JP2018091738A - 物理量測定装置、電子機器、移動体及び状態判定方法 - Google Patents

物理量測定装置、電子機器、移動体及び状態判定方法 Download PDF

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Abstract

【課題】 3つ以上の慣性センサーを用いる場合において、慣性センサーの状態を適切に判定する物理量測定装置、電子機器、移動体及び状態判定方法等の提供。
【解決手段】 物理量測定装置100は、少なくとも3つ以上の慣性センサー110(110−1〜110−n)と、慣性センサー110の出力値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの出力値と相互比較処置を行う第1の相互比較処理、及び、出力値に基づく演算値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの演算値と相互比較処理を行う第2の相互比較処理、の少なくとも一方の相互比較処理に基づいて、状態判定を行う状態判定部121と、を含む。
【選択図】 図1

Description

本発明は、物理量測定装置、電子機器、移動体及び状態判定方法等に関する。
従来、慣性を測定する物理量測定装置(IMU,inertial measurement unit)が広く知られている。IMUは、一般的に加速度及び角速度を測定する装置であり、狭義には3軸加速度センサーと3軸角速度センサー(ジャイロセンサー)を含む。
IMUは、例えば移動体(運動体)に設置され、当該移動体の挙動の計測や制御に利用される。具体的には、IMUを用いて、慣性航法により移動体の位置を求めることが可能である。或いは、IMUは対象物の振動を検出することが可能であるため、構造物(斜面等の自然構造物、或いは橋梁やビルのような人工構造物)のヘルスモニタリングや、地震の検知等に利用することも可能である。
また、IMUに複数の加速度センサーや角速度センサーを設ける手法も知られている。複数の加速度センサーや角速度センサーを用いることで、故障時にも動作を継続したり、出力する物理量(加速度、角速度)の精度を高くすることが可能になる。
例えば特許文献1には、第1の慣性力センサーと第2の慣性力センサーを有し、各センサーが検出した慣性力を相互比較し、比較結果に基づいて故障を診断して診断結果を出力する故障診断部を備えた車両の制御装置(慣性力センサー装置)が開示されている。
特開2008−247053号公報
特許文献1では、2つの慣性力センサーの出力値を比較することで、慣性力センサーに異常が生じているか否かを判定する。しかし特許文献1の手法では、2つの慣性センサーのうちのどちらに異常が生じているかを特定できない。また、特許文献1では、2つの慣性力センサーの出力値をどのように用いるかについて、具体的な手法を一切開示していない。
本発明の幾つかの態様によれば、3つ以上の慣性センサーを用いる場合において、慣性センサーの状態を適切に判定する物理量測定装置、電子機器、移動体及び状態判定方法等を提供できる。
本発明の一態様は、少なくとも3つ以上の慣性センサーと、前記慣性センサーの出力値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの前記出力値と相互比較処置を行う第1の相互比較処理、及び、前記出力値に基づく演算値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの前記演算値と相互比較処理を行う第2の相互比較処理、の少なくとも一方の前記相互比較処理に基づいて、状態判定を行う状態判定部と、を含む物理量測定装置に関係する。
本発明の一態様では、3つ以上の慣性センサーを含む物理量測定装置において、出力値の相互比較処理、及び演算値の相互比較処理の少なくとも一方に基づいて状態判定(異常検出)を行う。このようにすれば、慣性センサー間での相互比較に基づいて、複数の慣性センサーの状態を適切に判定すること等が可能になる。
また本発明の一態様では、前記第1の相互比較処理は、少なくとも2つ以上の他の慣性センサーとの前記出力値の差分情報又は比率情報を求める処理であり、前記第2の相互比較処理は、少なくとも2つ以上の他の慣性センサーとの前記演算値の差分情報又は比率情報を求める処理であってもよい。
このようにすれば、相互比較処理により状態変化(異常)が発生している慣性センサーを特定することが可能になる。
また本発明の一態様では、前記3つ以上の慣性センサーは第1〜第3の慣性センサーを含み、前記状態判定部は、前記第1の慣性センサーの第1の出力値と前記第2の慣性センサーの第2の出力値の比較処理、及び前記第1の出力値と前記第3の慣性センサーの第3の出力値の比較処理である前記第1の相互比較処理、及び、前記第1の出力値に基づく第1の演算値と前記第2の出力値に基づく第2の演算値の比較処理、及び前記第1の演算値と前記第3の出力値に基づく第3の演算値の比較処理である前記第2の相互比較処理、の少なくとも一方の相互比較処理を行ってもよい。
このようにすれば、所与の慣性センサーの状態判定(異常判定)を適切に行うことが可能になる。
また本発明の一態様では、前記状態判定部は、前記第1の出力値と前記第2の出力値の比較結果、及び前記第1の出力値と前記第3の出力値の比較結果の両方で状態変化が検出されたこと、又は、前記第1の演算値と前記第2の演算値の比較結果、及び前記第1の演算値と前記第3の演算値の比較結果の両方で状態変化が検出されたことを条件に、前記第1の慣性センサーの状態を判定してもよい。
このようにすれば、複数の比較結果に基づいて、対象の慣性センサーの状態(異常)を判定することが可能になる。
また本発明の一態様では、前記状態判定部は、各慣性センサーからの時系列の複数の前記出力値に基づいて、前記第1の相互比較処理を複数のタイミングにおいて行って、前記状態判定を行ってもよい。
このようにすれば、状態判定(異常判定)を高い精度で行うことが可能になる。
また本発明の一態様では、前記状態判定部は、前記複数のタイミングの前記第1の相互判定処理によって状態変化が検出された慣性センサーを、故障と判定してもよい。
このようにすれば、状態変化として慣性センサーの故障を判定することが可能になる。
また本発明の一態様では、前記状態判定部は、複数の前記慣性センサーのうちの所与の慣性センサーからの、時系列の複数の前記出力値の積算処理により、前記所与の慣性センサーの前記演算値を演算してもよい。
このようにすれば、時系列の出力値により演算される演算値を用いて、状態判定を行うことが可能になる。
また本発明の一態様では、前記状態判定部は、前記積算処理によって得られた前記演算値に基づく前記第2の相互判定処理によって状態変化が検出された慣性センサーを、オフセット異常と判定してもよい。
このようにすれば、慣性センサーの状態がオフセット異常であると判定することが可能になる。
また本発明の一態様では、前記状態判定部は、複数の前記慣性センサーからの複数の前記出力値の演算処理により、前記演算値を演算してもよい。
このようにすれば、複数の慣性センサーの出力値から演算した演算値を用いて、状態判定を行うことが可能になる。
また本発明の一態様では、複数の前記慣性センサーからの複数の前記出力値に基づいて、物理量データを演算する物理量データ演算部を含んでもよい。
このようにすれば、物理量データを高い精度で演算することが可能になる。
また本発明の一態様では、前記物理量データ演算部は、複数の前記慣性センサーからの複数の前記出力値の加算平均を行って、前記物理量データを演算してもよい。
このようにすれば、物理量データを高い精度で演算することが可能になる。
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の物理量測定装置を含む電子機器に関係する。
また本発明の他の態様は、上記のいずれかに記載の物理量測定装置を含む移動体に関係する。
また本発明の他の態様は、少なくとも3つ以上の慣性センサーを対象とした状態判定方法であって、前記慣性センサーの出力値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの前記出力値と相互比較処理を行う第1の相互比較処理、及び、前記出力値に基づく演算値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの前記演算値と相互比較処理を行う第2の相互比較処理、の少なくとも一方の前記相互比較処理に基づいて、状態判定を行う状態判定方法に関係する。
物理量測定装置の構成例。 本実施形態の処理を説明するフローチャート。 状態判定処理を説明するフローチャート。 故障判定を説明する図。 オフセット状態判定の処理を説明するフローチャート。 オフセット状態判定の1次判定を説明する図。 オフセット状態判定の2次判定を説明する図。 オフセット補正処理を説明する図。 電子機器の構成例。 移動体の構成例。
以下、本実施形態について説明する。なお、以下に説明する本実施形態は、特許請求の範囲に記載された本発明の内容を不当に限定するものではない。また本実施形態で説明される構成の全てが、本発明の必須構成要件であるとは限らない。
1.本実施形態の手法
まず本実施形態の手法について説明する。上述したように、加速度センサーや角速度センサー(ジャイロセンサー)を複数含むIMUが知られている。これば、1つのIMU(親IMU,メインIMU)の中に、複数の子IMU(サブIMU)が含まれていると考えてもよい。以下、本明細書では、慣性センサー110という表記を用い、当該慣性センサー110は加速度センサーであってもよいし、角速度センサーであってもよいし、その両方であってもよい。
慣性センサー110を複数設ける手法の利点は、大きく2つ考えられる。第1に、センサーに冗長性を持たせることで、いずれかのセンサーに異常(状態変化)が発生したとしても、物理量の検出を継続できる。例えば特許文献1では、第1の慣性力センサーと第2の慣性力センサーはともにヨーレートを検出するものであり、この2つのセンサーを用いることで、故障に対する信頼性向上(1つの故障で両方の慣性力センサーのデータが使用できなくなることの抑止)を行っている。
第2に、複数の慣性センサー110の出力値に基づいて、IMU全体としての出力である物理量データを演算することで、ノイズを低減できる。具体的には、n個のセンサー出力を平均化することで、1つのセンサーを用いる場合に比べてノイズを1/√nに低減(S/N比を√n倍に改善)できることが知られている。
上記2つの利点を実現するためには、各慣性センサーは、略同一の物理量を検出する必要がある。例えば、3軸の加速度センサーを用いる場合、複数のセンサーで検出軸を共通化する必要がある。これは、軸が共通となるようにセンサーを配置したり、センサー間での軸のずれを補正可能な構成により実現できる。このようにすれば、所与の慣性力センサーを他の慣性センサーの代替として利用したり、平均化処理によりノイズを低減することが可能になる。
ただし、IMUが複数の慣性センサー110を含む場合、各慣性センサー110に異常(状態変化)が発生しているか否かを判定する必要がある。いずれか1つの慣性センサー110を選択し、選択した慣性センサー110の出力値をIMUの出力である物理量データとする場合であれば、異常が発生していない慣性センサー110を選択する必要がある。また、複数の慣性センサー110の出力値に基づく演算処理を行って物理量データを求める場合であっても、当該演算処理から異常な慣性センサー110を除外したり、演算処理前に必要な補正処理を実行する必要がある。
これに対して、テストモードを用いて慣性センサー110の異常を検出する手法が考えられる。例えば、慣性センサー110を含むIMU(物理量測定装置100)を静止状態とした上で、出力値を基準値と比較する。静止状態では、理想的には、慣性センサー110にはたらく加速度は重力加速度のみであり、慣性センサー110にはたらく角速度は0となる。つまり、テストモードでの加速度と基準加速度値(重力加速度に対応する値)の比較、或いは、テストモードでの角速度と基準角速度値(角速度=0に対応する値)の比較により、慣性センサー110の異常を検出できる。
本実施形態の手法でも、テストモードによる異常検出を行うことは妨げられない。ただし、テストモードではIMUを所定の状態としたり、テストモードを実行するためのコマンドを入力する必要がある。そのため、テストモードを用いた異常検出を頻繁に行うのはユーザー負担が大きく、現実的と言えない。
また、特許文献1では2つの慣性力センサーの出力値を相互比較することで、故障を検出するとの記載が見られる。例えば出力値の差が所定値よりも大きい場合に、故障と判定することが考えられる。この手法であれば、2つの慣性センサー110の出力値を比較するため、慣性センサー110(物理量測定装置100、IMU)の状態が限定されない。例えば、慣性航法等の処理のために慣性を計測している状態であっても、異常を検出することが可能である。
ただし特許文献1の手法では、2つの慣性力センサーの一方が故障していると判定することはできても、故障している慣性力センサーを特定することができない。例えば出力値の差分が所定閾値より大きいことがわかったとしても、その要因が第1の慣性力センサーの出力値にあるのか、第2の慣性力センサーの出力値にあるのかを区別できないためである。
いずれか一方の慣性センサーに異常が発生しないと仮定できる場合であれば、特許文献1の手法でも異常が生じている慣性センサーを特定できる。例えば、第2の慣性力センサーは予備として故障判定時にのみ使用される等の場合であれば、当該第2の慣性力センサーは異常が発生する可能性が低く、正しいセンサー信号を出力すると仮定できる。この場合、2つの慣性力センサーの出力値を比較することで、第1の慣性力センサーが故障しているか否かを判定することになる。
しかし、所与の慣性センサー110に異常が発生しないとの仮定が難しい場合も多い。例えば上記のように複数の慣性センサー110の出力値を平均化することでノイズを低減する場合、物理量データの出力時には全ての慣性センサー110を常時動作させることが想定される。上述したように、平均化に利用するセンサー数が多いほど、ノイズ低減効果が高くなるため、動作していない慣性センサー110が存在することが想定しにくいためである。この場合、慣性センサー110間で動作時間等に差が小さく、異常の発生確率についても差が小さいと考えられる。つまり、異常が発生しないと仮定できる(リファレンスとして利用できる)慣性センサー110は存在せず、特許文献1の手法では、異常が発生しているセンサーを特定できない。
本実施形態に係る物理量測定装置100は、図1に示したように、少なくとも3つ以上である複数の慣性センサー110(110−1〜110−n)と、3つ以上である複数の慣性センサー110の各慣性センサーの出力値の慣性センサー間での第1の相互比較処理、及び、各慣性センサーの出力値に基づく演算値の慣性センサー間での第2の相互比較処理、の少なくとも一方の相互比較処理に基づいて、異常検出(状態判定)を行う状態判定部(異常判定部)121(プロセッサー)と、を含む。より具体的には、状態判定部121は、慣性センサーの出力値を用いて、少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの出力値と相互比較処理を行う第1の相互比較処理、及び、出力値に基づく演算値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの演算値と相互比較処理を行う第2の相互比較処理、の少なくとも一方の相互比較処理に基づいて、状態判定を行う。
なお、本実施形態における状態判定は、他の慣性センサー110と比較して特異な出力値を出力している慣性センサー110を判定する異常判定を広義の意味で含むものであり、一般的に異常と呼ばれる故障以外の状態の判定にも用いる事ができる。例えば、本実施形態の状態判定は、正常状態の中に複数の状態(第1の正常状態、第2の正常状態等)が含まれる場合において、慣性センサー110がいずれの状態であるかを判定する処理を含んでもよい。以下、本明細書では状態判定として異常判定を行う例について説明するが、本明細書中の異常判定は、異常に限定されない状態判定に拡張して考えることが可能である。
以下、複数の慣性センサー110を、第1〜第n(nは3以上の整数)の慣性センサー110−1〜110−nとも表記する。慣性センサー110の出力値とは、センサーからの出力信号(アナログ信号)をA/D変換したデジタルデータであってもよいし、当該デジタルデータに対して感度補正処理やゼロ点補正処理を行って求められる物理量データ(加速度値、角速度値)であってもよい。以下の例では、出力値が物理量データである例について説明する。
なお、ここでの複数の慣性センサー110の各慣性センサーの全てについて、本願発明の構成が適用される必要はない。例えば、物理量測定装置100が第1〜第5の慣性センサーを有する場合において、そのうちの第1〜第3の慣性センサーだけで、本願発明の関係が成り立ってもよい。
また演算値は、1つのセンサーの異なるタイミングでの出力値(時系列の出力値)に基づいて求められてもよいし、複数のセンサーからの出力値に基づいて求められてもよい。後述する例であれば、演算値は所与の慣性センサーAの異なる4サンプリングタイミングt1〜t4での出力値A1〜A4から求められてもよい。或いは演算値は、所与のサンプリングタイミングt1における、異なる3つの慣性センサーA〜Cの出力値A1,B1,C1から求められてもよい。詳細については後述する。
また、第1の相互比較処理は、少なくとも2つ以上の他の慣性センサーとの出力値の差分情報又は比率情報を求める処理であり、第2の相互比較処理は、少なくとも2つ以上の他の慣性センサーとの演算値の差分情報又は比率情報を求める処理である。より具体的には、第1の相互比較処理及び第2の相互比較処理は、慣性センサー毎に実行される。ここでの「慣性センサー毎に」との記載も、複数の慣性センサー110の全慣性センサーを表すものには限定されない。即ち、物理量測定装置100に含まれる複数の慣性センサー110の一部について、少なくとも2つ以上の他の慣性センサーとの出力値(或いは演算値)の差分情報又は比率情報を求めてもよい。
ここで、差分情報とは差分値そのものであってもよいし、差分絶対値等の差分値から求められる情報であってもよいし、これらの情報に相当する他の情報であってもよい。比率情報についても、所与の出力値と他の出力値の比(或いはその逆数)そのものであってもよいし、比に相当する他の情報であってもよい。以下、第1,第2の相互比較処理として、差分情報(差分値)を用いる例について説明する。
即ち、第1の慣性センサー110−1に着目した場合、少なくとも、第1の慣性センサー110−1の出力値と第i(iは2以上n以下の整数)の慣性センサー110−iの出力値の差分情報、及び、第1の慣性センサー110−1の出力値と第j(jは2以上n以下、且つj≠iであるの整数)の慣性センサー110−jの出力値の差分情報を求める。同様に、第2の慣性センサー110−2についても、他のn−1個の慣性センサー(110−1,110−3〜110−n)のうちの少なくとも2つの慣性センサーとの間で、出力値の差分情報を求める。以下、第3〜第nの慣性センサーについても同様である。また、演算値を対象とする第2の相互比較処理についても同様である。
特許文献1のように慣性センサー110が2個(センサーA,Bとする)であると、AとBの差分が異常値である場合に、A側の異常であるかB側の異常であるかを特定できない。これに対して、本実施形態では慣性センサー110を3個以上とし、且つ、1つの慣性センサー110について、他の2以上の慣性センサー110との差分を求める。例えば、慣性センサーA,B,Cの3つに対して、AとBの差分、AとCの差分、BとCの差分を求める。
例えばAとBの差分、及びAとCの差分が異常値である場合、「Aが異常である」、或いは「Aが正常でありBとCの両方が異常である」のいずれかであると判定できる。ここで本実施形態の異常判定(状態判定)は、テストモードとは異なり、物理量を検出している状況であれば任意のタイミングで実行可能である。つまり、ある程度短い間隔で異常判定が行われると考えてよく、2以上の慣性センサー110が同時に故障している可能性はきわめて低い。つまり、AとBの差分、及びAとCの差分が異常値である場合、Aが異常であると特定することが可能である。
複数の慣性センサー110のうちの所与の慣性センサーに着目した場合、本実施形態の手法は以下のように言い換えることができる。複数の慣性センサーが第1〜第3の慣性センサーを含む場合、状態判定部121は、
(1)第1の慣性センサーの第1の出力値と第2の慣性センサーの第2の出力値の比較処理、及び第1の出力値と第3の慣性センサーの第3の出力値の比較処理である第1の相互比較処理、及び
(2)第1の出力値に基づく第1の演算値と第2の出力値に基づく第2の演算値の比較処理、及び第1の演算値と第3の出力値に基づく第3の演算値の比較処理である第2の相互比較処理、
の少なくとも一方を行う。
そして状態判定部121は、
(1)第1の出力値と第2の出力値の比較結果、及び第1の出力値と第3の出力値の比較結果の両方で状態変化が検出されたこと(異常と判定されたこと)、又は、
(2)第1の演算値と第2の演算値の比較結果、及び第1の演算値と第3の演算値の比較結果の両方で状態変化が検出されたこと(異常と判定されたこと)、
を条件に、第1の慣性センサーの状態を判定する。より具体的には、上記(1)又は(2)を条件に、第1の慣性センサーが異常と判定する。
なお、ここでの第1〜第3の慣性センサーは、複数の慣性センサーのうちの任意の3つの組み合わせを表すものである。そのため、図1のように物理量測定装置100が第1〜第nの慣性センサー110−1〜110−nを含む場合において、そのうちの最初の3つの慣性センサー110−1〜110−3の中で必ず相互比較が行われることを限定するものではない。
本実施形態の手法によれば、3つ以上の慣性センサー110の各慣性センサーについて、他の2以上の慣性センサー110と出力値又は演算値を比較する。このようにすれば、慣性センサー110の状態を適切に判定することが可能になる。異常判定を行う例であれば、慣性センサー110の異常検出だけでなく、異常が発生している慣性センサー110を特定することが可能になる。そのため、当該慣性センサー110を物理量測定装置100の出力である物理量データの演算処理に用いないものとしたり、必要な補正処理を実行すること等が可能になる。即ち、慣性センサー110に異常が発生したとしても、物理量測定装置100は、適切な物理量データの出力を継続できる。
以下、本実施形態に係る物理量測定装置100の構成例を説明した後、状態判定を行う処理の詳細を説明する。上述したように、以下では状態判定の具体例として、異常判定について説明する。その後、幾つかの変形例を説明し、最後に本実施形態の物理量測定装置100を含む電子機器や移動体について説明する。
2.システム構成例
物理量測定装置100の構成例は図1に示したとおりである。物理量測定装置100は、第1〜第nの慣性センサー110−1〜110−nと、処理部120(プロセッサー)と、記憶部130(メモリー)と、報知部140(報知デバイス)を含み、処理部120は、状態判定部121と、物理量データ演算部123を含む。ただし、物理量測定装置100は図1の構成に限定されず、これらの一部の構成要素を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。例えば、物理量測定装置100は、慣性センサー110と処理部120との間に、不図示のA/D変換回路や検出回路等を含んでもよい。或いは、物理量測定装置100は、報知部140を省略してもよい。
第1〜第nの慣性センサー110−1〜110−nの各慣性センサーは、加速度センサー(第1〜第nの加速度センサー)であってもよいし、角速度センサー(第1〜第nの角速度センサー)であってもよいし、その両方であってもよい。
加速度センサーは、互いに交差する(理想的には直交する)3軸方向の各々に生じる加速度を計測し、計測した3軸加速度の大きさ及び向きに応じたデジタル信号(加速度データ)を出力する。角速度センサーは、互いに交差する(理想的には直交する)3軸の各々の軸回りに生じる角速度を計測し、計測した3軸角速度の大きさ及び向きに応じたデジタル信号(角速度データ)を出力する。
加速度センサー及び角速度センサーは、それぞれ3軸が、物理量測定装置100に対して定義される直交座標系(センサー座標系)の3軸(x軸、y軸、z軸)と一致するように物理量測定装置100に取り付けられるのが理想的だが、実際には取り付け角の誤差が生じる。そこで、物理量測定装置100(処理部120)は、取り付け角誤差に応じてあらかじめ算出された補正パラメーターを用いて、加速度データ及び角速度データをxyz座標系のデータに変換する処理を行ってもよい。
なお、加速度センサー及び角速度センサーは種々の構成により実現可能であることが広く知られており、本実施形態の加速度センサー及び角速度センサーは公知の構成を広く適用可能である。
なお、本実施形態の慣性センサー110は、加速度センサーと角速度センサーのいずれか一方であってもよく、その場合、物理量測定装置100(処理部120)は加速度センサーに対する異常判定と角速度センサーに対する異常判定の一方を行う。或いは、慣性センサー110が、加速度センサーと角速度センサーの両方である場合、加速度センサーと角速度センサーの両方を異常判定の対象としてもよいし、いずれか一方のみを異常判定の対象としてもよい。また、物理量測定装置100が、慣性センサー110以外のセンサーを含むことも妨げられない。
処理部120は、慣性センサー110の状態判定(異常判定)を行う状態判定部121を含む。この処理部120の機能は、CPU(Central Processing Unit)等の各種プロセッサー、ASIC(Application Specific Integrated Circuit、ゲートアレイ等)などのハードウェアや、プログラムなどにより実現できる。
また、物理量測定装置100(処理部120)は、複数の慣性センサー(110−1〜110−n)からの複数の出力値に基づいて、物理量データを演算する物理量データ演算部123を含んでもよい。具体的には、物理量データ演算部123は、複数の慣性センサーからの複数の出力値の加算平均を行って、物理量データを演算する。
物理量データ演算部123による演算を行うことで、ノイズを低減し、精度の高い物理量データ(加速度、角速度)を出力することが可能になる。演算された物理量データは、物理量測定装置100の外部機器(ホスト装置、図9に示す電子機器200の処理部220等)に出力される。出力された物理量データは、外部機器において、上述した慣性航法等の種々の用途で利用される。
記憶部130は、処理部120等のワーク領域となるもので、その機能はRAM(Random Access Memory)等のメモリーやHDD(Hard Disk Drive)などにより実現できる。記憶部130は、第1〜第nの慣性センサー110−1〜110−nからの出力値や演算値の記憶、或いは物理量データ演算部123での演算結果の記憶を行う。また記憶部130は、状態判定部121により状態が変化した(狭義には異常)と判定された場合に、状態変化(異常発生)を表す情報や、状態が変化した(異常な)慣性センサー110を特定する情報を、所定記憶領域に記憶してもよい。この場合、ホスト装置(外部機器)は、定期的に上記所定記憶領域に対するアクセスを行い、慣性センサー110に異常が発生したか否かを判定する。
報知部140は、状態判定部121により異常と判定された場合に、その旨を報知する。報知部140は、LED(light emitting diode)等の発光部であってもよいし、スピーカー等であってもよいし、モーター等の振動部であってもよいし、他の報知手法を用いるものであってもよいし、これらの組み合わせであってもよい。
なお、本実施形態の物理量測定装置100は、その処理の一部または大部分をプログラムにより実現してもよい。この場合には、CPU等のプロセッサーがプログラムを実行することで、本実施形態の物理量測定装置100が実現される。具体的には、非一時的な情報記憶媒体に記憶されたプログラムが読み出され、読み出されたプログラムをCPU等のプロセッサーが実行する。ここで、情報記憶媒体(コンピューターにより読み取り可能な媒体)は、プログラムやデータなどを格納するものであり、その機能は、光ディスク(DVD、CD等)、HDD(ハードディスクドライブ)、或いはメモリー(カード型メモリー、ROM等)などにより実現できる。そして、CPU等のプロセッサーは、情報記憶媒体に格納されるプログラム(データ)に基づいて本実施形態の種々の処理を行う。即ち、情報記憶媒体には、本実施形態の各部としてコンピューター(操作部、処理部、記憶部、出力部を備える装置)を機能させるためのプログラム(各部の処理をコンピューターに実行させるためのプログラム)が記憶される。
また、本実施形態の物理量測定装置100は、プロセッサーとメモリーを含んでもよい。ここでのプロセッサーは、例えば各部の機能が個別のハードウェアで実現されてもよいし、或いは各部の機能が一体のハードウェアで実現されてもよい。例えば、プロセッサーはハードウェアを含み、そのハードウェアは、デジタル信号を処理する回路及びアナログ信号を処理する回路の少なくとも一方を含むことができる。例えば、プロセッサーは、回路基板に実装された1又は複数の回路装置(例えばIC等)や、1又は複数の回路素子(例えば抵抗、キャパシター等)で構成することができる。プロセッサーは、例えばCPU(Central Processing Unit)であってもよい。ただし、プロセッサーはCPUに限定されるものではなく、GPU(Graphics Processing Unit)、或いはDSP(Digital Signal Processor)等、各種のプロセッサーを用いることが可能である。またプロセッサーはASICによるハードウェア回路でもよい。またプロセッサーは、アナログ信号を処理するアンプ回路やフィルター回路等を含んでもよい。メモリーは、SRAM、DRAMなどの半導体メモリーであってもよいし、レジスターであってもよいし、ハードディスク装置等の磁気記憶装置であってもよいし、光学ディスク装置等の光学式記憶装置であってもよい。例えば、メモリーはコンピューターにより読み取り可能な命令を格納しており、当該命令がプロセッサーにより実行されることで、物理量測定装置100の各部の機能が実現されることになる。ここでの命令は、プログラムを構成する命令セットの命令でもよいし、プロセッサーのハードウェア回路に対して動作を指示する命令であってもよい。
3.状態判定(異常判定)の詳細
図2は本実施形態の処理を説明するフローチャートである。この処理が開始されると、まず物理量測定装置100のシステム動作が開始される(ステップS101)。ステップS101の処理では、シャットダウン状態或いはスタンバイ状態にあった物理量測定装置100の各部が動作を開始する。また、必要に応じて各種初期化処理を行ってもよい。
次に、処理部120(状態判定部121)は、状態判定(異常判定)を行うトリガー条件を設定する(ステップS102)。ここでの設定は種々考えられる。例えば、処理部120は、慣性センサー110でのサンプリングごと(例えば、慣性センサー110からのセンサー信号のA/D変換結果のサンプリングごと)に異常判定を行う設定としてもよい。慣性センサー110のサンプリングは、例えば2kspsや4kspsといったレートで実行される。
或いは、物理量測定装置100の出力である物理量データが仕様規格外になったことが検出された場合に、異常判定を行う設定にしてもよい。例えば、処理部120は、通常想定される物理量データの上限値及び下限値を予め設定しておき、物理量データが上限値を上回った場合、又は、物理量データが下限値を下回った場合に、状態判定部121による異常判定を実行する。仕様規格外か否かの判定には、物理量データ演算部123で求められる物理量データを用いればよいが、複数の慣性センサー110(110−1〜110−n)からの第1〜第nの出力値を用いてもよい。
或いは、物理量測定装置100に大きな衝撃が加わったと判定された場合に、異常判定を行う設定にしてもよい。この場合も、物理量データ演算部123で求められる物理量データ、或いは複数の慣性センサー110(110−1〜110−n)からの第1〜第nの出力値と、所与の閾値との比較処理を行って、異常判定を実行するか否かを判定すればよい。
或いは、所与の単位時間ごとに、定期的に異常判定を実行してもよい。ここでの単位時間は、例えば1秒等である。このようにすれば、上記のサンプリングごとの異常判定に比べて、判定の実行頻度が低くなるため、処理負荷の軽減が可能になる。
次に、物理量測定装置100は、慣性センサー110からのセンサー信号のサンプリングを開始する(ステップS103)。ステップS103以降は、ステップS108でサンプリングが停止されるまで、所定のサンプリングレートでサンプリングが継続される。なお、以下のステップS104〜S107のループは、例えば1サンプリングに1回実行されると考えてもよい。即ち、第1〜第nの慣性センサー110−1〜110−nから、最新の出力値がサンプリングされたタイミングで、S104〜S107の処理が実行される。
処理部120は、ステップS102で設定したトリガー条件に該当しているか否かを判定する(ステップS104)。該当している場合(ステップS104でYes)には、状態判定部121は、異常判定を実行する(ステップS105)。異常判定の詳細については、図3〜図8を用いて後述する。トリガー条件に該当していない場合(ステップS104でNo)には、異常判定をスキップする。
そして処理部120は、サンプリング結果を出力する(ステップS106)。ステップS106の処理は、例えば物理量データ演算部123の演算(平均化処理)により物理量データを求め、当該物理量データを外部のホスト機器に対して出力する処理に対応する。
その後、処理部120は、サンプリング動作を終了するか否かを判定し(ステップS107)、Yesの場合には、サンプリング動作を停止して(ステップS108)、処理を終了する。ステップS107では、例えば処理部120は、ホスト機器からサンプリング停止コマンドが入力されたか否かを判定すればよい。ステップS107でNoの場合には、新たなサンプリングを実行し、ステップS104に戻り処理を継続する。
図3は、図2のステップS105に示した状態判定(異常判定)の処理を説明するフローチャートである。図3の各処理は、状態判定部121により実行される。
異常判定の処理が開始されると、まず状態判定部121は、各慣性センサー110の故障判定を行う(ステップS201)。ここでの故障とは、回路装置内の断線や、物理量トランスデューサー(振動片)の損傷等、慣性センサー110が実際の物理量に対応する値を出力できなくなるような異常を表す。
そのため、状態判定部121はステップS201で故障が検出されたか否かを判定し(ステップS202)、Yesの場合には、物理量データ演算部123における物理量データの演算から、故障した慣性センサー110を除外する処理を行う(ステップS203)。
また、故障と判定するほどの致命的な異常でなくても、出力する物理量データの精度を低下させるような異常が発生することもある。例えば加速度センサーや角速度センサーでは、時間の経過とともにオフセットが蓄積することが知られている。慣性航法等で変位や角度を処理に用いるように、慣性センサーの出力値は積分して用いられることも多い。そのため、出力値にオフセットが残っていると、当該オフセットも積分(積算)されてしまい、誤差が非常に大きくなってしまう。慣性センサー110を用いる場合、オフセットの低減は非常に重要と言える。
よって本実施形態では、状態判定部121の異常判定において、オフセット異常(バイアス異常)について判定する。具体的には、ステップS202でNoの場合には、状態判定部121は、オフセット異常判定を行う(ステップS204)。そして状態判定部121は、オフセットが所与の規格の範囲に収まっているか否かを判定し(ステップS205)、範囲外の場合(ステップS205でNo)には、オフセット補正処理(バイアス補正処理)を行う(ステップS206)。ステップS205でYesの場合には、オフセット異常はないものとしてステップS206の処理をスキップする。
図4は、図3のステップS201に示した故障判定処理を説明する図である。図4は、4つの慣性センサー110(以下、慣性センサーA〜Dとする)の出力値の変動を示す図である。図4の横軸は時間であり、t1〜t4はそれぞれサンプリングタイミングを表す。図4の縦軸は各慣性センサー110の出力値を表し、ここでは角速度(dps)の例を示している。なお、各軸の設定等は後述する図6〜図8についても同様とする。
以下では、慣性センサーAのt1での出力値をA1と表記する。即ち、慣性センサーAのt1〜t4での時系列の出力値はA1、A2、A3、A4と表記され、図4の例であれば(A1,A2,A3,A4)=(42,61,39,15)である。同様に、慣性センサーBのt1〜t4での時系列の出力値をB1〜B4、慣性センサーCのt1〜t4での時系列の出力値をC1〜C4、慣性センサーDのt1〜t4での時系列の出力値をD1〜D4と表記する。
図4の例では、慣性センサーA〜Cは正常であり、慣性センサーDに故障が発生している。慣性センサーDの出力値は、物理量測定装置100にはたらく角速度の変動に追随せず、意味のない値となっている。本実施形態の状態判定部121は、図4に示した各出力値に基づいて、慣性センサーDが故障であると判定する。
具体的には、所与のサンプリングタイミングにおいて、慣性センサー間で出力値の相互比較処理(第1の相互比較処理)を行う。例えばt1のタイミングであれば、A1,B1,C1,D1の相互比較を行う。より具体的には、以下の6つの差分値を求める。
A1−B1=1
A1−C1=−1
A1−D1=33
B1−C1=−2
B1−D1=32
C1−D1=34
上述したように、本実施形態の複数の慣性センサー110は、同一(略同一を含む)の物理量を検出するように設けられる。そのため、正常な状態であれば、A1〜D1の出力値は同程度の値であり、上記差分値は0に近い値(比を用いる場合であれば1に近い値)になると考えられる。また、オフセット異常が発生していたとしても、差分はオフセット相当の値となるため、過剰に大きい値になるとは考えにくい。
状態判定部121は、所与の閾値(ここでは例えば20)と、上記差分値の比較を行うことで、(A1−B1)、(A1−C1)、(B1−C1)の3つは正常であり、(A1−D1)、(B1−D1)、(C1−D1)の3つは異常であると判定できる。具体的には、正の閾値と、差分値の絶対値を比較すればよいが、閾値として正負2つの値を設定することは妨げられない。上述したように、慣性センサーA〜Cの3つが同時に故障することは考えにくいため、状態判定部121は、サンプリングタイミングt1の相互比較処理により、慣性センサーDが故障疑いであると判定できる。
ただし、センサーの出力値は突発的なノイズにより値飛び(Dip,ディップ)が発生することが知られている。よって、所与の1タイミングのみで判定してしまうと、Dipによる誤差を故障と判定するおそれがある。図3のステップS203に示したように、故障と判定された慣性センサー110は、物理量データの演算から除外されてしまうため、正常な慣性センサー110を故障と誤判定することは避けなくてはならない。
よって状態判定部121は、各慣性センサー110からの時系列の複数の出力値に基づいて、第1の相互比較処理を複数のタイミングにおいて行って、状態判定(異常検出)を行うとよい。
具体的には、上記A1,B1,C1,D1の相互比較処理と同様に、A2,B2,C2,D2の相互比較処理、A3,B3,C3,D3の相互比較処理、A4,B4,C4,D4の相互比較処理等を行う。図4の例であれば、各相互比較処理のいずれについても、状態判定部121は、慣性センサーDが故障疑いであると判定できる。
Dipであれば、長時間値が飛んだままであると言うことは考えにくい。よって、状態判定部121は、複数のタイミングの第1の相互判定処理によって状態変化(異常)が検出された慣性センサーを、故障と判定する。具体的には、図3のステップS201の処理を実行する際に、状態判定部121は、過去m(mは2以上の整数)サンプリング分の出力値を用いて、m通りの第1の相互比較処理を行い、故障判定を行う。狭義には、状態判定部121は、m通りの相互比較処理の全てで異常と判定された慣性センサー110を故障と判定すればよい。或いは、m通りの相互比較処理のうち、所定回数以上の相互比較処理で異常と判定された慣性センサー110を故障と判定してもよい。
なお、mの具体的な値については、種々の変形実施が可能である。Dipを考慮する場合であれば、mサンプリング分の期間が、想定されるDipの継続時間よりも長くなるようにmを設定するとよい。
また、ここでの複数のタイミング(mサンプリング分の期間)は、重複して設定することも可能である。例えば、所与のタイミングでの故障判定において、サンプリングタイミングt1〜tmの出力値を用い、次のタイミングでの故障判定において、サンプリングタイミングt2〜tm+1の出力値を用いるといった実施形態も可能である。このようにすれば、「複数のタイミングの第1の相互判定処理」を、1サンプリングタイミングごとに実行すること等も可能である。
図5は、図3のステップS204に示したオフセット異常判定の処理を説明するフローチャートである。本実施形態では、オフセット異常判定において通常モードと詳細モードを設け、通常モードでは簡易的な1次判定を行い、1次判定で異常と判定された場合に、詳細モードに移行して詳細な2次判定を行う。
具体的には、図5の処理が開始されると、状態判定部121は、まず詳細モードであるか否かを判定する(ステップS301)。ステップS301でNoの場合、即ち通常モードの場合には、所定期間内の出力値の最大値と最小値を用いて1次判定を行う(ステップS302)。
図6は、オフセット異常判定の1次判定を説明する図である。図6は図4と同様に4つの慣性センサーA〜Dの出力値の例であり、図6に示したように慣性センサーDでは、値が減少する方向のオフセットが生じている。
状態判定部121は、慣性センサーごとに、過去pサンプリング分の期間での出力値の最大値と最小値を求める。ここではp=4の例を示すが、pの値については種々の変形実施が可能である。慣性センサーAは、最大値Amax=61であり、最小値Amin=15である。同様に、慣性センサーBは、最大値Bmax=63、最小値Bmin=16である。慣性センサーCは、最大値Cmax=62、最小値Cmin=14である。慣性センサーDは、最大値Dmax=52、最小値Dmin=4である。
そして状態判定部121は、求めた最大値と最小値を慣性センサー間で相互比較する。具体的には、以下の差分値を求めればよい。
Amax−Bmax=−2
Amax−Cmax=−1
Amax−Dmax=9
Bmax−Cmax=1
Bmax−Dmax=11
Cmax−Dmax=10
Amin−Bmin=−1
Amin−Cmin=1
Amin−Dmin=11
Bmin−Cmin=2
Bmin−Dmin=12
Cmin−Dmin=10
状態判定部121は、所与の閾値(例えば5)と、差分値を比較することで、Dmax及びDminが異常である、即ち慣性センサーDがオフセット異常疑いであると判定できる。なお、ここでは最大値と最小値を処理に用い、両方で異常と判定された場合に、対象の慣性センサー110をオフセット異常疑いと判定する例を示したが、いずれか一方を省略してもよい。或いは、最大値と最小値の両方を用いた上で、少なくとも一方が異常である場合に、対象の慣性センサー110をオフセット異常疑いと判定してもよい。
なお、ここでの最大値、及び最小値は、慣性センサー110の出力値に基づく演算値に含まれると考えてもよい。即ち、状態判定部121は、演算値として最大値と最小値を求め、第2の相互比較処理により、オフセット異常判定の1次判定を行う。
次に状態判定部121は、1次判定によりオフセット異常疑いと判定された慣性センサー110が存在したか否かを判定する(ステップS303)。オフセット異常疑いの慣性センサー110が存在しない場合(ステップS303でYes)には、全ての慣性センサー110のオフセットは所定規格内であるものとして、オフセット異常判定処理を終了する。一方、オフセット異常疑いの慣性センサー110が存在する場合(ステップS303でNo)には、詳細モードに移行するフラグを立てて(ステップS304)、一旦オフセット異常判定処理を終了する。
ステップS304の処理が行われた場合、次のオフセット異常判定処理において、ステップS301でYesと判定され、詳細モードでの処理(ステップS305〜S308)に移行する。なお、ステップS303でNoの場合、オフセット異常判定を終了せずに直接的にステップS305に移行する変形実施も可能である。
詳細モードでは、状態判定部121は、詳細なオフセット異常判定である2次判定を行う(ステップS305)。
図7は、オフセット異常判定の2次判定を説明する図である。図7は図6と同様に4つの慣性センサーA〜Dの出力値の例であり、図6と同様に慣性センサーDは、値が減少する方向のオフセットが生じている。
2次判定では、状態判定部121は、複数の慣性センサー110のうちの所与の慣性センサーの、時系列の複数の出力値の積算処理により、所与の慣性センサーの演算値を演算する。
状態判定部121は、慣性センサーごとに、過去qサンプリング分の期間での出力値の積算値を求める。ここではq=4(=p)の例を示すが、qの値については種々の変形実施が可能であるし、pと一致しなくてもよい。慣性センサーAの演算値(積算値)Asumは、Asum=42+61+39+15=157である。同様に、慣性センサーBの演算値Bsum=160、慣性センサーCの演算値Csum=158、慣性センサーDの演算値Dsum=118である。なお、ここでは演算値として、出力値の単純な和を求める例を示したが、広義には積分値を求めてもよい。具体的には、図7に棒グラフで示したように、出力値×サンプル時間(サンプリング間隔)の総和を演算値としてもよい。
そして状態判定部121は、求めた演算値を慣性センサー間で相互比較する。具体的には、以下の差分値を求めればよい。
Asum−Bsum=−3
Asum−Csum=−1
Asum−Dsum=39
Bsum−Csum=2
Bsum−Dsum=42
Csum−Dsum=40
状態判定部121は、所与の閾値(例えば20)と、差分値を比較することで、Dsumが異常である、即ち慣性センサーDがオフセット異常であると判定できる。pサンプリング分の出力値のうちの最大値と最小値だけを用いる1次判定に比べて、2次判定はqサンプリング分の出力値を全て用いて演算値を求める点で、より詳細な処理と言える。
よって状態判定部121は、積算処理によって得られた演算値に基づく第2の相互判定処理(2次判定)によって異常が検出された慣性センサーを、オフセット異常と判定すればよい。このようにすれば、詳細な判定により、慣性センサー110のオフセット異常を適切に判定することが可能になる。
状態判定部121は、ステップS305でオフセット異常と判定された慣性センサー110が存在するか否かを判定し(ステップS306)、存在しない場合(ステップS306でYes)には、通常モードに移行して(ステップS307)、処理を終了する。一方、オフセット異常と判定された慣性センサー110が存在する場合(ステップS306でNo)には、オフセット規格外の慣性センサー110が検出された旨のフラグを立てて(ステップS308)、処理を終了する。
ステップS308でフラグが立てられた場合、図3のステップS205,S206に示したように、オフセット補正処理が実行される。
図8はオフセット補正処理を説明する図である。具体的な数値については図7と同様である。ステップS305の判定により、慣性センサーA〜Cが正常であり、慣性センサーDがオフセット異常であることがわかっている。よって、状態判定部121は、慣性センサーDの出力値が、慣性センサーA〜Cの出力値と同程度となるような補正を、オフセット補正処理として実行すればよい。
具体的には、下式(1)により、正常な出力値(演算値)と、オフセット異常と判定された慣性センサーの出力値(演算値)の誤差Eを求める。ここでは、慣性センサーA〜Cの3つが正常であるため、その演算値の平均値を正常値とすればよい。図8の例であればE=40.3となる。
E={(Asum+Bsum+Csum)/3}−Dsum …(1)
ただし、Eはqサンプル分の誤差であるため、1サンプル分の誤差eを下式(2)により求める。図8の例であればq=4であるため、e≒10となる。また上述したように、演算値の演算でサンプリング間隔を乗じる場合、1サンプル分の誤差の演算では、サンプリング間隔による影響も除外しなくてはならない。その場合、具体的には下式(2)において、qだけでなくサンプリング間隔tによるEの除算も必要になる。
e=E/q …(2)
以上のオフセット補正処理により、オフセット異常の慣性センサー110(慣性センサーD)のオフセット値がe(=10)であることがわかるため、処理部120では、図8のように当該慣性センサー110の出力値に対して、eを加算する処理を行えばよい。このようにすれば、オフセット異常が検出された慣性センサーに対して、適切なオフセット補正を行うことが可能になる。
図8のD1〜D4の例であれば、それぞれe=10が加算されることで、補正後の値D1’〜D4’は、D1’=43、D2’=62、D3’=39、D4’=14となる。これは、A1〜A4、B1〜B4、C1〜C4と同程度の値であり、オフセット補正が適切に行われていることがわかる。
オフセット補正により、出力値が適正な値となるため、補正後の出力値は物理量データの演算に利用することが可能である。言い換えれば、オフセット異常が発生しても、当該慣性センサー110を処理から除外することなく利用し続けることが可能になる。
4.相互比較処理の変形例
以上では、相互比較処理の具体例として、所与の慣性センサー110の出力値(又は演算値)と、他の全ての慣性センサー110の出力値(又は演算値)とを比較していた。例えば、A1に着目した場合、A1とB1の比較、A1とC1の比較、A1とD1の比較の全てを行っていた。A2以降の出力値や、演算値Amax,Amin,Asumについても同様である。
この例では、第1〜第nの慣性センサー110−1〜110−nを用いる場合、={n×(n−1)}/2通りの相互比較が必要となる。比較対象となる慣性センサー110の数が増えるため、異常判定の精度が高いというメリットがある一方、処理負荷が高くなるというデメリットもある。原理的には、所与の慣性センサー110の出力値(演算値)と、他の2つの慣性センサー110の出力値とを比較すれば異常判定は可能である。以下、相互比較の対象の変形例を3つ説明する。
第1に、状態判定部121は、隣り合う慣性センサー110同士での相互比較処理を行ってもよい。例えば、慣性センサーA〜Dの4つを考えた場合、A−B間での比較、B−C間での比較、C−D間での比較、D−A間での比較を行う。出力値A1〜D1の例であれば、A1−B1,B1−C1,C1−D1,D1−A1の4つの差分値を用いる。
このようにすれば、各慣性センサー110について、必ず他の2つの慣性センサー110との比較が実行される。また、相互比較回数は慣性センサーの数nと等しくなるため、計算量を抑えることが可能である。
第2に、状態判定部121は、複数の慣性センサー110を3つずつの組に分けて比較してもよい。例えば、慣性センサーA〜Fの6つを考えた場合、(A,B,C)と、(D,E,F)の2組に分ける。各組に着目した場合、全通りの組み合わせの相互比較を実行したとしても、差分値は3つ求めれば充分である。例えば慣性センサーA〜Cでは、A1−B1,B1−C1,C1−A1の3つの差分値を用いれば、A〜Cのいずれが異常であるか、或いは全て正常であるかを判定できる。同様に、慣性センサーD〜Fでは、D1−E1,E1−F1,F1−D1の3つの差分値を用いれば、D〜Fのいずれが異常であるか、或いは全て正常であるかを判定できる。このようにすれば、3個の慣性センサーあたり3回の相互比較でよいため、相互比較回数は慣性センサーの数nと同等となり、計算量を抑えることが可能である。
第3に、状態判定部121は、複数の慣性センサーを3つのセンサー群に分けて考えてもよい。例えば27個の慣性センサーを用いる場合、9個、9個、9個の3センサー群に分けて考える。この場合、各9個の慣性センサーを1つの慣性センサーに見立てることで、3つの慣性センサー110の相互比較処理と考えることが可能になる。
具体的には、状態判定部121は、複数の慣性センサーからの複数の出力値の演算処理により、演算値を演算する。上記例であれば、9個の慣性センサーの出力値の平均値や合計値等を演算値とすればよい。これにより3つの演算値が求められるため、これらを相互比較することで、3組のセンサー群のいずれに異常な慣性センサーが含まれるか、或いは全てのセンサー群が異常な慣性センサーを含んでいないかを判定できる。
いずれかのセンサー群に異常な慣性センサーが含まれると判定された場合には、当該センサー群の慣性センサーをさらに3つのセンサー群に分割する。上記の例であれば、9個の慣性センサーを、3個ずつの3センサー群に分ければよい。これ以降も同様であり、3回の相互比較により、異常な慣性センサーの候補を1/3ずつに限定していくことが可能になる。これにより計算量を抑えることが可能になる。
また、物理量測定装置100、或いは外部のホスト装置が参照用慣性センサー(図1には不図示)を含むことは妨げられない。参照用慣性センサーは、状態判定部121での異常判定には用いられるが、物理量データ演算部123での物理量データの演算には用いられない。この場合、異常判定の実行頻度(ステップS102で設定されるトリガー条件)にもよるが、参照用慣性センサーは、他の慣性センサー110(110−1〜110−n)に比べて動作頻度が低く、異常が発生しないと仮定することが可能である。よって、状態判定部121は、参照用慣性センサーの出力値を用いた比較処理により、複数の慣性センサー110(110−1〜110−n)の異常を判定することが可能になる。
また、物理量測定装置100は、温度センサー、圧力センサー、変位センサー等の各種センサーを含むことは妨げられない。各種センサーにおいても状態判定部121での状態判定(異常判定)を適用する事ができる。例えば、温度センサーを3つ以上含む場合、これまで述べた以上判定と同様に、異常な温度センサーを含んでいないかを判定する事ができる。
5.電子機器、移動体
また、本実施形態の手法は上記物理量測定装置100を含む種々の装置に適用できる。例えば、本実施形態の手法は、物理量測定装置100を含む電子機器や移動体にも適用できる。
図9に本実施形態の電子機器200の構成例を示す。電子機器200は、本実施形態の物理量測定装置100、処理部220、記憶部250を含む。またアンテナANT、通信部210、操作部230、表示部240を含むことができる。なお本実施形態の電子機器200は、図9の構成に限定されず、その構成要素の一部を省略したり、他の構成要素を追加するなどの種々の変形実施が可能である。
本実施形態の電子機器200としては、例えばデジタルカメラ(デジタルスチルカメラ、ビデオカメラ)、生体情報検出装置(脈拍計、活動量計、歩数計、健康時計等)、頭部装着型表示装置、ロボット、GPS内蔵時計、カーナビゲーション装置、ゲーム装置、各種のウェアラブル機器、携帯情報端末(スマートフォン、携帯電話機、携帯型ゲーム装置、タブレットPC等)、コンテンツを配信するコンテンツ提供端末、映像機器、オーディオ機器、或いはネットワーク関連機器(基地局、ルーター等)などの種々の機器を想定できる。例えばデジタルカメラにおいては、本実施形態の物理量測定装置100を用いることで、慣性センサー110(加速度センサーや角速度センサー)を利用した手ぶれ補正等を実現できる。また生体情報検出装置においては、本実施形態の物理量測定装置100を用いることで、慣性センサー110を利用したユーザーの体動検出や、運動状態の検出を実現できる。ロボットにおいては、その可動部(アーム、関節)や本体部において本実施形態の物理量測定装置100を用いることができる。ロボットは、移動体(走行・歩行ロボット)、電子機器(非走行・非歩行ロボット)のいずれも想定できる。走行・歩行ロボットの場合には、例えば自律走行に本実施形態の物理量測定装置100を利用できる。ネットワーク関連機器においては、例えば時刻(絶対時刻等)やタイミングを計時するための装置として本実施形態の物理量測定装置100を利用できる。
図9において、通信部210(無線回路)は、アンテナANTを介して外部からのデータを受信したり、外部にデータを送信する処理を行う。CPU、MPUなどにより実現される処理部220(プロセッサー)は、記憶部250(メモリー)に記憶された情報に基づいて、各種の演算処理や電子機器200の制御処理などを行う。操作部230は、ユーザーが入力操作を行うためのものであり、操作ボタンやタッチパネルディスプレイをなどにより実現できる。表示部240は、各種の情報を表示するものであり、液晶や有機ELなどのディスプレイにより実現できる。記憶部250は、各種の情報を記憶するものであり、その機能はRAMやROMなどの半導体メモリーやHDD(ハードディスクドライブ)などにより実現できる。
また本実施形態の物理量測定装置100は、例えば、車、飛行機、バイク、自転車、或いは船舶等の種々の移動体に組み込むことができる。移動体は、例えばエンジンやモーター等の駆動機構、ハンドルや舵等の操舵機構、各種の電子機器を備えて、地上や空や海上を移動する機器・装置である。
図10は、移動体の具体例としての自動車206を概略的に示したものである。自動車206には、物理量測定装置100が組み込まれている。物理量測定装置100は車体207の姿勢を検出することができる。物理量測定装置100の検出信号は制御装置208に供給される。制御装置208は、例えば物理量測定装置100からの物理量データに基づき求められた車体207の姿勢に応じてサスペンションの硬軟を制御したり個々の車輪209のブレーキを制御したりすることができる。その他、こういった姿勢制御は二足歩行ロボットや航空機、ヘリコプター等の各種の移動体において利用できる。姿勢制御の実現にあたって物理量測定装置100は移動体に組み込まれることになる。
以上、本発明を適用した実施形態およびその変形例について説明したが、本発明は、各実施形態やその変形例そのままに限定されるものではなく、実施段階では、発明の要旨を逸脱しない範囲内で構成要素を変形して具体化することができる。また、上記した各実施形態や変形例に開示されている複数の構成要素を適宜組み合わせることによって、種々の発明を形成することができる。例えば、各実施形態や変形例に記載した全構成要素からいくつかの構成要素を削除してもよい。さらに、異なる実施の形態や変形例で説明した構成要素を適宜組み合わせてもよい。また、明細書又は図面において、少なくとも一度、より広義または同義な異なる用語と共に記載された用語は、明細書又は図面のいかなる箇所においても、その異なる用語に置き換えることができる。このように、発明の主旨を逸脱しない範囲内において種々の変形や応用が可能である。
ANT…アンテナ、100…物理量測定装置、110…慣性センサー、120…処理部、
121…状態判定部、123…物理量データ演算部、130…記憶部、140…報知部、200…電子機器、206…自動車、207…車体、208…制御装置、209…車輪、210…通信部、220…処理部、230…操作部、240…表示部、250…記憶部

Claims (14)

  1. 少なくとも3つ以上の慣性センサーと、
    前記慣性センサーの出力値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの前記出力値と相互比較処理を行う第1の相互比較処理、及び、前記出力値に基づく演算値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの前記演算値と相互比較処理を行う第2の相互比較処理、の少なくとも一方の前記相互比較処理に基づいて、状態判定を行う状態判定部と、
    を含むことを特徴とする物理量測定装置。
  2. 請求項1において、
    前記第1の相互比較処理は、少なくとも2つ以上の前記他の慣性センサーとの前記出力値の差分情報又は比率情報を求める処理であり、
    前記第2の相互比較処理は、少なくとも2つ以上の前記他の慣性センサーとの前記演算値の差分情報又は比率情報を求める処理であることを特徴とする物理量測定装置。
  3. 請求項1において、
    前記3つ以上の慣性センサーは第1〜第3の慣性センサーを含み、
    前記状態判定部は、
    前記第1の慣性センサーの第1の出力値と前記第2の慣性センサーの第2の出力値の比較処理、及び前記第1の出力値と前記第3の慣性センサーの第3の出力値の比較処理である前記第1の相互比較処理、
    及び、
    前記第1の出力値に基づく第1の演算値と前記第2の出力値に基づく第2の演算値の比較処理、及び前記第1の演算値と前記第3の出力値に基づく第3の演算値の比較処理である前記第2の相互比較処理、
    の少なくとも一方の相互比較処理を行うことを特徴とする物理量測定装置。
  4. 請求項3において、
    前記状態判定部は、
    前記第1の出力値と前記第2の出力値の比較結果、及び前記第1の出力値と前記第3の出力値の比較結果の両方で状態変化が検出されたこと、
    又は、
    前記第1の演算値と前記第2の演算値の比較結果、及び前記第1の演算値と前記第3の演算値の比較結果の両方で状態変化が検出されたことを条件に、前記第1の慣性センサーの状態を判定することを特徴とする物理量測定装置。
  5. 請求項1乃至4のいずれかにおいて、
    前記状態判定部は、
    各慣性センサーからの時系列の複数の前記出力値に基づいて、前記第1の相互比較処理を複数のタイミングにおいて行って、前記状態判定を行うことを特徴とする物理量測定装置。
  6. 請求項5において、
    前記状態判定部は、
    前記複数のタイミングの前記第1の相互判定処理によって状態変化が検出された慣性センサーを、故障と判定することを特徴とする物理量測定装置。
  7. 請求項1乃至6のいずれかにおいて、
    前記状態判定部は、
    複数の前記慣性センサーのうちの所与の慣性センサーからの、時系列の複数の前記出力値の積算処理により、前記所与の慣性センサーの前記演算値を演算することを特徴とする物理量測定装置。
  8. 請求項7において、
    前記状態判定部は、
    前記積算処理によって得られた前記演算値に基づく前記第2の相互判定処理によって状態変化が検出された慣性センサーを、オフセット異常と判定することを特徴とする物理量測定装置。
  9. 請求項1乃至8のいずれかにおいて、
    前記状態判定部は、
    複数の前記慣性センサーからの複数の前記出力値の演算処理により、前記演算値を演算することを特徴とする物理量測定装置。
  10. 請求項1乃至9のいずれかにおいて、
    複数の前記慣性センサーからの複数の前記出力値に基づいて、物理量データを演算する物理量データ演算部を含むことを特徴とする物理量測定装置。
  11. 請求項10において、
    前記物理量データ演算部は、
    複数の前記慣性センサーからの複数の前記出力値の加算平均を行って、前記物理量データを演算することを特徴とする物理量測定装置。
  12. 請求項1乃至11のいずれかに記載の物理量測定装置を含むことを特徴とする電子機器。
  13. 請求項1乃至11のいずれかに記載の物理量測定装置を含むことを特徴とする移動体。
  14. 少なくとも3つ以上の慣性センサーを対象とした状態判定方法であって、
    前記慣性センサーの出力値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの前記出力値と相互比較処理を行う第1の相互比較処理、及び、前記出力値に基づく演算値を用いて少なくとも2つ以上の他の慣性センサーの前記演算値と相互比較処理を行う第2の相互比較処理、の少なくとも一方の前記相互比較処理に基づいて、状態判定を行うことを特徴とする状態判定方法。
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