JP2018100910A - ガラス固化体の分解方法及び前記ガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法とその分離装置 - Google Patents

ガラス固化体の分解方法及び前記ガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法とその分離装置 Download PDF

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Abstract

【課題】溶融塩を含まないで、且つ、従来よりも低い温度で還元処理を行うことによってガラスの分解を効率的に行うとともに、処理炉の長寿命化及び処理の安全性の向上を図ることができるガラス固化体の分解方法、及び前記ガラス固化体から高レベル放射性廃棄物を含む各種の化学種及び元素を効率的に、且つ確実に分離できる分離方法とその分離装置を提供する。【解決手段】本発明によるガラス固化体の分解方法は、450℃未満の温度で溶融状態にあり、且つ、溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)の浴に、ガラス固化体を投入することにより、金属Liによる還元反応を利用してガラス固化体の分解を行う。本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法は、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを含むガラス固化体の分解を、前記ガラス固化体の分解方法によって行うことを特徴とする。【選択図】図1

Description

本発明は、金属リチウム(Li)による還元反応を利用してガラス固化体を、従来方法よりも低温で、且つ、効率的に分解できるガラス分解方法、及び該分解方法を利用することによりガラス固化体に長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも1種を簡便な方法で効率的に分離することができる前記ガラス固化体の化学種及び元素の分離方法とその分離装置に関する。
原子力発電所等から出る使用済燃料を再処理する際に発生する高レベル放射性廃棄物(HLW)は、ホウケイ酸塩ガラスに充填された後、安定なガラス固化体として加工されたうえで地層処分されることになっている。しかしながら、前記ガラス固化体にはHLWとして長い半減期を有する核分裂生成物(FP)や発熱性の高いFPが含まれているため、前記ガラス固化体を処分し、長期間にわたり管理するための処分場の確保が必要である。
このガラス固化体については、原子力発電の継続に伴い、今後数量が増加する傾向にあるため、発生本数を可能な限り抑制するだけでなく、限られた地層処分場の空間を効率的に、かつ、有効に活用していく必要がある。このような観点から、将来発生するガラス固化体は、数量の減少も含めてより一層の減容化と放射線量の低減化を図ることが求められている。
そこで、現状のガラス固化体を用いて処理する際、ガラス固化体中の長寿命核分裂生成物(LLFP)を分離する方法が確立できれば、HLWを長期間保管する必要もなくなるため、ガラス固化体の管理が極めて容易になり、その減容化も同時に行うことができる。そのような分離方法を利用することにより、将来的に、コスト的に有利になるだけでなく、環境的にも優れる原子力利用システムを構築することが可能になる。そのため、ガラス固化体中から長寿命核分裂生成物(LLFP)を分離する方法の確立に対して大きな期待が寄せられている。
従来から、ガラスを分解する方法については様々な提案及び検討がなされている。例えば、フッ化水素酸を用いてガラスを分解する方法、ガラスの溶融剤として炭酸ナトリウムやホウ酸を用いて高温(例えば900〜1000℃)でガラス溶融を行うアルカリ溶融法、及び炭素を用いてガラス成分を還元する炭素熱還元法等が知られている。しかしながら、これらの方法は、腐食性の高いフッ化水素酸の使用、2次廃棄物量の問題、又は高温環境下での還元反応等により、コスト、安全性及び環境負荷の点でそれぞれいくつかの問題を抱えており実用化が進んでいないのが現状である。
したがって、そのような問題を解決するため、特許文献1には、ガラス固化体を保持させた保持容器内に、溶融塩と還元剤とを添加することにより、ガラス固化体を容易に分解する方法が提案されている。そして、前記特許文献1には、前記溶融塩及び還元剤としてそれぞれLiCl−KCl及び金属リチウムを使用することが具体的に記載されている。
また、適用分野が異なるものの、特許文献2には、ウラン、プルトニムおよびマイナーアクチニドの酸化物を溶融塩中で還元剤である金属リチウムと反応させてウラン、プルトニムおよびマイナーアクチニドの金属に還元する方法が開示されている。
特開2016−90341号公報 特許第3763980号公報
しかしながら、上記特許文献1及び2に開示されている金属リチウムによる還元方法は、溶融塩と還元剤とを共存させ、両者を溶解させた状態で行う必要があるため、ガラス固化体を保持させる保持容器の温度を高くする必要がある。例えば、上記特許文献1には、融点が比較的低い溶融塩であるLiCl−KCl(融点:352℃)を使用する場合でも、保持容器を450℃の高温で加熱してガラスを分解する方法が開示されている。前記保持容器は還元処理炉として使用されるものであるが、450℃の高温で行う場合は還元処理炉が長期間の使用に耐えきれず、処理炉の交換及び保守点検と補修を行う頻度が高くなることが避けられない。加えて、処理炉の亀裂や破損等により突発的に事故が発生するリスクが高く、安全性及び環境負荷の点からも問題がある。
また、上記特許文献1及び2に記載の発明で使用される溶融塩は、例として金属ハロゲン化物が挙げられており、ハロゲン化物は還元処理炉を腐食しやすいという問題がある。特に、還元処理炉の内部にわずかな水と酸素が存在する場合は、腐食が長時間にわたって継続し、さらに高温で加熱される場合には腐食が加速される。それによって還元処理炉の寿命が大幅に低下するだけでなく、使用中に処理炉の亀裂や破損等が発生するという問題が発生しやすくなる。
また、溶融塩は、還元処理後において不要物である2次廃棄物として取り扱われるのが一般的である。溶融塩を2次廃棄物として処理する際にはその手間と費用が、また、溶融塩を再利用する場合でも再処理工程とそれを行うためのコストが必要となる。さらに、金属ハロゲン化物の処理は、環境面での負荷が高くなるという問題を考慮しなければならなかった。
本発明は、係る問題を解決するためになされたものであり、ガラス分解処理後に不要な2次廃棄物となる溶融塩を含まないで、かつ、従来よりも低い温度で還元処理を行うという簡便な方法によってガラス固化体の分解を効率的に行うとともに、処理炉の長寿命化及び処理作業と処理装置の安全性の向上を図ることができるガラス固化体の分解方法を提供することを目的とする。また、前記ガラス固化体の分解方法を利用することにより、前記ガラス固化体から高レベル放射性廃棄物(HLW)を含む各種の化学種及び元素を効率的に、且つ、確実に分離できる分離方法とその分離装置を提供することを目的とする。
本発明者は、上記の課題を解決するために、金属還元剤の中で融点が180.5℃と比較的低い金属リチウムに着目し、該金属リチウムが溶融塩と共存させない状態でも450℃未満の低温でガラス固化体の分解を促進できるだけの十分な還元作用を有することを見出し本発明に到った。
すなわち、本発明の構成は以下の通りである。
[1]本発明は、450℃未満の温度で溶融状態にあり、且つ、溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)の浴に、ガラス固化体を投入することにより、前記金属リチウム(Li)による還元反応を利用して前記ガラス固化体の分解を行うことを特徴とするガラス固化体の分解方法を提供する。
[2]本発明は、前記溶融状態にある金属リチウム(Li)の浴の温度が200〜400℃であることを特徴とする前記[1]に記載のガラス固化体の分解方法を提供する。
[3]本発明は、前記溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)の浴へ不活性ガスを導入しながら前記金属リチウム(Li)による還元反応を行うことを特徴とする前記[1]又は[2]に記載のガラス固化体の分解方法を提供する。
[4]本発明は、前記溶融状態にある金属リチウム(Li)による還元分解反応によって生成する前記ガラス固化体の還元物を、前記溶融状態にある金属リチウム(Li)の一部又は全部とともに、前記金属リチウム(Li)及び前記還元物が含まれる槽の底部から取り出して分離することを特徴とする前記[1]〜[3]のいずれか一項に記載のガラス固化体の分解方法を提供する。
[5]本発明は、前記ガラス固化体が、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを含むガラス固化体であることを特徴とする前記[1]〜[4]のいずれか一項に記載のガラス固化体の分解方法を提供する。
[6]本発明は、前記[5]に記載のガラス固化体の分解方法によって前記長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを含むガラス固化体を分解する分解工程と、前記分解工程によって生成される揮発性元素化学種として生成される元素を回収する揮発性化学種回収工程、及び前記分解工程によって生成される前記ガラス固化体の還元物に、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種、及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種の元素を分離回収する分離回収工程、の少なくとも何れかの回収工程と、を有するガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法を提供する。
[7]本発明は、前記分離回収工程が、前記還元物に長寿命核分裂化学種として含まれるジルコニウム(Zr)及びランタノイド系化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種をリン酸塩転換材と反応させて不溶性のオルソリン酸塩として沈殿させるリン酸塩沈殿工程を有することを特徴とする前記[6]に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法を提供する。
[8]本発明は、前記分離回収工程が、前記リン酸塩沈殿工程と、さらに、前記不溶性のオルソリン酸塩を、前記ガラス固化体の還元物及び前記溶融状態にある金属リチウム(Li)が含まれる融体とともに取り出した後、リン酸塩分離筒又はセラミックフィルタを用いて前記融体の固液分離を行うことにより回収するリン酸塩回収工程と、を有することを特徴とする前記[7]に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法を提供する。
[9]本発明は、前記分離回収工程が、前記ガラス固化体の還元物に白金族化学種として含まれる元素を、溶融した金属溶媒と接触させ合金化することにより、前記ガラス固化体の還元物から分離して回収する白金族元素回収工程を有することを特徴とする前記[6]〜[8]のいずれか一項の記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法を提供する。
[10]本発明は、前記金属溶媒に合金化した白金族化学種として含まれる元素を、蒸留法又は電解精製法により前記金属溶媒と分離して回収する工程を有する前記[9]に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法を提供する。
[11]本発明は、前記金属リチウム(Li)による前記ガラス固化体の分解後、前記金属リチウム(Li)及び前記ガラス固化体の還元物が含まれる槽の温度を、前記金属リチウム(Li)の溶融温度よりもさらに高くすることにより、前記揮発性化学種の揮発を促進させて前記揮発性化学種回収工程を行うことを特徴とする前記[6]〜[10]のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法を提供する。
[12]本発明は、前記揮発性化学種回収工程が、前記揮発性化学種をコールドトラップ又はケミカルトラップできる回収筒の1段又は直列に連結した2段以上を用いて、前記揮発性化学種を分離及び回収する工程を有することを特徴とする前記[6]〜[11]のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法を提供する。
[13]本発明は、前記揮発性化学種回収工程において、分離回収化学種として揮発性のSe及びCsの少なくとも何れかの元素を回収するための回収筒と、必要に応じて前記分離回収化学種以外の分離対象外物質を回収するための回収筒とを用いて、前記揮発性化学種の分離及び回収を行うことを特徴とする前記[12]に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法を提供する。
[14]本発明は、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを含むガラス固化体を、溶融状態にある金属リチウム(Li)による還元反応を利用して分解することにより、前記ガラス固化体から長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを分離するための装置であって、
ガラス固化体を供給するためのガラス供給槽と、
溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)を有し、前記金属リチウム(Li)を溶融状態にするための加熱機能を有するガラス固化体溶解槽と、
前記溶融状態の金属リチウム(Li)の還元分解反応によって揮発性化学種として生成される元素を回収する回収筒、及び前記還元分解反応によって生成される前記ガラス固化体の還元物に、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種、及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種を分離回収するための分離回収装置の少なくとも何れかと、
を有することを特徴とするガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置を提供する。
[15]本発明は、前記ガラス固化体溶解槽が、不活性ガス導入手段を備えることを特徴とする前記[14]に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置を提供する。
[16]本発明は、前記分離回収装置が、リン酸塩転換材供給槽と、リン酸塩沈殿槽と、リン酸塩分離筒とを有することを特徴とする前記[14]又は[15]に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置を提供する。
[17]本発明は、前記分離回収装置が、白金族化学種として含まれる元素を分離回収するための金属溶媒供給槽と、白金族元素分離槽と、白金族元素回収槽とを有することを特徴とする前記[14]〜[16]のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置を提供する。
[18]本発明は、前記ガラス固化体溶解槽が、前記金属リチウム(Li)による前記ガラス固化体の分解後、前記金属リチウム(Li)の溶融温度よりもさらに高温に加熱できる機能を有することを特徴とする前記[14]〜[17]のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置を提供する。
[19]本発明は、前記ガラス固化体溶解槽に対して下流側に、前記金属リチウム(Li)の溶融温度よりもさらに高温に加熱するためのガラス固化体加熱槽を連結させることを特徴とする前記[14]〜[17]のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置を提供する。
[20]本発明は、前記揮発性化学種を回収する回収筒が、前記揮発性化学種をコールドトラップ又はケミカルトラップできる回収筒の1段又は直列に連結した2段以上を有することを特徴とする前記[14]〜[19]のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置を提供する。
[21]本発明は、前記揮発性化学種を回収する回収筒が、分離回収化学種として揮発性のSe及びCsの少なくとも何れかの元素を回収する回収筒と、必要に応じて前記分離回収化学種以外の分離対象外物質を回収するための回収筒と、を有することを特徴とする前記[20]に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置を提供する。
[22]本発明は、前記ガラス固化体から、前記の揮発性化学種、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種、及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種の元素を分離した後に取出される前記ガラス固化体の還元物を回収するための回収槽を、前記ガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置の最後尾に設けることを特徴とする前記[14]〜[21]のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置を提供する。
本発明によるガラス固化体の分解方法は、融点の低い金属リチウムを還元剤として使用し、前記還元剤の単独で還元処理を行うことにより、ガラス分解処理後に不要な2次廃棄物となる溶融塩を含まないで、かつ、簡便な方法で従来よりも低い温度でガラス固化体の分解を効率的に行うことができる。さらに、還元処理温度が低いため、処理炉の長寿命化及び処理作業と処理装置の安全性の向上を図ることができる。また、溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)の浴に不活性ガスを導入することにより、金属リチウム(Li)の単独でも還元反応が促進するため、ガラス固化体の分解を効率的に行うことができる。加えて、不活性ガスの導入は、前記浴として使用する処理炉の腐食を抑える効果が得られる。
本発明によるガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法は、本発明のガラス固化体の分解方法を利用することにより、前記ガラス固化体から高レベル放射性廃棄物(HLW)を含む各種の化学種及び元素を効率的に、且つ、確実に分離できる。また、本発明の分離装置は、本発明のガラス固化体の分解方法を利用した装置の構成であるため、ガラス固化体の分解を行うための装置を簡便に低コストで構成することができる。さらに、前記ガラス固化体の分解装置と、前記溶融状態の金属リチウム(Li)の還元分解反応によって揮発性化学種として生成される元素を回収する回収筒、及び前記還元分解反応によって生成される前記ガラス固化体の還元物(スラグ)に、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種、及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種を分離回収するための分離回収装置の少なくとも何れかと組み合せることにより、ガラス固化体から高レベル放射性廃棄物(HLW)を含む各種の化学種及び元素を効率的に、且つ、確実に分離できる装置を構築することができる。それにより、将来的に、高レベル放射性廃棄物(HLW)が含まれるガラス固化体の数量が増えても十分に対応することができ、コスト的に有利で、且つ、環境的にも優れる原子力利用システムを構築することが可能になる。
本発明によるガラス固化体の分解方法及びガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法の工程を示す模式図である。 本発明のリチウム還元工程及び該リチウム還元工程で使用するガラス固化体溶解槽を示す図である。 本発明の揮発性化学種回収工程を示す概略図である。 本発明の長寿命分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の分離回収工程を示す概略図である。 本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置において、ガラス固化体溶解槽と揮発性化学種回収筒とを組合せた例を模式的に示す図である。 本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置において、ガラス固化体溶解槽と揮発性化学種回収筒とを組合せた例の変形例を模式的に示す図である。 本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置において、ガラス固化体溶解槽とリン酸塩分解回収装置とを組合せた例を模式的に示す図である。 本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置において、ガラス固化体溶解槽と白金族元素分離回収装置とを組合せた例を模式的に示す図である。 本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置の全体構成を模式的に示す図である。 本発明の実施例1においてガラス固化体の分解について予備評価を行ったときの実験方法を示す概略図である。 本発明の実施例1において各温度で分解処理を行った後のガラス試験片の外観写真を示す図である。 本発明の実施例1において分解処理後のガラス試験片の重量減少率を浸漬時間に対してプロットした図である。 本発明の実施例1において分解の反応速度定数の対数を加熱処理の絶対温度の逆数に対してプロットした図である。 本発明の実施例2においてガラス固化体に含まれるCsの回収方法について予備評価を行ったときの実験方法を示す概略図である。
本発明のガラス固化体の分解方法は、溶融状態にある金属リチウムを用いて、ガラスを構成している酸化物を還元することによりガラスの網目構造を分断し、ガラスを分解するというメカニズムに基づいて行うものである。そして、前記特許文献1に記載の方法において実用化の妨げとなっていた金属リチウム還元分解反応の低温化及び二次廃棄物の発生量の低減という技術課題を解決するため、可能な限り低い温度で、且つ、分解反応後に二次廃棄物となる溶融塩を使用しないでリチウムによる還元分解反応を行う点に特徴を有する。
すなわち、本発明は、450℃未満の温度で溶融状態にあり、且つ、溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)の浴に、ガラス固化体を投入することにより、前記金属リチウム(Li)による還元反応を利用して前記ガラス固化体の分解を行うガラス固化体の分解方法である。金属リチウムは融点が180.5℃であり、且つ、融点が高い溶融塩を使用しないため、前記浴の温度を450℃未満とすることができる。さらに、還元反応後のLiO(比重:2.013)を、溶融リチウム(比重:0.534)との密度差を利用し、他の還元された元素及びその酸化物(ガラス固化体を構成する元素及びその酸化物)とともに前記炉の底部に沈降させ取り出す。それにより、溶融状態にあるリチウムと分離して回収することができる。したがって、本発明のガラス固化体の分解方法は、従来技術と異なり、リチウム還元反応によって生成するLiOを吸着し、溶融塩相として分離するために使用されていた溶融塩を併用する必要がない。回収後のLiOは、ガラス固化体を構成する元素及びその酸化物と同様に、ガラス原料としてリサイクルすることができる。また、ガラス固化体を構成する元素及びその酸化物とは別に、LiOだけを分離回収して、溶融塩電解法、晶析法及び蒸留法の少なくとも一つの方法によって金属リチウムに還元した後、本発明のガラス固化体の分解方法に再利用してもよい。
本発明で使用する金属リチウムは、前記浴の温度を450℃未満に加熱して溶融状態で使用されるが、ガラス固化体を可能な限り低い温度で分解するため、金属リチウム(Li)の浴の温度は200〜400℃であることが好ましい。リチウム還元反応は、前記浴の温度が400℃以下であっても十分に進むことを確認している。他方で、前記浴の温度が200℃未満であると、金属リチウムの融点である180.5℃に近づくため、還元反応の低下が顕著になる。本発明においては、実用化のために従来技術より低温でリチウム還元反応を促進させるため、前記浴の温度を300〜400℃の温度範囲で加熱するのがより好ましい。前記浴の温度の設定は、一つの温度に固定する方法には限定されず、例えば、200〜400℃の温度範囲内で連続的に、又は段階的に温度を高くするように設定して加熱を行ってもよい。
本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法は、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを含むガラス固化体を分解するときに発生する揮発性化学種、及び分解した後に生成されるガラス成分からそれら化学種を分離して取り出す方法に関するものであり、ガラス固化体を分解するときに上記のガラス固化体の分解方法を利用することを特徴とする。本発明において、ガラス固化体からの化学種及び元素の分離対象とする長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種は、セシウム(Cs)、セレン(Se)、ジルコニウム(Zr)及びパラジウム(Pd)の群から選ばれる少なくともいずれか一種元素であり、これらの元素の他にも、ランタノイド元素(Ln)及びPd以外の白金族元素の分離が可能である。また、ガラス固化体の分解時に揮発性化学種としてセシウム(Cs)及びセレン(Se)とともに発生するLi、Na、Rb等の元素も本発明の分離方法によって分離することができる。これらLi、Na、Rb等の元素はSe及びCsと比べると放射壊変上の安全性が高いため、本発明の分離方法においては、とりあえず分離対象外物質とみなして回収を行う。
本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法によって分離される長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れかは、最終的に安全な場所に隔離して保管されるか、又は安定核種や短寿命各種に変換する処理が行われる。
本発明によるガラス固化体の分解方法及びガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法を図を用いて説明する。図1に、本発明によるガラス固化体の分解方法及びガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法の工程を模式的に示す。
図1に示すように、まず、ガラス固化体を溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)の浴に投入し(S1)、ガラス固化体の分解方法としてリチウム還元工程(S2)及びガラス固化体の還元物の取出し及び分離工程(S3)によってガラス固化体の分解を行う。S3の取出し及び分離工程において、還元反応後に生成するLiO(密度:2.013g/cm)は溶融Li(密度:0.534g/cm)との密度差によりガラス固化体から還元によって分解された他の元素(分解物)とともに金属リチウム(Li)の浴の底部に沈降するため、両者の密度差を利用することにより、溶融している金属Liとは別にLiO及び分解物を回収することができる。図1において点線で囲むS2とS3の工程が、本発明のガラス固化体の分解方法を行うために基本的に構成される工程である。
リチウム還元工程においてガラス固化体を450℃未満で溶解し還元を行っている最中に、溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)の浴から揮発する化学種、例えば、放射性のセシウム(Cs)及びセレン(Se)等を揮発性化学種回収工程によって回収する(S4)。このS4の工程は、ガラス固化体に含まれる長寿命核生成物(LLFP)の中で、S2のリチウム還元工程において発生する揮発性化学種を回収するものであり、本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法の一部を構成する。
一方、S2のリチウム還元工程でガラス固化体を分解した後、S3の工程で取出し分離されるガラス固化体の還元物は、分離回収工程(S5)において長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種、及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種の元素の分離回収を行う。分離回収工程S5において、長寿命核分裂化学種及びランタノイド系化学種として含まれる元素の少なくとも1種は、リン酸塩沈殿工程(S51)及びリン酸回収工程(S52)によって分離回収される。また、白金族化学種として含まれる元素は、白金族元素分離工程(S53)及び白金族元素回収工程(S54)によって分離回収される。分離回収工程(S5)において、S53及びS54の工程は、基本的にS51及びS52の工程と独立して行うことができる。また、長寿命核分裂化学種及びランタノイド系化学種とともに、白金族化学種として含まれる元素を連続した工程で分離回収してもよい。その場合は、図1において矢印で示すように、一点鎖線で囲んだS53及びS54の工程を、S51及びS52の工程の後に行うことが好ましい。
図1において、二点鎖線で囲んだ揮発性化学種回収工程(S4)及び分離回収工程(S5)が、本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法を行うために基本的に構成される工程である。本発明の分離方法によって分離された化学種又は元素は、別途、隔離場所に集めて放射線が漏れないように厳重に保管する。また、前記の分離された化学種又は元素は、安定核種や短寿命核種に変換する方法によって放射線量の低減を行ってもよい。これらの方法により、放射性物質を含むガラス固化体は、数量の減少も含めてより一層の減容化を図ることができる。
最終的に、S52又はS54の各工程の後に取出された前記ガラス固化体の還元物を回収する(S6)。回収された還元物は、廃棄するか、又はガラス原料として再利用する(S7)。廃棄又は再利用を行う際には、あらかじめ回収された還元物の放射線量の測定を行い、放射量が許容値以下であることを確認してから行う。仮に、放射量が許容値を超える場合は、再度、ガラス固化体の一部としてS1の工程に戻し、図1に示す各工程に従って放射線量が許容値以下まで低減するまで分離回収操作を行ってもよい。
図1において、S51〜S54の各工程を有する分離回収工程(S5)による処理を行わない場合、S3の工程において取出し及び分離した後のガラス固化体の還元物は、そのままS6の回収工程で回収してもよい。
以下、図1に示す各工程を図2〜図4によって詳細に説明する。
[リチウム還元工程]
本発明のリチウム還元工程S1は、図2に示すように、溶融状態にある金属リチウム(Li)の浴としてガラス固化体溶解槽1を用いて行う。ガラス固化体溶解槽1は、基本的に、ガラス固化体を供給するためのガラス供給槽2と、溶融状態にある金属リチウム(Li)3を撹拌するための攪拌機4と、金属リチウムを溶融状態にするため、槽の全体又は少なくとも金属リチウム3が存在する槽又は配管の部分に配置される加熱装置5とを有する。ガラス固化体溶解槽1の底部には、リチウムによる還元分解反応によって生成するガラス固化体の還元物を取出すため、バルブ6を有する還元物取出し口7を設ける。ここで、攪拌機4は、ガラス固化体の還元分解を効率的に行うために使用される。また、ガラス固化体溶解槽1の上部は、溶融リチウムによる還元分解中にガラス固化体から発生する揮発性化学種を回収するため開口部分を有し、前記開口部分は揮発性化学種回収用配管8と繋がっている。
ガラス固化体溶解槽1は、さらに、溶融状態にある金属リチウム単独によるガラス固化体の還元反応を促進させるため、不活性ガス導入用配管9を備えるのが実用的である。本発明において、ガラス固化体の分解処理量が少ない場合、又は処理速度が遅い場合には、必ずしも窒素、アルゴン及びヘリウム等の不活性ガスをガラス固化体溶解槽1の内部に導入する必要はないが、大量のガラス固化体の連続的な分解処理を行う場合には、溶融塩が含まれない金属リチウムによるガラス固化体の還元反応を迅速に、且つ、効率的に行うために不活性ガスの導入が必要となる。
また、不活性ガスのガラス固化体溶解槽1の内部への導入は、還元分解反応の促進の他にも、ガラス固化体溶解槽1の材質として一般的に使用されるステンレス鋼の腐食防止又は腐食抑制に対して大きな効果が得られる。本発明者が代表的なステンレス鋼であるSUS304のリチウムによる腐食の程度を熱力学的に検討したところ、SUS304の不動態被膜として知られている酸化クロム槽は、リチウムによって破壊される可能性が大きいことが分かった。しかしながら、酸素が介在しない場合は、リチウムがSUS304を形成している金属(Fe、Cr、Ni)と反応しないので、被膜がなくなっても金属面でガラス固化体溶解槽1の健全性を維持できる。すなわち、空気や水分が存在する雰囲気で酸化クロムの被膜が破壊される場合は、下部層のCrが酸素や水分と反応し新たな被膜を形成するが、ガラス固化体溶解槽1の内部を不活性ガス雰囲気で行うことにより、そのような新たなCrの消費が起こらず、金属表面が反応しない状態で存在させることができる。それにより、ガラス固化体溶解槽1は腐食が防止又は抑制される。
図2に示すガラス固化体溶解槽1において、溶融状態にある金属リチウム(Li)の還元反応を利用して分解生成する前記ガラス固化体の還元物は、底部に配置した還元物取出し口7から取り出して分離される。上記で述べたように、この還元物は、図1に示すS6の工程で直接回収するか、又は、ガラス固化体に含まれる揮発性化学種、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種、及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種を分離する場合には、連続した工程として、図1に示すS4の揮発性化学種回収工程及びS5の分離回収工程の少なくともいずれかの工程に送られる。ここで、ガラス固化体溶解槽1において溶融状態にある金属リチウム(Li)は、一部が自動的に前記ガラス固化体の還元物とともに、還元物取出し口7から取り出されることになる。前記ガラス固化体の還元物及び還元反応後のLiOの取出し及び分離は、溶融状態の金属リチウムとの密度差を利用して行われるが、金属リチウムを、ガラス固化体の還元物及び還元反応後のLiOと完全に分離して取出すことは困難である。LiOを前記還元物から完全に分離するため新たな工程を追加して取り出すことも可能であるが、その場合はコスト的に不利になる。
前記ガラス固化体の還元物(スラグ)及び還元反応後のLiOとともに取り出される金属リチウムは、図1に示すS6の工程後、例えば、融点の差を使用した濾過法や晶析法等により前記ガラス固化体の還元物及び還元反応後のLiOと容易に分離することができる。分離した金属リチウムは、S2の工程に戻して再利用してもよい。このように、金属リチウムは容易に分離して再利用できるため、ガラス固化体溶解槽1にある金属リチウム(Li)の全部を、ガラス固化体の還元物及び還元反応後のLiOとともに、還元物取出し口7から取り出すこともできる。ガラス固化体の分解方法をバッチ式で行う場合、その方法によってバッチごとに新しい金属リチウムを使用することができるため、還元反応を利用したガラス固化体の分解を効率的に行うことができる。
[揮発性化学種回収工程]
図3は、本発明の揮発性化学種回収工程(S4)を示す概略図である。図3に示すように、ガラス固化体溶解槽1を用いて行うガラス固化体の還元溶解において、分解生成される一部の元素は450℃未満の温度(T0)で還元中に揮発する。例えば、揮発性化学種であるSe及びCsは、それぞれ431℃及び350℃において1kPaの蒸気圧を有する。ガラス固化体のリチウム還元工程(S2)においてガラス固化体溶解槽1の温度(T0)を450℃未満で加熱するとき、開放系において回収目的とするSe及びCsの元素が十分に揮発する。ここで、揮発する各元素は、図3に示す揮発性化学種回収工程(S4)において回収することができる。
揮発性化学種回収工程(S4)による回収の方式は、ケミカルトラップ方式でもよいし、フィンアンドチューブ方式でもよい。ケミカルトラップ方式の場合は、充填材として、例えばゼオライト等を使用することができる。充填材は使用後に廃棄物となるため、この廃棄物の発生量を抑制した場合には、コールドトラップ方式による回収方式を採用する。
図3に示す揮発性化学種回収工程(S4)は、コールドトラップ方式による回収方法の例を示しており、揮発性化学種の種類ごとに回収が可能な回収筒10、11及び12を配置して行う。このとき、回収筒10、11及び12は、例えば回収する化学種の融点に応じて、その温度が高い順から低い順に運転温度をT1、T2及びT3に設定する。すなわち、T1>T2>T3で運転温度を設定する。ここで、回収筒10、11及び12による揮発性化学種の回収は乾式法で行うことができるが、揮発性化学種を溶解させることができる液体を用いて湿式法によって行ってもよい。
図3において、ガラス固化体溶解1に最も近い位置で配置する回収筒10は、Seの回収を行うために使用する。回収筒10の運転温度T1は、Seの融点(220.5℃)より低い150〜200℃に設定する。それにより、Seは回収筒10で回収することができる。他方、Seよりも低い融点を有する揮発性化学種は回収筒10で回収されず、T1より低いT2及びT3の運転温度に保たれる回収筒11及び12で回収されることになる。例えば、揮発性化学種であるCsは融点が28.5°であるため、その温度より低い温度に設定した回収筒を用いてCsの回収を行うことができる。Csの回収は、図3において、運転温度T3を好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃まで冷却した回収筒12で行うことによって効率的に行うことができる。また、回収筒12による回収段階では湿式法を採用することにより、Csを溶解する水やpHを調整したアルカリ水等や酸性水等を用いて回収を効率的に行うことができる。その場合は回収筒12の運転温度T3を10℃以下に設定する必要がなく、室温においてもCsの回収を行うことができる。
図3に示す回収筒11は、Se及びCsの他に、ガラス固化体溶解槽1を加熱するときの温度で揮発する元素を回収するために配置するものである。これら他の元素としては、例えば、Li、ナトリウム(Na)等のアルカリ金属及びルビジウム(Rb)等が挙げられるが、T2の運転温度の設定条件によってはSeが含まれることもある。回収筒11の運転温度T2としては、温度T1と温度T3との間の温度、例えば35℃に設定するが、30〜100℃の温度範囲であればこれらの元素の回収が可能である。なお、Li、ナトリウム(Na)、ルビジウム(Rb)等の元素はSe及びCsと比べると相対的に放射壊変上の安全性が高く、本発明の揮発性化学種回収工程(S4)において分離対象外物質として扱うため、場合によっては回収筒11を省略してもよい。
上記コールドトラップ方式で回収する元素において、Seの場合は、その融点以上の温度に加熱して液体として抜き取ることができる。また、Csの場合は、同様に、その融点以上に加熱して液体として抜き取るか、または、Csを吸着材に吸着させてから抜き取る方法を採用してもよい。
図3に示すS4の工程において揮発性化学種の回収をケミカルトラップ方式によって行う場合は、揮発性化学種の種類に応じて固有の吸着性能を有するゼオライト、アルミナ及び粘土等の吸着剤を選択し、回収筒11、12及び13の内部にそれぞれ充填したものを吸着機能を有するケミカルトラップ用の回収筒として使用する。
図3に示す回収例は、回収筒を2以上で用いることにより、複数の揮発性化学種を回収することを目的にしているが、本発明の分離回収法において特定の揮発性化学種の1種を回収する場合には、使用する回収筒の数は1つでもよい。
[リン酸塩沈殿工程とリン酸線回収工程]
図4に、本発明の長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種として含まれる元素の分離回収工程の概略をまとめて示す。図1に示すように、S3の工程により分離されたガラス固化体の還元物には、ガラスの構成元素及び該元素の酸化物の他に、ジルコニウム(Zr)、ランタノイド(Ln)元素、白金族元素が残留している。これらの元素は、S4の工程において揮発性化学種を除去した後のガラス固化体の還元物にも残留する。図4に示すように、これらの元素の中でZrとLn元素は、リン酸塩沈殿工程(S51)及びリン酸回収工程(S52)により分離することができる。
リン酸塩沈殿工程(S51)では、ガラス固化体の還元融解によって生成する還元物の融体をリン酸塩沈殿槽に送液した後、リン酸塩転換材を前記酸塩沈殿槽に供給して添加することによりリン酸塩沈殿を行う。リン酸塩転換材としては、例えば、五酸化リン(P)又はリン酸三リチウム(LiPO)やリン酸三カリウム(KPO)等のリン酸塩を使用する。また、Zn又はランタノイド(Ln)元素は、これらのリン酸塩転換材と反応し、不溶性のオルソリン酸塩を生成する。Pは、ほとんどの物質をオルソリン酸塩に転換するが、選択的にリン酸塩を沈殿させたい場合はLiPOやKPOを使用することが好ましい。さらに、長寿命核分裂化学種の一つであるウランが含まれる場合は、LiPOの添加によりリン酸塩として沈殿分離することができる。また、酸化プルトニウムを分離する場合は、Pを添加することによりPu(POを生成させて沈殿分離することができる。
リン酸塩分離を行った後のガラス固化体の還元物は、そのままS6の工程によって回収してもよいし、連続した工程で白金族の分離及び回収を行う場合は、図4の点線矢印で示すように白金族元素分離工程(S53)に移送してもよい。
このようにして沈殿したオルソリン酸塩は、リン酸塩沈殿槽から還元物の融体とともに抜出し、リン酸塩回収工程(S52)に設置しているリン酸塩分離筒の金属又はセラミックフィルタ等を用いて固液分離を行いリン酸塩の分離を行う。その後、リン酸塩の受入を行うことにより、Zrとランタノイド(Ln)元素を還元物の融体から分離する。
[白金族元素分離工程と白金族元素回収工程]
ガラス固化体の還元物に含まれる白金族元素は、白金族元素分離工程(S53)により分離された後、白金族元素回収工程(S54)によって回収することができる。図4に示す白金族元素分離工程(S53)において、ガラス固化体の還元融解により生成する還元物の融体を白金元素分離槽に送液した後、溶融した金属溶媒を前記白金元素分離槽に供給して前記還元物と接触させる。白金族元素は、主に合金の形態で溶融金属溶媒層に含まれるようになるため、ガラス融体層から区別して分離することができる。前記溶融した金属溶媒としては、例えば、銅(Cu:融点1085℃)、ニッケル(Ni:融点1455℃)、亜鉛(Zn:融点420℃)、スズ(Sn:融点232℃)及びカドニウム(Cd:融点321℃)等が挙げられる。これらの金属溶媒は単独で、又は2種以上を混合して使用することができる。これらの溶融金属の中で、例えば、銅は白金族元素と面心立方格子構造(FCC)を、Znの場合は、体心立方格子構造(BCC)、FCC、正方晶系(Tetragonal Crystal System)、PdZnを、また、Snの場合はPdSn、PdSn、Pd3Sn、Pd20Sn13等の合金を形成するため分離可能である。
白金族元素分離工程(S53)において合金化された金属溶媒の中で、例えば、Cu合金は電解精製法によって、また、Cu合金以外の合金については蒸留法を用いて、それぞれ白金族分離槽において白金族元素を回収することができる。この工程が、図4に示す白金族元素回収工程(S54)に相当する。この白金族元素回収工程(S54)において白金族元素が回収された後に残存する溶融金属は、白金族元素工程(S53)で使用する金属溶媒として再利用してもよい。また、白金族元素分離工程(S53)において分離するガラス融体層は、ガラス成分としてガラス成分回収槽によって回収され、ガラス材料としてリサイクルすることにより廃棄物の発生量を抑制することができる。
図4に示す白金族元素分離工程(S53)及び白金族元素回収工程(S54)で行う処理は、リチウム還元工程(S2)によって生成するガラス固化体の還元物を使用するだけでなく、図4の点線矢印で示すように、リン酸塩分離を行った後のガラス固化体の還元物を使用してもよい。その場合は、S51及びS52の工程を有するリン酸塩分解回収工程の後に、連続した工程で白金族の分離及び回収を行うことができる。
[ガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置]
次に、本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置について図5〜図9を用いて説明する。本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置は、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを含むガラス固化体を、溶融状態にある金属リチウム(Li)による還元反応を利用して分解することにより、前記ガラス固化体から長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを分離するための装置であって、前記ガラス固化体を供給するためのガラス供給槽と、溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)を有し、前記金属リチウム(Li)を溶融状態にするための加熱機能を有するガラス固化体溶解槽と、前記溶融状態の金属リチウム(Li)の還元分解反応によって揮発性化学種として生成される元素を回収する回収筒、及び前記還元分解反応によって生成される前記ガラス固化体の還元物に、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種、及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種を分離回収するための分離回収装置の少なくとも何れかと、を有する。
本発明の分離装置の一つの例として、ガラス固化体溶解槽と揮発性化学種回収筒とを組合せるときの構成の模式図を図5に示す。図5に示す分離装置は、基本的に図2に示すガラス固化体溶解槽1及び一種又は複数の揮発性化学種を一つの工程で回収できるように一つ又は複数の回収筒を有する。図5には、複数の揮発性化学種を回収するため、回収筒を複数配置する例を示している。
図5に示す分離装置は、固化体溶解槽1と、ガラス供給槽2と、撹拌機4と、溶融塩が含まれない金属リチウム3を溶融状態にするために加熱する加熱装置5と、還元物取出しをバルブ6によって行う還元物取出し口7とを有する。また、金属リチウムによるガラス固化体の還元反応を促進するため、不活性ガス導入用配管9を備える。
溶融状態にある金属リチウムによる還元分解中に生成する揮発性化学種は、固化体溶解槽1の上部に位置する開口部から揮発性化学種回収用配管8を通過した後、複数の回収筒で回収される。ここで、回収筒10はSe回収のために、また、回収筒12はCs回収のために使用される。図5に示す記号(▼)及び記号(□)は、それぞれ模式的にSe及びCsを意味したものである。なお、図5には、図3に示す回収筒11が記載されていないが、Se及びCsの他にもLi、ナトリウム(Na)、ルビジウム(Rb)等の分離対象外物質を回収する場合は、図3に示すように、回収筒10と12との間に回収筒11を挿入させる形で設けてもよい。
Se及びCsの回収を行うときに選択する運転温度T1及びT3は図3に示す工程で説明したように、T1>T3に設定する。その際、運転温度T1は150℃以上に加熱する必要があるため、回収筒10は加熱装置を用いて自動的に温度調整する。一方、Csの回収を行う回収筒12は運転温度T3を室温以下、好ましくは10℃以下、より好ましくは0℃以下にまで設定する必要があるため、冷却が必要な場合は冷却装置を用いて自動的に温度調整を行う。他方、Csの回収を回収筒12において湿式法で行う場合は、運転温度T3を0℃近い低温まで冷却する必要がなく、室温以下に設定するだけで十分な回収を行うことができる。また、分離対象外物質の回収を行うときに設ける回収筒11は、運転温度T2をT1>T2>T3の条件に設定し、加熱及び冷却の機能を併せ持つ温度制御装置を用いて所定の温度(30〜100℃)に自動調整を行う。T1〜T3の温度調整は、各回収筒の外部又は内部に熱電対等の温度センサを設置し、自動温度制御装置によって所定の温度に調整する。
図5に示すガラス固化体溶解槽1に備わる加熱装置5は、主に、金属リチウムを450℃未満で加熱して溶融状態にするために使用するものであるが、本発発明の分離装置は、金属リチウム(Li)3を溶融状態になるまで所望の温度T0(図3を参照)で加熱し、その温度T0でガラス固化体の分解を進めた後、さらに溶融状態にある金属リチウム(Li)3の加熱温度(T0)よりも高温に加熱できる機能を有することが好ましい。これは、金属リチウムの還元反応中にガラス固化体から揮発する揮発性化学種の一つであるSeの融点が220℃と高く、ガラス固化体溶解槽1の温度を高くすることによりSeの蒸気圧を大きくし、Seの回収をより効率的に、且つ、確実に行うためである。溶融状態にある金属リチウム(Li)3の加熱温度(T0)よりも高温で加熱する場合の設定温度としては、450℃未満であるのが実用的である。しかしながら、Seの揮発を促進させることを目的として加熱温度(T0)を超える高温で短時間加熱する場合は、450℃以上で加熱してもよい。その場合でも、ガラス固化体溶解槽1の耐久性と寿命を考慮して、最高温度は500℃以下とすることが好ましい。
図6は、ガラス固化体溶解槽と揮発性化学種回収筒とを組合せた分離装置の変形例を示す模式図である。図6に示す分離装置は、ガラス固化体溶解槽1と、該ガラス固化体溶解槽1に対して下流側に連結したガラス固化体加熱槽13を有する。ガラス固化加熱槽13は、ガラス固化体溶解槽1で設定した溶融状態にある金属リチウム(Li)の加熱温度(TO)よりさらに高い温度で加熱することにより、揮発性化学種の一つであるSeの揮発を促進するために連結して使用するものである。それにより、本発明の分離装置で揮発性化学種を効率的に、且つ、確実に分離回収するために好適な分離装置として構成することができる。ガラス固化体加熱槽13には撹拌機14を備えるだけでなく、上部に符号8とは別の揮発性化学種回収用配管15を設置する。ガラス固化体加熱槽13の加熱によって揮発する揮発性化学種は、ガラス固化体加熱槽13の上部に位置する開口部分から揮発性化学種回収用配管15を通過し、Seは回収筒10で、また、Csは回収筒12で回収することができる。分離対象外物質の回収を行う場合は、回収筒10と回収筒12の間に回収筒11を設置すればよい。ここで、揮発性化学種回収用配管15の周囲には、揮発性化学種の凝集又は露結を防止するため加熱装置16が配置されている。また、ガラス固化体加熱槽13の底部には、ガラス固化体溶解槽1と同様に、揮発性化学種の分離が完了したガラス固化体の還元物を取出すため、バルブ17を有する還元物(スラグ)取出し口18が設けられている。
ガラス固化体加熱槽13の温度は、ガラス固化体溶解槽1において溶融状態の金属リチウム(Li)3の溶融するときの加熱温度(T0)より高く設定されるが、ガラス固化体加熱槽13の耐久性及び寿命を考慮して450℃未満に設定するのが実用的である。しかしながら、Seの揮発を促進させることを目的としてT0を超える高温で短時間加熱する場合は、450℃以上で加熱してもよい。その場合でも、ガラス固化体加熱槽13の耐久性と寿命を考慮して、最高温度は500℃以下とすることが好ましい。
図7は、本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置として、ガラス固化体溶解槽とリン酸塩分解回収装置とを組合せた例を模式的に示す図である。図7に示す分離装置は、図2に示すものと同じガラス固化体溶解槽1とともに、長寿命核分裂化学種及びランタノイド系化学種の少なくともいずれかを分離回収するための装置構成として基本的にリン酸塩転換材供給槽19と、リン酸塩沈殿槽20と、リン酸塩分離筒21とを有する。使用するリン酸転換材の例並びにリン酸塩転換材供給槽19、リン酸塩沈殿槽20、及びリン酸塩分離筒21の構成と機能については、図4に示すS51及びS52の工程に基づいて上記で説明した内容と同じである。
図8は、本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置として、ガラス固化体溶解槽と白金族元素分離回収装置とを組合せた例を模式的に示す図である。図8に示す分離装置は、図2に示すものと同じガラス固化体溶解槽1とともに、白金族元素として含まれる元素を分離回収するための装置構成として基本的に、金属溶媒供給槽22と、白金族元素分離槽23と、白金族元素回収槽24とを有する。また、図4に示す白金族元素分離工程(S53)の後にガラス成分を回収するためのガラス成分回収槽25を備える。白金族元素分離回収装置の構成と機能については、図4に示すS53及びS54の工程に基づいて上記で説明した内容と同じである。
図9は、本発明のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置の全体構成を模式的に示す図である。図9に示す分離装置は、溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)を有し、前記金属リチウム(Li)を溶融状態にするための加熱機能を有するガラス固化体溶解槽1と、溶融状態の金属リチウム(Li)の還元分解反応によって揮発性化学種として生成される元素を回収する回収筒10、12と、前記還元分解反応によって生成される前記ガラス固化体の還元物に含まれる長寿命核分裂化学種及びランタノイド系化学種の少なくともいずれか1種を分離回収するための分離回収装置を構成する槽19、20及び筒21と、白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種を分離回収するための分離回収装置を構成する槽22、23、24及び25とから構成されている。ここで、白金族化学種として含まれる元素の分離回収装置は、長寿命核分裂化学種及びランタノイド系化学種の少なくともいずれか1種を分離回収するための分離回収装置の下流側に連結して設けられている。
図9に示す符号10、12、19、20、21、22、23、24及び25は、それぞれ図5、図7及び図8に示す符号と同じ構成を意味するものである。なお、図9に示す分離装置において、揮発性化学種を回収するために設置する回収筒の数は2つに限定されない。このように、図9に示す分離装置を使用することにより、揮発性化学種、長寿命核分裂化学種及びランタノイド系化学種の少なくともいずれか1種、及び白金族化学種として含まれる元素を一つの装置で分離回収することができる。
以下の実施例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されるものではない。
<実施例1>
本発明のガラス固化体の分解方法を検証するため、溶融塩を含まないで、450℃未満の温度において溶融状態にある金属リチウム中に安定核種から成る模擬ガラス固化体を浸漬させ、前記金属リチウムの還元反応によるガラス固化体の分解について予備的な評価を行った。図10は、予備評価で行ったときの実験方法を示す概略図である。
図10に示すように、模擬ガラス固化体の溶解槽としてSUS製ルツボ26を使用し、SUS製ルツボ26をヒータ27中に耐熱性のセラミックウール28を介在させた形で挿入する。引き続き、ヒータ27によって所定の温度、具体的には220℃、250℃及び280℃の各温度に加熱して金属リチウムを完全に溶融させた状態にあるリチウム金属融体29の内部に模擬ガラス固化体としてガラス試験片(大きさ:3×3×12mm)30を入れてから、所定の時間浸漬させたガラス試験片30をリチウム金属融体29から取り出す。ここで、ガラス試験片としてはホウケイ酸塩ガラスを用いた。使用したホウケイ酸塩ガラスの成分組成は、11.68NaO−7.27LiO−3.87CaO−2.677ZnO―3.55Al−14.77B−56.17SiO(数値はすべてモル%で表す)である。これらの操作は、不活性ガスとしてアルゴン(Ar)ガスをグローブボックス31の内部に流しながら、酸素濃度を1ppm未満、水分濃度を10ppm未満の状態にしたArガス雰囲気中で行った。そして、取出したガラス試験片は室温に戻してから水に浸漬して洗浄することにより、ガラス試験片30から分解成分及び金属Liを除去する操作を行った。
このようにして得られる分解処理後のガラス試験片の重量を測定し、分解前の初期のガラス試験片30の重量に対して、還元反応による分解によって減少した重量減少率(%)を求めた。ガラス固化体の分解の進行程度は、分解前後におけるガラス試験片の重量減少率によって評価することができるため、該重量減少率が大きい試験片ほど、金属Liの還元反応によるガラス固化体の分解が進行していることを意味する。評価結果を図11及び図12に示す。
図11に、加熱温度220℃及び250℃において、ガラス試験片30を溶融状態にある金属リチウムに浸漬してから取出すまでの浸漬時間を1〜5分間と変えて、各浸漬時間ごとに取出した後のガラス試験片の外観写真を示す。図11から分かるように、溶融状態にある金属リチウムの加熱温度を高くし、ガラス試験片30の浸漬時間を長くするほど、還元反応によるガラス試験体の分解が進んでいることが目視でも容易に確認することができる。
図12は、溶融状態にあるリチウム金属融体29を220℃、250℃及び280℃で加熱したときの分解処理後に測定したガラス試験片の重量減少率を反応時間に対してプロットした図である。図12に示すように、加熱温度が高くなるに伴い、短時間でガラス試験片30の分解が進むことが定量的に分かる。特に、加熱温度が280℃になると、重量減少率が急激に大きくなり、3分間という短時間の浸漬でも90%に近くまで分解できた。このように、本発明のガラス分解方法は、溶融塩を含まないでも、450℃未満、好ましくは200〜400℃で模擬ガラス固化体の分解を効率的に行うことができる。また、模擬ガラス固化体をほぼ完全に分解するまでの時間は、450℃未満、好ましくは200〜400℃の加熱温度において1時間以下の短時間で分解処理が可能であることが確認できた。
次に、図12に示す結果に基づいて、[単位表面積当たりの重量減少量/時間](単位:g/cm/s)を浸漬時間(単位:秒(s))に対してプロットし、各プロット点が単純に直線で近似されると仮定して求めた分解の反応速度定数を220℃、250℃及び280℃の各温度について求めた。模擬ガラス固化体の分解の反応速度定数は、下記の(1)式で表されるアウレニス式に従うものとし、下記(1)式から活性化エネルギーを求めることができる。
k=Aexp(−Ea/RT) (1)
ここで、k、A、Ea、R及びTは、それぞれ反応速度定数(cm−1−1)、頻度因子、活性化エネルギー(Jmol−1)、気体定数(8.31JK−1mol−1)及び絶対温度(ケルビンK)である。
式(1)に従って、分解の反応速度定数の対数を加熱温度の絶対温度(処理温度:220℃、250℃及び280℃)の逆数に対してプロットした結果を図13に示す。図13に示すように、分解の反応速度定数の対数は、絶対温度の逆数に対して直線を示しており、その直線の勾配から活性化エネルギー(Ea)が求められる。以上のようにして求めたEaは、137(KJK−1mol−1)であった。したがって、本発明のガラス固化体の分解方法においては、図13に示す結果を用いて各加熱温度における分解の反応速度定数、分解量及び分解に要する反応時間をそれぞれ予測することが可能である。例えば、溶融状態にある金属リチウムの浸漬によってガラス固化体をほぼ完全に分解できる処理時間は、加熱温度が300〜400℃において10分未満の短時間で十分であると予測できる。実際に加熱温度を330〜400℃に設定して検証した結果、3×3×12mmの大きさを有するガラス片であれば、10分以下の短時間で分解処理できることを確認している。
本実施例においては、ガラス試験片30としてホウケイ酸塩ガラスの予備検証結果を示したが、ガラス成分としてSiOが100モル%であるシリカガラスにおいても、ほぼ同じ結果が得られている。したがって、本発明は、ガラスの種類にほとんど依存しないでガラス固化体を効率的に分解できる方法である。
本実施例で行った検証結果から分かるように、ガラス固化体の分解を効率的に行うためには、ガラス固化体を細かく砕くこと、ガラス固化体溶解槽1の撹拌を十分に行うこと、及び溶融状態にある金属リチウムの還元反応雰囲気をアルゴン等の不活性ガスを使用して酸素濃度及び水分濃度を低減すること等を十分に行うことが好ましい。それにより、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れかを含むガラス固化体の分解方法の一工程として適用したときに効果的に機能し、それらの少なくとも一種を分離回収するための分離方法の確立及び分離装置の構築を図ることができる。
<実施例2>
ガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法の一例として、ガラス固化体に含まれる揮発性元素のひとつであるCsの回収方法について本発明の効果を検証するため、予備的な評価を行った。図14は、予備評価を行ったときの実験方法を示す概略図である。
図14に示すように、模擬ガラス固化体の溶解槽としてSUS製ルツボ32を使用し、SUS製ルツボ32をヒータ33中に挿入する。ヒータ33としては、例えばマントルヒータを使用する。SUS製ルツボ32の上部には、模擬ガラス固化体の加熱溶解時に揮発する化学種Csが外部に揮散しないように、セパラブルの蓋34を取付けた。SUS製ルツボ32、ヒータ33及びセパラブルの蓋34は、グルーブボックス35の内部に設置し、不活性ガスとしてアルゴン(Ar)ガスをグローブボックス35の内部に流しながら、酸素濃度を1ppm未満の状態にしたArガス雰囲気中で模擬ガラス固化体の加熱溶解を行った。
図14において、セパラブルの蓋34は、上部に三方の開口部A、B、Cを備えるものを使用した。開口部Aは、グローブボックス35の内部に流したアルゴンガスが溶解槽の内部まで充満させるためのものであり、グローブボックス35の酸素濃度を確認した後、ガラス栓によって密閉した。中央の開口部Bは、撹拌機36に接続された撹拌棒37を挿入するために設けたものであり、撹拌棒37の挿入後はフッ素樹脂製シールを用いて溶解槽の気密性を保った。また、開口部Cは、模擬ガラス固化体を加熱溶解するときに揮発するCsの捕集用通路として使用するL字ガラス管38を挿入するための挿入口である。L字ガラス管38は、Cs捕集用配管39に接続されている。Cs捕集用配管39としては、金属配管及び該金属配管の両端をフッ素樹脂チューブで接続したものを使用した。フッ素樹脂チューブは腐食を避けたい部分及び柔軟性が求められる部分の配管部材として採用した。
模擬ガラス固化体の加熱溶解は、リチウム金属(重量:12.156g)40と、模擬ガラス固化体としてガラス試験体(重量:2.401g)41とをSUS製ルツボ32に入れ、所定の温度、具体的には380℃に加熱して金属リチウムを完全に溶融させることにより行った。ここで使用したガラス試験体41は、「革新的研究開発推進プログラム(ImPACT)にて使用する分離・回収試験用模擬ガラス固化体」と表示されるホウケイ酸塩のガラスサンプルである。このとき、グルーブボックス35の内部の酸素濃度が1ppm未満であることを確認し、SUS製ルツボ32の温度が380℃に到達した時点で、セパラブルの蓋34の開口部Aをガラス栓を用いて密閉した。その後、380℃の温度で加熱を1時間継続して行った。加熱溶解時の撹拌は、撹拌を4分30秒行った後30秒間停止するサイクルを1サイクルとし、計12サイクルで行った。
以上のようにしてガラス試験体41の加熱溶解を1時間で行ったときに揮発するCsは、系内を負圧にするため真空度調整弁42を備えた真空ポンプ43によって吸引することにより、L字ガラス管38及びCs捕集用配管39を通して、コールドトラップ用の捕集容器44、45に導入した。捕集容器44、45には超純水の200mlがそれぞれ入れられており、ガラス試験体41から揮発するCsを冷却するとともに、超純水に溶解させることによって室温で回収を行った。なお、図14に示す符号46は水吸込防止容器であり、捕集容器に44、45に含まれる超純水が真空ポンプ43に吸い込まれるのを防止するために設けた。
ガラス試験体41の加熱溶解を1時間で行ったときに揮発するCsのほとんどは捕集容器44、45に含まれる超純水に溶解されるが、L字ガラス管38及びCs捕集用配管39にもCsの一部が付着する可能性がある。その場合を想定して、L字ガラス管38及びCs捕集用配管39の内部についても超純水を用いて洗浄を行い、そのとき使用した洗浄液を全て採取し、捕集容器44、45に含まれる超純水と合わせてCsの定量分析用の溶液とした。該分析用の溶液中に含まれるCsの定量分析は、イオン化源として高周波誘導結合プラズマ(ICP)に水溶液試料を霧化・導入し、プラズマ中でイオン化した元素を四重極質量分析計で分離・検出するICP質量分析法によって行った。
ICP質量分析法による分析の結果、捕集容器44、45に含まれる超純水と前記洗浄水とを合わせた溶液中のCs元素濃度は12691ppb(12691×10−9)であった。前記溶液の全量は680mLであったため、ガラス試験体の加熱溶解を1時間で行ったときに揮発するCsの総量は8.630×10−3gとなる。一方、模擬ガラス固化体として使用したガラス試験体41には、あらかじめガラス成分としてCsOを0.0071モル%配合しており、ガラス試験体41の2.401gには質量換算で1.608×10−2gのCsが含まれることになる。したがって、図14に示す実験方法に従って回収できたCsは回収率が53.7質量%であることが分かった。
本実施例で検証したCsの回収率は53.7質量%であったが、図14に示す実験方法は予備評価用の簡易的なものであるため、Csガスの系外への漏洩が避けられなかったものと考えている。そのため、回収装置の密閉性を向上させるとともに、真空ポンプによって得られる負圧状態の維持を確実にすることにより、Cs回収率の一層の向上を図ることが期待できる。具体的には、図5又は図6に示すように、密閉性に優れる装置を用いて、回収温度及び回収方法を最適化することにより、回収率の大幅な向上を図ることが可能である。
以上のように、本発明によるガラス固化体の分解方法は、融点の低い金属リチウムを還元剤として使用し、前記還元剤の単独で還元処理を行うことにより、ガラス分解処理後に不要な2次廃棄物となる溶融塩を含まないで、かつ、簡便な方法で、従来よりも低い温度でガラス固化体の分解を効率的に行うことができる。その際、不活性ガスの導入により金属リチウムの還元分解を促進させることができる。溶融塩が含まれない金属リチウムの使用による還元分解温度の低温化は、処理炉の長寿命化及び処理作業と処理装置の安全性の向上に貢献する。
また、本発明によるガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法は、本発明のガラス固化体の分解方法を利用することにより、前記ガラス固化体から高レベル放射性廃棄物(HLW)を含む各種の化学種及び元素を効率的に、且つ、確実に分離できる。さらに、前記ガラス固化体の分解装置と、前記溶融状態の金属リチウム(Li)の還元分解反応によって揮発性化学種として生成される元素を回収する回収筒、及び前記還元分解反応によって生成される前記ガラス固化体の還元物(スラグ)に、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種、及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種を分離回収するための分離回収装置の少なくとも何れかと組み合せることにより、ガラス固化体から高レベル放射性廃棄物(HLW)を含む各種の化学種及び元素を効率的に、且つ、確実に分離できる装置を構成することができるとともに、そのための分離装置を簡便に低コストで構成することができる。
本発明によるガラス固化体の分解方法及び前記ガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法とその分離装置は、将来的に、高レベル放射性廃棄物(HLW)が含まれるガラス固化体の数量が増えても十分に対応することができ、コスト的に有利で、且つ、環境的にも優れる原子力利用システムを構築することが可能になる。
1、13・・・ガラス固化体溶解槽
2・・・ガラス供給槽
3・・・金属リチウム(Li)
4、14、36・・・攪拌機
5、16・・・加熱装置
6、17・・・バブル
7、18・・・還元物取出し口
8、15・・・揮発性化学種回収用配管
9・・・不活性ガス導入用配管
10、11、12・・・回収筒
19・・・リン酸塩転換材供給槽
20・・・リン酸塩沈殿槽
21・・・リン酸塩分離筒
22・・・金属溶媒供給槽
23・・・白金族元素分離槽
24・・・白金族元素回収槽
25・・・ガラス成分回収槽
26、32・・・SUSルツボ
27、33・・・ヒータ
28・・・セラミックウール
29、40・・・リチウム金属融体
30、41・・・ガラス試験体
31、35・・・グルーブボックス
34・・・セパラブルの蓋
37・・・撹拌棒
38・・・L字ガラス管
39・・・Cs捕集用配管
42・・・真空度調整弁
43・・・真空ポンプ
44、45・・・捕集容器
46・・・水吸込防止容器

Claims (22)

  1. 450℃未満の温度で溶融状態にあり、且つ、溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)の浴に、ガラス固化体を投入することにより、前記金属リチウム(Li)による還元反応を利用して前記ガラス固化体の分解を行うことを特徴とするガラス固化体の分解方法。
  2. 前記溶融状態にある金属リチウム(Li)の浴の温度が200〜400℃であることを特徴とする請求項1に記載のガラス固化体の分解方法。
  3. 前記溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)の浴へ不活性ガスを導入しながら前記金属リチウム(Li)による還元反応を行うことを特徴とする請求項1又は2に記載のガラス固化体の分解方法。
  4. 前記溶融状態にある金属リチウム(Li)による還元分解反応によって生成する前記ガラス固化体の還元物を、前記溶融状態にある金属リチウム(Li)の一部又は全部とともに、前記金属リチウム(Li)及び前記還元物が含まれる槽の底部から取り出して分離することを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載のガラス固化体の分解方法。
  5. 前記ガラス固化体が、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを含むガラス固化体であることを特徴とする請求項1〜4のいずれか一項に記載のガラス固化体の分解方法。
  6. 請求項5に記載のガラス固化体の分解方法によって前記長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを含むガラス固化体を分解する分解工程と、
    前記分解工程によって生成される揮発性元素化学種として生成される元素を回収する揮発性化学種回収工程、及び前記分解工程によって生成される前記ガラス固化体の還元物に、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種、及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種の元素を分離回収する分離回収工程、の少なくとも何れかの回収工程と、
    を有するガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法。
  7. 前記分離回収工程が、前記還元物に長寿命核分裂化学種として含まれるジルコニウム(Zr)及びランタノイド系化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種をリン酸塩転換材と反応させて不溶性のオルソリン酸塩として沈殿させるリン酸塩沈殿工程を有することを特徴とする請求項6に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法。
  8. 前記分離回収工程が、前記リン酸塩沈殿工程と、
    さらに、前記不溶性のオルソリン酸塩を、前記ガラス固化体の還元物及び前記溶融状態にある金属リチウム(Li)が含まれる融体とともに取り出した後、リン酸塩分離筒又はセラミックフィルタを用いて前記融体の固液分離を行うことにより回収するリン酸塩回収工程と、
    を有することを特徴とする請求項7に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法。
  9. 前記分離回収工程が、前記ガラス固化体の還元物に白金族化学種として含まれる元素を、溶融した金属溶媒と接触させ合金化することにより、前記ガラス固化体の還元物から分離して回収する白金族元素回収工程を有することを特徴とする請求項6〜8のいずれか一項の記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法。
  10. 前記金属溶媒に合金化した白金族化学種として含まれる元素を、蒸留法又は電解精製法により前記金属溶媒と分離して回収する工程を有する請求項9に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法。
  11. 前記金属リチウム(Li)による前記ガラス固化体の分解後、前記金属リチウム(Li)及び前記ガラス固化体の還元物が含まれる槽の温度を、前記金属リチウム(Li)の溶融温度よりも高くすることにより、前記揮発性化学種の揮発を促進させて前記揮発性化学種回収工程を行うことを特徴とする請求項6〜10のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法。
  12. 前記揮発性化学種回収工程が、前記揮発性化学種をコールドトラップ又はケミカルトラップできる回収筒の1段又は直列に連結した2段以上を用いて、前記揮発性化学種を分離及び回収する工程を有することを特徴とする請求項6〜11のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法。
  13. 前記揮発性化学種回収工程において、分離回収化学種として揮発性のSe及びCsの少なくとも何れかの元素を回収するための回収筒と、必要に応じて前記分離回収化学種以外の分離対象外物質を回収するための回収筒とを用いて、前記揮発性化学種の分離及び回収を行うことを特徴とする請求項12に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離方法。
  14. 長寿命核分化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを含むガラス固化体を、溶融状態にある金属リチウム(Li)による還元反応を利用して分解することにより、前記ガラス固化体から長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種及び白金族化学種の少なくとも何れかを分離するための装置であって、
    ガラス固化体を供給するためのガラス供給槽と、
    溶融塩が含まれない金属リチウム(Li)を有し、前記金属リチウム(Li)を溶融状態にするための加熱機能を有するガラス固化体溶解槽と、
    前記溶融状態の金属リチウム(Li)の還元分解反応によって揮発性化学種として生成される元素を回収する回収筒、及び前記還元分解反応によって生成される前記ガラス固化体の還元物に、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種、及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種を分離回収するための分離回収装置の少なくとも何れかと、
    を有することを特徴とするガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置。
  15. 前記ガラス固化体溶解槽が、不活性ガス導入手段を備えることを特徴とする請求項14に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置。
  16. 前記分離回収装置が、リン酸塩転換材供給槽と、リン酸塩沈殿槽と、リン酸塩分離筒とを有することを特徴とする請求項14又は15に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置。
  17. 前記分離回収装置が、白金族化学種として含まれる元素を分離回収するための金属溶媒供給槽と、白金族元素分離槽と、白金族元素回収槽とを有することを特徴とする請求項14〜16のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置。
  18. 前記ガラス固化体溶解槽が、前記金属リチウム(Li)による前記ガラス固化体の分解後、前記金属リチウム(Li)の溶融温度よりも高温に加熱できる機能を有することを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置。
  19. 前記ガラス固化体溶解槽に対して下流側に、前記金属リチウム(Li)の溶融温度よりもさらに高温に加熱するためのガラス固化体加熱槽を連結させることを特徴とする請求項14〜17のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置。
  20. 前記揮発性化学種を回収する回収筒が、前記揮発性化学種をコールドトラップ又はケミカルトラップできる回収筒の1段又は直列に連結した2段以上を有することを特徴とする請求項14〜19のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置。
  21. 前記揮発性化学種を回収する回収筒が、分離回収化学種として揮発性のSe及びCsの少なくとも何れかの元素を吸着する回収筒と、必要に応じて前記分離回収化学種以外の分離対象外物質を回収するための回収筒と、を有することを特徴とする請求項20に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置。
  22. 前記ガラス固化体に、前記の揮発性化学種、長寿命核分裂化学種、ランタノイド系化学種、及び白金族化学種として含まれる元素の少なくとも何れか1種の元素を分離した後に取出される前記ガラス固化体の還元物を回収するための回収槽を、前記ガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置の最後尾に設けることを特徴とする請求項14〜21のいずれか一項に記載のガラス固化体からの化学種及び元素の分離装置。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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WO2024040686A1 (zh) * 2022-08-25 2024-02-29 北京大学深圳研究生院 素玻璃、素玻璃中碱金属元素的利循环利用方法及系统

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