JP2018091708A - テクネチウム製造装置、テクネチウム製造方法及び放射性医薬製造方法 - Google Patents

テクネチウム製造装置、テクネチウム製造方法及び放射性医薬製造方法 Download PDF

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秀明 江原
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Abstract

【課題】混合液中からより多くのテクネチウム99mを回収できるテクネチウムの製造装置を提供する。【解決手段】 モリブデン99とテクネチウム99mとを含む99Mo−99mTc溶液が通液されて、テクネチウム99mを選択的に吸着させる機能を有する担体と、担体を収容すると共に、担体に吸着されているテクネチウム99mを溶出させるための液剤である水を導入する針管部とテクネチウムが溶出された溶出液を排出する排出部との間の担体を加熱するヒーター2と、によってテクネチウム製造装置を構成する。【選択図】図1

Description

本発明は、テクネチウムを製造するテクネチウム製造装置、テクネチウム製造方法及びそのテクネチウム製造方法を使用した放射性医薬製造方法に関する。
核医学画像を撮影する手法の一つとして、単一光子放射断層撮影(SPECT:Single Photon Emission Computed Tomography)が知られている。SPECTは、放射性核種で標識された化合物である放射性医薬品を被験者の体内に投与し、放出されるガンマ線をカメラで撮像することによって行われる。放射性医薬品には種々の放射性核種が用いられ、その一例がテクネチウム99m(99mTc)である。準安定状態のテクネチウム99mが基底状態のテクネチウム99mに転移する際にガンマ線が放出され、半減期は約6時間と短いため被験者の被曝量を抑制することができる。
テクネチウム99mは、モリブデン99(99Mo)がベータ崩壊して生じる娘核種であることから、テクネチウム99mを用いる放射性医薬品の原料としてモリブデン99が用いられる。
非特許文献1には、モリブデン100(100Mo)にプロトン照射することによって99Moを生成し(100Mo(p,2n)99Mo)、種々のクロマトグラフィー手法を用いて高濃度のモリブデン99溶液からテクネチウム99mの分離した結果、AnaLig(登録商標)Tc−02が最も高い回収率で、かつ、短時間にテクネチウム99mを回収できたことが記載されている。
Nuclear medicine review, 18(2015)65-9
ところで、近年、放射性医薬品に対する量産化の要求が益々高まっている。このため、さらに回収率を高めてより多くのテクネチウム99mを得ることが要求されている。
本発明は、上記の点に鑑みてなされたものであり、高濃度のモリブデン溶液から、より多くのテクネチウムを回収できるテクネチウムの製造装置、テクネチウム製造方法及び放射性医薬製造方法を提供する。
本発明のテクネチウム製造装置は、モリブデンとテクネチウムとを含む液剤が通液されて、前記テクネチウムを選択的に吸着させる機能を有する担体と、前記担体を収容すると共に、前記担体に吸着されている前記テクネチウムを溶出させるための液剤を導入する導入部及び前記テクネチウムが溶出された前記液剤を排出する排出部を有する収容部と、前記導入部と前記排出部との間の前記担体を加熱する加熱部と、を備えることを特徴とする。
本発明のテクネチウム製造方法は、担体にモリブデンとテクネチウムとを含む液剤を通液し、前記担体に前記テクネチウムを吸着させる工程と、前記担体を加熱しながら通液し、前記担体に吸着されている前記テクネチウムを溶出する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明の放射性医薬製造方法は、第1の担体にモリブデンとテクネチウムとを含む液剤を通液し、前記第1の担体に前記テクネチウムを吸着させる工程と、前記第1の担体を加熱しながら通液し、前記第1の担体に吸着されている前記テクネチウムを溶出する工程と、前記第1の担体を通過した後の溶出液中の前記テクネチウムを第2の担体に吸着させる工程と、前記第2の担体に吸着された前記テクネチウムを生理食塩水に溶出する工程と、を含むことを特徴とする。
本発明は、高濃度のモリブデン溶液から、より多くのテクネチウムを回収できるテクネチウムの製造装置、テクネチウム製造方法及び放射性医薬製造方法を提供することができる。
本発明の一実施形態のテクネチウム製造装置の斜視図である。 図1に示したカラムを説明するための図である。 図2に示したカラムの断面図である。 図2に示したカラムの分解斜視図である。 実施例のテクネチウム製造装置を含むシステムを説明するための図である。 図5に示したシステムで行われる処理の全体を説明するための図である
以下、本発明の一実施形態を図面に基づいて説明する。なお、すべての図面において、同様の構成要素には同様の符号を付し、重複する説明は適宜省略する。
[テクネチウム製造装置]
本実施形態のテクネチウム製造装置は、モリブデン99(半減期66時間)からテクネチウム99m(半減期6時間)を得る方法で使用される装置である。
以下、本実施形態について詳細に説明する。
図1は、本実施形態のテクネチウム製造装置100の斜視図である。テクネチウム製造装置100は、テクネチウム99mを選択的に吸着させる担体を収容する収容部である本体10を有している。本体10は、図2に示すカバー50と共にカラム1を構成する。また、本実施形態は、本体10を加熱する加熱手段としてのヒーター2を有している。カラム1は、挟持部51、52によって挟み込まれて保持されている。挟持部51は、カラム1の上部を上から押さえ、挟持部52はカラム1を下から支持している。挟持部51はアーム6に接続されると共に、支柱5にも接続されて支持される。挟持部52は、支柱5に支持されている。また、アーム6はヒーター2を把持していて、把持されているヒーター2の角度は変更可能である。ヒーター2の表面には熱電対21が設けられていて、熱電対21によって測定された温度はモニター7に表示される。
なお、カラム1は挟持部51、52によって挟持、固定されることに限定されず、ヒーター2と適切な距離と角度を持って固定されるものであれば、どのような構成であってもよい。
図2は、図1に示したカラム1を説明するための図、図3は図2に示したカラム1の矢線3−3に沿う断面図であり、図4は、カラム1の分解斜視図である。本実施形態では、図1から図3に示すように、カラム1が鉛直方向に起立するように設置される態様を例示して説明する。しかし、カラム1の配置の向きはこれに限られるものではない。以下、本実施形態では、テクネチウム製造装置において液剤が導入される側を「上方」と呼称し、導入された液剤が排出される側を「下方」と呼称する。このような呼称は、重力方向の上下を必ずしも意味しない。カラム1は、図1から図3に示したように必ずしも鉛直方向に設置されるものに限定されず、例えば、斜めに設置されるものであってもよい。
図示するように、カラム1は、担体40を収容する本体10と、本体10のうち担体40の周囲を覆うカバー50とを有している。本体10の開口部17には縁部13が形成されていて、蓋体11が縁部13と係り合って静止すると共に凸部14が開口部17に押し込まれて本体10に栓をする。本体10は、図2、図3に示すように、液剤を導入する導入部である針管部15と、担体40を通過した液剤を排出する排出部19とを備えており、針管部15、蓋体11、本体10、排出部19及びカバー50は、それぞれがカラム1の中心軸上に中心が揃うように配置されている。このため、本体10に針管部15から導入された液剤は、担体40を通して自然に排出部19から排出される。
本体10は、図2、図3に示すように、担体40を収容する略筒形状の容器である。本実施形態の本体10は、半透明の上部が開口されている筒体であって、その開口部17には外部に張り出した縁部13が形成されている。開口部17は蓋体11によって閉じられている。蓋体11は縁部13と係り合って安定に縁部13上で静止する。また、蓋体11には凸部14が2つ形成されている。蓋体11及び凸部14は弾性を有するゴムあるいは樹脂等を材料とする部材であって、凸部14は本体10の開口部17に押し込まれて開口部17に気密性を持たせるようにその寸法形状が設計されている。
担体40は、モリブデン99とテクネチウム99mとを含む混合液(99Mo−99mTc溶液)が通液されて、テクネチウム99mを選択的に吸着させる機能を有している。このような担体40としては、モリブデン99存在下でテクネチウム99m(過テクネチウム酸イオン)を選択的に吸着でき、所定の条件下で、テクネチウム99m(過テクネチウム酸イオン)が脱着される固相抽出充填剤であれば限定されないが、例えば、AnaLig(登録商標)Tc-02レジンを用いることができる。AnaLig(登録商標)Tc-02レジンは、ポリスチレン支持体に結合した有機分子からなるものであって、IBCアドバンスドテクノロジーから市販されている。ただし、本実施形態は、担体40をAnaLig(登録商標)Tc-02レジンに限定するものではなく、担体40は有機材料でメッシュ構造を有するものであればよい。このような担体40としては、例えば、テトラブチルアンモニウムブロマイド(TBAB)、TEVA(登録商標)レジン(トリオクチルメチルアンモニウムクロリド固定化樹脂)、ダウエックス(DOWEX)(登録商標)1×8、分子量2000〜6000のポリエチレングリコールで修飾されたC18カラム(ABEC−2000等のABEC樹脂)、さらに活性炭やゼオライトといった多孔質材料であってもよい。
針管部15は、蓋体11に針部152を突き刺して固定される。針管部15は図示しない液剤の容器に接続されていて、針支持部151及び針部152を介して99Mo−99mTc溶液や、担体40の洗浄水や、テクネチウム99mの溶離液(以下、全てを「液剤」とも記す)が本体10の内部に導入される。本実施形態において、針管部15から導入される液剤は、常温である。ここでいう「常温」とは、特に加熱、冷却することをしない場合の液剤の温度であり、本実施形態では5〜35℃、好ましくは15〜25℃である。
本実施形態においてヒーター2は、図1に例示した熱風を吹き出すエアヒーターのほか、ペルチェ素子、さらには電気加熱や抵抗加熱等の原理を利用したヒーターを使用することができる。エアヒーターは、比較的小型、小規模の設備によって実現することができるという点で好ましい。ヒーター2は、本体10の針管部15と排出部19との間の担体40を加熱する。ここでいう「針管部15(導入部)と排出部19(排出部)との担体40を加熱する」とは、担体40に通水される以前の液剤を予め加熱することを除くものであり、担体40及び担体40を通過中の液剤を加熱することをも含んでいる。本実施形態では、ヒーター2の熱風温度は、モニター7に表示される温度が所定温度になるように制御することができる。
カバー50は、本体10の外周面の少なくとも一部に巻き回される。図2、図3に示したように、本体10は一方向(図2、図3においては上下方向)に長い略柱形状の柱状部である。カバー50の少なくとも一部である金属カバー30は、柱状部の外周面に接する金属部材である。
金属カバー30は、図3に示すように、本体10のうちの担体40の周囲を覆っている。カバー50のうち、金属カバー30がヒーター2により加熱されることによって担体40を間接的に加熱する。本体10よりも一回り大きい程度の寸法形状を有する金属カバー30を介して本体10を加熱することで、金属カバー30がヒーター2の加熱効果を促進することができ、例えば、より大型の槽にカラムを複数セットする構成に比べて短時間、かつ低エネルギーで本体10内の担体40を設定温度に対応する温度に加熱することができる。このような本実施形態は、テクネチウム製造装置の設備を小型、簡易化、さらには低コスト化に有利である。
金属カバー30の材料は、担体40の加熱時の熱伝導率とテクネチウム製造装置100のコストとの条件を満たせばどのような材料であってもよいが、例えば、アルミニウム製にすることができる。
金属カバー30の内面は肉厚の異なる部位があって、肉厚のより薄い肉薄部31aとより厚い厚肉部31bとの境界が段差部31になっている。金属カバー30の内径や肉厚は限定されるものでなく、担体40の加熱促進効果に応じて決定されるものだが、厚肉部31bの内径は、例えば、15mmφ程度、厚肉部31bの厚さは、例えば、3mm以上、20mm以下にすることができる。
本実施形態では、テクネチウム99mを溶出させる際、金属カバー30上から担体40を加熱する。これにより、通液の過程で担体40の温度が上昇して担体40を通る溶離液の温度をも上昇させることができる。さらに、エアヒーターで金属カバー30を加熱することで、エアヒーターから吹き出される熱風の温度を適正に調整することにより、担体40及び担体40を通る液剤を適正な温度に維持することができるようになる。したがって、予め温度調整した溶離液を担体40に通すよりも担体40における温度を高い精度で一定の範囲に維持、制御することができる。このため、本実施形態は、公知の溶出の処理よりも高い溶出率でテクネチウム99mを担体40から溶出させることができる。
なお、本実施形態では、図4で図示するように、カバー50が、さらに、ガラスカバー20を有していてもよい。ガラスカバー20は、金属カバー30と接していない本体10の少なくとも一部を覆う透明部材であり、針管部15、蓋体11、本体10、排出部19、及び金属カバー30とともには、カラム1の中心軸R上に中心が揃うように配置される。そして、その下部が段差部31と当接し、上部が縁部13に当接して蓋体11と金属カバー30との間に固定される。ガラスカバー20は本体10と接触しない内径を有していて、ガラスカバー20が透明であるために、操作者は本体10への通液の状態を視認することができる。
また、本体10を加熱する加熱手段としては、ヒーター2に限定されるものではなく、本体10内に担体40の加熱部を設けて加熱機構付きのカラム本体を構成することができる。また、カバー50を設けることなく本体10を例えば熱風を吹きかける等して加熱し、本体10の容器を介して担体40を加熱するようにしてもよい。
[テクネチウム製造方法]
次に、以上説明した本実施形態のテクネチウム製造装置100によるテクネチウム製造方法について説明する。
このテクネチウム製造方法は、担体40に99Mo−99mTc溶液を通液し、担体40にテクネチウム99を吸着させる工程と、担体40を加熱しながら通液し、担体40に吸着されているテクネチウム99mを溶出する工程と、を含む。ここで、溶出とは、担体40に吸着されたテクネチウム99mが溶離液に溶け出して担体40から脱着されることをいう。
モリブデン99を得る方法としては、モリブデン100同位体の(γ,n)反応、(p、pn)反応、(n、2n)反応を利用する方法や、モリブデン98同位体の(n,γ)反応を利用する方法が挙げられる。
99Mo−99mTc溶液は、モリブデン99を含む溶液を調製することで、調製される。モリブデン99がβ−崩壊してテクネチウム99mとなるためである。モリブデン99はモリブデン酸塩(例えば、99MoO 2−や、99Mo24 2−)として調製されていることが好ましい。このときモリブデン酸塩の対イオンとしては、ナトリウムイオンやアンモニウムイオンが挙げられる。99Mo−99mTc溶液の溶媒は、担体40の種類に応じて適宜選択されるものであり、担体40にテクネチウム99mが吸着し、かつ、モリブデン99が吸着しにくいものが選択されるが、好ましくは高イオン性の水溶液を用いることができ、例えば、炭酸アンモニウム、塩化ナトリウム、炭酸ナトリウム、水酸化ナトリウムの水溶液の何れかを用いることができる。
こうして調製された99Mo−99mTc溶液は、テクネチウム製造装置100の針部152から導入され、担体40に通液されることでテクネチウム99mを吸着される。担体40は、99Mo−99mTc溶液の通液前に適当な溶剤でプレコンディショニングされてもよい。モリブデン99としてモリブデン酸塩を用いることで、テクネチウム99mを過テクネチウム酸イオンとして吸着させることができる。一方、モリブデン99は、担体40を通過して回収される。
その後、99Mo−99mTc溶液通液後の担体40は、洗浄されてもよい。洗浄液は、担体40の種類に応じて適宜選択されるものであり、担体40にテクネチウム99mを保持させつつ、かつ、モリブデン99を溶離させるものを選択するが、高イオン性の水溶液が好ましく、例えば、前述の99Mo−99mTc溶液の溶媒として例示したものを使用することができる。こうすることで、担体40に残留するモリブデン99を最小限にし、モリブデン99とテクネチウム99mとをより確実に分離することができる。
次いで、担体40を加熱しながら、針管部15を介して任意の溶離液を本体10に導入する。溶離液は、担体40の種類により適宜選択されるものであり、担体40からテクネチウム99mが溶離できるものを選択することができるが、水を用いることが好ましい。形態では、このような工程において、本体10に溶離液を導入しながら、ヒーター2を使って担体40を金属カバー30の上から加熱する。担体40は、40〜100℃に加熱されることが好ましく、50〜90℃に加熱されることがより好ましく、60〜70℃に加熱されることが更に好ましい。こうすることで、テクネチウム99mを効率的に溶出することができる。溶離液の通液後、さらに針管部15を介して空気を本体10に導入し、フラッシングを行っても良い。こうすることで、担体40に残留しているテクネチウム99mをより確実に溶出させることができる。
[放射性医薬製造方法]
次に、本実施形態の放射性医薬製造方法を説明する。本実施形態の放射性医薬製造方法は、前述のテクネチウム製造方法で実行した工程に加えて、上記の担体40から溶出されたテクネチウム99mを第2の担体に吸着させる工程と、第2の担体に吸着されたテクネチウム99mを溶出する工程と、を含んでいる。
本実施形態では、まず、モリブデン99として、モリブデン酸塩に調製したものを用いて前述のテクネチウム製造方法を実行し、テクネチウム99mを過テクネチウム酸塩として担体40(第1の担体)から溶出させる。テクネチウム99mの溶出液は、第2の担体に吸着させる前に、例えば、陽イオン交換樹脂に通液させてもよい。これにより、溶出液内のテクネチウム99m以外の夾雑物を陽イオン交換樹脂に吸着させて取り除くことができる。陽イオン交換樹脂としては、例えば、スルホン酸基を交換基としてもつ強酸性陽イオン交換樹脂を用いることができる。
第2の担体としては、テクネチウム99mを過テクネチウム酸イオンとして吸着させることができ、かつ、生理食塩液で溶離させることができるものが使用できるが、例えば、アルミナを使用することができる。そして、第2の担体にテクネチウム99mを吸着させた後、生理食塩水を通液することで、過テクネチウム酸イオンを溶出する。溶出された過テクネチウム酸溶液は、滅菌フィルタに通過させるなど滅菌処理など行うことで、放射性医薬として使用することができる。また、さらに処理、加工して放射性医薬として使用される場合もある。
<システム構成>
図5は、本実施例で使用したシステムを説明するための図である。放射性物質を取り扱うために放射能の遮蔽機能を有する室内に置いてインラインでテクネチウム99mの製造を行った。カラム1として、AnaLig(登録商標)Tc−02(充填量0.5〜1g)を用い、99Mo−99mTc溶液、3mol/l(図中に「M」で表す)の炭酸アンモニウム((NHCO)、1mol/lの炭酸ナトリウム(NaCO)及び水を導入する流路(ライン)と、カラム1を通過した回収液510、洗浄液520及び溶出液530が排出されるラインとを接続した。ラインは、図5に示すように、複数の切替弁507によって切り替えられるようにした。ライン中の液移送は、回収液511の回収容器を真空ポンプに接続し、負圧にすることにより行った。
<方法>
図6は、図5に示したシステムで行われる処理の全体を説明するための図である。吸着(Step1)、共洗い(Step2)、洗浄(Step3)及び溶出(Step4)の工程を含むカラム処理を行った。
Step1(吸着):カラム1に99Mo−99mTc溶液を通液し、カラム1にテクネチウム99を吸着させた。カラム1を通過した液は、回収液510として回収した。
Step2(共洗い):99Mo−99mTc溶液通液後のカラム1に3mol/Lの炭酸アンモニウム水溶液5mLを2回通液した。担体40を通過した炭酸アンモニウム水溶液は、回収液510として回収した。
Step3(洗浄):カラム1に1mol/Lの炭酸ナトリウム水溶液(5〜10mL)を通液した。カラム1を通過した炭酸ナトリウム水溶液は、洗浄液520として回収した。
Step4(溶出):所定の温度条件で、水10mLを3回から5回カラム1に通液した後、カラム1から水が出なくなるまでフラッシング(10mLの空気で3〜5回)を行い、カラム1に吸着されているテクネチウム99mを溶出させた。
(実施例1)
実施例1では、七モリブデン酸六アンモニウム四水和物(24g)の水溶液に、購入した99Mo溶液(原子炉の核分裂反応(n,f)法によりウラン照射ターゲットから抽出して生成したNa 99MoO溶液)を混合して99Mo−99mTc溶液(17MBq〜47MBq)を調製し、カラム1に残ったテクネチウム99mの残留率を測定した。残留率は、カラムに通液する以前の99Mo−99mTc溶液に対するカラムに残留するテクネチウム99mの割合を測定して得た値である。テクネチウム99mの測定は、ラジオアイソトープドーズキャリブレータによる放射能量の測定によって行った。残留率は、以下の式(1)によって算出された。なお放射能量は、Step1で、99Mo−99mTc溶液の通液を開始した時刻を基準として、時間補正を行った。
残留率(%)=カラム1に残ったテクネチウムの放射能量/カラム1に通液する前の99Mo−99mTc溶液に含まれるテクネチウムの放射能量 ...式(1)
実施例1では、図6に示したカラム処理のStep4で行った溶出の温度条件を変更し、溶出に適した温度を検証した。No1、No2ではカラム1を加熱することなく常温(約20℃)の水を注水して溶出を行った。No3の実験で使用したカラム1は、ドライヤーで直接加熱した。No4,5の実験では、図1〜図4で図示された構成を使用した。温度は熱電対21によって測定した。表1は、結果をまとめて示した表である。表1には、使用したAnaLig(登録商標)Tc−02の充填量も併せて示した。
Figure 2018091708
実施例1では、No1からNo3の実験により、カラム1を加熱することによってカラム1におけるテクネチウム99mの残留率が大幅に低減することが分かった。また、No4からNo5の実験により、上記実施形態のヒーター2が金属カバー30を介して担体40を間接的に加熱することで、テクネチウム99mの残留率を更に低下させることが分かった。
(実施例2)
実施例2では、マスターミルカー(前述の購入した99Mo溶液をアルミナカラムに吸着させた大型のジェネレータ)から生理食塩液で溶出した99mTc溶液(35mL)に、七モリブデン酸六アンモニウム水溶液(165mL,モリブデン36g相当)を混合して調製した99Mo−99mTc溶液(1010GBq〜1352GBq)にモリブデン24g相当の溶液を加えた液剤を図6に示したカラム処理で処理し、テクネチウム99mの溶出率を測定することにより行われた。実施例2では、図6に示したStep1の99Mo−99mTc溶液、回収液510、洗浄液520及び溶出液530の放射線量を測定した。なお、測定には、ラジオアイソトープドーズキャリブレータを用いた。テクネチウム99mの溶出率の算出は、以下の式(2)によって行った。なお放射能量は、Step1で、99Mo−99mTc溶液の通液を開始した時刻を基準として、時間補正を行った。
溶出率={カラムに通液する以前の99Mo−99mTc溶液に含まれるテクネチウムの放射線量−(回収液の放射能量+洗浄液の放射能量)}/溶出液の放射能量 ...式(2)
実施例2の実験で得られた溶出率は、99.8±0.6%(n=5)であり、溶出時間が5〜10分で100%近くの溶出率を得ることが分かった。
上記実施形態および実施例は以下の技術思想を包含するものである。
(1)モリブデンとテクネチウムとを含む液剤が通液されて、前記テクネチウムを選択的に吸着させる機能を有する担体と、前記担体を収容すると共に、前記担体に吸着されている前記テクネチウムを溶出させるための液剤を導入する導入部及び前記テクネチウムが溶出された前記液剤を排出する排出部を有する収容部と、前記導入部と前記排出部との間の前記担体を加熱する加熱部と、を備えることを特徴とするテクネチウム製造装置。
(2)前記収容部は、外周面の少なくとも一部に巻き回されるカバーを有し、
前記加熱部は、前記カバーを加熱することによって前記担体を加熱する、請求項1に記載のテクネチウム製造装置。
(3)前記収容部は一方向に長い略柱形状の柱状部を有し、前記カバーの少なくとも一部は、前記収容部の外周面に接する金属部材である、請求項2に記載のテクネチウム製造装置。
(4)前記カバーは、前記金属部材の一部と接していない前記収容部の少なくとも一部を覆う透明部材をさらに備える、請求項3に記載のテクネチウム製造装置。
(5)前記収容部においては、前記導入部から常温の液剤が導入される、請求項1から4のいずれか1項に記載のテクネチウム製造装置。
(6)担体にモリブデンとテクネチウムとを含む液剤を通液し、前記担体に前記テクネチウムを吸着させる工程と、前記担体を加熱しながら通液し、前記担体に吸着されている前記テクネチウムを溶出する工程と、を含むことを特徴とするテクネチウム製造方法。
(7)第1の担体にモリブデンとテクネチウムとを含む液剤を通液し、前記第1の担体に前記テクネチウムを吸着させる工程と、前記第1の担体を加熱しながら通液し、前記第1の担体に吸着されている前記テクネチウムを溶出する工程と、前記第1の担体を通過した後の溶出液中の前記テクネチウムを第2の担体に吸着させる工程と、前記第2の担体に吸着された前記テクネチウムを溶出する工程と、を含むことを特徴とする放射性医薬製造方法。
1・・・カラム
2・・・ヒーター
5・・・支柱
6・・・アーム
7・・・モニター
10・・・本体
11・・・蓋体
13・・・縁部
14・・・凸部
15・・・針管部
17・・・開口部
19・・・排出部
20・・・ガラスカバー
21・・・熱電対
30・・・金属カバー
31a・・・肉薄部
31b・・・厚肉部
40・・・担体
50・・・カバー
51、52・・・挟持部
100・・・テクネチウム製造装置
151・・・針支持部
152・・・針部
501・・・フィルタ
503・・・陽イオン交換樹脂
505・・・アルミナカラム
507a〜507g・・・切替弁
510・・・回収液
520・・・洗浄液
530・・・溶出液
710・・・容器
711・・・真空ポンプ

Claims (7)

  1. モリブデンとテクネチウムとを含む液剤が通液されて、前記テクネチウムを選択的に吸着させる機能を有する担体と、
    前記担体を収容すると共に、前記担体に吸着されている前記テクネチウムを溶出させるための液剤を導入する導入部及び前記テクネチウムが溶出された前記液剤を排出する排出部を有する収容部と、
    前記導入部と前記排出部との間の前記担体を加熱する加熱部と、
    を備えることを特徴とするテクネチウム製造装置。
  2. 前記収容部は、外周面の少なくとも一部に巻き回されるカバーを有し、
    前記加熱部は、前記カバーを加熱することによって前記担体を加熱する、請求項1に記載のテクネチウム製造装置。
  3. 前記収容部は一方向に長い略柱形状の柱状部を有し、前記カバーの少なくとも一部は、前記収容部の外周面に接する金属部材である、請求項2に記載のテクネチウム製造装置。
  4. 前記カバーは、前記金属部材の一部と接していない前記収容部の少なくとも一部を覆う透明部材をさらに備える、請求項3に記載のテクネチウム製造装置。
  5. 前記収容部においては、前記導入部から常温の液剤が導入される、請求項1から4のいずれか1項に記載のテクネチウム製造装置。
  6. 担体にモリブデンとテクネチウムとを含む液剤を通液し、前記担体に前記テクネチウムを吸着させる工程と、
    前記担体を加熱しながら通液し、前記担体に吸着されている前記テクネチウムを溶出する工程と、
    を含むことを特徴とするテクネチウム製造方法。
  7. 第1の担体にモリブデンとテクネチウムとを含む液剤を通液し、前記第1の担体に前記テクネチウムを吸着させる工程と、
    前記第1の担体を加熱しながら通液し、前記第1の担体に吸着されている前記テクネチウムを溶出する工程と、
    前記第1の担体を通過した後の溶出液中の前記テクネチウムを第2の担体に吸着させる工程と、
    前記第2の担体に吸着された前記テクネチウムを溶出する工程と、
    を含むことを特徴とする放射性医薬製造方法。
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