次に、本発明につき一実施形態を取り上げて説明を行う。以下の説明における上下方向は図1の紙面上での上下方向である。また、前後左右の方向は貨物自動車の前後左右方向に対応する。つまり、図1における左方を「前方」、右方を「後方」、図1における紙面直交方向を左右方向とする。そして、リフトシリンダ2については、ピストンロッドの収縮側であって、本実施形態における荷受台1の側を「基端側」、ピストンロッドの伸長側であって、本実施形態におけるリフトフレーム5の側を「先端側」とする。チルトシリンダ3については、ピストンロッド33の伸長側であって、本実施形態における荷受台1の側を「基端側」、ピストンロッド33の収縮側であって、本実施形態におけるリフトフレーム5の側を「先端側」とする。
本実施形態の荷受台昇降装置Pgは、図1(貨物自動車Tへの搭載状態を図示)及び図2(荷受台1及び各シリンダ2,3を抜き出して図示)に示すように、貨物自動車Tの後部に搭載されており、荷物を載置する荷受台1(「プラットフォーム」ともいう)と、荷受台1を動作させる油圧アクチュエータの一種であって、荷受台1を昇降させる油圧駆動のリフトシリンダ2と、前記油圧アクチュエータの一種であって、荷受台1の角度を調整する油圧駆動のチルトシリンダ3と、リフトシリンダ2及びチルトシリンダ3に作動油を供給するパワーユニット4(図10に示す)と、を備える。各シリンダ2,3は略円筒状で、図10に示すように、荷受台1の左右に各一対設けられている。各シリンダ2,3は、シリンダチューブに対してピストンロッドが軸方向に移動して出没可能とされることで、伸縮できるよう構成されている。荷受台1は、貨物自動車Tのシャシに固定されたリフトフレーム5に対して回動可能とされたリフトアーム6を介して支持されており、各シリンダ2,3が伸縮することで動作させることができる。また、荷受台1はリフトアーム6に回動軸7を介して支持されており、チルトシリンダ3が伸縮することで、貨物自動車T及び地面等の地面Gに対して回動させることができる(チルト動作)。
荷受台1は、図1に各状態をまとめて記載したように、例えば地面Gが水平面である場合の荷降ろしの際には、貨物自動車Tの荷台に対して起立した状態(状態P1/二点鎖線で図示)から図示時計回りに回動して、後方に90°展開され、荷受台上面11が水平の状態とされる(状態P2)。この状態P1から状態P2への変化の際、チルトシリンダ3は収縮する。この状態で作業者によって荷台から荷物(図示しない)が荷受台1に移される。そして、荷受台上面11が水平の状態のまま荷受台1が下降していく(状態P3)。この下降は荷受台1の一部が地面Gに接地した状態で停止する(状態P4)。荷受台1の下降の際、リフトシリンダ2は収縮する。なお、地面Gが水平面の場合、この状態P4では荷受台1の後部はまだ接地していない。そして地面Gの高さや傾斜に応じて、荷受台1の角度が調整され、荷受台1の後部が接地する(状態P5/二点鎖線で図示)。この状態P4から状態P5への変化の際、チルトシリンダ3は収縮する。この状態P5で作業者によって地面Gに荷物が降ろされる。荷積みの際は前記と逆、つまり、状態P5で作業者によって荷物を地面Gから荷受台1上に移動させ、荷受台1の角度を変えて状態P4とされ、状態P4の状態から荷受台1が上昇状態P2に変化する。荷台への荷積みが終了すると状態P1とされて貨物自動車Tが走行可能となる。本実施形態の荷受台昇降装置Pgでは、この動作は、貨物自動車Tの運転手等のオペレータがコントローラ(図示しない)のスイッチを操作することによって行われる。
荷受台1の上昇及び図1における荷受台1の反時計回りの回動の際、各シリンダ2,3は、パワーユニット4から圧力をかけられた作動油が供給されることにより伸長する。逆に、荷受台1の下降及び図1における荷受台1の時計回りの回動の際、シリンダキャップ(チルトシリンダ3において符号31Aで示された部分(図3参照))に設けられたキャップ側ポート(チルトシリンダ3では下流側油路出口3113が相当する)がタンク45(図10〜図12参照)に連通しているため、各シリンダ2,3は、主に荷受台1にかかる重力によってピストンロッドを収縮方向に移動させ、各シリンダ2,3から作動油を排出し、パワーユニット4へ作動油が流出することにより収縮する。なお、図1に示す状態P1から荷受台1が倒れ始める瞬間については、重力が荷受台1を倒す方向に働きにくいため、チルトシリンダ3内部に設けられたばね37の付勢によって、荷受台1に対して後方に倒れる力を起こさせている。
荷受台上面11の後部には、ストッパー12が上方に突出しており、荷物が荷受台1から後方に滑り落ちることを抑制している。このストッパー12は可動式で、荷受台1内に収納することもできる。
各シリンダ2,3のうち、チルトシリンダ3には減速機構3sが内蔵されている。ここで、図1に示す状態P4になる直前から状態P5になるまでの間は、従来の荷受台昇降装置では一定速度で動作していたため、荷受台1上の荷物のバランスが崩れて荷物の落下や転倒が起こる可能性があった。本実施形態では減速機構3sにより前記可能性を抑制している。この減速機構3sについて以下に説明する。なお、減速機構3sはチルトシリンダ3には設けられているが、リフトシリンダ2には設けられていない。
チルトシリンダ3は、図3に示すように、筒状のシリンダチューブ31と、シリンダチューブ31内を往復動するピストン32と、ピストン32に連結されるピストンロッド33とを備える。なお、図3は、チルトシリンダ3が最も収縮した状態であり、減速機構3sが働いている状態を示している。
シリンダチューブ31は、先端側にシリンダキャップ31Aを備える。ピストン32の可動範囲よりも先端側に下流側油路311を備える。そして、シリンダチューブ31には、ピストン32が可動範囲の先端に至った状態で、バルブ部35が入り込む空間を有する凹部312を備える。下流側油路311は、ピストン32が可動範囲の先端に至った状態にて、ピストンロッド33の先端側の面から前記ピストンロッドの軸方向(ピストンロッド33の軸方向、以下同じ)に延びる軸方向油路3111と、この軸方向油路3111の先端側から径方向に延びてシリンダチューブ31の外周面に開口している径方向油路3112とを有している。軸方向油路3111は、後述するスピンドル34が入り込むことのできる空間を有している。
本実施形態の凹部312は、軸方向油路3111のうち基端側部分の内径が拡大して形成されている。下流側油路311(凹部312を含む)の断面形状は円形とされている。図3及び図4に示すように、凹部312には後述するバルブ部35やピストンロッド33の突出部331が入り込むことができる。凹部312における先端側内面3121にはバルブ部35が当接する。この当接により、バルブ部35の先端面と凹部312における先端側内面3121との間を作動油が通過することが阻止される。バルブ部35が凹部312に入り込むことにより、バルブ部35がピストン32とシリンダチューブ31とに挟まれて壊れることを防止できる。また、ピストン32の可動範囲が、バルブ部がシリンダチューブ31のシリンダキャップ31Aに当接した後、ピストン32がシリンダキャップ31Aに当接する前(ピストン32が可動範囲の先端に至る前)にバルブ部35と当接してしまい、バルブ部35の存在によって縮小されることがないので、ピストン32の可動範囲を最大限に設定できる。このため、荷受台1を後方に傾ける際の角度を大きくとれるので、地面Gと荷受台1の後部との間に距離があっても荷受台1の後部を接地させられる。なお、前記作動油通過の阻止をより確実になすため、バルブ部35の先端面にパッキンを設けることもできる。
ピストンロッド33は、先端側の面からピストンロッド33の軸方向に突出するスピンドル34を備える。本実施形態のスピンドル34は、ピストンロッド33の先端部よりも径寸法が小さい丸棒状体であり、基端部341がピストンロッド33の先端部に、ピストン32を貫通して位置する突出部331にねじ込まれることで固定されている。スピンドル34の先端部には径寸法が拡大された拡大部342が形成されており、バルブ部が抜けないようになっている。本実施形態のスピンドル34の断面形状は円形とされている。このスピンドル34は、図3及び図4に示すように、ピストン32が可動範囲の先端に至った状態で、シリンダキャップ31Aの下流側油路311における軸方向油路3111に入り込む。
チルトシリンダ3は更に、ピストン32よりも先端側にピストンロッド33の軸方向に移動可能に設けられたバルブ部35と、前記バルブ部35をチルトシリンダ3の先端方向に付勢する付勢部36とを備える。本実施形態におけるバルブ部35は、図3及び図4に示すように、ピストン32の先端側の面よりも更に先端側に設けられる。
バルブ部35は、シリンダチューブ31における下流側油路311における軸方向油路3111のうちで実際の通油部分の断面積よりも大きい断面積を有している。前記「実際の通油部分の断面積」は、本実施形態では、図3及び図4に示すように軸方向油路3111にスピンドル34が入り込んだ状態においては、スピンドル34の断面積(通油しない部分の断面積)を除いた、軸方向油路3111の入口端における断面積のことである。なお、スピンドル34の断面積は、例えば本実施形態で拡大部342が存在するように、軸方向で一定でないことがあるが、「実際の通油部分の断面積」は軸方向油路3111の入口端で評価することとする。一方、軸方向油路3111にスピンドル34が入り込んでいない状態において、「実際の通油部分の断面積」は、軸方向油路3111の入口端におけるそのままの断面積のことである。本実施形態のバルブ部35は円板状体である。バルブ部35は、ピストン32が可動範囲の先端に至るより前、具体的には、凹部312における先端側内面3121にはバルブ部35が当接した後でピストン32が可動範囲の先端に至るまでの間に、下流側油路311(軸方向油路3111)を作動油の通過を減少した油量で許容した状態で覆うよう構成されている。このためにバルブ部35は、スピンドル34が貫通し、スピンドル34の断面積(径寸法)よりも大きい断面積(径寸法)の貫通穴351を径方向中央に備える。つまり、バルブ部35の断面形状外縁の径寸法は、軸方向油路3111の断面形状外縁の径寸法よりも大きい。そして、軸方向油路3111の断面形状外縁の径寸法は、スピンドル34(本実施形態では拡大部342の部分)の断面形状外縁の径寸法よりも大きい。本実施形態の貫通穴351の断面形状は円形であり、スピンドル34の径寸法よりも大きい径寸法を有している。このため、貫通穴351の内面とスピンドル34の外面との間には隙間が存在する。凹部312における先端側内面3121にはバルブ部35が当接した状態(つまり、軸方向油路3111の大部分が閉鎖された状態)であっても、この隙間を少量の作動油が通り抜けることができる。つまり、前記当接した状態であっても、軸方向油路3111の入口が縮小した状態で保たれるのである。ここで、前記「少量」とは、軸方向油路3111が開放されている場合の通過油量に比べて少量ということを意味している。
本実施形態の貫通穴351は、スピンドル34によってバルブ部35の軸方向への移動がガイドされる作用と、軸方向油路3111の入口を縮小した状態で保つ作用の両方を奏する。このため、減速機構3sを経済的に構成することができる。また、貫通穴351をバルブ部35の径方向中央に形成することで、バルブ部35を回転対称形状にできるため、バルブ部35を製作しやすい。
付勢部36は、本実施形態ではピストンロッド33の軸方向に沿って伸縮するコイルばねが用いられている。コイルばねを用いることで、自由状態(バルブ部35が凹部312における先端側内面3121に当接していない状態)の軸方向における寸法を自由に設定できる。このため、スピンドル34の長さ及び付勢部(コイルばね)36の自由状態の寸法を適宜選択することにより、バルブ部35の軸方向の移動範囲、すなわち、減速機構3sが働く範囲を自由に設定することができる。
ここで、ピストンロッド33はピストン32から先端側に突出した突出部331を備えている。本実施形態の突出部331は円柱状であって、この突出部331に付勢部(コイルばね)36が嵌められている。突出部331は、図3及び図4に示すように、ピストン32が可動範囲の先端に至った状態では凹部312に入り込んでいる。更に、バルブ部35の基端側には、付勢部(コイルばね)36における先端部が位置するばね支持凹部352が形成されている。このように構成されたことで、付勢部(コイルばね)36がピストンロッド33の突出部331によって軸方向にガイドされ、かつ、ばね支持凹部352によってバルブ部35と付勢部(コイルばね)36との径方向の位置がずれないようにできるため、バルブ部35をずれることなく確実に動作させられる。特に、本実施形態のように付勢部36としてコイルばねを用いることで、このコイルばねが内部に円柱状の空間を有していることから、ピストンロッド33の突出部331を付勢部(コイルばね)36に挿入しやすい。なお、この構成に限定されず、例えば、ピストンロッド33とは別体のガイド部材を設けたり、付勢部36であるコイルばねの内部にガイド部材を設けず、ガイド無しの成り行きで伸縮したりするよう構成してもよい。
本実施形態では、下流側油路311の軸方向油路3111、スピンドル34、バルブ部35各々の中心軸が一致していてピストンロッド33の中心軸上にある。このため、ピストン32の収縮時にピストン32やピストンロッド33が回転方向に位置ずれしたとしても、スピンドル34が軸方向油路3111に入り込んで、バルブ部35が軸方向油路3111の入口を覆うことが安定的になされる。
以上、チルトシリンダ3が備える減速機構3sは、下流側油路311(軸方向油路3111)、凹部312、ピストンロッド33の突出部331、スピンドル34、バルブ部35、付勢部36から構成されている。次に、この減速機構3sのチルトシリンダ3の収縮に伴う動作について説明する。
図5(a)〜(f)及び図6(a)〜(f)に、荷受台1を展開していく過程を示す。なお、図5と図6とは、リフトシリンダ2の伸縮度合が異なることにより、荷受台1の角度が異なっている。図5は、貨物自動車Tの車輪が接地している面と、荷受台1を降ろす面である地面Gが同一高さである場合を示しており、図6は、貨物自動車Tの車輪が接地している面よりも、荷受台1を降ろす面である地面Gが高い位置にある場合を示している。ちなみに、図6(a)が貨物自動車Tへの格納状態であり、貨物自動車Tが走行可能な状態である。
図5(a)及び図6(a)は、チルトシリンダ3の伸側ストロークエンド(最も伸びた)である、最初の状態を示す。図5(b)(c)及び図6(b)(c)は、展開の途中過程を示す。図5(a)〜(c)及び図6(a)〜(c)の状態では、主に荷受台1にかかる重力によってチルトシリンダ3から作動油が排出されてパワーユニット4へ作動油が流出することによりチルトシリンダ3が収縮するが、ここまでは、図7(図6(a)の拡大図)及び図8(図6(b)の拡大図)に示すようにバルブ部35と凹部312とが離れているため、減速はなされていない。図5(d)及び図6(d)は、減速を開始した瞬間を示す。本実施形態では、荷受台上面11の水平面に対する角度が後上がりで3°になった時(荷受台1が水平になる3°前)に、図9(図6(d)の拡大図)に示すように、バルブ部35が凹部312における先端側内面3121に当接する。この当接に伴い、重力によりチルトシリンダ3から流出しようとする作動油が、バルブ部35における貫通穴351の内面とスピンドル34の外面との間の隙間だけを通過するようになる。このため、チルトシリンダ3からの流出油量が減少することで、チルトシリンダ3の収縮速度が減速する。図5(e)及び図6(e)は荷受台上面11が水平になった状態を示す。そして、荷受台上面11が後ろに傾斜して図5(f)及び図6(f)に至るまでの間に、荷受台1の後部が地面Gに接地すると、その時点で展開動作が停止される(本実施形態では、オペレータのスイッチ操作により停止される)。この状態では、チルトシリンダ3が更に収縮し、バルブ部35が凹部312における先端側内面3121に当接したまま付勢部36が短縮する。このため、減速が継続される。なお、図5(f)及び図6(f)は、チルトシリンダ3の縮側ストロークエンド(最も縮んだ)である、最後の状態を示す。減速機構3sは図4に示す状態となる。この状態では、荷受台上面11が後ろに傾斜した状態になる。例えば下り坂の途中に貨物自動車Tを停車して、坂の上り側で荷役作業を行う際には、この状態として荷受台上面11を水平にすることができる。この状態では、バルブ部35が凹部312における先端側内面3121に当接したまま付勢部36が最も短縮した状態となる。
以上の過程により、ピストン32が可動範囲の先端に至る以前に、バルブ部35が下流側油路311を作動油の通過を減少した油量で許容した状態で覆うことができる。ピストン32が可動範囲の先端に至った状態で、スピンドル34は下流側油路311の軸方向油路3111に入り込んでいるため、チルトシリンダ3の縮側ストロークエンドにおいて、バルブ部35は必ず作動油の通過を減少させられる。なお、作動油の通過の減少開始(つまり、バルブ部35が下流側油路311を覆う時点)のタイミングは、スピンドル34が下流側油路311の軸方向油路3111に入り込み始めるタイミングに応じて調整できる。
このように、チルトシリンダ3の下流側での通過油量が減少することによりピストン32を減速できる。よって、ピストンロッド33を介して荷受台1の角度変化の速度を減らすことができる。その結果、チルトシリンダ3の収縮動作の終期において、荷受台1が地面Gに接地する際の衝撃や、荷物を降ろすために荷受台上面11を水平状態から後方へ傾ける際の動作開始時に急速度で動作してしまうことを抑制でき、荷受台1上の荷物のバランスが崩れて荷物の落下が起こってしまうことを防止できるので荷役作業を安全に行うことができる。なお、チルトシリンダ3はストロークエンドに至るまでで動作を停止させてもよい。この場合、停止時点でスピンドル34は下流側油路311の軸方向油路3111に入り込んでいれば、前記と同様、ピストン32を減速できる。
なお、チルトシリンダ3の収縮動作の終期において油量を絞るよう、電気的に制御しても同様の作用を得られるが、本実施形態ではチルトシリンダ3に減速機構3sを設けているため、制御面での対応が格別必要ではない。よって、例えば荷受台昇降装置Pgの制御プログラムを簡素化できるメリットがある。また、荷受台1における荷受台上面11の水平状態を検知するためのセンサが不要であるため、荷受台昇降装置Pgの構成を簡素にでき、安価とできる。
そして、本実施形態の構成では、バルブ部35の貫通穴351とスピンドル34との間の隙間を作動油が通過する。このため、バルブ部35が下流側油路311を塞いだ際、油量が減少した作動油を通過させるための油路を別途形成する必要がない。よって、減速機構3sを設けたチルトシリンダ3の構造を簡易化できる。
次にパワーユニット4に関して説明する。図10〜図12に示すように、本実施形態のパワーユニット4は、主に、通油を制御するバルブ等を内蔵したバルブブロックを、組み合わせにより構成できるメインブロック41及びサブブロック42、そして、作動油をパワーユニット4の外部(本実施形態ではメインブロック41及びサブブロック42)に圧送する送油ポンプ43、送油ポンプ43を駆動させる駆動手段であるモータ44、作動油を貯留できるタンク45、オイルフィルタ46を備える。前記駆動手段は本実施形態では電動のモータ44であるが、これに限定されず、例えばパワーユニット4の外部から駆動力を取り入れて変速等する手段であってもよい。
このパワーユニット4は、リフトフレーム5の後方に延ばされたブラケット51の上に固定されている。本実施形態では、パワーユニット4は、貨物自動車Tの後輪の軸線Rc(図1参照)よりも後方に配置されている。
パワーユニット4において外観に現れる部分の配置は、図10及び図11(a)(b)に示すようになっている。後方から見た場合の方向(図11(b)における紙面直交方向)で、ブラケット51上にメインブロック41が縦向きに配置され、その上にサブブロック42が配置され、メインブロック41の左方にモータ44、右方にタンク45が配置されている。また、タンク45の内部空間であり、メインブロック41の右方に送油ポンプ43、更に右方にオイルフィルタ46が配置されている。なお、パワーユニット4を構成する各要素の配置は本実施形態のものに限定されず、種々のパターンで配置できる。
なお本実施形態では、図11(b)に示すように、タンク45の上端位置がモータ44の上端位置よりも低い。そして、サブブロック42はモータ44の上方に位置しており、サブブロック42の上端がタンク45の上端位置からはみ出ないようにされている。このようにサブブロック42を配置することで、パワーユニット4の上下寸法についてコンパクト化でき、カバー8も小型化できる。
メインブロック41において、ソレノイド部41sは前方に突出するように位置している。また、サブブロック42において、ソレノイド部42s,42sは左側方に突出するように位置している。
また、図10及び図11(a)(b)に示すように、パワーユニット4は前後左右及び上方が、中空の略直方体状のカバー8によって覆われている(図11(a)(b)には前方カバー81のみ示す)。カバー8は板状体から形成されており、ボルトによって組みつけられている。このため、パワーユニット4のメンテナンス時には取り外してパワーユニット4を露出させることができる。また、図示していないが、カバー8には、モータ44等を冷却する通風用の開口部を設けることができる。
メインブロック41には、ポート4143に向かう方向の逆流を防止するためのチェックバルブ411と、油圧回路全体での過圧状態を抑制するため、所定圧を超えると開放されるリリーフバルブ412と、バルブブロックに接続されたシリンダ(本実施形態ではリフトシリンダ2及びチルトシリンダ3)が収縮する際に開放されるソレノイドバルブ413と、各バルブ411〜413に接続されたメインブロック側油路414とが内蔵されている。本実施形態のソレノイドバルブ413は、2ポート2位置切換式のソレノイドバルブが用いられている(ただしソレノイドバルブの構成はこれに限定されない)。メインブロック側油路414は、送油ポンプ43に接続されるポート4141と、タンク45に接続されるポート4142と、サブブロック42のサブブロック側油路421に接続されるポート4143,4144とを備える。各ポート4141〜4144は、必要により、配管継手の接続が可能なような形状に形成されている。
メインブロック41は、メインブロック側油路414のうちソレノイドバルブ413を介してタンク45に至る油路(この油路には、シリンダ2,3からタンク45に戻る作動油が流れる)の途中、本実施形態では、ソレノイドバルブ413の通油時における下流側(図12における左方)に、油量を調整するためのフローコントロールバルブ415を備える。このフローコントロールバルブ415により、リフトシリンダ2に関して収縮時の油量を一定化できるため、荷受台1に載せる荷物の重量が異なっていても、荷受台1を一定速度で下降させられる。本実施形態ではチルトシリンダ3に関しても同様であり、収縮時の油量をフローコントロールバルブ415により一定化できるので、荷受台1を一定速度で回動させられる。ソレノイドバルブ413とフローコントロールバルブ415との間にはフィルタ416が設けられている。なお、フローコントロールバルブ415やフィルタ416は必須ではなく、設けないこともできる。
メインブロック側油路414は、ポート4141,4143を結んで上下に延びる第1上下油路4145、ポート4142,4144を結んで上下に延びる第2上下油路4146、第1上下油路と第2上下油路とを結んで図示左右に延びており、ソレノイドバルブ413、フローコントロールバルブ415、フィルタ416が位置する第1左右油路4147、第1左右油路の下方にて、第1上下油路と第2上下油路とを結んで図示左右に延びており、リリーフバルブ412が位置する第2左右油路4148、から構成されている。チェックバルブ411は、第1上下油路4145のうち、第1左右油路の分岐部と第2左右油路の分岐部との間に位置している。
サブブロック42はメインブロック41の上方に連結される。このサブブロック42には、少なくともメインブロック41のメインブロック側油路414に接続されるサブブロック側油路421が内蔵されている。サブブロック側油路421は、メインブロック41に接続されるポート4211,4212と、リフトシリンダ2、チルトシリンダ3の各々に接続されるポート4213,4214とを備える。各ポート4211〜4244は、必要により、配管継手の接続が可能なような形状に形成されている。
本実施形態のサブブロック42には、更に、リフトシリンダ2とチルトシリンダ3の一方または両方に通油するためのソレノイドバルブ422,423が内蔵されている。ソレノイドバルブ422,423の下方(通油時における送油ポンプ43の側)にはフィルタ424,425が設けられている。
サブブロック側油路421は、ポート4211の直上に位置する集合油路4215と、リフトシリンダ2に通油するため集合油路4215から分岐してポート4213に延びており、ソレノイドバルブ422及びフィルタ424が位置するリフト用油路4216、チルトシリンダ3に通油するため集合油路4215から分岐してポート4214に延びており、ソレノイドバルブ423及びフィルタ425が位置するチルト用油路4217、チルト用油路4217から分岐して下方のポート4212に延びる自給油路4218から構成されている。自給油路4218には、ポート4212に向かう方向の逆流を防止するためのチェックバルブ426が設けられている。
なお、荷受台昇降装置Pgの機種によっては、荷受台1を貨物自動車T及び地面等の地面Gに対して回動させる動作であるチルト動作を、チルトシリンダ3を用いて行わない。この場合(手動で荷受台1を回動させる場合)、サブブロック42にチルト用油路4217、自給油路4218、ソレノイドバルブ423、フィルタ425を設ける必要はない。
また、自給油路4218は、チルトシリンダ3を備えた構成において、荷受台1を展開状態から格納するために手動で荷受台1を回動させる場合、チルトシリンダ3に作動油を送るための油路である。この自給油路4218により、チルトシリンダ3内でピストンロッド33の存在しない側(シリンダキャップ31Aの側)が真空状態になってしまい、次回に荷受台1を展開する際(チルトシリンダ3が収縮する際)、ピストンロッド33が急激に収縮方向に移動することで、荷受台1が展開方向に急に回動してしまうことを防止できる。なお、このような手動操作をさせない場合、この自給油路4218は省略できる。なおこの場合、メインブロック41におけるポート4144と、第2上下油路4146のうち第1左右油路4147の分岐部までの区間も機能上は不要となる。ただし、メインブロック41を共通化する観点から、本実施形態では、作動油が漏れないようにポート4144の閉鎖等をした状態で、前記不要部分がメインブロック41に設けられたままにされており、これによりメインブロック41を共通化できている。
以上の構成により、チルトシリンダ3により荷受台1を開閉したり、角度を変更(チルト)したりするタイプの荷受台昇降装置に対して好適なバルブブロックを構成できる。
メインブロック41及びサブブロック42は、本体部41m,42mの外観が略直方体ブロック状に形成されている。ただし、本実施形態のバルブブロックにおけるソレノイド部41s,42sは、本体部41m,42mからそれぞれ突出している。メインブロック41及びサブブロック42は、外面を当接させて連結されて使用される。この連結の際、両者の接続部に位置するポート4143,4211/4144,4212も接続される。本実施形態では連結はボルトによりなされるが、連結手段は特に限定されない。
このようにメインブロック41とサブブロック42とは、連結及び切り離し可能に構成されている。このため、メインブロック41に組み合わせるサブブロック42を、別の構造のサブブロック42に変更できる。これにより、バルブブロックの機能を容易に変更できるので、メインブロック41に油圧機構のうち、少なくとも2種の異なるパワーユニット4の機種同士で必須の部品を集約し、サブブロック42に油圧機構のうち付加的な部品を集約すること、つまり、メインブロック41とサブブロック42とで機能を分担することにより、メインブロック41を共通化しつつ、バルブブロックの構成を多様化できる。すなわち、バルブブロックの製造時、他機種用のメインブロック41に例えば余剰在庫があった場合、そのメインブロック41を流用することで、バルブブロック全体を最初から製造することに比べて工数を削減できる。このため、バルブブロックの機能や貨物自動車Tへのバルブブロック配置について自由度を高められる。そして、パワーユニット4の製造原価低減に貢献できる。
本実施形態におけるパワーユニット4の前方にはカバー8の一部として前方カバー81が設けられている。このバルブブロックに設けられるソレノイドバルブの少なくとも一部(本実施形態ではメインブロック41におけるソレノイド部41s)は、バルブブロック(メインブロック41及びサブブロック42)の前方側に設けられている。この構成によると、前方カバー81の直後にソレノイドバルブが位置するので、前方カバー81により、後輪によって巻き上げられた砂や泥のソレノイドバルブへの衝突を避けることができ、ソレノイドバルブが故障しにくい。これは、非舗装路を走ることの多い貨物自動車Tにおいて大変有利である。
以上、本発明につき一実施形態を取り上げて説明したが、本発明は前記実施形態に限定されない。例えば、油圧アクチュエータは、前記実施形態のような油圧駆動のシリンダに限定されず、油圧モータとすることもできる。また、スピンドル34を設けず、バルブ部35が付勢部36によってのみ支持されることもできる。具体的には、付勢部36の一端をピストン32やピストンロッド33に連結し、付勢部36の他端をバルブ部35に連結することができる。また、前記実施形態のスピンドル34はピストンロッド33とは別体であったが、スピンドル34をピストンロッド33の一部として形成することもできる。また、前記実施形態では、ピストンロッド33の突出部331がピストン32を貫通して先端側に突出していたが、貫通や突出をさせないこともできる。この場合、突出部331をピストン32の一部として形成したり、ピストン32及びピストンロッド33とは異なる他の部材(棒材など)で形成したりでき、このように形成された突出部331で付勢部36を軸方向にガイドすることができる。
また、下流側油路311やスピンドル34やバルブ部35の形状(断面形状)は円形に限定されず、多角形とすることもできる。この場合、バルブ部35の断面形状外縁は、下流側油路311の断面形状外縁を全て覆う関係になくてもよい。要は、バルブ部35が下流側油路311を覆う際に、ピストン32を減速できるよう通過油量を減少できる程度に覆うことができればよい。
また、バルブ部35において、貫通穴351とスピンドル34とは異なる位置に、専ら少量の作動油を通す別の貫通穴を設けてもよい。また、バルブ部35には作動油の通過できる貫通穴を設けず、シリンダチューブ31の内外を通るバイパス油路を例えば凹部312における内側面等、バルブ部35に覆われない位置に開口させて設け、凹部312と軸方向油路3111を両者の径外位置で連結するようにして、このバイパス油路がバルブ部35によって塞がれないように構成することによって、このバイパス油路を介して少量の作動油を通すようにすることもできる。このようにバイパス油路を設ける場合、バルブ部35の貫通穴351は必須ではなくなる。例えば、スピンドル34を設ける場合、貫通穴351の寸法を、スピンドル34に対してバルブ部35が移動可能な最低限の寸法とし、貫通穴351を作動油が通過しないように形成できる。また、スピンドル34を設けない場合は、貫通穴351を形成しないようにできる。また、バルブ部35が入り込む凹部312は、前記実施形態ではシリンダチューブ31に設けられていたが、これに限定されず、ピストン32に凹部を設けることもできる。この場合、バルブ部35は、ピストン32に設けられた凹部の基端側よりも先端側に設けられる。
また、前記実施形態では、荷受台1の展開時に荷受台1が水平になる3°前から減速が開始されるよう設定されていたが、付勢部36が自由状態におけるピストンロッド33に対するバルブ部35の位置を変更することにより、減速が開始される角度は別の角度に設定することもできる。
また、前記実施形態の減速機構3sは、収縮時に減速するよう構成されていたが、逆に伸長時に減速するよう構成することもできる。また、リフトシリンダ2に前記実施形態と同様の減速機構を設けることもできる。
また、荷受台昇降装置Pgにつき、チルトシリンダ3を備えずリフトシリンダ2のみを備える機種ともできる。
また、荷受台1を前後方向中間部で折り畳み可能に構成し、前記中間部における折り畳み及び展開を油圧アクチュエータで行うよう構成してもよい。この場合には、当該油圧アクチュエータが、前記「荷受台1を動作させる油圧アクチュエータ」に該当する。
また、荷受台1を車両前後方向に移動させるための、荷受台1を動作させる油圧アクチュエータとしてのスライドシリンダ(図示しない)を備え、荷受台1を貨物自動車Tの床下に格納できる荷受台昇降装置Pgの機種に対しても、本発明を適応できる。この場合の油圧回路の一例を図13に示す。メインブロック41の構成は前記実施形態(図12参照)と共通である。本実施形態におけるサブブロック47には、リフトシリンダ2に通油するためのソレノイドバルブ472、スライドシリンダを伸長させる際に励磁するソレノイドバルブ473、スライドシリンダを収縮させる際に励磁するソレノイドバルブ474が内蔵されている。ソレノイドバルブ472の下方、ソレノイドバルブ473の右方、ソレノイドバルブ474の上方にはそれぞれフィルタ475,476,477が設けられている。
サブブロック側油路471は、ポート471aの直上に位置する集合油路471fと、リフトシリンダ2に通油するため集合油路471fから分岐してポート471cに延びており、ソレノイドバルブ472及びフィルタ475が位置するリフト用油路471g、スライドシリンダに通油するため集合油路471fから分岐してポート471d、471eに延びており、チェックバルブ479及びフローコントロールバルブ480が位置するスライド伸縮用油路471h、ポート471b,471dを結んで上下に延びるスライド収縮用油路471i、スライド伸縮用油路471hとスライド収縮用油路471iとを結んで図示左右に延びているスライド伸長用油路471jから構成されている。スライド収縮用油路471iにはポート471bに向かう方向の逆流を防止するためのチェックバルブ478、スライド収縮用油路471hにはポート471a、471e方向の逆流を防止するためのチェックバルブ479がそれぞれ設けられている。メインブロック41及びサブブロック47の連結の際、両者の接続部に位置するポート4143,471a/4144,471bがそれぞれ接続される。以上のように、サブブロック47を変更してもメインブロック41には新たに油路やバルブを設ける必要がなく、メインブロック41を共通化できる。
また、前記実施形態では、メインブロック41、サブブロック42が各1個用いられていたが、1個のメインブロック41に2個以上のサブブロック42を連結してバルブブロックを構成することもできる。
また、サブブロック42はバルブやフィルタを全く備えず、油路とポートだけを備えることもできる。
また、前記実施形態では、メインブロック41におけるサブブロック42接続用のポート数は2であったが(ポート4143,4144)、これに限定されず、ポート数を3以上とすることもできる。
また、サブブロック42におけるメインブロック41接続用のポート数は、メインブロック41のサブブロック42接続用のポート数よりも少なくてもよい。この場合、メインブロック41においてサブブロック42の接続に使用しないポートは、栓等が取り付けられることで閉鎖しておく。
また、前記実施形態では、サブブロック42,47におけるソレノイドバルブ422,423,472,473,474に関し、2ポート2位置切換式のソレノイドバルブが、各シリンダに通油するための油路にそれぞれ設けられていた。しかし、ソレノイドバルブの構成はこれに限定されず、例えば、3ポート以上で3位置以上の切換式のソレノイドバルブであってよい。また、リフトシリンダ2、チルトシリンダ3、スライドシリンダのいずれかにのみ通油するソレノイドバルブであってよい。また、リフトシリンダ2、チルトシリンダ3、スライドシリンダの一つ以上に通油するソレノイドバルブであってよい。更に、これらソレノイドバルブに、各シリンダへの通油を遮断する機構を追加することもできる。