JP2018099062A - 味付けところてん及びその製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】 鰹だし等の調味液によって味付けされた即食可能なところてんであって、常温流通及び常温による長期保存を可能とした味付けところてん及びその製造方法を提供することを目的とする。【解決手段】 少なくとも、ところてんと、調味液と、該調味液のpHを調整するためのフィチン酸とが容器内に密封されて成り、前記調味液のpHが3.8〜4.2であることを特徴とする味付けところてんである。また、調味液にフィチン酸を添加して、該調味液のpHを3.8〜4.2に調整する工程と、前記調味液とところてんを密封容器に密封して加熱殺菌する工程とを含むことを特徴とする味付けところてんの製造方法である。【選択図】 なし

Description

本発明は味付けが施されたところてんに関し、特に常温での流通及び長期保存が可能であり、出汁などの調味液によって即食することが可能な味付けところてん及びその製造方法に関する。
従来から、ところてんに関する種々の加工方法や味付けをしてそのまま食すことが可能なところてんが種々開示されている(例えば、特許文献1乃至特許文献3参照)。特許文献1には、ビニールカップの内底部におかかを入れ、その上に細い線状のところてんを入れ、このところてんの上にすりごまと紅しょうが等を載せ、これらの上部から酢醤油を注入した後、ビニールカップに蓋をして冷蔵するようにしたところてんの加工処理法が開示されている。
特許文献1に開示されたところてんの加工処理法によると、調味液である酢醤油と添加物であるおかか、すりごま、紅しょうが等はカップ内でよくなじんで風味を良くし、缶詰等と同じように手をかけないでそのまま食べられるので便利であり、また外界と隔離されるので衛生的である旨、記載されている。
また、特許文献2には、味付けをしたところてんを、全面開きのプルトップアルミ蓋を有する容器に収め、内容物のくずれを防止し、且つ衛生的に流通可能とした味付きところてんが開示されている。特に、ところてんを鰹だし、三杯酢、甘味料、糖蜜等で味付けし、合成樹脂製のカップ容器に収め、アルミニウム製の全面開きプルトップ式の蓋を施している。
この特許文献2に開示された味付きところてんによると、需要者は流通経路中における外気の侵入のない衛生的な、しかも内容物を型崩れさせない容器入りの姿で入手でき、また、蓋を取り除くのみで、味付きのところてんを手軽に食することができる旨、記載されている。
更に、特許文献3には、密閉容器内に、ところてんがグルコノデルタラクトン及び/又はグルコン酸含有水と共に保存されてなることを特徴とする当初の品質が維持されたところてん食品が開示されている。
この特許文献3に開示されたところてん食品によると、酢水を使用する従来の方法に比べ、ところてん食品を保存後も風味が劣化することなく、むしろ、ところてん食品に良好な風味を付与し、ところてん食品の品質が改善される旨、記載されている。
特開昭49−125564号公報 実開昭52−117574号公報 特開平11−75784号公報
味付けを施したところてん、特に鰹だし等の出汁によって食するところてんにおいては、出汁が腐りやすいため密封容器にところてんと鰹だしを封入した状態で常温流通、常温保存させることが不可能であった。食品衛生法における清涼飲料水の製造(殺菌)基準によると、pH4.6以上かつ水分活性が0.94を超えるものについては120℃で4分間、pH4.0〜pH4.6未満では中心温度85℃で30分間、pH4.0未満では中心温度65℃で10分間の加熱殺菌が必要となる。出願人が味付けところてんに使用している鰹だしのpHは約5.5あるため、常温流通させるためには、上記の製造基準に当てはめると120℃で4分間の加熱殺菌が必要となる。
そこで、酸味料を加えてpHを下げることにより製造基準を緩和させることが考えられる。しかし、pH4.0〜pH4.6未満の製造基準であっても中心温度85℃で30分間の加熱殺菌が必要であり、この条件で加熱殺菌を行うと、ところてんが溶解してしまう可能性がある。
従って、鰹だしのpHが4.0未満になるように鰹だしを調整することによって加熱殺菌の条件を大幅に緩和することができる。しかし、鰹だしのpHを穀物酢等によって単純に下げると酸味が強くなりすぎるため、そのまま食するとかなり酸っぱく感じてしまう。
ここで、特許文献1に開示されたところてんの加工処理法によると、味付けされたところてんをそのまま食することができるが、冷蔵保管が必要である旨、記載されており、常温で流通させることができない。
また、特許文献2に開示された味付きところてんによると、蓋を取り除くのみで味付けされたところてんを手軽に食することができる旨、記載されているが、殺菌条件や常温流通が可能であるか等が不明である。
更に、特許文献3に開示されたところてん食品によると、室温で2週間保存した後であってもえぐ味、苦味、舌を刺すような酸味等がなかった旨、記載されているが、当該ところてん食品は、食する際に三杯酢や黒蜜をかけて食するものである。当初からところてんに味付けが施されているものではないため、容器開封後に即食することができない。
そこで本願発明者らは、上記の問題点に鑑み、鰹だし等の調味液によって味付けされた即食可能なところてんであって、常温流通及び常温による長期保存を可能とした味付けところてん及びその製造方法を提供するべく鋭意検討を重ねた結果、本発明に至ったのである。
即ち、本発明の味付けところてんは、少なくとも、ところてんと、調味液と、該調味液のpHを調整するためのフィチン酸とが容器内に密封されて成り、前記調味液のpHが3.8〜4.2であることを特徴とする。
また、本発明の味付けところてんにおいて、前記調味液のpHが3.8以上4.0未満であることを特徴とする。
また、本発明の味付けところてんにおいて、前記調味液にステビアが添加されたことを特徴とする。
更に、本発明の味付けところてんにおいて、前記ステビアの添加量が、前記調味液の全量に対して0.002重量%〜0.005重量%であることを特徴とする。
また、本発明の味付けところてんにおいて、前記調味液が鰹だしであることを特徴とする。
また、本発明の味付けところてんの製造方法は、調味液にフィチン酸を添加して、該調味液のpHを3.8〜4.2に調整する工程と、前記調味液とところてんを密封容器に密封して加熱殺菌する工程と、を含むことを特徴とする。
更に、本発明の味付けところてんの製造方法において、前記調味液にステビアを添加する工程を含むことを特徴とする。
本発明によると、調味液によって味付けが施されているため即食が可能であると共に、調味液にフィチン酸を添加してpHを少なくとも3.8〜4.2に調整することによって、常温での流通・保存が可能な味付けところてんを提供することができる。
特に、本発明の味付けところてんにおいて、調味液のpHを3.8以上4.0未満とすることによって、食品衛生法における清涼飲料水の製造(殺菌)基準における中心温度65℃で10分間の加熱殺菌を行うことで、調味液による風味を損なうことなく、常温での流通、保存が可能な味付けところてんを提供することができる。
また、本発明の味付けところてんにおいて、調味液にステビアを添加することによって、フィチン酸による酸味を緩和することができる。
更に、本発明の味付けところてんにおいて、ステビアの添加量を調味液の全量に対して0.002重量%〜0.005重量%とすることによって、甘みを殆ど感じることなく、酸味のマスキング効果が十分に得られる。
また、本発明の味付けところてんにおいて、調味液を鰹だしとすることによって、鰹だしの風味豊かなところてんを提供することができる。
また、本発明の味付けところてんの製造方法によると、調味液と共に密封され、即食可能な味付けところてんを常温で流通・保存することができる。
更に、本発明の味付けところてんの製造方法において、調味液にステビアを添加する工程を含むことによって、フィチン酸の添加による酸味を緩和することができる。
本発明の味付けところてんにおける殺菌時間と芯温との関係を示すグラフである。 Staphylococcus pasteuriの増殖特性を示すグラフである。 Bacillus flexusの増殖特性を示すグラフである。
以下、本発明の味付けところてんの実施形態について詳述する。本実施形態の味付けところてんは、ところてんがフィチン酸を含む調味液と共にプラスチック容器などに密封保存されており、容器を開封後は、調味液によって味付けが施されたところてんを調味液と共に即食することが可能である。本実施形態に係る調味液は特に限定されるものではなく、鰹だし、鰹だしに穀物酢を添加したいわゆる土佐酢、鰹だしにユズ果汁を添加したユズ風味の鰹だしなどが挙げられるが、本実施形態および後述する実施例では、調味液として鰹だしを使用している。
また、本実施形態に係る調味液(鰹だし)は、フィチン酸の添加によってpHが3.8〜4.2に調整さていることを特徴とする。調味液のpHを少なくとも3.8〜4.2に調整することによって、調味液による即食が可能であると共に、常温での流通・保存が可能な味付けところてんを提供することができる。
調味液のpH調整においては、調味液に酸味料を添加することによって容易に行い得る。しかし、本発明は即食が可能な味付けところてんであり、容器を開封後、調味液と共に即食できることを特徴とするため、単純に酸味料を添加してpHを下げると、酸味が強すぎて即食に適さない場合がある。例えば、本実施形態の調味液である鰹だし(pH=5.54)のpHを4.0未満となるように穀物酢を添加する場合、穀物酢の添加量は鰹だし100g当たり26.1g(pH=3.95)と多量に必要となり、食味も酸味が強すぎて即食に適さない。
そこで、調味液(鰹だし)のpH調整にフィチン酸を適用することによって、少ない添加量でpHを下げることができる。例えば、pH5.54の鰹だしのpHを4.0未満となるようにフィチン酸(50%水溶液)を添加する場合、フィチン酸の添加量は鰹だし100g当たり0.89gと僅かな添加量でpH=3.95まで下げることができ、食味も比較的まろやかな酸味を付与することができる。
また、本発明の味付けところてんを常温流通、常温での長期保存が可能なものとするためには、一定条件の下で加熱殺菌する必要がある。特に、本実施形態に係る調味液の鰹だしは腐りやすい。食品衛生法においては、ところてんなどの容器包装食品の常温流通に関する明確な基準はないため、清涼飲料水の製造(殺菌)基準に準拠して、本発明の味付けところてんの殺菌条件の検討を行った。食品衛生法における清涼飲料水の製造(殺菌)基準は、前述のとおりpH4.6以上かつ水分活性が0.94を超えるものについては120℃で4分間、pH4.0〜pH4.6未満では中心温度85℃で30分間、pH4.0未満では中心温度65℃で10分間の加熱殺菌が必要となる。
本実施形態に係る調味液の鰹だしのみであれば、120℃で4分間の加熱殺菌も可能であるが、本実施形態の味付けところてんは、調味液である鰹だしと共にところてんが容器内に封入されているため、120℃で4分間の加熱殺菌を行うと、ところてんが溶解するおそれがある。また、当該条件での加熱殺菌を行うためには専用設備も必要となり、味付けところてんの製造コストが掛かる。
そこで、加熱殺菌の条件を緩和すべく、上述の通り、調味液である鰹だしにフィチン酸を添加し、少なくともpHを3.8〜4.2、より好ましくはpHを3.8〜4.0未満とすることによって、中心温度65℃で10分間の加熱殺菌により、本実施形態に係る味付けところてんを常温で流通させることが可能となる。なお、食品衛生法における清涼飲料水の製造(殺菌)基準では、pH4.0〜pH4.6未満では中心温度85℃で30分間の加熱殺菌が必要である旨、定められているが、本発明の味付けところてんにおいては、少なくともpH=4.2以下であれば、80℃で30分間の加熱殺菌を行うことによって、中心温度65℃で10分間の加熱殺菌条件を満たすと共に、常温での流通・保存が可能であることが確認できた。この点については後述する。
以上の通り、本実施形態の味付けところてんによると、調味液である鰹だしにフィチン酸を添加してpHを少なくとも3.8〜4.2、より好ましくはpH=3.8〜4.0未満とすることによって、常温での流通・保存が可能な味付けところてんを提供することができる。
また、本実施形態の味付けところてんは鰹だしによってところてんに味付けが施されているため、容器を開封後、手間を掛けずに即食することが可能であり、事前に冷蔵することでより美味しく食することができる。
以上、本発明の味付けところてんの実施形態について詳述したが、本発明の味付けところてんは上記の実施形態に限定されない。例えば、本発明に係る調味液には、フィチン酸と共にステビアが添加されてもよい。調味液である鰹だしにフィチン酸を添加することによって、鰹だしのみの場合に比べて若干の酸味を感じる場合もある。そこで酸味のマスキング作用が知られているステビアを少量添加することによって、甘みを殆ど感じることなく、フィチン酸に由来する酸味をマスキングすることができる。なお、ステビアの添加量は特に限定されないが、フィチン酸を含む鰹だし全量に対して0.005重量%以上添加すると酸味はマスキングされるが甘みが強くなり、0.002重量%以下ではマスキングの効果が殆ど得られない。従って、0.002重量%〜0.005重量%添加することによって、甘みを殆ど感じることなく、酸味のマスキング効果も十分に得られるため好ましい。
以下、具体的な実施例について説明する。
(実施例1)
鰹だし(pH=5.54)2000gにフィチン酸(50%水溶液、敷島スターチ株式会社製)19.8g(鰹だし100g当たり0.99g)を添加してpHを3.95に調整し、ステビアを0.003重量%添加して調味液1を得た。
この調味液1を130gと、ところてん120gとをプラスチック製容器に入れて密封し、加熱殺菌条件を80℃で30分に設定して加熱蒸気殺菌を行って実施例1に係る味付けところてん1を得た。なお、図1に示すように、約10分後には芯温が65℃に達し、食品衛生法における清涼飲料水の製造(殺菌)基準でpH=4.0未満の場合における中心温度65℃で10分間の加熱殺菌条件を満たしていることがわかる。
このようにして得られた本実施例1に係る味付けところてん1について、所定の微生物検査方法に則って微生物検査を行ったところ、表1に示すように、加熱殺菌前は一般生菌、黄色ブドウ球菌、大腸菌群、および酵母が検出されたが、加熱殺菌後は一般生菌のみが検出された。本実施例1に係る加熱殺菌条件であれば、中心温度は75℃まで到達していることから、検出された生菌は芽胞菌である可能性が考えられる。芽胞菌は、一般的にpH=4.0未満では生育できなとされているが、残存した一般生菌が味付けところてん1中で増殖しないことが確認できれば、常温での流通・保存が可能となる。
Figure 2018099062
そこで、加熱殺菌後に残存した微生物の同定を行った。コロニーを単離・レプリカし、16SrRNAの高度可変領域の一部をPCR増幅し、任意の6菌株のシークエンス解析を行ったところ、分離株の一つは皮膚常在菌Staphylococcus pasteuri、他の分離株は芽胞形成菌Bacillus flexusであった。
次に、これらの微生物の増殖特性(pH4.0で増殖するか否か)を調べるため、これらの微生物をpH=6.7に調整したLB培地、pH=4.0に調整したLB培地および鰹だし(フィチン酸を添加してpH=4.0に調整したもの)にそれぞれ加え、増殖するか否かを調べた。その結果、図2及び図3に示すように、どちらの微生物もpH=6.7に調整したLB培地では増殖しているが、pH=4.0に調整したLB培地およびpH=4.0に調整した鰹だしでは何れも増殖しないことが判明した。
そして、味付けところてん1の保蔵試験1を行った。保蔵試験1では、味付けところてん1を30℃に設定したインキュベーターで保蔵し、定期的に肉眼観察、色調(色彩色差計CR−400(コニカミノルタ)使用)、食味、微生物検査を行った。その結果を表2および表3に示す。表2に示すように、保蔵176日後においても、肉眼観察で大きな変化や異常は無く、色調、鰹だしの食味も特に変化はなかった。色差も極めて僅かに異なる程度であった。なお、ところてん自体は、保蔵120日以降になると柔らかく感じられ、一晩冷蔵して食すると強度は回復したが、製造直後に比べると若干、柔らかく感じられた。
Figure 2018099062
保蔵試験1における微生物検査の結果を表3に示す。なお、本実施例1に係る鰹だしのpHは3.95に調整されていたが、ところてんと混合して得られた味付けところてん1のpHは4.08であった。しかしながら、表3に示すように、80℃で30分間の加熱殺菌後に120個/gであった一般生菌は、保蔵176日後も増加せず、むしろ減少した。また、黄色ブドウ球菌、大腸菌などは製造直後および保蔵後ともに検出されなかった。以上のことから、食味の変化および安全係数を考慮して、少なくとも90日間は、色調、食味、および微生物数が変化しないことが分かった。付言すれば、保蔵試験1の期間中におけるpHもほとんど変化することはなかった(3.99〜4.12の範囲で推移)。
Figure 2018099062
次に、本実施例1の味付けところてん1の保蔵試験2を行った。保蔵試験2では、味付けところてん1を45℃に設定したインキュベーターおよび60℃に設定した定温恒温乾燥機で保蔵し、定期的に肉眼観察、色調、食味、微生物検査を行った。まず、30℃での保蔵に対する色差を測定(15日間各温度で保蔵した味付けところてん1の色差を比較)したところ、45℃保蔵で0.47、「きわめてわずかに異なる(trace)」という評価となり、30℃保蔵とほとんど違いがなかった。一方、60℃保蔵では1.9、「感知しうるほどに異なる(noticeable)という評価となり、肉眼観察においても褐色化が確認された。
また、食味についても15日間各温度で保蔵したものを比較したところ、45℃保蔵の味付けところてん1は、30℃保蔵のものと違いはなかったが、60℃保蔵では、酸味やえぐ味が感じられた。
更に、微生物数(生菌数)の検査結果を表4に示す。表4に示すように、少なくとも保蔵24日間では、生菌数の増加は見られず、むしろ減少していた。
Figure 2018099062
以上の結果より、フィチン酸によって少なくともpH=4.0以下に調整した調味液1と、ところてんとを密封容器に入れて密封し、80℃で30分間の加熱殺菌(中心温度65℃で10分間の加熱殺菌条件を満たす)を行うことによって、少なくとも90日間は常温での流通・保存が可能な本発明の実施例1に係る味付けところてん1を提供することができる。
(実施例2)
鰹だし(pH=5.54)2000gにフィチン酸(50%水溶液、敷島スターチ株式会社製)19.5g(100g当たり0.975g)を添加してpHを3.98に調整し、ステビアを0.003重量%添加して調味液2を得た。
この調味液2を130gと、ところてん120gとをプラスチック製容器に入れて密封し、加熱殺菌条件を80℃で30分に設定して加熱蒸気殺菌を行って実施例2に係る味付けところてん2を得た。
そして、味付けところてん2の保蔵試験1(30℃に設定したインキュベーターで保蔵し、定期的に微生物検査)を行った。その結果を表5に示す。表5に示すように、保蔵72日後において、一般生菌は増加せず、むしろ減少した。また、黄色ブドウ球菌や大腸菌群なども検出されなかった。
Figure 2018099062
(実施例3)
鰹だし(pH=5.54)2000gにフィチン酸(50%水溶液、敷島スターチ株式会社製)16g(100g当たり0.8g)を添加してpHを4.2に調整し、ステビアを0.003重量%添加して調味液3を得た。
この調味液3を130gと、ところてん120gとをプラスチック製容器に入れて密封し、加熱殺菌条件を80℃で30分に設定して加熱蒸気殺菌を行って実施例3に係る味付けところてん3を得た。
そして、味付けところてん3の保蔵試験1(30℃に設定したインキュベーターで保蔵し、定期的に微生物検査)を行った。その結果を表6に示す。表6に示すように、保蔵63日後においても一般生菌は増加していなかった。また、黄色ブドウ球菌や大腸菌群なども検出されなかった。
Figure 2018099062
(実施例4)
鰹だし(pH=5.54)2000gにフィチン酸(50%水溶液、築野食品工業製)16.7g(100g当たり0.835g)を添加してpHを3.98に調整し、ステビアを0.003重量%添加して調味液4を得た。
この調味液4を130gと、ところてん120gとをプラスチック製容器に入れて密封し、加熱殺菌条件を80℃で30分に設定して加熱蒸気殺菌を行って実施例4に係る味付けところてん3を得た。
そして、味付けところてん4の保蔵試験1(30℃に設定したインキュベーターで保蔵し、定期的に微生物検査)を行った。その結果を表7に示す。表7に示すように、保蔵63日後においても一般生菌は増加していなかった。また、黄色ブドウ球菌や大腸菌群なども検出されなかった。
Figure 2018099062
また、本実施例4に係るフィチン酸は米ぬか由来のフィチン酸であって、他の実施例に係るトウモロコシ由来のフィチン酸と異なり、フィチン酸の使用量を減少させることができた。従って、酸味料であるフィチン酸の使用量を減少させることによって、実施例1〜実施例3に係る鰹だしに比べて酸味が和らぎ、鰹だし本来の風味もより感じることができた。
以上、本発明の実施形態に係る味付けところてんについて詳述したが、本発明の味付けところてん及びその製造方法は上記の実施形態に限定されるものではない。本発明はその要旨を逸脱しない範囲で、当業者の創意と工夫により、適宜に改良、変更又は追加をしながら実施できる。

Claims (8)

  1. 少なくとも、ところてんと、調味液と、該調味液のpHを調整するためのフィチン酸とが容器内に密封されて成り、
    前記調味液のpHが3.8〜4.2であることを特徴とする味付けところてん。
  2. 前記調味液のpHが3.8以上4.0未満であることを特徴とする請求項1に記載の味付けところてん。
  3. 前記フィチン酸の添加量が、前記調味液100gに対して0.8〜1.0gであることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の味付けところてん。
  4. 前記調味液にステビアが添加されたことを特徴とする請求項1から請求項3の何れかに記載の味付けところてん。
  5. 前記ステビアの添加量が、前記調味液の全量に対して0.002重量%〜0.005重量%であることを特徴とする請求項1から請求項4の何れかに記載の味付けところてん。
  6. 前記調味液が鰹だしであることを特徴とする請求項1から請求項5の何れかに記載の味付けところてん。
  7. 調味液にフィチン酸を添加して、該調味液のpHを3.8〜4.2に調整する工程と、
    前記調味液とところてんを密封容器に密封して加熱殺菌する工程と、
    を含むことを特徴とする味付けところてんの製造方法。
  8. 前記調味液にステビアを添加する工程を含むことを特徴とする請求項7に記載の味付けところてんの製造方法。
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