JP2018103167A - 殺菌水の供給方法および供給装置 - Google Patents

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正治 棚橋
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純一 渡邉
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宏恵 近藤
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Abstract

【課題】殺菌水中の殺菌力に対応する数値をモニタしながら殺菌水を供給する方法の提供。【解決手段】次亜塩素酸を含む殺菌水の供給方法であり、塩化物イオンを含む第1の水溶液を電解槽10に通過させながら電気分解することによって、次亜塩素酸を含む第2の水溶液を調製する工程(a)と、電気分解後の水溶液の電気伝導率に対応する数値41を測定する工程(b)と、第1の水溶液の電気伝導率に対応する第1の数値42と、工程(b)で測定された数値である第2の数値41とを用いて、工程(a)の電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量に対応する第3の数値51を求める工程(c)と、を含む、殺菌水を供給する方法。【選択図】図1

Description

本発明は、殺菌水の供給方法および供給装置に関する。
次亜塩素酸を含む殺菌水は、食品や機器の殺菌や農薬として用いられている。次亜塩素酸を含む殺菌水の供給方法として、塩化物イオンを含む水を電気分解する方法が従来から提案されている。水中において次亜塩素酸の一部は解離して次亜塩素酸イオンを生じる。次亜塩素酸および次亜塩素酸イオンは殺菌力を有するため、有効塩素と呼ばれることがある。
特許文献1(特開平6−238281号公報)は、水道水などの原水を電解することによって次亜塩素酸イオンを生成する方法を開示している。特許文献2(特開平10−328667号公報)は、電気分解で生成される次亜塩素酸の濃度を、水道水中の塩化物イオン濃度に左右されずに一定にすることを目的とする発明を開示している。特許文献1および2の方法はいずれも、電気分解前の原水の電気伝導率を測定し、それに基づいて電気分解等の条件を変更する。
次亜塩素酸を含む殺菌水を用いて食品や物品の殺菌を行う場合、最終的に得られた殺菌水中の殺菌力(次亜塩素酸濃度)を一定値以上に保つことが重要である。次亜塩素酸濃度に関係する有効塩素濃度を測定する方法として、試料を滴定して比色分析を行うことによって測定する方法が知られている。しかし、この方法では測定に手間がかかり、且つ、生成される殺菌水の有効塩素濃度をその場(in situ)で連続的に測定することはできない。そのため、電気分解に不具合があって殺菌力が不充分な殺菌水が供給されている場合でも、それをすぐに検知することは困難であった。
一方、次亜塩素酸濃度を自動的に測定するには、大掛かりで高価な装置が必要になる。そのため、従来の方法(たとえば特許文献1や特許文献2に記載の方法)では、電気分解に用いる原水の物性値を測定し、それに応じて電気分解の条件を制御することによって、次亜塩素酸濃度を制御することを試みていた。しかし、この方法では、殺菌水の実際の次亜塩素酸濃度は不明であり、電気分解に不具合が生じて次亜塩素酸濃度が低下した場合でもそれを知ることはできない。その場合、殺菌水の殺菌力が低下し、充分な殺菌が行えなくなる。予定していた殺菌が行えない場合、食品に雑菌が繁殖するなど、重大な問題を生じる。しかし、そのような重大な問題が生じるにも拘わらず、従来は、電気分解後の水溶液の実際の殺菌力を求めることができる簡便で有効な方法が提案されていなかった。
特開平6−238281号公報 特開平10−328667号公報
このような状況において、本発明の目的の1つは殺菌水の殺菌力に対応する数値をモニタしながら殺菌水を供給できる簡便な方法および装置を提供することである。
本発明の一実施形態による方法は、次亜塩素酸を含む殺菌水の供給方法である。この供給方法は、(a)塩化物イオンを含む第1の水溶液を電解槽に通過させながら電気分解することによって、次亜塩素酸を含む第2の水溶液を調製する工程と、(b)前記電気分解後の水溶液の電気伝導率に対応する数値を測定する工程と、(c)前記第1の水溶液の電気伝導率に対応する第1の数値と、前記(b)の工程で測定された数値である第2の数値を用いて、前記(a)の工程の電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量に対応する第3の数値を求める工程と、を含む。
本発明の一実施形態による装置は、次亜塩素酸を含む殺菌水の供給装置である。この供給装置は、電気分解用の複数の電極を含む電解槽と、前記複数の電極に接続された電源と、塩化物イオンを含む第1の水溶液を前記電解槽に連続的に流すための水溶液供給機構と、を含む。前記電解槽は、前記第1の水溶液を電気分解することによって、次亜塩素酸を含む第2の水溶液を得る電解槽である。この供給装置は、前記電気分解後の水溶液の電気伝導率に対応する数値を測定する第1の測定器をさらに含む。
本発明によれば、殺菌水の殺菌力に対応する数値をモニタしながら殺菌水を供給できる。
図1は、本実施形態の供給装置の一例の構成を模式的に示す図である。 図2は、本実施形態の供給装置の他の一例の構成を模式的に示す図である。 図3は、本実施形態の供給装置の他の一例の構成を模式的に示す図である。 図4は、殺菌水の供給装置の他の一例の構成を模式的に示す図である。 図5は、殺菌水および殺虫剤の製造装置の一例の構成を模式的に示す図である。 図6は、実施例1の結果を示すグラフである。 図7は、実施例2の結果を示すグラフである。
本願発明者らが検討を重ねた結果、本願発明者らは、電気分解前の水溶液の電気伝導率と電気分解後の水溶液の電気伝導率とから、電気分解後の水溶液の殺菌力に対応する数値を求めることができることを見出した。本発明は、この新たな知見に基づくものである。
本発明の実施の形態について以下に説明する。なお、以下の説明では、本発明の実施形態について例を挙げて説明するが、本発明は以下で説明する例に限定されない。以下の説明において特定の数値や特定の材料を例示する場合があるが、本発明はそれらの例示に限定されない。
(殺菌水の供給方法)
本実施形態の方法は、次亜塩素酸を含む殺菌水(別の観点では、有効塩素を含む殺菌水)の供給方法(製造方法)である。この方法は、工程(a)、(b)、および(c)を含む。
工程(a)は、塩化物イオン(Cl-)を含む第1の水溶液を電解槽に通過させながら電気分解することによって、次亜塩素酸を含む第2の水溶液を調製する工程である。第1の水溶液の例には、塩酸(塩化水素水溶液)、塩化カリウム水溶液、および、塩化ナトリウム水溶液、およびそれらの混合液が含まれる。すなわち、第1の水溶液は、塩化水素、塩化カリウム、および、塩化ナトリウムから選ばれる少なくとも1つを水に溶解させて得られる水溶液であってもよい。あるいは、第1の水溶液は、それら以外の水溶液(塩化物イオンを含有するそれら以外の水溶液)であってもよい。
第1の水溶液の濃度は、電解槽の性能や、求められる殺菌力(たとえば次亜塩素酸濃度)などに応じて選択される。たとえば、塩酸を用いる場合、その濃度は、0.05〜35質量%の範囲(たとえば0.3〜5質量%の範囲や1〜10質量%の範囲)にあってもよい。
後述するように、本実施形態の方法では、電気伝導率に対応する数値に基づいて、殺菌力に対応する数値(たとえば有効塩素濃度や次亜塩素酸濃度)を求める。好ましい水溶液の例には、塩酸、塩化ナトリウム水溶液、塩化カリウム水溶液など、溶質の溶解によって1種の陽イオンと1種の陰イオンとだけが生じる水溶液が含まれる。塩酸は、水素イオン以外の陽イオンの影響がない点で好ましい。
電解槽の詳細については後述する。電気分解は、塩化物イオンが酸化される条件で行われる。具体的には、アノード(陽極)において塩化物イオンが酸化されて塩素分子となる。カソード(陰極)においては、還元反応が生じる。たとえば、第1の水溶液として塩酸を用いた場合には、カソードにおいて水素イオンが還元されて水素分子となる。
アノードにおいて生成された塩素分子は、水と反応して次亜塩素酸と塩酸とを生じる。水溶液中において、塩素分子(Cl2)、次亜塩素酸(HClO)、および次亜塩素酸イオン(ClO-)は化学平衡の状態にある。次亜塩素酸および次亜塩素酸イオンは殺菌力を有し、有効塩素と呼ばれることがある。それらの中でも、次亜塩素酸は強い殺菌力を示す。pH3〜7の範囲(特に3.5〜6の範囲)およびその近傍の領域(殺菌水が一般的に使用される範囲)では、化学平衡における次亜塩素酸の割合が極めて高くなる。以下では、有効塩素(次亜塩素酸および次亜塩素酸イオン)と塩素分子とをまとめて、「有効塩素成分」と称する場合がある。
電気分解は、第1の水溶液が電解槽を流れている状態で行われる。電解槽を流れる第1の水溶液の流量は、電解槽の性能や、求められる殺菌力(たとえば次亜塩素酸濃度)などに応じて選択される。
工程(b)は、電気分解後の水溶液の電気伝導率に対応する数値を測定する工程である。この数値を、以下では「第2の数値」と称する場合がある。また、工程(b)における測定対象である「電気分解後の水溶液」を、以下では「電気分解後の水溶液(S)」と称する場合がある。「電気伝導率に対応する数値」の例には、電気伝導率そのものが含まれる。さらに、「電気伝導率に対応する数値」の例には、電気伝導率に一義的に対応するとみなせる数値が含まれ、所定の条件における濃度が含まれる。たとえば、溶質が1つであるか1つであると実質的にみなせる場合であって濃度が高濃度ではない場合、所定の温度の水溶液における濃度と電気伝導率とは一義的に対応する。本実施形態で実施する範囲の濃度では、通常、所定の温度の水溶液における濃度と電気伝導率とは一義的に対応する。
工程(b)の測定対象である「電気分解後の水溶液(S)」は、典型的には、次亜塩素酸を含む第2の水溶液である。後述する隔膜法を用いる場合、電気分解後の水溶液(S)は、アノード側の電気分解後の水溶液(次亜塩素酸を含む)であってもよいし、カソード側の電気分解後の水溶液(原則として次亜塩素酸を含まない)であってもよい。電気分解後の水溶液(S)として何を選択するかは、電気分解の方法や、第1の水溶液の種類に応じて選択すればよい。
電気伝導率の測定方法に特に限定はなく、ポーラログラフを用いた測定方法であってもよいし、交流インピーダンス法を用いた測定方法であってもよいし、電磁誘導法を用いた測定方法であってもよい。電気伝導率は、公知の電気伝導率計を用いて測定してもよい。後述するコントローラによる制御を行う場合、測定結果をコントローラに出力できる機器を用いることが好ましい。
工程(c)は、第1の水溶液の電気伝導率に対応する数値(「第1の数値」と称する場合がある)と、工程(b)で測定された数値である第2の数値とを用いて、工程(a)の電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量に対応する数値(「第3の数値」と称する場合がある)を求める工程である。第3の数値の取得には、後述するデータ(D)を用いる。第3の数値は、工程(a)の電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量(濃度)であってもよいし、それに対応する他の数値であってもよい。他の数値の例には、次亜塩素酸濃度や、有効塩素濃度や、有効塩素成分の化学平衡がすべて次亜塩素酸に傾いたと仮定したときの次亜塩素酸濃度が含まれる。いずれにしても、第3の数値は、第2の水溶液(殺菌水)の殺菌力を示す。
上記工程(a)によって、次亜塩素酸を含む第2の水溶液が供給される。第2の水溶液をそのまま殺菌水として用いてもよい。あるいは、第2の水溶液を後述する工程(e)で希釈して第3の水溶液を調製し、その第3の水溶液を殺菌水として用いてもよい。この場合、第2の水溶液は、濃縮された殺菌水として用いられる。本実施形態の方法は、別の観点では、有効塩素(たとえば次亜塩素酸)を含む殺菌水の調製方法(製造方法)である。
工程(a)の電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量に対応する第3の数値が、上記工程(b)および(c)によって求められる。第3の数値は、殺菌力の指標となる数値である。本実施形態の方法によれば、第2の水溶液の殺菌力に対応する数値(たとえば有効塩素濃度や次亜塩素酸濃度)を、その場で常時モニタすることが容易である。そのため、殺菌力が不充分な殺菌水が供給されることを防止できる。
本実施形態の方法は、電解槽に連続的に水溶液を流しながら行う。そのため、工程(a)〜(c)はそれぞれ常時行われてもよい。ただし、流れている水溶液の一部分をだけを切り出して考えると、その一部分の第1の水溶液はまず工程(a)によって電気分解され第2の水溶液となる。次に、第2の数値を測定する工程(b)が行われ、第2の数値を用いて工程(c)が行われる。
工程(a)の電気分解によって塩化物イオンが酸化され、塩素分子が生じる。この塩素分子は水溶液中の水と反応し、次亜塩素酸と塩化水素とを生じる。酸化された2つの塩化物イオンから1つの次亜塩素酸が生じる。そのため、第3の数値は、水溶液の殺菌力の指標となる値である。上述したように、pH3〜7の範囲(特に3.5〜6の範囲)およびその近傍の領域では、化学平衡における次亜塩素酸の割合が極めて高くなる。そのため、それらのpH領域では、工程(a)の電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量(濃度)の半分を、第2の水溶液中の次亜塩素酸の濃度とみなすことも可能である。工程(a)の電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量(第3の数値)は工程(c)で求められるため、第3の数値から、第2の水溶液中の次亜塩素酸の濃度を求めることが可能である。
第3の数値を求めるには、第1の水溶液の電気伝導率に対応する第1の数値と、第2の水溶液の電気伝導率に対応する第2の数値と、工程(a)の電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量に対応する第3の数値との関係を示すデータ(「データ(D)」と称する場合がある)とを用いる。そのため、データ(D)を予め準備しておく必要がある。データ(D)は、1つの観点では検量線である。有効塩素濃度についての検量線を予め準備しておくことによって、第2の水溶液の有効塩素濃度を求めることができる。また、次亜塩素酸濃度についての検量線を予め準備しておくことによって、第2の水溶液の次亜塩素酸濃度を求めることができる。
第1の水溶液が塩酸である場合、データ(D)として、塩酸の濃度と電気伝導率との関係を示すデータを用いることができる。このデータを用いることによって、電気伝導率から塩酸の濃度が分かる。後述するように、電気分解前後における塩酸の濃度の変化が分かると、第3の数値を求めることができる。
第1の水溶液の濃度(または電気伝導率)が判明しており且つ変化しない場合、第1の水溶液の電気伝導率に対応する第1の数値は、測定で求める必要がない。一方、第1の水溶液の濃度が判明していない場合や、第1の水溶液の濃度が変化する場合には、第1の数値を測定で求める必要がある。その場合には、本実施形態の方法は、第1の水溶液の電気伝導率に対応する第1の数値を測定する工程(d)をさらに含む。第1の数値は、第2の数値の測定方法として例示した方法で行ってもよい。通常、第1の数値および第2の数値は、同じ方法(同種の測定器)で測定される。
温度が一定の場合、水溶液の電気伝導率は、その濃度に対応する。そのため、溶質の濃度が予め分かっている水溶液を第1の水溶液として用いる場合には、その濃度を第1の数値として用いてもよいし、濃度から求められる電気伝導率の値を第1の数値として用いてもよい。電気伝導率の測定時に水溶液の温度を測定し、水溶液の温度によって電気伝導率を補正することが好ましい。
濃度と電気伝導率との関係は、事前の測定や文献等から取得することが可能である。そのため、濃度(または電気伝導率)が分かっている第1の水溶液を用いる場合には、工程(d)を省略することが可能である。ただし、所定の濃度の第1の水溶液であっても、保管状態によって濃度が変化する場合がある。本実施形態の方法では、第1および第2の数値を測定することによって、そのような場合でも、得られる殺菌水の殺菌力を求めることが可能である。
本実施形態の方法では、第3の数値に基づいて工程(a)における電気分解を制御してもよい。上述したように、第3の数値は、第2の水溶液の殺菌力の指標である。そのため、第3の数値が所望の値よりも低下した場合には、電気分解を制御することが好ましい。さらに、第3の数値が所望の値よりも上昇した場合にも、電気分解を制御してもよい。また、後述する工程(e)の希釈を行う場合、第3の数値に基づいて、工程(e)における希釈率を変化させてもよい。たとえば、第3の数値に基づいて、工程(a)における電気分解、および、工程(e)における希釈率から選ばれる少なくとも1つを制御してもよい。
電気分解の制御には、電気分解のオン/オフの切換え、および、電気分解の条件の変更が含まれる。電気分解の条件には、電気分解の電圧および電解槽を流れる水溶液の流量が含まれ、それらから選ばれる少なくとも1つを変更してもよい。なお、電気分解時に電極間を流れる電流は電気分解の電圧によって制御できる。そのため、電圧を制御することには、電流(電流密度)を制御することが含まれる。
求められた第3の数値(殺菌力に対応)が所定値以下である場合には、電気分解および殺菌水の供給を停止してもよい。あるいは、第3の数値が所定値よりも低い場合には、殺菌力(たとえば次亜塩素酸濃度)が上昇するように、電気分解の電圧(別の観点では電流)を増加させてもよい。あるいは、第3の数値が所定値よりも低い場合には、工程(e)における希釈率を低下させてもよい。これらの対応によれば、予定している濃度よりも殺菌力が低い殺菌水が供給されることを防止できる。また、第3の数値が所定値よりも高い場合には、上記制御とは逆の制御をしてもよい。
水溶液の濃度が低いと、電気伝導率の測定時の誤差が大きくなる。そのため、第3の数値の精度を高めるために、一定以上の濃度の水溶液を用いることが好ましい。具体的には、第1の水溶液中における塩素イオン濃度を0.01〜6.85モル/L(たとえば0.1〜2.8モル/Lの範囲)とすることが好ましい。
本実施形態の方法は、工程(e)を含んでもよい。工程(e)は、第2の水溶液を希釈することによって、次亜塩素酸を含む第3の水溶液を調製する工程である。第3の水溶液は、そのまま殺菌水として用いてもよいし、第3の水溶液を使用の際にさらに希釈してもよい。工程(e)において第2の水溶液を何倍に希釈するかは、第2の水溶液の殺菌力(たとえば次亜塩素酸濃度)や、求められる殺菌水の特性等を考慮して決定される。工程(e)における希釈倍率は、第3の水溶液における有効塩素濃度が1〜300ppm(mg/L)の範囲(たとえば5〜100ppmの範囲)となるように設定されてもよい。工程(e)における希釈用の水性液体(水または水溶液)には、水道水や地下水等が含まれる。イオンが少ない水を用いることによって、希釈時におけるイオンの影響を抑制することが可能である。
殺菌水として用いられる水溶液のpHが低すぎたり高すぎたりすると、有効塩素成分に占める次亜塩素酸の割合が低下し、その結果殺菌力が低下する。そのため、希釈せずに殺菌水として用いられる水溶液(第2の水溶液または第3の水溶液)のpHは、3〜8の範囲内(たとえば3〜7の範囲や3〜6.5の範囲や3〜6の範囲)にあることが好ましい。希釈せずに殺菌水として用いられる水溶液のpHが上記範囲にない場合には、pHが上記範囲にあるように調整してもよい。pHの調整は、酸、アルカリ、pH緩衝剤等の添加によって行ってもよい。あるいは、工程(e)における希釈率を調整することによって、第3の水溶液のpHを調整することも可能である。
工程(a)において、アルカリ金属の塩化物の水溶液(第1の水溶液)を、隔膜を用いて電気分解する場合について考える。なお、水酸化ナトリウムの製造方法についての一般的な説明では、隔膜とイオン交換膜とを別のものとして説明しているが、この明細書では、隔膜を、電解槽を仕切る膜の意味として用いる。この明細書において、隔膜には、通液可能な膜が含まれる。たとえば、隔膜には、イオン交換能を有さない膜、および、イオン交換能を有する膜(陽イオン交換膜や陰イオン交換膜など)が含まれる。イオン交換能を有さない膜の例には、電池やコンデンサのセパレータなどに用いられる絶縁性の隔膜(不織布や多孔質膜)が含まれる。イオン交換能を有さない隔膜の場合、水溶液およびイオンを透過させるが、カソード側の水溶液とアノード側の水溶液との混合が抑制される。一方、イオン交換能を有する膜の場合、特定のイオンの透過を抑制する。
隔膜を用いて電気分解する場合、アノードでは、次亜塩素酸と塩化水素とを生じるため、アノード側の水溶液は酸性となる。カソードでは、水が電気分解されて水素分子と水酸化物イオンとが生じる。そのため、カソード側の水溶液はアルカリ性となる。カソード側の水溶液とアノード側の水溶液とをどの程度の割合で混合して第2の水溶液とするかによって、第2の水溶液のpHを調整することが可能である。たとえば、アノード側の水溶液のみを第2の水溶液として用いる場合、第2の水溶液を酸性とすることが可能である。
希釈後の第3の水溶液に比べて、第2の水溶液では、より正確にpHを求めることが可能である。たとえば、塩酸を電気分解する場合、希釈後の第3の水溶液に比べて第2の水溶液では、電気伝導率に基づいて、より正確にpHを求めることが可能である。第2の水溶液のpHが求められれば、それに基づいて希釈後の第3の水溶液のpHを推測することが可能である。
工程(e)における希釈用の水性液体に脱イオン水を用いる場合、第2の水溶液のpHと希釈率とから、第3の水溶液のpHを推測することが可能である。一方、工程(e)において希釈用の水性液体に各種イオン(水素イオンおよび水酸化物イオン以外のイオン)が含まれる場合、それらの影響によってpHが変動する場合がある。その影響は、特にCaイオンやMgイオンで顕著である。その場合には、第2の水溶液のpHと希釈率と第3の水溶液のpHとの関係を示すデータを予め取得しておき、そのデータを用いて第3の水溶液のpHを推測してもよい。当該データを、以下では「データ(D−pH)」と称する場合がある。第3の水溶液のpHを推測する場合、第2の水溶液のpHと希釈率とを取得し、それらとデータ(D−pH)とから第3の水溶液のpHを推測できる。ただし、希釈用の水性液体に含まれる各種イオンの濃度が大きく変化しないことが前提である。各種イオンの濃度が大きく変化する場合、それに対応したデータ(D−pH)を予め取得しておく必要がある。
第2の数値(第2の水溶液の電気伝導率に対応する数値)をより正確に測定するために、必要に応じて、第2の数値を測定する前に第2の水溶液のpHを上記範囲に調整してもよい。
第2の水溶液中の次亜塩素酸イオンの濃度が高くなると、測定される第2の数値に与える次亜塩素酸イオンの影響が大きくなる場合がある。次亜塩素酸イオンは次亜塩素酸に対して殺菌力が劣るため、好ましい一例では、第2の数値への次亜塩素酸イオンの寄与分が第2の数値の20%以下である。次亜塩素酸イオンの寄与分の割合は、第2の数値の測定対象である水溶液のpHを上記範囲とすることなどによって変化させることができる。
電解槽内の電極と接触する水がカルシウムイオンやマグネシウムイオン等のイオンを高濃度で含むと、電極の性能が劣化しやすい。そのため、電解槽を流れる第1の水溶液の好ましい一例は、カルシウムイオンやマグネシウムイオン等のイオン濃度が低い脱イオン水に、塩素を含む溶質(塩化ナトリウム、塩化カリウム、塩化水素などの塩化物)を溶解させた水溶液である。脱イオン水には、イオン交換膜を透過させた水や、RO膜(逆浸透膜)を透過させた水(RO水)が含まれる。
上述した工程(e)では、第2の水溶液を希釈することによって、次亜塩素酸を含む第3の水溶液を調製する。第2の水溶液を希釈するのに用いられる希釈用の水は電極とは接触しない。そのため、希釈用の水には、脱イオン処理がされていない水(カルシウムイオン等を含む水)を用いることができる。脱イオン処理がされていない水の例には、水道水、地下水、工業用水などが含まれる。これらの水は、入手が容易で安価であるため、第1の水溶液に比べて量が多い希釈用の水として好ましい。
好ましい一例では、塩素を含む溶質を脱イオン水に溶解させた水溶液を第1の水溶液として用い、工程(e)における希釈用の水として、脱イオン処理がされていない水を用いる。この構成によれば、コストが高い脱イオン水の使用量を低減できる。
本実施形態の方法は、第3の水溶液を希釈することによって、次亜塩素酸を含む第4の水溶液を調製する工程(以下では「工程(f)」と称する場合がある)を、さらに含んでもよい。第2の水溶液の有効塩素成分の濃度は高いため、そのまま保存すると塩素分子が放出されることによって有効塩素成分の濃度が低下したり、周囲の環境が危険になったりする場合がある。そのため、第2の水溶液を長期間保存することは難しい。一方、希釈によって有効塩素成分の濃度が低下した第3の水溶液は、長期の保存がしやすい。第3の水溶液を保存し、使用に際して第3の水溶液をさらに希釈して第4の水溶液を調製し(工程(f))、第4の水溶液を殺菌水として用いてもよい。
好ましい一例では、第2の水溶液中の有効塩素濃度を2000ppm〜18000ppm〜の範囲とし、第3の水溶液中の有効塩素濃度を200ppm〜1500ppmppmの範囲とし、第4の水溶液中の有効塩素濃度を10ppm〜150ppm〜の範囲とする。この構成によれば、第3の水溶液を保存し、使用に際して第3の水溶液を希釈して殺菌水として使用できる。この構成の第2の水溶液の有効塩素濃度は高濃度であるため、以下で説明する循環式の方法で調製することが好ましい。
本実施形態の方法において、電解槽には、電解槽を含む循環路を構成する循環用流路が接続されていてもよい。換言すれば、電解槽の下流側の流路(第2の水溶液が流れる流路)と電解槽の上流側の流路とは繋がっていてもよい。そして、工程(a)において、電気分解によって調製された第2の水溶液を、循環用流路を通して電解槽に戻して再び第1の水溶液として電気分解してもよい。この循環式の方法によれば、有効塩素濃度を高濃度にすることが可能である。工程(a)において有効塩素濃度が高い水溶液を調製している間は、塩素ガスが逃げないように循環用流路を密閉してもよい。第2の水溶液の希釈を行う場合、工程(a)の完了後すぐに1回目の希釈を実施することが好ましい。希釈を行うことによって、塩素ガスとして存在する塩素を希釈水に溶かしてHClOおよびHClに変換することができる。
電解槽は、アノードとして機能する電極が配置される第1の槽と、カソードとして機能する電極が配置される第2の槽と、第1の槽と第2の槽とを通液可能に仕切る隔膜とを含んでもよい。隔膜には、上述した隔膜を用いることができる。第1の水溶液の流路(供給路)は、第1の槽のみに接続されてもよいし、第1の槽および第2の槽の両方に接続されてもよい。
第1の槽は循環路の一部を構成していてもよい。第2の槽には、第2の槽で電気分解されることによってpHが上昇した第1の水溶液を放出するための放出路が接続されていてもよい。そして、工程(a)において、pHが上昇した第1の水溶液(電気分解されてアルカリ性となった第1の水溶液)の少なくとも一部を放出路から放出してもよい。この構成によれば、循環路を流れる水溶液のpHを低減できる。
本実施形態の方法は、カルボキシル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1つを含む油と、放出路から放出された第1の水溶液とを混合して乳濁液を調製する工程(以下では「工程(g)」と称する場合がある)をさらに含んでもよい。カルボキシル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1つを含む油を、以下では「油(L)」と称する場合がある。
工程(g)における反応および乳化を促進するため、工程(g)では、油(L)とアルカリ性水溶液とを攪拌しながら混合することが好ましい。工程(g)では、混合液を加熱しながら攪拌してもよい。また、乳化が充分に進まない場合は、少量の界面活性剤(たとえば高級脂肪酸の塩など)を添加してもよい。工程(g)で得られる乳濁液(エマルション)は、後述するように殺虫剤として用いることが可能である。
油(L)の例には、実質的に水に溶解しない脂肪酸、および、植物油(なたね油その他の植物油)などの油脂が含まれる。油脂は、通常、その構成要素として脂肪酸を含む。実質的に水に溶解しない脂肪酸の例には、炭素数が9以上(たとえば9〜20の範囲)の脂肪酸や、炭素数が12以上(たとえば9〜20や12〜20の範囲)の脂肪酸が含まれる。
油(L)とアルカリ性水溶液とを混合することによって乳濁液が得られる理由は明確ではないが、以下のように考えられる。アルカリ性水溶液中のアルカリ成分(たとえば水酸化ナトリウムや水酸化カリウムなど)と脂肪酸とが中和反応を起こすと、脂肪酸塩(界面活性剤)が生じる。アルカリ性水溶液中のアルカリ成分と、エステル基を含む油脂とが鹸化反応を起こすと、脂肪酸塩(界面活性剤)が生じる。そのため、工程(g)では、界面活性剤が生じる。これらの反応で生じた界面活性剤は油(L)を囲むように配置され、乳濁液を生じると考えられる。微細な油(L)の粒子を界面活性剤が囲む乳濁液を害虫に散布すると、害虫の気門が塞がれて害虫が駆除される。
工程(g)における反応では、アルカリ成分が反応して消費されると考えられる。そのため、第2の槽から放出されたアルカリ性水溶液のpHに比べて、乳濁液のpHは低くなると考えられる。植物に散布する殺虫剤のpHが高すぎると植物に与える悪影響が大きくなる恐れがあるため、植物に散布する殺虫剤のpHを中性または弱アルカリ性としてもよい。なお、弱アルカリ性またはアルカリ性の乳濁液を散布した後に、工程(x)で製造された次亜塩素酸を含む第2の水溶液またはその希釈液を散布して中和してもよい。
工程(g)で得られた乳濁液は、水で希釈してから殺虫剤として使用してもよい。水で希釈する場合、乳濁液を混合しながら水を添加することが好ましい。
(殺菌水の供給装置)
本実施形態の装置は、次亜塩素酸を含む殺菌水の供給装置である。この装置は、電解槽、電源、および、水溶液供給機構(以下では単に「供給機構」と称する場合がある)を含む。電解槽は、電気分解用の複数の電極を含む。電源は、それら複数の電極に接続されている。水溶液供給機構は、塩化物イオンを含む第1の水溶液を電解槽に連続的に流すための機構である。電解槽は、第1の水溶液を電気分解することによって、次亜塩素酸を含む第2の水溶液を得る電解槽である。本実施形態の装置は、測定器(第1の測定器)をさらに含む。第1の測定器は、電気分解後の水溶液(S)の電気伝導率に対応する数値(第2の数値)を測定する。
本実施形態の装置によれば、本実施形態の供給方法を容易に実施できる。本実施形態の供給方法について説明した事項は、本実施形態の供給装置に適用できるため、重複する説明を省略する場合がある。本実施形態の供給装置について説明した事項は、本実施形態の供給方法に適用できる。
電解槽は、電気分解によって塩化物イオンを酸化して塩素分子を生成できるものであればよく、公知の電解槽を用いてもよい。典型的な電解槽は、水溶液が流れる槽と、槽内に配置された少なくとも2つの電極とを含む。2つの電極は、電気分解においてアノードおよびカソードとなる電極である。電解槽は、隔膜(イオン交換膜およびその他の隔膜)を含まない無隔膜式の電解槽であってもよいし、隔膜を含む隔膜式の電解槽であってもよい。隔膜の有無は、第1の水溶液の種類に応じて選択してもよい。たとえば、塩酸以外の水溶液(塩化ナトリウム水溶液や塩化カリウム水溶液など)を第1の水溶液として用いる場合の好ましい一例では、隔膜式の電解槽が用いられる。
供給機構は、第1の水溶液が電解槽を連続的に流れるように、第1の水溶液を電解槽に供給する。供給機構は、第1の水溶液を安定に保持できる容器(たとえば樹脂製の容器)を含んでもよく、第1の水溶液を送液するためのポンプを含んでもよい。容器と電解槽とは、通常、流路で接続される。第1の測定器は、その流路に設置されてもよいし、容器に設置されてもよい。あるいは、供給機構は、溶質の濃度が高い水溶液を希釈して第1の水溶液として電解槽に供給するための機構を含んでもよい。その場合、供給機構は、溶質の濃度が高い水溶液の供給部と希釈用の水性液体(水または水溶液)の供給部と、それらを混合する混合部とを含む。そのような供給機構には、公知の機構を用いてもよい。イオンの影響を低減する観点では、希釈用の水として脱イオン水(たとえばRO水など)を用いることが好ましい。
第1の測定器および後述する第2の測定器には、電気伝導率を測定できる公知の測定器やポーラログラフを用いてもよい。様々な電気伝導率測定器が市販されているため、好ましいものを選択して用いることができる。第1の測定器と第2の測定器とは同じであってもよいし異なってもよい。一般的には同じ種類の測定器が用いられるが、電気分解の前後の水溶液の変化に応じて異なる測定器を用いてもよい。第1の測定器および/または第2の測定器に、pH計を兼ねる電気伝導率計を用いてもよい。
本実施形態の装置は、コントローラ(制御装置)をさらに含んでもよい。コントローラは、演算処理装置(CPUなど)と記憶装置(メモリなど)とを含む。記憶装置の例には、外部から演算処理装置に接続される記憶装置が含まれ、インターネットを介して演算処理装置に接続される記憶装置も含まれる。記憶装置には、本実施形態の装置を制御するためのプログラムが格納される。記憶装置には、必要に応じて、各種の数値やデータ(D)が格納されていてもよい。コントローラには、必要に応じて、装置に含まれる各種機器(電源、ポンプ、弁、測定器、センサ等)が接続される。コントローラは、センサや測定器からの出力に基づいて各種の機器を制御してもよい。
本実施形態の装置は、第1の測定器に接続されたコントローラを含んでもよい。当該コントローラは記憶装置を含んでもよく、その記憶装置には、第1の水溶液の電気伝導率に対応する第1の数値と、第2の水溶液の電気伝導率に対応する第2の数値と、電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量に対応する第3の数値と、の関係に関するデータ(D)が格納されていてもよい。以下では、当該コントローラによる制御の2つの例(第1および第2の例の制御)について説明する。
第1の例の制御では、コントローラは、第1の数値と、第1の測定器の出力(第2の数値に関する出力)と、データ(D)とに基づいて、第1の水溶液の電気分解を制御してもよい。より具体的には、第1の例の制御では、第1の数値と、第1の測定器の出力と、データ(D)とに基づいて、上記第3の数値(殺菌力の指標)を求め、それに基づいて電気分解を制御する。第1の数値が予め分かっており変化しない場合には、第1の例の制御が可能である。この場合、ユーザによる事前の入力などによって、第1の数値が予め記憶装置に格納されている。
本実施形態の装置は、第1の水溶液を測定して第1の数値を出力する第2の測定器をさらに含んでもよい。この場合、コントローラは、第2の測定器の出力を第1の数値として用いる。この場合、コントローラは第2の例の制御を行うことができる。具体的には、第2の例の制御では、第2の測定器の出力(第1の数値に関する出力)、第1の測定器の出力(第2の数値に関する出力)と、データ(D)とに基づいて、上記第3の数値(殺菌力の指標)を求め、それに基づいて電気分解を制御する。第2の例の制御は、第1の水溶液の濃度が不明であったり変化したりする場合に行われる。
なお、第2の水溶液のpHがかなり低いと、有効塩素(次亜塩素酸および次亜塩素酸イオン)が塩素分子に変化する割合が高くなる。この塩素分子は、殺菌水を調製する際に第2の水溶液を希釈したりpHを調整したりすることによって水溶液のpHが上昇すると、水と反応して次亜塩素酸に戻る。そのため、塩素分子が大気に放出されないように、電解槽から殺菌水の調製が完了するまでに第2の水溶液が流れる流路は、大気に開放されていないことが好ましい。同様に、第1の水溶液が保持されたり流れたりする部分も、大気に開放されないように構成してもよい。
本実施形態の装置は、必要に応じて他の機器を含んでもよい。たとえば、電解槽に電力を供給するための電源を含んでもよい。そのような電源の例には、コンセントから供給される交流を直流に変換して直流電圧を供給するAC−DCコンバータが含まれる。さらに、本実施形態の装置は、スイッチ、表示装置、入力装置などの機器を含んでもよい。
本実施形態の装置は、水溶液を流すためのポンプや、水溶液の流量を制御するための弁などの機器を含んでもよい。本実施形態の装置は、水溶液のpHや水位などをモニタするための各種の機器(pH計、水温計、水位センサ等のセンサなど)を含んでもよい。
pH計や水温計などを用いて水溶液の物性値(pH値や温度)を取得し、取得した物性値によって、各種のデータや数値(第1の数値や第2の数値など)を補正してもよい。電気伝導率の測定器には、pH計を兼ねているものがある。そのような測定器を用いることによって、水溶液のpH値を容易に取得できる。もちろん、pH計を別途設置してもよい。
本実施形態の装置は、さらに、第2の水溶液を希釈して第3の水溶液(殺菌水)を得るための希釈機構を含んでもよい。そのような希釈機構は、第2の水溶液が流れる流路に結合された他の流路であってもよい。当該他の流路は、第2の水溶液を希釈するための水性液体(水または水溶液)が流れる流路であり、当該他の流路において第2の水溶液が希釈され、第3の水溶液が調製される。他の流路を流れる水性液体の流量によって、第2の水溶液の希釈率を変化させることができる。
別の観点では、本発明の供給方法は、電気分解の前後の水溶液の物性を測定することによって、電気分解で酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量(濃度)を求め、それに基づいて第2の水溶液(または第3の水溶液)の殺菌力を求める方法である。同様に、本発明の供給装置は、電解槽、電源、および、第1の水溶液の供給機構を含み、さらに、電気分解の前後の水溶液の物性を測定するための測定手段(少なくとも第1の測定器を含み、必要に応じてさらに第2の測定器を含む)を含む。当該物性は、電気分解で酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量(濃度)を求めるために必要とされる物性である。
なお、本実施形態の供給方法および供給装置は、通液式ではなくバッチ式の処理にも適用できる。その場合、工程(a)を、「塩化物イオンを含む第1の水溶液を電解槽に配置して電気分解することによって次亜塩素酸を含む第2の水溶液を調製する工程」とすればよい。この工程は、バッチ式で行われ、電気分解が行われている間、電解槽に配置された第1の水溶液は電解槽から移動しない。この場合の供給装置は、塩化物イオンを含む第1の水溶液を電解槽に連続的に供給するための供給機構を含まなくてよい。
上述したように、本実施形態の方法および装置では、電解槽の下流側の流路(第2の水溶液が流れる流路)と電解槽の上流側の流路とは繋がっていてもよい。すなわち、第1の流路と第2の流路とを含む循環路が形成されていてもよい。この場合、循環路を水溶液が流れる間に電気分解が行われることによって、水溶液の殺菌力(たとえば次亜塩素酸濃度)が上昇する。循環式の方法および装置では、電気分解によって得られた第2の水溶液が、第1の水溶液として用いられる。循環式の場合、水溶液を送出するポンプは、第1の流路に設けられてもよいし、第2の流路に設けられてもよい。循環式の場合、第1の測定器は、電解槽の上流側の流路、または、水溶液を貯留するタンクに配置されてもよい。電解槽の上流側の流路の例には、水溶液を貯留するタンクの下流側の流路であって電解槽の上流側の流路、すなわちそれらの間の流路が含まれる。
循環式の供給装置の一例について以下に説明する。この一例では、複数の電極は、電気分解の際にアノードとして機能する第1の電極と、電気分解の際にカソードとして機能する第2の電極とを含む。電解槽は、第1の電極が配置される第1の槽と、第2の電極が配置される第2の槽と、第1の槽と第2の槽とを通液可能に仕切る隔膜とを含む。供給装置(殺菌水の供給装置)は、第1の槽を含む循環路を構成する循環用流路と、第2の槽に接続された放出路とをさらに含む。
循環式の供給装置は、放出路から放出された水溶液を他の液体と混合するための混合部をさらに含んでもよい。放出路から放出されたアルカリ性水溶液と油(L)とを混合することによって、殺虫剤を製造できる。
(殺菌水および殺虫剤の製造方法)
以下では、循環式による殺菌水の製造方法の一例、および、それを用いた殺虫剤の製造方法について説明する。これらの製造方法は、上述した工程(b)および(c)を含む殺菌水の供給方法と組み合わせてもよいし、工程(b)および(c)と組み合わせなくてもよい。まず、循環式による殺菌水の製造方法について説明する。
この一例の殺菌水の製造方法は、電解槽を含む装置を用いて殺菌水を製造する方法である。電解槽は、アノードとなる第1の電極が配置される第1の槽と、カソードとなる第2の電極が配置される第2の槽と、第1の槽と第2の槽とを通液可能に仕切る隔膜とを含む。装置は、第1の槽を含む循環路を含む。すなわち、第1の槽は、循環路の一部を構成する。この装置は、第1および第2の測定装置を含まない点を除き、上述した殺菌水の供給装置と同様の構成とすることができる。この製造方法は、以下の工程(x)および(y)を含む。
工程(x)は、塩化物イオンを含む第1の水溶液が循環路を循環している状態で、電解槽において第1の水溶液を電気分解することによって、次亜塩素酸を含む第2の水溶液を調製する工程である。工程(x)は、循環式で行われる工程(a)の一例であるため、重複する説明は省略する。
工程(y)は、第2の槽で電気分解されてアルカリ性となった第1の水溶液を、第2の槽および循環路の外部に放出する工程である。工程(y)は、工程(x)と同時に行うことができる。工程(y)でアルカリ性の水溶液を放出することによって、循環路を流れる第2の水溶液のpHを低減することが可能となる。
この一例の製造方法は、カルボキシル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1つを含む油と、工程(y)で放出されるアルカリ性水溶液とを混合することによって乳濁液を製造する工程(z)をさらに含んでもよい。工程(z)は、上述した工程(g)の一例であるため、重複する説明は省略する。工程(z)で得られる乳濁液(エマルション)は、上述したように殺虫剤として用いることが可能である。工程(z)で得られた乳濁液を希釈して実際に植物に散布したところ、植物についていたダニやアブラムシを殺虫することができた。
(殺菌水および殺虫剤の製造装置)
殺菌水の製造装置の別の一例について以下に説明する。以下では、この製造装置を「製造装置(P)」と称する場合がある。製造装置(P)は、電気分解用の複数の電極を含む電解槽と、複数の電極に接続された電源と、塩化物イオンを含む第1の水溶液を前記電解槽に連続的に流すための水溶液供給機構と、を含む。電解槽は、第1の水溶液を電気分解することによって、次亜塩素酸を含む第2の水溶液を得る電解槽である。
製造装置(P)において、複数の電極は、電気分解の際にアノードとして機能する第1の電極と、電気分解の際にカソードとして機能する第2の電極とを含む。電解槽は、第1の電極が配置される第1の槽と、第2の電極が配置される第2の槽と、第1の槽と前記第2の槽とを通液可能に仕切る隔膜とを含む。製造装置(P)は、第1の槽を含む循環路を構成する循環用流路を含む。すなわち、製造装置(P)は、上述した循環式の殺菌水の供給装置とは、第3の数値を取得するために必要な構成を含まない点が異なる。その他の点については、上述した循環式の殺菌水の供給装置と同様の構成を適用できる。
殺虫剤の製造装置の別の一例について以下に説明する。以下では、この製造装置を「製造装置(Q)」と称する場合がある。製造装置(Q)は、カソードとなる電極が配置された槽に接続された放出路を含む。この放出路から、アルカリ水溶液(電解によってアルカリ性となった第1の水溶液)が放出される。製造装置(Q)は、放出されたアルカリ水溶液を油(L)と混合する混合部を含む。混合部は、アルカリ水溶液と油(L)とを混合して乳濁液(殺菌剤)を製造できるものであればよく、一般的な攪拌機を用いてもよい。この製造装置(Q)によれば、上述した工程(x)、(y)、および(z)を容易に実施できる。
上述した方法および装置において、工程(c)を、以下の工程(c’)に置き換えてもよい。工程(c’)は、工程(b)で測定された数値である第2の数値に基づいて、工程(a)における電気分解を制御する工程である。たとえば、第2の数値が所定の範囲からはずれた場合には、電気分解を停止したり、電気分解の条件を変化させたりしてもよい。第1の水溶液の物性がほぼ一定であり、且つ、第2の数値と第2の水溶液の殺菌力との関係が分かっている場合には、工程(c’)によって、殺菌水の殺菌力を一定の範囲とすることが可能である。第1の水溶液の物性値が一定ではない場合、工程(c’)は、第1の水溶液の電気伝導率に対応する第1の数値と、工程(b)で測定された数値である第2の数値とに基づいて、工程(a)における電気分解を制御する工程であってもよい。
本発明の実施形態の例について、図面を参照しながら以下に説明する。なお、以下の説明では、同様の部分に同一の符号を付して重複する説明を省略する場合がある。以下で説明する実施形態は例示であり、本発明は以下の実施形態に限定されない。本発明の効果が得られる限り、以下の実施形態の装置の構成は、上述した構成に置き換えることが可能である。以下の実施形態の装置の構成のうち、本発明の効果を奏するために必要でない構成は省略してもよい。1つの実施形態の装置について説明した事項は、他の実施形態の装置の構成に反しない限り他の実施形態の装置にも適用できる。そのため、1つの実施形態で説明した事項は、他の実施形態の説明において説明を省略する場合がある。
(実施形態1)
実施形態1では、本発明の供給装置および供給方法の一例について説明する。実施形態1では、第1の水溶液が塩酸であり、第1および第2の数値がそれぞれ電気伝導率である一例について説明する。実施形態1では、無隔膜法によって電気分解を行い、第2の水溶液を希釈する工程を実施する。
実施形態1の供給装置100の構成を、図1に模式的に示す。装置100は、電解槽10、電源(直流電源)20、容器30、第1の測定器41、および第2の測定器42、コントローラ50を含む。装置100はさらに、流路61、流路62、およびポンプ65を含む。
電解槽10は、槽13と、槽13の内部に配置された電極11および12とを含む。電極11および12は、電源20に接続されている。電解槽10において、第1の水溶液の電気分解が行われる。
容器30は、第1の水溶液を保持する。容器30と電解槽10とは流路61によって接続されている。流路61にはポンプ65および第2の測定器42が配置されている。流路62は、電解槽10と流路63とを接続している。流路62には、第1の測定器41が配置されている。測定器41および42はそれぞれ、流路を流れる水溶液の電気伝導率を測定するための測定器である。図1には、流路における液体の流れを矢印で示す。測定器42は、電気分解後であって希釈がなされる前の水溶液の電気伝導率を測定する。
交流インピーダンス測定によって第1および第2の水溶液の電気伝導率を測定する場合、第1および第2の測定器のそれぞれには、対向する1組の電極を用いてもよい。そして、2組の電極を直列に接続して交流を印加し、電極間の電圧を測定してもよい。これによって、第1および第2の水溶液の電気伝導率を測定できる。この場合、1つの電源を、第1および第2の測定器の共通の電源として用いることができる。
コントローラ50は、電源20、測定器41、測定器42、およびポンプ65に接続されている。コントローラ50は、演算処理装置51と記憶装置52とを含む。記憶装置52には、所定の工程(たとえば上記の工程)を実行するためのプログラムが格納されている。さらに、記憶装置52には、塩酸(第1の水溶液)の濃度と電気伝導率との関係に関するデータ(D)が格納されている。
殺菌水の供給時の装置100の機能について以下に説明する。容器30には、塩酸(第1の水溶液)が配置されている。コントローラ50は、ポンプ65を駆動し、容器30の塩酸を電解槽10に送出する。同時に、コントローラ50は、電源20を駆動して電解槽10の電極間に直流電圧を印加し、塩酸を電気分解する。その結果、アノードでは塩化物イオンが酸化されて塩素分子が生成される。一方、カソードでは水素イオンが還元されて水素分子が生成される。電気分解は、以下の式(1)で表すことが可能である。以下の式では、2モルの塩化物イオンが酸化されて1モルの塩素分子が生じる。
2HCl→H2+Cl2 (1)
生成された水素分子の一部は溶存水素として液体中に溶解し、他の一部は水素ガスの気泡となる。そのため、生成された水素分子は、電気伝導率に実質的に影響を与えない。生成された塩素分子は水と反応して次亜塩素酸と塩化水素とを生じる。その反応は、以下の式(2)で表すことが可能である。
Cl2+H2O→HClO+HCl (2)
すなわち、2モルの塩化物イオンが電気分解によって酸化されると、1モルの次亜塩素酸と1モルの塩化水素とが生じることが分かる。そのため、電気分解によって酸化された塩化物イオンの量が分かれば、電気分解によって生成された次亜塩素酸の量が分かる。
さらに、式(1)および(2)をトータルすると、以下の式(3)で表される。式(3)から、電気分解によって減少する塩化水素の量は、生成する次亜塩素酸の量に対応することが分かる。
HCl+H2O→HClO+H2 (3)
第1の水溶液が塩酸である場合、工程(a)の電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量(濃度)は、電気分解によって生成される次亜塩素酸の濃度の倍であり、且つ、電気分解によって減少する塩化水素の濃度の倍である。そのため、電気分解によって減少した塩化水素の量(濃度)に比例する第3の数値を求めることによって、電気分解によって生成された次亜塩素酸の量(濃度)が分かる。
第2の水溶液のpHが所定の範囲(たとえばpH3〜7やその近傍)にある場合には次亜塩素酸の大部分は解離しないため、電気伝導率に寄与する成分は塩化水素のみであるとみなすことが可能である。本実施形態で用いられる塩酸の濃度(極端に高くない濃度)では、所定の温度での塩酸濃度と電気伝導率とは1対1に対応する。そのため、塩酸濃度と電気伝導率との関係に関するデータを予め取得しておくことによって、電気伝導率から塩酸濃度を求めることができる。そのデータは、実測してもよいし、文献等から取得してもよい。なお、塩酸濃度が低い場合には、電気伝導率は濃度に対してほぼ比例する。水溶液の濃度をより正確に求める場合には、水溶液の温度を計測し、その水溶液で決められた補正係数(温度係数)を用いて濃度を補正してもよい。もちろん、濃度と電気伝導率との関係に関するデータを所定の温度範囲ごとに準備してもよい。
以上のように、電気分解前の塩酸(第1の水溶液)の電気伝導率と、電気分解後の第2の水溶液の電気伝導率とを測定することによって、第2の水溶液中の有効塩素(主に次亜塩素酸)の濃度を求めることができる。なお、第2の水溶液中での電気伝導率の代わりに希釈後の第3の水溶液の電気伝導率を用いることも可能な場合がある。その場合に第3の数値を求めるには、第2の水溶液の希釈率が必要となる。
コントローラ50は、測定器41および42の出力と、記憶装置52に格納されたデータ(D)とに基づいて、第3の数値を求める。そして、第3の数値に基づいて電気分解の条件を制御する。たとえば、第3の数値が設定範囲よりも低くなった場合(すなわち殺菌力が設定値よりも低くなった場合)には、以下の少なくとも1つの処置を行ってもよい。(1)殺菌水の供給を停止する。(2)印加する電圧を上昇させる。(3)電解槽に供給する第1の水溶液の流量を増加させる。(4)第2の水溶液を希釈する際の希釈率を低下させる。
さらに、第3の数値が設定範囲よりも高くなった場合には、上記(2)、(3)、および(4)の処置とは逆の処置を行ってもよい。
第3の数値と電気分解の条件の制御との関係については、プログラムに組み込んでおいてもよいし、記憶装置に格納してプログラムで読み込んでもよい。なお、コントローラ50によって求められた第3の数値に基づいて、ユーザが電気分解の制御を行ってもよい。その場合、コントローラ50は、第3の数値を表示装置で表示したり、第3の数値が一定値以下になった場合に警告を発したりしてもよい。
電気分解によって得られた第2の水溶液は、流路62を通って流路63を流れる希釈用の水性液体と混合される。希釈用の水性液体は、水または水溶液であり、通常は水(水道水などの水を含む)である。水性液体と混合されることによって、第2の水溶液が希釈される。希釈によって得られた水溶液は、殺菌水として用いられる。希釈用の水溶液の流量を変更することによって、希釈率を変更できる。
以上のようにして殺菌水が調製される。すなわち、以上のようにして、工程(a)、(b)、および(c)が実施される。なお、第1の水溶液として塩酸以外の水溶液を用いる場合でも、本実施形態の方法および装置によって、殺菌力をモニタしながら殺菌水を調製できる。一例として、第1の水溶液が塩化ナトリウム水溶液である場合について以下に説明する。なお、塩化ナトリウム水溶液の代わりに塩化カリウム水溶液を用いる場合も、ナトリウムをカリウムに置き換えるだけで同様に説明できる。
この場合、アノードでは、塩化物イオンが酸化されて塩素分子が生成され、さらにその塩素分子が水と反応して次亜塩素酸を生じる。この反応は上記式(2)で表すことが可能である。一方、カソードでは、水が電気分解されて水素分子と水酸化物イオンとが生成される。アノードおよびカソードでの反応はそれぞれ、以下の式(4)および(5)で表すことが可能である。
2Cl-→Cl2+2e- (4)
2H2O+2Na++2e-→H2+2NaOH (5)
隔膜を用いない場合には、アノード側で生じた塩化水素(水素イオン)は式(5)の水酸化ナトリウム(水酸化物イオン)と反応するため、以上の式をトータルすると、以下の式(6)で表すことができる。
NaCl+2H2O→HClO+NaOH+H2 (6)
第2の水溶液のpHがそれほど高くない場合や、生成される次亜塩素酸の濃度がNaOHの濃度に対して充分に小さい場合には、HClOの解離の影響(次亜塩素酸イオンが電気伝導率に与える影響)を無視することが可能である。一方、HClOの解離の影響が大きい場合でも、第1の数値と、第2の数値と、電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量に対応する第3の数値と、の関係に関するデータ(D)を予め取得しておくことによって、第3の数値を推測することが可能である。あるいは、第2の水溶液のpHを、HClOの解離の影響が小さい上記範囲の値にしてから、第2の数値を測定してもよい。そのため、塩酸以外の第1の水溶液でも、本実施形態の方法および装置によって、第3の数値を求めることができる。
(実施形態2)
実施形態2では、本発明の供給装置および供給方法の他の一例について説明する。実施形態2では、第1の水溶液が塩化カリウム水溶液であり、第1および第2の数値がそれぞれ電気伝導率である一例について説明する。さらに、実施形態2では、隔膜法によって電気分解を行い、第2の水溶液を希釈する工程を実施する一例について説明する。なお、塩化カリウム水溶液の代わりに塩化ナトリウム水溶液を用いる場合も、カリウムをナトリウムに置き換えるだけで同様に説明できる。
実施形態2の供給装置100aの構成を、図2に模式的に示す。装置100aの電解槽10は隔膜14を備え、流路62は流路62a、62b、および62cを含む。これらの点、および以下で説明する点を除き、装置100aは原則として装置100と同様の構成を有する。
実施形態2では、電極11をアノードとし、電極12をカソードとする場合について説明する。槽13は、隔膜14によって、アノード側の槽(第1の槽)13aとカソード側の槽(第2の槽)13bとに分けられている。隔膜14は通液可能な膜である。隔膜14は、イオン交換能を有する膜(たとえば陽イオン交換膜)であってもよいし、イオン交換能を有さない膜であってもよい。以下では、隔膜14として陽イオン交換膜を用いる場合について説明する。
カソード側の槽13bには流路62bが接続され、アノード側の槽13aには流路62aが接続される。それらは下流で合流し、流路62cとなる。以下では、アノード側の槽13aで電気分解された水溶液を「水溶液(A)」という場合があり、カソード側の槽13bで電気分解された水溶液を「水溶液(C)」という場合がある。
流路62bには、排液路(放出路)64が接続されている。流路62bには弁62vが設けられ、排液路64には弁64vが設けられている。図示は省略するが、コントローラ50は、弁62vおよび弁64vに接続されている。弁62vおよび弁64vはそれぞれ、水溶液の流量を制御できる弁である。弁64vを開くことによって、カソード側の水溶液(C)を排液路64から排液できる。弁62vの開度を調節することによって、水溶液(A)と混合される水溶液(C)の量を調節できる。
アノード側の流路62aには、第1の測定器41が配置されている。後述するように、第1の測定器41は、カソード側の流路62bに設けられてもよい。あるいは、第1の測定器41は、流路62aと流路62bとの合流地点よりも下流の流路62cに設けられてもよい。
上述したように、コントローラ50には、電源20、測定器41、測定器42、およびポンプ65に接続されている。コントローラ50は、演算処理装置51と記憶装置52とを含む。記憶装置52には、所定の工程(たとえば上記の工程)を実行するためのプログラムが格納されている。さらに、記憶装置52には、塩化カリウム水溶液(第1の水溶液)の濃度と電気伝導率との関係に関するデータ(D)が格納されている。
殺菌水の供給時の装置100aの機能について以下に説明する。容器30には、塩化カリウム水溶液(第1の水溶液)が配置されている。コントローラ50は、ポンプ65を駆動し、容器30の水溶液を電解槽10に送出する。同時に、コントローラ50は、電源20を駆動して電解槽10の電極間に直流電圧を印加し、水溶液を電気分解する。その結果、アノードでは、塩化物イオンが酸化され、塩素分子が生成される(以下の式(7))。一方、カソードでは水が電気分解されて水素分子と水酸化物イオンとが生成される。カソードでの反応は、以下の式(8)で表すことが可能である。
2K++2Cl-→2K++Cl2+2e- (7)
2H2O+2e-→H2+2OH- (8)
アノードで生成された塩素分子は水と反応して次亜塩素酸と塩化水素とを生じる(以下の式(2))。
Cl2+H2O→HClO+HCl (2)
隔膜14として陽イオン交換膜を用いる場合、陰イオンである塩素イオンおよび水酸化物イオンは隔膜14を通過しない。そのため、アノード側の槽13aに接続された流路62aを流れる水溶液は酸性に保たれる。一方、カソード側の槽13bに接続された流路62bを流れる水溶液はアルカリ性である。アノード側での電気分解とカソード側での電気分解とをトータルすると、上記式(6)と同様に、以下の式(9)で表される。
KCl+2H2O→HClO+KOH+H2 (9)
式(9)は、流路62aを流れる水溶液に、流路62bを流れる水溶液のすべてを混合すると、得られる水溶液がアルカリ性になることを示している。得られる水溶液のpHを低減するために(たとえば酸性〜中性の領域とするために)、流路62bを流れる水溶液の一部を排液路64から排出してもよい。排液路64から排出する水溶液の量を変えることによって、第2の水溶液(流路62cを流れる水溶液)のpHを変えることができる。
実施形態2の方法および装置では、弁62vを完全に閉じて、流路62aを流れる水溶液のみを第2の水溶液として用いてもよい。あるいは、流路62bを流れる水溶液(C)の少なくとも一部(一部または全部)を、流路62aを流れる水溶液(A)に混合し、混合後の水溶液を第2の水溶液として用いてもよい。
式(7)および式(2)をまとめると、以下の式(10)で表すことができる。
2K++2Cl-+H2O→HClO+H++Cl-+2K++2e- (10)
水溶液中の電荷の均衡のため、式(10)の右辺の水素イオンおよびカリウムイオンの一部は、陽イオン交換膜を通ってカソード側の槽13bに移動する。式(10)は、アノード側の電気分解によって、2モルの塩化カリウムから、1モルの次亜塩素酸と、合計で1モルの塩酸および塩化カリウムが生成されることを示している。カリウムイオンのモル伝導率よりも水素イオンのモル伝導率の方が大きいため、両者の合計のモル数が同じであっても存在比が異なると電気伝導率が異なる。一方で、陽イオン交換膜の透過性は、水素イオンの方がカリウムイオンよりも大幅に高い。そのため、式(10)の右辺の水素イオンのすべてと、右辺のカリウムイオンの半分とがアノード側に移動するとみなすことも可能である。そのようにみなすと、式(10)は、2モルの塩化カリウムを電気分解することによって、1モルの次亜塩素酸と1モルの塩化カリウムとが生成されることを示している。換言すれば、1モルの塩化カリウムの減少によって1モルの次亜塩素酸が生成されることを示している。そのため、塩化カリウムの減少量(工程(a)における塩化物イオンの酸化量の2倍)に対応する電気伝導率の変化が分かれば、次亜塩素酸の生成量が分かる。この場合、データ(D)として、電気伝導率と塩化カリウム水溶液との関係を示すデータを用いることができる。
求められる次亜塩素酸濃度の精度を高めるために、金属イオンの透過性に比べて水素イオンの透過性が特に高い陽イオン交換膜(プロトン交換膜)を用いてもよい。陽イオン交換能を有さない隔膜を用いる場合、カリウムイオンが隔膜を透過する量が多くなるため、求められる次亜塩素酸濃度の誤差が大きくなる。その場合、カリウムイオンが隔膜を透過する割合を考慮して次亜塩素酸の生成量を求めてもよい。同様に、陽イオン交換膜を用いる場合でも、カリウムイオンが陽イオン交換膜を透過する割合を考慮して次亜塩素酸の生成量を求めてもよい。
以上のように、電気分解前の塩化カリウム水溶液の電気伝導率を測定器42で測定し、電気分解後のアノード側の水溶液の電気伝導率を測定器41で測定することによって、次亜塩素酸の生成量を求めることができる。すなわち、以上のようにして、工程(a)、(b)、および(c)が実施される。
なお、カソード側では、電気分解によって水酸化カリウムの濃度が増加する。そのため、それによる電気伝導率の変化から、次亜塩素酸の生成量を求めてもよい。この場合、流路62bを流れる水溶液の電気伝導率を第1の測定器41で測定し、第2の数値として用いる。この場合、第1の水溶液の電気伝導率と、第2の数値と、工程(a)の電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量に対応する第3の数値との関係を予め測定しておき、その関係をデータ(D)として用いることができる。
(実施形態3)
実施形態3では、循環式の方法および装置について一例を説明する。実施形態3の装置100bを図3に模式的に示す。なお、実施形態3では、実施形態2の装置100aを循環式に適用する場合について説明するが、実施形態1の装置100も、同様に循環式に適用できる。
装置100bは、実施形態2で説明した装置100aと基本的に同様の構成を有する。実施形態2で説明した事項については、重複する説明を省略する。装置100bでは、流路62が、流路63ではなく容器30に接続されている。容器30は、貯液タンクとして用いられる。
電解槽10の上流側の流路61、および、電解槽10の下流側の流路62は、それぞれ、容器30に接続されている。その結果、容器30、流路61、電解槽10(少なくとも槽13a)、および流路62(少なくとも流路62a)によって循環路が形成されている。すなわち、流路61、流路62、容器30は、循環用流路を構成する。
図3には、流路61が槽13bには接続されず槽13aに接続されている一例を示している。流路61を槽13aのみに接続することによって、高濃度のアルカリ性水溶液を排液路64から放出しやすくなる。しかし、流路61は、槽13aおよび槽13bの両方に接続されていてもよい。
電気分解開始前の容器30には、電気分解される第1の水溶液が配置される。この第1の水溶液は、ポンプ65によって送り出され、電解槽10で電気分解されて容器30に戻る。容器30に戻った水溶液は、再び電解槽10で電気分解される。
実施形態3の装置100bでは、電気分解を続けることによって容器30内の水溶液の次亜塩素酸濃度が上昇する。この場合でも、電気分解開始前の第1の水溶液の第1の数値と、電気分解後の水溶液(S)の第2の数値と、データ(D)とから、上記実施形態と同様に、第3の数値を求めることができる。実施形態3では水溶液が循環するため、第1の測定器のみによって、電気分解前の第1の水溶液の第1の数値と、電気分解後の水溶液(S)の第2の数値とを測定することが可能である。第1の測定器は、流路61に配置されてもよいし、容器30に配置されてもよい。
以上のようにして、工程(a)、(b)、および(c)が実施される。実施形態3の装置100bでは、水溶液の第3の数値(殺菌力の指標)が所定値以上になったときに、容器30内の水溶液を直接または希釈して殺菌水として用いることができる。
なお、実際の殺菌ではある程度余裕を持って殺菌が行われる。たとえば、第3の数値の誤差が許容される条件で殺菌を行うことによって、第3の数値の誤差が多少あっても、問題ない殺菌を行うことができる。従来の方法では、リーク電流が大きくなるなどして電気分解が適切に行われていない場合でも、それをその場(in situ)で連続的に確認することは難しかった。一方、本実施形態の方法および装置によれば、第2の水溶液の電気伝導率を測定することによって、調製される殺菌水の殺菌力をその場で連続的に確認することができる。そのため、本実施形態の方法および装置は、信頼性が高い殺菌に極めて有用である。
(実施形態4)
実施形態4では、循環式の殺菌水の供給装置および供給方法の一例について説明する。実施形態4の殺菌水の供給装置200の構成を、図4に模式的に示す。供給装置200は、実施形態3の供給装置100bと比較して、測定器41を含まない。実施形態4で説明する殺菌水の供給装置は、上述した工程(b)および(c)を実施しない。そのため、記憶装置52には、データ(D)が格納されていない。供給装置200の構成要素のうち、供給装置100bで説明した部分については重複する説明を省略する。なお、供給装置100aは、供給装置100bと同様に工程(b)および(c)を実施するための構成(測定器41およびデータ(D)を含む)を有してもよい。
供給装置200では、上述した工程(x)および(y)が実施される。これらの工程のうち、実施形態3で説明した内容については、重複する説明を省略する。
装置200では、塩化物イオンを含む第1の水溶液が循環路を循環している状態で、電解槽10において第1の水溶液を電気分解することによって、次亜塩素酸を含む第2の水溶液を調製する(工程(x))。工程(x)は、循環式で行われる工程(a)の一例である。
工程(y)では、カソード側の槽13b(第2の槽)で電気分解されてアルカリ性となった第1の水溶液を、排液路64を介して槽13bおよび循環路の外部に放出する。電気分解されてアルカリ性となった第1の水溶液を、以下では「アルカリ性水溶液」と称する場合がある。上述したように、排液路64から放出されるアルカリ性水溶液の量を変えることによって、循環路を流れる水溶液のpHを調整できる。
実施形態4の装置および方法は循環式であるため、高濃度の殺菌水を製造することが可能である。また、排液路64からアルカリ性水溶液を放出することによって、殺菌水のpHを調整することが可能である。
(実施形態5)
実施形態5では、実施形態4の装置200を含む殺虫剤の製造装置および製造方法の一例について説明する。循環式の殺菌水の供給装置および供給方法について説明する。実施形態4の殺菌水の供給装置200の構成を、図6に模式的に示す。供給装置200は、実施形態3の供給装置100bと比較して、測定器41を含まない。実施形態4で説明する殺菌水の供給装置は、上述した工程(b)および(c)を実施しない。そのため、記憶装置52には、データ(D)が格納されていない。供給装置200の構成要素のうち、供給装置100bで説明した部分については重複する説明を省略する。なお、供給装置100aは、供給装置100bと同様に工程(b)および(c)を実施するための構成(測定器41およびデータ(D)を含む)を有してもよい。
実施形態5の製造装置300を図5に模式的に示す。装置300は、図4に示した装置200に加えて、排液路(放出路)64が接続されたタンク301と、タンク301に接続された混合機(混合部)302とを含む。タンク301には、排液路64から放出されたアルカリ性水溶液が溜められる。タンク301に溜められたアルカリ性水溶液は、混合機302によって油(L)と混合され、乳濁液(殺虫剤)が製造される。このようにして、上述した工程(z)が実施される。装置200によれば、殺菌水および殺虫剤の少なくとも1つを製造できる。なお、装置300は、混合機302を含まなくてもよい。その場合の装置300は、殺菌水およびアルカリ水溶液(殺菌剤の材料として使用可能)を製造する装置として利用できる。
実施形態5以外の実施形態の装置も、図5に示したタンク301および混合機302を含んでもよい。
本発明について、実施例によってさらに詳細に説明する。
(実施例1)
実施例1では、10mLの塩酸(濃度:7質量%)を150mLの水道水で希釈して得られた水溶液を電気分解し、電気伝導率および有効塩素濃度を測定した。希釈後の塩酸の濃度は、約0.44質量%であった。
電気分解は、容器内に塩酸を配置して電極間に3Vの電圧を印加することによって行った。そして、塩酸の電気伝導率、および、有効塩素濃度を所定時間ごとに測定した。有効塩素濃度は、ヨウ素試薬を用いた吸光光度法によって測定した。測定結果を、表1に示す。
Figure 2018103167
表1の結果を、図6に示す。図6に示すように、電気伝導率と塩素濃度とはほぼ比例関係にあった。なお、濃度が1質量%の塩酸を電気分解した場合も、電気伝導率と塩素濃度とはほぼ比例関係にあった。これらの結果は、上述した第3の数値を本発明の方法によって求めることができることを示している。
(実施例2)
実施例2では、塩化カリウム水溶液(濃度:4.8質量%)を電気分解し、電気伝導率および有効塩素濃度を測定した。具体的には、まず、循環路の一部である容器に5Lの塩化カリウム水溶液を配置した。そして、塩化カリウム水溶液をポンプで循環させながら電気分解を行い、所定の時間ごとに水溶液を採取して、電気伝導率および有効塩素濃度を測定した。測定結果を図7に示す。
図7に示すように、電気伝導率と有効塩素濃度とはほぼ比例関係にあった。なお、濃度が9.6質量%の塩化カリウム水溶液を電気分解した場合も、電気伝導率と塩素濃度とはほぼ比例関係にあった。これらの結果は、上述した第3の数値を本発明の方法によって求めることができることを示している。図7に示すグラフを検量線として用いることによって、電気伝導率から有効塩素濃度を求めることができる。
本発明は、殺菌水の供給方法および供給装置に利用できる。
10 電解槽
11、12 電極
13、13a、13b 槽
14 隔膜
20 電源
30 容器
41 第1の測定器
42 第2の測定器
50 コントローラ
51 演算処理装置
52 記憶装置
61、62、63 流路
64 排液路(放出路)
65 ポンプ
100、100a、100b 装置(供給装置)

Claims (15)

  1. 次亜塩素酸を含む殺菌水の供給方法であって、
    (a)塩化物イオンを含む第1の水溶液を電解槽に通過させながら電気分解することによって、次亜塩素酸を含む第2の水溶液を調製する工程と、
    (b)前記電気分解後の水溶液の電気伝導率に対応する数値を測定する工程と、
    (c)前記第1の水溶液の電気伝導率に対応する第1の数値と、前記(b)の工程で測定された数値である第2の数値とを用いて、前記(a)の工程の電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量に対応する第3の数値を求める工程と、を含む殺菌水の供給方法。
  2. (d)前記第1の水溶液の電気伝導率に対応する前記第1の数値を測定する工程をさらに含む、請求項1に記載の殺菌水の供給方法。
  3. 前記第3の数値に基づいて前記(a)の工程における電気分解を制御する、請求項1または2に記載の殺菌水の供給方法。
  4. 前記第1の水溶液の塩素イオン濃度が、0.01モル/L以上である、請求項1〜3のいずれか1項に記載の殺菌水の供給方法。
  5. (e)前記第2の水溶液を希釈することによって、次亜塩素酸を含む第3の水溶液を調製する工程をさらに含む、請求項1〜4のいずれか1項に記載の殺菌水の供給方法。
  6. 前記第3の水溶液のpHが3〜8の範囲内にある、請求項5に記載の殺菌水の供給方法。
  7. 前記電解槽には、前記電解槽を含む循環路を構成する循環用流路が接続されており、
    前記(a)の工程において、電気分解によって調製された前記第2の水溶液を、前記循環用流路を通して前記電解槽に戻して再び前記第1の水溶液として電気分解する、請求項1〜6のいずれか1項に記載の殺菌水の供給方法。
  8. 前記電解槽は、アノードとして機能する電極が配置される第1の槽と、カソードとして機能する電極が配置される第2の槽と、前記第1の槽と前記第2の槽とを通液可能に仕切る隔膜とを含み、
    前記第1の槽は前記循環路の一部を構成しており、
    前記第2の槽には、前記第2の槽で電気分解されることによってpHが上昇した前記第1の水溶液を放出するための放出路が接続されており、
    前記(a)の工程において、pHが上昇した前記第1の水溶液の少なくとも一部を前記放出路から放出する、請求項7に記載の殺菌水の供給方法。
  9. カルボキシル基およびエステル基から選ばれる少なくとも1つを含む油と、前記放出路から放出された前記第1の水溶液とを混合して乳濁液を調製する工程をさらに含む、請求項8に記載の殺菌水の供給方法。
  10. 次亜塩素酸を含む殺菌水の供給装置であって、
    電気分解用の複数の電極を含む電解槽と、
    前記複数の電極に接続された電源と、
    塩化物イオンを含む第1の水溶液を前記電解槽に連続的に流すための水溶液供給機構と、を含み、
    前記電解槽は、前記第1の水溶液を電気分解することによって、次亜塩素酸を含む第2の水溶液を得る電解槽であり、
    前記電気分解後の水溶液の電気伝導率に対応する数値を測定する第1の測定器をさらに含む、殺菌水の供給装置。
  11. 前記第1の測定器に接続されたコントローラを含む、請求項10に記載の殺菌水の供給装置。
  12. 前記コントローラは記憶装置を含み、
    前記記憶装置には、前記第1の水溶液の電気伝導率に対応する第1の数値と、前記第1の測定器で測定された数値である第2の数値と、前記電気分解によって酸化された塩化物イオンの単位体積あたりの量に対応する第3の数値と、の関係に関するデータが格納されており、
    前記コントローラは、前記第1の数値と、前記第1の測定器の出力と、前記データとに基づいて、前記第1の水溶液の電気分解を制御する、請求項11に記載の殺菌水の供給装置。
  13. 前記第1の水溶液を測定して前記第1の数値を出力する第2の測定器をさらに含み、
    前記コントローラは、前記第2の測定器の出力を前記第1の数値として用いる、請求項12に記載の殺菌水の供給装置。
  14. 前記複数の電極は、電気分解の際にアノードとして機能する第1の電極と、電気分解の際にカソードとして機能する第2の電極とを含み、
    前記電解槽は、前記第1の電極が配置される第1の槽と、前記第2の電極が配置される第2の槽と、前記第1の槽と前記第2の槽とを通液可能に仕切る隔膜とを含み、
    前記供給装置は、前記第1の槽を含む循環路を構成する循環用流路と、前記第2の槽に接続された放出路とをさらに含む、請求項10〜13のいずれか1項に記載の殺菌水の供給装置。
  15. 前記放出路から放出された水溶液を他の液体と混合するための混合部をさらに含む、請求項14に記載の殺菌水の供給装置。
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