化した液晶硬化膜を形成することで得ることができる。また、本パターン偏光フィルムが有するパターン化した液晶硬化膜を、1/2波長板3に貼合したのち、本パターン偏光フィルムが有する基材を取り除き、さらに1/4波長板6を積層することでも得られる。
図4(f)〜(h)は、パターン化した液晶硬化膜1、1/4波長板6、1/2波長板3及び、ポジティブCフィルム4を有するパターン円偏光板10である。これらのパターン円偏光板は、図4(e)で示したパターン円偏光板と同様の方法で製造することができる。
ポジティブCフィルムの積層順に制限はないが、パターン偏光フィルムが有するパターン化した液晶硬化膜、1/2波長板及び1/4波長板がこの順番で積層される必要がある。このように積層することで、得られるパターン円偏光板は可視光域における各波長の光に対して、一様な偏光変換の特性が得られるため、反射防止特性に優れる傾向がある。
本発明の製造方法は、好ましくは、Roll to Roll形式により連続的に行われる。図5を参照して、Roll to Roll形式により連続的に製造する方法の要部の一例を説明する。
かかる製造方法は、
第2ロール220から連続的にパターン偏光フィルムを巻き出すとともに、長尺の1/4波長板が巻き取られている第3ロール230から連続的に長尺の1/4波長板を巻き出す工程と、
前記パターン偏光フィルムと、前記長尺の1/4波長板とを連続的に貼合して長尺のパターン円偏光板を得る工程と、
得られた長尺のパターン円偏光板を第4の巻芯240Aに巻き取り、第4ロール240を得る工程とからなる。この方法はいわゆるRoll to Roll貼合である。なお、貼合には接着剤を用いてもよい。
所定の溶剤に対する各二色性色素の23℃での飽和溶解度は以下の方法で測定した。サンプル管に各溶剤5gと二色性色素を0.2g秤量し、23℃に設定したウォーターバス中で24時間撹拌することで飽和溶解度溶液を調整した。この溶液をサンプリングし、標準液5mLと共にテトラヒドロフラン中に溶解して測定溶液を調製した。この測定溶液を液体クロマトグラフ(島津製作所製;LC−10AT)に注入し、それぞれのピーク面積値の比率と別途作成した検量線から、23℃での所定の溶剤への二色性色素の飽和溶解度を計算した。尚、標準液にはヘキシルベンゼン10mlとアセトニトリル1000mlから調製したものを用いた。
液体クロマトグラフ(LC)測定は以下に示す条件で行った。
使用カラム:KinetexC18、2.6μm、100mm×4.6mmφ
カラム温度:40℃
移動相:(A液)0.1%(v/v)−TFA/水
(B液)0.1%(v/v)−TFA/アセトニトリル50%/THF50%
グラジェント条件 0min A液60%、B液40%
30min A液0%、B液100%
35min A液0%、B液100%
35.1min A液60%、B液40%
45min STOP TOTAL 45min流量:1.0mL/min
注入量:5μL
検出方法:UV(254nm)
下記の成分を混合し、80℃で1時間攪拌することで、液晶硬化膜形成用組成物を得た。二色性色素には、特開2013−101328号公報の実施例に記載のアゾ系色素を用いた。
重合性液晶化合物:
75部
25部
二色性色素1:
2.8部
重合開始剤;
2−ジメチルアミノ−2−ベンジル−1−(4−モルホリノフェニル)ブタン−1−オン(イルガキュア369;チバスペシャルティケミカルズ社製) 6部
レベリング剤;
ポリアクリレート化合物(BYK−361N;BYK−Chemie社製)
1.2部
溶剤;o-キシレン 250部
トリアセチルセルロースフィルム(コニカミノルタ社製KC4UY-TAC、厚さ40μm)を80×80mmに切り出し、その表面にコロナ処理(AGF−B10、春日電機株式会社製)を施した。コロナ処理が施されたフィルム表面に、バーコーターを用いて光配向膜形成用組成物を塗布した後、120℃に設定した乾燥オーブンで1分間乾燥し、第一の塗布膜を得た。第一の塗布膜に、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、フィルムの長手方向に対して0°方向の偏光UVを、50mJ/cm2(313nm基準)の積算光量で照射し光配向膜を形成した。得られた光配向膜上に、バーコーターを用いて70×80mmの領域に液晶硬化膜形成用組成物を塗布した後、110℃に設定した乾燥オーブンで1分間乾燥することで、重合性液晶化合物及び二色性色素が配向した第二の塗布膜を得た。第二の塗布膜中央部に、40×40mmのフォトマスク(線幅275μm)を介して、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm2)することにより、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得た。得られた液晶硬化膜を有するフィルムを、エタノール中に3分間浸漬して、重合していない重合性液晶化合物を洗浄除去し、縞状のパターンを有するパターン偏光フィルム(1)を得た。得られたパターン偏光フィルム(1)は、図2に示した本発明のパターン偏光フィルムの模式図と同様の形状をしていた。
二色性色素1のエタノールへの飽和溶解度は0.003質量%であった。
〔偏光度、単体透過率の測定〕
パターン偏光フィルム(1)のパターン化した液晶硬化膜が形成した領域及び、フォトマスクによってマスキングして得られた領域について、以下のようにして偏光度及び、単体透過率を測定した。透過軸方向の単体透過率(T1)及び吸収軸方向の単体透過率(T2)を、分光光度計(島津製作所株式会社製 UV−3150)に偏光子付フォルダーをセットした装置を用いて、ダブルビーム法により2nmステップ380〜680nmの波長範囲で測定した。吸収軸方向の吸光度が最も大きい波長(λMAX)における透過軸方向の単体透過率(T1)、及び、吸収軸方向の単体透過率(T2)の値から、下記式(10)及び、式(11)を用いて偏光度及び単体透過率を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のλMAXは520nmであり、偏光度は92.8%、単体透過率は44.0%であった。また、フォトマスクによってマスキングして得られた領域では光の吸収は測定されず、偏光度は0%、単体透過率は92%であった。
単体透過率(%)=(T1+T2)/2 (10)
偏光度(%)={(T1−T2)/(T1+T2)}×100 (11)
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(1)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.0μmであった。
パターン偏光フィルム(1)の厚さは42μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(1)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、271μm、275μm、275μm、274μm、278μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mm2であった。
〔楕円率測定〕
パターン偏光フィルム(1)に粘着剤を介して、環状オレフィン系樹脂の一軸延伸フィルムである1/4波長板(ゼオノアフィルム、日本ゼオン株式会社、面内位相差値Ro:138nm)を貼合し、パターン円偏光板(1)を得た。パターン円偏光板(1)におけるパターン化した液晶硬化膜が形成した領域が積層され領域及び、フォトマスクによってマスキングして得られた領域が積層された領域について、王子計測機器(株)製の自動複屈折計「KOBRA(登録商標)」を用いて、波長550nmの光に対する楕円率を測定した。結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域が積層され領域の、波長550nmでの楕円率は92%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域が積層され領域の、波長550nmでの楕円率は0%であった。すなわち、パターン偏光フィルム(1)から特定波長の光に対する反射防止特性に優れるパターン円偏光板が得られた。
〔液晶硬化膜形成用組成物2の製造〕
実施例1の液晶硬化膜形成用組成物1中にさらに以下の二色性色素を加えて液晶硬化膜形成用組成物2を製造し、塗工液として用いた以外は実施例1と同様にして、パターン偏光フィルム(2)を製造した。
二色性色素2:
2.8部
二色性色素3:
2.8部
二色性色素2のエタノールへの飽和溶解度は0.001質量%であった。
二色性色素3のエタノールへの飽和溶解度は0.061質量%であった。
[パターン偏光フィルムの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例1と同様にして、偏光度及び単体透過率を測定した。JIS Z 8701の2度視野(C光源)により視感度補正を行い視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=92.3%、Ty=43.7%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(2)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.0μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後での減膜率は0%であった。パターン偏光フィルム(2)の厚さは42μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(2)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、275μm、272μm、275μm、274μm、274μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mm2であった。
〔楕円率測定〕
パターン偏光フィルム(2)に粘着剤を介して一軸延伸フィルムである1/4波長板(ピュアエースWRF−S、帝人株式会社製)を貼合し、パターン円偏光板(2)を得た。
前記1/4波長板のリタデーション(Re(λ))を、王子計測機器(株)製の自動複屈折計「KOBRA(登録商標)」を用いて測定したところ、Re(450)=132nm、Re(550)=145nm、Re(590)=147nm、Re(630)=148nm、Re(750)=151nmであり、逆波長分散特性を示した。パターン円偏光板(2)のパターン化した液晶硬化膜が形成した領域が積層された領域及び、フォトマスクによってマスキングして得られた領域が積層された領域について、王子計測機器(株)製の自動複屈折計「KOBRA(登録商標)」を用いて、波長450nm、550nm、590nm、630nm及び、750nmの光に対する楕円率を測定した。結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域が積層された領域の、波長450nmでの楕円率は77%、550nmでの楕円率は91%、590nmでの楕円率は99%、630nmでの楕円率は92%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域が積層された領域の、波長450nmでの楕円率は0%、550nmでの楕円率は0%、590nmでの楕円率は0%、630nmでの楕円率は0%であった。すなわち、パターン偏光フィルム(2)から反射防止特性に優れるパターン円偏光板が得られた。
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、メタノールにした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(3)を得た。
二色性色素1のメタノールへの飽和溶解度は0.001質量%であった。
二色性色素2のメタノールへの飽和溶解度は0.001質量%であった。
二色性色素3のメタノールへの飽和溶解度は0.015質量%であった。
[パターン偏光フィルムの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=92.7%、Ty=43.9%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(3)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.1μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後の減膜率は0%であった。パターン偏光フィルム(3)の厚さは43μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(3)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、278μm、275μm、277μm、278μm、274μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mm2であった。
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、イソプロピルアルコールにした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(4)を得た。
二色性色素1のイソプロピルアルコールへの飽和溶解度は0.002質量%であった。
二色性色素2のイソプロピルアルコールへの飽和溶解度は0.043質量%であった。
二色性色素3のイソプロピルアルコールへの飽和溶解度は0.001質量%であった。
[パターン偏光フィルムの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=93.8%、Ty=43.6%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(4)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.0μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後の減膜率は0%であった。パターン偏光フィルム(4)の厚さは43μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(4)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、274μm、278μm、275μm、277μm、278μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mm2であった。
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、プロピレングリコール1−モノメチルエーテルにし、該溶剤に浸漬して重合していない重合性液晶化合物を洗浄除去する時間を20秒とした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(5)を得た。
二色性色素1のプロピレングリコール1−モノメチルエーテルへの飽和溶解度は0.028質量%であった。
二色性色素2のプロピレングリコール1−モノメチルエーテルへの飽和溶解度は0.336質量%であった。
二色性色素3のプロピレングリコール1−モノメチルエーテルへの飽和溶解度は0.017質量%であった。
[パターン偏光フィルムの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=93.7%、Ty=44.2%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(5)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.0μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後の減膜率は0%であった。パターン偏光フィルム(5)の厚さは42μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(5)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、272μm、278μm、277μm、274μm、275μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mm2であった。
トリアセチルセルロースフィルムの代わりに実施例2で用いた一軸延伸フィルム(ピュアエースWRF−S、帝人株式会社製、厚さ50μm)を用い、さらに、偏光UVの照射を、偏光UVの偏光振動方向を前記一軸延伸フィルムの遅相軸に対して45°となるようにして照射した以外は、実施例1と同様にしてパターン偏光フィルム(6)を作製した。
[パターン偏光フィルム(6)の評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を測定した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=95.7%、Ty=41.7%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=89.0%/であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(6)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ2.5μmであった。
パターン偏光フィルム(6)の厚さは53μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(6)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、276μm、277μm、276μm、274μm、273μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mm2であった。
〔楕円率測定〕
パターン偏光フィルム(6)のパターン化した液晶硬化膜が形成した領域及び、フォトマスクによってマスキングして得られた領域について、王子計測機器(株)製の自動複屈折計「KOBRA(登録商標)」を用いて、波長450nm、550nm、590nm、630nm及び、750nmの光に対する楕円率を測定した。結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域の、波長450nmでの楕円率は78%、550nmでの楕円率は92%、590nmでの楕円率は96%、630nmでの楕円率は88%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域の、波長450nmでの楕円率は0%、550nmでの楕円率は0%、590nmでの楕円率は0%、630nmでの楕円率は0%であった。すなわち、パターン偏光フィルム(6)は反射防止特性に優れるパターン円偏光板である。
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、プロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートにした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(7)を得た。
二色性色素1のプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートへの飽和溶解度は0.077質量%であった。
二色性色素2のプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートへの飽和溶解度は0.89質量%であった。
二色性色素3のプロピレングリコール1−モノメチルエーテル2−アセタートへの飽和溶解度は0.026質量%であった。
[パターン偏光フィルムの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=66.4%、Ty=49.8%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(7)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ1.85μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後の減膜率は5%であった。パターン偏光フィルム(7)の厚さは42μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(7)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、282μm、270μm、272μm、279μm、277μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mm2であった。
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、酢酸エチルにした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(8)を作製したところ、基材フィルムであるトリアセチルセルロースフィルムが溶解し、サンプルが得られなかった。そこで、トリアセチルセルロースフィルムの代わりに50×50mmのガラス基板(厚さ1mm)に、スピンコーターを用いて光配向膜形成用組成物を塗布した後、120℃に設定したホットプレートで1分間乾燥し、第一の塗布膜を得た。第一の塗布膜に、偏光UV照射装置(SPOT CURE SP−7;ウシオ電機株式会社製)を用いて、フィルムの長手方向に対して0°方向の偏光UVを、50mJ/cm2(313nm基準)の積算光量で照射し光配向膜を形成した。得られた光配向膜上に、スピンコーターを用いて50×50mmの領域に液晶硬化膜形成用組成物を塗布した後、110℃に設定したホットプレートで1分間乾燥することで、重合性液晶化合物及び二色性色素が配向した第二の塗布膜を得た。
第二の塗布膜中央部に、40×40mmのフォトマスク(線幅275μm)を介して、高圧水銀ランプ(ユニキュアVB―15201BY−A、ウシオ電機株式会社製)を用いて、紫外線を照射(窒素雰囲気下、波長:365nm、波長365nmにおける積算光量:1000mJ/cm2)することにより、重合性液晶化合物の重合物と重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得た。
[パターン偏光ガラスの評価]
二色性色素1の酢酸エチルへの飽和溶解度は0.059質量%であった。
二色性色素2の酢酸エチルへの飽和溶解度は1.3質量%であった。
二色性色素3の酢酸エチルへの飽和溶解度は0.023質量%であった。
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=33.1%、Ty=58.7%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。
〔膜厚測定〕
パターン偏光フィルム(8)におけるパターン化した液晶硬化膜の厚さを、レーザー顕微鏡(LEXT、オリンパス株式会社製)を用いて測定したところ1.85μmであり、重合性液晶化合物の重合物を含む液晶硬化膜の、洗浄前後の減膜率は8%であった。パターン偏光フィルム(8)の厚さは1002μmであった。
〔線幅測定〕
パターン偏光フィルム(8)における、縞状に形成した液晶硬化膜の幅を偏光顕微鏡で測定した。それぞれ異なる液晶硬化膜5点の幅を測定したところ、幅はそれぞれ、277μm、274μm、278μm、274μm、273μmであった。フォトマスクの線幅(275μm)とほぼ一致しており、フォトマスクの線幅でパターニングできていることを確認した。また、縞状に形成した液晶硬化膜の連続した面積は8.3mm2であった。
参考例2
実施例2における液晶硬化膜を洗浄する溶剤であるエタノールを、テトラヒドロフランにした以外は実施例2と同様にしてパターン偏光フィルム(9)を作製したところ、基材フィルムであるトリアセチルセルロースフィルムが溶解し、サンプルが得られなかった。
そこで、参考例3と同様にしてガラス基板上にパターン化した液晶硬化膜を作製した。
二色性色素1のテトラヒドロフランへの飽和溶解度は0.33質量%であった。
二色性色素2のテトラヒドロフランへの飽和溶解度は4.5質量%であった。
二色性色素3のテトラヒドロフランへの飽和溶解度は0.33質量%であった。
[パターン偏光ガラスの評価]
〔偏光度、単体透過率の測定〕
実施例2と同様にして、視感度補正偏光度(Py)及び、視感度補正単体透過率(Ty)を算出した。その結果、パターン化した液晶硬化膜が形成した領域のPy=0.1%、Ty=92.1%であった。フォトマスクによってマスキングして得られた領域のPy=0%、Ty=92.0%であった。重合性液晶化合物の重合物まで溶解し、パターン化した液晶硬化膜はほとんど得られなかった。
2 基材
3 1/2波長板
4 ポジティブCフィルム
6 1/4波長板
10 本パターン円偏光板
100 縞状のパターン領域を有する本パターン偏光フィルム
101 円状のパターン領域を有する本パターン偏光フィルム
110 液晶硬化膜が形成した領域
120 フォトマスクによってマスキングして得られた領域
130 液晶硬化膜形成用組成物を塗布しなかった領域
210 第1ロール
210A 巻芯
220 第2ロール
220A 巻芯
211A,211B 塗布装置
212A,212B,212C 乾燥炉
213A 偏光UV照射装置
213B 活性エネルギー線照射装置
214 溶剤漕
300 補助ロール
230 第3ロール
230A 巻芯
240 第4ロール
240A 巻芯
300 補助ロール
400 本パターン偏光フィルムの断面
410 液晶硬化膜
420 基材
H 液晶硬化膜が積層された領域の厚さ
h 液晶硬化膜の厚さ
Claims (14)
- 下記(1)〜(4)の工程を含むパターン偏光フィルムの製造方法。
(1)基材又は配向膜が形成された基材の表面に、重合性液晶化合物及び二色性色素を含む組成物を塗布する工程
(2)塗布された重合性液晶化合物及び二色性色素を配向させる工程
(3)配向した重合性液晶化合物に、フォトマスクを介して活性エネルギー線を照射することにより、重合性液晶化合物の重合物と、重合していない重合性液晶化合物とを含む液晶硬化膜を得る工程
(4)前記液晶硬化膜を、23℃における前記二色性色素の飽和溶解度が1質量%以下である溶剤で洗浄し、前記重合していない重合性液晶化合物を除去することによりパターン化した液晶硬化膜を得る工程 - 基材が樹脂基材である請求項1記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
- 溶剤が、アルコール溶剤を含む溶剤である請求項1又は2記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
- フォトマスクを、配向した重合性液晶化合物に圧着した状態で、活性エネルギー線を照射する請求項1〜3のいずれかに記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
- 活性エネルギー線が、基材面の法線方向に対して平行な紫外線である請求項1〜4のいずれかに記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
- フォトマスクが有するマスクしない領域の形状が線状である請求項1〜5に記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
- マスクしない領域の幅が1μm〜10mmである請求項6に記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
- マスクしない領域の幅が1μm〜1mmである請求項6に記載のパターン偏光フィルムの製造方法。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の製造方法によって得られるパターン偏光フィルム。
- 請求項9に記載のパターン偏光フィルムにおける基材が、1/4波長板機能を有する位相差フィルムであるパターン円偏光板。
- 請求項9に記載のパターン偏光フィルムと、1/4波長板機能を有する位相差フィルムとを有するパターン円偏光板。
- 1/4波長板機能を有する位相差フィルムが逆波長分散特性を有する請求項10又は11に記載のパターン円偏光板。
- 請求項9に記載のパターン偏光フィルムにおける基材が、1/2波長板機能を有する位相差フィルムであり、前記基材にさらに、1/4波長板機能を有する位相差フィルムを積層したパターン円偏光板。
- さらに、ポジティブCフィルムを有する請求項10〜13のいずれかに記載のパターン円偏光板。
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