JP2018095796A - 型取り用シリコーンゴム組成物 - Google Patents

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Abstract

【課題】脱型性に優れ、プロトタイプのような高度の離型性を要する複製品の型取りに適したシリコーン組成物を提供する。【解決手段】(A)2個以上のアルケニル基を有し粘度が1,000〜200,000mPa・sのポリオルガノシロキサン100部と、(B)1官能型シロキサン単位とQ単位を含み、1官能型シロキサン単位に含まれる3個以上のアルケニル基を有するポリオルガノシロキサン0.5〜10部と、(C)煙霧質シリカ1〜50部と、(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン0.05〜1.0部と、(E)Q単位を有し水素原子の含有量が0.5〜1.2%のポリオルガノハイドロジェンシロキサンを、本成分中の水素原子が(A)、(B)、(D)成分中のアルケニル基の合計1モルに対して0.5〜5.0モルとなる量と、(F)白金系化合物の触媒量を含有する組成物。【選択図】図2

Description

本発明は、型取り用シリコーンゴム組成物に係り、さらに詳しくは、ゴム状に硬化して、試作モデルの成形すなわちプロトタイプ成形のような、高度の離型性を要する型取りに用いられるシリコーンゴム組成物に関する。
従来から、シリコーンゴムは、その優れた耐熱性、耐寒性、電気特性などを生かして、いろいろな分野で広く利用されている。特に、離型性が良好であることから、型取り材として用いられてきている。なお、型取り材とは、原型(以下、母型ともいう。)の表面全体または表面の一部に、注型または塗布のような方法で接触させ硬化させて、樹脂などによる複製品の製造に供する型を得るための未硬化の材料をいう。
近年、電子機器、事務機、家庭電器、自動車部品などの分野で、商品の開発や商品見本の作成などに用いる試作モデルの成形、すなわちプロトタイプ成形においては、作業性に優れ、費用や所要期間の改善に効果的であることから、付加反応硬化型の液状シリコーンゴムが着目されている。また、付加反応硬化型シリコーンゴムは、反応副生物がなく、硬化時の収縮率が極めて小さいなど、型取り材として好ましい成形特性を有する。
しかし、プロトタイプ成形に用いるウレタン樹脂やエポキシ樹脂の機械的特性が改良されるにつれて、硬化後のシリコーンゴム型からの成形品(複製品)の離型性(以下、脱型性ともいう。)が悪くなる傾向が見られる。
このような問題を解決するために、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に架橋反応に関与しない非反応性シリコーンオイルを配合し、非反応性オイルを硬化物の表面にブリードさせることで、良好な脱型性を得る方法が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。また、ビニル基を有するシラザンで表面処理された煙霧質シリカを配合したシリコーンゴム組成物が提案されている(例えば、特許文献2参照。)。また、シリコーンゴム組成物に、平均粒径0.1〜10μmの酸化チタンを充填剤の一部として配合することで、複製品を汚損することがなく、機械的強度と離型性に優れたシリコーンゴム型を得る技術が開示されている(例えば、特許文献3参照。)。さらに、付加反応硬化型シリコーンゴム組成物に、低重合度のビニルポリマーと特定の構造を有する液状のポリオルガノハイドロジェンシロキサンを配合することで、離型性を向上させた組成物が開示されている(例えば、特許文献4参照。)
しかしながら、特許文献1〜4に記載されたシリコーンゴム組成物は、いずれも、硬化後のシリコーンゴム型の、複製品であるウレタン樹脂やエポキシ樹脂などの成形品との密着性が強く、シリコーンゴム型からの複製品の離型性である脱型性が十分に良好ではなかった。そして、シリコーンゴム型から複製品を無理に引き剥がそうとすると、型が破壊してしまうという問題があった。
また、特許文献3に開示された組成物は、得られるシリコーンゴム型が酸化チタンによって着色されるので、内部の複製品の状態を観察することが難しいという問題もあった。
さらに、プロトタイプ成形を行う作業面での対策として、シリコーンゴム型に外部離型剤を頻繁に塗布することも行われている。しかし、この方法では、作業が煩雑になるばかりでなく、得られた複製品の表面に離型剤が移行して、複製品に塗装またはメッキを施す際に有機溶媒による洗浄を必要とするため、作業環境の悪化や公害を招くおそれがあった。さらに、透明性が必要な樹脂の成形に用いる場合には、離型剤の樹脂への移行によって、複製品の透明性を損ねることがあった。
特開昭58−225152号公報 特開2002−194219号公報 特開平7−033985号公報 特開特許2502714号公報
本発明は、これらの問題を解決するためになされたもので、複製品の離型性に優れ、特に、透明樹脂の型取りや、プロトタイプのような高度の離型性を要する複製品の型取りに適したシリコーン組成物を提供することを目的とする。
本発明の型取り用シリコーンゴム組成物は、
(A)1分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を2個以上有し、23℃における粘度が1,000〜200,000mPa・sであるポリオルガノシロキサン100質量部と、
(B)式:R SiO1/2(式中、Rは、それぞれ独立にアルケニル基または置換もしくは非置換のアルキル基である。)で表される1官能型シロキサン単位と、式:SiO4/2で表される4官能型シロキサン単位を有し、1分子中に前記1官能型シロキサン単位に含まれるアルケニル基を3個以上有するポリオルガノシロキサン0.5〜10質量部と、
(C)煙霧質シリカ1〜50質量部と、
(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン0.05〜1.0質量部と、
(E)式:R HSiO1/2(式中、Rは、それぞれ独立に置換もしくは非置換のアルキル基である。)で表される1官能型シロキサン単位と、式:SiO4/2で表される4官能型シロキサン単位を有し、ケイ素原子に結合する水素原子の含有量が本成分全体の0.5〜1.2質量%であるポリオルガノハイドロジェンシロキサンを、前記(A)成分中のアルケニル基と前記(B)成分中のアルケニル基と前記(D)成分中のアルケニル基との合計1モルに対して、本成分中の前記水素原子が0.5〜5.0モルとなる量、および
(F)白金系化合物の触媒量
を含有することを特徴とする。
なお、以下の記載においては、「ケイ素原子に結合するアルケニル基」を、単に「アルケニル基」と示すことがある。また、「ケイ素原子に結合する水素原子」を、単に「水素原子」、または「Si−H基」と示すことがある。
本発明の型取り用シリコーンゴム組成物によれば、樹脂複製品の引き抜きに適した硬度を有し、優れた離型性を有するシリコーンゴム型が得られる。このシリコーンゴム型は、機械的特性などが改善されたプロトタイプ成形用のウレタン樹脂やエポキシ樹脂に対しても優れた離型性を有する。したがって、本発明の型取り用シリコーンゴム組成物は、プロトタイプ成形のような、高度の離型性を要する複製品の成形に適している。さらに、型取りの際に外部離型剤を塗布する必要がなく、離型性を向上させるために非反応性シリコーンオイルなどを配合する必要もないので、透明性や表面の平滑性が必要な樹脂複製品の成形にも好適している。
本発明の実施例におけるシリコーンゴム型の作製方法を示し、(a)は縦断面図であり、(b)は上面図である。 本発明の実施例の脱型性の評価において、シリコーンゴム型を用いた複製品の成形方法を示す縦断面図である。
以下、本発明の実施の形態について説明する。
本発明の実施形態の型取り用シリコーンゴム組成物は、
(A)1分子中にアルケニル基を2個以上有し、23℃における粘度が1,000〜200,000mPa・sのポリオルガノシロキサン100質量部と、
(B)式:R SiO1/2で表される1官能型シロキサン単位と、式:SiO4/2で表される4官能型シロキサン単位を有し、前記1官能型シロキサン単位に含まれるアルケニル基を1分子中に3個以上有するポリオルガノシロキサン0.5〜10質量部と、
(C)煙霧質シリカ1〜50質量部と、
(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン0.05〜1.0質量部と、
(E)式:R HSiO1/2で表される1官能型シロキサン単位と、式:SiO4/2で表される4官能型シロキサン単位を有し、水素原子の含有量が0.5〜1.2質量%であるポリオルガノハイドロジェンシロキサンを、前記(A)成分と前記(B)成分および前記(D)成分のアルケニル基の合計1モルに対して、本成分中の水素原子が0.5〜5.0モルとなる量、および
(F)白金系化合物の触媒量を含有する。
なお、(B)成分のポリオルガノシロキサン、および(E)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、いずれも4官能型シロキサン単位を含み、分岐鎖を有する構造または三次元網目構造を有する。本発明において、「分岐鎖を有する構造または三次元網目構造を有する」ポリオルガノシロキサンを、「レジン状の」ポリオルガノシロキサンという。
以下、実施形態の型取り用シリコーンゴム組成物に含有される各成分について説明する。
<(A)アルケニル基を含有するポリオルガノシロキサン>
(A)成分は、アルケニル基を1分子中に2個以上有するポリオルガノシロキサンであり、本発明の型取り用シリコーンゴム組成物のベース成分である。(A)成分の粘度は、低すぎると硬化後のゴム弾性が乏しくなり、高すぎると作業性が低下することから、23℃における粘度(以下、単に「粘度」と記す。)が1,000〜200,000mPa・sの範囲とする。(A)成分の粘度は、5,000〜20,000mPa・sの範囲がより好ましい。
(A)成分の分子構造は、直鎖状、すなわち主鎖が基本的にジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された構造であることが好ましいが、一部分岐鎖を有する構造でもよい。
(A)成分中のケイ素原子に結合したアルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、ヘプテニル基などの、炭素原子数が2〜7、より好ましくは2〜4のものが挙げられる。特にビニル基が好ましい。アルケニル基は、分子鎖末端と中間部のいずれか一方のケイ素原子に結合していてもよいし、分子鎖末端と中間部の両方のケイ素原子に結合していてもよいが、直鎖状の分子鎖の両末端のケイ素原子にそれぞれ1個ずつアルケニル基が結合している構造が好ましい。
(A)成分において、ケイ素原子に結合したアルケニル基以外の有機基としては、非置換または置換の1価の炭化水素基が挙げられる。非置換の1価の炭化水素基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、オクチル基、デシル基、ドデシル基のようなアルキル基;フェニル基、トリル基、キシリル基のようなアリール基;2−フェニルエチル基、2−フェニルプロピル基のようなアラルキル基などが例示される。また、置換の1価の炭化水素基としては、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基等のハロゲン化アルキル基、3−シアノプロピル基のようなシアノアルキル基などが挙げられる。合成が容易なことから、(A)成分におけるアルケニル基以外の有機基はメチル基が好ましい。
(A)成分の具体例としては、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・ジフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端ジメチルビニルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖メチルビニルポリシロキサン、分子鎖両末端トリメチルシロキシ基封鎖ジメチルシロキサン・メチルビニルシロキサン・メチルフェニルシロキサン共重合体、分子鎖両末端トリビニルシロキシ基封鎖ジメチルポリシロキサン等が挙げられる。
これらの重合体または共重合体は、1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
<(B)アルケニル基を含有するレジン状のポリオルガノシロキサン>
(B)成分は、式:R SiO1/2で表される1官能型シロキサン単位と、式:SiO4/2で表される4官能型シロキサン単位(以下、Q単位という。)を有し、前記1官能型シロキサン単位に含まれるアルケニル基を1分子中に3個以上を有するレジン状のポリオルガノシロキサンである。(B)成分は、硬化後のシリコーンゴムの強度を向上させ、脱型時にシリコーンゴム型の破壊を防ぐ働きをする。(B)成分であるレジン状のポリオルガノシロキサンは、前記1官能型シロキサン単位とQ単位とからなることが好ましいが、これらの単位以外に、式:R SiO2/2で表される2官能型シロキサン単位を含むことができる。
上記1官能型シロキサン単位および2官能型シロキサン単位を表す式において、Rは、それぞれ独立にアルケニル基または置換もしくは非置換のアルキル基である。1分子中に存在する複数のRのうちで、少なくとも3個は1官能型シロキサン単位に含まれるアルケニル基である。アルケニル基としては、ビニル基、アリル基、ブテニル基、ペンテニル基、ヘキセニル基、へプテニル基等が挙げられる。ビニル基が好ましい。非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等が挙げられる。置換のアルキル基としては、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン置換アルキル基、3−シアノプロピル基のようなシアノアルキル基など挙げられる。置換もしくは非置換のアルキル基としては、メチル基が好ましい。
(B)成分であるアルケニル基を含有するレジン状ポリオルガノシロキサンは、1種を単独で使用してもよく、2種以上を併用してもよい。
(B)成分であるレジン状ポリオルガノシロキサンは、1,000〜10,000の重量平均分子量(Mw)を有することが好ましい。重量平均分子量(Mw)は、トルエンを溶媒とするゲル浸透クロマトグラフィー(GPC)により測定し、ポリスチレン換算した値である。(B)レジン状ポリオルガノシロキサンのMwが1,000未満の場合は、強度等の機械的特性の良好な硬化物が安定して得られない。また、Mwが10,000を超える場合は、組成物の粘度が高くなり、作業性が悪くなる。(B)レジン状ポリオルガノシロキサンのMwのより好ましい範囲は2,000〜7,000である。
(B)成分の配合量は、前記(A)成分100質量部に対して0.5〜10質量部であり、好ましくは1〜5質量部である。(B)成分の配合量が0.5質量部未満では、硬化後のシリコーンゴムの強度向上の効果が十分に得られない。また、(B)成分の配合量が10質量部を超えると、硬化物がゲル状となり、樹脂複製品の成形および脱型が可能な型を得ることができない。
<(C)煙霧質シリカおよび(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン>
(C)成分である煙霧質シリカは、乾式法で製造されたシリカ粉末であり、ヒュームドシリカともいわれる。煙霧質シリカとしては、BET法による比表面積(以下、BET比表面積という。)が180〜500m/gのものが好ましい。BET比表面積が上記範囲の煙霧質シリカを使用した場合には、硬化物に優れた機械的性質と透明性を与えることができる。煙霧質シリカは、1種を用いても2種以上を併用してもよい。
(C)煙霧質シリカは、(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンにより表面が処理された状態のものが、組成物中に含有される。
(C)煙霧質シリカは、表面処理されない状態では、表面に水酸基が存在している。(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンは、(C)煙霧質シリカ表面の水酸基の活性水素と反応し、その結果、(C)煙霧質シリカの表面にはビニルジメチルシロキシ基が結合すると考えられる。そして、このように(C)煙霧質シリカ表面の水酸基をビニルジメチルシリル基で置換することにより、前記(A)成分および(B)成分と(C)煙霧質シリカとのなじみを良くするとともに、硬化物に十分な硬さと機械的特性を付与することができる。そのため、実施形態の組成物を硬化してなるシリコーンゴム型を用いて、エポキシ樹脂等の複製品を成形する際の離型性(脱型性)が良好となる。
なお、このような優れた効果は、(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンで表面が処理された(C)煙霧質シリカの配合によって特異的に得られるものであり、疎水化のために用いられる他の表面処理剤、例えば、ヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシランなどによって表面処理された煙霧質シリカの配合によっては得られない。
ここで、(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンによる(C)煙霧質シリカの表面処理は、表面未処理の煙霧質シリカに直接行ってもよく、予めヘキサメチルジシラザン、トリメチルクロロシラン、オクタメチルシクロテトラシロキサン、ヘキサメチルシクロトリシロキサンなど(以下、その他の処理剤という。)で表面処理した煙霧質シリカに対して、行ってもよい。また、後述するように、1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンによる表面処理と、前記その他の処理剤による表面処理を同時に行ってもよい。
(C)煙霧質シリカの表面処理は、通常の方法で行うことができる。すなわち、組成物に配合する前の煙霧質シリカを、以下に示す乾式法や湿式法によって予め表面処理しておくことができる。乾式法は、煙霧質シリカを反応容器に入れ、撹拌しながら常圧または減圧下に100〜170℃に加熱し、過剰量の1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンの蒸気を送気して、煙霧質シリカ表面の水酸基と反応させた後、乾燥窒素ガスを送気して、副生したアンモニアと未反応の前記シラザンを除去する方法である。湿式法は、煙霧質シリカを炭化水素中に分散させ、撹拌しながら1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンを添加し、必要に応じて加熱しながら撹拌して反応させた後、静置して、沈降した表面処理シリカを分別し、乾燥する方法である。
また、前記(A)成分に(C)煙霧質シリカを混合した系に、(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンを配合し、161℃以下の温度で2〜6時間加熱混練して、(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンを(C)煙霧質シリカ表面の水酸基と反応させ、必要に応じて減圧して副生物を除去する工程内処理法を採ることもできる。
なお、前記工程内処理法で(C)煙霧質シリカの表面処理を行う場合、反応を促進するために、少量の水を添加してもよい。また、(A)成分に(C)煙霧質シリカを混合した系に、(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンとともに、ヘキサメチルジシラザンのようなその他の処理剤を配合することができる。そして、(C)煙霧質シリカに対して、(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンによる表面処理と、前記したその他の処理剤による表面処理を同時に行ってもよい。
(C)煙霧質シリカの配合量は、前記(A)成分100質量部に対して1〜50質量部であり、好ましくは5〜30質量部である。(C)煙霧質シリカの配合量が1質量部未満では、組成物が硬化してなるシリコーンゴム型が十分な硬さを得ることができず、大きな型では自重で撓むことがあり、好ましくない。一方、(C)煙霧質シリカの配合量が50質量部を超えると、硬化物の硬度が大きくなり過ぎて、樹脂複製品のシリコーンゴム型からの脱型が困難になる。
(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンの配合量は、前記(A)成分100質量部に対して0.05〜1.0質量部であり、好ましくは0.1〜0.8質量部である。(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンの配合量が(A)成分100質量部に対して0.05質量部未満では、十分な硬さと機械的特性を有する硬化物が得られず、シリコーンゴム型からの樹脂複製品の脱型性が悪くなる。また、(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンの配合量が1.0質量部を超えると、硬化物がゲル状となり、樹脂複製品の成形および脱型が可能な型を得ることができない。
<(E)ポリオルガノハイドロジェンシロキサン>
(E)成分であるポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、式:R HSiO1/2で表される1官能型シロキサン単位と、式:SiO4/2で表される4官能型シロキサン単位(Q単位)を有し、水素原子の含有量が該ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの分子量の0.5〜1.2質量%であるレジン状のポリオルガノハイドロジェンシロキサンである。(E)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、そのSi−H基が前記(A)成分および(B)成分のアルケニル基と反応することで、架橋剤として作用する。また、(E)成分のSi−H基は、前記(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンのアルケニル基(ビニル基)とも反応する結果、硬化物の機械的強度を向上させるという効果を有する。
(E)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、前記1官能型シロキサン単位とQ単位とからなることが好ましいが、これらの単位以外に、式:R SiO2/2または式:RHSiO2/2で表される2官能型シロキサン単位を有することができる。
上記1官能型シロキサン単位および2官能型シロキサン単位を表す式において、Rは、それぞれ独立に置換もしくは非置換のアルキル基である。非置換のアルキル基としては、メチル基、エチル基、プロピル基、ブチル基、ペンチル基、ヘキシル基、ヘプチル基等が挙げられる。置換のアルキル基としては、クロロメチル基、3−クロロプロピル基、3,3,3−トリフルオロプロピル基のようなハロゲン置換アルキル基、3−シアノプロピル基のようなシアノアルキル基など挙げられる。Rとしてはメチル基が好ましい。
(E)成分のポリオルガノハイドロジェンシロキサンにおいて、Si−H基の含有量は分子量の0.5〜1.2質量%である。Si−H基の含有量が0.5質量%未満の場合には、組成物が硬化性に劣ることがある。Si−H基の含有量が1.2質量%を超えると、機械的特性が良好な硬化物が得られないことがある。
(E)成分は、1種を単独であるいは2種以上を組み合わせて使用することができる。
(E)成分であるレジン状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの粘度(23℃)は、1〜100mPa・sの範囲が好ましい。(E)レジン状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの粘度が1mPa・s未満の場合は、硬化物であるシリコーンゴムの強度が十分でなくなる。また、粘度が100mPa・sを超える場合は、組成物の硬化性が悪くなる。(E)レジン状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンの粘度は1〜50mPa・sがより好ましい。
また、(E)レジン状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンは、500〜2,000の重量平均分子量(Mw)を有することが好ましい。(E)レジン状ポリオルガノハイドロジェンシロキサンのMwが500未満の場合は、硬化物であるシリコーンゴムの強度が十分でなくなる。また、Mwが2,000を超える場合は、組成物の硬化性が悪くなる。
(E)成分の配合量は、前記した(A)成分中のアルケニル基と(B)成分中のアルケニル基と(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンのアルケニル基との合計1モルに対して、(E)成分中のSi−H基が0.5〜5.0モルとなる量とする。より好ましくは、1.0〜3.0モルとなる範囲である。(E)成分中のSi−H基が0.5モル未満では、硬化反応が進行せず、硬化物を得ることが困難になるおそれがある。(E)成分中のSi−H基が5.0モルを超えると、硬化後のシリコーンゴムの弾性等の物性が低下する。また、未反応のSi−H基が硬化物中に多量に残存するため、物性が経時的に変化するおそれがある。
<(F)白金系化合物>
(F)成分である白金系化合物は、(A)成分および(B)成分中のアルケニル基と(E)成分中のSi−H基との付加反応(ヒドロシリル化反応)を促進する触媒である。また、(F)白金系化合物は、前記(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン中のアルケニル基(ビニル基)と(E)成分中のSi−H基との付加反応も促進する。後述する白金系化合物は、常温付近において前記付加反応の触媒能が高い。
(F)白金系化合物としては、例えば、塩化白金酸、塩化白金酸とアルコールとの反応生成物、白金−オレフィン錯体、白金−ビニルシロキサン錯体、白金−ホスフィン錯体などが挙げられる。(A)成分および(E)成分への溶解性、および触媒活性が良好な点から、塩化白金酸とアルコールとの反応生成物、および白金−ビニルシロキサン錯体などが特に好ましい。
(F)白金系化合物の含有量は、(A)成分に対し、白金原子に換算して1〜100質量ppmとなる量である。好ましくは2〜50質量ppmとする。(F)白金系化合物の含有量が1質量ppm未満では、硬化速度が遅く、十分な時間をかけても硬化が完全に終了しないため、シリコーンゴム型が粘着性を有し、原型(母型)からのシリコーンゴム型の離型性、およびシリコーンゴム型からの複製品の離型性が低下する。(F)白金系化合物の含有量が100質量ppmを超える場合には、硬化速度が過度に高まるため、各成分を配合した後の組成物の注型などの作業性が低下する。また、白金系化合物は高価であるため、不経済でもある。
<その他の成分>
本発明の型取り用シリコーンゴム組成物には、本発明の特徴を妨げない範囲で、他の成分を配合することができる。例えば、充填剤として、溶融シリカ、粉砕石英、けいそう土などのシリカ系粉末や、それらを、ポリオルガノシロキサン、ヘキサメチルジシラザンなどの通常の表面処理剤で処理したもの、炭酸カルシウム、ケイ酸アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化鉄、カーボンブラックなどを配合することができる。なお、これらの充填剤は、透明性を損ねるので、シリコーンゴム型が透明性を必要とする場合には、配合しないことが好ましい。
また、組成物の室温における硬化時間を長くして、注入等の作業性を改善するために、ヒドロシリル化反応を抑制する制御剤(硬化遅延剤)を配合することができる。硬化遅延剤としては、例えば、ビニルシクロテトラシロキサンのようなビニル基含有の環状オルガノポリシロキサン、トリアリルイソシアヌレート、アルキルマレエート、アセチレンアルコール類およびそのシランまたはシロキサン変性物、ハイドロパーオキサイド、テトラメチルエチレンジアミン、ベンゾトリアゾールなどを挙げることができる。
本発明において、硬化遅延剤としては、ビニルシクロテトラシロキサン、具体的には、1,3,5,7−テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサンの使用が好ましい。
本発明の型取り用シリコーンゴム組成物には、その他に、顔料、可塑剤、難燃性付与剤、チキソトロピー性付与剤、防菌剤、防バイ剤、接着性付与剤などを、必要に応じて配合してもよい。
本発明の実施形態の型取り用シリコーンゴム組成物は、(A)〜(F)の各成分、および必要に応じて配合されるその他の成分を、万能混練機、ニーダーなどの混合手段によって均一に混練することにより、調製することができる。通常は、(E)成分を含む成分群からなる組成物と(F)成分を含む成分群からなる組成物とをそれぞれ別個に調製して保存しておき、使用直前に両方の組成物を均一に混合してから使用するが、硬化遅延剤の存在下に全成分を同一容器内に保存することも可能である。
本発明の型取り用シリコーンゴム組成物の粘度は、特に限定されないが、23℃において回転粘度計で測定した値として、3,000〜1,000,000mPa・sの範囲が好ましい。粘度が3,000mPa・s未満では、十分なゴム強度を有する硬化物が得られないことがある。また、粘度が1,000,000mPa・sを超えると、組成物の流動性が悪くなり、シリコーンゴム型の成形が困難となる。成形(注型)の作業性の観点から、さらに好ましい粘度は5,000〜200,000mPa・sである。
本発明の型取り用シリコーンゴム組成物は、複数の容器に分けて保存した場合は均一に混合して脱泡し、一つの容器に保存した場合はそのまま押し出して、原型(母型)全体を包むように、もしくは原型の表面の一部に、注型または塗布し硬化させる。こうしてシリコーンゴム型を作製する。硬化は、室温でも可能であるが、40℃〜150℃までの加熱により、硬化を促進させてもよい。硬化後、シリコーンゴム型を原型から外し、得られたシリコーンゴム型にウレタン樹脂やエポキシ樹脂のような成形用の樹脂を注型する。そして、成形用樹脂の種類に応じた硬化温度で硬化させた後、成形品をシリコーンゴム型から外す。こうして、前記成形用樹脂からなる複製品を得ることができる。
本発明の型取り用シリコーンゴム組成物の硬化物の硬度は、A型硬度計による測定値で35〜50であることが好ましい。硬化物の硬度が35未満の場合には、成形品をシリコーンゴム型から外す際に、シリコーンゴム型の変形が起きて、型としての繰り返し使用が難しい。また、硬化物の硬度が50を超える場合には、シリコーンゴム型が変形し難いため脱型性が低下し、成形品をシリコーンゴム型から外し難い。
本発明の型取り用シリコーンゴム組成物によれば、非反応性シリコーンオイルを配合しなくても、離型性(脱型性)が良好で、特に、機械的特性が改善されたウレタン樹脂またはエポキシ樹脂に対しても、優れた型取り耐久性を示すシリコーンゴム型を得ることができる。そして、本発明の組成物から得られるシリコーンゴム型は、型取りの際に外部離型剤等を塗布する必要がないうえに、このシリコーンゴム型を用いて得られる成形品(複製品)に塗装やメッキを施す前に、溶剤による洗浄等を行う必要がないので、成形作業ならびにそれに付随する全作業を含めて、作業時間の短縮と大幅なコストの低減が可能になる。
したがって、本発明の型取り用シリコーンゴム組成物は、プロトタイプ成形など、高度の脱型性を要する型取りの分野で特に有用である。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例に限定されない。なお、実施例および比較例において、「部」とあるのは「質量部」を、「%」とあるのは「質量%」を表し、粘度等の物性値は全て23℃、相対湿度50%での値を示す。また、重量平均分子量(Mw)は、トルエンを溶媒とするGPC装置(東ソー株式会社製、装置名;HLC−8220 GPC)を用いて測定し、ポリスチレン換算した値である。
さらに、以下の記載において、M単位、Mvi単位、D単位、D単位およびQ単位は、それぞれ以下の式で表されるシロキサン単位を表す。
M単位…………(CHSiO1/2
単位…………(CH(CH=CH)SiO1/2
単位…………(CHHSiO1/2
D単位…………(CHSiO2/2
単位…………(CH)(CH=CH)SiO2/2
単位…………(CH)HSiO2/2
Q単位…………SiO4/2
実施例1
(A)粘度10,000mPa・sの両末端がビニルジメチルシロキシ基で封鎖されたジメチルポリシロキサン100部と、(B)M単位、M単位およびQ単位から成り、これらのモル比がM:M:Q=5:1:8でMwが3,000であるレジン状ポリメチルビニルシロキサン2部と、(C)BET比表面積300m/gの煙霧質シリカ20部と、(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン0.15部と、ヘキサメチルジシラザン8部、および水1部を、万能混練機に入れ、室温で2時間混練した後、150℃で2時間減圧しながら混練した。
次いで、室温に冷却した後、(F)塩化白金酸−ビニルシロキサン錯体(白金濃度2%)0.15部と、1,3,5,7−テトラメチルテトラビニルシクロテトラシロキサン0.1部を添加し、均一に分散させた後、(E1)M単位とQ単位から成り、ケイ素原子に結合した水素原子を0.9%含有するレジン状ポリメチルハイドロジェンシロキサン(粘度22mPa・s、Mw870)1.6部を添加し、均一に混合してシリコーンゴム組成物を得た。得られた組成物の粘度は、50,000mPa・sであった。
実施例2〜4、比較例1〜7
表1に示す各成分を同表に示す組成でそれぞれ配合し、実施例1と同様に混合して、表に示す粘度を有するポリオルガノシロキサン組成物を得た。
なお、表1に記載した各成分は次のとおりである。
[レジン状ポリメチルビニルシロキサン]
…………M単位、D単位およびQ単位から成り、これらのモル比がM:D:Q=6:1:8でMwが3,000であるレジン状ポリメチルビニルシロキサン
[(E2)レジン状ポリメチルハイドロジェンシロキサン]
…………M単位とQ単位から成り、ケイ素原子に結合した水素原子を1.0%含有するレジン状ポリメチルハイドロジェンシロキサン(粘度17mPa・s、Mw790)
[直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン]
…………単位式:MD 2020Mで表される直鎖状ポリメチルハイドロジェンシロキサン
次に、実施例1〜4および比較例1〜7で得られたポリオルガノシロキサン組成物から得られる硬化物の硬度、および脱型性を、以下に示すようにして測定し評価した。測定結果を、組成物における(A)成分中のビニル基と(B)成分中のビニル基と(E)成分中のビニル基との合計に対する、(C)成分中のSi−H基のモル比(H/Vi比)とともに、表1に示す。
<硬度の測定>
図1(a)および(b)に示すように、容器1中にアクリル樹脂(ABS樹脂)製の母型2を配置し、母型2を包みこみかつ硬度を測定する部位が所定の厚さになるように、上記ポリオルガノシロキサン組成物3を流し込んだ。なお、母型2は、一辺6mmの正方形の横断面を有する四角柱状で、底面に、高さの異なる3つの段差部(中底部、高底部、低底部)が紙面に対して垂直方向に形成されている。中底部、高底部、低底部の各部は、それぞれ2mmの幅を有し、中底部と低底部、中底部と高底部は、それぞれ2mmの高低差を有している。
次に、ポリオルガノシロキサン組成物3を減圧脱泡した後、50℃で14時間加熱して硬化させた。次いで、硬化物を室温に冷却した後母型2を外し、図2に示すシリコーンゴム型4を得た。こうして得られたシリコーンゴム型4の矢印で示す部位の硬度を、JIS K6251に準拠して測定した。なお、比較例5および6では、硬化物がゲル状で母型からの離脱が困難であり、シリコーンゴム型を得ることができなかった。
<脱型性の測定>
図2に示すように、前記で得られたシリコーンゴム型4に、エポキシ樹脂(アクソン社製、商品名:RS−505)5を注入し、70℃で24時間加熱して硬化させた。硬化反応による発熱で温度上昇が認められた。硬化後、室温に冷却してから、シリコーンゴム型4からエポキシ樹脂の成形品(複製品)を引き抜いた。そして、型から複製品を引き抜く際の軽さ、重さを調べた。脱型性は、下記基準で評価した。
[評価]
◎:引き抜きが軽い
○:引き抜きがやや重い
△:引き抜きが重い
×:シリコーンゴム型が部分的に破壊
Figure 2018095796
表1から、以下のことがわかる。すなわち、(A)〜(F)の各成分が本発明に規定する所定の組成で配合された実施例1〜4のシリコーンゴム組成物により形成されたシリコーンゴム型は、35〜50の範囲の硬度(A型硬度計による)を有する。そして、これらのシリコーンゴム型は、エポキシ樹脂複製品に対する脱型性に優れ、複製品の底部に形成された凹凸(段差)部がシリコーンゴム型の底部に密着することなく、引き抜き性が良好である。
これに対して、比較例1のシリコーンゴム組成物では、架橋剤であるポリオルガノハイドロジェンシロキサンとして、レジン状ではなく直鎖状のものが配合されているので、シリコーンゴム型の強度が十分ではない。また、型への複製品の密着も生じており、シリコーンゴム型から複製品を引き抜く際に、型の破壊までは生じないが、引き抜きが重く、脱型性が不良である。
比較例2および3のシリコーンゴム組成物では、(D)成分である1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンの配合量が(A)成分100部に対して0.05部未満となっているので、十分な硬さと強度を有する硬化物が得られず、シリコーンゴム型からの複製品の引き抜きの際にシリコーンゴム型の破壊が生じ、脱型が困難になっている。
比較例4のシリコーンゴム組成物では、(B)成分である3個以上のビニル基を有するレジン状ポリオルガノシロキサンの配合量が、(A)成分100部に対して0.5部未満となっているので、十分な硬さと強度を有する硬化物が得られず、シリコーンゴム型からの複製品の引き抜きの際にシリコーンゴム型の破壊が生じ、脱型が困難になっている。
比較例5のシリコーンゴム組成物では、(D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザンの配合量が所定の割合((A)成分100部に対して1.0部)を超えているので、硬化物がゲル状となり、複製品の脱型が可能なゴム状の型を得ることができない。
比較例6のシリコーンゴム組成物では、(B)成分である3個以上のビニル基を有するレジン状ポリオルガノシロキサンの配合量が所定の範囲((A)成分100部に対して10部)を超えているので、硬化物がゲル状となり、複製品の脱型が可能なゴム型を得ることができない。
比較例7のシリコーンゴム組成物では、アルケニル基を有するレジン状ポリオルガノシロキサンとして、3個以上のビニル基がM単位ではなくD単位に含まれたポリオルガノシロキサンが配合されている。そのため、シリコーンゴム型の強度が十分ではなく、型からの複製品の脱型性が悪くなっている。
本発明の型取り用シリコーンゴム組成物によれば、型取りに適した硬度を有し、成形用樹脂に対して優れた離型性を有するシリコーンゴム型が得られる。このシリコーンゴム型は、特に、機械的特性等が改善されたプロトタイプ成形用のウレタン樹脂やエポキシ樹脂に対しても優れた離型性を有する。したがって、本発明の型取り用シリコーンゴム組成物は、プロトタイプ成形など、高度の離型性を要する複製品の成形に適している。さらに、型取りの際に外部離型剤を塗布する必要がなく、離型性を向上させるために非反応性シリコーンオイルを配合する必要もないので、透明性や表面の平滑性が必要な樹脂複製品の成形に好適である。

Claims (5)

  1. (A)1分子中にケイ素原子に結合するアルケニル基を2個以上有し、23℃における粘度が1,000〜200,000mPa・sであるポリオルガノシロキサン100質量部と、
    (B)式:R SiO1/2(式中、Rは、それぞれ独立にアルケニル基または置換もしくは非置換のアルキル基である。)で表される1官能型シロキサン単位と、式:SiO4/2で表される4官能型シロキサン単位を有し、1分子中に前記1官能型シロキサン単位に含まれるアルケニル基を3個以上有するポリオルガノシロキサン0.5〜10質量部と、
    (C)煙霧質シリカ1〜50質量部と、
    (D)1,3−ジビニル−1,1,3,3−テトラメチルジシラザン0.05〜1.0質量部と、
    (E)式:R HSiO1/2(式中、Rは、それぞれ独立に置換もしくは非置換のアルキル基である。)で表される1官能型シロキサン単位と、式:SiO4/2で表される4官能型シロキサン単位を有し、ケイ素原子に結合する水素原子の含有量が本成分全体の0.5〜1.2質量%であるポリオルガノハイドロジェンシロキサンを、前記(A)成分中のアルケニル基と前記(B)成分中のアルケニル基と前記(D)成分中のアルケニル基との合計1モルに対して、本成分中の前記水素原子が0.5〜5.0モルとなる量、および
    (F)白金系化合物の触媒量
    を含有することを特徴とする型取り用シリコーンゴム組成物。
  2. 前記(A)成分が、主鎖がジオルガノシロキサン単位の繰り返しからなり、分子鎖両末端がトリオルガノシロキシ基で封鎖された直鎖状のポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1記載の型取り用シリコーンゴム組成物。
  3. 前記(B)成分が、式:R SiO1/2で表される1官能型シロキサン単位と、式:SiO4/2で表される4官能型シロキサン単位からなり、1,000〜10,000の重量平均分子量を有するポリオルガノシロキサンであることを特徴とする請求項1または2記載の型取り用シリコーンゴム組成物。
  4. 本組成物を硬化してなる硬化物の硬度が、35〜50であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項記載の型取り用シリコーンゴム組成物。
  5. 前記(F)白金系化合物の本組成物全体に対する含有割合が、白金原子に換算して1〜100質量ppmであることを特徴とする請求項1〜4のいずれか1項記載の型取り用シリコーンゴム組成物。
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