JP2018090109A - 蒸発器 - Google Patents
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Abstract
【課題】蓄冷材が凝固している状態を長時間維持し得る構成としながらも、熱交換性能の低下を抑制することのできる蒸発器を提供する。【解決手段】蒸発器10は、冷媒が流れる複数のチューブ300、及び複数のフィン400が積層された部分である熱交換コア部20と、それぞれのチューブ300の一端側が接続された第1タンク100と、それぞれのチューブ300の他端側が接続された第2タンク200と、熱交換コア部20、第1タンク100、及び第2タンク200のうち少なくとも一部を覆うように形成された保持層12と、を備える。保持層12には、内部に蓄冷材PF2を収容する蓄冷カプセル13が複数保持されている。【選択図】図3
Description
本開示は、内部を通る冷媒との熱交換により空気を冷却する蒸発器に関する。
空調装置における冷凍サイクルの一部として用いられる蒸発器は、液相の冷媒を内部で蒸発させてその温度を低下させ、当該冷媒との熱交換によって空気を冷却するものである。
車両用の空調装置においては、内燃機関の駆動力によってコンプレッサを動作させ、これにより冷媒を循環させている。このため、内燃機関が停止している状態においては冷媒の循環が停止した状態となるので、蒸発器を通過する空気の冷却を行うことができなくなる。
近年、一時停止の際において自動的に内燃機関を停止させる、所謂アイドルストップを行う車両が普及している。このような車両では、運転中において比較的頻繁に内燃機関が停止し、その度にコンプレッサが停止する。その際、上記のように空気の冷却が行われなくなってしまうと、車室内の温度が上昇し乗員に不快感を与えてしまうこととなる。
そこで、蓄冷機構を備えた構成の蒸発器が提案されており、既に実用化されている(例えば、下記特許文献1を参照)。蓄冷機構とは、容器の内部にパラフィン等の蓄冷材が収容されたものであって、蒸発器のうち冷媒が通るチューブ等に接した状態で配置されるものである。
内燃機関の駆動力によりコンプレッサが動作しているときには、蒸発器で低温となった冷媒との熱交換により蓄冷機構が冷却され、蓄冷容器の内部に収納された蓄冷材が凝固する。その後、アイドルストップが行われて冷媒の循環が停止した状態となっても、凝固した蓄冷材により、蓄冷機構やその近傍のチューブ等は低温に維持される。このため、蒸発器を通過して車室内に吹き出される空気の冷却を、しばらくの間は継続して行うことが可能となる。
外気温が高いときには、凝固していた蓄冷材が短時間のうちに融解してしまう。このため、アイドルストップ中における空気の冷却を長時間継続して行うことが出来ない。蓄冷材が凝固している状態を長時間維持するためには、蓄冷機構を増加させて多量の蓄冷材を保持した構成とする必要がある。しかしながら、蓄冷機構が配置された部分においては、チューブ間における空気の流れが蓄冷機構によって妨げられてしまうので、空気の冷却が行われなくなってしまう。このため、チューブ間に配置された蓄冷機構の数を増加させると、通常時における蒸発器の熱交換性能が低下してしまうこととなる。
本開示は、蓄冷材が凝固している状態を長時間維持し得る構成としながらも、熱交換性能の低下を抑制することのできる蒸発器を提供することを目的とする。
本開示に係る蒸発器は、内部を通る冷媒との熱交換により空気を冷却する蒸発器(10,10A)であって、冷媒が流れる複数のチューブ(300)、及び複数のフィン(400)が積層された部分である熱交換コア部(20)と、それぞれのチューブの一端側が接続された第1タンク(100)と、それぞれのチューブの他端側が接続された第2タンク(200)と、熱交換コア部、第1タンク、及び第2タンクのうち少なくとも一部を覆うように形成された保持層(12)と、を備える。保持層には、内部に蓄冷材(PF2)を収容する蓄冷カプセル(13)が複数保持されている。
このような構成の蒸発器では、冷媒が循環しているときに、保持層によって保持された蓄冷カプセルのそれぞれの内部において、蓄冷材が凝固した状態となる。冷媒の循環が停止した状態となった後は、低温の蓄冷材によって空気の冷却が行われる。
隣り合うチューブ同士の間を埋めるように配置される従来の蓄冷機構に比べて、複数の蓄冷カプセルを保持する保持層は比較的薄い層として形成することができる。このため、チューブに沿って流れる空気の流れは、蓄冷カプセルや保持層によって殆ど妨げられることが無い。
このように、上記構成の蒸発器では、保持層の形成によって蓄冷材の量を増加させ、蓄冷材が凝固している状態を長時間維持し得る構成としながらも、空気の流れが妨げられることに起因した熱交換性能の低下が殆ど生じない。
本開示によれば、蓄冷材が凝固している状態を長時間維持し得る構成としながらも、熱交換性能の低下を抑制することのできる蒸発器が提供される。
以下、添付図面を参照しながら本実施形態について説明する。説明の理解を容易にするため、各図面において同一の構成要素に対しては可能な限り同一の符号を付して、重複する説明は省略する。
図1に示される蒸発器10は、車両用空調装置として構成された冷凍サイクル(不図示)の一部を成す蒸発器(エバポレータ)である。蒸発器10には、冷凍サイクルの一部に配置された不図示のコンプレッサにより冷媒が送り込まれる。コンプレッサは、車両に備えられた内燃機関の駆動力により動作する。蒸発器10は、送り込まれた冷媒を内部で蒸発させながら、冷媒と空気との熱交換を行うことにより空気を冷却するものである。
図1を参照しながら、蒸発器10の構成について説明する。蒸発器10は、第1タンク100と、第2タンク200と、チューブ300と、フィン400と、蓄冷機構500と、を備えている。本実施形態では、これらはいずれもアルミニウムによって形成されている。
第1タンク100は、蒸発器10に対して供給された冷媒を一時的に貯留し、当該冷媒をチューブ300に供給するための容器である。第1タンク100は、細長い棒状の容器として形成されている。第1タンク100は、その長手方向を水平方向に沿わせた状態で、蒸発器10のうち上方側部分に配置されている。
第2タンク200は、第1タンク100と略同一形状の容器である。第2タンク200は、第1タンク100からチューブ300を通って来た冷媒を受け入れるものである。第2タンク200は、第1タンク100と同様にその長手方向を水平方向に沿わせた状態で、蒸発器10のうち下方側部分に配置されている。
チューブ300は、扁平形状の断面を有する細長い配管であって、蒸発器10に複数備えられている。チューブ300の内部には、その長手方向に沿った流路315(図1では不図示、図2を参照)が複数形成されている。それぞれのチューブ300は、その長手方向を鉛直方向に沿わせており、互いの主面を対向させた状態で積層配置されている。積層された複数のチューブ300が並ぶ方向は、第1タンク100の長手方向と同じである。
それぞれのチューブ300は、その一端が第1タンク100に接続されており、その他端が第2タンク200に接続されている。このような構成により、第1タンク100の内部空間と、第2タンク200の内部空間とは、それぞれのチューブ300内の流路315によって連通されている。
冷媒は、チューブ300の内部を通って第1タンク100から第2タンク200へと移動する。その際、蒸発器10を通過する空気との間で熱交換が行われ、これにより冷媒は蒸発し液相から気相へと変化する。また、空気は冷媒との熱交換により熱を奪われて、その温度を低下させる。
尚、チューブ300の内部において冷媒が流れる方向は、上記とは異なる方向であってもよい。例えば、第1タンク100や第2タンク200の内部が不図示のセパレータによって複数の空間に区切られており、第1タンク100と第2タンク200との間で冷媒が往復して流れるような態様であってもよい。
フィン400は、金属板を波状に折り曲げることにより形成されたものであって、それぞれのチューブ300の間に配置されている。波状であるフィン400のそれぞれの頂部は、チューブ300の外表面に対して当接しており、且つろう接されている。このため、蒸発器10を通過する空気の熱は、チューブ300を介して冷媒に伝達されるだけでなく、フィン400及びチューブ300を介しても冷媒に伝達される。つまり、フィン400によって空気との接触面積が大きくなっており、冷媒と空気との熱交換が効率よく行われる。尚、フィン400には、その一部を切り起こすことによってルーバーが形成されているのであるが、その図示は省略されている。
フィン400は、互いに隣り合う2本のチューブ300の間に形成された空間(後述の蓄冷機構500が配置されている部分を除く)の全体、すなわち、第1タンク100から第2タンク200に至るまでの全範囲に亘って配置されている。ただし、図1においてはその一部のみが図示されており、他の部分については図示が省略されている。
尚、蒸発器10のうち第1タンク100と第2タンク200との間となる部分であって、複数のチューブ300及びフィン400が積層されている部分、すなわち、冷媒と空気との間で熱交換が行われる部分のことを、以下では「熱交換コア部20」とも表記する。
図1においては、第1タンク100の長手方向であって、図1の左側から右側に向かう方向をx方向としてx軸を設定している。また、蒸発器10を空気が通過する方向であって、図1の紙面奥側から手前側に向かう方向をy方向としてy軸を設定している。更に、第2タンク200から第1タンク100へと向かう方向をz方向としてz軸を設定している。以降の図面においても、同様にしてx軸、y軸、z軸を設定している。
蓄冷機構500は、冷媒が循環しているときに蓄冷を行い、冷媒の循環が停止した後においてもチューブ300等を低温に保つためのものである。蓄冷機構500は、細長い棒状の部材として形成されている。蓄冷機構500は、その長手方向をz方向に沿わせた状態で、互いに隣り合う2本のチューブ300の間となる位置に配置されており、それぞれのチューブ300によって保持されている。
図1に示されるように、チューブ300とチューブ300との間に形成された複数の空間には、その一部にフィン400が配置されており、他の一部に蓄冷機構500が配置されている。本実施形態では、左側からフィン400、フィン400、蓄冷機構500、の順となるよう、これらが規則的に配置されている。ただし、このような配置は適宜変更してもよい。フィン400と蓄冷機構500との相対的な位置関係や、これらの配置における規則性の有無は特に限定されない。
図2を参照しながら、蒸発器10の構成について更に説明する。蓄冷機構500は、冷媒との熱交換によってその温度を低下させ、低温となっている状態を維持するために設けられたものである。蓄冷機構500は、蓄冷容器511の内部に、インナーフィン512と蓄冷材PF1とが収納され密封された構成となっている。
蓄冷容器511は金属により形成された容器である。蓄冷容器511の外側面は、チューブ300に対して当接している。このため、チューブ300の流路315を低温の冷媒が通ると、冷媒との熱交換によって蓄冷機構500も冷却される。
インナーフィン512は、フィン400と同様に、金属板(アルミニウム)を波状に折り曲げることにより形成されたものである。波状であるインナーフィン512の頂部は、蓄冷容器511の内壁面に対して当接しており、且つろう接されている。
蓄冷材PF1はパラフィンであって、蓄冷容器511の内部に充填されている。つまり、インナーフィン512の周囲の空間は蓄冷材PF1で満たされており、蓄冷材PF1が、蓄冷容器511の内壁面及びインナーフィン512の表面のいずれに対しても接した状態となっている。
チューブ300の内部には、既に述べたように冷媒の流れる流路315が形成されている。流路315には、冷媒との接触面積を増加させるためのものとして、インナーフィン512と同様のフィンが配置されていてもよい。
本実施形態では、蒸発器10を構成する全ての部材の表面、すなわち、第1タンク100、第2タンク200、チューブ300、フィン400、及び蓄冷機構500の表面の全体が、保持層12(図1、2においては不図示)によって覆われている。図3には、チューブ300の表面に形成された保持層12の構成が、断面図として示されている。図3においては、チューブ300よりも上方側(x方向側)の部分が、チューブ300の外側、すなわち空気の通過する部分となっている。
保持層12は、ポリビニルアルコールを主成分とする樹脂材料により形成されている。ポリビニルアルコールは親水性を有する材料であるから、保持層12はその表面において高い親水性を有している。
保持層12には、複数の蓄冷カプセル13が保持されている。それぞれの蓄冷カプセル13は、直径が50μm程度の微小な球体である。蓄冷カプセル13は概ね均等な密度で、保持層12の全体において分散配置されている。
蓄冷カプセル13は、外郭を成す壁体14を有している。壁体14の内部には空間が形成されており、当該空間には蓄冷材PF2が収容されている。蓄冷材PF2としては、蓄冷材PF1と同じパラフィンが用いられている。蓄冷材PF2はパラフィン以外の成分を含んでいてもよい。また、蓄冷材PF1とは異なる材料が蓄冷材PF2として用いられてもよい。壁体14は、メラミン樹脂又によって形成されている。壁体14としては、例えばフェノール樹脂などの他の材料が用いられてもよい。このような蓄冷カプセル13としては、例えば三木理研工業株式会社の蓄熱蓄冷マイクロカプセル(PMCD−5)等を用いることができる。
蓄冷カプセル13の直径D2は、保持層12の厚さD1よりも大きくなっている。このため、保持層12の表面では、それぞれの蓄冷カプセル13の一部が外方に向けて突出しており、これにより複数の凹凸が形成されている。
本実施形態では、壁体14の外側表面、すなわち蓄冷カプセル13の表面に、親水性を持たせるための処理が予め施されている。具体的には、メラミン樹脂である壁体14の表面に水酸基(OH基)を付加する処理が予め施されている。このため、保持層12の表面は、蓄冷カプセル13が突出している部分も含めた全体において高い親水性を有している。尚、壁体14の表面に水酸基を付加する方法としては公知の方法を採用し得るので、ここではその具体的な説明を省略する。
尚、図3において符号11が付されているのは、チューブ300の表面に形成された防錆層である(以下、「防錆層11」と表記する)。防錆層11は、アルミニウムによって形成されたチューブ300の表面に錆が生じることを防止するために形成された層であって、例えば亜鉛、ジルコニウム、バナジウム、チタン等の金属によって形成されている。防錆層11は、チューブ300のみならず蒸発器10の表面全体に形成されている。上記の保持層12は、この防錆層11の表面全体を覆うように形成されている。
以上においては、チューブ300の表面に形成された保持層12、及びこの保持層12に保持されている蓄冷カプセル13の構成について説明した。チューブ300以外の部材(例えばフィン400等)に形成された保持層12や、これに保持されている蓄冷カプセル13の構成は、以上に説明したものと同様である。従って、その図示や説明については省略する。
蓄冷機構500及び保持層12の機能について説明する。冷凍サイクルのコンプレッサが動作しており、冷凍サイクルにおいて冷媒が循環しているときには、チューブ300の内部では冷媒が蒸発することによってその温度を低下させる。蓄冷容器511及び蓄冷カプセル13は、低温の冷媒によって冷却される。その結果、蓄冷容器511の内部にある蓄冷材PF1、及び蓄冷カプセル13の内部にある蓄冷材PF2は、それぞれの融点(約5℃)よりも低温となり、いずれも凝固した状態となる。
車両がアイドルストップの状態になると、冷凍サイクルのコンプレッサが停止した状態となる。このため、冷凍サイクルにおける冷媒の循環は行われなくなり、蒸発器10における冷媒の蒸発も行われなくなる。
しかしながら、このときの蓄冷材PF1は凝固した状態となっているので、蓄冷容器511を保持するチューブ300は低温に維持される。また、蓄冷材PF2も凝固した状態となっているので、保持層12によって覆われた部分(本実施形態では蒸発器10の全体)もやはり低温に維持される。このため、冷媒の循環が停止していても、蒸発器10を通過する空気は引き続き冷却される。このように、蒸発器10では、蓄冷機構500及び保持層12が設けられていることにより、アイドルストップの状態に移行した後においてもその冷却性能をしばらくの間維持することができる。
蓄冷機構500は、蓄冷容器511の内部に多量の蓄冷材PF1を収容することができるものである。従って、アイドルストップの状態に移行した後において、空気の冷却を長時間維持するためには、蓄冷機構500の数を増加させることも考えられる。しかしながら、蓄冷機構500はチューブ300同士の間を埋めるように配置されるものであるから、蓄冷機構500を増加させ過ぎると、熱交換コア部20を通過する空気の流れを妨げてしまう。その結果、蒸発器10の通常時(冷凍サイクルを冷媒が循環しているとき)における熱交換性能が低下してしまう。
これに対し、複数の蓄冷カプセル13を保持する保持層12は、その厚さが100μmよりも小さい程度の非常に薄い層であるから、チューブ300やフィン400等の表面全体に形成されていても、熱交換コア部20を通過する空気の流れを殆ど妨げることが無い。つまり、本実施形態においては、蓄冷機構500に加えて保持層12を形成することにより、蒸発器10の熱交換性能を殆ど低下させることなく、蒸発器10の蓄冷性能を大きく向上させている。
尚、このような構成はあくまで一例であって、蒸発器10が蓄冷機構500を有さないような態様であってもよい。つまり、アイドルストップの状態に移行した後において冷却性能を維持するための蓄冷材が、蓄冷カプセル13の内部に収容された蓄冷材PF2のみであるような態様としてもよい。
保持層12を形成するための方法について説明する。先ず、第1タンク100、第2タンク200、チューブ300、フィン400、及び蓄冷機構500の全体を、ろう付けによって一体となるよう接合する。続いて、ろう付けが完了した後の蒸発器10を酸によって洗浄し、ろう付け時に付着していたフラックス等の残渣を除去する。酸洗浄が完了すると、蒸発器10の全体を薬液に浸漬し、その表面全体に防錆層11を形成する。その後、洗浄によって蒸発器10の表面から薬液を除去する。
続いて、ポリビニルアルコールを主成分とする液体樹脂に蒸発器10の全体を浸漬する。当該液体樹脂には複数の蓄冷カプセル13が投入されており、蓄冷カプセル13が均等に分布するように予め撹拌されている。尚、蓄冷カプセル13の壁体14の表面には、既に述べたように水酸基を付加する処理が予め施されている。
液体樹脂の層から蒸発器10を取り出すと、蒸発器10の表面には複数の蓄冷カプセル13を含む液体樹脂が塗布された状態となっている。その後、このような状態の蒸発器10を加熱炉内で加熱し、薬液樹脂を固化させる。これにより、図3に示されるように複数の蓄冷カプセル13を保持している保持層12が、蒸発器10の表面全体を覆うように形成される。
尚、保持層12は、本実施形態のように蒸発器10の表面全体を覆うように形成されてもよいが、蒸発器10の一部のみを覆うように形成されてもよい。ただし、冷媒による蓄冷材PF2の冷却や、蓄冷材PF2による空気の冷却が効率よく行われるためには、保持層12は、蒸発器10のうち少なくとも熱交換コア部20の全体を覆うように形成されていることが好ましい。
本実施形態では、保持層12が親水性を有する樹脂(ポリビニルアルコール)によって形成されている。また、保持層12から突出する蓄冷カプセル13の表面には、親水性を持たせるための表面処理が施されている。このため、蒸発器10の表面の水に対する濡れ性がよくなっており、熱交換コア部20が水によって目詰まりしてしまうようなことが防止されている。また、蒸発器10の表面から、空気の流れによって水が飛散してしまうような現象も防止されている。
また、本実施形態では、蓄冷カプセル13は球体であって、その直径は保持層の厚さよりも大きくなっている。これにより、保持層12の表面には複数の凹凸が形成されている。その結果、親水性を有する面の表面積が大きくなっているので、上記のような親水性の効果が更に高められている。
第2実施形態について、図4を参照しながら説明する。本実施形態に係る蒸発器10Aは、図1に示されるような蒸発器10を、空気の流れる方向(つまりy方向)に沿って2つ重ねたような構成となっている。つまり、第1タンク100、第2タンク200、チューブ300、フィン400、及び蓄冷機構500からなる熱交換器を2組有する構成となっている。
図4に示されるように、空気の流れ方向における上流側に配置された第1タンク100と、空気の流れ方向における下流側に配置された第1タンク100とは、互いに一体となっており、その全体が第1タンクユニット110として形成されている。同様に、空気の流れ方向における上流側に配置された第2タンク200と、空気の流れ方向における下流側に配置された第2タンク200とは、互いに一体となっており、その全体が第2タンクユニット210として形成されている。
本実施形態においては、保持層12は蒸発器10Aの表面全体を覆うように形成されているのではなく、第1タンクユニット110及び第2タンクユニット210の表面のみ(すなわち、第1タンク100及び第2タンク200のみ)を覆うように形成されている。アイドルストップ時においては、保持層12の蓄冷カプセル13によって第1タンク100等の内部にある冷媒が冷却され、これを介してチューブ300やフィン400も冷却される。その結果、熱交換コア部20を通過する空気の冷却を継続して行うことができる。
このような構成においては、保持層12が熱交換コア部20とは異なる位置に形成されている。このため、保持層12を厚く形成したとしても、保持層12や蓄冷カプセル13によって、熱交換コア部20における空気の流れが妨げられることが無い。従って、保持層12を厚めに形成することで、保持層12における蓄冷性能を更に高めることができる。
尚、このような構成は、第1実施形態のように第1タンク100、第2タンク200、チューブ300、フィン400、及び蓄冷機構500からなる熱交換器を1組だけ有する蒸発器10に対しても適用することができる。
逆に、本実施形態のように第1タンク100、第2タンク200、チューブ300、フィン400、及び蓄冷機構500からなる熱交換器を2組有するような蒸発器10Aにおいて、その表面全体に、蓄冷カプセル13を保持する保持層12が形成されている構成としてもよい。
以上、具体例を参照しつつ本実施形態について説明した。しかし、本開示はこれらの具体例に限定されるものではない。これら具体例に、当業者が適宜設計変更を加えたものも、本開示の特徴を備えている限り、本開示の範囲に包含される。前述した各具体例が備える各要素およびその配置、条件、形状などは、例示したものに限定されるわけではなく適宜変更することができる。前述した各具体例が備える各要素は、技術的な矛盾が生じない限り、適宜組み合わせを変えることができる。
10,10A:蒸発器
12:保持層
13:蓄冷カプセル
20:熱交換コア部
100:第1タンク
200:第2タンク
300:チューブ
400:フィン
500:蓄冷機構
PF1:蓄冷材
PF2:蓄冷材
12:保持層
13:蓄冷カプセル
20:熱交換コア部
100:第1タンク
200:第2タンク
300:チューブ
400:フィン
500:蓄冷機構
PF1:蓄冷材
PF2:蓄冷材
Claims (9)
- 内部を通る冷媒との熱交換により空気を冷却する蒸発器(10,10A)であって、
冷媒が流れる複数のチューブ(300)、及び複数のフィン(400)が積層された部分である熱交換コア部(20)と、
それぞれの前記チューブの一端側が接続された第1タンク(100)と、
それぞれの前記チューブの他端側が接続された第2タンク(200)と、
前記熱交換コア部、前記第1タンク、及び前記第2タンクのうち少なくとも一部を覆うように形成された保持層(12)と、を備え、
前記保持層には、内部に蓄冷材(PF2)を収容する蓄冷カプセル(13)が複数保持されている蒸発器。 - 前記熱交換コア部のうち互いに隣り合う前記チューブの間となる位置には、内部に蓄冷材(PF1)を収容する蓄冷機構(500)が設けられている、請求項1に記載の蒸発器。
- 前記保持層は少なくとも前記熱交換コア部の全体を覆うように形成されている、請求項1又は2に記載の蒸発器。
- 前記蓄冷カプセルは球体であって、その直径は前記保持層の厚さよりも大きい、請求項1乃至3のいずれか1項に記載の蒸発器。
- 前記保持層は前記第1タンク及び前記第2タンクのみを覆うように形成されている、請求項1又は2に記載の蒸発器。
- 前記保持層は親水性を有する樹脂によって形成されている、請求項1乃至5のいずれか1項に記載の蒸発器。
- 前記保持層はポリビニルアルコールを含む材料によって形成されている、請求項6に記載の蒸発器。
- 前記蓄冷カプセルの表面には、親水性を持たせるための表面処理が施されている、請求項1乃至7のいずれか1項に記載の蒸発器。
- 前記蓄冷カプセルの内部に収容された蓄冷材はパラフィンである、請求項1乃至8のいずれか1項に記載の蒸発器。
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2016
- 2016-12-05 JP JP2016235743A patent/JP2018090109A/ja active Pending
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