JP2018104400A - アゼチジノン化合物を含有する経口固形製剤及び経口固形製剤の製造方法 - Google Patents

アゼチジノン化合物を含有する経口固形製剤及び経口固形製剤の製造方法 Download PDF

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Abstract

【課題】高温環境下で保管した際の溶出速度の低下を抑制できるアゼチジノン化合物を含有する経口固形製剤を提供する。
【解決手段】特定のアゼチジノン化合物と、ヒドロキシプロピル置換セルロースとを含有する、経口固形製剤 。
【選択図】なし

Description

本発明は、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下を抑制できるアゼチジノン化合物を含有する経口固形製剤及び経口固形製剤の製造方法に関する。
高コレステロール血症が、高血圧、喫煙と共に心筋梗塞、狭心症、脳梗塞等の動脈硬化性疾患の三大危険因子の一つであることは、数多くの疫学調査によって明らかにされている。したがって、血中コレステロール値の適切なコントロールは、虚血性心疾患を初めとする動脈硬化性疾患の予防又は治療に極めて重要である。
血中脂質管理に関する現在の治療ガイドライン(日本動脈硬化学会ガイドライン等)では、虚血性心疾患発症のリスクが高い患者の低密度リポ蛋白コレステロール(LDL-C)の治療目標値として100mg/dl未満が提唱されている。また、トリグリセライドにおいても正常値を150mg/dl未満とする等、脂質管理の厳格化が提唱されている。
血中コレステロール値を低下させる薬剤として、臨床上最も広く使用されて来たのが、HMG−CoA還元酵素阻害剤(スタチン製剤)である。HMG−CoA還元酵素阻害剤は、コレステロール生合成経路中のHMG−CoA還元酵素の働きを阻害することにより、生体内でのコレステロール合成を阻害し、その血中濃度を低下させる薬剤である。そのため、かかる作用機序に基づく副作用が臨床上、懸念されている。即ち、HMG−CoA還元酵素を強く阻害した場合、コレステロールの生合成以外に、ユビキノン、ドリコールやヘムAのような、その他の生体に必要な成分の生合成も阻害されるため、それらに起因すると思われる副作用(例えば、横紋筋融解症、筋肉痛等)が懸念される。また、胃腸障害や肝機能の低下といった副作用も報告されている。
このため、HMG−CoA還元酵素阻害剤の投与可能な最高用量は、動物でもヒトでも、肝毒性又は筋毒性の発現用量との安全域を基に規定されているが、ヒトへの投与に関して認可されている最高用量においてはこれら毒性の頻度が高くなる場合があることから、高用量HMG−CoA還元酵素阻害剤による治療を実施出来ない場合がある。
したがって、医療の現場では、脂質異常症の治療にHMG−CoA還元酵素阻害剤を投与する場合には、低用量の投与から始めて、十分な効果が得られない場合に初めて、より高用量を患者に投与するのが通常であり、可能な限り高用量のHMG−CoA還元酵素阻害剤の投与を避けるのが一般的である。
特許文献1には、上記HMG−CoA還元酵素阻害剤とは異なる作用機序により血中コレステロール値を低下させる薬剤として、アゼチジノン化合物が開示されている。アゼチジノン化合物の中でもエゼチミブ(化学名 1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ビドロキシフェニル)−2−アゼチジノン)は、高コレステロール血症の治療剤として世界90か国以上で使用されている。
エゼチミブの作用機序は他の脂質異常症治療剤(HMG−CoA還元酵素阻害剤、陰イオン交換樹脂製剤、フィブラート系薬剤等)とは異なり、コレステロールの吸収過程に作用する。具体的なエゼチミブの作用機序を以下に示す。
(1)エゼチミブ及びその活性代謝物(エゼチミブ抱合体)は、小腸壁細胞に存在するコレステロールトランスポーターNPC1L1に結合し,NPC1L1が担っているコレステロール輸送機能を阻害する。その結果,小腸壁細胞での食事性及び胆汁性コレステロール及び植物ステロールの吸収が選択的に阻害され,小腸壁細胞で産生されるカイロミクロン中のコレステロール含量が低下する。
(2)小腸から肝臓へのコレステロール取込みが減少することにより,肝臓中コレステロール含量が低下する。この肝臓コレステロール含量の低下により,肝臓からのVLDLの分泌が低下する。また,肝臓におけるLDL受容体発現が増加することにより血中LDLコレステロールの取り込みが増加すると考えられる。これらの2つのことより,血中総コレステロール及びLDLコレステロールが低下する。
(3)さらに心血管系においては,血中総コレステロール及びLDLコレステロールが低下することにより,動脈組織におけるコレステロールの蓄積が低下し,動脈硬化モデルにおいて粥状動脈硬化病変の進展が抑制される。
エゼチミブの登場により、食事・運動療法でコントロールできない脂質異常症患者をエゼチミブ製剤の単独投与によって治療できるようになり、HMG−CoA還元酵素阻害剤のみでは血清コレステロールの抑制が不十分な患者へエゼチミブ製剤とHMG−CoA還元酵素阻害剤を併用することができるようになり、脂質異常症の薬物療法の選択肢が飛躍的に広がっている。
エゼチミブ含有製剤としては、特許文献2において、高脂血症、アテローム性動脈硬化症及び他の血管状態のための改良した組成物を提供することを課題とし、(a)少なくとも1種のアゼチジノン;(b)ラクトース1水和物;(c)微結晶セルロース;(d)ポビドン;(e)クロスカルメロースナトリウム;(f)ラウリル硫酸ナトリウム;及び(g)ステアリン酸マグネシウムを含有する組成物によって、上記課題を解決し得ることが記載されている。
特許文献3には、良好な溶解特性及び許容可能なレベルの錠剤硬度を可能にするエゼチミブ配合物を提供することを課題とする、一次粒子の形態にあるエゼチミブ及び、これに吸着する上記エゼチミブ粒子を有する粒状形態にある親水性賦形剤を含む、エゼチミブの配合物が開示されている。
また、特許文献4には、溶解プロファイル及び加工処理性に関して改善することを課題とする、a)エゼチミブを含む組成物を提供する工程、b)工程(a)によって提供される組成物を含む組成物をシーブする工程、c)工程(b)の後に組成物を剪断混合する工程、d)固体剤形(好ましくは錠剤、カプセル、カプレット、口内錠、サッシェ)に製剤化する工程を含むエゼチミブを含む剤形を調製するための方法が記載されている。
しかしながら、特許文献1から4のいずれにも、アゼチジノン化合物を含有する経口固形製剤を高温環境下で保管した際に溶出速度が低下するという問題、及びアゼチジノン化合物を含有する経口固形製剤を高湿度環境下で保管した際に錠剤硬度が低下するという問題があることについては記載されていない。
特表平8−509989号公報 特開2007−211031号公報 特表2012−504155号公報 特表2012−516876号公報
本発明者が製剤を苛酷環境下で保管した際の安定性について検討したところ、特許文献2に記載されているようなアゼチジノン化合物含有製剤、特にエゼチミブ含有錠剤は、高温環境下(例えば、60℃、ガラス瓶密栓の条件)では経時的に溶出速度が低下する虞があることを初めて見出した。
また、特許文献2の実施例(段落0273)に記載されているように、ポビドンと水を混合して得た造粒液を使用し、流動層造粒により得られた造粒物を含む錠剤は、溶出性が十分ではない場合があり、さらに、高湿度環境下(例えば、30℃、75%RH)で保管した際に、錠剤硬度が低下する虞があることも初めて見出した。
ところで、HMG−CoA還元酵素阻害剤をエゼチミブと併用することにより、HMG−CoA還元酵素阻害剤を単剤で増量して使用するよりも強力な血中コレステロール低下作用が得られ、副作用も少なくなるという利点がある。そのため、薬局等において、これらの複数種類の錠剤を一包化して患者に処方することが多々あり、効率的に一包化できるよう、錠剤を瓶やプラスチック製ボトルなどの容器に入れた包装形態(いわゆるバラ包装)のニーズがある。
しかしながら、バラ包装された場合は、PTP包装されたものと異なり、錠剤同士が直接接触することから、錠剤の破損を防止するために、より高い錠剤硬度が求められる。また、バラ包装の場合は、室内の空気に暴露される時間がPTP包装されたものに比べて長くなるため、大気中の湿気による影響を受けやすい。
また、一般に、錠剤硬度を高くすると、錠剤が体内で崩壊し難くなるため、溶出性が低下する傾向がみられる。即ち、錠剤硬度と溶出性とはトレードオフの関係にあるため、錠剤硬度と溶出性を高いレベルで両立することは至難であった。
そこで、本発明の目的は、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下を抑制できるアゼチジノン化合物を含有する経口固形製剤、及び経口固形製剤の製造方法を提供することである。
本発明の目的は、また、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下を抑制でき、かつ、高湿度環境下で保管した後でも高い錠剤硬度を維持できるアゼチジノン化合物を含有する錠剤及び錠剤の製造方法を提供することである。
本発明者は、アゼチジノン化合物を含有する経口固形製剤を提供すべく鋭意研究を行った結果、上記の課題を初めて認識し、試行錯誤を重ね、アゼチジノン化合物を含有する経口固形製剤に、ヒドロキシプロピル置換セルロースを用いることにより、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下が抑制され得ることを見出し、本発明を完成させた。
また、本発明者は、アゼチジノン化合物と、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含む添加剤とを混合して混合物とし、次に、この混合物に極性有機溶媒及び水を含有する溶媒と結合剤とを含有する造粒液を噴霧して流動層造粒により造粒物とし、この造粒物を用いて得られた錠剤が、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下が抑制され、かつ、高湿度環境下で保管した後でも高い錠剤硬度を維持できることを見出し、本発明を完成させた。
本発明は、具体的には下記のとおりである。
(1)下記式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
ヒドロキシプロピル置換セルロースと
を含有する、経口固形製剤。
(ここで、Ar1及びAr2はアリール及びR4置換アリールからなる群より独立して選択され;
Ar3はアリール又はR5置換アリールであり;
X、Y及びZは−CH2−、−CH(低級アルキル)−及び−C(低級アルキル)2−からなる群より独立して選択され;
R及びR2は−OR6、−O(CO)R6、−O(CO)OR9及び−O(CO)NR67からなる群より独立して選択され;
1及びR3は水素、低級アルキル及びアリールから独立して選択され;
qは0又は1であり:
rは0又は1であり:
m、n及びpは独立して0、1、2、3又は4であり;ただし、q及びrの少なくとも1つが1である場合、m、n、p、q及びrの合計は1、2、3、4、5又は6であり;pが0でrが1である場合、m、q及びnの合計は1、2、3、4又は5であり;そして、pが0でqが1である場合、m、n及びrの合計は1、2、3、4又は5であり;q及びrの少なくとも1つは必ず1であり;
4は1〜5個の置換基であって、低級アルキル,−OR6,−O(CO)R6,−O(CO)OR9,−O(CH21-5OR6,−O(CO)NR67,−NR67,−NR6(CO)R7,−NR6(CO)OR9,−NR6(CO)NR78,−NR6 SO29,−COOR6,−CONR67,−COR6,−SO2NR67,−S(O)0-29,−O(CH21-10−COOR6,−O(CH21-10CONR67,−(低級アルキレン)COOR6,−CH=CH−COOR6,−CF3,−CN,−NO2及びハロゲンからなる群より独立して選択される置換基であり;
5は1〜5個の置換基であって、−OR6,−O(CO)R6,−O(CO)OR9,−O(CH21-5OR6,−O(CO)NR67,−NR67,−NR6(CO)R7,−NR6(CO)OR9,−NR6(CO)NR78,−NR6SO29,−COOR6,−CONR67,−COR6,−SO2NR67,−S(O)0-29,−O(CH21-10−COOR6,−O(CH21-10CONR67,−(低級アルキレン)COOR6及び−CH=CH−COOR6からなる群より独立して選択される置換基であり;
6、R7及びR8は水素、低級アルキル、アリール及びアリール置換低級アルキルからなる群より独立して選択され;
そしてR9は低級アルキル、アリール又はアリール置換低級アルキルである。)
(2)下記式(2)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
ヒドロキシプロピル置換セルロースと
を含有する、上記(1)に記載の経口固形製剤。
(ここで、R10は、3−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル、3−フェニルプロピル、2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、1−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル、ヒドロキシ−(2−ナフタレニル)メチル、3−ビドロキシ−3−フェニルプロピル、3−ヒドロキシ−3−[4−(メトキシメトキシ)−フェニル]プロピル、3−(アセチルオキシ)−3−フェニルプロピル、3−(アセチルオキシ)−3−(4−フルオロフェニル)プロピル及び3−(アセチルオキシ)−3−(4−クロロフェニル)プロピルからなる群より選択される置換基であり;
Ar4は、フェニル、4−フルオロフェニル、4−メトキシフェニル及び4−クロロフェニルからなる群より選択される置換基であり、
Ar5は、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−(アセチルオキシ)フェニル及び4−(フェニルメトキシ)フェニルからなる群より選択される置換基である。)
(3)下記の群より選択される少なくとも1種の薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
ヒドロキシプロピル置換セルロースと
を含有する、上記(1)又は(2)に記載の経口固形製剤:
1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン;
1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(R)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン;
(3R,4S)−1,4−ビス−(4−メトキシフェニル)−3−(3−フェニルプロピル)−2−アゼチジノン;
3(R)−(2(R)−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−4(R)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(R)−(2(R)−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(S)−(1(S)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(S)−(1(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(R)−(1(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(R)−((S)−ヒドロキシ−(2−ナフタレニル)メチル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(R)−((R)−ヒドロキシ−(2−ナフタレニル)メチル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(R)−(3(R)−ビドロキシ−3−フェニルプロピル)−1,4−(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−(3(R)−ビドロキシ−3−フェニルプロピル)−1,4−(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
4(S)−(4−ビドロキシフェニル)−3(R)−(3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
4(S)−(4−ビドロキシフェニル)−3(R)−(3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(RS)−ヒドロキシ−3−[4−(メトキシメトキシ)−フェニル]プロピル]−1,4(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−3(R)−[3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)]−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−3(R)−[3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)]−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−[4−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(R)−(アセチルオキシ)−3−フェニルプロピル]−1,4(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(S)−(アセチルオキシ)−3−フェニルプロピル]−1,4(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(R)−(アセチルオキシ)−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−フルオロフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(S)−(アセチルオキシ)−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−フルオロフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(R)−(アセチルオキシ)−3−(4−クロロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−クロロフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(S)−(アセチルオキシ)−3−(4−クロロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−クロロフェニル)−2−アゼチジノン;及び
1−(4−フルオロフェニル)−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−3(R)−(1(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−2−アゼチジノン。
(4)エゼチミブ又はその薬学的に受容可能な塩と、
ヒドロキシプロピル置換セルロースと
を含有する、上記(1)〜(3)のいずれか1項に記載の経口固形製剤:
(5)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
を含有する、上記(1)〜(4)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(6)ポリビニルピロリドンを含有する、上記(1)〜(5)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(7)クロスカルメロースナトリウムを含有する、上記(1)〜(6)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(8)ラウリル硫酸ナトリウムを含有する、上記(1)〜(7)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(9)結晶セルロースを含有する、上記(1)〜(8)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(10)ポリソルベートを含有する、上記(1)〜(9)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(11)錠剤である、上記(1)〜(10)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(12)50%粒子径(D50)が15μm以下である上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
ヒドロキシプロピル置換セルロースと
を含有する、上記(1)〜(11)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(13)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
経口固形製剤全体の質量に対して1〜30質量%のヒドロキシプロピル置換セルロースと
を含有する、上記(1)〜(12)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(14)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
ヒドロキシプロポキシル基を5〜16質量%有する低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
を含有する、上記(1)〜(13)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(15)上記(1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
平均粒子径が10〜100μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
を含有する、上記(1)〜(14)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(16)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
安息角が42°以下である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
を含有する、上記(1)〜(15)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(17)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
BET法で測定した比表面積が、1.0m2/g以上である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
を含有する、上記(1)〜(16)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(18)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
ゆるめ嵩密度が0.30g/ml以上である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
を含有する、上記(1)〜(17)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(19)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
圧縮圧50MPaで圧縮成型したときの弾性回復率が7%以下である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
を含有する、上記(1)〜(18)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(20)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
吸水時の膨潤体積増加率が300%以上で、膨潤体積増加速度が100%/分以上である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
を含有する、上記(1)〜(19)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(21)K値が28以下であるポリビニルピロリドンを含有する、上記(1)〜(20)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(22)経口固形製剤全体の質量に対して1〜5質量%のポリビニルピロリドンを含有する、上記(1)〜(21)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(23)経口固形製剤全体の質量に対して1〜30質量%のクロスカルメロースナトリウムを含有する、上記(1〜22のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(24)クロスカルメロースナトリウムと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとの質量比が、4/1〜1/4である、上記(1)〜(23)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(25)平均粒子径が100μm以下である結晶セルロースを含有する、上記(1)〜(24)に記載の経口固形製剤。
(26)薬物100質量部に対して、
30〜50質量部の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと、
30〜50質量部のポリビニルピロリドンと、
30〜50質量部のクロスカルメロースナトリウムと、
10〜30質量部のラウリル硫酸ナトリウムと、
100〜300質量部の結晶セルロースと、
所望により、
10〜30質量部のポリソルベートと、
500〜600質量部の乳糖水和物と、
5〜20質量部のステアリン酸マグネシウムと
を含有する、上記(1)〜(25)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(27)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
ヒドロキシプロピル置換セルロースと、
所望により、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び結晶セルロースからなる群から選択される1以上の添加剤と
を含有する造粒物(但し、前記造粒物は、極性有機溶媒及び/又は水を用いた流動層造粒物である)を含有する、上記(1)〜(26)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(28)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
ヒドロキシプロピル置換セルロースと、
所望により、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び結晶セルロースからなる群から選択される1以上の添加剤と
を含有する造粒物(但し、前記造粒物は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選択される少なくとも1種の極性有機溶媒及び/又は水を用いた流動層造粒物である)を含有する、上記(1)〜(27)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(29)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
ヒドロキシプロピル置換セルロースと、
所望により、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び結晶セルロースからなる群から選択される1以上の添加剤を含有する造粒物(但し、前記造粒物は、エタノール及び水を用いた流動層造粒物である)を含有する、上記(1)〜(28)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(30)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
ヒドロキシプロピル置換セルロースと、
所望により、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び結晶セルロースからなる群から選択される1以上の添加剤と
を含有する造粒物(但し、前記造粒物は、極性有機溶媒と水を70/30〜10/90の質量比で混合した溶媒を用いた流動層造粒物である)を含有する、上記(1)〜(29)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(31)上記(1)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
ヒドロキシプロピル置換セルロースと、
所望によりポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び結晶セルロースからなる群から選択される1以上の添加剤とを含有する造粒物(但し、前記造粒物は、極性有機溶媒及び/又は水を用いた流動層造粒物である)を含有し、
さらに結晶セルロースを含有する、上記(1)〜(30)のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
(32)経口固形製剤の製造方法であって、
下記式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含む添加剤とを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物に、極性有機溶媒及び/又は水を含有する溶媒とに結合剤とを含有する造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る工程と
を含む、経口固形製剤の製造方法。
(ここで、Ar1及びAr2はアリール及びR4置換アリールからなる群より独立して選択され;
Ar3はアリール又はR5置換アリールであり;
X、Y及びZは−CH2−、−CH(低級アルキル)−及び−C(低級アルキル)2−からなる群より独立して選択され;
R及びR2は−OR6、−O(CO)R6、−O(CO)OR9及び−O(CO)NR67からなる群より独立して選択され;
1及びR3は水素、低級アルキル及びアリールから独立して選択され;
qは0又は1であり:
rは0又は1であり:
m、n及びpは独立して0、1、2、3又は4であり;ただし、q及びrの少なくとも1つが1である場合、m、n、p、q及びrの合計は1、2、3、4、5又は6であり;pが0でrが1である場合、m、q及びnの合計は1、2、3、4又は5であり;そして、pが0でqが1である場合、m、n及びrの合計は1、2、3、4又は5であり;q及びrの少なくとも1つは必ず1であり;
4は1〜5個の置換基であって、低級アルキル,−OR6,−O(CO)R6,−O(CO)OR9,−O(CH21-5OR6,−O(CO)NR67,−NR67,−NR6(CO)R7,−NR6(CO)OR9,−NR6(CO)NR78,−NR6SO29,−COOR6,−CONR67,−COR6,−SO2NR67,−S(O)0-29,−O(CH21-10−COOR6,−O(CH21-10CONR67,−(低級アルキレン)COOR6,−CH=CH−COOR6,−CF3,−CN,−NO2及びハロゲンからなる群より独立して選択される置換基であり;
5は1〜5個の置換基であって、−OR6,−O(CO)R6,−O(CO)OR9,−O(CH21-5OR6,−O(CO)NR67,−NR67,−NR6(CO)R7,−NR6(CO)OR9,−NR6(CO)NR78,−NR6SO2 9,−COOR6,−CONR67,−COR6,−SO2NR67,−S(O)0-29,−O(CH21-10−COOR6,−O(CH21-10CONR67,−(低級アルキレン)COOR6及びCH=CH−COOR6からなる群より独立して選択される置換基であり;
6、R7及びR8は水素、低級アルキル、アリール及びアリール置換低級アルキルからなる群より独立して選択され;
そしてR9は低級アルキル、アリール又はアリール置換低級アルキルである。)
(33)上記(32)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含む添加剤とを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物に、極性有機溶媒と水を70/30〜10/90 の質量比で混合した溶媒と結合剤とを含有する造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る工程と
を含む、上記(32)に記載の経口固形製剤の製造方法。
(34)上記(32)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含む添加剤とを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物に、極性有機溶媒及び/又は水を含有する溶媒と結合剤とを含有する造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る工程と、
更に、結晶セルロースを前記造粒物と混合する工程と
を含む、上記(32)又は(33)に記載の経口固形製剤の製造方法。
(35)上記(32)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロース、賦形剤及び可溶化剤を含む添加剤とを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物に、極性有機溶媒及び/又は水を含有する溶媒と結合剤とを含有する造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る工程と
を含む、上記(32)〜(34)のいずれか1項に記載の経口固形製剤の製造方法。
(36)上記(32)に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含む添加剤とを混合して混合物を得る工程と、
前記混合物に、極性有機溶媒及び/又は水を含有する溶媒と結合剤とを含有する造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る工程と、
前記造粒物を含む組成物を圧縮成型する工程と
を含む、上記(32)〜(35)のいずれか1項に記載の経口固形製剤の製造方法。
本発明の経口固形製剤は、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下を抑制することができる。また、本発明の経口固形製剤は、高湿度環境下で保管した後も高い錠剤硬度を維持できる。本発明の経口固形製剤は、これらを同時に解決することができる。
本発明の経口固形製剤の製造方法によれば、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下を抑制することができる経口固形製剤を提供することができる。 また、本発明の経口固形製剤の製造方法によれば、高湿度環境下で保管した後も高い錠剤硬度を維持できる経口固形製剤を提供することができる。本発明の経口固形製剤の製造方法は、これらを同時に解決することができる。
図1は、温度過酷試験(60℃)における溶出性の推移を示すグラフである。 図2は、湿度過酷試験(30℃、75%相対湿度)における溶出性の推移を示すグラフである。 図3は、加速試験(40℃、75%相対湿度)における溶出性の推移を示すグラフである。 図4は、湿度過酷試験(30℃、75%相対湿度)における錠剤硬度の推移を示すグラフである。
本発明の経口固形製剤は、下記式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースとを含有する経口固形製剤である。
ここで、Ar1 及びAr2 はアリール及びR4 置換アリールからなる群より独立して選択され;
Ar3はアリール又はR5置換アリールであり;
X、Y及びZは−CH2−、−CH(低級アルキル)−及び−C(低級アルキル)2−からなる群より独立して選択され;
R及びR2は−OR6、−O(CO)R6、−O(CO)OR9及び−O(CO)NR67からなる群より独立して選択され;
1及びR3は水素、低級アルキル及びアリールから独立して選択され;
qは0又は1であり:
rは0又は1であり:
m、n及びpは独立して0、1、2、3又は4であり;ただし、q及びrの少なくとも1つが1である場合、m、n、p、q及びrの合計は1、2、3、4、5又は6であり;pが0でrが1である場合、m、q及びnの合計は1、2、3、4又は5であり;そして、pが0でqが1である場合、m、n及びrの合計は1、2、3、4又は5であり;q及びrの少なくとも1つは必ず1であり;
4は1〜5個の置換基であって、低級アルキル,−OR6,−O(CO)R6,−O(CO)OR9,−O(CH21-5OR6,−O(CO)NR67,−NR67,−NR6(CO)R7,−NR6(CO)OR9,−NR6(CO)NR78,−NR6SO29,−COOR6,−CONR67,−COR6,−SO2NR67,−S(O)0-29,−O(CH21-10−COOR6,−O(CH21-10CONR67,−(低級アルキレン)COOR6,−CH=CH−COOR6,−CF3,−CN,−NO2及びハロゲンからなる群より独立して選択される置換基であり;
5は1〜5個の置換基であって、−OR6,−O(CO)R6,−O(CO)OR9,−O(CH21-5OR6,−O(CO)NR67,−NR67,−NR6(CO)R7,−NR6(CO)OR9,−NR6(CO)NR78,−NR6SO29,−COOR6,−CONR67,−COR6,−SO2NR67,−S(O)0-29,−O(CH21-10−COOR6,−O(CH21-10CONR67,−(低級アルキレン)COOR6及び−CH=CH−COOR6からなる群より独立して選択される置換基であり;
6、R7及びR8は水素、低級アルキル、アリール及びアリール置換低級アルキルからなる群より独立して選択され;
そしてR9は低級アルキル、アリール又はアリール置換低級アルキルである。
(アゼチジノン化合物)
本発明の経口固形製剤において、有効成分として用いられるアゼチジノン化合物は、上記式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩である。
式(1)中、R4は、好ましくは1〜3個の独立して選択される置換基であり、R5は好ましくは1〜3個の独立して選択される置換基である。
Ar1はフェニル又はR4置換フェニル、特に(4−R4)置換フェニルである式(1)の化合物が好ましい。
Ar2は好ましくはフェニル又はR4置換フェニル、特に(4−R4)置換フェニルである。
Ar3は好ましくはR5置換フェニル、特に(4−R5)置換フェニルである。
Ar1が(4−R4)置換フェニルである場合、R4 は好ましくはハロゲンである。
Ar2及びAr3がそれぞれR4及びR5置換フェニルである場合、R4は好ましくはハロゲン又は−OR6 であり、そしてR5は好ましくは−OR6であり、ここでR6は低級アルキル又は水素である。
Ar1及びAr2がそれぞれ4−フルオロフェニルであり、Ar3が4−ヒドロキシフェニル又は4−メトキシフェニルである化合物が特に好ましい。
X、Y及びZは、それぞれ好ましくは−CH2−である。
1及びR3は、それぞれ好ましくは水素である。
R及びR2は、好ましくは−OR6(R6は水素)、また容易にヒドロキシルに代謝される基(上記のような−O(CO)R6、−O(CO)OR9及び−O(CO)NR67)である。
m、n、p、q及びrの合計は、好ましくは2、3又は4、より好ましくは3である。
m、n及びrがそれぞれ0であり、qが1であり、そしてpが2である化合物が好ましい。
p、q及びnがそれぞれ0であり、rが1であり、そしてmが2又は3である化合物もまた好ましい。
m、n及びrがそれぞれ0であり、qが1であり、pが2であり、Zが−CH2−であり、そしてRが−OR6 (特にR6が水素)である化合物がより好ましい。
p、q及びnがそれぞれ0であり、rが1であり、mが2であり、Xが−CH2−であり、そしてR2が−OR6(特にR6が水素)である化合物もまたより好ましい。
好ましい化合物の別の群は、Ar1がフェニル又はR4置換フェニルであり、Ar2がフェニル又はR4置換フェニルであり、そしてAr3がR5置換フェニルである化合物群である。
Ar1がフェニル又はR4置換フェニルであり、Ar2がフェニル又はR4置換フェニルであり、Ar3がR5置換フェニルであり、そしてm、n、p、q及びrの合計が2、3又は4、より好ましくは3である化合物もまた好ましい。Ar1がフェニル又はR4置換フェニルであり、Ar2がフェニル又はR4置換フェニルであり、Ar3がR5置換フェニルであり、そしてm、n及びrがそれぞれ0であり、qが1でありそしてpが2であるか、あるいはp、q及びnがそれぞれ0であり、rが1でありそしてmが2又は3である化合物がより好ましい。
本明細書において、用語「低級アルキル」は炭素原子数1〜6の直鎖状または分岐状アルキル鎖を意味する。また、「アリール」は、フェニル、ナフチル、インデニル、テトラヒドロナフチルまたはインダニルを意味する。
上記のR6、R7及びR8は独立して置換基からなる群より選択されるという記載は、R6、R7及びR8が独立して選択されるだけでなく、R6、R7又はR8 変数が分子中に1度以上発生し、これらの発生は独立して選択される(例えば、Rが−OR6(ここではR6は水素)である場合、R4は−OR6(ここではR6は低級アルキル)であり得る)ことを意味する。
上記式(1)に記載の薬物は、少なくとも1つの非対称炭素原子を有し、そしてそれ故、すべての異性体(エナンチオマー及びジアステレオマーを含む)は本発明の一部として意図される。本発明は、共に純粋な形態のdおよびl異性体および混合物形態(ラセミ混合物を含む)のdおよびl異性体を包含し得る。異性体は、通常の技術を用いてキラルな出発物質を反応させるかまたは式(1)に記載の薬物の異性体を分離するかのいずれかによって調製され得る。異性体又は幾何異性体(例えば、二重結合が存在する場合)を包含する。本発明はそのようなすべての幾何異性体を意図する。
アミノ基を有する式(1)に記載の薬物は、有機酸および無機酸と薬学的に受容可能な塩を形成し得る。塩形成に適切な酸の例は、当業者には周知の塩酸、硫酸、リン酸、酢酸、クエン酸、シュウ酸、マロン酸、サリチル酸、リンゴ酸、フマル酸、コハク酸、アスコルビン酸、マレイン酸、メタンスルホン酸及び他の鉱酸、並びにカルボン酸である。塩は、遊離塩基形態を十分な量の所望の酸と接触させて塩を生成することにより調製される。遊離塩基形態は、希薄重炭酸ナトリウム水溶液のような適切な希薄塩基水溶液で塩を処理することにより再生され得る。
酸性である(例えば、カルボキシル基を有する)式(1)に記載の薬物は、無機塩基および有機塩基と薬学的に受容可能な塩を形成する。そのような塩の例は、ナトリウム塩、カリウム塩、カルシウム塩、アルミニウム塩、金塩及び銀塩である。アンモニア、アルキルアミン、ヒドロキシアルキルアミン、N−メチルグルカミン等のような薬学的に許容可能なアミンと形成される塩もまた包含される。
上記薬物は、下記式(2)で表される薬物であることが好ましい。
ここで、R10は、3−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル、3−フェニルプロピル、2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、1−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル、ヒドロキシ−(2−ナフタレニル)メチル、3−ビドロキシ−3−フェニルプロピル、3−ヒドロキシ−3−[4−(メトキシメトキシ)−フェニル]プロピル、3−(アセチルオキシ)−3−フェニルプロピル、3−(アセチルオキシ)−3−(4−フルオロフェニル)プロピル及び3−(アセチルオキシ)−3−(4−クロロフェニル)プロピルからなる群より選択される置換基であり;
Ar4は、フェニル、4−フルオロフェニル、4−メトキシフェニル及び4−クロロフェニルからなる群より選択される置換基であり、
Ar5は、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−(アセチルオキシ)フェニル及び4−(フェニルメトキシ)フェニルからなる群より選択される置換基である。
上記薬物の具体例としては、1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン;
1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(R)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン;
(3R,4S)−1,4−ビス−(4−メトキシフェニル)−3−(3−フェニルプロピル)−2−アゼチジノン;
3(R)−(2(R)−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−4(R)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(R)−(2(R)−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(S)−(1(S)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(S)−(1(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(R)−(1(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(R)−((S)−ヒドロキシ−(2−ナフタレニル)メチル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(R)−((R)−ヒドロキシ−(2−ナフタレニル)メチル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
3(R)−(3(R)−ビドロキシ−3−フェニルプロピル)−1,4−(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−(3(R)−ビドロキシ−3−フェニルプロピル)−1,4−(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
4(S)−(4−ビドロキシフェニル)−3(R)−(3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
4(S)−(4−ビドロキシフェニル)−3(R)−(3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(RS)−ヒドロキシ−3−[4−(メトキシメトキシ)−フェニル]プロピル]−1,4(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−3(R)−[3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)]−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−3(R)−[3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)]−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−[4−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(R)−(アセチルオキシ)−3−フェニルプロピル]−1,4(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(S)−(アセチルオキシ)−3−フェニルプロピル]−1,4(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(R)−(アセチルオキシ)−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−フルオロフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(S)−(アセチルオキシ)−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−フルオロフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(R)−(アセチルオキシ)−3−(4−クロロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−クロロフェニル)−2−アゼチジノン;
3(R)−[3(S)−(アセチルオキシ)−3−(4−クロロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−クロロフェニル)−2−アゼチジノン;及び
1−(4−フルオロフェニル)−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−3(R)−(1(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−2−アゼチジノンが好ましい。
特に、エゼチミブ(化学名:1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン)が好ましい。
上記薬物又はその薬学的に受容可能な塩の50%粒子径(D50)は、特に限定されないが、15μm以下であることが好ましく、10μm以下であることがより好ましく、8μm以下であることがさらに好ましい。50%粒子径(D50)がこの範囲であると、本発明の経口固形製剤の溶出性が顕著に高くなり、高温環境下で保管した後も高い溶出性を維持することができる。50%粒子径の下限値は、特に限定されないが、例えば、1μm以上とすることができる。
上記のような粒子径の小さい薬物は、公知の方法で製造することができる。例えば、ジェットミルを用いて粉砕されたジェットミル処理品であることが、高い溶出性を得られることから好ましい。
上記薬物又はその薬学的に受容可能な塩は、結晶又はアモルファスであってよく、安定性の点等から結晶であることが好ましい。
本発明の経口固形製剤における上記薬物の含有量は、特に限定されないが、経口固形製剤全体の質量に対して、好ましくは1〜20質量%、より好ましくは5〜15質量%とすることができる。
(ヒドロキシプロピル置換セルロース)
本発明の経口固形製剤に用いられるヒドロキシプロピル置換セルロースは、セルロースのヒドロキシプロピルエーテルである。本発明の経口固形製剤は、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含有することにより、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下を抑制し得ると考えられる。また、高湿度環境下で保管した後も高い錠剤硬度を維持できる経口固形製剤を得ることができると考えられる。
本明細書においては、後述するヒドロキシプロピルセルロース(以下、「HPC」ともいう。)と低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(以下、「L−HPC」ともいう。)を区別して別の物として扱い、HPCとL−HPCの両方を包含する上位概念としてヒドロキシプロピル置換セルロースの用語を用いる。
ヒドロキシプロピルセルロース(HPC)とは、セルロースのヒドロキシプロピルエーテルであり、乾燥重量の53.4%〜77.5%のヒドロキシプロポキシル基(−OC3H6OH)を有する。HPCは、セルロースのヒドロキシ基を酸化プロピレンでエーテル化することで得られ、セルロースとは異なり、水、アルコール類に溶ける。水を加えると粘り気のある液となり、フィルム形成能が高いためフィルムコーティング剤として用いられる。また、錠剤や顆粒剤の結合剤として使用される。
式(3)ヒドロキシプロピルセルロースの構造
低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(L−HPC)とは、セルロースのヒドロキシプロピルエーテルであり、乾燥重量の5〜16%のヒドロキシプロポキシル基(−OC36OH)を有する。HPCとL−HPCとは、ヒドロキシプロポキシル基による置換率が異なるが、それ以外の構造は共通する。
HPCとL−HPCの性質の違いとしては、HPCが水溶性であるのに対し、L−HPCは水には不溶性であるが、吸水して膨潤する。この性質を利用して、L−HPCは経口固形医薬製剤の崩壊剤として利用しうる。また、L−HPCは繊維状であるため、錠剤の硬度を高める作用を有し、水との練合物が結合性を持つことから結合剤としても用いうる。
本発明の経口固形製剤においてL−HPCを用いることが、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下をより抑制することができる点から好ましい。
L−HPCにおけるヒドロキシプロポキシル基の割合は、特に限定されないが、好ましくは5〜16質量%、より好ましくは7〜14質量%、さらに好ましくは9〜12質量%である。L−HPCにおけるヒドロキシプロポキシル基の割合がこの範囲であると、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下をより抑制し得る。
L−HPCの平均粒子径は、特に限定されないが、粉体の流動性、及び薬物との混合性の点から、好ましくは10〜100μm、より好ましくは20〜60μmである。
平均粒子径は、レーザー回折法粒度分布測定装置(例えば、HELOS&RODOS/シンパテック社製)を用いて測定することができる。
L−HPCの比表面積は、特に限定されないが、結合性の点から1.0m2/g以上であることが好ましい。
比表面積分析は、粉体粒子表面に吸着占有面積の判った分子を液体窒素の温度で吸着させ、その量から試料の比表面積を求める方法であり、不活性気体の低温低湿物理吸着によるBET法を用いることができる。自動比表面積測定装置(例えば、MICROMERITICS GEMINI 2375、(株)島津製作所)を用いて測定できる。
一般的には平均粒子径を小さくすることにより比表面積を増大させることができるが、平均粒子径が小さくなり過ぎると粉体の凝集性が増し、粉体の流動性が低下する恐れがある。圧密摩砕により、粉体の流動性が得られる平均粒子径でありながら高い比表面積を持つ粉体を得ることができる。
L−HPCのゆるめ嵩密度は、特に限定されないが、0.30g/ml以上であることが好ましい。
ここで、「ゆるめ嵩密度」とは、疎充填の状態の嵩密度をいい、直径5.03cm、高さ5.03cm(容積100ml)の円筒容器(材質:ステンレス)へ試料をJISの24メッシュの篩を通して、上方(23cm)から均一に供給し、上面をすり切って秤量することによって測定される。これらの操作は、粉体特性評価装置(例えば、パウダテスタPT−X、ホソカワミクロン(株))を使用することにより測定できる。
L−HPCは、圧縮圧50MPaで圧縮成型した時の弾性回復率が7%以下であることが好ましい。これにより圧縮時に緻密な成型体を形成することができる。
弾性回復率は、粉体の圧縮成形性を示す指標である。粉体を錠剤径11.3mmであって、接触面が平面である平杵(タブレッティングテスター、三協パイオテク(株))を用いて、錠剤質量480mg、圧縮圧50MPaで圧縮成型した時の錠剤厚みより、次式から求めることができる。
弾性回復率={(30秒後の錠剤厚み−最小錠剤厚み)/(最小錠剤厚み)}×100
ここで、「最小錠剤厚み」は、下杵が固定された平杵を用いて上杵にて粉体を圧縮した時の最下点、すなわち錠剤が最も圧縮された時の厚みをいい、「30秒後の錠剤厚み」は、上杵が上方に開放されてから30秒後の錠剤厚みをいう。
L−HPC粉末の膨潤体積増加率は、崩壊時間の点から300%以上が好ましい。
L−HPC粉末の膨潤体積増加速度は、崩壊剤として重要な特性である膨潤特性の点から、100%/分以上が好ましい。膨潤体積増加速度が100%/分未満であると、製剤化したときに崩壊時間が延長する場合がある。
L−HPCの膨潤特性の測定方法として、例えば、L−HPCを打錠圧1tで直径15mmの平面を有する錠剤に成型し、そこに水を滴下することにより、錠剤が膨潤するときの膨潤体積増加率と膨潤体積増加速度により評価できる。無水セルロースに対する苛性ソーダの質量比で0.1〜0.3であるアルカリセルロースを用いた場合、膨潤体積増加率は好ましくは300%以上で、膨潤体積増加速度は好ましくは100%/分以上となる。
膨潤体積増加率は、粉体を打錠圧1tで直径15mmの平面を有する錠剤に成型し、その後上杵の代わりに導管を持つ杵を取り付け、この導管を通じて臼に入った状態の錠剤に水を滴下することにより、錠剤が10分間吸水したときの膨潤体積増加率として得られる。水は、1ml/分の速度で10分間滴下する。体積の増加は、錠剤の厚み変化から以下の式により求めることができる。
膨潤体積増加率=(水添加前後の錠剤厚みの差/水添加前の錠剤厚み)×100
なお、上式中、「水添加前後の錠剤厚みの差」は、10分間の水添加後の錠剤厚みから水添加前の錠剤厚みを引いたものである。
膨潤体積増加速度は、上記方法と同様の条件で膨潤体積増加率を測定したとき、水添加開始から30秒後の初期膨潤率を意味し、以下の式から求めることができる。
膨潤体積増加速度=(初期水添加前後の錠剤厚みの差/水添加前の錠剤厚み)×100/0.5
上式中、「初期水添加前後の錠剤厚みの差」は、水添加開始から30秒後の錠剤厚みから水添加前の錠剤厚みを引いたものである。
L−HPCの安息角は、流動性の点から42度以下であることが好ましい。
安息角は、試料を平面上に落下させて堆積させた円錐の母線と水平面とのなす角度を言う。安息角は、粉体特性評価装置(例えば、パウダテスタPT−X、ホソカワミクロン(株))を用いて直径80mmの金属製円盤状の台の上に75mmの高さより一定の角度になるまで試料を流出させ、堆積している粉体と台との角度を測定することにより算出できる。この角度が小さいほど流動性に優れる粉体と言える。
本発明の経口固形製剤におけるヒドロキシプロピル置換セルロースの含有量は、特に限定されないが、経口固形製剤全体の質量に対して、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。ヒドロキシプロピル置換セルロースの含有量がこの範囲であると、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下をより抑制することができる。
(他の添加剤)
本発明の経口固形製剤は、上述した各成分以外に、一般製剤の製造に用いられる種々の添加剤を含んでもよく、その添加量は一般製剤の製造に用いられる量でよい。このような添加剤としては、例えば賦形剤、崩壊剤、結合剤、可溶化剤、滑沢剤、矯味剤、発泡剤、甘味料、香料、着色剤、安定化剤等が挙げられる。これら添加剤は、2種以上を適宜の割合で混合して用いてもよい。
賦形剤としては、例えば、乳糖、乳糖水和物、果糖、ブドウ糖、ショ糖、マンニトール、ソルビトール等の糖又は糖アルコール類;トウモロコシデンプン、馬鈴薯デンプン等のデンプン類;結晶セルロース;無水リン酸カルシウム、沈降炭酸カルシウム、ケイ酸カルシウム、塩化ナトリウムの無機塩類等が挙げられ、好ましくは乳糖、乳糖水和物、結晶セルロースである。乳糖及び/又は乳糖水和物と、結晶セルロースとを含有することがより好ましい。
結晶セルロースは、高い溶出性が得られる点から、平均粒子径が100μmであるものが好ましく、80μm以下であるものがより好ましく、60μm以下であるものがさらに好ましい。
本発明の経口固形製剤における賦形剤の含有量は、特に限定されないが、経口固形製剤全体の質量に対して、好ましくは50〜95質量%、より好ましくは60〜90質量%、さらに好ましくは65〜80質量%である。
崩壊剤としては、例えば、L−HPC、クロスポビドン、クロスカルメロースナトリウム、カルボキシメチルセルロース、部分α化デンプン、ヒドロキシプロピルスターチ、トウモロコシデンプン、バレイショデンプン、デンプングリコール酸ナトリウム等が挙げられる。これらの中でも、L−HPC、クロスカルメロースナトリウムが好ましい。
また、L−HPC及びクロスカルメロースナトリウムの両方を含有することが、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下をより抑制することができる点から好ましい。
クロスカルメロースナトリウムの含有量は、特に限定されないが、経口固形製剤全体の質量に対して、好ましくは1〜30質量%、より好ましくは2〜15質量%、さらに好ましくは3〜10質量%である。
クロスカルメロースナトリウムとL−HPCとの質量比(クロスカルメロースナトリウム/L−HPC)は、特に限定されないが、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下をより抑制することができる点から、好ましくは4/1〜1/4であり、より好ましくは3/1〜1/3であり、さらに好ましくは2/1〜1/2である。
結合剤としては、例えば、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、α化デンプン、ポリビニルピロリドン、ポリビニルアルコール、アラビアゴム末、ゼラチン、プルラン、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース、アラビアゴム又はデンプン類等が挙げられる。これらの中でも、ヒドロキシプロピルメチルセルロース、ポリビニルピロリドンが好ましく、高い溶出性が得られるという点からポリビニルピロリドンがより好ましい。
ポリビニルピロリドンのK値は、特に限定されないが、高温環境下で保管した後でも高い溶出性が得られる点から、好ましくは28以下であり、より好ましくは23〜27であり、さらに好ましくは24〜26である。
ここで、K値とは、分子量と相関する粘性特性値で、毛細管粘度計により測定される相対粘度値(25℃)を下記のFikentscherの式に適用して算出される。
K=(1.5logηrel−1)/(0.15+0.003c)+(300clogηrel+(c+1.5clogηrel)21/2/(0.15c+0.003c2
ηrel : ポリビニルピロリドン水溶液の水に対する相対粘度
c : ポリビニルピロリドン水溶液中のポリビニルピロリドン濃度(%)
本発明の経口固形製剤におけるポリビニルピロリドンの含有量は、特に限定されないが、より高い溶出性が得られる点から、経口固形製剤全体の質量に対して、好ましくは1〜5質量%であり、より好ましくは2〜5質量%であり、さらに好ましくは3〜5質量%である。
可溶化剤としては、例えば、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンセチルエーテル、ポリオキシエチレンポリオキシプロピレンデシルテトラデシルエーテル、ポリオキシエチレンフィトステロール、ポリソルベート60、ポリソルベート80、ラウロマクロゴール等が挙げられ、より高い溶出性が得られる点からラウリル硫酸ナトリウムが好ましい。
また、ポリソルベート、特にポリソルベート80を含有することが、体内で薬物が溶解した後に析出することを防止し得る点から好ましい。
滑沢剤としては、例えば、モノステアリン酸グリセリン、パルミトステアリン酸グリセリル、フマル酸ステアリルナトリウム、ショ糖脂肪酸エステル、カルナウバロウ、L−ロイシン、マクロゴール、ステアリン酸マグネシウム、タルク、ショ糖脂肪酸エステル又はポリエチレングリコール等が挙げられ、ステアリン酸マグネシウムが好ましい。
本発明の経口固形製剤の好ましい処方の一例を以下に挙げる。
上記の薬物100質量部に対して、
10〜30質量部のラウリル硫酸ナトリウム、
30〜50質量部の低置換度ヒドロキシプロピルセルロース、
30〜50質量部のポリビニルピロリドン、
30〜50質量部のクロスカルメロースナトリウム、
100〜300質量部の結晶セルロース、及び
所望により、
10〜30質量部のポリソルベートと、
500〜600質量部の乳糖水和物、
5〜20質量部のステアリン酸マグネシウムを含有する。
また、本発明の経口固形製剤の好ましい態様の一例は、上記式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースと、所望により、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び結晶セルロースからなる群から選択される1以上の添加剤とを含有する造粒物(但し、この造粒物は、極性有機溶媒及び/又は水を用いた流動層造粒物である)を含有する経口固形製剤である。ここで、極性有機溶媒、極性有機溶媒と水との質量比等、詳細については後述する。
(本発明の経口固形製剤の剤形、製造方法等)
本発明の経口固形製剤の剤形としては、例えば、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等が挙げられるが、錠剤であることが好ましい。
また、本発明の錠剤は、必要に応じてコーティングが設けられていてもよいが、溶出性等の点からコーティングされていない素錠(裸錠)であることが好ましい。
本発明の経口固形製剤は、公知の方法により製造することができるが、具体的には、例えば、上記式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含む添加剤とを混合して混合物を得る工程と、この混合物に、極性有機溶媒及び/又は水を含有する溶媒と結合剤とを含有する造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る工程とを含む、経口固形製剤の製造方法(以下、「本発明の製造方法」ともいう。)により製造されることが好ましい。本発明の製造方法によれば、高い溶出性が得られ、高温環境下で保管した際の溶出速度の低下を抑制できる。
本発明の製造方法に用いる造粒液の溶媒としては、極性有機溶媒及び水のいずれか一方又は両方とすることでき、極性有機溶媒及び水を含有することが好ましい。極性有機溶媒と水の混合液を用いることにより、溶出性に優れる。さらに、初期の錠剤硬度が高くなり、高湿度環境下で保管した後も高い錠剤硬度を維持できる経口固形製剤を得ることができる。
(混合工程)
本発明の製造方法では、まず、上記式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含む添加剤とを混合して混合物を得る。薬物を造粒液に分散又は溶解させて噴霧する場合と比較して、薬物をL−HPC等の添加剤と予め混合しておくことにより高い溶出性が得られる。本発明の製造方法では、造粒液は上記式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩を実質的に含有しない。
このような混合工程は、流動層造粒装置を用いて行うことが好ましい。
ここで、ヒドロキシプロピル置換セルロースは上述したようにL−HPCであることが好ましい。また、ヒドロキシプロピル置換セルロース以外の添加剤として、上述した賦形剤、可溶化剤、崩壊剤等も合わせて混合することが好ましい。
(造粒工程)
次に、得られた混合物に、極性有機溶媒及び/又は水を含有する溶媒に結合剤を溶解した造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る。
極性有機溶媒及び水を含有する溶媒を用いることが、高い溶出性が得られる点から好ましい。また、極性有機溶媒及び水を含有する溶媒を用いて流動層造粒することにより、撹拌造粒した場合と比較して、初期の硬度が著しく高くなる。さらに、高湿度環境下で保管した後も高い錠剤硬度を維持できる経口固形製剤を得ることができると考えられる。
造粒液に用いる極性有機溶媒と水との質量比(極性有機溶媒/水)は、使用する極性有機溶媒や結合剤の種類等に応じて適宜設定すればよいが、例えば、70/30〜10/90 であることが好ましく、60/40〜20/80であることがより好ましく、50/50〜30/70であることがさらに好ましい。
上記極性有機溶媒としては、特に限定されないが、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることが好ましく、エタノールがより好ましい。
造粒液における結合剤(好ましくはポリビニルピロリドン)の濃度は、特に限定されないが、3〜30質量%であることが好ましく、5〜20質量%であることがより好ましく、8〜15質量%であることがさらに好ましい。
造粒液を噴霧する前及び/又は後に、極性溶媒と水との混合液(以下、極性溶媒/水混液)ともいう。)を上記混合物に噴霧することにより、造粒前に混合物を予熱した際に生じる凝集を抑制できる点、造粒液噴霧前に混合物の温度を下げることによって造粒しやすくなる点、及び造粒液による造粒開始点を安定させ、製造ロットやバッチ間の造粒状態を一定にできる点などから、好ましい。極性有機溶媒としては、上述したものと同様である。
極性溶媒/水混液における極性有機溶媒と水との質量比(極性有機溶媒/水)は、特に限定されないが、例えば、30/70〜80/20であることが好ましく、40/60〜70/30であることがより好ましく、50/50〜60/40であることがさらに好ましい。
なお、上述した特許文献3の実施例6A、6B、6C、6D、実施例11、実施例12及び実施例13には、エゼチミブとヒドロキシプロピルセルロースとを含有する錠剤が記載されているが、これらの実施例はいずれも、湿気活性化乾式造粒法(MADG法、Moisture Activated Dry Granulation)により造粒しており、流動層造粒により造粒を行う本発明の製造方法とは異なっている。また、特許文献4の実施例(段落0101)には、エゼチミブとヒドロキシプロピルセルロースとを含有する錠剤が記載されているが、この実施例は、造粒工程を行わず、エゼチミブとHPC等の添加剤とを高せん断ミキサー中で混合した後、圧縮して錠剤にしており、流動層造粒を行う本発明の製法とは相違している。
得られた造粒物は、必要に応じて、乾燥、整粒される。そして、常法により、錠剤、カプセル剤、顆粒剤等とすることができる。
(後添加工程、圧縮成型工程)
錠剤を製造する場合は、得られた造粒物と、必要に応じて、上述した滑沢剤、賦形剤の一部、崩壊剤の一部などを混合し、圧縮成型用組成物を得る後添加工程をさらに含む。
ここで、得られた造粒物に結晶セルロースを後添加すると、造粒部に配合した場合と比較して、高い溶出性が得られ、さらに錠剤硬度も高くなる点から好ましい。
得られた圧縮成型用組成物を、公知の打錠機等を用いて圧縮成型することにより、本発明の錠剤を得ることができる。
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明の範囲は下記の実施例により限定されるものではない。
(実施例1)
ステンレス容器に、下記表1に示す量(「製造処方」の量をいう。以下同じ。なお、表1に1錠当たりの配合量を「1錠処方」として示している。)の無水エタノールと精製水を投入して撹拌し、次いでポリビニルピロリドン(ポリビニルピロリドン K−25、和光純薬工業(株))を投入して撹拌し、溶解させた後、2バッチ分に半量ずつ分けて、造粒液とした。
ステンレス容器に、下記表1に示す量の無水エタノールと精製水を投入して撹拌した後、2バッチ分に半量ずつ分けて、エタノール/水混液とした。
造粒は2バッチで実施した。具体的には、流動層造粒装置(FLO−5、フロイント産業(株))にて、下記表1に示す量のエゼチミブ(ジェットミル処理品、D50=5μm)、低置換度ヒドロキシプロピルセルロース(LH−B1、信越化学工業(株))、乳糖水和物(Pharmatose(商標) 200M、DFEファーマ)、及びラウリル硫酸ナトリウム(エマール OS、花王(株))を混合し、混合物を得た。
この混合物の流動層に、エタノール/水混液、造粒液、エタノール/水混液の順に噴霧し、流動層造粒を行い、次いで乾燥を行い、30号篩にて整粒し、エタノール/水流動層造粒物を得た。
2バッチ分の造粒物、並びに下記表1に示す量のクロスカルメロースナトリウム(Ac−Di−Sol(商標)、FMCヘルスアンドニュートリション)及び結晶セルロース(セオラス(商標)PH−101、旭化成(株))を、撹拌装置(V−20、(株)徳寿工作所)に投入して混合し、次に下記表1に示す量のステアリン酸マグネシウムを投入し、さらに混合した。
この混合物をロータリー打錠機(HT−P18A、(株)畑鉄工所)を用いて打錠圧約5kNにて略楕円形状に打錠し、実施例1の錠剤(素錠)を得た。
(比較例1)
MSD社が製造販売しているエゼチミブ錠(ゼチーア(商標)錠10mg)を比較例1の錠剤とした。
ここで、比較例1のエゼチミブ錠は、ゼチーア(商標)錠10mgの添付文書の記載、独立行政法人 医薬品医療機器総合機構が作成したゼチーア(商標)錠10mgに係る審査報告書の記載、特許文献2の実施例の記載(段落0271〜0273)等から、以下のような処方及び製造方法により得られた錠剤であると推測される。なお、特許文献2の特許権者であるシェーリング コーポレイションは、2009年にMSD社に経営統合されている。
(1)処方
エゼチミブ10mgと、添加剤として乳糖水和物、ラウリル硫酸ナトリウム、ポリビニルピロリドン(ポビドン)、クロスカルメロースナトリウム、結晶セルロース及びステアリン酸を含有しており、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有していない。各添加剤の配合量までは分からないが、特許文献2の実施例の記載(段落0271)と同程度と推測される。
(2)製造方法
エゼチミブ、乳糖水和物、ラウリル硫酸ナトリウム及びクロスカルメロースナトリウムの一部を流動層造粒機で混合し、ポリビニルピロリドンを水に溶解させた水溶液(エタノールを含まない)、水の順で噴霧し、造粒後、乾燥させる。次に、造粒物を整粒し、結晶セルロース、残りのクロスカルメロースナトリウムを添加して混合した後、ステアリン酸マグネシウムを添加して混合する。この混合物を打錠し、エゼチミブ錠を得る。
(温度過酷試験−溶出性)
実施例1及び比較例1の錠剤を、それぞれ褐色ガラス瓶に入れ密栓し、60℃乾燥条件で所定の期間保管した。
製造直後及び所定の期間保管後の各錠剤について、以下のように溶出試験を行った。なお、実施例1及び比較例1のそれぞれ6個の試料(錠剤)を用いて試験を行い、それらの結果の平均値を求めた。結果を表2及び図1に示す。
(溶出試験)
第17改正日本薬局方 溶出試験法 バドル法に準じて、エゼチミブの所定時間当たりの溶出率を測定した。
エゼチミブは難溶性薬物であるため、水にポリソルベート80を0.1%添加した試験液を用いて、45分値を測定した。
表2及び図1から明らかなように、実施例1及び比較例1のいずれも開始時の溶出性は十分高いものの、比較例1は高温環境下(60℃乾燥条件)での保管期間が1ヵ月、2ヵ月、3ヵ月と経つに連れて溶出性が低下していくことが確認された。これに対して、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有している実施例1は、驚くべきことに、高温環境下(60℃乾燥条件)での保管期間が3ヶ月を経過しても開始時と同等の高い溶出性を維持していることが確認された。
(湿度過酷試験−溶出性)
実施例1及び比較例1の錠剤を、それぞれ褐色ガラス瓶に入れ、栓はせずに、30℃、75%相対湿度の環境下で所定の期間保管した。
製造直後及び所定の期間保管後の各錠剤について、上記のように溶出試験を行った。なお、実施例1及び比較例1のそれぞれ6個の試料を用いて試験を行い、それらの結果の平均値を求めた。結果を表3及び図2に示す。
表3及び図2から明らかなように、実施例1及び比較例1のいずれも開始時の溶出性は十分高く、かつ高湿度環境下(30℃、75%相対湿度)での保管期間が3ヶ月を経過しても高い溶出性を維持していることが確認された。
(加速試験−溶出性)
実施例1の錠剤を、乾燥剤が一体化されたパッキング付キャップを有するポリエチレン製ボトル(B−8、ウイストン(株))に入れて密栓、又はポリエチレン製ボトル(TIB−95、大成化工(株))に入れ、シリカゲルを入れて密栓し、40℃、75%相対湿度の環境下で所定の期間保管した。
また、比較例1の錠剤については、市販されているPTPシート(Aclar(商標))で包装されたエゼチミブ錠(ゼチーア(商標)錠10mg)を用いた。
製造直後及び所定の期間保管後の各錠剤について、上記のように溶出試験を行った。なお、実施例1及び比較例1のそれぞれ6個の試料(錠剤)を用いて試験を行い、それらの結果の平均値を求めた。結果を表4及び図3に示す。
表4及び図3から明らかなように、実施例1及び比較例1のいずれも開始時の溶出性は十分高いものの、比較例1は40℃、75%相対湿度条件下での保管期間が3ヵ月を経過すると溶出性が著しく低下することが確認された。これに対して、低置換度ヒドロキシプロピルセルロースを含有している実施例1は、驚くべきことに、40℃、75%相対湿度条件下での保管期間が3ヶ月を経過しても開始時と同等の高い溶出性を維持していることが確認された。
(湿度過酷試験−錠剤硬度)
製造直後及び上記のとおり高湿度環境下(30℃、75%相対湿度)で所定の期間保管した各錠剤について、下記のように錠剤硬度試験を行った。なお、実施例1及び比較例1のそれぞれ10個の試料(錠剤)を用いて試験を行い、それらの結果の平均値を求めた。結果を表5及び図4に示す。
(錠剤硬度試験)
錠剤硬度計(KHT−20N、(株)藤原製作所)を用いて、各錠剤の最も径が短くなる部位での硬度(短径硬度)、及び最も径が長くなる部位での硬度(長径硬度)を測定した。
表5及び図4から明らかなように、実施例1及び比較例1のいずれも短径硬度については、開始時は十分高く、高湿度環境下(30℃、75%相対湿度)での保管期間が3ヶ月を経過しても十分な硬度を維持していることが確認された。
また、比較例1は、開始時の長径硬度は50Nであるが、高湿度環境下(30℃、75%相対湿度)での保管期間が1ヶ月以上経過すると20N以下まで低下することが確認された。一方、実施例1は、開始時の長径硬度は62Nであり、高湿度環境下(30℃、75%相対湿度)での保管期間が3ヶ月を経過しても30N以上の硬度を維持していることが確認された。

Claims (36)

  1. 下記式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ヒドロキシプロピル置換セルロースと
    を含有する、経口固形製剤。
    (ここで、Ar1及びAr2はアリール及びR4置換アリールからなる群より独立して選択され;
    Ar3はアリール又はR5置換アリールであり;
    X、Y及びZは−CH2−、−CH(低級アルキル)−及び−C(低級アルキル)2−からなる群より独立して選択され;
    R及びR2は−OR6、−O(CO)R6、−O(CO)OR9及び−O(CO)NR67からなる群より独立して選択され;
    1及びR3は水素、低級アルキル及びアリールから独立して選択され;
    qは0又は1であり:
    rは0又は1であり:
    m、n及びpは独立して0、1、2、3又は4であり;ただし、q及びrの少なくとも1つが1である場合、m、n、p、q及びrの合計は1、2、3、4、5又は6であり;pが0でrが1である場合、m、q及びnの合計は1、2、3、4又は5であり;そして、pが0でqが1である場合、m、n及びrの合計は1、2、3、4又は5であり;q及びrの少なくとも1つは必ず1であり;
    4は1〜5個の置換基であって、低級アルキル,−OR6,−O(CO)R6,−O(CO)OR9,−O(CH21-5OR6,−O(CO)NR67,−NR67,−NR6(CO)R7,−NR6(CO)OR9,−NR6(CO)NR78,−NR6 SO29,−COOR6,−CONR67,−COR6,−SO2NR67,−S(O)0-29,−O(CH21-10−COOR6,−O(CH21-10CONR67,−(低級アルキレン)COOR6,−CH=CH−COOR6,−CF3,−CN,−NO2及びハロゲンからなる群より独立して選択される置換基であり;
    5は1〜5個の置換基であって、−OR6,−O(CO)R6,−O(CO)OR9,−O(CH21-5OR6,−O(CO)NR67,−NR67,−NR6(CO)R7,−NR6(CO)OR9,−NR6(CO)NR78,−NR6SO29,−COOR6,−CONR67,−COR6,−SO2NR67,−S(O)0-29,−O(CH21-10−COOR6,−O(CH21-10CONR67,−(低級アルキレン)COOR6及び−CH=CH−COOR6からなる群より独立して選択される置換基であり;
    6、R7及びR8は水素、低級アルキル、アリール及びアリール置換低級アルキルからなる群より独立して選択され;
    そしてR9は低級アルキル、アリール又はアリール置換低級アルキルである。)
  2. 下記式(2)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ヒドロキシプロピル置換セルロースと
    を含有する、請求項1に記載の経口固形製剤。
    (ここで、R10は、3−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル、3−フェニルプロピル、2−ヒドロキシ−2−フェニルエチル、1−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル、ヒドロキシ−(2−ナフタレニル)メチル、3−ビドロキシ−3−フェニルプロピル、3−ヒドロキシ−3−[4−(メトキシメトキシ)−フェニル]プロピル、3−(アセチルオキシ)−3−フェニルプロピル、3−(アセチルオキシ)−3−(4−フルオロフェニル)プロピル及び3−(アセチルオキシ)−3−(4−クロロフェニル)プロピルからなる群より選択される置換基であり;
    Ar4は、フェニル、4−フルオロフェニル、4−メトキシフェニル及び4−クロロフェニルからなる群より選択される置換基であり、
    Ar5は、4−ヒドロキシフェニル、4−メトキシフェニル、4−(アセチルオキシ)フェニル及び4−(フェニルメトキシ)フェニルからなる群より選択される置換基である。)
  3. 下記の群より選択される少なくとも1種の薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ヒドロキシプロピル置換セルロースと
    を含有する、請求項1又は2に記載の経口固形製剤。
    1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン;
    1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(R)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−2−アゼチジノン;
    (3R,4S)−1,4−ビス−(4−メトキシフェニル)−3−(3−フェニルプロピル)−2−アゼチジノン;
    3(R)−(2(R)−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−4(R)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
    3(R)−(2(R)−ヒドロキシ−2−フェニルエチル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
    3(S)−(1(S)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
    3(S)−(1(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
    3(R)−(1(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
    3(R)−((S)−ヒドロキシ−(2−ナフタレニル)メチル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
    3(R)−((R)−ヒドロキシ−(2−ナフタレニル)メチル)−4(S)−(4−メトキシフェニル)−1−フェニル−2−アゼチジノン;
    3(R)−(3(R)−ビドロキシ−3−フェニルプロピル)−1,4−(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
    3(R)−(3(R)−ビドロキシ−3−フェニルプロピル)−1,4−(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
    4(S)−(4−ビドロキシフェニル)−3(R)−(3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
    4(S)−(4−ビドロキシフェニル)−3(R)−(3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
    3(R)−[3(RS)−ヒドロキシ−3−[4−(メトキシメトキシ)−フェニル]プロピル]−1,4(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
    4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−3(R)−[3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)]−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
    4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−3(R)−[3(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)]−1−(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
    1−(4−フルオロフェニル)−3(R)−[3(S)−(4−フルオロフェニル)−3−ヒドロキシプロピル)]−4(S)−[4−(フェニルメトキシ)フェニル]−2−アゼチジノン;
    3(R)−[3(R)−(アセチルオキシ)−3−フェニルプロピル]−1,4(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
    3(R)−[3(S)−(アセチルオキシ)−3−フェニルプロピル]−1,4(S)−ビス(4−メトキシフェニル)−2−アゼチジノン;
    3(R)−[3(R)−(アセチルオキシ)−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−フルオロフェニル)−2−アゼチジノン;
    3(R)−[3(S)−(アセチルオキシ)−3−(4−フルオロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−フルオロフェニル)−2−アゼチジノン;
    3(R)−[3(R)−(アセチルオキシ)−3−(4−クロロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−クロロフェニル)−2−アゼチジノン;
    3(R)−[3(S)−(アセチルオキシ)−3−(4−クロロフェニル)プロピル]−4(S)−[4−(アセチルオキシ)フェニル]−1−(4−クロロフェニル)−2−アゼチジノン;及び
    1−(4−フルオロフェニル)−4(S)−(4−ヒドロキシフェニル)−3(R)−(1(R)−ヒドロキシ−3−フェニルプロピル)−2−アゼチジノン。
  4. エゼチミブ又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ヒドロキシプロピル置換セルロースと
    を含有する、請求項1〜3のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  5. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
    を含有する、請求項1〜4のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  6. ポリビニルピロリドンを含有する、請求項1〜5のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  7. クロスカルメロースナトリウムを含有する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  8. ラウリル硫酸ナトリウムを含有する、請求項1〜7のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  9. 結晶セルロースを含有する、請求項1〜8のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  10. ポリソルベートを含有する、請求項1〜9のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  11. 錠剤である、請求項1〜10のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  12. 50%粒子径(D50)が15μm以下である請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ヒドロキシプロピル置換セルロースと
    を含有する、請求項1〜11のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  13. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    経口固形製剤全体の質量に対して1〜30質量%のヒドロキシプロピル置換セルロースと
    を含有する、請求項1〜12のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  14. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ヒドロキシプロポキシル基を5〜16質量%有する低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
    を含有する、請求項1〜13のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  15. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    平均粒子径が10〜100μmである低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
    を含有する、請求項1〜14のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  16. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    安息角が42°以下である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
    を含有する、請求項1〜15のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  17. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    BET法で測定した比表面積が、1.0m2/g以上である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
    を含有する、請求項1〜16のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  18. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ゆるめ嵩密度が0.30g/ml以上である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
    を含有する、請求項1〜17のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  19. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    圧縮圧50MPaで圧縮成型したときの弾性回復率が7%以下である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
    を含有する、請求項1〜18のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  20. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    吸水時の膨潤体積増加率が300%以上で、膨潤体積増加速度が100%/分以上である低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと
    を含有する、請求項1〜19のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  21. K値が28以下であるポリビニルピロリドンを含有する、請求項1〜20のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  22. 経口固形製剤全体の質量に対して1〜5質量%のポリビニルピロリドンを含有する、請求項1〜21のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  23. 経口固形製剤全体の質量に対して1〜30質量%のクロスカルメロースナトリウムを含有する、請求項1〜22のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  24. クロスカルメロースナトリウムと低置換度ヒドロキシプロピルセルロースとの質量比が、4/1〜1/4である、請求項1〜23のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  25. 平均粒子径が100μm以下である結晶セルロースを含有する、請求項1〜24に記載の経口固形製剤。
  26. 薬物100質量部に対して、
    30〜50質量部の低置換度ヒドロキシプロピルセルロースと、
    30〜50質量部のポリビニルピロリドンと、
    30〜50質量部のクロスカルメロースナトリウムと、
    10〜30質量部のラウリル硫酸ナトリウムと、
    100〜300質量部の結晶セルロースと、
    所望により、
    10〜30質量部のポリソルベートと、
    500〜600質量部の乳糖水和物と、
    5〜20質量部のステアリン酸マグネシウムと
    を含有する、請求項1〜25のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  27. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ヒドロキシプロピル置換セルロースと、
    所望により、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び結晶セルロースからなる群から選択される1以上の添加剤と
    を含有する造粒物(但し、前記造粒物は、極性有機溶媒及び/又は水を用いた流動層造粒物である)を含有する、請求項1〜26のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  28. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ヒドロキシプロピル置換セルロースと、
    所望により、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び結晶セルロースからなる群から選択される1以上の添加剤と
    を含有する造粒物(但し、前記造粒物は、メタノール、エタノール、1−プロパノール、2−プロパノール、1−ブタノール、2−ブタノール、1−ペンタノール、アセトン、テトラヒドロフラン、N,N−ジメチルアセトアミド及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選択される少なくとも1種の極性有機溶媒及び/又は水を用いた流動層造粒物である)を含有する、請求項1〜27のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  29. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ヒドロキシプロピル置換セルロースと、
    所望により、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び結晶セルロースからなる群から選択される1以上の添加剤を含有する造粒物(但し、前記造粒物は、エタノール及び水を用いた流動層造粒物である)を含有する、請求項1〜28のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  30. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ヒドロキシプロピル置換セルロースと、
    所望により、ポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び結晶セルロースからなる群から選択される1以上の添加剤と
    を含有する造粒物(但し、前記造粒物は、極性有機溶媒と水を70/30〜10/90の質量比で混合した溶媒を用いた流動層造粒物である)を含有する、請求項1〜29のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  31. 請求項1に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、
    ヒドロキシプロピル置換セルロースと、
    所望によりポリビニルピロリドン、クロスカルメロースナトリウム、ラウリル硫酸ナトリウム、及び結晶セルロースからなる群から選択される1以上の添加剤とを含有する造粒物(但し、前記造粒物は、極性有機溶媒及び/又は水を用いた流動層造粒物である)を含有し、
    さらに結晶セルロースを含有する、請求項1〜30のいずれか1項に記載の経口固形製剤。
  32. 経口固形製剤の製造方法であって、
    下記式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含む添加剤とを混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物に、極性有機溶媒及び/又は水を含有する溶媒と結合剤と含有する造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る工程と
    を含む、経口固形製剤の製造方法。
    (ここで、Ar1及びAr2はアリール及びR4置換アリールからなる群より独立して選択され;
    Ar3はアリール又はR5置換アリールであり;
    X、Y及びZは−CH2−、−CH(低級アルキル)−及び−C(低級アルキル)2−からなる群より独立して選択され;
    R及びR2は−OR6、−O(CO)R6、−O(CO)OR9及び−O(CO)NR67からなる群より独立して選択され;
    1及びR3は水素、低級アルキル及びアリールから独立して選択され;
    qは0又は1であり:
    rは0又は1であり:
    m、n及びpは独立して0、1、2、3又は4であり;ただし、q及びrの少なくとも1つが1である場合、m、n、p、q及びrの合計は1、2、3、4、5又は6であり;pが0でrが1である場合、m、q及びnの合計は1、2、3、4又は5であり;そして、pが0でqが1である場合、m、n及びrの合計は1、2、3、4又は5であり;q及びrの少なくとも1つは必ず1であり;
    4は1〜5個の置換基であって、低級アルキル,−OR6,−O(CO)R6,−O(CO)OR9,−O(CH21-5OR6,−O(CO)NR67,−NR67,−NR6(CO)R7,−NR6(CO)OR9,−NR6(CO)NR78,−NR6SO29,−COOR6,−CONR67,−COR6,−SO2NR67,−S(O)0-29,−O(CH21-10−COOR6,−O(CH21-10CONR67,−(低級アルキレン)COOR6,−CH=CH−COOR6,−CF3,−CN,−NO2及びハロゲンからなる群より独立して選択される置換基であり;
    5は1〜5個の置換基であって、−OR6,−O(CO)R6,−O(CO)OR9,−O(CH21-5OR6,−O(CO)NR67,−NR67,−NR6(CO)R7,−NR6(CO)OR9,−NR6(CO)NR78,−NR6SO2 9,−COOR6,−CONR67,−COR6,−SO2NR67,−S(O)0-29,−O(CH21-10−COOR6,−O(CH21-10CONR67,−(低級アルキレン)COOR6及びCH=CH−COOR6からなる群より独立して選択される置換基であり;
    6、R7及びR8は水素、低級アルキル、アリール及びアリール置換低級アルキルからなる群より独立して選択され;
    そしてR9は低級アルキル、アリール又はアリール置換低級アルキルである。)
  33. 請求項32に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含む添加剤とを混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物に、極性有機溶媒と水を70/30〜10/90 の質量比で混合した溶媒と結合剤とを含有する造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る工程と
    を含む、請求項32に記載の経口固形製剤の製造方法。
  34. 請求項32に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含む添加剤とを混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物に、極性有機溶媒及び/又は水を含有する溶媒と結合剤とを含有する造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る工程と、
    更に、結晶セルロースを前記造粒物と混合する工程と
    を含む、請求項32又は33に記載の経口固形製剤の製造方法。
  35. 請求項32に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロース、賦形剤及び可溶化剤を含む添加剤とを混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物に、極性有機溶媒及び/又は水を含有する溶媒と結合剤とを含有する造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る工程と
    を含む、請求項32〜34のいずれか1項に記載の経口固形製剤の製造方法。
  36. 請求項32に記載の式(1)で表される薬物又はその薬学的に受容可能な塩と、ヒドロキシプロピル置換セルロースを含む添加剤とを混合して混合物を得る工程と、
    前記混合物に、極性有機溶媒及び/又は水を含有する溶媒と結合剤とを含有する造粒液を噴霧し、流動層造粒を行い造粒物を得る工程と、
    前記造粒物を含む組成物を圧縮成型する工程と
    を含む、請求項32〜35のいずれか1項に記載の経口固形製剤の製造方法。

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