JP2018104500A - 蓄熱樹脂材、成形体、および蓄熱建材 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄熱材料として使用されるパラフィン系炭化水素のブリードを抑制できる蓄熱樹脂材の提供。【解決手段】本発明の蓄熱樹脂材は、ポリスチレンブロックを有するブロック共重合体を含む、熱可塑性エラストマーと、炭素数12以上50以下のパラフィン系炭化水素と、ポリオレフィン系樹脂が電子線架橋した反応生成物である、合成樹脂と、を含み、前記パラフィン系炭化水素をコアとし、前記熱可塑性エラストマーをシェルとするコアシェル型構造体が、前記合成樹脂中に分散されてなる。【選択図】図1
Description
本発明は、熱可塑性エラストマーと、パラフィン系炭化水素と、合成樹脂とを含む、蓄熱樹脂材に関する。また、本発明は、該蓄熱樹脂材からなる成形体および蓄熱建材にも関する。
従来から、物質の相転移潜熱を蓄熱に利用する技術が知られている。その中でも、n−パラフィンの相転移潜熱を利用する技術は、炭素数12以上50以下のn−パラフィンから適切な選択を行うことにより、広範な生活環境温度(−20℃〜100℃)に対応した相転移温度が利用可能である。さらに、このようなn−パラフィンは、蓄熱密度が高く、相変化を繰り返しても特性が劣化しない、腐食性がない等の優れた特徴を有している。
n−パラフィンの蓄熱材料としての優れた特性を生かした蓄熱体として、熱可塑性エラストマーを担持材料とし、n−パラフィンを溶融混練で固定化(ゲル化)した蓄熱体が提案されている。
近年、熱可塑性エラストマーの1種として、ポリエチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリエチレンブロック共重合体(以下、「CEBC」と略すことがある)等の水添ジエン系共重合体を使用する蓄熱材組成物が開発されている(例えば、特許文献1〜3参照)。
また、パラフィン系ワックスを蓄熱材料として使用し、ポリスチレン−ポリエチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)−ポリスチレン共重合体(以下、「SEEPS」と略すことがある)を担持材料とする蓄熱樹脂組成物も提案されている(例えば、特許文献4参照)。
特許文献1〜4で使用されるCEBCおよびSEEPS等の熱可塑性エラストマーは、蓄熱材料として使用されるパラフィン系炭化水素を封入することができる。しかしながら、上記の熱可塑性エラストマーを使用した場合でも、パラフィン系炭化水素の一部はブリードを起こし、耐ブリード性は充分ではなかった。特に、相転移温度を挟んで温度を繰り返し上昇下降させる、所謂、相変化サイクル試験(ヒートサイクル試験)を行うと、蓄熱樹脂材から蓄熱材料のパラフィン系炭化水素がブリードを起こす場合がある。さらに、蓄熱樹脂材を包装材料や容器に封入せずに使用する場合には、生活環境温度範囲で成形された形状を保持でき、安全性の観点から蓄熱材料のブリードがほとんどないことも要求される。
本発明は、上記の技術的課題に鑑みてなされたものであって、蓄熱材料として使用されるパラフィン系炭化水素のブリードを抑制できる蓄熱樹脂材を提供することにある。
本発明者らは、上記の技術的課題を解決するため、鋭意検討した結果、ポリオレフィン系樹脂を電子線架橋した反応生成物である合成樹脂を用いて、該合成樹脂中にパラフィン系炭化水素をコアとし、前記熱可塑性エラストマーをシェルとするコアシェル型構造体を分散させることで、パラフィン系炭化水素を含有するコアシェル型構造体のブリードを抑制できることを知見した。
すなわち、本発明の一態様によれば、
ポリスチレンブロックを有するブロック共重合体を含む、熱可塑性エラストマーと、
炭素数12以上50以下のパラフィン系炭化水素と、
ポリオレフィン系樹脂が電子線架橋した反応生成物である、合成樹脂と、
を含む、蓄熱樹脂材であって、
前記パラフィン系炭化水素をコアとし、前記熱可塑性エラストマーをシェルとするコアシェル型構造体が、前記合成樹脂中に分散されてなる、蓄熱樹脂材が提供される。
ポリスチレンブロックを有するブロック共重合体を含む、熱可塑性エラストマーと、
炭素数12以上50以下のパラフィン系炭化水素と、
ポリオレフィン系樹脂が電子線架橋した反応生成物である、合成樹脂と、
を含む、蓄熱樹脂材であって、
前記パラフィン系炭化水素をコアとし、前記熱可塑性エラストマーをシェルとするコアシェル型構造体が、前記合成樹脂中に分散されてなる、蓄熱樹脂材が提供される。
本発明の態様においては、前記コアシェル型構造体の島部と、前記合成樹脂の海部とを有する海島構造を形成することが好ましい。
本発明の態様においては、前記ポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリオレフィンであることが好ましい。
本発明の態様においては、前記ポリオレフィン系樹脂が、エチレン系重合体であることが好ましい。
本発明の態様においては、前記エチレン系重合体が、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体からなる群から選択されることが好ましい。
本発明の態様においては、前記熱可塑性エラストマーが、ポリスチレンブロックと分岐ポリオレフィンブロックとのジブロック共重合体を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記熱可塑性エラストマーが、ポリスチレンブロック−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体を含むことが好ましい。
本発明の態様においては、前記パラフィン系炭化水素が、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、およびこれらの混合物からなる群から選択されることが好ましい。
本発明の態様においては、前記蓄熱樹脂材が、5質量%以上50質量%以下の前記熱可塑性エラストマーと、30質量%以上80質量%以下の前記パラフィン系炭化水素と、10質量%以上60質量%以下の前記合成樹脂と、を含むことが好ましい。
本発明の別の態様によれば、上記の蓄熱樹脂材からなる、成形体が提供される。
本発明の別の態様によれば、上記の蓄熱樹脂材を含む、蓄熱建材が提供される。
本発明の蓄熱樹脂材は、蓄熱材料として使用されるパラフィン系炭化水素のブリードを抑制でき、長期間に渡って蓄熱体としての性能を維持できる。
<蓄熱樹脂材>
本発明の蓄熱樹脂材は、下記の熱可塑性エラストマーと、下記のパラフィン系炭化水素と、下記の合成樹脂とを含むものである。蓄熱樹脂材では、パラフィン系炭化水素をコアとし、該熱可塑性エラストマーをシェルとするコアシェル型構造体が合成樹脂中に封入(保持)されていることで、パラフィン系炭化水素のブリードを抑制することができる。以下、蓄熱樹脂材の各成分について詳述する。
本発明の蓄熱樹脂材は、下記の熱可塑性エラストマーと、下記のパラフィン系炭化水素と、下記の合成樹脂とを含むものである。蓄熱樹脂材では、パラフィン系炭化水素をコアとし、該熱可塑性エラストマーをシェルとするコアシェル型構造体が合成樹脂中に封入(保持)されていることで、パラフィン系炭化水素のブリードを抑制することができる。以下、蓄熱樹脂材の各成分について詳述する。
[熱可塑性エラストマー]
本発明で用いる熱可塑性エラストマーは、スチレンを繰り返し単位とする結晶構造であるハードセグメントブロック(ポリスチレンブロック)を有するものであり、水素添加処理後も共役ジエン化合物に由来する分岐の存在により非晶構造であるソフトセグメントブロック(分岐ポリオレフィンブロック)をさらに有するものであることが好ましい。1H−NMRで構造決定を行えば、オレフィン領域に検出される水素原子は極めて微量(数%以下)である。熱可塑性エラストマーは、ポリスチレンブロック以外のハードセグメントブロックをさらに有していてもよい。
本発明で用いる熱可塑性エラストマーは、スチレンを繰り返し単位とする結晶構造であるハードセグメントブロック(ポリスチレンブロック)を有するものであり、水素添加処理後も共役ジエン化合物に由来する分岐の存在により非晶構造であるソフトセグメントブロック(分岐ポリオレフィンブロック)をさらに有するものであることが好ましい。1H−NMRで構造決定を行えば、オレフィン領域に検出される水素原子は極めて微量(数%以下)である。熱可塑性エラストマーは、ポリスチレンブロック以外のハードセグメントブロックをさらに有していてもよい。
熱可塑性エラストマーは、ポリスチレンブロックが疑似架橋して球形コロイド粒子を形成する。形成された球形コロイド粒子の凝集によってソフトセグメントの間に隙間が生じ、この隙間に下記のパラフィン系炭化水素が微分散されると推定される。熱可塑性エラストマーは、分子内にポリスチレンブロックを1つだけ有する場合、パラフィン系炭化水素が分散しうる空間が大きいため、分子内にポリスチレンブロックを2つ有する熱可塑性エラストマーに比べて、パラフィン系炭化水素を安定して担持でき、パラフィン系炭化水素のブリードをより抑制することができる。また、ハードセグメントとしてポリスチレンブロックを有していない、ポリエチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)−ポリエチレンブロック共重合体(CEBC)は、結晶性のポリエチレンブロックの疑似架橋を形成すると推測されるが、ポリスチレンブロックの疑似架橋より弱く、蓄熱材料の担持性能に劣るものと推定される。
ポリスチレンブロックを分子中に1つのみ有する熱可塑性エラストマーとしては、ハードセグメントブロックとして1つのポリスチレンブロックと、ソフトセグメントブロックとして1つの分岐ポリオレフィンブロックとを有するジブロック体が挙げられる。このようなジブロック体としては、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(以下、「SEP」と略すことがある)、ポリスチレン−ポリ(エチレン/ブチレン)ブロック共重合体(以下、「SEB」と略すことがある)、ポリスチレン−ポリイソブチレン共重合体(以下、「SIB」と略すことがある)等が挙げられる。これらのジブロック体の中でも、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体が好ましい。ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体としては、例えば、クレイトンポリマージャパン(株)からクレイトン(登録商標)G(SEPタイプ)、「1701EU」、「1702HU」の商品名で販売されるものが例示される。
また、熱可塑性エラストマーは、ソフトセグメントブロックとしてポリエチレンブロックを含まないものが好ましい。パラフィン系炭化水素を使用する場合、分子内にポリエチレンブロックを有すると、このポリエチレンブロックにパラフィン系炭化水素が吸着することにより、蓄熱材として使用する際に蓄熱量が低下する恐れがある。高い蓄熱量を有し、ブリードを抑制する観点から、熱可塑性エラストマーは、分子中にポリスチレンブロックを1つのみ有し、ポリエチレンブロックを有しないジブロック体を好適に使用することができる。
ポリスチレンブロックと分岐ポリオレフィンブロックとを有するジブロック共重合体を含む熱可塑性エラストマーは、示差走査式熱量測定法(DSC法)により測定した場合に、ハードセグメント由来の融解ピークを有することが好ましく、80〜120℃の範囲に融解ピークを有することが更に好ましい。
熱可塑性エラストマーは、1種単独で用いることもできるが、2種以上を混合して用いることもできる。2種以上を混合して使用する場合には、少なくともポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体を含むことが好ましい。
蓄熱樹脂材中の熱可塑性エラストマーの含有量は、好ましくは5質量%以上50質量%以下であり、より好ましくは7質量%以上45質量%以下であり、さらに好ましくは10質量%以上40質量%以下である。蓄熱樹脂材中の熱可塑性エラストマーの含有量が上記範囲程度であれば、蓄熱材料として使用されるパラフィン系炭化水素のブリードを抑制でき、長期間に渡って蓄熱体としての性能を維持できる。
[パラフィン系炭化水素]
本発明で用いるパラフィン系炭化水素は、好ましくは相転移温度が−20℃〜100℃である、炭素数12以上50以下のn−パラフィンである。これらのn−パラフィンは、通常、石油留分から精留によって得られる。精製技術の制約から、それぞれの炭素数のn−パラフィンには、数質量%の隣接した炭素数のn−パラフィンを含有することがある。なお、n−パラフィンは、合成したものを使用してもよいが、石油留分由来のものを用いる方が、簡便かつ安価である。以下、本明細書では、精留によって得られた数質量%程度の不純物を含むn−パラフィン、または合成により得られた純度が高いn−パラフィンを、特に区別することなく、特定の炭素数を有するn−パラフィンとして記載する。
本発明で用いるパラフィン系炭化水素は、好ましくは相転移温度が−20℃〜100℃である、炭素数12以上50以下のn−パラフィンである。これらのn−パラフィンは、通常、石油留分から精留によって得られる。精製技術の制約から、それぞれの炭素数のn−パラフィンには、数質量%の隣接した炭素数のn−パラフィンを含有することがある。なお、n−パラフィンは、合成したものを使用してもよいが、石油留分由来のものを用いる方が、簡便かつ安価である。以下、本明細書では、精留によって得られた数質量%程度の不純物を含むn−パラフィン、または合成により得られた純度が高いn−パラフィンを、特に区別することなく、特定の炭素数を有するn−パラフィンとして記載する。
潜熱蓄熱材料として有用なパラフィン系炭化水素は、相転移温度が、保冷〜住居環境温度範囲の−10℃〜35℃の範囲にある、炭素数が12以上20以下のn−パラフィンである。具体的には、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、およびn−エイコサンを用いることが好ましい。潜熱蓄熱材料として特に好ましいのは、相転移潜熱量の大きい、炭素数が偶数のn−テトラデカン、n−ヘキサデカン、n−オクタデカン、n−エイコサンを主として含むものである。
蓄熱樹脂材中のパラフィン系炭化水素の含有量は、好ましくは30質量%以上80質量%以下であり、より好ましくは35質量%以上75質量%以下であり、さらに好ましくは40質量%以上70質量%以下である。蓄熱樹脂材中のパラフィン系炭化水素の含有量が上記範囲程度であれば、蓄熱材料として使用されるパラフィン系炭化水素のブリードを抑制でき、長期間に渡って蓄熱体としての性能を維持できる。
[合成樹脂]
本発明で用いる合成樹脂は、ポリオレフィン系樹脂が電子線架橋した反応生成物である。このような合成樹脂は、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一部を架橋して編目構造を形成しているため、蓄熱樹脂材の母材(マトリックス)に用いることで内容物を封入し、蓄熱材料として使用されるパラフィン系炭化水素のブリードを抑制することができる。
本発明で用いる合成樹脂は、ポリオレフィン系樹脂が電子線架橋した反応生成物である。このような合成樹脂は、ポリオレフィン系樹脂の少なくとも一部を架橋して編目構造を形成しているため、蓄熱樹脂材の母材(マトリックス)に用いることで内容物を封入し、蓄熱材料として使用されるパラフィン系炭化水素のブリードを抑制することができる。
合成樹脂の原料であるポリオレフィン系樹脂には、ポリオレフィンだけでなく、側鎖に官能基を導入した変性ポリオレフィンも含まれる。ポリオレフィン系樹脂は、高密度ポリオレフィン系樹脂であることが好ましい。また、ポリオレフィン系樹脂としては、エチレン系重合体を用いることが好ましい。エチレン系重合体としては、ポリエチレンを用いることができる。ポリエチレンとしては、目的に応じて、例えば、高密度ポリエチレン(HDPE)、中密度ポリエチレン(MDPE)、低密度ポリエチレン(LDPE)、および直鎖状低密度ポリエチレン(LLDPE)等を適宜選択することができる。
また、エチレン系重合体としては、エチレンと他のモノマーの共重合体を用いることができる。他のモノマーとしては、例えば、プロピレン、酢酸ビニル、エチリデンノルボルネン(ENB)が挙げられる。エチレン系共重合体としては、エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)、およびエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体(EPDM)を用いることが好ましい。このような合成樹脂を蓄熱樹脂材に用いることで、蓄熱材料として使用されるパラフィン系炭化水素のブリードを抑制することができる。
ポリオレフィン系樹脂は、従来公知の方法により、電子線照射を行って架橋反応させることができる。上記したようなポリオレフィン系樹脂に電子線を照射すると、ポリオレフィン系樹脂の高分子鎖の一部が切断されてラジカルが発生し、これらラジカルが高分子鎖の他の部位に再結合することによって架橋が形成される。電子線としては、α線、β線、γ線、中性子線、電子線等の電離放射線を使用することができる。電子線の照射エネルギーは、樹脂の種類等に応じて適宜調整することができ、好ましくは10〜500kV、より好ましくは30〜300kV、さらに好ましくは50〜200kV程度である。このような低い照射エネルギーで電子線を照射することで、架橋率を適切な範囲内に調節して、樹脂性能の劣化を抑制することができる。また、電子線の照射は、吸収線量が5〜2000kGy、好ましくは10〜1000kGyの範囲で行なわれる。また、酸素雰囲気下で電子線照射を行うと発生したラジカルがクエンチされたり、オゾンが発生したりする場合もあることから、酸素濃度の低い雰囲気下で電子線照射を行うことが好ましい。例えば、窒素やアルゴン等の不活性ガス雰囲気下において電子線照射を行ってもよい。
ポリオレフィン系樹脂の架橋率は、ゲル分率によって表すことができる。ゲル分率は好ましくは1〜50%であり、より好ましくは1〜30%であり、さらに好ましくは1〜10%である。ポリオレフィン系樹脂の架橋率をこのような範囲内に調節することで、過度な架橋による樹脂の劣化を抑えることができる。なお、ゲル分率は、JIS K 6796に準拠してp−キシレンでポリオレフィン系樹脂を3時間加熱還流し、抽出後の試料である不溶解部分の割合を下記式により算出することができる。
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料の質量/抽出前の試料の質量)×100
ゲル分率(質量%)=(抽出後の試料の質量/抽出前の試料の質量)×100
蓄熱樹脂材中の合成樹脂の含有量は、好ましくは10質量%以上60質量%以下であり、より好ましくは12質量%以上55質量%以下であり、さらに好ましくは15質量%以上50質量%以下である。蓄熱樹脂材中の合成樹脂の含有量が上記範囲程度であれば、蓄熱材料として使用されるパラフィン系炭化水素のブリードを抑制でき、長期間に渡って蓄熱体としての性能を維持できる。
蓄熱樹脂材では、合成樹脂中に、パラフィン系炭化水素をコアとし、該熱可塑性エラストマーをシェルとするコアシェル型構造体が分散されてなる。このコアシェル型構造体により、パラフィン系炭化水素の耐ブリード性が向上する。コアシェル型構造体の平均粒径は、10〜500nmであることが好ましく、40〜200nmがさらに好ましい。コアシェル型構造体の平均粒径は、小角X線散乱(SAXS)から測定することができる。
蓄熱樹脂材中の分散状態では、コアシェル型構造体の島部と、合成樹脂の海部とを有する海島構造を形成されることが好ましい。このような海島構造を形成することにより海部の合成樹脂が島部のコアシェル型構造体を封入(保持)することができ、長期間に渡って使用(ヒートサイクル)された場合であっても、合成樹脂からコアシェル型構造体がブリードするのを抑制し、蓄熱材料として使用されるパラフィン系炭化水素の減少を抑制し、長期間に渡って蓄熱体としての性能を維持できる。
<蓄熱樹脂材の製造方法>
本発明の蓄熱樹脂材の製造方法の一例について説明する。本発明の蓄熱樹脂材は、上記の熱可塑性エラストマー、上記のパラフィン系炭化水素、および上記の合成樹脂を機械的手段により混練、好ましくは、溶融混練して得ることができる(混練工程)。
本発明の蓄熱樹脂材の製造方法の一例について説明する。本発明の蓄熱樹脂材は、上記の熱可塑性エラストマー、上記のパラフィン系炭化水素、および上記の合成樹脂を機械的手段により混練、好ましくは、溶融混練して得ることができる(混練工程)。
混練工程としては、例えば2軸押出し混練機にて下記の手順にて蓄熱樹脂材を製造することができる。第1工程では、熱可塑性エラストマー、パラフィン系炭化水素を溶融混練する。この工程では、パラフィン系炭化水素をコアとし、熱可塑性エラストマーをシェルとするコアシェル型構造体が形成される。
第2工程では、合成樹脂の原料であるポリオレフィン系樹脂および所望により酸化防止剤等の添加剤を添加して溶融混練を行う。この工程では、コアシェル型構造体の島部と、ポリオレフィン系樹脂からなる海部と、を有する海島構造が形成されると推定される。
第2工程では、合成樹脂の原料であるポリオレフィン系樹脂および所望により酸化防止剤等の添加剤を添加して溶融混練を行う。この工程では、コアシェル型構造体の島部と、ポリオレフィン系樹脂からなる海部と、を有する海島構造が形成されると推定される。
溶融混練は、熱可塑性エラストマー、パラフィン系炭化水素、およびポリオレフィン系樹脂が溶融する温度以上で行うことが好ましく、例えば、70〜200℃程度で行うことができる。混合工程では機械的手段による混合である限り、各種の混合手段がいずれも採用される。混合手段としては、例えば、撹拌、混合、混練であり、当該機能を有する機器としては、撹拌機、混合器、混練機が挙げられる。また、ゴム加工や熱可塑性樹脂加工に用いられる、2本ロール、バンバリーミキサー、押出機、二軸混練押出機等が挙げられる。なお、混合物には、溶融混練に一般的に用いられる添加剤等を添加してもよい。
<成形体>
本発明の蓄熱樹脂材の成形体は、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、など公知の方法により成形加工でき、成膜可能な膜厚範囲の広さから、押出成形法、射出成形法を好適に用いることができる。
本発明の蓄熱樹脂材の成形体は、押出成形法、射出成形法、カレンダー成形法、ブロー成形法、圧縮成形法、など公知の方法により成形加工でき、成膜可能な膜厚範囲の広さから、押出成形法、射出成形法を好適に用いることができる。
蓄熱樹脂材の成形体は、蓄熱樹脂材を成形用の金型に入れ、プレス機で加圧することにより作製できる(圧縮成形法)。蓄熱樹脂材を加圧する際に、金型に入れた蓄熱樹脂材を、軟化可能な温度に加熱すると、蓄熱樹脂材を所望の形状に加工しやすくなる。加圧工程を経た後、金型に入れた状態で蓄熱樹脂材の成形体を室温まで冷却して金型から取り出すと、蓄熱樹脂材の成形体が得られる。また、金型等を使用せずに、押出成形等により粒状物の成形体も製造することができる。
また、蓄熱樹脂材を、押出機によりシート状又はフィルム状に製膜することもできる。例えば、蓄熱樹脂材を、融点以上の温度(Tm〜Tm+70℃)に加熱された溶融押出機に供給して、蓄熱樹脂材を溶融し、製膜する。溶融押出機としては、一軸押出機、二軸押出機、ベント押出機、タンデム押出機等を目的に応じて使用することができる。
また、蓄熱樹脂材は、例えば、粒状体(ペレット等)として、加工することができる。蓄熱樹脂材の粒状体の製造方法としては、例えば、混練工程で得られた蓄熱樹脂材を、一軸ルーダーにて溶融混練し、ストランドカットによりペレットを製造することができる。蓄熱樹脂材の粒状体の大きさは、0.1〜10mmの範囲が好ましい。
<用途>
本発明の蓄熱樹脂材は、建築材料、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、履物、雑貨、その他空調設備、保温容器、保冷剤、コンクリート等にも用いることができる。たとえば、蓄熱樹脂材を成形加工することにより、医療用シール部品、食品用シール部品、ボトルキャップパッキン、自動車用シール部品等の各種シール部材に好適に使用することができる。
本発明の蓄熱樹脂材は、建築材料、自動車部品、家電部品、電線被覆、医療用部品、履物、雑貨、その他空調設備、保温容器、保冷剤、コンクリート等にも用いることができる。たとえば、蓄熱樹脂材を成形加工することにより、医療用シール部品、食品用シール部品、ボトルキャップパッキン、自動車用シール部品等の各種シール部材に好適に使用することができる。
<蓄熱建材>
本発明の蓄熱樹脂材は、蓄熱体として各種の建築材料に好適に使用することができる。例えば、蓄熱樹脂材は、石膏またはコンクリート等の建材と混合して使用することができる。蓄熱樹脂材と建材との配合比は、5:95〜80:20(質量比)とすることが好ましい。石膏ボード、石膏プラスター、石膏系セルフレベリング材に用いる場合、蓄熱樹脂材および半水石膏を主成分とする粉体原料に水分を添加し、撹拌してスラリー状組成物とし、施工または成形し、凝固、硬化させることにより製造することができる。石膏系の建材に使用する石膏原料としては、焼き石膏、硫酸カルシウム、を主成分とする鉱物(硫酸カルシウムの1/2水和物)である。
本発明の蓄熱樹脂材は、蓄熱体として各種の建築材料に好適に使用することができる。例えば、蓄熱樹脂材は、石膏またはコンクリート等の建材と混合して使用することができる。蓄熱樹脂材と建材との配合比は、5:95〜80:20(質量比)とすることが好ましい。石膏ボード、石膏プラスター、石膏系セルフレベリング材に用いる場合、蓄熱樹脂材および半水石膏を主成分とする粉体原料に水分を添加し、撹拌してスラリー状組成物とし、施工または成形し、凝固、硬化させることにより製造することができる。石膏系の建材に使用する石膏原料としては、焼き石膏、硫酸カルシウム、を主成分とする鉱物(硫酸カルシウムの1/2水和物)である。
本発明の蓄熱樹脂材を石膏と混合して、塗り壁材として用いてもよい。例えば、本発明の蓄熱樹脂材、珪質頁岩粉粒物、焼き石膏、骨材、無機調整剤、水を混合し、均質なペーストになるまで混練し、塗り壁材を得ることができる。
本発明の蓄熱樹脂材を接着剤と混合して、熱圧着することにより、集成材、パーティクルボード、ファイバーボード等の建材ボードとすることができる。また、蓄熱樹脂材を、小片(例えば、植物小片、植物繊維、木質繊維、木質チップ、竹小片、草小片等)および接着剤と混合し、熱圧着することにより、集成材、パーティクルボード、ファイバーボード等の建材ボードとすることもできる。
以下、実施例と比較例を挙げて本発明をより具体的に説明するが、本発明は下記の実施例に限定解釈されるものではない。
実施例および比較例で使用した各化学品は、市場から入手したものを、精製することなく使用した。以下、実施例および比較例に使用した熱可塑性エラストマー、パラフィン系炭化水素、合成樹脂の原料であるポリオレフィン系樹脂、ならびに熱可塑性樹脂を示す。
<熱可塑性エラストマー>
ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(「SEP」、クレイトンポリマージャパン社製、商品名:クレイトンG1701EU)
<パラフィン系炭化水素>
n−ヘプタデカン(C17)(JXエネルギー社製、商品名:TS−7)
<ポリオレフィン系樹脂>
高密度ポリエチレン(HDPE、日本ポリエチレン社製、商品名:HF560)
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA、東ソー社製、商品名:ウルトラセン751)
ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(「SEP」、クレイトンポリマージャパン社製、商品名:クレイトンG1701EU)
<パラフィン系炭化水素>
n−ヘプタデカン(C17)(JXエネルギー社製、商品名:TS−7)
<ポリオレフィン系樹脂>
高密度ポリエチレン(HDPE、日本ポリエチレン社製、商品名:HF560)
エチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA、東ソー社製、商品名:ウルトラセン751)
<蓄熱樹脂材の製造>
[実施例1]
ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(SEP)20質量部と、n−ヘプタデカン(TS−7)50質量部とを混練押出機に投入して溶融混練して、n−ヘプタデカンをコアとし、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体をシェルとするコアシェル型構造体を形成させた。続いて、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)30質量部を投入した後、溶融混練を行った。その後、電子線照射(照射エネルギー:150kV)を行って高密度ポリエチレン樹脂を架橋して、合成樹脂を形成し、コアシェル型構造体が合成樹脂中に分散した蓄熱樹脂材ペレットを得た。
[実施例1]
ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体(SEP)20質量部と、n−ヘプタデカン(TS−7)50質量部とを混練押出機に投入して溶融混練して、n−ヘプタデカンをコアとし、ポリスチレン−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体をシェルとするコアシェル型構造体を形成させた。続いて、高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)30質量部を投入した後、溶融混練を行った。その後、電子線照射(照射エネルギー:150kV)を行って高密度ポリエチレン樹脂を架橋して、合成樹脂を形成し、コアシェル型構造体が合成樹脂中に分散した蓄熱樹脂材ペレットを得た。
[比較例1]
電子線照射を行わなかった以外は、実施例1と同様にして蓄熱樹脂材ペレットを得た。
電子線照射を行わなかった以外は、実施例1と同様にして蓄熱樹脂材ペレットを得た。
[実施例2]
高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)の代わりにエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いた以外は、実施例1と同様にして蓄熱樹脂材ペレットを得た。
高密度ポリエチレン樹脂(HDPE)の代わりにエチレン・酢酸ビニル共重合体(EVA)を用いた以外は、実施例1と同様にして蓄熱樹脂材ペレットを得た。
[比較例2]
電子線照射を行わなかった以外は、実施例1と同様にして蓄熱樹脂材ペレットを得た。
電子線照射を行わなかった以外は、実施例1と同様にして蓄熱樹脂材ペレットを得た。
<蓄熱樹脂材の測定・評価>
実施例1で得られた蓄熱樹脂材ペレット中の合成樹脂をサンプリングし、下記方法により合成樹脂の結合・反応状態を確認した。
実施例1で得られた蓄熱樹脂材ペレット中の合成樹脂をサンプリングし、下記方法により合成樹脂の結合・反応状態を確認した。
<TEM観察>
ウルトラミクロトーム(Leica製ULTRACUT−S)を用いて、蓄熱樹脂材ペレットの超薄切片を作製し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM、透過電子顕微鏡日立製作所製H−800)により観察した。その観察したTEM画像(倍率10,000倍)を図1に示した。図1の結果から、合成樹脂の海部と、コアシェル型構造体の島部とが独立した状態で分散していることが分かった。
ウルトラミクロトーム(Leica製ULTRACUT−S)を用いて、蓄熱樹脂材ペレットの超薄切片を作製し、断面を透過型電子顕微鏡(TEM、透過電子顕微鏡日立製作所製H−800)により観察した。その観察したTEM画像(倍率10,000倍)を図1に示した。図1の結果から、合成樹脂の海部と、コアシェル型構造体の島部とが独立した状態で分散していることが分かった。
<ゲル分率>
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレットについて、ゲル分率(架橋率)の測定を行った。すなわち、蓄熱樹脂材ペレットを1g秤量しこれをソックスレー抽出器内に設置し、キシレン300mlで3時間加熱還流した。その後、ペレットを取り出し、140℃の乾燥機内で1時間乾燥後、常温になるまで放冷してから、その重量を精秤し、試験前の質量に対する質量百分率をもってゲル分率とした。その測定結果を表1に示した。
なお、原料であるポリオレフィン系樹脂が全て反応した場合、ゲル分率(架橋率)の理論値は30%である。
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレットについて、ゲル分率(架橋率)の測定を行った。すなわち、蓄熱樹脂材ペレットを1g秤量しこれをソックスレー抽出器内に設置し、キシレン300mlで3時間加熱還流した。その後、ペレットを取り出し、140℃の乾燥機内で1時間乾燥後、常温になるまで放冷してから、その重量を精秤し、試験前の質量に対する質量百分率をもってゲル分率とした。その測定結果を表1に示した。
なお、原料であるポリオレフィン系樹脂が全て反応した場合、ゲル分率(架橋率)の理論値は30%である。
<過冷却度>
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレットについて、示差熱熱量計(日立ハイテクサイエンス社製、DSC7000X型)を用いて凝固点(℃)と融点(℃)を測定し、「融点(℃)−凝固点(℃)」を過冷却度(℃)とした。測定結果を表1に示した。
各実施例の結果から、実施例の蓄熱樹脂材ペレットは過冷却度の値が小さく、蓄熱体としての性能に優れることが分かった。
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレットについて、示差熱熱量計(日立ハイテクサイエンス社製、DSC7000X型)を用いて凝固点(℃)と融点(℃)を測定し、「融点(℃)−凝固点(℃)」を過冷却度(℃)とした。測定結果を表1に示した。
各実施例の結果から、実施例の蓄熱樹脂材ペレットは過冷却度の値が小さく、蓄熱体としての性能に優れることが分かった。
<初期ブリード評価>
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレットについて、製造直後に表面にブリードしたパラフィン系炭化水素量を以下の方法により測定した。
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレット1gをそれぞれ各サンプルビンに入れた後、エチレングリコール50gを添加し、乾燥機中に50℃1時間静置した。その後、エチレングリコール溶液中に溶解したパラフィン系炭化水素の量をガスクロマトグラフにより測定した。測定結果を表1に示した。
各実施例および比較例の結果から、実施例の蓄熱樹脂材ペレットは初期状態ではブリードが全く発生しておらず、比較例の蓄熱樹脂材ペレットは初期状態でもブリードが発生していた。したがって、本発明で用いた合成樹脂はポリプロピレン樹脂に比べて、耐ブリード性に優れていることが分かった。
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレットについて、製造直後に表面にブリードしたパラフィン系炭化水素量を以下の方法により測定した。
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレット1gをそれぞれ各サンプルビンに入れた後、エチレングリコール50gを添加し、乾燥機中に50℃1時間静置した。その後、エチレングリコール溶液中に溶解したパラフィン系炭化水素の量をガスクロマトグラフにより測定した。測定結果を表1に示した。
各実施例および比較例の結果から、実施例の蓄熱樹脂材ペレットは初期状態ではブリードが全く発生しておらず、比較例の蓄熱樹脂材ペレットは初期状態でもブリードが発生していた。したがって、本発明で用いた合成樹脂はポリプロピレン樹脂に比べて、耐ブリード性に優れていることが分かった。
<長期ブリード評価>
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレットについて、相変化サイクル試験後に表面にブリードしたパラフィン系炭化水素量を以下の方法により測定した。
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレット1gをそれぞれ各サンプルビンに入れて、15℃⇔25℃で順次変化する恒温恒湿槽中に静置し、相変化サイクル試験を所定回数繰り返した。各サンプルビンを取り出した後、エチレングリコール50gを添加し、乾燥機中に50℃1時間静置した。その後、エチレングリコール溶液中に溶解したパラフィン系炭化水素の量をガスクロマトグラフにより測定した。相変化サイクル数は、実施例1と比較例1が122サイクルであり、実施例2と比較例2が84サイクルであった。測定結果を表1に示した。
各実施例および比較例の結果から、合成樹脂として電子線架橋を行ったポリオレフィン系樹脂を用いることで、蓄熱樹脂材ペレットは長期間の相変化サイクル試験後でもブリードを抑制することができた。
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレットについて、相変化サイクル試験後に表面にブリードしたパラフィン系炭化水素量を以下の方法により測定した。
各実施例および比較例で得られた蓄熱樹脂材ペレット1gをそれぞれ各サンプルビンに入れて、15℃⇔25℃で順次変化する恒温恒湿槽中に静置し、相変化サイクル試験を所定回数繰り返した。各サンプルビンを取り出した後、エチレングリコール50gを添加し、乾燥機中に50℃1時間静置した。その後、エチレングリコール溶液中に溶解したパラフィン系炭化水素の量をガスクロマトグラフにより測定した。相変化サイクル数は、実施例1と比較例1が122サイクルであり、実施例2と比較例2が84サイクルであった。測定結果を表1に示した。
各実施例および比較例の結果から、合成樹脂として電子線架橋を行ったポリオレフィン系樹脂を用いることで、蓄熱樹脂材ペレットは長期間の相変化サイクル試験後でもブリードを抑制することができた。
Claims (11)
- ポリスチレンブロックを有するブロック共重合体を含む、熱可塑性エラストマーと、
炭素数12以上50以下のパラフィン系炭化水素と、
ポリオレフィン系樹脂が電子線架橋した反応生成物である、合成樹脂と、
を含む、蓄熱樹脂材であって、
前記パラフィン系炭化水素をコアとし、前記熱可塑性エラストマーをシェルとするコアシェル型構造体が、前記合成樹脂中に分散されてなる、蓄熱樹脂材。 - 前記コアシェル型構造体の島部と、前記合成樹脂の海部とを有する海島構造を形成する、請求項1または2に記載の蓄熱樹脂材。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、高密度ポリオレフィンである、請求項1または2に記載の蓄熱樹脂材。
- 前記ポリオレフィン系樹脂が、エチレン系重合体である、請求項1または2に記載の蓄熱樹脂材。
- 前記エチレン系重合体が、ポリエチレン、エチレン・酢酸ビニル共重合体、およびエチレン・プロピレン・エチリデンノルボルネン共重合体からなる群から選択される、請求項4に記載の蓄熱樹脂材。
- 前記熱可塑性エラストマーが、ポリスチレンブロックと分岐ポリオレフィンブロックとのジブロック共重合体を含む、請求項1〜5のいずれか一項に記載の蓄熱樹脂材。
- 前記熱可塑性エラストマーが、ポリスチレンブロック−ポリ(エチレン/プロピレン)ブロック共重合体を含む、請求項6に記載の蓄熱樹脂材。
- 前記パラフィン系炭化水素が、n−ドデカン、n−トリデカン、n−テトラデカン、n−ペンタデカン、n−ヘキサデカン、n−ヘプタデカン、n−オクタデカン、n−ノナデカン、n−エイコサン、およびこれらの混合物からなる群から選択される、請求項1〜7のいずれか一項に記載の蓄熱樹脂材。
- 5質量%以上50質量%以下の前記熱可塑性エラストマーと、
30質量%以上80質量%以下の前記パラフィン系炭化水素と、
10質量%以上60質量%以下の前記合成樹脂と、
を含む、請求項1〜8のいずれか一項に記載の蓄熱樹脂材。 - 請求項1〜9のいずれか一項に記載の蓄熱樹脂材からなる、成形体。
- 請求項1〜9のいずれか一項に記載の蓄熱樹脂材からなる、蓄熱建材。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016249821A JP2018104500A (ja) | 2016-12-22 | 2016-12-22 | 蓄熱樹脂材、成形体、および蓄熱建材 |
Applications Claiming Priority (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2016249821A JP2018104500A (ja) | 2016-12-22 | 2016-12-22 | 蓄熱樹脂材、成形体、および蓄熱建材 |
Publications (1)
Publication Number | Publication Date |
---|---|
JP2018104500A true JP2018104500A (ja) | 2018-07-05 |
Family
ID=62786598
Family Applications (1)
Application Number | Title | Priority Date | Filing Date |
---|---|---|---|
JP2016249821A Pending JP2018104500A (ja) | 2016-12-22 | 2016-12-22 | 蓄熱樹脂材、成形体、および蓄熱建材 |
Country Status (1)
Country | Link |
---|---|
JP (1) | JP2018104500A (ja) |
Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
JP2022103413A (ja) * | 2018-11-26 | 2022-07-07 | 富士フイルム株式会社 | 蓄熱シート、蓄熱部材及び電子デバイス |
-
2016
- 2016-12-22 JP JP2016249821A patent/JP2018104500A/ja active Pending
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JP2022103413A (ja) * | 2018-11-26 | 2022-07-07 | 富士フイルム株式会社 | 蓄熱シート、蓄熱部材及び電子デバイス |
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