JP2018105407A - ボルト、締結器具、および鍛造装置 - Google Patents

ボルト、締結器具、および鍛造装置 Download PDF

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Abstract

【課題】ボルトに装着されているナットが突然ボルトから外れることによる被害を防止すること。
【解決手段】本発明のボルト10は、第1のネジ部12aと、第2のネジ部12bと、第1のネジ部12aと第2のネジ部12bとを連結する非ネジ部12cとを備えている。これにより、ボルトに締め付けたナットの緩みを抑制しつつ、ボルトとナットによる部品同士の締結が損なわれる前にボルトとナットの緩みやボルトおよびナットの疲労を作業者が目視により把握することを可能となる。本発明のボルトは、ボルトとナットによる部品同士の締結がボルトあるいはナットの破損により突然損なわれるのを未然に防止することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、ボルト、締結器具、および鍛造装置に関し、特に、第1のネジ部と第2のネジ部とこれらを連結する非ネジ部とを備えたボルト、このようなボルトを含む締結器具、およびこのような締結器具を用いた鍛造装置に関するものである。
機械や建築などの分野では、一般に、機械の部品や建築物の構成部材を固定する締結部材としてボルトとナットが広く用いられている。
ところが、ボルトとナットは、ボルトのネジ山の表面とナットのネジ山の表面との間に生ずる摩擦力により固定されるものであるため、ボルトに締め付けられたナットが振動や衝撃により緩むといった問題がある。
そこで、従来から、ボルトとナットとの緩みを防止するために、ボルトやナットの構造を工夫したり、座金の構造を工夫したり、緩み止め防止塗料を用いたりといった種々の対策が講じられてきている。
特許文献1には、ナットの緩み防止対策の一つとして割ピンを用いる方法が開示されている。この方法は、ボルトの先端に形成した穴に割ピンを挿入すると同時に、ナットの端面に形成した溝に割ピンを嵌め込むことにより、割ピンによりナットの緩みを規制するというものである。
実開平7−16016号公報
上記のように、割ピンなどを用いることで、ボルトに対するナットの緩みを規制することはできるが、ボルトに締結されたナットに対して繰り返し大きな衝撃が作用する状況では、ナットのネジ山やボルトのネジ山、あるいは割ピンなどの破損により、ボルトに装着されているナットが突然ボルトから外れるという問題があった。
例えば、工場などで稼働中の装置において、部品同士を締結するボルトとナットが突然外れると、部品同士の固定が不完全な状態で装置が動作することとなり、装置の致命的な損傷や人的被害を招くといった大きな問題が生ずるおそれがある。
本発明は、上記の課題を解決することを目的とする。
本発明者らは、上記課題を解決するために鋭意研究開発を行った結果、ボルトに第1のネジ部と第2のネジ部とこれらを連結する非ネジ部とを設けることによって、ボルトに締め付けたナットの緩みを抑制しつつ、ボルトおよびナットに一定以上の疲労が蓄積したときに、部品同士の締結は維持しながらもボルトを部分的に破損させることができることを見出した。この部分的な破損は目視によって容易に把握することができるため、部品同士の締結が突然外れて大きな被害が生じる前に、ボルトおよびナットを交換することができる。
本発明のボルトは、第1のネジ部と、第2のネジ部と、該第1のネジ部と該第2のネジ部とを連結する非ネジ部とを備えている。
本発明の1つの実施形態では、前記第1のネジ部および前記第2のネジ部のうち、一方は正ネジ部であり、他方は逆ネジ部である。
本発明の1つの実施形態では、前記非ネジ部は、前記第1のネジ部および前記第2のネジ部よりも機械的強度が弱い。
本発明の1つの実施形態では、前記非ネジ部の外径は、前記第1のネジ部の谷径および前記第2のネジ部の谷径よりも小さい。
本発明の1つの実施形態では、前記第1のネジ部の外径は、前記第2のネジ部の外径より大きい径を有している。
本発明の1つの実施形態では、前記非ネジ部の軸方向の長さは、前記第1のネジ部に螺合するナットと前記第2のネジ部に螺合するナットとが接触可能な長さである。
本発明の締結器具は、請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のボルトと、該ボルトの前記第1のネジ部に螺合する第1のナットと、該ボルトの前記第2のネジ部に螺合する第2のナットとを備えている。
本発明の鍛造装置は、被処理物を鍛造により成型する鍛造装置であって、下型を支持する下部筐体と、該下型上に配置された該被処理物上に上型を打ち付ける打付け手段を備えた上部筐体と、該下部筐体に該上部筐体を固定する固定機構とを備え、該固定機構は請求項7に記載の締結器具を含んでいる。
本発明によれば、ボルトに締め付けたナットの緩みを抑制しつつ、ボルトとナットによる部品同士の締結が損なわれる前にボルトとナットの緩みやボルトおよびナットの疲労を作業者が目視により把握することを可能になる。これにより、ボルトとナットによる部品同士の締結がボルトあるいはナットの破損により突然損なわれるのを未然に防止することができる。
図1は、本発明の実施形態1によるボルト10および締結器具100を説明するための図であり、図1(a)は、ボルト10の構造を示し、図1(b)は、このボルト10を含む締結器具100を示す。 図2は、図1(b)に示す締結器具100の使用方法および機能を説明するための図であり、図2(a)は、ナット1a、1bを装着する方法を示し、図2(b)は、ボルト10を含む締結器具100が分断する様子を示す。 図3は、本発明の実施形態1の変形例によるボルト20および締結器具200を説明するための図であり、図3(a)は、ボルト20の構造を示し、図3(b)は、このボルト20を含む締結器具200を示す。 図4は、図3(b)に示す締結器具200の使用方法および機能を説明するための図であり、図4(a)は、ナット2a、2bを装着する方法を示し、図4(b)は、このボルト20を含む締結器具200が分断する様子を示す。 図5は、本発明の実施形態2による鍛造装置1000を説明するための図であり、図5(a)は、鍛造装置1000の構造を示し、図5(b)は、図5(a)のA1部分の外観を立体的に示し、図5(c)は、図5(a)のB部分(衝撃吸収機構1130)の構造を模式的に示す。 図6は、図5(a)のC部分(鍛造装置1000の押圧固定機構1300)の構造を拡大して示す図である。 図7は、図6に示す押圧固定機構1300の具体的な構成を説明するための図であり、図7(a)は、図6に示す鍛造装置1000から取り出した押圧固定機構1300を示し、図7(b)は、図7(a)に示す押圧固定機構1300を分解して示す。 図8は、図5に示す鍛造装置1000による鍛造のメカニズムを説明するための図であり、図8(a)は、ハンマーを打ち下ろした直後の鍛造装置1000の状態を示し、図8(b)は、図8(a)のA2部分の外観を立体的に示す。 図9は、図7に示す押圧固定機構1300のD部分の機能を説明するための図であり、押圧固定機構1300にて非ネジ部1312cが破断して第2のナット(緩止めナット)1301bが飛び出す様子を示す図である。 図10は、図5に示す鍛造装置1000の動作を説明するための図であり、図10(a)は、ハンマー1210を打ち下ろす直前の鍛造装置1000の状態を示し、図10(b)は、ハンマー1210を打ち下ろした直後の鍛造装置1000の状態を示す。 図11は、図5に示す鍛造装置1000の動作を説明するための図であり、図11(a)〜図11(c)は、鍛造装置1000が、ハンマー1210を打ち下ろした衝撃により振動する様子を示す。 図12は、図11に示すように鍛造装置1000の押圧固定機構1300にてボルト1310の非ネジ部1312cが破断する前の締結器具1300aの状態(図12(a))と、非ネジ部1312cが破断した後の締結器具1300aの状態(図12(b))とを対比して示す図である。
以下、本発明の実施形態について図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
図1は、本発明の実施形態1によるボルト10および締結器具100を説明するための図であり、図1(a)は、ボルト10の構造を示し、図1(b)は、このボルト10を含む締結器具100を示す。
〔ボルト10〕
図1(a)に示すボルト10は、ボルト頭部11とボルト軸部12とを有する。ボルト軸部12は、第1のネジ山12a1が形成された第1のネジ部12aと、第2のネジ山12b1が形成された第2のネジ部12bと、第1のネジ部12aと第2のネジ部12bとを連結する非ネジ部12cとを有する。ボルト頭部11はボルト軸部12に対して着脱可能であってもよいし、固定されていてもよい。
ここで、第1のネジ部12aおよび第2のネジ部12bはそれぞれナットが螺合する部分である。第1のネジ部12aに形成された第1のネジ山12a1および第2のネジ部12bに形成された第2のネジ山12b1の形態は任意の形態であり得る。図1(a)に示す実施形態においては、第1のネジ部12aに形成された第1のネジ山12a1の形態は、第1のネジ部12aに螺合するナットを右回転させたときにナットがボルト頭部11に向かって進む正ネジ部であり、第2のネジ部12bに形成された第2のネジ山12b1の形態は、この第2のネジ部12bに螺合するナットを左回転させたときにナットがボルト頭部11に向かって進む逆ネジ部であるがこれに限定されない。例えば、第1のネジ部12aの第1のネジ山12a1が逆ネジ部であり、第2のネジ部12bに形成された第2のネジ山12b1が正ネジ部であってもよいし、第1のネジ部12aの第1のネジ山12a1が正ネジ部であり、第2のネジ部12bに形成された第2のネジ山12b1が正ネジ部であってもよいし、第1のネジ部12aの第1のネジ山12a1が逆ネジ部であり、第2のネジ部12bに形成された第2のネジ山12b1が逆ネジ部であってもよい。
非ネジ部12cの軸方向の長さは、第1のネジ部に螺合するナットと第2のネジ部に螺合するナットとが接触可能な長さであるように構成されている。具体的な実施形態において、非ネジ部12cの軸方向の長さは、約8mm以上であり得る。
好ましい実施形態において、非ネジ部12cは、第1のネジ部12aおよび第2のネジ部12bに比べて機械的強度の弱い構造となっている。この非ネジ部における機械的強度の弱い構造は、機械的強度を弱くする任意の手段によって構成され得る。たとえば、溝、スリット、孔などを設けてもよいし、材料を第1のネジ部12aおよび第2のネジ部12bよりも強度の低い材料としてもよいし、第1のネジ部12aおよび第2のネジ部12bよりも小さい径としてもよい。
好ましい実施形態において、非ネジ部12cは、その外径が第1のネジ部12aのネジ山12a1の谷径および第1のネジ部12bのネジ山12b1の谷径よりも小さい径(すなわち第1のナット1aおよび第2のナット1bの内径よりも小さい径)となるように構成されている。
〔締結器具100〕
図1(b)に示す締結器具100は、図1(a)に示すボルト10と、ボルト10の第1のネジ部12aに螺合する第1のナット1aと、ボルト10の第2のネジ部12bに螺合する第2のナット1bとを有する。さらに、締結器具100は、第1のネジ部12aに装着される第1の座金11aおよび第2の座金11bを有していてもよい。
この締結器具100では、第1のナット1aを非ネジ部12cと第1のネジ部12aとに跨るように配置し、第2のナット1bを非ネジ部12cと第2のネジ部12bとに跨るように配置して、第1のナット1aと第2のナット1bとを接触させることが可能である。
図1(b)に示す実施形態においては、第1のネジ山12a1の外径Da11および谷径Da12と、第2のネジ山12b1の外径Db11および谷径Db12と、非ネジ部12cの径Dc1とは、以下の式(1)が示す大小関係を満たす。
Da11>Da12>Db11>Db12=Dc1 ・・・式(1)
すなわち、ボルト軸部12は、非ネジ部12cが、ボルト軸部12の他の部分、すなわち、第1のネジ部12aおよび第2のネジ部12bに比べて機械的強度の弱い構造となっている。
また、第1のネジ山12a1の高さHa1およびピッチPa1と、第2のネジ山12b1の高さHb1およびピッチPb1とは、以下の式(2)および式(3)が示す大小関係を満たす。
Ha1>Hb1 ・・・式(2)
Pa1>Pb1 ・・・式(3)
この実施形態1のボルト10は、少なくとも以下の式(4)〜式(6)が示す大小関係を満たす。
Da11>Db11>Dc1 ・・・式(4)
Da12≧Dc1 ・・・式(5)
Db12≧Dc1 ・・・式(6)
すなわち、ボルト軸部12は、第1のナット1aを非ネジ部12cと第1のネジ部12aとに跨るように配置し、第2のナット1bを非ネジ部12cと第2のネジ部12bとに跨るように配置して、第1のナット1aと第2のナット1bとを接触させることが可能な構造であればどのようなものでもよい。
また、ボルト10および第1のナット1aおよび第2のナット1bの材料としては、通常はボルトおよびナットは締結等を主目的として使われることから、使用環境、必要とする強度と耐久性を考慮して、鉄、ステンレス、真鍮等が用いられ、必要に応じ表面処理を施してもよい。より高度な耐久性や強度が必要とする場合、複合的に多くの条件に合わせる必要がある場合には、上記材料の他に、銅、燐青銅、アルミ、チタン、樹脂系(ポリ塩化ビニル、ABS等)といった材料を使用しても良い。
次に、実施形態1によるボルト10を含む締結器具100の作用効果について説明する。
図2は、図1(b)に示す締結器具100の使用方法および機能を説明するための図であり、図2(a)は、ナット1a、1bを装着する方法を示し、図2(b)は、ボルト10を含む締結器具100が非ネジ部12cで破断する様子を示す。
図2(a)に示すように、ボルト10のボルト軸部12に第1の座金11aを装着した後、ボルト軸部12を第1の被締結部材10aおよび第2の被締結部材10bのボルト孔(図示せず)に挿入し、第1の座金11bをボルト軸部12に装着する。
次に、図2(a)に矢印で示すように、ボルト軸部12の第1のネジ部12aに第1のナット1aを螺合させてボルト10に対して締め付ける。なお、ボルト軸部12の長さは、第1のナット1aを第1のネジ部12aに締め付けたときに、第1のナット1aの上面が第1のネジ部12aと第2のネジ部12bとの間に位置するように、第1の被締結部材10aおよび第2の被締結部材10bの厚みを考慮して設計されている。
次に、図2(a)に矢印で示すように、第2のネジ部12bに第2のナット1bを螺合させてボルト10に対して締め付ける。これにより、第2のナット1bは第1のナット1aに接触した状態となる。
この状態では、第1のナット1aが緩む方向の回転は、逆に第2のナット1bが締まる方向の回転である。そのため、第1のナット1aが緩む方向に回転すると、逆に第2のナット1bが締まる方向に回転し、第1のナット1aと第2のナット1bとの密着力が増大することとなる。その結果、第1のナット1aの緩みは規制される。
このようにこの締結器具100では、第1のナット1aの緩みが第2のナット1bにより規制されるため、第1のナット1aに振動や衝撃が作用しても第1のナット1aの緩みは回避される。
また、ボルト軸部12が振動や衝撃を繰り返し受けると、ボルト軸部12の疲労が進むこととなる。しかも、第1のナット1aの緩みを規制する第2のナット1bは、第1のナット1aが緩もうとする力に応じて第1のナット1aから押圧力や回転力(応力)を受ける。第2のナット1bが第1のナット1aから受けるこの押圧力や回転力(応力)は、第2のナットに螺合するボルト軸部12に伝わる。ボルト軸部12に伝わるこの押圧力や回転力(応力)が、ボルト軸部12の中で第1のネジ部12aおよび第2のネジ部12bに比べて機械的強度が弱い非ネジ部12cの限界応力を超えると、非ネジ部12cが図2(b)に示すように破断することとなる。
非ネジ部12cが破断すると、第2のナット1bが第2のネジ部12bとともにボルト軸部12から脱落することとなり、ボルト10には第1のナット1aが残った状態となる。この状態では、第1のネジ部12aにつながる非ネジ部12cの破断片12c1が第1のナット1aの上面に露出し、第2のネジ部12bにつながる非ネジ部12cの破断片12c2は第2のナット1bとともにボルト軸部12から除去される。
例えば、このような締結器具100が作業機械に用いられている場合、作業者は、締結器具100のボルト10に装着されている第1のナット1aおよび第2のナット1bのうちの第2のナット1bがボルト軸部12から脱落していることを確認することによって、締結器具100の交換の必要性を認識することが可能となる。さらに、締結器具100に、破断したことを目視で確認しやすい工夫を施していてもよい。例えば、非ネジ部12Cに第1のナット1aの外表面と第2のナット1bの外表面とは異なる色を着色してもよいし、第1のナット1aの第2のナット1bと接触する面に第1のナット1aの外表面と第2のナット1bの外表面とは異なる色を着色してもよい。
その結果、従来のように、第1のナット1aが脱落して、締結器具100による第1の被締結部材10aおよび第2の被締結部材10bの締結が解消されてしまう前に、第1のナット1aの緩みが生じている締結器具100を新たなものに交換するというメンテナンスが可能となる。このことは、特に被締結部材10aおよび第2の被締結部材10bに加わる振動や衝撃が大きい(例えば、衝撃エネルギーが約30kJ以上)場合や、被締結部材10aおよび第2の被締結部材10bに加わる振動や衝撃が繰り返し高速(例えば、衝撃が約0.5〜5秒以内に1回)で加わる場合に特に有利であり得る。被締結部材10aおよび第2の被締結部材10bに加わる振動や衝撃が大きい場合や繰り返し高速で加わる場合には、被締結部材同士の締結の解消によって甚大な被害が生じ得るからである。本発明の締結器具100が特に有利であり得る被締結部材の典型的な例は、鍛造装置である。
このように、本実施形態1によるボルト10は、第1のネジ部12aと、第2のネジ部12bと、第1のネジ部12aと第2のネジ部12bとを連結する非ネジ部12cとを備えているので、第1のネジ部12aに螺合する第1のナット1aに緩みが生じる際に、第2のネジ部12bに螺合する第2のナット1bに第1のナット1aから所定以上の大きな押圧力や回転力(応力)が作用すると、その押圧力や回転力(応力)が第2のナット1bを介してボルト軸部12に伝わる。その際、ボルト軸部12の中で機械的強度の弱い非ネジ部12cが破断して第2のナット1bが脱落する。その結果、第1のナット1aの緩みに起因するボルト10の疲労などにより第1のナット1aが脱落する前に、第1のナット1aの緩みが生じていることを、第2のナット1bの脱落を調べることにより人が目視で容易に判断することができ、これにより、突然、第1のナット1aがボルト10から外れて締結器具100による第1の被締結部材10aおよび第2の被締結部材10bの固定が損なわれるのを未然に防止することが可能となる。
(実施形態1の変形例)
図3は、本発明の実施形態1の変形例1によるボルト20および締結器具200を説明するための図であり、図3(a)は、ボルト20の構造を示し、図3(b)は、このボルト20を含む締結器具200を示す。
〔ボルト20〕
図3(a)に示すボルト20は、図1(a)に示す実施形態1のボルト10と同様に、ボルト頭部21とボルト軸部22とを有し、ボルト軸部22は、第1のネジ山22a1が形成された第1のネジ部22aと、第2のネジ山22b1が形成された第2のネジ部22bと、第1のネジ部22aと第2のネジ部22bとを連結する非ネジ部22cとを有する。
この変形例1のボルト20では、第1のネジ部22aと第2のネジ部22bとの大小関係が図1(a)に示すボルト10におけるものと異なっている。このボルト20のその他の構成は、実施形態1のボルト10と同一である。
具体的には、第1のネジ山22a1の外径Da21および谷径Da22と、第2のネジ山22b1の外径Db21および谷径Db22と、非ネジ部22cの径Dc2とは、以下の式(7)が示す大小関係を満たす。
Da21=Db21>Da22=Db22>Dc2 ・・・(7)
また、第1のネジ山22a1の高さHa2およびピッチPa2と、第2のネジ山22b1の高さHb2およびピッチPb2とは、以下の式(8)および式(9)が示す大小関係を満たす。
Ha2=Hb2 ・・・(8)
Pa2=Pb2 ・・・(9)
ここで、第1のネジ部22aの外径Da21および谷径Da22は、実施形態1のボルト10における第1のネジ部12aのものと等しくてもよいし、あるいは等しくなくてもよい。さらに、非ネジ部22cの径Dc2は、ボルト10における非ネジ部12cのものと等しくてもよいし、あるいは等しくなくてもよい。
従って、実施形態1の変形例1のボルト20においても、実施形態1のボルト10と同様に、ボルト軸部22は、非ネジ部22cの機械的強度が、ボルト軸部12の他の部分、すなわち、第1のネジ部22aおよび第2のネジ部22bに比べて弱い構造となっている。
〔締結器具200〕
図3(b)に示す締結器具200は、図3(a)に示すボルト20と、ボルト20の第1のネジ部22aに螺合する第1のナット2aと、ボルト20の第2のネジ部22bに螺合する第2のナット2bとを有する。さらに、締結器具200は、第1のネジ部22aに装着される第1の座金21aおよび第2の座金21bを有していてもよい。ここで、第1の座金21aおよび第2の座金21bは、図1(b)に示す第1の座金11aおよび第2の座金11bと同一のものである。
この変形例1の締結器具200においても、実施形態1の締結器具100と同様な作用効果が得られる。
図4は、図3(b)に示す締結器具200の使用方法および機能を説明するための図であり、図4(a)は、ナット2a、2bを装着する方法を示し、図4(b)は、このボルト20を含む締結器具200が非ネジ部22cで破断する様子を示す。
図4(a)に示すように、ボルト20および第1のネジ部22aに螺合させた第1のナット2aにより第1の被締結部材10aおよび第2の被締結部材10bを締め付け、さらに、第2のネジ部22bに第2のナット2bを螺合させてボルト20に対して締め付けた状態では、第1のナット2aと第2のナット2bとの密着により第1のナット2aの緩みは規制される。
また、この締結器具200では、第1のナット2aの緩みに起因して第2のナット2bに所定以上の大きな力が作用すると、実施形態1の締結器具100と同様に、非ネジ部22cが図4(b)に示すように破断することとなる。この状態では、第1のネジ部22aにつながる非ネジ部22cの破断片22c1が第1のナット2aの上面に露出し、第2のネジ部22bにつながる非ネジ部22cの破断片22c2は第2のナット2bとともにボルト軸部22から除去される。これにより、実施形態1の変形例の締結器具200では、実施形態1の締結器具100と同様に、突然、第1のナット2aがボルト20から外れて締結器具200による第1の被締結部材10aおよび第2の被締結部材10bの固定が損なわれるのを未然に防止することができる。
(実施形態2)
図5は、本発明の実施形態2による鍛造装置1000を説明するための図であり、図5(a)は、鍛造装置1000の構造を示し、図5(b)は、図5(a)のA1部分の外観を立体的に示し、図5(c)は、図5(a)のB部分(衝撃吸収機構1130)の構造を模式的に示す。
図5(a)に示す鍛造装置1000は、一般的に重量が大きいため、補強された基礎の上に設置されている。ここでは、鍛造装置1000は、工場などの敷地に形成された設置用ピットP内に設置されており、設置用ピットPの側壁Pwに囲まれた底部は、コンクリートで固めた下部基礎B1上に、さらにコンクリートで固めた上部基礎B2を配置することにより補強された構造となっている。
鍛造装置1000は、下型1120が取り付けられるハンマー受部1100と、ハンマー1210により上型1220を下型1120に打ち込むハンマー打込み部1200とを有する。
〔ハンマー受部1100〕
ハンマー受部1100は、下型1120を固定する下型固定台1110を有する下部筐体1100aを有する。下部筐体1100aには、下部筐体1100aには、ボルト軸部1312からボルト頭部1311を着脱するなどの締結器具1300aをメンテナンスするための工具を挿入するための挿入孔1101が形成されている。さらに、ハンマー受部1100は、上部基礎B2に固定された固定部材1140と、下部筐体1100aと固定部材1140との間に配置され、下部筐体1100aの振動を緩衝する振動緩衝機構1130とを有する。振動緩衝機構1130は、図5(c)に示すように、振動を減衰させるダンパー装置1131と、振動を吸収するとともに、鍛造装置1000を支持する支持ばね部材1132a、1132bとを有する。振動緩衝機構1130では、振動緩衝機構1130の上に配置される構造物(下部筐体1100aおよび上部筐体1200aなど)の重量と釣り合うばね力を支持ばね部材1132a、1132bが発生されるまで支持ばね部材1132a、1132bが圧縮されるように構成されている。
〔ハンマー打込み部1200〕
ハンマー打込み部1200は、下部筐体1100a上に配置される上部筐体1200aを有し、上部筐体1200aは、下型1120上に配置された被処理物Wに上型1220を打ち付ける打付け手段1200bを有する。打付け手段1200bは、上型1220が取り付けられるハンマー1210と、上下方向に移動するように上部筐体1200aに取り付けられた駆動ロッド1230と、駆動ロッド1230を空気圧により駆動する駆動シリンダ1250とを有し、駆動ロッド1230の下端部にハンマー1210が取り付けられている。上部筐体1200aには、ハンマー1210の上下移動をガイドするガイド部材1240が取り付けられている。
上部筐体1200aには供給口1251および排気口1252が設けられており、空気供給源からの空気が供給口1251を通って駆動シリンダ1250へ供給され、駆動シリンダ1250内の空気が排気口1252から駆動シリンダ1250の外部に排出されるようになっている。
図5に示す実施形態においては、打付け手段1200bとして圧縮空気を駆動源とするエアハンマーについて説明しているが、本発明はこれに限定されない。任意の打付け手段を用いることができる。例えば、電動モータを駆動源とするスプリングハンマーであってもよいし、蒸気圧を駆動源とする蒸気ハンマーであってもよいし、油圧を駆動源とする油圧ハンマーであってもよい。
〔押圧固定機構1300〕
さらに、鍛造装置1000は、上部筐体1200aを下部筐体1100aに押し付けて固定する押圧固定機構1300を有する。
図6および図7は、この押圧固定機構1300を説明するための図であり、図6は、図5(a)のC部分(鍛造装置1000の押圧固定機構1300)を拡大して示す。図7(a)は、図6に示す下部筐体1100aおよび上部筐体1200aから取り出した押圧固定機構1300を示し、図7(b)は、図7(a)に示す押圧固定機構1300を分解して示す。
この押圧固定機構1300は、締結器具1300aとばね部材1300bとを有し、締結器具1300aは、実施形態1の締結器具100と同様の構成を備えたものである。
具体的には、締結器具1300aは、ボルト1310と、第1のナット1301aおよび第2のナット1301bとを有する。ボルト1310は、下部筐体1100aの一部および上部筐体1200aの一部を貫通するボルト軸部1312と、ボルト軸部1312の一端(下部筐体1100a側の端)に取り付けられたボルト頭部1311とを有する。さらに、ボルト頭部1311はボルト軸部1312に対して着脱可能であってもよいし、固定されていてもよい。下部筐体1100aには、ボルト軸部1312からボルト頭部1311を着脱するなど締結器具1300aをメンテナンスするための工具を挿入するための挿入孔1101が形成されている。ボルト軸部1312は、第1のネジ山1312a1が形成された第1のネジ部1312aと、第2のネジ山1312b1が形成された第2のネジ部1312bと、第1のネジ部1312aおよび第2のネジ部1312bを連結する非ネジ部1312cと、第1のネジ部1312aとボルト頭部11との間に位置する非ネジロッド部1312dとを有する。
第1のネジ部1312aに形成された第1のネジ山1312a1および第2のネジ部1312bに形成された第2のネジ山1312b1の形態は、実施形態1のボルト10と同様、任意の形態であり得る。図6、図7に示す実施形態においては、第1のネジ部1312aに形成された第1のネジ山1312a1の形態は、第1のネジ部1312aに螺合するナットを右回転させたときにナットがボルト頭部1311に向かって進む正ネジ部であり、第2のネジ部1312bに形成された第2のネジ山1312b1の形態は、この第2のネジ部1312bに螺合するナットを左回転させたときにナットがボルト頭部1311に向かって進む逆ネジ部であるがこれに限定されない。
非ネジ部1312cの軸方向の長さおよび外径は、実施形態1のボルト10と同様の構成である。
非ネジロッド部1312dにはネジ山は形成されていない。
ここでは、第1のネジ山1312a1の外径および谷径と、第2のネジ山1312b1の外径および谷径と、非ネジ部1312cの径とは、実施形態1のボルト10と同様、上記式(1)で示される大小関係を満たす。
すなわち、ボルト軸部1312は、非ネジ部1312cが、ボルト軸部1312の他の部分、すなわち、第1のネジ部1312aおよび第2のネジ部1312bに比べて機械的強度の弱い構造となっている。
また、第1のネジ山1312a1の高さおよびピッチ、並びに、第2のネジ山1312b1の高さおよびピッチも、実施形態1のボルト10と同様、上記式(2)および式(3)が示す大小関係を満たす。
第1のネジ部1312aの外径は第2のネジ部1312bおよび非ネジ部1312cの外径より大きい範囲であれば任意の大きさであり得る。好ましい実施形態において、鍛造装置に用いられるボルト1310の第1のネジ部1312aの外径は、JIS規格(メートルネジ)におけるM39〜M120であるが、本発明はこれに限定されない。
また、ボルト軸部1312の他端側は、上部筐体1200aに形成された部材固定突出部1201から突出しており、部材固定突出部1201の上面上には、第1の座金1311a、ばね部材1300bおよび第2の座金1311bが順にボルト軸部1312の他端側部分(上端側部分)に装着されるように配置されている。必要に応じて第1の座金1311aおよび第2の座金1311bは削除してもよい。
図6および図7に示す実施形態において、ばね部材1300bをスプリングばね(螺旋ばね)である場合として説明しているが、本発明はこれに限定されない。任意のバネ部材であり得る。例えば、板ばねであってもよいし、皿バネであってもよい。さらに、ボルト軸部1312の他端側に位置する第1のネジ部1312aには第1のナット1301aが螺合され、さらに、第2のネジ部1312bには第2のナット1301bが螺合されている。ここで、第1のナット1301aは、バネ部材1300bを締め付ける締付けナットとして機能し、第2のナット1301bは、第1のナット1301aが緩むのを防止する緩止めナットとして機能する。
図7(a)に示すように、この状態では、ボルト軸部1312の第1のネジ部1312aに螺合する第1のナット1301aと部材固定突出部1201との間でバネ部材1300bが圧縮されることとなり、圧縮されたバネ部材1300bのバネ力(付勢力)により下部筐体1100aに対して上部筐体1200aが押し付けられて固定されることとなる。
なお、このような下部筐体1100aに対して上部筐体1200aを押し付けて固定する押圧固定機構1300は、図5に示す鍛造装置1000の下部筐体1100aおよび上部筐体1200aの前面側だけでなく、鍛造装置1000の下部筐体1100aおよび上部筐体1200aの後面側にも設けられている。さらに、押圧固定機構1300は、場合によっては、鍛造装置1000の下部筐体1100aおよび上部筐体1200aの側面側に設けられていてもよい。
このようにバネ部材1300bの付勢力により下部筐体1100aに対して上部筐体1200aを固定することにより、下部筐体1100aに支持されている下型1120上に配置された被処理物Wに上型1220がハンマー1210により打付けられたときに下部筐体1100aに振動や衝撃が作用しても、下部筐体1100aと上部筐体1200aとはバネ部材1300bの力により固定されているため、下部筐体1100aと上部筐体1200aとが分断されるような破損を防止することが可能である。
図8は、図5に示す鍛造装置1000による鍛造のメカニズムを説明するための図であり、図8(a)は、ハンマーを打ち下ろした直後の鍛造装置1000の状態を示し、図8(b)は、図8(a)のA2部分の外観を立体的に示す。図9は、図7に示す押圧固定機構1300のD部分の機能を説明するための図であり、押圧固定機構1300の非ネジ部1312cが破断する様子を示す図である。
鍛造装置1000にて、ハンマー1210の打ち下ろしにより上型1220が下型1120上の被処理物Wに打ち込まれると、被処理物Wは、上型1220と下型1120とにより叩き付けられて、上型1220の内面と下型1120の内面とにより形成される形状に成型される。
鍛造処理では、このようなハンマー1210の打ち下ろしが一工程の中で繰り返し行われることとなり、ハンマー1210の打ち下ろしのたびに下型1120を支える下部筐体1100aは大きな振動や衝撃を受けることとなる。
鍛造処理におけるハンマーの打ち下ろしの繰り返し回数は、求められる鍛造条件に応じて任意の回数であり得る。好ましい実施形態において、1工程で約2〜30回行われるが、本発明はこれに限定されない。また、鍛造処理におけるハンマーの打ち下ろしの繰り返し速度は、求められる鍛造条件に応じて任意の速度であり得る。好ましい実施形態において、約0.5〜5秒毎(一日8時間稼働で約15000回程度)にハンマーが打ち下ろされるが、本発明はこれに限定されない。
鍛造装置の能力は、落下部分(ハンマーと上型と駆動ロッドとから構成される部分)の重量および/または落下部分の衝撃エネルギーで一般的に表されるが、本発明の鍛造装置に用いられる落下物の重量および衝撃エネルギーは任意の値をとり得る。好ましい実施形態において、例えば、落下物の重量は約0.5〜20トン、衝撃エネルギーは約30〜700kJであるが、本発明はこれに限定されない。
この振動や衝撃が下部筐体1100aから押圧固定機構1300に伝わると、そのボルト軸部1312の正ネジ部である第1のネジ部1312aに螺合されている第1のナット1301aが緩む方向に回転しようとする。しかしながら、第1のナット1301aは逆ネジ部である第2のネジ部1312bに螺合されている第2のナット1301bと接触している。第1のナット1301aが緩む方向は、第2のナット1301bを逆に締める方向である。そのため、大きな振動や衝撃が下部筐体1100aから押圧固定機構1300に伝わっても、第2のナット1301bにより第1のナット1301aの緩みが規制される。
また、第1のナット1301aが緩むのを規制する第2のナット1301bには、第1のナット1301aの緩もうとする力に応じた押圧力が作用し、しかも、ハンマー1210の打ち下ろしの度に、下部筐体1100aでハンマー1210を受け止めた振動や衝撃が第1のナット1301aや第2のナット1301bを介してボルト軸部1312に伝わる。このような状態が継続し、ボルト軸部1312に伝わる力が所定の応力以上になると、図9に示すように、ボルト軸部1312の機械的強度が脆弱な部分である非ネジ部1312dが破断することとなる。
次に鍛造装置1000の動作について説明する。
図10および図11は、図5に示す鍛造装置1000の動作を説明するための図であり、図10(a)は、ハンマーを打ち下ろす直前の鍛造装置1000の状態を示し、図10(b)は、ハンマーを打ち下ろした直後の鍛造装置1000の状態を示す。図11(a)〜図11(c)は、鍛造装置1000が、ハンマー1210を打ち下ろした衝撃により振動する様子を示す。
まず、図10(a)に示すように、ハンマー1210に支持された上型1220が下型1120の上方で保持されている状態で、図5(b)に示すように、下型1120上に被処理物Wを配置する。その後、操作者がハンマー1210を駆動するための駆動スイッチ(図示せず)を操作すると、駆動シリンダ1250が外部からの空気の供給により駆動ロッド1230が下方に移動し、図10(b)に示すようにハンマー1210が下降する。これにより、下型1120上の被処理物Wが、ハンマー1210に取り付けられている上型1220により叩き付けられ、図8(b)に示すように被処理物Wの鍛造が行われる。なお、鍛造により成型された被処理物Wは、上型1220を下型1120から引き離した後に下型1120から取り出される。
上型1220がハンマー1210により下型1120に打ち込まれたときの衝撃の一部は、図11(a)に示すように、振動緩衝機構1130の緩衝バネ部材1132a、1132bが縮み、その上に配置されている下部筐体1100aが沈み込むことにより、緩衝バネ部材1132a、1132bのバネのエネルギーおよび下部筐体1100aの運動エネルギーに変換され、その衝撃の一部は、振動緩衝機構1130のダンパー装置1131で吸収される。
上部筐体1200aは、下部筐体1100aに対して押圧固定機構1300のバネ部材1300bの力により固定されているので、上型1220がハンマー1210により下型1120に打ち込まれたときに、下型1120を支持する下部筐体1100aでこの下部筐体1100aが沈み込む方向に大きな加速度が発生しても、慣性によりその位置に止まろうとする上部筐体1200aと、下方に加速する下部筐体1100aとの間で応力が発生することはない。
なぜなら、上部筐体1200aと下部筐体1100aとは構造上固定されたものではなく、これらは、バネ部材1300bの力により密着固定された状態であり、バネ部材1300bのバネ力より大きい力に相当する加速度が下部筐体1100aに発生した場合には、下部筐体1100aは上部筐体1200aから分離するからである。
従って、ハンマー1210の打ち込みの衝撃を下部筐体1100aが受けても、上部筐体1200aと下部筐体1100aとの間に生ずる応力により鍛造装置1000の筐体が疲労するのを回避することができる。
下部筐体1100aはハンマー1210の打ち込みの衝撃を受けて、基準位置Spから衝撃の大きさに応じた下方位置Lpまで沈み込んだ後は、図11(b)に示すように、振動緩衝機構1130における緩衝バネ部材1132a、1132bのバネ力(弾性力)により、下部筐体1100aが上部筐体1200aとともに上方位置Hpまで持ち上げられ、その後、図11(c)に示すように下部筐体1100aが上部筐体1200aとともに沈み込むという動作を何回か繰り返すうちに、ダンパー装置1131により振動が吸収されていき下部筐体1100aおよび上部筐体1200aの振動は止まる。
鍛造装置1000では、下型1120上に配置した被処理物W上に上型1220をハンマー1210で打ち込むという動作が繰り返し行われるので、上型1220がハンマー1210により下型1120に打ち込まれたときの振動や衝撃は、下部筐体1100aから押圧固定機構1300のボルト頭部11を介してボルト軸部1312と第1のナット1301aおよび第2のナット1301bが螺合している第1のネジ部1312aおよび第2のネジ部1312bに印加される。
このとき、正ネジ部12aに螺合された第1のナット1301aが緩む方向に回転しようとする力は、第1のナット1301aに接触している逆ネジ部12bに螺合された第2のナット1301bには、逆に締め付ける方向に回転する力として働くため、第2のナット1301bは第1のナット1301aから押圧力を受けることとなる。この押圧力は第2のナット1301bを介してボルト軸部1312にも伝わる。
このような状態で度重なるハンマー1210の打ち込みよる振動や衝撃が押圧固定機構1300の第1のナット1301aに印加されることにより、第2のナット1301bにかかる押圧力(応力)などがボルト軸部1312に伝わり、その力がボルト軸部1312の中で機械的強度が弱い非ネジ部1312dの限界応力を超えると、図9に示すように非ネジ部1312dが破断することとなる。
図12は、図11に示すように鍛造装置1000の押圧固定機構1300にてボルト1310の非ネジ部1312cが破断する前の締結器具1300aの状態(図12(a))と、非ネジ部1312cが破断した後の締結器具1300aの状態(図12(b))とを対比して示す図である。
ボルト1310の非ネジ部1312cが破断する前は、図12(a)に示すように、ボルト軸部1312には第1のナット1301aおよび第2のナット1301bの2つのナットが装着されているが、ボルト1310の非ネジ部1312cが破断した後は、図12(b)に示すように、ボルト軸部1312から第2のナット1301bが脱落しており、第1のナット1301aだけがボルト軸部1312に装着された状態となっている。
このため、鍛造装置1000の操作者は、鍛造装置1000の押圧固定機構1300のボルト軸部1312に第1のナット1301aだけしか装着されていない状態を、第1のナット1301aの緩みやボルト軸部1312の疲労が発生しているサインとして認識することができる。これにより、ボルト1310に締め付けた第1のナット1301aの緩みを第2のナット1bにより防止しつつ、ボルト1310やナットの緩みおよび疲労を事前に目視により把握することが可能となる。これにより、従来のように、ボルトやナットの緩みや疲労が事前に確認できず、ボルト1310に装着されている第1のナット1301aが突然ボルトから外れて、鍛造装置1000における下部筐体1100aと上部筐体1200aとの押圧固定が不完全になるという危険を未然に防止することができる。
以上のように、本発明の好ましい実施形態を用いて本発明を例示してきたが、本発明は、この実施形態に限定して解釈されるべきものではない。本発明は、特許請求の範囲によってのみその範囲が解釈されるべきであることが理解される。当業者は、本発明の具体的な好ましい実施形態の記載から、本発明の記載および技術常識に基づいて等価な範囲を実施することができることが理解される。本明細書において引用した文献は、その内容自体が具体的に本明細書に記載されているのと同様にその内容が本明細書に対する参考として援用されるべきであることが理解される。
本発明は、ボルト、締結器具および鍛造装置の分野において、ボルトに締め付けたナットの緩みを抑制しつつ、ボルトとナットによる部品同士の締結が損なわれる前にボルトとナットの緩みやボルトおよびナットの疲労を作業者が目視により把握することを可能とし、これにより、ボルトとナットによる部品同士の締結がボルトあるいはナットの破損により突然損なわれるのを未然に防止することができるボルト、このようなボルトとナットとを組み合わせた締結器具、およびこのような締結器具を用いた鍛造装置を実現できるものとして有用である。
1a、2a、3a、1301a 第1のナット(締結ナット)
1b、2b、3b、1301b 第2のナット(緩止めナット)
10、20、30、1310 ボルト
10a 第1の被締結部材
10b 第2の被締結部材
11、21、31、1311 ボルト頭部
11a、1311a 第1の座金
11b、1311b 第2の座金
12、22、32、1312 ボルト軸部
12a、22a、32a、1312a 第1のネジ部(正ネジ部)
12a1、22a1、32a1 第1のネジ山12a1
12b、22b、32b、1312b 第2のネジ部(逆ネジ部)
12b1、22b1、32b1 第2のネジ山
12c、22c、32c、1312c 非ネジ部
12c1、12c2、22c1、22c2、32c1、32c2、1312c1、1312c1 破断片
100、200、300 締結器具
1000 鍛造装置
1100 ハンマー受部
1100a 下部筐体
1101 挿入孔
1110 下型固定台
1120 下型
1130 振動吸収機構
1131 ダンパー装置
1132a、1132b 緩衝バネ部材
1140 固定部材
1200 ハンマー打込み部
1200a 上部筐体
1200b 打付け手段
1201 部材固定突出部
1210 ハンマー
1220 上型
1230 駆動ロッド
1240 ガイド部材
1250 ハンマー駆動シリンダ
1251 給気口
1252 排気口
1300 連結機構
1300a 締結器具
1300b バネ部材
1312d 非ネジロッド部
1313 螺旋バネ
B1 下部基礎
B2 上部基礎
P 設置用ピット
Pw ピット側壁
W 被処理物

Claims (8)

  1. 第1のネジ部と、
    第2のネジ部と、
    該第1のネジ部と該第2のネジ部とを連結する非ネジ部と
    を備えた、ボルト。
  2. 前記第1のネジ部および前記第2のネジ部のうち、一方は正ネジ部であり、他方は逆ネジ部である、請求項1に記載のボルト。
  3. 前記非ネジ部は、前記第1のネジ部および前記第2のネジ部よりも機械的強度が弱い、請求項1または2に記載のボルト。
  4. 前記非ネジ部の外径は、前記第1のネジ部の谷径および前記第2のネジ部の谷径よりも小さい、請求項1から請求項3のいずれか1項に記載のボルト。
  5. 前記第1のネジ部の外径は、前記第2のネジ部の外径より大きい径を有する、請求項1から請求項4のいずれか一項に記載のボルト。
  6. 前記非ネジ部の軸方向の長さは、前記第1のネジ部に螺合するナットと前記第2のネジ部に螺合するナットとが接触可能な長さである、請求項1から請求項5のいずれか一項に記載のボルト。
  7. 請求項1から請求項6のいずれか一項に記載のボルトと、
    該ボルトの前記第1のネジ部に螺合する第1のナットと、
    該ボルトの前記第2のネジ部に螺合する第2のナットと
    を備える、締結器具。
  8. 被処理物を鍛造により成型する鍛造装置であって、
    下型を支持する下部筐体と、
    該下型上に配置された該被処理物上に上型を打ち付ける打付け手段を備えた上部筐体と、
    該下部筐体に該上部筐体を固定する固定機構と
    を備え、
    該固定機構は請求項7に記載の締結器具を含む、鍛造装置。
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