[第1実施形態]
図1及び図2は、本発明を適用した実施形態に係るプロジェクションシステム1の概略構成図である。
プロジェクションシステム1は、複数のプロジェクターを備えるシステムであり、本実施形態では3台のプロジェクター11、13、15を含む。これら複数のプロジェクター11、13、15は、例えば図1に示すように同一の室内に設置される。プロジェクションシステム1が設置された室は壁、天井、床を有し、壁と天井は平面に構成され、プロジェクター11、13、15が投射画像を投射する投射面として利用できる。以下の説明では、壁面を平面PL1、PL2、PL3とし、天井面を平面PL4とし、床面をPL5と呼ぶ。プロジェクター11、13、15は、それぞれ、壁面、幕、板等の投射面に、画像光を投射することによって、投射面に投射画像を結像させることができ、本実施形態では平面PL1〜PL4(投射面)に画像光を投射する。なお、画像が投射される各投射面は平面に限定されず、曲面であってもよい。例えば、プロジェクター11、13、15が黒板を平面PL1、PL2、PL3として利用することも想定されるが、天井面は、室内の様々な位置から見やすくなるように少し湾曲した面とすることも可能である。この場合、面PL4は湾曲面となる。
プロジェクター11、13、15の詳細及び設置状態は任意に変更できるが、本実施形態では、プロジェクター11が平面PL1に固定され、プロジェクター13が平面PL2に固定され、プロジェクター15が平面PL3に固定される。すなわち、プロジェクター11、13、15はいずれも壁面に設置される。この設置状態は、いわゆる壁掛け設置である。この場合、プロジェクター11、13、15と投射面である平面PL1、PL2、PL3、PL4との距離が近い。このため、プロジェクター11、13、15は近接投射が可能な短焦点型のプロジェクターであることが好ましい。
プロジェクター11、13は、2つの方向に画像光を投射して、投射画像を投射できる。また、プロジェクター15は1つの方向に画像光を投射する。
図1及び図2に示す設置状態において、プロジェクター11は平面PL1に投射画像P1を投射し、平面PL4に投射画像P2を投射する。プロジェクター13は、平面PL2に投射画像P3を投射し、平面PL4に投射画像P4を投射する。プロジェクター15は、平面PL3に投射画像P5を投射する。
プロジェクター11、13は、後述する画像処理によって、投射画像の向きを変更することが可能である。例えば、プロジェクター11は、平面PL4に投射する投射画像P2を、図1に示す状態と、図2に示す状態とに切り替えることができる。図1の投射画像P2と図2の投射画像P2とは、投射画像P2における上下が逆になっている。別の表現をすれば、図1の投射画像P2は、図2の投射画像P2を面内で180度回転させた向きで投射される。同様に、プロジェクター13は、平面PL4に投射する投射画像P4は、図1に示す向き、及び、図1の向きを180度回転させた図2の向きで投射される。これら図1に示す状態と図2に示す状態とは切り替え可能である。プロジェクター11、13が、平面PL4(天井面)に投射される投射画像P2、P4を見る人の位置に応じて画像の上下を反転させることによって、投射画像P2、P4を見やすくすることができる。例えば、投射画像P2を見る人がプロジェクター11の直下にいる場合、プロジェクター11は、図2に示すように、画像の上側が平面PL1に近い側となるように投射画像P2を投射すればよい。
また、天井である平面PL4、あるいは、プロジェクター11、13、15が設置された設置室における背面側の壁面(図示略)に画像を投射する場合、プロジェクター11、13、15は、左右鏡像反転した画像を投射してもよい。例えば、設置室が教室や講義室である場面において、生徒や受講者が使用する机上に鏡が取り付けられていれば、天井を見上げたり、後ろを向いたりしなくても、そのままの姿勢で、鏡に映る平面PL4の投射画像や背面側の壁の投射画像を、正しい向きで視認できる。
図3は、プロジェクションシステム1の機能ブロック図である。図3には、プロジェクター11、13、15を構成する主要な機能ブロックを示し、各プロジェクターの詳細な構成については後述する。
図3に示すように、プロジェクションシステム1は、無線通信装置9を備える。無線通信装置9は、プロジェクター11、13、15の各々と1対1で無線データ通信を実行し、或いは、プロジェクター11、13、15及び無線通信装置9を含む装置間で1対複数の無線データ通信を実現する。この機能により、無線通信装置9は、プロジェクター11、13、15の各々の間で相互に無線データ通信を実行可能な通信ネットワーク10を形成する。具体的には、無線通信装置9には、無線LAN(WiFi(登録商標)を含む)のアクセスポイントやルーターを用いることができる。また、無線通信装置9が、Bluetooth(登録商標)や、その他の近距離無線通信をプロジェクター11、13、15と実行する構成であってもよい。
プロジェクター11は、プロジェクター11の各部を制御する制御部21、各種データを記憶する記憶部22、無線通信装置9との間で無線データ通信を実行する無線通信部23、及び、投射する画像を処理する画像処理部24を備える。プロジェクター11は、平面PL1(図1)に投射画像P1を投射する投射部25と、平面PL4(図1)に投射画像P2を投射する投射部26とを備える。無線通信部23は、通信ネットワーク10を介して、無線LAN(WiFiを含む)、Bluetooth等の無線データ通信を実行する。
プロジェクター13は、プロジェクター13の各部を制御する制御部31、各種データを記憶する記憶部32、無線通信装置9との間で無線データ通信を実行する無線通信部33、及び、投射する画像を処理する画像処理部34を備える。プロジェクター13は、平面PL2(図1)に投射画像P3を投射する投射部35と、平面PL4(図1)に投射画像P4を投射する投射部36とを備える。無線通信部33は、通信ネットワーク10を介して、無線LAN(WiFiを含む)、Bluetooth等の無線データ通信を実行する。
プロジェクター15は、プロジェクター15の各部を制御する制御部51、各種データを記憶する記憶部52、無線通信装置9との間で無線データ通信を実行する無線通信部53、及び、投射する画像を処理する画像処理部54を備える。プロジェクター15は、平面PL3(図1)に投射画像P5を投射する投射部55を備える。無線通信部53は、通信ネットワーク10を介して、無線LAN(WiFiを含む)、Bluetooth等の無線データ通信を実行する。
プロジェクター11、13、15のそれぞれには、画像データを供給する画像供給装置(図示略)を接続できる。画像供給装置として、例えばノート型PC(Personal Computer)、デスクトップ型PCやタブレット端末、スマートフォン、PDA(Personal Digital Assistant)等を用いることができる。また、画像供給装置として、ビデオ再生装置、DVD(Digital Versatile Disk)プレーヤー、ブルーレイディスクプレーヤー、ハードディスクレコーダー、テレビチューナー装置、CATV(Cable television)のセットトップボックス、ビデオゲーム機等を用いてもよい。
プロジェクター11は、制御部21の制御により、画像ソースから画像データを取得して、取得した画像データに基づく画像を投射部25及び投射部26により投射する。プロジェクター11の画像データは、画像供給装置から入力される画像データ、及び、記憶部22に記憶する画像データから選択できる。投射部25が投射する投射画像P1の画像ソース、及び、投射部26が投射する投射画像P2の画像ソースは、個別に選択できる。投射画像P1の画像ソースと投射画像P2の画像ソースは異なる画像ソースであってもよいし同一であってもよい。また、プロジェクター11は、投射部25が投射する投射画像P1の画像ソースと、投射部26が投射する投射画像P2の画像ソースとを、ユーザーの操作等に基づき入れ替える機能を有する。これにより、プロジェクター11が投射中の投射画像P1と投射画像P2とを交換できる。
プロジェクター13は、制御部31の制御により、画像ソースから画像データを取得して、取得した画像データに基づく画像を投射部35及び投射部36により投射する。プロジェクター13の画像データは、画像供給装置から入力される画像データ、及び、記憶部32に記憶する画像データから選択できる。投射部35が投射する投射画像P3の画像ソース、及び、投射部36が投射する投射画像P4の画像ソースは、個別に選択できる。投射画像P3の画像ソースと投射画像P4の画像ソースは、異なる画像ソースであってもよいし同一であってもよい。また、プロジェクター13は、投射部35が投射する投射画像P3の画像ソースと、投射部36が投射する投射画像P4の画像ソースとを、ユーザーの操作等に基づき入れ替える機能を有する。これにより、プロジェクター13が投射中の投射画像P3と投射画像P4とを交換できる。
プロジェクター15は、制御部51の制御により、画像ソースから画像データを取得して、取得した画像データに基づく画像を投射部55により投射する。プロジェクター11の画像データは、画像供給装置から入力される画像データ、及び、記憶部52に記憶する画像データから選択できる。
プロジェクター11は、位置入力操作を検出する位置検出部27を備える。プロジェクター11では、投射画像P1が投射される投射領域に対し、指示体201による位置入力操作を行うことができる。
指示体201は、例えば、棒状の軸部を有するペン型のデバイスであり、プロジェクター11を操作する操作者(ユーザー)が手に持って使用する。プロジェクター11は、投射画像P1の投射領域に設定される検出領域において、指示体201の先端で指し示された位置を、操作位置(指示位置)として検出する。
本実施形態の指示体201はペン型であるが、指示棒(図示略)等の棒状の指示体であってもよいし、操作者の手や指を指示体としてもよい。また、操作者の指を指示体とする場合、例えば、操作者の指に色や模様を有する指輪や、指に被せる形状の治具を装着してもよい。また、操作者の指の形状や動きを画像認識によって識別するのでも良い。
位置検出部27は、検出領域を撮影し、撮影画像から指示体201の画像を抽出し、抽出した指示体201の画像と投射画像P1の投射領域との相対位置を求めることによって、ユーザーが指示する位置を検出する。
プロジェクター11は、位置検出部27によって検出した位置に基づき、例えば、GUI(Graphical User Interface)操作を実現する。また、プロジェクター11は、位置検出部27によって検出した位置に基づき、図形等を描画する描画処理を行う。プロジェクター11は、描画した画像を、投射画像P1に重ねて投射することができる。具体的には、投射画像P1の画像ソースとして選択された画像データに基づく画像と、描画した画像とを重ねて合成した合成画像を生成し、この合成画像を投射画像P1として投射する。
また、プロジェクター13は、位置入力操作を検出する位置検出部37を備える。プロジェクター13では、投射画像P3が投射される投射領域に対し、指示体203による位置入力操作を行うことができる。
指示体203は、指示体201と同様に、例えば、棒状の軸部を有するペン型のデバイスであり、プロジェクター13を操作するユーザーが手に持って使用する。プロジェクター13は、投射画像P3の投射領域に設定される検出領域において、指示体203の先端で指し示された位置を、操作位置(指示位置)として検出する。ここで、指示体203はペン型に限らず、指示棒(図示略)等の棒状の指示体であってもよいし、操作者の手や指を指示体としてもよい。また、操作者の指を指示体とする場合、例えば、操作者の指に色や模様を有する指輪や、指に被せる形状の治具を装着してもよい。
位置検出部37は、検出領域を撮影し、撮影画像から指示体203の画像を抽出し、抽出した指示体203の画像と投射画像P3の投射領域との相対位置を求めることによって、ユーザーが指示する位置を検出する。
プロジェクター13は、位置検出部37によって検出した位置に基づき、例えば、GUI操作を実現する。また、プロジェクター13は、位置検出部37によって検出した位置に基づき、図形等を描画する描画処理を行う。プロジェクター13は、描画した画像を、投射画像P3に重ねて投射する。具体的には、投射画像P3の画像ソースとして選択された画像データに基づく画像と、描画した画像とを重ねて合成した合成画像を生成し、この合成画像を投射画像P3として投射する。
プロジェクションシステム1では、プロジェクター11が投射する投射画像P1または投射画像P2をプロジェクター13、15によって投射させることができる。
例えば、投射画像P3を投射画像P1に切り替える場合、プロジェクター11からプロジェクター13に対して投射画像の切り替えを指示する制御データが送信される。続いて、プロジェクター11からプロジェクター13に対し、投射画像P1の画像ソースとして選択された画像データが、送信される。プロジェクター13は、プロジェクター11から画像データを受信し、受信した画像データを記憶部32に一時記憶する。プロジェクター13は、記憶部32に一時記憶した画像データを投射画像P3の画像ソースに選択する。投射画像P1の画像ソースが静止画像である場合、プロジェクター11は、プロジェクター13に静止画像データを1回送信する。投射画像P1の画像ソースが動画像(映像)である場合、プロジェクター11は、プロジェクター13に動画像データを継続して送信する。さらに、例えば、プロジェクター11が投射画像P1の画像ソースをキャプチャーして静止画像データを生成し、この静止画像データをプロジェクター13に送信して、投射画像P3或いは投射画像P4の画像ソースとして選択してもよい。
また、プロジェクションシステム1では、プロジェクター13が投射する投射画像P3または投射画像P4をプロジェクター11、15により投射させることができる。
例えば、投射画像P1を投射画像P3に切り替える場合、プロジェクター13からプロジェクター11に対して投射画像の切り替えを指示する制御データが送信される。また、プロジェクター11が、プロジェクター13に対し、投射画像の切り替えを指示する制御データを送信して、プロジェクター13の投射画像P3をプロジェクター11が投射するようにしてもよい。続いて、プロジェクター13からプロジェクター11に対し、投射画像P3の画像ソースとして選択された画像データが、送信される。プロジェクター11は、プロジェクター13から画像データを受信し、受信した画像データを記憶部22に一時記憶する。プロジェクター11は、記憶部22に一時記憶した画像データを投射画像P1の画像ソースに選択する。投射画像P3の画像ソースが静止画像である場合、プロジェクター13は、プロジェクター11に静止画像データを1回送信する。投射画像P3の画像ソースが動画像である場合、プロジェクター13は、プロジェクター11に動画像データを継続して送信する。さらに、例えば、プロジェクター13が投射画像P3の画像ソースをキャプチャーして静止画像データを生成し、この静止画像データをプロジェクター11に送信して、投射画像P1或いは投射画像P2の画像ソースとして選択してもよい。
さらに、プロジェクションシステム1では、投射中の合成画像を他のプロジェクターに送ることができる。例えば、プロジェクター11が合成画像を投射する場合に、この合成画像のデータをプロジェクター13またはプロジェクター15に送信して、プロジェクター13またはプロジェクター15により投射させてもよい。また、例えば、プロジェクター13が合成画像を投射する場合に、この合成画像のデータをプロジェクター11またはプロジェクター15に送信して、プロジェクター11またはプロジェクター15により投射させてもよい。
ここで、プロジェクター11、13、15が投射する合成画像について説明する。合成画像とは、複数の画像を重ねて合成した状態の画像の意味であり、ここでは次の3つのケースを例示する。
ケース1として、プロジェクター11、13が電子黒板機能で画像を描画した場合に、描画した画像と他の画像とを合成するケースを示す。ケース1では、電子黒板機能の実行時、プロジェクター11、13は、外部入力に相当画像ソースを選択せず、プロジェクター11、13の内部の回路系(制御系)で構成する背景を、投射する。この背景に重ねて、指示体201の操作に応じて図形を描画する。背景は、例えば、全白画面(全面が白やグレーである画面)、全白画面に罫線を付した画面等である。プロジェクター11、13は、背景画像のテンプレートを記憶部22に記憶していて、このテンプレートを用いて背景を投射してもよい。テンプレートは背景の画像データ自体であってもよく、背景の画像データを生成するためのプログラムやデータであってもよい。
ケース2として、プロジェクター11、13が、外部の画像ソースの画像を投射し、その画像の上に、指示体201で描画された線や図形を重ねて投射する例を示す。この場合、外部ソース(画像供給装置)が出力する画像に加筆するかのような使い勝手を実現できる。例えば、画像供給装置としてのPCからアナログRGBケーブル(図示略)を介して、プロジェクター11にプレゼンテーション資料のアナログ信号が入力される。この例では、プレゼンテーション資料のうち、例えばグラフの上に、指示体201の操作によって、ユーザーが注目してほしい部分に明るいマーキングが描画され、プレゼンテーション資料に重ねて投射される。また、ケース2では、外部ソースとして書画カメラなどの外部の撮像装置を用いてもよい。
ケース3として、地図や大判の教材などの電子化されていない図画を平面PLに掲示し、その上にプロジェクター11、13、15の投射画面を重ね合わせる例を示す。ケース3では、平面PL1、PL2、PL3等に実物の図画が設置され、この上に投射画像を重ねる。従って、プロジェクター11、13、15のいずれも、ケース3の動作が可能である。ケース3で掲示される実物の図画の色や内容は制限されず、通常色の地図、白地図等の図の他、一般的な文書、プレゼンテーション資料などを利用できる。また、平面PL1、PL2、PL3等に実物の黒板やホワイトボードが設置され、この黒板やホワイトボードに描画されや図、文章、絵などに、投射画像を重ねることを、ケース3の合成画像に含めてもよい。ケース3で掲示される電子化されていない実物の図画は、撮像部28、38によって撮像される。撮像部28は、指示体201の位置を検出する撮像部273(図4)とは異なる画角を撮像する撮像部である。撮像部28は、投射部25及び/又は投射部26により投射する投射画像を含む画角を撮像する。より詳細には、プロジェクター13が備える撮像部38は、プロジェクター11の撮像部28と同様である。すなわち、撮像部38は、指示体302の位置を検出する撮像部373(図6)とは異なる画角を撮像する撮像部である。より詳細には、撮像部38は、投射部35及び/又は投射部36により投射する投射画像を含む画角を撮像する撮像部である。
例えば、撮像部28が平面PL1を撮像するものであって、平面PL1に実物の図画が設置され、この上にプロジェクター11が投射画像P1を重ねて投射した場合に、撮像部28で撮像することにより、撮像画像には、投射画像P1と実物の図画とが重なった状態が含まれる。すなわち、投射画像P1と実物の図画とが重畳された状態の画像データを得ることができる。同様に、例えば、撮像部38が平面PL2を撮像するものであって、平面PL2に実物の図画が設置され、この上にプロジェクター13が投射画像P3を重ねて投射した場合に、撮像部38で撮像することにより、撮像画像には、投射画像P3と実物の図画とが重なった状態が含まれる。すなわち、投射画像P3と実物の図画とが重畳された状態の画像データを得ることができる。
ケース1、2、3で説明したように、プロジェクションシステム1を構成するプロジェクター11、13、15は、単一の画像を投射するだけでなく、複数の画像を合成した合成画像を、ユーザーに見せることができる。
プロジェクター11がケース1の動作を行って合成画像を投射する場合、画像データはプロジェクター11の制御系(例えば、DRAM225(図4))の記憶領域に記憶される。DRAM225では、背景の画像データと、指示体201の操作により描画された線や図形のデータとは、別々に記憶される。具体的には、背景、及び、指示体201により描画された線や図形それぞれ(これを構成部品という)のデータが、ベクトルデータまたはラスター画像データとして記憶される。そして、これらを合成した合成画像の画像データが、フレームメモリー241(図4)に構成される。ケース1で、プロジェクター11から合成画像の画像データを取り出す場合、DRAM225に記憶されている構成部品の構成要素のデータを取り出す方法がある。この方法ではプロジェクター11から、他のプロジェクター(例えば、プロジェクター13)にデータを送信する場合、DRAM225に記憶されている構成部品の構成要素のデータをプロジェクター13に送信し、プロジェクター13において合成画像の画像データをフレームメモリー341に再構成すればよい。また、フレームメモリー241の合成画像のデータをプロジェクター11がキャプチャーして、プロジェクター13に画像データとして送信する方法も可能である。プロジェクター13が合成画像を投射する場合も同様である。
ケース2では、外部から入力される画像データまたはアナログ信号をデジタル変換した画像データが、プロジェクター11の制御系(例えば、DRAM225)の記憶領域に記憶される。DRAM225は、外部ソースの画像データと、指示体201の操作により描画された線や図形のデータとを、別々に記憶する。そして、これらを合成した合成画像の画像データが、フレームメモリー241に構成される。また、外部ソースの画像データが変化した場合など、フレームメモリー241の合成画像の画像データを変化させる場合には、フレームメモリー241において別の記憶領域に、変化後の画像データを記憶すれば良い。これにより、変化前の合成画像の画像データをフレームメモリー241に保持しておき、投射画像を変化前の状態に戻すことができる。
ケース2で、プロジェクター11から合成画像の画像データを取り出す場合、DRAM225に記憶されている構成部品の構成要素のデータを取り出す方法がある。この方法ではプロジェクター11から、他のプロジェクター(例えば、プロジェクター13)にデータを送信する場合、DRAM225に記憶されている構成部品の構成要素のデータと、背景となっている画像データとをプロジェクター13に送信する。そして、プロジェクター13において合成画像の画像データをフレームメモリー341に再構成すればよい。また、フレームメモリー241の合成画像のデータをキャプチャーして、プロジェクター13に画像データとして送信する方法も可能である。プロジェクター13が合成画像を投射する場合も同様である。
ケース3で投射される合成画像は、実物と投射画像とを合成した画像であるが、プロジェクションシステム1では、プロジェクターがケース3の合成画像を投射する場合に、他のプロジェクターに合成画像を送ることができる。
すなわち、プロジェクター11がケース3の合成画像を投射する場合、プロジェクター11は、撮像部28によって、投射画像が重ねられている下地となっている実物を撮像する。この場合、撮像する瞬間のみプロジェクター11が投射部25または投射部26の投射光を停止又は遮光し、下地のみを撮像すると、より好ましい。プロジェクター11は、下地に重ねて投射した画像のデータをフレームメモリー241からキャプチャーする。そして、プロジェクター11から、撮像部28によって撮像した画像データとフレームメモリー241からキャプチャーしたデータとを、合成画像のデータとして、他のプロジェクター13、15に送信すれば良い。
プロジェクションシステム1では、投射画像の切り替えを指示する制御データを送信する装置を、プロジェクター11、13、15のいずれかに設定できる。このように設定される装置は、主制御側のプロジェクターといえる。例えば、プロジェクター11を主制御側のプロジェクターに設定した場合、プロジェクター11が制御データを送信することにより、プロジェクター11、13の間、プロジェクター11、15の間、及びプロジェクター13、15の間の画像の切り替えを制御する。また、この場合に、プロジェクター11がプロジェクター13に制御データを送信することによって、プロジェクター13の投射画像P3と投射画像P4との入れ替えを制御できる構成であってもよい。
投射画像を入れ替える態様は、1つのプロジェクターの投射画像を他のプロジェクターに投射させる例のほか、2つの投射画像を相互に入れ替える態様が挙げられる。例えば、投射画像P1と投射画像P3とを入れ替える場合、プロジェクター11は投射画像P1の画像ソースとして選択された画像データをプロジェクター13に送信する。プロジェクター13は、投射画像P3の画像ソースとして選択された画像データをプロジェクター11に送信する。プロジェクター11、13は、それぞれ、受信する画像データを画像ソースとして選択する。
上述したケース1、ケース2、及びケース3において、プロジェクター11が他のプロジェクター13、15に送信した合成画像を、再び投射部25に投射する場合には、プロジェクター11はプロジェクター13、15から画像データを再取得してもよい。すなわち、プロジェクター13、15からプロジェクター11に画像データを送信してもよい。あるいは、プロジェクター11が、他のプロジェクター13、15に画像データを送信する際に、送信する画像データを記憶部22に記憶しておき、この記憶部22に記憶した画像データをプロジェクター11が再利用して投射してもよい。
さらに、ケース3において、プロジェクター11が投射部26に投射し、あるいは他のプロジェクター13、15に送信した合成画像を、再び投射部25に投射する場合には、撮像部28によって撮像した画像データを含めない画像データを投射するように構成してもよい。また、下地となっている実物が取り除かれた後でも画像を再現できるように、撮像部28によって撮像した画像データを含む画像データを投射してもよい。あるいは、これらの両者を選択して投射できるように構成してもよい。
続いて、プロジェクションシステム1を構成するプロジェクター11、13、15の詳細な構成を説明する。
図4は、プロジェクター11のブロック図である。
プロジェクター11は、上述したように、制御部21、記憶部22、無線通信部23、画像処理部24、投射部25、26、及び、位置検出部27を備える。プロジェクター11は、光源駆動部235、光変調装置駆動部236、画像インターフェイス(I/F)部243、インターフェイス部245、入力処理部247、音声処理部281を備える。これらの各部はバス280により相互に接続される。また、後述するように、画像処理部24にはフレームメモリー241が接続され、入力処理部247には操作パネル285及びリモコン受光部287が接続される。音声処理部281にはスピーカー282が接続される。
画像インターフェイス部243は、上述した画像供給装置を接続するインターフェイスであり、コネクター及びインターフェイス回路等を備える。画像インターフェイス部243は、SD(Secure Digital)メモリーカード等のカード型記録媒体や、USBメモリーデバイス等、可搬型の記憶媒体を接続可能なコネクター及びインターフェイス回路を備えてもよい。
画像インターフェイス部243は、画像供給装置との間を有線接続される構成に限定されない。例えば、画像インターフェイス部243は、無線LAN(WiFiを含む)や、Miracast(登録商標)、Bluetooth等の無線データ通信を、画像供給装置との間で実行する構成であってもよい。
画像インターフェイス部243には、プロジェクター11が処理可能なデータフォーマットでデジタル画像データが入力される。このデジタル画像データは、静止画像データであっても動画像データであってもよい。以下の説明では、画像供給装置から画像インターフェイス部243に入力されるデータを、入力画像データOS1と呼ぶ。
画像インターフェイス部243は、デジタル画像データを入力可能なインターフェイスに限定されず、例えば、アナログ画像(映像)信号を入力可能な構成であってもよい。この場合、入力画像データOS1はアナログ信号であってもよい。この場合、アナログ信号をデジタルデータに変換する機能を有してもよい。
インターフェイス部245は、PC等の外部の装置に接続され、この外部の装置との間で制御データ等の各種データを送受信する。例えば、Ethernet(登録商標)、IEEE1394、USB(Universal Serial Bus)等のデータ通信を実行する。
投射部25は、光源251と、光源251が発する光を変調して画像光を生成する光変調装置252と、光変調装置252が変調した画像光を投射して投射画像を結像する投射光学系253と、を備える。
また、投射部26は、光源261と、光源261が発する光を変調して画像光を生成する光変調装置262と、光変調装置262が変調した画像光を投射して投射画像を結像する投射光学系263と、を備える。
光源251、261は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ等のランプ、或いは、LEDやレーザー光源等の固体光源で構成される。光源251、261は、それぞれ、光源駆動部235から供給される電力により点灯し、光変調装置252、262に向けて光を発する。光源251及び光源261は同一の構成とする必要はなく、例えば、光源251を超高圧水銀ランプで構成し、光源261を固体光源で構成してもよい。
光源駆動部235は、光源251、261の各々を個別に点灯及び消灯させることができる。また、光源駆動部235は、制御部21の制御に従って、光源251、261の各々に対して個別に輝度を調整する構成であってもよい。
光変調装置252(画像形成部、第1画像形成部)は、光源251が発する光を変調して画像光を生成し、画像光を投射光学系253に照射する。光変調装置262(画像形成部、第2画像形成部)は、光源261が発する光を変調して画像光を生成し、画像光を投射光学系263に照射する。
光変調装置252、262は、例えば、透過型の液晶ライトバルブ、反射型の液晶ライトバルブ、デジタルミラーデバイス(DMD)等の光変調素子を備える。光変調装置252及び光変調装置262は同一の構成とする必要はなく、例えば、光変調装置252を透過型の液晶ライトバルブで構成し、光変調装置262を反射型の液晶ライトバルブで構成してもよい。光変調装置252、262の光変調素子には光変調装置駆動部236が接続される。光変調装置駆動部236は、画像処理部24が出力する画像信号に基づき、光変調装置252、262の各々を駆動する。ここで、光変調装置駆動部236は、制御部21の制御に従って、光変調装置252及び光変調装置262の各々を、個別に駆動することが可能である。光変調装置駆動部236は、光変調装置252、262の光変調素子を駆動して各画素の階調を設定し、光変調素子にフレーム(画面)単位で画像を描画する。
本実施形態では、1つの光変調装置駆動部236により光変調装置252、262をそれぞれ駆動する構成を例示する。例えば、プロジェクター11が2つの光変調装置駆動部236を備え、一方の光変調装置駆動部236が光変調装置252を駆動し、他方の光変調装置駆動部236が光変調装置262を駆動する構成としてもよい。
光変調装置駆動部236には、画像処理部24から、光変調装置252に描画する画像の画像信号と、光変調装置262に描画する画像信号とが入力される。具体的には、画像処理部24から光変調装置駆動部236に画像信号を入力する信号線が複数設けられる構成としてもよい。或いは、画像処理部24から光変調装置駆動部236に対し、光変調装置252に描画する画像の画像信号と、光変調装置262に描画する画像信号とが時分割で入力される構成としてもよい。
投射光学系253(第1投射部)は、光変調装置252で変調された光をスクリーン上に結像するレンズやミラーを備える。また、投射光学系253は、ズームレンズ、フォーカスレンズ等の各種のレンズまたはレンズ群を含んでもよい。投射光学系263(第2投射部)も同様に、光変調装置262で変調された光をスクリーン上に結像するレンズやミラーを備え、ズームレンズ、フォーカスレンズ等の各種のレンズまたはレンズ群を含んでもよい。
投射部25、26の具体的な構成例については図5を参照して後述する。
位置検出部27は、撮像部273、対象検出部272、及び座標算出部271を備える。撮像部273は、指示体201の操作を検出可能な検出領域を含む範囲を撮影するデジタルカメラであり、撮像画像データを生成する。撮像部273の撮像範囲すなわち画角は、少なくとも検出領域を含む。撮像部273は、可視光による撮像を行うものに限定されず、赤外光を撮像するカメラであってもよい。
対象検出部272は、撮像部273の撮影画像データから指示体201の画像を検出する。すなわち、対象検出部272は、撮像部273の撮像画像データを解析して、撮像画像から指示体201の画像を検出する。撮像画像に指示体201の画像が含まれる場合、対象検出部272は、指示体201の画像の先端の位置を操作位置として特定する。対象検出部272は、撮影画像における指示体201の先端の位置を示す座標を求める。
座標算出部271は、対象検出部272が撮影画像から検出し、特定した指示体201の先端の位置の座標を、指示体201の検出領域における座標に変換する。座標算出部271は、算出した座標を、検出領域における指示位置の座標データとして制御部21に出力する。
入力処理部247(操作受付部)は、ユーザーによる操作を受け付ける。
入力処理部247は、操作パネル285に対する操作を検出する。操作パネル285は、例えば、プロジェクター11の筐体に配置され、各種のスイッチを備える。入力処理部247は操作パネル285のスイッチの操作を検出し、操作されたスイッチを示す制御データを制御部21に出力する。
入力処理部247に接続されるリモコン受光部287は、リモコン20が送信する赤外線信号を受光して、受光した信号をデコードする。リモコン20は、各種のスイッチを備え、操作されたスイッチを示す赤外線信号を送信する。リモコン受光部287は、受光した信号をデコードしたデータを、入力処理部247に出力する。入力処理部247は、リモコン受光部287から入力されるデータを制御部21に出力する。
制御部21は、例えば、図示しないCPU(Central Processing Unit)、フラッシュロム、及びRAM(Random Access Memory)を備えるプロセッサーである。制御部21は、フラッシュロムまたは記憶部22が記憶するプログラムをCPUが実行することにより、プロジェクター11の各部を制御する。制御部21は、プロジェクター11の各部を制御する機能ブロックとして、投射制御部211、描画制御部212、操作取得部213、及び通信制御部214を有する。これらの機能ブロックは、制御部21のCPUがプログラムを実行することにより、ソフトウェアとハードウェアの協働により実現される。
投射制御部211は、画像処理部24、光源駆動部235、光変調装置駆動部236を含む各部を制御して、プロジェクター11による投射画像P1、P2の投射を制御する。画像処理部24が実行する処理の実行タイミング、実行条件等を制御する。また、投射制御部211は、光源駆動部235を制御して、光源251、261の輝度の調整等を行う。
投射制御部211は、操作取得部213が取得するユーザーの操作に基づき、投射画像P1の画像ソース、及び、投射画像P2の画像ソースをそれぞれ選択する。投射制御部211は、画像処理部24を制御して、選択した画像ソースから画像データを取得させる。
また、投射制御部211は、投射画像P1または投射画像P2を、プロジェクター13が投射する投射画像P3や投射画像P4に切り替える制御を行う。この場合、投射制御部211は、投射画像P1または投射画像P2の画像ソースを、プロジェクター13から送信されて記憶部22に一時記憶された画像データに変更する。
また、投射制御部211は、投射画像P1または投射画像P2を、プロジェクター13或いはプロジェクター15に投射させる。この場合、投射制御部211は、プロジェクター13またはプロジェクター15に対する制御データを生成して、通信制御部214の制御により送信させる。また、投射制御部211は、投射画像P1または投射画像P2の画像データ、或いは、記憶部22が記憶する合成画像データを、通信制御部214の制御により送信させる。
また、投射制御部211は、撮像部28を制御して撮像を実行させ、撮像画像データを取得する。投射制御部211は、取得した撮像画像データを画像ソースとして、投射してもよい。また、投射制御部211は、撮像部28の撮像画像データを、DRAM225に一時的に格納して、例えば他のプロジェクターに送信してもよい。
描画制御部212は、位置検出部27により検出された指示位置の座標に基づいて、図形(直線、曲線、幾何学図形等を含む)、画像、文字等を描画する。描画制御部212は、位置検出部27により検出された指示位置の座標または座標の軌跡に対応する図形の画像データを生成し、画像処理部24により、フレームメモリー241に描画した画像に合成させる。なお、図形の画像データを生成する処理を、画像処理部24が行ってもよい。
操作取得部213は、プロジェクター11に対する操作を検出する。操作取得部213は、入力処理部247から入力されるデータに基づき、入力デバイスとして機能するリモコン20、および、操作パネル285による操作を検出する。
操作取得部213は、画像処理部24及び投射部25が、GUIデータ222に基づきGUI操作用の画像を投射する状態で、指示体201の指示位置を位置検出部27から取得することにより、GUI操作の内容を特定する。GUI操作用の画像は、例えば、後述するメニューバー206(図10)である。指示体201による操作を検出し、指示体201の指示位置がメニューバー206に重なる位置である場合、操作取得部213は、メニューバー206で指定されたアイコンを特定し、操作内容を求める。
記憶部22は、制御部21により処理されるデータや、制御部21のCPUが実行するプログラムを記憶する記憶装置である。記憶部22は、種々の揮発性の記憶装置及び/または不揮発性の記憶装置を備える構成とすることができる。本実施形態では、記憶部22は、フラッシュロム220、及び、DRAM(Dynamic RAM)225を備える。フラッシュロム220は書き換え可能な不揮発性記憶装置であり、DRAM225は、フラッシュロム220に比べアクセス速度が速いという利点がある。フラッシュロム220は、不揮発性の半導体記憶素子を用いて構成され、設定データ221、およびGUIデータ222を記憶する。DRAM225は、コンテンツデータ223、及び、投射画像データ224を記憶する。これにより、制御部21及びその他の機能部が、コンテンツデータ223及び投射画像データ224を高速に読み出すことができる。なお、プロジェクター11の電源をオフにする際に、コンテンツデータ223及び投射画像データ224をフラッシュロム220に退避してもよい。また、DRAM225に代えて不揮発性メモリーを用いてもよい。
設定データ221は、プロジェクター11の動作を定める各種の設定値(パラメーター)を含む。設定データ221は、例えば、プロジェクター11が通信ネットワーク10により無線データ通信を行うための設定値を含む。具体的には、プロジェクター11、13、15や無線通信装置9のネットワークアドレスやID等の識別情報、パスフレーズ等の認証情報を含んでもよい。また、設定データ221は、画像処理部24により実行する画像処理の種類或いは内容を指定するデータ、及び、画像処理で用いるパラメーターを含んでもよい。
GUIデータ222は、プロジェクター11をGUIにより操作するためのデータを含む。プロジェクター11は、投射部25によって操作用の画像を投射し、投射された画像に対する操作を検出することで、GUIによる操作を実行できる。GUIデータ222は、GUIを構成する操作用の画像の画像データ、及び、画像データに対する操作を検出するためのデータを含む。
コンテンツデータ223は、画像ソースとして選択可能な静止画像データまたは動画像データを含む。コンテンツデータ223は音声データを含んでもよい。
投射画像データ224は、プロジェクター11が投射部25または投射部26によって投射した画像の画像データを含む。例えば、制御部21の制御によって投射画像をキャプチャーする場合、画像処理部24が、フレームメモリー241に描画した画像の画像データを取得して、投射画像データ224として記憶させる。また、プロジェクター11がプロジェクター13或いはプロジェクター15から投射画像の画像データを受信した場合、受信された画像データは投射画像データ224として記憶される。また、描画制御部212により指示体201の操作に応じて画像が描画され、画像処理部24が描画画像を含む合成画像を生成して、投射部25により投射する場合、投射される合成画像の画像データが、投射画像データ224として一時記憶される。
画像処理部24にはフレームメモリー241が接続される。
画像処理部24は、制御部21の制御により選択される画像ソースから画像データを取得して、取得した画像データに対する各種の画像処理を実行する。例えば、画像処理部24は、画像データの解像度を光変調装置252、262の表示解像度に合わせて変換する解像度変換処理を実行する。また、画像処理部24は、画像データの形状を補正する幾何補正処理、画像データの色調を補正する色調補正処理等を実行する。また、画像処理部24は、制御部21の制御により、投射部26が投射する画像の向きを180度回転させる画像処理を行うことができる。画像処理部24は、処理後の画像データを表示するための画像信号を生成し、光変調装置駆動部236に出力する。
画像処理部24は、画像処理を実行する場合、画像ソースから取得した画像データに基づく画像をフレームメモリー241に展開し、フレームメモリー241に展開した画像に対する各種処理を実行する。例えば、画像処理部24は、描画制御部212の制御に従って、指示体201の操作により描画された描画画像を、フレームメモリー241の画像に重畳して合成し、合成画像(重畳画像)を生成する。また、メニューバー206(図10)等のGUI操作用の画像を表示する場合、画像処理部24は、GUIデータ222に基づく画像をフレームメモリー241の画像に重畳して合成し、合成画像を生成する。画像処理部24は、フレームメモリー241で合成された合成画像の画像データを記憶部22に出力して、投射画像データ224として記憶させてもよい。また、投射制御部211によって投射画像のキャプチャーが指示された場合、画像処理部24は、フレームメモリー241の画像のデータを記憶部22に出力して、投射画像データ224として記憶させてもよい。
本実施形態では、1つの画像処理部24が投射画像P1と投射画像P2の画像を処理する構成である。この場合、フレームメモリー241は、投射部25が投射する画像を展開する領域と、投射部26が投射する画像を展開する領域とを有する構成であってもよい。
光源駆動部235は、光源251、252の各々に対して駆動電流やパルスを供給し、光源251、252を発光させる。また、光源駆動部235は光源251、252の発光の輝度を調整可能であってもよい。光変調装置駆動部236は、制御部21の制御に従って、画像処理部24から入力される画像信号に基づき、光変調装置252、262を駆動して、光変調装置252、262にフレーム単位で画像を描画する。
音声処理部281は、制御部21の制御に従って、入力されるデジタル音声データまたはアナログ音声信号に基づきスピーカー282により音声を出力する。
図5は、プロジェクター11が2つの投射方向に画像光を投射する構成を示す模式図である。図5の符号L1は投射部25が投射する画像光を示し、符号L2は投射部26が投射する画像光を示し、2つの矢印はそれぞれ画像光L1、L2の光軸である。
プロジェクター11の投射光学系253は、平面PL1に向けて設置され、投射光学系263は、平面PL4に向けて設置される。画像光L1と画像光L2とは、相互に重ならない方向に投射される。少なくとも、プロジェクター11からの距離が、画像光L1が平面PL1に達する距離、或いは、画像光L2が平面PL4に達する距離以下では、画像光L1と画像光L2とは重ならない。
図6は、プロジェクター13のブロック図である。
プロジェクター13は、上述したように、制御部31、記憶部32、無線通信部33、画像処理部34、投射部35、36、及び、位置検出部37を備える。プロジェクター13は、光源駆動部335、光変調装置駆動部336、画像インターフェイス部343、インターフェイス部345、入力処理部347、切替部361、音声処理部381を備える。これらの各部はバス380により相互に接続される。また、後述するように、画像処理部34にはフレームメモリー341が接続され、入力処理部347には操作パネル385及びリモコン受光部387が接続される。音声処理部381にはスピーカー382が接続される。
画像インターフェイス部343は、上述した画像供給装置を接続するインターフェイスであり、コネクター及びインターフェイス回路等を備える。画像インターフェイス部343は、SDメモリーカード等のカード型記録媒体や、USBメモリーデバイス等、可搬型の記憶媒体を接続可能なコネクター及びインターフェイス回路を備えてもよい。
画像インターフェイス部343は、画像供給装置に有線接続される構成に限定されない。例えば、画像インターフェイス部343は、無線LAN(WiFiを含む)や、Miracast、Bluetooth等の無線データ通信を、画像供給装置との間で実行する構成であってもよい。
画像インターフェイス部343には、プロジェクター13が処理可能なデータフォーマットでデジタル画像データが入力される。このデジタル画像データは、静止画像データであっても動画像データであってもよい。以下の説明では、画像供給装置から画像インターフェイス部343に入力されるデータを、入力画像データOS2と呼ぶ。
画像インターフェイス部343は、デジタル画像データを入力可能なインターフェイスに限定されず、例えば、アナログ画像(映像)信号を入力可能な構成であってもよい。この場合、入力画像データOS2はアナログ信号であってもよい。この場合、アナログ信号をデジタルデータに変換する機能を有してもよい。
インターフェイス部345は、PC等の外部の装置に接続され、この外部の装置との間で制御データ等の各種データを送受信する。例えば、Ethernet、IEEE1394、USB等のデータ通信を実行する。
プロジェクター13は、光源351と、光源351が発する光を変調して画像光を生成する光変調装置352と、投射光学系362、363と、光変調装置352により変調された画像光を切り替えて導光する方向切替部353と、を備える。方向切替部353は、光変調装置352が変調した画像光を投射光学系362に導き、平面PL2に投射させる状態と、光変調装置352が変調した画像光を投射光学系363に導き、平面PL4に投射させる状態とを切り替えることが可能である。この構成では、投射光学系362が投射部35を構成し、投射光学系363が投射部36を構成する。
光源351は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ等のランプ、或いは、LEDやレーザー光源等の固体光源で構成される。光源351は、光源駆動部335から供給される電力により点灯し、光変調装置352に向けて光を発する。
光変調装置352(画像形成部)は、光源351が発する光を変調して画像光を生成し、画像光を投射光学系362、363に照射する。
光変調装置352は、例えば、透過型の液晶ライトバルブ、反射型の液晶ライトバルブ、デジタルミラーデバイス等の光変調素子を備える。光変調装置352の光変調素子には光変調装置駆動部336が接続される。光変調装置駆動部336は、画像処理部34が出力する画像信号に基づき、光変調装置352を駆動する。光変調装置駆動部336は、光変調装置352の光変調素子を駆動して各画素の階調を設定し、光変調素子にフレーム(画面)単位で画像を描画する。
投射光学系362(第1投射部)は、光変調装置352で変調された光をスクリーン上に結像するレンズやミラーを備える。また、投射光学系362は、ズームレンズ、フォーカスレンズ等の各種のレンズまたはレンズ群を含んでもよい。投射光学系363(第2投射部)も同様に、光変調装置352で変調された光をスクリーン上に結像するレンズやミラーを備え、ズームレンズ、フォーカスレンズ等の各種のレンズまたはレンズ群を含んでもよい。
図7は、プロジェクター13が2つの投射方向に画像光を投射する構成を示す模式図である。図7の符号L3は投射部35が投射する画像光を示し、符号L4は投射部36が投射する画像光を示し、2つの矢印はそれぞれ画像光L3、L4の光軸である。
プロジェクター13の投射光学系362は、平面PL2に向けて設置され、投射光学系363は、平面PL4に向けて設置される。画像光L3と画像光L4とは、相互に重ならない方向に投射される。少なくとも、プロジェクター13からの距離が、画像光L3が平面PL2に達する距離、或いは、画像光L4が平面PL4に達する距離以下では、画像光L3と画像光L4とは重ならない。このため、プロジェクター13は、2つの異なる投射方向に、それぞれ投射画像P3、P4を投射できる。
投射部35及び投射部36は共通の光源351、及び光変調装置352を利用し、光変調装置352によって変調された画像光を、方向切替部353によって、投射光学系362側と投射光学系363側とに分配する。
方向切替部353の構成は種々挙げられるが、本実施形態では一例として、画像光を反射する板状の平面鏡355を用いる構成を説明する。方向切替部353は、モーター354と、モーター354の駆動力により回転する平面鏡355とを備える。
図8は、平面鏡355の平面図である。平面鏡355は、金属や合成樹脂等からなる硬質の平板であり、図8に示すように円形である。平面鏡355の一方の平面355aは、光を反射する鏡面である。平面鏡355の他方の平面の状態は特に制限されないが、乱反射光が投射画像P3、P4に影響しないように、光の反射率が低いことが好ましい。
平面鏡355には透過部356が形成される。透過部356は、光を所定以上の透過率で透過させる窓であり、例えば、開口であってもよく、透光性を有する合成樹脂やガラスで構成されてもよい。
平面鏡355は、図中に符号Cで示す回転中心を中心として、モーター354(図7)の駆動力によって、符号Rで示す方向に回転する。
平面鏡355は、開口あるいは材質の異なる部分が存在することによって、回転時に、重心が回転中心からずれる影響をなくすための加工や対策等が施されていることが望ましい。例えば、平面鏡355の外周部の重量が、上記の開口あるいは材質の異なる部分の影響を補償するように調整されていることが望ましい。
図7に示すように、平面鏡355は、光変調装置352から画像光L13が出射される光路に対して斜めに設置される。透過部356(図8)は、平面鏡355の回転中心Cの片側に形成され、平面鏡355は、図7に示すように、画像光L13の光路が回転中心Cに重ならないように配置される。
平面鏡355は、鏡面である平面355aが光変調装置352を向くように設置され、画像光L13を平面355aで反射する。
プロジェクター13は、画像光L13が平面鏡355で反射された場合に、画像光L13の反射光が投射光学系362に入射するよう構成される。また、画像光L13が平面鏡355を透過した場合、この画像光L13は投射光学系363に入射するよう構成される。
この構成によれば、平面鏡355において、画像光L13の光路と透過部356とが重なる状態では、画像光L13が投射光学系363によって投射される。また、画像光L13の光路と透過部356とが重ならない状態では、画像光L13は、平面355aで反射して、投射光学系362によって投射される。画像光L13の光路と透過部356との位置関係は、モーター354が平面鏡355を回転させることで変化する。従って、制御部31の制御により、モーター354を回転させることにより、画像光L13が投射光学系362に導かれる状態と、投射光学系363に導かれる状態とを切り替えることができる。例えば、モーター354が平面鏡355を一定速度で一方向に回転させた場合、一定周期で、画像光L13の方向が投射光学系362と投射光学系363とに切り替えられる。つまり、画像光L13を一定間隔で投射光学系362と投射光学系363とに配分できる。投射光学系362、363に画像光L13が導かれる割合は、透過部356と、平面355aにおいて透過部356以外の部分との大きさの比に対応して決まる。この割合は、投射光学系362から投射される光と、投射光学系363から投射される光との光量の割合に相当する。このように、プロジェクター13は、光源351が発する光を光変調装置352により変調し、画像光L13を方向切替部353によって投射光学系362、363のそれぞれに分配する。これにより、1つの光源351、及び、1つの光変調装置352を用いて、2つの投射画像P3、P4を、異なる投射方向に投射できる。
方向切替部353には、切替部361が接続される。切替部361は、バス380に接続され、制御部31の制御に従ってモーター354を駆動する。従って、制御部31の制御によって平面鏡355を回転させ、画像光L13の投射方向を切り替えることができる。
光変調装置352で変調された画像光L13を、投射光学系362と投射光学系363とに切り替えて導く構成は、上記の例に限定されない。例えば、光変調装置352で変調された画像光L13の偏光方向を、特定の偏光方向(例えば、s偏光、或いは右円偏光)と、他の偏光方向(例えば、p偏光、或いは左円偏光)とに調整する偏光調整素子(図示略)を、画像光L13の光路に設けてもよい。そして、この偏光調整素子で偏光が調整された光を、偏光方向によって分離する分離光学素子(図示略)を設けてもよい。偏光調整素子としては、透過型の液晶セルを用いることができる。この液晶セルは、例えば、表示モードを、強誘電性液晶、OCB(Optically Compensated Bend Mode)液晶、ECB(Electrically Controlled Birefringence)液晶等を用いればよい。この場合、偏光調整素子に対する電圧の印加/非印加を切り替えることに伴い、偏光方向をより速やかに切替えることができる。従って、方向切替部353が、モーター354の回転により画像光L13の光路を切り替える動作と同様に、電圧の印加/非印加を切り替えることで画像光L13の光路を、投射光学系362と投射光学系363とに切り替えることができる。
位置検出部37は、座標算出部371、対象検出部372、及び撮像部373を備える。撮像部373は、指示体203の操作を検出可能な検出領域を含む範囲を撮影するデジタルカメラであり、撮像画像データを生成する。撮像部373の撮像範囲すなわち画角は、少なくとも検出領域を含む。撮像部373は、可視光による撮像を行うものに限定されず、赤外光を撮像するカメラであってもよい。
対象検出部372は、撮像部373の撮影画像データから指示体203の画像を検出する。すなわち、対象検出部372は、撮像部373の撮像画像データを解析して、撮像画像から指示体203の画像を検出する。撮像画像に指示体203の画像が含まれる場合、対象検出部372は、指示体203の画像の先端の位置を操作位置として特定する。対象検出部372は、撮影画像における指示体203の先端の位置を示す座標を求める。
座標算出部371は、対象検出部372が撮影画像から検出し、特定した指示体203の先端の位置の座標を、指示体203の検出領域における座標に変換する。座標算出部371は、算出した座標を、検出領域における指示位置の座標データとして制御部31に出力する。
入力処理部347(操作受付部)は、ユーザーによる操作を受け付ける。
入力処理部347は、操作パネル385に対する操作を検出する。操作パネル385は、例えば、プロジェクター13の筐体に配置され、各種のスイッチを備える。入力処理部347は操作パネル385のスイッチの操作を検出し、操作されたスイッチを示す制御データを制御部31に出力する。
入力処理部347に接続されるリモコン受光部387は、リモコン30が送信する赤外線信号を受光して、受光した信号をデコードする。リモコン30は、各種のスイッチを備え、操作されたスイッチを示す赤外線信号を送信する。リモコン受光部387は、受光した信号をデコードしたデータを、入力処理部347に出力する。入力処理部347は、リモコン受光部387から入力されるデータを制御部31に出力する。
制御部31は、例えば、図示しないCPU、フラッシュロム、及びRAMを備え、フラッシュロム或いは記憶部32が記憶するプログラムをCPUが実行することにより、プロジェクター13の各部を制御する。制御部31は、プロジェクター13の各部を制御する機能ブロックとして、投射制御部311、描画制御部312、操作取得部313、及び通信制御部314を有する。これらの機能ブロックは、制御部31のCPUがプログラムを実行することにより、ソフトウェアとハードウェアの協働により実現される。
投射制御部311は、画像処理部34、光源駆動部335、光変調装置駆動部336を含む各部を制御して、プロジェクター13による投射画像P3、P4の投射を制御する。画像処理部34が実行する処理の実行タイミング、実行条件等を制御する。また、投射制御部311は、光源駆動部335を制御して、光源351の輝度の調整等を行う。
投射制御部311は、操作取得部313が取得するユーザーの操作に基づき、投射画像P3の画像ソース、及び、投射画像P4の画像ソースをそれぞれ選択する。投射制御部311は、画像処理部34を制御して、選択した画像ソースから画像データを取得させる。
また、投射制御部311は、投射画像P3または投射画像P4を、プロジェクター11が投射する投射画像P3や投射画像P4に切り替える制御を行う。この場合、投射制御部311は、投射画像P3または投射画像P4の画像ソースを、プロジェクター11から送信されて記憶部32に一時記憶された画像データに変更する。
また、投射制御部311は、投射画像P3または投射画像P4を、プロジェクター11或いはプロジェクター15に投射させる。この場合、投射制御部311は、プロジェクター11またはプロジェクター15に対する制御データを生成して、通信制御部314の制御により送信させる。また、投射制御部311は、投射画像P3または投射画像P4の画像データ、或いは、記憶部32が記憶する合成画像データを、通信制御部314の制御により送信させる。
また、投射制御部311は、撮像部38を制御して撮像を実行させ、撮像画像データを取得する。投射制御部311は、取得した撮像画像データを画像ソースとして、投射してもよい。また、投射制御部311は、撮像部38の撮像画像データを、DRAM325に一時的に格納して、例えば他のプロジェクターに送信してもよい。
描画制御部312は、位置検出部37により検出された指示位置の座標に基づいて、図形(直線、曲線、幾何学図形等を含む)、画像、文字等を描画する。描画制御部312は、位置検出部37により検出された指示位置の座標または座標の軌跡に対応する図形の画像データを生成し、画像処理部34により、フレームメモリー341に描画した画像に合成させる。なお、図形の画像データを生成する処理を、画像処理部34が行ってもよい。
操作取得部313は、プロジェクター13に対する操作を検出する。操作取得部313は、入力処理部347から入力されるデータに基づき、入力デバイスとして機能するリモコン30、および、操作パネル385による操作を検出する。
操作取得部313は、投射部35(投射光学系362)が、GUIデータ322に基づきGUI操作用の画像を投射する状態で、指示体203の指示位置を位置検出部37から取得することにより、GUI操作の内容を特定する。GUI操作用の画像は、例えば、メニューバー206(図10)と同様である。操作取得部313は、指示体203の指示位置がGUI操作用の画像に重なる位置である場合、GUI操作用の画像において指定されたアイコン等を特定し、操作内容を求める。
記憶部32は、制御部31により処理されるデータや、制御部31のCPUが実行するプログラムを記憶する記憶装置である。記憶部32は、種々の揮発性の記憶装置及び/または不揮発性の記憶装置を備える構成とすることができる。本実施形態では、記憶部32は、フラッシュロム320、及び、DRAM325を備える。フラッシュロム320はフラッシュロム220と同様に構成され、DRAM325はDRAM225と同様に構成される。フラッシュロム320は設定データ321、およびGUIデータ322を記憶し、DRAM325はコンテンツデータ323及び投射画像データ324を記憶する。コンテンツデータ323及び投射画像データ324を、プロジェクター13の電源をオフにする際にフラッシュロム320に退避してもよい。
設定データ321は、プロジェクター13の動作を定める各種の設定値(パラメーター)を含む。設定データ321は、例えば、プロジェクター13が通信ネットワーク10により無線データ通信を行うための設定値を含む。具体的には、プロジェクター11、13、15や無線通信装置9のネットワークアドレスやID等の識別情報、パスフレーズ等の認証情報を含む。また、設定データ321は、画像処理部34により実行する画像処理の種類或いは内容を指定するデータ、及び、画像処理で用いるパラメーターを含んでもよい。
GUIデータ322は、プロジェクター13をGUIにより操作するためのデータを含む。プロジェクター13は、投射部35によって操作用の画像を投射し、投射された画像に対する操作を検出することで、GUIによる操作を実行できる。GUIデータ322は、GUIを構成する操作用の画像の画像データ、及び、画像データに対する操作を検出するためのデータを含む。
コンテンツデータ323は、画像ソースとして選択可能な静止画像データまたは動画像データを含む。コンテンツデータ323は音声データを含んでもよい。
投射画像データ324は、プロジェクター13が投射部35、36によって投射した画像の画像データを含む。例えば、制御部31の制御によって投射画像をキャプチャーする場合、画像処理部34が、フレームメモリー341に描画した画像の画像データを取得して、投射画像データ324として記憶させる。また、プロジェクター13がプロジェクター11或いはプロジェクター15から投射画像の画像データを受信した場合、受信された画像データは投射画像データ324として記憶される。また、描画制御部312により指示体203の操作に応じて画像が描画され、画像処理部34が描画画像を含む合成画像を生成して、投射部35により投射する場合、投射される合成画像の画像データが、投射画像データ324として一時記憶される。
画像処理部34にはフレームメモリー341が接続される。
画像処理部34は、制御部31の制御により選択される画像ソースから画像データを取得して、取得した画像データに対する各種の画像処理を実行する。例えば、画像処理部34は、画像データの解像度を光変調装置352の表示解像度に合わせて変換する解像度変換処理を実行する。また、画像処理部34は、画像データの形状を補正する幾何補正処理、画像データの色調を補正する色調補正処理等を実行する。また、画像処理部34は、制御部31の制御により、投射部36が投射する画像の向きを180度回転させる画像処理を行うことができる。画像処理部34は、処理後の画像データを表示するための画像信号を生成し、光変調装置駆動部336に出力する。
画像処理部34は、画像処理を実行する場合、画像ソースから取得した画像データに基づく画像をフレームメモリー341に展開し、フレームメモリー341に展開した画像に対する各種処理を実行する。例えば、画像処理部34は、描画制御部312の制御に従って、指示体203の操作により描画された描画画像を、フレームメモリー341の画像に重畳して合成し、合成画像(重畳画像)を生成する。また、GUI操作用の画像を表示する場合、画像処理部34は、GUIデータ322に基づく画像をフレームメモリー241の画像に重畳して合成し、合成画像を生成する。画像処理部34は、フレームメモリー341で合成された合成画像の画像データを記憶部32に出力して、投射画像データ324として記憶させてもよい。また、投射制御部311によって投射画像のキャプチャーが指示された場合、画像処理部34は、フレームメモリー341の画像のデータを記憶部32に出力して、投射画像データ324として記憶させてもよい。
本実施形態では、1つの画像処理部34が投射画像P3と投射画像P4の画像を処理する構成である。さらに、画像処理部34が処理した画像を、1つの光変調装置352により形成する構成である。この場合、画像処理部34は、フレームメモリー341に、投射部35が投射する画像と、投射部36が投射する画像とを交互に展開してもよい。或いは、画像処理部34は、フレームメモリー341が、投射部35が投射する画像を展開する領域と、投射部36が投射する画像を展開する領域とを有する構成であってもよい。
画像処理部34は、光変調装置駆動部336に画像信号を出力し、光変調装置352に、2つの画像を交互に形成させる。2つの画像とは、投射部35が投射する投射画像P3と、投射部36が投射する投射画像P4である。具体的には、画像処理部34は、光変調装置352に形成する画像を所定周期で更新し、更新の周期は、モーター354の回転速度、透過部356の大きさと平面355aの大きさの比等により適宜決定される。
光源駆動部335は、光源351に対して駆動電流やパルスを供給し、光源351を発光させる。また、光源駆動部335は光源351の発光の輝度を調整可能であってもよい。光変調装置駆動部336は、制御部31の制御に従って、画像処理部34から入力される画像信号に基づき、光変調装置352を駆動して、光変調装置352にフレーム単位で画像を描画する。
音声処理部381は、制御部31の制御に従って、入力されるデジタル音声データまたはアナログ音声信号に基づきスピーカー382により音声を出力する。
図9は、プロジェクター15のブロック図である。
プロジェクター15は、上述したように、制御部51、記憶部52、無線通信部53、画像処理部54、及び、投射部55を備える。プロジェクター15は、光源駆動部535、光変調装置駆動部536、画像インターフェイス部543、インターフェイス部545、入力処理部547、音声処理部581を備える。これらの各部はバス580により相互に接続される。また、後述するように、画像処理部54にはフレームメモリー541が接続され、入力処理部547には操作パネル585及びリモコン受光部587が接続される。音声処理部581にはスピーカー582が接続される。
画像インターフェイス部543は、上述した画像供給装置を接続するインターフェイスであり、コネクター及びインターフェイス回路等を備える。画像インターフェイス部543は、SDメモリーカード等のカード型記録媒体や、USBメモリーデバイス等、可搬型の記憶媒体を接続可能なコネクター及びインターフェイス回路を備えてもよい。
画像インターフェイス部543は、画像供給装置に有線接続される構成に限定されない。例えば、画像インターフェイス部543は、無線LAN(WiFiを含む)や、Miracast、Bluetooth等の無線データ通信を、画像供給装置との間で実行する構成であってもよい。
画像インターフェイス部543には、プロジェクター15が処理可能なデータフォーマットでデジタル画像データが入力される。このデジタル画像データは、静止画像データであっても動画像データであってもよい。以下の説明では、画像供給装置から画像インターフェイス部543に入力されるデータを、入力画像データOS3と呼ぶ。
画像インターフェイス部543は、デジタル画像データを入力可能なインターフェイスに限定されず、例えば、アナログ画像(映像)信号を入力可能な構成であってもよい。この場合、入力画像データOS3はアナログ信号であってもよい。この場合、アナログ信号をデジタルデータに変換する機能を有してもよい。
インターフェイス部545は、PC等の外部の装置に接続され、この外部の装置との間で制御データ等の各種データを送受信する。例えば、Ethernet、IEEE1394、USB等のデータ通信を実行する。
投射部55は、光源561と、光源561が発する光を変調して画像光を生成する光変調装置552と、光変調装置552により変調された画像光を平面PL3に投射する投射光学系553と、を備える。
光源561は、ハロゲンランプ、キセノンランプ、超高圧水銀ランプ等のランプ、或いは、LEDやレーザー光源等の固体光源で構成される。光源561は、光源駆動部535から供給される電力により点灯し、光変調装置552に向けて光を発する。
光変調装置552は、光源561が発する光を変調して画像光を生成し、画像光を投射光学系553に照射する。
光変調装置552は、例えば、透過型の液晶ライトバルブ、反射型の液晶ライトバルブ、デジタルミラーデバイス等の光変調素子を備える。光変調装置552の光変調素子には光変調装置駆動部536が接続される。光変調装置駆動部536は、画像処理部54が出力する画像信号に基づき、光変調装置552を駆動する。光変調装置駆動部536は、光変調装置552の光変調素子を駆動して各画素の階調を設定し、光変調素子にフレーム(画面)単位で画像を描画する。
投射光学系553は、光変調装置552で変調された光をスクリーン上に結像するレンズやミラーを備える。また、投射光学系553は、ズームレンズ、フォーカスレンズ等の各種のレンズまたはレンズ群を含んでもよい。
入力処理部547は、ユーザーによる操作を受け付ける。
入力処理部547は、操作パネル585に対する操作を検出する。操作パネル585は、例えば、プロジェクター15の筐体に配置され、各種のスイッチを備える。入力処理部547は操作パネル585のスイッチの操作を検出し、操作されたスイッチを示す制御データを制御部51に出力する。
入力処理部547に接続されるリモコン受光部587は、リモコン50が送信する赤外線信号を受光して、受光した信号をデコードする。リモコン50は、各種のスイッチを備え、操作されたスイッチを示す赤外線信号を送信する。リモコン受光部587は、受光した信号をデコードしたデータを、入力処理部547に出力する。入力処理部547は、リモコン受光部587から入力されるデータを制御部51に出力する。
制御部51は、例えば、図示しないCPU、フラッシュロム、及びRAMを備え、フラッシュロム或いは記憶部52が記憶するプログラムをCPUが実行することにより、プロジェクター15の各部を制御する。制御部51は、プロジェクター15の各部を制御する機能ブロックとして、投射制御部511、操作取得部513、及び通信制御部514を有する。これらの機能ブロックは、制御部51のCPUがプログラムを実行することにより、ソフトウェアとハードウェアの協働により実現される。
投射制御部511は、画像処理部54、光源駆動部535、光変調装置駆動部536を含む各部を制御して、プロジェクター15による投射画像P5の投射を制御する。画像処理部54が実行する処理の実行タイミング、実行条件等を制御する。また、投射制御部511は、光源駆動部535を制御して、光源561の輝度の調整等を行う。
投射制御部511は、操作取得部513が取得するユーザーの操作に基づき、投射画像P5の画像ソースを選択する。投射制御部511は、画像処理部54を制御して、選択した画像ソースから画像データを取得させる。
また、投射制御部511は、投射画像P5を、プロジェクター11が投射する投射画像P1や投射画像P2、或いは、プロジェクター13が投射する投射画像P3、P4等に切り替える制御を行う。この場合、投射制御部511は、投射画像P5の画像ソースを、プロジェクター11或いはプロジェクター13から送信されて記憶部52に一時記憶された画像データに変更する。
また、投射制御部511は、投射画像P5を、プロジェクター11或いはプロジェクター13に投射させる。この場合、投射制御部511は、プロジェクター11またはプロジェクター13から送信される制御データに従って、投射画像P5の画像データを、通信制御部514の制御により送信させる。
また、投射制御部511は、撮像部57を制御して撮像を実行させ、撮像画像データを取得する。投射制御部511は、取得した撮像画像データを画像ソースとして、投射してもよい。また、投射制御部511は、撮像部57の撮像画像データを、DRAM525に一時的に格納して、例えば他のプロジェクターに送信してもよい。撮像部57は、例えば、平面PL3を撮像するよう設置された撮像部であり、より具体的には、投射画像P5を含む画角を撮像するものであってもよい。この場合、撮像部57により、プロジェクター15が投射する投射画像P5を撮像できる。また、例えば、平面PL3に実物の図画が設置され、この上にプロジェクター15が投射画像P5を重ねて投射した場合に、撮像部57で撮像することにより、撮像画像には、投射画像P5と実物の図画とが重なった状態が含まれる。すなわち、投射画像P5と実物の図画とが重畳された状態の画像データを得ることができる。
操作取得部513は、プロジェクター15に対する操作を検出する。操作取得部513は、入力処理部547から入力されるデータに基づき、入力デバイスとして機能するリモコン50、および、操作パネル585による操作を検出する。
記憶部52は、制御部51により処理されるデータや、制御部51のCPUが実行するプログラムを記憶する記憶装置である。記憶部52は、種々の揮発性の記憶装置及び/または不揮発性の記憶装置を備える構成とすることができる。本実施形態では、記憶部52は、フラッシュロム520、及び、DRAM525を備える。フラッシュロム520はフラッシュロム220と同様に構成され、DRAM525はDRAM225と同様に構成される。フラッシュロム520は設定データ521を記憶し、DRAM525はコンテンツデータ523及び投射画像データ524を記憶する。コンテンツデータ523及び投射画像データ524を、プロジェクター15の電源をオフにする際にフラッシュロム520に退避してもよい。
設定データ521は、プロジェクター15の動作を定める各種の設定値(パラメーター)を含む。設定データ521は、例えば、プロジェクター15が通信ネットワーク10により無線データ通信を行うための設定値を含む。具体的には、プロジェクター11、13、15や無線通信装置9のネットワークアドレスやID等の識別情報、パスフレーズ等の認証情報を含む。また、設定データ521は、画像処理部54により実行する画像処理の種類或いは内容を指定するデータ、及び、画像処理で用いるパラメーターを含んでもよい。
コンテンツデータ523は、画像ソースとして選択可能な静止画像データまたは動画像データを含む。コンテンツデータ523は音声データを含んでもよい。
投射画像データ524は、プロジェクター11、13から受信する画像データを含む。すなわち、プロジェクター15がプロジェクター11或いはプロジェクター13から投射画像の画像データを受信した場合、受信された画像データは投射画像データ524として記憶される。
画像処理部54にはフレームメモリー541が接続される。
画像処理部54は、制御部51の制御により選択される画像ソースから画像データを取得して、取得した画像データに対する各種の画像処理を実行する。例えば、画像処理部54は、画像データの解像度を光変調装置552の表示解像度に合わせて変換する解像度変換処理を実行する。また、画像処理部54は、画像データの形状を補正する幾何補正処理、画像データの色調を補正する色調補正処理等を実行する。画像処理部54は、処理後の画像データを表示するための画像信号を生成し、光変調装置駆動部536に出力する。
画像処理部54は、画像処理を実行する場合、画像ソースから取得した画像データに基づく画像をフレームメモリー541に展開し、フレームメモリー541に展開した画像に対する各種処理を実行する。
画像処理部54は、光変調装置駆動部536に画像信号を出力し、光変調装置552に画像を形成させる。
光源駆動部535は、光源561に対して駆動電流やパルスを供給し、光源561を発光させる。また、光源駆動部535は光源561の発光の輝度を調整可能であってもよい。光変調装置駆動部536は、制御部51の制御に従って、画像処理部54から入力される画像信号に基づき、光変調装置552を駆動して、光変調装置552にフレーム単位で画像を描画する。
音声処理部581は、制御部51の制御に従って、入力されるデジタル音声データまたはアナログ音声信号に基づきスピーカー582により音声を出力する。
図10は、プロジェクションシステム1におけるGUI操作の例を示す図である。
プロジェクションシステム1を操作するユーザーは、プロジェクター11に対し、指示体201によるGUI操作を利用できる。ユーザーは、プロジェクター13に対しても指示体203によるGUI操作が可能であるが、プロジェクター13のGUI操作の態様はプロジェクター11と同様とすることができるので、ここではプロジェクター11の操作について説明する。
プロジェクター11が投射画像P1を投射する投射領域において、指示体201により指示される指示位置を検出可能な検出領域200が設定される。図10に示す例では、投射画像P1より少し小さい検出領域200が設定されるが、検出領域200が投射画像P1より大きくてもよい。
操作パネル285またはリモコン20の操作により、GUI操作の開始、或いはメニューバーの表示が指示されると、制御部21は、記憶部22が記憶するGUIデータ222に基づいてメニューバー206を表示させる。メニューバー206(操作用の画像)は、指示体201の操作により描画する図形の属性を設定するための各種のアイコンを含む。図形の属性とは、図形の形状、描画する図形を構成する線の色や太さ等である。ユーザーは、指示体201の先端202の位置をメニューバー206のアイコンに合わせることで、アイコンを指定して、操作を行うことができる。
図形の属性を指定する操作が行われた後、ユーザーが指示体201を操作すると、先端202の軌跡に沿って、例えば図10に示すように描画画像205が生成される。
メニューバー206には、表示切替アイコン207が配置される。表示切替アイコン207は、プロジェクター11が投射する投射画像P1、P2をプロジェクター13やプロジェクター15により表示するなど、投射画像の切り替えを指示するためのアイコンである。指示体201によって表示切替アイコン207が操作されると、制御部21は、画像の切り替えが指示されたことを検出して、画像を切り替える処理を実行する。この場合、表示切替アイコン207の操作に続いて、切り替え元、及び切り替え先の画像を投射画像P1〜P5から選択する操作等が行われる。
図11、図12、図13、及び図14は、プロジェクションシステム1の動作を示すフローチャートである。図11〜図13は、特に、プロジェクター11またはプロジェクター13が、投射画像の切り替えの指示に従って実行する動作を示す。従って、図11〜図13の動作は、プロジェクター11が行ってもよいし、プロジェクター13が行ってもよいが、ここではプロジェクター11の動作として説明する。また、図14は、プロジェクター11、13、15のいずれかが、他のプロジェクターから送信される制御データに従って実行する動作である。ここではプロジェクター15の動作として説明する。
プロジェクター11は、電源がオンにされた後、初期設定等を実行し、その後、図11の動作を開始する。
プロジェクター11の制御部21は、入力処理部247が受け付けたユーザーの操作、或いは、事前に設定された設定データ221に従って、投射方向毎の画像ソースを選択する(ステップS11)。具体的には、制御部21は、投射画像P1の画像ソース、及び、投射画像P2の画像ソースをそれぞれ選択する。制御部21は、画像処理部24により、選択した画像ソースから画像データを取得させ、投射部25及び投射部26のそれぞれによって投射画像P1、P2を投射させる(ステップS12)。なお、投射部25(投射画像P1)及び投射部26(投射画像P2)のいずれか、或いは両方について、画像ソースを選択しないことも可能である。投射部25、26のうち画像ソースが選択されない投射部は、画像を投射しない。
制御部21は、入力処理部247が受け付ける操作によりメニューバー206の表示が指示されたか否かを判定する(ステップS13)。メニューバー206の表示が指示された場合(ステップS13;Yes)、制御部21は、GUIデータ322に基づき、投射部35によってメニューバー206を表示させる(ステップS14)。ここで、制御部21は、位置検出部27による指示位置の検出を開始し、指示体201による操作が可能な状態に移行する(ステップS15)。
制御部21は、メニューバー206に対する操作を待機し、描画が指示されたか否かを判定する(ステップS16)。描画が指示された場合(ステップS16;Yes)、制御部21は、位置検出部27が検出する指示位置に基づき描画を実行し(ステップS17)、画像処理部24により合成画像データを生成させて記憶部22に記憶させる(ステップS18)。制御部21は、画像処理部24及び投射部25によって合成画像を投射させる(ステップS19)。
制御部21は、描画の終了が指示されたか否かを判定し(ステップS20)、描画を終了しない場合(ステップS20;No)、ステップS17に戻る。また、制御部21は、描画を終了する指示がされた場合(ステップS20;Yes)、プロジェクター11による投射を終了するか否かを判定する(ステップS21)。ステップS21で、制御部21は、例えば、入力処理部247が受け付ける操作により投射終了やプロジェクター11の電源オフが指示されたか否かに基づき判定を行う。投射を終了する場合(ステップS21;Yes)、制御部21は本処理を終了する。投射を終了しない場合(ステップS21;No)、制御部21はステップS13に戻る。
また、ステップS13で、メニューバー206の表示の指示がされない場合(ステップS13;No)、制御部21は、ステップS21に移行する。
また、ステップS16で、描画が指示されなかった場合(ステップS16;No)、制御部21は、画像の切り替えが指示されたか否かを判定する(ステップS22)。画像の切り替えが指示されなかった場合(ステップS22;No)、制御部21はステップS21に移行する。また、画像の切り替えが指示された場合(ステップS22;Yes)、制御部21は、プロジェクションシステム1における投射画像を切り替える切替処理を実行する(ステップS23)。
図12は、切替処理を詳細に示すフローチャートである。
切替処理では、入力処理部247が受け付ける操作、或いは、指示体201を利用したGUI操作により、切替元の投射画像と切替先の投射画像とが指定される(ステップS31)。切替処理は、プロジェクションシステム1が投射する投射画像P1〜P5の一部を入れ替える処理である。より詳細には、プロジェクター11、13が投射する投射画像P1〜P4のいずれかを、プロジェクター11、13、15が投射する投射画像P1〜P5のうち他の投射画像として投射する処理である。別の表現では、投射画像P1〜P5のいずれかを、投射画像P1〜P4のいずれかに置き換える処理である。
ステップS31では、投射画像P1〜P5のうち、切替処理の対象となる投射画像が指定される。切替処理の対象の投射画像は、切替元の投射画像と、切替先の投射画像とを含む。例えば、プロジェクター11が投射する投射画像P1を、プロジェクター13により、投射画像P4として投射させるように、切替処理を行う場合、切替元は投射画像P1であり、切替先は投射画像P4である。切替先の投射画像と切替元の投射画像は同じプロジェクターが投射する投射画像であってもよい。例えば、プロジェクター11が投射する投射画像P1を切替元とし、投射画像P2を切替先としてもよい。
制御部21は、ステップS31で指定された切替先の投射画像が、他のプロジェクターが投射する投射画像であるか否かを判定する(ステップS32)。プロジェクター11が切替処理を実行する場合、プロジェクター11の制御部21は、ステップS32で、切替先が投射画像P3、P4、P5であるか否かを判定する。切替先が投射画像P3、P4、P5のいずれかであれば、ステップS32で肯定判定する。
切替先の投射画像が、他のプロジェクターが投射する投射画像でない場合(ステップS32;No)、制御部21は、プロジェクター11が投射する投射画像P1、P2のいずれかを、他方に切り替える処理を実行する。制御部21は、切替元の投射画像が合成画像であるか否かを判定する(ステップS33)。切替元が合成画像である場合(ステップS33;Yes)、制御部21は、記憶部22に記憶した投射画像データ224に含まれる合成画像データを、切替先の投射画像の画像ソースとして設定する(ステップS34)。ステップS34で、制御部21は、切替元の画像ソースを、ステップS31で指示された画像ソース或いはデフォルトで設定された画像ソースに設定してもよい。
制御部21は、投射画像P1、P2の画像ソースを、ステップS34で設定した画像ソースに切り替えて(ステップS35)、ステップS21(図11)に移行する。
また、切替元が合成画像でない場合(ステップS33;No)、制御部21は、切替元及び切替先の投射画像の画像ソースを、ステップS31で指示された画像ソース或いはデフォルトで設定された画像ソースに切り替える(ステップS35)。その後、制御部21は、ステップS21(図11)に移行する。
また、制御部21は、ステップS31で指定された切替先の投射画像が、他のプロジェクターが投射する投射画像であると判定した場合(ステップS32;Yes)、外部切替処理を行う(ステップS36)。外部切替処理は、プロジェクションシステム1を構成する複数のプロジェクター間で、投射画像を切り替える処理である。具体的には、プロジェクター11とプロジェクター13、プロジェクター11とプロジェクター15、或いはプロジェクター13とプロジェクター15の間で、投射画像を切り替える処理である。外部切替処理の詳細を、図13に示す。
外部切替処理において、制御部21は、切替先の投射画像を投射するプロジェクターに対して切り替えを指示する制御データを生成する(ステップS41)。制御部21は、生成した制御データを、無線通信部23によって、切替先の投射画像を投射するプロジェクターに送信する(ステップS42)。
制御部21は、切替元の投射画像が合成画像であるか否かを判定する(ステップS43)。切替元の投射画像が合成画像である場合(ステップS43;Yes)、制御部21は記憶部22に記憶された合成画像データを画像ソースとして設定する(ステップS44)。
ステップS18(図11)で説明したように、画像処理部24は、合成画像を生成する場合、合成画像の画像データを記憶部22に記憶する。制御部21は、切替元の投射画像が合成画像である場合、記憶部22が記憶する合成画像データを、切替元の画像ソースとして設定する(ステップS44)。制御部21は、画像ソースに設定した画像データの送信を開始する(ステップS45)。ステップS45の後、無線通信部23は、制御部21が指定した画像データを切替先の投射画像を投射するプロジェクターに送信する。
また、切替元の投射画像が合成画像でない場合(ステップS43;No)、制御部21はステップS45に移行して、切替元の投射画像の画像ソースに設定されている画像データの送信を開始する(ステップS45)。
ここで、制御部21は、外部から画像データを受信して投射する処理を行うか否かを判定する(ステップS46)。
プロジェクションシステム1で投射画像を切り替える場合、2つの投射画像を相互に交換できる。例えば、投射画像P1が切替元であり、投射画像P3が切替先である場合に、投射画像P1の画像をプロジェクター13が投射するだけでなく、プロジェクター11が投射画像P3の画像を投射するように、切り替えを行うことができる。この例では、プロジェクター11は、プロジェクター13から投射画像P3の画像ソースのデータを受信して、投射画像P1として投射する。ステップS46では、プロジェクター11の制御部21が、切替先の投射画像を投射させるプロジェクターから画像データを受信するか否かを判定する。
画像データを受信して投射する場合(ステップS46;Yes)、制御部21は無線通信部23によるデータの受信を開始する(ステップS47)。制御部21は、無線通信部23により受信した画像データを記憶部22に投射画像データ224として記憶し、記憶した画像データを画像ソースに設定する(ステップS48)。制御部21は、切替元の投射画像の画像ソースを、ステップS48で設定した画像ソースに切り替えて(ステップS49)、ステップS21(図11)に移行する。
また、制御部21は、外部から画像データを受信して投射する処理を行わないと判定した場合(ステップS46;No)、切替元の投射画像の画像ソースを切り替える(ステップS45)。すなわち、制御部21は、ユーザーの操作により指定された画像ソース或いはデフォルトで設定された画像ソースに切り替えて(ステップS45)、ステップS21(図11)に移行する。
このように、プロジェクター11は、指示体201を用いたGUI操作等によって、投射画像の切り替えが指示された場合に、投射画像P1または投射画像P2として投射している画像を、他のプロジェクター13、15により投射させることができる。また、投射画像P1として投射している画像を、投射画像P2として投射することもできる。また、他のプロジェクター13、15が投射する投射画像と、投射画像P1または投射画像P2とを入れ替えて投射することもできる。また、投射画像P1と投射画像P2とを入れ替えて投射することもできる。図11、図12及び図13の動作は、プロジェクター11に限らず、例えばプロジェクター13が実行してもよい。この場合、切替元の投射画像は、投射画像P3または投射画像P4である。
また、切替先の投射画像を投射するプロジェクターは、プロジェクター11がステップS42(図13)で送信する制御データを受信して、図14の動作を実行する。ここでは、プロジェクター15の動作として説明する。すなわち、切替先の投射画像は、投射画像P5である。
プロジェクター15の制御部51は、切替元のプロジェクターが送信する制御データの受信を待機する(ステップS51)。この制御データは、例えば、図13のステップS42でプロジェクター11が送信する制御データである。制御データを受信しない場合(ステップS51;No)、制御部51は本処理を終了する。
投射画像の切り替えを指示する制御データを受信した場合(ステップS51;Yes)、制御部51は、投射する画像データの受信を開始する(ステップS52)。この画像データは、例えば、図13のステップS45でプロジェクター11が送信する画像データである。ここで、制御部51は、受信する画像データを、記憶部52に投射画像データ524として記憶する。
制御部51は、投射画像P5の画像ソースを、受信した画像データに設定する(ステップS53)。制御部51は、ステップS52以後に無線通信部53が受信した画像データを記憶部52に投射画像データ524として記憶するので、投射画像データ524を画像ソースとして設定する。
制御部51は、切替元の投射画像を投射するプロジェクター(ここではプロジェクター11)に、画像データを送信する処理を行うか否かを判定する(ステップS55)。画像データを送信しない場合(ステップS55;No)、制御部51は本処理を終了する。画像データを送信する場合(ステップS55;Yes)、制御部51は、ステップS54で画像ソースを切り替える前に、投射画像P5の画像ソースであった画像データを、無線通信部53により送信する処理を開始する(ステップS56)。
上記の例では、プロジェクター11が投射する投射画像P1または投射画像P2を、プロジェクター15によって投射画像P5として投射させる。ここで、プロジェクター11は、合成画像を切替元の投射画像とすることもできる。
一例として、プロジェクションシステム1を、教育目的(授業、講義)、その他の説明の目的(講習会等)で、ユーザーが講師となって使用する場合を想定する。この場合、プロジェクター11により、文書データ、説明用の図の静止画像データ、動画像データ等を画像ソースとして、投射画像P1を投射し、講義や説明を行うことができる。この状態で、ユーザーが、投射画像P1を聴衆(受講者、生徒、学生)に見せながら、他の文書や画像を見せたい場合がある。このような場合、ユーザーは、プロジェクター11を操作して投射画像の切り替えを行うことができる。これにより、投射画像P1として投射していた内容を、平面PL4の投射画像P2、或いは、プロジェクター13、15により投射させることができる。このため、聴衆に見せていた画像を、継続して見せることが可能で、かつ、別の画像を投射画像P1として見せることができる。
プロジェクター11は、画像処理部24の機能により、指示体201の操作に対応して、図10に例示したように図形を描画できる。また、描画された画像を投射画像P1の画像ソースに重畳して投射することもできる。具体的には、投射画像P1として文書を投射している状態で、この文書に、指示体201の操作に従って線や文字を重ねた合成画像を、投射画像P1として投射できる。さらに、プロジェクター11は、画像処理部24の機能により、画像ソースである文書データに、他の静止画像データ等を重ねて合成し、合成画像を、投射画像P1として投射してもよい。
この場合、プロジェクションシステム1は、投射画像P1として投射した合成画像を、投射画像P2、或いは、投射画像P3〜P5として投射できる。
また、投射画像を切り替える処理を再び行い、投射画像P2、或いは、投射画像P3〜P5として投射した画像を、投射画像P1として投射する状態に復帰することも可能である。例えば、授業や講義を実行する場合、文章、図、資料等の画像を投射画像P1として投射している状態で、投射画像P1に別の画像を投射したい場合に、投射画像P1を天井(平面PL4)あるいは室内の別の投射面(平面PL2、PL3)に転送できる。
この手法を従来の一般的なプロジェクターで行う場合の手法は、例えば、投射している画像をキャプチャーし、キャプチャー画像データを記憶して、投射画像を一時的に消去する。その後に必要に応じて、キャプチャー画像データを読み出して、再生する手法である。この手法に比べ、プロジェクションシステム1の機能によれば、講師及び聴衆は、別の投射面に移動された単一あるいは複数の画像を、いつでも必要に応じて見ることができるという利点を持つ。つまり、講師であるユーザーは、投射画像P1を主に使用し、投射画像P1に投射する画像を、他の投射画像P2〜P5に投射する画像と自在に入れ替えることができる。このため、投射画像P1〜P5を同時に利用して、講義や説明を行うことができる。
また、投射画像の切り替えを行う場合に、プロジェクター11、13は、平面PL4に投射する投射画像P2、P4の向きを変更してもよい。この動作は、画像処理部24が、フレームメモリー241に形成する画像の上下を反転させ、或いは、画像の向きを180度回転させる処理により実現できる。画像処理部34がフレームメモリー341に形成する画像についても同様である。この場合、投射画像P2、P4を、平面PL1、PL3にいるユーザーにとって見やすい方向、及び、平面PL1、PL3から離れた位置にいる聴衆にとって見やすい方向に切り替えることができる。
上記の構成では、図11〜図13に示す動作をプロジェクター11、13が実行可能であり、図14に示す動作をプロジェクター11、13、15が実行できる構成とした。プロジェクションシステム1において、図11〜図13に示す動作を実行できるプロジェクターを制限してもよい。例えば、プロジェクター11が上記動作を実行可能であり、プロジェクター13は、投射画像の切り替えを指示する制御データを送信する機能を実行しない構成であってもよい。また、プロジェクター13は、指示体203による描画やGUI操作を実行しない構成であってもよい。この場合、プロジェクター13が、指示体203による操作を実行できない構成であってもよいし、プロジェクター13に対する設定により、上記の動作や操作を制限できる構成であってもよい。
また、本第1実施形態では、プロジェクションシステム1が、2つの方向に投射画像を投射可能なプロジェクターとして、プロジェクター11とプロジェクター13とを備える構成を例示した。つまり、2つの光源251、261と2つの光変調装置252、262を備えるプロジェクター11と、1つの光源351と1つの光変調装置352とを備えるプロジェクター13を用いる例を説明した。本発明はこれに限定されない。例えば、プロジェクションシステム1が、プロジェクター11またはプロジェクター13のいずれか一方を備える構成であってもよい。プロジェクションシステム1は、1または複数のプロジェクター11、或いは、1または複数のプロジェクター13を備える構成であってもよく、これらのいずれかとプロジェクター15とを備える構成としてもよい。
また、1つの光源351と1つの光変調装置352とを利用して2つの方向に投射画像を投射するプロジェクターは、プロジェクター13の構成に限定されず、別の構成とすることもできる。この例について、第2実施形態として説明する。
[第2実施形態]
図15は、第2実施形態に係るプロジェクター17のブロック図である。プロジェクター17は、第1実施形態で図6及び図7を参照して説明したプロジェクター13の別の構成例に相当する。以下の説明において、プロジェクター13と共通する構成部には同符号を付して説明を省略する。
プロジェクター17は、プロジェクター15の方向切替部353に代えて、光学素子365を備える。すなわち、プロジェクター17は、モーター354、平面鏡355、及び、モーター354を駆動する切替部361を有しない。
光学素子365は、光変調装置352から出射される画像光を、投射光学系362側と投射光学系363側とに分離する光学素子である。
図16は、プロジェクター17が光学素子365により2つの投射方向に画像光を投射する構成を示す模式図である。また、図17は、光学素子365の構成を示す斜視図である。
図16に示すように、プロジェクター17において、光学素子365は、光変調装置352により変調された画像光L13の光路に設置される。光学素子365は内部に反射面366aを有し、画像光L13の一部は反射面366aで反射されて投射光学系362に導かれ、画像光L13の残りは、光学素子365を透過して投射光学系363に導かれる。
図17は光学素子365の一構成例を示す。光学素子365は内部に反射部366を有し、反射部366が反射面366aを構成する。反射部366は、画像光L13が入射する入射面365aの高さ(幅)よりも低い(小さい)。このため、入射面365aに入射する画像光L13の一部は、反射面366aに当たらずに光学素子365を透過して、出射面365cから出射する。また、反射面366aに当たった画像光L13は反射して、出射面365bから投射光学系362(図16)に向けて出射する。
このように、光学素子365は、画像光L13を2つの方向に分離する。これにより、1つの光変調装置352を用いて、2つの投射画像P3、P4を投射できる。
光学素子365が画像光L13を分離する態様は種々考えられるが、ここでは一例として、光変調装置352の位置に応じて分離する構成を説明する。
図18は、第2実施形態における光変調装置352の使用態様を示す図であり、光変調装置352が画像を形成する面の正面図である。
図18に示すように、第2実施形態で、光変調装置352は、第1領域352R(第1画像形成部)と第2領域352L(第2画像形成部)とに分けられる。第1領域352Rと第2領域352Lとを物理的に区分する構成は必要なく、例えば、光変調装置駆動部336が光変調装置352に描画する際に、光変調装置352の画素を第1領域352Rと第2領域352Lとに分けて描画すればよい。
プロジェクター17では、画像光L13のうち、第1領域352Rで変調された画像光は反射面366aで反射され、第2領域352Lで変調された画像光は光学素子365を透過する。この構成は、第1領域352Rと第2領域352Lとに対応して、光学素子365の形状及び光学特性を設計すれば実現できる。光変調装置352は、例えば透過型の液晶パネルで構成できる。
光変調装置駆動部336は、光変調装置352を構成する画素のうち、第1領域352Rに属する画素に、投射画像P3の画像ソースに基づく画像を形成(描画)する。また、光変調装置駆動部336は、光変調装置352を構成する画素のうち、第2領域352Lに属する画素に、投射画像P4の画像ソースに基づく画素を形成する。
この動作に関して、制御部31は、光変調装置駆動部336に特別な制御を行う必要はない。すなわち、画像処理部34がフレームメモリー341に、投射画像P3の画像ソースに基づく画像と、投射画像P4の画像ソースに基づく画像との両方を形成すればよい。ここで、画像処理部34は、フレームメモリー341において第1領域352Rに相当する位置に、投射画像P3の画像ソースに基づく画像を形成し、第2領域352Lに相当する位置に、投射画像P4の画像ソースに基づく画像を形成する。
このように、2つの方向に画像を投射可能なプロジェクターは、プロジェクター11、13、17のいずれの構成によっても実現できる。プロジェクションシステム1は、プロジェクター11、13、17を適宜組み合わせて、或いはいずれかのみを備える構成とすることができる。そのいずれの場合にも、第1実施形態について説明した効果を得ることができる。
以上説明したように、実施形態のプロジェクションシステム1は、プロジェクター11、13、或いはプロジェクター17を備える。
本発明のプロジェクターに相当するプロジェクター11は、光源251、261と、画像データに基づき第1画像(投射画像P1)及び第1画像とは異なる第2画像(投射画像P2)を形成する画像形成部としての光変調装置252、262とを備える。プロジェクター11は、光変調装置252、262により形成される第1画像の画像光L1を投射する第1投射部としての投射部25、及び、第2画像の画像光L2を投射する第2投射部としての投射部26を備える。プロジェクター11は、投射部25によって画像光L1を第1投射方向に投射し、投射部26によって画像光L2を第1投射方向とは異なる第2投射方向に投射する。第1投射方向は、例えばプロジェクター11から平面PL1を向く方向に相当し、第2投射方向は、例えばプロジェクター11から平面PL4を向く方向に相当する。
プロジェクター13、17は、光源351と、画像データに基づき第1画像(投射画像P3)及び第1画像とは異なる第2画像(投射画像P4)を形成する画像形成部としての光変調装置352とを備える。プロジェクター13は、光変調装置352により形成される第1画像の画像光L3を投射する第1投射部としての投射部35、及び、第2画像の画像光L4を投射する第2投射部としての投射部36を備える。プロジェクター13、17は、投射部35によって画像光L3を第1投射方向に投射し、投射部36によって画像光L4を第1投射方向とは異なる第2投射方向に投射する。第1投射方向は、例えばプロジェクター13、17から平面PL2を向く方向に相当し、第2投射方向は、例えばプロジェクター13、17から平面PL4を向く方向に相当する。
このように、本発明を適用したプロジェクター11、13、17及び、これらプロジェクター11、13、17の制御方法によれば、異なる画像である第1画像と第2画像とを、異なる方向に投射できる。従って、プロジェクター11、13、17は、1台で、多くの情報を表示できる。
プロジェクター11の投射部25は、第1画像の画像光L1を、投射部25から所定距離以内において、投射部26が投射する第2画像の画像光L2と重ならない方向に投射する。
プロジェクター13、17の投射部35は、第1画像の画像光L3を、投射部35から所定距離以内において、投射部36が投射する第2画像の画像光L4と重ならない方向に投射する。
これにより、プロジェクター11、13、17は、互いに重ならないように第1画像と第2画像とを投射できる。従って、プロジェクター11、13、17は、1台で、より広い範囲に情報を表示できる。
プロジェクター11は、画像データを記憶する記憶部22を備える。光変調装置252、262は、第1画像及び第2画像の少なくともいずれかを、制御部21が記憶するコンテンツデータ223または投射画像データ224に基づいて形成する。これにより、プロジェクター11は、記憶部22に記憶した画像データに基づき投射画像P1、P2を投射できる。
プロジェクター13、17は、画像データを記憶する記憶部32を備える。光変調装置352は、第1画像及び第2画像の少なくともいずれかを、制御部31が記憶するコンテンツデータ323または投射画像データ324に基づいて形成する。これにより、プロジェクター13、17は、記憶部32に記憶した画像データに基づき投射画像P3、P4を投射できる。
従って、プロジェクター11、13、17は、それぞれ、画像データを供給する装置が1台である場合、及び、この種の装置がない場合であっても、複数の画像を投射できる。
プロジェクター11は、第1画像を形成する光変調装置252、及び、第2画像を形成する光変調装置262を備える。投射部25は、光源251が発する光を光変調装置252に形成される第1画像によって変調して得られる画像光L1を投射する。また、投射部26は、光源261が発する光を光変調装置262に形成される第2画像によって変調して得られる画像光L2を投射する。
プロジェクター17の光変調装置352は、第1画像を形成する第1領域352R、及び、第2画像を形成する第2領域352Lとして機能する。プロジェクター17において、投射部35は、光源351が発する光を第1領域352Rに形成される第1画像によって変調して得られる画像光L3を投射する。また、プロジェクター17の投射部36は、光源351が発する光を第2領域352Lに形成される第2画像によって変調して得られる画像光L4を投射する。
これらの構成により、プロジェクター11、17は、それぞれ、第1画像及び第2画像の画像光を生成するので、投射画像の品位をより高めることが可能となる。
プロジェクター11は、光変調装置252が第1画像を形成する場合に用いる画像データと、光変調装置262が第2画像を形成する場合に用いる画像データとを、それぞれ指定する制御部21を備える。
プロジェクター17は、第1領域352Rで第1画像を形成する場合に用いる画像データと、第2領域352Lで第2画像を形成する場合に用いる画像データとを、それぞれ指定する制御部31を備える。
この構成により、プロジェクター11に対して、第1画像を形成するための画像データと第2画像を形成するための画像データとを、それぞれ指定することが可能である。プロジェクター17に対しても同様である。従って、プロジェクター11、17は、それぞれ、ユーザーが望む複数の画像を、異なる方向に同時に投射できる。
プロジェクター11は、光変調装置252によって、制御部21により指定された向きで第1画像を形成し、光変調装置262によって、制御部21により指定された向きで第2画像を形成する。
プロジェクター17は、第1領域352Rで制御部31により指定された向きで第1画像を形成し、第2領域352Lで制御部31により指定された向きで第2画像を形成する。
この構成により、プロジェクター11、17に対して、第1画像と第2画像の向きを指定することが可能である。このため、プロジェクター11、17は、各々の投射画像を、画像を見る人が視認しやすい向きで投射できる。
また、プロジェクター13は、光変調装置352によって光源351が発する光を変調して画像光L13を出力する構成を有する。プロジェクター13は、光変調装置352によって第1画像と第2画像とを交互に切り替えて形成する。プロジェクター13は、光変調装置352が第1画像を形成するタイミングで画像光L13を投射部35に導き、光変調装置352が第2画像を形成するタイミングで画像光L13を投射部36に導く方向切替部353を備える。これにより、プロジェクター13は、1つの光変調装置352を利用して複数の画像を投射できる。このため、プロジェクター13は、シンプルな構成で実現でき、小型化、低コスト化を図ることができる。
プロジェクター13は、光変調装置352が第1画像を形成するタイミングで使用する画像データと、光変調装置352が第2画像を形成するタイミングで使用する画像データとを、それぞれ制御部31により指定できる。
この構成によれば、プロジェクター13に対して、第1画像を形成するための画像データと第2画像を形成するための画像データとを、それぞれ指定できる。従って、プロジェクター13は、ユーザーが望む複数の画像を、異なる方向に同時に投射できる。
プロジェクター13の光変調装置352は、第1画像を制御部により指定された第1方向で形成し、第2画像を制御部により指定された第2方向で形成する。発明によれば、プロジェクターに対して、第1画像と第2画像の向きを指定することが可能である。この構成により、プロジェクター13に対して、第1画像と第2画像の向きを指定することが可能である。このため、プロジェクター13は、各々の投射画像を、画像を見る人が視認しやすい向きで投射できる。
プロジェクター11は、位置指示操作を検出する位置検出部27と、位置検出部27で検出した位置指示操作に基づき描画を行って描画画像を生成する画像処理部24とを備える。光変調装置252、262は、画像データに基づく画像に画像処理部24が生成する描画画像を合成した合成画像を、第1画像または第2画像として形成する。
プロジェクター13、17は、位置指示操作を検出する位置検出部37と、位置検出部37で検出した位置指示操作に基づき描画を行って描画画像を生成する画像処理部34とを備える。光変調装置352は、画像データに基づく画像に画像処理部34が生成する描画画像を合成した合成画像を、第1画像または第2画像として形成する。
これにより、プロジェクター11、13、17は、位置指示操作に基づき描画を行い、描画した画像を投射できる。そして、描画した画像を含む投射画像と、他の画像とを、同時に異なる方向に投射できる。例えば、ユーザーは、描画のための位置指示操作を行いながら、他の画像を表示させることができる。これにより、プロジェクター11、13、17の利便性を、より一層向上させることができる。
また、プロジェクター11は、操作を受け付ける入力処理部247と、光源251、261と、画像データに基づき第1画像及び第2画像を形成する光変調装置252、262とを有する。このプロジェクター11の制御方法によれば、光変調装置252により形成される第1画像の画像光L1を、投射部25によって第1投射方向に投射する。また、光変調装置262により形成される第2画像の画像光L2を、投射部26によって第1投射方向とは異なる第2投射方向に投射する。そして、光変調装置252が第1画像を形成する場合に用いる画像データ、及び、光変調装置262が第2画像を形成する場合に用いる画像データの各々を、入力処理部247で受け付けた操作に基づきそれぞれ指定する。
また、プロジェクター17は、操作を受け付ける入力処理部347と、光源351と、画像データに基づき第1画像及び第2画像を形成する光変調装置352とを有する。このプロジェクター17の制御方法によれば、光変調装置352の第1領域352Rにより形成される第1画像の画像光L3を、投射部35によって第1投射方向に投射する。また、光変調装置352の第2領域352Lにより形成される第2画像の画像光L4を、投射部36によって、第1投射方向とは異なる第2投射方向に投射する。そして、光変調装置352が第1画像を形成する場合に用いる画像データ、及び、第2画像を形成する場合に用いる画像データの各々を、入力処理部347で受け付けた操作に基づきそれぞれ指定する。
このため、プロジェクター11、17は、操作によって指定される画像データに基づき、異なる画像である第1画像と第2画像とを形成し、それぞれ操作によって指定される方向に投射できる。従って、1つのプロジェクターによって多くの情報を表示できる。
なお、上述した各実施形態は本発明を適用した具体的態様の例に過ぎず、本発明を限定するものではなく、異なる態様として本発明を適用することも可能である。例えば、プロジェクションシステム1でユーザーが使用する指示体201、203は、ペン型の指示体に限らず、ユーザーの手指、レーザーポインター、指示棒等を用いてもよく、その形状やサイズは限定されない。
また、上記実施形態では、位置検出部27、37は、投射面を撮影して指示体201、203の位置を特定するものとしたが、本発明はこれに限定されない。例えば、撮像部273、373は、プロジェクター11、13の本体に設けられるものに限定されない。撮像部273、373は、プロジェクター11,13本体とは別体として配置されてもよい。撮像部273、373が投射面である平面PL1、PL2の側方や正面から撮影を行うものとしてもよい。さらに、プロジェクター11は、複数の撮像部273の撮影画像データに基づいて操作位置を検出してもよい。プロジェクター13も同様である。
また、プロジェクター11が位置検出部27により指示体201の操作を検出する機能、及び/又は、プロジェクター13が位置検出部37により指示体203の操作を検出する機能を、プロジェクター11、13とは独立した他の装置として実現してもよい。
また、ブロック図に示した各機能ブロックのうち少なくとも一部は、ハードウェアで実現してもよいし、ハードウェアとソフトウェアの協働により実現される構成としてもよく、図に示した通りに独立したハードウェア資源を配置する構成に限定されない。
また、制御部が実行するプログラムは、記憶部または他の記憶装置(図示略)に記憶されてもよい。また、制御部が、外部の装置に記憶されたプログラムを取得して実行する構成としてもよい。
また、本発明は、上述したプロジェクター11、13、15、17の制御方法を実現するためにコンピューターが実行するプログラム、このプログラムをコンピューターで読み取り可能に記録した記録媒体、或いは、このプログラムを伝送する伝送媒体の態様で構成してもよい。上記記録媒体としては、磁気的、光学的記録媒体又は半導体メモリーデバイスを用いることができる。具体的には、フレキシブルディスク、HDD(Hard Disk Drive)、CD−ROM(Compact Disk Read Only Memory)、DVD(Digital Versatile Disk)、Blu−ray(登録商標)Disc、光磁気ディスク、フラッシュメモリー、カード型記録媒体等の可搬型の、或いは固定式の記録媒体が挙げられる。また、上記記録媒体は、プロジェクションシステム1が備える各装置や、各装置に接続された外部装置が備える内部記憶装置であるRAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)、HDD等の不揮発性記憶装置であってもよい。
その他、プロジェクションシステム1を構成する機器の他の各部の具体的な細部構成についても、本発明の趣旨を逸脱しない範囲で任意に変更可能である。