JP2018092969A - 温度制御ユニット、及びレーザ光源装置 - Google Patents
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Abstract
Description
特許文献1に記載の装置には、温度制御の対象が設けられる板状伝熱部材と、放熱器との間に、伝熱部材(グリース等)を介してペルチェ素子が設けられる構成が開示されている。この装置では、放熱器を取付部材により板状伝熱部材に固定することで、放熱器と板状伝熱部材との間でペルチェ素子を挟み込んで固定している。
このため、特許文献1のように、ペルチェ素子を挟み込んで固定する場合、温度制御素子の厚み寸法のバラつきによって、温度制御効率が固体毎に異なったり、ペルチェ素子に過度の応力が加わることで破損してしまったりする課題がある。
本態様では、貫通ねじ部における調整ねじの位置を調整することで、調整ねじにより保持されるスペーサの位置が調整可能となる。つまり、制御対象と固定部との間で、温度制御素子を挟持するスペースの寸法を調整することが可能となる。このため、温度制御素子の厚み寸法にばらつきがある場合でも、個々の温度制御素子に応じて、制御対象と固定部との間の寸法を調整できる。これにより、温度制御素子を制御対象及び固定部に対して密着させることができ、温度制御効率を高めることができ、また、温度制御素子に過度の応力が加わることによる破損をも抑制できる。
本態様では、調整ねじに設けられた第一挿通孔から、スペーサに設けられた第二挿通孔を通り、制御対象に固定される固定ねじが設けられる。これにより、固定ねじを制御対象に締結することで、スペーサが調整ねじと制御対象とにより挟持されて固定される。また、調整ねじは固定部の貫通ねじ部の所定の調整位置で固定されているので、固定部と制御対象との間の距離が、一定に保たれることになり、スペーサの抜け落ちを抑制して、好適に温度制御素子を固定できる。
本態様では、固定ねじと調整ねじとの間に断熱部材が設けられているので、制御対象の熱が固定ねじから固定部に逃げることがなく、温度制御素子による精度の高い温度制御を実現できる。
本態様では、温度制御素子を囲う位置に、調整ねじに保持されたスペーサが配置されている。したがって、1つの温度制御素子において厚さ寸法にばらつきがある場合でも、各調整ねじを調整することで、温度制御素子に対して、制御対象や固定部を密着させることができる。
本態様では、上述のように、個々の温度制御素子に厚み寸法のばらつきがある場合でも、制御対象であるレーザ共振器部の温度を高精度に制御することができる。これにより、所望周波数のレーザ光を高出力で出力することができる。
図1は、本実施形態のレーザ光源装置の概略構成を示す図である。
本実施形態のレーザ光源装置1は、筐体10と、励起光源20と、レーザ共振器部30と、を含んで構成されている。また、レーザ共振器部30は、誘導輻射から第一波長(例えば1064nm)の光を発光するレーザ媒体(例えばNd:YVO4結晶)、第一波長の光の一部を第二波長(例えば532nm)の光とする非線形光学結晶(例えばKTP結晶)、レーザ光の特定周波数のみを透過させるエタロン、第一波長の光を反射させ第二波長の光を透過させる反射鏡等の光学素子と、これらの光学素子を収納する共振器筐体とを含んで構成されている。
このレーザ光源装置1は、励起光源20から出射された励起光がレーザ共振器部30に入射し、レーザ共振器部30にて生成された第二波長(目標波長)のレーザ光が出力される。
また、第一固定部11Aや第二固定部11Bの裏面112(ペルチェ素子40A,40Bが設けられる固定面111とは反対の面)には、放熱フィン等の放熱部材が適宜設けられていてもよい。
同様に、第二固定部11Bのペルチェ素子40Bが設けられる面(固定面111)、及び励起光源20の第二固定部11Bに対向するベース21の表面(ベース面22)は平面であり、それぞれ、半固定伝熱部材411を介してペルチェ素子40Bの放熱面41、温度制御面42に密着して接続される。
図2は、図1の第一固定機構50A近傍を拡大した断面図である、図3は、第一固定部11Aを裏面112側から見た平面図である。
図1から図3に示すように、第一固定部11Aには、レーザ共振器部30のベース31に対向する位置で、かつ、ペルチェ素子40Aが設けられる部分の外側に、第一固定機構50Aが設けられる。より好ましくは、第一固定機構50Aは、図3に示すように、X方向に沿ってペルチェ素子40Aを挟み込む位置、及び、X方向に交差するY方向に沿ってペルチェ素子40Aを挟み込む位置にそれぞれ設けられることが好ましい。
また、調整ねじ51には、貫通ねじ部113と同軸となり、当接面511から調整面512を貫通する第一挿通孔514が設けられている。この第一挿通孔514には、固定ねじ53が挿通される。
上述したように、スペーサ52の第一面521は、調整ねじ51の当接面511に当接し、調整ねじ51が軸方向に進退されることで、スペーサ52も軸方向に沿って進退する。これにより、レーザ共振器部30のベース31も軸方向に進退し、第一固定部11Aとレーザ共振器部30との間の寸法が微調整可能となる。
また、固定ねじ53のねじ頭部531は、ワッシャー54を介して調整ねじ51の調整面512に接続される。したがって、固定ねじ53をねじ穴33に対して締め付けることで、第一固定部11Aに固定された調整ねじ51に対し、スペーサ52を介してレーザ共振器部30が固定される。つまり、第一固定部11Aに対するレーザ共振器部30の位置が固定される。
ワッシャー54は、断熱部材により構成されている。また、図2に示すように、第一挿通孔514は、固定ねじ53の軸径に対して十分大きい径寸法を有している。よって、固定ねじ53が調整ねじ51に接触することはなく、レーザ共振器部30からの熱が、固定ねじ53から調整ねじ51に伝達されて放熱される不都合が抑制される。
さらに、スペーサ52の第二挿通孔523に固定ねじ53が挿通されることで、スペーサ52が軸方向に交差する方向に位置ずれする不都合が抑制され、例えばスペーサ52の抜け落ち等がない。
次に、レーザ共振器部30を、ペルチェ素子40Aを介して第一固定部11Aに固定する固定方法(制御対象に対して温度制御素子を固定する固定方法)について説明する。
図4は、レーザ共振器部30の固定方法を示すフローチャートである。
レーザ共振器部30の固定では、まず、ペルチェ素子40Aの放熱面41及び温度制御面42に対して、半固定伝熱部材411を塗布する。そして、ペルチェ素子40Aを、第一固定部11A上に載置し、さらに、ペルチェ素子40A上にレーザ共振器部30を載置し、ペルチェ素子40Aを第一固定部11A及びレーザ共振器部30により挟み込む(ステップS1)。
この際、レーザ共振器部30を下部、第一固定部11Aを上部に配置することで、第一固定部11Aの重量を掛けて、半固定伝熱部材411の厚み寸法を均一にする。
この際、レーザ共振器部30を上部、第一固定部11Aを下部とした状態で、調整ねじ51を回転させて軸方向に移動させる。そして、上部に配置されたレーザ共振器部30が浮き上がる直前の位置に調整ねじ51を移動させる。
本実施形態では、固定部(第一固定部11A,第二固定部11B)と、制御対象(レーザ共振器部30,励起光源20)と、これらの固定部及び制御対象の間で挟持されるペルチェ素子40A,40Bと、固定機構(第一固定機構50A,第二固定機構50B)とを備える。そして、固定機構は、固定部に設けられた貫通ねじ部113に設けられて、軸方向の位置を調整可能な調整ねじ51と、スペーサ52とを備える。また、スペーサ52は、調整ねじ51の当接面511に当接される第一面521、及び制御対象のベース面32,22に当接される第二面522を有する。
このような構成では、調整ねじ51を調整することで、スペーサ52の高さ位置をペルチェ素子40A,40Bの厚み寸法に応じた位置に調整することが可能となる。よって、個々のペルチェ素子40A,40Bの厚み寸法にばらつきがある場合等でも、使用するペルチェ素子40A,40Bに合わせてスペーサ52の高さ位置を調整できる。
このため、ペルチェ素子40A,40Bの厚み寸法に応じたスペーサを製造する必要がなく、規格化されたスペーサ52を用いることができる。また、ペルチェ素子40A,40Bを、厚さ寸法が異なる他の温度制御素子に交換する場合でも、当該温度制御素子の厚み寸法に合わせた寸法に容易に制御対象と固定部との間の寸法を調整することができる。
このため、1つのペルチェ素子40A,40Bにおいて、厚み寸法のばらつきがあり、例えば放熱面41と温度制御面42とが平行でない場合でも、各固定機構50A,50Bにおける調整ねじ51の位置をそれぞれ調整することで、ペルチェ素子40A,40Bに対して、制御対象や固定部を密着させて固定することができる。よって、ペルチェ素子40A,40Bの破損や、温度制御効率の低下をより抑制できる。
なお、本発明は前述の実施形態に限定されるものではなく、本発明の目的を達成できる範囲での変形、改良等は本発明に含まれるものである。
上記実施形態では、貫通ねじ部113内に、1つの調整ねじ51が螺合される例を示したが、これに限定されない。例えば、2つ以上の調整ねじ51が螺合される構成などとしてもよい。この場合、二重ナット構造と同様、調整ねじ51の緩みを抑制でき、スペーサ52の高さ位置の変動を抑制できる。
また、ワッシャー54を、スプリングワッシャー等により構成したり、ワッシャー54と固定ねじ53のねじ頭部531との間にスプリング等の弾性部材を介在させて、調整ねじ51の緩みを防止してもよい。
さらに、スペーサ52と制御対象(レーザ共振器部30や励起光源20)との間に弾性部材(例えばスプリング)等の他の部材を設けてもよく、スペーサ52と調整ねじ51との間に弾性部材(例えばスプリング)等の他の部材を設けてもよい。
調整ねじ51の第一挿通孔514の孔径を、固定ねじ53の軸径に対して十分大きい寸法とすることで、空気層を断熱層として作用させる例を示したが、これに限定されない。
例えば、第一挿通孔514に他の断熱部材を充填させてもよい。
また、上記のように、固定ねじ53を断熱部材により構成する場合では、固定ねじ53が第一挿通孔514に接触してもよく、第一挿通孔514に固定ねじ53を螺合する雌ねじ山を形成してもよい。
例えば、レーザ共振器部30に収納される、レーザ媒体や非線形光学結晶は、温度の影響によってレーザ光の発振周波数が変化し、エタロンは温度の影響により透過する光の中心波長がシフトする。したがって、これらのレーザ媒体や非線形光学結晶、エタロン等に対しても個別にペルチェ素子等の温度制御素子を配置する場合がある。このような場合、レーザ媒体、非線形光学結晶、エタロンをそれぞれ制御対象とし、共振器筐体を固定部として、上記のような調整ねじ51、スペーサ52、及び固定ねじ53を有する固定機構を用いて、ペルチェ素子を制御対象と固定部とで挟持させる構成としてもよい。
また、レーザ光源装置1に限定されず、例えばパーソナルコンピューターのCPU(Central Processing Unit)、冷蔵庫やエアコン等の冷却装置において用いられるペルチェ素子の固定においても適用することが可能である。
また、本実施形態では、温度制御素子として、制御対象の温度を調整するペルチェ素子を例示したが、その他の素子を用いてもよい。例えば、制御対象の温度を制御する温度制御素子として、制御対象の熱を電圧に変換して温度を計測するゼーベック素子等を用いてもよい。
Claims (5)
- 温度を制御する対象である制御対象と、
前記制御対象の温度を制御する温度制御素子と、
前記制御対象とともに前記温度制御素子を挟持する固定部と、
前記固定部に対して前記制御対象を固定する固定機構と、を備え、
前記固定機構は、
前記固定部に設けられた貫通ねじ部に挿通されて、前記貫通ねじ部の軸方向に対する位置を調整可能な調整ねじと、
前記軸方向に対して交差する第一面及び第二面を有し、前記第一面が前記調整ねじの前記軸方向に交差する一端面に接続され、前記第二面が前記制御対象に接続されるスペーサと、を備える
ことを特徴とする温度制御ユニット。 - 請求項1に記載の温度制御ユニットにおいて、
前記調整ねじは、前記貫通ねじ部と同軸で、前記スペーサ側の面から前記スペーサとは反対側の面に貫通する第一挿通孔を有し、
前記スペーサは、前記貫通ねじ部と同軸で、前記第一面から前記第二面に貫通する第二挿通孔を有し、
前記第一挿通孔及び前記第二挿通孔に挿通され、前記制御対象と、前記調整ねじとの間に前記スペーサを固定する固定ねじを備える
ことを特徴とする温度制御ユニット。 - 請求項2に記載の温度制御ユニットにおいて、
前記調整ねじと前記固定ねじとの間に断熱部材が設けられている
ことを特徴とする温度制御ユニット。 - 請求項1から請求項3のいずれか1項に記載の温度制御ユニットにおいて、
前記固定機構は、前記軸方向から見た際に、前記温度制御素子を囲う位置に、複数設けられている
ことを特徴とする温度制御ユニット。 - 請求項1から請求項4のいずれか1項に記載の温度制御ユニットと、
前記制御対象であり、前記温度制御ユニットによって前記固定部に固定されるレーザ共振器部と、
を備えることを特徴とするレーザ光源装置。
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