本出願は、2016年11月30日出願の米国仮特許出願第62/428,311号の優先権を主張するものであり、上記仮特許出願は、参照によりその全体が本出願に援用される。
これより、様々な実施形態によるリチウム含有アルミノシリケートガラスについて詳細に言及する。アルミノシリケートガラスの化学的耐久性及び物理的特性は一般に、ガラス組成及び構造に関連し得る。いくつかの実施形態によると、ガラス医薬品パッケージは:68.00モル%以上81.00モル%以下のSiO2;4.00モル%以上11.00モル%以下のAl2O3;0.10モル%以上16.00モル%以下のLi2O;0.10モル%以上12.00モル%以下のNa2O;0.00モル%以上5.00モル%以下のK2O;0.10モル%以上8.00モル%以下のMgO;0.10モル%以上5.00モル%以下のCaO;0.00モル%以上0.20モル%以下の清澄剤を含む、ガラス組成を有する。上記ガラス医薬品パッケージは耐剥離性であり、また酸、塩基及び水中でのクラス1又はクラス2の化学的耐久性を有しする。いくつかの実施形態では、上記ガラス医薬品パッケージは、B2O3、SrO、BaO及びZrO2を実質的に含まない。
本明細書に記載のガラスコンテナの実施形態では、ガラスコンテナを形成する上記ガラス組成の構成成分(例えばSiO2、Al2O3、B2O3等)の濃度は、そうでないことが明記されていない限り、酸化物ベースのモルパーセント(モル%)で記載される。
ガラス組成物中のある特定の構成成分の濃度及び/又は不在を説明するために使用される場合、用語「実質的に含まない(substantially free))は、上記構成成分が上記ガラス組成物に意図的に添加されないことを意味する。しかしながら上記ガラス組成物は、0.05モル未満の量の汚染物質又は浮遊物(tramp)として、微量の上記構成成分を含有する場合がある。
本明細書中で使用される場合、用語「化学的耐久性(chemical durability)」は、ガラス組成物の、指定された化学的条件に曝露された場合に劣化に耐えられる能力を指す。具体的には、本明細書に記載のガラス組成物の化学的耐久性は、以下の4つの確立された材料試験基準に従って評価した:DIN12116(2001年3月発行、名称「Testing of glass‐Resistance to attack by a boiling aqueous solution of hydrochloric acid‐Method of test and classification」);ISO695:1991年、名称「Glass‐‐Resistance to attack by a boiling aqueous solution of mixed alkali‐‐Method of test and classification」;ISO720:1985年、名称「Glass ‐‐ Hydrolytic resistance of glass grains at 121 degrees C‐‐Method of test and classification」;及びISO719:1985年、「Glass‐‐Hydrolytic resistance of glass grains at 98 degrees C‐‐Method of test and classification」。各基準及び各基準内での分類については、本明細書中で更に詳細に説明される。あるいは、ガラス組成物の化学的耐久性は、ガラスの表面の耐久性を評価する、USP<660>(タイトル「Surface Glass Test」)、及び/又は欧州薬局方3.2.1試験A‐表面試験(名称「Glass Containers For Pharmaceutical Use」)に従って評価してもよい。
本明細書中で使用される場合、用語「軟化点」は、ガラス組成物の粘度が1×107.6ポアズとなる温度を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「徐冷点」は、ガラス組成物の粘度が1×1013ポアズとなる温度を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「歪み点」及び「T歪み」は、ガラス組成物の粘度が3×1014ポアズとなる温度を指す。
本明細書中で使用される場合、用語「CTE」は、およそ室温(RT)から約300℃の範囲の温度に亘る、ガラス組成物の熱膨張係数を指す。
様々なアルミニウム配位状態の存在は、ガラスネットワーク中の酸素と非架橋酸素との比に影響を及ぼすことにより、アルカリアルミノシリケートガラスの物理的特性に寄与する。ガラス中のアルカリ種は、ガラス溶解中の初期浸出挙動及び相互拡散反応に影響を及ぼす。溶解中の、ガラス表面上での水和層及び沈降物の形成もまた、一般にガラス組成に関連する。本明細書中で使用される場合、用語「ガラス組成」は、例えば医薬品用のガラス梱包(例えばバイアル、シリンジ及びアンプル等)等といったガラス物品のガラス組成を指す。
更に、アルカリアルミノシリケートガラスは良好なイオン交換性を有し化学強化プロセスを用いることで、アルカリアルミノシリケートガラスにおいて高い強度及び高い靭性が達成されている。例えばアルミノシリケートナトリウムガラスは、高いガラス成形性及び品質を有する、高イオン交換性ガラスである。シリケートガラスネットワーク中へのAl2O3の置換は、イオン交換中の1価カチオンの相互拡散性を上昇させる。溶融塩浴(例えばKNO3及び/又はNaNO3)中での化学強化によって、高い強度、高い靭性及び高い押込み割れ耐性を有するガラスを得ることができる。
従って、良好な物理的特性、化学的耐久性及びイオン交換性を有するアルカリアルミノシリケートガラスは、医薬品の梱包に関して注意を惹き付けてきた。本明細書において開示及び説明される実施形態は、Li含有アルミノシリケートガラスを含み、これは、比較的低い徐冷温度及び軟化温度、比較的低い熱膨張係数(CTE)値、並びに迅速なイオン交換性を有する。異なる複数のイオン交換プロセス(例えば2段階イオン交換、又は1つ以上の混合塩浴を用いるもの)によって、比較的高い中央張力(CT)、比較的深いカリウム侵入層厚さ(DOLK)、圧縮深さ(DOC)、及び良好な破断パターンをもたらすCT値を達成できる。しかしながら、Li2O含有量が高いいくつかのアルミノシリケートガラス組成物は、再加熱及び再成形プロセス中に結晶化する傾向を有し、またガラスの溶解中、Liカチオンは、Naカチオン、Kカチオン及びアルカリカチオンに比べてはるかに抽出されやすい。従って、いくつかの実施形態によるLi含有アルミノシリケートガラスの組成範囲は、医薬品溶液等の溶液中に溶出する許容可能なLiカチオンに関する要件によって制限され得る。
ガラスの物理的特性、ガラスの化学的耐久性、及びイオン交換性に対するLi2Oの添加の便益について、本明細書において説明する。アルミノシリケートガラスにLi2Oを添加することにより、チューブドロー及び再成形温度が低下し、化学的耐加水分解性が上昇する。比較的少量のLi2O(例えば2.00モル%以上4.00モル%以下)をアルミノシリケートガラスに添加すると、イオン交換前において、化学的耐加水分解性が大幅に改善される(例えばISO720において、リチウム非含有ガラスにおける68に比べて約56〜約54)。Li2Oの添加の別の便益は、イオン交換性の改善である。例えば、応力プロファイル、CT、表面CS、DOC及びDOLkは、Na2Oを含有するアルカリアルミノシリケートガラスにおいてよりもはるかに大幅に変動し得る。Li2O含有ガラスに関して、リチウム非含有ガラスに比べて短時間で、より高いCTを達成でき、イオン交換を複数のステップで又は様々な条件で実施でき、これにより、応力プロファイルを、様々な製品のための異なる用途に好適となるよう、容易に適合させることができる。
本明細書に記載されるのは、イオン交換前及び後における、実施形態によるLi含有アルミノシリケートガラス組成物、実施形態によるLi含有アルミノシリケートガラス組成物の物理的特性、実施形態によるLi含有アルミノシリケートガラス組成物のイオン交換性に関する便益、並びにイオン交換前及び後における、実施形態によるLi含有アルミノシリケートガラス組成物の溶解動態である。
本明細書に記載のガラス組成物の実施形態では、構成成分(例えばSiO2、Al2O3、Li2O等)の量は、そうでないことが明記されていない限り、酸化物ベースのモルパーセント(モル%)で与えられる。実施形態によるLi含有アルミノシリケートガラス組成物の成分について、以下で個別に議論する。ある単一のガラス組成物において、ある成分について様々に列挙される範囲のうちのいずれを、他のいずれの成分に関して様々に列挙される範囲のうちのいずれと組み合わせてよいことを理解されたい。
ある例示的なLi含有アルミノシリケートガラス組成物では、SiO2は最も多い構成要素であり、従ってSiO2は、上記ガラス組成物から形成されるガラスネットワークの主要な構成要素である。純SiO2は、比較的低いCTEを有し、またアルカリ非含有である。しかしながら、純SiO2は、極めて高い融点を有する。従って、ガラス組成物中のSiO2の量が極めて多いと、SiO2の量が比較的多いことによってガラスの溶融が困難となり、これがガラスの成形性に悪影響を及ぼすため、上記ガラス組成物の成形性が低下する場合がある。実施形態では、ガラス組成物は一般にSiO2を、68.00モル%以上81.00モル%以下の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はSiO2を、70.00モル%以上、72.00モル%以上、74.00モル%以上、76.00モル%以上、又は78.00モル%以上の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はSiO2を、80.00モル%以下、78.00モル%以下、76.00モル%以下、74.00モル%以下、又は72.00モル%以下の量で含む。他の実施形態では、ガラス組成物はSiO2を、70.00モル%以上80.00モル%以下、例えば72.00モル%以上78.00モル%以下、又は74.00モル%以上76.00モル%以下の量で含む。更に他の実施形態では、ガラス組成物はSiO2を、74.00モル%以上79.00モル%以下の量で含む。
実施形態のガラス組成物は、Al2O3を更に含んでよい。Al2O3も、SiO2と同様に、ガラスネットワーク形成剤として作用し得る。Al2O3は、適切に設計されたガラス組成物から形成されたガラス溶融物中におけるその四面体配位によって、ガラス組成物の粘度を上昇させる場合があり、Al2O3の量が極めて多い場合、ガラス組成物の成形性が低下する。しかしながら、ガラス組成物中のSiO2の量及びアルカリ酸化物の量に対して、Al2O3の量のバランスを取ると、Al2O3はガラス溶融物の液相温度を低下させることができ、これにより、ガラス組成物の液相粘度を向上させ、鋳型成形プロセス等の特定の成形プロセスとのガラス組成物の適合性を改善できる。実施形態では、ガラス組成物は一般にAl2O3を、4.00モル%以上11.00モル%以下の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はAl2O3を、5.00モル%以上、6.00モル%以上、7.00モル%以上、8.00モル%以上、9.00モル%以上、又は10.00モル%以上の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はAl2O3を、10.00モル%以下、9.00モル%以下、8.00モル%以下、7.00モル%以下、6.00モル%以下、又は5.00モル%以下の量で含む。他の実施形態では、ガラス組成物はAl2O3を、5.00モル%以上10.00モル%以下、例えば6.00モル%以上9.00モル%以下、又は7.00モル%以上8.00モル%以下の量で含む。更に他の実施形態では、ガラス組成物はAl2O3を、5.00モル%以上11.00モル%以下の量で含む。
ガラス組成物中でのLi2Oの効果については上述されており、以下で更に詳細に議論される。実施形態では、ガラス組成物は一般にLi2Oを、0.10モル%以上16.00モル%以下の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はLi2Oを、0.50モル%以上、1.00モル%以上、1.50モル%以上、2.00モル%以上、2.50モル%以上、3.00モル%以上、3.50モル%以上、4.00モル%以上、4.50モル%以上、5.00モル%以上、5.50モル%以上、6.00モル%以上、6.50モル%以上、7.00モル%以上、7.50モル%以上、8.00モル%以上、8.50モル%以上、9.00モル%以上、9.50モル%以上、10.00モル%以上、10.50モル%以上、11.00モル%以上、11.50モル%以上、12.00モル%以上、12.50モル%以上、13.00モル%以上、13.50モル%以上、14.00モル%以上、14.50モル%以上、15.00モル%以上、又は15.50モル%以上の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はLi2Oを、0.50モル%以下、1.00モル%以下、1.50モル%以下、2.00モル%以下、2.50モル%以下、3.00モル%以下、3.50モル%以下、4.00モル%以下、4.50モル%以下、5.00モル%以下、5.50モル%以下、6.00モル%以下、6.50モル%以下、7.00モル%以下、7.50モル%以下、8.00モル%以下、8.50モル%以下、9.00モル%以下、9.50モル%以下、10.00モル%以下、10.50モル%以下、11.00モル%以下、11.50モル%以下、12.00モル%以下、12.50モル%以下、13.00モル%以下、13.50モル%以下、14.00モル%以下、14.50モル%以下、15.00モル%以下、又は15.50モル%以下の量で含む。他の実施形態では、ガラス組成物はLi2Oを、0.50モル%以上15.50モル%以下、例えば1.00モル%以上15.00モル%以下、1.50モル%以上14.50モル%以下、2.00モル%以上14.00モル%以下、2.50モル%以上13.50モル%以下、3.00モル%以上13.00モル%以下、3.50モル%以上12.50モル%以下、4.00モル%以上12.00モル%以下、4.50モル%以上11.50モル%以下、5.00モル%以上11.00モル%以下、5.50モル%以上10.50モル%以下、6.00モル%以上10.00モル%以下、6.50モル%以上9.50モル%以下、7.00モル%以上9.00モル%以下、又は7.50モル%以上8.50モル%以下の量で含む。更に他の実施形態では、ガラス組成物はLi2Oを、0.10モル%以上14.00モル%以下の量で含む。
実施形態によると、ガラス組成物は、例えばNa2O及びK2Oといった、Li2O以外のアルカリ金属酸化物も含んでよい。Na2Oは、ガラス組成物のイオン交換性を支援し、ガラス組成物の融点を上昇させ、ガラス組成物の成形性を改善する。しかしながら、ガラス組成物に添加されるNa2Oが多すぎると、CTEが高くなりすぎる場合があり、また融点が高くなりすぎる場合がある。実施形態では、ガラス組成物は一般にNa2Oを、0.10モル%以上12.00モル%以下の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はNa2Oを、0.50モル%以上、1.00モル%以上、1.50モル%以上、2.00モル%以上、2.50モル%以上、3.00モル%以上、3.50モル%以上、4.00モル%以上、4.50モル%以上、5.00モル%以上、5.50モル%以上、6.00モル%以上、6.50モル%以上、7.00モル%以上、7.50モル%以上、8.00モル%以上、8.50モル%以上、9.00モル%以上、9.50モル%以上、10.00モル%以上、10.50モル%以上、11.00モル%以上、又は11.50モル%以上の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はNa2Oを、0.50モル%以下、1.00モル%以下、1.50モル%以下、2.00モル%以下、2.50モル%以下、3.00モル%以下、3.50モル%以下、4.00モル%以下、4.50モル%以下、5.00モル%以下、5.50モル%以下、6.00モル%以下、6.50モル%以下、7.00モル%以下、7.50モル%以下、8.00モル%以下、8.50モル%以下、9.00モル%以下、9.50モル%以下、10.00モル%以下、10.50モル%以下、11.00モル%以下、又は11.50モル%以下の量で含む。他の実施形態では、ガラス組成物はNa2Oを、0.50モル%以上11.50モル%以下、例えば1.00モル%以上11.00モル%以下、1.50モル%以上10.50モル%以下、2.00モル%以上10.00モル%以下、2.50モル%以上9.50モル%以下、3.00モル%以上9.00モル%以下、3.50モル%以上8.50モル%以下、4.00モル%以上7.00モル%以下、4.50モル%以上6.50モル%以下、又は5.00モル%以上6.00モル%以下の量で含む。更に他の実施形態では、ガラス組成物はNa2Oを、0.10モル%以上10.00モル%以下の量で含む。
Na2Oと同様に、K2Oもまたイオン交換を促進し、圧縮応力層のDOCを増大させる。しかしながら、約5.00モル%を超える量のK2Oを添加すると、CTEが高くなりすぎる場合があり、また融点が高くなりすぎる場合がある。実施形態では、ガラス組成物は一般にK2Oを、0.00モル%以上5.00モル%以下、又は0.10モル%以上5.00モル%以下の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はK2Oを、0.50モル%以上、1.00モル%以上、1.50モル%以上、2.00モル%以上、2.50モル%以上、3.00モル%以上、3.50モル%以上、4.00モル%以上、又は4.50モル%以上の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はK2Oを、0.50モル%以下、1.00モル%以下、1.50モル%以下、2.00モル%以下、2.50モル%以下、3.00モル%以下、3.50モル%以下、4.00モル%以下、又は4.50モル%以下の量で含む。他の実施形態では、ガラス組成物はK2Oを、0.50モル%以上4.50モル%以下、例えば1.00モル%以上4.00モル%以下、1.50モル%以上3.50モル%以下、又は2.00モル%以上3.00モル%以下の量で含む。以上から、いくつかの実施形態はK2Oを含まないことを理解されたい。
MgOはガラスの粘度を低下させ、これにより、成形性、歪み点、ヤング率が改善され、またイオン交換性が向上する場合がある。しかしながら、約8.00モル%を超える量のMgOをガラス組成物に添加すると、ガラス組成物の密度及びCTEが上昇する。実施形態では、ガラス組成物は一般にMgOを、0.10モル%以上8.00モル%以下の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はMgOを、0.50モル%以上、1.00モル%以上、1.50モル%以上、2.00モル%以上、2.50モル%以上、3.00モル%以上、3.50モル%以上、4.00モル%以上、4.50モル%以上、5.00モル%以上、5.50モル%以上、6.00モル%以上、6.50モル%以上、7.00モル%以上、又は7.50モル%以上の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はMgOを、0.50モル%以下、1.00モル%以下、1.50モル%以下、2.00モル%以下、2.50モル%以下、3.00モル%以下、3.50モル%以下、4.00モル%以下、4.50モル%以下、5.00モル%以下、5.50モル%以下、6.00モル%以下、6.50モル%以下、7.00モル%以下、又は7.50モル%以下の量で含む。他の実施形態では、ガラス組成物はMgOを、0.50モル%以上7.50モル%以下、例えば1.00モル%以上7.00モル%以下、1.50モル%以上6.50モル%以下、2.00モル%以上6.00モル%以下、2.50モル%以上5.50モル%以下、3.00モル%以上5.00モル%以下、又は3.50モル%以上4.50モル%以下の量で含む。
CaOはガラスの粘度を低下させ、これにより、成形性、歪み点、及びヤング率が改善される。しかしながら、ガラス組成物に添加されるCaOが多すぎる場合、ガラス組成物の粘度及びCTEが上昇し、ガラスのイオン交換性が低下する。実施形態では、ガラス組成物は一般にCaOを、0.10モル%以上5.00モル%以下の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はCaOを、0.50モル%以上、1.00モル%以上、1.50モル%以上、2.00モル%以上、2.50モル%以上、3.00モル%以上、3.50モル%以上、4.00モル%以上、又は4.50モル%以上の量で含む。いくつかの実施形態では、ガラス組成物はCaOを、0.50モル%以下、1.00モル%以下、1.50モル%以下、2.00モル%以下、2.50モル%以下、3.00モル%以下、3.50モル%以下、4.00モル%以下、又は4.50モル%以下の量で含む。他の実施形態では、ガラス組成物はCaOを、0.50モル%以上4.50モル%以下、例えば1.00モル%以上4.00モル%以下、1.50モル%以上3.50モル%以下、又は2.00モル%以上3.00モル%以下の量で含む。
実施形態では、ガラス組成物は任意に、1つ以上の清澄剤を含んでよい。いくつかの実施形態では、清澄剤としては例えば、SnO2、CeO2、As2O3、Sb2O3、Cl‐、S‐、F‐又はFe2O3が挙げられる。いくつかの実施形態では、清澄剤はガラス組成物中に、0.00モル%以上0.20モル%以下、例えば0.00モル%以上0.10モル%以下、又は0.00モル%以上0.05モル%以下の量で存在してよい。他の実施形態では、清澄剤はガラス組成物中に、0.05モル%以上0.20モル%以下、例えば0.05モル%以上0.10モル%以下の量で存在してよい。
いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、例えばZnO、TiO2又はZrO2等の、微量の1つ以上の追加の酸化物を更に含んでよい。これらの成分を添加することにより、ガラス組成物の化学的耐久性を更に増強でき、並びに/又は例えばCTE、密度、イオン交換性及び粘度といった他の特性を改善できる。このような実施形態では、上記追加の酸化物は、ガラス組成物中に0.00モル%以上0.20モル%以下、例えば0.00モル%以上0.10モル%以下、又は0.00モル%以上0.05モル%以下の量で存在してよい。他の実施形態では、上記追加の酸化物は、ガラス組成物中に0.05モル%以上0.20モル%以下、例えば0.05モル%以上0.10モル%以下の量で存在してよい。
上述のいずれの実施形態において、ガラス組成物は、B2O3、BaO、SrO又はこれらの組み合わせを実質的に含まなくてよい。実施形態では、ガラス組成物はこれらの成分のうち3つ全てを実質的に含まなくてよく、他の実施形態では、ガラス組成物はこれらの成分のうちいずれの3つを実質的に含まなくてよく、更に他の実施形態では、ガラス組成物はこれらの成分のうちいずれの2つを実質的に含まなくてよく、更に他の実施形態では、ガラス組成物はこれらの成分のうちいずれの1つを実質的に含まなくてよいことを理解されたい。本明細書中で使用される場合、用語「実質的に含まない(substantially free)」は、上記成分が最終的なガラス中に、0.1モル%未満といった極めて少ない量で、汚染物質として存在し得る場合であっても、上記成分がバッチ材料の成分として添加されないことを意味する。
しかしながら他の実施形態では、ガラス組成物は、少量のB2O3を含有できる。このような実施形態では、B2O3は、0.5モル%以上3.0モル%以下、例えば0.5モル%以上2.5モル%以下、0.5モル%以上2.0モル%以下、0.5モル%以上1.5モル%以下、又は0.5モル%以上1.0モル%以下の量で存在してよい。いくつかの実施形態では、B2O3はガラス組成物中に、1.0モル%以上3.0モル%以下、例えば1.0モル%以上2.5モル%以下、1.0モル%以上2.0モル%以下、又は1.0モル%以上1.5モル%以下の量で存在してよい。
以上に加えて、ネットワーク形成成分に対する総アルカリ金属の比(即ち(Li+Na+K)/(Si+Al))を調整することによって、ガラス組成物の耐加水分解性を増大させることもできる。実施形態では、ネットワーク形成成分に対する総アルカリ金属の比は、0.05以上0.50以下、例えば0.10以上0.45以下、0.15以上0.40以下、0.20以上0.35以下、又は0.25以上0.30以下である。他の実施形態では、ネットワーク形成成分に対する総アルカリ金属の比は、0.10以上0.50以下、0.15以上0.50以下、0.20以上0.50以下、0.25以上0.50以下、0.30以上0.50以下、0.35以上0.50以下、0.40以上0.50以下、又は0.45以上0.50以下である。更に他の実施形態では、ネットワーク形成成分に対する総アルカリ金属の比は、0.05以上0.45以下、0.05以上0.40以下、0.05以上0.35以下、0.05以上0.30以下、0.05以上0.25以下、0.05以上0.20以下、0.05以上0.15以下、又は0.05以上0.10以下である。更に他の実施形態では、ネットワーク形成成分に対する総アルカリ金属の比は、0.05以上0.15以下であり、ネットワーク形成成分に対する総アルカリ金属の比は、0.05以上0.14以下であり、ネットワーク形成成分に対する総アルカリ金属の比は、0.05以上0.13以下であり、ネットワーク形成成分に対する総アルカリ金属の比は、0.05以上0.12以下であり、ネットワーク形成成分に対する総アルカリ金属の比は、0.05以上0.11以下であり、又はネットワーク形成成分に対する総アルカリ金属の比は、0.05以上0.10以下である。
更に、実施形態では、ガラス組成物は、0.75以上4.25以下のR2O:RO比を有してよく、ここでR2Oは、ガラス組成物中のアルカリ金属酸化物の合計であり、ROは、ガラス組成物中のアルカリ金属酸化物の合計である。いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、1.00以上、1.25以上、1.50以上、1.75以上、2.00以上、2.25以上、2.50以上、2.50以上、2.75以上、3.00以上、3.25以上、3.50以上、3.75以上、又は4.00以上のR2O:RO比を有してよい。他の実施形態では、ガラス組成物は、1.00以下、1.25以下、1.50以下、1.75以下、2.00以下、2.25以下、2.50以下、2.50以下、2.75以下、3.00以下、3.25以下、3.50以下、3.75以下、又は4.00以下のR2O:RO比を有してよい。更に他の実施形態では、ガラス組成物は、1.00以上4.00以下、1.25以上3.75以下、1.50以上3.50以下、1.75以上3.25以下、2.00以上3.00以下、又は2.25以上2.75以下のR2O:RO比を有してよい。更なる実施形態では、R2O:RO比は、0.85以上2.55以下、例えば0.85以上2.20以下、又は0.95以上2.20以下である。
実施形態では、ガラス組成物は、0.10以上1.00以下のLi:R2O比を有してよい。いくつかの実施形態では、Li:R2O比は、0.15以上、0.20以上、0.25以上、0.30以上、0.35以上、0.40以上、0.45以上、0.50以上、0.55以上、0.60以上、0.65以上、0.70以上、0.75以上、0.80以上、0.85以上、0.90以上、又は0.95以上である。他の実施形態では、Li:R2O比は、0.15以下、0.20以下、0.25以下、0.30以下、0.35以下、0.40以下、0.45以下、0.50以下、0.55以下、0.60以下、0.65以下、0.70以下、0.75以下、0.80以下、0.85以下、0.90以下、又は0.95以下である。更に他の実施形態では、Li:R2O比は、0.15以上0.95以下、0.20以上0.90以下、0.25以上0.85以下、0.30以上0.80以下、0.35以上0.75以下、0.40以上0.70以下、0.45以上0.65以下、又は0.50以上0.60以下である。更なる実施形態では、Li:R2O比は、0.55以上0.85以下、例えば0.60以上0.85以下、又は0.60以上0.80以下である。
更に他の実施形態では、ガラス組成物は、0.25以上3.50以下のLi:RO比を有してよい。いくつかの実施形態では、Li:RO比は、0.50以上、0.75以上、1.00以上、1.25以上、1.50以上、1.75以上、2.00以上、2.25以上、2.50以上、2.75以上、3.00以上、又は3.25以上である。他の実施形態では、Li:RO比は、0.50以下、0.75以下、1.00以下、1.25以下、1.50以下、1.75以下、2.00以下、2.25以下、2.50以下、2.75以下、3.00以下、又は3.25以下である。更に他の実施形態では、Li:RO比は、0.50以上3.25以下、0.75以上3.00以下、1.00以上2.75以下、1.25以上2.50以下、1.50以上2.25以下、又は1.75以上2.00以下である。更なる実施形態では、Li:RO比は、0.40以上2.00以下、例えば0.40以上1.80以下、又は0.45以上1.80以下である。
いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、0.10以上2.75以下のLi:Al2O3比を有してよい。いくつかの実施形態では、Li:Al2O3比は、0.25以上、0.50以上、0.75以上、1.00以上、1.25以上、1.50以上、1.75以上、2.00以上、2.25以上又は2.50以上である。他の実施形態では、Li:Al2O3比は、0.25以下、0.50以下、0.75以下、1.00以下、1.25以下、1.50以下、1.75以下、2.00以下、2.25以下、又は2.50以下である。更に他の実施形態では、Li:Al2O3比は、0.25以上2.50以下、0.50以上2.25以下、0.75以上2.00以下、1.00以上1.75以下、又は1.25以上1.50以下である。更なる実施形態では、Li:Al2O3比は、0.55以上2.00以下、例えば0.55以上1.50以下、又は0.60以上1.50以下である。
更に他の実施形態では、ガラス組成物は、0.9以上2.0以下のR2O:Al2O3比を有してよい。いくつかの実施形態では、R2O:Al2O3比は、1.0以上、1.1以上、1.2以上、1.3以上、1.4以上、1.5以上、1.6以上、1.7以上、1.8以上、又は1.9以上である。他の実施形態では、R2O:Al2O3比は、2.0以下、1.9以下、1.8以下、1.7以下、1.6以下、1.5以下、1.4以下、1.3以下、1.2以下、又は1.1以下である。更に他の実施形態では、R2O:Al2O3比は、0.9以上1.9以下、1.0以上1.8以下、1.1以上1.7以下、1.2以上1.6以下、又は1.3以上1.5以下である。更なる実施形態では、R2O:Al2O3比は、1.0以上2.00以下、例えば1.3以上1.9以下、又は1.3以上1.5以下である。
いくつかの実施形態では、モル%での、CaOの濃度とMgOの濃度の合計に対するCaOの濃度(即ち(CaO/(CaO+MgO))は、最小化するべきである。具体的には、(CaO/(CaO+MgO))は、0.5以下とするべきであると決定されている。いくつかの実施形態では(CaO/(CaO+MgO))は、0.3以下、又は0.2以下でさえある。他のいくつかの実施形態では、(CaO/(CaO+MgO))は、0.1以下でさえあってよい。
実施形態では、ガラス組成物は、0.01以上0.17以下のLi:SiO2比を有してよい。いくつかの実施形態では、Li:SiO2比は、0.02以上、0.04以上、0.06以上、0.08以上、0.10以上、0.12以上、0.14以上、又は0.16以上である。他の実施形態では、Li:SiO2比は、0.02以下、0.04以下、0.06以下、0.08以下、0.10以下、0.12以下、0.14以下、又は0.16以下である。更に他の実施形態では、Li:SiO2比は、0.02以上0.16以下、0.04以上0.14以下、0.06以上0.12以下、又は0.08以上0.1以下である。更なる実施形態では、Li:SiO2比は、0.06以上0.12以下、例えば0.06以上0.11以下、又は0.07以上0.11以下でさえあってよい。
実施形態では、ガラス組成物は、0.01以上0.16以下のLi:(SiO2+Al2O3)比を有してよい。いくつかの実施形態では、Li:SiO2比は、0.02以上、0.04以上、0.06以上、0.08以上、0.10以上、0.12以上、0.14以上、又は0.15以上である。他の実施形態では、Li:SiO2比は、0.02以下、0.04以下、0.06以下、0.08以下、0.10以下、0.12以下、0.14以下、又は0.15以下である。更に他の実施形態では、Li:SiO2比は、0.02以上0.15以下、0.04以上0.14以下、0.06以上0.12以下、又は0.08以上0.1以下である。更なる実施形態では、Li:SiO2比は、0.06以上0.12以下、例えば0.06以上0.11以下、又は0.07以上0.11以下でさえあってよい。
上述の様々な成分それぞれから個別に選択され得る組成を限定するものではないが、いくつかの実施形態では、ガラス組成物は:68.00モル%以上81.00モル%以下のSiO2;4.00モル%以上11.00モル%以下のAl2O3;0.10モル%以上16.00モル%以下のLi2O;0.10モル%以上12.00モル%以下のNa2O;0.00モル%以上5.00モル%以下のK2O;0.10モル%以上8.00モル%以下のMgO;0.10モル%以上5.00モル%以下のCaO;0.00モル%以上0.20モル%以下の清澄剤を含んでよく、ここで上記ガラス医薬品パッケージは耐剥離性を有し、上記ガラス医薬品パッケージは、酸、塩基及び水中でのクラス1又はクラス2の化学的耐久性を有する。他の実施形態では、限定するものではないが、ガラス組成物は:74.00モル%以上79.00モル%以下のSiO2;5.00モル%以上11.00モル%以下のAl2O3;0.10モル%以上14.00モル%以下のLi2O;0.10モル%以上10.00モル%以下のNa2O;0.0モル%以上5.00モル%以下のK2O;0.10モル%以上8.00モル%以下のMgO;0.10モル%以上5.00モル%以下のCaO;及び0.00モル%以上0.20モル%以下の清澄剤を含んでよい。
本明細書中の実施形態において開示されているガラス組成物は、剥離を起こさないものとすることができる。剥離は、一連の浸出、腐食及び/又は弱化反応後にガラス粒子がガラスの表面から解放される減少を指す。一般に、上記粒子はガラスの富シリカフレークであり、これは、修飾因子イオン又は弱いネットワーク形成因子、例えばナトリウム等が、コンテナ内に内包された溶液中へと浸出した結果として、コンテナの内側表面から発生する。これらのフレークは一般に、厚さ1nm〜2μm、幅約50μm超であってよい。これらのフレークは主にシリカからなるため、上記フレークは一般に、ガラスの表面から解放された後に更に劣化することはない。
ガラスコンテナの内側表面からの富シリカガラスフレークの剥離は、ガラスコンテナの未使用条件下での、ガラスコンテナの組成的特徴によるものと考えられる。具体的には、アルカリアルミノシリケートガラスのシリカ含有量が高いことにより、ガラスの融点及び成形温度が比較的高くなる。しかしながら、例えばホウ素といった、ガラス中の他の成分は、はるかに低い温度で溶融及び/又は気化する。特に従来のガラス中のホウ素種は揮発性であり、ガラスを成形及び再成形するために必要な高温では、ガラスの表面から気化する。
具体的には、ガラスチューブ等のガラス原料を、ガラスバイアル等のガラスコンテナへと、高温において、また火炎を直接当てて、再成形する。より速い設備速度において必要となる高温は、ガラスの表面の複数の領域から、比較的揮発性のホウ素種を気化させる。この気化が、ガラスコンテナの内部容積内で発生する際、気化したホウ素種は、ガラスコンテナ表面の他の領域に再堆積し、特にガラスコンテナの内部の表面付近領域(即ちガラスコンテナの内側表面の又は内部表面の直近の領域)に関して、ガラスコンテナ表面に組成的不均質を引き起こす。しかしながら、本明細書中で開示及び説明されるガラス組成物は、ガラス組成物中にホウ素が含まれないように処方されるため、ガラス物品内で発生する剥離の量が削減される。剥離は、米国特許第9,428,302号明細書(参照によりその全体が本出願に援用される)に開示されている剥離係数によって測定してよい。いくつかの実施形態では、ガラスは、10以下、例えば8以下又は6以下でさえある剥離係数を有してよい。
これより、上で開示されているLi含有アルミノシリケートガラス組成物の物理的特性について議論する。以下で議論される特性は、アルミノシリケートガラス又はアルカリアルミノシリケートガラスにリチウムを添加した結果を示す。これらの物理的特性は、実施例を参照して更に詳細に議論するように、Li含有アルミノシリケートガラス組成物の成分量を修正することによって達成できる。これまで、ガラス組成物の物理的特性に対してリチウムが有する影響は、明確には理解されていなかった。
実施形態によるガラス組成物は、2.25g/cm3以上2.50g/cm3以下、例えば2.30g/cm3以上2.45g/cm3以下、2.35g/cm3以上2.45g/cm3以下、又は2.40g/cm3以上2.45g/cm3以下の密度を有してよい。他の実施形態では、ガラス組成物は、2.25g/cm3以上2.40g/cm3以下、2.25g/cm3以上2.35g/cm3以下、又は2.25g/cm3以上2.30g/cm3以下の密度を有してよい。いくつかの実施形態では、ガラス組成物は、約2.35g/cm3、約2.36g/cm3、約2.37g/cm3、約2.38g/cm3、又は約2.39g/cm3の密度を有してよい。一般に、アルカリアルミノシリケートガラス組成物中において、Na+又はK+といった比較的大きく高密度のアルカリ金属カチオンが、Li+といった比較的小さいアルカリ金属カチオンで置換されるため、ガラス組成物の密度は低下する。従って、ガラス組成物中のリチウムの量が多いほど、ガラス組成物の密度は低くなる。
上述のガラス密度と同様、実施形態によるガラス組成物は、24.00cm3/モル以上27.00cm3/モル以下、例えば24.50cm3/モル以上27.00cm3/モル以下、25.00cm3/モル以上27.00cm3/モル以下、25.50cm3/モル以上27.00cm3/モル以下、26.00cm3/モル以上27.00cm3/モル以下、又は26.50cm3/モル以上27.00cm3/モル以下のモル体積を有してよい。他の実施形態では、ガラス組成物は、24.00cm3/モル以上26.50cm3/モル以下、24.00cm3/モル以上26.00cm3/モル以下、24.00cm3/モル以上25.50cm3/モル以下、24.00cm3/モル以上25.00cm3/モル以下、又は24.00cm3/モル以上24.50cm3/モル以下のモル体積を有してよい。更に他の実施形態では、ガラス組成物は、約24.80cm3/モル、25.00cm3/モル、約25.20cm3/モル、約25.40cm3/モル、約25.60cm3/モル、約25.80cm3/モル、又は約26.00cm3/モルのモル体積を有してよい。ガラスの密度は、ASTM C693に記載されているように、25℃又は25℃付近において、均質で非多孔性かつ非水溶性の材料のための浮力法で測定された。密度の場合と同様に、一般に、アルカリアルミノシリケートガラス組成物中において、Na+又はK+といった比較的大きく高密度のアルカリ金属イオンが、Li+といった比較的小さいアルカリ金属イオンで置換されるため、ガラスのモル体積は低下する。モル体積は、ガラス組成物のガラス密度(ρ)及び平均分子量(M)から、以下の式:VM=M/ρに従って算出された。
ガラス組成物の歪み点、徐冷点及び軟化点もまた、ガラス組成物中のリチウムの量によって影響を受ける場合がある。ガラス組成物中のリチウムの量が増大すると、Na+及びK+といった他の比較的大きいアルカリ金属カチオンが減少する。最小の歪み点、最小の徐冷点及び最小の軟化点は、ナトリウム含有量が約4モル%となるようにリチウムでナトリウムを置換した場合に発生することが分かった。実施形態では、ガラス組成物の歪み点は、450℃以上625℃以下、例えば475℃以上600℃以下、500℃以上575℃以下、515℃以上560℃以下、又は530℃以上550℃以下であってよい。他の実施形態では、ガラス組成物の歪み点は、500℃以上560℃以下、例えば510℃以上560℃以下、520℃以上560℃以下、530℃以上560℃以下、又は540℃以上560℃以下であってよい。更に他の実施形態では、ガラス組成物の歪み点は、500℃以上555℃以下、500℃以上550℃以下、500℃以上540℃以下、500℃以上530℃以下、又は500℃以上520℃以下であってよい。ビーム曲げ粘度法により、無機ガラスの粘度は、温度に対して1012〜1014ポアズであると測定され、この測定値からガラスの歪み点を推定する。この方法は、ASTM C598に従ったものである。
実施形態では、ガラス組成物の徐冷点は、500℃以上675℃以下、例えば525℃以上650℃以下、550℃以上625℃以下、565℃以上615℃以下、又は580℃以上600℃以下であってよい。他の実施形態では、ガラス組成物の徐冷点は、550℃以上625℃以下、例えば560℃以上625℃以下、570℃以上625℃以下、580℃以上625℃以下、又は590℃以上625℃以下であってよい。更に他の実施形態では、ガラス組成物の徐冷点は、550℃以上615℃以下、550℃以上610℃以下、550℃以上600℃以下、550℃以上590℃以下、又は550℃以上580℃以下であってよい。ビーム曲げ粘度法により、無機ガラスの粘度は、温度に対して1012〜1014ポアズであると測定され、この測定値からガラスの徐冷点を推定する。この方法は、ASTM C598に従ったものである。
実施形態では、ガラス組成物の軟化点は、750℃以上950℃以下、例えば775℃以上925℃以下、750℃以上900℃以下、800℃以上875℃以下、又は825℃以上850℃以下であってよい。他の実施形態では、ガラス組成物の軟化点は、800℃以上925℃以下、例えば815℃以上925℃以下、830℃以上925℃以下、845℃以上925℃以下、又は860℃以上925℃以下であってよい。更に他の実施形態では、ガラス組成物の軟化点は、800℃以上915℃以下、800℃以上900℃以下、800℃以上885℃以下、800℃以上870℃以下、又は800℃以上850℃以下であってよい。平行板粘度法により、無機ガラスに関して、温度に対して107〜109ポアズの粘度が測定され、これから、「通常の軟化点(normal softening point)」を推定する。この方法は、ASTM C1351Mと同様である。
更に、ガラス組成物中のリチウムの量は、ガラス組成物のCTEにも影響を及ぼす。アルカリアルミノシリケートガラス組成物中において、リチウムがNa+及びK+といった大きいアルカリカチオンを置換すると、ガラス組成物のCTEが低下する。実施形態では、ガラス組成物のCTEは、4.20ppm/℃以上7.00ppm/℃以下、例えば4.50ppm/℃以上6.90ppm/℃以下、4.70ppm/℃以上6.80ppm/℃以下、4.90ppm/℃以上6.70ppm/℃以下、5.00ppm/℃以上6.80ppm/℃以下、5.20ppm/℃以上6.70ppm/℃以下、5.40ppm/℃以上6.60ppm/℃以下、5.60ppm/℃以上6.50ppm/℃以下、5.80ppm/℃以上6.40ppm/℃以下、又は6.00ppm/℃以上6.30ppm/℃以下であってよい。他の実施形態では、ガラス組成物は、5.00ppm/℃以上7.00ppm/℃以下、5.20ppm/℃以上7.00ppm/℃以下、5.40ppm/℃以上7.00ppm/℃以下、5.60ppm/℃以上7.00ppm/℃以下、5.80ppm/℃以上7.00ppm/℃以下、6.00ppm/℃以上7.00ppm/℃以下、6.20ppm/℃以上7.00ppm/℃以下、6.40ppm/℃以上7.00ppm/℃以下、6.60ppm/℃以上7.00ppm/℃以下、6.80ppm/℃以上7.00ppm/℃以下のCTEを有してよい。更に他の実施形態では、ガラス組成物は、5.00ppm/℃以上6.80ppm/℃以下のCTEを有してよく、ガラス組成物は、5.00ppm/℃以上6.60ppm/℃以下のCTEを有してよく、ガラス組成物は、5.00ppm/℃以上6.40ppm/℃以下のCTEを有してよく、ガラス組成物は、5.00ppm/℃以上6.20ppm/℃以下のCTEを有してよく、ガラス組成物は、5.00ppm/℃以上6.00ppm/℃以下のCTEを有してよく、ガラス組成物は、5.00ppm/℃以上5.80ppm/℃以下のCTEを有してよく、ガラス組成物は、5.00ppm/℃以上5.60ppm/℃以下のCTEを有してよく、ガラス組成物は、5.00ppm/℃以上5.40ppm/℃以下のCTEを有してよく、ガラス組成物は、5.00ppm/℃以上5.20ppm/℃以下のCTEを有してよい。膨張計法を用いて、例えばガラス等の固体材料の平均線形熱膨張係数(CTE)を決定した。この方法は、ASTM E228に従ったものである。
ガラス組成物中のリチウムの量はまた、ガラス組成物の液相温度にも影響を及ぼす。即ち、アルカリアルミノシリケートガラス組成物中において、リチウムがNa+及びK+といった大きいアルカリカチオンを置換すると、ガラス組成物の液相温度が上昇する。実施形態では、液相温度は、950℃以上1250℃以下、例えば970℃以上1230℃以下、1000℃以上1210℃以下、1020℃以上1190℃以下、1040℃以上1170℃以下、1060℃以上1150℃以下、1080℃以上1130℃以下、又は1090℃以上1110℃以下である。他の実施形態では、ガラス組成物は、1000℃以上1230℃以下、1020℃以上1230℃以下、1040℃以上1230℃以下、1060℃以上1230℃以下、1080℃以上1230℃以下、1100℃以上1230℃以下、1120℃以上1230℃以下、1140℃以上1230℃以下、1160℃以上1230℃以下、1180℃以上1230℃以下、1200℃以上1230℃以下の液相温度を有する。更に他の実施形態では、ガラス組成物は、1000℃以上1210℃以下、1000℃以上1190℃以下、1000℃以上1170℃以下、1000℃以上1150℃以下、1000℃以上1130℃以下、1110℃以上1230℃以下、1000℃以上1090℃以下、1000℃以上1070℃以下、1000℃以上1050℃以下、又は1000℃以上1030℃以下の液相温度を有する。液相温度は、温度勾配炉法で測定した。この方法は、ASTM C829‐81「液相温度の測定のための標準的な実践」に従ったものである。
ガラス組成物中のリチウムの量はまた、ガラス組成物の液相粘度にも影響を及ぼす。即ち、アルカリアルミノシリケートガラス組成物中において、リチウムがNa+及びK+といった大きいアルカリカチオンを置換すると、ガラス組成物の液相粘度が上昇する。実施形態では、液相粘度Logは、3.50ポアズ以上6.00ポアズ以下、例えば3.75ポアズ以上6.00ポアズ以下、4.00ポアズ以上6.00ポアズ以下、4.25ポアズ以上6.00ポアズ以下、4.50ポアズ以上6.00ポアズ以下、4.75ポアズ以上6.00ポアズ以下、5.00ポアズ以上6.00ポアズ以下、5.25ポアズ以上6.00ポアズ以下、5.50ポアズ以上6.00ポアズ以下、又は5.75ポアズ以上6.00ポアズ以下である。他の実施形態では、液相粘度Logは、3.50ポアズ以上5.75ポアズ以下、例えば3.50ポアズ以上5.50ポアズ以下、3.50ポアズ以上5.25ポアズ以下、3.50ポアズ以上5.00ポアズ以下、又は3.50ポアズ以上4.75ポアズ以下、3.50ポアズ以上4.50ポアズ以下、3.50ポアズ以上4.25ポアズ以下、3.50ポアズ以上4.00ポアズ以下、又は3.50ポアズ以上3.75ポアズ以下である。液相粘度は、温度勾配炉法で測定した。この方法は、ASTM C829‐81「液相温度の測定のための標準的な実践」に従ったものである。
ガラス組成物へのリチウムの添加は、ガラス組成物のヤング率、剪断弾性係数、及びポアソン比にも影響を及ぼす。即ち、アルカリアルミノシリケートガラス組成物中において、リチウムがNa+及びK+といった大きいアルカリカチオンを置換すると、ガラス組成物のヤング率、剪断弾性係数及びポアソン比が増大する。実施形態では、ガラス組成物のヤング率は、10.00mpsi(68.966Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下、例えば10.20mpsi(70.345Pa)以上11.80mpsi(81.379Pa)以下、10.40mpsi(71.724Pa)以上11.60mpsi(80.000Pa)以下、10.60mpsi(73.103Pa)以上11.40mpsi(78.621Pa)以下、又は10.80mpsi(74.483Pa)以上11.20mpsi(77.241Pa)以下であってよい。他の実施形態では、ガラス組成物のヤング率は、10.20mpsi(70.345Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下、10.40mpsi(71.724Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下、10.60mpsi(73.103Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下、10.80mpsi(74.483Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下、11.00mpsi(75.862Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下、11.20mpsi(77.241Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下、11.40mpsi(78.621Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下、11.60mpsi(80.000Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下、又は11.80mpsi(81.379Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下であってよい。更に他の実施形態では、ヤング率は、10.00mpsi(68.966Pa)以上11.80mpsi(81.379Pa)以下、10.00mpsi(68.966Pa)以上11.60mpsi(80.000Pa)以下、10.00mpsi(68.966Pa)以上11.40mpsi(78.621Pa)以下、10.00mpsi(68.966Pa)以上11.20mpsi(77.241Pa)以下、10.00mpsi(68.966Pa)以上11.00mpsi(75.862Pa)以下、10.00mpsi(68.966Pa)以上10.80mpsi(74.483Pa)以下、10.00mpsi(68.966Pa)以上10.60mpsi(73.103Pa)以下、10.00mpsi(68.966Pa)以上10.40mpsi(71.724Pa)以下、又は10.00mpsi(68.966Pa)以上10.20mpsi(70.345Pa)以下であってよい。ヤング率は、ASTM C623に従った超音波共鳴法で測定した。
いくつかの実施形態によると、ガラス組成物は、4.00mpsi(27.586Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下、例えば4.10mpsi(28.276Pa)以上4.90mpsi(33.793Pa)以下、4.20mpsi(28.966Pa)以上4.80mpsi(33.103Pa)以下、4.30mpsi(29.655Pa)以上4.70mpsi(32.414Pa)以下、又は4.40mpsi(30.345Pa)以上4.50mpsi(31.034Pa)以下の剪断弾性係数を有してよい。他の実施形態では、ガラス組成物は、4.10mpsi(28.276Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下、4.20mpsi(28.966Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下、4.30mpsi(29.655Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下、4.40mpsi(30.345Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下、4.50mpsi(31.034Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下、4.60mpsi(31.724Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下、4.70mpsi(32.414Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下、4.80mpsi(33.103Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下、又は4.90mpsi(33.793Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下の剪断弾性係数を有してよい。更に他の実施形態では、ガラス組成物は、4.00mpsi(27.586Pa)以上4.90mpsi(33.793Pa)以下、4.00mpsi(27.586Pa)以上4.80mpsi(33.103Pa)以下、4.00mpsi(27.586Pa)以上4.70mpsi(32.414Pa)以下、4.00mpsi(27.586Pa)以上4.60mpsi(31.724Pa)以下、4.00mpsi(27.586Pa)以上4.50mpsi(31.034Pa)以下、4.00mpsi(27.586Pa)以上4.40mpsi(30.345Pa)以下、4.00mpsi(27.586Pa)以上4.30mpsi(29.655Pa)以下、4.00mpsi(27.586Pa)以上4.20mpsi(28.966Pa)以下、又は4.00mpsi(27.586Pa)以上4.10mpsi(28.276Pa)以下の剪断弾性係数を有してよい。剪断弾性係数は、ASTM C623に従った超音波共鳴法で測定した。
上述の物理的特性に加えて、ガラス組成物へのリチウムの添加は、ガラス組成物の、酸及び塩基中での化学的耐久性、並びに水中での化学的耐久性(耐加水分解性)を増大させることができる。ガラス組成物の酸中での耐久性は、DIN12116に従って測定され、ガラス組成物の塩基中での耐久性は、ISO695に従って測定され、ガラス組成物の耐加水分解性は、ISO720に従って測定される。実施形態では、ガラス組成物は、酸、塩基及び水中でのクラス1又はクラス2の化学的耐久性を有する。他の実施形態では、ガラス組成物は、クラス1の化学的耐久性を有してよい。
実施形態によると、ガラス組成物の酸中での耐久性は、0.0mg/dm2以上1.5mg/dm2以下、例えば0.0mg/dm2以上1.2mg/dm2以下、0.0mg/dm2以上1.0mg/dm2以下、0.0mg/dm2以上0.8mg/dm2以下、0.0mg/dm2以上0.6mg/dm2以下、又は0.0mg/dm2以上0.4mg/dm2以下である。他の実施形態では、ガラス組成物の酸中での耐久性は、0.0mg/dm2以上0.7mg/dm2以下、0.0mg/dm2以上0.6mg/dm2以下、0.0mg/dm2以上0.5mg/dm2以下、0.0mg/dm2以上0.4mg/dm2以下、0.0mg/dm2以上0.3mg/dm2以下、0.0mg/dm2以上0.2mg/dm2以下、又は0.0mg/dm2以上0.1mg/dm2以下である。更に他の実施形態では、ガラス組成物の酸中での耐久性は、0.3mg/dm2以上1.5mg/dm2以下、0.4mg/dm2以上1.2mg/dm2以下、0.5mg/dm2以上1.0mg/dm2以下、0.6mg/dm2以上0.9mg/dm2以下、又は0.7mg/dm2以上0.8mg/dm2以下である。
実施形態によると、ガラス組成物の塩基中での耐久性は、0mg/dm2以上175mg/dm2以下、例えば0mg/dm2以上150mg/dm2以下、0mg/dm2以上125mg/dm2以下、又は0mg/dm2以上100mg/dm2以下である。他の実施形態では、ガラス組成物の塩基中での耐久性は、0mg/dm2以上75mg/dm2以下、0mg/dm2以上65mg/dm2以下、0mg/dm2以上55mg/dm2以下、0mg/dm2以上45mg/dm2以下、0mg/dm2以上35mg/dm2以下、0mg/dm2以上25mg/dm2以下、又は0mg/dm2以上15mg/dm2以下である。
実施形態によると、ガラス組成物の耐加水分解性は、0μg/g以上100μg/g以下、例えば0μg/g以上90μg/g以下、0μg/g以上80μg/g以下、0μg/g以上70μg/g以下、又は0μg/g以上75μg/g以下であってよい。他の実施形態では、ガラス組成物の耐加水分解性は、0μg/g以上62μg/g以下、0μg/g以上60μg/g以下、0μg/g以上55μg/g以下、0μg/g以上50μg/g以下、0μg/g以上45μg/g以下、0μg/g以上40μg/g以下、0μg/g以上35μg/g以下、0μg/g以上30μg/g以下、又は0μg/g以上25μg/g以下であってよい。更に他の実施形態では、ガラス組成物の耐加水分解性は、10μg/g以上100μg/g以下、20μg/g以上90μg/g以下、30μg/g以上80μg/g以下、40μg/g以上70μg/g以下、又は50μg/g以上60μg/g以下であってよい。
ガラス組成物中でのアルカリ金属の分布も、ガラスの耐久性に影響を及ぼす。例えば、ガラス組成物中のアルカリ金属の総量が一定に維持される場合、アルカリ金属全体に対するナトリウムの量、アルカリ金属全体に対するカリウムの量、及びアルカリ金属全体に対するリチウムの量は、ガラスの耐久性に影響を及ぼすことになる。実施形態では、ISO720及びISO695それぞれに従った、最良の耐加水分解性及び塩基中での耐久性は、アルカリ金属全体に対するLi2Oの量が60%以上70%以下であり、アルカリ金属全体に対するナトリウムの量が12%以上22%以下であり、アルカリ金属全体に対するカリウムの量が12%以上22%以下である場合に達成される。他の実施形態では、アルカリ金属全体に対するLi2Oの量は62%以上68%以下であり、アルカリ金属全体に対するナトリウムの量は14%以上20%以下であり、アルカリ金属全体に対するカリウムの量は14%以上20%以下である。更に他の実施形態では、アルカリ金属全体に対するLi2Oの量は64%以上66%以下であり、アルカリ金属全体に対するナトリウムの量は15%以上18%以下であり、アルカリ金属全体に対するカリウムの量は15%以上18%以下である。上述の範囲外のアルカリ分布を有するガラスも、十分な耐加水分解性及び耐塩基性を有し得ることを理解されたい。
上述のように、実施形態では、Li含有アルミノシリケートガラス組成物をイオン交換等によって強化して、限定するものではないが医薬品用のガラス梱包等の用途のための耐損傷性を有するガラスを作製できる。本明細書において開示されているように、リチウムの添加によって多くの利点が提供されることが分かっている。特に、従来のガラス梱包のガラス組成物は多量のナトリウムを有し、リチウムを多量には含まない。これらの従来のガラスは、良好な圧縮応力プロファイルを有さず、圧縮応力、中央張力及び圧縮深さは従来のガラス組成物においては限定される。これに比べて、ボロアルミノシリケートガラスの圧縮応力プロファイルは、医薬品梱包用の従来のガラスの圧縮応力プロファイルよりも理想的である。しかしながら上述のように、ガラス組成物にホウ素が含まれることにより、剥離の増加がもたらされる場合があり、これは医薬品梱包においては許容できない。従って本明細書において開示される実施形態のガラスは、ホウ素を用いることなく、ボロアルミノシリケートガラスと同様の圧縮応力プロファイルを有するよう設計される。
ガラス組成物の圧縮応力プロファイルを改善するために、ナトリウムをリチウムで置換する。ガラス組成物にリチウムを添加することにより、イオン交換プロセスに対してより良好な制御を実施できる。というのは例えば、ガラス中のリチウムイオン及びナトリウムイオンの両方を、イオン交換溶液中のナトリウム又はカリウムでそれぞれ交換できるためである。これにより、より迅速なイオン交換プロセスが可能となり、イオン交換プロファイルの傾斜を中央張力の点まで低下させたイオン交換が可能となる。これにより、CT、DOC、DOLk及びCSを、特定の目的のために好適な値に調整できる。例えば、以下で更に詳細に開示されているように、衝撃時にガラスがより多くの片へと破断する(これにより破断をより容易に認識でき、又はガラスが複数回の破断に耐えられるようにすることができる)よう、CS、DOC及びCTを調整できる。
以上に鑑みて、ガラス組成物にリチウムを添加することによって、このガラスの圧縮応力プロファイルを改善する。しかしながら驚くべきことに、ガラス組成物にリチウムを添加することにより、ガラスの耐加水分解性も改善され、また上述のように徐冷点及び軟化点が低下することが分かっている。リチウムは、ガラスの液相温度を上昇させ、液相粘度を低下させる。従って、上述の便益を提供しながらも、ガラスが依然として成形可能となるよう、リチウムの量のバランスを取らなければならない。リチウムがガラスのイオン交換性に対して有する影響について、以下で議論する。
図1を参照すると、ガラスは、圧縮応力下の第1の領域120及び第2の領域122を有する。第1の領域120の圧縮応力は、表面110からガラスの深さd1まで延在する。第2の領域122の圧縮応力は、表面112からガラスの深さd2まで延在する。第1の領域120と第2の領域122との間には、張力下にあるため内部引張応力を有する第3の領域130が存在する。第3の領域130は、第1の領域120及び第2の領域122のうちの一方から第1の領域120又は第2の領域122のうちのもう一方まで延在する。本明細書中で使用される場合、圧縮深さ(DOC)は、ガラス物品の表面(例えば110)から、張力下にあるガラス物品の領域(例えば130)までの深さを指す。換言すると、ガラスのDOCは、ガラスの表面から、応力が圧縮応力から引張応力に変化する点までで測定される。ここでDOCは、ガラスの全厚(t)に対する部分として表現される。例えばDOCがガラス厚さの25%である場合、本明細書ではこれを0.25tと表現する。
圧縮応力(CS)は、ガラスの表面において最大値を有し、CSは図2に示す応力関数のような関数に従って、表面からの距離dと共に変動する。再び図1を参照すると、第1の領域120は第1の表面110から深さd1まで延在し、第2の領域122は第2の表面112から深さd2まで延在する。これらのセグメントは共に、ガラス100の表面圧縮又は表面CSを画定する。いくつかの実施形態では、表面CSは少なくとも350MPa、例えば少なくとも375MPa、少なくとも400MPa、少なくとも425MPa、少なくとも450MPa、又は少なくとも475MPaである。他の実施形態では、表面CSは525MPa以下、例えば500MPa以下である。更に他の実施形態では、表面CSは350MPa以上500MPa以下、例えば375MPa以上500MPa以下、400MPa以上500MPa以下、425MPa以上500MPa以下、450MPa以上500MPa以下、又は475MPa以上500MPa以下であってよい。
本明細書中で使用される場合、層深さDOLkは、イオン交換プロセスによってカリウムがガラス内へと拡散する深さを指す。第1の領域120及び第2の領域122それぞれのDOLkは、2μm以上45μm以下、例えば5μm以上40μm以下、10μm以上35μm以下、15μm以上30μm以下、又は20μm以上25μm以下である。他の実施形態では、第1の領域120及び第2の領域122それぞれのDOLkは、10μm以上40μm以下、15μm以上40μm以下、20μm以上40μm以下、25μm以上40μm以下、30μm以上40μm以下、又は35μm以上40μm以下である。更に他の実施形態では、第1の領域120及び第2の領域122それぞれのDOLkは、2μm以上40μm以下、2μm以上35μm以下、2μm以上30μm以下、2μm以上25μm以下、2μm以上20μm以下、2μm以上15μm以下、2μm以上10μm以下、又は2μm以上5μm以下である。
リチウムの量がガラス内へのカリウムイオンの拡散性に影響を及ぼすことも決定されており、上記拡散性は、ガラスのDOLkに影響を及ぼし得る。一般に、ガラス中のリチウムの量が増加すると、ガラス内へのカリウムの拡散性は低下する。いずれの特定の理論によって束縛されるものではないが、一般に、イオン交換溶液中のカリウムイオンは、ガラスマトリクス中のナトリウムと交換される。よって、ガラスマトリクス中のナトリウムがリチウムで置換されると、イオン交換溶液からのカリウムイオンで置換されることになるガラスマトリクス中のナトリウムが少なくなり、これによりカリウムイオンの拡散性が低下する。実施形態では、420℃でのガラス内へのカリウムの拡散性は、0.50μm2/時間以上15.00μm2/時間以下、例えば0.60μm2/時間以上14.50μm2/時間以下、0.70μm2/時間以上14.00μm2/時間以下、1.00μm2/時間以上13.50μm2/時間以下、1.25μm2/時間以上13.00μm2/時間以下、1.50μm2/時間以上12.50μm2/時間以下、2.00μm2/時間以上11.50μm2/時間以下、2.25μm2/時間以上11.00μm2/時間以下、2.50μm2/時間以上10.50μm2/時間以下、2.75μm2/時間以上10.00μm2/時間以下、3.00μm2/時間以上9.50μm2/時間以下、3.25μm2/時間以上9.00μm2/時間以下、3.50μm2/時間以上8.50μm2/時間以下、3.75μm2/時間以上8.00μm2/時間以下、4.00μm2/時間以上7.50μm2/時間以下、4.25μm2/時間以上7.00μm2/時間以下、4.50μm2/時間以上6.50μm2/時間以下、又は4.75μm2/時間以上6.00μm2/時間以下である。他の実施形態では、420℃でのガラス内へのカリウムの拡散性は、6.00μm2/時間以上8.00μm2/時間以下、6.25μm2/時間以上7.75μm2/時間以下、6.50μm2/時間以上7.50μm2/時間以下、又は6.75μm2/時間以上7.25μm2/時間以下である。
上述のように、実施形態では、Li含有ガラス組成物をイオン交換等によって強化して、耐損傷性を有するガラスを作製できる。図1を参照すると、ガラスは、ガラスの表面から圧縮深さ(DOC)まで延在する、圧縮応力下の第1及び第2の領域(例えば図1の層120、122)と、ガラスのDOCから中央又は内部領域まで延在する、引張応力下の第3の領域(例えば図1の130)とを有する。中央張力(CT)は最大の引張応力であり、これは一般に、第3の領域130の中央に存在する。本明細書中で使用される場合、DOCは、ガラス物品内の応力が圧縮応力から引張応力に変化する深さを指す。DOCにおいて、応力は負の(圧縮応力)応力から正の(引張)応力へと推移し、従って応力値ゼロを示す。CT値及びDOC値は、当該技術分野で公知の散乱光偏向器(scattered light polariscope:SCALP)技法を用いて測定される。
当該技術分野において通常使用される慣例によると、圧縮又は圧縮応力は負(<0)の応力として表現され、張力又は引張応力は正(>0)の応力として表現される。しかしながら本説明全体を通して、CSは正の値又は絶対値として表現される。即ち本明細書中で記載されるように、CS=|CS|である。圧縮応力(CS)は、ガラスの表面において最大値を有し、またCSは、ある関数に従って、表面からの距離dと共に変動する。再び図1を参照すると、第1の領域120は第1の表面110から深さd1まで延在し、第2の領域122は第2の表面112から深さd2まで延在する。これらのセグメントは共に、ガラス100の圧縮又はCSを画定する。(表面CSを含む)圧縮応力は、有限会社折原製作所(日本)製のFSM‐6000といった市販の機器を用いて、表面応力計(FSM)によって測定される。表面応力測定は、応力光係数(SOC)の正確な測定に依存しており、これはガラスの複屈折に関連する。そしてSOCは、ASTM規格C770‐16に記載された手順C(ガラスディスク法)に従って測定される。
実施形態では、ガラス組成物は、5MPa以上160MPa以下、例えば10MPa以上150MPa以下、20MPa以上140MPa以下、30MPa以上140MPa以下、40MPa以上130MPa以下、50MPa以上120MPa以下、60MPa以上110MPa以下、60MPa以上100MPa以下、又は70MPa以上90MPa以下のCTを有してよい。他の実施形態では、ガラス組成物は、10MPa以上160MPa以下、20MPa以上160MPa以下、30MPa以上160MPa以下、40MPa以上160MPa以下、50MPa以上160MPa以下、60MPa以上160MPa以下、70MPa以上160MPa以下、80MPa以上160MPa以下、90MPa以上160MPa以下、100MPa以上160MPa以下、110MPa以上160MPa以下、120MPa以上160MPa以下、130MPa以上160MPa以下、又は140MPa以上160MPa以下のCTを有してよい。更に他の実施形態では、ガラス組成物は、5MPa以上150MPa以下、5MPa以上140MPa以下、5MPa以上130MPa以下、5MPa以上120MPa以下、5MPa以上110MPa以下、5MPa以上100MPa以下、5MPa以上90MPa以下、5MPa以上80MPa以下、5MPa以上70MPa以下、5MPa以上60MPa以下、5MPa以上50MPa以下、5MPa以上40MPa以下、5MPa以上30MPa以下、5MPa以上20MPa以下、又は5MPa以上10MPa以下のCTを有してよい。
実施形態では、ガラス組成物は、形成されるガラス物品の全厚(t)に対する圧縮深さ(DOC)を有してよい。いくつかの実施形態では、DOCは、0.05t以上0.25t以下、例えば0.10t以上0.20t以下、又は0.15t以上0.20t以下であってよい。他の実施形態では、DOCは、0.08t以上0.25t以上、0.10t以上0.25t以上、0.12t以上0.25t以上、0.14t以上0.25t以上、0.16t以上0.25t以上、0.18t以上0.25t以上、0.20t以上0.25t以下、又は0.22t以上0.25t以下であってよい。更に他の実施形態では、DOCは、0.05t以上0.22t以上、0.05t以上0.20t以上、0.05t以上0.18t以上、0.05t以上0.16t以上、0.05t以上0.14t以上、0.05t以上0.12t以上、0.05t以上0.10t以上、0.05t以上0.08t以下、又は0.05t以上0.06t以下であってよい。
圧縮応力層は、ガラスをイオン交換溶液に曝露することによって、ガラス内に形成できる。実施形態では、イオン交換溶液は、溶融硝酸塩、溶融リン酸塩又は溶融硫酸塩であってよい。いくつかの実施形態では、イオン交換溶液は、溶融KNO3、溶融NaNO3又はこれらの組み合わせを含んでよい。いくつかの実施形態では、溶融LiNO3を、溶融KNO3、溶融NaNO3、又は溶融KNO3と溶融NaNO3との組み合わせに添加してよい。特定の実施形態では、イオン交換溶液は、約100%の溶融KNO3、約95%の溶融KNO3、約90%の溶融KNO3、約80%の溶融KNO3、約70%の溶融KNO3、又は約60%の溶融KNO3を含んでよい。特定の実施形態では、イオン交換溶液は、約5%の溶融NaNO3、約10%の溶融NaNO3、約20%の溶融NaNO3、約30%の溶融NaNO3、又は約40%の溶融NaNO3を含んでよい。他の実施形態では、イオン交換溶液は、約80%の溶融KNO3及び約20%の溶融NaNO3、約75%の溶融KNO3及び約25%の溶融NaNO3、約70%の溶融KNO3及び約30%の溶融NaNO3、約65%の溶融KNO3及び約35%の溶融NaNO3、又は約60%の溶融KNO3及び約40%の溶融NaNO3を含んでよい。
ガラス組成物は:ガラス組成物から作製されたガラス物品をイオン交換溶液の浴に浸漬すること;ガラス組成物から作製されたガラス物品にイオン交換溶液を噴霧すること;又はガラス組成物から作製されたガラス物品に、その他の方法でイオン交換溶液を物理的に塗布することによって、イオン交換溶液に曝露できる。実施形態によると、ガラス組成物を曝露する際、イオン交換溶液は、350℃以上500℃以下、例えば360℃以上490℃以下、370℃以上480℃以下、380℃以上470℃以下、390℃以上460℃以下、又は400℃以上420℃以下であってよい。実施形態では、ガラス組成物は、3時間以上48時間以下、例えば8時間以上44時間以下、12時間以上40時間以下、16時間以上36時間以下、20時間以上32時間以下、又は24時間以上28時間以下の期間に亘ってイオン交換溶液に曝露してよい。
いくつかの実施形態では、2段階イオン交換プロセスを用いて、強化ガラスのイオン交換プロファイルをより良好に制御できる。実施形態では、イオン交換の第1のステップは、ガラスを上述のいずれのイオン交換溶液に曝露することを含んでよく、第2のステップは、ガラスを上述のいずれのイオン交換溶液に曝露することを含んでよい。いくつかの実施形態では、第1のステップのイオン交換溶液は、第2のステップのイオン交換溶液とは組成が異なってよい。他の実施形態では、第1のステップのイオン交換溶液は、第2のステップのイオン交換溶液と組成が同一であってよい。実施形態では、第1のステップのイオン交換の温度及び/又は期間は、様々な実施形態に従って、第2のステップのイオン交換の温度及び/又は期間と同一であっても異なっていてもよいことも理解されたい。特定の実施形態では、第1のステップにおいて、ガラス組成物を、上述の温度で、上述の期間に亘って、100%の溶融NaNO3を含むイオン交換溶液に曝露する。続いてガラス組成物をすすぎ、乾燥させ、100%の溶融KNO3を含む第2のイオン交換溶液に曝露する。この2段階イオン交換プロセスは、より深いDOC及びより大きい表面圧縮応力を達成できる。Li含有アルミノシリケートガラスのイオン交換性が改善されていることにより、より高い耐擦過性、支承能力の上昇、及びバイアル充填ライン性能の改善が更に可能となる。
唯一のアルカリとしてナトリウムを含むガラス組成物、又は富Naガラスと比較して、Li含有アルミノシリケートガラスは、改善されたイオン交換性を得ることができる。例えばLi含有アルミノシリケートガラスでは、イオン交換後、加工及び使用中の割れ耐性が改善される。ガラス組成物中のLi2Oの量を増加させると、より高い中央張力及び表面圧縮応力を比較的短時間で得ることができる。これにより、イオン交換に使用される時間が削減され、イオン交換プロセスのコストが節約される。
いくつかの実施形態では、イオン交換プロセスを制御することによって、ガラス組成物に、向上した耐損傷性を提供できる。この向上した耐損傷性は、ガラス組成物を医薬品梱包として使用する場合に特に有用である。特に、このタイプの製品に関するきずの数は制御不可能であることが多く、極めて多様であり、これらのきずは、初期のチューブ製造によって、成形プロセスによって、及びそれ以降の取り扱いによって誘発される。本開示のものと同様のイオン交換プロファイルを有し、かつ上で開示されている様々な特性を有するガラス組成物は、この向上した耐損傷性を提供する。上述の特性及びイオン交換プロセス条件を用いて、ガラスの表面に圧縮のスパイク(spike)を生成でき、これはガラスの表面強度を増大させることができる。割れの生成を制限するべき実施形態では、貯蔵エネルギは、約15.00J/m2以下、約14.50J/m2以下、約14.00J/m2以下、約13.50J/m2以下、約13.00J/m2以下、約12.50J/m2以下、約12.00J/m2以下、約11.50J/m2以下、約11.00J/m2以下、約10.50J/m2以下、又は約10.00J/m2以下であってよい。しかしながら、ガラスが割れた場合に複数の割れが形成されるように、ガラス組成物中の貯蔵エネルギを増大させることが望ましい場合がある。これによりユーザは、ガラス組成物から形成されたガラス物品中に割れが存在する場合にこれをより良好に識別でき、これは、ガラスの破断が望ましくない汚染を引き起こす場合がある医薬品梱包において有益となり得る。このような実施形態では、ガラス組成物中の貯蔵エネルギは、17.00J/m2以上、例えば18.00J/m2以上、19.00J/m2以上、20.00J/m2以上、21.00J/m2以上、22.00J/m2以上、23.00J/m2以上、24.00J/m2以上、又は26.00J/m2以上である。以上の実施形態のうちのいずれにおいて、貯蔵エネルギは50.00J/m2以下であってよい。貯蔵歪みエネルギ(Σ0)は、以下の式:
から算出され、ここでz*は(t/2)‐dであり;σは張力であり:Eはヤング率であり、γはポアソン比である。
第1項によると、ガラス医薬品パッケージは:68.00モル%以上81.00モル%以下のSiO2;4.00モル%以上11.00モル%以下のAl2O3;0.10モル%以上16.00モル%以下のLi2O;0.10モル%以上12.00モル%以下のNa2O;0.00モル%以上5.00モル%以下のK2O;0.10モル%以上8.00モル%以下のMgO;0.10モル%以上5.00モル%以下のCaO;0.00モル%以上0.20モル%以下の清澄剤を含むガラス組成を有し、上記ガラス医薬品パッケージは耐剥離性を有し、また上記ガラス医薬品パッケージは、酸、塩基及び水中でのクラス1又はクラス2の化学的耐久性を有する。
第2項は、上記ガラス清澄剤が、SnO2、CeO2、As2O3、Sb2O3、Cl‐、S‐、F‐又はFe2O3からなる群から選択される、第1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第3項は、上記ガラス清澄剤がSnO2である、第1項又は第2項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第4項は、上記ガラス医薬品パッケージが、B2O3、SrO、BaO、ZrO2及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを実質的に含まない、第1〜3項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第5項は、上記ガラス医薬品パッケージがB2O3、SrO、BaO及びZrO2を実質的に含まない、第1〜4項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第6項は、上記ガラス医薬品パッケージが1.50モル%以上16.00モル%以下のLi2Oを含む、第1〜5項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第7項は、上記ガラス医薬品パッケージが0.10モル%以上7.50モル%以下のMgOを含む、第1〜6項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第8項は、上記ガラス医薬品パッケージが0.05以上0.50以下の(Li+Na+K)/(Si+Al)の比を備える、第1〜7項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第9項は、上記ガラス医薬品パッケージが0.05以上0.15以下の(Li+Na+K)/(Si+Al)の比を備える、第1〜8項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第10項は、上記ガラス医薬品パッケージが2.25g/cm3以上2.50g/cm3以下の密度を備える、第1〜9項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第11項は、上記ガラス医薬品パッケージが24.00cm3/モル以上27.00cm3/モル以下のモル体積を備える、第1〜10項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第12項は、上記ガラス医薬品パッケージが10以下の剥離係数を有する、第1〜11項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第13項は、上記ガラス医薬品パッケージが450℃以上625℃以下の歪み点を備える、第1〜12項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第14項は、上記ガラス医薬品パッケージが500℃以上675℃以下の徐冷点を備える、第1〜13項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第15項は、上記ガラス医薬品パッケージが750℃以上950℃以下の軟化点を備える、第1〜14項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第16項は、上記ガラス医薬品パッケージが4.20ppm/℃以上7.00ppm/℃以下のCTEを備える、第1〜15項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第17項は、上記ガラス医薬品パッケージが3.50ポアズ以上6.00ポアズ以下の液相粘度Logを備える、第1〜16項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第18項は、上記ガラス医薬品パッケージが10.00mpsi(68.966Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下のヤング率を備える、第1〜17項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第19項は、上記ガラス医薬品パッケージが4.00mpsi(27.586Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下の剪断弾性係数を備える、第1〜18項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第20項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0.0mg/dm2以上1.5mg/dm2以下の、DIN12116によって測定された酸中での化学的耐久性を備える、第1〜19項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第21項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0.0mg/dm2以上0.7mg/dm2以下の、DIN12116によって測定された酸中での化学的耐久性を備える、第1〜20項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第22項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0mg/dm2以上175mg/dm2以下の、ISO695によって測定された塩基中での化学的耐久性を備える、第1〜21項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第23項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0mg/dm2以上75mg/dm2以下の、ISO695によって測定された塩基中での化学的耐久性を備える、第1〜22項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第24項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0μg/g以上100μg/g以下の、ISO720によって測定された水中での化学的耐久性を備える、第1〜23項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第25項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0μg/g以上62μg/g以下の、ISO720によって測定された水中での化学的耐久性を備える、第1〜24項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第26項は、上記ガラス医薬品パッケージがイオン交換によって強化され、少なくとも350MPaの表面圧縮応力を備える、第1〜25項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第27項は、上記ガラス医薬品パッケージがイオン交換によって強化され、0.05t以上0.25t以下の圧縮深さを備える、第1〜26項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第28項は、上記ガラス医薬品パッケージがイオン交換によって強化され、5MPa以上160MPa以下の中央張力を備える、第1〜27項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第29項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0.50μm2/時間以上15.00μm2/時間以下の、420℃におけるカリウムイオンの拡散性を備える、第1〜28項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第30項は、上記ガラス医薬品パッケージがイオン交換によって強化され、約15.00J/m2以下の貯蔵エネルギを備える、第1〜29項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第31項は、上記ガラス医薬品パッケージがイオン交換によって強化され、17.00J/m2以上の貯蔵エネルギを備える、第1〜30項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第32項は:68.00モル%以上81.00モル%以下のSiO2;6.10モル%以上7.00モル%以下のAl2O3;3.10モル%以上6.60モル%以下のLi2O;1.40モル%以上3.00モル%以下のNa2O;0.00モル%以上5.00モル%以下のK2O;5.10モル%以上7.50モル%以下のMgO;0.10モル%以上5.00モル%以下のCaO;0.00モル%以上0.20モル%以下の清澄剤を含むガラス組成を有する、ガラス医薬品パッケージを含み、上記ガラス医薬品パッケージは耐剥離性を有し、また上記ガラス医薬品パッケージは、酸、塩基及び水中でのクラス1又はクラス2の化学的耐久性を有し、また上記ガラス医薬品パッケージは、B2O3、SrO、BaO及びZrO2を実質的に含まない。
第33項は、上記ガラス清澄剤が、SnO2、CeO2、As2O3、Sb2O3、Cl‐、S‐、F‐又はFe2O3からなる群から選択される、第32項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第34項は、上記ガラス清澄剤がSnO2である、第32項又は第33項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第35項は、上記ガラス医薬品パッケージが0.05以上0.50以下の(Li+Na+K)/(Si+Al)の比を備える、第32〜34項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第36項は、上記ガラス医薬品パッケージが0.05以上0.15以下の(Li+Na+K)/(Si+Al)の比を備える、第32〜35項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第37項は、上記ガラス医薬品パッケージが2.25g/cm3以上2.50g/cm3以下の密度を備える、第32〜36項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第38項は、上記ガラス医薬品パッケージが24.00cm3/モル以上27.00cm3/モル以下のモル体積を備える、第32〜37項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第39項は、上記ガラス医薬品パッケージが10以下の剥離係数を有する、第32〜38項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第40項は、上記ガラス医薬品パッケージが450℃以上625℃以下の歪み点を備える、第32〜39項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第41項は、上記ガラス医薬品パッケージが500℃以上675℃以下の徐冷点を備える、第32〜40項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第42項は、上記ガラス医薬品パッケージが750℃以上950℃以下の軟化点を備える、第32〜41項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第43項は、上記ガラス医薬品パッケージが4.20ppm/℃以上7.00ppm/℃以下のCTEを備える、第32〜42項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第44項は、上記ガラス医薬品パッケージが3.50ポアズ以上6.00ポアズ以下の液相粘度Logを備える、第32〜43項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第45項は、上記ガラス医薬品パッケージが10.00mpsi(68.966Pa)以上12.00mpsi(82.759Pa)以下のヤング率を備える、第32〜44項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第46項は、上記ガラス医薬品パッケージが4.00mpsi(27.586Pa)以上5.00mpsi(34.483Pa)以下の剪断弾性係数を備える、第32〜45項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第47項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0.0mg/dm2以上1.5mg/dm2以下の、DIN12116によって測定された酸中での化学的耐久性を備える、第32〜46項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第48項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0.0mg/dm2以上0.7mg/dm2以下の、DIN12116によって測定された酸中での化学的耐久性を備える、第32〜47項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第49項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0mg/dm2以上175mg/dm2以下の、ISO695によって測定された塩基中での化学的耐久性を備える、第32〜48項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第50項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0mg/dm2以上75mg/dm2以下の、ISO695によって測定された塩基中での化学的耐久性を備える、第32〜49項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第51項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0μg/g以上100μg/g以下の、ISO720によって測定された水中での化学的耐久性を備える、第32〜50項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第52項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0μg/g以上62μg/g以下の、ISO720によって測定された水中での化学的耐久性を備える、第32〜51項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第53項は、上記ガラス医薬品パッケージがイオン交換によって強化され、少なくとも350MPaの表面圧縮応力を備える、第32〜52項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第54項は、上記ガラス医薬品パッケージがイオン交換によって強化され、0.05t以上0.25t以下の圧縮深さを備える、第32〜53項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第55項は、上記ガラス医薬品パッケージがイオン交換によって強化され、5MPa以上160MPa以下の中央張力を備える、第32〜54項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第56項は、上記ガラス医薬品パッケージが、0.50μm2/時間以上15.00μm2/時間以下の、420℃におけるカリウムイオンの拡散性を備える、第32〜55項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第57項は、上記ガラス医薬品パッケージがイオン交換によって強化され、約15.00J/m2以下の貯蔵エネルギを備える、第32〜56項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
第58項は、上記ガラス医薬品パッケージがイオン交換によって強化され、17.00J/m2以上の貯蔵エネルギを備える、第32〜57項のいずれか1項に記載のガラス医薬品パッケージを含む。
以下の実施例によって、実施形態を更に明らかにする。これらの実施例は、上述の実施形態を限定するものではないことを理解されたい。
実施例1
ガラス試料1〜38を、以下の表1に示す組成から形成した。表1に列挙した組成を有するガラスを、従来のソースのバッチ又は開始材料から作製し、アルミニウムカバーを用いて、空気中において、1570℃〜1650℃の白金るつぼ内で溶融させた。
試料1〜38の、測定された様々な特性を以下の表2に提供する。
比較用試料C1〜C21のガラスの組成を、以下の表3に提供する。
比較用試料C1〜C21の、測定された様々な特性を以下の表4に提供する。
上述の試料では、ガラス中のLi2Oの量は、(表1に示すように)試料1〜6では増加し、ここで比較用試料4はLi2Oを含まない対照として使用し、様々な試料ガラスの物理的特性を図3A〜図3Gに示す。Li2O含有量の増加と共に、以下のことが観察された:Na2Oのモル%に対する密度及びモル体積のプロットである図3Aに示すように、Li2Oの量が増加するに従って密度は低下し(図3A〜図3Gでは、Li2Oの量はNa2Oの量と負の相関を有するため、これらの図ではNa2Oの量が多いことはLiO2の量が少ないことを示し、またその逆でもあることに留意されたい);また図3Aに示すように、Li2Oが増加するに従ってモル体積は線形に減少し、これは他の組成物に関するモル体積及び密度の予測に使用でき;Na2Oのモル%に対するSOCのプロットである図3Bに示すように、Li2Oが増加するに従ってSOCは線形に減少し、これは弾性率及びガラスネットワーク中の原子結合に関連し;Na2Oのモル%に対する徐冷点、歪み点及び軟化点のプロットである図3Cに示すように、LiO2を添加すると、歪み点、徐冷点及び軟化点の全てが一般に減少するが、図3Cに示すように、これらの特性は全て、Na2Oの量が約4モル%である最小点に到達し、これは単にLi2Oを添加するだけでは充分でないことを示しており;Na2Oのモル%に対するCTEのプロットである図3Dに示すように、加熱時の300℃未満でのCTEは、Li2Oの量の増加と共に線形に減少し、これもまた、他の組成物に関するCTEの予測に使用でき;Na2Oのモル%に対する液相温度のプロットである図3Eに示すように、Li2Oを少量添加すると液相温度も大幅に増大し;Na2Oのモル%でプロットした熱の流れ(「Exo」は発熱を意味する)のプロットである図3FSMに示すように、液相温度における一次結晶化相は、プロト頑火輝石(MgSiO3、Na2O≧4モル%の場合)からスポジュメン(LiAl(SiO3)2、Na2O<4モル%の場合)へと進展し、結晶化傾向は、図3FのDSC測定が示すように、発熱活性と共に上昇し、主結晶質相はリチウムアルミニウムシリケートLiAl(SiO3)2であり、リチウムの量が増加するに従ってより明確に定義され;Na2Oモル%に対するヤング率、剪断弾性係数及びポアソン比のプロットである図3Gに示すように、ヤング率、剪断弾性係数及びポアソン比は、5モル%を超える量のLi2Oを添加した場合に上昇する。
DIN12116、ISO695及びISO720それぞれに従った酸及び塩基中での化学的耐久性並びに水中での化学的耐久性(耐加水分解性)について、試料1〜6のガラスの耐久性も試験した。ここで比較例4は、非Li2O含有対照試料である。Na2Oのモル%に対する DIN12116、ISO695及びISO720の結果のプロットである図4Aに示すように、試料1〜6は全て、比較用試料4よりも改善された化学的耐久性を示す。最初にNa2OをLi2Oで置換すると、耐加水分解性及び耐塩基性が劇的に改善され、耐酸性はわずかに改善される。Na2Oのモル%に対するISO720のイオン濃度のプロットである図4Bは、ICP‐MSで測定した、ISO720溶液中の絶対イオン濃度を示す。Na2Oのモル%に対するイオン濃度のプロットである図4Cは、ISO720試験から回収された溶液において測定された、正規化された浸出イオン濃度を示し、これは、Li+及びCa2 +がガラスネットワークから優先的に浸出し、Li+及びCa2+は、富Li組成物からよりも富Na組成物から優先的に浸出することを示す。
更なるガラス組成を、Na2Oのモル%を4モル%に固定すること(試料7〜16)、Na2Oモル%を2モル%に固定すること(試料17〜26)によって調整し、これらを、Na2Oのモル%が0モル%(比較用試料5〜14)であるガラス試料と比較し、また更なるガラス組成を、Li2Oモル%を5.6モル%に固定し、かつMgOのモル%を5.3モル%に固定すること(試料27〜32及び比較用試料14〜19)によって調整した。組成の調整は、上の表1及び3に列挙されている。物理的特性及び化学的耐久性を測定し、これらは上の表2及び4に列挙されている。
SiO2、Al2O3、MgO、CaO及びK2Oの量を変更することにより、様々な試料のLi含有ガラス組成物は:PPVで測定した軟化点が示すように、ガラスの結晶化傾向を低下させることができ(例えば試料7、9、11〜17、21、22、27、28及び32);ガラス加工に関する特性を改善でき(例えばチューブ成形及びバイアル作製に関して、粘度が35000ポアズとなる温度が液相温度より高く、かつ1200℃未満となる)(例えば実施例7、11〜13、15、16、18、21、22及び25);DIN12116による酸中での化学的耐久性(クラスS1、ガラス全体の単位表面積あたりの質量損失の1/2(mg/dm2)が0〜0.7mg/dm2となる)、ISO695による塩基中での化学的耐久性(クラスA1、ガラス全体の単位表面積あたりの質量損失の(mg/dm2)が最大75mg/dm2となる)、及びISO720による水中での化学的耐久性(HGA1、ガラス粒子1グラムあたりのNa2Oの質量(μg/g)として表されるアルカリ等量が62μg/g以下となる)を改善でき(例えば試料8、10〜12、14、15、16、18、20〜22、24、25、26及び27〜32);特に低い結晶化傾向、ガラス加工のために好ましい特性、及びイオン交換前の良好な化学的耐久性を有する試料は、試料1〜4、11、12、15、16、21及び22である。
ネットワーク形成成分に対するアルカリ金属の比に対する、ISO720の結果のプロットである図5は、ISO720の結果が、本開示のガラスに関して(Li+Na+K)/(Si+Al)比を変化させ、アルカリ含有量が増大すると化学的耐加水分解性が低下することを示す。軟化点に対するISO720の結果のプロットである図6は、様々なガラスのISO720による化学的耐加水分解性が、ガラスの軟化点と共に変化することを示す。図6は、ガラス組成物(黒い正方形)がLi非含有及びB非含有アルミノシリケートガラス(黒い菱形)から1B型ボロシリケートガラス(黒い三角形)へと遷移すると、軟化点が大幅に低下し、化学的耐加水分解性が改善されることを示す。しかしながら、ボロシリケートガラスに関しては、水性溶液(例えば医薬溶液)と接触した場合に、内側表面が剥離する蓋然性が存在する。図6は、ガラス組成物中にLi2Oを導入することによって、ホウ素を添加することなく、B非含有アルミノシリケートガラスと同様の特性を、1B型ボロシリケートガラスに近づけることができることを示している。従って、チューブ再成形のための物理的特性を、化学的耐久性に関する剥離の問題を引き起こすことなく改善できる。
Li含有ガラス組成物のイオン交換性も、試料及び比較用試料について示す。イオン交換後、加工及び使用中の割れ耐性は改善される。試料C4、1、2、3、4及び6に関するイオン交換処置の期間に対するCT、CS、DOLkのプロットである図7A〜図7Cは、イオン交換性の特性がガラス組成によって変化したことを示す。ガラス組成物中のLi2Oの量が増大すると(Li2Oは試料1から試料6へと増大する)、比較的大きい中央張力及び表面圧縮応力が比較的短時間で得られる。表5は、70重量%のKNO3及び30重量%のNaNO3を含むイオン交換溶液に曝露されたガラス試料に関する、ガラス試料、イオン交換温度及びイオン交換の期間を示す。試料のCT、貯蔵エネルギ、圧縮応力及びDOLkも表5に与えられている。
表6は、95重量%のKNO3及び5重量%のNaNO3を含むイオン交換溶液に曝露されたガラス試料に関する、ガラス試料、イオン交換温度及びイオン交換の期間を示す。試料のCT、貯蔵エネルギ、圧縮応力及びDOLkも表6に与えられている。
ガラス試料6及び7それぞれに対して実施されたイオン交換処置の期間に対するCTのプロットである、図8A及び図8Bは、高Li2O含有ガラス(例えば試料6及び7)に関する、異なる塩浴タイプによるCTへの影響を示し、NaNO3>30重量%の塩浴タイプはCTに対してほとんど影響を及ぼさない。
図9A〜図9Dは、様々なイオン交換溶液中での、試料7のガラス組成物に関するイオン交換プロファイルである。図9Aは、420℃の、70重量%のKNO3及び30重量%のNaNO3のイオン交換溶液であり;図9Bは、420℃の、30重量%のKNO3及び70重量%のNaNO3のイオン交換溶液であり;図9Cは、420℃の、100重量%のNaNO3のイオン交換溶液であり;図9Dは、450℃の、100重量%のNaNO3のイオン交換溶液である。これらのイオン交換プロファイルは、ガラスの応力プロファイルに対する、イオン交換溶液のタイプ、イオン交換温度及びイオン交換期間の影響を示す。例えば、420℃での短いイオン交換期間(例えば6時間)の後、混合塩浴で処置された試料7(図9A及び9B)は、100%のNaNO3中で処置されたガラス(図9C)よりも比較的小さい、応力プロファイル下での陽性領域を有する。同一のイオン交換期間の後、より低い温度で処置されたガラス(420℃、図9C)に関するCTよりも高いCTが、より高いイオン交換温度(450℃、図9D)において得られた。
Na2Oのモル%に対するISO720の結果のプロットである図10は、Li含有アルミノシリケートガラスの化学的耐加水分解性(ISO720)が、イオン交換プロセスによって大幅に改善されることを示す。比較用試料4の化学的耐加水分解性は、イオン交換によって68μg/g(クラスHGA1のボーダーライン)から37μg/gまで改善され、Li含有ガラスの化学的耐加水分解性は30μg/g未満まで低下する。よって図10は、Li2Oをある特定の量を越えて添加すると、Li2Oの添加の利点が低減されることを示す。Na2Oのモル%に対するISO720溶液中のイオン濃度のプロットである図11A〜図11Dは、イオン交換前後のガラスに関するICP‐MS分析によって、ISO720溶液中の、イオン濃度及び正規化された浸出イオン濃度を示す。イオン交換後、溶液中に浸出したLi、Ca及びAlカチオンは、イオン交換前のガラスよりはるかに少ない(図11B、図11C及び図11D)。
イオン交換プロセスは、(図11B、図11C及び図11Dに示すように)ガラスから溶液中に浸出するLi、Ca及びAlカチオンの量を大幅に低減する。ガラス表面上の構造は、イオン交換後、ナトリウム又はカリウムをリチウムで交換したことによって濃縮され、これによりイオン及びガラスの全体的な溶解速度が低下し、従ってイオン交換済みガラスの耐加水分解性は、イオン交換前のガラスよりはるかに良好である(図10)。
溶解時間に対するイオン濃度のプロットである図12A及び図12Bは、イオン交換前のガラスに関する溶解動態研究の一例を示す。寸法25.47mm×25.47mm×1mmの、試料1〜7及び比較用試料4の組成を有するガラスを、95℃の200mlのDI H2Oに5週間浸漬した。各時間間隔において、2mLの溶液を採取し、ICP‐MSで分析し、2mLのDI水で再充填した。図12Aは、試料C4、1、2、4及び6に関する、ICP‐MSで測定し、R2≧0.98を用いて線形フィッティングしたSi濃度(ppm)を示す。図12Bは、ガラス組成(Na2Oのモル%)と共に変化するSiの溶解速度(ppm/時間)を示す。Siの溶解速度の傾向は、図4Aに示した標準試験の結果と一致している。比較用試料4及び試料1〜7に関して、ガラスネットワーク形成因子(Si)の溶解動態は、線形時間依存性を示す。ガラスネットワーク形成因子(Si)の溶解速度は、試料1、2、4、6及び7に関して、Na2O含有量に対する線形組成依存性を示す。
実施例2
上述の実施例1で形成した様々なガラス試料をイオン交換に供し、様々なイオン交換条件下でのカリウムの拡散性を検査した。表7は、この実施例に使用したガラス試料、イオン交換溶液及びイオン交換温度を示す。様々なイオン交換条件におけるカリウムの拡散性も、表7において与えられている。
実施例3
それぞれISO720及びISO695に従った耐加水分解性及び耐塩基性に対する、アルカリ分布の影響を、実施例1に従って形成されたガラスの様々な試料に関して決定した。この実施例で使用した試料は全て、総アルカリ金属量が11.69モル%であった。この総11.69モル%というアルカリ金属含有量以内において、試料を選択し、ここで、総アルカリ金属量に対するリチウムの量、総アルカリ金属量に対するナトリウムの量、及び総アルカリ金属量に対するカリウムの量は異なっていた。ガラスの耐加水分解性及び耐塩基性を、これらの試料それぞれに関して測定した。ISO720に従った耐加水分解性の結果を、図15の三角図に示し、またISO695に従った耐塩基性の結果を、図16の三角図に示す。図15及び16に示すように、総アルカリ金属量に対するリチウムの量が約66%、総アルカリ金属量に対するナトリウムの量が約17%、及び総アルカリ金属量に対するカリウムの量が約17%である試料が、水及び塩基の両方において最高の耐久性を示した。
実施例4
Li2O含有ガラスを、80%のKNO3及び20%のNaNO3を含む混合溶融塩浴中でイオン交換した。図2は、ナトリウムイオン濃度と関連する応力のSCALPデータを示す。イオン交換はまた、ガラスの表面における圧縮の「スパイク」ももたらし、これは675MPaの値、及び19μmのDOLkを有していた。高圧縮の薄い層を提供できることにより、この部分の荷重支承能力が上昇し、これにより、製造ラインにおいて発生し得るランダムかつ高レベルの応力イベントに対して良好に対処できるようになる。図13は、この特定のスケジュールを用いてイオン交換した、鋭利なWC先端を用いた突き試験後の、50×50×1.1mm厚の部分の写真を示す。上記部分は2つの部分にしか破壊されておらず、これは貯蔵歪みエネルギ/面積(SSE/面積)13.9J/m2と矛盾しない。SSE/面積を調整することによって、図14に示すような、より断片化された破壊パターンを得ることもできる。この条件(23時間のイオン交換期間)に関連する応力プロファイルパラメータを、以下の表8に示す。
請求対象の主題の精神及び範囲から逸脱することなく、本明細書に記載の実施形態に対して様々な修正及び変更を行うことができることは、当業者には明らかであろう。従って、本明細書に記載の様々な実施形態の修正及び変更が、添付の請求項及びその均等物の範囲内である限り、本明細書はこれらの修正及び変更を包含することが意図されている。
以下、本発明の好ましい実施形態を項分け記載する。
実施形態1
68.00モル%以上81.00モル%以下のSiO2;
4.00モル%以上11.00モル%以下のAl2O3;
0.10モル%以上16.00モル%以下のLi2O;
0.10モル%以上12.00モル%以下のNa2O;
0.00モル%以上5.00モル%以下のK2O;
0.10モル%以上8.00モル%以下のMgO;
0.10モル%以上5.00モル%以下のCaO;
0.00モル%以上0.20モル%以下の清澄剤
を含むガラス組成を有する、ガラス医薬品パッケージであって、
上記ガラス医薬品パッケージは耐剥離性を有し、
上記ガラス医薬品パッケージは、酸、塩基及び水中でのクラス1又はクラス2の化学的耐久性を有する、ガラス医薬品パッケージ。
実施形態2
上記清澄剤は、SnO2、CeO2、As2O3、Sb2O3、Cl‐、S‐、F‐又はFe2O3からなる群から選択される、実施形態1に記載のガラス医薬品パッケージ。
実施形態3
上記ガラス清澄剤はSnO2である、実施形態1又は2に記載のガラス医薬品パッケージ。
実施形態4
上記ガラス医薬品パッケージは、B2O3、SrO、BaO、ZrO2及びこれらの組み合わせのうちの少なくとも1つを実質的に含まない、実施形態1〜3のいずれか1つに記載のガラス医薬品パッケージ。
実施形態5
上記ガラス医薬品パッケージはB2O3、SrO、BaO及びZrO2を実質的に含まない、実施形態1〜4のいずれか1つに記載のガラス医薬品パッケージ。
実施形態6
上記ガラス医薬品パッケージは1.50モル%以上16.00モル%以下のLi2Oを含む、実施形態1〜5のいずれか1つに記載のガラス医薬品パッケージ。
実施形態7
上記ガラス医薬品パッケージは0.10モル%以上7.50モル%以下のMgOを含む、実施形態1〜6のいずれか1つに記載のガラス医薬品パッケージ。
実施形態8
上記ガラス医薬品パッケージは0.05以上0.50以下の(Li+Na+K)/(Si+Al)の比を備える、実施形態1〜7のいずれか1つに記載のガラス医薬品パッケージ。
実施形態9
上記ガラス医薬品パッケージは:
450℃以上625℃以下の歪み点;
500℃以上675℃以下の徐冷点;及び
750℃以上950℃以下の軟化点
を備える、実施形態1〜8のいずれか1つに記載のガラス医薬品パッケージ。
実施形態10
上記ガラス医薬品パッケージは4.20ppm/℃以上7.00ppm/℃以下のCTEを備える、実施形態1〜9のいずれか1つに記載のガラス医薬品パッケージ。