JP2018087247A - 2,4,6−トリフルオロ−n−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−カルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドの組成物 - Google Patents
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Abstract
Description
本出願は、2009年4月2日に出願された米国特許出願第61/166,097号に対する優先権を主張し、この内容は本明細書に援用される。
片頭痛は、一般的で、かつ非常に日常生活に支障を来す日常生活支障性脳障害であり、全世界で成人のうちの10%以上が罹患している(非特許文献1)。この疾患は典型的には、悪心、嘔吐、羞明および音恐怖症(前兆のない片頭痛)を随伴する、ならびに1/3の患者では神経前兆症状(前兆のある片頭痛)を随伴する1〜3日間の重症の頭痛の発作を特徴とする(非特許文献2)。片頭痛の病因は、完全には理解されていない。従来は血管拡張が、片頭痛において頭痛を引き起こす枢要であると考えられていた(非特許文献3)。5−HT1B受容体媒介頭蓋血管収縮が抗片頭痛有効性には必須であるという仮定(非特許文献4)に基づき、確立された抗片頭痛有効性を有する選択的5−HT1B/1D受容体アゴニストであるトリプタン(非特許文献5)が開発された。結果として、トリプタンは、冠状血管収縮を引き起こすリスクも有し(非特許文献6)、かつ心臓血管疾患および脳血管疾患の患者には禁忌とされている。加えて、トリプタンを使用している多くの患者は、胸部症状を報告し、これは、狭心症に似ていることもあるので、不安および診断上の混乱を引き起こす(非特許文献7;非特許文献8)。したがって、血管収縮薬活性を欠いている新規な抗片頭痛治療が正当とされている。
本発明は、片頭痛の治療で使用するための2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミド(化合物I):
例えば、本発明は以下の項目を提供する。
(項目1)
ある量の2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤または担体とを含む医薬組成物であって、経口または直腸投与では、1用量当たり2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩50〜400mgを含み、頬側、舌下、経鼻/鼻腔内、経皮、皮下、注射、静脈内または筋肉内投与では、1用量当たり2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩200mgまでを含み、さらに、1日1、2または3回投与される医薬組成物。
(項目2)
経口または直腸投与のためのものであり、2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩の前記量が、1用量当たり50mgから400mgである、項目1に記載の医薬組成物。
(項目3)
2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドの前記量が、1用量当たり50mgである、項目1または2に記載の医薬組成物。
(項目4)
2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドの前記量が、1用量当たり100mgである、項目1または2に記載の医薬組成物。
(項目5)
2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドの前記量が、1用量当たり200mgである、項目1または2に記載の医薬組成物。
(項目6)
2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドの前記量が、1用量当たり400mgである、項目1または2に記載の医薬組成物。
(項目7)
頬側、舌下、経鼻/鼻腔内、経皮、皮下、注射、静脈内または筋肉内投与のためのものであり、2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩の前記量が、1用量当たり200mgまでである、項目1に記載の医薬組成物。
(項目8)
2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩の前記量が、1用量当たり20mgから200mgである、項目1または7に記載の医薬組成物。
(項目9)
2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩の前記量が、1用量当たり20から60mgである、項目8に記載の医薬組成物。
(項目10)
2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩の前記量が、1用量当たり20から30mgである、項目9に記載の医薬組成物。
(項目11)
前記投与が静脈内である、項目1または7に記載の医薬組成物。
(項目12)
前記投与が約20分間にわたる、項目11に記載の医薬組成物。
(項目13)
2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドのヘミコハク酸塩を含む、項目1から12のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目14)
2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩の前記用量が1日1回投与される、項目1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目15)
2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩の前記用量が1日2回投与される、項目1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目16)
2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩の前記用量が1日3回投与される、項目1から13のいずれか一項に記載の医薬組成物。
(項目17)
片頭痛を治療または予防することを必要とする哺乳動物において片頭痛を治療または予防する方法であって、前記哺乳動物に、有効量の医薬組成物を投与することを含み、前記組成物は、ある量の2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩と、薬学的に許容される賦形剤または担体とを含み、さらに、経口または直腸投与では、前記組成物は、1用量当たり2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩50〜400mgを含み、頬側、舌下、経鼻/鼻腔内、経皮、皮下、注射、静脈内または筋肉内投与では、前記組成物は、1用量当たり2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドまたはその薬学的に許容される塩200mgまでを含み、前記組成物を1日1、2または3回投与する方法。
(項目18)
前記哺乳動物がヒトである、項目17に記載の方法。
(項目19)
20mgの量の2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミドヘミコハク酸塩を静脈内投与によって1日1回20分にわたって投与することを含む、項目17に記載の方法。
(項目20)
前記量を片頭痛を予防するために投与する、項目19に記載の方法。
本発明は、2,4,6−トリフルオロ−N−[6−(1−メチル−ピペリジン−4−イルカルボニル)−ピリジン−2−イル]−ベンズアミド(化合物I):
of Mental Disorders (DSM−IV(登録商標)) (1994年、American Psychiatric Association、Washington, D.C.)が、本明細書に記載されている多くの障害を識別するための診断ツールを提供している。また、International Classification of Diseases, Tenth Revision (ICD−10)が、本明細書に記載されている多くの障害に関する分類を提供している。当業者であれば、DSM−IVおよびICD−10に記載されているものを包含する本明細書に記載の障害に関する別の命名法、疾病分類学および分類システムが存在すること、ならびに専門用語および分類システムは、医学科学的進歩に伴って進展することを認めるであろう。
化合物Iを投与するために使用される製剤の種類は、投与経路および患者の状態から望まれる薬物動態プロファイルの種類によって規定され得る。
上記の成分を混合し、340mgの量で硬質ゼラチンカプセルに充填する。
化合物I活性
化合物Iは、5−HTlF受容体の活性化を増大させるために有用である。5−HTlFの活性化の増大は、哺乳動物におけるセロトニンの神経伝達低下に関連している様々な障害、例えば、片頭痛性頭痛を治療するのに有用である。5−HTlF受容体の活性化と片頭痛との関係を証明している米国特許第5,708,008号を参照されたい。化合物Iは、当分野で公知の方法を使用して調製することができる。化合物Iの調製は、米国特許第7,423,050号および米国特許出願公開第20080300407号に記載されている。片頭痛の治療における化合物Iの使用を証明するために、化合物Iが5−HTlF受容体サブタイプに結合する能力を決定した。化合物Iが5−HTlF受容体サブタイプに結合する能力を、本質的にはN. Adhamら、Proceedings of
the National 15 Academy of Sciences(USA)、90巻:408〜412頁、1993年に記載されている通りに測定した。
集密度100%まで成長させたトランスフェクトLtk細胞(ヒト5−HTlF受容体配列をトランスフェクションされている)から、膜を調製した。細胞をリン酸緩衝食塩水で2回洗浄し、培養皿から氷冷リン酸緩衝食塩水5mLに削り落とし、200×g、4℃で5分間遠心した。ペレットを氷冷トリス緩衝液2.5mL(20mMのトリスHCl、23℃でpH7.4、5mMのEDTA)に再懸濁させ、Wheaton組織粉砕機で均質化した。続いて、溶解産物を200×g、4℃で5分間遠心して、大きな断片をペレット化して、これを廃棄した。上澄みを集め、40,000×g、4℃で20分間遠心した。生じたペレットを氷冷トリス洗浄緩衝液で1回洗浄し、50mMのトリスHClおよび0.5mMのEDTA、23℃でpH7.4を含有する最終緩衝液に再懸濁させた。膜調製物を氷上に保持し、2時間以内に放射リガンド結合アッセイのために利用した。タンパク質濃度をBradford Anal. Biochem.、72巻:248〜254頁、1976年の方法によって決定した。
Herrick−DavisおよびTiteler(J. Neurochem.、50巻:1624〜1631頁、1988年)により報告された5−HTlDアッセイ条件の多少の変更形態を使用して、但し、マスキングリガンドを省略して、[3H]5−HT結合を行った。放射性リガンド結合研究を37℃で、全体積250μLの緩衝液(50mMのトリス、10mMのMgCl2、0.2mMのEDTA、10μMのパルギリン、0.1%のアスコルビン酸塩、37℃でpH7.4)中、96ウェルのマイクロタイタープレート内で達成した。0.5nMから100nMの範囲の12種の異なる濃度の[3H]5−HTを使用して、飽和研究を行った。4.5〜5.5nMの[3H]5−HTを使用して、置換研究を行った。6〜12の濃度の化合物を使用して、競合実験における薬物の結合プロファイルを完成した。平衡結合条件を決定した当初調査に基づき、インキュベーション時間は、飽和研究および置換研究の両方で30分であった。10μMの5−HTの存在下で、非特異的結合を定義した。膜ホモジネート50μL(10〜20μg)を加えることにより、結合を開始させた。48R Brandel Cell Harvester(Gaithersburg、MD)を使用して、予め浸漬させておいた(0.5%ポリエチレンイミン)フィルターで急速に濾過することにより、反応を終了させた。続いて、フィルターを氷冷緩衝液(50mMのトリスHCl、4℃でpH=7.4)で5秒間洗浄し、乾燥させ、Readi−Safe2.5mL(Beckman、Fullerton、CA)を含有するバイアルに入れ、Beckman LS 5000TA液体シンチレーションカウンターを使用して放射能を測定した。[3H]5−HTのカウントの効率は、平均で45〜50%であった。計算機援用非線形回帰分析(Accufit and Accucomp、Lunden Software、Chagrin Falls、OH)によって、結合データを解析した。Cheng−Prusoff式(Biochem. Pharmacol.、22巻:3099〜3108頁(1973年))を使用して、IC50値をKi値に変換した。
化合物Iは、詳細には他の5−HT受容体サブタイプ、特に5−HT1サブクラスの他の受容体、例えば、限定ではないが、5−HT1A、5−HT1B、5−HT1Dおよび5−HT1E受容体サブタイプと比較して、5−HT1F受容体に対して比較的選択的である。上記の放射リガンド受容体結合アッセイを少し変更して、5−HT1F受容体サブタイプをトランスフェクションされた細胞の代わりに、所望の受容体サブタイプをトランスフェクションされた細胞を使用することによって、これらの他の受容体サブタイプに対する親和性を容易に決定することができる。そのようなアッセイによって、化合物Iの結合親和性を決定すると、5−HT1F受容体に対して選択的であること、即ち、5−HT1F受容体に対する化合物Iの親和性は総じて、他の受容体サブタイプに対するよりも、特に5−HT1Bおよび5−HT1D受容体サブタイプに対するよりも高いことが判明した。
R.L. Weinshankら、W093/14201によって報告された通り、5−HTIF受容体をトランスフェクションされたNIH3T3細胞においてフォルスコリン刺激cAMP産生を阻害するセロトニンおよびセロトニン作動性薬物の能力によって測定されるように、5−HTlF受容体は、G−タンパク質に機能的に結合する。標準的な技術を使用して、アデニル酸シクラーゼ活性を決定した。最大効果はセロトニンによって達成された。試験化合物の阻害を最大効果で割り、阻害パーセントを決定することによって、Emaxを決定する。N.Adhamら、前出;R.L. Weinshank,ら、Proceedings of the National Academy of
Sciences(USA)、89巻:3630〜3634頁、1992年;およびそれらに挙げられている参照文献。
下記の試験を行って、タンパク質管外遊出を阻害する化合物Iの能力を決定したが、この試験はまた、片頭痛の神経機序に関する機能性アッセイでもある。
化合物Iをウサギ伏在静脈収縮アッセイで試験して、血管収縮を媒介するその能力について測定した。
血管収縮活性に対する5−HT1F媒介神経タンパク質管外遊出における化合物I特異性は、特異性指数で表すことができ、これは、神経タンパク質管外遊出を阻害する有効性に対する血管収縮の比である:
1.上記の放射リガンド結合方法を使用して、5−HT1F受容体に対する化合物の親和性を測定し;
2.5−HT1F受容体に対する親和性が確立されたら、上記cAMPアッセイにおけるその応答によって、その化合物が5−HT1F受容体のアゴニスト、部分アゴニストまたはアンタゴニストであるかどうかを決定し;
3.その化合物が少なくとも約50%のEmaxを示すアゴニストまたは部分アゴニストであることが判明した場合には、上記のアッセイを使用して、タンパク質管外遊出の阻害および伏在静脈収縮における化合物の有効性を測定し;
4.上記の通りに、特異性指数を算出する。
片頭痛の急性治療における経口化合物Iの二重盲検無作為化プラセボ対照群用量範囲探索研究
化合物Iのある範囲の経口用量の有効性(2時間目の頭痛応答)を評価するための研究を行う。副次目的は、頭痛応答、無痛患者の割合、頭痛再発、悪心、羞明、音恐怖症、嘔吐、日常生活支障性、レスキュー薬の使用および患者の全体的な印象を包含する片頭痛の特徴に対する化合物Iのある範囲の用量レベルの時間経過および効果を調査することである。研究によって、有害事象、身体診察、バイタルサイン、検査評価およびECGに関して化合物Iのある範囲の用量の安全性および忍容性を調査する。研究プロトコルは下記に概説する:
これは、片頭痛を有する対象における前向き、無作為化、二重盲検、プラセボ対照用量範囲探索研究である。患者に、家庭において単一の片頭痛発作を研究薬で治療することを依頼する。各対象の研究参加は、適格性を確認するための5日以内の電話接触を含むスクリーニング来院と、経口化合物Iの4種の用量レベルのうちの1つまたはプラセボの単一用量で1回の片頭痛発作を治療することを対象に依頼してある8週間までの治療期間と、発作の治療から14日以内のフォローアップ来院とからなる。
組入:次の基準を全て満たしている場合にのみ、対象は研究に組み入れられる:
IHS診断基準1.1および1.2.1(2004年)を満たす前兆ありまたは前兆無しの片頭痛患者;少なくとも1年の片頭痛歴;50歳前の片頭痛発症;1カ月当たり1〜8回の片頭痛発作履歴;18歳から65歳の男性または女性患者;妊娠分娩の可能性のある女性患者は、高度に有効な形態の避妊法(例えば、経口避妊薬、IUD、禁欲、精管切除パートナーの組合せ)を使用していなければならない;書面によるインフォームドコンセントを示すことができ、その意思があること;研究薬で治療された発作の詳細を記録するための片頭痛日誌式カードを完成させることができ、その意思があること。
有効性/薬力学:頭痛重症度(4ポイントスケール:なし、軽症、中程度、重症);48時間以内の頭痛再発;悪心の有無;音恐怖症、羞明、嘔吐;日常生活支障性(4ポイントスケール:なし、軽症、中程度、重症);2から48時間以内のレスキュー薬の必要(ありまたはなし);患者の全体的な印象(7ポイントスケール);頭痛の軽減までの時間および無痛になるまでの時間。
有効性:
この多施設、無作為化、二重盲検、並行群、プラセボ対照の臨床研究を、片頭痛の急性治療における経口化合物Iの有効性および安全性を評価するようにデザインする。投与後2時間で頭痛軽減を示した対象の割合が、主要有効性パラメーターである。主要有効性解析では、トレンドに関してCochran−Armitage試験を使用する応答率における陽性線形トレンドの別の仮説に対して、投与後2時間で頭痛軽減を示した対象の割合は、5つの研究アームにおいて同じであるという帰無仮説を試験する。有意水準5%で片側検定を使用して、研究薬で発作を治療する全ての対象と定義された変形ITT(intent−to−treat)集団において主要解析を行う。2時間目に頭痛重症度を記録しなかったか、その時点前にレスキュー薬を使用した患者は、解析セットから除外する。
有害事象をまとめ、事象率を治療群によって表す。検査データを治療群によって、ベースライン状態からの変化の見地からまとめる。
静脈内投与による化合物Iでの片頭痛の急性治療
化合物Iは、血管収縮薬活性を欠いた新規で高度に選択的かつ強力な5−HT1F受容体のアゴニストである。前臨床および初期臨床的実験によって、非血管性で、主に神経性の機序に媒介される化合物Iの急性抗片頭痛有効性が予測されている。多施設、プラセボ対照、二重盲検、群逐次的、適応型治療割り付けの概念証明および用量設定型の研究において、130人の患者を、片頭痛発作の間に院内治療した。患者を、静脈内用量レベルの化合物Iまたはプラセボに小さなコホートで割り振った。出発用量は2.5mgであった。先行するコホートで観察された安全性および有効性に従って、次の用量を増量して、または減量して調節した。主要アウトカム項目は、投与後2時間目でのベースラインの中程度または重症の頭痛から、軽症から無痛の頭痛への改善と定義される頭痛応答であった。全体的な用量応答関係を調査するように研究をデザインしたが、これは、個々の用量とプラセボとを区別するようにも、また、他の片頭痛症状に関する効果差を検出するようにも強化されなかった。
本研究は、ドイツの11カ所、フィンランドの4カ所、オランダの3カ所で行われた多国籍の多施設臨床試験であった。ヘルシンキ宣言および国際的に認められているグッドクリニカルプラクティスの基準に従って、研究を行った。開始前に、関連規制当局および独立倫理委員会による承認を受けた。対象全員が、書面によるインフォームドコンセントを提出した。臨床試験政府識別子はNCT00384774である。
研究は、群逐次的適応型治療割り付けを伴う、前向き、無作為化、二重盲検、プラセボ対照デザインを使用した(Olesen Jら、N Engl J Med 2004年:350号:1104〜10頁; Hall DBら、Contemporary Clinical Trials 2005年;26巻:349〜63頁)。患者を、化合物Iの用量レベルに小さなコホートで割り振ったが、第1の20のコホートは、患者6人(4人は化合物Iを服用し、2人はプラセボを服用する)からなり、次のコホートは5人の患者(4人は化合物Iを服用し、1人はプラセボを服用する)からなった。第1のコホートを、2.5mg用量レベルに割り振った。次のコホートで使用された用量は、先行するコホートの頭痛応答(中程度または重症の頭痛が2時間目に軽症または無痛に軽減)に応じた:4人の実薬治療された患者のうちの2人以下が応答した場合には、用量を増やし、4人の実薬治療された患者のうちの3人以上が応答した場合には、用量を減らした。用量調節規則は、経口トリプタンと類似か、またはより良好な有効性を有する化合物Iの用量を特定するように選択された。任意のコホートにおいて有効治療された患者のうちの2人以上が重症だが重篤ではない有害事象を経験した場合には、この用量の漸増または低減シーケンスは変更されて、その場合には、用量は、応答率に関係なく次のコホートでは低減されるであろう。薬物関連の重症な有害事象の発生は、安全性が再検討されるまで、無作為化の自動的な中断をもたらすであろう。最も低い許容用量の化合物Iは、1mgで、最も高い用量は60mgであった。20分にわたって静脈内投与される化合物Iまたはその薬学的に許容される塩の60mgを超える用量は、十分には忍容されなかった。
患者を始めに、片頭痛発作時以外の外来患者来院で適格性についてスクリーニングし、新たな中程度または重症の片頭痛発作を研究薬で治療するために、発症の4時間以内に帰院するように求めた。帰院時点で、研究に対する適格性を再確認し、患者を無作為化した。患者が18歳から65歳であり、50歳前の片頭痛発症でIHS診断基準1.1および1.2.1(2004年)を満たす前兆ありまたは前兆無しの片頭痛の少なくとも1年の履歴を有する場合に、患者は研究に適格性があった(Headache Classification Subcommittee of the International Headache Society. The International Classification of Headache Disorders(第2版).
Cephalalgia 2004年:24巻;補足1:1〜160頁)。患者は、1カ月に1から8回の片頭痛発作を経験していなければならず、片頭痛予防薬を使用していてはいけなかった。患者は良好な全身健康状態であり、血管疾患または高血圧症の証拠を有さなかった。以前にトリプタン不耐性を示した患者は除外された。妊娠中または授乳中の女性は除外され、同様に、高度に信頼可能な形態の避妊法を使用していない妊娠分娩の可能性のある女性も除外された。
患者が帰院した時点で、研究薬物の希釈についての指示をオンライン上の無作為化系から、研究者とは別の薬剤師または他の職員が得て、注入用の研究薬物を調製した。研究者および薬剤師の両方ともが、実薬またはプラセボについて知っていることはなく、薬剤師のみが希釈について知っていた。全ての患者が60ml静脈内注入を20分にわたって受けた。研究薬物の投与前後の有効性および安全性データを直ちに、電子的データ収集システムに入力し、頭痛応答を、後続のコホートのための用量割り振りを行うために使用することができるようにした。
いくつかの異なる症状を評価した。頭痛の重症度を、0=なし、1=軽症、2=中程度、=重症の4ポイントスケールで測定した。随伴症状(悪心、嘔吐、羞明、音恐怖症)を、ありまたはなしで記録した。日常生活支障性を、0=日常生活支障性なし、1=軽症の日常生活支障性、2=中程度の日常生活支障性、3=重症の日常生活支障性の4ポイントスケールで記録した。患者の全体的な印象についてのデータを、1=非常に良い、2=かなり良い、3=少し良い、4=変化なし、5=少し悪い、6=かなり悪い、7=非常に悪いの7ポイントスケールで収集した。
Guidelines for Controlled Trials in Migraine: second edition、Cephalalgia 2000年:20巻:765〜786頁)。副次有効性評価項目は:研究薬物注入の開始後10分、20分、40分、60分、90分、180分および240分目での頭痛応答率;研究薬物の開始後10分、20分、40分、60分、90分、120分、180分および240分目での頭痛消失率(ベースラインでの中程度または重症の頭痛から頭痛なしへの軽減);ベースラインでの中程度または重症の頭痛が研究薬物の開始後2時間目に軽症の頭痛または頭痛なしになり、研究薬物の開始から24時間以内に再発しなかった(中程度から重症にならなかった)と定義される持続応答率;ベースラインでの中程度または重症の頭痛が研究薬物の開始後2時間目に頭痛なしになり、研究薬物の開始から24時間以内に再発しなかった(軽症、中程度から重症にならなかった)と定義される持続無痛率;研究の全過程を通しての悪心、嘔吐、羞明および音恐怖症の存在および臨床的日常生活支障性の程度;研究薬物の開始後2および24時間の間にレスキュー薬を使用した患者の割合および研究薬物の開始後2時間での患者の全体的な印象であった。
有効な用量レベルで治療された患者少なくとも20人およびプラセボで治療された患者少なくとも10人を伴う、最大で160人の患者からなる標的サンプルサイズを、さらなる評価のための用量範囲を選択するのに適した先行データを得るために選択した。群逐次的適応型治療割り付けデザインを使用して用量を割り振る場合、1種または複数の用量レベルをプラセボと比べるための仮説検定の統計的特性は、公知ではなかった。したがって、研究が「ポジティブ」または「ネガティブ」であると言明するために公式統計的検定を使用せず、研究を統計的有意性に関して強化しなかった。さらに、サンプルサイズを統計的検討について強化しなかった。
全体で372人の患者が、フィンランド、ドイツおよびオランダの18カ所のセンターでスクリーニングされ、130人が治療のためにクリニックに戻った。これら130人の患者が、解析集団を構成した。治療群は、解析集団についての人口統計学的およびベースライン特徴に一般によく適合していた(表1)
主要エンドポイントでの結果に基づき事前定義された停止規則が20mgを有効用量として同定した場合には、用量漸増を130人の患者の後に終了した(図2および3)。プラセボ(45.2%)と比較してより高い割合の患者が、10mg、20mg、30mgおよび45mgの化合物I用量群において2時間頭痛応答を示した(54.2%から75%)(図3)。応答率および用量レベルの線形連関は、統計的に有意であった(p=0.0126;トレンドに関するMantel−Haenszel検定)。個別の用量レベルを比較するためには不十分な検出力が原因で、2時間時点では、個別の化合物I用量は、プラセボと統計的に有意には異ならない(Fisher正確検定)。有効性上昇と用量上昇とで同様のトレンドが、投与後2時間目での頭痛消失で観察された(統計的に検定されていないが)。これらの知見に従って、レスキュー薬を使用する患者の割合は、用量とは逆のトレンドを示した。
化合物Iは、重篤な有害事象または重篤ではない有害事象による中止を伴うことなく、一般によく忍容された。最も顕著な有害事象は錯感覚であり、これは通常、軽症か一過性であり、静脈内注入の中止後に迅速に消散した(表4)。重感および疲労もまた、用量と関連しているようであった。化合物Iの注入に関連して、トリプタン様の胸部症状を報告した患者はいなかった。臨床的に重要な変化は、バイタルサインもしくはECGパラメーターまたは血液もしくは臨床的化学パラメーターにおいて見られなかった。
経口で与えられた化合物Iの安全性、忍容性および薬物動態
この研究の目的には、1)固体製剤依存性効果を回避するために液剤を使用して、25〜400mgの範囲にわたる経口化合物Iの安全性、忍容性および薬物動態を評定すること;2)経口液剤と比較した場合の錠剤製剤の相対的生物学的利用能を評定すること;3)50〜400mgの範囲にわたる化合物Iの錠剤製剤の薬物動態を評定すること;4)健康な男性および女性における化合物Iの錠剤製剤の安全性、忍容性および薬物動態を比較することが包含される。
研究1−30人の健康な男性対象における化合物I25〜400mgの単一経口液剤用量のプラセボ対照、無作為化用量漸増。
経口で与えられた化合物Iの安全性および忍容性を、有害事象、バイタルサイン、12リードデジタル式ECGおよび血液検査、臨床化学検査および腎臓マーカーによって両方の研究において評定した。
タンデム質量分析検出(LC/MS/MS)方法を用いる認証液体クロマトグラフィーを使用して、血漿試料を化合物Iについて分析した。AUCt、AUC∞およびCmaxについての錠剤および液体製剤の相対的生物学的利用能を評定した。線形混合効果モデルを対数変換されたPKパラメーター(AUCt、AUC∞およびCmax)にフィットさせた。モデルに包含されたのは、治療、期間ならびに固定因子としてのシーケンスおよび偶然因子としてシーケンス内に収まっている対象である。相対的生物学的利用能分析のために、錠剤製剤が試験であり、液剤製剤が参照であった。90%信頼区間および試験製剤と参照製剤との相対平均in変換AUCt、AUC∞およびCmaxの比を算出した。
液剤および錠剤製剤の両方で50mg以上の用量が、静脈内経路による有効性で予め関連づけられていた血漿レベルを達成した。50〜400mgの液剤用量を経口投与した後の化合物Iの血漿中濃度時間プロファイルが、30mg i.v.注入と比較されて、図10に示されている。経口投与された化合物Iの薬物動態は、男性および女性の両方において25から400mgへと用量直線性を示した(図11Aおよび11B)。液剤に対する錠剤の相対的生物学的利用能は、200mg用量で評定した場合に100%であり、液剤と同じCmaxおよびAUCを達成したが、但し、tmaxにおいて僅かだが遅延を伴った(図12)。化合物Iの薬物動態パラメーターは、男性および女性において錠剤製剤の経口投与後に類似していた(図13)。
液剤および錠剤製剤のいずれの用量も、バイタルサイン、ECGまたは安全性検査において臨床的に重要な効果を伴わずによく忍容された。傾眠状態、浮動性めまいおよび錯感覚が両方の製剤で最も一般的な有害事象であったが、大部分の報告が軽症であり、重症者はいなかった。興味深いことに、化合物Iの静脈内投与後の最も一般的な薬物関連有害事象であった錯感覚(parasthesiae)は、経口投与の後には、実質的にさほど一般的ではなかった。有害事象は、両方の性別で類似していたが、但し、400mg投与後では、疲労は、男性よりも(21%)女性において(50%)より一般的であった。研究2からの治療で出現した有害事象のリストを、下記の表5に示す:
血漿中濃度と頭痛応答との関係に基づく化合物Iの治療的有効用量の予測
目的は、片頭痛の急性治療において少なくともスマトリプタンと同じく有効な化合物Iの経口用量範囲を予測することである。
フェーズII試験(20分にわたる化合物Iの静脈内注入):
用量:プラセボ(n=42)、2.5mg(n=4)、5mg(n=12)、10mg(n=24)、20mg(n=28)、30mg(n=16)、45mg(n=4)。4時間、PKを測定し、頭痛をスコアリング(4ポイントスケール;頭痛なしから重症の頭痛までで0〜3)。
用量:25mg(n=6)、50mg(n=6)、100mg(n=14)、200mg(n=6)、300mg(n=6)および400mg(n=14)。30時間、PKを測定。
血漿中濃度対時間プロファイルをコンパートメントモデルによって示す(図16、上部):薬物は、1つまたは複数の相互に接続された仮説コンパートメントに分布していると仮定されていて、これは、薬物吸収、分布および排泄プロセスを模倣している。図14は、PK−PDモデルの図解表示である。PK部は、垂直線を伴う長方形で示されており、ヒステリシス(遅延)は、水平線を伴う長方形で示されており、PD部は、楕円で示されている。
結果として生じた標的部位での濃度の連続的記載を、PDモデルを使用して観察された効果と関連させる。生理学的および機構的仮定に基づく多様な複雑性で、多くのPDモデルが開発されている。
1.血漿中濃度と頭痛応答との関係を記載するために集団PK−PDモデルを開発した。頭痛応答は、カテゴリー応答(スコア0/1/2/3、即ち、なし/軽症/中程度/重症)であり、これを、比例オッズモデルを使用してモデリングした:「プラセボ(発作の自然な時間経過)または薬物(頭痛に対する薬物効果)を投与した後に所定のスコアを有する時間経過確率の推定」。
用量は、鼻腔内スマトリプタン(20mg)よりも早い頭痛応答開始および/または高い応答率を示すべきである。
結果として生じたPK−PDモデルは、化合物Iの静脈内用量全ての後に、頭痛スコアを適切に示した(図15)。図15は、時間に対してある頭痛スコアを有する累積確率を示している。点は、観察された頭痛応答を表しており;線は、PK−PDモデルによる予測を表しており;陰影部分は、パラメーター推定値の不確実性から得られた予測不確実性を示している。用量は静脈内投与された。図16は、種々の経口用量投与後の濃度時間プロファイルの例を示している。点は測定された血漿中濃度を表しており;線はPKモデルによる個々の予測を表しており;破線はPKモデルによる集団予測(集団における典型的な対象での予測)を表している。用量は経口投与された。
補正証書、特許出願文献を包含する特許文献、科学論文、政府報告、ウェブサイトおよび本明細書で言及されている他の参照文献それぞれの全開示が、あらゆる目的のために、その全体が、参照によって本明細書に援用される。
本発明は、本発明の意図または必須の特徴から逸脱することなく、他の具体的な形態で体現することができる。したがって前記の実施形態は、全ての点において、本明細書に記載されている本発明に対する制限ではなくむしろ例示と見なされるべきである。したがって本発明の範囲は、前記の記載によってではなくむしろ添付の請求項によって示されており、請求項の同等性の意味および範囲内に該当する変化は全て、本発明に包含されることが意図されている。
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