JP2018090766A - 光透過性樹脂組成物 - Google Patents

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雄二 中山
鶴田 洋明
Hiroaki Tsuruta
洋明 鶴田
幸利 中込
Yukitoshi Nakagome
幸利 中込
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Abstract

【課題】本発明は、機能層との密着性に優れ、屈曲後に抵抗値が上昇し難い保護膜を形成できる光透過性樹脂組成物およびディスプレイの提供を目的とする。【解決手段】無機素材を形成した機能層、および前記機能層の保護膜を備えた基材の保護膜形成に使用するガラス転移温度30〜170℃かつ数平均分子量2,000〜140,000で環構造を有する樹脂(A)、および架橋剤(B)を含む光透過性樹脂組成物であって、その硬化被膜は、引張速度0.01mm/秒での引張弾性率が400〜4000MPa、かつ前記硬化被膜を2%延伸したときの引張応力が15〜60MPaである。【選択図】図1

Description

本発明は、電子部品等の保護に使用できる光透過性樹脂組成物に関する。
近年、スマートフォンやタブレット端末等の携帯端末に代表される電子機器は、大きさを維持しつつ諸機能の向上、および薄型化が進められている。そのため、電子機器の内部に搭載されるプリント配線板やディスプレイ部材を始めとする電子部品は、薄型化、高密度化、多層化、配線の高精細化が検討されている。
例えばスマートフォンでは、限られた空間に多機能を実現するため多くの部材が収納されている。その中のひとつとして配線等の保護膜は、折り曲げ等を実現できる高度な可とう性および屈曲性、ならびに狭い空間での使用を考慮した高い電気絶縁性や熱安定性等の性能が求められる。さらに携帯端末の必須部材であるタッチパネルは、タッチパネル上に基材および機能層(例えば透明導電層、信号配線、無機バリア層)が積層されているところ、保護膜は前記機能層と積層されるため更なる適性が必要になる。また、他の機能層として太陽電池内部の透明電極の破断を防止し、保護する必要がある。
特許文献1には、環構造を有さないアクリル樹脂、光重合性化合物、および光重合開始剤を含む樹脂組成物が開示されている。
WO2013/084875号
しかし、従来の樹脂組成物を用いた保護膜は、可とう性および屈曲性が低いため、曲げ等の応力を加えると割れ(クラック)が発生する。例えば、透明電極を保護する場合抵抗値が上昇する問題があった。また基材に対する密着性が低い問題もあった。
本発明は、機能層との密着性に優れ、屈曲後に抵抗値が上昇し難い保護膜を形成できる光透過性樹脂組成物およびディスプレイの提供を目的とする。
本発明の光透過性樹脂組成物は、無機素材を形成した機能層、および前記機能層の保護膜を備えた基材の保護膜形成に使用し、ガラス転移温度30〜170℃かつ数平均分子量2,000〜140,000で環構造を有する樹脂(A)、および架橋剤(B)を含み、
前記光透過性樹脂組成物の硬化被膜は、引張速度0.01mm/秒での引張弾性率が400〜4000MPa、かつ前記硬化被膜を2%延伸したときの引張応力が15〜60MPaである。
上記の本発明によれば、樹脂組成物の硬化被膜が適度な引張弾性率、および延伸時に適度な引張応力を有することで、密着性、および屈曲後にクラックが発生し難い効果が得られる。
本発明により機能層との密着性に優れ、屈曲後に抵抗値が上昇し難い保護膜を形成できる光透過性樹脂組成物およびディスプレイを提供できる。
透明電極層を保護する態様の模式図断面図 無機バリア層の模式図断面図 引張試験シートの模式図 密着性試験シートの模式図 屈曲性試験(抵抗値変化率測定用)シートの模式図 屈曲性試験(水蒸気透過率測定用)シートの模式図 耐溶剤性試験用シートの模式図
本発明の光透過性樹脂組成物(以下、樹脂組成物という)は、ガラス転移温度(以下、Tgという)30〜170℃、かつ数平均分子量(以下、Mnという)2,000〜140,000で環構造を有する樹脂(A)、および架橋剤(B)を含む。前記樹脂組成物の硬化被膜は、引張速度0.01mm/秒での引張弾性率400〜4000MPa、かつ前記硬化被膜を2%延伸した時の引張応力が15〜60MPaである。
本発明の樹脂組成物は、無機素材を形成した機能層、および前記機能層の保護膜を備えた基材の保護膜形成に使用し、所定のTg、Mnおよび環構造を有する樹脂(A)と架橋剤(B)を、その硬化被膜が所定の引張弾性率および所定の引張応力を満たす程度に硬化させることで上記課題を解決する。組成面(樹脂(A)および架橋剤(B))、ならびに弾性率(引張弾性率および引張応力)は、いずれも共に満たす必要があるため、組成面または弾性率のいずれか一方を満たすのみでは、上記課題が解決できない。
本発明の樹脂組成物は、例えば、ディスプレイを構成する様々な部材に使用される機能層を保護する保護膜として使用することが好ましい。かかる保護膜は、機能層を有する基材との密着性に優れたことに加え、透明電極(透明導電膜ともいう)の保護に使用したところ屈曲後に抵抗値の上昇を抑制できる効果、ならびに無機バリア層の保護に使用したところ屈曲後に水蒸気バリア性の低下を抑制できる効果という予想外の効果が得られる。
<樹脂(A)>
樹脂(A)は、バインダー樹脂である。樹脂(A)のTgは、30〜170℃であることが好ましく、50〜150℃がより好ましい。Tgが30℃以上になると、硬化被膜の凝集力がより向上し、耐湿熱性もより向上する。またTgが170℃以下になると硬化被膜に適度な凝集力を付与できるため、密着性がより向上する。なお、本明細書では、保護膜と硬化被膜を区別しない。
樹脂(A)のMnは、2,000〜140,000が好ましく、6,000〜100,000が好ましく、6,000〜55,000がより好ましい。Mnが2,000以上になると硬化被膜の凝集力が高くなり耐湿熱性がより向上する。またMnが140,000以下になると樹脂組成物の粘度調整や容易になるため、保護膜を形成し易く、また、適度な凝集力が得易い。
また、樹脂(A)の水酸基価は、2〜400mgKOH/gが好ましく、4〜350mgKOH/gがより好ましい。水酸基価が2mgKOH/g以上になると、保護膜の架橋密度が高まり、耐溶剤性がより向上する。また、水酸基価が400mgKOH/g以下になると、保護膜の耐湿熱性がより向上する。なお、樹脂(A)が水酸基価を有するためには、水酸基を含有することが好ましい。
また樹脂(A)は、環構造を有している。環構造とは、炭素のみから構成される芳香環および脂肪族環、ならびに炭素以外の原子を含む複素環が挙げられる。
樹脂(A)が環構造を有することで、硬化被膜は、水蒸気の透過を抑制できるため、湿熱経時後に機能層との密着性が低下し難い。樹脂(A)中の環構造の位置する部位は、樹脂(A)の主鎖、樹脂(A)の側鎖、または樹脂(A)の主鎖および側鎖に有する態様が挙げられる。
樹脂(A)は、例えば、エポキシ樹脂(ただし、フェノキシ樹脂を除く)、ポリウレタン、ポリウレタンウレア、フェノキシ樹脂、フェノール樹脂、ポリカーボネート、ベンゾグアナミン樹脂、ポリエステル、芳香族ポリエーテルケトン、アルキッド樹脂、シリコーン樹脂、スチレン樹脂、スチレン−(メタ)アクリル樹脂、スチレン−ブタジエン樹脂、セルロースアセテートプロピオネート(CAP)樹脂、セルロースアセテートブチレート(CAB)樹脂、ブチラール樹脂、アセタール樹脂、ケトン樹脂、フッ素樹脂、ポリオレフィン、メラミン樹脂、尿素樹脂、ロジン、ロジンエステルおよびマレイン酸樹脂等が挙げられる。これらの中でも密着性、および屈曲性の面で、エポキシ樹脂(ただし、フェノキシ樹脂を除く)、フェノキシ樹脂、ポリエステル、ブチラール樹脂、CAB樹脂、ポリウレタンが好ましい。
エポキシ樹脂は、本明細書では下記フェノキシ樹脂を除くエポキシ基を有する樹脂を指し、公知のエポキシ樹脂を使用できる。
フェノキシ樹脂は、芳香族ジオール(ビスフェノールA、ビスフェノールF等)とエピクロルヒドリンとを反応させて得られるビスフェノール骨格を持つポリヒドロキシポリエーテル構造を有する樹脂である。
ポリエステルは、水酸基およびカルボキシル基の少なくとも一方を有することが好ましい。ポリエステルは、多塩基酸とポリオール等との反応、多塩基酸エステルとポリオール等とのエステル交換反応等の公知の反応で合成できる。また、ポリエステルにカルボキシル基を付与する方法は、公知の手法が使用できるところ、例えばポリエステルを合成後、180〜230℃でε―カプロラクトンなどの環状エステルを後付加(開環付加)してブロック化する方法、または無水トリメリット酸、無水フタル酸などの酸無水物を付与する方法等が挙げられる。
多塩基酸は、例えば芳香族ジカルボン酸、直鎖脂肪族ジカルボン酸、環状脂肪族ジカルボン酸等、および3官能以上のカルボン酸、その他のカルボン酸等が挙げられる。なお、多塩基酸は、酸無水物基含有化合物を含む。
芳香族ジカルボン酸は、例えばテレフタル酸、イソフタル酸等が挙げられる。直鎖脂肪族ジカルボン酸は、例えばアジピン酸、セバシン酸、アゼライン酸等が挙げられる。環状脂肪族ジカルボン酸は、例えば1,4−シクロヘキサンジカルボン酸、ジカルボキシ水素添加ビスフェノールA、ダイマー酸、4−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸、3−メチルヘキサヒドロ無水フタル酸等が挙げられる。3官能以上のカルボン酸は、例えば無水トリメリット酸、無水ピロメリット酸等が挙げられる。その他のカルボン酸は、例えばフマル酸等の不飽和ジカルボン酸、5−スルホイソフタル酸ナトリウム塩等のスルホン酸金属塩含有ジカルボン酸等も挙げられる。多塩基酸は、単独または2種類以上を併用できる。
ポリオールは、ジオール、および3個以上の水酸基を有する化合物が好ましい。ジオールは、例えばエチレングリコール、プロピレングリコール、1,4−ブタンジオール、ネオペンチルグリコール等が挙げられる。3個以上の水酸基を有する化合物は、例えばトルメチロールプロパン、グリセリン、ペンタエリスリトール等が挙げられる。ポリオールは、単独または2種類以上を併用できる。
ブチラール樹脂は、例えばポリビニルエステルのけん化により得られるポリビニルアルコールをブチラール化することで合成できる公知の樹脂である。
CAB樹脂は、例えばセルロース、またはその誘導体のヒドロキシル基に炭素数1〜32のカルボン酸、アルコール、フェノール、およびこれらの誘導体から選ばれる1種以上を反応させて合成できる。CAB樹脂は、公知の樹脂を使用できる。
ポリウレタンは、例えばポリオールとジイソシアネートと鎖延長剤のジオール化合物とを反応させて得られる、末端に水酸基を有する樹脂である。ポリウレタンは、鎖延長剤を使用して分子鎖を延ばすことができる。鎖延長剤は、一般的にはジオール等が好ましい。ポリウレタンは、公知の樹脂を使用できる。
また、樹脂(A)は、(メタ)アクロイル基を有しても構わない。
樹脂(A)は、単独または2種以上を併用できる。
<架橋剤(B)>
架橋剤(B)は、樹脂(A)を除くものであり、いわゆる硬化剤、および光重合開始剤を含む。
架橋剤(B)が硬化剤の場合、樹脂(A)と反応して保護膜を形成する。架橋剤(B)は、樹脂(A)が水酸基を有する場合、例えばイソシアネート化合物等が好ましい。また、樹脂(A)がカルボキシル基を有する場合、例えばイソシアネート化合物、エポキシ化合物、アジリジン化合物、オキサゾリン化合物、カルボジイミド化合物等が好ましい。さらに、樹脂(A)がエポキシ基を有する場合、例えばアミン化合物、酸無水物基含有化合物等が好ましい。
イソシアネート化合物は、例えば芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネート等が好ましい。
芳香族ポリイソシアネートは、例えばトリレンジイソシアネートのトリメチロールプロパンアダクト体、トリレンジイソシアネートのイソシアヌレート体、および4,4’−ジフェニルメタンジイソシアネートのオリゴマー等が挙げられる。
脂肪族ポリイシシアネートは、例えばトリメチレンジイソシアネート、テトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート、ペンタメチレンジイソシアネート、1,2−プロピレンジイソシアネート、1,2−ブチレンジイソシアネート、2,3−ブチレンジイソシアネート、1,3−ブチレンジイソシアネート、2,4,4−又は2,2,4−トリメチルヘキサメチレンジイソシアネート、ダイマー酸ジイソシアネート、2,6−ジイソシアナトヘキサン酸メチル等の脂肪族ジイソシアネート;2,6−ジイソシアナトヘキサン酸2−イソシアナトエチル、1,6−ジイソシアナト−3−イソシアナトメチルヘキサン、1,4,8−トリイソシアナトオクタン、1,6,11−トリイソシアナトウンデカン、1,8−ジイソシアナト−4−イソシアナトメチルオクタン、1,3,6−トリイソシアナトヘキサン、2,5,7−トリメチル−1,8−ジイソシアナト−5−イソシアナトメチルオクタン等の脂肪族トリイソシアネート等が挙げられる。
脂環族ポリイソシアネートは、例えばイソホロンジイソシアネートのイソシアヌレート体、イソホロンジイソシアネートのオリゴマー等が挙げられる。
また、イソシアネート化合物のイソシアネート基をブロックしたブロックイソシアネートも好ましい。
ブロックイソシアネートとは、イソシアネート化合物のイソシアネート基とブロック剤とを反応させた化合物である。加熱により解離温度に達すると、イソシアネートとブロック剤とに解離し、生成したイソシアネート基が、樹脂(A)中の水酸基と反応して硬化する。ベースイソシアネートは、既に説明した芳香族ポリイソシアネート、脂肪族ポリイソシアネート、および脂環族ポリイソシアネートが好ましい。また、ベースイソシアネートは3官能以上のイソシアネート基を有することが好ましい。
ブロックイソシアネートのブロック剤の解離温度は、80〜180℃が好ましく、100〜140℃が好ましく、140℃未満がより好ましい。解離温度が80℃以上では、適度な凝集力が得易く機能層との密着性がより向上することに加え、樹脂組成物の保存安定性がより向上する。また、解離温度が180℃以下になると、架橋密度が向上し易いため耐溶剤性がより向上する。なおブロック剤の解離温度を140℃未満にすると基材の寸法変化を抑制する更なる効果が得られる。
ブロックイソシアネートを構成するブロック剤は、例えばメチルエチルケトンオキシム(MEKO、解離温度130℃)、ジメチルピラゾール(DMP、解離温度110℃)、マロン酸ジエチル(DEM、解離温度110℃)、ε-カプロラクタム(E−CAP、解離温度170℃)、ブタノンオキシム(解離温度160℃)、フェノール(解離温度170℃)、および活性メチレン化合物(解離温度90℃)等が挙げられる。なお、解離温度は、ベースイソシアネートの種類により多少上下する場合がある。
エポキシ化合物は、例えばエポキシ基を有する化合物である。エポキシ化合物の性状は、液体と固体がある。エポキシ化合物は、グリシジルエーテル型エポキシ樹脂、グリシジルアミン型エポキシ樹脂、グリシジルエステル型エポキシ樹脂、および環状脂肪族(脂環型)エポキシ樹脂が挙げられる。
グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、例えばビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂、フェノールノボラック型エポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のクレゾール構造とクレゾール構造の間にビフェニル構造を有するエポキシ樹脂、クレゾールノボラック型エポキシ樹脂のクレゾール構造とクレゾール構造の間にジシクロペンタジエン骨格構造を有するエポキシ樹脂、α−ナフトールノボラック型エポキシ樹脂、ビスフェノールA型ノボラック型エポキシ樹脂、ジシクロペンタジエン型エポキシ樹脂、ビフェニル型エポキシ樹脂、トリス(グリシジルオキシフェニル)メタン、およびテトラキス(グリシジルオキシフェニル)エタン等が挙げられる。
グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、例えばテトラグリシジルジアミノジフェニルメタン、トリグリシジルパラアミノフェノール、トリグリシジルメタアミノフェノール、およびテトラグリシジルメタキシリレンジアミン等が挙げられる。
グリシジルエステル型エポキシ樹脂は、例えばジグリシジルフタレート、ジグリシジルヘキサヒドロフタレート、およびジグリシジルテトラヒドロフタレート等が挙げられる。
脂環型エポキシ樹脂は、例えばエポキシシクロヘキシルメチル−エポキシシクロヘキサンカルボキシレート、およびビス(エポキシシクロヘキシル)アジペート等が挙げられる。
アジリジン化合物は、例えばトリメチロールプロパン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、テトラメチロールメタン−トリ−β−アジリジニルプロピオネート、N,N−ヘキサメチレン−1,6−ビス−1−アジリジンカルボキシアミド、4,4−ビス(エチレンイミノカルボキルアミノ)ジフェニルメタン等が挙げられる。
オキサゾリン化合物は、例えば2,2‘−(1,3−フェニレン)−ビス(2−オキサゾリン)等が挙げられる。
カルボジイミド化合物は、例えばジシクロヘキシルカルボジイミド、およびカルボジライト等が挙げられる。
アミン化合物は、例えばジエチレントリアミン、トリエチレンテトラミン、テトラエチレンペンタミン等が挙げられる。
酸無水物基含有化合物は、例えばテトラヒドロ無水フタル酸、ドデセニル無水コハク酸、無水メチルナジック酸、無水トリメリット酸、および無水ピロメリット酸等が挙げられる。
架橋剤(B)は、単独または2種類以上を併用できる。
架橋剤(B)は、光重合開始剤であっても良い。光重合開始剤は、光ラジカル重合開始剤、光カチオン重合開始剤が好ましい。
光重合開始剤は、樹脂組成物に配合された重合性化合物と反応することが好ましい。
光ラジカル重合開始剤は、例えば1−ヒドロキシシクロヘキシルフェニルケトン、2,2−ジメトキシ−2−フェニルアセトフェノン、キサントン、フルオレノン、ベンズアルデヒド、フルオレン、アントラキノン、エチルアントラキノン、トリフェニルアミン、カルバゾール、3−メチルアセトフェノン、4−クロロベンゾフェノン、4,4'−ジメトキシベンゾフェノン、4,4'−ジアミノベンゾフェノン、ミヒラーケトン、ベンゾインプロピルエーテル、ベンゾインエチルエーテル、ベンジルジメチルケタール、1−(4−イソプロピルフェニル)−2−ヒドロキシ−2−メチルプロパン−1−オン、2−ヒドロキシ−2−メチル−1−フェニルプロパン−1−オン、チオキサントン、ジエチルチオキサントン、2−イソプロピルチオキサントン、2−クロロチオキサントン、2−メチル−1−〔4−(メチルチオ)フェニル〕−2−モルホリノ−プロパン−1−オン、2,4,6−トリメチルベンゾイルジフェニルフォスフィンオキサイド、ビス−(2,6−ジメトキシベンゾイル)−2,4,4−トリメチルペンチルフォスフィンオキサイド等が挙げられる。
光カチオン重合開始剤は、例えばカチオン部分が、芳香族スルホニウム、芳香族ヨードニウム、芳香族ジアゾニウム、芳香族アンモニウム、チアンスレニウム、チオキサントニウム、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Feカチオンであり、アニオン部分が、BF-、PF-、SbF-、[BX-(但し、Xは少なくとも2つ以上のフッ素またはトリフルオロメチル基で置換されたフェニル基)で構成されるオニウム塩等が挙げられる。
芳香族スルホニウム塩としては、例えばビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジフェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、ジフェニル−4−(フェニルチオ)フェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロホスフェート、トリフェニルスルホニウムヘキサフルオロアンチモネート、トリフェニルスルホニウムテトラフルオロボレート、トリフェニルスルホニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロホスフェート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビスヘキサフルオロアンチモネート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドビステトラフルオロボレート、ビス[4−(ジ(4−(2−ヒドロキシエトキシ))フェニルスルホニオ)フェニル]スルフィドテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ヨードニウム塩としては、例えばジフェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ジフェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ジフェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、ジフェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラフルオロボレート、ビス(ドデシルフェニル)ヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロホスフェート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムヘキサフルオロアンチモネート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラフルオロボレート、4−メチルフェニル−4−(1−メチルエチル)フェニルヨードニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族ジアゾニウム塩としては、例えばフェニルジアゾニウムヘキサフルオロホスフェート、フェニルジアゾニウムヘキサフルオロアンチモネート、フェニルジアゾニウムテトラフルオロボレート、フェニルジアゾニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
芳香族アンモニウム塩としては、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−ベンジル−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロホスフェート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムヘキサフルオロアンチモネート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラフルオロボレート、1−(ナフチルメチル)−2−シアノピリジニウムテトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
チオキサントニウム塩としては、S−ビフェニル2−イソプロピル チオキサントニウム ヘキサフルオロホスフェート等が挙げられる。
また、前記(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe塩としては、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)ヘキサフルオロホスフェート、(2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)ヘキサフルオロアンチモネート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)テトラフルオロボレート、2,4−シクロペンタジエン−1−イル)[(1−メチルエチル)ベンゼン]−Fe(II)テトラキス(ペンタフルオロフェニル)ボレート等が挙げられる。
架橋剤(B)は、樹脂(A)100質量部に対して、1〜30質量部を用いることが好ましく、2〜20質量部がより好ましい。架橋剤(B)が1質量部以上になると、硬化性が向上し凝集力が高くなることで湿熱性、および耐溶剤性が向上する。架橋剤(B)が30質量部以下になると、適度な硬化被膜が得られることで、密着性、および屈曲性が向上する。
<硬化促進剤>
本発明の樹脂組成物は、硬化反応を促進させるために、公知の硬化促進剤(以下、促進剤という)を配合しても良い。
硬化促進剤は、錫系化合物、金属塩化物、金属アセチルアセトネート塩、金属硫酸塩、アミン化合物、アミン塩よりなる群から選択される1種以上の化合物を使用することが好ましい。
錫系化合物は、例えばスタナスオクトエート、ジブチル錫ジラウレート等の有機錫化合物、無機錫化合物等が挙げられる。
金属塩化物は、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu又はAlからなる金属の塩化物で、例えば塩化第二コバルト、塩化第一ニッケル、塩化第二鉄等が挙げられる。
金属アセチルアセトネート塩は、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、Cu又はAlからなる金属のアセチルアセトネート塩であり、例えばコバルトアセチルアセトネート、ニッケルアセチルアセトネート、鉄アセチルアセトネート等が挙げられる。
金属硫酸塩としては、Cr、Mn、Co、Ni、Fe、CuおよびAlからなる群より選択される金属の硫酸塩であり、例えば硫酸銅等が挙げられる。
アミン化合物は、例えばトリエチレンジアミン、N,N,N’,N’−テトラメチル−1,6−ヘキサンジアミン、ビス(2−ジメチルアミノエチル)エーテル、N,N,N’,N”,N”−ペンタメチルジエチレントリアミン、N−メチルモルフォリン、N−エチルモルフォリン、N,N−ジメチルエタノールアミン、ジモルホリノジエチルエーテル、N−メチルイミダゾール、ジメチルアミノピリジン、トリアジン、N’−(2−ヒドロキシエチル)−N,N,N’−トリメチルービス(2−アミノエチル)エーテル、N,N−ジメチルヘキサノールアミン、N,N−ジメチルアミノエトキシエタノール、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)エチレンジアミン、N−(2−ヒドロキシエチル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N−(2−ヒドロキシプロピル)−N,N’,N”,N”−テトラメチルジエチレントリアミン、N,N,N’−トリメチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)プロパンジアミン、N−メチル−N’−(2−ヒドロキシエチル)ピペラジン、ビス(N,N−ジメチルアミノプロピル)アミン、ビス(N,N−ジメチルアミノプロピル)イソプロパノールアミン、2−アミノキヌクリジン、3−アミノキヌクリジン、4−アミノキヌクリジン、2−キヌクリジオール、3−キヌクリジノール、4−キヌクリジノール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)イミダゾール、1−(2’−ヒドロキシエチル)−2−メチルイミダゾール、1−(2’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)イミダゾール、1−(3’−アミノプロピル)−2−メチルイミダゾール、1−(3’−ヒドロキシプロピル)イミダゾール、1−(3’−ヒドロキシプロピル)−2−メチルイミダゾール、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’−(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキエチル)アミン、N,N−ジメチルアミノプロピル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシエチル)アミン、N,N−ジメチルアミノエチル−N’,N’−ビス(2−ヒドロキシプロピル)アミン、メラミン又は/及びベンゾグアナミン等が挙げられる。なお、アミン化合物は、アミン塩を含まない。
アミン塩は、例えばDBU(1,8−ジアザ−ビシクロ[5,4,0]ウンデセン−7)の有機酸塩系のアミン塩等が挙げられる。
促進剤は、単独または2種類以上を併用できる。
促進剤は、樹脂(A)100質量部に対して、通常0.05〜1質量部を使用することが好ましい。促進剤を前記範囲内で使用すると耐溶剤性、および耐熱性がより向上する。
<消泡剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに消泡剤を配合できる。
消泡剤は、例えばアクリル樹脂、ビニルエーテル樹脂、オレフィン樹脂、ブタジエン樹脂、変性シロキサン樹脂、ジメチルポリシロキサン、シリコーン、変性シリコーン(例えば、フッ素変性シリコーン)、石油系樹脂等が挙げられる(ただし、樹脂(A)を除く)。
消泡剤は、単独または2種類以上を併用できる。
消泡剤は、樹脂(A)100質量部に対して0.1〜3質量部を配合することが好ましい。消泡剤が0.1質量部以上になることで混合した際に樹脂組成物が泡立ちにくく、保護膜に気泡が残りにくくなるため視認性がより向上する。また、3質量部以下になると保護膜の透明性がより向上する。
<溶剤>
本発明の樹脂組成物は、さらに溶剤を配合できる。
溶剤を配合すると樹脂組成物の粘度調整が容易になる。溶剤は、使用する樹脂(A)の溶解性や印刷ないし塗工方法等に応じて、適宜選択することができる。
溶剤は、例えばエステル系溶剤、ケトン系溶剤、グリコールエーテル系溶剤、脂肪族炭化水素系溶剤、芳香族炭化水素系溶剤、アルコール系溶剤、エーテル系溶剤、その他溶剤、水等が挙げられる。
エステル系溶剤としては、例えばギ酸エチル、ギ酸プロピル、ギ酸ブチル、ギ酸イソブチル、ギ酸ペンチル、酢酸メチル、酢酸エチル、酢酸n−プロピル、酢酸イソプロピル、酢酸n−ブチル、酢酸イソブチル、酢酸sec−ブチル、酢酸(イソ)アミル、酢酸シクロヘキシル、乳酸エチル、酢酸3−メトキシブチル、酢酸sec−ヘキシル、酢酸2−エチルブチル、酢酸2−エチルヘキシル、酢酸ベンジル、プロピオン酸メチル、プロピオン酸エチル、プロピオン酸ブチル、プロピオン酸イソアミル、γ−ブチロラクトン等が挙げられる。
ケトン系溶剤としては、例えばアセトン、メチルエチルケトン、メチルプロピルケトン、ジエチルケトン、メチルn−ブチルケトン、メチルイソブチルケトン、ジプロピルケトン、ジイソブチルケトン、メチルアミルケトン、アセトニルアセトン、イソホロン、シクロヘキサノン、メチルシクロヘキサノン等が挙げられる。
グリコールエーテル系溶剤としては、例えばメチルイソブチルカルビノール、エチレングリコールジブチルエーテル、エチレングリコールモノフェニルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、エチレングリコールモノヘキシルエーテル、エチレングリコールモノメトキシメチルエーテル、ジエチレングリコールエチルメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、ジプロピレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、トリエチレングリコールジメチルエーテル、トリエチレングリコールモノメチルエーテル、プロピレングリコールモノエチルエーテル、プロピレングリコールモノブチルエーテル、プロピレングリコールモノメチルエーテル、3-メチル-3-メトキシ-1-ブタノール、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールジグリシジルエーテル、エチレングリコールモノイソプロピルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノプロピルエーテル等が挙げられる。
脂肪族炭化水素系溶剤としては、例えばノルマルパラフィン系溶剤、イソパラフィン系溶剤、シクロパラフィン系溶剤が挙げられる。ノルマルパラフィン系溶剤としては、例えばn−ヘキサン、n−ヘプタン、n−オクタン、n−ノナン、n−デカン、n−ドデカン、0号ソルベントL、M、H(新日本石油株式会社製)、ノルマルパラフィンSL、L、M(新日本石油株式会社製)等が挙げられる。イソパラフィン系溶剤としては、例えばイソヘキサン、2,2,3−トリメチルペンタン、イソオクタン、2,2,5−トリメチルヘキサン、アイソゾール200、300、400(新日本石油株式会社製)、スーパゾルFP2、25、30、38(出光興産株式会社製)等が挙げられる。シクロパラフィン系溶剤としては、例えばシクロペンタン、メチルシクロペンタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、エチルシクロヘキサン、ナフテゾール160、200、220(新日本石油株式会社製)、AFソルベント4号、5号、6号、7号(新日本石油株式会社製)等が挙げられる。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えばトルエン、キシレン、エチルベンゼン、ナフタレン、テトラリン、ソルベントナフサが挙げられる。また、市販品では、例えばスワゾール(コスモ石油社製、丸善石油化学社製)ソルベッソ(エクソンモービル社製)、カクタスファイン(ジャパンエナジー社製)等が挙げられる。
アルコール系溶剤としては、例えばメタノール、エタノール、n−プロピルアルコール、イソプロピルアルコール、n−ブチルアルコール、イソブチルアルコール、sec−ブチルアルコール、t−ブチルアルコール、n−アミルアルコール、sec−アミルアルコール、1−エチル−1−プロパノール、2−メチル−1−ブタノール、イソアミルアルコール、t−アミルアルコール、sec−イソアミルアルコール、ネオアミルアルコール、ヘキシルアルコール、2−メチル−1−ペンタノール、4−メチル−2−ペンタノール、ヘプチルアルコール、オクチルアルコール、2−エチルヘキシルアルコール、ノニルアルコール、デシルアルコール、ウンデシルアルコール、ラウリルアルコール、ベンジルアルコール、α−テルピネオール、シクロヘキサノール、3−メトキシブタノール、ジアセトンアルコール等が挙げられる。
エーテル系溶剤としては、例えばテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン等の環状エーテルが挙げられる。
その他溶剤は、例えばジメチルカーボネート、エチルメチルカーボネート、ジ−n−ブチルカーボネート等のカーボネート系溶剤等が挙げられる。
溶剤は、単独または2種類以上を併用できる。
溶剤の使用量は、樹脂組成物の不揮発分および溶剤の合計100重量%のうち5〜75重量%程度である。
本発明の樹脂組成物は、さらにレベリング剤を配合できる。レベリング剤を配合することで保護膜の平滑性がより向上する。レベリング剤は、例えばアクリル樹脂、変性シリコーン、ポリエーテル変性ポリシロキサンコポリマー、ジメチルポリシロキサン化合物、シリコーン変性コポリマー、有機変性ポリシロキサン等が挙げられる。なお、レベリング剤は樹脂(A)以外の化合物である。
レベリング剤は、単独または2種類以上を併用できる。
本発明の樹脂組成物は、さらに微粒子を配合できる。微粒子は、有機微粒子、無機微粒子、有機/無機複合微粒子が好ましい。
有機微粒子は、例えばメラミン樹脂、ベンゾグアナミン樹脂、ベンゾグアナミン/メラミン/ホルマリン縮合物、アクリル樹脂、ウレタン樹脂、スチレン樹脂等が挙げられる、
なお、有機微粒子は、樹脂(A)を除くものである。
無機微粒子は、例えば球状、薄片状、板状、樹枝状、鱗片状の形状を有する公知の微粒子である。無機微粒子は、例えばシリカ、マイカ、合成マイカ、ガラスフレーク、鱗片状アルミナ、鱗片状シリカ、鱗片状アルミニウム、鱗片状二硫化モリブデン、タルク、ウォラスナイト、モンモリロナイト、バイデライト、ヘクロライト、サポナイト、スチブンサイト、セリサイト、イライト、カオリナイト、バーミュクライト、クレー、酸化チタン等が挙げられる。
微粒子は、単独または2種類以上を併用できる。
微粒子は、樹脂(A)100質量部に対して2〜30質量部を配合することが好ましい。前記微粒子が2質量部以上になると、強靭な硬化被膜が得られることで引張弾性率、および2%延伸した時の引張応力がより向上する。さらに乾燥後の硬化収縮を緩和するため密着性、特に湿熱経時後の密着性が向上する。また、前記微粒子が30質量部以下になると、曲げ応力に耐える硬化被膜が得られるため、屈曲後の抵抗値上昇を抑制できる。
本発明の樹脂組成物は、光硬化性化合物を配合しても良い。光硬化性化合物は、光ラジカル硬化性化合物、光カチオン硬化性化合物が好ましい。
光ラジカル硬化性化合物は、例えば単官能(メタ)アクリルモノマー、および多官能(メタ)アクリルモノマー、その他ビニルモノマー、多官能(メタ)アクリルオリゴマー等が好ましい。
単官能(メタ)アクリルモノマーは、アルキル(メタ)アクリレート、極性基含有単官能(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。アルキル(メタ)アクリレートは、アルキル基を有する単官能(メタ)アクリレートである。アルキル基は直鎖、分岐鎖のいずれでもよい。
アルキル(メタ)アクリレートは、例えばメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、n−プロピル(メタ)アクリレート、n−ブチル(メタ)アクリレート、s−ブチル(メタ)アクリレート、t−ブチル(メタ)アクリレート、ヘプチル(メタ)アクリレート、イソアミル(メタ)アクリレート、2−エチルヘキシル(メタ)アクリレート、n−オクチル(メタ)アクリレート、イソオクチル(メタ)アクリレート、n−ノニル(メタ)アクリレート、イソノニル(メタ)アクリレート、n−デシル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
極性基含有単官能(メタ)アクリルモノマーは、カルボキシル基含有単官能(メタ)アクリルモノマー、ヒドロキシル基含有単官能(メタ)アクリルモノマー、アミド基含有単官能(メタ)アクリルモノマー等が挙げられる。カルボキシル基含有単官能(メタ)アクリルモノマーは、例えばアクリル酸、メタクリル酸、カルボキシエチル(メタ)アクリレート、カルボキシペンチル(メタ)アクリレート等が挙げられる。
ヒドロキシル基含有単官能(メタ)アクリルモノマーは、例えば2−ヒドロキシエチル(メタ)アクリレート、2−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、3−ヒドロキシプロピル(メタ)アクリレート、4−ヒドロキシブチル(メタ)アクリレート、6−ヒドロキシヘキシル(メタ)アクリレート、8−ヒドロキシオクチル(メタ)アクリレート、10−ヒドロキシデシル(メタ)アクリレート、12−ヒドロキシラウリル(メタ)アクリレート等のヒドロキシアルキル(メタ)アクリレート;ヒドロキシエチル(メタ)アクリルアミド、(4−ヒドロキシメチルシクロへキシル)メチルアクリレート、N−メチロール(メタ)アクリルアミド、N−ヒドロキシ(メタ)アクリルアミド等が挙げられる。アミド基含有単官能(メタ)アクリルモノマーは、例えばN,N−ジメチルアミノエチルアクリレート、N,N−ジメチルアクリルアミド、N,N−ジエチルアクリルアミド、N−アクリロイルモルホリン等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリルモノマーは、アクリロイル基またはメタクリロイル基を有する多官能(メタ)アクリレート等が挙げられる。上記多官能(メタ)アクリレートは、二官能(メタ)アクリレート、および三官能以上(メタ)アクリレートが挙げられる。
二官能(メタ)アクリレートは、例えばエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ヘキサンジオール(メタ)アクリレート、長鎖脂肪族ジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ヒドロキシピバリン酸ネオペンチルグリコールジ(メタ)アクリレート、ステアリン酸変性ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、プロピレンジ(メタ)アクリレート、グリセロール(メタ)アクリレート、トリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、テトラメチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ブチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ジシクロペンタニルジ(メタ)アクリレート、ポリエチレングリコールジ(メタ)アクリレート、ポリプロピレンジ(メタ)アクリレート、トリグリセロールジ(メタ)アクリレート、ネオペンチルグリコール変性トリメチロールプロパンジ(メタ)アクリレート、アリル化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、メトキシ化シクロヘキシルジ(メタ)アクリレート、アクリル化イソシアヌレート、ビス(アクリロキシネオペンチルグリコール)アジペート、ビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、テトラブロモビスフェノールAジ(メタ)アクリレート、ビスフェノールSジ(メタ)アクリレート、ブタンジオールジ(メタ)アクリレート、フタル酸ジ(メタ)アクリレート、リン酸ジ(メタ)アクリレート、亜鉛ジ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
また、三官能以上の(メタ)アクリレートは、例えばトリメチロールプロパントリ(メタ)アクリレート、トリメチロールエタントリ(メタ)アクリレート、グリセロールトリ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールジ(メタ)アクリレート、ペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールトリ(メタ)アクリレート、リン酸トリ(メタ)アクリレート、トリス(アクリロキシエチル)イソシアヌレート、トリス(メタクリロキシエチル)イソシアヌレート、ペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジトリメチロールプロパンテトラアクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールテトラ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールモノヒドロキシペンタ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールヘキサ(メタ)アクリレート、ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、アルキル変性ジペンタエリスリトールペンタ(メタ)アクリレート、カルボン酸変性ジペンタエリストールペンタ(メタ)アクリレート、ウレタントリ(メタ)アクリレート、エステルトリ(メタ)アクリレート、ウレタンヘキサ(メタ)アクリレート、エステルヘキサ(メタ)アクリレート等が挙げられる。
その他ビニルモノマーは、例えば、スチレン、酢酸ビニル、塩化ビニル、アクリルアルデヒド、アクリロニトリル、アクリルアミド、ビニルカプロラクタム等が挙げられる。
多官能(メタ)アクリルオリゴマーは、式量または重量平均分子量が1000〜20000程度で(メタ)アクリロイル基を2〜10程度有する化合物である。多官能(メタ)アクリルオリゴマーは、例えばウレタン(メタ)アクリレート、エポキシ(メタ)アクリレートが挙げられる。
光カチオン硬化性化合物は、1分子内にオキセタン環、エポキシ環、ビニルエーテル基、ビニルアリール基から選ばれる官能基を1個以上有する化合物が好ましい。
オキセタン環を1分子内に1個以上有する化合物は、例えば3,3−ビス(ビニルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−ヒドロキシメチルオキセタン、3−エチル−3−(2−エチルヘキシルオキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(ヒドロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−[(フェノキシ)メチル]オキセタン、3−エチル−3−(ヘキシロキシメチル)オキセタン、3−エチル−3−(クロロメチル)オキセタン、3,3‐ビス(クロルメチル)オキセタン、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニルメトキシ)メチル]ベンゼン、ビス{[1−エチル(3−オキセタニル)]メチル}エーテル、4,4’−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]ビシクロヘキシル、1,4−ビス[(3−エチル−3−オキセタニル)メトキシメチル]シクロヘキサン、3−エチル−3[[(3−エチルオキセタン−3−イル)メトキシ]メチル]オキセタン等が挙げられる。
エポキシ環を1分子内に1個以上有する化合物は、例えばビスフェノールAジグリシジルエーテル、ビスフェノールFジグリシジルエーテル、ビスフェノールSジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールAジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールFジグリシジルエーテル、臭素化ビスフェノールSジグリシジルエーテル、エポキシノボラック樹脂、水添ビスフェノールAジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールFジグリシジルエーテル、水添ビスフェノールSジグリシジルエーテル、3,4−エポキシシクロヘキシルメチル−3’,4’−エポキシシクロヘキサンカルボキシルレート、2−(3,4−エポキシシクロヘキシル−5,5−スピロ−3,4−エポキシ)シクロヘキサン−メタ−ジオキサン、ビス(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)アジペート、ビス(3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシルメチル)アジペート、3,4−エポキシ−6−メチルシクロヘキシル−3’,4’−エポキシ−6’−メチルシクロヘキサンカルボキシルレート、メチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサン)、ジシクロペンタジエンジエポキサイド、エチレングリコールのジ(3,4−エポキシシクロヘキシルメチル)エーテル、エチレンビス(3,4−エポキシシクロヘキサンカルボキシルレート)、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジオクチル、エポキシヘキサヒドロフタル酸ジ−2−エチルヘキシル、1,4−ブタンジオールジグリシジルエーテル、1,6−ヘキサンジオールジグリシジルエーテル、グリセリントリグリシジルエーテル、トリメチロールプロパントリグリシジルエーテル、ポリエチレングリコールジグリシジルエーテル、ポリプロピレングリコールジグリシジルエーテル類;エチレングリコール、プロピレングリコール、グリセリン等の脂肪族多価アルコールに1種または2種以上のアルキレンオキサイドを付加することにより得られるポリエーテルポリオールのポリグリシジルエーテル類;脂肪族長鎖二塩基酸のジグリシジルエステル類;脂肪族高級アルコールのモノグリシジルエーテル類;フェノール、クレゾール、ブチルフェノールまたはこれらにアルキレンオキサイドを付加して得られるポリエーテルアルコールのモノグリシジルエーテル類;高級脂肪酸のグリシジルエステル類等が挙げられる。
ビニルエーテル基を1分子内に1個以上有する化合物は、例えば2−ヒドロキシエチルビニルエーテル、3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシブチルビニルエーテル、3−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、2−ヒドロキシイソブチルビニルエーテル、1−メチル−3−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−メチル−2−ヒドロキシプロピルビニルエーテル、1−ヒドロキシメチルプロピルビニルエーテル、4−ヒドロキシシクロヘキシルビニルエーテル、1,6−ヘキサンジオールモノビニルエーテル、1,4−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,3−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、1,2−シクロヘキサンジメタノールモノビニルエーテル、p−キシレングリコールモノビニルエーテル、m−キシレングリコールモノビニルエーテル、o−キシレングリコールモノビニルエーテル、ジエチレングリコールモノビニルエーテル、トリエチレングリコールモノビニルエーテル、テトラエチレングリコールモノビニルエーテル、ペンタエチレングリコールモノビニルエーテル、オリゴエチレングリコールモノビニルエーテル、ポリエチレングリコールモノビニルエーテル、ジプロピレングリコールモノビニルエーテル、トリプロピレングリコールモノビニルエーテル、テトラプロピレングリコールモノビニルエーテル、ペンタプロピレングリコールモノビニルエーテル、オリゴプロピレングリコールモノビニルエーテル、ポリプロピレングリコールモノビニルエーテル等、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
ビニルアリール基を1分子内に1個以上有する化合物は、例えばスチレン、ジビニルベンゼン、メトキシスチレン、エトキシスチレン、ヒドロキシスチレン、ビニルナフタレン、ビニルアントラセン、酢酸4−ビニルフェニル、(4−ビニルフェニル)ジヒドロキシボラン、(4−ビニルフェニル)ボラン酸、(4−ビニルフェニル)ボロン酸、4−エテニルフェニルボロン酸、4−ビニルフェニルボラン酸、4−ビニルフェニルボロン酸、p−ビニルフェニルホウ酸、p−ビニルフェニルボロン酸、N−(4−ビニルフェニル)マレインイミド、N−(p−ビニルフェニル)マレイミド、N−(p−ビニルフェニル)マレインイミド等、及びこれらの誘導体等が挙げられる。
また、光カチオン硬化性化合物は、オリゴマーであっても良い。
光硬化性化合物は、単独または2種類以上を併用できる。
光硬化性化合物は、式量またはMnが5000以下の化合物であることが好ましい。なお、樹脂(A)が(メタ)アクロイル基を有する場合、光硬化性化合物の式量またはMnは2000未満が好ましい。
光硬化性化合物は、樹脂(A)100質量部に対して200〜10000質量部を配合することが好ましい。
本発明の樹脂組成物は、上段で説明した原料を配合して攪拌機で混合することで製造できる。攪拌機は、プラネタリーミキサー、およびディスパー等の公知の撹拌装置を使用できる。
本発明の樹脂組成物は、例えばディスプレイの内部に搭載される電子部品の機能層上に印刷(または塗工)し、加熱または紫外線照射により硬化した保護膜を形成することが好ましい。また、本発明の樹脂組成物は、例えば太陽電池内部に搭載される透明電極の機能層を保護するために上記同様に保護膜を形成できる。保護膜(乾燥被膜)は、機能層の劣化、破断等を防止できる。
樹脂組成物から形成した硬化被膜は、引張速度0.01mm/秒での引張弾性率が400〜4000MPaであることが好ましく、600MPa以上がより好ましい。
さらに前記硬化被膜は、2%延伸した時の引張応力が15〜60MPaであることが好ましく、20MPa以上がより好ましい。
硬化被膜が所定の引張弾性率および所定の引張応力を同時に満たすと、適度な強靭さと柔軟さを併せ持つ硬化被膜が得られる。これにより密着性、耐湿熱性、および屈曲性がより向上する。
さらに前記硬化被膜は、降伏点を有することが好ましい。降伏点は、ひずみと応力で規定できる。降伏点ひずみは、2〜10%が好ましく、3〜8%がより好ましい。降伏点ひずみが所定の範囲を満たすと柔軟な硬化被膜が得られるため、屈曲性がより向上する。
降伏点応力は、20〜80MPaが好ましい。降伏点応力が前記範囲内を満たすと、強靭な硬化被膜が得られるため、屈曲後の抵抗値上昇を抑制することができる。
ここでいう降伏点とは、応力の増加は伴わず、ひずみが増加する最初の点のことを言い、その時のひずみを降伏点ひずみ、応力を降伏点応力とする。
上記引張弾性率、引張応力、降伏点、降伏点応力を測定する硬化被膜(試料ともいう)を形成する条件は、所定の引張弾性率および所定の引張応力が得られる範囲であれば良く限定されない。形成条件の一例としては、130℃で30分間加熱し形成した厚み20μmの被膜を縦50mm×幅10mmのサイズに準備する。測定は、島津製作所社製小型卓上引張試験機(EZ−SX)を用いて、チャック間距離23mm、引張速度0.01mm/秒で引張試験を行い、引張弾性率、引張応力を測定する。
樹脂組成物から形成した硬化被膜の30℃における貯蔵弾性率は、700〜3000MPaであることが好ましく、1000MPa以上がより好ましい。貯蔵弾性率が700MPa以上では、適度な強靭さと柔軟さを併せ持つ硬化被膜が得られる。これにより密着性、耐湿熱性、および屈曲性がより向上する。
上記貯蔵弾性率を測定する硬化被膜(試料ともいう)を形成する条件は、所定の貯蔵弾性率が得られる範囲であれば良く限定されない。形成条件の一例としては、130℃で30分間加熱し形成した厚み20μmの被膜を縦28mm×幅5mmのサイズに準備し、アイティー計測制御社製動的粘弾性測定装置(DVA−225)を用いて、チャック間距離20mm、昇温速度10℃/秒、測定温度範囲25〜200℃で測定する。
前記硬化被膜は、機能層の保護膜として使用することが好ましい。前記機能層は、基材上に無機素材を形成した層であり、例えば透明電極層、無機バリア層等が挙げられる。前記機能層は、基材の全面に形成される必要はなく、部分的に形成されていても良い。なお、機能層は、全てが無機素材である必要はなく、有機素材および無機素材の混合物から形成された層であっても良い。
<透明電極層>
機能層は、透明電極層であることが好ましい。
実施態様のひとつとしてタッチパネルディスプレイ内に搭載される透明電極層を保護する態様について図1を元に説明する。なお、透明電極層を含む態様が下記に限定されないことはいうまでもない。
図1によると、基材11、IM層12、透明電極層13、保護膜14、透明電極層13、保護膜14、粘着層15、基材11を順次積層した態様が挙げられる。
基材11は、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、およびガラスが挙げられる。
IM(インデックスマッチング)層12は、透明電極パターンの骨見え防止(不可視化)のための光学調整層である。公知のIM層が使用できる。
IM層12の厚さは、2〜10μm程度である。
透明電極層13は、可視光透過性と電気導電性を兼ね備えた薄膜層であり、液晶、有機EL素子、タッチパネル、太陽電池等の透明電極として広く用いられている。透明電極層3の素材は、金、銀および銅等の導電性金属、ならびにこれらの合金、ならびに、酸化インジウムスズ(ITO)、酸化亜鉛(ZnO)、カーボンナノチューブ(CNT)、フラーレン、グラフェン等の導電性素材も好ましい。なお、CNT等の炭素材料を使用する場合、透明導電層は、バインダー樹脂を含むことが好ましい。
透明電極層13の厚みは、通常5nm〜100000nm程度である。例えばITOの場合、5〜500nm程度である。
保護膜14は、樹脂組成物から形成した硬化被膜である。保護膜14の厚みは、通常3〜30μmが好ましく、4〜10μmがより好ましい。硬化被膜の厚みが3μm以上になると、機能層の保護機能が向上し屈曲性がより向上する。また保護膜14の厚みが30μm以下になると、生産性の向上やコストダウンの他に透明性がより向上する。また前記硬化被膜上に、他の樹脂(A)を用いた樹脂組成物から形成される第二の保護膜を備えることも好ましい。これにより屈曲性がさらに向上する。
前記機能層を有する基材上に保護膜14を形成する方法は、公知の印刷ないし塗工法を使用できる。印刷方法は、例えばスクリーン印刷、フレキソ印刷、オフセット印刷、グラビア印刷、IJ(インクジェット)印刷およびグラビアオフセット印刷等が挙げられる。また塗工方法は、例えばディップコート法、エアーナイフコート法、カーテンコート法、ローラーコート法、ワイヤーバーコート法、グラビアコート法、スライドコート法が挙げられる。
また、印刷または塗布後、乾燥・硬化工程を行なうことが好ましい。乾燥・硬化工程は、UVランプ(例えば高圧水銀ランプ)、熱風オーブン、赤外線オーブン、およびマイクロウエーブオーブン、ならびにこれらを複合した複合オーブン等公知の乾燥装置が挙げられる。熱風オーブンを使用した熱乾燥・硬化の条件は80℃〜180℃で10〜120分程度が好ましく、100℃〜140℃未満で15〜60分程度がより好ましい。また、光照射量は、10〜3000mJ/m程度である。
粘着層15は、例えばアクリル粘着剤、ウレタン粘着剤、ポリエステル粘着剤、シリコーン粘着剤、ゴム系粘着剤が挙げられる。粘着層15の厚みは、10〜300μm程度である。
<無機バリア層>
機能層は、無機バリア層であることが好ましい。
実施態様のひとつとして無機バリア層を備えた有機ELディスプレイの態様について図2を元に説明する。なお、無機バリア層を含む態様が下記に限定されないことはいうまでもない。
図2によると、基材21、TFT22、有機EL発光層23、透明電極層24、無機バリア層25、保護膜26、粘着層27、基材21を順次積層した態様が挙げられる。
透明電極層24、保護膜26、粘着層27は、上段で説明した通りである。
基材21は、特に制限はなく、使用目的等に応じて適宜選択することができる。基材は、例えばセルロールエステル、ポリエステル、ポリオレフィン、ビニル化合物、アクリル樹脂、他の樹脂が好ましい。
セルロールエステルは、例えばセルロールエステルでは、ジアセチルセルロース、トリアセチルセルロース(TAC)、プロピオニルセルロース、ブチリルセルロース、アセチルプロピオニルセルロース、ニトロセルロース等が挙げられる。
ポリエステルは、例えばポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリエチレンナフタレート(PEN)、ポリブチレンテレフタレート、ポリ−1,4−シクロヘキサンジメチレンテレフタレート、ポリエチレン−1,2−ジフェノキシエタン−4,4’−ジカルボキシレート、ポリブチレンテレフタレート等が挙げられる。
ポリオレフィンは、例えばポリエチレン、ポリプロピレン(PP)、ポリメチルペンテン、ポリテトラフルオロエチレン、シクロオレフィンポリマー(COP)等が挙げられる。
ビニル化合物では、ポリビニルアルコール、ポリ酢酸ビニル、ポリ塩化ビニル、ポリフッ化ビニル等が挙げられる。
アクリル樹脂は、例えばポリメチルメタクリレート(PMMA)、ポリアクリル酸エステル等が挙げられる。
他の樹脂は、例えば、ポリスチレン(PS)、ポリカーボネート(PC)、ポリアミド、ポリイミド(PI)、ポリウレタン、ポリスルホン、ポリエーテルスルホン、ポリエーテルケトン、ポリエーテルイミド、ポリオキシエチレン、ノルボルネン樹脂、AS樹脂(SAN)、塩化ビニリデン樹脂(PVDC)、エポキシ樹脂等が挙げられる。これらの中でもポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリカーボネート(PC)、シクロオレフィンポリマー(COP)、ポリイミド(PI)が好ましい。
基材の厚みは、特に制限されないが、30〜350μm程度であり、50〜250μmがより好ましい。前記範囲の厚みにより、基材の機械特性、形状安定性、寸法安定性、およびハンドリング面等が適切になりやすい。
TFT22は、薄膜トランジスタであり、公知のTFT使用できる。
TFT22の厚さは、5〜500nm程度である。
有機EL(エレクトロルミネッセンス)発光層23は、公知の層であり、通常一層から多層で形成された有機化合物から成る層である。
有機EL発光層の厚さは、2〜1000nm程度である。
無機バリア層25は、金属化合物からなる薄膜の層である。無機バリア層の形成方法として、例えば蒸着法、スパッタリング法、イオンプレーティング法等の物理的気相成長法(PVD)、種々の化学的気相成長法(CVD)、めっきやゾルゲル法等の液相成長法がある。特に、CVD法、スパッタリング法は、緻密でバリア性能に優れた無機バリア層を形成できる点で好ましい。
前記金属化合物は、例えば珪素酸化物、アルミニウム酸化物、窒化物、炭化物、およびこれらの混合物、ならびにこれらの複合酸化物が好ましい。また、さらに他の金属酸化物、金属窒化物、または金属炭化物を併用することもできる。無機バリア層は上述した材料からなる単層構造であってもよいし、同一組成または異種組成の複数層からなる多層構造であってもよい。
無機バリア層25の厚みは、特に限定されないが、1層の厚みは15〜100nmが好ましく、20〜50nmがより好ましい。厚みが15nm以上になると、無機バリア層形成時のピンホールの発生が減少し、バリア性能が大きく向上する。また厚みが100nm以下になると、屈曲後に割れが発生し難い。
以上、本発明の樹脂組成物は、機能層を有する基材上への保護膜に適用した場合について詳細を説明した。
本発明の樹脂組成物は、例えばリジッドプリント、フレキシブルプリント、半導体素子、太陽電池、有機EL素子、タッチパネル等の用途に使用しても良い。
また本発明より得られたディスプレイは、例えば携帯電話、スマートフォン、タブレット端末、ノート型パソコン、スマートウォッチ、電子書籍、カーナビゲーション、ゲーム端末、液晶ディスプレイモニター、有機/無機ELディスプレイモニター等が挙げられる。さらにディスプレイが無くとも、デジタルカメラ、ビデオカメラ、CD、DVD、プレーヤー等にも使用できる。
本発明のディスプレイは、基材、ならびに光透過性樹脂組成物の硬化物である保護膜を備えている。前記基材は、機能層を有することが好ましく、前記保護膜は、前記機能層を保護することが好ましい。保護膜は、用途に応じて機能層のすべてを保護する必要がない場合がある。
前記ディスプレイとして、例えばタッチパネルディスプレイは、液晶パネルの表面ガラス板を基材とした図1の実施態様が挙げられる。
また、例えば有機ELディスプレイは、図2で示す実施態様が挙げられる。
また、ディスプレイではないが、太陽電池(図示しないが)を構成する透明電極の保護膜として使用することが好ましい。
以下、実施例、比較例を挙げて本発明を詳細に説明するが、本発明は以下の例に限定されるものではない。尚、特に断りのない限り、「部」は「質量部」、「%」は「質量%」を意味する。表中の配合量は、質量部である。
<樹脂(A)>
[樹脂溶液1]
エリーテルUEー3200G(ポリエステル、Mn15,000、水酸基価6mgKOH/g、Tg65℃、ユニチカ社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液1を得た。
[樹脂溶液2]
XA−0611(ポリエステル、Mn17,000、水酸基価4mgKOH/g、Tg65℃、ユニチカ社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液2を得た。
[樹脂溶液3]
YP−55U(フェノキシ樹脂、Mn10,000、水酸基価283mgKOH/g、Tg84℃、新日鉄住金化学社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液3を得た。
[樹脂溶液4]
FX−293(フェノキシ樹脂、Mn10,500、水酸基価164mgKOH/g、Tg158℃、新日鉄住金化学社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液4を得た。
[樹脂溶液5]
JER1010(エポキシ樹脂、Mn5,500、水酸基価36mgKOH/g、Tg59℃、三菱化学社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液5を得た。
[樹脂溶液6]
BL−10(ブチラール樹脂、Mn18,500、水酸基価247mgKOH/g、Tg59℃、積水化学社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液6を得た。
[樹脂溶液7]
BX−L(ブチラール樹脂、Mn20,000、水酸基価353mgKOH/g、Tg74℃、積水化学社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液7を得た。
[樹脂溶液8]
BX−5(アセタール樹脂、Mn130,000、水酸基価321mgKOH/g、Tg86℃、積水化学社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液8を得た。
[樹脂溶液9]
CABー551―0.2(セルロースアセテートブチレート樹脂、Mn30,000、水酸基価53mgKOH/g、Tg101℃、イーストマンケミカルジャパン社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液9を得た。
[樹脂溶液10]
CABー500―5(セルロースアセテートブチレート樹脂、Mn57,000、水酸基価33mgKOH/g、Tg96℃、イーストマンケミカルジャパン社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液10を得た。
[樹脂溶液11]
UR−1370(ポリウレタン、Mn30,000、水酸基価3mgKOH/g、Tg46℃、不揮発分35%、東洋紡社製)114部を樹脂溶液11としてそのまま使用した。
[樹脂溶液12]
UR−8200(ポリウレタン、Mn25,000、水酸基価4mgKOH/g、Tg73℃、不揮発分30%、東洋紡社製)133部を樹脂溶液12としてそのまま使用した。
[樹脂溶液13]
CABー551―0.01(セルロースアセテートブチレート樹脂、Mn16,000、水酸基価50mgKOH/g、Tg85℃、イーストマンケミカルジャパン社製)40部を単官能(メタ)アクリルモノマー(1)のライトアクリレートL−A(ラウリルアクリレート)60部に溶解し、不揮発分100%の樹脂溶液13を得た。
[樹脂溶液14]
UR−8300(ポリウレタン、Mn30,000、水酸基価3mgKOH/g、Tg23℃、不揮発分30%、東洋紡社製)133部を樹脂溶液14としてそのまま使用した。
[樹脂溶液15]
CAー398―3(セルロースアセテート樹脂、Mn50,000、水酸基価116mgKOH/g、Tg189℃、イーストマンケミカルジャパン社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液15を得た。
[樹脂溶液16]
エリーテルUEー3320(ポリエステル、Mn1,800、水酸基価60mgKOH/g、Tg40℃、ユニチカ社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の樹脂溶液16を得た。
[樹脂溶液17]
ソルバインC(環構造を有さない塩化ビニル/酢酸ビニル共重合樹脂、Mn31,000、Tg70℃、日信化学工業社製)40部をエチレングリコールモノエチルエーテルアセテート60部に溶解し、不揮発分40%の環構造を有さない樹脂溶液17を得た。
樹脂溶液1〜17の樹脂(A)のMn、水酸基価およびTgは、以下の方法に従って求めた。
<数平均分子量(Mn)の測定>
装置:GPC(ゲルパーミッションクロマトグラフィー)
機種:昭和電工社製ShodexGPC−101
カラム:昭和電工社製GPCKF−G+KF805L+KF803L+KF802
検出器:示差屈折率検出器 昭和電工社製ShodexRI−71
溶離液:テトラヒドロフラン(THF)
流量:サンプル側:1mL/分、リファレンス側:0.5mL/分
温度:40℃
サンプル:0.2%THF溶液(注入量100μL)
検量線:東ソー社製の下記の分子量の標準ポリスチレン12点を用いて検量線を作成した。
F128(1.09X10)、F80(7.06X10)、F40(4.27X10)、F20(1.90X10)、F10(9.64X10)、F4(3.79X10)、F2(1.81X10)、F1(1.02X10)、A5000(5.97X10)、A2500(2.63X10)、A1000(1.05X10)、A500(5.0X10)。
ベースライン:GPC曲線の最初のピークの立ち上がり点を起点とし、リテンションタイム25分(分子量3,150)でピークが検出されなかったので、これを終点とした。そして、両点を結んだ線をベースラインとして、分子量を求めた。
<水酸基価の測定>
JISK0070に準拠して測定した。
<Tgの測定>
・装置:セイコーインスツルメンツ社製 示差走査熱量分析計DSC−220C
・試料:約10mg(0.1mgまで量る)
・昇温速度:10℃/分にて200℃まで測定
・Tg温度:低温側のベースラインを高温側に延長した直線と、融解ピークの低温側の曲線に勾配が最大になる点で引いた折線の交点の温度をTgとした。
<架橋剤(B)>
[架橋剤A]
BI7982(ブロックイソシアネート、ベースイソシアネート:HDIトリマー、ブロック剤:DMP、解離温度110℃、不揮発分70%、バクセンデン(BaxendenChemicalsLimited)社製
[架橋剤B]
デュラネートMF−K60B(ブロックイソシアネート、ベースイソシアネート:HDI、ブロック剤:活性メチレン、解離温度90℃、不揮発分60%、旭化成ケミカルズ社製)
[架橋剤C]
デスモジュールBL1100/1(ブロックイソシアネート、ベースイソシアネート:TDI、ブロック剤:εーカプロラクタム、解離温度160℃、不揮発分100%、住化コベストロウレタン社製)
[架橋剤D]
EH−105L(芳香族アミン、アミン価370mgKOH/g、不揮発分100%、ADEKA社製)
[架橋剤E]
IRGACURE907(2−メチルー1−(4−メチルチオフェニル)ー2―モルフォリノプロパンー1−オン、不揮発分100%、BASF社)
[無機微粒子]
SG−95(タルク、不揮発分100%、日本タルク社製)
[単官能(メタ)アクリルモノマー(1)]
ライトアクリレートL−A(ラウリルアクリレート 共栄社化学社製)
[多官能(メタ)アクリルモノマー(2)]
Miramer M220(トリプロピレングリコールジアクリレート、MIWON社)
[硬化促進剤]
XK−614(金属錯体、不揮発分100%、キングインダストリー(KINGINDUSTRIES)社製)
[消泡剤]
AC−326F(ビニルエーテル樹脂、不揮発分100%、共栄社化学社製)
(樹脂組成物の調製)
<実施例1>
樹脂溶液1:100部、架橋剤A:3.0部、促進剤:0.20部、消泡剤:0.50部、溶剤:20.0部とをプラネタリーミキサーにて混合することで樹脂組成物を調製した。
<実施例2〜20、比較例1〜5>
表1〜表2に示す樹脂溶液、架橋剤、促進剤、消泡剤、溶剤および配合比率を変更した以外は、実施例1と同様に行なうことで、それぞれ実施例2〜20、比較例1〜5の樹脂組成物を調製した。
<実施例21>
樹脂溶液1:100部、架橋剤A:3.0部、無機微粒子:8.0部、促進剤:0.20部、消泡剤:0.50部、溶剤:20.0部とをプラネタリーミキサーにて混合し、次いで3本ロールを使用して分散することで樹脂組成物を調製した。
<実施例22>
樹脂溶液13:100部、架橋剤E:20部、単官能(メタ)アクリルモノマー(1):180部、多官能(メタ)アクリルモノマー(2):120部とをプラネタリーミキサーにて混合することで樹脂組成物を調製した。
<引張弾性率測定用シートの作製>
得られた樹脂組成物を、剥離性シート(市販発泡PETフィルム)上に乾燥後の厚さが20μmになるようにドクターブレードを用いて塗工した。次いで130℃オーブンにて30分硬化・乾燥させることで試験用シート1を得た。図3に示すにホーショー社製35mmのSLIDE MOUNT31へ、縦50mm×幅10mmにカットした試験用シート1の硬化被膜32をセットし、試料30を作製した。
・発泡PETフィルム:東洋紡社製CN100(厚さ50μm)
<膜厚の測定>
得られた保護膜シートにおける保護膜の厚みはMH−15M型測定器(ニコン社製)を用いて測定した。
<引張弾性率、引張応力、および降伏点の評価>
前記試料30について、引張弾性率、2%延伸した時の引張応力、および降伏点を、小型卓上引張試験機(島津製作所社製EZ−SX)を用いて測定した。図3の試料30の上部、下部を試験片掴み具(チャック)で固定し、図3の試料30のX−Y、およびX’―Y’をカット後、チャック間距離23mm、引張速度0.01mm/秒で上部を伸長させ、2%延伸した時の応力、および降伏点を下記条件で測定した。なお、引張弾性率は、JISK7161に沿って評価した。具体的には、規定された2点のひずみε1=0.05%、およびε2=0.25%に対応する応力をそれぞれσ1、およびσ2とする時、応力の差(σ2−σ1)をひずみの差(ε2−ε1)で除した値を引張弾性率(E)とし、下式に基づいて求めた。
E=(σ2−σ1)/(ε2ーε1)
E:引張弾性率(MPa)、σ:引張応力(MPa)、ε:引張ひずみ
<貯蔵弾性率試験用シートの作製>

前記試験用シート1を用いて縦28mm×幅5mmにカット後、剥離性シートを剥がした硬化被膜を試料2とした。
<貯蔵弾性率の評価>
試料2の貯蔵弾性率を、動的粘弾性測定装置(アイティー計測制御社製DVA−225)を用いて下記条件で測定した。
チャック間距離 :20mm
昇温速度 :10℃/秒
測定温度範囲 :25〜200℃
<密着性試験用シートの作製>
図4を元に密着性試験に使用する試料を説明する。得られた樹脂組成物を、ITO積層フィルム41上に乾燥後の厚みが7μmになるようにスクリーン印刷を行い、縦15mm×横30mmの保護膜42を形成した。次いで130℃オーブンにて30分乾燥させることで試験用シート2を得た。得られた試験用シート2を使用して保護膜42の透明導電膜に対する密着性を評価した。
・ITO積層フィルム:市販品(ITO層の表面抵抗値:150Ω/□、基材:PET、厚さ:100μm)
<密着性の評価>
1.初期密着性
得られた試験用シート2を用いて、テープ密着試験を実施した。テープ密着試験はJISK5600に準拠して実施した。
具体的には基材に達するが切断しない程度の深さで、カッターナイフを使用して幅1mm間隔で縦方向に11本、横方向に11本の切れ目を入れことで、10マス×10マスの計100個のマス目を形成した。次いで市販セロハンテープ(25mm幅、ニチバン社製)を硬化被膜面に貼り付けた後、前記セロハンテープを手で急速に剥離することで、残ったマス目の状態を評価した。
・評価基準
○:変化がない。(良好)
△:マス全体は剥離しないが、マスの一部が剥離する。(実用上問題ない)
×:1個以上のマスが剥離する。(実用不可)
2.湿熱試験後の密着性
得られた試験用シート2を85℃85%雰囲気下で240時間放置した後、23℃50%雰囲気で1時間放置後、初期密着性と同様の方法で密着性を評価した。評価は上記同様の基準で実施した。
<抵抗値>
屈曲性試験を行い試験前後の抵抗値の変化を評価した。図5(a)平面図、(b)側面図を元に試料の作製方法を説明する。ITO積層フィルム51上に市販導電性ペースト(REXALPHA RA FS074、トーヨーケム社製)を乾燥後の膜厚が5μmになるようにスクリーン印刷を行い、縦15mm×横3.5mmの抵抗値測定用端子部52−1および抵抗値測定用端子部52−2を75mmの間隔を空けて形成し、135℃オーブンにて30分乾燥を行い、硬化させた。次いでITO積層フィルム51上に得られた樹脂組成物を乾燥後の膜厚が7μmになるようにスクリーン印刷を行い、縦15mm×横70mmの保護膜53を形成した。次いで130℃オーブンにて30分間乾燥を行い、硬化させて試験シート3を作製した。
なおITO層に直接、テスターで端子を当てて抵抗値を測定すると、ITO層が傷つき正確な抵抗値が測定できないため、銀ペーストでITO上に抵抗値測定用端子部を形成して、そこにテスターを当てて抵抗値を測定した。
<抵抗値変化率の評価>
得られた試験シート3を用いて屈曲性試験を実施した。屈曲性試験は、耐屈曲性試験器(ユアサシステム機器社製、面状体無負荷U字伸縮試験機)を用いて行い、試験シート3の保護膜が下側になるように装置にセットし、直径4mm幅、30回/分の速度で5万回折り曲げを実施した。表面抵抗値の変化率は下記の計算式から算出した。
変化率=(5万回折り曲げ後の表面抵抗値試験前の表面抵抗値)/(試験前の表面抵抗値×100)
・評価基準
○:変化率が10%未満(良好)
△:変化率が10%以上30%未満(実用上問題ない)
×:変化率が30%以上(実用不可)
<水蒸気透過率>
屈曲性試験を行い試験後の水蒸気透過率を評価した。図6(a)平面図、(b)側面図を元に試料の作製方法を説明する。
シリカ蒸着層付フィルム61上に得られた樹脂組成物を乾燥後の膜厚が7μmになるようにスクリーン印刷して縦100mm×横100mmの保護膜62を形成した。次いで130℃オーブンにて30分硬化・乾燥させて試験シート4を作製した。得られた試験シート4を用いて屈曲性試験を行なった。屈曲性試験は、上記抵抗値の測定法と同様に行った。
・シリカ蒸着層付フィルム:三菱樹脂社製テックバリアLX(基材:PET、厚さ12μ
m)
<水蒸気透過率の評価>
上記試験シート4の屈曲性試験後の水蒸気透過率を、水蒸気透過率測定装置(MOCON社製PERMATRAN)を用いて測定した。測定条件は40℃100%R.H.で24時間試験を行った。得られた実測値を厚さ100μmでの結果に換算し、下記基準で評価した。
○:水蒸気透過率が1.0g/(m・day)未満(良好)
△:水蒸気透過率が1.0g/(m・day)以上2.0g/(m・day)未満(実用域)×:水蒸気透過率が2.0g/(m・day)以上(実用不可)
<耐溶剤性、透明性>
図7を元に耐溶剤性試験、および透明性試験を説明する。
PETフィルム71上に得られた樹脂組成物を乾燥後の膜厚が7μmになるようにスクリーン印刷して縦70mm×横40mmの保護膜72を形成した。次いで130℃オーブンにて30分硬化・乾燥させ試験シート5を得た。
・PETフィルム:東洋紡社製A4100(厚さ100μm、易接着処理あり)
<耐溶剤性評価>
得られた試験シート5を用いて耐溶剤性試験を実施した。試験シート5の保護膜の表面に対して、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート(PGMAC)を含ませた綿棒を用いて、30往復擦ることで保護膜の耐溶剤性を試験した。評価は、試験後の表面を目視で観察して行った。
・評価基準
○:保護膜の光沢が試験前後で変化がない(良好)
△:保護膜の光沢がやや低下した。(実用上問題ない)
×:保護膜がPGMACで膨潤、ないしPETフィルムから剥離した。(実用不可)
<透明性評価>
得られた試験シート5を用いて透明性試験を実施した。透明性は、HAZEMETERNDH2000(日本電色社製)で光源D65を用いて測定した。
・評価基準
○:透過率が90%以上(良好)
△:透過率が80%以上90%未満(実用上問題ない)
×:透過率が80%以下(実用不可)
Figure 2018090766
Figure 2018090766
Figure 2018090766
表1および表2の結果から、実施例1〜22は、機能層との密着性、屈曲後の抵抗値上昇の抑制、屈曲後の水蒸気バリア性の各評価項目において、実用上問題ない評価結果であった。
一方、表3の結果から、比較例1は硬化剤が含まれていないため、硬化性が低く湿熱性、および耐溶剤性が悪い結果となった。比較例2〜4は、樹脂(A)のTgおよびMnの数値が適切ではないため評価項目を全て満たさなかった。また、比較例5は環構造を有さないため、密着性が悪い結果であった。
11 基材
12 IM層
13 透明電極層
14 保護膜
15 粘着層
21 基材
22 TFT
23 有機EL発光層
24 透明電極層
25 無機バリア層
26 保護膜
27 粘着層
30 試料
31 SLIDE MOUNT
32 保護膜
41 ITO積層フィルム
42 保護膜
51 ITO積層フィルム
52−1 抵抗値測定用端子部
52−2 抵抗値測定用端子部
53 保護膜
61 シリカ蒸着層付フィルム
62 保護膜
71 PETフィルム
72 保護膜

Claims (6)

  1. 無機素材を形成した機能層、および前記機能層の保護膜を備えた基材の保護膜形成に使用するガラス転移温度30〜170℃かつ数平均分子量2,000〜140,000で環構造を有する樹脂(A)、および架橋剤(B)を含む光透過性樹脂組成物であって、
    前記光透過性樹脂組成物の硬化被膜は、引張速度0.01mm/秒での引張弾性率が400〜4000MPa、かつ前記硬化被膜を2%延伸したときの引張応力が15〜60MPaである、光透過性樹脂組成物。
  2. 前記樹脂(A)は、水酸基価2〜400mgKOH/gである、請求項1記載の光透過性樹脂組成物。
  3. 前記架橋剤(B)は、ブロックイソシアネートを含む、請求項1または2記載の光透過性樹脂組成物。
  4. 前記ブロックイソシアネートは、ブロック剤の解離温度が80〜180℃である、請求項3に記載の光透過性樹脂組成物。
  5. 前記樹脂(A)100重量部に対して、前記架橋剤(B)を1〜30重量部含む、請求項1〜4いずれか1項に記載の光透過性樹脂組成物。
  6. 基材、ならびに請求項1〜5いずれか1項に記載の光透過性樹脂組成物の硬化物である保護膜を備えた、ディスプレイ。
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