JP2018090589A - 肝機能改善法 - Google Patents
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Abstract
【課題】肝疾患を患っている患者、例えば糖尿病又は前糖尿病でもある患者、のための新たな薬剤及び処置の提供。【解決手段】血清ALTレベルを、そうする必要のある患者において減少させる方法であって、前記患者に有効量のメタゾラミドを投与するステップを含む上記方法。【選択図】なし
Description
本開示は一般に、治療におけるメタゾラミドの使用に関する。本開示は更に、患者において肝機能障害を処置する、又は肝機能を改善する、及び/又はALTを低下若しくは減少させることに関する。本開示は更に、患者において肝機能障害を処置する、又は肝機能を改善する際の、メタゾラミド並びにそれを含有する組成物及び薬剤の使用に関する。
本明細書におけるいかなる先行刊行物(又はそれに由来する情報)又は既知のいかなる事柄への言及も、その先行刊行物(又はそれに由来する情報)又は既知の事柄が、本明細書が関わる努力分野において一般常識の一部を構成しているとの認知又は承認又は何らかの形の示唆とは見なされず、またそう見なすべきではない。
アラニントランスアミナーゼ(ALT)としても知られる血清アラニントランスアミナーゼは、肝臓の細胞質ゾル中には高濃度で、また他の箇所には低濃度で見出されるトランスアミナーゼ酵素である。ALTは肝細胞が損傷を受けると血清中に放出され、このため、上昇した血清ALTレベルは通常は(唯一の、というわけではないが)肝細胞傷害又は壊死のマーカーと見做されている。したがってALTレベルは大抵、硬変症、肝炎、並びに薬物、毒素、及び他の医薬による損傷などの、多様な肝疾患及び障害において上昇している。ALTの正常基準範囲は検査室ごとに若干異なるが、通常は約0〜40U/L及び約7〜56U/Lの範囲で報告されている。しかしALTの血清レベルは1日を通して変動することがあり、また、精力的な身体的運動又はある薬物療法に応答して増加することが観察されている。
肝脂肪症は、肝細胞の細胞質中にトリグリセリドが脂質滴として沈着することであり、肝臓によるトリグリセリドの取込み、合成及び除去の間のアンバランスを反映する。脂肪症は、肝臓トリグリセリドレベルが、脂肪のほとんどない健康な肝臓についての95番目の百分位数(すなわち、肝臓1グラムあたり>55mg)を超える、又はより一般的には、細胞内の脂質が肝組織の5%を超える場合として定義することができる。脂肪症の証拠は通常、画像又は組織学的診断のいずれかによって得る。
かなりのアルコール摂取、脂肪生成性医薬の使用、及び/又は遺伝要因などの、脂肪が二次的に蓄積する他の原因がないもとでの肝脂肪症の存在は、非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)と診断される。
NAFLDは更に、組織学的に2つのサブセットに分類することができる。
− 肝細胞風船様腫大及び細胞死の形での肝細胞傷害の証拠がないもとで、肝脂肪症存在する場合の、非アルコール性脂肪肝(NAFL):並びに
− 線維化(コラーゲン沈着)を伴う又は伴わない炎症及び肝細胞傷害と共に、肝脂肪症の存在する場合の、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)。
− 肝細胞風船様腫大及び細胞死の形での肝細胞傷害の証拠がないもとで、肝脂肪症存在する場合の、非アルコール性脂肪肝(NAFL):並びに
− 線維化(コラーゲン沈着)を伴う又は伴わない炎症及び肝細胞傷害と共に、肝脂肪症の存在する場合の、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)。
脂肪症が常にNASHに先立つのか、又はNASHは別個の障害なのかは明らかではない。
多くの患者において、単純な脂肪症(NAFL)は比較的良性である。単純な脂肪症の患者では、組織学的進行はたとえあったとしても非常に遅く、進行した疾患へと発展するリスクは一般に低い。
NASHはNAFLよりはるかに悪い予後を示し、NASH患者は硬変症、肝不全及び肝細胞癌への組織学的進行を呈することがある。NASHを有する者のうち10〜29%の間の割合が10年以内に硬変症を発症し、NASHに誘導された硬変症を有する者のうち4−27%が肝細胞癌を発症する。NASH患者は、対応する対照集団と比べ増加した総死亡率(主に増加した心血管死亡率による);肝臓に関連する増加した死亡率;及び肝がんを発症する増加したリスクを有する。線維化を伴うNASHは、線維化を伴わないNASHよりも悪い予後をもたらすことが示されている。NASHにおける線維化の進行は、糖尿病、重度のインスリン抵抗性、上昇したBMI、5kgを超える体重増加、及び上昇する血清アミノトランスフェラーゼレベルを含めた、複数の代謝因子に関連する。
NAFLDは、西側世界においては肝酵素の偶発的な上昇の最も一般的な原因である。NAFLD有病率は研究する集団ごとに大きく変動する;しかし全世界の一般集団におけるNAFLD有病率の中央値は20%(6.3〜33%の範囲)である。推定NASH有病率はより低く、一般集団の3〜5%の範囲である。NAFLD有病率は非白人系ヒスパニックで最も高く、コーカソイド及び非ヒスパニック系黒人がそれに続く。画像又は組織学的診断を用いずに、アミノトランスフェラーゼ(AST及びALT)のみを用いて推定したNAFLD有病率は僅か7〜11%であることは注目に値し、これは、アミノトランスフェラーゼレベルが、NAFLDを有する者において正常であり得ることを反映している。
肝疾患は、その原因は数多いが、代謝リスク因子又はインスリン抵抗性若しくは糖尿病などの代謝疾患について素因を有する、又は患っている場合など、コントロール不良の又は正常より高い血糖値を有する患者に一般的であることが観察される。非アルコール性脂肪性肝疾患(NAFLD)、硬変症、肝細胞癌、肝炎及び急性肝不全を含めた広範囲の肝疾患が、糖尿病患者において確認される。特にNAFLDは、肥満(過剰BMI及び内臓肥満の双方)を含めた代謝リスク因子、並びに糖尿病及び脂質異常症などの代謝疾患と強く関連する。NAFLDは全糖尿病患者の60〜76%で、また肥満でもある全糖尿病患者の100%で観察される。NASHは、糖尿病患者の少なくとも22%に出現する。代謝疾患の存在は、NAFLからNASHへの進行の、強力な予測因子である。糖尿病性NASHを有する患者は肝生検においてより重度の炎症及び線維化を有し、また線維化への、糖尿病でないNASH患者よりも速い進行を示す傾向にある。糖尿病は、NASH由来で且つ硬変症に関連する合併症のリスクを増加させ、糖尿病性NASH患者では、肝細胞癌の有病率が4倍に増加している。
糖尿病は、慢性的に上昇した血糖値(約126mg/dL又は7.0mmol/Lより高い)により特徴付けられる代謝疾患である。血糖は、食事から吸収されるグルコースと、肝臓により産生され血流中に放出されたグルコース(肝グルコース産生)との組合せに由来する。グルコースは一旦血流中に入ると、貯蔵又は利用されるために肝細胞、筋細胞及び脂肪細胞に入るのに、インスリンの助けを必要とする。インスリンの別の主要な作用は、肝グルコース産生を抑制することである。健常者ではグルコース恒常性は主にインスリンにより制御される。食後などに血糖値が上昇すると、膵臓内の特殊なβ細胞がインスリンを放出し、インスリンは肝グルコース産生を抑制し、且つ、体内の標的組織によるグルコース取込み、細胞内代謝及びグリコーゲン合成を促進する。したがって健常者において、血糖濃度は厳密にコントロールされており、通常は80〜110mg/dLの範囲内である。しかし膵臓が不十分なインスリン応答を生ずる場合、又は標的細胞が産生されたインスリンに適切に応答しない場合、グルコースが血流中に急速に蓄積することになる(高血糖)。
高い血糖値はやがて、心血管疾患、網膜損傷、腎不全、神経損傷、勃起不全及び壊疽(切断リスクを伴う)を引き起こす可能性がある。更には、利用可能なグルコースがないと、細胞は、代替エネルギー源として脂肪に切り替える。生じた脂肪の加水分解生成物であるケトンは血流中に蓄積して、低血圧及びショック、並びに昏睡を、更には死亡すらも引き起こすことがある。
慢性的に上昇した血糖値は、不十分なインスリン分泌(1型糖尿病)、及び/又は体組織のインスリン作用に対する不十分な応答若しくは感受性(2型糖尿病)のいずれによっても生じ得る。糖尿病の主要な診断上の特徴の1つは、各個人がグルコース恒常性のコントロールを喪失していることであり、このため食後血糖値は食事の後も上昇したままであり、また長時間高いままのこともある。糖尿病は、遷延性高血糖、多尿、多飲症及び/又は過食、慢性微小血管合併症、例えば網膜症、腎症及びニューロパチーなど、並びに、大血管性合併症、例えば、失明、末期腎疾患、肢切断及び心筋梗塞をもたらす可能性のある高脂血症及び高血圧など、により特徴付けることができる。
糖尿病の、最も一般的な3つの型は1型、2型及び妊娠性である。
インスリン依存性糖尿病(IDDM)又は若年発症糖尿病として知られる1型糖尿病は、糖尿病の全症例のうち10〜15%を占める。1型糖尿病は、小児及び青年において最も一般的にそう診断されるが、若年成人においても出現し得る。1型糖尿病は、インスリン分泌機能喪失をもたらすβ細胞破壊により特徴付けられる。ほとんどの症例は自己免疫によるβ細胞と関連する。処置はインスリン注射により、また無期限に継続しなければならない。
インスリン非依存性糖尿病(NIDDM)又は遅発性糖尿病として知られる2型糖尿病においては、インスリンレベルは初期には正常であるが、体内の標的細胞がインスリン応答性を喪失する。これはインスリン抵抗性又はインスリン非感受性として知られる。この抵抗性を補うために、膵臓は過剰のインスリンを分泌する。やがて膵臓は十分なインスリンを産生する能力を失ってゆき、慢性高血糖に帰結する。2型糖尿病の初期症状は通常、1型より軽度であり、この状態は、より重度の症状が観察されるまで長年にわたり診断未確定のままになることもあり得る。遺伝的素因はこの疾患の発症リスクを増加させるものの、生活習慣(喫煙、貧相な食事及び不活動)が、2型糖尿病発症率の主要な決定因子であると考えられている。
妊娠性糖尿病は全妊娠のうち約2〜5%で出現し、一過的なものではあるが、処置されなかったなら胎児合併症を引き起こすこともある。ほとんどの罹患者は出産後、完全に回復する。しかし妊娠性糖尿病を発症する女性の一部は、続いて2型糖尿病を発症する。
糖尿病の、それほど一般的ではない他の原因には、β細胞における遺伝的欠陥、遺伝関連のインスリン抵抗性、膵臓の疾患、ホルモン欠損、栄養障害及び化学物質又は薬物の影響が含まれる。
耐糖能障害(IGT)及び空腹時グルコース異常は、2型糖尿病と密接な関係がある2型前糖尿病の状況であり、血糖値が正常よりは高いが、糖尿病に分類するのに十分なほど高くはない場合(約100〜125mg/dL;5.6〜6.9mmol/L)に出現する。2型糖尿病でそうであるように、身体はインスリンを産生するものの、その量が不十分か、又は標的組織が産生されたインスリンに対し非応答性である。
耐糖能障害、空腹時グルコース異常及びインスリン抵抗性はシンドロームXの構成要素である。シンドロームXはインスリン抵抗性症候群(IRS)又はメタボリックシンドロームとしても知られ、肥満、粥状動脈硬化、高トリグリセリド血症、低いHDLコレステロール、高インスリン血症、高血糖及び高血圧も含む、心疾患リスク因子のクラスターである。
2型糖尿病の有病率は過去20年間で2倍以上になり、警戒すべき速度で増え続けている。世界保健機関(WHO)は、世界中で3億4600万人の人々が2型糖尿病を患い(世界人口の約4.9%)、糖尿病人口の少なくとも50%が自身の状態に無自覚であると推定する(世界保健機関、糖尿病、ファクトシートN°312、August 2011、(www.who.int))。毎年新たに7百万人の人々が糖尿病になると推測される。世界中の糖尿病発症増加は、小児で特に憂慮される:30年前は小児の1〜2%が2型糖尿病と診断されたが、今では、報告される小児糖尿病のうち80%を2型糖尿病が占める。インドが現在最も多くの糖尿病者を有し、これに中国、USA、ロシア及びドイツが続く。約170万人のオーストラリア人(人口の7.5%)が2型糖尿病を有し、毎日275人のオーストラリアの成人が糖尿病になる。更にもう200万人のオーストラリア人が前糖尿病を有し、2型糖尿病の発症リスクがある(Diabetes Australia − Vic(www.diabetesvic.org.au/health−professionals/diabetes−facts))。米国では、推定2580万人の人々(人口の8.3%)が糖尿病を有し、更に7900万人が前糖尿病である(米国保健社会福祉省(U.S.Department of Health and Human Services)、疾病対策予防センター(Centers for Disease Control and Prevention)(2011)全米糖尿病ファクトシート:米国における糖尿病及び前糖尿病についての国による推定及び一般情報(national estimates and general information on diabetes and prediabetes in the United States)(www.cdc.gov/diabetes))。米国では毎年、190万の新たな症例が成人糖尿病と診断されており、少なくとも1つの予測が示すところによると、診断された、及び診断未確定の糖尿病の現時点における増加は、2020年までに米国人口の50%が糖尿病又は前糖尿病になる可能性があることを意味する(UnitedHealth Group’s Center for Health Reform & Modernization.The United States of Diabetes.Working paper 5.November、2010)。糖尿病及び関連する状態の経済コストは劇的である。オーストラリア医療制度への糖尿病による直接及び間接の推定コストは、少なくとも30億オーストラリアドルと推定される。これも米国に比べれば小さく見える。米国においては、糖尿病による直接コストは2007年で1160億米国ドル、間接コストは更に580億米国ドルに上ると推定された。もしも米国におけるこの、糖尿病発症の予測された増加が続くならば、医療コストは3兆3500億米国ドルに達する可能性がある(総医療支出の少なくとも10%)。
2型糖尿病は理想的には、生活習慣の修正、とりわけ食事及び運動、によって処置する。包括的臨床及び疫学研究により、5〜11kgの体重減少は糖尿病リスクを50%低減することができ、また、≧10kgの体重減少は、糖尿病に関連する死亡の30〜40%の減少を伴うことが証明された。20〜30kgの体重減少は多くの患者で、糖尿病及び高血圧に効く(Labib M.(2003)肥満の調査及び管理(The investigation and managemen of obesity)。J Clin Pathol.56:17−25)。体重減少及び運動もまた、肥満患者で肝酵素レベル及び脂肪症を低減させることが示されている(Bayardら、American Family Physician、73、1961−1968、2006)。
ほとんどの患者は残念ながらこのような生活習慣の修正を継続することができず、適切なグルコースコントロールのために薬理学的介入を必要とする。国際的な処置指針は現在、メトホルミンを食事及び運動と共に2型糖尿病の第1選択治療として含む (Inzucchi SEら(2012)2型糖尿病における高血糖の医療管理:患者本位のアプローチ(Medical management of hyperglycemia in type 2 diabetes;a patient−centered approach)。米国糖尿病学会(ADA:the American Diabetes Association)及び欧州糖尿病学会(EASD:the European Association for the Study of Diabetes)による見解表明。Diabetes Care 35:1364−79;印刷前の電子出版(e−published ahead of print)、19 April 2012)。糖尿病の病理が多因子性であることは、ほとんどの患者が、有効なグルコースコントロールを生涯にわたって維持するために併用治療へと進むことを意味する。メトホルミン及び生活習慣の修正がグルコースコントロールを確立するのに不十分な場合、スルホニル尿素、DPP4阻害剤(シタグリプチンなど)、GLP−1作用薬(リラグルチドなど)(第2選択)又は3剤併用(第3選択)を加えることが指示されている。チアゾリジンジオン(TZD)インスリン感受性改善薬である、ロシグリタゾン及びピオグリタゾンはかつて、第2選択治療として推奨されていた;しかし重大な安全性の懸念により、現在におけるその使用は極度に限定されてきている。グルコースコントロールを併用治療で維持できない患者は、最終的にインスリンを使用することが必要となる。インスリンは、かつては糖尿病治療における最終選択と考えられていたが、医師は益々、基礎インスリンを第2選択として進んで加えるようになってきた。
現在の糖尿病の処置はしばしば、芳しくない安全特性のために限定されている。第1選択治療であるメトホルミンは、用量制限性の下痢を含めた胃腸の副作用を引き起こす。第2選択治療であるスルホニル尿素(これはインスリン分泌を増加させる)、そしてメグリチニドも危険な低血糖を引き起こし、また膵臓β細胞の破壊を加速する可能性がある。スルホニル尿素、メグリチニド及びメトホルミンは全て、時が経つうちに耐性及び有効性の喪失を生じやすい。TZDインスリン感受性改善薬は、重度の浮腫、体重増加、骨折、心血管系の副作用(心筋梗塞による死亡リスク増加を含めて)、膀胱がん及び糖尿病黄斑浮腫のリスク増加と関連付けられてきた。DPP4阻害剤であるシタグリプチンについては、急性膵炎、及び潜在的に致死性のアレルギー反応であるスティーブンス・ジョンソン症候群に関し安全警告が発せられている。関連分子のビルダグリプチンは肝酵素レベルを上昇させることが示されている。GLP−1作用薬であるエクセナチドによる処置は、悪心、膵炎及び低血糖を引き起こすことがある。エクセナチドに対する抗体が生じて使用が限定されることも一部の患者であり得る。GLP−1作用薬であるリラグルチドは、胃腸の副作用発症率(悪心及び嘔吐を含めて)が高く、ラット及びマウスにおいて、臨床的に適切な曝露量で用量依存的及び処置期間依存的な甲状腺C細胞腫瘍を引き起こす。より新しい治療では、コストもまた重要な論点である。例えば、シタグリプチンは血糖値を低下させる上でメトホルミンよりもより有効ということはないが、20倍高価である (VanDeKoppel Sら(2008)2型糖尿病用の3種の新薬剤に関するマネジドケアの展望(Managed care perspective on three new agents for type 2 diabetes)。J Manag Care Pharm 14:363−80)。
現在の非インスリン糖尿病薬について確認された限界は、改善された安全性及び有効性プロファイル;高い患者コンプライアンス;並びにβ細胞の機能を維持/改善し、且つ二次的処置の失敗を遅らせる潜在能力を有する、対費用効果の高い新しい治療を開発する必要に迫られていることを意味する。特に、TZDに代わる新しい、安全なインスリン感受性改善薬が必要である。
NAFLDなどの疾患の、特に代謝疾患又はリスク因子を患っている、又はその素因を有する患者の薬理学的治療は、未充足の重大な医療ニーズである。実際、FDAに承認された処置、又はNAFLD用薬物の承認のための指針はない。
肝疾患を患っている患者、例えば糖尿病又は前糖尿病でもある患者、のための新たな薬剤及び処置が必要とされている。
予想外なことに、メタゾラミド投与が血清ALTレベル減少を引き起こすことができ、それが肝機能の改善を、又は肝疾患の寛解若しくは処置されたことを反映するのが今や観察された。別の抗糖尿病剤で処置されているか否かによらず、糖尿病患者にメタゾラミドを投与すると、肝疾患又は損傷のマーカーである血清ALTが低減することが始めて示された。驚くべきことに、メタゾラミドは肝臓脂質レベルを低減させる能力があることもまた、今や示された。メタゾラミド使用はしたがって、肝機能障害及び肝疾患の有用な単独又は補助(例えば、メトホルミンなどの抗糖尿病剤の使用が既に定着した患者に対し)処置となり得、有利には更に、患者における糖尿病又は前糖尿病の状態又は障害を、インスリン抵抗性を寛解させる、及び/又は正常な血糖値を維持する、若しくは上昇した血糖値を低下させることにより処置することもできる。
したがって一実施形態では、本開示は、血清ALTレベルを、そうする必要のある患者において減少させる方法であって、前記患者に有効量のメタゾラミドを投与するステップを含む上記方法に関する。
一実施形態では、本開示はまた、肝機能障害を、そうする必要のある患者において処置又は防止する方法であって、前記患者に有効量のメタゾラミドを投与するステップを含む上記方法にも関する。
更なる実施形態では、本開示はまた、肝臓脂質含量を、そうする必要のある患者において低減させるための方法であって、前記患者に有効量のメタゾラミドを投与するステップを含む上記方法にも関する。
更なる実施形態では、本開示は、NAFLなどの肝疾患の処置、又はNASH若しくは線維化を伴うNASHの処置若しくは防止に関する。したがって一部の実施形態では、本開示はまた、NAFL又はNASHなどの肝疾患を、そうする必要のある患者において処置又は防止するための方法であって、前記患者に有効量のメタゾラミドを投与するステップを含む上記方法にも関する。
更なる実施形態では、本開示はまた、医薬品の製造におけるメタゾラミドの使用にも関する。一部の実施形態では、医薬品は、患者において血清ALTレベルを減少させる、及び/又は肝機能障害を処置若しくは防止する、及び/又は上昇した肝臓脂質レベルを低減させる、及び/又は肝疾患を処置若しくは防止するためのものである。
本開示はまた、治療に使用するためのメタゾラミドにも関する。一部の実施形態では、治療は、患者において血清ALTレベルを減少させる、及び/又は肝機能障害を処置若しくは防止する、及び/又は上昇した肝臓脂質レベルを低減させる、及び/又は肝疾患を処置若しくは防止するためのものである。
一部の実施形態では:
(a)患者は、約50U/Lを超えるなど、上昇したALTレベルを有する。例えば、≧80U/L若しくは≧100U/L若しくは≧200U/Lなど;及び/又は
(b)患者は、症状を示すことも示さないこともある肝機能障害を患っている;及び/又は
(c)患者は前糖尿病又は糖尿病の状態を患いやすい、若しくは患っている。
(a)患者は、約50U/Lを超えるなど、上昇したALTレベルを有する。例えば、≧80U/L若しくは≧100U/L若しくは≧200U/Lなど;及び/又は
(b)患者は、症状を示すことも示さないこともある肝機能障害を患っている;及び/又は
(c)患者は前糖尿病又は糖尿病の状態を患いやすい、若しくは患っている。
その一部の実施形態では、処置する患者は≧6.5%の初期ヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルを有する。一部の実施形態では、本開示の治療は、ヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルを6.5%以下に低下させるか又はコントロールする。
更なる実施形態では、患者は、上の(a)、(b)又は(c)のうち1つ又は複数を患う。例えば、一部の実施形態では、患者は(a)及び(b)のうち一方又は両方を呈し、しかし(c)を呈さない可能性がある。他の実施形態では、患者は(a)及び/又は(b)を呈する可能性があり、更に前糖尿病又は糖尿病の状態(c)を患いやすい、又は患う可能性がある。他の実施形態では、患者は(a)又は(b)を呈さず、しかし前糖尿病又は糖尿病の状態(c)を患いやすい、又は患っている。
本明細書で言及する全糖尿病及び糖尿病の状態には、耐糖能障害、空腹時グルコース異常及びインスリン抵抗性、インスリン抵抗性症候群(IRS)又はメタボリックシンドロームとしても知られるシンドロームX、2型糖尿病及びリスク因子、例えば肥満、粥状動脈硬化、高トリグリセリド血症、低いHDLコレステロール、高インスリン血症、高血糖及び高血圧など、が含まれる。一部の実施形態では、メタゾラミドによる処置は、メトホルミンなどの抗糖尿病剤による処置と同時に行う。
更なる実施形態では、患者は以前に抗糖尿病剤による処置を開始しており、また前記処置を続けている。
本開示は更に、患者において血清ALTレベルを減少させる、及び/又は肝機能障害を処置若しくは防止する、及び/又は上昇した肝臓脂質レベルを低減させる、及び/又は肝疾患を処置若しくは防止するための組成物であって、メタゾラミドを1つ又は複数の薬学的に許容できる添加剤と共に含む上記組成物に関する。
本開示はまた、糖尿病又は前糖尿病の状態を患っている患者において、血清ALTレベルを減少させる、及び/又は肝機能障害を処置若しくは防止する、及び/又は上昇した肝臓脂質レベルを低減させる、及び/又は肝疾患を処置若しくは防止するための組合せであって、メタゾラミド及び抗糖尿病剤を含む上記組合せにも関する。この組合せは、個別、同時若しくは順次投与する個別の製剤として提供することも、又は単一の一体剤形として製剤化することもできる。
更なる実施形態は、NAFLDなどの肝疾患、例えばNAFL又は線維化を伴う若しくは伴わないNASH、を処置する際の、メタゾラミドの使用に関する。
一部の実施形態では、メタゾラミドを患者に1日あたり約90、85、80、75、70、65、60、55又は50mgなど、1日あたり100mg未満の量で、単回用量として又は分割用量としてのいずれかで投与する。
一部の実施形態では、抗糖尿病剤はメトホルミンなどのインスリン感受性改善薬、又はその薬学的に許容できる塩、例えばメトホルミン塩酸塩である。
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲を通して、文脈上別段の要求がない限り、「含む」という語、並びに「含めた」及び「含んでいる」などの変形は、指定された整数又はステップ、又は整数の群を包含することを意味し、しかし他のいかなる整数又はステップ、又は整数の群を排除することを意味しないものと理解されたい。
本明細書及びそれに続く特許請求の範囲を通して、文脈上別段の要求がない限り、「本質的に〜からなる・・・」という句、及び「本質的に〜からなる」などの変形は、列挙された要素(単数又は複数)が本質的である、すなわち本発明の必要な要素であることを示すものと理解されたい。この句は、本発明の特性に実質的に影響しない他の列挙されていない要素の存在を許容するが、本発明の規定する方法の基礎特性及び新規特性に影響すると思われる、追加の明記されていない要素を除外する。
単数形の「1つの」、「ある」、及び「この」は、文脈上別段の明確な指定がない限り、複数である場合を含む。
「発明」という用語は、本明細書に記述する全ての態様、実施形態及び実施例を含む。
本明細書で想定する患者は、正常又は上昇したALTレベルを有していてよい。一部の実施形態では、患者は、少なくとも正常値上限(ULN)を上回るレベル、すなわち、およそ≧50U/Lの上昇したALTレベルを呈する。上昇したALTレベルの例には、約50〜100U/L(例えば、約70U/L以上)、又は約100〜200U/L又は約250〜500U/Lの範囲のレベルが含まれる。重度の又は進行した肝疾患では、ALTレベルは1000又は2000U/Lを超えることがある。すなわち、上昇したALTレベルはULNの約1.5倍、2〜3倍又は4〜5倍又は10〜20倍、又は50〜100倍の可能性がある。しかし、正常ALTレベルの患者ですら基礎肝疾患又は機能障害を有することがある。本開示では、患者は上昇したALTレベルを有することも有さないこともある。
本明細書では、肝機能障害とは、肝組織が損傷している可能性がある、及び/又は正常な肝機能が損なわれている肝臓の疾患(肝疾患)の存在を包含することを意図し、また前記肝機能障害には以下の状態が含まれる:NAFLD(脂肪症(上昇した肝臓脂質レベルNASH、及び線維化を伴うNASH)など)、硬変症、肝炎(例えば、B型又はC型)、脂肪性肝炎、アルコール、毒素又は医薬による肝臓の損傷、肝臓の炎症、壊死及び線維化、急性肝不全並びに肝細胞癌。一部の実施形態では、本明細書における本開示はしたがって、肝機能障害を処置又は防止することに関する。肝機能障害を患っている患者が、肝機能障害の症状を示す(上昇したALTレベルなどの症状を呈する)ことも、また一方で示さないこともある。肝疾患の存在は、肝酵素レベルの上昇に対する試験(例えば、ALT及び/又はアスパラギン酸トランスアミナーゼ(AST)、並びに/又は肝生検、並びに/又は超音波、核磁気共鳴及びコンピュータによる断層撮影などの画像技術など、この目的のための当技術分野で既知の方法によって確証することができる。したがって一部の実施形態では、本開示は、患者における本明細書で記述したような肝疾患の処置又は予防、例えばNAFLDの処置を提供する。
肝機能障害又は肝疾患の処置とは、進行の寛解、停止又は減速、肝機能又は病理又は基礎状態に関連する他のいずれかの症状(単数又は複数)の回復、そうでなければ改善を含むことを意図する。
本明細書では、上昇した肝臓脂質レベルとは、肝臓1グラムあたり約55mg以上のレベル、又は肝組織の約5%を超えたレベルを含む。
メタゾラミドは、慢性開放隅角緑内障、続発緑内障、及び、外科手術の前に眼内圧を低下させることが望まれる、急性閉塞隅角緑内障での手術の前になど、眼内圧を低下させることが治療効果となる可能性の高い場合の、眼の状態の処置における使用について承認されている。メタゾラミドは、酵素のカルボニックアンヒドラーゼを阻害することにより、眼の状態に効果を及ぼす;しかしこれは、糖尿病におけるインスリン感受性改善薬としての活性の原因となる機構ではないようである。メタゾラミドの、治療上有効な(カルボニックアンヒドラーゼを阻害する)眼内圧を低減させる用量は、50mgから100〜150mgまで、毎日2回又は3回、すなわち1日あたり100〜450mgの範囲内である。幾らかの代謝性アシドーシス及び電解質異常が、カルボニックアンヒドラーゼを阻害するのに有効な量を使用すると生じることがあるが、倦怠感、疲労、体重減少、うつ病及び食欲不振の症状群をもたらす可能性のある過剰なアシドーシスは、通常の投与量範囲の下限の投与量で生じる可能性がある(Epstein及びGrant、Arch.Opthamol.、95、1380、1977)。一般に利尿剤として記述されるものの、メタゾラミドは弱い一過性の利尿作用しか有しておらず、また製品ラベルで、利尿剤として使用すべきではないと明確に指定されている。
本開示では、メタゾラミドは、所望のレベルの治療処置又は防止を達成するのに有効な量、例えばALTレベルを低下させる、及び/又は肝機能障害を処置若しくは防止するのに有効な量を、主治医の決定する所望の投与計画に従って投与する。一部の実施形態では、投与量はまた、単独で又は1つ若しくは複数の抗糖尿病剤との併用により、例えば1つ若しくは複数の抗糖尿病剤と相乗的若しくは相加的に、上昇した血糖値を低減させる、又は正常若しくは所望の血糖値を維持するのに十分である。一部の実施形態では、本明細書に開示するメタゾラミドの治療効果は、臨床的に意味のあるカルボニックアンヒドラーゼ阻害、例えば眼の状態の治療処置に必要とされるような、を回避又は最小限にするような投与量により達成することができ、使用するこれらの投与量はまた、カルボニックアンヒドラーゼを阻害するのに有効な通常の投与計画に伴うことのある、臨床的に意味のあるアシドーシスを回避又は最小限にする。したがって一部の実施形態では、メタゾラミドを有利には1日あたり100mg未満の投与ペースで患者に投与する。更なる実施形態では、メタゾラミドを1日あたり約90、85、80若しくは75mg以下、又は1日あたり約70、65、60、55若しくは50mg以下の投与ペースで投与する。一層更なる実施形態では、メタゾラミドを1日あたり約40mg以下の投与ペースで投与する。より更なる実施形態では、メタゾラミドを1日あたり約30mg以下の投与ペースで投与する。より更なる実施形態では、メタゾラミドを1日あたり約25mg以下の投与ペースで投与する。一層更なる実施形態では、メタゾラミドを1日あたり約15、10又は5mgなど、1日あたり約20mg以下の投与ペースで投与する。これらの投与量のいずれも、1日1回、単回用量として、又は、例えば1日2回若しくは1日3回若しくは主治医の決定する他のいずれかの投与計画に従うなど、分割用量として投与することができる。メタゾラミドの適切な投与単位は、約1.0、2.5、5.0、10、20、25、30、40、50、60、75、80又は90mgのメタゾラミドを含有することができる。
一部の実施形態では、本明細書で想定する患者はまた、インスリン抵抗性又は細胞若しくは組織によるグルコース取込み障害が原因とされ得る、若しくは役割を担い得る、又は顕在化する疾患又は状態又は症状又はその原因因子のいずれをも含めた糖尿病又は前糖尿病の状態であって、その処置のために抗糖尿病剤(本明細書では、抗高血糖剤とも称する)による処置が指示される上記糖尿病又は前糖尿病の状態も患う。その非限定的な例としては、NIDDM(2型糖尿病)、妊娠性糖尿病、耐糖能障害、空腹時グルコース異常、シンドロームX、高血糖、粥状動脈硬化、高トリグリセリド血症、脂質異常症、高インスリン血症、腎症、ニューロパチー、虚血、及び脳卒中が挙げられる。
したがって一部の実施形態では、本開示で想定する患者は、上で想定した状態を患っている、又は患いやすいと診断されており、また、抗糖尿病剤(例えば、メトホルミン)によるものなど、その状態に対する処置計画の使用が定着していることもある。一部の実施形態では、前記患者は、メタゾラミド処置開始の少なくとも1又は2週間前に処置を開始している。更なる実施形態では、患者は、メタゾラミド処置開始の少なくとも4週間(又は1カ月)前に処置を開始している。一層更なる実施形態では、患者は、メタゾラミド処置開始の少なくとも6、8、10又は12週間(例えば、少なくとも約2又は約3カ月)前に処置を開始している。一部の実施形態では、患者はメタゾラミド処置開始前に、抗糖尿病剤を安定に使用するようになっているのが有利である。すなわち投与計画は、主治医が決定する所望の安定な血糖値が達成されているように決定及び開始された。血糖値は、例えば空腹時血糖、HbA1cレベルなど、当技術分野で通常使用されるいかなる適切な手段によって測定してもかまわない。例示的な安定化されたレベルとしては、6.5%以下のHbA1cレベル、又は約6.1mmol/L(110mg/dL)未満の空腹状態の血糖値が挙げられる。
一部の実施形態では、患者が糖尿病又は前糖尿病状態を患っているか否かによらず、メタゾラミドを抗糖尿病補助剤なしで投与する。したがって一部の実施形態では、方法、医薬品、組合せ及び組成物は、本実施形態では本質的に、前記患者に投与するためのメタゾラミドから構成される。
心血管疾患の処置のための薬剤(例えば、降圧剤、抗脂質異常症剤)など、糖尿病及び前糖尿病の状況に関連する状態の処置のための薬剤は、メタゾラミド(及び場合によっては抗糖尿病剤)と併用(同時又は個別に)で投与することもまた可能である。このような関連する症状又は状態のいずれも、適切な薬剤、例えば、主治医の決定する利尿薬、ACE阻害剤又はβ遮断薬などの降圧薬を用いて処置することができる。一部の実施形態では、本明細書における本開示は、有利にはこのような薬剤を不要にする、又はその投与量を低減させることができる。したがって、患者が必ずしも糖尿病若しくは前糖尿病若しくはその状態に関連する全ての症状若しくは状態を患う、若しくは発症するわけではない場合があり、又は前記状態は、特に前記疾患若しくは状態が早い段階で検出及び処置されたなら、追加の治療処置を正当化するのに十分なほどには重度ではない場合があることは、理解されよう。
一部の実施形態では、メタゾラミドは、患者において血清ALTレベルを減少させる、及び/又は肝機能障害を処置若しくは防止する、及び/又は上昇した肝臓脂質レベルを低減させる、及び/又は肝疾患を処置若しくは防止するための他の1つ又は複数の薬剤、例えばビタミンE及び/又は他の抗酸化剤、と組み合わせて個別、同時又は順次のいずれかで投与することができる。一部の実施形態では、メタゾラミドと抗酸化剤、例えばビタミンE、との組成物又は組合せを提供する。
メタゾラミドは、別の抗糖尿病治療剤を使用する処置計画との併用で投与する実施形態では、前記抗糖尿病治療剤と同時に、又は順次に(その前又は後に)共投与することができる。同時投与の場合、各薬剤は個別に製剤化してもよいし、又は代わりに、両方を一緒に製剤化して混和組成物としてもよい。適切な抗糖尿病剤は、インスリン感受性改善薬、インスリン分泌促進物質、グルコース再吸収/取込み阻害剤、並びに本明細書にその内容の全体が組み込まれているUS2005/0037981、特に表2、で同定されたクラス及び化合物を含むことができる。使用する薬剤の例の一部としては、ビグアニド、スルホニル尿素、メグリチニド、インスリン及びインスリン類似体、並びにチアゾリジンジオンが挙げられる。更なる非限定的な例としては、チアゾリジンジオン(ロシグリタゾン及びピオグリタゾンを含めて)、メトホルミン、及びその薬学的に許容できる、塩酸塩などの塩、インスリン、スルホニル尿素(グリメピリド、グリブリド、グリピジド、クロルプロパミド、トラザミド及びトルブタミドを含めて)、メグリチミド(meglitimides)(レパグリニド及びナテグリニドを含めて)、α−グルコシダーゼ阻害剤(アカルボース(a carbose)及びミグリトールを含めて)、エクセナチドなどのGLP類似体、並びにシタグリプチンなどのDPPIV阻害剤が挙げられる。
一部の実施形態では、抗糖尿病剤であるメトホルミン、又はその薬学的に許容できる塩。
一部の実施形態では、一旦患者に対しメトホルミンなどの抗糖尿病剤による処置が定着したら、メタゾラミドを共投与することによりその後、抗糖尿病剤の投与量を、初期の単独治療に比べ低減させることが可能なことがある。これは有利には、単独治療に利用する投与量及び計画に関連した望ましくない副作用及び不都合の重症度、リスク又は出現を、回避、寛解、そうでなければ低減させる可能性がある。したがって一部の実施形態では、メタゾラミド処置の前に開始した抗糖尿病剤の投与計画は、一旦メタゾラミド処置を開始したら、又はある期間にわたって始めておいてから調整することができる。
本明細書では、「制御する」又は「調節する」という用語、並びに、制御すること/調節すること、及び、制御/調節、などの変形は、グルコース恒常性に関して使用する際には、前記グルコースレベルの調整又はコントロールを、特定の実施形態では、正常な血糖値への調整又はその維持を指す。したがって「グルコース恒常性を、制御すること/調節すること」とは、血糖値を調整又はコントロールして、高血糖を低下させる、又は有利には、空腹状態の正常な血糖値を達成若しくは維持することを含む。空腹状態の正常な血糖値は通常、6.1mmol/L(110mg/dL)未満である。高血糖値(本明細書では、上昇した血糖値とも称する)とは、6.1mmol/L(110mg/dL)以上の空腹時血糖値を指す。
空腹時高血糖(IFG)は、6.1mmol/L(110mg/dL)以上であるが7.0(126mg/dL)未満の空腹時血漿グルコース濃度、及び7.8mmol/L(140mg/dL)未満の、経口糖負荷試験(OGTT)における2時間血漿グルコース濃度(測定する場合)により特徴付けられる。耐糖能障害は、7.0mmol/L(126mg/dL)未満の空腹時血漿グルコース濃度、及び7.8mmol/L(140mg/dL)以上であるが11.1mmol/L(200mg/dL)未満の、OGTTにおける2時間血漿グルコース濃度により特徴付けられる。糖尿病は、7.0mmol/L(126mg/dL)以上の空腹時血漿グルコース濃度;又は11.1mmol/L(200mg/dL)を超える、OGTTにおける2時間血漿グルコース濃度;又は≧6.5%のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルにより特徴付けられる。一部の実施形態では、患者は≧7.0%のヘモグロビンA1c(HbA1c)レベルを有する。本開示の処置はまた、特に糖尿病又は前糖尿病患者において、血糖値を低減させることもある。したがって一部の実施形態では、本開示の処置は、約6.5%未満、例えば約6.4〜6.0%以下、のヘモグロビンA1c(HbAlc)レベルをもたらす。
本明細書で想定する患者には、哺乳動物の対象:ヒト、霊長類、家畜動物(ウシ、ウマ、ヒツジ、ブタ及びヤギを含めて)、伴侶動物(イヌ、ネコ、ウサギ、モルモットを含めて)、及び捕われの野生動物が含まれる。ウサギ、マウス、ラット、モルモット及びハムスターなどの実験動物もまた、好都合な試験系になり得るので、想定する。ヒト患者は特に想定する。
上述のように、メトホルミンなどの別の抗糖尿病剤又はその薬学的に許容できる塩を使用する本発明の組合せは、有利には、その薬剤についての既知の治療、特に単独治療に比べ、低減された前記薬剤の投与量を可能とすることがある。一部の実施形態では、これらの組合せの投与量は、相加効果又は相乗効果をもたらし得るような量である。適切な投与量及び投与計画は主治医が決定することができ、処置している特定の状態、前記状態の重症度、並びに対象の年齢、健康及び体重一般に依存することがある。
抗糖尿病剤がメトホルミンである本開示の一部の実施形態では、前記組合せで投与するメトホルミン(又は、その薬学的に許容できる、塩酸塩などの塩)の1日投与量は、メトホルミン単独治療で必要と思われる量の約90%以下である。更なる実施形態では、投与量は、メトホルミン単独治療で必要と思われる量の約80%、70%、60%又は50%以下である。成人用の例示的なメトホルミン1日投与量としては、1日あたり約100mgから約1500又は2000mgまでの活性の範囲内、例えば約250mg、500mg、750mg、850mg、1000mg、1100又は1250mgなどがあり得る。例示的な小児患者(10〜16歳)用の1日投与量としては、1日あたり約50から約1000mg又は1500mgまでの範囲内、例えば1日あたり約100mg、250mg、500mg、750mg、850mg、1100mg又は1250mgなどがあり得る。有効成分は、単回用量又は一連の用量で投与することができる。適切な剤型は、約50、75、100、150、200、250、500、750、850又は1000mgのメトホルミン活性を含有することができる。
メタゾラミド、及び場合によっては抗糖尿病剤は、他のいかなる薬剤又は添加剤なしでも投与することができるが、各々を、又はその混和組成物を、1つ又は複数の薬学的に許容できる添加剤を有する組成物として提供するのが好ましい。
このような組成物の製剤処方は当業者に周知である。例えば、レミントンの製薬科学(Remington’s Pharmaceutical Sciences)、第21版を参照されたい。組成物は、担体、希釈剤又は賦形剤など、いかなる適切な添加剤を含有することもできる。これらには、全ての通常の溶媒、分散媒、充填剤、固体担体、コーティング、抗真菌剤及び抗菌剤、皮膚浸透剤、界面活性剤、等張化剤並びに吸収剤などが含まれる。本発明の組成物が、他の補助的な生理活性剤も含み得ることは理解されよう。
担体は、組成物の他の成分と適合性があり、且つ対象にとって有害でないという意味で、薬学的に許容できるものでなければならない。組成物には、経口、直腸、吸入性、鼻、局所(皮膚、頬側及び舌下を含めて)、腟又は親の(parental)(皮下、筋肉内、静脈内及び皮内注射を含めて)投与に適した組成物が含まれる。組成物は、好都合には単位剤形として提供することができ、また、製剤分野で周知のいずれの方法によっても調製することができる。
経口投与に適した本開示の組成物は、それぞれが所定量の有効成分を含有するカプセル剤、サシェ剤若しくは錠剤などの分離した単位として;散剤若しくは顆粒剤として;水性若しくは非水性液体中の溶液若しくは懸濁剤として;又は水中油型液体乳剤若しくは油中水型液体乳剤として提供することができる。
錠剤は、場合によっては1つ又は複数の副成分と共に、圧縮又は成形によって作製することができる。圧縮錠剤は、散剤又は顆粒剤などの易流動性形態の有効成分を、場合によっては結合剤(例えば、不活性希釈剤)、保存剤崩壊剤(例えば、デンプングリコール酸ナトリウム、架橋ポリビニルピロリドン、架橋ナトリウムカルボキシメチルセルロース)界面活性剤又は分散剤と混合して、適切な機械で圧縮することにより調製できる。成形錠剤は、不活性液体希釈剤で湿らせた粉末化合物の混合物を、適切な機械で成形することにより作製できる。錠剤は、場合によってはコーティングし、又は割線を入れることができ、また、適切なコーティングを使用、例えば種々の割合でヒドロキシプロピルメチルセルロースを使用して所望の放出特性をもたらすなど、して錠剤内部の有効成分の徐放出又は制御放出をもたらすように製剤化することができる。錠剤は、場合によっては腸溶性コーティングと共に提供して、胃以外の消化管の部分における放出をもたらすこともできる。
非経口投与に適した組成物には、抗酸化剤、緩衝液、殺菌剤、及び、組成物を対象とする受容者の血液と等張にする溶質を含有することのできる水性及び非水性の等張性無菌注射液;並びに、懸濁剤及び増粘剤を含むことのできる水性及び非水性の無菌懸濁剤が含まれる。組成物は、単位用量又は複数回用量封入容器、例えば、アンプル及びバイアルとして提供することができ、使用直前に無菌液体担体、例えば注射剤だと水、の添加のみを必要とする凍結乾燥条件で保存することができる。即時注射液及び懸濁剤は、上記の種類の滅菌散剤、顆粒剤及び錠剤から調製してもよい。
上で特に挙げた有効成分に加え、本開示の組成物は、想定している組成物の型に関する技術分野で慣用の他の薬剤を含んでもよく、例えば、経口投与に適した組成物は、結合剤、甘味料、増粘剤、香味剤、崩壊剤、コーティング剤、保存剤、潤滑剤及び/又は時間遅延剤などの更なる薬剤を含むことがあると、理解されたい。適切な加糖には、スクロース、ラクトース、グルコース、アスパルテーム又はサッカリンが含まれる。適切な崩壊剤には、トウモロコシデンプン、メチルセルロース、ポリビニルピロリドン、キサンタンガム、ベントナイト、アルギン酸又はカンテンが含まれる。適切な香味剤には、ペパーミントオイル、冬緑油、サクランボ、オレンジ又はラズベリーの香味が含まれる。適切なコーティング剤には、アクリル酸及び/若しくはメタクリル酸のポリマー若しくはコポリマー、並びに/又はそれらのエステル、ワックス、脂肪アルコール、ゼイン、セラック又はグルテンが含まれる。適切な保存剤には、安息香酸ナトリウム、ビタミンE、α−トコフェロール、アスコルビン酸、メチルパラベン、プロピルパラベン又は亜硫酸水素ナトリウムが含まれる。適切な潤滑剤には、ステアリン酸マグネシウム、ステアリン酸、オレイン酸ナトリウム、塩化ナトリウム又はタルクが含まれる。適切な時間遅延剤には、モノステアリン酸グリセリン又はジステアリン酸グリセリンが含まれる。
本開示の投与用化合物は場合によっては、適切に、薬学的に許容できる塩又はプロドラッグとして提供することができる。
「プロドラッグ」という用語は、その最も広い意味で使用され、インビボで酵素的又は加水分解的に本発明の化合物に変換される誘導体を包含する。このような誘導体は当業者ならば容易に思いつくと思われ、これらには例えば、遊離チオール基若しくは遊離水酸基が酢酸エステルなどのエステル、若しくはチオエステルに変換されている、又は遊離アミノ基がアミドに変換されている化合物が含まれる。本発明の化合物をアシル化して、例えばエステルプロドラッグ及びアミドプロドラッグを調製するための手順は当技術分野で周知であり、適した触媒又は塩基存在下での、適切なカルボン酸、カルボン酸無水物又はカルボン酸塩化物による化合物の処理を含むことがある。カルボン酸(カルボキシ)基のエステルもまた、想定する。適切なエステルには、C1〜6アルキルエステル;C1〜6アルコキシメチルエステル、例えばメトキシメチル又はエトキシメチル;C1〜6アルカノイルオキシメチルエステル、例えばピバロイルオキシメチル;フタリジルエステル;C3〜8シクロアルコキシカルボニルC1〜6アルキルエステル、例えば1−シクロヘキシルカルボニルオキシエチル;1,3−ジオキソレン−2−オニルメチルエステル、例えば5−メチル−1,3−ジオキソレン−2−オニルメチル;及びC1〜6アルコキシカルボニルオキシエチルエステル、例えば1−メトキシカルボニルオキシエチルが含まれる。アミノ官能基のプロドラッグには、アミド(例えば、Adv.BioSci.、1979、20、369、Kyncl,J.らを参照されたい)、エナミン(例えば、J.Pharm.Sci.、1971、60、1810、Caldwell,H.らを参照されたい)、シッフ塩基(例えば、米国特許第2,923,661号及びAntimicrob.Agents Chemother.、1981、19、1004、Smyth,R.らを参照されたい)、オキサゾリジン(例えば、J.Pharm.Sci、1983、72、1294、Johansen,M.らを参照されたい)、マンニッヒ塩基(例えば、J.Pharm.Sci.1980、69、44、Bundgaard,H.ら及びJ.Am.Chem.Soc.、1959、81、1198、Gottstein,W.らを参照されたい)、ヒドロキシメチル誘導体(例えば、J.Pharm.Sci、1981、70、855、Bansal,P.らを参照されたい)並びにN−(アシルオキシ)アルキル誘導体及びカルバマート(例えば、J.Med.Chem.、1980、23、469、Bodor,N.ら、J.Med.Chem.、1984、27、1037、Firestone,R.ら、J.Med.Chem.、1967、10、960、Kreiger,M.ら、米国特許第5,684,018号及びJ.Med.Chem.、1988、31、318−322、Alexander,J.らを参照されたい)が含まれる。適切なプロドラッグの選択及び調製のための、慣用の他の手順は当技術分野で既知であり、例えば、WO00/23419;プロドラッグの設計(Design of Prodrugs)、H.Bundgaard編、Elsevier Science Publishers、1985;Methods in Enzymology、42:309−396、K.Widder編、Academic Press、1985;薬剤設計及び開発のテキストブック(A Textbook of Drug Design and Development)、Krogsgaard−Larsen及びH.Bundgaard編、5章、p113−191(1991);先端的薬剤送達概説(Advanced Drug Delivery Reviews)、8;1−38(1992);Journal of Pharmaceutical Sciences、77;285(1988)、H.Bundgaard、ら;Chem Pharm Bull、32692(1984)、N.Kakeyaら、及び、薬剤設計及び薬剤作用の有機化学(The Organic Chemistry of Drug Desig and Drug Action)、8章、pp352−401、Academic press,Inc.、1992に記述されている。
適切な薬学的に許容できる塩には、それらだけに限らないが、薬学的に許容できる無機酸、例えば塩酸、硫酸、リン酸、硝酸、炭酸、ホウ酸、スルファミン酸、及び臭化水素酸などの塩、又は薬学的に許容できる有機酸、例えば酢酸、プロピオン酸、酪酸、酒石酸、マレイン酸、ヒドロキシマレイン酸、フマル酸、マレイン酸、クエン酸、乳酸、粘液酸、グルコン酸、安息香酸、コハク酸、シュウ酸、フェニル酢酸、メタンスルホン酸、トルエンスルホン酸、ベンゼンスルホン(benezenesulphonic)酸、サリチル酸、スルファニル酸、アスパラギン酸、グルタミン酸、エデト酸、ステアリン酸、パルミチン酸、オレイン酸、ラウリン酸、パントテン酸、タンニン酸、アスコルビン酸、フェンディゾ(fendizoic)酸、4−4’−メチレンビス−3−ヒドロキシ−2−ナフトエ酸、O−(p−ヒドロキシベンゾイル)安息香酸、4’−4”−ジヒドロキシトリフェニルメタン−2−カルボン酸及び吉草酸などの塩が含まれる。塩基塩には、それらだけに限らないが、薬学的に許容できる陽イオン、例えばナトリウム、カリウム、リチウム、カルシウム、マグネシウム、アンモニウム及びアルキルアンモニウムと形成された塩基塩が含まれる。塩基性窒素含有基は、ハロゲン化低級アルキル、例えば塩化、臭化物及びヨウ化メチル、エチル、プロピル、及びブチルなど;ジアルキル硫酸、例えばジメチル硫酸及びジエチル硫酸など;並びにその他、などの薬剤を用いて四級化することができる。
本発明の化合物はまた、獣医用組成物に使用するために提供してもよい。これらは、当技術分野で既知のいかなる適切な手段により調製してもかまわない。このような組成物の例としては、以下の目的に適合させた組成物が挙げられる。
経口投与。例えば錠剤、ボーラス、散剤、顆粒剤、飼料と混合するためのペレット、舌に施用するためのペースト剤、水性及び非水性の溶液又は懸濁剤を含めた水薬など。
非経口投与。例えば、無菌溶液又は懸濁剤としての皮下、筋肉内又は静脈内注射剤など。
ここで本発明を以下の実施例を参照しながら記述するが、これらの実施例は、本発明の実施形態の一部を例示する目的のために提供するのであり、上に記述した概論を限定するものと解釈されるべきでない。
(例1)
2型糖尿病患者におけるメタゾラミドのALTレベルへの影響
2型糖尿病患者におけるメタゾラミドのALTレベルへの影響
2型糖尿病に対し見込みのある処置として、メタゾラミド(40mgを毎日2回投与する)の安全性及び有効性を、24週間の無作為化プラセボ対照二重盲検臨床試験で評価した。この臨床試験の有効性の主要評価項目は、メタゾラミドを用いた場合のプラセボに対する、24週間の処置の後におけるHbA1cのベースラインからの低減(ΔHbA1c)とした。主要な安全測定は、アシドーシスの目安である静脈血ガスパラメータに対する、プラセボとの比較でのメタゾラミドの影響とした。
臨床試験は最初、試験参加前にはいかなる抗糖尿病剤によっても処置されていなかった2型糖尿病患者を登録した。試験は拡大されて、少なくとも3カ月間メトホルミンにより処置されており、且つ試験参加前の少なくとも8週間、メトホルミンを安定用量使用中の参加者を含めた(MET)。メトホルミンの用量は、試験を通じて変更しなかった。参加者のベースライン人口統計データを表1−1に示す。
無作為化して臨床試験に参与させた参加者に、1日用量のメタゾラミド(40mg、1日2回)又はプラセボのいずれかを24週間投与した。メタゾラミドは、1用量あたり1×30mgのカプセル剤及び1×10mgのカプセル剤で朝食及び夕食時に摂取させた。プラセボ(微結晶セルロース)も同一の供給方式で投与した。診療所への最初の無作為化来院(第0日)後、参加者は身体検査、検査室分析、体組成測定、血糖パラメータの評価(空腹時血糖、空腹時インスリン、HbA1c)及び静脈血ガス分析測定のため、第1、2、4、8、12、18及び24週に診療所に戻った。
ALTへのメタゾラミドの影響を表1−2に表す。ALTレベルの平均を、図1(A)及び図1(B)に経時的に示す。
驚くべきことに、メタゾラミドで処置した患者は、1週間のメタゾラミド処置の後に顕在化した、血中ALTレベル低減を示した。低減したALTレベルは2週間の処置の後にプラトーに達し、24週間の処置期間の残りの間そのまま維持された。ALTに対するメタゾラミドの効果、及びメタゾラミドの肝機能障害の潜在的処置作用は全く予想外である。承認されたメタゾラミド製品のラベル及び処方情報には、メタゾラミド治療は顕著な腎又は肝疾患又は機能障害の症例では禁忌であり、硬変症患者におけるメタゾラミドの使用は、肝性脳症の発症を促進することがあると記載されている。(Methazolamide(メタゾラミド)錠剤、処方情報(Methazolamide(methazolamide)Tablet. Prescribing information.)、2006、TEVA PHARMACEUTICALS USA)。
(例2)
db/dbマウスにおけるメタゾラミドの肝臓脂質への影響
db/dbマウスにおけるメタゾラミドの肝臓脂質への影響
全ての試薬はSigma−Aldrich(オーストラリア)から購入した。メタゾラミド投与液は、65:35(v/v)の滅菌生理食塩水対PEG400中で毎日新たに調製し、光から保護し、室温で保存した。オスdb/dbマウス(動物資源センター、オーストラリア)は、水及び食料に自由にアクセスできるように収容した(標準的な、げっ歯類用の食餌:Barastoc Rat & Mouse、Ridley Agriproducts、オーストラリア)。室温は21±2℃で、また湿度は40〜70%で、12時間明/暗サイクルのもとで維持した。マウスをメタゾラミド(50mg/kg/日)又はビヒクル(群あたりn=4)で9日間、毎日1回強制経口投与により処置した。
各日の血液試料を各マウスの尾の先端から得、グルコースレベルをグルコメーター(AccuCheck II;Roche、オーストラリア)を使用して測定した。研究終了時に、これらの動物は人道的に屠殺し、肝組織の一部(左葉)を取り出し、10%の中性緩衝ホルマリン中で固定した。前記肝組織はパラフィン包埋し、切片にし(5μm)、マウントし、またヘマトキシリン及びエオシンで染色した。
肝臓の別の部分(右葉)は、肝臓脂質含量の測定に使用した。脂質は、改変されたフォルチのプロトコールを用いて抽出した。組織を2:1クロロホルム/メタノール溶液(10ml)中でホモジナイズし、15mlガラス遠心管内へと濾過した。さらに5mlの2:1クロロホルム/メタノール溶液、続いて2.5mlの0.9%NaClを添加した。入念に混合した後、抽出物を5分間、2,000g、10℃で遠心した。水相を除去した後、有機層を窒素中で乾燥し、秤量により総脂質含量を評価した。
結果を表2−1並びに図2及び図3に示す。
1.メタゾラミド処置は、空腹時血糖値をビヒクル処置対照に対し47%低減した。
2.体重はビヒクル処置動物でより小さい(約6%)傾向にあったが、この傾向は有意ではなかった。9日間の投与期間にわたる体重変化は、群間で異なっていた;メタゾラミド処置動物は体重が減少し、ビヒクル処置動物は体重が増加した。
3.9日間の処置の後、肝臓脂質含量(w/w)は、メタゾラミド処置動物で、ビヒクル処置対照に比べ48%だけより小さかった。
4.肝組織診断(図2)は、メタゾラミド処置動物とビヒクル処置動物との間の相違を示した:
・4匹のビヒクル処置動物のうち3匹が高度の肝脂肪症を有していた。文献中の画像と比較すると、これら特定のdb/dbマウスは比較的重症例の脂肪性肝疾患を有するようだった。
・4匹のメタゾラミド処置db/dbマウスのうち2匹が、大きく低減された肝脂肪症を有するようだった。
1.メタゾラミド処置は、空腹時血糖値をビヒクル処置対照に対し47%低減した。
2.体重はビヒクル処置動物でより小さい(約6%)傾向にあったが、この傾向は有意ではなかった。9日間の投与期間にわたる体重変化は、群間で異なっていた;メタゾラミド処置動物は体重が減少し、ビヒクル処置動物は体重が増加した。
3.9日間の処置の後、肝臓脂質含量(w/w)は、メタゾラミド処置動物で、ビヒクル処置対照に比べ48%だけより小さかった。
4.肝組織診断(図2)は、メタゾラミド処置動物とビヒクル処置動物との間の相違を示した:
・4匹のビヒクル処置動物のうち3匹が高度の肝脂肪症を有していた。文献中の画像と比較すると、これら特定のdb/dbマウスは比較的重症例の脂肪性肝疾患を有するようだった。
・4匹のメタゾラミド処置db/dbマウスのうち2匹が、大きく低減された肝脂肪症を有するようだった。
Claims (23)
- 血清ALTレベルを、そうする必要のある患者において減少させる方法であって、前記患者に有効量のメタゾラミドを投与するステップを含む上記方法。
- 肝機能障害を、そうする必要のある患者において処置又は防止する方法であって、前記患者に有効量のメタゾラミドを投与するステップを含む上記方法。
- 肝臓脂質含量を、そうする必要のある患者において低減させるための方法であって、前記患者に有効量のメタゾラミドを投与するステップを含む上記方法。
- NAFLDを、そうする必要のある患者において処置又は防止するための方法であって、前記患者に有効量のメタゾラミドを投与するステップを含む上記方法。
- NAFLを処置又は防止するための請求項4に記載の方法。
- NASHを処置又は防止するための請求項4に記載の方法。
- 患者が上昇したALTレベルを患う場合の、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
- 患者が、前糖尿病又は糖尿病でもある、請求項1から6までのいずれか一項に記載の方法。
- 患者が≧6.5%のHbA1cレベルを有する、請求項8に記載の方法。
- メタゾラミドが抗糖尿病剤と組み合わせて投与される、請求項1から9までのいずれか一項に記載の方法。
- 抗糖尿病剤がメトホルミン又はその薬学的に許容できる塩である、請求項10に記載の方法。
- 患者において血清ALTレベルを減少させるための医薬品の製造における、メタゾラミドの使用。
- 患者において肝機能障害を処置又は防止するための医薬品の製造における、メタゾラミドの使用。
- 患者において肝臓脂質含量を低減させるための医薬品の製造における、メタゾラミドの使用。
- NAFLDを処置又は防止するための医薬品の製造における、メタゾラミドの使用。
- NAFLを処置又は防止するための請求項15に記載の使用。
- NASHを処置又は防止するための請求項15に記載の使用。
- 患者が、前糖尿病又は糖尿病でもある、請求項12から17までのいずれか一項に記載の使用。
- 患者が≧6.5%のHbA1cレベルを有する、請求項12から18までのいずれか一項に記載の使用。
- メタゾラミドが抗糖尿病剤と組み合わせて投与される、請求項12から19までのいずれか一項に記載の使用。
- 抗糖尿病剤がメトホルミン又はpである、請求項20に記載の使用。
- 患者において肝機能障害を処置若しくは防止する、及び/又はALTレベルを低下させる、及び/又は肝臓脂質レベルを低減させるための組成物であって、メタゾラミドを、1つ又は複数の薬学的に許容できる添加剤と共に含む上記組成物。
- 抗糖尿病剤による処置を受けている患者において、肝機能障害を処置若しくは防止する、及び/又はALTレベルを低下させる、及び/又は肝臓脂質レベルを低減させるのに使用するための組合せであって、メタゾラミド及び抗糖尿病剤を含む上記組合せ。
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