JP2018090790A - 香料植物由来の芳香水を製造するシステムとその方法 - Google Patents

香料植物由来の芳香水を製造するシステムとその方法 Download PDF

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Abstract

【課題】プラスに帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物を利用し、これをマイナスに帯電する微細気泡を含有する第1の液体に浸漬して加熱し、その芳香成分を液体中に保持させることで香料植物由来の芳香水を製造するシステムとその方法を提供する。【解決手段】プラスに帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物19を浸漬するために、マイナスに帯電する微細気泡を含有する第1の液体18を貯留し、加熱可能にヒーターを備えた圧力容器2と、この圧力容器2内で発生した第1の液体18の蒸気の少なくとも一部と第2の液体15を混合させて微細気泡を含有する気液混合流体を生成する微細気泡生成装置3と、生成された気液混合流体を導入する貯留槽4と、を有する。【選択図】図1

Description

本発明は、微細気泡生成装置を用いて香料植物由来の芳香水を製造するシステムとその方法に関する。
従来、香料植物から芳香成分を抽出するには、原材料の香料植物を加熱して抽出するか、熱風乾燥させて粉砕パック加工する方法がとられてきた。
例えば、特許文献1には「香草エキスの製造方法、機能性飲料の製造方法、塩味マスキング方法および機能性飲料」という名称で、香草類を温水に浸漬して、湿潤させる工程と、前記工程で得られた湿潤した前記香草類を水蒸気蒸留し、溜出液を得る工程と、水蒸気蒸留後の香草類を温水で抽出し、抽出液を得る工程と、前記溜出液と前記抽出液とを混合して香草エキスを得る工程とを有する発明が開示されている。
この特許文献1に開示される発明では、天然物由来の物質を用いて香味バランスに優れた機能性飲料を提供可能な香草エキスの製造方法を提供することが可能である。
また、特許文献2には、「プリン塩基化合物低減高香味ビール風味発酵アルコール飲料及びその製造方法」という名称で、麦類穀物原料とホップとを用いるビール風味発酵アルコール飲料の製造工程において、発酵液を特定の吸着剤により処理することにより、発酵液中のプリン塩基化合物を有効に吸着・除去し、しかも、ビール風味発酵アルコール飲料の本来の香気成分であるホップ由来の香気成分及び酵母由来のエステル成分を吸着せずに有効に保持させることができる発明が開示されている。
さらに、特許文献3では、「香り付与液生成装置、香り付与液生成方法、香り付与液、アルコール飲料および物質付与液生成装置」という名称で、水または水を主成分とする液体に、香りを放出する物質を与えることなく、当該液体自体に香りを与えることができる技術が開示されており、また、不溶性、難溶性または微溶性の物質を含有する液体を生成することができる技術が開示されている。
特開2013−201952号公報 特開2012−125205号公報 特開2013−154342号公報 特許第5536272号公報
しかしながら、特許文献1では天然物由来の芳香成分を抽出することは可能であるものの、その芳香成分が揮発することに対してはこれを防ぐ方策がなく、芳香成分を効率的に抽出するといった観点からは不足するものであった。
また、特許文献2に開示される技術でも、吸着剤を用いて芳香成分を保持することが可能であるものの一旦揮発してしまった芳香成分についてはこれを回収する方策がなく、やはり芳香成分を効率的に抽出するといった観点からは不足するものであった。
さらに、特許文献3に開示される発明では、香り成分を含む気体と水を混合しているが、香り成分を含む気体を生成する必要があり、さらにその気体と水を混合させる場合にその気体が凝縮しないため混合し難く、気体を加圧圧縮して水との混合状態を維持する必要があるのでシステムも大型化してしまうという課題があった。
一方、特許文献4に開示される発明では、芳香成分と被験者の生体状態の相関関係を視覚化する技術が開示されている。本発明におけるその芳香成分の中には植物由来の香り成分であるゲラニオールやシトロネロールが含まれるテルペン系アルコール類も対象とされ、分子の極性の高低及び帯電状態によって各種の芳香成分を分類した表1が開示されている。表1によれば、テルペン系アルコール類は正に帯電しておりその極性は他の芳香成分と比較して高いことがわかる。
本発明はかかる従来の事情に対処してなされたものであり、プラス(+)に帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物を利用し、これをマイナス(−)に帯電する微細気泡を含有する第1の液体に浸漬して加熱し、その芳香成分を液体中に保持させることで香料植物由来の芳香水を製造するシステムとその方法を提供することを目的としている。
また、このようにして芳香成分が保持された第1の液体から加熱によって発生した蒸気と第2の液体を混合させてマイナス(−)に帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成し、その気液混合流体と第2の液体を混合させてそれを第2の液体として、これを再度第1の液体から発生した蒸気との混合に用いて第2の液体を還流させることで第2の液体に含有される芳香成分及び微細気泡の濃度を高めることができ、芳香成分及び微細気泡の濃度が高まった第2の液体を新たな第1の液体として用いたり、あるいは第1の液体に追加して用いることで、芳香成分の濃度を高めることができる香料植物由来の芳香水の製造システムとその方法を提供することも目的としている。
上記目的を達成するため、第1の発明である香料植物由来の芳香水の製造システムは、香料植物由来の芳香水を製造するシステムであって、プラス(+)に帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物を浸漬するために、マイナス(−)に帯電する微細気泡を含有する第1の液体を貯留し、加熱可能にヒーターを備えた圧力容器と、この圧力容器内で抽出された前記芳香成分を含有する第1の液体の蒸気の少なくとも一部と第2の液体を混合させてマイナス(−)に帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成する微細気泡生成装置と、前記第2の液体を貯留しつつ、生成された前記気液混合流体を導入する貯留槽と、を有し、前記貯留槽は、導入された前記気液混合流体と前記第2の液体を混合させ、前記微細気泡生成装置に前記第2の液体として供給することを特徴とするものである。
上記構成の香料植物由来の芳香水の製造システムでは、香料植物が含有している芳香成分の中にはゲラニオールやシトロネロール等のテルペン系アルコールのようにプラスに帯電するものが存在していることから、マイクロバブルやナノバブルと呼ばれる微細気泡がpH4程度以上の酸性、中性、アルカリ性においてマイナスに帯電する特性を利用して、芳香成分を微細気泡に保持(包摂)させるように作用させている。
具体的には、圧力容器内でマイナスに帯電する微細気泡を含有する第1の液体に浸漬され、プラスに帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物を加熱することで香料植物からの芳香成分を抽出して保持し、第1の液体から蒸気を生成する。微細気泡生成装置は、第1の液体の蒸気の少なくとも一部と第2の液体を混合させてマイナスに帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成する。
第1の液体の蒸気の少なくとも一部としているのは、微細気泡生成装置で混合される第1の液体の蒸気が第2の液体の量に依存していること及び蒸気のみならず圧力容器内に存在する空気等の非凝縮性の気体も含まれて気液混合流体が生成されると考えられることの両方による。
貯留槽は、第2の液体を貯留しつつ微細気泡を含有する気液混合流体を導入し、この気液混合流体と第2の液体を混合させる作用を有し、また、この貯留槽で混合された液体を第2の液体として微細気泡生成装置に送出して、微細気泡生成装置との間で第2の液体を還流させるように作用する。
このように微細気泡生成装置で得られた気液混合流体を第2の液体に混合させて還流させることで第2の液体に含有される微細気泡及び芳香成分の濃度が高まるように作用する。
第1の液体は直接香料植物を浸漬した液体であり、第2の液体は第1の液体の蒸気と混合させて第1の液体の蒸気に含まれる芳香成分を保持する液体であり、これらを区別するために第1の液体と第2の液体としているが、これらは同一の種類の液体である。また、第1の液体及び第2の液体としてはいずれも水あるいは純水が最も代表的である。
また、本願発明では、第1の液体が製造される芳香水であり、第2の液体は還流させて芳香成分と微細気泡の濃度を高めた後に第1の液体として利用可能であるので、いわば第1の液体の原料とも呼べる性質のものである。
なお、本願では、液体は微細気泡を含有する液体をも含む概念である。したがって、微細気泡生成装置で生成される気液混合流体は気体と液体を混合させるため気液混合「液体」とは言わず気液混合「流体」として、「流体」という語を用いたが、この気液混合流体と第2の液体を混合させたものは「液体」という。
また、第2の発明である香料植物由来の芳香水の製造システムは、第1の発明において、前記貯留槽内において前記気液混合流体から分離された気体又は前記貯留槽内の前記第2の液体を前記圧力容器へ供給し、それぞれ前記第1の液体の蒸気又は前記第1の液体と混合させることを特徴とするものである。
上記構成の香料植物由来の芳香水の製造システムでは、第1の発明の作用に加えて、貯留槽内において気液混合流体から分離された気体を第1の液体の蒸気に混合させることで、第1の液体の蒸気を再利用するように作用し、あるいは、還流させた第2の液体を第1の液体に混合させることで、芳香成分と微細気泡を第1の液体に供給し、第1の液体の芳香成分をより高濃度とするように作用する。
また、第3の発明である香料植物由来の芳香水の製造システムは、第1の発明又は第2の発明において、前記微細気泡生成装置は、ベンチュリーノズルを備え、このベンチュリーノズルの吸込口から前記第2の液体を導入し、前記ベンチュリーノズルの喉部に前記第1の液体の蒸気を導いて混合させることを特徴とするものである。
上記構成の香料植物由来の芳香水の製造システムでは、第1の発明又は第2の発明の作用に加えて、微細気泡生成装置のベンチュリーノズルが喉部を備えていることで第2の液体の吸込み時の圧力よりも減圧されて第1の液体の蒸気が導かれ易くするように作用する。
そして、第4の発明である香料植物由来の芳香水の製造システムは、第1の発明乃至第3の発明のいずれか1つの発明において、前記貯留槽に貯留される前記第2の液体を抽出して冷却し、冷却後に返送する冷却装置を備えることを特徴とするものである。
上記構成の香料植物由来の芳香水の製造システムでは、第1の発明乃至第3の発明のいずれか1つの発明の作用に加えて、微細気泡生成装置で第1の液体の蒸気の少なくとも一部と第2の液体を混合させて微細気泡を含有する気液混合流体を生成する際に発生する熱を、気液混合流体が混合された貯留槽内の第2の液体から除熱するように作用する。
さらに、第5の発明である香料植物由来の芳香水の製造方法は、香料植物由来の芳香水を製造する方法であって、プラスに帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物をマイナスに帯電する微細気泡を含有する第1の液体に浸漬して加熱し、前記香料植物から前記第1の液体に芳香成分を抽出することを特徴とするものである。
上記構成の香料植物由来の芳香水の製造方法では、マイナスに帯電する微細気泡を含有する第1の液体に、プラスに帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物を浸漬し、加熱することで香料植物からの芳香成分を抽出する。
第5の発明においても同様に、香料植物が含有しているプラスに帯電する芳香成分をマイナスに帯電する微細気泡に保持(包摂)させるように作用させて、芳香成分の抽出を促進させるものである。このようにして得られる第1の液体が製造される芳香水となる。
第6の発明である香料植物由来の芳香水の製造方法は、香料植物由来の芳香水を製造する方法であって、プラスに帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物をマイナスに帯電する微細気泡を含有する第1の液体に浸漬し、加熱して前記第1の液体の蒸気を発生させる第1の工程と、前記第1の液体の蒸気の少なくとも一部と第2の液体を混合させてマイナスに帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成する第2の工程と、前記気液混合流体を前記第2の液体に混合させて前記第2の工程へ供給し、前記第2の液体を還流させる第3の工程と、還流された前記第2の液体を新たな前記第1の液体として、新たにプラス(+)に帯電する芳香成分を抽出可能な新たな香料植物を浸漬して加熱し、前記新たな香料植物から前記新たな第1の液体に芳香成分を抽出する第4の工程と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の香料植物由来の芳香水の製造方法では、第1の工程ではマイナスに帯電する微細気泡を含有する第1の液体にプラスに帯電する芳香成分を含有する香料植物を浸漬し、加熱しながら香料植物からの芳香成分を抽出して微細気泡に保持させ、そして第1の液体の蒸気を発生させる作用を有する。
第2の工程では、第1の液体の蒸気の少なくとも一部と第1の液体とは別の第2の液体を混合させてマイナスに帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成する。この工程では微細気泡発生装置等を用いて気液混合流体を生成するように作用する。
また、第3の工程では、第2の工程で得られた気液混合流体を第2の液体に混合させて還流して第2の液体に含有される微細気泡及び芳香成分の濃度を高めるように作用する。
第4の工程では、第3の工程で還流させた第2の液体を新たな第1の液体として使用し、新たにプラスに帯電する芳香成分を抽出可能な新たな香料植物を浸漬して加熱し、新たな香料植物から新たな第1の液体に芳香成分を抽出することで、より高濃度の芳香成分を第1の液体に抽出するように作用する。
このようにして第4工程で得られる第1の液体が製造される芳香水となる。
第7の発明である香料植物由来の芳香水の製造方法は、香料植物由来の芳香水を製造する方法であって、プラスに帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物をマイナスに帯電する微細気泡を含有する第1の液体に浸漬し、加熱して前記第1の液体の蒸気を発生させる第1の工程と、前記第1の液体の蒸気の少なくとも一部と第2の液体を混合させてマイナスに帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成する第2の工程と、前記気液混合流体を前記第2の液体に混合させて前記第2の工程へ供給し、前記第2の液体を還流させる第3の工程と、還流された前記第2の液体を前記第1の液体に混合させて前記第1の工程へ供給し、前記第1の液体を還流させる第4の工程と、を有することを特徴とするものである。
上記構成の香料植物由来の芳香水の製造方法では、第6の発明と第3の工程まで同一であり、その作用も同一であるが、第4の工程が異なる。
第4の工程では、第2の液体を第1の液体に混合させて第1の工程へ供給し、第1の液体を還流させて、第1の液体の芳香成分及び微細気泡の濃度を高めるように作用する。
本発明の第1の発明である香料植物由来の芳香水の製造システムでは、プラスに帯電する芳香成分を含有する香料植物をマイナスに帯電する微細気泡を含有する第1の液体に浸漬して加熱することで、微細気泡が香料植物から抽出される芳香成分を引き寄せて保持することが可能である。
さらに、加熱によって生成される第1の液体の蒸気の少なくとも一部と第2の液体を混合させてマイナスに帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成させて、その第2の液体を貯留する貯留槽に導入して、さらにこの貯留槽から第2の液体として微細気泡生成装置へ送出され、第2の液体は微細気泡生成装置との間で還流されるので、第2の液体に含有される微細気泡及び芳香成分の濃度をより高めることが可能である。
したがって、この第2の液体を新たに第1の液体として圧力容器の中へ導入し、新たな香料植物を浸漬して加熱することで、より高濃度の芳香成分を第1の液体に抽出して保持させることが可能となり、第1の液体をより高濃度の芳香水とすることができる。
第2の発明である香料植物由来の芳香水の製造システムでは、第1の発明の効果に加えて、貯留槽内において気液混合流体から分離された気体を第1の液体の蒸気に混合させることで、第1の液体の蒸気を再利用することが可能であり、あるいは、還流させた第2の液体を第1の液体に混合させることで、芳香成分と微細気泡を第1の液体に供給し、第1の液体の芳香成分と微細気泡をより高濃度とすることが可能であり、第1の液体をより高濃度の芳香水とすることができる。
本発明の第3の発明である香料植物由来の芳香水の製造システムでは、第1の発明又は第2の発明の効果に加えて、第1の液体の蒸気を第2の液体に、より容易に混合させることが可能であり、第1の液体中に保持される芳香成分をより効率的に第2の液体に混合させることが可能である。
本発明の第4の発明である香料植物由来の芳香水の製造システムでは、第1の発明乃至第3の発明のいずれか1つの発明の効果に加えて、微細気泡を含有する気液混合流体に対する除熱が可能であり、供給される第2の液体の温度を下げることでシステム全体の温度及び圧力上昇を防止して安定運転することが可能である。
本発明の第5の発明である香料植物由来の芳香水の製造方法では、香料植物が含有しているプラスに帯電する芳香成分をマイナスに帯電する微細気泡に保持(包摂)させることができ、芳香成分の抽出を促進させることができる。したがって第1の液体をより濃度の高い芳香水とすることが可能である。
本発明の第6の発明である香料植物由来の芳香水の製造方法では、マイナスに帯電する微細気泡を含有する第1の液体に、プラスに帯電する芳香成分を含有する香料植物を浸漬し、加熱しながら香料植物からの芳香成分を抽出して微細気泡に保持させながら発生させた第1の液体の蒸気を用いて第1の液体とは別の第2の液体と混合させてマイナスに帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成させるが、この気液混合流体を第2の液体とさらに混合させて第2の液体とし、再度第1の液体の蒸気と混合させてマイナスに帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成させるので、第2の液体が還流し、第2の液体に含有される微細気泡及び芳香成分の濃度を高めることができる。
すなわち、第1の液体を加熱することで発生する蒸気を逃がすことなく、有効に活用することが可能である。
そして、この第2の液体を新たな第1の液体として使用し、新たにプラスに帯電する芳香成分を抽出可能な新たな香料植物を浸漬して加熱し、新たな香料植物から新たな第1の液体に芳香成分を抽出することで、より高濃度の芳香成分を第1の液体に抽出することが可能であり、第1の液体をより高濃度の芳香水とすることができる。
第6の発明で第2の液体を新たな第1の液体として使用したのに対し、本発明の第7の発明である香料植物由来の芳香水の製造方法では、還流された第2の液体を第1の液体に混合させて第1の液体を還流させるので、第1の液体の芳香成分と微細気泡の濃度を高めることが可能である。
また、第6の発明のように第2の液体を取り出すためのサイクルを停止して、取り出した第2の液体を第1の液体とする新しいサイクルを別に開始する必要もないので、時間や労力あるいは原料の観点から芳香水の生産効率を高めることが可能である。
本発明の第1の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造システムの構成を示す概念図である。 本発明の第1の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造システムにおける微細気泡生成装置のシステム構成を示す概念図である。 本発明の第2の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造方法の工程フロー図である。 本発明の第3の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造方法の工程フロー図である。
以下に、本発明の第1の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造システムについて図1及び図2を参照しながら説明する。
図1は本発明の第1の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造システムの構成を示す概念図であり、図2は本発明の第1の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造システムにおける微細気泡生成装置のシステム構成を示す概念図である。
図1において、香料植物由来の芳香水の製造システム1は、主として圧力容器2、微細気泡生成装置3、芳香準備水貯留槽4及び冷却装置5及びこれらを接続する配管から構成されている。
圧力容器2にはプラスに帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物としてバラ花弁19がマイナスに帯電する微細気泡を含有する水に浸漬されており、これを圧力容器2に備えられているヒーター(図示せず)によって加熱することで、バラ花弁19からわずかに溶出する芳香成分を含むバラ花弁香料抽出液18が生成される。プラスに帯電する芳香成分はマイナスに帯電する微細気泡に引き寄せられて保持されるので、圧力容器2内で香料植物から芳香成分が水中に抽出され易く、また保持され易いと考えられる。
圧力容器上部空間17にはバラ花弁香料抽出液18がヒーターの加熱によって蒸気となって充満しており、この蒸気を圧力容器上部空間17に接続された圧力容器流出配管6によって微細気泡生成装置3へ送出する。
香料植物としては、バラの花の他、ゼラニウム、カモミール、ジャスミン、ジンチョウゲ、アネモネ、イランイランなどの花やレモングラス、ミント、バジル、ラベンダー、ローズマリーなどのハーブも含まれる。また、これらの香料植物から溶出する芳香成分としては、ゲラニオール、シトロネロール、ネロール、リナロール及びメントールなど、いずれもカルボキシル基を有するテルペノイドが含まれている。
これらのカルボキシル基を有するテルペノイドを含む芳香成分の微細気泡による保持について説明する。
圧力容器2内のバラ花弁香料抽出液18に含まれる芳香成分は、バラに由来するゲラニオールやシトロネロールといったテルペン系アルコールであり、これらの芳香成分は特許文献4の表1に開示されるとおりプラス(+)に帯電していることが知られている。
一方、マイクロバブルの表面電荷に関する論文(マイクロナノバブルとナノバブルの基礎と工学的応用 著者:産業技術総合研究所 環境管理技術研究部門 高橋正好)中の図15に、横軸に水のpH(ペーハー)、縦軸にマイクロバブルのゼータ電位が示されたグラフが掲載されている。このグラフによれば、マイクロバブルのゼータ電位は水のpHに大きく影響を受ける傾向にあり、pHが4以下の強い酸性ではややプラス側の電位を示すものの、pH4よりも大きなpHの場合はマイナスとなる。
例えば、弱酸性(pH6程度)では−(マイナス)40mV程度、中性(pH7程度)では−55から−80mV程度となり、アルカリ性(pH9からpH10程度)では−100mVを超える値となる。
圧力容器2内の水は概ね中性であるため、その水中の微細気泡の表面は−55から−80mV程度に帯電しているものと考えられ、バラ花弁香料抽出液18に含まれる芳香成分であるバラ由来のゲラニオールやシトロネロールがプラスに帯電することから、微細気泡はこれらの芳香成分を引きつけて保持する作用があるものと考えられる。よって、微細気泡を含有する水はより高濃度に芳香成分を抽出することが可能であり、このバラ花弁香料抽出液18を取り出すことで高濃度の芳香水を製造することが可能である。
微細気泡生成装置3は、その内部に格納される圧力容器21と、この圧力容器21の内部に収容される微細気泡生成モジュール24とその微細気泡生成モジュール24の導入部22に配置されたベンチュリーノズル23から構成される。
微細気泡生成モジュール24は、圧力容器流出配管6によって導かれるバラ花弁香料抽出液18の蒸気の少なくとも一部と、芳香準備水貯留槽4から微細気泡生成装置流入配管8を介して配送される芳香準備水15を混合させて気液混合流体を生成し、生成された気液混合流体を芳香準備水貯留槽4に微細気泡生成装置流出配管7を介して返送する。当初芳香準備水貯留槽4に貯留されているのは水であるが気液混合流体となって返戻されることで徐々に芳香成分と微細気泡の濃度が高まり、芳香準備水15となっていく。微細気泡生成モジュール24によって芳香準備水貯留槽4に貯留されている水(芳香準備水15)を混合させる際に使用される気体は、圧力容器流出配管6に設けられた流量調整弁20(図2)によって流量調整されたバラ花弁香料抽出液18の蒸気の他、圧力容器2の内部に存在する非凝縮性の気体が含まれる。また、この流量調整弁20は、気液混合流体の生成に用いられる芳香準備水貯留槽4内の芳香準備水15の量とのバランスを取るためにも使用されており、花弁香料抽出液18の蒸気の少なくとも一部が用いられることになる。なお、バラ花弁香料抽出液18の余剰蒸気は余剰芳香蒸気バイパス配管9を介して芳香準備水貯留槽4の上部空間に形成される気層部分に送出される。
芳香準備水貯留槽4では、当初、前述のとおり水を貯留しており、この水を微細気泡生成装置3に供給して、圧力容器2からのバラ花弁香料抽出液18の蒸気と混合させ、微細気泡生成装置3から気液混合流体の返送を受けて貯留する。貯留された気液混合流体に含まれる気体の一部が分離しても芳香準備水貯留槽4の外部には漏洩することなく貯留槽上部空間16に滞留する。気液混合流体から残留する微細気泡を含む液体は芳香準備水15を生成する。
なお、前述のとおり、バラ花弁香料抽出液18の蒸気には圧力容器上部空間17に存在する非凝縮性の気体である空気も一部含まれるものと考えられ、気液混合流体として芳香準備水貯留槽4に送出された際に、凝縮して液化して水となる蒸気や微細気泡として残留する蒸気や空気の他に、分離して貯留槽上部空間16に導かれる空気も存在している。
芳香準備水貯留槽4の上層に余剰芳香蒸気バイパス配管9を介して送出されるバラ花弁香料抽出液18の蒸気及び気液混合流体から分離した気体は、圧力容器流入配管12を介してポンプ13によって加圧され、圧力容器2の圧力容器上部空間17に回収され、バラ花弁香料抽出液18に接しながら、再度圧力容器流出配管6から微細気泡生成装置3に送出される。なお、圧力容器流入配管12には、圧力容器2から芳香準備水貯留槽4にバラ花弁香料抽出液18の蒸気が逆流しないように逆止弁14が設けられている。
以上説明したとおり、元々圧力容器2で抽出された香料植物の芳香成分のうち、芳香準備水貯留槽4内に芳香準備水15として貯留されたもの以外の芳香成分は圧力容器2に回収され、バラ花弁香料抽出液18に溶解する成分と再度圧力容器流出配管6を介して送出されて芳香準備水15の生成に用いられる気液混合流体に用いられる成分として還流させることが可能である。
さらに、微細気泡生成装置3でバラ花弁香料抽出液18の蒸気と混合される水には、芳香準備水貯留槽4に貯留される芳香準備水15が用いられるため、微細気泡生成装置3と芳香準備水貯留槽4との間でも芳香準備水15が還流し、圧力容器2で香料植物から抽出される芳香成分の還流が形成されている。
すなわち、圧力容器2で生成されるバラ花弁香料抽出液18及び芳香準備水貯留槽4で生成される芳香準備水15のいずれも香料植物から抽出された芳香成分が還流されて濃度を高めることが可能であり、香料植物由来の芳香成分を効率的に抽出することが可能である。
次に、芳香準備水貯留槽4に貯留される芳香準備水15を冷却するための冷却装置5について説明を加える。微細気泡生成装置3で生成される気液混合流体にはバラ花弁香料抽出液18の蒸気が用いられており、この蒸気が凝縮して液化するため凝縮熱が発生する。したがって、芳香準備水貯留槽4の芳香準備水15の温度が徐々に上昇していくのでこれを冷却してやる必要がある。そこで、芳香準備水貯留槽4の芳香準備水15を冷却装置流入配管11経由で引き出し、冷却装置5で冷却した後に冷却装置流出配管10経由で返戻する。
冷却装置5による冷却能力は圧力容器2のヒーターによる加熱量に依存するので、ヒーターによる加熱量に基づいて決定されるとよい。
さらに、微細気泡生成装置3の内部構造について図2を参照しながら説明を追加する。図2において、微細気泡生成装置3の内部には圧力容器21内に格納された微細気泡生成モジュール24が設けられており、圧力容器2に接続される圧力容器流出配管6は微細気泡生成モジュール24の導入部22に配置されるベンチュリーノズル23の喉部に接続されている。したがって、圧力容器2から圧力容器流出配管6を介して送出されるバラ花弁香料抽出液18の蒸気は、このベンチュリーノズル23の喉部に導かれる。
一方、芳香準備水貯留槽4から供給される水(芳香準備水15)を供給するための微細気泡生成装置流入配管8は、ポンプ28を介して圧力容器21の容器入口25を経由して微細気泡生成モジュール24の導入部22に接続されている。
したがって、芳香準備水貯留槽4から供給される水はポンプ28で加圧されるが、ベンチュリーノズル23の喉部で流速の増加に伴い動圧が上昇し静圧が低下することでバラ花弁香料抽出液18の蒸気がベンチュリーノズル23の喉部に吸引されて混合され、気液混合流体が生成される。さらに微細気泡生成モジュール24の内部で微細気泡が生成され、バラ花弁香料抽出液18の蒸気に含まれる芳香成分を保持した気液混合流体が生成されて、圧力容器21の内部に充満する。なお、微細気泡生成モジュール24において微細気泡を発生させるメカニズムとしては気液混合流体に対して急激にせん断力をかけるなどすることでマイクロバブルや更に細かいナノバブルを発生させることが可能である。
例えば、特許第6019418号公報に開示される「微細気泡生成器と微細気泡生成装置とそのシステム」に含まれる構成をこの微細気泡生成モジュール24として使用することができる。あるいは、他の周知な従来技術を採用することが可能であるので、特にこの微細気泡生成モジュール24の構造については本願明細書では説明しない。
この圧力容器21の容器入口25が設けられた底部とは逆の頭部にはその上面に容器出口27が形成されたフランジ26が設けられており、圧力容器21の内部に充満した芳香成分を含む微細気泡を含有した気液混合流体は、この容器出口27に接続された微細気泡生成装置流出配管7を介して芳香準備水貯留槽4に送出される。
このように構成される本実施の形態に係る香料植物由来の芳香準備水の製造システムは、前述のとおり、圧力容器2内にマイナスに帯電する微細気泡を含有する水にプラスに帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物を浸漬して、ヒーターで加熱してバラ花弁香料抽出液18を生成するので、より濃度の高い芳香成分を含有する芳香水を製造することが可能である。
また、微細気泡生成モジュール24を用いて、バラ花弁香料抽出液18の蒸気を芳香準備水貯留槽4から供給される水(芳香準備水15)に混合させつつ、微細気泡を発生させるため、溶解し難い芳香成分を、微細気泡を利用して気液混合流体中に保持させることができ、気液混合流体中の芳香成分の濃度を高めることが可能である。
また、芳香準備水貯留槽4で生成される芳香準備水15は微細気泡生成装置3との間で還流されることで、香料植物から抽出された芳香成分と微細気泡の濃度を高めることが可能であり、香料植物由来の芳香成分をシステム外に漏出させることなく、効率的に抽出することが可能である。
したがって、芳香準備水貯留槽4に貯留された芳香準備水15を、別の芳香水製造サイクルのために、圧力容器2内の当初の水としても用いることが可能であり、新たな香料植物を浸漬して加熱することで、より高濃度の芳香成分を抽出して保持させることが可能となり、バラ花弁香料抽出液18をより高濃度の芳香水とすることができる。
さらに、芳香準備水貯留槽4内の貯留槽上部空間16から蒸気を圧力容器2の圧力容器上部空間17に送出してバラ花弁香料抽出液18の蒸気に混合させることで、バラ花弁香料抽出液18の蒸気を再利用することが可能である。それによってバラ花弁香料抽出液18の蒸気に含まれる芳香成分の濃度を高めることも可能であり、バラ花弁香料抽出液18の蒸気がバラ花弁香料抽出液18に溶けることでバラ花弁香料抽出液18自体の芳香成分の濃度も高めることが可能であり、濃度の高い芳香水(バラ花弁香料抽出液18)を製造することが可能である。
なお、本実施の形態では図1に示されるとおり、芳香準備水貯留槽4の貯留槽上部空間16と圧力容器2の圧力容器上部空間17を接続する圧力容器流入配管12を設けたが、これを芳香準備水貯留槽4の芳香準備水15が貯留される液相と圧力容器2の圧力容器上部空間17あるいはバラ花弁香料抽出液18が貯留される液相とを接続する圧力容器流入配管を設けてもよい。この場合もポンプと逆止弁が必要である。
このような配管によれば、芳香準備水貯留槽4と微細気泡生成装置3との間で還流させた芳香準備水15を直接圧力容器2内に導入させることが可能である。還流させた芳香準備水15をバラ花弁香料抽出液18に混合させることで、芳香成分と微細気泡をバラ花弁香料抽出液18に供給し、バラ花弁香料抽出液18の芳香成分と微細気泡をより高濃度とすることが可能であり、よって、より高濃度の芳香水を製造することが可能である。芳香準備水15から微細気泡の供給を受けることで、より芳香成分の保持が促進されるので、その点からもより高濃度の芳香水を製造することが可能である。
しかも、芳香準備水15を取り出すために芳香水の製造サイクルを停止して、取り出した芳香準備水15をバラ花弁香料抽出液18とする新しいサイクルを別に開始する必要もないので、時間や労力あるいは原料の観点から芳香水の生産効率を高めることが可能である。
また、微細気泡生成装置3から芳香準備水貯留槽4への戻り配管である微細気泡生成装置流出配管7及び冷却装置5から芳香準備水貯留槽4への戻り配管である冷却装置流出配管10はいずれも図1では芳香準備水貯留槽4の液相に出口が形成されているが、これはいずれも芳香準備水貯留槽4の気相に出口が形成されてもよい。
次に、本発明の第2の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造方法について図3を参照しながら説明する。図は本発明の第2の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造方法の工程フロー図である。なお、図3では、発明の内容を理解容易にするために各工程が図1に示されるシステムの構成要素のいずれの機能に対応するかを明示している。
図3において、香料植物由来の芳香水の製造方法のステップS1はプラスに帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物を浸漬した第1の液体を加熱する工程であり、ステップS2は香料植物を浸漬した第1の液体を加熱する工程である。この2つの工程を実施可能とするシステム構成は圧力容器2である。本実施の形態では、香料植物としてバラ花弁を用いている。
ステップS1及びS2で、バラ花弁19から芳香成分が抽出され、これが第1の液体に溶解してバラ花弁香料抽出液18が生成される。このバラ花弁香料抽出液18が加熱されることで蒸気を発生する。第1の液体としては水が代表的であるが、この水にはマイナスに帯電する微細気泡を含有させており、バラ花弁19から抽出される芳香成分が第1の液体である水に溶解するにつれてバラ花弁香料抽出液18となる。
ステップS3ではバラ花弁香料抽出液18となった第1の液体から発生して芳香成分を含む蒸気と第2の液体を混合して気液混合流体とする。第2の液体としても水が代表的である。
気液混合流体に対して急激にせん断力を加えることなどによって微細気泡を発生させ、この微細気泡中に芳香成分を保持した気液混合流体が形成される。この微細気泡を生成させる具体的な方法については既に第1の実施の形態の説明時に述べたとおりであり、すでに知られた技術で実現することが可能である。
第2の液体である水とバラ花弁香料抽出液18の蒸気が混合され、さらに微細気泡を発生させ、微細気泡中に芳香成分が保持された気液混合流体が生成されるにつれて、第2の液体も芳香準備水15となる。
さらに、ステップS5では、この気液混合流体が第2の液体と混合され、その混合された第2の液体をステップS3で用いられる第2の液体として還流させるのがステップS6である。
すなわち、第2の液体に対して芳香成分が保持されて芳香準備水15となり、その芳香準備水15を再度第2の液体としてバラ花弁香料抽出液18の蒸気と混合させて、さらに微細気泡を発生させることでさらに芳香成分を保持させることが可能である。このようにして芳香準備水15を第2の液体として還流させることで、元々第1の液体(バラ花弁香料抽出液18)で抽出されたバラ花弁19からの芳香成分を逃すことなく効率的に芳香準備水15中に保持させて高い濃度の芳香準備水15を生産することが可能である。また、この芳香準備水15は微細気泡を含有する気液混合流体と混合されることから、微細気泡も含有されている。
また、ステップS7ではステップS4で生成された気液混合流体から気体を分離して、これをステップS1における第1の液体、すなわちバラ花弁香料抽出液18に接触させながら、再度ステップS3で用いられる蒸気として第2の液体(芳香準備水15)と混合させるのがステップS8である。気液混合流体から蒸気を分離してバラ花弁香料抽出液18に接触させることで、分離された蒸気中に含まれる芳香成分のうち、バラ花弁香料抽出液18に溶解可能なものは溶解させることでバラ花弁香料抽出液18の濃度を高めることが可能であり、さらに、ステップS2における第1の液体の蒸気として、ステップS3で第2の液体(芳香準備水15)と混合させることで、芳香準備水15の濃度も高めることが可能である。
なお、本実施の形態においては、ステップS5とS6をステップS7とS8の前段として説明したが、これらのステップS5とS6及びステップS7とS8の組合せはステップS6及びステップS8の還流が実行される限りいずれを前段、後段としてもよい。
以上説明したとおり、本実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造方法においては、芳香準備水15を、別の芳香水製造サイクルのために、香料植物を含浸させる当初の水としても用いることが可能であり、新たな香料植物を浸漬して加熱することで、より高濃度の芳香成分を抽出して保持させることが可能となり、バラ花弁香料抽出液18をより高濃度の芳香水とすることができる。
さらに、ステップS7で気液混合流体から分離された蒸気をバラ花弁香料抽出液18の蒸気に混合させることで、バラ花弁香料抽出液18の蒸気を再利用することが可能であり、それによってバラ花弁香料抽出液18の蒸気に含まれる芳香成分の濃度を高めることも可能である。
次に、図4を参照しながら、本発明の第3の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造方法について説明する。
図は本発明の第3の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造方法の工程フロー図である。なお、図4でも図3と同様に発明の内容を理解容易にするために各工程が図1に示されるシステムの構成要素のいずれの機能に対応するかを明示している。
図4から容易に理解できるとおり、第3の実施の形態は、第2の実施の形態とステップS6までは同じであり、その後のステップS7,8に代えて、気液混合流体と混合した第2の液体を第1の液体に混合させるステップS7Aを備えるものである。具体的には、第2の実施の形態において説明したとおり、第1の液体はバラ花弁香料抽出液18であり、第2の液体は芳香準備水15であるので、ステップS3でバラ花弁香料抽出液18の蒸気と芳香準備水15を混合し、ステップS4で微細気泡を含有する気液混合流体を生成させて、さらに、ステップS7Aとして、この気液混合流体を芳香準備水15に混合させて、それをバラ花弁香料抽出液18に混合させるというものである。
このようにして得られるバラ花弁香料抽出液18は、還流されて芳香成分と微細気泡の濃度が高まった芳香準備水15の流入によって、芳香成分と微細気泡をより高濃度とすることが可能である。よって、より高濃度の芳香水(バラ花弁香料抽出液18)を製造することが可能である。
以上説明した第2及び第3の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造方法においては、第1の実施の形態に係る香料植物由来の芳香水の製造システムを方法発明として捉えたものであるので、以上説明した効果の他、第1の実施の形態において発揮される効果と同等の効果を発揮することが可能である。
最後に図1に示すシステムを用いて実際にバラを用いて芳香水を製造し、その芳香水の中のゲラニオールとシトロネロールの含有濃度を測定した結果を表1に示す。
まず、図1に示す香料植物由来の芳香水の製造システム1で、圧力容器2との接続を外した圧力容器流出配管6から空気が吸入できるようにしておき、芳香準備水貯留槽4に純水16L(リットル)を貯留し、微細気泡生成装置3と芳香準備水貯留槽4の間で貯留水を循環させて空気を用いて、気液混合流体を生成して、芳香準備水貯留槽4内の純水に微細気泡を含有させる。このようにしてできた微細気泡を含有した純水を芳香準備水貯留槽4から圧力容器2に移して、芳香準備水貯留槽4には別の純水を貯留して、バラ1.2kgを圧力容器2に入れ、90℃まで加熱し、気化分を微細気泡生成装置3及び芳香準備水貯留槽4を介して圧力容器2に還流させて芳香水(バラ花弁香料抽出液18)を生産した。還流は微細気泡生成装置3と芳香準備水貯留槽4間での還流及び芳香準備水貯留槽4から圧力容器2へも還流させた。加熱時間は30分であった。
なお、対照区(従来例)として、単に鍋に純水16Lとバラ1.2kgを入れて90℃まで加熱し、その後30分間加熱して得られた芳香水を取得して比較を行った。
測定方法はガスクロマトグラフィーによる。ゲラニオール(和光特級)、シトロネロール(和光特級)をそれぞれ約20mg取り、水を加えて100mLとした。この液2mLを取り、水を加えて20mLとした(約20ppm)。この液10mLを取り、60℃で15分加熱した後、ヘッドスペース法により分析した。2,5,10ppmになるように調製した液においても同様に分析し、検量線を作成した。
図1に示すシステムによって得られた芳香水(実施例)と対照区の芳香水(従来例)をそれぞれ10mL取り、60℃で15分加熱した後、ヘッドスペース法により分析した。
Figure 2018090790
表1により、従来例の芳香水はゲラニオールが0.8ppmであったのに対し、実施例の芳香水では1.6ppmと2倍の濃度で検出された。また、シトロネロールでは従来例では不検出であったのに対し、実施例では0.1ppmで検出され、芳香成分の濃度が従来例に比較して向上しており、本実施の形態における香料植物由来の芳香水を製造するシステム及びその製造方法の効果が確認された。
以上説明したように、本発明の請求項1乃至請求項7に記載された発明は、香料植物から芳香成分を抽出して芳香水を製造するメーカの他、香料植物に含有される芳香成分を分析・研究する分析機関や研究機関において利用可能であり、検査機関における検査、薬剤メーカによる芳香成分を含む機能性成分に対する薬効試験、更には医療研究機関における種々の疾病の治療法研究においても利用の可能性がある。
1…香料植物由来の芳香水の製造システム 2…圧力容器 3…微細気泡生成装置 4…芳香準備水貯留槽 5…冷却装置 6…圧力容器流出配管 7…微細気泡生成装置流出配管 8…微細気泡生成装置流入配管 9…余剰芳香蒸気バイパス配管 10…冷却装置流出配管 11…冷却装置流入配管 12…圧力容器流入配管 13…ポンプ 14…逆止弁 15…芳香準備水 16…貯留槽上部空間 17…圧力容器上部空間 18…バラ花弁香料抽出液 19…バラ花弁 20…流量調整弁 21…圧力容器 22…導入部 23…ベンチュリーノズル 24…微細気泡生成モジュール 25…容器入口 26…フランジ 27…容器出口 28…ポンプ

Claims (7)

  1. 香料植物由来の芳香水を製造するシステムであって、
    プラス(+)に帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物を浸漬するために、マイナス(−)に帯電する微細気泡を含有する第1の液体を貯留し、加熱可能にヒーターを備えた圧力容器と、この圧力容器内で抽出された前記芳香成分を含有する第1の液体の蒸気の少なくとも一部と第2の液体を混合させてマイナス(−)に帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成する微細気泡生成装置と、前記第2の液体を貯留しつつ、生成された前記気液混合流体を導入する貯留槽と、を有し、
    前記貯留槽は、導入された前記気液混合流体と前記第2の液体を混合させ、前記微細気泡生成装置に前記第2の液体として供給することを特徴とする香料植物由来の芳香水の製造システム。
  2. 前記貯留槽内において前記気液混合流体から分離された気体又は前記貯留槽内の前記第2の液体を前記圧力容器へ供給し、それぞれ前記第1の液体の蒸気又は前記第1の液体と混合させることを特徴とする請求項1記載の香料植物由来の芳香水の製造システム。
  3. 前記微細気泡生成装置は、ベンチュリーノズルを備え、このベンチュリーノズルの吸込口から前記第2の液体を導入し、前記ベンチュリーノズルの喉部に前記第1の液体の蒸気を導いて混合させることを特徴とする請求項1又は請求項2に記載の香料植物由来の芳香水の製造システム。
  4. 前記貯留槽に貯留される前記第2の液体を抽出して冷却し、冷却後に返送する冷却装置を備えることを特徴とする請求項1乃至請求項3のいずれか1項に記載の香料植物由来の芳香水の製造システム。
  5. 香料植物由来の芳香水を製造する方法であって、
    プラス(+)に帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物をマイナス(−)に帯電する微細気泡を含有する第1の液体に浸漬して加熱し、前記香料植物から前記第1の液体に芳香成分を抽出することを特徴とする香料植物由来の芳香水の製造方法。
  6. 香料植物由来の芳香水を製造する方法であって、
    プラス(+)に帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物をマイナス(−)に帯電する微細気泡を含有する第1の液体に浸漬し、加熱して前記第1の液体の蒸気を発生させる第1の工程と、前記第1の液体の蒸気の少なくとも一部と第2の液体を混合させてマイナス(−)に帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成する第2の工程と、前記気液混合流体を前記第2の液体に混合させて前記第2の工程へ供給し、前記第2の液体を還流させる第3の工程と、還流された前記第2の液体を新たな前記第1の液体として、新たにプラス(+)に帯電する芳香成分を抽出可能な新たな香料植物を浸漬して加熱し、前記新たな香料植物から前記新たな第1の液体に芳香成分を抽出する第4の工程と、を有することを特徴とする香料植物由来の芳香水の製造方法。
  7. 香料植物由来の芳香水を製造する方法であって、
    プラス(+)に帯電する芳香成分を抽出可能な香料植物をマイナス(−)に帯電する微細気泡を含有する第1の液体に浸漬し、加熱して前記第1の液体の蒸気を発生させる第1の工程と、前記第1の液体の蒸気の少なくとも一部と第2の液体を混合させてマイナス(−)に帯電する微細気泡を含有する気液混合流体を生成する第2の工程と、前記気液混合流体を前記第2の液体に混合させて前記第2の工程へ供給し、前記第2の液体を還流させる第3の工程と、還流された前記第2の液体を前記第1の液体に混合させて前記第1の工程へ供給し、前記第1の液体を還流させる第4の工程と、を有することを特徴とする香料植物由来の芳香水の製造方法。


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