本明細書に使用される節見出しは、単に編成目的のものであり、記載される本主題を制限するものとして解釈されるものではない。
本明細書に別途定義されない限り、本発明に関連して使用される化学的および技術的用語は、当業者によって一般に理解される意味を有するものとする。さらに、文脈上他の解釈を要する場合を除き、単数形の用語は、複数形を含むものとし、複数形の用語は、単数形を含むものとする。
一般に、本明細書に記載される、細胞および組織培養、分子生物学、免疫学、微生物学、遺伝学、タンパク質および核酸化学、製造、製剤化、薬理学、および医薬品に関する用語および技法は、当該技術分野で周知のものであり、一般に使用されるものである。本出願の方法および技法は、概して、別途指定されない限り、当該技術分野で周知の従来的な方法に従って、ならびに本明細書を通じて引用および考察される種々の一般的およびより具体的な参考文献に記載されるように、行われる。例えば、Sambrook et al.,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,3rd ed.,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(2001)、Ausubel et al.,Current Protocols in Molecular Biology,Greene Publishing Associates(1992)、およびHarlow and Lane Antibodies:A Laboratory Manual Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.(1990)を参照されたく、これらは、参照により本明細書に組み込まれる。酵素反応および精製技法は、製造業者の仕様に従って、当該技術分野で一般的に遂行されるように、または本明細書に記載されるように行われる。本明細書に記載される、分析化学、合成有機化学、ならびに医化学および製薬化学に関連して使用される専門用語、ならびにそれらの実験室手順は、当該技術分野で周知であり、一般的に使用されるものである。標準的な技法を、化学合成、化学分析、医薬調製、製剤化、および送達、ならびに患者の治療に使用することができる。
本発明は、本明細書に記載される特定の手法、プロトコル、試薬等に限定されない。本明細書に使用される専門用語は、具体的な実施形態を説明するためのものに過ぎず、特許請求の範囲によって定義される本発明の範囲を制限することを意図するものではない。
実施例における、または別途指示される場合を除き、本明細書に使用される成分または反応条件を表すすべての数字は、すべての場合において「約」という用語に修飾されるとして理解されるものとし、この用語は関連技術分野の当業者によって解釈される。
定義
「ポリヌクレオチド」または「核酸」という用語は、任意の長さのヌクレオチドポリマーを含む。それらは、例えば、一本鎖、二本鎖、もしくは三本鎖、または一本鎖および/もしくは二本鎖および/もしくは三本鎖の組み合わせであり得る。ヌクレオチドポリマーが1つを上回る鎖を含む場合、各鎖は、それ自体が、ポリヌクレオチドまたは核酸であると理解される。ヌクレオチドポリマーが二本鎖である場合、典型的に、鎖のそれぞれが互いに相補的であるが、それらの相補性は必ずしも完全ではなく、いくつかの事例においては、ある特定のハイブリダイゼーション条件下においてのみ2つの鎖の安定な会合またはハイブリダイゼーションを可能にするのに十分である。ポリヌクレオチドを含むヌクレオチドは、天然に存在するかまたは人工のヌクレオチド類似体、例えば、リボヌクレオチド、デオキシリボヌクレオチド、またはいずれかの種類のヌクレオチドの修飾形態、または異なる種類のヌクレオチドおよび/もしくはヌクレオチド類似体の組み合わせ等であり得る。当該修飾には、例えば、ブロモウリジンおよびイノシン誘導体等の塩基修飾、2′,3′−ジデオキシリボース等のリボース修飾、ならびにホスホロチオエート、ホスホロジチオエート、ホスホロセレノエート(phosphoroselenoate)、ホスホロジセレノエート(phosphorodiselenoate)、ホスホロアニロチオエート(phosphoroanilothioate)、ホスホロアニラデート(phoshoraniladate)、およびホスホロアミデート(phosphoroamidate)等のヌクレオチド間結合修飾が含まれる。「ポリヌクレオチド」および「核酸」という用語には、例えば、標識(例えば、放射標識)、蛍光標識、ハプテン、または抗原性標識といった1つ以上の非ポリヌクレオチド化学実体の付加によって、共有結合もしくは非共有結合で修飾されている、ヌクレオチドポリマー、ならびにハイブリダイゼーション膜(例えば、ニトロセルロースハイブリダイゼーション膜)、ビーズ、血管壁といった、固体物体または表面に共有結合または非共有結合で結合した、ヌクレオチドポリマーが含まれる。
「オリゴヌクレオチド」という用語は、一般に、より短いポリヌクレオチドまたは核酸配列を指す。特定のオリゴヌクレオチドの長さは、それがどのように作製されるか、および/またはその意図される用途に依存するであろう。典型的には、それは、200個以下のヌクレオチドを含むポリヌクレオチドを指す。いくつかの実施形態において、オリゴヌクレオチドは、10〜60塩基の長さである。他の実施形態において、オリゴヌクレオチドは、12、13、14、15、16、17、18、19、または20〜40ヌクレオチドの長さである。オリゴヌクレオチドは、例えば、一本鎖、二本鎖、または三本鎖であり得る。一本鎖オリゴヌクレオチドは、センスまたはアンチセンスオリゴヌクレオチドであり得る。オリゴヌクレオチドは、例えば、PCRプライマー、クローニングプライマー、2つ以上のポリヌクレオチドの接合のためのアダプター、およびハイブリダイゼーションプローブを含む、多数の用途を有する。
「単離核酸分子」とは、ゲノムDNAもしくはRNA、mRNA、cDNA、もしくは合成起源のもの、またはそれらの何らかの組み合わせを意味し、その天然の環境から、少なくとも部分的に除去されている。単離核酸分子の例には、自然界に見出される配列を有するが合成産生される核酸、単離ポリヌクレオチドが自然界に見出される、ポリヌクレオチドのすべてまたは一部分と会合されない、天然に存在する核酸、自然界では連結しないポリヌクレオチドに連結される天然に存在する核酸、およびそれらの自然の細胞環境から少なくとも部分的に除去されている天然に存在する核酸が含まれる。本開示の目的で、特定のヌクレオチド配列を「含む核酸分子」は、インタクトな天然に存在する染色体を包含しないことを理解されたい。指定される核酸配列を「含む」単離核酸分子は、例えば、引用される核酸配列のコード領域の発現を制御するか、もしくはそれに影響を及ぼす、制御性配列に動作可能に連結される、1つ以上の他のコード配列、ベクターもしくはプラスミド配列、核酸の複製を制御するか、もしくはそれに影響を及ぼす配列、制限部位、プライマー結合部位等といった、他の配列も同様に含み得る。
別途指定されない限り、本明細書に提供されるいずれの一本鎖ポリヌクレオチド配列の左手側末端も、5′末端であり、二本鎖ポリヌクレオチドの左手方向は、5′方向と称される。発生期のRNA転写産物の5′から3′への付加方向は、転写方向と称され、RNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の5′からRNA転写産物の5′末端への配列領域は、「上流配列」と称され、RNA転写産物と同じ配列を有するDNA鎖上の3′からRNA転写産物の3′末端への配列領域は、「下流配列」と称される。
「制御配列」という用語は、それがライゲーションされるコード配列の発現および/またはプロセシングに影響を及ぼし得る、ポリヌクレオチド配列を指す。そのような制御配列の性質は、宿主生物に依存し得る。特定の実施形態において、原核生物の制御配列には、プロモーター、リボソーム結合部位、および転写終止配列が含まれ得る。真核生物の制御配列の例には、転写因子の1つまたは複数の認識部位を含むプロモーター、転写エンハンサー配列、および転写終止配列が含まれる。「制御配列」という用語は、リーダー配列および/または融合パートナー配列も同様に指し得る。
「ベクター」という用語は、タンパク質コード情報を宿主細胞に移入するために使用される任意の分子または実体(例えば、核酸、プラスミド、バクテリオファージ、またはウイルス)を意味する。
「発現ベクター」、「発現プラスミド」、および「発現構築物」という用語は、それぞれ、宿主細胞の形質転換に好適であり、核酸配列を含有し、(宿主細胞と組み合わせて)そこに動作可能に連結される1つ以上の異種コード領域の発現を可能にする、ベクターを指す。発現構築物には、転写、翻訳に影響を及ぼすか、またはそれらを制御し、イントロンが存在する場合は、それに動作可能に接続されるコード領域のRNAスプライシングに影響を及ぼす、配列が含まれ得るが、これに限定されない。
本明細書に使用される際、「動作可能に連結される」とは、この用語が適用される構成要素が、それらが好適な条件下でそれらの固有または所望の機能を実行することを可能にする関係にあることを意味する。ベクター中でタンパク質コード配列に「動作可能に連結される」制御配列の例は、タンパク質コード配列の発現が、エンハンサー領域の転写活性を適合性のある条件下で達成されるように、(直接または中間配列を介してのいずれかで)タンパク質コード配列にライゲーションされたエンハンサー領域である。
「宿主細胞」という用語は、正しい条件下において、目的のコード配列を発現することができる細胞を意味する。この用語には、親細胞の子孫が含まれ、目的のコード配列が存在する限り、元の親細胞に対して、形態または遺伝子的構成が同じであるかどうかにかかわらない。「宿主細胞」は、核酸配列が形質転換されているか、または形質転換されることが可能であり、それによって目的のコード配列を発現する、細胞であり得る。
「形質導入」は、1つの細菌の遺伝子を、通常、バクテリオファージによって、別のものに移入することを意味する。「形質導入」はまた、複製欠損レトロウイルスによる真核細胞配列の取得および移入を指す。
「トランスフェクション」という用語は、細胞による外来性または外因性DNAの取り込みを意味し、細胞は、外因性DNAが細胞内に導入されている場合、「トランスフェクト」されている。多数のトランスフェクション技法が、当該技術分野で周知であり、本明細書に開示される。例えば、Graham et al.,1973,Virology 52:456、Sambrook et al.,2001,Molecular Cloning:A Laboratory Manual(上記)、Davis et al.,1986,Basic Methods in Molecular Biology,Elsevier;Chu et al.,1981,Gene 13:197を参照されたい。そのような技法を使用して、1つ以上の外因性DNA部分を好適な宿主細胞に導入することができる。トランスフェクト細胞を作製するために使用される技法およびトランスフェクト細胞の所望される用途に応じて、細胞は、安定または一過的に、のいずれかでトランスフェクトすることができる。
「形質転換」という用語は、細胞の遺伝的特徴の変化を指し、細胞は、それが新しいDNAまたはRNAを含有するように修飾されている場合、形質転換されている。例えば、細胞は、例えば、トランスフェクションもしくは形質導入によって、または化学的、弾道学的、もしくはエレクトロポレーション技法といった別の技法によって、新しい遺伝子材料を導入することによって、その天然の状態から遺伝子的に修飾される場合、形質転換される。形質転換すると、形質転換DNAは、細胞の染色体に物理的に組み込むことによって、細胞のものとの組み換えを生じ得るか、または細胞分裂の際に複製および/もしくは安定に増殖することなく、エピソーム要素として一過的に維持され得るか、またはそれがプラスミドとして独立して複製し得る。細胞は、形質導入DNAが、宿主細胞の細胞分裂周期の一部として複製される場合、「安定に形質転換」されているとみなされる。
「ポリペプチド」または「タンパク質」という用語は、アミノ酸残基のポリマーを指して本明細書において互換的に使用される。これらの用語はまた、1つ以上のアミノ酸残基が、天然に存在するアミノ酸の類似体、誘導体、または模倣体であるアミノ酸ポリマー、ならびに天然に存在するアミノ酸ポリマーにも適用される。これらの用語はまた、修飾されているアミノ酸ポリマーを包含する。そのような修飾には、ポリペプチドのあらゆる天然に存在するかまたは人工的な修飾が含まれる。いくつかのそのような修飾は、ポリペプチドの配列を改変するが、そうでないものもある。そのような修飾の例には、炭水化物残基の付加およびリン酸化が含まれる。ポリペプチドおよびタンパク質は、天然に存在する非組み換えの細胞によって産生および/もしくは修飾され得るか、またはそれらは、遺伝子操作もしくは組み換えの細胞によって産生され得る。「ポリペプチド」および「タンパク質」は、天然のタンパク質のアミノ酸配列を有する分子、または天然の配列からの欠失、それへの付加、および/もしくはその1つ以上のアミノ酸の置換を有する分子を含む。「ポリペプチド」および「タンパク質」は、具体的に、IL−21受容体抗原結合タンパク質、抗体、または抗原結合タンパク質からの欠失、それへの付加、および/もしくはその1つ以上のアミノ酸の置換を有する、配列を包含する。「ポリペプチドフラグメント」という用語は、全長タンパク質と比較して、アミノ末端欠失、カルボキシル末端欠失、および/または内部欠失を有するポリペプチドを指す。そのようなフラグメントはまた、全長タンパク質と比較して、修飾されたアミノ酸を含有し得る。ある特定の実施形態において、フラグメントは、約5〜500アミノ酸長である。例えば、フラグメントは、少なくとも5、6、8、10、14、20、50、70、100、110、150、200、250、300、350、400、または450アミノ酸長であり得る。有用なポリペプチドフラグメントには、結合ドメインを含む、抗体の免疫学的に機能的なフラグメントが含まれる。IL−21受容体結合抗体の場合、有用なフラグメントには、CDR領域、重鎖もしくは軽鎖の可変ドメイン、抗体鎖の一部分、または2つのCDRを含むその可変領域のみ等が挙げられるが、これらに限定されない。
「単離タンパク質」は、(1)通常は見出されるであろう少なくともいくつかの他のタンパク質もしくは細胞成分が含まれない、(2)同じ源、例えば同じ種に由来する他のタンパク質が本質的に含まれない、(3)異なる種に由来する細胞によって発現される、(4)自然界において会合するポリヌクレオチド、脂質、炭水化物、もしくは他の材料の少なくとも約50パーセントから分離されている、(5)自然界において会合しないポリペプチドと動作可能に会合する(共有もしくは非共有結合によって)、または(6)自然には生じない。「単離タンパク質」は、所与の試料の少なくとも約5%、少なくとも約10%、少なくとも約25%、または少なくとも約50%を構成し得る。合成起源のゲノムDNA、cDNA、mRNA、もしくは他のRNA、またはこれらの任意の組み合わせが、そのような単離タンパク質をコードし得る。いくつかの実施形態において、単離タンパク質は、その治療的、診断的、予防的、研究、または他の用途を妨害するであろうその天然の環境に見出されるタンパク質またはポリペプチドまたは他の混入物質を実質的に含まない。
ポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質または抗体)の「変異体」は、別のポリペプチド配列と比較して、1つ以上のアミノ酸残基が、アミノ酸配列に挿入される、そこから欠失される、および/またはそれに置換される、アミノ酸配列を含む。ポリペプチドのすべてまたは一部を含む融合タンパク質は、ポリペプチドの変異体の一例である。
ポリペプチドの「誘導体」は、アミノ酸の挿入、欠失、および/または置換とは異なる何らかの方式で、例えば、別の化学的部分との複合体化によって、化学的に修飾されているポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質、または抗体)である。抗体の軽鎖または重鎖可変ドメインのすべてまたは大部分を含有するが、抗体の他の可変ドメインのほとんどまたはすべてを欠く抗原結合タンパク質は、抗体の誘導体の一例である。
ポリペプチド、核酸、宿主細胞等の生物学的材料に関して本明細書全体を通じて使用される「天然に存在する」という用語は、自然界で見出される物質を指す。
本明細書に使用される「抗原結合タンパク質」は、IL−21受容体またはヒトIL−21受容体といった指定の標的抗原に特異的に結合するタンパク質を意味する。
抗体、または抗体フラグメント、変異体、もしくは誘導体といった抗原結合タンパク質は、それがその標的抗原に免疫特異的に結合する場合、その抗原に「特異的に結合する」と称される。いくつかの実施形態において、特異的に結合する抗原結合タンパク質は、1対(1 to)10×10−8Mの解離定数(KD)を有する。抗体は、KDが1対10×10−9Mである場合「高い親和性」で抗原に結合し、KDが1対10×10−10Mである場合「非常に高い親和性」で抗原に結合する。一実施形態において、抗体は、1対10×10−9MのKD、および約1×10−4/秒のオフ速度(off−rate)を有する。一実施形態において、オフ速度は、約1×10−5/秒である。他の実施形態において、抗体は、約10−8M〜10−10MのKDでIL−21受容体またはヒトIL−21受容体に結合するが、さらに別の実施形態では、1対2×10−10のKDで結合する。
「抗原結合領域」とは、指定の抗原に特異的に結合する、抗体もしくは他の抗原結合タンパク質、またはそのフラグメント、誘導体、もしくは変異体の部分を意味する。抗原結合領域には、1つ以上の「相補性決定領域」(「CDR」)が含まれ得る。ある特定の抗原結合領域にはまた、1つ以上の「フレームワーク」領域も含まれる。一部の抗体および他の抗原結合タンパク質のフレームワーク領域内の残基は、抗体または抗原結合タンパク質とその抗原との特異的な結合に直接寄与し得るが、典型的には、フレームワーク領域は、抗原結合領域と抗原との間の結合を可能にするCDRの構造の維持を補助する。
ある特定の態様において、Il−21受容体またはヒトIL−21受容体に結合する組み換え抗原結合タンパク質が提供される。この文脈において、「組み換えタンパク質」は、組み換え技術を使用して、例えば組み換え核酸の発現を通じて、作製されるタンパク質である。組み換えタンパク質の産生のための方法および技法は、当該技術分野で周知である。
「抗体」という用語は、それ自体が、抗体の標的抗原に特異的に結合する、任意の種類のインタクトな抗原結合免疫グロブリン、またはそのフラグメントを指し、例えば、キメラ、ヒト化、完全ヒト、および二特異的抗体が含まれる。「抗体」は、抗原結合タンパク質の一種である。いくつかの実施形態において、インタクトな抗体は、2つの全長重鎖と2つの全長軽鎖とを含む。他の実施形態において、インタクトな抗体は、ラクダに天然に発生する抗体等、より少ない鎖のものが含まれ、これは、重鎖のみを含み得る他の実施形態において、抗体の軽さまたは重鎖可変領域の一部またはすべてを欠く抗体のフラグメントまたは誘導体が作製される。他の実施形態において、抗体の重鎖の一部またはすべてを欠く抗体のフラグメントまたは誘導体が作製される。そのような誘導体またはフラグメントは、典型的に、軽鎖もしくは軽鎖フラグメントを接合する、および/または、それらに、このフラグメントもしくは誘導体をその抗原に結合させる構造をとらせるための、1つ以上のリンカーまたは他のアミノ酸配列を含むことになる。
抗体のアミノ酸配列は、単一の源にのみ由来し得るか、または「キメラ」であり得る、すなわち、以下にさらに記載されるように、抗体の異なる部分が、2つの異なる抗体に由来し得る。抗原結合タンパク質、抗体、または結合フラグメントは、組み換えDNA技法によって、またはインタクトな抗体の酵素もしくは化学的開裂によって、ハイブリドーマ中に産生され得る。別途指定されない限り、「抗体」という用語には、2つの全長重鎖と2つの全長軽鎖とを含む抗体に加えて、その油動態、変異体、フラグメント、および突然変異体が含まれる。
「軽鎖」という用語には、必要に応じて好適な重鎖、または重鎖フラグメント、誘導体、もしくは変異体と組み合わせて、抗原に対する特異的結合を与えるのに十分な可変領域配列を有する、全長軽鎖、ならびにそのフラグメント、誘導体、および変異体が含まれる。全長軽鎖には、可変領域ドメインVLと、定常領域ドメインCLとが含まれる。軽鎖の例には、κ軽鎖およびλ軽鎖が挙げられる。
「重鎖」という用語には、必要に応じて好適な軽鎖、または軽鎖フラグメント、誘導体、もしくは変異体と組み合わせて、抗原に対する特異的結合を与えるのに十分な可変領域配列を有する、全長重鎖、ならびにそのフラグメント、誘導体、および変異体が含まれる。全長重鎖には、可変領域ドメインVHと、3つの定常領域ドメインCH1、CH2、およびCH3とが含まれる。重鎖は、IgG(IgG1、IgG2、IgG3、およびIgG4サブタイプを含む)、IgA(IgA1およびIgA2サブタイプを含む)、IgM、およびIgE、ならびにそれらの誘導体および変異体を含む、任意のアイソタイプのものであり得る。
抗体または免疫グロブリン鎖(重鎖または軽鎖)の「免疫学的に機能的なフラグメント」という用語は、本明細書に使用される際、全長鎖に存在するアミノ酸のうちの少なくともいくつかを欠くが、抗原に特異的に結合することができる、抗体の一部分(その部分がどのようにして得られたか、または合成されたかにかかわらない)を含む、抗原結合タンパク質である。そのようなフラグメントは、それらが標的抗原に特異的に結合するという点で、生物学的に活性である。いくつかの実施形態において、そのようなフラグメントは、全長軽鎖または重鎖に存在する少なくとも1つのCDRを保持し、いくつかの実施形態では、単一の重鎖および/もしくは軽鎖、またはその部分を含むであろう。これらの生物学的に活性なフラグメントは、例えば、組み換えDNA技法によって、またはインタクトな抗体のものを含む、抗原結合タンパク質の酵素的もしくは化学的開裂によって、産生され得る。免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントには、Fab、Fab′、F(ab′)2、Fv、ドメイン抗体、および一本鎖抗体が挙げられるがこれらに限定されず、ヒト、マウス、ラット、ラクダ、またはウサギを含むがこれらに限定されない任意の哺乳動物源に由来し得る。本明細書に開示される抗原結合タンパク質の機能的部分、例えば、1つ以上のCDRが、第2のタンパク質または小分子に共有結合して、体内で特定の標的と対象とし、二機能的治療特性を有する、または延長された血清半減期を有する、治療剤を作製することができることが、さらに企図される。
「一本鎖抗体」は、重鎖および軽鎖の可変領域が可動性リンカーによって接続されて、単一のポリペプチド鎖を形成し、これが抗原結合領域を形成する、Fv分子である。一本鎖抗体は、国際特許出願公開第WO 88/01649号ならびに米国特許第4,946,778号および同第5,260,203号に詳細に記載されており、これらの開示は、参照により本明細書に組み込まれる。
「ドメイン抗体」は、重鎖の可変領域または軽鎖の可変領域のみを含有する免疫学的に機能的な免疫グロブリンフラグメントである。いくつかの事例において、2つ以上のVH領域が、ペプチドリンカーと共有結合で接合されて、二価ドメイン抗体が作製される。二価ドメイン抗体の2つのVH領域は、同じかまたは異なる抗原を標的とし得る。
「二価抗原結合タンパク質」または「二価抗体」は、2つの抗原結合部位を含む。いくつかの実施形態において、2つの結合部位は、同じ抗原特異性を有する。他の実施形態において、二価抗原結合タンパク質および二価抗体は、二特異性である。
多特異性抗原結合タンパク質または「多特異性抗体」は、1つを上回る抗原またはエピトープに特異的に結合するものである。
「二特異性」、「二重特異性」、または「二機能性」抗原結合タンパク質または抗体は、それぞれ、それぞれが異なるエピトープに特異的に結合する2つの抗原結合部位を有する、ハイブリッド抗原結合タンパク質または抗体である。2つのエピトープは、同じ分子(例えば、IL−21受容体タンパク質)上、または異なる分子(例えば、IL−21受容体タンパク質とIL−21、またはIL−21受容体と共通のγ鎖)上に存在し得る。二特異性抗原結合タンパク質および抗体は、多特異性抗原結合タンパク質または多特異性抗体の一種であり、ハイブリドーマの融合またはFab′フラグメントの連結を含むがこれらに限定されない種々の方法によって産生され得る。例えば、Songsivilai and Lachmann,1990,Clin.Exp.Immunol.79:315−321、Kostelny et al.,1992,J.Immunol.148:1547−1553を参照されたい。
「阻害性抗原結合タンパク質」、「阻害性抗体」、「アンタゴニスト性抗原結合タンパク質」、「アンタゴニスト性抗体」、「中和抗原結合タンパク質」、および「中和抗体」は、それぞれ、その標的に特異的に結合し、それによって標的の生物学的活性、例えば、リガンド、受容体、結合パートナー、制御性分子、もしくは基質に結合する、反応を触媒する、シグナルを送信もしくは伝播する、またはそれ自体もしくは別のタンパク質をリン酸化もしくは脱リン酸化する、それらの能力を低減または防止する、抗原結合タンパク質または抗体を指す。
同じ標的に結合する抗原結合タンパク質(例えば、中和抗原結合タンパク質もしくは中和抗体)に関して使用される際、「競合する」という用語は、アッセイによって判定される抗原結合タンパク質間の競合を意味し、試験下にある抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的に機能的なフラグメント)が、参照抗原結合タンパク質(例えば、リガンド、または参照抗体)と共通の抗原(例えば、IL−21受容体またはそのフラグメント)との特異的結合を防止、低減、または阻害する。多くの種類の競合的結合アッセイ、例えば、固相直接または間接放射免疫測定法(RIA)、固相直接または間接酵素免疫測定法(EIA)、サンドイッチ競合アッセイ(例えば、Stahli et al.,1983,Methods in Enzymology 9:242−253を参照されたい)、固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Kirkland et al.,1986,J.Immunol.137:3614−3619を参照されたい)、固相直接標識アッセイ、固相直接標識サンドイッチアッセイ(例えば、Harlow and Lane,1988,Antibodies,A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Pressを参照されたい)、1−125標識を用いた固相直接標識RIA(例えば、Morel et al.,1988,Molec.Immunol.25:7−15を参照されたい)、固相直接ビオチン−アビジンEIA(例えば、Cheung,et al.,1990,Virology 176:546−552を参照されたい)、ならびに直接標識RIA(Moldenhauer et al.,1990,Scand.J.Immunol.32:77−82)を使用することができる。典型的には、そのようなアッセイは、これらの非標識化試験抗原タンパク質および標識化参照抗原結合タンパク質のいずれかを有する固相表面もしくは細胞に結合した精製抗原の使用を伴う。競合的阻害は、試験抗原結合タンパク質の存在下において、固相表面または細胞に結合した標識の量を判定することによって、測定され得る。通常、試験抗原結合タンパク質は、過剰に存在する。競合アッセイによって特定される抗原結合タンパク質(競合する抗原結合タンパク質)には、参照抗原結合タンパク質と同じエピトープ、参照抗原結合タンパク質のエピトープと重複するエピトープ、ならびに試験および参照抗原結合タンパク質の間で重複しないが、それらの間に立体障害は生じることを可能にするエピトープ、に結合する抗原結合タンパク質が挙げられる、競合的結合を判定するための具体的な方法は、本明細書の実施例に提供される。通常、競合する抗原結合タンパク質が過剰に存在する場合、それは、参照抗原結合タンパク質と共通の抗原との結合を、少なくとも20%、25%、30%、35%、40%、45%、50%、55%、60%、65%、70%、または75%阻害することになる。いくつかの事例において、結合は、少なくとも80%、85%、90%、95%、または97%以上阻害される。
「抗原」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体またはその免疫学的に機能的なフラグメントを含む)等の選択的結合剤によって結合され得、さらに動物においてその抗原に結合することができる抗体を産生するために使用され得る、分子または分子の部分を指す。抗原は、異なる抗原結合タンパク質、例えば抗体と相互作用することができる1つ以上のエピトープを有し得る。
「エピトープ」という用語は、抗原結合タンパク質(例えば、抗体)によって結合される分子の部分である。この用語には、抗体等の抗原結合タンパク質またはT細胞受容体に特異的に結合することができる任意の決定基が含まれる。エピトープは、連続的または非連続的(例えば、ポリペプチド配列においては互いに連続しないが、分子の関連においては、抗原結合タンパク質によって結合される、ポリペプチド、アミノ酸残基において)であり得る。ある特定の実施形態において、エピトープは、それらが、抗原結合タンパク質を生成するために使用されるエピトープに類似する三次元構造を含むが、抗原結合タンパク質を生成するために使用されるエピトープに見出されるアミノ酸残基を全く含まないか、そのうちのいくつかのみを含むという点で、模倣体であり得る。エピトープは、タンパク質上に存在することが最も多いが、いくつかの事例においては、核酸等の他の種類の分子上に存在し得る。エピトープ決定基には、アミノ酸、糖側鎖、ホスホリルもしくはスルホニル基といった、化学的に活性な表面の分子の分類が含まれ得、特定の三次元構造特徴および/または特定の荷電特徴を有し得る。一般に、特定の標的抗原に特異的な抗体は、タンパク質および/または巨大分子の複合体において標的抗原上のエピトープを優先的に認識することになる。
「同一性」という用語は、配列のアライメントおよび比較によって判定される、2つ以上の核酸ポリペプチド分子、または2つ以上の核酸分子の配列間の関係を指す。「パーセント同一性」とは、比較される分子のアミノ酸またはヌクレオチド間で同一な残基の割合(%)を意味し、比較される分子の最小のものの大きさに基づいて計算される。これらの計算については、アライメントにおけるギャップ(存在する場合)は、特定の数学的モデルまたはコンピュータプログラム(すなわち、「アルゴリズム」)によって対処されねばならない。アライメントされる核酸またはポリペプチドの同一性を計算するために使用することができる方法には、Computational Molecular Biology,(Lesk,A.M.,ed.),1988,New York:Oxford University Press、Biocomputing Informatics and Genome Projects,(Smith,D.W.,ed.),1993,New York:Academic Press、Computer Analysis of Sequence Data,Part I,(Griffin,A.M.,and Griffin,H.G.,eds.),1994,New Jersey:Humana Press、von Heinje,G.,1987,Sequence Analysis in Molecular Biology,New York:Academic Press、Sequence Analysis Primer,(Gribskov,M.and Devereux,J.,eds.),1991,New York:M.Stockton Press、およびCarillo et al.,1988,SIAM J.Applied Math.48:1073に記載されるものが含まれる。
パーセント同一性を計算する際、比較される配列は、配列間に最大の一致が得られる方法でアライメントされる。パーセント同一性を判定するために使用されるコンピュータプログラムは、GCGプログラムパッケージであり、これには、GAP(Devereux et al.,1984,Nucl.Acid Res.12:387、Genetics Computer Group,University of Wisconsin,Madison,Wis.)が含まれる。コンピュータアルゴリズムGAPを使用して、2つのポリペプチドまたはポリヌクレオチドをアライメントし、これらに関してパーセント配列同一性を判定する。配列は、それらのそれぞれのアミノ酸またはヌクレオチドの最適な一致(アルゴリズムによって判定される「一致範囲」)に関してアライメントされる。ギャップ開始ペナルティ(平均対角の3倍として計算され、「平均対角」は、使用される比較行列の対角の平均であり、「対角」は、特定の比較行列による各完全なアミノ酸一致に割り当てられたスコアまたは数である)およびギャップ伸長ペナルティ(通常はギャップ開始ペナルティの1/10倍である)、ならびにPAM 250またはBLOSUM 62等の比較行列を、アルゴリズムと併せて使用する。ある特定の実施形態において、標準的な比較行列(PAM 250比較行列についてはDayhoff et al.,1978,Atlas of Protein Sequence and Structure 5:345−352、BLOSUM 62比較行列についてはHenikoff et al.,1992,Proc.Natl.Acad.Sci.USA.89:10915−10919を参照されたい)もまた、アルゴリズムで使用する。
GAPプログラムを使用してポリペプチドまたはヌクレオチド配列のパーセント同一性を判定するためのパラメータは、次の通りである:
アルゴリズム:Needleman et al.,1970,J.Mol.Biol.48:443−453
比較行列:Henikoff et al.,1992(上記)のBLOSUM 62
ギャップペナルティ:12(終了ギャップにはペナルティなし)
ギャップ長ペナルティ:4
類似性の閾値:0
2つのアミノ酸配列をアライメントするためのある特定のアライメントスキームは、2つの配列の短い領域のみの一致をもたらし得、この小さなアライメント領域は、2つの全長配列間に重要な関係がない場合であっても、非常に高い配列同一性を有し得る。したがって、選択されるアライメント方法(GAPプログラム)は、所望される場合、標的ポリペプチドの少なくとも50個の連続するアミノ酸に及ぶアライメントをもたらすように調整することができる。
本明細書に使用される際、「実質的に純粋」とは、記載された種の分子が、存在する主要な種であること、すなわち、モル基準で、同じ混合物中のいずれの他の個々の種よりも豊富であることを意味する。ある特定の実施形態において、実質的に純粋な分子は、目的の種が、存在するすべての巨大分子種のうちの少なくとも50%(モル基準で)を構成する、組成物である。他の実施形態において、実質的に純粋な組成物は、組成物中に存在するすべての巨大分子のうちの少なくとも80%、85%、90%、95%、または99%を構成する。他の実施形態において、目的の種は、混入種を従来的な検出方法によって組成物中に検出することができず、したがって、この組成物は、単一の検出可能な巨大分子種からなる、本質的な均質性まで精製される。
「治療する」という用語は、軽減;寛解;症状の消失、または傷害、病理、もしくは疾患を患者にとってより寛容性にすること;悪化または衰弱の速度の低下;悪化の最終時点の衰弱を軽減すること;患者の身体的または精神的な健康を改善することといった、任意の客観的または主観的パラメータを含む、傷害、病理、疾患、または状態の防止、予防、治療、または緩和の成功の任意の兆候を指す。症状の治療または緩和は、身体検査、神経精神医学的検査、および/または精神医学的評価を含む、客観的または主観的パラメータに基づき得る。例えば、本明細書に提示されるある特定の方法は、炎症の発生を減少させる、炎症の寛解をもたらす、および/または炎症と関連する症状を緩和することによって、炎症性疾患の治療を成功させる。
治療的治療の「有効量」は、一般に、重症度および/もしくは症状の頻度の低減、症状および/もしくは根本的な原因の排除、症状の発生および/もしくはそれらの根本的な原因の防止、ならびに/または症状もしくはそれらの根本的な原因に起因するかもしくはそれと関連する、損傷の向上もしくは改善に十分な量である。いくつかの実施形態において、有効量は、治療有効量または予防有効量である。「治療有効量」は、疾患状態(例えば、炎症)もしくは症状、特に、疾患状態と関連する状態もしくは症状を改善するか、またはそうでなければ、疾患状態もしくは何らかの方式で疾患と関連する任意の他の望ましくない症状の進行を防止、妨害、遅延、もしくは逆転するのに十分な量である。「予防有効量」は、対象に投与したときに、意図される予防効果、例えば、炎症の発生(もしくは再発)の予防もしくは遅延、または炎症もしくは炎症症状の発生(もしくは再発)の可能性の低減を有するであろう、薬学的組成物の量である。完全な治療または予防効果が、1回の用量の投与によって発生する必要はなく、一連の用量の投与の後にのみ発生してもよい。したがって、治療または予防有効量は、1回以上の投与で投与され得る。
「アミノ酸」には、当該技術分野におけるその通常の意味が含まれる。20個の天然に存在するアミノ酸およびそれらの略語は、従来的な使用法に従う。Immunology−−A Synthesis,2nd Edition,(E.S.Golub and D.R.Green,eds.),Sinauer Associates:Sunderland,Mass.(1991)を参照されたく、これは、あらゆる目的で参照により本明細書に組み込まれる。20個の従来的なアミノ酸の立体異性体(例えば、D−アミノ酸)、非天然のアミノ酸、例えば[α]−、[α]−二置換アミノ酸、N−アルキルアミノ酸、および他の非従来的なアミノ酸もまた、ポリペプチドの好適な構成要素であり得、「アミノ酸」という語句に含まれる。非従来的なアミノ酸の例には、4−ヒドロキシプロリン、[γ]−カルボキシグルタミン酸、[ε]−N,N,N−トリメチルリジン、[ε]−N−アセチルリジン、O−ホスホセリン、N−アセチルセリン、N−ホルミルメチオニン、3−メチルヒスチジン、5−ヒドロキシリジン、[σ]−N−メチルアルギニン、ならびに他の類似のアミノ酸およびイミノ酸(例えば、4−ヒドロキシプロリン)が挙げられる。本明細書に使用されるポリペプチドの表記法において、標準的な使用法および慣例に従って、左手方向は、アミノ末端方向であり、右手方向は、カルボキシル末端方向である。
「IL−21受容体媒介性疾患」という用語には、炎症性疾患、感染性疾患、および自己免疫疾患が含まれるが、これらに限定されない。本明細書に使用される「自己免疫疾患」は、患者の免疫応答が、患者自身の構成物質に向けられる、疾患状態および状態を指す。例えば、IL−21受容体媒介性疾患には、後天性免疫不全症候群(AIDS)、若年性リウマチ性関節炎を含むリウマチ性関節炎、潰瘍性大腸炎およびクローン病を含む炎症性腸疾患、多発性硬化症、アジソン病、糖尿病(I型)、糖尿病(2型)、インスリン耐性、代謝症候群、心疾患、冠動脈疾患、精巣上体炎、糸球体腎炎、グレーブス病、ギランバレー症候群、橋本病、溶血性貧血、全身性エリテマトーデス(SLE)、ループス腎炎、重症筋無力症、天疱瘡、乾癬、乾癬性関節炎、アテローム性動脈硬化症、エリスロポエチン耐性、移植片対宿主病、移植片拒絶、自己免疫性肝炎誘発性肝傷害、胆汁性肝硬変、アルコール性肝硬変を含むアルコール誘発性肝傷害、リウマチ熱、サルコイドーシス、強皮症、シェーグレン症候群、強直性脊椎炎を含む脊椎関節症、甲状腺炎、脈管炎、アテローム性動脈硬化症、冠動脈疾患、ならびに心疾患が挙げられるが、これらに限定されない。「IL−21受容体媒介性疾患」という用語はまた、IL−21もしくはIL−21受容体レベルの増加、またはIL−21に対する感受性の増加と関連する任意の医学的状態を包含する。
抗原結合タンパク質
一態様において、本発明は、IL−21受容体、例えば、ヒトIL−21受容体に結合する、抗原結合タンパク質(例えば、抗体、抗体フラグメント、抗体誘導体、抗体突然変異タンパク質、および抗体変異体)を提供する。
本発明による抗原結合タンパク質には、IL−21受容体の生物学的活性を阻害する抗原結合タンパク質が含まれる。そのような生物学的活性の例には、シグナル伝達分子(例えば、IL−21)に結合すること、およびシグナル伝達分子との結合に応答してシグナルを伝達することが含まれる。
異なる抗原結合タンパク質は、IL−21受容体の異なるドメインもしくはエピトープに結合し得るか、または異なる作用機序によって作用し得る。例としては、IL−21とIL−21受容体との結合を妨害するか、シグナル伝達を阻害する抗原結合タンパク質が挙げられるが、これらに限定されない。作用部位は、例えば、細胞内(例えば、細胞内シグナル伝達カスケードを妨害することによる)または細胞外であり得る。抗原結合タンパク質は、本発明において使用されるためにIL−21誘導型活性を完全に阻害する必要はなく、むしろ、IL−21の特定の活性を低減させる抗原結合タンパク質も同様に使用が企図される。(具体的な疾患を治療することにおけるIL−21受容体結合抗原結合タンパク質の具体的な作用機序の本明細書における考察は、例示に過ぎず、本明細書に提示される方法は、それによって拘束されるものではない)。
別の態様において、本発明は、本明細書に提供される配列から選択される軽鎖可変領域および/もしくは重鎖可変領域を含むか、または本明細書に提供される配列から選択される1つ以上のCDR配列を含む、IL−21受容体抗原結合タンパク質を提供する。本発明の抗原結合タンパク質の例としては、図2〜13または実施例に開示される、抗体10C2、8B9、8B9.13、29G8、31C5、29G2、31E7、34H7、30G3、および37G3の配列のすべてまたは一部を含む、抗原結合タンパク質、抗体、ならびに抗体誘導体およびフラグメントが挙げられる。本発明の種々の実施形態に見出されるこれらの抗体の特定のフラグメントには、シグナル配列、可変ドメイン、CDR、フレームワーク領域、および定常領域が挙げられる。1つのそのような実施形態において、抗原結合タンパク質は、抗体10C2、8B9、8B9.13、29G8、31C5、29G2、31E7、34H7、30G3、または37G3の重鎖可変ドメインを含む。別のそのような実施形態において、抗原結合タンパク質は、抗体10C2、8B9、8B9.13、29G8、31C5、29G2、31E7、34H7、30G3、または37G3の軽鎖可変ドメインを含む。別のそのような実施形態において、抗原結合タンパク質は、抗体10C2、8B9、8B9.13、29G8、31C5、29G2、31E7、34H7、30G3、または37G3の軽鎖可変ドメインおよび重鎖可変ドメインを含む。別のそのような実施形態において、抗原結合タンパク質は、抗体10C2、8B9、8B9.13、29G8、31C5、29G2、31E7、34H7、30G3、または37G3の重鎖CDR配列を含む。別のそのような実施形態において、抗原結合タンパク質は、抗体10C2、8B9、8B9.13、29G8、31C5、29G2、31E7、34H7、30G3、または37G3の軽鎖CDR配列を含む。別のそのような実施形態において、抗原結合タンパク質は、抗体10C2、8B9、8B9.13、29G8、31C5、29G2、31E7、34H7、30G3、または37G3の重鎖CDR配列および軽鎖CDR配列を含む。いくつかのそのような実施形態において、抗原結合タンパク質は、抗体または抗体の抗原結合フラグメントである。
一実施形態において、本発明は、図12の31C5群、29G2群、31E7群、34H7群、30G3群、または37G3群から選択される重鎖可変ドメインを含む、IL−21受容体抗原結合タンパク質を提供する。別の実施形態において、本発明は、図13の10C2群、8B9群、29G8群、31C5群、29G2群、31E7群、34H7群、30G3群、または37G3群から選択される軽鎖可変ドメインを含む、IL−21受容体抗原結合タンパク質を提供する。別の実施形態において、本発明は、図12の31C5群、29G2群、31E7群、34H7群、30G3群、または37G3群から選択される重鎖可変ドメイン、および図13の対応する群から選択される軽鎖可変ドメインを含む、IL−21受容体抗原結合タンパク質を提供する。別の実施形態において、本発明は、図13の10C2群、8B9群、29G8群、31C5群、29G2群、31E7群、34H7群、30G3群、または37G3群から選択される軽鎖可変ドメイン、および図12の対応する群から選択される重鎖可変ドメインを含む、IL−21受容体抗原結合タンパク質を提供する。別の実施形態において、本発明は、図12の31C5群、29G2群、31E7群、34H7群、30G3群、または37G3群内の1つ以上の抗体から選択される重鎖CDR1、2、および3配列、ならびに図13の対応する群内の1つ以上の抗体から選択される軽鎖CDR1、2、および3配列を含む、IL−21受容体抗原結合タンパク質を提供する。
別の実施形態において、本発明は、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1つの残基のみが、図4、9、11、もしくは13、または実施例に開示される軽鎖可変ドメインの配列とは異なる、アミノ酸の配列を含む、軽鎖可変ドメインを含む、IL−21受容体抗原結合タンパク質を提供し、ここで、それぞれのそのような配列の相違は、独立して、1つのアミノ酸残基の欠失、挿入、または置換である。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインは、図4、9、11、もしくは13、または実施例に開示される軽鎖可変ドメイン配列から選択される軽鎖可変ドメインの配列に少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%同一である、アミノ酸の配列を含む。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインは、図5Aまたは5Bに開示されるヌクレオチド配列に少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%同であるヌクレオチド配列によってコードされる、アミノ酸の配列を含む。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインは、ややストリンジェントな条件下で図5Aまたは5Bに開示されるポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインは、ややストリンジェントな条件下で図5Aまたは5Bに開示されるポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態において、軽鎖可変ドメインは、ややストリンジェントな条件下で図5Aまたは5Bに開示される軽鎖ポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。
別の実施形態において、本発明は、15、14、13、12、11、10、9、8、7、6、5、4、3、2、または1つの残基(複数可)のみが、図2、8、10、もしくは12、または実施例に開示される、選択される重鎖可変ドメインの配列とは異なる、アミノ酸の配列を含む、重鎖可変ドメインを含む、IL−21受容体抗原結合タンパク質を提供し、ここで、それぞれのそのような配列の相違は、独立して、1つのアミノ酸残基の欠失、挿入、または置換である。別の実施形態において、重鎖可変ドメインは、図2、8、10、もしくは12、または実施例に開示される重鎖可変ドメイン配列の配列に少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、または99%同一である、アミノ酸の配列を含む。別の実施形態において、重鎖可変ドメインは、図3Aまたは3Bに開示されるヌクレオチド配列に少なくとも70%、75%、80%、85%、90%、95%、97%、もしくは99%同一であるヌクレオチド配列によってコードされるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態において、重鎖可変ドメインは、ややストリンジェントな条件下で図3Aまたは3Bに開示されるポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態において、重鎖可変ドメインは、ややストリンジェントな条件下で図3Aまたは3Bに開示されるポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。別の実施形態において、重鎖可変ドメインは、ややストリンジェントな条件下で図3Aまたは3Bに開示される重鎖ポリヌクレオチドの相補体にハイブリダイズするポリヌクレオチドによってコードされるアミノ酸の配列を含む。
本発明の抗原結合タンパク質の具体的な実施形態は、図2、4、6、8、9、10、11、12、もしくは13、または実施例に開示されるCDRおよび/またはFRのうちの1つ以上のアミノ酸配列と同一である、1つ以上のアミノ酸配列を含む。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、図4、6、もしくは13、または実施例に開示される軽鎖CDR1配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、図4、6、もしくは13、または実施例に開示される軽鎖CDR2配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、図4、6、もしくは13、または実施例に開示される軽鎖CDR3配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、図2、6、もしくは12、または実施例に開示される重鎖CDR1配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、図2、6、もしくは12、または実施例に開示される重鎖CDR2配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、図2、6、もしくは12、または実施例に開示される重鎖CDR3配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に開示される軽鎖FR1配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に開示される軽鎖FR2配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に開示される軽鎖FR3配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に開示される軽鎖FR4配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に開示される重鎖FR1配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に開示される重鎖FR2配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に開示される重鎖FR3配列を含む。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に開示される重鎖FR4配列を含む。
一実施形態において、本発明は、それぞれが、5、4、3、2、または1つのアミノ酸残基が図2、6、12、もしくは13、または実施例に開示されるCDR配列とは異なる、1つ以上のCDR配列を含む、抗原結合タンパク質を提供する。
別の実施形態において、本発明は、細胞外ドメインヒトIL−21受容体との結合に関して、抗体10C2、8B9、8B9.13、29G8、31C5、29G2、31E7、34H7、30G3、および/または37G3と交差競合する抗体を提供し、ここで、2つの抗体は、各抗体が、実施例4に記載のアッセイにおいて少なくとも80%、他方の結合を低減させる場合、「交差競合する」。
本明細書に開示されるヌクレオチド配列またはアミノ酸配列を、例えば、無作為な突然変異生成によって、または部位特異的突然変異生成(例えば、オリゴヌクレオチド特異的部位特異的突然変異生成)によって改変させて、非突然変異ポリヌクレオチドと比較して、1つ以上の特定のヌクレオチドの置換、欠失、または挿入を含む改変されたポリヌクレオチドを作出することができる。そのような改変を行うための技法の例は、Walder et al.,1986,Gene 42:133、Bauer et al.1985,Gene 37:73、Craik,BioTechniques,January 1985,12−19、Smith et al.,1981,Genetic Engineering:Principles and Methods,Plenum Press、ならびに米国特許第4,518,584号および同第4,737,462号に記載されている。これらのおよび他の方法を使用して、例えば、所望の特性、例えば、非誘導体化抗体と比較して、親和性、結合活性、もしくはIL−21受容体の特異性の増加、インビボもしくはインビトロでの活性もしくは安定性の増加、またはインビボ副作用の低減を有する、抗IL−21受容体抗体の誘導体を作製することができる。
本発明の範囲内の抗IL−21受容体抗体の他の誘導体には、抗IL−21受容体抗体ポリペプチドのN末端またはC末端に融合された異種ポリペプチドを含む組み換え融合タンパク質の発現等による、抗IL−21受容体抗体またはそのフラグメントと、他のタンパク質またはポリペプチドとの共有結合性または凝集性複合体が挙げられる。例えば、複合体ペプチドは、異種シグナル(またはリーダー)ポリペプチド、例えば、酵母α因子リーダー、またはエピトープタグ等のペプチドであり得る。抗原結合タンパク質含有融合タンパク質は、抗原結合タンパク質の精製または特定を促進するために付加されるペプチドを含み得る(例えば、ポリ−His)。抗原結合タンパク質はまた、Hopp et al.,Bio/Technology 6:1204,1988および米国特許第5,011,912号に記載されるように、FLAGペプチドAsp−Tyr−Lys−Asp−Asp−Asp−Asp−Lys(DYKDDDDK)(配列番号1)に連結され得る。FLAGペプチドは、高度に抗原性であり、特異的モノクローナル抗体(mAb)によって可逆的に結合されるエピトープを提供し、発現される組み換えタンパク質の迅速なアッセイおよび容易な精製を可能にする。FLAGペプチドが所与のポリペプチドに融合された、融合タンパク質を調製するために有用な試薬は、市販入手可能である(Sigma,St.Louis,MO)。
1つ以上の抗原結合タンパク質を含有するオリゴマーを、IL−21受容体アンタゴニストとして用いてもよい。オリゴマーは、共有結合または非共有結合された二量体、三量体、またはより高いオリゴマーの形態であり得る。2つ以上の抗原結合タンパク質を含むオリゴマーの使用が企図され、その一例はホモ二量体である。他のオリゴマーには、ヘテロ二量体、ホモ三量体、ヘテロ三量体、ホモ四量体、ヘテロ四量体等が挙げられる。
一実施形態は、抗原結合タンパク質に融合されたペプチド部分の間の共有結合性または非共有結合性の相互作用を介して接合される、複数の抗原結合タンパク質を含むオリゴマーを対象とする。そのようなペプチドは、ペプチドリンカー(スペーサー)、またはオリゴマー形成を促進する特性を有するペプチドであり得る。ロイシンジッパーおよび抗体由来のある特定のポリペプチドは、以下により詳細に記載されるように、そこに付着する抗原結合タンパク質のオリゴマー形成を促進し得るペプチドである。
特定の実施形態において、オリゴマーは、2〜4つの抗原結合タンパク質を含む。オリゴマーの抗原結合タンパク質は、上述の形態のうちのいずれか、例えば、変異体またはフラグメントといった、任意の形態であり得る。好ましくは、オリゴマーは、IL−21受容体結合活性を有する抗原結合タンパク質を含む。
一実施形態において、オリゴマーは、免疫グロブリンに由来するポリペプチドを使用して調製される。抗体由来のポリペプチドの種々の部分(Fcドメインを含む)に融合されたある特定の異種ポリペプチドを含む融合タンパク質の調製は、例えば、Ashkenazi et al.,1991,PNAS USA 88:10535、Byrn et al.,1990,Nature 344:677、およびHollenbaugh et al.,1992“Construction of Immunoglobulin Fusion Proteins”,in Current Protocols in Immunology,Suppl.4,pages 10.19.1−10.19.11によって記載されている。
本発明の一実施形態は、抗IL−21受容体抗体のIL−21受容体結合フラグメントを抗体のFc領域に融合することによって作製される2つの融合タンパク質を含む二量体を対象とする。二量体は、例えば、融合タンパク質をコードする遺伝子融合体を、適切な発現ベクターに挿入し、組み換え発現ベクターを用いて形質転換した宿主細胞においてその遺伝子融合体を発現させ、発現した融合タンパク質が抗体分子と酷似して組み立てられることを可能にすることによって作製することができ、その結果、鎖間ジスルフィド結合がFc部分の間に形成されて二量体を産出する。
本明細書に使用される「Fcポリペプチド」という用語には、抗体のFc領域に由来するポリペプチドの天然および突然変異タンパク質形態が含まれる。二量体形成を促進するヒンジ領域を含有するそのようなポリペプチドの切断形態もまた、含まれる。Fc部分(およびそこから形成されるオリゴマー)を含む融合タンパク質は、プロテインAまたはプロテインGカラム上での親和性クロマトグラフィーによる容易な精製という利点を提供する。
PCT出願第WO 93/10151号(参照により本明細書に組み込まれる)に記載される1つの好適なFcポリペプチドは、ヒトIgG1抗体のN末端ヒジン領域からFc領域の天然のC末端まで伸びる、一本鎖ポリペプチドである。別の有用なFcポリペプチドは、米国特許第5,457,035号およびBaum et al.,1994,EMBO J.13:3992−4001に記載されるFc突然変異タンパク質である。この突然変異タンパク質のアミノ酸配列は、アミノ酸19がLeuからAlaに変化しており、アミノ酸20がLeuからGluに変化しており、アミノ酸22がGlyからAlaに変化していることを除き、第WO 93/10151号に提示される天然のFc配列のものと同一である。突然変異タンパク質は、Fc受容体に対する親和性の低減を示す。
他の実施形態において、抗IL−21受容体抗体の重鎖および/または軽鎖の可変部分は、抗体の重鎖および/または軽鎖の可変部分と置換され得る。
あるいは、オリゴマーは、ペプチドリンカー(スペーサーペプチド)ありまたはなしで、複数の光源結合タンパク質を含む融合タンパク質である。好適なペプチドリンカーの中には、米国特許第4,751,180号および同第4,935,233号に記載されるものがある。
オリゴマー抗体結合タンパク質を調製する別の方法は、ロイシンジッパーの使用を伴う。ロイシンジッパードメインは、それらが見出されるタンパク質のオリゴマー形成を促進するペプチドである。ロイシンジッパーは、もともと、複数のDNA結合タンパク質において特定され(Landschulz et al.,1988,Science 240:1759)、それ以来、種々の異なるタンパク質において見出されている。既知のロイシンジッパーの中には、二量体形成または三量体形成する天然に存在するペプチドおよびその誘導体がある。可溶性オリゴマータンパク質を産生するのに好適なロイシンジッパードメインは、PCT出願第WO 94/10308号に記載され、肺表面活性タンパク質D(SPD)に由来するロイシンジッパーはHoppe et al.,1994,FEBS Letters 344:191に記載され、参照により本明細書に組み込まれる。それに融合される異種タンパク質の安定な三量体形成を可能にする修飾ロイシンジッパーの使用は、Fanslow et al.,1994,Semin.Immunol.6:267−78に記載される。1つのアプローチでは、ロイシンジッパーペプチドに融合された抗IL−21受容体抗体フラグメントまたは誘導体を含む組み換え融合タンパク質を、好適な宿主細胞に発現させ、形成される可溶性オリゴマー抗IL−21受容体抗体フラグメントまたは誘導体を、培養上清から回収する。
別の態様において、本発明は、ヒトIL−21受容体のリガンド結合ドメインに結合する抗原結合タンパク質を提供する。リガンド結合ドメインに結合する抗原結合タンパク質は、当該技術分野で既知の任意の技法を用いて作製され得る。例えば、そのような抗原結合タンパク質は、全長IL−21受容体ポリペプチド(例えば、膜結合型調製において)、IL−21受容体の可溶性細胞外ドメインフラグメント、またはリガンド結合ドメインを含むかもしくはそれからなる、IL−21受容体細胞外ドメインのより小さなフラグメントを使用して、単離することができる。このように単離された抗原結合タンパク質は、当該技術分野で既知の任意の方法を使用して、それらの結合特異性を判定するためにスクリーニングすることができる。好適なアッセイの例は、IL−21とIL−21受容体を発現する細胞との結合を阻害する能力について抗原結合タンパク質を試験するアッセイ、またはIL−21と細胞表面IL−21受容体受容体との結合からもたらされる生体応答もしくは細胞応答を低減させる能力について抗原結合タンパク質を試験するアッセイである。
別の態様において、本発明は、本明細書に開示される参照抗体、例えば、図2〜13または実施例に開示される、10C2、8B9、8B9.13、29G8、31C5、29G2、31E7、34H7、30G3、または37G3と、同じエピトープに結合する抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒトIL−21受容体への結合に関して、参照抗体と競合する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質および参照抗体は、ヒトIL−21受容体への結合に関して交差競合する。別の実施形態において、参照抗体のエピトープおよび抗原結合タンパク質のエピトープは、ヒトIL−21受容体、例えば、ヒトIL−21受容体の可溶性フラグメントに結合する抗体または抗原結合タンパク質のX線結晶構造を解析することによって判定される。1つのそのような実施形態において、エピトープは、参照抗体または抗原結合タンパク質がそれに結合したときに、それがいずれにも結合しない場合と比較して、溶媒露出度に少なくとも10%の低減を示す、ヒトIL−21受容体の表面上の残基として定義される。一実施形態において、エピトープは、ヒトIL−21受容体のIL−21結合ドメインと実質的に重複する。
別の態様において、本発明は、種の選択性を示す抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、1つ以上の哺乳類IL−21受容体、例えば、ヒトIL−21受容体、ならびにマウス、ラット、モルモット、ハムスター、アレチネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウシ、ウマ、ラクダ、および非ヒト霊長類IL−21受容体のうちの1つ以上に結合する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、1つ以上の霊長類IL−21受容体、例えば、ヒトIL−21受容体、ならびにカニクイザル、マーモセット、アカゲザル、およびチンパンジーIL−21受容体のうちの1つ以上に結合する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒト、カニクイザル、マーモセット、アカゲザル、またはチンパンジーIL−21受容体に特異的に結合する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、マウス、ラット、モルモット、ハムスター、アレチネズミ、ネコ、ウサギ、イヌ、ヤギ、ヒツジ、ウマ、ウシ、ラクダ、および非ヒト霊長類IL−21受容体のうちの1つ以上に結合しない。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、マーモセット等の新世界サル種には結合しない。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、IL−21受容体以外のいずれの天然に存在するタンパク質にも特異的結合を呈さない。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、哺乳類IL−21受容体以外のいずれの天然に存在するタンパク質にも特異的結合を呈さない。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、霊長類IL−21受容体以外のいずれの天然に存在するタンパク質にも特異的結合を呈さない。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒトIL−21受容体以外のいずれの天然に存在するタンパク質にも特異的結合を呈さない。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、マウス、ラット、カニクイザル、およびヒトIL−21受容体に特異的に結合する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、同様の結合親和性で、マウス、ラット、カニクイザル、およびヒトIL−21受容体に特異的に結合する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、ヒトIL−21と、マウス、ラット、カニクイザル、およびヒトIL−21受容体との結合を遮断する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、同様のKiで、ヒトIL−21と、マウス、ラット、カニクイザル、およびヒトIL−21受容体都の結合を遮断する。
当該技術分野で周知の方法を使用して、また本明細書の教示に従って、IL−21受容体に対する抗原結合タンパク質の選択性を判定することができる。例えば、ウエスタンブロット、FACS、ELISA、またはRIAを使用して、選択性を判定することができる。
本発明の抗原結合タンパク質の抗原結合フラグメントは、従来的な技法によって産生することができる。そのようなフラグメントの例には、FabおよびF(ab′)2フラグメントが挙げられるが、これらに限定されない。遺伝子操作技法によって産生される抗体フラグメントおよび誘導体もまた企図される。
さらなる実施形態には、キメラ抗体、例えば、非ヒト(例えばマウス)モノクローナル抗体のヒト化バージョンが挙げられる。そのようなヒト化抗体は、既知の技法によって調製することができ、抗体をヒトに投与する際、免疫原性の低減という利点を提供する。一実施形態において、ヒト化モノクローナル抗体は、マウス抗体の可変ドメイン(またはその抗原結合部位のすべてもしくは一部)とヒト抗体に由来する定常ドメインとを含む。あるいは、ヒト化抗体フラグメントは、マウスモノクローナル抗体の抗原結合部位と、ヒト抗体に由来する可変ドメインフラグメント(抗原結合部位を欠く)とを含んでもよい。キメラおよびさらなる操作モノクローナル抗体の産生の手順には、Riechmann et al.,1988,Nature 332:323,Liu et al.,1987,Proc.Nat.Acad.Sci.USA 84:3439、Larrick et al.,1989,Bio/Technology 7:934、およびWinter et al.,1993,TIPS 14:139に記載されるものが含まれる。一実施形態において、キメラ抗体は、CDR移植抗体である。抗体をヒト化するための技法は、米国特許出願第10/194,975号(2003年2月27日公開)、米国特許第5,869,619号、同第5,225,539号、同第5,821,337号、同第5,859,205号、Padlan et al.,1995,FASEB J.9:133−39、およびTamura et al.,2000,J.Immunol.164:1432−41に考察される。
非ヒト動物においてヒトまたは部分的ヒト抗体を生成するための手順が開発されている。例えば、1つ以上の内因性免疫グロブリン遺伝子が種々の手段によって不活性化されたマウスが調製されている。ヒト免疫グロブリン遺伝子が、マウスに導入されて、不活性化されたマウス遺伝子と置き換えられている。動物において産生される抗体は、動物に導入されたヒト遺伝子材料によってコードされる、ヒト免疫グロブリンポリペプチド鎖を組み込む。一実施形態において、トランスジェニックマウス等の非ヒト動物に、IL−21受容体ポリペプチドで免疫付与を行い、その結果、IL−21受容体ポリペプチドを対象とする抗体が、その動物において生成されるようになる。好適な免疫原の一例は、可溶性ヒトIL−21受容体、例えば、その細胞外ドメインまたは他の免疫原性フラグメントを含むポリペプチドである。ヒトまたは部分的ヒト抗体の産生のための技法およびその産生のためのトランスジェニック動物の使用の例は、米国特許第5,814,318号、同第5,569,825号、および同第5,545,806号、Davis et al.,2003,Production of human antibodies from transgenic mice in Lo,ed.Antibody Engineering:Methods and Protocols,Humana Press,NJ:191−200、Kellermann et al.,2002,Curr Opin Biotechnol.13:593−97、Russel et al.,2000,Infect Immun.68:1820−26、Gallo et al.,2000,Eur J Immun.30:534−40、Davis et al.,1999,Cancer Metastasis Rev.18:421−25、Green,1999,J Immunol Methods.231:11−23、Jakobovits,1998,Advanced Drug Delivery Reviews 31:33−42、Green et al.,1998,J Exp Med.188:483−95、Jakobovits A,1998,Exp.Opin.Invest.Drugs.7:607−14、Tsuda et al.,1997,Genomics.42:413−21、Mendez et al.,1997,Nat Genet.15:146−56、Jakobovits,1994,Curr Biol.4:761−63、Arbones et al.,1994,Immunity.1:247−60、Green et al.,1994,Nat Genet.7:13−21、Jakobovits et al.,1993,Nature.362:255−58、Jakobovits et al.,1993,Proc Natl Acad Sci U S A.90:2551−55.Chen,J.,M.Trounstine,F.W.Alt,F.Young,C.Kurahara,J.Loring,D.Huszar.“Immunoglobulin gene rearrangement in B cell deficient mice generated by targeted deletion of the JH locus.”lnternational Immunology 5(1993):647−656、Choi et al.,1993,Nature Genetics 4:117−23、Fishwild et al.,1996,Nature Biotechnology 14:845−51、Harding et al.,1995,Annals of the New York Academy of Sciences、Lonberg et al.,1994,Nature 368:856−59、Lonberg,1994,Transgenic Approaches to Human Monoclonal Antibodies in Handbook of Experimental Pharmacology 113:49−101、Lonberg et al.,1995,Internal Review of Immunology 13:65−93、Neuberger,1996,Nature Biotechnology 14:826、Taylor et al.,1992,Nucleic Acids Research 20:6287−95、Taylor et al.,1994,International Immunology 6:579−91、Tomizuka et al.,1997,Nature Genetics 16:133−43、Tomizuka et al.,2000,Proceedings of the National Academy of Sciences USA 97:722−27、Tuaillon et al.,1993,Proceedings of the National Academy of Sciences USA 90:3720−24、およびTuaillon et al.,1994,Journal of Immunology 152:2912−20に記載されている。
別の態様において、本発明は、IL−21受容体に結合するモノクローナル抗体を提供する。モノクローナル抗体は、当該技術分野で既知の任意の技法を使用して、例えば、免疫付与スケジュールの完了後にトランスジェニック動物から採取した脾臓細胞を不死化することによって、産生され得る。脾臓細胞は、当該技術分野で既知の任意の技法を使用して、例えば、それらを骨髄腫細胞と融合させてハイブリドーマを産生することによって、不死化することができる。ハイブリドーマ産生融合手順において使用するための骨髄腫細胞は、好ましくは、非抗体産生であり、高い融合効率を有し、所望の融合細胞(ハイブリドーマ)のみの成長を支持するある特定の選択的培地中でそれらが成長できないようにする酵素欠損性である。マウス融合において使用するための好適な細胞株の例には、Sp−20、P3−X63/Ag8、P3−X63−Ag8.653、NS1/1.Ag 4 1、Sp210−Ag14、FO、NSO/U、MPC−11、MPC11−X45−GTG 1.7、およびS194/5XX0 Bulが挙げられ、ラット融合において使用される細胞株の例としては、R210.RCY3、Y3−Ag 1.2.3、IR983F、および4B210が挙げられる。細胞融合に有用な他の細胞は、U−266、GM1500−GRG2、LICR−LON−HMy2、およびUC729−6である。
一実施形態において、ハイブリドーマ細胞株は、動物(例えば、ヒト免疫グロブリン配列を有するトランスジェニック動物)に、IL−21受容体免疫原で免疫付与を行い、免疫付与した動物から脾臓細胞を採取し、採取した脾臓細胞を骨髄腫細胞株と融合させ、それによってハイブリドーマ細胞を生成し、ハイブリドーマ細胞からハイブリドーマ細胞株を確立させ、IL−21受容体ポリペプチドに結合する抗体を産生するハイブリドーマ細胞株を特定することによって、産生される。そのようなハイブリドーマ細胞株、およびそれらによって産生される抗IL−21受容体モノクローナル抗体は、本発明に包含される。
ハイブリドーマ細胞株によって分泌されるモノクローナル抗体は、当該技術分野で既知の任意の技法を使用して精製することができる。ハイブリドーマまたはmAbは、IL−21に誘導される活性を遮断する能力等、特定の特性を有するmAbを特定するために、さらにスクリーニングされ得る。そのようなスクリーニングの例は、以下の実施例に提供される。
抗体結合部位の中心にある相補性決定領域(CDR)の分子進化もまた、Schier et al.,1996,J.Mol.Biol.263:551に記載されるように、増加した親和性を有する抗体、例えば、c−erbB−2に対する増加した親和性を有する抗体を単離するために使用されている。したがって、そのような技法は、IL−21受容体に対する抗体の調製に有用である。
IL−21受容体を対象とする抗原結合タンパク質は、例えば、インビトロまたはインビボのいずれかで、IL−21受容体ポリペプチドの存在を検出するアッセイにおいて、使用することができる。抗原結合タンパク質はまた、免疫親和性クロマトグラフィーによってIL−21受容体タンパク質を精製するのに用いることができる。IL−21とIL−21受容体との結合をさらに遮断し得る抗原結合タンパク質を使用して、そのような結合によりもたらされる生物学的活性を阻害することができる。遮断抗原結合タンパク質を、本発明の方法で使用することができる。IL−21アンタゴニストとして機能するそのような抗原結合タンパク質は、ループス、SLE、および関節炎を含むがこれらに限定されない、任意のIL−21誘導性疾患の治療に用いることができる。一実施形態において、トランスジェニックマウスの免疫付与を伴う手順によって生成されるヒト抗IL−21受容体モノクローナル抗体は、そのよう疾患の治療に用いられる。
抗原結合タンパク質は、IL−21誘導性生物学的活性を阻害するために、インビトロ手順で用いられるか、またはインビボで投与され得る。したがって、IL−21と細胞表面のIL−21受容体との相互作用によって(直接的または間接的に)引き起こされるかまたは悪化される障害(これらの例は上に提供される)が、治療され得る。一実施形態において、本発明は、IL−21遮断抗原結合タンパク質を、治療を必要とする哺乳動物に、IL−21誘導性生物学的活性を低減させるのに有効な量でインビボ投与することを含む、治療方法を提供する。
本発明の抗原結合タンパク質には、IL−21の生物学的活性を阻害する部分的ヒトまたは完全ヒトモノクローナル抗体が含まれる。一実施形態は、IL−21と、ヒトIL−21受容体を発現する細胞との結合を少なくとも部分的に遮断する、ヒトモノクローナル抗体を対象とする。一実施形態において、抗体は、トランスジェニックマウスに、IL−21受容体免疫原で免疫付与を行うことによって生成される。別の実施形態において、免疫原は、ヒトIL−21受容体ポリペプチド(例えば、IL−21受容体細胞外ドメインのすべてまたは一部を含む可溶性フラグメント)である。ハイブリドーマがIL−21受容体に結合するモノクローナル抗体を分泌する、そのような免疫付与マウスに由来するハイブリドーマ細胞もまた、本明細書に提供される。
ヒト、部分的ヒト、またはヒト化抗体が、多くの用途、特にヒト対象への抗体の投与を伴うものに好適であろうが、他の種類の抗原結合タンパク質が、ある特定の用途には好適であろう。本発明の非ヒト抗体は、例えば、マウス、ラット、ウサギ、ヤギ、ロバ、または非ヒト霊長類(サル(例えば、カニクイザルもしくはアカゲザル)または類人猿(例えば、チンパンジー)等)といった、任意の抗体産生動物に由来し得る。本発明の非ヒト抗体は、例えば、インビトロおよび細胞培養に基づく用途、または本発明の抗体に対する免疫応答が生じないか、有意でないか、防止され得るか、問題ではないか、もしくは所望される任意の他の用途に、使用され得る。一実施形態において、本発明の非ヒト抗体は、非ヒト対象に投与される。別の実施形態において、非ヒト抗体は、非ヒト対象における免疫応答を誘起しない。別の実施形態において、非ヒト抗体は、非ヒト対象と同じ種に由来し、例えば、本発明のマウス抗体は、マウスに投与される。特定の種に由来する抗体は、例えば、その種の動物に、所望される免疫原(例えば、可溶性IL−21受容体ポリペプチド)もしくはその種の抗体を生成するための人工的な系(例えば、特定の種の抗体を生成するための細菌もしくはファージディスプレイに基づく系)で免疫付与を行うことによって、または、例えば、抗体の定常領域を他の種の定常領域と置き換えるか、もしくはそれが他の種に由来する抗体の配列により酷似するように抗体の1つ以上のアミノ酸残基を置き換えることにより、1つの種に由来する抗体を別の種に由来する抗体に変換することによって、作製され得る。一実施形態において、抗体は、2つ以上の異なる種由来の抗体に由来するアミノ酸配列を含む、キメラ抗体である。
抗原結合タンパク質は、多数の従来的な技法のうちのいずれかによって調製され得る。例えば、それらは、天然にそれらを発現する細胞から精製され得る(例えば、抗体は、それを産生するハイブリドーマから精製され得る)か、または当該技術分野で既知の任意の技法を使用して、組み換え発現系において産生され得る。例えば、Monoclonal Antibodies,Hybridomas:A New Dimension in Biological Analyses,Kennet et al.(eds.),Plenum Press,New York(1980)、およびAntibodies:A Laboratory Manual,Harlow and Land(eds.),Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,NY,(1988)を参照されたい。
当該技術分野で既知の任意の発現系を使用して、本発明の組み換えポリペプチドを作製することができる。一般には、宿主細胞を、所望のポリペプチドをコードするDNAを含む組み換え発現ベクターを用いて形質転換する。用いられ得る宿主細胞の中には、原核生物、酵母、またはより高度な真核生物の細胞がある。原核生物には、グラム陰性またはグラム陽性生物、例えば、大腸菌またはバチルス属が含まれる。より高度な真核生物細胞には、昆虫細胞および哺乳動物起源の樹立細胞株が含まれる。好適な哺乳動物宿主細胞株の例には、サル腎臓細胞のCOS−7株(ATCC CRL 1651)(Gluzman et al.,1981,Cell 23:175)、L細胞、293細胞、C127細胞、3T3細胞(ATCC CCL 163)、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、BHK(ATCC CRL 10)細胞株、およびMcMahan et al.,1991,EMBO J.10:2821によって記載されるアフリカミドリザル腎臓細胞株CVIに由来するCVI/EBNA細胞株(ATCC CCL 70)が挙げられる。細菌、真菌、酵母、および哺乳動物細胞の宿主とともに使用するのに適切なクローニングおよび発現ベクターは、Pouwelsら(Cloning Vectors:A Laboratory Manual,Elsevier,New York,1985)によって記載されている。
形質転換細胞は、ポリペプチドの発現を促進する条件下で培養することができ、ポリペプチドは、従来的なタンパク質精製手順によって回収することができる。1つのそのような精製手順は、例えば、IL−21受容体のすべてまたは一部分(例えば、細胞外ドメイン)がそこに結合されたマトリックス上での、親和性クロマトグラフィーの使用を含む。本明細書における使用が企図されるポリペプチドには、混入する内因性材料が実質的に含まれない、実質的に均質性の組み換え哺乳動物抗IL−21受容体抗体ポリペプチドが含まれる。
抗原結合タンパク質は、多数の既知の技法のうちのいずれかによって、調製され、所望の特性についてスクリーニングされ得る。ある特定の技法は、目的の抗原結合タンパク質(例えば、抗IL−21受容体抗体)のポリペプチド鎖(またはその部分)をコードする核酸を単離し、組み換えDNA技術によってこの核酸を操作することを伴う。核酸を、目的とされる別の核酸に融合させるか、または、(例えば、突然変異精製または他の従来的な技法によって)例えば1つ以上のアミノ酸残基を付加、欠失、または置換するように改変させてもよい。
一態様において、本発明は、本発明の抗IL−21受容体抗体の抗原結合フラグメントを提供する。そのようなフラグメントは、完全に抗体由来の配列からなり得るか、または追加の配列を含んでもよい。抗原結合フラグメントの例には、Fab、F(ab′)2、一本鎖抗体、ダイアボディ、トリアボディ、テトラボディ、およびドメイン抗体が挙げられる。他の例は、Lunde et al.,2002,Biochem.Soc.Trans.30:500−06に提供される。
一本鎖抗体は、重鎖および軽鎖可変ドメイン(Fv領域)フラグメントを、アミノ酸架橋(短いペプチドリンカー)を介して連結させて、結果として一本のポリペプチド鎖を得ることによって、形成され得る。そのような一本鎖Fv(scFv)は、2つの可変ドメインポリペプチド(VLおよびVH)をコードするDNAの間に、ペプチドリンカーをコードするDNAを融合させることによって、調製されている。結果として得られるポリペプチドは、2つの可変ドメイン間の可動性リンカーの長さに応じて、それ自体の上に折り重なって抗原結合単量体を形成し得るか、またはそれらが多量体を形成してもよい(Kortt et al.,1997,Prot.Eng.10:423、Kortt et al.,2001,Biomol.Eng.18:95−108)。異なるVLおよびVHを含むポリペプチドを組み合わせることによって、異なるエピトープに結合する多量体scFvを形成することができる(Kriangkum et al.,2001,Biomol.Eng.18:31−40)。一本鎖抗体の産生のために開発された技法には、米国特許第4,946,778号、Bird,1988,Science 242:423、Huston et al.,1988,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 85:5879、Ward et al.,1989,Nature 334:544、de Graaf et al.,2002,Methods Mol Biol.178:379−87に記載されるものが含まれる。本明細書に提供される抗体に由来する一本鎖抗体には、本明細書に開示される、1つ以上の可変ドメイン配列、または1つ以上の可変ドメイン配列由来の1つ以上のCDR配列を含むscFvが含まれるが、これらに限定されない。
いくつかの実施形態において、本発明の抗原結合タンパク質(例えば、抗体、抗体フラグメント、および抗体誘導体)は、軽鎖および/または重鎖抗体定常領域を含む。当該技術分野で既知の任意の抗体定常領域を使用することができる。軽鎖定常領域は、例えば、κ型またはλ型軽鎖定常領域、例えば、ヒトκ型またはλ型軽鎖定常領域であり得る。重鎖定常領域は、例えば、α型、δ型、ε型、γ型、またはμ型重鎖定常領域、例えば、ヒトα型、δ型、ε型、γ型、またはμ型重鎖定常領域であり得る。一実施形態において、軽鎖または重鎖定常領域は、天然に存在する定常領域のフラグメント、誘導体、変異体、または突然変異タンパク質である。
目的とされる抗体から、異なるサブクラスまたはアイソタイプの抗体を導出するための技法、すなわち、サブクラススイッチングが知られている。したがって、IgG抗体は、例えばIgM抗体から導出され得、逆もまた同様である。そのような技法は、所与の抗体(親抗体)の抗原結合特性を有するだけでなく、親抗体のものとは異なる抗体アイソタイプまたはサブクラスと関連する生物学的特性も示す、新しい抗体の調製を可能にする。組み換えDNA技法が用いられ得る。特定の抗体ポリペプチドをコードするクローニングDNA、例えば、所望されるアイソタイプの抗体の定常ドメインをコードするDNAを、そのような手順に用いることができる。Lantto et al.,2002,Methods Mol.Biol.178:303−16もまた参照されたい。
したがって、本発明の抗原結合タンパク質には、例えば、本明細書に開示される可変ドメイン配列のうちの1つ以上を含み、所望されるアイソタイプ(例えば、IgA、IgG1、IgG2、IgG3、IgG4、IgM、IgE、およびIgD)を有するもの、ならびにそれらのFabまたはF(ab′)2フラグメントが含まれる。さらに、IgG4が所望される場合、Bloom et al.,1997,Protein Science 6:407(参照により本明細書に組み込まれる)に記載されるように、点突然変異(CPSCP(配列番号2)からCPPCP(配列番号3)への)をヒンジ領域に導入して、IgG4抗体における異質性をもたらし得るH鎖内ジスルフィド結合を形成する傾向を軽減することもまた、所望される場合がある。
異なる特性(すなわち、それらが結合する抗原に対する多様な親和性)を有する抗原結合タンパク質を導出するための技法もまた、知られている。鎖シャッフリングと称される1つのそのような技法は、しばしばファージディスプレイと称される、糸状バクテリオファージの表面上に免疫グロブリン可変ドメイン遺伝子レパートリーを表示することを伴う。鎖シャッフリングは、Marks et al.,1992,BioTechnology,10:779に記載されるように、ハプテン2−フェニルオキサゾール−5−オンに対する高親和性抗体を調製するために使用されている。
別の実施形態において、本発明は、IL−21受容体からの解離速度が低い抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、1×10−4s−1以下のKoffを有する。別の実施形態において、Koffは、5×10−5s−1以下である。別の実施形態において、Koffは、本明細書に開示される抗体と実質的に同じである。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に開示される抗体と実質的に同じKoffでIL−21受容体に結合する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、本明細書に開示される抗体に由来する1つ以上のCDRを含む抗体と実質的に同じKoffでIL−21受容体に結合する。
別の態様において、本発明は、インビトロまたはインビボ(例えば、ヒト対象に投与する場合)で、少なくとも1日の半減期を有する、抗原結合タンパク質を提供する。一実施形態において、抗原結合タンパク質は、少なくとも3日の半減期を有する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、4日以上の半減期を有する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、8日以上の半減期を有する。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、非誘導体化または非修飾の抗原結合タンパク質と比較して、より長い半減期を有するように、誘導体化または修飾される。別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、2000年2月24日に公開され、参照により本明細書に組み込まれる、第WO 00/09560号に記載のもの等、血清半減期を増加させるように1つ以上の点突然変異を含有する。
本発明はさらに、多特異性抗原結合タンパク質、例えば、二特異性抗原結合タンパク質、例えば、2つの異なる抗原結合部位または領域を介して、IL−21受容体の2つの異なるエピトープ、またはIL−21受容体のエピトープと別の分子のエピトープとに結合する、抗原結合タンパク質を提供する。さらに、本明細書に記載される二特異性抗原結合タンパク質は、他の刊行物への参照により本明細書に記載されるものを含む、本明細書に記載される抗体のうちの1つに由来するIL−21受容体結合部位と、本明細書に記載される抗体のうちの別のものに由来する第2のIL−21受容体結合領域と、を含み得る。あるいは、二特異性抗原結合タンパク質は、本明細書に記載される抗体のうちの1つに由来する抗原結合部位と、当該技術分野で既知である別のIL−21受容体抗体に由来するか、または既知の方法もしくは本明細書に記載される方法によって調製される抗体に由来する、第2の抗原結合部位と、を含み得る。
二特異性抗体を調製する多数の方法が、当該技術分野で既知であり、2001年4月20日に出願された米国特許出願第09/839,632号に考察されている(参照により本明細書に組み込まれる)。そのような方法には、Milstein et al.,1983,Nature 305:537およびその他(米国特許第4,474,893号、米国特許第6,106,833号)によって記載されるハイブリッド−ハイブリドーマ、ならびに抗体フラグメントの化学的カップリング(Brennan et al.,1985,Science 229:81、Glennie et al.,1987,J.Immunol.139:2367、米国特許第6,010,902号)の使用が含まれる。さらに、二特異性抗体は、組み換え手段によって、例えば、ロイシンジッパー部分(すなわち、FosおよびJunタンパク質に由来し、ヘテロ二量体を優先的に形成するもの、Kostelny et al.,1992,J.Immnol.148:1547)または米国特許第5,582,996号に記載される他の鍵と鍵穴の相互作用ドメイン構造を使用することによって、産生され得る。さらなる有用な技法には、Kortt et al.,1997(上記)、米国特許第5,959,083号、および米国特許第5,807,706号に記載されるものが含まれる。
別の態様において、本発明の抗原結合タンパク質は、抗体の誘導体を含む。誘導体化抗体は、特定の用途における半減期の増加等、所望される特性を抗体に付与する、任意の分子または物質を含み得る。誘導体化抗体は、例えば、検出可能(もしくは標識)部分(例えば、放射性、非植生、抗原性、または酵素生分子、検出可能なビーズ(磁気もしくは高電子密度(例えば、金)ビーズ等)、または別の分子(例えば、ビオチンもしくはストレプトアビジン)に結合する分子)、治療的または診断的部分(例えば、放射性、細胞毒性、または薬学的に活性な部分)、あるいは特定の用途(例えば、ヒト対象等の対象への投与、または他のインビボもしくはインビトロ用途)のための抗体の適合性を増加させる分子を含み得る。抗体を誘導化させるために使用され得る分子の例には、アルブミン(例えば、ヒト血清アルブミン)およびポリエチレングリコール(PEG)が挙げられる。抗体のアルブミン連結型およびPEG化誘導体は、当該技術分野で周知の技法を使用して調製することができる。一実施形態において、抗体は、トランスチレチン(TTR)またはTTR変異体に複合体化されるか、または別の方法で連結される。TTRまたはTTR変異体は、例えば、デキストラン、ポリ(n−ビニルピロリドン(vinyl pyurrolidone))、ポリエチレングリコール、プロピレングリコールホモポリマー、ポリプロピレンオキシド/エチレンオキシドコポリマー、ポリオキシエチル化ポリオール、およびポリビニルアルコールからなる群から選択される、化学物質で化学修飾され得る。米国特許出願第20030195154号。
別の態様において、本発明は、本発明の抗原結合タンパク質を使用して、IL−21受容体に結合する分子についてスクリーニングする方法を提供する。任意の好適なスクリーニング技法を使用することができる。一実施形態において、本発明の抗原結合タンパク質が結合するIL−21受容体分子、またはそのフラグメントが、本発明の抗原結合タンパク質および別の分子と接触され、ここで、他の分子は、それが抗原結合タンパク質とIL−21受容体との結合を低減させる場合、IL−21受容体に結合している。抗原結合タンパク質の結合は、任意の好適な方法、例えば、ELISAによって検出され得る。抗原結合タンパク質とIL−21受容体との結合の検出は、上述のように、抗原結合タンパク質を検出可能に標識することによって、単純化され得る。別の実施形態において、IL−21受容体結合分子をさらに分析して、それがIL−21受容体媒介性シグナル伝達を阻害するかどうかを判定する。
核酸
一態様において、本発明は、単離核酸分子を提供する。核酸は、例えば、抗原結合タンパク質のすべてまたは一部、例えば、本発明の抗体、またはそのフラグメント、誘導体、突然変異タンパク質、もしくは変異体の一方または両方の鎖をコードするポリヌクレオチド、ポリペプチドをコードするポリヌクレオチドの特定、分析、突然変異生成、または増幅のためのハイブリダイゼーションプローブ、PCRプライマー、または配列決定プライマーとして使用するのに十分なポリヌクレオチド、ポリヌクレオチドの発現を阻害するためのアンチセンス核酸、ならびに前述のものの相補的配列を含む。核酸は、任意の長さであり得る。それらは、例えば、5、10、15、20、25、30、35、40、45、50、75、100、125、150、175、200、250、300、350、400、450、500、750、1,000、1,500、3,000、5,000、もしくはそれ以上のヌクレオチド長であり得る、ならびに/または1つ以上の追加の配列、例えば、制御性配列を含む、および/またはより大きな核酸、例えば、ベクターの一部であり得る。核酸は、一本鎖または二本鎖であり得、RNAおよび/またはDNAヌクレオチド、ならびにそれらの人工的な変異体(例えば、ペプチド核酸)を含み得る。
抗体ポリペプチド(例えば、重鎖もしくは軽鎖、可変ドメインのみ、または全長)をコードする核酸は、IL−21受容体で免疫付与を行ったマウスのB細胞から単離することができる。核酸は、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)等の従来的な手順によって単離することができる。
本発明の抗体のうちのいくつかをコードする代表的な核酸配列が、本明細書に開示される。抗体10C2、8B9、8B9.13、29G8、31C5、29G2、31E7、34H7、30G3、および37G3の可変ドメインをコードする特定の核酸配列を、図3および5に提供する。当業者であれば、遺伝コードの縮重に起因して、本明細書に開示されるポリペプチド配列のそれぞれが、多数の核酸配列によってコードされることを理解するであろう。本発明は、本発明の各抗原結合タンパク質または他のポリペプチドをコードする各縮重ヌクレオチド配列を提供する。
本発明は、特定のハイブリダイゼーション条件下で、他の核酸(例えば、本明細書に開示されるヌクレオチド配列を含む核酸)にハイブリダイズする核酸をさらに提供する。核酸をハイブリダイズするための方法は、当該技術分野で周知である。例えば、Current Protocols in Molecular Biology,John Wiley&Sons,N.Y.(1989),6.3.1−6.3.6を参照されたい。本明細書に定義される際、ややストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、5倍塩化ナトリウム/クエン酸ナトリウム(SSC)、0.5%SDS、1.0mM EDTA(pH8.0)を含有する事前洗浄溶液、約50%ホルムアルデヒド、6倍SSCのハイブリダイゼーション緩衝液、および55℃のハイブリダイゼーション温度(または42℃のハイブリダイゼーション温度で、約50%ホルムアルデヒドを含有するものといった他の同様のハイブリダイゼーション溶液)、ならびに0.5倍SSC、0.1%SDS中で60℃の洗浄条件を使用する。ストリンジェントなハイブリダイゼーション条件は、45℃で6倍SSCにおいてハイブリダイズした後、68℃で0.1倍SSC、0.2%SDSにおいて1回以上洗浄する。さらに、当業者であれば、ハイブリダイゼーションおよび/または洗浄条件を操作して、互いに少なくとも65、70、75、80、85、90、95、98、または99%同一であるヌクレオチド配列を含む核酸が、典型的に、互いハイブリダイズしたままとなるように、ハイブリダイゼーションのストリンジェンシーを増減させることができる。ハイブリダイゼーション条件の選択に影響を及ぼす基本的なパラメータおよび好適な条件を考案するためのガイダンスは、例えば、Sambrook,Fritsch,and Maniatis(1989,Molecular Cloning:A Laboratory Manual,Cold Spring Harbor Laboratory Press,Cold Spring Harbor,N.Y.,chapters 9 and 11、およびCurrent Protocols in Molecular Biology,1995,Ausubel et al.,eds.,John Wiley&Sons,Inc.,sections 2.10 and 6.3−6.4)によって記載され、それらは、例えば、DNAの長さおよび/または塩基組成に基づいて、当業者によって容易に決定することができる。
突然変異によって変化を核酸に導入し、それによって、それがコードするポリペプチド(例えば、抗原結合タンパク質)のアミノ酸配列に変化をもたらすことができる。突然変異は、当該技術分野で既知の任意の技法を使用して導入することができる。一実施形態において、1つ以上の特定のアミノ酸残基が、例えば、部位特異的突然変異生成プロトコルを使用して変化される。別の実施形態において、1つ以上の無作為に選択された残基が、例えば、無作為な突然変異生成プロトコルを使用して変化される。それがどのように行われるとしても、突然変異体ポリペプチドが発現され、所望の特性(例えば、IL−21受容体への結合またはIL−21とIL−21受容体との結合の遮断)に関してそれをスクリーニングすることができる。
それがコードするポリペプチドの生物学的活性を著しく改変することなく、突然変異を核酸に導入することができる。例えば、非必須アミノ酸残基におけるアミノ酸置換をもたらす、ヌクレオチド置換を行うことができる。一実施形態において、本明細書に提供されるヌクレオチド配列、またはその所望されるフラグメント、変異体、もしくは誘導体は、それが、アミノ酸残基の1つ以上の欠失、置換、または付加を含むアミノ酸配列をコードするように、突然変異される。別の実施形態において、1つ以上の突然変異は、それがコードするポリペプチドの生物学的活性(例えば、IL−21受容体の結合、IL−21結合の阻害等)を選択的に変化させる核酸に導入される。例えば、突然変異は、生物学的活性を定量的または定性的に変化させ得る。定量的変化の例には、活性の増加、低減、または排除が挙げられる。定性的変化の例には、抗原結合タンパク質の抗原特異性の変化が挙げられる。
別の態様において、本発明は、本発明の核酸配列の検出のためのプライマーまたはハイブリダイゼーションプローブとして使用するのに好適な核酸分子を提供する。本発明の核酸分子は、本発明の全長ポリペプチドをコードする核酸配列のほんの一部分、例えば、プローブもしくはプライマーとして使用され得るフラグメント、または本発明のポリペプチドの活性部分(例えば、IL−21受容体結合部分)をコードするフラグメントを含み得る。
本発明の核酸の配列に基づくプローブを使用して、その核酸または類似の核酸、例えば、本発明のポリペプチドをコードする転写産物を検出することができる。プローブは、標識基、例えば、放射性同位体、蛍光化合物、酵素、または酵素補因子を含み得る。そのようなプローブを使用して、ポリペプチドを発現する細胞を特定することができる。
別の態様において、本発明は、本発明のポリペプチドまたはその一部分をコードする核酸を含むベクターを提供する。ベクターの例には、プラスミド、ウイルスベクター、非エピソーム性哺乳動物ベクター、および発現ベクター、例えば、組み換え発現ベクターが挙げられるが、これらに限定されない。
本発明の組み換え発現ベクターは、宿主細胞での核酸の発現に好適な形態で本発明の核酸を含み得る。組み換え発現ベクターは、発現に使用される宿主細胞に基づいて選択される1つ以上の制御性配列を含み、これは、発現される核酸配列に動作可能に連結される。制御性配列には、多くの種類の宿主細胞においてヌクレオチド配列の構成的発現を導くもの(例えば、SV40初期遺伝子エンハンサー、ラウス肉腫ウイルスプロモーター、およびサイトメガロウイルスプロモーター)、ある特定の宿主細胞においてのみヌクレオチド配列の発現を導くもの(例えば、組織特異的制御性配列、Voss et al.,1986,Trends Biochem.Sci.11:287、Maniatis et al.,1987,Science 236:1237、参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)、ならびに特定の処置または条件に応答してヌクレオチド配列の誘導可能な発現を導くもの(例えば、哺乳動物細胞におけるメタロチオニン(metallothionin)プロモーター、ならびに原核生物系および真核生物系の両方におけるtet−応答性および/またはストレプトマイシン応答性プロモーター(同上)が含まれる。発現ベクターの設計が、形質転換される宿主細胞の選択、所望されるタンパク質の発現レベル等といった要因に依存し得ることが、当業者には理解されるであろう。本発明の発現ベクターを、宿主細胞に導入し、それによって本明細書に記載される核酸によってコードされるタンパク質またはペプチド(融合タンパク質またはペプチドを含む)を産生することができる。
別の態様において、本発明は、本発明の組み換え発現ベクターが導入されている宿主細胞を提供する。宿主細胞は、任意の原核生物細胞(例えば、大腸菌)または真核生物細胞(例えば、酵母、昆虫、または哺乳動物細胞(例えば、CHO細胞))であり得る。ベクターDNAは、従来的な形質転換またはトランスフェクション技法によって、原核生物または真核生物細胞に導入することができる。哺乳動物細胞の安定なトランスフェクションのために、使用される発現ベクターおよびトランスフェクション技法に応じて、細胞の小さな画分のみが外来DNAをそれらのゲノムに組み込み得ることが知られている。これらの組み込み体を特定および選択するために、選択可能なマーカー(例えば、抗生物質に対する耐性に関して)をコードする遺伝子が、一般に、目的の遺伝子とともに宿主細胞に道入される。好ましい選択可能なマーカーには、G418、ハイグロマイシン、およびメトトレキサートといった薬物に対する耐性を付与するものが挙げられる。導入核酸が安定にトランスフェクトされた細胞は、他の方法の中でも、薬物選択によって特定することができる(例えば、選択可能なマーカー遺伝子を組み込んだ細胞は生存するであろうが、他の細胞は死滅する)。
抗IL−21受容体抗原結合タンパク質を作製する方法。
本発明の抗IL−21受容体抗原結合タンパク質をコードする配列を含む宿主細胞を使用して、抗IL−21受容体抗原結合タンパク質を作製することができる。典型的には、宿主細胞で使用される発現ベクターは、プラスミド維持ならびに外因性ヌクレオチド配列のクローニングおよび発現のための配列を含有することになる。ある特定の実施形態において集合的に「フランキング配列」と称されるそのような配列は、典型的に、次のヌクレオチド配列:プロモーター、1つ以上のエンハンサー配列、複製起点、転写終結配列、ドナーおよびアクセプタースプライシング部位を含有する完全イントロン配列、ポリペプチド分泌のリーダー配列をコードする配列、リボソーム結合部位、ポリアデニル化配列、発現されるポリペプチドをコードする核酸を挿入するためのポリリンカー領域、ならびに選択可能なマーカー要素のうちの1つ以上を含むであろう。これらの配列のそれぞれは、以下に考察される。
場合によっては、ベクターは、「タグ」コード配列、すなわち、抗IL−21受容体抗原結合タンパク質コード配列(複数可)の5′末端または3′末端に位置するオリゴヌクレオチド分子を含有し得、このオリゴヌクレオチド配列は、ポリHis(ヘキサHis(配列番号4)等)、または市販の抗体が存在する、FLAG、HA(ヘマグルチニンインフルエンザウイルス)、もしくはmyc等の別の「タグ」をコードする。このタグは、典型的に、ポリペプチドの発現時にポリペプチドに融合され、宿主細胞からの抗IL−21受容体抗原結合タンパク質の親和性精製または検出のための手段として機能し得る。親和性精製は、例えば、タグに対する抗体を親和性マトリックスとして使用して、カラムクロマトグラフィーによって達成することができる。場合によっては、タグは、その後、ある特定のペプチダーゼを開裂に使用すること等、種々の手段によって、精製された抗IL−21受容体抗原結合タンパク質ポリペプチドから除去することができる。
フランキング配列は、同種(すなわち、宿主細胞と同じ種および/もしくは株に由来する)、異種(すなわち、宿主細胞種もしくは株ではない種に由来する)、ハイブリッド(すなわち、1つを上回る源に由来するフランキング配列の組み合わせ)、合成、または天然であり得る。このように、フランキング配列の源は、任意の原核生物もしくは真核生物、任意の脊椎動物もしくは無脊椎動物、または任意の植物であり得るが、ただし、フランキング配列が、宿主細胞機構において機能し、それによって活性化され得ることを条件とする。
本発明のベクターにおいて有用なフランキング配列は、当該技術分野で周知のいくつかの方法のうちのいずれかによって得ることができる。典型的に、本明細書において有用なフランキング配列は、マッピングおよび/または制限エンドヌクレアーゼ消化によって事前に特定されていることになり、したがって、適切な制限エンドヌクレアーゼを使用して適切な組織源から単離することができる。いくつかの場合において、フランキング配列の完全なヌクレオチド配列は、既知であり得る。本明細書においては、フランキング配列は、本明細書に記載される核酸合成またはクローニング方法を使用して合成することができる。
すべてまたは一部分にかかわらずフランキング配列がわかっている場合、それは、ポリメラーゼ連鎖反応(PCR)を使用して、ならびに/または同じかもしくは別の種に由来するオリゴヌクレオチドおよび/もしくはフランキング配列フラグメントといった好適なプローブを用いてゲノムライブラリーをスクリーニングすることによって、得ることができる。フランキング配列がわかっていない場合、フランキング配列を含有するDNAのフラグメントは、例えば、コード配列または別の遺伝子(複数可)さえも含有し得るDNAのより大きな断片から単離することができる。単離は、制限エンドヌクレアーゼ消化により適切なDNAフラグメントを産生した後、アガロースゲル精製、Qiagene(登録商標)カラムクロマトグラフィー(Chatsworth,Calif.)、または当業者に記載の他の方法を使用して単離することによって、達成され得る。この目的を達成するための好適な酵素の選択は、当業者には容易に明らかであろう。
複製起点は、典型的に、市販購入される原核生物発現ベクターの一部であり、この起点は、宿主細胞におけるベクターの増幅を助ける。選択したベクターが複製起点部位を含有しない場合は、既知の配列に基づいて化学合成され、ベクターにライゲーションされ得る。例えば、プラスミドpBR322(New England Biolabs,Beverly,Mass.)由来の複製起点は、ほとんどのグラム陰性菌に好適であり、種々のウイルス起源(例えば、SV40、ポリオーマ、アデノウイルス、水疱性口内炎ウイルス(vesicular stomatitus virus)(VSV)、またはHPVもしくはBPV等のパピローマウイルス)が、哺乳動物細胞におけるベクターのクローニングに有用である。一般に、複製起点要素は、哺乳動物発現ベクターには必要ない(例えば、SV40起点は、ウイルス初期プロモーターも含有するという理由でのみ使用されることが多い)。
転写終結配列は、典型的に、ポリペプチドコード領域の末端に対して3′に位置し、転写を終結させるように機能する。通常、原核生物細胞における転写終結配列は、G−Cリッチフラグメントの後にポリT配列が続く。この配列は、ライブラリーから容易にクローニングされ、さらにはベクターの一部として市販購入されるが、本明細書に記載されるものといった核酸合成のための方法を使用して容易に合成することもできる。
選択可能なマーカー遺伝子は、選択培養培地において成長する宿主細胞の生存および成長に必要なタンパク質をコードする。典型的な選択マーカー遺伝子は、(a)抗生物質もしくは他の毒素、例えば、アンピシリン、テトラサイクリン、もしくはカナマイシンに対する耐性を原核生物宿主細胞に付与する、(b)細胞の栄養要求不足を補完する、または(c)複合培地もしくは限定培地から利用可能でない重要な栄養素を供給する、タンパク質をコードする。好ましい選択可能なマーカーは、カナマイシン耐性遺伝子、アンピシリン耐性遺伝子、およびテトラサイクリン耐性遺伝子である。有利なことに、ネオマイシン耐性遺伝子もまた、原核生物および真核生物両方の宿主細胞における選択に使用することができる。
他の選択可能なマーカーを使用して、発現される遺伝子を増幅させてもよい。増幅は、成長または細胞生存に重要なタンパク質の産生に必要とされる遺伝子が組み換え細胞の後継代の染色体内でタンデムに反復されるプロセスである。哺乳動物細胞に好適な選択可能なマーカーの例には、ジヒドロ葉酸還元酵素(DHFR)およびプロモーターを持たないチミジンキナーゼ遺伝子が含まれる。哺乳動物細胞形質転換体は、選択圧下に置かれ、ここで、ベクターに存在する選択可能な遺伝子のために、形質転換体のみが生存するように独自に適合される。選択圧は、形質転換した細胞を、培地中の選択剤の濃度が継続的に増加する条件下で培養することによって課され、それによって、選択可能な遺伝子と別の遺伝子、例えばIL−21受容体ポリペプチドに結合する抗体をコードするDNAの両方の増幅がもたらされる。結果として、増加した量の抗IL−21受容体抗体等のポリペプチドが、増幅したDNAから合成される。
リボソーム結合部位は、通常、mRNAの翻訳開始に必要であり、シャイン・ダルガモ配列(Shine−Dalgamo sequence)(原核生物)またはコザック配列(真核生物)によって特徴付けられる。この要素は、典型的に、プロモーターに対して3′に位置し、発現されるポリペプチドのコード配列に対して5′に位置する。
グリコシル化が真核生物の宿主細胞発現系において望ましい場合等、いくつかの場合において、種々のプレまたはプロ配列を操作して、グリコシル化または収率を改善することができる。例えば、特定のシグナルペプチドのペプチダーゼ開裂部位を改変するか、またはプロ配列を付加することができ、これらもまたグリコシル化に影響を及ぼし得る。最終的なタンパク質産物は、発現に付随する1つ以上の追加のアミノ酸を−1位(成熟タンパク質の最初のアミノ酸に対して)に有し得、これは、完全に除去されていない場合がある。例えば、最終的なタンパク質産物は、アミノ末端に付加される、ペプチダーゼ開裂部位に見出される1または2つのアミノ酸残基を有し得る。あるいは、いくつかの酵素開裂部位の使用は、酵素が、成熟ポリペプチド内のそのような領域で切断する場合、所望されるポリペプチドのわずかに切断された形態をもたらし得る。
本発明の発現およびクローニングベクターは、典型的に、宿主生物によって認識され、抗IL−21受容体抗原結合タンパク質をコードする分子に動作可能に連結される、プロモーターを含有する。プロモーターは、構造遺伝子の転写を制御する構造遺伝子(一般に約100〜1000bp内)の開始コドンに対して上流(すなわち、5′)に位置する非翻訳配列である。プロモーターは、従来的には、誘導性プロモーターおよび構成性プロモーターという2つのクラスのうちの1つに分類される。誘導性プロモーターは、栄養物の存在または不在といった培養条件における何らかの変化、または温度の変化に応答して、それらの制御下で、DNAからの増加したレベルの転写を開始する。構成性プロモーターは、一方で、それらが動作可能に連結される遺伝子を一様に転写する、すなわち、遺伝子発現に対する制御をほとんど有さないか、または有さない。種々の可能性のある宿主細胞によって認識される多数のプロモーターが、周知である。好適なプロモーターは、制限酵素消化によって源DNAからプロモーターを除去し、所望されるプロモーター配列をベクターに挿入することによって、本発明の抗IL−21受容体抗原結合タンパク質を含む重鎖または軽鎖をコードするDNAに動作可能に連結される。
酵母宿主での使用に好適なプロモーターもまた、当該技術分野で周知である。酵母エンハンサーは、酵母プロモーターとともに有利に使用される。哺乳動物細胞での使用に好適なプロモーターが周知であり、これらには、ポリオーマウイルス、鶏痘ウイルス、アデノウイルス(アデノウイルス2等)、ウシパピローマウイルス、トリ肉腫ウイルス、サイトメガロウイルス、レトロウイルス、B型肝炎ウイルス、および最も好ましくはシミアンウイルス40(SV40)といったウイルスのゲノムから得られるものが含まれるが、これらに限定されない。他の好適な哺乳動物プロモーターには、異種哺乳動物プロモーター、例えば、熱ショックプロモーターおよびアクチンプロモーターが含まれる。
目的とされ得るさらなるプロモーターには、SV40初期プロモーター(Benoist and Chambon,1981,Nature 290:304−10)、CMVプロモーター(Thomsen et al.,1984,Proc.Natl.Acad.USA 81:659−663)、ラウス肉腫ウイルスの3′長末端反復に含有されるプロモーター(Yamamoto,et al.,1980,Cell 22:787−97)、ヘルペスチミジンキナーゼプロモーター(Wagner et al.,1981,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.78:144445)、メタロチオニン遺伝子に由来するプロモーターおよび制御性配列(Brinster et al.,1982,Nature 296:39−42)、ならびにβ−ラクタマーゼプロモーター等の原核生物プロモーター(Villa−Kamaroff et al.,1978,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,75:3727−31)、またはtacプロモーター(DeBoer et al.,1983,Proc.Natl.Acad.Sci.U.S.A.,80:21−25)が挙げられるがこれらに限定されない。組織特異性を示し、トランスジェニック動物に用いられている、以下の動物転写制御領域もまた興味深い:膵腺房細胞において活性なエラスターゼI遺伝子制御領域(Swift et al.,1984,Cell38:63946、Ornitz et al.,1986,Cold Spring Harbor Symp.Quant.Biol.50:399409(1986)、MacDonald,1987,Hepatology 7:425−515)、膵β細胞において活性なインスリン遺伝子制御領域(Hanahan,1985,Nature 315:115−22)、リンパ系細胞において活性な免疫グロブリン遺伝子制御領域(Grosschedl et al.,1984,Cell 38:647−58、Adames et al.,1985,Nature 318:533−38、Alexander et al.,1987,Mol.Cell.Biol,7:1436−44)、精巣、乳房、リンパ系、および肥満細胞において活性なマウス乳腺腫瘍ウイルス制御領域(Leder et al.,1986,Cell 45:485−95)、肝臓において活性なアルブミン遺伝子制御領域(Pinkert et al.,1987,Genes and Devel.1:268−76)、肝臓において活性なα−フェト−タンパク質遺伝子制御領域(Krumlauf et al.,1985,Mol.Cell.Biol.,5:1639−48、Hammer et al.,1987,Science 235:53−58)、肝臓において活性なα1−アンチトリプシン遺伝子制御領域(Kelsey et al.,1987,Genes and Devel.1:161−71)、骨髄腫細胞において活性なβグロビン遺伝子制御領域(Mogram et al.,1985,Nature 315:33840、Kollias et al.,1986,Cell 46:89−94)、脳内の乏突起膠細胞において活性なミエリン塩基性タンパク質遺伝子制御領域(Readhead et al.,1987,Cell 48:703−12)、骨格筋において活性なミオシン軽鎖−2遺伝子制御領域(Sani,1985,Nature 314:283−86)、ならびに視床下部において活性なゴナドトロピン放出ホルモン遺伝子制御領域(Mason et al.,1986,Science 234:1372−78)。
より高度な真核生物による本発明の抗IL−21受容体抗原結合タンパク質を含む軽鎖または重鎖をコードするDNAの転写を増加させるために、エンハンサー配列がベクターに挿入され得る。エンハンサーは、通常約10〜300bpであり、転写を増加させるようにプロモーターに作用する、DNAのシス作用要素である。エンハンサーは、比較的配向および位置に依存せず、転写単位に対して5′および3′の両方の位置に見出されている。哺乳動物遺伝子から得ることができるいくつかのエンハンサー配列が、既知である(例えば、グロビン、エラスターゼ、アルブミン、α−フェト−タンパク質、およびインスリン)。典型的には、しかしながら、ウイルス由来のエンハンサーが使用される。当該技術分野で既知であるSV40エンハンサー、サイトメガロウイスル初期プロモーターエンハンサー、ポリオーマエンハンサー、およびアデノウイルスエンハンサーは、真核生物プロモーターの活性化のための例示的な増強要素である。エンハンサーは、コード配列に対して5′または3′のいずれかのベクターに位置し得るが、典型的には、プロモーターから5′の部位に位置する。
適切な天然または異種シグナル配列(リーダー配列またはシグナルペプチド)をコードする配列が、抗体の細胞外分泌を促進するために、発現ベクターに組み込まれ得る。シグナルペプチドまたはリーダーの選択は、抗体が産生される宿主細胞の種類に依存し、異種シグナル配列は、天然のシグナル配列に置き換えることができる。哺乳動物宿主細胞において機能性であるシグナルペプチドの例には、次のものが含まれる:米国特許第4,965,195号に記載されるインターロイキン−7(IL−7)のシグナル配列、Cosman et al.(1984,Nature 312:768)に記載されるインターロイキン−2受容体のシグナル配列、欧州特許第0 367 566号に記載されるインターロイキン−4受容体シグナルペプチド、米国特許第4,968,607号に記載されるI型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド、欧州特許第0 460 846号に記載されるII型インターロイキン−1受容体シグナルペプチド、ヒトIgKのシグナル配列、およびヒト成長ホルモンのシグナル配列。
本発明の発現ベクターは、市販入手可能なベクター等の開始ベクターから構築され得る。そのようなベクターは、所望されるフランキング配列のすべてを含有し得るか、または含有しない場合もある。本明細書に記載されるフランキング配列のうちの1つ以上が、ベクター内に既に存在しない場合、それらを個別に得てベクターにライゲーションさせてもよい。フランキング配列のそれぞれを得るために使用される方法は、当業者に周知である。
ベクターが構築され、抗IL−21受容体抗体を含む軽鎖、重鎖、または軽鎖および重鎖をコードする核酸分子が、ベクターの適切な部位に挿入された後、完成したベクターを、増幅および/またはポリペプチド発現のために好適な宿主細胞に挿入することができる。選択した宿主細胞への抗IL−21受容体抗原結合タンパク質の発現ベクターの形質転換は、トランスフェクション、感染、リン酸カルシウム共沈降、エレクトロポレーション、マイクロインジェクション、リポフェクション、DEAE−デキストラン媒介性トランスフェクション、または他の既知の技法を含む、周知の方法によって達成され得る。選択された方法は、部分的に、使用される宿主細胞の種類の機能であろう。
宿主細胞は、適切な条件下で培養されると、抗IL−21受容体抗原結合タンパク質を合成し、これは、続いて培養培地から(宿主細胞がそれを培地中に分泌する場合)、またはそれを産生する宿主細胞から直接に(分泌されない場合)、回収することができる。適切な宿主細胞の選択は、所望される発現レベル、活性(グリコシル化またはリン酸化等)に望ましいかまたは必要であるポリペプチド修飾、ならびに生物学的に活性な分子への折り畳みの容易さといった、種々の要因に依存することになる。
発現のための宿主として利用可能な哺乳動物細胞株は、当該技術分野で周知であり、American Type Culture Collection(ATCC)から入手可能な不死化細胞株が含まれるがこれらに限定されず、チャイニーズハムスター卵巣(CHO)細胞、HeLa細胞、ベビーハムスター腎臓(BHK)細胞、サル腎臓細胞(COS)、ヒト肝細胞癌細胞(例えば、Hep G2)、および多数の他の細胞株を含むがこれらに限定されない。ある特定の実施形態において、細胞株は、どの細胞株が高い発現レベルを有し、IL−21受容体結合特性を有する抗体を構成的に産生するかを判定することを通じて、選択され得る。別の実施形態において、それ自体の抗体を作製しないが、異種抗体を作製および分泌する能力のある、B細胞系統に由来する細胞株細胞が、選択され得る。
製剤化
いくつかの実施形態において、本発明は、1つまたは複数の本発明の抗体の治療有効量を、薬学的に許容される希釈剤、担体、可溶化剤、乳化剤、保存剤、および/またはアジュバントとともに含む、薬学的組成物を提供する。好ましくは、許容される製剤材料は、用いられる投薬量および濃度で、レシピエントに対して非毒性である。好ましい実施形態において、抗IL−21受容体抗体の治療有効量を含む薬学的組成物が提供される。
ある特定の実施形態において、使用される製剤材料は、好ましくは、用いられる投薬量および濃度で、レシピエントに対して非毒性である。
ある特定の実施形態において、薬学的組成物は、例えば、組成物のpH、オスモル濃度、粘度、透明度、色、等張性、臭い、滅菌性、分解もしくは放出速度、吸収、または浸透を修正、維持、または保存するための製剤材料を含有し得る。そのような実施形態において、好適な製剤材料には、アミノ酸(グリシン、グルタミン、アスパラギン、アルギニン、もしくはリジン等);抗菌剤;抗酸化剤(アスコルビン酸、硫酸ナトリウム、または亜硫酸水素ナトリウム);緩衝剤(ホウ酸塩、重炭酸塩、Tris−HCl、クエン酸塩、リン酸塩、もしくは他の有機酸等);増量剤(マンニトールもしくはグリシン等);キレート剤(エチレンジアミン四酢酸(EDTA)等);錯化剤(カフェイン、ポリビニルピロリドン、β−シクロデキストリン、もしくはヒドロキシプロピル−β−シクロデキストリン);充填剤;単糖類;二糖類;および他の炭水化物(グルコース、マンノース、もしくはデキストリン等);タンパク質(血清アルブミン、ゼラチン、もしくは免疫グロブリン等);着色剤、香味剤、および希釈剤;乳化剤;親水性ポリマー(ポリビニルピロリドン等);低分子量ポリペプチド;塩形成対イオン(ナトリウム等);保存剤(塩化ベンザルコニウム、安息香酸、サリチル酸、チメロサール、フェネチルアルコール、メチルパラベン、プロピルパラベン、クロルヘキシジン、ソルビン酸、もしくは過酸化水素等);溶媒(グリセリン、プロピレングリコール、もしくはポリエチレングリコール等);糖アルコール(マンニトールもしくはソルビトール等);懸濁化剤;界面活性剤または湿潤剤(プルロニック、PEG、ソルビタンエステル、ポリソルベート20、ポリソルベート80等のポリソルベート、トリトン、トロメタミン、レシチン、コレステロール、チロキサパル(tyloxapal)等);安定性強化剤(スクロースもしくはソルビトール等);等張性強化剤(アルカリ金属ハロゲン化物、好ましくは、塩化ナトリウムもしくは塩化カリウム、マンニトール ソルビトール等);送達ビヒクル;希釈剤;賦形剤および/または薬学的アジュバントが挙げられるが、これらに限定されない。REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES,18th Edition,(A.R.Gennaro,ed.),1990,Mack Publishing Companyを参照されたい。
ある特定の実施形態において、最適な薬学的組成は、例えば、意図される投与経路、送達形式、および所望される投薬量に応じて、当業者によって決定されるであろう。例えば、REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(上記)を参照されたい。ある特定の実施形態において、そのような組成は、本発明の抗体の物理的状態、安定性、インビボ放出速度、およびインビボクリアランス速度に影響を及ぼし得る。
ある特定の実施形態において、薬学的組成物中の主要なビヒクルまたは担体は、水溶性または非水溶性のいずれかの性質であり得る。例えば、好適なビヒクルまたは担体は、非経口投与用組成物に一般的な他の材料が補充されている可能性のある、注射用水、生理食塩水、または人工脳脊髄液であり得る。中性緩衝食塩水または血清アルブミンと混合した食塩水は、さらなる例示的なビヒクルである。好ましい実施形態において、薬学的組成物は、約pH7.0〜8.5のTris緩衝液または約pH4.0〜5.5の酢酸緩衝液を含み、ソルビトールまたはその好適な代替物をさらに含み得る。本発明のある特定の実施形態において、抗IL−21受容体抗原結合タンパク質組成物は、所望される程度の純度を有する選択された組成物と、任意選択の製剤化剤(REMINGTON’S PHARMACEUTICAL SCIENCES(上記))を混合することによって、凍結乾燥ケーキまたは水溶液の形態で保管用に調製され得る。さらに、ある特定の実施形態において、抗IL−21受容体抗原結合タンパク質製品は、スクロース等の好適な賦形剤とともに凍結乾燥物として製剤化され得る。
本発明の薬学的組成物は、非経口送達に選択され得る。あるいは、組成物は、吸入、または経口送達等の消化管を通じた送達に選択され得る。そのような薬学的に許容される組成物の調製は、当業者の技能の範囲内である。
製剤成分は、好ましくは投与の部位に許容される濃度で存在する。ある特定の実施形態において、生理学的pHまたはわずかに低いpH、典型的には約5〜約8のpH範囲内に組成物を維持するために、緩衝液が使用される。
非経口投与が企図される場合、本発明に使用される治療的組成物は、薬学的に許容されるビヒクル中に所望の抗IL−21受容体抗原結合タンパク質を含む、発熱物質不含の非経口に許容される水溶液の形態で提供される。非経口注射に特に好適なビヒクルは、滅菌蒸留水であり、抗IL−21受容体抗原結合タンパク質が、適切に保存される滅菌の等張溶液としてその中に製剤化される。ある特定の実施形態において、調製は、デポー注射によって送達され得る製品の制御または持続放出を提供し得る薬剤、例えば、注射可能ミクロスフェア、生体内分解性粒子、ポリマー化合物(ポリ乳酸もしくはポリグリコール酸等)、ビーズ、またはリポソームを用いた、所望される分子の製剤化を伴い得る。ある特定の実施形態において、循環時の持続期間を増加させる効果を有するヒアルロン酸もまた使用され得る。ある特定の実施形態において、埋め込み可能な薬物送達デバイスを使用して、所望の抗体分子を導入してもよい。
本発明の薬学的組成物は、吸入用に製剤化され得る。これらの実施形態において、抗IL−21受容体抗原結合タンパク質は、乾燥した吸入可能粉末として有利に製剤化される。好ましい実施形態において、抗IL−21受容体抗原結合タンパク質吸入溶液はまた、エアロゾル送達のために推進剤とともに製剤化され得る。ある特定の実施形態において、溶液は、噴霧され得る。肺内投与およびそのための製剤化方法は、国際特許出願第PCT/US94/001875号にさらに記載されており、これは、参照により組み込まれ、化学修飾タンパク質の肺内投与について説明している。
製剤が経口投与され得ることもまた企図される。この様式で投与される抗IL−21受容体抗原結合タンパク質は、錠剤およびカプセルといった固形剤形の調合に慣習的に使用される担体ありまたはなしで製剤化され得る。ある特定の実施形態において、カプセルは、バイオアベイラビリティが最大化され全身循環前の分解が最小化される胃腸管内の時点で、製剤の活性な部分が放出されるように設計され得る。抗IL−21受容体抗原結合タンパク質の吸収を促進するために追加の薬剤が含まれてもよい。希釈剤、香味剤、低融点ワックス、植物油、滑沢剤、懸濁化剤、錠剤崩壊剤、および結合剤もまた用いられ得る。
本発明の薬学的組成物は、好ましくは、1つまたは複数の抗IL−21受容体抗原結合タンパク質の有効量を、錠剤の製造に好適な非毒性賦形剤との混合物中に含んで提供される。滅菌水または別の適切なビヒクル中に錠剤を溶解させることによって、溶液は、単位剤形で調製され得る。好適な賦形剤には、不活性希釈剤、例えば、炭酸カルシウム、炭酸ナトリウムもしくは重炭酸ナトリウム、ラクトース、またはリン酸カルシウム;あるいは結合剤、例えば、デンプン、ゼラチン、もしくはアカシア;あるいは滑沢剤、例えばステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、またはタルクが挙げられるが、これらに限定されない。
持続または制御送達製剤中の抗IL−21受容体抗原結合タンパク質を含む製剤を含む、さらなる薬学的組成物が、当業者には明らかであろう。リポソーム担体、生体内分解性微小粒子もしくは多孔質ビーズ、およびデポー注射といった、種々の他の持続または制御送達手段を製剤化するための技法もまた、当業者に既知である。例えば、国際特許出願第PCT/US93/00829号を参照されたく、これは、参照により組み込まれ、薬学的組成物の送達のための多孔質ポリマー微小粒子の制御放出について説明している。持続放出調製物は、成形物品、例えば、フィルム、またはマイクロカプセルの形態にある半透過性ポリマーマトリックスを含み得る。持続放出マトリックスには、ポリエステル、ヒドロゲル、ポリラクチド(米国特許第3,773,919号および欧州特許出願公開第EP 058481号に開示され、これらのそれぞれは、参照により組み込まれる)、L−グルタミン酸およびγエチル−L−グルタメートのコポリマー(Sidman et al.,1983,Biopolymers 22:547−556)、ポリ(2−ヒドロキシエチル−メタクリレート)(Langer et al.,1981,J.Biomed.Mater.Res.15:167−277およびLanger,1982,Chem.Tech.12:98−105)、エチレン酢酸ビニル(Langer et al.(上記))、またはポリ−D(−)−3−ヒドロキシ酪酸(欧州特許出願公開第EP 133,988号)が含まれ得る。持続放出組成物はまた、当該技術分野で既知のいくつかの方法のうちのいずれかによって調製され得るリポソームが含まれ得る。例えば、Eppstein et al.,1985,Proc.Natl.Acad.Sci.USA 82:3688−3692、欧州特許出願公開第EP 036,676号、同第EP 088,046号、および同第EP 143,949号を参照されたく、これらは参照により組み込まれる。
インビボ投与に使用される薬学的組成物は、典型的に、滅菌調製物として提供される。滅菌は、滅菌濾過膜を通す濾過によって達成され得る。組成物が凍結乾燥される場合、この方法を用いた滅菌は、凍結乾燥および再構成の前または後のいずれかに行われ得る。非経口投与のための組成物は、凍結乾燥形態または溶液の状態で保管され得る。非経口組成物は、一般に、滅菌アクセスポートを有する容器、例えば、静注用バッグまたは皮下注射針で穿刺可能なストッパーを有するバイアルに入れられる。
薬学的組成物は、製剤化された後、溶液、懸濁液、ゲル、エマルジョン、固体、結晶として、または乾燥もしくは凍結乾燥粉末として、滅菌バイアル中に保管され得る。そのような製剤は、すぐに使用可能な形態、または投与前に再構成される形態(例えば凍結乾燥)のいずれかで保管され得る。
本発明はまた、単一用量の投与単位をもたらすためのキットを提供する。本発明のキットは、それぞれ、乾燥タンパク質を有する第1の容器および水性製剤を有する第2の容器の両方を含み得る。本発明のある特定の実施形態において、単一チャンバまたは複数チャンバの事前充填済みシリンジ(例えば、液体シリンジおよび分散シリンジ(lyosyringe)を含むキットが、提供される。
適応症
本発明の方法および組成物(例えば、本発明の抗IL−21受容体抗原結合タンパク質、抗体、抗体フラグメント、抗体誘導体、または他の分子を含む)を使用して、広範な疾患、状態、および適応症を治療することができる。IL−21は、インビトロでのT依存性抗体産生に必須であることが示されており(Kuchen at al.(2007)J Immunol.179:5886)、SLE患者におけるインターフェロン−γ(「IFN−γ」)の過剰産生に寄与し得(Harigai et al.(2008)J Immunol.181:2211)、例えば、SLE(Bauer et al.(2006),PLoS Med.2(12):2274−2284、Armananzas et al.(2009),IEEE Transactions on Inform.Tech.in Biomed.13(3):341−350)、全身性硬化症(Sozzani et al.(2010),Autoimmunity 43(3):196−203)、円形脱毛症(Ghoreishi et al.(2010),Br.J.Dermatol.163:57−62)、グレーブス病(Ruiz−Riol et al.(2011),J.Autoimmunity 36:189−200)、免疫性骨異形成脊椎内軟骨異形成(immune−ossious dysplasia spondyloenchondrodysplasia)(SPENCD)(Briggs et al.(2011),Nat.Gen.43(2):127−132)、デゴス病(Magro et al.(2011),Am.J.Clin.Pathol.135:599−610)、シェーグレン症候群(Sozzani et al.(2010),Autoimmunity 43(3):196−203、Emamian et al.(2009),Genes Immun.10:285−296)、抗リン脂質抗体症候群(Armananzas et al.(2009),IEEE Transactions on Inform.Tech.in Biomed.13(3):341−350)、クローン病および潰瘍性大腸炎を含む炎症性腸疾患(例えば、米国特許第6,558,661号を参照されたい)、リウマチ性関節炎(Dawidowicz et al.(2011),Ann.Rheum.Dis.70:117−121)、シャーガス病心筋症(Cunha−Neto(2010),Autoimmunity Rev.10:163−165)、乾癬(Pietrzak et al.(2008),Clin.Chim.Acta 394:7−21)、多発性硬化症(van Baarsen et al.(2006),Genes and Immunity 7:522−531)、皮膚筋炎(Somani et al.(2008),Arch.Dermatol.145(4):1341−1349)、多発性筋炎(polimyositis)(Sozzani et al.(2010),Autoimmunity 43(3):196−203)、脂肪織炎様T細胞リンパ腫(Maliniemi et al.(2010),J.Invest,Dermatol.130;S54(abstract 320))、I型糖尿病(Reynier et al.(2010),Genes Immun.11:269−278)、サルコイドーシス(Lee et al.2011,Ann.Dermatol.23(2):239−241、Kriegova et al.(2011),Eur.Respir.J.38:1136−1144)、ならびに血球貪食性リンパ組織球症(HLH、Schmid et al.(2009),EMBO Molec.Med.1(2):112−124)を含む、種々の自己免疫状態および/または炎症性状態と関連する他の炎症促進性エフェクター機序および分子を刺激する。
SLEは、核の自己抗原に対する自己反応性を特徴とする、未知の病因の自己免疫疾患である。その臨床症状は非常に多様であるため、それが実際に単一の疾患であるか、または関連する状態の集合であるかは不確かである(Kotzin(1996)Cell 85:303、Rahman et al.(2008)N.Engl.J.Med.358:929)。症状には、次のものを挙げることができる:倦怠感、疲労、発熱、食欲不振、および体重減少等の全身症状;成人における急性一過性顔面皮疹、水疱性疾患、および頭頸部の慢性および外観を損なう皮疹を含む、多様な皮膚症状;関節炎;筋肉痛および/または衰弱;心血管症状、例えば、僧帽弁肥厚、疣腫、逆流、狭窄、心膜炎、および虚血性心疾患、これらの一部は卒中、塞栓性疾患、心不全、感染性心内膜炎、または弁不全に至り得る;SLEにおける主要な罹患要因である、腎炎;認知機能障害、鬱、精神病、昏睡状態、発作性障害、偏頭痛、および他の頭痛症状、無菌性髄膜炎、舞踏病、卒中、および脳ニューロパチーを含む、神経学的症状;白血球減少症、血小板減少症、漿膜炎、貧血、凝固異常、脾腫、およびリンパ節腫脹を含む、血液学的症状(hemotologic symptom)、種々の胃腸異常、ならびに死亡さえもが含まれる(Vratsanos et al.,“Systemic Lupus Erythematosus,”Chapter 39 in Samter’s Immunological Diseases,6th Edition,Austen et al.,eds.,Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphia,PA,2001)。一実施形態において、本発明の組成物および/または方法を使用して、SLEを有すると考えられる患者におけるこれらの症状のうちの1つ以上を治療、低減、緩和、排除、または防止することができる。
症状の重症度は、広く多様であり、疾患過程も同様である。SLE患者の疾患活動性は、次の症状を考慮するスコアに基づいて疾患活動性のスコアを提供し、それらの重要性に関する臨床医の意見に従って重み付けされる、全身性エリテマトーデス疾患活動性指標(Systemic Lupus Erythrmatosus Disease Activity Index)(SELDAI)等の手段を使用して評価することができる:発作、精神病、器質脳症候群、視覚障害、脳神経障害、ループス性頭痛、脈管炎、関節炎、筋炎、尿円柱、血尿、タンパク尿、膿尿、新しい発疹、脱毛症、粘膜潰瘍、胸膜炎、心膜炎、低補体(low complement)、DNA結合の増加、発熱、血小板減少症、および白血球減少症(Bombardier et al.(1992),Arthr.&Rheum.35:630)、その関連部分は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される治療は、SELDAIによって測定されるSLEの症状の軽減または排除に有用であり得る。
SLEにおける疾患活動性を評価するための別の方法は、英国諸島ループス評価グループ(British Isles Lupus Assessment Group)(BILAG)指標であり、これは、治療する医師の意図の原理に基づく、SLE患者の疾患活動性評価システムである(Stoll et al.(1996)Ann.Rheum Dis.55:756−760、Hay et al.(1993)Q.J.Med.86:447)。BILAGについて記載するこれらの参考文献の部分は、参照により本明細書に組み込まれる。BILAGスコアは、一般(発熱および疲労等)、皮膚粘膜(多数の他の症状の中でも、皮疹および脱毛症等)、神経学(多数の他の症状の中でも、発作、偏頭痛、および精神病)、筋骨格(関節炎等)、心肺(心不全および肺機能の低下等)、脈管炎および血栓症、腎臓(腎炎等)、ならびに血液学という、器官に基づく8つの系統のそれぞれにおいて、別個の数字またはアルファベットの疾患活動性スコアを与えることによって、割り当てられる。本明細書に記載される組成物および/または方法は、BILAG指標によって測定される、SLEの症状の軽減または排除に有用であり得る。
円板状ループスは、慢性皮膚ループスの特定の形態であり、患者は、日光に晒された部位に最も一般的に生じる円形病変を有する。病変は、外観を損なう瘢痕を残し得る。SLE患者の最大約25%が、それらの疾患過程のある時点で、円板状ループスを発症する。これらの病変は、SLEの他の症状を有さない患者に生じる場合がある。皮膚型のループスにおいて特に皮膚に関連する症状は、皮膚エリテマトーデス疾患面積および重症度指標(Cutaneous Lupus Erythematosus Disease Area and Severity Index)(CLASI)を使用してスコア付けすることができ、これは、疾患活動性(種々の部位での皮膚の紅斑、落屑、および肥大、ならびに粘膜病変および脱毛症を含む)および疾患関連の損傷(皮膚の色素沈着異常、瘢痕化、萎縮、および脂肪織炎、ならびに頭皮の瘢痕化を含む)の両方を考慮する。そのような症状は、IL−21受容体阻害剤での円板状ループスの治療によって影響を受け得る。CLASIは、Albrecht et al.(2005)J.Invest.Dermatol.125:889によって詳細に説明されている。CLASIが何であるか、どの症状がそれに含まれるか、またはそれを使用する方法について記載するこの文書の部分は、参照により本明細書に組み込まれる。本明細書に記載される治療は、CLASIによって測定される、円板状ループスの症状の軽減または排除に有用であり得る。
IL−21受容体によって媒介され得る別の皮膚疾患は、乾癬である。乾癬の症状には、ピンク/赤色となり、肥厚し、鱗屑で覆われた、掻痒乾燥肌が挙げられる。これは、一般的な状態であり、一時的な性質である、すなわち、患者は、激発および寛解の期間を経験し得る。紅斑性、滴状性、逆行性、尋常性、および嚢胞性の5種類の乾癬がある。尋常性乾癬が最も一般的な種類である。
乾癬患者における疾患の重症度は、種々の手段で測定することができる。臨床試験において一般的に測定される疾患活動性の1つの手段は、PASIスコアである。PASIスコアは、0〜72の範囲に及び得、72が最も重度の疾患である。PASI評価の目的で、身体は、脚部、胴体部(すなわち、腹部、胸部、背中等)、腕部、および頭部の4つの部分からなると見なされ、それぞれ、人間の皮膚の40%、30%、20%、および10%を有すると見なされる。各部分について、罹患した皮膚面積の割合を推算し、それを0〜6の等級に変換し、0は罹患した皮膚がなく、6は問題の身体部分の皮膚の90〜100%が罹患している。疾患の重症度は、赤み(紅斑)、落屑、および肥厚という罹患皮膚の3つの特徴を別個に考慮し、各身体部分に各特徴の0〜4の重症度スコアを割り当てることによって、スコア付けされる。各身体部分の3つすべての特徴の重症度スコアの合計を計算し、この合計に、全皮膚のうちどの程度をその身体部分が含むか、および罹患した身体部分の割合によって判定されるそれぞれの部分の重量で乗じる。各身体部分についてこの数を計算した後、これらの数を合計して、PASIスコアを得る。したがって、PASIスコアは、次のように表すことができる:
PASI=0.1(罹患した頭部の割合のスコア)(頭部の3つの重症度スコアの合計)+
0.2(罹患した腕部の割合のスコア)(腕部の3つの重症度スコアの合計)+
0.3(罹患した胴体部の割合のスコア)(胴体部の3つの重症度スコアの合計)+
0.4(罹患した脚部の割合のスコア)(脚部の3つの重症度スコアの合計)
次の2つの参考文献中のPASIスコアについての記述は、参照により本明細書に組み込まれる:Feldman et al.(2005)Ann.Rheum.Dis.64:68およびLangley et al.(2004),J.Am.Acad.Dermatol.51:563。
多数の臨床試験は、研究過程にわたりPASIスコアにおける変化を参照する。例えば、臨床試験のある特定の時点におけるPASI 75は、患者のPASIスコアが、患者のベースラインでのPASIスコアと比較して、75%減少したことを意味する。同様に、PASI 50またはPASI 90は、PASIスコアにおける50%または90%の低減を意味する。
臨床試験における乾癬の重症度に関する別の一般的に使用される尺度は、静的医師総合評価(static Physicians Global Assessment)(sPGA)である。sPGAは、典型的に、0=なし、から5=重度の範囲に及ぶ6つのカテゴリー尺度の評点付けである。ENBREL(登録商標)(エタネルセプト、Amgen Inc.,Thousand Oaks,CA),Package Insert,2008。「解消」または「最小限」(代替的に「ほぼ解消」と称されることもある)というsPGAスコアは、斑の進行がないかまたは最小であること、赤みがないかごくわずかであること、および落屑がないか斑部位の<5%にわたる最小限の落屑があることを要する。ENBREL(登録商標)(エタネルセプト),Package Insert,2008。乾癬斑の形態学の個々の要素または体表面積関与の程度は、測定されない。それでもなお、sPGAスコアは、PASIスコアとある程度相関する(Langley et al.(2004),J.Am.Acad.Dermatol.51:563)。一実施形態において、本明細書に記載される方法および/または組成物は、PASIまたはsPGAスコアによって測定される、乾癬症状を軽減、排除、または防止する。
多発性硬化症(MS)は、神経を包囲するミエリン鞘への損傷を特徴とする自己免疫疾患であり、神経インパルスの阻害または完全な遮断をもたらす。この疾患は、臨床所見が極めて不均一であり、治療に対する応答も同様に多様である(van Baarsen et al.(2006)Genes and Immunity 7:522)。環境的要因、可能性としてウイルス感染、ならびに遺伝的感受性が、MSを引き起こすことにおいて役割を果たすと考えられる。症状には、多数の他の可能性のある症状の中でも、平衡感覚の消失、筋痙縮、振戦、衰弱、歩行能力の消失、調整の消失、種々の腸および膀胱の問題、無感覚、疼痛、刺痛、不明瞭発語、咀嚼および嚥下困難、複視、視力低下、制御不能な眼球運動、ならびに鬱を挙げることができる。多くの患者において、症状が出る出現期には、長い寛解期が点在する。本明細書に記載される方法は、MSの1つ以上の症状を軽減、排除、または防止し得る。
I型糖尿病は、膵臓内のインスリン産生β細胞の破壊をもたらす自己免疫疾患であり、インスリンの欠乏をもたらす。β細胞エピトープに対する抗体は、糖尿病前患者の血清に検出され、臨床症状の発症に先立つ長い無症状期間に進行中の自己免疫プロセスが存在することを示唆する(Reynier et al.(2010)Genes and Immunity 11:269)。インスリンの欠乏は、血中および尿中の高グルコースレベルをもたらし、頻尿、空腹および喉の渇きの増加、疲労、ならびに体重減少を含む、種々の症状を引き起こす。これは、一般に、インスリンで治療され、これは無期限に継続しなければならない治療である、I型糖尿病の原因は完全に明らかではないが、遺伝的要素が含まれると見られる。糖尿病患者の非糖尿病兄弟姉妹のうちの約30%が、I型インターフェロンによって活性化される集団遺伝子によってコードされるRNAを高レベルで発現することがわかっているが、糖尿病患者はこれらのRNAを過剰発現しない。そのような過剰発現は、将来的な疾患の兆候であり得る。本明細書に記載される方法は、臨床症状の発症の前および/または後に、I型糖尿病を治療または防止するために有用であり得る。
IL−21受容体活性はまた、クローン病および潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患(IBD)にも関与する。クローン病は、慢性かつ衰弱性の炎症性腸疾患であり、腸の細菌叢に対する過剰に活性なTH1媒介性免疫応答を反映すると見られる。クローン病の病変部は、腸内のあらゆる場所に現れ得、胃腸管の他の場所に現れることもある。潰瘍性大腸炎の病変部は、一方で、通常、結腸に現れる。病変部の性質もまた様々であるが、これらの疾患は、十分に類似しており、臨床的にそれらを区別することが困難なこともある。米国特許第6,558,661号を参照されたい。
IL−21受容体がIBDにおいて役割を果たすことが証拠により示される。IL−21およびIL−21受容体のレベルの上昇が、IBD患者から採取した生検に見出され、IL−21は、炎症を起こした組織外植片の培養物中において炎症性メディエーターの発現を促進することがわかった(Monteleone,2005,Gastroenterology 128:687、Monteleone,2006,Gut 55:1774)。本明細書に記載される組成物および方法を使用して、IBD患者を治療することができる、および/またはIBDの1つ以上の症状を低減、防止、もしくは排除することができる。
サルコイドーシスは、本質的にあらゆる組織に罹患し得るが、主に肺およびリンパ系に罹患する、全身性肉芽腫性疾患である。これは、1つを上回る器官系における非乾酪性類上皮細胞肉芽腫の存在を特徴とする。最も一般的には、肉芽種は、他の可能性のある部位の中でも、肺、リンパ節、皮膚、肝臓、および/または脾臓に見出される。これは、致死性であり得る。例えば、肺の線維症は、致死をもたらし得る(Carter and Hunninghake,“Sarcoidosis,”Chapter 47 in Samter’s Immunological Diseases,6th Edition,Austen et al.,eds.,Lippincott Williams&Wilkins,Philadelphia,PA,2001)。本明細書に記載される組成物および/または方法を使用して、サルコイドーシス患者を治療することができる、および/またはサルコイドーシスの症状を低減、排除、もしくは防止することができる。
血球貪食性リンパ組織球症(HLH)は、発熱、肝脾腫大、リンパ節腫脹、黄疸、および発疹を含む臨床症状を有する、稀有であり、しばしば死に至る疾患である。HLHと関連する研究室所見には、リンパ球増加症および組織球増加症、ならびに血球貪食の病理学的所見が含まれる。汎血球減少、血清フェリチンレベルの上昇、および異常な肝酵素もまた、存在することが多い。本明細書に記載される組成物および/または方法を使用して、HLH患者を治療することができる、および/またはHLHの症状を低減、排除、もしくは防止することができる。
リウマチ性関節炎(RA)は、滑膜性関節の一般的な炎症性疾患であり、滑膜に浸潤する免疫細胞による炎症促進性サイトカイン/メディエーターの産生を特徴とする。これは、滑膜線維芽細胞の増殖を引き起こし、さらにはサイトカイン炎症性分子の放出およびパンヌス組織の形成をもたらし、これが、最終的には軟骨および軟骨下骨を分解し、関節破壊、疼痛、および身体障害をもたらす。本明細書に記載される組成物および/または方法を使用して、RA患者を治療することができる、および/またはRAの症状を低減、排除、もしくは防止することができる。
治療方法および抗原結合タンパク質の投与
一態様において、本発明は、対象を治療する方法を提供する。この方法は、例えば、対象に対して一般的に健康によい効果を有し得、例えば、それは、対象の想定寿命を増加させ得る。あるいは、この方法は、例えば、疾患、障害、状態、または疾病(「状態」)を、治療、防止、治癒、軽減、または緩和(「治療」)し得る。本発明に従って治療される状態の中には、IL−21受容体および/またはIL−21の不適切な発現または活性を特徴とする状態がある。いくつかのそのような状態において、発現または活性のレベルは過度に高く、治療は、本明細書に記載されるIL−21受容体アンタゴニストを投与することを含む。他のそのような状態において、発現または活性のレベルは過度に低く、治療は、本明細書に記載されるIL−21受容体アゴニストを投与することを含む。他のそのような状態において、IL−21受容体および/またはIL−21活性のレベルは、必ずしも上昇していないが、対象は、それらに対してより感受性である。
別の態様において、本発明は、本発明の組成物および/または治療方法を使用した治療によって恩恵を受ける可能性がより高い対象を特定する方法を提供する。そのような方法は、介護者が、特定の対象の必要性に応じて治療レジメンをより良好に調整することを可能にし、効果がないかまたは逆効果の治療過程の可能性を低減させ得る。一実施形態において、本発明は、対象における標的細胞型がIL−21受容体を発現するかどうかを判定することを含む、対象が本明細書に記載される組成物または方法を使用した治療の候補であるかどうかを判定する方法を提供し、ここで、標的細胞型がIL−21受容体を発現する場合、対象は、治療の候補である。別の実施形態において、本方法は、標的細胞1個当たりのIL−21受容体分子のおおよその平均数を判定することを含み、ここで、細胞1個当たり102、103、104、105、または106個のIL−21受容体は、対象が治療の候補であることを示す。標的細胞1個当たりのIL−21受容体分子のおおよその平均数は、当該技術分野で既知の任意の技法を使用して、例えば、標的細胞型の細胞を含む試料をIL−21受容体結合分子で染色し、試料に結合したIL−21受容体結合分子の量を検出することによって、判定することができ、ここで、検出されたIL−21受容体結合分子の量は、試料中のIL−21受容体分子の平均数に比例する。別の実施形態において、本方法は、標的細胞1個当たりのIL−21受容体分子のおおよその平均数を、参照標準と比較することを含み、ここで、IL−21受容体分子のおおよその平均数が、参照標準よりも多い場合、対象は、本発明の組成物および/または治療方法を使用した治療により恩恵を受ける可能性がより高い。別の態様において、本方法は、IL−21が、目的の組織、例えば、IL−21受容体を発現する免疫細胞に近接して、上昇したレベルで存在するかどうかを判定することを含む。別の態様において、本方法は、IL−21受容体の下流の分子が、IL−21受容体に依存する様式で改変または活性化されるかどうかを判定することを含む。そのような下流分子の例は、STAT3、STAT1、STAT5、JAK1、およびJAK3である。
本明細書に提供されるある特定の方法は、IL−21受容体に結合する抗原結合タンパク質を対象に投与し、それによって、特定の状態において役割を果たすIL−21誘発性生物学的応答を低減させることを含む。特定の実施形態において、本発明の方法は、例えば、対象への投与またはエキソビボ手順によって、内因性IL−21受容体とIL−21受容体に結合する抗原結合タンパク質とを接触させることを伴う。
「治療」という用語は、障害の少なくとも1つの症状もしくは他の側面の軽減もしくは防止、または疾患の重症度の低減等を包含する。抗原結合タンパク質は、実行可能な治療剤を構築するために、完全な治癒を達成するか、または疾患のあらゆる症状もしくは兆候を根絶させる必要はない。関連技術分野で認識されるように、治療剤として用いられる薬物は、所与の疾患状態の重症度を低減させ得るが、有用な治療剤と見なされるために疾患のあらゆる兆候を消滅させる必要はない。同様に、予防的に施される治療は、実行可能な予防剤を構築するために、状態の発症を防止することにおいて完全に有効である必要はない。疾患の影響を単純に低減させること(例えば、その症状の数もしくは重症度を低減することによって、または別の治療の有効性を増加させることによって、または別の有益な効果をもたらすことによって)、また疾患が対象に発症するか、もしくは悪化する可能性を低減させることは、十分である。本発明の一実施形態は、特定の障害の重症度を反映する指標のベースラインを上回る持続した改善を誘発するのに十分な量および時間で、IL−21受容体アンタゴニストを患者に投与することを含む方法を対象とする。
関連技術分野で理解されるように、本発明の分子を含む薬学的組成物は、適応症に適した様式で対象に投与される。薬学的組成物は、非経口、局所、または吸入を含むがこれらに限定されない、任意の好適な技法によって投与され得る。注射される場合、薬学的組成物は、例えば、関節内、静脈内、筋肉内、病変部内、腹腔内、または皮下経路を介して、ボーラス注射または連続注入によって投与され得る。例えば、疾患または傷害の部位での局所投与が企図され、経皮送達および埋め込み片による持続放出も同様に企図される。吸入による送達には、例えば、経鼻もしくは経口吸入、噴霧器の使用、エアロゾル形態でのアンタゴニストの吸入等が含まれる。他の代替的手段には、点眼;丸剤、シロップ、トローチ、またはチューインガムを含む経口調製物;ならびにローション、ゲル、スプレー、および軟膏等の局所調製物が含まれる。
エキソビボ手順での抗原結合タンパク質の使用もまた企図される。例えば、患者の血液または他の体液を、エキソビボでIL−21受容体に結合する抗原結合タンパク質と接触させることができる。抗原結合タンパク質は、好適な不溶性マトリックスまたは固体支持材料に結合され得る。
有利なことに、抗原結合タンパク質は、生理学的に許容される担体、賦形剤、または希釈剤といった1つ以上の追加の構成成分を含む組成物の形態で投与される。場合によっては、組成物は、1つ以上の生理学的活性剤、例えば、第2のIL−21受容体阻害物質、抗炎症性物質、抗血管新生物質、化学療法物質、または鎮痛性物質をさらに含む。種々の特定の実施形態において、本組成物は、IL−21受容体に結合する抗原結合タンパク質に加えて、1、2、3、4、5、または6つの生理学的活性剤を含む。
一実施形態において、薬学的組成物は、緩衝液、アスコルビン酸等の抗酸化剤、低分子量ポリペプチド(10個未満のアミノ酸を有するもの等)、タンパク質、アミノ酸、グルコース、スクロース、もしくはデキストリン等の炭水化物、EDTA等のキレート剤、グルタチオン、安定剤、および賦形剤からなる群から選択される1つ以上の物質とともに、本発明の抗原結合タンパク質を含む。中性緩衝食塩水または同種の血清アルブミンと混合した食塩水は、適切な希釈剤の例である。適切な業界標準に従って、ベンジルアルコール等の防腐剤もまた添加することができる。本組成物は、適切な賦形剤溶液(例えば、スクロース)を希釈剤として使用して、凍結乾燥物として製剤化されてもよい。好適な構成成分は、用いられる投薬量および濃度で、レシピエントに対して非毒性である。薬学的製剤において用いられ得る構成成分のさらなる例は、Remington’s Pharmaceutical Sciences,16th Ed.(1980)and 20th Ed.(2000),Mack Publishing Company,Easton,PAに提示される。
医療従事者が使用するためのキットには、本明細書に考察される状態のうちのいずれかの治療に使用するための本発明のIL−21受容体阻害物質およびラベルまたは他の指示書が含まれる。一実施形態において、キットには、1つ以上のIL−21受容体に結合する抗原結合タンパク質の滅菌調製物が含まれ、これらは、上に開示される組成物の形態にあり得、また1つ以上のバイアル中にあり得る。
投薬量および投与頻度は、投与経路、用いられる具体的な抗原結合タンパク質、治療される疾患の性質および重症度、状態が急性であるか慢性であるか、ならびに対象の大きさおよび全般的な状態といった要因に応じて変動し得る。適切な投薬量は、関連技術分野で既知の手順によって、例えば、用量漸増研究を伴い得る臨床治験において、決定することができる。
本発明のIL−21受容体阻害物質は、例えば、ある期間にわたって一定間隔で、例えば、1回または1回を上回って、投与され得る。特定の実施形態において、抗原結合タンパク質は、少なくとも1カ月以上、例えば、1、2、もしくは3カ月の期間にわたって、またはさらには無期限に投与される。慢性状態の治療に関しては、長期的治療が一般に最も有効である。しかしながら、急性状態の治療に関しては、より短い期間、例えば、1〜6週間の投与が、十分であり得る。一般に、抗原結合タンパク質は、患者が、選択された指標(複数可)に関して、ベースラインを上回る医学的に関連する程度の改善を示すまで、投与される。
本発明の特定の実施形態は、対象に、対象の体重1kg当たり約1ngの抗原結合タンパク質(「1ng/kg/日」)〜約100mg/kg/日、約500ng/kg/日〜約50mg/kg/日、約5μg/kg/日〜約20mg/kg/日、および約5mg/kg/日〜約20mg/kg/日の投薬量で、抗原結合タンパク質を対象に投与することを伴う。さらなる実施形態において、抗原結合タンパク質は、IL−21受容体媒介性疾患、状態、または障害、例えば、本明細書に開示される医学的障害を治療するために、1週間に1回、1週間に2回、1週間に3回、1週間に4回、1週間に5回、1週間に6回、または1週間に7回以上、成体に投与される。注射される場合、1成体用量当たりの抗原結合タンパク質の有効量は、例えば、1〜20mg/m2または約5〜12mg/m2の範囲に及び得る。あるいは、均一用量が投与されてもよく、この容量は、1〜300mg/用量の範囲であり得る。均一用量の1つの範囲は、1用量当たり約20〜30mgである。本発明の一実施形態において、25mg/用量の均一用量が、注射により反復投与される。注射以外の投与経路が使用される場合、用量は、標準的な医療監修に従って適切に調整される、治療レジメンの一例は、約20〜30mgの用量の抗原結合タンパク質を、少なくとも3週間の期間にわたって1週間に1〜3回注射することを伴うが、より長期間の治療が、所望される程度の改善を誘発するために必要な場合がある。小児対象(4〜17歳)については、1つの例示的な好適なレジメンは、0.4mg/kgから最大で25mgの用量の抗原結合タンパク質を1週間に2または3回投与する、皮下注射を伴う。
本明細書に提供される方法の特定の実施形態は、0.5mg〜10mg、好ましくは3〜5mgの抗原結合タンパク質を1週間に1または2回皮下注射することを伴う。別の実施形態は、1週間に1回3mg以上の抗原結合タンパク質を肺内投与すること(例えば、噴霧器による)を対象とする。
本明細書に提供される治療レジメンの例は、IL−21受容体シグナル伝達が役割を果たす疾患を治療するために、1.5〜3mgの用量で、1週間に1回抗原結合タンパク質を皮下注射することを含む。そのような疾患の例は、本明細書に提供され、また当該技術分野で既知である。抗原結合タンパク質の投与は、所望の結果が達成されるまで、例えば、対象の症状が治まるまで、継続され得る。治療は、必要に応じて再開され得るか、または代替として、維持用量が、投与され得る。
本明細書に提供される治療レジメンの他の例は、対象の体重1キログラム当たり1、3、5、6、7、8、9、10、11、12、15、または20ミリグラム(mg/kg)の用量の本発明のIL−21受容体阻害剤を、皮下または静脈内投与することを含む。用量は、対象に、1回、またはある特定の間隔で1回を上回って、例えば、1日1回、1週間に3回、1週間に2回、1週間に1回、2週間に1回、3週間に1回、1カ月に3回、1カ月に2回、1カ月に1回、2カ月に1回、3カ月に1回、6カ月に1回、または1年に1回、投与され得る。治療の期間、ならびに用量および治療の頻度に対する任意の変更は、対象の具体的な必要性を満たすために、治療過程で変化または変動され得る。
別の実施形態において、抗原結合タンパク質は、抗原結合タンパク質の濃度を所望されるレベルもしくはそれ以上に維持するか、バイオマーカーの量、濃度、もしくは他の状態を所望のレベルに維持するか、または治療されている障害の少なくとも1つの症状もしくはその重症度を反映する他の指標における改善、好ましくは持続的改善を誘発するのに十分な量および期間で、対象に投与される。対象の疾病、疾患、または状態を反映する種々の指標は、治療の量および期間が十分であるかどうかを判定するために評価され得る。そのような指標には、例えば、問題となる障害の疾患重症度、症状、または兆候の臨床的に認識される指標が含まれる。一実施形態において、改善は、対象が、2〜4週間離れた少なくとも2つの自機に改善を示す場合、持続していると見なされる。改善の程度は、一般に、医師によって判定され、医師は、兆候、症状、生検、または他の試験結果に基づいてこの判定を行い得、また、所与の疾患のために開発された生活の質に関する質問票等、対象に対して実施される質問票を用いることもできる。
組み合わせ療法
ほとんどのIL−21受容体媒介性疾患に対して治療が存在するが、これらの治療の多くは、限られた程度のみもしくは患者の一部のみに有効である、および/または患者の治療耐性を制限する実質的な毒性を有する。本明細書に記載されるIL−21受容体阻害剤は、IL−21受容体媒介性疾患の他の既存の治療薬と組み合わせることができる。
具体的には、SLE患者は、SLEの別の治療薬に加えて、IL−21受容体阻害剤または本明細書に記載される抗IL−21受容体抗体等で同時治療することができる。SLEの既存の治療薬には、グルココルチコイド、例えばプレドニゾン、プレドニゾロン、およびメチルプレドニゾロン、抗マラリア薬、例えばヒドロキシクロロキン、キナクリン、およびクロロキン、レチノイン酸、アスピリンおよび非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)、シクロホスファミド、デヒドロエピアンドロステロン、ミコフェノール酸モフェチル、アザチオプリン、クロラムブシル、メトトレキサート、タクロリムス、ダプソン、サリドマイド、レフルノミド、シクロスポリン、抗CD20抗体、例えばリツキシマブ、BLyS阻害剤、例えばベリムマブ、抗IFN−γ抗体、ならびに融合タンパク質、例えばアバタセプトが挙げられる。
他の実施形態において、クローン病または潰瘍性大腸炎等の炎症性腸疾患(IBD)を患う患者は、IBDの治療薬に加えて、本明細書に記載される抗IL−21受容体抗体で同時に治療され得る。IBDの既存の治療薬には、スルファサラジン、5−アミノサリチル酸およびその誘導体(オルサラジン、バルサラジド、およびメサラミン等)、抗IFN−γ抗体、抗TNF抗体(インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセトリズマブペゴールを含む)、経口または非経口投与用コルチコステロイド(プレドニゾン、メチルプレドニゾン、ブデソニド、またはヒドロコルチゾンを含む)、副腎皮質刺激ホルモン、抗生物質(メトロニダゾール、シプロフロキサシン、またはリファキシミンを含む)、アザチオプリン、6−メルカプトプリン、メトトレキサート、シクロスポリン、タクロリムス、ならびにサリドマイドが挙げられる。
他の実施形態において、リウマチ性関節炎を患う患者は、RA治療薬に加えて、本明細書に記載される抗IL−21受容体抗体で同時に治療され得る。リウマチ性関節炎(RA)の治療薬には、とりわけ、非ステロイド性抗炎症薬(NSAID)(アスピリンおよびシクロオキシゲナーゼ−2(COX−2)阻害剤等)、疾患修飾性抗炎症薬(DMARD)(メトトレキサート、レフルノミド、およびスルファサラジン等)、抗マラリア薬(ヒドロキシクロロキン等)、シクロホスファミド、D−ペニシラミン、アザチオプリン、金塩、腫瘍壊死因子阻害剤(エタネルセプト、インフリキシマブ、アダリムマブ、ゴリムマブ、およびセトリズマブペゴール等)、CD20阻害剤、例えばリツキシマブ、IL−1アンタゴニスト、例えばアナキンラ、IL−6阻害剤、例えばトシリズマブ、ヤヌスキナーゼ(JAK)の阻害剤(トファシチニブ等)、アバタセプト、ならびにグルココルチコイドが挙げられる。
別の実施形態において、サルコイドーシスを患う患者は、サルコイドーシス治療に使用される薬物に加えて、本明細書に記載されるIL−21受容体抗体で同時に治療され得る。サルコイドーシスの治療薬には、コルチコステロイド(症状に応じて、局所または非経口であり得る)、サリチル酸塩(アスピリン等)、抗IFN−γ抗体、およびコルヒチンが挙げられる。コロキン(Choroquine)は、皮下症状に有益であることが報告されている。メトトレキサート、シクロホスファミド、アザチオプリン、および非ステロイド性抗炎症薬もまた、サルコイドーシスに使用されている。種々の他の治療戦略は、サルコイドーシスの多数の異なる症状のうちのいくつかに有益であり得る。例えば、心臓不整脈は、抗不整脈薬またはペースメーカーで治療され得る。高カルシウム血症は、水分補給、カルシウムおよびビタミンD摂取の低減、日光の回避、またはケトコナゾールで治療され得る。皮膚病変は、ヒドロキシクロロキン、メトトレキサート、またはサリドマイドで治療され得る。
別の実施形態において、HLHを患う患者は、HLH治療に使用される薬物に加えて、本明細書に記載される抗IL−21受容体抗体で同時に治療され得る。HLHの治療薬には、コルチコステロイド、静脈内免疫グロブリン、IL−1阻害剤、例えばアナキンラ、VP−16、エトポシド、シクロスポリンA、デキサメタゾン、種々の他の化学療法薬、骨髄移植または幹細胞移植、抗IFN−γ抗体、ならびに抗ウイルス剤および/または抗菌剤が挙げられる。
実施例1:有力候補の選択
本実施例は、抗IL−21受容体抗体のスクリーニング方法を提供する。
一次スクリーニング
ヒトIL−21受容体の2つの形態を、XENOMOUSE(商標)(Amgen Inc.,Thousand Oaks,CA、ヒト抗体を生成するように操作されたトランスジェニックマウス)の免疫付与のための抗原として使用した。一方の形態は、可溶性ヒトFc融合体(「IL−21R.Fc」)であり、他方は、全長野生型形態であった。両方のタンパク質を、一過性293T細胞を使用して発現させた。キャンペーン#3(採取5)として指定されるIL−21R.Fc単独、およびキャンペーン#4(採取6)として指定されるIL−21R/CHO安定体の2つのプールのマウスを使用して、標準的な手順を用いてハイブリドーマを生成した。キャンペーン#3については、抗IL−21R特異的結合剤を、安定なCHO細胞の表面上に発現する全長野生型IL−21Rを使用して、FMATによって特定した。キャンペーン#4については、抗原特異的結合剤を、IL−21R/293一過性細胞を使用してFMATによって特定した。これらの一次スクリーニングは、692個(キャンペーン#3)および128個(キャンペーン#4)の抗原特異的結合剤の特定をもたらした。これらのパネルを、次いで、FACによってRAMOS細胞上での内因性ヒトIL−21Rへの結合について試験した。このスクリーニングにおいて、もともとの692個のキャンペーン#3結合剤のうちの384個、およびもともとの128個のキャンペーン#4の結合剤のうちの58個が、RAMOS細胞に対してある程度検出可能な結合を示した。合わせた442個のIL−21R特異的結合剤のパネルを、さらなる特徴付けのスクリーニングに進めた。
アンタゴニスト活性を有する抗体の一次選択基準は、RAMOS細胞および標識したIL−21リガンドを用いたフローサイトメトリーに基づく受容体−リガンド遮断アッセイであった。二次選択基準は、cyno IL−21Rへの交差反応性結合であった。このアッセイはまた、293Tの表面上に一過的に発現させた全長cyno IL−21Rを使用してフローサイトメトリーによっても行った。これらの2つの選択基準は、サブクローニングおよび規模拡大に進めるための26個の目的のハイブリドーマの特定をもたらした。
cyno IL−21Rに対して機能的アンタゴニズムおよび交差反応性結合を有する3つの抗体を、全長IgG構築物としてサブクローニングし、配列を分析した。これらの抗体は、可溶性免疫原に由来する34H7、ならびに細胞に基づく免疫原に由来する30G3および29G8であった。
クローニングおよび配列分析
30G3軽鎖および重鎖可変領域を、ハイブリドーマ由来の独立したサブクローンからPCR増幅させ、DNAの配列決定を行った。軽鎖可変領域を、κ軽鎖定常領域にクローニングした。γ鎖可変領域を、IgG2定常領域にクローニングした。30G3は、配列分析により、VK3|L27|JK4κ軽鎖可変領域およびVH4|4−59|JH4γ可変領域から構成されると判定された。30G3の重鎖定常領域(CH2)は、1つのN結合型グリコシル化コンセンサス部位を含有していた。完全な分子の理論上のpIは、8.6(プロセシングされた末端による)であると計算され、実験的には8.76と決定された。34H7および29G8をクローニングし、類似の様式で配列分析した。
実施例2:機能的スクリーニング
複数のアッセイを使用して抗体活性を試験した。効力を順位付けるための一次アッセイは、上述のB/T細胞共培養であり、これは、応答するB細胞に近接してT細胞によって産生される天然のIL−21の阻害を伴うためであった。外因性IL−21アッセイもまた使用して、抗体の効力を測定した。IL−21+CD40L刺激を使用して、B細胞由来のIgAを刺激した。IL−21を単独で使用して、CD8 T細胞におけるIFN−γの産生を刺激した。最後に、STAT3リン酸化を、IL−21で刺激した全血において測定した。組み換えIL−21Rでの親和性測定については、BiacoreおよびKinExAの両方を使用した。親和性測定はまた、IL−21Rを発現する細胞株を使用して、フローサイトメトリーによって全細胞に行った。3つのmAbに対するこれらのアッセイの結果を、表2に示す。値は、IL−21活性が50%阻害される濃度(IC−50)をpM(ピコモル)単位で示す。より低い値は、より強力な阻害を表す。親和性測定について、より低い値はここでも、より高い親和性を表す。
アッセイプロトコル
1B/T共培養。マイトマイシンCで処理したヒトT細胞を、Kuchen et al.(2007)J Immunol 179:5886(参照によりその全体が本明細書に組み込まれる)に記載されるように、抗CD3抗体を事前コーティングした96ウェルプレートにおいて、B細胞とともに培養した。6日目に、IgA ELISAのために上清を収集した。
2B細胞IgA産生。負の選択を行ったヒト末梢血B細胞を、IL−21およびCD40Lとともにインビトロで培養した。6日目に、ヒトIgG ELISA分析のために上清を収集した。
3CD8 IFN−γ産生。精製したヒトCD8 T細胞をIL−21とともに培養した。3日目に、IFN−γを上清において測定した。
4全血pSTAT3刺激。ヒトまたはカニクイザルの全血を、IL−21R mAb滴定物とともに37℃で1時間事前インキュベートし、IL−21で刺激した。細胞を固定し、透過処理を行い、pSTAT3および細胞表面マーカーについて染色した。
5細胞に基づくK
D測定。Ramos細胞(ヒトバーキットリンパ腫)を、IL−21R mAbの滴定物とともにインキュベートし、結合した抗体を、フローサイトメトリーによって抗huIgGで検出した。
実施例3:交差競合結合アッセイ
本実施例は、2つの抗体が、ヒトIL−21受容体の細胞外ドメインへの結合に関して交差競合するかどうかを判定するためのアッセイを提供する。
交差競合結合アッセイは、製造業者のプロトコルに従ってBIACORE(商標)3000機器(Biacore International AB,Uppsala,Sweden and Piscataway,N.J)を使用して実行する。組み換えヒトIL−21受容体::FCキメラを、アミンカップリングを使用してCM5バイオセンサーチップのデキストラン層に固定化する。チップは、940 RUのタンパク質密度で、固定化緩衝液としてpH5.0の10mM酢酸緩衝液を使用して調製する。反応しなかったN−ヒドロキシスクシンイミドエステルの脱活性化を、1Mエタノールアミン塩酸塩、pH8.5を使用して行う。精製した抗体または抗体フラグメントを、HBS−EP泳動緩衝液(0.01M HEPES pH7.4、0.15M NaCl、3mM EDTA、0.005%ポリソルベート20)中、50nMの濃度に希釈する。第1の抗IL−21受容体抗体を選択し、次いで、10μL/分の速度で600秒間、フローセル全体に注入する。注入が完了した後、第2の抗IL−21受容体抗体を選択し、10μL/分の速度で600秒間、同じフローセル全体に注入する。(交差競合の陽性対象として、第1および第2の抗体は、同じ抗体であり得る。交差競合の陰性対象として、第1の抗体は、ヒトIL−21受容体に特異的に結合しない抗体であり得る)。センサー表面を、100mM H3PO4(25μL/分)の12秒間の注入により、再生させる。再生した後、第2の抗体を、10μL/分の速度で600秒間フローセル全体に注入する。注入が完了した後、第1の抗体を、10μL/分の速度で600秒間、同じフローセル全体に注入する。第1および第2の抗体は、それぞれが、もう一方の結合をこのアッセイにおいて少なくとも80%低減させた場合、ヒトIL−21受容体への結合に関して交差競合すると称される。