JP2018097366A - 少なくとも1つのスペクトル選択素子を含む光学機器 - Google Patents

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Abstract

【課題】光学装置と、光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するために光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子と、を含む光学機器に関する。【解決手段】スペクトル選択素子は、少なくとも1つのスペクトルエッジを有する作用面(12)を有し、この作用面(12)は自身(12)への光の入射位置を変化させる。スペクトル選択素子の作用面は、光路内で、作用面への光の入射角の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの変化が、作用面への光の入射位置の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に配置されている。これに代えて、作用面が、光路内で、光学装置の瞳像の位置に配置されてもよい。【選択図】図4

Description

本発明は、光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するために光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子を含む光学機器であって、スペクトル選択素子が、スペクトルエッジを有する作用面を有し、この作用面が自身への光の入射位置を変化させる光学機器、特に顕微鏡に関する。
多数の光学機器において、光のスペクトル特性を制御するために、光を分解または統合するダイクロイックビームスプリッタとカラーフィルタとが使用されている。これらの素子は、通常、機器を実現する際の選択によってそのスペクトル特性が定められるように構成されており、つまり、機器の動作中にユーザがスペクトル特性を変更することはできない。機器の動作中、例えば、種々のフィルタをフィルタホイールまたはフィルタスライダ上に配置し、用途に応じてこれらのフィルタのうちいずれかが活性となるように切り替えることによって、或る程度の自由度は達成できる。しかし、フィルタ曲線の無段階での変化はこうした配置によっては不可能であり、このことは特に光学顕微鏡の適用において欠点となっている。
一連の顕微鏡検査の適用、特に蛍光顕微鏡検査においては、検査すべき試料が1つもしくはそれぞれ異なる複数の波長または波長領域の光によって照明され、試料から出た光が少なくとも1つの検出器、例えばカメラなどの2次元検出器またはラインディテクタもしくはポイントディテクタによって検出される。この場合、光路内を伝搬する光は、それぞれ異なるスペクトル成分に分離される。よって、例えば落射照明型顕微鏡では、試料が対物レンズを通して照明され、試料から出た光が同じ対物レンズによって集光されることが多い。この場合、照明光と検出光との分離もしくは統合は、通常、照明光と検出光とにつきそれぞれ異なるスペクトル特性に対して構成されたダイクロイックビームスプリッタによって行われる。この場合、検出光は、検出光路において、ダイクロイックビームスプリッタによってそれぞれ異なる検出波長帯域へ分割され、それぞれ異なる検出器で検出される。種々の波長帯域を良好に分離するために、ここでは、検出光路において特に、所望のスペクトル領域以外の光を抑圧するダイクロイックバンドパスフィルタを使用可能である。照明光路においてもダイクロイックバンドパスフィルタが使用され、その使用箇所において、試料へ案内される照明光のスペクトル制限が行われる。
特に顕微鏡検査で使用されるダイクロイックビームスプリッタおよびバンドパスフィルタは、透過率および反射率に関して固定に設定された特性を有する。この場合、励起および検出のためのそれぞれ1つずつのバンドパスフィルタを共通に1つの素子として、例えばフィルタキューブとして含むビームスプリッタを構成することができる。この場合、それぞれ異なるスペクトル特性を有する複数のフィルタキューブを例えば1つのセレクタホイール上に配置でき、このセレクタホイールにより、ユーザは、顕微鏡検査の際、そのつどの用途に最適なフィルタキューブを光路へ導入できる。ただし、こうしたフィルタキューブのスペクトル特性は不変に定められている。そのつどの用途に適したスペクトル特性の選択は、利用可能なフィルタキューブの範囲において行うことしかできない。同じことが、種々の波長帯域を相互に分離するためまたは望ましくない波長帯域を抑圧するために検出光路に配置されるフィルタおよびビームスプリッタにも当てはまる。
独国特許出願公開第102006034908号明細書(DE102006034908A1)では、走査顕微鏡においてエッジフィルタの形態のスペクトル選択素子を使用し、スペクトルエッジとも称される限界波長をフィルタに沿って変化させることが提案されている。この場合、グラジエントフィルタとも称されるこうした素子のスペクトルエッジによって、透過の波長領域が透過の生じない波長領域から分離される。
空間的に変化するスペクトルエッジを有するこうしたエッジフィルタを使用することにより、ユーザが検出器のスペクトル特性を所望に応じて調整することができる。しかし、ここで、独国特許出願公開第102006034908号明細書(DE102006034908A1)では扱われていない問題が発生する。つまり、充分に急峻なスペクトルエッジすなわち充分に鮮鋭な限界波長は、フィルタへ入射する検出光束が充分に小さい直径を有する場合にしか実現されないのである。光束の直径が増大するにつれ、必然的にエッジの急峻性は低下する。エッジの急峻性が小さくなると、これにともなって検出器のスペクトル特性は不正確となる。
また、フィルタのスペクトルエッジ位置は、検出光束がフィルタへ入射する際の入射角に依存する。
従来技術の補完として、刊行物Hamamatsu, "Image Splitting Optics, W-View GEMINI", Technical Note, Jun.2014を挙げておく。
本発明の課題は、機器の動作中、そのスペクトル特性を容易に変化させることのできる光学機器、特に顕微鏡を提供することである。
この課題は、本発明の各独立請求項の対象によって解決される。有利な発展形態は各従属請求項および以下の説明から得られる。
本発明は、第1の態様では、光学装置と、光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するために光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子と、を含む光学機器に関する。スペクトル選択素子は、スペクトルエッジを有する少なくとも1つの作用面を有し、この作用面は自身への光の入射位置を変化させる。スペクトル選択素子の作用面は、光路内で、作用面への光の入射角の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの変化が、作用面への光の入射位置の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に配置されている。これに代えて、スペクトル選択素子の作用面は、光路内で、光学装置の瞳像の位置に配置されてもよい。
本発明は、第2の態様では、対物レンズと、光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するために光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子と、を含む、広視野顕微鏡検査のための光学機器に関しており、ここで、スペクトル選択素子は、少なくとも1つのスペクトルエッジを有する作用面を有し、この作用面は自身への光の入射位置を変化させる。スペクトル選択素子の作用面は、光路内で、作用面への光の入射角の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの変化が、作用面への光の入射位置の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に配置されている。これに代えて、スペクトル選択素子の作用面は、光路内で、光学装置の瞳像の位置に配置されてもよい。
この場合、光学機器は、好ましくは蛍光顕微鏡、明視野顕微鏡、シート面照明部を含むもしくは含まない光シート顕微鏡、広視野多光子顕微鏡、暗視野顕微鏡、位相差顕微鏡または微分干渉顕微鏡の形態の広視野顕微鏡である。
ただし、本発明の広視野顕微鏡は上述した実施形態に限定されない。むしろ、本発明の広視野顕微鏡には、従来の光学顕微鏡と同様、観察すべき試料領域の全体が同時に結像される形式のあらゆる顕微鏡が含まれる。この点で、本発明の広視野顕微鏡は、例えば共焦点顕微鏡検査のような、結像すべき試料領域が連続的に走査される形式の顕微鏡装置に対して区別されうる。
本発明は、第3の態様では、光学装置と、光路に沿って伝搬する試料照明用の光のスペクトルを制御するために光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子と、を含む光学機器に関しており、ここで、スペクトル選択素子は、スペクトルエッジを有する少なくとも1つの作用面を有し、この作用面は自身への光の入射位置を変化させる。スペクトル選択素子の作用面は、光路内で、作用面への光の入射角の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの変化が、作用面への光の入射位置の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に配置されている。これに代えて、スペクトル選択素子の作用面は、光路内で、光学装置の瞳像の位置に配置されてもよい。
本発明は、第4の態様では、光学装置と、光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するために光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子と、を含む光学機器に関しており、ここで、スペクトル選択素子は、少なくとも1つのスペクトルエッジを有する作用面を定める多層構造体から形成されており、作用面は自身への光の入射位置を変化させる。スペクトル選択素子の作用面は、光路内で、作用面への光の入射角の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの変化が、作用面への光の入射位置の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に配置されている。これに代えて、スペクトル選択素子の作用面は、光路内で、光学装置の瞳像の位置に配置されてもよい。
この実施形態では、スペクトル選択素子は、例えば多層干渉フィルタまたは多層ファブリペローフィルタとして構成される。
本発明は、第5の態様では、光学装置と、この光学装置が配置された共通光路に照明光路と検出光路とを統合する少なくとも1つのビームスプリッタと、を含む光学機器に関しており、ここで、ビームスプリッタは、照明光路および検出光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するスペクトル選択素子である。スペクトル選択素子は、少なくとも1つのスペクトルエッジを有する作用面を有し、この作用面は自身への光の入射位置を変化させる。スペクトル選択素子の作用面は、共通光路内で、作用面への光の入射角の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの変化が、作用面への光の入射位置の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に配置されている。これに代えて、スペクトル選択素子の作用面は、共通光路内で、光学装置の瞳像の位置に配置されてもよい。
本発明は、第6の態様では、光学装置と、光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するために光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子と、を含む光学機器に関しており、ここで、光路は、顕微鏡のノンデスキャン検出光路ではない。スペクトル選択素子は、少なくとも1つのスペクトルエッジを有する作用面を有し、この作用面は自身への光の入射位置を変化させる。スペクトル選択素子の作用面は、光路内で、作用面への光の入射角の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの変化が、作用面への光の入射位置の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に配置されている。これに代えて、スペクトル選択素子の作用面が、光路内で、光学装置の瞳像の位置に配置されてもよい。
本発明の上述した態様にしたがって設けられる光学機器は、好ましくはそれぞれ顕微鏡として構成される。
また、各光学機器において使用される光学装置は、好ましくは結像光学素子、特に対物レンズである。
本発明では、光路において、スペクトル選択素子の作用面の2通りの交番的な配置が行われる。第1の配置では、作用面は、作用面への光の入射角の変化によって生じる作用面のスペクトルエッジの変化が、作用面への光の入射位置の変化によって生じる作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に置かれる。第2の配置では、作用面は、光学装置の瞳像の位置に置かれる。
上述した第1の配置では、作用面への光の入射角の変化は、例えば、種々の対象物点に由来する光を種々の光束から形成し、その主ビームが光路の光軸に対する種々の傾角および相応の種々の入射角を有するようにすることで実現可能となる。これは、例えば、本発明の光学機器が広視野顕微鏡として使用される場合である。また、作用面への光の入射角の変化は、例えば、光を光路内で走査運動させ、その入射角度を連続的に時間変化させることで生じさせることもできる。これは、例えば、走査顕微鏡の検出光路において、いわゆるノンデスキャンディテクタ、すなわち、検出光束を受信する検出器が、検出光束を予め走査ユニットに戻さず、走査運動において照明光束が試料の上方でガイドされるようにこの照明光束を偏向するケースがそうである。
当該第1の配置では、スペクトル選択素子の作用面は、光路の光軸に対して好ましくは垂直ではなく、斜めに配置される。当該斜め位置により、垂直の配向とは異なり、スペクトルエッジの位置が入射角領域全体にわたって入射角とともに単調に変化する。このため、入射角に依存するエッジ位置のシフトを、スペクトル選択素子の作用面への光の入射位置の変化によって生じ、同様に単調に行われるエッジ位置の対抗シフトによって補償することができる。
上述した第2の配置は、特に、スペクトル選択素子の作用面が光路の光軸に対して垂直であるかまたはいずれの場合にもほぼ垂直に配置されており、かつ光束が素子の作用面へ入射する際の(スペクトル選択素子の鉛直線に対する)最大入射角が過度に大きくない場合に、有益に適用可能である。この場合、作用面を瞳像の位置に配置することにより、作用面への光の入射位置の変化によって生じるスペクトルエッジのシフトが回避される一方、入射角の変化によって生じるスペクトルエッジのシフトは比較的小さくなり、ひいては許容可能となる。典型的には、このことは、35°以下の入射角、好ましくは30°以下の入射角度、最良には20°以下の入射角について当てはまる。
スペクトル選択素子が瞳像の位置またはいずれの場合にもその直接近傍に配置される第2の配置では、種々の対象物点に由来する光の主ビームが少なくとも近似的に作用面の同じ位置に入射するため、同様にスペクトルの点でも作用面の影響を受ける。スペクトル選択素子が例えばフィルタとして構成されていれば、種々の対象物点に由来する光の主ビームは、この場合、同じフィルタ作用を受けることになる。
当該第2の配置では、スペクトル選択素子は、例えばエッジフィルタ、例えばショートパスフィルタ、ロングパスフィルタまたはバンドパスフィルタを形成する。ここで、バンドパスフィルタは、光路の光軸に沿って相前後するように配置されたショートパスフィルタおよびロングパスフィルタから形成することができる。
スペクトルエッジすなわち反射と透過との間の限界波長は、例えば、ちょうど50%の透過率の値を取る波長として定義される。しかし、当該スペクトルエッジを別様に定義してもよいことは明らかである。
好ましくは、第1の配置でのスペクトル選択素子の作用面は、その面法線が光路の光軸に対して予め定められた角度で傾斜するように光路に配置され、作用面は、光路の光軸に沿って、光の入射角の変化に依存して予め定められた瞳像の位置までの距離を有する。
上述した距離zは、好ましくは、式
z≦−2・(D/D)・Θ・[sin(90°+φ−Θ)/sin(Θ)]
が満足されるように予め定められ、ここで、Dは、作用面への光の入射角に依存したスペクトルエッジの変化を表す入射角分散度であり、Dは、作用面への光の入射位置に依存したスペクトルエッジの変化を表す長手方向分散度であり、Θは、光の主ビームと光路の光軸とが瞳像の位置でなす角度を表し、φは、光路の光軸に対する作用面の面法線の予め定められた傾斜角度を表す。上掲の式については後に詳述する。
光路の光軸に対する作用面の面法線の予め定められた傾斜角度は、例えば65°以下であり、好ましくは45°以下であり、特に好ましい実施形態では30°以下である。この場合、スペクトル選択素子は、好ましくは、光路内で、反射面すなわち入射ビームおよび反射ビームによって展開される平面が作用面のスペクトルエッジの変化の方向に対して平行となるように配置される。
好ましくは、本発明の光学機器は、作用面への光の入射位置が調整可能となるよう、光路のスペクトル選択素子を調整すべく構成された駆動機構を有する。当該駆動機構は、例えば、機械式、ニューマチック式、電気式または圧電式の駆動機構として構成される。したがって、例えば、電気モータを用いてスペクトル選択素子の所望の位置を調整することができる。当該調整は、ユーザ自身が相応のソフトウェアを用いて行うことができる。また、駆動機構を自動制御してもよい。
好ましくは、スペクトル選択素子は、駆動機構により、作用面のスペクトルエッジを変化させる変化軸に沿って移動可能である。スペクトル選択素子の作用面が例えば長方形の形状を有する場合、当該長方形の長辺に対して平行に延在する変化軸に沿ってこの作用面を駆動機構により移動させ、所望のスペクトルエッジを調整することができる。これに対して、例えば、作用面のスペクトルエッジが円に沿って変化するようにスペクトル選択素子が構成される場合、作当該用面を駆動機構により回転させ、エッジ位置を調整することもできる。
また、スペクトル選択素子は光路に沿ってシフト可能に構成され、これにより光路の光軸に沿った作用面から瞳像までの距離をフレキシブルに適応化することができる。こうしたシフトも、駆動機構により、上述した方式で、好ましくは自動で行うことができる。各駆動機構は、固定のプログラムフローに基づいて、または光強度もしくはビーム位置などの所定の測定データに応答した閉ループ制御により、駆動することができる。この場合特に、各駆動機構により、測定前または測定中、各駆動機構に対応する配置を適応化し、これにより例えばエッジ位置に残留しているシフト量をダイナミックに補償することができる。
好ましくは、少なくとも1つのスペクトル選択素子が配置された光路は、照明光路もしくは検出光路、または照明光路および検出光路に共通の光路区間によって形成される。最後に挙げた実施形態では、スペクトル選択素子は、照明光路と検出光路の分離および/または統合に用いられる。
好ましくは、少なくとも1つのスペクトル選択素子は、少なくとも1つのビームスプリッタおよび/または少なくとも1つのエッジフィルタを含む。
少なくとも1つのエッジフィルタは、好ましくは、少なくとも1つのショートパスフィルタ、少なくとも1つのロングパスフィルタおよび/または少なくとも1つのバンドパスフィルタを含む。
好ましくは、こうしたバンドパスフィルタは、光路の光軸に沿って相前後するように配置されたショートパスフィルタおよびロングパスフィルタから形成される。
光学機器の構造をいっそうコンパクトに形成するために、有利には、それぞれ異なるフィルタ領域もしくはスプリッタ領域を含む複数のスペクトル選択素子が相前後するように配置される。これにより、例えば、スペクトルエッジを最小値から中間値まで変化させる第1のフィルタ領域もしくはスプリッタ領域を含む第1の基板を設けることができる。さらには、スペクトルエッジを上述した中間値から最大値まで変化させる第2のフィルタ領域もしくはスプリッタ領域を含む第2の基板を設けることもできる。上述した2つの基板が例えば検出光路に相前後するように配置される場合、所望のスペクトルエッジを含む基板を検出光路に導入し、他方の基板を光路から遠ざけるという方式で、これらの基板を使用することができる。付加的に、これらの基板が、波長に依存しない高い透過率を有する領域を有してもよい。これにより、ちょうど不活性に切り換えられた基板を光路内に残しておき、波長に依存しない高い透過率を有する領域のみを光路に導入することができる。
好ましくは、本発明の光学機器は、少なくとも第1の検出モジュールおよび第2の検出モジュールを有し、ビームスプリッタは、光をスペクトル分割して、反射により第1の検出モジュールへ供給し、透過により第2の検出モジュールへ供給する。当該実施形態では、検出光を特に簡単に2つの検出モジュールへ可変に分配することができる。
好ましくは、2つの検出モジュールに共通利用される検出器が設けられ、この検出器は2つの検出器部分を含み、これら2つの検出器部分のうち一方はビームスプリッタが反射した光を検出し、他方はビームスプリッタが透過した光を検出する。共通利用される検出器として、好ましくは、ラインディテクタまたは2次元検出器もしくはアレイディテクタ、例えばCCD,EMCCD,sCMOSもしくはQIS(量子像センサ)を使用可能である。読み出されるセンサ素子の一部分が一方の検出器部分に属し、他の部分が他方の検出器部分に属するように、唯一の検出器を2つ以上の検出モジュールに利用すると有利である。なぜなら、1つには、多値検出器が高価であるため、もう1つには、観察される像野が共通の検出器の各検出器部分によって検出可能な程度に充分に小さいことが多いためである。
各検出モジュールの光路では部分的に大きなアパーチャが生じるので、有利には、結像収差を小さく保つために、検出モジュールにおいて非球面レンズが使用される。特に有利には、当該非球面レンズは、付加的に、色消し作用を有するように構成される。
好ましくは、光学機器は少なくとも2つのビームスプリッタを含み、これらのビームスプリッタのうち1つは、光路において瞳像の上流に配置され、別の1つは瞳像の下流に配置される。2つのビームスプリッタが同じ長手方向分散度および同じ入射角分散度を有する場合には、これらを瞳像の上流および下流の同じ距離の位置に配置することができる。このことは、特に簡単かつコンパクトな構造のために好都合である。
別の実施形態では、瞳像の上流にそれぞれ異なる距離で配置されかつそれぞれ異なる分散度を有する少なくとも2つのビームスプリッタが設けられ、かつ/または瞳像の下流にそれぞれ異なる距離で配置されかつそれぞれ異なる分散度を有する少なくとも2つのビームスプリッタが設けられる。当該構成は、各スペクトル選択素子から瞳像までの距離が特にこの素子の分散度に依存するという認識を基礎としている。これにより、瞳像の上流にも瞳像の下流にも2つ以上のスペクトル選択素子を配置でき、ここで、対応する瞳の一方側に位置する各スペクトル選択素子は、それぞれ異なる分散度を有する。
本発明の光学機器は、通常、干渉フィルタとともに動作し、フィルタを介したスペクトル特性が空間的に一定である従来の装置に比べ、機器に使用されるスペクトル選択素子を適切に調整することで、個々の各検出チャネルのスペクトル特性をユーザが像を取得する直前まで設定できるという大きな利点を有する。当該利点は、設けられる検出チャネルの数が大きくなるにつれて顕著となる。こうした背景から、光学機器に少なくとも3つの検出モジュールが設けられ、ここで、少なくとも2つのビームスプリッタがビームスプリッタカスケードを形成し、その第1のビームスプリッタは、光をスペクトル分割して、透過により第1の検出モジュールへ供給し、反射によりビームスプリッタカスケードの第2のビームスプリッタへ供給し、ついでこの第2のビームスプリッタは、第1のビームスプリッタが反射した光を、透過により上述した第2の検出モジュールへ供給し、反射により、直接にまたは別のビームスプリッタを介して間接に第3の検出モジュールへ供給する。当該実施形態は、上述したビームスプリッタを形成する本発明のスペクトル選択素子が、スペクトルエッジに基づき、高い透過率のスペクトル領域よりも高い反射率のスペクトル領域のほうが大きい特性を有するという認識を基礎としている。3つ以上の検出モジュールを有する装置が構成される場合、できるだけ大きなスペクトル自由度を得るため、検出モジュールのカスケード化は、透過率でなく反射率によって行うことができる。
別の有利な実施形態では、上述したビームスプリッタは、自身がそれぞれ対応する検出モジュールへ透過により供給した検出光束のスペクトル成分の波長が、ビームスプリッタカスケード内で連続して低下するように構成される。つまり、装置が複数の検出モジュールから形成される場合、個々の各検出モジュールは、最大でも、検出光のうち他の検出モジュールが検出しない部分しか検出しえない。したがって、当該実施形態は、検出光のうち最大の光波長を有するスペクトル成分を、検出光路の第1の検出モジュール、すなわち第1のビームスプリッタを透過した下流に配置された検出モジュールへ偏向するように構成される。相応に、検出光のうち2番目に大きい光波長を有するスペクトル成分は、検出光路における第2の検出モジュール、すなわち第2のビームスプリッタを透過した下流に配置された検出モジュールへ偏向される。この場合、他のスペクトル成分は同様の方式で他の検出モジュールへ分配される。したがって、ビームスプリッタはロングパスビームスプリッタとして構成される。
このように、上述した実施形態に関連して、検出モジュールのカスケード化は、ビームスプリッタでの反射によるだけでなく、検出モジュールによって検出される検出光のスペクトル成分の波長によっても行われる。
ビームスプリッタの反射率は通常透過率より高いので、ビームスプリッタカスケードは光効率の増大という利点を提供する。なぜなら、検出光が、その経路において、それぞれ正確に1つのみのビームスプリッタを経て各検出モジュールへ送信されるからである。
上述した形式のビームスプリッタカスケードは、相応の構成では、光学機器の照明光路に設けることもできる。
本発明を以下に図に即して詳細に説明する。
本発明のスペクトル選択素子を示す概略図である。 スペクトル選択素子の本発明の第1の配置を示す概略図である。 スペクトル選択素子の本発明の第1の配置の修正形態を示す概略図である。 本発明の顕微鏡の実施例を示す図である。 図4に示されている実施形態の瞳結像系の光路を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 図14に示されている実施形態の瞳結像系の光路を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 図17に示されている実施形態の瞳結像系の光路を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 本発明の顕微鏡の別の実施形態を示す図である。 多層ファブリペローフィルタとしてのスペクトル選択素子の実施例を示す図である。 多層干渉フィルタとしてのスペクトル選択素子の実施例を示す図である。
以下にまず、図1を参照しながら、本発明にしたがって照明光および/または検出光のスペクトル制御のために光学機器、特に顕微鏡において使用されるスペクトル選択素子10の特性を説明する。
図1の実施例では、スペクトル選択素子10は、可変のエッジフィルタ、例えばロングパスフィルタもしくはショートパスフィルタである。当該エッジフィルタは、ロングパスフィルタとして、予め定められた限界波長を上回るスペクトルのみまたはスペクトルエッジのみを透過し、その一方、ショートパスフィルタとして、限界波長を下回るスペクトルのみを透過する。ただし、下述の説明はフィルタに限定されず、相応に、本発明の素子10がスペクトルエッジを上回るスペクトルを透過し、その一方、スペクトルエッジを下回るスペクトルを定められた方式で反射する(またはその逆に動作する)スペクトル選択性のビームスプリッタを形成する場合にも当てはまることに注意されたい。
図1の実施例では、スペクトル選択素子10は、変化軸Vに沿ってスペクトル有効長さLを有する作用面12を有する。図1では、変化軸Vは、xで示された長手方向に対して平行に、yで示された幅方向に対して垂直に存在している。
素子10は、そのスペクトルエッジが光の入射位置にともない変化軸Vに沿って変化するという特性を有する。したがって、変化軸Vは分散軸とも称される。
スペクトルエッジが光の入射位置にともなって変化軸Vに沿って変化することは、後に詳述するように、線形に、または非線形に、例えば2乗的もしくは指数的もしくは他の方式で、行うことができる。これに対して、エッジフィルタ10のスペクトル特性、特にそのスペクトルエッジは、図1の実施例では、変化軸Vに対して垂直な幅方向yでおおよそ一定である。光がエッジフィルタ10の作用面12に形成する光点は、図1に参照番号14で示されている。
以下の説明では、スペクトルエッジ、すなわち透過と非透過もしくは反射との間の限界波長は、ちょうど50%の透過率を有する波長として定義されているものとする。方向x(図1を参照)すなわち変化軸Vに沿った光の入射位置の周囲でのスペクトルエッジの変化は、数学的には、導関数
によって記述される。ここで、θは、作用面12に対して垂直に延在する面法線に対する光の主ビームの入射角を有している。当該導関数は、長手方向分散度Dを記述している。また、量xはx方向での基準位置(図1を参照)であり、θはスペクトル選択素子10の設計時の設計入射角である。長手方向分散度Dが一定であるかまたはほぼ一定である場合、スペクトルエッジは線形に変化する。この場合、スペクトル選択素子10は、線形の可変ビームスプリッタまたは線形の可変フィルタである。
作用面12への光の入射角に依存したスペクトルエッジの変化は、数学的には、導関数
によって記述される。当該導関数は、入射角分散度Dを記述している。
図1のスペクトル選択素子10が例えばビームスプリッタとしてまたはフィルタとして光学機器、特に顕微鏡内で使用される場合、用途に応じて、スペクトル選択素子10の作用面12への光の入射角に変化が生じうることに注意されたい。したがって、例えば広視野顕微鏡では、種々の対象物点に由来する光束の主ビームが、種々の視野角に対し、スペクトル選択素子10の作用面12の通常それぞれ異なる領域を通過する。よって相応に、当該光は、入射角に依存して種々のフィルタリング作用を受ける。言い換えれば、スペクトル選択素子10の作用面12は、入射角または視野角に依存して変化するフィルタ関数を有する。
上述した問題は、スペクトル選択素子10の作用面12への光の入射角が、種々の視野角によってではなく、例えば走査顕微鏡の照明光路もしくは検出光路において行われるような光の走査運動によって変化する場合にも生じる。当該問題は、スペクトル選択素子10が、光学機器の対物レンズを含む瞳像の位置に配置される場合に回避される。すなわち、瞳像の位置で、種々の対象物点から出た種々の光束の主ビームが光路の光軸に当たる。この場合、主ビームは、軸を外れた点から出るビームであり、入射瞳の平面(場合によりその延長線上)、アパーチャ絞りの平面および出射瞳の平面(場合によりその延長線上)において、光軸と交差する。観察される対象物点から出て光学装置を通って走行する他の全てのビームは、主ビームまたは対称ビームの周囲に位置する。第1の配置として上述したスペクトル選択素子10の配置により、全ての対象物点に対する光が、スペクトル選択素子10を通る際にほぼ等しいフィルタ関数の作用を受ける。同じことが、光の走査運動によって生じる入射角の変化の場合にも当てはまる。
ここで、素子10の所望のスペクトル特性に関して、作用面12に入射する光のビーム直径を無視できないことから、別の問題も生じる。このことは、図1の図示において、光点14の直径Dによって示されている。ここでは、顕微鏡対物レンズの出射瞳の直径、ひいては作用面12に入射する光のビーム直径は、典型的には、10mmから20mmまでの領域にある。当該直径に対して、純粋に例示にすぎないが、素子Lの長さが過度に大きくならないよう、エッジ波長領域400nmから800nmまでの典型的なエッジ波長領域において、約10nm/mmのスペクトル選択素子10の長手方向分散度Dが設定される。この場合、10mmから20mmまでの範囲のビーム直径に対して、スペクトル選択素子10のフィルタ関数は、100nmから200nmの幅を有するエッジ波長領域にわたって平均される。これにより、当該領域にわたるエッジ波長のいわゆるぼけが生じる。
この問題は、光のビーム直径を低減することで回避できる。ただしこの場合、こうしたビーム直径の低減によって同程度の入射角の拡大が生じることに配慮しなければならない。つまり、顕微鏡対物レンズから出た主ビームは、所望の像野に基づいて±2°の典型的な角度領域を有する。例えば、係数10でのビーム直径の低減、すなわち1mmから2mmの領域へのビーム直径の低減により、上述した角度領域を±20°まで拡大させうる。これにより、(下掲する式(8)によれば)角度領域におけるエッジ波長の強い変化、ひいては像全体にわたるエッジ波長の強い変化が生じる。
上述した問題を回避するための本発明の手段は、一方では、スペクトル選択素子10に入射する光のビーム直径をスペクトルエッジのぼけに関して許容可能な程度まで低減することにあり、他方では、スペクトル選択素子10を、光路内で、作用面12への光の入射位置の変化によるエッジ波長のシフトが入射角の変化によるエッジ波長の対抗シフトに対応する位置に配置することにある。本発明の第1の配置として上述したスペクトル選択素子10のこうした配置については、図2を参照しながら以下に説明する。
まず、図2の図示は大幅に簡略化されており、スペクトル選択素子10の本発明の第1の配置を説明するためのみに用いられることに注意されたい。
図2には、対象物600から到来してレンズ装置604を通り、スペクトル選択素子10の作用面12へ配向される平行な光束602が示されている。光束602はレンズ装置604を通して、図2において光束602の参照番号606で示された主ビームが光路の光軸Oに対して角度Θだけ傾斜するように、偏向される。この場合、光束602の主ビーム606は、図2に参照番号608で示されている瞳像の位置で、光軸Oと交差する。光軸Oに沿って作用面12が瞳像608の位置に対して有する距離は、図2では参照記号zで示されている。作用面12は、光軸Oに対し、面法線が光軸Oに対して角度φを有するように傾斜される。図2にはさらに、主ビーム606と作用面12の面法線とが相互になす角度θ、および変化軸V(図1を参照)に沿って測定される、作用面12に入射する主ビーム606が光軸Oと作用面12との交点に対して有する距離xも示されている。
ここでは、図2の図示が大いに簡単化されていることに注意されたい。観察されている光学装置は、入射瞳および出射瞳を有する複数の部分装置から成ることが基礎となっている。顕微鏡の場合、瞳は対物レンズの出射瞳である。
平行な光束602は入射角θで作用面12へ入射するので、光束602の主ビーム606は、光軸Oからの距離xの位置で、作用面12に入射する。本発明の配置について、入射角θが角度φ以下であることが成り立たなければならない。また、距離zが0より大きいことも前提条件である。
上述した前提条件のもとで、距離xは、
x=z[sin(φ−θ)/sin(90°+θ)] (1)
のように計算される。
光束602の主ビーム606は、入射角θが変化するにつれて、スペクトル選択素子10の作用面12の種々の位置へ入射する。これにより、光束602は、入射角にともなって変化するエッジ波長を有するフィルタ作用を受ける。当該作用は、本発明によれば、作用面12での光の入射位置の変化によるエッジ波長のシフトを、入射角θの変化によるエッジ波長の対抗シフトに対応させることにより、補償される。このことは、数学的には、式
x・D=−(φ−θ)・D (2)
によって記述される。
この場合、φ=θが成り立たなければならない。なぜなら、スペクトル選択素子10の作用面12は光軸Oに対して設計された角度で配置されているからである。
瞳像608の位置での光軸Oに対する主ビーム606の角度Θは、
Θ=φ−θ (3)
のように計算される。式(1)は、式(3)を用いて、
x=z[sin(Θ)/sin(90°+φ−Θ)] (4)
のように書き換え可能である。式(2),(3),(4)から、
z=−(D/D)・Θ・[sin(90°+φ−Θ)/sin(Θ)] (5)
が得られる。
さらに、条件
z=−(D/D)・Θ・[sin(90°+φ−Θ)/sin(Θ)] (6)
を満足する角度Θを有する主ビームが存在する。入射角Dおよび長手方向分散度Dは異なる符号を有する。つまり、角度Θは、入射位置の変化によるエッジ位置のシフトが入射角に依存するエッジ位置のシフトによって補償され、同時に主ビームの全角度領域において、所望の補償からの偏差が最小となる、主ビームの角度である。
所望の補償のために、全ての主ビームの角度Θ≠0に対して、少なくとも、条件
z≦−2・(D/D)・Θ・[sin(90°+φ−Θ)/sin(Θ)] (7)
が当てはまる。
以下では、入射角分散度Dおよび式(4)に対して近似が行われる(下掲の式(9),(10)を参照)。当該近似は、具体的な実施例に合わせて調整される。ただし、本発明の手段の別の技術的な実現形態を可能にする他の近似も可能である。いずれの場合にも、入射位置の変化によるエッジ位置のシフトが入射角に依存するエッジ位置のシフトによって補償され、同時に主ビームの全角度領域における補償からの偏差が最小となることが目指される。
垂直の光入射に対して構成された干渉フィルタでの入射角によるスペクトルエッジの変化は、式
によって記述される(Warren J. Smith, Modern Optical Engineering, Third Edition, McGraw-Hill, 2000, 第208頁)。
ここで、θは、フィルタの設計入射角であり、nは有効屈折率である。式(8)は、厳密にはθ=0°近傍の角度のみに当てはまると見なすべきであるが、近似的に、θ>0°の入射角、例えばθ=45°を中心とした角度領域の入射角に対して使用することもできる。定数
を含む式(8)の導関数
は、一般には干渉フィルタでの光の入射角によるエッジ波長の変化、特には本発明のスペクトル選択素子10への光の入射角によるエッジ波長の変化を記述する。
式(1)は、定数kにより、例えば、線形の適応化関数
x=z・k・(φ−θ) (10)
のようなテイラー展開を用いて、近似することができる。
式(2)から、式(9),(10)を用いて、
が得られる。式(11)の解は、式
λkante(x,θ)=λ・exp[(−α/(z・k))・x] (12)
となる。ここで、λは開始波長、すなわちx座標のゼロ点での波長である。
式(12)は、スペクトルエッジが変化軸Vに沿って、すなわちx方向で(図1を参照)、指数的に変化する具体的な技術実現形態を表している。また、例えば、線形方式または2乗方式または他の方式で変化するスペクトルエッジの特性を有する他の実現形態も可能である。
図2に示されているように、スペクトル選択素子10をx方向でシフトする駆動装置609が設けられており、これにより、作用面12への光の入射位置ひいては位置依存性のスペクトル特性を所望に応じて調整することができる。当該駆動装置609は制御ユニット611を用いて駆動される。当該駆動装置609は付加的に、z方向すなわち光軸に沿ってスペクトル選択素子10を移動させられるように構成されてもよい。
光の入射位置の変化によるエッジ位置のシフトを入射角に依存するエッジ位置のシフトによって補償するために、スペクトル選択素子(10)を瞳像608までの距離zの位置に配置する手段のほか、スペクトル選択素子10を図3の図示に相応に対象物の像608またはこれに共役な平面(もしくは対象物そのもの)までの距離z’の位置に配置することにより、所望の補償を達成することもできる。距離z’の計算は、図2に示されている距離zの計算に相応に行われる。図3では、角度φ’は、光軸Oと作用面12の面法線とのなす角度を表している。角度θ’は、作用面12の面法線に対する相応のビームの入射角を表している。角度Θ’=φ’−θ’は、ビームと光軸Oとのなす角度を表している。
図3の配置では、個々の対象物点または像点に対してきわめて良好な補償が得られる。エッジ幅に関するぼけはほとんど生じない。これに対して、像野にわたるスペクトル特性の変化は生じ、これは像野が大きくなるにつれて増大する。したがって、図3の配置は特に小さい像野に対して有利である。
以下では、本発明の光学機器の、それぞれ図1に示された形式の1つもしくは複数のスペクトル選択素子を含む種々の実施形態を説明する。この場合、スペクトル選択素子は、それぞれ、図2,図3による対応する光路の光軸に対して斜めの状態であって、瞳像までの距離zの位置もしくは対象物像までの距離z’の位置に配置されるか、または光軸に対して直交もしくはほぼ直交の配向状態で、瞳像の位置もしくは少なくともその直接近傍の位置に配置される。
図4には、本発明の光学機器の実施例としての顕微鏡400の概略図が示されている。顕微鏡400は、光路404に配置された対物レンズ402を有する。光路404を伝搬する光406は、2つのレンズ408,410から形成されるレンズ装置を通過し、これら2つのレンズ408,410間に試料414の像412が形成される。
顕微鏡400はさらに、ビームスプリッタ452の形態の本発明のスペクトル選択素子を含む。ビームスプリッタ452の作用面は、光路404の光軸Oに対して角度45°で配置されている。ビームスプリッタ452は、光406の第1のスペクトル成分を、光路404から分岐する部分光路416へ偏向する機能を有する。光406のうち、第1のスペクトル成分と異なる第2のスペクトル成分は、ビームスプリッタ452を透過する。
図5には、図4の装置に属する瞳結像系の光路が示されている。図5に示されているように、ビームスプリッタ452は、光路404内の、対物レンズ402の瞳420の像418から離間した位置に配置されている。この場合、瞳像418からの距離は、好ましくは式(7)にしたがって設定される。瞳結像系のビームは、図5では、参照番号403,405,407によって示されている。
図4,図5の装置では、スペクトル選択素子452は、試料414から出る検出光をスペクトル分割するビームスプリッタの機能を有する。ただし、図示の配置において、スペクトル選択素子452を、別個の2つの光源から放出された異なるスペクトル組成を有する照明光を光路404での反射および透過によって結合するビームコンバイナとして利用することもできる。
図6には、別の実施例としての顕微鏡420が示されている。顕微鏡420は、瞳424を有する対物レンズ422を有する。対物レンズ422は、照明光路428と検出光路430とを統合した光路426に配置されている。照明および検出のために共通に利用される光路426には、2つのレンズ432,434から形成されるレンズ装置が配置されている。2つのレンズ432,434間に試料414の中間像436が形成される。
顕微鏡420は、照明光442を放出する光源440を備えた照明ユニット438を含む。照明ユニット438の照明光路428にはさらに、2つのレンズ444,446から形成されるレンズ装置が配置されている。2つのレンズ444,446間には、アパーチャ絞り448と照明野絞り450とが配置されている。照明ユニット438はさらに、協働して1つのバンドパスフィルタを形成するロングパスフィルタ451およびショートパスフィルタ453の形態の2つのスペクトル選択素子を有する。当該バンドパスフィルタは、例えば、試料414が所望の方式で励起されて蛍光発光する波長領域を設定するために用いられる。ロングパスフィルタ451およびショートパスフィルタ453は、照明光路428の光軸Oに対して直交するように配置されている。
顕微鏡420はさらに、本発明の形式による、ビームスプリッタ452の形態の別のスペクトル選択素子を有する。ビームスプリッタ452は、光源440が放出した照明光を反射によって共通の光路426へ入力するために用いられる。また、ビームスプリッタ452は、試料414から出た検出光を透過により検出光路430へ入力するためにも用いられる。
したがって、図6に示されている装置は、ロングパスフィルタ448、ショートパスフィルタ450およびビームスプリッタ452によって形成される3つのスペクトル選択素子を有する。この場合、照明光路428の光軸に対して直交するように配向された2つのフィルタ448,450は、近似的に、光源440の像454の位置にある。これに対して、光軸Oに対して斜めの位置にあるビームスプリッタ452は、好ましくは式(7)によって計算される対物瞳424の像に対する所定の距離の位置に配置されている。
図6の装置により、図6に参照番号455で示されているような、光源440が対物レンズ422の瞳424に結像されるいわゆる落射照明が実現される。よって、ビームスプリッタ452は、光源440の像までの距離s’の位置および対物瞳424の共役部までの距離sの位置にある。対物瞳424の共役部までの距離sに代えて、ビームスプリッタ452を対物瞳424までの距離sの位置そのものに配置してもよい。ただし、上述した対物瞳424の共役部に対する配置のほうが有利である。ここで、対物瞳424は、一方では、対物レンズ422内にまたは少なくとも対物レンズ422の固定面のきわめて近傍に配置されることが多く、これにより、ビームスプリッタ452が対物レンズ422の直接近傍に配置されにくくなる。他方では、対物瞳424の付加的な結像によって結像スケールの適応化が可能となり、これにより、ビームスプリッタ452の近傍と対物瞳424の位置とで光源440の像を異なる大きさに選定できる、つまり適応化して選定できる。
図6の装置では、例えばロングパスフィルタまたはショートパスフィルタとして構成されたさらに別のスペクトル選択素子を各光路に導入することもできる。このようにすれば、光のさらなるフィルタリングにより、励起光と検出光との特に良好なスペクトル分離を有意に行うことができる。
図7には、図6に示されている実施形態に関連する顕微鏡460が示されている。図6の実施形態とは異なり、図7の顕微鏡460は付加的な照明ユニット462を有する。また、顕微鏡460では、図6の装置の2つのフィルタ448,450に対応するショートパスフィルタ461およびロングパスフィルタ464が、アパーチャ絞り448の位置に配置されている。
付加的な照明ユニット462は、光源465と、2つのレンズ466,468から形成されるレンズ装置と、を有する。2つのレンズ466,468間には、アパーチャ絞り470が配置されている。アパーチャ絞り470の位置には、ショートパスフィルタ472またはロングパスフィルタ474の形態の2つのスペクトル選択素子が配置されている。さらに、付加的な照明ユニット462は、照明野絞り467も有する。
顕微鏡460は、ビームスプリッタ476の形態の別のスペクトル選択素子を有する。ビームスプリッタ476は、照明ユニット462の光源465が放出した照明光478を、反射により、照明ユニット438の照明光路428へ入力する。その後、ビームスプリッタ476で反射された照明光478は、ビームスプリッタ452において、再び、照明および検出に共通利用される光路へ入力される。
図8には、別の実施例としての顕微鏡480が示されている。当該別の実施例は、検出ユニットが省略された図6の装置に関連する。
図8の顕微鏡480は、第1の検出モジュール482および第2の検出モジュール484を有する。第1の検出モジュール482は、3つのレンズ486,488,490から形成されるレンズ装置を含み、2つのレンズ486,488間に対物瞳424の像494が形成される一方、レンズ488,490間に試料414の中間像491が形成される。瞳像494の位置には、ロングパスフィルタ496またはショートパスフィルタ498の形態の2つのスペクトル選択素子が配置されている。
第2の検出モジュール484は、検出器500と、3つのレンズ502,504,506から形成されるレンズ装置と、を有する。レンズ502,504間に、対物瞳424の像508が形成される。これに対して、レンズ504,506間には試料414の中間像510が形成される。瞳像508の位置には、ロングパスフィルタ512またはショートパスフィルタ514の形態の2つのスペクトル選択素子が配置されている。
顕微鏡480はさらに、ビームスプリッタ516の形態の別のスペクトル選択素子を含んでおり、このビームスプリッタ516は、対物レンズ422を通って出射された検出光の第1のスペクトル成分を反射により第1の検出モジュール482へ供給し、第1のスペクトル成分とは異なる検出光452の第2のスペクトル成分を透過により第2の検出モジュール484へ供給する。図8にはさらに、参照番号427で照明光路が示されており、また瞳結像系の光路も示されている。
顕微鏡480では、2つのビームスプリッタ452,516がそれぞれ所定の距離を置いて瞳像518の上流または下流に配置されている。この場合も、距離は、好ましくは、式(7)によって定められている。
図9には別の実施例としての顕微鏡520が示されている。この場合、図9では、照明光路が省略されている。図9の照明光路は、図6に示されている装置と同様に、落射照明の形態で、照明および検出に共通利用される光路に結合可能である。なお、照明光路は、別の方式で、例えば透過照明顕微鏡もしくは光シート顕微鏡もしくはレーザー走査顕微鏡の形式による顕微鏡520に結合することもできる。
図9の顕微鏡520は、第1の検出モジュール522および第2の検出モジュール524を有する。第1の検出モジュール522は、検出器526と、レンズ528と、ロングパスフィルタ530およびショートパスフィルタ534の形態の2つのスペクトル選択素子と、を有する。2つのフィルタ530,534は瞳像536の位置に配置されている。
第2の検出モジュール524は、検出器538と、レンズ540と、ロングパスフィルタ542またはショートパスフィルタ544の形態の2つのスペクトル選択素子と、を有する。2つのフィルタ542,544は瞳像546の位置に配置されている。
顕微鏡520の検出光路452には、ビームスプリッタ548の形態の別のスペクトル選択素子が配置されており、このビームスプリッタ548は、検出光の第1のスペクトル成分を反射により検出モジュール522へ供給し、第1のスペクトル成分とは異なるスペクトル成分を透過により検出モジュール524へ供給する。
図9の装置では、ビームスプリッタ548は、特に有利には、光の流れで見て、フィルタ対530,534またはフィルタ対542,544が位置する瞳像536,546の位置の上流に配置される。これにより、さらなる瞳結像系が必要なくなるので、特にコンパクトな構造が可能となる。
図10には、図9の装置に関連する別の実施例としての顕微鏡550が示されている。
図9に示されている装置とは異なり、顕微鏡550では、固有の検出器を有さない第1の検出モジュール522が用いられている。このために、第1の検出モジュール522は、ビームスプリッタ548が反射した検出光のスペクトル成分を第2の検出モジュール524の検出器538へ偏向する偏向ミラー552を有する。検出器538には、ビームスプリッタ548を通して相互にスペクトル分離された検出光の成分を相互に別個に検出するように構成された、2つの別個の検出器部分が設けられている。
図11には、図9の装置に関連する顕微鏡560が示されている。特に、図11には、可能な試料照明の例、すなわちいわゆる光シート562を用いた照明の例が示されている。こうした光シート562は、試料564内部の唯一の薄層のみを照明する照明光分配部である。図11の実施例では、光シート562は、図11に図示されているxyz座標系のy方向で、つまりz方向に配向されている検出光路の光軸Oに対して垂直に、照明される。
図12には、具体的な技術適用形態において光シート562をどのように形成可能であるかが例示されている。ここで、図12の実施形態は、照明光ビーム568を放出するレーザー光源566を含む。この場合、照明光ビーム568は、ビームエキスパンダ570と、コリメータレンズ572と、照明光ビーム568をx軸方向ではなくz軸方向のみでフォーカシングするシリンドリカルレンズ574と、を通過する。
以下に、図13から図21を参照しながら、本発明の光学機器が走査顕微鏡である別の実施例を説明する。当該走査顕微鏡では、検出光路を伝搬する光が走査運動を行う。
図13には、純粋に概略図としてであるが、照明光路26に沿って照明光束24を放射する励起光源22を含む本発明の走査顕微鏡20が示されている。照明光束24は、レンズ30から励起ピンホール32へフォーカシングされる。励起ピンホール32を通過した後、別のレンズ34により照明光束24がビームスプリッタ36へ配向され、このビームスプリッタ36が、1つもしくは複数の可動の走査ミラー40を含む走査ユニット38へ照明光束24を偏向する。走査光学素子42および別のレンズ44を介して、走査ユニット38により走査運動するように偏向された照明光束24が、ビームスプリッタ46へ入射する。ビームスプリッタ46を通過した後、照明光束24は、対物瞳50を有する対物レンズ48に達する。対物レンズ48により最終的に照明光束24が試料52へフォーカシングされる。
走査ユニット38により、対物レンズ48を通って入射してくる照明光束が、試料52で走査運動を行うように偏向される。照明光束24により試料52内に蛍光放射が励起され、この蛍光放射が対物レンズ48を通して検出光束54の形態で走査顕微鏡20へ戻るように案内される。
図13の実施形態では、検出光束54は、図13全体において参照番号56,58で示されている2つの別個の検出ユニットへ供給される。検出ユニット56は、検出光束54が走査ユニット38へ戻された後、これを受信する。つまり検出ユニット56はデスキャンユニットを形成している。これに対して、検出ユニット58は、走査ユニット38の作用を受けていない検出光束54を受信する。したがって、検出ユニット58はノンデスキャンユニットである。
デスキャン検出ユニット56は、走査ユニット38によって偏向され、ビームスプリッタ36を通して案内された検出光束54を検出ピンホール62へフォーカシングするレンズ60を含む。検出ピンホール62の下流には、検出光束54を受信する検出器64が配置されている。ここで、ビームスプリッタ46が、例えば光路から回動除去可能であるかまたは蛍光放射に対して部分透過性を有することに注意されたい。
ノンデスキャン検出ユニット58は、ビームスプリッタ46により照明光路26から分岐された検出光路66に配置されている。ノンデスキャン検出ユニット58は、試料52の中間像が形成される中間像平面68の両側に、それぞれ1つずつのレンズ70または72を有する。レンズ72は、検出光路66において、本発明の形式のスペクトル選択素子を形成するビームスプリッタ74の下流に配置されている。ビームスプリッタ74は検出光束54を2つの部分光束76,78へ分割し、各部分光束76,78は、図13では全体的に参照番号80,81で示されている別個の2つの検出モジュールへ供給される。
検出モジュール80は、試料52の中間像が形成される中間像平面82の両側に、それぞれ1つずつのレンズ84またはレンズ86を有する。レンズ86は、検出光束54を検出器88へ配向する。検出器88の上流には、検出フィルタ90が配置されている。
相応に、検出モジュール81は、同様に試料52の中間像が形成される中間像平面89の両側に、それぞれ1つずつのレンズ92または94を有する。レンズ94は、検出光束54を検出器95へ配向する。検出器95の上流には、検出フィルタ96が配置されている。
図13の装置ではビームスプリッタ36,46,74がそれぞれダイクロイックに構成されており、入射光を波長に依存して透過または反射させることに注意されたい。ここでは、ビームスプリッタ36は、照明光束24の波長領域の光を反射し、検出光束54の波長領域の光を透過する特性を有する。相応に、ビームスプリッタ46は、検出光束54の波長領域の光を反射し、照明光束24の波長領域の光を透過する特性を有する。ビームスプリッタ74は、検出光束54の一部を透過し、残りの部分を反射することができる。
さらに、図13の図示においては、照明光束24および検出光束54が相互に部分的に重なっていることに注意されたい。つまり、例えばビームスプリッタ46から試料52までの光路は、光束24,54の双方に対する共通光路を形成している。
図13の特別の実施形態では、検出フィルタ90,96は、図1に示されている形式のスペクトル選択素子をそれぞれ1つずつ形成している。したがって、図13の検出フィルタ90,96には、それぞれ、図1でスペクトル選択素子を示している参照番号10が括弧書きで付記されている。
図13の特別の実施形態では、検出フィルタ90,96が検出光路66の内部で、それぞれ対物瞳50の像の位置に来るように配置されている。検出フィルタ90,96のこうした配置は、光の入射位置が検出フィルタ90,96の作用面12上で一定にとどまるという利点を有する。したがって光の入射位置に依存するエッジ位置のシフトは生じない。
特に、走査ユニット38によって形成される照明光束24の走査運動、ひいては検出光束54の相応の傾動が瞳像の位置で比較的小さい場合、波長依存性の小さい唯一のスペクトルエッジのシフトしか生じない。よって、図13の実施形態は、過度に大きくない走査角度のための有利な手段となる。
図14,図15には、図13に示されている走査顕微鏡20とは別の実施形態が示されている。ここでは、スペクトル選択素子10での光の入射位置の変化によるエッジ位置の対抗シフトによる、角度に依存するエッジ位置のシフトの補償が適用される。この場合、図14,図15において、図13の実施形態で使用されている各要素に対応する要素には、図13で使用されている参照番号を付してある。図14には、さらに、ノンデスキャン検出ユニット58の一部であるかまたはこれと直接に協働する要素のみが示されている。相応のことが他のすべての実施例に当てはまり、これらの実施例を以下に図15から図21を参照しながら説明する。
図13の実施形態とは異なり、図14に示されている実施形態には、2つの検出器88,95の上流に、ロングパスフィルタ110およびショートパスフィルタ114から形成されるかまたはロングパスフィルタ112およびショートパスフィルタ116から形成されるそれぞれ1つずつのフィルタ対が含まれている。よって、2つのフィルタ対とも、相互に独立に可変に設定可能な2つのスペクトルエッジを有するバンドパスフィルタを形成している。各フィルタ110,112,114,116は、入射角に依存した所望の単調なエッジ位置のシフトを達成するために、図2,図3の図示に相応に、斜めに配置されている。
図14の装置はまた、フィルタ110,112,114,116と同様に図1に示されている形式のスペクトル選択素子を形成するビームスプリッタ118を含む。ビームスプリッタ118の作用面は、検出光路66の光軸に対して45°の角度で配置されている。
さらに図14の装置は、付加的に、検出光路66の上流にレンズ70を配置した阻止フィルタ120を有する。阻止フィルタ120は、試料52で反射された、検出すべき蛍光より数倍大きな強度を有する励起光を阻止するために用いられる。
図15には、図14の装置に対応する瞳結像系の光路が示されている。図15の図示では、検出光路66内で、対物瞳50のそれぞれ1つずつの像が位置する位置が識別される。これは、図15では、参照番号121,122,124で示されている。ビームスプリッタ118は、瞳像の位置121の下流の、上掲した式(7)にしたがって予め定められた距離の位置に配置されている。相応のことがフィルタ110,114から形成されるフィルタ対およびフィルタ112,116から形成されるフィルタ対にも当てはまり、ここで、フィルタ110,112はそれぞれ瞳像の位置の上流に、フィルタ114,116はそれぞれ瞳像の位置の下流に配置されている。この場合、フィルタ110,114が瞳像の位置に対して有する距離の値は等しい。同じことがフィルタ対112,116にも当てはまる。
図16には、図15の対応する図示での、フィルタ110,112,114,116が検出光路66の光軸に対して斜めにではなく垂直に配向された、別の実施形態の瞳結像系が示されている。したがって、フィルタ110,112,114,116は、この実施形態では、純粋に概略的な図16の図示とは異なり、実際にそれぞれの瞳像の位置に位置する。
図17,図18は、図14,図15の実施形態とは異なり、付加的な検出器152を含む別の検出モジュール115を含む別の実施形態が示されている。相応に、検出光路66には、別のレンズ154,156,158,160が設けられている。また、検出光路66は、別のビームスプリッタ162と、検出器152の上流に配置されて協働してバンドパスフィルタを形成しているロングパスフィルタ164およびショートパスフィルタ166と、を含む。試料52の中間像がそれぞれ形成される付加的な中間像平面には、図17では参照番号168,170が付されている。図18の瞳結像系の図示からはさらに、付加的な瞳像の位置173,174,176,178が見て取れる。
図19は、図17,図18に示されている装置に対して修正された、検出モジュール115が検出モジュール180によって置換された実施形態が示されている。検出モジュール180は検出器182を含み、この検出器182の上流には、協働してバンドパスフィルタを形成するロングパスフィルタ184およびショートパスフィルタ186が配置されている。さらに、検出モジュール180は、試料52の像が形成される中間像平面188の両側に、2つの別のレンズ190,192を含む。
ビームスプリッタ118に加えて、検出光路66はこの実施形態では、図1に示されている形式の別のビームスプリッタ194を含む。2つのビームスプリッタ118,194は、式(7)にしたがって定められた同じ距離で、瞳結像系の上流または下流の位置121に配置される。これにより、図17,図18の実施形態に比べて光学素子の数を低減できるので、特にコンパクトな構造を達成できる。
図20には、図19の構成に関連する走査顕微鏡20の別の実施形態が示されている。
図20の実施形態は、全部で4つの検出モジュール、すなわち検出モジュール80ならびに3つの別の検出モジュール210,221,228を含むノンデスキャン検出ユニット58を含む。検出モジュール80,210,221,228では、以下に説明する方式で、検出光束54が、ビームスプリッタカスケードによりスペクトル分離されて、供給される。当該ビームスプリッタカスケードは、ビームスプリッタ118および別のビームスプリッタ203,214から形成されている。この場合、スペクトル選択性のビームスプリッタ118,203,214は、各スプリッタの作用面が検出光路66においてその光軸に対してそれぞれ45°の角度をなすように配置されている。また、ビームスプリッタ118,203,214は、それぞれ、対物瞳50の像の位置の下流に、式(7)にしたがって予め定められた距離で配置されている。
図20の実施形態は、ビームスプリッタ118,203,214が、それぞれ、スペクトルエッジに関して、検出光束54のうち透過されるスペクトル領域よりも反射されるスペクトル領域のほうが大きいという条件を考慮している。したがって、図20の実施形態では、反射による、ビームスプリッタ118,203,214への検出モジュール80,210,221,228のカスケード化が行われている。当該実施形態はさらに、最大でも、検出光束54のうちそれぞれ他の検出モジュールによって検出されないスペクトル成分しか各検出モジュール80,210,221,228に供給されえないという条件を考慮している。したがって、図20の実施形態では、ビームスプリッタの反射によるカスケード化だけでなく、検出モジュール80,210,221,228によって検出されるスペクトル成分の波長によるカスケード化も行われる。後者のカスケード化は、最大波長で開始され、短い波長へ向かって行われる。
具体的には、ビームスプリッタ118が、検出光束54のうち検出光内部で最大波長を有するスペクトル成分を、検出モジュール80へ透過する。ここでの長波長のスペクトル成分は、レンズ84,86と、ロングパスフィルタ110およびショートパスフィルタ114から形成される斜め配置のフィルタ対と、を通過した後、検出器88へ達する。検出光の残りのスペクトル成分は、ビームスプリッタ118で反射され、レンズ200,202を通ってビームスプリッタ203へ達する。ビームスプリッタ203は、自身に供給された検出光内部に最大波長を有するスペクトル成分を検出モジュール210へ透過する。ビームスプリッタ203が透過した検出光のスペクトル成分は、レンズ204,206と、ロングパスフィルタ207およびショートパスフィルタ208から形成される斜め配置のフィルタ対と、を通過した後、検出器209へ達する。検出光の残りのスペクトル成分は、ビームスプリッタ203での反射により、レンズ211,213を介してビームスプリッタ214へ供給される。
ビームスプリッタ214は、自身に供給された検出光内部に最大波長を有するスペクトル成分を、検出モジュール221へ透過する。当該透過スペクトル成分は、レンズ215,217と、ロングパスフィルタ218およびショートパスフィルタ219から形成される斜め配置のフィルタ対と、を通過した後、検出器220へ達する。ビームスプリッタ214へ供給された検出光の残りのスペクトル成分は当該ビームスプリッタ214で反射され、これにより、レンズ222,224と、ロングパスフィルタ225およびショートパスフィルタ226から形成される斜め配置のフィルタ対と、を通過した後、検出器227へ達する。
図20の配置では、参照番号201,205,212,216,223が、試料52の中間像が形成される位置を表している。
図20の配置では、検出光束54が検出器88,209,220,227までの経路において、それぞれいずれかのビームスプリッタ118,203,214での1回のみの透過を受ける。このことは、ビームスプリッタ118,203,214の反射率が透過率よりも高いため、光効率に関して有利である。
図21には、ビームスプリッタ対251,252または254,255が設けられ、そのビームスプリッタが、それぞれ異なる分散度、ひいては図21に参照番号253で示された瞳結像系の位置に対してそれぞれ異なる距離を有する実施形態が示されている。
図21の実施形態は、全部で5つの検出モジュール286,287,288,289,290を含む。これらの各検出モジュールは、2つずつのレンズ263,265,269,271,256,282,275,277,257,259と、ロングパスフィルタ266,272,283,278,260およびショートパスフィルタ267,273,284,279,261から形成される斜め配置のフィルタ対と、検出器268,274,285,280,262と、を含む。
上述したように、2つのビームスプリッタ251,252は、種々異なる分散度のために、瞳結像系の位置251に対するそれぞれ異なる距離に配置することができる。したがって、コンパクトな配置として、複数のビームスプリッタが、瞳結像系の位置251の上流に配置される。相応のことが、位置251の他方側に配置された2つのビームスプリッタ254,255の下流配置にも当てはまる。
続いて、完全を期すために、上述した検出装置において、ビームスプリッタ46およびフィルタ120を除いた全てのビームスプリッタおよびフィルタ、すなわち、エッジフィルタ、ロングパスフィルタおよびショートパスフィルタが、本発明の形態のスペクトル選択素子を形成することにいまいちど注意されたい。
図22、図23には、本発明のスペクトル選択素子の具体的な技術実現形態の2つの実施例が示されている。
図22の実施例では、スペクトル選択素子が多層ファブリペローフィルタ700として構成されている。したがって、ファブリペローフィルタ700は支持体基板702を含み、この支持体基板702上に、平面平行状の配置で、第1の反射構造体704と、斜め形状または楔状の空間充填層706と、第1の反射構造体704に対して斜めに配置された第2の反射構造体708と、が、支持体基板702から見てこの順序で配置されている。第1の反射構造体704および第2の反射構造体708は、それぞれ異なる材料の誘電層を交互に上下に積層した多層構造体をそれぞれ1つずつ有する。したがって、例えば、相対的に高い屈折率を有する材料と相対的に低い屈折率を有する別の材料との2つの材料を使用可能である。図22には、それぞれ異なる材料を含む相互に直接に積層された2つの層が参照番号710,712で示されている。
図23には、多層干渉フィルタ800の形態のスペクトル選択素子の例示的構成が示されている。干渉フィルタ800は、支持体基板802と、それぞれ異なる材料を含む斜め形状または楔状の複数の誘電層を交互に積層した積層体と、を含む。
図23には、これらの層のうち2つが参照番号804,806で示されている。これらの誘電層804,806の材料は、例えば、いずれかの材料が比較的高い屈折率を有し、他の材料が比較的低い屈折率を有するように、選択されている。

Claims (24)

  1. 光学装置と、光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するために前記光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子と、を含む光学機器であって、
    前記スペクトル選択素子は、少なくとも1つのスペクトルエッジを有する作用面(12)を有し、前記作用面(12)は、前記作用面(12)自身への光の入射位置を変化させる光学機器において、
    前記光路内で、前記作用面への光の入射角の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの変化が、前記作用面への光の入射位置の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に、前記スペクトル選択素子の前記作用面が配置されているか、または
    前記光路内で、前記光学装置の瞳像の位置に、前記作用面が配置されている、
    ことを特徴とする光学機器。
  2. 光学装置と、光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するために前記光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子と、を含む、広視野顕微鏡検査のための光学機器であって、
    前記スペクトル選択素子は、少なくとも1つのスペクトルエッジを有する作用面を有し、前記作用面は、前記作用面自身への光の入射位置を変化させる光学機器において、
    前記光路内で、前記作用面への光の入射角の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの変化が、前記作用面への光の入射位置の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に、前記スペクトル選択素子の前記作用面が配置されているか、または
    前記光路内で、前記光学装置の瞳像の位置に、前記作用面が配置されている、
    ことを特徴とする光学機器。
  3. 前記光学機器は、好ましくは蛍光顕微鏡、明視野顕微鏡、シート面照明部を含むもしくは含まない光シート顕微鏡、広視野多光子顕微鏡、暗視野顕微鏡、位相差顕微鏡または微分干渉顕微鏡の形態の広視野顕微鏡である、
    請求項2記載の光学機器。
  4. 光学装置と、光路に沿って伝搬する試料照明用の光のスペクトルを制御するために前記光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子と、を含む光学機器であって、
    前記スペクトル選択素子は、少なくとも1つのスペクトルエッジを有する作用面を有し、前記作用面は、前記作用面自身への光の入射位置を変化させる光学機器において、
    前記光路内で、前記作用面への光の入射角の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの変化が、前記作用面への光の入射位置の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に、前記スペクトル選択素子の前記作用面が配置されているか、または
    前記光路内で、前記光学装置の瞳像の位置に、前記作用面が配置されている、
    ことを特徴とする光学機器。
  5. 光学装置と、光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するために前記光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子と、を含む光学機器であって、
    前記スペクトル選択素子は、少なくとも1つのスペクトルエッジを有する作用面を定める多層構造体から形成されており、前記作用面は、前記作用面自身への光の入射位置を変化させる光学機器において、
    前記光路内で、前記作用面への光の入射角の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの変化が、前記作用面への光の入射位置の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に、前記スペクトル選択素子の前記作用面が配置されているか、または
    前記光路内で、前記光学装置の瞳像の位置に、前記作用面が配置されている、
    ことを特徴とする光学機器。
  6. 前記多層構造体は、ファブリペロー装置を形成している、
    請求項5記載の光学機器。
  7. 光学装置と、前記光学装置が配置された共通光路に照明光路と検出光路とを統合する少なくとも1つのビームスプリッタと、を含む光学機器であって、
    前記ビームスプリッタは、前記照明光路および前記検出光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するスペクトル選択素子である光学機器において、
    前記スペクトル選択素子は、少なくとも1つのスペクトルエッジを有する少なくとも1つの作用面を有し、前記作用面は、前記作用面自身への光の入射位置を変化させ、
    前記共通光路内で、前記作用面への光の入射角の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの変化が、前記作用面への光の入射位置の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に、前記スペクトル選択素子の前記作用面が配置されているか、または
    前記共通光路内で、前記光学装置の瞳像の位置に、前記作用面が配置されている、
    ことを特徴とする光学機器。
  8. 光学装置と、光路に沿って伝搬する光のスペクトルを制御するために前記光路に配置された少なくとも1つのスペクトル選択素子と、を含む光学機器であって、
    前記光路は、顕微鏡のノンデスキャン検出光路ではなく、
    前記スペクトル選択素子は、スペクトルエッジを有する少なくとも1つの作用面を有し、前記作用面は、前記作用面自身への光の入射位置を変化させる光学機器において、
    前記光路内で、前記作用面への光の入射角の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの変化が、前記作用面への光の入射位置の変化によって生じる前記作用面でのスペクトルエッジの対抗変化によって少なくとも部分的に補償される位置に、前記スペクトル選択素子の前記作用面が配置されているか、または
    前記光路内で、前記光学装置の瞳像の位置に、前記スペクトル選択素子の前記作用面が配置されている、
    ことを特徴とする光学機器。
  9. 前記スペクトル選択素子の前記作用面は、その面法線が前記光路の光軸に対して予め定められた角度で傾斜するように前記光路に配置されており、
    前記作用面は、前記光路の前記光軸に沿って、光の入射角の変化に依存して予め定められた瞳像の位置までの距離を有する、
    請求項1から8までのいずれか1項記載の光学機器。
  10. 前記距離zは、式
    z≦−2・(D/D)・Θ・[sin(90°+φ−Θ)/sin(Θ)]
    が満足されるように予め定められており、ここで、
    は、前記作用面への光の入射角に依存したスペクトルエッジの変化を表す入射角分散度であり、
    は、前記作用面への光の入射位置に依存したスペクトルエッジの変化を表す長手方向分散度であり、
    Θは、光の主ビームと前記光路の前記光軸とが前記瞳像の位置でなすゼロでない角度を表し、
    φは、前記光路の前記光軸に対する前記作用面の面法線の予め定められた傾斜角度を表す、
    請求項9記載の光学機器。
  11. 前記光路の前記光軸に対する前記作用面の面法線の予め定められた傾斜角度は、65°以下である、
    請求項9または10記載の光学機器。
  12. 前記スペクトル選択素子の前記作用面のスペクトルエッジは、光の入射位置にともなって単調に変化する、
    請求項1から11までのいずれか1項記載の光学機器。
  13. 前記作用面への光の入射位置が調整可能となるように、前記光路内で前記スペクトル選択素子を移動させる駆動機構が設けられている、
    請求項1から12までのいずれか1項記載の光学機器。
  14. 前記スペクトル選択素子は、前記駆動機構により変化軸に沿って移動可能であり、前記変化軸に沿って前記作用面のスペクトルエッジが変化する、
    請求項13記載の光学機器。
  15. 少なくとも1つの前記スペクトル選択素子が配置された前記光路は、照明光路、または検出光路、または前記照明光路および前記検出光路に共通の光路区間によって形成されている、
    請求項1から14までのいずれか1項記載の光学機器。
  16. 少なくとも前記スペクトル選択素子は、少なくとも1つのビームスプリッタおよび/または少なくとも1つのエッジフィルタを含む、
    請求項1から15までのいずれか1項記載の光学機器。
  17. 前記少なくとも1つのエッジフィルタは、少なくとも1つのショートパスフィルタ、少なくとも1つのロングパスフィルタおよび/または少なくとも1つのバンドパスフィルタを含む、
    請求項16記載の光学機器。
  18. 前記バンドパスフィルタは、前記光路の前記光軸に沿って相前後するように配置されたショートパスフィルタおよびロングパスフィルタから形成されている、
    請求項17記載の光学機器。
  19. 少なくとも1つの第1の検出モジュールおよび第2の検出モジュールが設けられており、
    前記ビームスプリッタは、光をスペクトル分割して、反射により前記第1の検出モジュールへ供給し、透過により前記第2の検出モジュールへ供給する、
    請求項16記載の光学機器。
  20. 2つの前記検出モジュールに共通利用される検出器が設けられており、前記検出器は、2つの検出器部分を含み、前記2つの検出器部分のうち、一方は、前記ビームスプリッタが反射した光を検出し、他方は、前記ビームスプリッタが透過した光を検出する、
    請求項19記載の光学機器。
  21. 少なくとも1つの前記ビームスプリッタは、少なくとも2つのビームスプリッタを含み、
    前記2つのビームスプリッタのうち、一方は、前記光路において前記瞳像の上流に配置されており、他方は、前記瞳像の下流に配置されている、
    請求項16記載の光学機器。
  22. 少なくとも3つの検出モジュール(80,210,221,228)が設けられており、
    前記少なくとも2つのビームスプリッタ(118,203)がビームスプリッタカスケードを形成しており、
    前記ビームスプリッタカスケードの第1のビームスプリッタ(118)は、光をスペクトル分割して、透過により第1の検出モジュール(80)へ供給し、反射により前記ビームスプリッタカスケードの第2のビームスプリッタ(203)へ供給し、
    ついで、前記第2のビームスプリッタ(203)は、前記第1のビームスプリッタ(118)が反射した光を、透過により第2の検出モジュール(210)へ供給し、反射により直接にまたは別のビームスプリッタ(214)を介して間接に、第3の検出モジュール(221,228)へ供給する、
    請求項21記載の光学機器。
  23. 前記少なくとも1つのビームスプリッタは、少なくとも2つのビームスプリッタを含み、
    前記少なくとも2つのビームスプリッタは、前記光路において、双方とも前記瞳像の上流に配置されているかまたは双方とも前記瞳像の下流に配置されている、
    請求項16記載の光学機器。
  24. 前記光学装置は、結像光学素子、特に対物レンズである、
    請求項1から23までのいずれか1項記載の光学機器。
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