JP2018091910A - エレクトロクロミック型調光素子 - Google Patents
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Abstract
【課題】水分の侵入に起因するエレクトロクロミック機能低下を防止したエレクトロクロミック型調光素子を提供する。【解決手段】エレクトロクロミック層12A,12Bおよび電解質層11を含有するエレクトロクロミック型調光素子10にあって、脱水剤が電解質層11中に含有されており、この脱水剤は水分を水以外のものに化学的に変化させた後にイオン成分を発生させない。【選択図】図1
Description
本発明は、エレクトロクロミック型調光素子に関する。
近年、調光フィルムを有する調光素子が、窓または表示装置等に採用されている。このような調光素子は、透明フィルム上に調光層を積層したものであり、通電によって調光層の色が変化する。調光素子は、厚みが薄いため、設置場所を選ばずに使用できるという利点を有する。
調光素子の代表的な調光方式の1つに、エレクトロクロミック方式がある。このエレクトロクロミック方式は、応答速度が比較的速く、印加電圧も低い。さらに、エレクトロクロミック方式の調光素子は、簡単な構造な上、熱の発生等のフィルムへのダメージも小さい。そのため、エレクトロクロミック方式は、主に表示装置に使用されている。エレクトロクロミック方式の調光素子としては、例えば、特許文献1,2がある。
ところで、エレクトロクロミック方式の調光素子は、調光層(エレクトロクロミック層)に対する電子またはイオンの供給層として電解質層を有するが、この電解質層は、バインダーおよび有機溶剤の少なくとも一方と、電解質と含む。そして、一般的に、この電解質は、水分等の侵入を受けると、導電機能または電荷保持機能が低下し、その結果、調光素子のエレクトロミック機能が低下する。
本発明は、上記の問題点を解決するためになされたものである。そして、その目的は、水分の侵入に起因するエレクトロクロミック機能低下を防止したエレクトロクロミック型調光素子を提供することにある。
本発明にかかるエレクトロクロミック型調光素子は、エレクトロクロミック層および電解質層を含む。そして、脱水剤が電解質層中に含有されている。そして、この脱水剤は水分を水以外のものに化学的に変化させた後にイオン成分を発生させない。
なお、脱水剤が、加水分解性のアルコキシ基およびイソシアナート基の少なくとも1種の官能基を有すると好ましい。さらには、脱水剤が、シラン化合物、加水分解性エステル、およびイソシアネート化合物のうちの少なくとも1種であると好ましい。
また、脱水促進剤が電解質層に含まれるのが好ましく、この脱水促進剤は、有機金属系化合物、酸系化合物、および塩基性化合物のうちの少なくとも1種であるのが好ましい。
また、電解質層は、シール材で封止されており、このシール材がポリオレフィン系樹脂およびエポキシ系樹脂のうちの少なくとも1種であると好ましい。
本発明にかかるエレクトロクロミック型調光素子は、水分の侵入に起因するエレクトロクロミック機能低下を起こさないため、信頼性に優れる。
本発明の一実施形態について説明すると以下の通りであるが、本発明はこれに限定されるものではない。
≪≪エレクトロクロミック型調光素子≫≫
エレクトロクロミック型調光素子(EC型調光素子)10は、図3の斜視図およびこの図のA−A’線矢視断面図である図1に示される。これらの図に示すように、EC型調光素子10は、通電により変色するエレクトロクロミック層12(12A・12B)を有した電圧印加を行える調光フィルム18(18A・18B)2枚で、電解質層11を挟み込む。
エレクトロクロミック型調光素子(EC型調光素子)10は、図3の斜視図およびこの図のA−A’線矢視断面図である図1に示される。これらの図に示すように、EC型調光素子10は、通電により変色するエレクトロクロミック層12(12A・12B)を有した電圧印加を行える調光フィルム18(18A・18B)2枚で、電解質層11を挟み込む。
なお、電解質層11の性状に応じて、エレクトロクロミック層(EC層)12A・12Bおよび電解質層11を囲って封止するシール材21と、調光フィルム18A・18B同士の間隔を調整するスペーサー22とが、含まれていると好ましい。そこで、本明細書では、シール材21およびスペーサー22を含むEC型調光素子10を例示するが、本発明は、これに限定されるものではない。
また、EC型調光素子10に対して給電すべく、調光フィルム18A・18Bには、外部電源30から給電を受けるための給電部31(31A・31B)が形成されている。そして、調光フィルム18A・18Bは、電力供給されることで、EC層12A・12Bに対して電圧を印加させる。
調光フィルム18は、基材16(16A・16B)、金属細線層15(15A・15B)、保護層14(14A・14B)、透明導電層13(13A・13B)、および、EC層12(12A・12B)を含む。
ここで、まず、EC型調光素子10において、通電によって変色するEC層12と、このEC層12に対して、電子またはイオンの供給を行うキャリア供給層である電解質層11と、について説明する。
≪調光フィルム≫
<エレクトロクロミック層>
EC層12は、少なくともエレクトロミック化合物を含む層で、通電による酸化還元反応によって、遮光状態と透光状態とに変化することで変色する。なお、必要に応じて、EC層12は、エレクトロクロミック化合物への電荷注入を高めるために、導電性化合物を含んでいてもよい。また、EC層12の耐久性向上のために、バインダー樹脂がEC層12に含まれてもよいし、EC層12上にコートされてもよい。
<エレクトロクロミック層>
EC層12は、少なくともエレクトロミック化合物を含む層で、通電による酸化還元反応によって、遮光状態と透光状態とに変化することで変色する。なお、必要に応じて、EC層12は、エレクトロクロミック化合物への電荷注入を高めるために、導電性化合物を含んでいてもよい。また、EC層12の耐久性向上のために、バインダー樹脂がEC層12に含まれてもよいし、EC層12上にコートされてもよい。
[エレクトロクロミック化合物]
エレクトロミック化合物(EC化合物)は、無機系でも有機系でもよく、特に限定されない。
エレクトロミック化合物(EC化合物)は、無機系でも有機系でもよく、特に限定されない。
無機系のEC化合物としては、例えば、酸化タングステン、水酸化ニッケル、酸化ニッケル、酸化インジウム、酸化ニオブ、酸化モリブデン、酸化イリジウム、酸化チタン、酸化マンガン、酸化コバルト、酸化バナジウム、六酸化バナジウム、酸化レニウム、酸化タンタル、酸化ロジウム、酸化クロム、酸化タンタル、酸化銅、酸化パラセオジウム、ストロンチウムドープチタン酸、タングステンサルファイト、窒化インジウム−窒化錫、グラファイト、塩化窒化β−ジルコニウム、または、プルシアンブルー等が挙げられる。
有機系のEC化合物としては、例えば、ビオロゲン、ポリニリン、テトラチオフルバレン、パソフェナンスロリン錯体等の還元反応により発色する還元型発色化合物、ポリ(3,4−エチレン−ジオキシチオフェン)(略称:PEDOT)、ポリピロール、ポリアセチレン、スチリル類等の酸化反応により発色する酸化型発色化合物、希土類フタロシアニン、または、アントラキノンとピラゾリンとの混合物等の酸化反応および還元反応の両方で発色する酸化還元型発色化合物等が挙げられる。
なお、EC層12は、単独でも発色するが、電解質層11を挟んで、酸化側のEC層12(例えば12A)と還元側のEC層12(例えば12B)を対向させることでより、発色程度をアップさせることができる。そこで、図1に示すEC型調光素子10では、EC層12AとEC層12Bとで異なるEC化合物を使用し、EC層12A・12Bは通電した場合に実質的に同一色に変化する。
例えば、EC層12Aに酸化反応で発色する酸化型発色化合物を用い、EC層12Bに還元反応で発色する還元型発色化合物を用いた場合、EC層12A・12Bは、通電することによって有色に変化して遮光状態となり、通電を止めることによって透明に変化して透明状態となる。
このようなEC層12A/EC層12Bの組み合わせとしては、例えば、酸化タングステン/酸化チタン、酸化タングステン/酸化ジルコニウム、酸化タングステン/酸化ニッケル、酸化タングステン/酸化タンタル、酸化タングステン/プルシアンブルー、PEDOT/プルシアンブルー、酸化タングステン/ポリアニリン、酸化ニオブ/酸化モリブデン、酸化ニオブ/酸化チタン、PEDOT/ポリアニリン、ポリアセチレン/ポリアニリン、または、ポリピロール/ポリアニリン等の組み合わせが挙げられる。
[導電性化合物]
導電性化合物は、電荷注入を促進する化合物で、導電性を有していれば、特に限定されるものではない。導電性化合物としては、導電性ポリマー、カーボンナノチューブ、および金属原子含有顔料からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
導電性化合物は、電荷注入を促進する化合物で、導電性を有していれば、特に限定されるものではない。導電性化合物としては、導電性ポリマー、カーボンナノチューブ、および金属原子含有顔料からなる群より選択される少なくとも1種であることが好ましい。
なお、EC層12中の導電性化合物が含まれる場合、その含有量は30重量%以上であることが好ましい。この範囲であれば、EC層12内での内部抵抗を小さくでき、十分な応答速度を発揮する。
≪電解質層≫
電解質層11は、電解質として機能する層であり、電気を流したり、電気を貯蔵したりする。すなわち、電解質層11は、EC層12への電子またはイオンの供給を行うキャリア供給層である。なお、電解質層11の性状は、特に限定されないが、液体状、ゲル状、固体状、またはフィルム状が挙げられ、EC型調光素子10を薄くできる観点から、液体状またはフィルム状であると好ましい。
電解質層11は、電解質として機能する層であり、電気を流したり、電気を貯蔵したりする。すなわち、電解質層11は、EC層12への電子またはイオンの供給を行うキャリア供給層である。なお、電解質層11の性状は、特に限定されないが、液体状、ゲル状、固体状、またはフィルム状が挙げられ、EC型調光素子10を薄くできる観点から、液体状またはフィルム状であると好ましい。
電解質層11は、電解質、有機溶剤およびバインダーの少なくとも一方、並びに、脱水剤を含む。また、必要に応じて、脱水促進剤が含まれても構わない。
<電解質>
電解質としては、カリウム塩、リチウム塩がある。
電解質としては、カリウム塩、リチウム塩がある。
カリウム塩またはリチウム塩における無機塩としては、例えば、KPF6、KBF4、KAsF6、KSbF6、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6等の無機フッ化物塩、または、KClO4、KBRO4、KIO4、LiClO4、LiBRO4、LiIO4等の過ハロゲン酸塩、または、LiAlCl4等の無機塩化物塩等が挙げられる。
カリウム塩またはリチウム塩における有機塩としては、例えば、KCF3SO3、LiCF3SO3等のパーフルオロアルカンスルホン酸塩、または、KN(CF3SO2)2、KN(CF3CF2SO2)2、KN(FSO2)2、KN(CF3SO2)(C4F9SO2)、LiN(CF3SO2)2、LiN(CF3CF2SO2)2、LiN(FSO2)2、LiN(CF3SO2)(C4F9SO2)等のパーフルオロアルカンスルホニルイミド塩、または、KC(CF3SO2)3、LiC(CF3SO2)3等のパーフルオロアルカンスルホニルメチド塩、または、K[PF5(CF2CF2CF3)]、K[PF4(CF2CF2CF3)2]、K[PF3(CF2CF2CF3)3]、K[PF5(CF2CF2CF2CF3)]、K[PF4(CF2CF2CF2CF3)2]、K[PF3(CF2CF2CF2CF3)3]、Li[PF5(CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF3)3]、Li[PF5(CF2CF2CF2CF3)]、Li[PF4(CF2CF2CF2CF3)2]、Li[PF3(CF2CF2CF2CF3)3]等のフルオロアルキルフッ化リン酸塩等の含フッ素有機塩が挙げられる。
カリウム塩またはリチウム塩におけるオキサラトボレート塩としては、例えば、カリウムビス(オキサラト)ボレート、カリウムジフルオロオキサラトボレート、リチウムビス(オキサラト)ボレート、または、リチウムジフルオロオキサラトボレート等が挙げられる。
これらのなかで、KPF6、KBF4、KAsF6、KSbF6、KClO4、K(Rf1SO3)、KN(Rf1SO2)2、KN(FSO2)2、LiPF6、LiBF4、LiAsF6、LiSbF6、LiClO4、Li(Rf1SO3)、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、および、KN(Rf1SO2)(Rf2SO2)2、KN(Rf1SO2)(Rf2SO2)2、LiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)2LiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)2が好ましく、KPF6、KBF4、KN(Rf1SO2)2、KN(FSO2)2、LiPF6、LiBF4、LiN(Rf1SO2)2、LiN(FSO2)2、およびKN(Rf1SO2)(Rf2SO2)2、LiN(Rf1SO2)(Rf2SO2)2等のイミド塩がさらに好ましい。ここで、Rf1、Rf2はそれぞれパーフルオロアルキル基を示す。
<有機溶剤>
有機溶剤としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、ジメチルスルホキシド、または、ジメチルスルホキシド燐酸等の有機溶媒が挙げられる。これらは、一種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
有機溶剤としては、例えば、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ブチレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、炭酸エチルメチル、炭酸メチルプロピル、γ−ブチロラクトン、γ−バレロラクトン、1,2−ジメトキシエタン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、テトラヒドロピラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、1,3−ジオキサン、1,4−ジオキサン、酢酸メチル、酢酸エチル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、酪酸メチル、イソ酪酸メチル、トリメチル酢酸メチル、トリメチル酢酸エチル、アセトニトリル、グルタロニトリル、アジポニトリル、メトキシアセトニトリル、3−メトキシプロピオニトリル、N,N−ジメチルホルムアミド、N−メチルピロリジノン、N−メチルオキサゾリジノン、N,N’−ジメチルイミダゾリジノン、ニトロメタン、ニトロエタン、スルホラン、燐酸トリメチル、ジメチルスルホキシド、または、ジメチルスルホキシド燐酸等の有機溶媒が挙げられる。これらは、一種単独で用いても2種以上を併用してもよい。
有機溶剤としては、上記した有機溶媒の中でも、炭酸エチレン、炭酸プロピレン、炭酸ジメチル、炭酸ジエチル、および、炭酸エチルメチルからなる群のうちの少なくとも1種が好ましい。
有機溶剤としては、特に、沸点が200℃以上の炭酸エチレン若しくは炭酸プロピレン等の高粘度(高誘電率)溶媒(例えば、比誘電率ε≧30)と、炭酸ジメチル、炭酸エチルメチル若しくは炭酸ジエチル等の低粘度溶媒(例えば、粘度≦1mPa・s)との組み合わせがより好ましい。有機溶剤としてこれらを使用することによって、電解質塩の解離性およびイオンの移動度を向上させられる。
また、有機溶媒は、不飽和結合を有する環状炭酸エステルを含有していてもよい。こうすることによって、電解液の化学的安定性がより向上することができる。
不飽和結合を有する環状炭酸エステルとしては、例えば、炭酸ビニレン系化合物、炭酸ビニルエチレン系化合物、および炭酸メチレンエチレン系化合物からなる群のうちの少なくとも1種などが挙げられる。
炭酸ビニレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニレン(1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸メチルビニレン(4−メチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、炭酸エチルビニレン(4−エチル−1,3−ジオキソール−2−オン)、4,5−ジメチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4,5−ジエチル−1,3−ジオキソール−2−オン、4−フルオロ−1,3−ジオキソール−2−オン、または、4−トリフルオロメチル−1,3−ジオキソール−2−オン等が挙げられる。
炭酸ビニルエチレン系化合物としては、例えば、炭酸ビニルエチレン(4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン)、4−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−エチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4−n−プロピル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、5−メチル−4−ビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン、または、4,5−ジビニル−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
炭酸メチレンエチレン系化合物としては、例えば、4−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、4,4−ジメチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン、または、4,4−ジエチル−5−メチレン−1,3−ジオキソラン−2−オン等が挙げられる。
これらは単独で用いられてもよいし、複数種が混合されて用いられてもよい。中でも、炭酸ビニレンが好ましい。高い効果が得られるからである。
<バインダー>
バインダーとしては、電解質との相溶性の観点から、ポリエーテル骨格またはアクリル骨格をもつ樹脂であることが好ましい。また、このバインダーは、架橋性官能基を有するものが好ましく、硬化速度の観点からUV硬化性樹脂であることがより好ましい。このバインダーは、極性、硬化性、低粘度(ハンドリング性)、耐久性の観点から、アクリル骨格を持つ樹脂であることがさらに好ましい。
バインダーとしては、電解質との相溶性の観点から、ポリエーテル骨格またはアクリル骨格をもつ樹脂であることが好ましい。また、このバインダーは、架橋性官能基を有するものが好ましく、硬化速度の観点からUV硬化性樹脂であることがより好ましい。このバインダーは、極性、硬化性、低粘度(ハンドリング性)、耐久性の観点から、アクリル骨格を持つ樹脂であることがさらに好ましい。
なお、電解質に加えられる化合物としては、有機溶剤およびバインダーの少なくとも一方であるが、電解質層11の液漏れ防止の観点から、電解質に対して、バインダーが加えられる場合が好ましい。もちろん、電解質に有機溶剤が加えられたときにもバインダーが加えられていると液漏れは防止される。
<脱水剤>
脱水剤は、電解質層11に含まれる水と化学的に反応し、その水を水とは異なる化合物へ変化させる物質である。特に、この脱水剤は水分を化学的に水以外の化合物へ変化させた後にイオン成分を発生させない。
脱水剤は、電解質層11に含まれる水と化学的に反応し、その水を水とは異なる化合物へ変化させる物質である。特に、この脱水剤は水分を化学的に水以外の化合物へ変化させた後にイオン成分を発生させない。
すなわち、このような脱水剤は、例えば外部から電解質に侵入した水に反応することで、その水を電解質層11から消失させる。すると、水に起因した電解質層11の劣化が抑制される。その上、脱水剤と水とによる化学反応の後に、イオン成分が発生しないために、電解質のイオンバランスが崩れない。つまり、電解質におけるイオン成分の量かつ陽イオンと陰イオンとの比率が、当初の状態と同じ程度に維持される。その結果、EC層12への電荷注入量の低下が起き難く、EC型調光素子10の応答速度の低下および色の劣化変色が抑制される。
このような脱水剤としては、加水分解性のアルコキシ基およびイソシアナート基の少なくとも1種の官能基を有すると好ましい。例えば、脱水剤としては、シラン化合物、加水分解性エステル、およびイソシアネート化合物のうちの少なくとも1種である化合物が挙げられる。
[シラン化合物]
シラン化合物としては、特に制限はないが、安定性、取り扱い易さの点で液状もの、加水分解性のエステル官能基を有する構造のものが好ましい。シラン化合物は、シラン単量とその部分加水分解縮合物(ポリシランとも言う)脱水効果および電解質層に添加して際の透明性の点で単量体である必要がある。
シラン化合物としては、特に制限はないが、安定性、取り扱い易さの点で液状もの、加水分解性のエステル官能基を有する構造のものが好ましい。シラン化合物は、シラン単量とその部分加水分解縮合物(ポリシランとも言う)脱水効果および電解質層に添加して際の透明性の点で単量体である必要がある。
シラン化合物としては、例えば、メチルトリメトキシシラン、メチルトリエトキシシラン、エチルトリメトキシシラン、エチルトリエトキシシラン、ヘキシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリメトキシシラン、オクタデシルトリエトキシシラン、フェニルトリメトキシシラン、フェニルトリエトキシシラン、ジフェニルジメトキシシラン、ジフェニルジエトキシシラン、1−ナフチルトリメトキシシラン、2−ナフチルトリメトキシシラン、1−ナフチルトリエトキシシラン、2−ナフチルトリエトキシシラン、3−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルトリメトキシシラン、3−クロロプロピルトリメトキシシラン、3−(N,N−ジグリシジル)アミノプロピルトリメトキシシラン、3−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、γ−アミノプロピルトリエトキシシラン、N−β−(アミノエチル)−γ−アミノプロピルトリメトキシシラン、β−シアノエチルトリエトキシシラン、グリシドキシメチルトリメトキシシラン、グリシドキシメチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシエチルトリエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルトリエトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、α−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、β−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、γ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリメトキシシラン、δ−グリシドキシブチルトリエトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリメトキシシラン、(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリプロポキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリブトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリメトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリエトキシシラン、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルトリフェノキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリメトキシシラン、3−(3,4−エポキシシクロヘキシル)プロピルトリエトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリメトキシシラン、4−(3,4−エポキシシクロヘキシル)ブチルトリエトキシシラン、ジメチルジメトキシシラン、ジメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アミノプロピルメチルジエトキシシラン、N−(2−アミノエチル)−3−アミノプロピルメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルジメトキシシラン、グリシドキシメチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシエチルメチルジエトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、α−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、β−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルメチルジエトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジメトキシシラン、γ−グリシドキシプロピルエチルジエトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジメトキシシラン、3−クロロプロピルメチルジエトキシシラン、シクロヘキシルメチルジメトキシシラン、オクタデシルメチルジメトキシシラン、テトラメトキシシラン、テトラエトキシシラン、トリフルオロメチルトリメトキシシラン、トリフルオロメチルトリエトキシシラン、トリフルオロプロピルトリメトキシシラン、トリフルオロプロピルトリエトキシシラン、3−イソシアネートプロピルトリメトキシシラン、または、3−イソシアネートプロピルトリエトキシシラン等のシランカップリング剤が挙げられる。
さらに、シランカップリング剤は、例えば、3−トリメトキシシリルプロピオン酸、3−トリエトキシシリルプロピオン酸、3−ジメチルメトキシシリルプロピオン酸、3−ジメチルエトキシシリルプロピオン酸、4−トリメトキシシリル酪酸、4−トリエトキシシリル酪酸、4−ジメチルメトキシシリル酪酸、4−ジメチルエトキシシリル酪酸、5−トリメトキシシリル吉草酸、5−トリエトキシシリル吉草酸、5−ジメチルメトキシシリル吉草酸、5−ジメチルエトキシシリル吉草酸、3−トリメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリエトキシシシリルプロピルコハク酸無水物、3−ジメチルメトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−ジメチルエトキシシリルプロピルコハク酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3−ジメチルメトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3−ジメチルエトキシシリルプロピルシクロヘキシルジカルボン酸無水物、3−トリメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3−トリエトキシシリルプロピルフタル酸無水物、3−ジメチルメトキシシリルプロピルフタル酸無水物、または、3−ジメチルエトキシシリルプロピルフタル酸無水物等を用いることにより、カルボキシル基を含有し、脱水能力に吸湿能力を加えた化合物が挙げられる。
さらに、シランカップリング剤は、例えば、ビニルトリメトキシシラン、ビニルトリエトキシシラン、ビニメチルジメトキシシラン、ビニルメチルジエトキシシラン、アリルトリメトキシシラン、アリルトリエトキシシラン、アリルメチルジメトキシシラン、アリルメチルジエトキシシラン、スチリルトリメトキシシラン、スチリルトリエトキシシラン、スチリルメチルジメトキシシラン、スチリルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリメトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルトリエトキシシラン、γ−メタクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン、γ−アクリロイルプロピルメチルジメトキシシラン、または、γ−アクリロイルプロピルメチルジエトキシシラン等の脱水能力以外の他の反応性が緩やかな化合物が挙げられる。
なお、以上のシラン化合物の中では、脱水効果、電解質層との相溶性、低揮発性の点で、アミノシラン、エポキシシラン、酸系シラン、アクリロイルシラン、ビニルシランが好ましく、アクリロイルシランまたは(メタ)アクリロイルシランが特に好ましい。
[加水分解エステル]
加水分解性エステルとしては、例えば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトイソプロピオン酸トリメチル、オルトイソプロピオン酸トリエチル、オルト酪酸トリメチル、オルト酪酸トリエチル、オルトイソ酪酸トリメチル、または、オルトイソ酪酸トリエチル等の加水分解性エステル化合物が挙げられる。
加水分解性エステルとしては、例えば、オルトギ酸メチル、オルトギ酸エチル、オルト酢酸メチル、オルト酢酸エチル、オルトプロピオン酸トリメチル、オルトプロピオン酸トリエチル、オルトイソプロピオン酸トリメチル、オルトイソプロピオン酸トリエチル、オルト酪酸トリメチル、オルト酪酸トリエチル、オルトイソ酪酸トリメチル、または、オルトイソ酪酸トリエチル等の加水分解性エステル化合物が挙げられる。
また、ジメトキシメタン、1,1−ジメトキシエタン、または、1,1−ジメトキシプロパン、1,1−ジメトキシブタン等が、加水分解性エステルとして挙げられる。
また、エチルシリケ−ト(テトラメトキシシラン)、メチルシリケ−ト(テトラメトキシシラン)、または、メチルトリメトキシシラン等が、加水分解性エステルとして挙げられる。
なお、以上の加水分解性エステル中では、脱水効果の点から、オルト酢酸メチルが好ましい。これらは単独で用いてもよく、2種以上併用してもよい。
[イソシアネート化合物]
イソシアネート化合物には、単官能イソシアネート化合物とウレタン架橋に使用する多官能性イソシアネート化合物とがあり、水との反応(脱水)、脱炭酸、アミン生成他のイソシアネート分子との反応を経てウレアを生成する。
イソシアネート化合物には、単官能イソシアネート化合物とウレタン架橋に使用する多官能性イソシアネート化合物とがあり、水との反応(脱水)、脱炭酸、アミン生成他のイソシアネート分子との反応を経てウレアを生成する。
例えば、ヘキサメチレンジイソシアナート、ジシクロヘキシルメタン4,4‘−イソシアナート、2,2,4−トリメチル−1,6−ジイソシアナート、または、イソフォロンジイソシアナートがあり、構造としては、単量体、ビュレット型、ウレジオ型、または、イソシナヌレ−ト型がある。
単官能イソシアート化合物成分としては、例えば、イソシアン酸、メチルイソシアナート、エチルイソシアナート、イソプロピルイソシアナート、ヘキシルイソシアナート、ビニルイソシアナート、イソプロペニルイソシアナート、フェニルイソシアナート、トリルイソシアナート、ニトロフェニルイソシアナート、ナフチルイソシアナート、または、トシルイソシアナート等が挙げられる。
なお、脱水能力化合物自体の安定性、脱水後反応で高分子量化(電解質層との相溶性低下)しない点から、ヘキシルイソシアナート、トリルイソシアナート、または、トシルイソシアナートが好ましい。中でも脱水効果の持続性の点からトシルイソシアナートが特に好ましい。これらは、単独または2種類以上併用することができる。それによって、硬化剤が脱水され、ポリイソシアナート、有機金属化合物、または、単官能イソシアナート化合物を混合した場合の貯蔵安定性が飛躍的に向上する。
脱水剤としては、互いに反応しない限りにおいては、複数の化合物を組み合わせて使用することが可能である。
<脱水促進剤>
電解質層は、脱水促進剤が含まれているのが好ましい。脱水促進剤としては、有機金属系化合物、酸系化合物、および塩基性化合物があり、これらの中の少なくとも1種であればよい。脱水促進剤の対象物質としては、特に制限はないが、有機金属系化合物は、シラン化合物、イソシアナート化合物、酸系化合物は加水分解性エステル、塩基性化合物はイソシアネートの脱水促進剤として有効である。
電解質層は、脱水促進剤が含まれているのが好ましい。脱水促進剤としては、有機金属系化合物、酸系化合物、および塩基性化合物があり、これらの中の少なくとも1種であればよい。脱水促進剤の対象物質としては、特に制限はないが、有機金属系化合物は、シラン化合物、イソシアナート化合物、酸系化合物は加水分解性エステル、塩基性化合物はイソシアネートの脱水促進剤として有効である。
なお、脱水促進剤の添加量としては、脱水剤100重量部に対して0.01重量部以上50重量部以下であり、0.1重量部以上20重量部以下が好ましく、0.5重量部以上10重量部以下が好ましい。
[有機金属系化合物]
有機金属系化合物としては、特に限定はないが、有機錫化合物、またはアルミキレート化合物が挙げられる。
有機金属系化合物としては、特に限定はないが、有機錫化合物、またはアルミキレート化合物が挙げられる。
有機錫化合物としては、例えば、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレート)、ジオクチル錫オキサイド若しくはジブチル錫オキサイドとシリケートとの縮合物、ジブチル錫ジオクトエート、ジブチル錫ジラウレート、ジブチル錫ジステアレート、ジブチル錫ジアセチルアセトナート、ジブチル錫ビス(エチルマレート)、ジブチル錫ビス(ブチルマレート)、ジブチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレート)、ジブチル錫ビス(オレイルマレート)、スタナスオクトエート、ステアリン酸錫、または、ジ−n−ブチル錫ラルレートオキサイドが挙げられる。
また、分子内にS原子を有する錫化合物としては、例えば、ジブチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、ジオクチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、オクチルブチル錫ビスイソノニル−3−メルカプトプロピオネート、ジブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレート、ジオクチル錫ビスイソオクチルチオグルコレート、または、オクチルブチル錫ビスイソオクチルチオグルコレート等が挙げられる。
なお、ジオクチル錫ビス(2−エチルヘキシルマレ−ト)、または、ジオクチル錫オキサイド若しくはジブチル錫オキサイドとシリケ−トとの縮合物が、脱水促進効果または電解質層への相溶性の点で好ましい。
また、前記アルミキレ−ト化合物も好ましく、例えば、エチルアセトアセートアルミニウムジイソプロピレート、アルミトリス(アセチルアセトナート)、アルミニウムモノアセチルアセトネートビス(エチルアセトナート)、または、アルキルアセチルアセテートアルミニウムジイソプロピレート等が挙げられる。
前記アルミキレート化合物としては、アルミニウムトリス(エチルアセトアセテート)とアルミニウムトリス(アセチルアセトナート)がイソシアナート脱水促進または電解質層との相溶性の点で好ましい。
[酸系化合物]
酸系化合物としては、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、若しくは亜硫酸等の無機酸、または、モノメチルホスフエート、モノエチルホスフエート、モノブチルホスフエート、モノオクチルホスフエート、ジオクチルホスフエート、若しくはジデシルホスフエート等のリン酸エステル、または、ぎ酸、酢酸、マレイン酸、アジピン酸、しゅう酸、若しくはコハク酸等のカルボン酸化合物、または、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、若しくは2−ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸化合物が挙げられる。
酸系化合物としては、例えば、塩酸、硝酸、リン酸、硫酸、若しくは亜硫酸等の無機酸、または、モノメチルホスフエート、モノエチルホスフエート、モノブチルホスフエート、モノオクチルホスフエート、ジオクチルホスフエート、若しくはジデシルホスフエート等のリン酸エステル、または、ぎ酸、酢酸、マレイン酸、アジピン酸、しゅう酸、若しくはコハク酸等のカルボン酸化合物、または、ドデシルベンゼンスルホン酸、パラトルエンスルホン酸、1−ナフタレンスルホン酸、若しくは2−ナフタレンスルホン酸等のスルホン酸化合物が挙げられる。
これらの中では、脱水促進効果、電解質層に対する相溶性の点で塩酸、硝酸、または、亜硫酸のような無機酸が好ましい。
[塩基性化合物]
塩基性化合物は、特に限定はないが、例えば、3級アミンまたは4級アンモニウム塩等のアミン系硬化促進剤が挙げられる。
塩基性化合物は、特に限定はないが、例えば、3級アミンまたは4級アンモニウム塩等のアミン系硬化促進剤が挙げられる。
また、ジアザビシクロウンデセン系硬化促進剤としては、例えば、1,8−ジアザビシクロ[5.4.0]ウンデセン−7(DBU)およびその塩(オクチル酸塩、スルホン酸塩、オルソフタル酸塩、石炭酸塩等の有機酸塩)等が挙げられる。
上記の他の硬化促進剤としては、例えば、ベンジルジメチルアミン、2,4,6−トリス(ジメチルアミノメチル)フェノール、トリエチルアミン、または、トリエチレンジアミン等の3級アミンが挙げられる。
また、2−エチル−4−メチルイミダゾール若しくは1−シアノエチル−2−エチル−4−メチルイミダゾール等のイミダゾール類、または、テトラ−n−ブチルホスホニウム−O,O−ジエチルホスホロジチオエート等の芳香族を含まないリン化合物(ホスホニウム塩等)、または、3級アミン塩、4級アンモニウム塩等が挙げられる。
なお、上記のDBUおよびその塩は、イソシアネート系脱水剤に対して、安定性、脱水促進性を高めるだけでなく、電解質への相溶性も高いことから、好ましい。
≪調光フィルム≫
続いて、調光フィルム18における基材16(16A・16B)、金属細線層15(15A・15B)、保護層14(14A・14B)、透明導電層13(13A・13B)について説明する。なお、EC層12を除いた調光フィルム18(18A・18B)を電極フィルム17(17A・17B)と称すこともある。
続いて、調光フィルム18における基材16(16A・16B)、金属細線層15(15A・15B)、保護層14(14A・14B)、透明導電層13(13A・13B)について説明する。なお、EC層12を除いた調光フィルム18(18A・18B)を電極フィルム17(17A・17B)と称すこともある。
<基材>
基材16は、少なくとも可視光領域で無色透明の透明フィルムであって、電気絶縁性を有した絶縁フィルムである。なお、基材16は、可撓性を有していてもよい。また、基材16は、面上に、金属細線層15および透明導電層13を積層させることから、金属細線層15および透明導電層13の形成温度における耐熱性を有していれば、その材料は特に限定されない。
基材16は、少なくとも可視光領域で無色透明の透明フィルムであって、電気絶縁性を有した絶縁フィルムである。なお、基材16は、可撓性を有していてもよい。また、基材16は、面上に、金属細線層15および透明導電層13を積層させることから、金属細線層15および透明導電層13の形成温度における耐熱性を有していれば、その材料は特に限定されない。
基材16の材料としては、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、若しくはポリエチレンナフタレート(PEN)等のポリエステル系樹脂、シクロオレフィン系樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリイミド樹脂、またはセルロース系樹脂などが挙げられる。これらの中でも、ポリエステル系樹脂が好ましく、ポリエチレンテレフタレートが特に好ましい。
なお、基材16は、片面または両面にハードコート層または湿分バリア層等の機能性層、または、光学特性を向上させる観点から、基材16上に光学調整層等が形成されてもよい。また、基材16は、無延伸フィルムでも延伸フィルムでもよい。
基材16の厚みは、特に限定されるものではないが、10μm以上400μm以下であることが好ましく、20μm以上200μm以下であることがより好ましい。この範囲であれば、十分な耐久性と適度な柔軟性を確保できるので、ロールトゥロール方式を採用できる。
<金属細線層>
金属細線層15は、基材16の面上に積層され、透明導電層13よりも高い導電率を有し、電極としての導電性を担う。なお、金属細線Mの材料としては、例えば、銅が挙げられる。
金属細線層15は、基材16の面上に積層され、透明導電層13よりも高い導電率を有し、電極としての導電性を担う。なお、金属細線Mの材料としては、例えば、銅が挙げられる。
金属細線層15を形成する金属細線Mの配置パターンは、図2では、所定の間隔を空けたストライプパターンであるが、視認性を確保できれば、特に限定されることはない。例えば、正方形格子、菱型格子、若しくはハニカム状等のメッシュパターンであってもよいし、不規則に形成されたランダムメッシュパターンであってもよい。
なお、金属細線Mの厚み、金属細線M同士の間隔、または、金属細線M長手に対する直交断面形状は、特に限定されない。これらは、外部からの視認性および金属細線層15としての他層との密着性を確保しつつ、調光フィルム18における表面抵抗を低くするように、適宜設計されればよい。
<保護層>
保護層14は、基材16上の金属細線層15を被覆することで、金属細線Mの腐食を防止する。なお、保護層は、必須ではなく、必要に応じて、金属細線層15に積層させればよい。
保護層14は、基材16上の金属細線層15を被覆することで、金属細線Mの腐食を防止する。なお、保護層は、必須ではなく、必要に応じて、金属細線層15に積層させればよい。
保護層14としては、金属を使用する場合、銀、白金、金、クロム、モリブデン、バナジウム、ニッケル、または、チタン等の金属が好ましい。この中でも、銀、白金、または、金等の貴金属がより好ましい。
また、金属酸化物を使用する場合、酸化クロム、酸化モリブデン、酸化バナジウム、酸化ニッケル、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化錫、酸化コバルト、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、または、酸化チタンの金属酸化物が、保護層14として好ましい。この中でも、酸化インジウム、酸化ビスマス、酸化亜鉛、酸化タングステン、酸化錫、酸化コバルト、酸化ゲルマニウム、酸化アルミニウム、または、酸化チタンの金属酸化物がより好ましい。
以上の材料の中でも、防食性能と透明性とのバランスの観点から、酸化亜鉛、酸化錫、または、酸化チタンが好ましく、酸化亜鉛または酸化チタンがより好ましい。
なお、保護層14の厚みは、金属細線の防食効果を得つつ透明性を確保する観点から、0.5μm以下であることが好ましく、1nm以上50nm以下であることがより好ましく、3nm以上30nm以下であることがさらに好ましく、5nm以上20nm以下であることが特に好ましい。
また、保護層14の製膜方法としては、特に限定されず、スパッタリング法、物理的蒸着(PVD法)、若しくは化学的蒸着(CVD法)等の蒸着法、または、めっき法等による方法が挙げられる。なお、保護層14が貴金属で形成される場合には、めっき法、スパッタリング法、蒸着法のいずれかで製膜されることが好ましい。保護層が金属酸化物で形成される場合には、スパッタリング法または蒸着法で製膜されることが好ましい。これらの方法であれば、ロールトゥロール方式により容易に製膜を行うことができる。
<透明導電層>
透明導電層13は、金属細線層15同様に、電極としての導電性を担う。
透明導電層13は、金属細線層15同様に、電極としての導電性を担う。
透明導電層13は、導電性酸化物を主成分(50重量%超過)とすることが好ましく、70重量%以上であることが好ましく、85重量%以上であることがより好ましい。
導電性酸化物としては、例えば、酸化亜鉛、酸化インジウム、若しくは酸化錫等の透明導電性酸化物が挙げられる、なお、このような透明導電性酸化物は、単独または複合酸化物として用いてもよい。
以上のような導電性酸化物の中でも、導電性、光学特性、または長期信頼性の観点から、インジウム系酸化物を主成分とするものが好ましい。この場合、透明導電層13中の酸化インジウムの含有量は、87.5重量%以上99.0重量%以下であることが好ましく、90重量%以上95重量%以下であることがより好ましい。
また、透明導電層13は、ドープ不純物を含有してもよい。ドープ不純物としては、酸化錫、酸化亜鉛、酸化チタン、酸化タングステン、または酸化セリウム等が挙げられる。これらの中では、酸化錫が好ましい。すなわち、透明導電層13は、酸化インジウム錫(ITO)を主成分とすることがより好ましい。なお、透明導電層13中のドープ不純物の含有量は、1.0重量%以上12.5重量%以下であることが好ましく、5.0重量%以上10.0重量%以下であることがより好ましい。
透明導電層13の平均膜厚は、10nm以上300nm以下が好ましく、20nm以上200nm以下がより好ましく、30nm以上150nm以下がさらに好ましい。
透明導電層13の形成方法は、生産性の観点から、スパッタリング法が好ましい。スパッタリング法では、マグネトロンスパッタリング法が特に好ましい。なお、スパッタリング法に用いる電源は特に限定されず、ターゲットの材料に合わせて直流電源、交流電源等を適宜選択できる。
≪シール部材≫
シール部材は、電解質層11を封止するもので、電解質層11を囲みつつ、2枚の調光フィルム18A・18Bに挟まれる。
シール部材は、電解質層11を封止するもので、電解質層11を囲みつつ、2枚の調光フィルム18A・18Bに挟まれる。
シール部材21の主成分としては、ポリオレフィン系樹脂およびエポキシ系樹脂のうちの少なくとも1種が挙げられる。これら樹脂成分は架橋性であるか否かは特に限定されないが、シール部材を電解質層11の周囲に形成させた直後に湿分バリア性能を発現させる点から、架橋性能を有すると好ましい。架橋性官能基としては加水分解シリル基、(メタ)アクリロイル基、アルケニル基、またはエポキシ基等が挙げられる。なお、架橋性官能基の導入位置は、特に限定はないが、柔軟性と強度とのバランスから分子末端に導入されていると好ましい。
また、上記の樹脂の配合量は、シール部材100質量部中に50質量部以上95質量部以内の範囲であれば、高い弾性率または耐熱性を有する硬化物となったシール部材になるため好ましい。なお、より好ましくは、樹脂の配合量は、60質量部以上90質量部以下の範囲であり、さらに好ましくは70質量部以上90質量部以下である。
また、副成分としては、ポリオレフィン系樹脂およびエポキシ系樹脂のうちの少なくとも1種からなるバインダーを硬化させるための重合開始剤が含まれる。また、シール材21の接着性を向上させるために、接着性付与剤が添加されていてもよいし、シール材21の強度、チクソ性を付与するために、充填剤が添加されていてもよい。
なお、シール部材21を有するEC型調光素子10は、電解質層11への湿分の侵入を防止する上、電解質層11に脱水剤を含むことから、より一層、高い耐久性を有する。
≪≪エレクトロクロミック型調光素子の製造方法≫≫
ここで、EC型調光素子10の製造方法の一例について説明する。
ここで、EC型調光素子10の製造方法の一例について説明する。
まず、スパッタ装置または真空蒸着装置等の製膜装置によって、基材16上に金属薄膜層が製膜される[金属薄膜形成工程]。その後、金属薄膜上にレジストパターンが形成される[パターンニング工程]。そして、レジストパターンの形成されていない金属薄膜の領域がエッチング除去されることで、金属細線Mが形成される[金属細線層形成工程]。なお、金属細線層15は、エッチングファクタを調整して、金属細線Mの側面に傾斜面とされている。
続いて、スパッタ装置または真空蒸着装置等の製膜装置によって、金属細線層15上に保護層14が製膜される[保護層形成工程]。保護層14は、基材16と金属細線層15に跨って製膜される。
さらに、スパッタ装置またはCVD装置によって、保護層14の形成された基材16上に透明導電層13が製膜され[透明導電層形成工程]、この透明導電層13の面上に、バーコーター等の塗布装置によってエレクトロクロミック化合物を含んだエレクトロクロミック溶液を塗布し、EC層12を形成する[エレクトロクロミック層形成工程]。なお、エレクトロクロミック溶液の粘度またはレオロジーを調整するために、溶剤または塗料配合剤を添加してもよい。
続いて、一方の調光フィルム18のEC層12上に、電解質、高沸点溶剤およびバインダーを混合した電解質混合物を塗工し、他方の調光フィルム18をEC層12A・12B同士が対向するように貼り合わせる。なお、必要に応じて、調光フィルム18A・16Bの間にスペーサー22を介在させ、シール材21によって、電解質層を封止する。
そして、貼り合わせた調光フィルム18A・18Bに対して、熱または活性エネルギー線を照射して硬化させて一体化させる[一体化工程]。なお、一体化工程では、活性エネルギー線の一つであるUV線を照射して硬化させて一体化させている。その後、必要に応じて給電部31に給電線等を接続して、EC型調光素子10が完成する。
なお、以上の製法では、いわゆるサブトラクティブ法と略同一の工程により、金属細線層15を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、セミアディティブ法と略同一の工程により、金属細線層15は形成されてもよい。
また、以上の製法では、フォトリソグラフィ法により金属薄膜をパターニングすることにより、金細細線層15を形成したが、これに限定されるものではなく、例えば、レーザースクライブ法により金属薄膜をパターニングしてもよいし、インクジェットプリント法若しくはマイクロコンタクトプリント法等のプリント法によって、直接、金属細線M、ひいては金属細線層15が形成されてもよい。
≪≪その他≫≫
以上のようなEC型調光素子10において、透明導電層13が、低抵抗性を十分に担保しているのであれば、図2に示すように、金属細線層15および保護層14を省略しても構わない。
以上のようなEC型調光素子10において、透明導電層13が、低抵抗性を十分に担保しているのであれば、図2に示すように、金属細線層15および保護層14を省略しても構わない。
また、以上のようなEC型調光素子10は、EC層12を2枚有しているが、これに限定されず、1枚のEC層12のみを有していてもよい。すなわち、2枚の一方の調光フィルム18がEC層12を有していれば、他方の調光フィルム18にはEC層12を設けなくてもよい。
また、以上のようなEC型調光素子10は、基材16の片面のみに、電極となる金属細線層15・透明導電層13を形成しているが、これに限定されることはなく、基材16の両面に電極が形成されてもよい。
以下、本発明を実施例により具体的に説明するが、本発明はこれらの実施例により限定されるものではない。なお、各実施例および比較例における金属細線層および透明導電層の膜厚は、透過型電子顕微鏡(TEM)を用いた断面観察により求めた。
まず、実施例1〜4および比較例1,2のEC型調光素子を製造する場合に使用した電極フィルム1,2、および、電解質1〜3について説明する。なお、電極フィルムの製造には、ロールロールトゥロール方式が採用され、各製造工程の前後には、純水による洗浄・リンスと乾燥とを実施した。
また、下記電極フィルム1、2の電極形成部分の全光線透過率は、全光線透過率測定装置(商品名:NDH7000、日本電色工業株式会社製)を用いて測定したところ、いずれも40%以上であった。
<電極フィルム1>
電極フィルム1は、平均厚み125μmのハードコート付きPETフィルム(商品名:KBフィルム125MABG、株式会社きもと社製)を基材とする。そして、このPETフィルムの一方の主面には、膜厚2nmの酸化インジウム錫層(以下、第1のITO層ともいう)が形成される。
電極フィルム1は、平均厚み125μmのハードコート付きPETフィルム(商品名:KBフィルム125MABG、株式会社きもと社製)を基材とする。そして、このPETフィルムの一方の主面には、膜厚2nmの酸化インジウム錫層(以下、第1のITO層ともいう)が形成される。
この第1のITO層の製膜は、酸化インジウム錫(酸化錫含有量:10重量%)をターゲットとして、酸素とアルゴンとの混合ガスを装置内に導入しながら、酸素分圧2×10−4Pa、製膜室内圧力0.2Pa、基板温度0℃、パワー密度4kWの条件にて、スパッタリングで製膜された。
次に、第1のITO層上に、第2のITO層が形成される。すなわち、PETフィルムの主面上には、2層のITO層が形成され、その両層を合わせた膜厚は、PETフィルム上にて、100nmとされた。
この第2のITO層の製膜は、酸化インジウム錫(酸化錫含有量7重量%)をターゲットとして、酸素とアルゴンとの混合ガスを装置内に導入しながら、酸素分圧2×10−3Pa、製膜室内圧力0.2Pa、基板温度0℃、パワー密度12kWの条件にて、スパッタリングで製膜された。
次に、PETフィルムのもう一方の主面、すなわちITO層の積層面に対する逆の主面に、湿分バリア層が形成される。
この湿分バリア層は、グラフト層を有するポリイソブチレン(商品名:SIBSTAR103T−UL、株式会社カネカ製)10重量部、紫外線吸収剤0.5重量部(商品名:TINUVIN326、BASFジャパン株式会社製)、光安定剤0.5重量部(商品名LA―52、ADEKA株式会社製)を、トルエン89重量部に溶解させたものを塗工したものであり、乾燥後の膜厚は1μmである。
<電極フィルム2>
電極フィルム2は、易接着層付PETフィルム(100μm厚)の一方の主面に、2μm厚の純Cu層とその表面に黒化層(40〜50nm厚の酸化層)とを製膜されたCu層付フィルム(商品名:100−20A0、東レKPフィルム株式会社製)を基材とする。
電極フィルム2は、易接着層付PETフィルム(100μm厚)の一方の主面に、2μm厚の純Cu層とその表面に黒化層(40〜50nm厚の酸化層)とを製膜されたCu層付フィルム(商品名:100−20A0、東レKPフィルム株式会社製)を基材とする。
そして、このCu層付フィルムの金属薄膜(銅層)上には、ポジ型レジスト(商品名:AZ−6112、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)が、乾燥膜厚1μmになるように塗布・乾燥された。
次に、このレジスト膜は、フォトマスクを用いて、積算光量50mJ/cm2で露光された後に、現像液(商品名:AZ400Kの25%希釈液、AZエレクトロニックマテリアルズ株式会社製)に浸漬することで現像され、さらに、純水でリンスされることで、レジストパターンとなった。
そして、このレジストパターンを載せた金属薄膜は、酸化第二鉄水溶液を用いてエッチングされた後、純水でリンスされる。次に、レジストパターンは、剥離液(商品名:AZ400K、メルク株式会社製)で剥離された後、エッチングされた金属薄膜は、純粋でリンスされ、さらに乾燥された。
以上のパターニング処理により、銅製の金属細線(幅:150μm、厚み:2μm、間隔:480μm)で形成された金属細線層が完成した。
また、この金属細線層上には、電極フィルム1と同様の条件で透明導電層が製膜され、さらに、金属細線層の積層面に対する逆の主面に、湿分バリア層が形成される。
<電解液1>
電解液は、炭酸プロピレンを64重量部、リチウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:エフトップEF−N115、三菱マテリアル電子化成株式会社製)を2.9重量部、バインダー成分としてテレケリックポリアクリレート(商品名;RC210C(株)カネカ製)を30重量部、脱水剤としてオルト酢酸メチル3g、光ラジカル開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名:DAROCUR1173、BASFジャパン株式会社製)を0.67重量部、ビスアシルホスフィンオキサイド(商品名:IRGACURE819、BASFジャパン株式会社製)を0.33重量部添加して良く混合して得た。
電解液は、炭酸プロピレンを64重量部、リチウム=ビス(トリフルオロメタンスルホニル)イミド(商品名:エフトップEF−N115、三菱マテリアル電子化成株式会社製)を2.9重量部、バインダー成分としてテレケリックポリアクリレート(商品名;RC210C(株)カネカ製)を30重量部、脱水剤としてオルト酢酸メチル3g、光ラジカル開始剤として2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニル−プロパン−1−オン(商品名:DAROCUR1173、BASFジャパン株式会社製)を0.67重量部、ビスアシルホスフィンオキサイド(商品名:IRGACURE819、BASFジャパン株式会社製)を0.33重量部添加して良く混合して得た。
<電解液2>
電解液1のオルト酢酸メチルの代わりに、ビニルメトキシシラン0.5重量部と
ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルの反応物0.1重量部とを加え、炭酸プロピレン66.4重量部とした以外は、電解液1と同様の配合組成および方法で電解液を製造した。
電解液1のオルト酢酸メチルの代わりに、ビニルメトキシシラン0.5重量部と
ジブチル錫オキサイドとフタル酸エステルの反応物0.1重量部とを加え、炭酸プロピレン66.4重量部とした以外は、電解液1と同様の配合組成および方法で電解液を製造した。
<電解液3>
電解液1のオルト酢酸メチルの代わりに、トシルイソシアネート1.5部を添加、炭酸プロピレンを65.5部とした以外は、電解液1と同様の配合組成および方法で電解液を製造した。
電解液1のオルト酢酸メチルの代わりに、トシルイソシアネート1.5部を添加、炭酸プロピレンを65.5部とした以外は、電解液1と同様の配合組成および方法で電解液を製造した。
<電解液0(比較用)>
電解液1に脱水剤を添加せず、その分炭酸プロピレンを増量した以外は、電解液1と同様の方法で電解液を製造した。
電解液1に脱水剤を添加せず、その分炭酸プロピレンを増量した以外は、電解液1と同様の方法で電解液を製造した。
≪実施例1≫
実施例1のEC型調光素子は、2枚の調光フィルムともに電極フィルム1を用いた。
実施例1のEC型調光素子は、2枚の調光フィルムともに電極フィルム1を用いた。
一方の調光フィルムは、電極フィルム1上に、エレクトロクロミック剤としてプルシアンブルー(商品名 wFeHCF分散液、関東化学株式会社製)を乾燥膜厚0.5μmにしたEC層を含む。なお、このプルシアンブルーはバーコーターで塗工され、100℃で5分間乾燥した。
他方の調光フィルムは、電極フィルム1の上に、エレクトロクロミック剤である導電性ポリマーPEDOT(商品名 MC−200、化研産業株式会社製)を乾燥膜厚1μmにしたEC層を含む。なお、このPEDOTも、バーコーターで塗工され、100℃で5分間乾燥されている。
また、このPEDOTで形成されたEC層を含む調光フィルムには、EC層の面にオレフィン系シール材(商品名:No.XVL−90T2、協立化学産業株式社製)が、1mm幅、100μm厚で配置した。そして、このシール剤の枠内に、電解質1が、100μmの厚みになるまで充填した。
そして、プルシアンブルーで形成されたEC層を含む調光フィルムが、EC層の面を、電解質1およびシール部材に向けて、PEDOTで形成されたEC層を含む調光フィルムに貼り合わせた。この後、両調光フィルムに対して、積算光量2000mJ/cm2のUV光が照射されることにより、シール材が硬化する。そして、最後に、この一体化した両調光フィルムの端部が、アルミテープでシールされることで、実施例1のEC型調光素子を得た。
≪実施例2≫
実施例2のEC型調光素子は、電極フィルム1を電極フィルム2に変更し、電解液を電解液2にした以外は実施例1と同様に製造した。
実施例2のEC型調光素子は、電極フィルム1を電極フィルム2に変更し、電解液を電解液2にした以外は実施例1と同様に製造した。
≪実施例3≫
実施例3のEC型調光素子は、実施例1の電解液を電解液3に変更、シール材を使用しなかったこと以外は実施例1と同様に製造した。
実施例3のEC型調光素子は、実施例1の電解液を電解液3に変更、シール材を使用しなかったこと以外は実施例1と同様に製造した。
≪実施例4≫
実施例4のEC型調光素子は、実施例1のEC型調光素子の両調光フィルムのバリア層側に1.1mm厚のガラス基板をアクリル系粘着剤(1mm厚)で貼り合わせて製造された。
実施例4のEC型調光素子は、実施例1のEC型調光素子の両調光フィルムのバリア層側に1.1mm厚のガラス基板をアクリル系粘着剤(1mm厚)で貼り合わせて製造された。
≪比較例1≫
比較例1のEC型調光素子は、電解液0を用いた以外は実施例1と同様にして製造した。
比較例1のEC型調光素子は、電解液0を用いた以外は実施例1と同様にして製造した。
≪比較例2≫
比較例2のEC型調光素子は、比較例1のEC型調光素子のバリア層側に1.1mm厚のガラス基板をアクリル系粘着剤(1mm厚)で貼り合わせて製造した。
比較例2のEC型調光素子は、比較例1のEC型調光素子のバリア層側に1.1mm厚のガラス基板をアクリル系粘着剤(1mm厚)で貼り合わせて製造した。
≪EC型調光素子の耐久性試験≫
実施例1〜4および比較例1、2のEC型調光素子に対して、以下の2つの環境下に置いた。
(1)キセノンウェザーメーター試験(照射エネルギー180W/m2、
ブラックパネル温度=63℃、降雨照射/ドライ照射時間=18分/120分)
(2)耐湿熱試験(85℃×100%R.H.の条件で500時間)
実施例1〜4および比較例1、2のEC型調光素子に対して、以下の2つの環境下に置いた。
(1)キセノンウェザーメーター試験(照射エネルギー180W/m2、
ブラックパネル温度=63℃、降雨照射/ドライ照射時間=18分/120分)
(2)耐湿熱試験(85℃×100%R.H.の条件で500時間)
所定時間経過後、調光フィルムの端部の給電部に、銅箔製の取出電極が付けられ、一度、+2.0Vの電圧と−2.0Vの電圧とが交互に10回繰り返す通電試験後に、電圧を−3Vの電圧を印加した状態から+3Vの電圧を印加したときのエレクトロクロミック層の劣化状態(目視)を、遮光・透明モードの状態間の応答速度を測定した。そして、この測定結果と、試験前に行った上記同様の条件での応答速度の結果(初期応答速度)との比較で、評価を行った(下記表1参照)。
なお、耐湿熱試験では、熱による調光フィルムの変形、膨張、または収縮の影響がわかる。この実験は、ガラスサポートのある実施例4および比較例2を用いた。
≪表1の総評≫
キセノンウェザーメーター試験および耐湿熱試験から、電解質層に脱水剤を含有する電解質層を有する実施例1〜4では、応答速度に遅延が生じたが、脱水剤を含有していない比較例1,2と違って、調光機能は消失しなかった。以上から、電解質層に脱水剤を含むことで、EC型調光素子は、水分に起因する機能低下を防止していることがわかる。
キセノンウェザーメーター試験および耐湿熱試験から、電解質層に脱水剤を含有する電解質層を有する実施例1〜4では、応答速度に遅延が生じたが、脱水剤を含有していない比較例1,2と違って、調光機能は消失しなかった。以上から、電解質層に脱水剤を含むことで、EC型調光素子は、水分に起因する機能低下を防止していることがわかる。
10 エレクトロクロミック型調光素子
11 電解質層
12 エレクトロクロミック層
13 透明導電層
14 保護層
15 金属細線層
M 金属細線
16 基材
17 電極フィルム
18 調光フィルム
21 シール材
22 スペーサー
11 電解質層
12 エレクトロクロミック層
13 透明導電層
14 保護層
15 金属細線層
M 金属細線
16 基材
17 電極フィルム
18 調光フィルム
21 シール材
22 スペーサー
Claims (6)
- エレクトロクロミック層および電解質層を含有するエレクトロクロミック型調光素子にあって、
脱水剤が前記電解質層中に含有されており、
前記脱水剤は水分を水以外のものに化学的に変化させた後にイオン成分を発生させない、エレクトロクロミック型調光素子。 - 前記脱水剤が、加水分解性のアルコキシ基およびイソシアナート基の少なくとも1種の官能基を有する、請求項1に記載のエレクトロクロミック型調光素子。
- 前記脱水剤が、シラン化合物、加水分解性エステル、およびイソシアネート化合物のうちの少なくとも1種である、請求項2に記載のエレクトロクロミック型調光素子。
- 脱水促進剤が前記電解質層に含まれる、請求項1〜3のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック型調光素子。
- 前記脱水促進剤が、有機金属系化合物、酸系化合物、および塩基性化合物のうちの少なくとも1種である、請求項4に記載のエレクトロクロミック型調光素子。
- 前記電解質層は、シール材で封止されており、
前記シール材がポリオレフィン系樹脂およびエポキシ系樹脂のうちの少なくとも1種である、請求項1〜5のいずれか1項に記載のエレクトロクロミック型調光素子。
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CN108957896A (zh) * | 2018-08-02 | 2018-12-07 | Oppo广东移动通信有限公司 | 色彩调节方法、装置、存储介质及电子设备 |
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-
2016
- 2016-11-30 JP JP2016233098A patent/JP2018091910A/ja active Pending
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